JP2005500841A - オリゴヌクレオチドを用いるインビボ部位指定変異誘発のためのシステム - Google Patents

オリゴヌクレオチドを用いるインビボ部位指定変異誘発のためのシステム Download PDF

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    • C12N15/902Stable introduction of foreign DNA into chromosome using homologous recombination

Abstract

本開示は、例えば、変異誘発が完了した後に異種配列が全く残らないような様式で、核酸の変異をインビボで作製するためのいくつかの方法を提供する。本方法は、組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)を利用する。記載した変異誘発方法の具体的な例により、部位特異的な点変異、欠失および挿入が可能になる。限局的な領域における複数回の変異およびランダム変異誘発を可能にする方法も提供する。記載した方法は、相同組換え系を有する任意の生物体に対して適用可能である。

Description

【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2001年7月27日に提出された同時係属中の米国仮特許出願第60/308,426号(これはその全体が参照として本明細書に組み入れられる)の利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、インビボ部位指定変異誘発(in vivo site-directed mutagenesis)、特にオリゴヌクレオチドによって媒介される変異誘発の方法に関する。これはさらに、インビボで誘導された二本鎖切断によって誘発され、オリゴヌクレオチドによって媒介されるインビボ部位指定変異誘発の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
開示の背景
ゲノム・シークエンシングと種を超えた遺伝子機能の共通性との組み合わせにより、高等生物の遺伝子を2通りの手法で特徴づける機会が生じている:すなわち、モデル系における相同遺伝子の部位特異的変化を分析することによるもの、および、モデル生物の内部にクローニングされた高等真核生物遺伝子の分析によるものである。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)は多くの異種間研究のために理想的であることが実証されている。増え続ける大量の知見および技法のおかげで、これは最も詳細に特徴が決定された真核生物ゲノムとなっており(Dujon, Trends Genet. 12, 263-270, 1996;Hieterら、Nat. Genet. 13, 253-255, 1996;ResnickおよびCox、Mutat. Res. 451, 1-11, 2000;Shashikantら、Gene 223, 9-20, 1998)、このために大きな異種ゲノムDNA断片を酵母人工染色体(YAC)中にクローニングする実験操作も可能になっている(Anand、Trends Biotechnol. 10, 35-40, 1992;Larionovら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 7384-7387, 1997;Brownら、Trends Biotechnol. 18, 218-23, 2000)。
【0004】
酵母では異種配列を何ら残さずに天然の染色体またはYACを改変することが可能であるが、現在のシステムは自由度が乏しい上に手間がかかる。例えば、ヌル変異は酵母では通常、マーカー遺伝子が欠失される配列を置換するというような遺伝子置換によって作製される(Wachら、Yeast 10, 1793-1808, 1994)。相同組換えもしくは部位特異的組換えまたはDNA末端の再連結に基づくマーカーの再利用手順によっても、欠失した座位にhisG配列(Alaniら、Genetics 116, 541-545, 1987)、FRT配列(Storiciら、Yeast 15, 271-283, 1999)、loxP配列(Delneriら、Gene 252, 127-135, 2000)またはI-SceI配列(Fairheadら、Yeast 12, 1439-1457, 1996)などの異種材料が残される。異種材料が残らないように配列改変を行うためには、サブクローニングおよびインビトロ変異誘発が必要である(SchererおよびDavis、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76, 4949-4955, 1979;Bartonら、Nucleic Acids Res. 18, 7349-7355, 1990)。クローニングを伴わないPCRに基づく手順は効率が低いか、多段階の反応を必要とし、それによって別の変異が生じるリスクが高まる(Langle-RouaultおよびJacobs、Nucleic Acids Res. 23, 3079-3081, 1995;Erdenizら、Genome Res. 7, 1174-1183, 1997)。酵母ではオリゴヌクレオチドを用いる形質転換に依拠した代替的なアプローチがCYC1遺伝子に関して示されているが(Moerschellら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 524-528, 1988)、この方法は選択可能な表現型を有する変異体の作製に限定される上、標的に依存的であるように思われる(Kmiec、「標的指向性遺伝子修復(Targeted gene repair)」[論説]、Gene Ther. 6, 1-3, 1999)。オリゴヌクレオチドはギャップ修復と組み合わせた場合、酵母におけるプラスミドの改変に用いることができる(Dunoら、Nucleic Acids Res. 27: e1、1999);しかし、このアプローチは制限部位の利用可能性により制限される。
【発明の開示】
【0005】
開示の概要
本開示は、精製または未精製オリゴヌクレオチドを用いて、変異誘発が完了した後に異種配列が全く残らないような様式で、例えば酵母染色体DNA中に、インビボで特異的変異を作製するための簡単かつ有効な方法を提供する。個々の具体的な方法により、単一もしくは複数の点変異、短い欠失または短い挿入を含む、部位特異的変異誘発が得られる。厳密な核酸配列のより広範囲にわたる欠失のための方法も提供する。さまざまな個別的および相補的なオリゴヌクレオチドを検討しており、部位指定変異誘発に影響を及ぼすパラメーター(例えば、オリゴヌクレオチドの長さ)について述べる。限局的な領域における複数回の変異およびランダム変異誘発を可能にする方法も提供する。この変異誘発アプローチは、相同組換えが行われる、または行われうる、すべての生物体に対して適用可能である。
【0006】
このクローニングを用いない(cloning-free)二段階式の方法により、単一もしくは複数の塩基変化、挿入または小規模もしくは大規模な欠失といった所望の変異のみを有する変異産物がインビボで作製される。delitto perfetto(「完全な欠失」を表すために用いられる慣用句)変異誘発は極めて汎用性が高い。これは200bpまたはそれ以上の指定された区域の内部での複数回の特異的またはランダムな変化を可能にする。酵母は高等真核生物由来のゲノムDNAのランダムおよび選択的なクローニングに一般的に用いられるため(YACなど)、この戦略により、哺乳動物性または他の異種性DNA配列の内部に正確な変化を作り出すための効率的な手法も提供される。
【0007】
本開示はさらに、delitto perfettoシステムの適用範囲を事実上すべての酵母株へと(それらの遺伝的背景に依存せずに)拡張する特定のカセットおよびカセット群を含むツールを提供する。具体的な態様には、高い精度を有する最大16kbの欠失という大規模な染色体欠失の作製が含まれる。4種類の代替的な特異的COREカセットのセットが開示され、これらを用いて、野生型の非栄養要求株を含むすべての一倍体酵母株に対して適用可能なシステムを作製することができる。
【0008】
一般的な異種性URA3Kl、G418耐性遺伝子およびハイグロマイシン耐性遺伝子のほかに、対抗選択が可能な新規マーカーがヒトp53アレルV122Aを基盤として開発され、開示されている(Ingaら、Oncogene 20: 3409-3419, 2001)。delitto perfetto変異誘発システムは二倍体株にも一倍体株にも用いうる。このアレルのトランス活性化活性は変化しているため、過剰発現された場合は増殖が妨げられ、ゲノム安定性には影響が及ばない。
【0009】
さらに、本開示は、顕著に改良された組換え効率、いくつかの態様においては1000倍を上回る効率の増加をもたらす、delitto perfettoシステムの改変物を提示する。これらの態様においては、delitto perfetto-DSBと一般に呼ばれる方法を用い、ゲノム中に誘導された部位特異的DSBを利用して、オリゴヌクレオチド標的指向性誘発を増強する。DSB増強型(DSB-enhanced)delitto perfetto変異誘発の特定の例では、対抗選択マーカー(counterselectable marker)を用いる必要はなく、その使用は含まれない。
【0010】
上記およびその他の特徴および利点は、添付した図を参照しながら進めていく、以下のいくつかの態様の詳細な説明から、より明らかになると考えられる。
【0011】
配列表の簡単な説明
添付した配列表に挙げられた核酸配列およびアミノ酸配列は、米国特許法施行規則1.822条(37 C.F.R. 1.822)に定義されたヌクレオチド塩基に関する標準的な文字略号を用いて示されている。各核酸配列の一方の鎖のみが示されているが、表示された鎖に対するいかなる言及にも相補鎖が含まれるものと解釈される。添付した配列表は以下の通りである:
【0012】
配列番号:1および2は、実施例1においてCOREカセットの増幅のために用いた配列である(それぞれkanMX4側およびKlURA3側)。
【0013】
配列番号:3〜12は、遺伝子MLP2、POL30、TRP5およびSIR2へのCOREカセットの初期挿入に用いたオリゴヌクレオチドプライマーである。本文中でこれらの配列は以下のように呼ばれる:MLP2.G(配列番号:3);MLP2.U(配列番号:4);PCNA.G(配列番号:5);PCNA.U(配列番号:6);TRP5.G(配列番号:7);TRP5.U(配列番号:8);SIR2.G1(配列番号:9);SIR2.U1(配列番号:10);SIR2.G2(配列番号:11);およびSIR2.U2(配列番号:12)。
【0014】
配列番号:13は、kanMX4内部にある、COREカセット内のK2内部プライマーである。
【0015】
配列番号:14は、KlURA3内部にある、COREカセット内のURA3.2内部プライマーである。
【0016】
配列番号:15〜26は、COREの挿入の検証に用いたプライマーである。本文中でこれらの配列は以下のように呼ばれる:MLP2.1(配列番号:15);MLP2.2(配列番号:16);MLP2.3(配列番号:17);MLP2.4(配列番号:18);PCNA.3(配列番号:19);PCNA.4(配列番号:20);TRP5.1(配列番号:21);TRP5.2(配列番号:22);SIR2.1(配列番号:23);SIR2.2(配列番号:24);SIR2.3(配列番号:25);およびSIR2.4(配列番号:26)。
【0017】
配列番号:27〜50は、実施例の項に記載されている特定の変異を作製するために用いたIROである。本文中でこれらの配列は以下のように呼ばれる:MLP2.a(配列番号:27);MLP2.b(配列番号:28);PCNA.a(配列番号:29);PCNA.b(配列番号:30);TRP5.a(配列番号:31);TRP5.b(配列番号:32);TRP5.c(配列番号:33);TRP5.d(配列番号:34);TRP5.e(配列番号:35);TRP5.f(配列番号:36);TRP5.e1(配列番号:37);TRP5.f1(配列番号:38);TRP5.e2(配列番号:39);TRP5.f2(配列番号:40);TRP5.i(配列番号:41);TRP5.j(配列番号:42);270a(配列番号:43);270b(配列番号:44);270e(配列番号:45);270f(配列番号:46);345a(配列番号:47);345b(配列番号:48);364a(配列番号:49);および364b(配列番号:50)。
【0018】
配列番号:51〜54は、RAD52:RAD52.1/LEU2.2およびRAD52.4/LEU2.1の欠失を検証するために用いたオリゴヌクレオチドプライマーである。本文中でこれらの配列は以下のように呼ばれる:RAD52. 1(配列番号:51);RAD52.4(配列番号:52);LEU2.1(配列番号:53);およびLEU2.2(配列番号:54)。
【0019】
配列番号:55〜58は、染色体VII上のTRP5座位の周囲に大規模な染色体欠失(最大16kb)を作製するために用いたオリゴヌクレオチド(IRO)である。本文中でこれらの配列は以下のように呼ばれる:1Stu.a(配列番号:55);1Stu.b(配列番号:56);2Stu.a(配列番号:57);および2Stu.b(配列番号:58)。
【0020】
配列番号:59および60は、大規模な欠失を確かめるために用いたオリゴヌクレオチドである。本文中で、これらの配列はCGR1.1(配列番号:59)およびSTT3.1(配列番号:60)と呼ばれる。
【0021】
配列番号:61および62は、標的遺伝子へのCOREカセットの挿入を行うために用いたプライマーである。本文中で、これらの配列はTRP5.I(配列番号:61)およびTRP5.II(配列番号:62)と呼ばれる。
【0022】
配列番号:63および64は、GAL1/10プロモーターの制御下にあるI-SceI遺伝子のPCR増幅のために用いたプライマーである;どちらのプライマーも、COREカセットの上流へのPCR産物のクローニングを可能にするBglII部位を5'末端に含む。
【0023】
配列番号:65〜68は、TRP5遺伝子へのCORE-DSBカセットの挿入のために用いたオリゴヌクレオチドプライマーである。本文中で、これらの配列はTRP5.SceII(配列番号:65);TSce.IU(配列番号:66);TecS.IU(配列番号:67);およびTScecS.II(配列番号:68)と呼ばれる。
【0024】
配列番号:69は、いくつかの特定の態様においてI-SceI遺伝子の上流に挿入されたGAL1/10配列である。
【0025】
配列番号:70〜73は、TRP5遺伝子への短いCORE-DSBカセットの初期挿入のために用いたプライマーである。本文中で、これらの配列はTRP5.IK(配列番号:70);TSce.IK(配列番号:71);TecS.IK(配列番号:72);およびTScecS.II(配列番号:73)と呼ばれる。
【0026】
配列番号:74〜77は、CORE-UKカセットおよび/またはCORE-UHカセットおよび/またはCORE-Kp53カセットおよび/またはCORE-Hp53カセット内の内部プライマーである。本文中で、これらの配列はK1(配列番号:74);URA3.1(配列番号:75);H1(配列番号:76);およびp7(配列番号:77)と呼ばれる。
【0027】
配列番号:78は、I-SceI内部にある、CORE-DSBカセット内の内部プライマーである。
【0028】
配列番号:79は、HygroR内部にある、RE-DSBカセット内の内部プライマーである。
【0029】
配列番号:80〜83は、TRP5座位にあるCORE-DSB挿入を欠失させて、所望の変化を生成するために用いたプライマーである。本文中で、これらの配列はTRP5.e3(配列番号:80);TRP5.f3(配列番号:81);TRP5.e4(配列番号:82);およびTRP5.f4(配列番号:83)と呼ばれる。
【0030】
詳細な説明
I.略号
5-FOA:5-フルオロオロト酸
CORE:対抗選択マーカーおよびレポーター遺伝子を含むカセット
CORE-DSB:一意的なDSB切断部位、およびDSB切断部位での切断を行いうるエンドヌクレアーゼをコードする配列をさらに含む、COREカセット
RE-DSB:対抗選択マーカーを欠くCORE-DSB
DNA:デオキシリボ核酸
DSB:二本鎖切断
G418R:ジェネティシン耐性マーカー遺伝子
GAL:ガラクトース
HygroR:ハイグロマイシン耐性マーカー遺伝子
IRO:組込み型組換えオリゴヌクレオチド
I-SceI:出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のミトコンドリア性イントロンにコードされたエンドヌクレアーゼ遺伝子
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
ORF:オープンリーディングフレーム
YAC:酵母人工染色体
【0031】
II.用語
別に指摘する場合を除き、技術用語は慣例的用法に従って用いられる。分子生物学の一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin、「遺伝子V(Genes V)」、Oxford University Press発行、1994(ISBN 0-19-854287-9);Kendrewら(編)、「分子生物学事典(The Encyclopedia of Molecular Biology)」、Blackwell Science Ltd.発行、1994(ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers(編)、「分子生物学およびバイオテクノロジー:包括的便覧(Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference)」、VCH Publishers, Inc.発行、1995(ISBN 1-56081-569-8)に記載がある。
【0032】
本発明のさまざまな態様の吟味を容易にするために、特定の用語に対して以下の説明を提示する:
【0033】
類似体、誘導体または模倣体:類似体とは化学構造の点で親化合物と異なる分子のことであり、これには例えば、同族体(化学構造における増加単位が異なる、例えばアルキル鎖の長さの違い)、分子断片、1つもしくは複数の官能基の点で異なる構造、および/またはイオン化の変化がある。構造的類似体はしばしば、Remington(「薬理学の理論および実践(The Science and Practice of Pharmacology)」、第19版(1995)、第28章)に開示された技法などにより、定量的構造活性相関(QSAR)を用いて見いだされる。誘導体とは、基本構造から派生した生物活性分子のことである。模倣体とは、別の生物活性分子の活性を模した生体分子のことである。生物活性分子には、所定の化合物の生物活性を模した化学構造(例えばペプチドまたはタンパク質である実体)が含まれうる。
【0034】
動物:哺乳動物(例えば、霊長動物)および鳥類などを含むカテゴリーである生きた多細胞脊椎生物、さらには単細胞性の微小動物(例えば、線虫)。哺乳動物という用語にはヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方が含まれる。同様に、「対象」という用語にはヒトおよび獣医学的な対象の両方が含まれる。
【0035】
アンチセンス、センスおよび抗遺伝子(antigene):二本鎖DNA(dsDNA)には、5'→3'鎖(プラス鎖)および3'→5'鎖(マイナス鎖)という2本の鎖がある。RNAポリメラーゼは核酸を5'→3'の向きに付加するため、転写時にはDNAのマイナス鎖がRNAのテンプレートとしての役割を果たす。このため、形成されたRNAはマイナス鎖に対して相補的であってプラス鎖とは同一な配列を有すると考えられる(塩基ウラシルがチミンと置き換わる点を除いて)。
【0036】
アンチセンス分子とは、RNA、またはDNAのプラス鎖のいずれかと、特異的にハイブリダイズする、または特異的に相補的である分子のことである。センス分子とは、DNAのマイナス鎖と特異的にハイブリダイズする、または特異的に相補的である分子のことである。抗遺伝子分子とは、DNA標的を目標とするアンチセンス分子またはセンス分子のことである。
【0037】
結合/安定的な結合:オリゴヌクレオチドは、その結合の検出が可能となるのに十分な量のオリゴヌクレオチドがその標的核酸と塩基対を形成するかハイブリダイズする場合に、標的核酸と結合する、または安定的に結合するという。結合は標的:オリゴヌクレオチド複合体の物理的または機能的な特性によって検出しうる。標的とオリゴヌクレオチドとの結合は、機能的および物理的な結合アッセイ法を含む、当業者に知られた任意の方法によって検出可能である。結合は、その結合が遺伝子の発現、DNA複製、転写および翻訳などの生合成過程に対して観察可能な影響を及ぼすか否かを判定することにより、機能的に検出しうる。
【0038】
DNAまたはRNAの相補鎖の結合を検出する物理的方法は当技術分野で周知であり、これにはDNアーゼIまたは化学的フットプリント法、ゲルシフトおよび親和性分離アッセイ法、ノーザンブロット法、ドットブロット法および吸光検出法などの方法が含まれる。例えば、簡単で信頼性が高いことから広く用いられている方法の一つでは、オリゴヌクレオチド(または類似体)および標的核酸を含む溶液における吸光度の変化を、温度を徐々に上昇させながら220〜300nmで観察する。オリゴヌクレオチドまたは類似体がその標的と結合すれば、オリゴヌクレオチド(または類似体)および標的が互いに解離または「融解」する特徴的な温度で吸光度の急激な上昇がみられる。
【0039】
オリゴマーとその標的核酸との結合はしばしば、オリゴマーの50%がその標的から融解する温度(T)によって特徴づけられる。Tが高いことは、Tが低い複合体よりも強いまたは安定な複合体であることを意味する。
【0040】
カセット:原核細胞または真核細胞などの細胞のゲノム中またはプラスミド中に挿入しうる、少なくとも1つの選択マーカーをコードする核酸配列。1つの態様において、カセットは、その核酸が翻訳される宿主細胞に抗生物質に対する耐性を付与する核酸配列などのレポーター遺伝子を含む。抗生物質耐性遺伝子の例には、以下に対する耐性を付与するものが非制限的に含まれる:カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシンおよびゼオシン。
【0041】
最もよく用いられる酵母遺伝マーカーには、URA3、LYS2、TRP1、LEU2、HIS3、ADE2およびG418Rが含まれる。これらよりも低い頻度で用いられる酵母遺伝マーカーには、CYH2SおよびCAN1S(それぞれシクロヘキシミドおよびカナバニンに対する感受性を決定する);KlURA3(クリュイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)に由来し、出芽酵母(S. cerevisiae)のURA3と相同。これらはいずれも5-FOAに対する耐性を決定する);ハイグロマイシンB(ハイグロマイシンに対する耐性を決定する);およびNAT(Nourseothricin)(ナーセオスリシン(nourseothricin)に対する耐性を決定する)。
【0042】
酵母における対抗選択マーカー(マーカーの消失に関して選択しうるシステムがある場合のためのマーカー)には、URA3、KlURA3、CYH2、CAN1、TRP1およびLYS2が含まれる。ある種の態様においては、対抗選択マーカーURA3およびKlURA3が特に有益であるが、これは酵母株の大半がURA3遺伝子に変異を有しており(ura株)、自然発生的な復帰変異の頻度が低いためである。KlURA3の方がURA3よりも好ましいが、これはそれが出芽酵母のURA3を代替可能であり、同時にそれがura株におけるURA3の変異コピーとの遺伝子変換が起こる確率が低くなる程度に十分に異なっているためである。
【0043】
その他の対抗選択マーカーには、発現または過剰発現された場合に宿主細胞の増殖を妨げる、および/または宿主細胞を死滅させる、毒性遺伝子産物がある。このクラスの対抗選択マーカーに含まれるものには、EcoRI(Lewisら、Mol. Cell. Biol. 18: 1891-1902, 1998)およびPvuIIなどの制限酵素、ならびにヒトおよび他の哺乳動物由来のp53をコードする遺伝子および毒性型のp53遺伝子がある(IngaおよびResnick、Oncogene 20: 3409-3419, 2001)。これらの対抗選択遺伝子は一般に、調節性の高いプロモーター(低い基礎レベルおよび高い誘導レベルが得られるもの)の下で用いられる。いくつかの態様において、発現されるPvuII遺伝子は、コード配列中、または遺伝子の発現を指令するために用いられるGAL1もしくは他の誘導性プロモーター中に改変を有してもよい。これらはそれぞれ、より慣例的な対抗選択マーカーを利用できない、またはそれらでは不都合な広範囲の生物システムにおける対抗選択をもたらしうるマーカーの例である。このため、これらの対抗選択マーカーは、宿主細胞の種または遺伝的背景に依存しない(または依存の度合いが間接的もしくは最小限である)という点で、「普遍的」または「一般的」であるとみなされる。
【0044】
以下のマーカーも、含まれる遺伝子配列が出芽酵母(S. cerevisiae)にとって生来のものではなく、異なる種から加えられたものである点から、酵母における異種マーカーと考えられる:KlURA3、G418、ハイグロマイシン、NATおよびp53。
【0045】
カセットの具体的な一例はCORE-カセットであり、これは対抗選択マーカーおよびレポーター遺伝子の両方を含む。他の具体例には、RE-カセット(レポーター遺伝子を有するが対抗選択マーカーは有していない)、CORE-DSB-カセット(対抗選択マーカー、レポーター遺伝子、二本鎖切断部位、およびその部位に対する特異的活性を有する二本鎖切断酵素をコードする配列を有する)およびRE-DSBカセット(CORE-DSB-カセットに類似しているが、対抗選択マーカーは有していない)が含まれる。同じく想定されるものには、delitto perfetto-DSB変異誘発に用いるためのカセットがあり、この場合、二本鎖切断酵素の機能はカセット自体にはコードされておらず、その代わりに細胞に外因的に追加され、これは通常、カセットの挿入後かつIROを用いる形質転換の前(またはそれと同時)に行われる。
【0046】
cDNA(相補的DNA):内部の非コード性セグメント(イントロン)および転写を決定する調節配列を欠くDNA。cDNAは、細胞から抽出したメッセンジャーRNAからの逆転写により、実験室で合成しうる。
【0047】
欠失:DNAの配列が除去され、除去された配列の両側の領域が連結されること。これに対応して、タンパク質における欠失とは、タンパク質またはペプチドのアミノ酸配列のある領域の除去のことである。欠失は極めて短くてもよく、例えば1つまたは少数の核酸から10、15、20、25、30、50、80もしくは100個の核酸まで、またはそれより長くてもよく、極めて長くてもよい。特定の態様において、長い欠失は少なくとも500核酸、少なくとも750核酸、少なくとも1000核酸、少なくとも2500核酸、少なくとも3000核酸、少なくとも5000核酸、少なくとも8000核酸、少なくとも10,000核酸またはより長い核酸であってよい。特に長い欠失は10,000核酸を上回ってもよく、例えば15,000、20,000、30,000またはそれ以上である。
【0048】
DNA(デオキシリボ核酸):DNAは長鎖重合体であり、ほとんどの生きた生物の遺伝材料を含む(一部のウイルスは、リボ核酸、RNAを含む遺伝子を有する)。DNA重合体における反復単位は4種類のヌクレオチドであり、そのそれぞれは、4種類の塩基、アデニン、グアニン、シトシンおよびチミンのうち1つがデオキシリボース糖と結合し、それにリン酸基が結合したものから構成される。DNA分子中のコドンと呼ばれるヌクレオチドの三連子が、ポリペプチド中のアミノ酸をコードする。コドンという用語は、DNA配列が転写されたmRNAにおける対応する(および相補的な)3つのヌクレオチドの配列に対しても用いられる。
【0049】
別に指定する場合を除き、DNA分子に対するすべての言及には、そのDNAの逆相補物も含まれるものとする。一本鎖であることが本明細書の本文により要求される場合を除き、DNA分子には、一本鎖のみを描写して書かれていても、二本鎖DNA分子の両方の鎖が含まれる。
【0050】
二本鎖切断:DNA主軸の両方の鎖にほぼ同じヌクレオチドの箇所で生じる切断は二本鎖切断と呼ばれる。
【0051】
エンドヌクレアーゼ:DNA分子中の内部ホスホジエステル結合を切断する酵素。
【0052】
異種:通常は(すなわち、野生型配列では)第2の配列に隣接して認められることのない配列。1つの態様において、この配列は、第2の配列とは異なる、ウイルスまたは他の生物などの遺伝的源に由来する。
【0053】
ホーミングエンドヌクレアーゼ:イントロン無しまたはインテイン無しのアレルへの遺伝因子のホーミングを促す、イントロンまたはインテインによってコードされる部位特異的エンドヌクレアーゼ。それらは、大きな非対称性認識部位(12〜40塩基対)および通常イントロンまたはインテイン内に埋め込まれたコード配列を有する二本鎖DNアーゼである。イントロンは前駆RNAからスプライシングにより除去され、一方、インテインは前駆タンパク質からスプライシングにより除去される。ホーミングエンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼのものに類似した慣習を用いて命名されており、イントロンがコードするエンドヌクレアーゼは接頭語「I-」を含み、インテインエンドヌクレアーゼは接頭語「PI-」を含む。
【0054】
ホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位は極めて稀である。例えば、18塩基対の認識はランダム配列の7×1010塩基対当たり1回しか起こらないと考えられる。これは20の哺乳動物サイズのゲノム中に1つの部位しかないことと等価である。しかし、標準的な制限エンドヌクレアーゼとは異なり、ホーミングエンドヌクレアーゼは、それらの認識配列内のある程度の配列縮重性を許容する。その結果、それらに関して観察されている配列特異性は一般に10〜12塩基対の範囲にある。ホーミングエンドヌクレアーゼは、制限酵素が有しているような様式で厳密に規定された認識配列を有していない。すなわち、単一塩基の変化で切断が生じなくなることはないが、その効率はさまざまな程度で低下する。必要とされる塩基の厳密な境界域については一般にわかっていない。
【0055】
移動プロセスを開始させるホーミング酵素は、相互に、さらには自立型の遺伝子間エンドヌクレアーゼとも共通した構造的および機能的な特性を有する、複数のファミリーに分類することができる。3つの生物界において、イントロンおよびインテインによってコードされる複数のエンドヌクレアーゼが、イントロン無しおよびインテイン無しのアレル部位への、それぞれの遺伝因子のホーミングを促すことが示されている(Belfort & Roberts、Nucleic Acids Research, 25: 3379-3388, 1997)。ホーミングエンドヌクレアーゼの例:I-CreI、I-PpoI、I-SceI、I-CeuI、PI-PspI、PI-SceI。ホーミングエンドヌクレアーゼの中には、出芽酵母のVDEもある。
【0056】
ハイブリダイゼーション:ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドならびにそれらの類似体は、相補的塩基間の、ワトソン-クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型水素結合を含む水素結合によってハイブリダイズする。一般に、核酸はピリミジン(シトシン(C)、ウラシル(U)およびチミン(T))またはプリン(アデニン(A)およびグアニン(G))のいずれかである含窒素塩基からなる。これらの含窒素塩基はピリミジンとプリンとの間に水素結合を形成し、ピリミジンとプリンとの結合は「塩基対合」と呼ばれる。より詳細には、AはTまたはUと水素結合し、GはCと結合する。「相補的」とは、2つの異なる核酸配列間または同じ核酸配列の2つの異なる領域間に起こる塩基対合のことを指す。
【0057】
「特異的にハイブリダイズしうる」および「特異的に相補的である」とは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(またはその類似体)とそのDNA標的またはRNA標識との間に安定的かつ特異的な結合が生じるのに十分な相補性の程度を示す用語である。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(またはその類似体)は、特異的にハイブリダイズさせようとするその標的配列に対して100%相補的である必要はない。ヌクレオチド分子またはその類似体は、それと標的DNAまたはRNA分子との結合が、特異的結合が望まれる条件下で、例えばインビボアッセイ法または系の場合における生理的条件下で、ヌクレオチドまたは類似体と非標的配列との非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性で生じる場合は、特異的にハイブリダイズしうる。このような結合は特異的ハイブリダイゼーションと呼ばれる。
【0058】
特定の程度の厳密さをもたらすハイブリダイゼーション条件は、選択するハイブリダイゼーション方法の性質、ならびにハイブリダイズする核酸配列の組成および長さに依存すると考えられる。一般に、ハイブリダイゼーション温度およびハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度(特にNa濃度)がハイブリダイゼーションの厳密さを決定すると考えられるが、洗浄回数も厳密さに影響を及ぼす。特定の程度の厳密さを得るために必要なハイブリダイゼーション条件に関する計算は、Sambrookら(編)、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: Laboratory Manual)」、第2版、1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989、第9章および第11章に記載されており、これは参照として本明細書に組み入れられる。
【0059】
例として、ハイブリダイゼーションは一般に、インビトロで6×SSCなどの高イオン強度の溶液中にて、以下に説明する融解温度Tよりも20〜25℃低い温度で行われる。例えば、サザンブロット上の標的DNA分子が10ngまたはそれ以上のDNAを含むサザンハイブリダイゼーション実験のためには、ハイブリダイゼーションは一般に、1〜2ng/mlの放射標識ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、比活性が109CPM/μgまたはそれ以上のもの)を用いて6〜8時間行われる。ハイブリダイゼーションの後に、バックグラウンドのハイブリダイゼーションを除去するためにニトロセルロースフィルター(サザンブロット)を洗浄する。洗浄条件の厳密さは、バックグラウンドのハイブリダイゼーションは除去しうるが特異的ハイブリダイゼーションシグナルは保たれる程度であるべきである。
【0060】
Tという用語は、一般的なイオン条件下で、それを上回るとプローブ核酸分子がその標的DNA分子とハイブリダイズしないと考えられる温度のことを表す。このようなハイブリッド分子のTは式:
T=81.5℃−16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−0.63(%ホルムアミド)−(600/l)から推定され、ここでlはハイブリッドの塩基対の長さである。
【0061】
この式は0.01M〜0.4Mの範囲のNa濃度に対して有効であり、[Na]のより高い溶液中でのTの計算については精度が低くなる。また、この式は主としてG+C含量が30%〜75%の範囲にあるDNAに対して有効であり、100ヌクレオチド長を上回るハイブリッドに対して適用される(オリゴヌクレオチドプローブの挙動は、Sambrookら、1989の第11章に詳細に記載されている)。したがって、一例として、GC含量を45%と仮定した150塩基対のDNAプローブに対して、特定の厳密さを得るために必要なハイブリダイゼーション条件は以下の通りになると考えられる。
【0062】
この例について、ハイブリダイゼーション後にフィルターを0.3×SSC溶液中で洗浄すると仮定し、その際、
[Na]=0.045M
%GC=45%
ホルムアミド濃度=0
l=150塩基対 とすると、
Tm=81.5−16(log10[Na])+(0.41×45)−(600/150)であり、すなわちTm=74.4℃となる。
【0063】
二本鎖DNAのTは、相同性が1%低下するごとに1〜1.5℃低下する(Bonnerら、J. Mol. Biol. 81: 123-135, 1973)。このため、提示したこの例では、フィルターを0.3×SSC中にて59.4〜64.4℃で洗浄すると、90%に相当するハイブリダイゼーションの厳密さが得られると考えられる;すなわち、標的cDNAに対して10%を上回る配列の違いがあるDNA分子はハイブリダイズしないと考えられる。または、ハイブリダイズさせたフィルターを0.3×SSC中にて65.4〜68.4℃の温度で洗浄すると、94%のハイブリダイゼーションの厳密さが得られる;すなわち、標的cDNAに対して6%を上回る配列の違いがあるDNA分子はハイブリダイズしないと考えられる。以上の例は全面的に理論の例示を目的として提示したものである。当業者は、他のハイブリダイゼーション法を用いてもよく、実験条件が異なれば厳密さに関して別の計算が必要になることを理解すると考えられる。
【0064】
本発明の目的に関して、「ストリンジェントな条件」には、ハイブリダイゼーションがハイブリダイゼーションプローブと標的配列との間のミスマッチが25%未満の場合のみに起こると考えられる条件が含まれる。「ストリンジェントな条件」は、より厳密な区別を目的として、複数の特定レベルの厳密さに分離しうる。すなわち、本明細書で用いる場合、「適度に(moderately)ストリンジェントな」条件とは、配列の違い(「ミスマッチ」とも呼ばれる)が25%を上回るDNA分子はハイブリダイズしないと考えられるものである;「中程度にストリンジェントな」条件とは、配列の違いが15%を上回るDNA分子はハイブリダイズしないと考えられるものであり、「高度にストリンジェントな」条件とは、ミスマッチが10%を上回るDNA配列はハイブリダイズしないと考えられるものである。「極めて高度にストリンジェントな」条件とは、ミスマッチが6%を上回るDNA配列はハイブリダイズしないと考えられるものである。
【0065】
インビトロ増幅:試料中または標本中の核酸分子のコピー数を増加させる技法。インビトロ増幅の一例はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、この場合には、核酸分子(対象から採取した生物試料中に含まれるものなど)を一対のオリゴヌクレオチドプライマーと、プライマーと試料中の核酸テンプレートとのハイブリダイゼーションが可能になる条件下で接触させる。プライマーを適した条件で伸長させ、テンプレートから解離させた後に、再アニーリング、伸長および解離を行うことにより、核酸のコピー数を増幅する。
【0066】
インビトロ増幅の産物は、電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パターン、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションもしくは連結、および/または核酸シークエンシングにより、標準的な技法を用いて特徴づけることができる。
【0067】
インビトロ増幅法のその他の例には、鎖置換増幅法(米国特許第5,744,311号を参照);非転写等温増幅法(米国特許第6,033,881号を参照);修復連鎖反応増幅法(国際公開公報第90/01069号を参照);リガーゼ連鎖反応増幅法(欧州特許第EP-A-320 308号を参照);ギャップ充填リガーゼ連鎖反応増幅法(米国特許第5,427,930号を参照);リガーゼ検出とPCRとの組み合わせ(米国特許第6,027,889号を参照);およびNASBA(商標)RNA非転写増幅法(米国特許第6,025,134号を参照)が含まれる。
【0068】
誘導物質:調節タンパク質との結合によって遺伝子転写を誘発する低分子。
【0069】
誘導性プロモーター:タンパク質発現の量および時期を調節するために用いうるプロモーター系。構成性プロモーターとは異なり、誘導性プロモーターは常に活性があるわけではない。熱ショックプロモーターなどの一部の誘導性プロモーターは物理的刺激によって活性化される。別のものは、IPTGまたはテトラサイクリン(Tet)またはガラクトースなどの化学刺激によって活性化される。誘導性プロモーターまたは遺伝子スイッチは、遺伝子発現を空間的かつ時間的に調節するために用いられる。
【0070】
遺伝子発現の時期および/または位置の正確な調節を可能にすることにより、遺伝子スイッチまたは誘導性プロモーターは、過剰発現または非限局的な遺伝子発現によって引き起こされる有害および/または異常な影響を制御することができる。このため、典型的な誘導性プロモーターの場合、誘導物質の非存在下では遺伝子発現がほとんどまたは全くないと考えられ、一方、誘導物質の存在下では発現は高度のはずである(すなわち、オフ/オン型)。数多くの調節性遺伝子発現システムが考案されており、これには、熱(AinleyおよびKey、Plant Mol. Biol., 14: 949-967, 1990;Holtorfら、Plant Mol. Biol. 29: 637-646, 1995)、病原体(PR1-a;Williamsら、Biotechnology 10: 540-543, 1992;Gatz, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 48: 89-108, 1997)、除草剤毒性緩和剤(In2-2、GST27;De Veylderら、Plant Cell Physiol. 38: 568-577, 1997)、光(Kuhlemeierら、Plant Cell 1: 471-478, 1989)、損傷(Firekら、Plant Mol. Biol. 22: 129-212, 1993)、エタノール(Salterら、Plant J. 16: 127-132, 1998)、植物ホルモン(Liら、Plant Cell 3:1167-1175、1991)、ステロイド(AoyamaおよびChua、Plant J., 11: 605-612, 1997)およびテトラサイクリン(Gatzら、Plant J. 2: 397-404, 1992;Weinmannら、Plant J.、5: 559-569, 1994;Sommerら、Plant Cell Rep. 17: 891-896, 1998)によって調節されるものが含まれる(Granger & Cyr、Plant Cell Reports 20: 227-234, 2001による)。
【0071】
以下は、誘導性プロモーターの具体的なタイプの例およびそれらの用途の例である:
【0072】
ステロイド誘導性発現:Keith Yamamotoの研究室は、本発明者らが哺乳動物細胞について述べたエクジソン系に類似した誘導系を酵母において開発した。彼らは、ラットグルココルチコイド受容体を酵母内で発現させるために、ラットグルココルチコイド受容体遺伝子を構成性GPDプロモーターの後ろに配置した。3つのグルココルチコイド応答エレメントがCYC1遺伝子最小プロモーター(シトクロムc遺伝子)の上流にある第2のベクターを作製した。この後に、選択した遺伝子を3GRE/CYC1プロモーターの制御下に配置しうるように、クローニング部位を配置した。どちらのベクターも高コピーベクターであった。この系は、ステロイドホルモンを培地に添加するとうまく作用し、用量依存的な発現を生じる。応答時間は迅速であり、t1/2はホルモンの添加から7〜9分後であった。
【0073】
銅誘導性発現:CUP1プロモーターは、銅イオンまたは銀イオンによって誘導しうる遺伝子の作製に用いうる。一例として、ある遺伝子をCUP1調節下に置くと、培地中の銅の量に基づいて発現レベルの一定程度の調節が得られると考えられる。銅は有毒であり、いずれの株についても、CUP1構築物を作製する前にそれが銅にどの程度耐えうるかを把握することが必要である。
【0074】
熱ショック発現:熱ショック遺伝子由来のUASを最小CYC1プロモーターの前に配置することにより、YFG(お気に入りの遺伝子:your favorite gene)を熱ショック誘導下に置くことができる。これは熱ショック応答の試験に通常用いられる特殊な条件である。
【0075】
GAL1-10プロモーター:このプロモーターはガラクトースによって高度に調節可能であり、グルコースでは基礎レベルにあるが、細胞をガラクトース培地中に置くと100倍以上に増加する。
【0076】
酵母GAL遺伝子は、真核生物遺伝子の調節に関する最も詳細に研究されたモデル系の一つを構成している。例えば、GAL1およびGAL10などの構造遺伝子は、ガラクトース中では活性化因子Gal4pの作用により、非常に高レベルの発現へと誘導される。Gal4pはGAL遺伝子の上流に位置する活性化配列(UASG)と結合して、遺伝子の近位部にあるTATA因子に依存するとともに数多くの補助活性化因子およびTBPを含む一般的な転写因子がかかわる過程において、転写を活性化する。Gal4pの活性化機能は、Gal4pの活性化ドメインと特異的に結合し、それによって非ガラクトース性炭素源中での遺伝子活性化を妨げる抑制性調節因子であるGa180pによって調節される。
【0077】
誘導:細菌(または酵母もしくは他の生物)による特定の酵素の合成が、それらの基質が存在する場合のみに行われうること;遺伝子発現に当てはめると、誘導物質と調節タンパク質との相互作用の結果として転写が賦活されることを指す。
【0078】
単離された:単離された生体成分(核酸、ペプチドまたはタンパク質など)が、その成分が天然に存在する生物の細胞内の他の生体成分、すなわち他の染色体DNAおよび染色体外のDNAおよびRNAならびにタンパク質から、実質的に分離されているか、離れて産生されるか、または精製されていること。単離された核酸、ペプチドおよびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。この用語には、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸、ペプチドおよびタンパク質、ならびに化学合成された核酸も含まれる。
【0079】
核酸:DNAおよびRNAに認められるヌクレオチドを含む、ヌクレオチドから構成される配列。
【0080】
ヌクレオチド:この用語には、ピリミジン、プリンもしくはそれらの合成類似体などの塩基が糖と結合したもの、またはペプチド核酸(PNA)のように塩基がアミノ酸と結合したものを含む単量体が非制限的に含まれる。ヌクレオチドはポリヌクレオチド中の1つの単量体である。ヌクレオチド配列とは、ポリヌクレオチド中の塩基の配列のことを指す。
【0081】
オリゴヌクレオチド:通常は最大で約200ヌクレオチド塩基長である線状のポリヌクレオチド配列、例えば、少なくともヌクレオチド長、例えば少なくとも15、20、50、100またはさらには200ヌクレオチド長であるポリヌクレオチド(DNAまたはRNAなど)。ある種の態様において、オリゴヌクレオチドは200ヌクレオチド長よりも長いこと、例えば、220、250、270、290、300、350、400ヌクレオチド長またはそれより長いヌクレオチドであることが想定される。
【0082】
機能的に結合した:第1の核酸配列が第2の核酸配列との機能的な関係下に置かれている場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と機能的に結合している。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、プロモーターはコード配列と機能的に結合している。一般に、機能的に結合した複数のDNA配列は連続しており、2つのタンパク質コード領域を連結することが必要な場合には、同じリーディングフレーム内にある。
【0083】
ORF(オープンリーディングフレーム):アミノ酸をコードする一連のヌクレオチド三連子(コドン)。これらの配列は通常、ペプチドへと転写される。
【0084】
オルソログ:2つのヌクレオチド配列は、それらが共通の祖先配列を有していて、その祖先配列を有する種が2つの種に分かれた場合に分岐したならば、互いにオルソログである。オルソログ配列は相同配列でもある。
【0085】
ポリヌクレオチド:任意の長さの線状核酸配列。したがって、ポリヌクレオチドには、少なくとも15、20、50、100、200、250、300、400ヌクレオチドまたはそれ以上の分子(例えば、オリゴヌクレオチド)が含まれ、同じく、完全長cDNA、遺伝子または染色体程度に長いヌクレオチドも含まれる。
【0086】
ペプチド核酸(PNA):アミノ酸単量体がペプチド結合によって結合したように、アミド(ペプチド)結合によって結合した単量体から構成される主軸を有するオリゴヌクレオチド類似体。
【0087】
プローブおよびプライマー:プローブは、単離された核酸が検出可能な標識またはレポーター分子と結合したものを含む。一般的な標識には、放射性同位体、リガンド、化学発光物質および酵素が含まれる。標識のための方法および種々の目的に適した標識の選択については、例えば、Sambrookら、「分子クローニング(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);およびAusubelら、「分子クローニングにおける最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、Greene Publishing Associates and Wiley-Intersciences(1987)に考察がある。
【0088】
プライマーは短い核酸、例えば、少なくとも6ヌクレオチド長、および/または10、20、50、100もしくは200ヌクレオチド長未満のDNAオリゴヌクレオチドであるが、いくつかの態様においては、それらはさらに長い。プライマーを核酸ハイブリダイゼーションによって相補的な標的DNA鎖とアニーリングさせ、プライマーと標的DNA鎖とのハイブリッドを形成させた上で、DNAポリメラーゼ酵素によって標的DNA鎖に沿って伸長させることができる。プライマー対は、核酸配列の増幅、例えば、PCRまたは当技術分野で知られた他の核酸増幅方法によるものに用いることができる。
【0089】
プローブおよびプライマーの調製および使用のための方法は、例えば、Sambrookら(「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、Ausubelら、「分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、Greene Publishing Associates and Wiley-Intersciences(1987)、およびInnisら、「PCRプロトコール:方法および応用への手引き(PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications)」、1990、Innisら(編)、21-27, Academic Press, Inc., San Diego, Californiaに記載されている。PCRプライマー対は、例えば、この目的用のコンピュータプログラム、Primer(バージョン0.5、(著作権)1991、Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge, MA)などを用いることにより、既知の配列から導くことができる。
【0090】
本明細書中に開示するプローブおよびプライマーは、少なくとも10ヌクレオチドの核酸配列を含むが、当技術分野で周知の方法により、ストリンジェントな条件下で標的核酸と特異的にハイブリダイズするならば、より短い核酸をプローブまたはプライマーとして用いてもよい。したがって、本開示には、開示される配列のうち指定された長さを含む、単離された核酸分子が含まれる。当業者は、個々のプローブまたはプライマーの特異性はそれが長いほど高くなることを理解していると考えられる。このため、例えば、配列のうち20個の連続したヌクレオチドを含むプライマーは、標的配列(例えば、ゲノムDNAライブラリーの内部に含まれるもの)と、15ヌクレオチドのみからなる対応するプライマーよりも高い特異性でアニーリングすると考えられる。特異性を高めるために、さらに長いプローブおよびプライマー、例えば、標的の任意の領域に由来する少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100個またはより多くの連続したヌクレオチドを含むプローブおよびプライマーを用いることができる。
【0091】
プローブまたはプライマーに言及する場合に、「(標的配列)に対して特異的である」という用語は、プローブまたはプライマーが、ストリンジェントな条件下で、標的配列を含む所定の試料において実質的に標的配列のみとハイブリダイズすることを示す。
【0092】
プロモーター:核酸の転写を指令する一連の核酸制御配列。プロモーターは、転写開始部位の付近に必要な核酸配列を含んでおり、これは例えば、ポリメラーゼII型プロモーターの場合にはTATA因子である。1つの態様において、プロモーターはエンハンサーを含む。もう1つの態様において、プロモーターはリプレッサー因子を含む。これらの態様においては、キメラ型プロモーターが作製される(それぞれプロモーター/エンハンサー型キメラまたはプロモーター/リプレッサー型キメラ)。エンハンサー因子およびリプレッサー因子はプロモーターと隣接して位置しても離れて位置してもよく、転写開始部位から数千塩基対も離れて位置することもできる。本開示に用いうるプロモーターの例には、SV40プロモーター、CMVエンハンサー-プロモーター、CMVエンハンサー/β-アクチンプロモーターおよび組織特異的プロモーターであるプロバシンが非制限的に含まれる。
【0093】
核酸の構築および本明細書中に開示する方法の実施のために用いうる他のプロモーター配列には、以下のものが非制限的に含まれる:lac系、trp系、tac系、trc系、ファージλの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、SV40の初期および後期プロモーター、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、バキュロウイルスおよびシミアンウイルスに由来するプロモーター、3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター、酵母酸性ホスファターゼのプロモーター、酵母α-交配因子のプロモーター、RSVプロモーターなどの任意のレトロウイルスLTRプロモーター;MMTVプロモーターなどの誘導性プロモーター;メタロチオネインプロモーター;熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;ヒストンプロモーター;α-アクチンプロモーター;TKプロモーター;B19パルボウイルスプロモーター;SV10後期プロモーター;ApoAIプロモーター、ならびにそれらの組み合わせ。
【0094】
1つの態様において、プロモーターは、RNAの転写を高レベルで、例えば、プロモーターの転写活性が細胞内のすべての転写活性の概ね約25%を占めるようなレベルで促進する、強力なプロモーターである。プロモーターの強度はしばしば組織特異的であり、このため細胞種によって異なってもよい。例えば、CMVは、多くの細胞種において高レベルの転写活性を生じさせるため、古典的な強力なプロモーターである。強力なプロモーターの例には、以下のものが非制限的に含まれる:CMV;CMV/ニワトリβ-アクチン;伸長因子1Aおよび2A;SV40;RSV;ならびにMoLV LTR。
【0095】
もう1つの態様において、プロモーターは、単一の細胞種または狭い範囲の組織における転写を促進する組織特異的プロモーターである。組織特異的プロモーターの例には、以下のものが非制限的に含まれる:プロバシン(前立腺細胞における発現を促進する)、免疫グロブリンプロモーター;ホエイ酸性タンパク質プロモーター;カゼインプロモーター;グリア線維性酸性タンパク質プロモーター;アルブミンプロモーター;β-グロビンプロモーター;およびMMTVプロモーター。
【0096】
さらにもう1つの態様において、プロモーターは、ホルモンに曝露された場合にのみ転写を促進するホルモン応答性プロモーターである。ホルモン応答性プロモーターの例には、以下のものが非制限的に含まれる:プロバシン(テストステロンおよび他の雄性ホルモンに応答する);MMTVプロモーター(デキサメサゾン、エストロゲンおよび雄性ホルモンに応答する);ならびにホエイ酸性タンパク質プロモーターおよびカゼインプロモーター(エストロゲンに応答する)。
【0097】
酵母における酵母遺伝子の発現のためには、種々の目的に対して選択されるさまざまなプロモーターがある。以下のものを例として挙げるが、これらは決して制限的なものではない:
【0098】
Gal 1,10プロモーター:このプロモーターはガラクトースにより誘導しうる。これはあなたの遺伝子の発現を開始・停止させることを可能にし、それによってあなたが発現の時間依存的な影響を追跡することを可能にする点で多くの場合に有用である。Galプロモーターは幾分漏出性があるため、ガラクトースの非存在下でパッセンジャー遺伝子の発現を完全になくすことが必須ではない場合に適している。Gal 1遺伝子およびGal 10遺伝子は隣接しており、同じプロモーター領域から反対の向きに転写される。ガラクトース誘導性発現およびグルコース抑制を付与するために、UAS配列を含む調節領域をDdeI Sau3A断片上で切り出し、任意の他の遺伝子の上流に配置することができる。
【0099】
PGKプロモーター、GPDプロモーターおよびADH1プロモーター:これらは高発現性の構成性プロモーターである。PGK=ホスホグリセリン酸キナーゼ、GPD=グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ、ADH1=アルコールデヒドロゲナーゼである。
【0100】
ADH2プロモーター:この遺伝子はグルコース抑制性であり、非発酵性炭素源の下で強く転写される(ガラクトースによって誘導されない点を除き、GAL 1、10と類似している)。
【0101】
CUP1プロモーター:これはメタロチオネイン遺伝子プロモーターである。これは培地に添加した銅イオンまたは銀イオンによって活性化される。CUP1遺伝子は、酵母内に複数のコピーとして存在する少数の酵母遺伝子の一つである。菌株によっては、この遺伝子が最大8コピーのことがある。
【0102】
PHO5プロモーター:このプロモーターは酸ホスファターゼをコードする遺伝子に由来する。これは培地中にリン酸が少ないか存在しないことによって誘導される。ホスファターゼは周囲からある程度のリン酸を利用しうる可能性がある場合に分泌される。リン酸が存在する場合は、PHO5メッセージは認められない。リン酸が存在しないと、これは強く活性化される。
【0103】
タンパク質:遺伝子によって発現され、アミノ酸から構成される生体分子。
【0104】
精製された:精製されたという用語は、必ずしも絶対的に純粋であることを必要としない;実際には、これは相対的な用語として意図されている。このため、例えば、精製されたタンパク質(または核酸)調製物とは、タンパク質(または核酸)が、細胞(または他の生産容器)内のその天然環境にある分子よりも純粋なもののことである。1つの態様において、分子の調製物は、その分子が調製物の全含有量の少なくとも50%、例えば少なくとも70%を占めるように精製される。
【0105】
ランダムオリゴヌクレオチド:オリゴヌクレオチドの全長のうち少なくとも1つの位置にランダムな配列を有するオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第5,043,272号および第5,106,727号を参照。これらはインビトロ増幅反応を開始するために用いられるランダムオリゴヌクレオチドを例示している)。
【0106】
ランダムオリゴヌクレオチドの配列は厳密に数学的な意味ではランダムではない。例えば、化学合成されたランダムオリゴヌクレオチドは、合成手順の物理的および化学的効率が許容する程度にランダムであり、これは合成方法に基づくと考えられる。規定された配列を有するオリゴヌクレオチドは、それらの使用条件がテンプレートへのそれらの付加の位置を未確定とする場合には、ランダムとの定義を満たす。同じく、ランダムオリゴヌクレオチドがその全長のうち一部分にわたって「ランダム」であり、配列内部の1つの残基または配列の一部分をプライマーの合成前に同定および規定することができてもよい。
【0107】
ランダムオリゴヌクレオチドは、利用可能なオリゴヌクレオチド合成手順を用いて作製しうる;配列のランダム性は、(その残基位置でオリゴヌクレオチドとランダム配列との混合物を生成するための)1つまたは複数の補足的な段階で、反応混合物中に核酸残基の混合物を供給することによって導入しうる。このため、全長にわたってランダムなオリゴヌクレオチドは、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPのそれぞれを25%有する混合物から核酸残基を逐次的に取り込ませてオリゴヌクレオチドを形成させることによって作製しうる。別の比のdNTPを用いることもできる(例えば、いずれか1つのdNTPを他のものよりも多くするか少なくし、全体の量を100%に合わせる)。
【0108】
「ランダムオリゴヌクレオチド」という用語には、特に、配列の異なる個々のオリゴヌクレオチドの収集物が含まれ、例えばこれは一般式5'-XXXXX-3'によって示すことができ、ここでXは規定可能な比率の各dNTPの混合物からオリゴヌクレオチドに付加されたヌクレオチド残基を表す。例えば、混合物がdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPのそれぞれを25%ずつ含む場合には、示したオリゴヌクレオチドは、各位置にA、C、GまたはTを有する平均確率が概ね25%であるオリゴヌクレオチドの混合物を含むと考えられる。
【0109】
この用語には、一般式が5'-nnnXnn-31であるオリゴヌクレオチドの混合物も含まれ、ここでXは第1の式と同じく定義され、nは既知のヌクレオチド(例えば、A、C、GまたはT)を表す。
【0110】
組換え:組換え核酸とは、天然ではない配列を有するもの、または通常であれば隔たっている配列の2つのセグメントの人為的な組み合わせによって作製される配列を有するもののことである。この人為的な組み合わせはしばしば化学合成によって行われ、またはより一般的には、単離された核酸セグメントの人工的操作により、例えば、Sambrookら(「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor, New York, 1989)などに記載された遺伝子操作技術によって行われる。
【0111】
制限エンドヌクレアーゼ:特異的なヌクレオチド配列を認識し、そのような配列を含むDNAの両方の鎖を切断する酵素。
【0112】
配列同一性:2つもしくはそれ以上の核酸配列の間または2つもしくはそれ以上のアミノ酸配列の間の同一性は、配列間の同一性という形で表現される。配列同一性は、一致率(または類似率もしくは相同率)の形で計測しうる;この比率が高いほど、配列は互いに同一に近い。核酸配列またはアミノ酸配列のホモログまたはオルソログは、標準的な方法を用いてアライメントを行った場合に比較的高い度合いの配列同一性を有する。この相同性は、オルソログ性タンパク質またはcDNAがより近縁関係にある種に由来する場合(例えば、ヒトおよびサルの配列)に、より遠い関係にある種と比較した場合(例えば、ヒトおよび線虫(C. elegans)の配列)よりも顕著である。
【0113】
比較のための配列のアライメントの方法は当技術分野で周知である。さまざまなプログラムおよびアライメントアルゴリズムが、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482, 1981;Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443, 1970;Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444, 1988;Higgins & Sharp, Gene, 73: 237-44, 1988;Higgins & Sharp, CABIOS 5: 151-3, 1989;Corpetら、Nuc. Acids Res. 16: 10881-90, 1988;Huangら、Computer Appls. Biosc. 8, 155-65, 1992;およびPearsonら、Meth. Mol. Bio. 24:307-31, 1994. Altschulら、J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990に記載されており、配列アライメントの方法および相同性の計算に関する詳細な考察を提示している。
【0114】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら、J. Mol. Biol. 215: 403-10, 1990)は、米国国立生物情報センター(National Center for Biological Information)(NCBI, National Library of Medicine, Building 38A, Room 8N805, Bethesda, MD 20894)およびインターネットを含むいくつかの源から入手可能であり、配列解析プログラムであるblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxとともに用いられる。このほかの情報はNCBIのウェブサイトに記載がある。
【0115】
約30アミノ酸を上回るアミノ酸配列の比較のためには、Blast 2配列関数を使用し、デフォルトのパラメーター(ギャップ存在コスト11、1残基残基当たりのギャップコスト1)に設定されたデフォルトのBLOSUM62マトリックスを用いる。短いペプチド(30アミノ酸前後よりも短い)のアライメントを行う場合には、デフォルトのパラメーター(オープンギャップ9、伸長ギャップ1ペナルティー)に設定されたPAM30マトリックスを使用するBlast 2配列の関数を用いてアライメントを行う必要がある。参照配列との同一性がさらに高いタンパク質は、ギャップトblastpをnr、patまたはswissprotデータベースなどのデータベースとともに用いて、この方法によって評価した場合に、高い一致率、例えば少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の配列同一性を示すと考えられる。blastpプログラムを用いて検索したクエリーにはDUSTによるフィルター処理を行う(HancockおよびArmstrong、Comput. Appl. Biosci. 10: 67-70, 1994)。他のプログラムはSEGを用いる。
【0116】
配列全体よりも小さな部分を配列同一性に関して比較する場合、ホモログは一般に、10〜20アミノ酸の短い区域にわたって少なくとも75%の配列同一性を有し、参照配列との同一性によっては、少なくとも85%、90%、95%または98%またはそれ以上の配列同一性を有する。配列同一性をこのような短い区域にわたって決定するための方法は、NCBIのウェブサイトに記載されている。
【0117】
当業者は、これらの配列同一性の範囲が、手引きのみを目的として提示されていることを理解すると考えられる;提示した範囲に収まらない明らかなホモログを入手することも全く可能である。
【0118】
部位特異的エンドヌクレアーゼ:核酸分子の内部の特異的な部位にDSBを生成する酵素。一例として、酵母HOは、酵母における交配型転換のために必要なエンドヌクレアーゼである。HOエンドヌクレアーゼはDNA配列を、細胞の交配型(aまたはα)を決定する交配型座位MATの箇所で切断する。DSBは、HMLおよびHMRと呼ばれる2つのドナー配列を用いて遺伝子変換事象を引き起こし、HMLまたはHMRからMATへの交配型情報の一方向的な移動をもたらす。HO遺伝子は、24bpのコンセンサス配列を認識してその配列の内部に4bpの付着末端切断を生じさせるエンドヌクレアーゼをコードする。
【0119】
形質導入された、およびトランスフェクトされた:ウイルスまたはベクターは、それが核酸を細胞内に移行させた場合に細胞の形質導入またはトランスフェクションを行う。細胞は、核酸の細胞ゲノムへの取り込みまたはエピソーム性複製のいずれかにより、そのDNAが細胞によって安定的に複製される場合、細胞内に形質導入された核酸によって「トランスフェクトされた」という。
【0120】
形質転換された:形質転換された細胞とは、分子生物学の技法によって核酸分子が内部に導入された細胞のことである。本明細書で用いる場合、形質転換という用語には、ウイルスベクターを用いたトランスフェクション、プラスミドベクターを用いた形質転換、ならびに電気穿孔、リポフェクションおよび微粒子銃法による裸のDNAの導入を含む、核酸分子をこのような細胞内に導入しうるすべての技法が含まれる。
【0121】
ベクター:宿主細胞に導入され、それによって形質転換宿主細胞を生じさせる核酸分子。ベクターは、自らの宿主細胞内での複製を可能にする複製起点などの核酸配列を含みうる。ベクターはまた、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子および当技術分野で知られた他の遺伝因子も含みうる。
【0122】
別に説明する場合を除き、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。単数形の「1つの(a)」「1つの(an)」および「その(the)」は、その文脈で別の指示が明らかになされない限り、複数のものに関する言及も含む。さらに、核酸およびポリペプチドに関して提示したすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズおよびすべての分子量または分子質量の値は概略値であり、説明のために提示したものである。本発明の実施または検討のために本明細書に記載したものと同様または同等の方法および材料を用いることができるが、適した方法および材料は以下に説明するものである。本明細書で言及するすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。抵触が生じた場合には、定義を含め、本明細書が支配的であるものとする。さらに、材料、方法および例は例示的なものに過ぎず、限定を意図したものではない。
【0123】
III.いくつかの態様の概要
第1の態様は、第1および第2の鎖を含む二本鎖核酸配列である、細胞内の標的二本鎖核酸配列に変異を導入するための方法であり、本方法は、二本鎖核酸カセットを挿入点で標的核酸配列中に導入する段階(ここでカセットはRE-カセットであり、挿入点の第1の側にある核酸配列に対して相同な第1の部分;挿入点の第2の側にある第2の核酸配列に対して相同な第2の部分;および第1の部分と第2の部分との間に位置するレポーターをコードする核酸配列、を含む);挿入点の第1の側にある位置で標的核酸配列の一方の鎖(選択した鎖)に対して相同な核酸配列;および挿入点の第2の側にある位置で標的核酸配列の同じ鎖に対して相同な核酸配列を含み、標的核酸配列の選択した鎖とは異なる少なくとも1つのヌクレオチドを含む、第1のオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する段階;ならびに、レポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失に関して選択する段階(この際、レポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失により、標的核酸配列とは異なる少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列の組込みが示される)を含む。
【0124】
第2の態様は、細胞内の標的二本鎖核酸配列に変異を導入するための方法であって、二本鎖核酸カセットが、第1の部分と第2の部分との間に位置する対抗選択マーカーをコードする核酸配列をさらに含み、そのカセットがCORE-カセットと呼ばれ、対抗選択マーカーをコードする核酸およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失に関して選択する段階をさらに含み、対抗選択マーカーをコードする核酸配列およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失によって、標的核酸配列とは異なる少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列の組込みが示される方法である。選択的には、ある種の態様における二本鎖核酸カセットは、二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーターをさらに含み、そのカセットはCORE-DSB-カセットと呼ばれる。
【0125】
さらにもう1つの態様は、細胞内の標的二本鎖核酸配列に変異を導入するための方法であって、二本鎖核酸カセットが、二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーターをさらに含み、そのカセットはRE-DSB-カセットと呼ばれる。
【0126】
カセット内に二本鎖切断部位および二本鎖切断酵素をコードする核酸配列を含む特定の態様において、本方法は、二本鎖切断酵素の発現を誘導し、それによってカセットの内部に、組換えを誘発する二本鎖切断を誘発する段階をさらに含む。
【0127】
提供する方法の特定の例において、オリゴヌクレオチド配列は、標的核酸配列とは異なる複数のヌクレオチドを含む。ある種の例において、第1のオリゴヌクレオチドを用いた細胞の形質転換は、対抗選択マーカーをコードする核酸およびレポーター遺伝子をコードする核酸の両方の消失に関する選択の前に行われる。
【0128】
第1のオリゴヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補的な第2のオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する段階(例えば、第2のオリゴヌクレオチドを用いた細胞の形質転換と同時に)をさらに含む方法も提供する。特定の例において、第2のオリゴヌクレオチドは、挿入点の第1の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列を含む。別の例において、第2のオリゴヌクレオチドは、挿入点の第2の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列を含む。さらに別の例において、第2のオリゴヌクレオチドは、挿入点の第1の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列;挿入点の第2の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列、を含む。
【0129】
種々の態様において、第1および/または第2のオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列と比較して少なくとも1つ、選択的には複数のランダムなヌクレオチド変化を含む。ある種の態様において、第2のオリゴヌクレオチドは第1のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である。他の態様において、2つのオリゴヌクレオチドの3'末端は相補的であるが、第1のオリゴヌクレオチドには挿入点の第2の側との相同性がなく、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない。さらに他の態様において、2つのオリゴヌクレオチドの3'末端は相補的であるが、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第2の側との相同性がなく、第1のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない、さらにもう1つの態様において、2つのオリゴヌクレオチドの5'末端は相補的であるが、第1のオリゴヌクレオチドは挿入点の第2の側との相同性がなく、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない。または、ある種の態様において、2つのオリゴヌクレオチドの5'末端は相補的であるが、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第2の側との相同性がなく、第1のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない。
【0130】
CORE-カセットまたはCORE-DSB-カセットを用いる方法であって、対抗選択マーカーがKlURA3、URA3、TRP5、TRP1、または毒素をコードする遺伝子である方法も提供する。このような方法の特定の例において、対抗選択マーカーは毒素をコードする遺伝子であり、毒素は誘導性制限酵素または誘導性p53遺伝子である。選択的には、誘導性p53遺伝子は毒性型である。
【0131】
いくつかの態様において、レポーターは、細胞に対して抗生物質耐性を付与するポリペプチドをコードする。特定の例において、抗生物質はG418、ハイグロマイシン、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ゼオシン、ナーセオスリシン(nourseothricin)、シクロヘキシミドまたはカナバニンである。
【0132】
レポーターがアミノ酸合成経路またはヌクレオチド合成経路由来のポリペプチドをコードする方法も本明細書に記載される。特定の例において、ポリペプチドはLEU2、TRP5、TRP1、LYS2、HIS3またはADE2である。
【0133】
種々の方法におけるオリゴヌクレオチドは任意の長さであってよく、例えば少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長または少なくとも80ヌクレオチド長である。
【0134】
第1および第2のオリゴヌクレオチドがそれぞれ少なくとも30ヌクレオチド長である方法も本明細書に記載される。また別の方法において、第1および第2のオリゴヌクレオチドはそれぞれ少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長または少なくとも80ヌクレオチド長である。
【0135】
ある種の態様において、第1および第2のオリゴヌクレオチドの長さは異なる。
【0136】
ある種の態様において、オリゴヌクレオチドの3'末端にある重複領域は少なくとも10塩基対である;また別の態様において、3'末端にある重複領域は少なくとも15塩基対である。このような方法の特定の例においては、第1および第2のオリゴヌクレオチドの3'末端をインビトロ重合によって伸長しうる。
【0137】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが複数のヌクレオチドの点で標的核酸配列とは異なる方法も提供する。別の例においては、両方のオリゴヌクレオチドが、少なくとも単一のヌクレオチドの点で標的核酸配列とは異なる。特定の例において、少なくとも1つのヌクレオチドの違いは第1および第2のオリゴヌクレオチドの重複領域の内側にあり、別の例において、少なくとも1つのヌクレオチドの違いは第1および第2のオリゴヌクレオチドの重複領域の外側にある。いくつかの例において、違いは重複領域の内側および外側の両方に存在する。
【0138】
もう1つの態様は、第1および第2の鎖を含む標的二本鎖核酸配列(例えば、長さが約1〜約16,000bp)を細胞内から欠失させる方法であり、本方法は、二本鎖核酸カセットを挿入点で標的核酸配列中に導入する段階(ここでカセットはRE-カセットであり、RE-カセットの第1の部分と第2の部分との間に位置するレポーターをコードする核酸配列を含む);関心対象の核酸の5'側の核酸の第1の鎖に対して相同な核酸配列;および関心対象の核酸配列の3'側の核酸の第1の鎖に対して相同な配列を含む第1のオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する段階;ならびに、レポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失に関して選択する段階(この際、標的二本鎖核酸からのレポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失によって標的二本鎖核酸の欠失が示される)を含む。
【0139】
提供するさらにもう1つの態様は、標的二本鎖核酸配列を細胞内から欠失させる方法であって、二本鎖核酸カセットが、第1の部分と第2の部分との間に位置する対抗選択マーカーをコードする核酸配列をさらに含み、そのカセットがCORE-カセットと呼ばれ、対抗選択マーカーをコードする核酸配列およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失に関して選択する段階をさらに含み、対抗選択マーカーをコードする核酸配列およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失によって、標的二本鎖核酸配列の欠失が示される方法である。
【0140】
もう1つの態様は、標的二本鎖核酸配列を細胞内から欠失させる方法であって、二本鎖核酸カセットが、二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーターをさらに含み、そのカセットがRE-DSB-カセットと呼ばれる方法である。
【0141】
標的二本鎖核酸配列を細胞内から欠失させる、提供されるもう1つの方法において、二本鎖核酸カセットは、二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーターをさらに含み、そのカセットはCORE-DSB-カセットと呼ばれる。
【0142】
カセット内に二本鎖切断部位および二本鎖切断酵素をコードする核酸配列を含む特定の態様において、本方法は、二本鎖切断酵素の発現を誘導し、それによってカセットの内部に、組換えを誘発する二本鎖切断を誘発する段階をさらに含む。
【0143】
標的二本鎖核酸配列を欠失させる、提供される方法の特定の例において、カセットの第1の部分は挿入点の第1の側にある核酸配列に対して相同であり、カセットの第2の部分は挿入点の第2の側にある第2の核酸配列に対して相同である。
【0144】
このような方法のさらに別の特定の例は、標的二本鎖核酸配列の5'側の核酸の第2の鎖に対して相同な核酸配列を含む第2のオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する段階をさらに含み、第1のオリゴヌクレオチドの配列は、第2のオリゴヌクレオチドの配列の3'末端の少なくとも10ヌクレオチドに対して相同である。さらに別の特定の例において、第1のオリゴヌクレオチドの配列は、第2のオリゴヌクレオチドの配列の3'末端の少なくとも15ヌクレオチドに対して相同である。
【0145】
さらに別の例において、第2のオリゴヌクレオチドは、関心対象の核酸配列の3'側の核酸の第2の鎖に対して相同な配列をさらに含む。
【0146】
特定の例において、第2のオリゴヌクレオチドは第1のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である。
【0147】
対抗選択マーカーを伴うまたは必要とする態様の特定の例に関して、対抗選択マーカーはKlURA3、URA3、TRP5、TRP1、または毒素をコードする遺伝子である。特定の例において、対抗選択マーカーは毒素をコードする遺伝子であり、毒素は誘導性制限酵素または誘導性p53遺伝子である。一例として、誘導性p53遺伝子はいくつかの場合には毒性型である。
【0148】
標的二本鎖核酸の欠失方法のさらに別の態様において、レポーターは細胞に対して抗生物質耐性を付与するポリペプチドをコードし、例えばこの際、抗生物質はG418、ハイグロマイシン、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ゼオシン、ナーセオスリシン、シクロヘキシミドまたはカナバニンである。または、他の態様において、レポーターはアミノ酸合成経路またはヌクレオチド合成経路由来のポリペプチドをコードする。例えば、特定の例において、ポリペプチドはLEU2、TRP5、TRP1、LYS2、H153またはADE2である。
【0149】
標的二本鎖核酸を欠失させるための方法の特定の例において、オリゴヌクレオチドは少なくとも30ヌクレオチド長、例えば少なくとも40、少なくとも50または少なくとも80ヌクレオチド長である。別の特定の例において、第1および第2のオリゴヌクレオチドはそれぞれ少なくとも20ヌクレオチド長、例えば少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50または少なくとも80ヌクレオチド長である。
【0150】
さらなる態様において、第1および第2のオリゴヌクレオチドの長さは異なる。これらの方法のさらに他の態様において、第1および第2のオリゴヌクレオチドは少なくとも20ヌクレオチド長であり、3'末端の重複領域は少なくとも10塩基対である、または第1および第2のオリゴヌクレオチドは少なくとも40ヌクレオチド長であり、3'末端の重複領域は少なくとも15塩基対である。
【0151】
特定の例の方法においては、第1および第2のオリゴヌクレオチドの3'末端をインビトロ重合によって伸長しうる。
【0152】
提供する方法の例において、細胞は、相同組換えを行いうる生物の細胞である。一例として、細胞は真菌細胞(例えば、酵母細胞)、細菌細胞、植物細胞または動物細胞(例えば、ニワトリ細胞)である。選択的には、このような細胞はヒト染色体またはその断片を含みうる。
さらなる態様においては、核酸配列中の変異を、変異が核酸の機能または発現パターンに影響を及ぼすか否かを判定するために評価するための方法であって、本明細書に記載のdelitto perfetto変異誘発法を含む方法も提供される。もう1つの方法は、核酸配列中の一連の変異を分析するための方法であって、核酸配列中の変異を、変異が核酸の機能または発現パターンに影響を及ぼすか否かを判定するために評価するための方法を複数回行う段階(この際、少なくとも2つの異なる変異が核酸配列に導入される);および 核酸の機能または発現パターンを分析し、それによって核酸配列中の一連の変異を分析する段階、を含む方法である。
【0153】
これらの方法の例において、核酸配列は哺乳動物の配列である。別の例において、核酸配列はポリペプチドをコードする。さらに別の例において、本方法はポリペプチドの機能を評価する段階をさらに含む。
【0154】
選択的には、記載した方法は一倍体酵母の細胞または二倍体酵母の細胞において行われる。
【0155】
もう1つの態様は、記載した方法を診断ツールとして用いることであって、この際、変異を遺伝子内部の任意の場所に導入して生物学的結果を評価しうるように、それぞれが遺伝子内部の異なる位置にカセットを有する一連の菌株または細胞系を作製する。
【0156】
さらにもう1つの態様は、p53における欠陥の分析方法であって、p53変異型タンパク質における欠陥の影響を評価しうる様式でp53変異型タンパク質を酵母内で発現させる方法である。選択的には、このような方法は、p53変異型タンパク質における欠陥を評価する段階をさらに含む。
【0157】
さらに別の態様は、delitto perfetto変異誘発に用いるためのCORE-カセット構築物、RE-DSB-カセット構築物およびCORE-DSB-カセット構築物である。
【0158】
他の態様において、delitto perfetto変異誘発に用いるための組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)も提供する。
【0159】
さらに別の態様は、ある量のCORE-カセット構築物、RE-DSB-カセット構築物またはCORE-DSBカセット構築物およびある量の組込み型組換えオリゴヌクレオチドを含む、核酸配列のインビボ変異誘発または欠失を行うためのキットである。
【0160】
IV.delitto perfetto変異誘発
本開示は、オリゴヌクレオチドを用いる形質転換に基づく変異誘発システムであり、DNA中に部位特異的またはランダムな変異の迅速な生成をもたらすシステムを提供する。ある種の態様において、変異誘発は出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)において行われる。
【0161】
このクローニングを用いない二段階式の方法により、単一または複数の塩基変化、挿入または小規模もしくは大規模な欠失といった所望の変異のみを有する変異産物がインビボで作製される。delitto perfetto変異誘発は極めて汎用性が高い。これは200bpまでの指定された区域の内部での、いくつかの態様においてはさらに長い、例えば220、250、270、290、300、350、400ヌクレオチドまたはそれより長いヌクレオチド長の区域の内部での、複数回の特異的またはランダムな変化を可能にする。
【0162】
delitto perfettoプロセスは、少なくとも部分的にRAD52経路に依存しており、天然の制限部位の分布によっては制約されず、最小限のDNAシークエンシングを必要とする。酵母は高等真核生物由来のゲノムDNAのランダムおよび選択的なクローニングに一般的に用いられるため(YACなど)、この戦略により、哺乳動物DNA配列の内部に正確な変化を作り出すための効率的な手法も提供される。
【0163】
この変異誘発システムは本明細書において一般にdelitto perfetto(イタリア語で完全犯罪殺人を意味するが、完全な除去を指す成句として用いられる)と呼ばれるが、これは所望の変異の導入に伴い、標的座位に以前に組み込まれたマーカーカセット(CORE-カセット)の完全な除去が起こるためである。
【0164】
図1に示した通り、第1の段階は、1つまたは複数の変化を望む部位の近傍への、対抗選択マーカー(例えば、KlURA3)およびレポーター遺伝子(例えば、kanMX4)を含むCORE-カセットの導入である。CORE-カセットの挿入を、酵母における非常に能力の高い相同組換えシステム(Fincham, Microbiol. Rev. 53, 148-70, 1989[Microbiol. Rev. 55(2): 334, 1991に訂正が発表];LewisおよびResnick、Mutat. Res. 451: 71-89, 2000;Sungら、Mutat. Res. 451: 257-275, 2000)を用いて行うことが、delitto perfetto変異誘発アプローチの鍵である。
【0165】
1つまたは2つの組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)を用いたCORE-カセットを含む細胞の形質転換により、CORE-カセットの切出しが生じる。対抗選択マーカー、例えばKlURA3マーカーの消失に関する対抗選択に続いて、レポーター(例えば、kanMX4マーカー)が同時に消失したことを調べることにより、所望の変化が選別され、偽陽性が最小限に抑えられる。生じる変異のタイプは、CORE-カセットの切出しに用いたIROによって指定される。具体的な態様は以下により詳細に説明されており、ある種の態様は実施例の項に例示されている。
【0166】
delitto perfetto変異誘発を用いた種々の標的指向性核酸変化に別の変異が付随する可能性はあるが、それらは必ずIRO領域(IROとの相同性を有する標的核酸の領域)に限局される。
【0167】
部位特異的な点変異誘発
delitto perfetto変異誘発を用いて部位特異的な点変異を作製するためには、細胞の形質転換に用いるIROの一方または両方が所望の変異を含む。1つの態様は、図1に右側のオリゴヌクレオチドの対として例示されている。単一塩基の変異は星印によって示されている;例示された態様において、変異はオリゴヌクレオチドの両方に認められる(すなわち、オリゴヌクレオチド間の重複領域または相補性領域の内部に)。
【0168】
他の態様において、点変異はオリゴヌクレオチド対の突出領域の1つにある。これは例えば、図5Cに例示された態様に示されており、ここでは単一ヌクレオチドの変化を、標的核酸中の、オリゴヌクレオチド対の重複部分の40ヌクレオチド外側に組み入れている。
【0169】
変異がIROの末端に近づくにつれて、形質転換組換え事象が変異の「内側」で生じて、それにより、所望の点変異が組み入れられずにCORE-カセットを消失した細胞が生じる確率が高くなる。ある種の態様において、点変異は、IROの末端から約20ヌクレオチドよりも近接しては存在せず、例えば約40ヌクレオチドよりも近接しては存在しない。この位置により、点変異が排除されずに相同組換えが起こりうるのに十分な核酸配列が可能になると考えられる。
【0170】
また、標的と比較して複数の核酸変化を含むIROを用いることにより、複数の点変異を標的核酸配列に同時に組み入れることも可能である。ある種の態様において、これらの複数の変異はすべて、IROの末端から約20ヌクレオチドよりも近接しては存在せず、例えば約40ヌクレオチドよりも近接しては存在しない。
【0171】
ランダム変異誘発
図5Bに模式的に示したように、delitto perfettoアプローチを、ゲノム中への直接的なランダム変異誘発に用いることもできる。縮重(すなわち、ランダム)配列を有するオリゴヌクレオチドは、例えばInvitrogen社またはオリゴヌクレオチドの他の供給元から販売されている。ランダム変異誘発のための重複していないIROの領域は、1つまたは複数のあいまいな塩基(例:N=A+C+T+G、R=A+G、など)を有する配列を含むランダムオリゴヌクレオチドを単に作製することのみにより(例えば、供給元への発注により)、設計可能である。このアプローチは、規定されたDNA領域内に複数または多数の異なる変異体を同時に作製するために用いることができる。
【0172】
一例として、ランダム変異誘発法は、例えば構造-機能解析に適用でき、特に、特定のタンパク質モチーフなどの配列内部の重要な領域(これらは通常短い)、または規定されたループ(これらは一般に10〜20残基長である)に対して複数の変異をターゲティングするために適用できる。
【0173】
欠失変異誘発
delitto perfetto変異誘発システムを、核酸分子の内部から配列を欠失させるために用いることもできる。このような欠失は短くてもよく(すなわち、少数のヌクレオチドから数ヌクレオチド、例えばコード配列または調節配列のの一部分など)またはより長くてもよい(すなわち、遺伝子全体または1本の染色体の全領域)。比較的長い核酸配列の欠失は図1の左側のオリゴヌクレオチド対に模式的に示されている。例示された態様において、IROは、挿入されるCORE-カセットの上流および下流の両方に核酸配列(遺伝子配列およびプライマー上に斜線入りおよび幅広いスラッシュ入りの枠として示されている)を含むように設計されている。IROが相同組換えおよびCORE-カセットの消失を媒介すると、組換え事象がCORE-カセットの十分に外側で起こり、このため、斜線入り領域の内部から幅広いスラッシュ入りの領域までの核酸の全領域が消失する。
【0174】
他の態様においては、IROの一方(またはその両方)が短い欠失変異、例えば1〜15核酸のものを有すると考えられる。これにより、上記の部位指定変異誘発の態様に関して見てきたものと本質的に類似した機構を用いた短い欠失の導入が可能になる。
【0175】
必須遺伝子の欠失変異誘発
同様に、delitto perfetto変異誘発を、変異誘発が行われる細胞にとって必須な遺伝子の欠失を作製するために用いることもできる。この態様においては、必須遺伝子のコピーを、例えばプラスミド上にある形で、細胞に形質転換導入する。遺伝子のこのプラスミド性コピーは機能を提供し(いくつかの例においては、誘導性または抑制性の制御下にある)、一方、遺伝子の他方(例えば、ゲノム)コピーはdelitto perfetto変異誘発を用いて随意に変異させうると考えられる。必須遺伝子の変異誘発の一例を以下に提示する。
【0176】
必須遺伝子の一般的な変異誘発
delitto perfetto変異誘発を用いて必須遺伝子に変異を作製することもでき、これは例えば、COREカセットを標的必須遺伝子の終止コドンの下流に挿入し、オリゴヌクレオチドまたはより大きいPCR産物を用いて非致死的変異を作製することによる。
【0177】
YAC上にコードされた遺伝子に対するdelitto perfetto変異誘発
ヒトを含むさまざまな高等真核生物のゲノムのシークエンシングにより、多数の遺伝子の機能的評価に対する必要性が生じた。しかし、大きく複雑なDNA分子の特徴づけを行う実施可能性は、適切な特異的変異を作製する困難さのために制約されている。大きなDNA分子の改変を目的とする現行のシステムの短所は、それらがすべて、変異誘発を行おうとする領域の手間のかかるサブクローニングに依存するインビトロ変異誘発を必要としている点にある。例えば、Bartonら、Nucleic Acids Res. 18, 7349-7355, 1990;McCormickら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 10147-10151, 1995;Petersonら、Trends Genet. 13: 61-66, 1997;Borenら、Genome Res. 6: 1123-1130, 1996;Callowら、Nucleic Acids Res. 22: 4348-4349, 1994;TuckerおよびBurke、Nucleic Acids Res. 24: 3467-3468, 1996;およびNefedovら、Nucleic Acids Res. 28:E79、2000を参照されたい。
【0178】
開示する変異誘発法は、YAC上にクローニングされた哺乳動物DNAまたは任意の核酸配列(例えば、ゲノム配列)の機能的分析の可能性を拡張するものである。酵母は高等真核生物の特定の染色体領域および遺伝子の単離および増殖のために理想的であることが実証されている。例えば、TAR(形質転換に伴う組換え)クローニング(Larionovら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 491-496, 1996)は、BRCA1、BRCA2およびHPRTなどの機能的ヒト遺伝子の単離に用いうる(Larionovら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94、7384-7387、1997;Kouprinaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 4469-4474, 1998)。delitto perfetto方法は、TARクローニングがなされた遺伝子を改変するための好都合なツールを提供する。
【0179】
タンパク質ドメインの特徴づけのためのdelitto perfetto
delitto perfetto変異誘発アプローチは、タンパク質の特定のモチーフまたはドメインの特徴づけのために用いうる。これは、ヒト疾患と関連のある遺伝子の研究の点から特に興味深いと思われる。出芽酵母(S. cerevisiae)は、発現された異種遺伝子の機能の試験および分析のために最もよく用いられるモデル系の一つである。酵母では、タンパク質の機能の特徴づけを行うため、および規定されたタンパク質改変の影響を分析するためのいくつかのアッセイ法が確立されており、これには、p53変異体に関するADE2-呈色アッセイ法(Flamanら、Proc. Natl. Acad. Sci. 92: 3963-3967, 1995)、p53変異体に関する増殖アッセイ法(Ingaら、Oncogene 20: 501-513, 2001)、ヒトFEN-1変異体に関する増殖アッセイ法(Greeneら、Hum. Mol. Genet. 8: 2263-2273, 1999);EWS癌遺伝子によるトランス活性化に関するhsRPB4/7依存性酵母アッセイ法(ZhouおよびLee、Oncogene 20: 1519-1524, 2001);ポリ(adp-リボース)ポリメラーゼ/parp1およびparp2の新規阻害薬の同定のための酵母における細胞系スクリーニング(Perkinsら、Cancer Res. 61: 4175-4183, 2001);乳癌および卵巣癌の家系で同定されたヒトBRCA1 C末端ミスセンス変異の機能的分析のための酵母を用いた転写アッセイ法(Vallon-Christerssonら、Hum. Mol. Genet. 10: 353-360, 2001)が含まれる。
【0180】
delitto perfetto変異誘発のための酵母のバックグラウンドの適合化
変異を内部に保有しているもの、または組換え系を破壊するものといった特定の変異型酵母株は、変異誘発システムにおける遺伝子のターゲティングを強化するために用いうる。その具体的な例には、酵母におけるhpr1、hpr5およびrsc1変異体が含まれる;例えば、AguileraおよびKlein、Genetics 119: 779-790, 1988;AguileraおよびKlein、Mol. Cell. Biol. 10: 1439-1459, 1990;Schneiterら、Mol. Cell. Biol. 19: 3415-3422, 1999;GallardoおよびAguilera、Genetics 157: 79-89, 2001;Cairnsら、Mol. Cell 4: 715-723, 1999;ならびにGoodwinおよびNicolas、Gene 268: 1-7, 2001を参照されたい。特に、これらの変異体はCORE-カセットのターゲティングを強化するとともに自然発生的な組換えの増加ももたらすと考えられる。ヌクレアーゼに影響する遺伝子の変異(例えば、exo1またはmre11ヌクレアーゼ;Tiskoffら、Proc. Natl. Acad Sci. USA 94: 7487-7492, 1997;Tranら、Mol. Cell. Biol. 19: 2000-2007, 1999;Bressanら、Mol. Cell. Biol. 19: 7681-7687, 1999;およびSymingtonら、Nuc. Acids Res. 28: 4649-4659, 2000)を伴うこれらの変異体(特定のmre11 D16A変異体を含む)も、IROターゲティングの効率を高めると予想される。例えば、IROはヌクレアーゼ変異体においてより安定であると予想される。
【0181】
以上に挙げた例は酵母系におけるものであるが、delitto perfetto変異誘発のために有益な類似した変異の例は他の生物にも認められ、これには例えば、大腸菌のrecBC遺伝子における変異体がある。
【0182】
二倍体酵母における変異誘発
delitto perfettoシステムは、一倍体株に加えて二倍体酵母株にも適用可能である。例えば、一倍体株における挿入に関する説明と本質的には同じように、CORE-カセットを二倍体株における相同体の対の一方に挿入する。1つまたは一対のIROを用いたその株の形質転換により、CORE-カセットが消失するとともに、ゲノム内部に対応する置換がもたらされる。IROによる形質転換前の細胞分裂時の組換えのために、ホモ接合性CORE-カセット除去の背景値はかなり高いと考えられる。しかし、ターゲティング効率は、delitto perfetto法が二倍体においても有意義となる程度に十分に高い(一倍体に匹敵する)。さらに、上記のターゲティング変異体、特にヌクレアーゼ変異体の使用により、delitto perfetto事象の相対頻度は、CORE-カセットを含まない細胞の背景値と比較して高くなると予想される。
【0183】
他の種におけるdelitto perfetto法
例示的な態様のいくつかは酵母(S. cerevisiae)系において開示されているが、delitto perfetto変異誘発法は、機能的な組換えシステムを有するすべての生物体において(たとえ組換えシステムが酵母ほど能力が高くなくとも)機能すると考えられる。機能的な相同組換えシステムを有するその他の細胞または細胞種には、枯草菌および大腸菌(能力の高いRecE RecT組換えがある;Muyrersら、EMBO rep. 1: 239-243, 2000)などの細菌;原生動物(例えば、プラスモジウム、トキソプラズマ);他の酵母(例えば、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe));糸状菌(例えば、Ashbya gossypii);植物、例えばコケ(Physcomitrella patens)(SchaeferおよびZryd、Plant J. 11: 1195-1206, 1997);ならびに哺乳動物細胞およびニワトリDT40細胞などの動物細胞(Diekenら、Nat. Genet. 12: 174-182, 1996)。DT40細胞に対する適用は特に有用であり、これは特定のヒト染色体を有する細胞系を入手しうるためである(Koiら、Cytogenet.Cell Genet. 76: 72-76, 1997)。いくつかの細胞系は高い組換え率を示すため、哺乳動物細胞を用いることも可能である(例えば、Bunzら、Science 282: 1497-1501, 1998)。
【0184】
酵母に用いられるプラスミドは、大腸菌に容易に移行させうる。または、この系は、それぞれの場合でヒト染色体またはその部分を含むように操作しうる、大腸菌およびニワトリ細胞などの組換えを行いうる種々の他の生物にも適用されると考えられる。
【0185】
オリゴヌクレオチドの作製
インビトロでのオリゴヌクレオチドの合成のための方法は当業者に周知である;このような従来の方法を用いて、開示する方法のためのIROを作製することができる。インビトロでのオリゴヌクレオチド合成のための最も一般的な方法はホスホルアミダイト法であり、これはLetsingerによって考案され、さらにCaruthersによって開発された(Caruthersら、「デオキシヌクレオチドの化学合成(Chemical synthesis of deoxyoligonucleotide)」、Methods Enzymol. 154: 287-313, 1987)。これは、成長中のオリゴヌクレオチドに単一のヌクレオチド(または修飾ヌクレオチド)を付加する段階的な方式で行われる非水系固相反応である。個々のヌクレオチドは反応性3'-ホスホルアミダイト誘導体の形態で付加される。Gait(編)、「オリゴヌクレオチド合成. 実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis. A practical approach)」、IRL Press, 1984も参照されたい。
【0186】
一般に、合成反応は以下の通りに進行する:まず、成長中のオリゴヌクレオチド鎖の5'末端にあるジメトキシトリチルまたは同等の保護基を酸処理によって除去する(成長中の鎖はその3'末端によってシリコンビーズなどの固体支持体に係留されている)。オリゴヌクレオチド鎖の新たに開放された5'末端を、鎖に付加しようとする次のデオキシヌクレオシドの3'-ホスホルアミダイト誘導体と、カップリング剤テトラゾールを用いて結合させる。カップリング反応は通常、約99%の効率で進行する;残った未反応の5'末端は、以後のカップリングによる伸長を阻止するためにアセチル化によってキャッピングされる。最後に、カップリング段階によって生じた亜リン酸トリエステル基を酸化してホスホトリエステルとし、1ヌクレオチド残基分延長された鎖を得る。この工程を反復し、1サイクル当たり1残基を付加する。例えば、米国特許第4,415,732号、第4,458,066号、第4,500,707号、第4,973,679号および第5,132,418号を参照されたい。この方法または類似の方法を用いるオリゴヌクレオチド合成装置が販売されている(例えば、Gene Machines社、San Carlos, CAによるPolyPlexオリゴヌクレオチド合成装置)。さらに、多くの企業がこのような合成を手がけている(例えば、Sigma-Genosys社、TX;Operon Technologies社、CA;Integrated DNA Technologies社、IA;およびTriLink BioTechnologies社、CA)。
【0187】
修飾ヌクレオチドを、非修飾ヌクレオチドに関する上記の説明と本質的に同じように、オリゴヌクレオチドに組み入れることもできる。
【0188】
ランダムプライマーは公知の化学合成手順を用いて作製しうる;配列のランダム性は、(ランダムな配列を有するオリゴヌクレオチドの混合物を生成するための)1つまたは複数の補足的な段階で、反応混合物中に核酸残基の混合物を供給することによって導入しうる。例えば、米国特許第5,043,272号および第5,106,727号を参照のこと。ランダムプライマー調製物(これはそれぞれ配列が明確な異なるオリゴヌクレオチドの混合物である)は、例えば、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP(またはaa-dUTPなどの修飾dNTP)のそれぞれを25%有する混合物から核酸残基を逐次的に取り込ませることによって作製しうる。別の比のdNTPを用いることもできる(例えば、いずれか1つのdNTPを他のものよりも多くするか少なくし、全体の量を100%に合わせる)。同様に、ランダムプライマーの合成に際して、合成装置を、1つまたは複数の既知の残基(1つまたは複数の特定のヌクレオチド残基または修飾ヌクレオチド残基)を、プライマー内部の規定された位置に導入するようにプログラム化することもできる。例えば、規定された配列がプライマーの中央部にあって(図5B参照)、これを単独または第2のプライマー(5'および3'末端へのランダム配列を有する)との対で用いること、またはこれらの組み合わせが可能である。
【0189】
今日では、オリゴヌクレオチドは最長約125ヌクレオチドまでのものを便利に購入しうる;この長さを上回ると効率および精度が低くなる。インビトロ合成に適用しうるオリゴヌクレオチドの入手可能なサイズが大きくなれば、変異改変に利用しうる区域のサイズの点でdelitto perfetto変異誘発の適用可能性も広がると考えられる。
【0190】
delitto perfetto変異誘発法の用途
delitto perfetto変異誘発のさらなる用途には、酵母を含むさまざまな生物のゲノムにおける標的指向性変化;大きなヒト遺伝子、例えば酵母内にYACとしてクローニングされたものの改変、これは変異誘発の後に容易に他の種(例えば、大腸菌またはヒト細胞)に移行させることができる;および、長い合成オリゴヌクレオチドが入手しやすくなることに伴う部位指定変異誘発の区域の拡大、が含まれる。
【0191】
V.delitto perfetto-DSB変異誘発
上記の態様は、例えば相同組換えおよびオリゴヌクレオチドによる、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)ゲノムの標的指向性改変のための方法を提供する。ターゲティング材料の痕跡を残さずに特定の変化を直接ゲノム中に人為的に導入することは、一般に手間のかかる多段階の工程であり、改変のタイプに対する制限もある。さらに、部位指定変異誘発および変化の機能的分析には多大な作業を要し、その効率は低い。上記のdelitto perfettoプロセスは、単一もしくは複数の塩基変化、挿入または小規模もしくは大規模な欠失といった所望の変異のみを有する産物の作製を可能にする。a)系統の遺伝的背景からの独立性、b)大規模なゲノム再配列を達成する可能性、c)相同組換えに影響を及ぼす遺伝子さえも含む、必須遺伝子における改変、およびd)より高い効率の可能性、を実現すると考えられる、この技法の一般的利用に対しては明らかな需要がある。
【0192】
delitto perfetto-DSBシステムはdelitto perfettoプロセスのもう1つの態様であり、これは効率の著しい増加をもたらし、変異効率を1000倍以上増加させる。これはかなり高度の汎用性およびこの態様を用いる遺伝的改変のハイスループット生成をもたらす。この新規システムは以下の要因の組み合わせによって生まれた:ターゲティングを誘発するためのゲノム中への一意的な二本鎖切断(DSB)の生成、一意的な短いDNA部位にDSBを生成するエンドヌクレアーゼ酵素の使用、および、誘導性プロモーターを用いたエンドヌクレアーゼ酵素の作動・停止が可能であること。
【0193】
DSBを介した組換えは、基本的な生物プロセスとして重要なことに加えて、酵母および他の真核生物における遺伝子改変の基盤でもある(PaquesおよびHaber、Microbiology and Molecular Biology Reviews 1999、63: 349-404に総説がある)。出芽酵母におけるDSBの修復は主として、DNA分子の損傷末端と無傷な相同配列との間の組換えによって行われるように思われる。DSBは相同組換えを誘発する:DSBは減数分裂細胞における唯一の組換え誘発要因であり、有糸分裂細胞における組換えの主要な要因である。DSBは、電離放射線照射の結果として、機械的ストレスにより、一本鎖開裂染色体の複製により、またはインビボで発現されたエンドヌクレアーゼにより、出現する可能性がある。
【0194】
有糸分裂細胞における組換えの開始は部位特異的エンドヌクレアーゼの誘導によって達成しうる。酵母ではこのようなシステムが2種類開発されている。HOエンドヌクレアーゼは22bpの縮重性標的配列を認識し、酵母全ゲノムのうち通常は1つの部位、すなわち交配型(Mu)座位のみを切断する。HO遺伝子をガラクトース誘導性プロモーターと融合させた構築物により、ガラクトースの添加のみによってHOを発現させることが可能になっている。
【0195】
第2のエンドヌクレアーゼはI-SceIであり、これは通常は酵母ミトコンドリアのみにおいてコード化および発現され、移動性イントロン(以下に提示する切断部位)の移動を促す。ミトコンドリアおよび細胞質において用法の異なるコドンを置換した、合成型のこの遺伝子を構築し、これを再びガラクトース誘導性プロモーターの制御下に置いた(Plessisら、Genetics 130: 451-460, 1992)。HOまたはI-SceIのいずれかを45〜90分間誘導することにより、標的部位のかなりの割合が切断される。
【0196】
I-SceI部位:
Figure 2005500841
【0197】
delitto perfetto-DSB変異誘発のためのCORE-DSBカセットの使用
この態様は、delitto perfetto態様を上回るいくつかの利点を、1000倍を上回る効率の高さとともに提供する。すなわち、delitto perfetto-DSB態様はより高度の汎用性を提供するとともに、遺伝子改変のより高度のハイスループット生成を可能にする。この態様は、厳密に調節可能なインビボのシステムを用いた、形質転換時のCORE-カセット内部の標的領域への単一のDSBの導入に基づく(図7参照)。この新規システムの使用により、本発明者らは、オリゴヌクレオチド改変を全細胞の最大5%で作製することができ、これが極めて効率の高いプロセスであることを実証した。このシステムは200bpまたはそれよりも長い区域における複数の変異をもたらすため、これは、健康面で重要な遺伝子およびタンパク質の改変において、ならびにタンパク質における多様性の生成のために有用である。
【0198】
delitto perfetto-DSBシステムは、遺伝子およびDNAの迅速な改変、遺伝子の多様化、二倍体細胞における遺伝子の変更、対抗選択に依存しないターゲティングカセットの使用(例えば、下記のRE-DSB)、必須遺伝子のインビボ改変、大きな染色体領域の操作、ならびに組換えに欠陥のある細胞における遺伝子改変のための可能性を大きく高める。
【0199】
本システムの有用性はdelitto perfettoシステムのすべての特徴にわたり、これには以下が含まれる:サブクローニングを必要としない、一意的な制限部位の必要性に依拠しない、および、改変がなされた後にDNAの大きな領域の再シークエンシングは必要でない。シークエンシングが必要なのは、オリゴヌクレオチドに対応する領域のみである。本システムは、組換えの能力が高い他の生物、例えば、ヒト染色体の検討に用いられるニワトリDT40細胞、またはDSBが組換えを誘発しうるヒトなどの細胞においても用いうると考えられる。これにはさまざまな健康上の利点があると考えられ、特に遺伝子治療およびタンパク質の開発の分野ではそうである。
【0200】
短縮型CORE-DSB-カセット(対抗選択性を持たない);RE-DSB変異誘発
もう1つの態様においては、DSBシステムを用いることによる変異誘発の効率が高いことから、対抗選択マーカーをカセットから省くことができる。
【0201】
CORE-DSBを利用する変異誘発アプローチは2〜5%と効率が高いため、ゲノム中に所望の変化を含むクローンを、対抗選択マーカーを用いずに、非選択培地(YPDプレート)上で直接単離することができる。この場合には、delitto perfetto-DSBアプローチを、RE-DSB(例えばGAL1/10::I-SceI+kanMX4または+HygroR)と呼ばれる、対抗選択マーカーを欠くCORE-DSBカセットを用いて行うことができる。
【0202】
外部から添加されるDSB酵素
もう1つの態様において、CORE-DSB-カセットは二本鎖切断酵素をコードする配列を含まず、その代わりに、二本鎖切断機能はCORE-DSB-カセット(またはRE-DSBカセット)が標的配列中に組み込まれた後に外因性二本鎖切断酵素を細胞に添加することによって遂行される。組換えの誘導のために一意的部位での切断のための外因性酵素を添加するアプローチは種々の哺乳動物細胞系で用いられており、これにはI-SecIの使用が含まれる。例えば、Linら(Mol. Cell Biol. 19: 8353-60, 1999)ならびにJohnsonおよびJasin(Biochem. Soc. Trans. 29: 196-201, 2001)を参照されたい。
【0203】
二倍体生物における変異の作製
本明細書に記載のdelitto perfetto-DSBアプローチは、二倍体酵母において変異誘発を達成する可能性を高める。通常、二倍体生物における変異は、それらが劣性であり、そのため検出不能であることからしばしば覆い隠される。delitto perfetto-DSBシステムはカセット事象の消失によって変異性変化の認識を与え、これによって所望の変化を有する二倍体クローンの同定および単離を可能にする。ヘテロ接合性の消失が起こる可能性もあるが、標的とした変化の頻度は、それらを比較的少数のクローン中で同定しうる程度に十分に高く、例えば50分の1、100分の1または200分の1などである。
【0204】
タンパク質の内部での多様性
delitto perfetto-DSBシステムは、オリゴヌクレオチドによって媒介される非常に効率的なターゲティングを可能にする。ターゲティングがなされた莫大な数のクローンを入手しうることを利用して、例えば、目的遺伝子のタンパク質産物の多数のバリアントを作製することができる。タンパク質産物のこの多様性は、目的遺伝子が酵母ゲノム(または相同組換えの能力が同じく高い別のゲノム)中に組み込まれるか、またはプラスミドにクローニングされた場合に得ることができる。CORE-DSBカセットまたはRE-DSBカセットを所望の座位の遺伝子の内部に挿入し、その後にDSBを誘導すると、ランダム変異誘発用に設計されたIROを用いた形質転換により、多くのバリアントの迅速な作製が可能になる。これはIROによるターゲティング事象1回につき少なくとも1つから多数の変化までが生じる可能性をもたらし、それによって遺伝子(またはタンパク質産物)の多様化の可能性をもたらすと考えられる。
【0205】
IROを用いたインビボでの遺伝子の直接的なランダム改変のためのこのアプローチは、オリゴヌクレオチドを用いたランダム変異誘発のためのインビトロでのアプローチよりもはるかに効率的であると予想される。遺伝子を多コピーベクター(酵母2μベクター)などにクローニングする場合、作製されるバリアント型の遺伝子の数は、単コピーベクターまたはゲノム座位を用いた場合よりも最大で1000倍、例えば、100倍、250倍または500倍多いと考えられる(下記の通り)。例えば、単一の形質転換事象によって最大で108種類の異なるバリアントを入手しうると考えられる。いくつかの態様において、ランダム変異誘発アプローチは、選択可能な表現型を生じさせる特定のバリアント型の派生タンパク質を単離するために行われる。
【0206】
インビボ線状多コピーベクターのオリゴヌクレオチドギャップ修復による細胞内プラスミドバリアントの作製
カセットCORE-DSBまたはRE-DSBをインビトロで、多コピーベクター(例えば、出芽酵母用のYEps(酵母エピソーム性プラスミド)、2-ミクロン(2μ)誘導ベクター)上の所望の遺伝子の内部の所望の部位にクローニングすることができる。CORE-DSBまたはRE-DSBを含むYEpベクターを標準的な手順によって酵母細胞に形質転換導入する。酵母細胞の内部で各YEpプラスミドのコピー数は自発的に1細胞当たり50〜100コピーまたはより多くのコピーへと増加する。
【0207】
IROを用いる形質転換の直前に細胞を、部位特異的エンドヌクレアーゼ(すなわち、I-SceI)の発現を誘導する誘導物質(すなわち、ガラクトース)の存在下で増殖させる。この酵素は各YEpベクター上のカセット内にある単一の部位を標的とし、DSBを生成して、各細胞内のすべてのベクターを線状化する。IROは本明細書に記載した通りにランダム変異誘発用に設計する。
【0208】
細胞をIROを用いて形質転換し、プラスミドの存在に関して選択する。IROを用いた細胞の形質転換により、ベクターの環状化、カセットの消失およびランダム変異の作製(理論的にはベクター毎に1つの異なる変異が作製される)がもたらされる。各細胞はいくつかのベクターを含むため、各細胞は同じ遺伝子の多くの異なるバリアントを含むはずである。
【0209】
このアプローチは、ランダム変異誘発によって得られる遺伝子バリアントの数をさらに10〜100倍またはそれ以上に増加させるのに有用と考えられる。
【0210】
PCRターゲティングの効率の向上、および必須遺伝子の改変
CORE-DSBまたはRE-DSBを用いるdelitto perfetto-DSB変異誘発アプローチでは、ゲノム改変を行うためにIROを利用する。しかし、同じアプローチを、インビトロまたはインビボでのランダム変異誘発または部位指定変異誘発によってあらかじめ改変されたPCR産物(IROの代わりに)を用いて適用することもできる。インビボでのゲノム中への直接的なPCRターゲティングの効率もDSB誘導後には約1000倍に高まる。
【0211】
これは、カセットが遺伝子の終止コドンの直後に挿入されるならば、すべての非必須遺伝子、さらには必須遺伝子にもそのまま適用可能である。
【0212】
例えば、CORE-DSBカセットまたはRE-DSBカセットを、選択した必須遺伝子の終止コドンの直後に、遺伝子を破壊することなく挿入することができる。DSBの誘導後に、選択した遺伝子の改変PCR産物をカセットおよび遺伝子の野生型コピーと置換させ、同じ座位に改変型の遺伝子を残すことができる。IROを用いることもできるが、この場合に改変しうるのは遺伝子の3'部分のみ(カセットに近い部分)である。
【0213】
オリゴヌクレオチドおよびベクターの同時形質転換
delitto perfetto-DSB法およびオリゴヌクレオチドを用いて行われる形質転換の効率が極めて高いことから、同時形質転換実験、すなわちIROおよびプラスミドの一段階での形質転換を効率的に行える可能性が得られる。これにより、遺伝子の改変と別の遺伝子の特異的発現を同時に行うことが可能になる。例えば、プラスミド上にある遺伝子が致死性であり、別の遺伝子がその致死性に影響し、影響する遺伝子の欠失によって生存が可能となることが考えられる。その結果、変異体が致死性遺伝子とともに生存しうるように、影響を及ぼす遺伝子におけるCORE-DSB部位の近傍に変異のセットを作製することが可能と考えられる。また、IROに加えてプラスミド形質転換を行った時点で切断が生じるように、DSB切断酵素の遺伝子をプラスミド上に含めることも可能と思われる。
【0214】
組換え能力の低い菌株および細胞におけるDSBに基づく変異誘発
本明細書で考察したように、delitto perfettoシステムにおいて、最初のCORE-カセットとの置換によるIRO(単一または対のいずれとして細胞に供給するかにかかわらず)の組込みは、RAD52遺伝子に依存しており、RAD50およびMRE11に部分的に依存するように思われた。現在では、驚くべきことに、CORE-DSB(またはRE-DSB)カセットがゲノム中にひとたび配置されれば、効率の高い組換えシステムが存在しなくてもDSB増強型アプローチを用いうることが明らかになっている。
【0215】
例えば、ある組換え遺伝子を標的とすること、すなわちその組換え遺伝子を不活性化してそこに変異を作製することが可能と考えられる。組み込まれたカセットにおけるDSBの誘導により、IROを用いた極めて効率的なターゲティングが得られるため、ターゲティング効率の変化は効率の高い組換えシステムが存在しなくとも、例えば、RAD52-ヌル遺伝子を用いる遺伝的状況においても、検出可能である(例えば、実施例8参照)。
【0216】
ゲノムレベルでの再配列
delitto perfetto変異誘発(DSBを用いる場合も用いない場合も)の使用により、幅広いゲノム再配列の作製が可能になる。一例として、このような再配列には、delitto perfetto CORE-カセットを用いて最長16kbに関して示されたもののような、大規模欠失が含まれる。CORE-DSBまたはRE-DSBの使用によって約1000倍高いターゲティング効率が得られるため、上記のものおよびそれよりも長いような大規模欠失を、極めて高い効率で実現することができる。かなり長い欠失(例えば、最長100kb)を想定しており、CORE-DSBまたはRE-DSBに基づく変異誘発を用いてこれを効率的に作製しうると予想している。これは例えば、YACクローンの改変に有用と思われる。
【0217】
想定されるその他の種類の再配列には、染色体環状化が含まれる。従来、これは染色体の両端に対して相同な領域を有する線状プラスミド形質転換によって行われており、これは効率の低いプロセスであった(Bennettら、Mol. Cell. Biology、12: 5359-5373, 2001)。選択した染色体のテロメア領域の近傍にカセットを組み込むことが可能である。続いて、5'末端に左側のテロメアの下流領域に対して相同な配列を含み、3'末端には右側のテロメアの上流領域に対して相同な配列を含むIRO(単独または対)を設計することができる。IROを細胞に添加することにより、カセットおよび両方のテロメアの除去が生じると考えられ;このため、染色体が環状化される。
【0218】
本発明を以下の非制限的な実施例によって例示する。
【0219】
実施例
実施例1:部位指定delitto perfetto変異誘発
delitto perfettoアプローチは、異種配列を残さないゲノム改変を可能にする(図1)。CORE-カセットの組込みには単純でわかりやすい形質転換手順を利用し(Wachら、Yeast 10, 1793-1808, 1994)、変異置換には容易に設計されたオリゴヌクレオチドによる形質転換を用いるため、以下に考察するように、このシステムは種々の遺伝子変化の迅速な作製をもたらす。他のシステムとは異なり、このインビボ部位特異的変異誘発法は、COREカセットがひとたび挿入されれば近傍領域に多くのタイプの改変を作製しうることから、染色体変化に関して汎用的である。
【0220】
本実施例では、delitto perfettoインビボ変異誘発システムを用いて作製されたいくつかの配列改変を提示する。
【0221】
実験プロトコール
別に指定する場合を除き、遺伝子操作は標準的な方法(Sambrookら(編)、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、CSH Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)に従って行った。
【0222】
酵母株および増殖条件
用いた酵母株は以下の通りである:BY4742(M4Tα、his3Δ1、leu2Δ0、lys2Δ0、ura3Δ0;Brachmannら、Yeast 14: 115-132, 1998)、VL6α(MATα、met14、lys2-801、his3-Δ200、trp1-Δ63、ura3-52、ade2-101;Lewisら、Mol. Cell Biol. 18: 1891-1902, 1998)およびE133(S1-A12:MATα、ade5-1、lys2-12A、trp1-289、his7-2、leu2-3、112、ura3-52;Tranら、Mol. Cell Biol. 17: 2859-2865, 1997)。
【0223】
細胞は標準的なリッチ培地(YPD)、グリセロール培地(YPG)、およびウラシル(SD Ura)、ロイシン(SD Leu)またはトリプトファン(SD Trp)を含まない合成最小培地中で増殖させた(Shermanら(編)、「酵母遺伝学における方法(Methods in Yeast Genetics)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1986)。ジェネティシン(G418)耐性細胞は200μg/mlのG418(Gibco BRL, Grand Island, NY)を含むYPDプレート上で増殖させた(Wachら、Yeast 10, 1793-1808, 1994)。Ura細胞は1mg/mlの5-フルオロオロト酸(5-FOA)(Toronto Research Chemicals Inc., North York, Ontario, Canada)を含む合成完全培地上で選別した(Boekeら、Mol. Gen. Genet. 197: 345-346, 1984)。
【0224】
プラスミド
プラスミドpCOREは、kanMX4遺伝子を含む1.5kbのBamHI-HincII断片(Wachら、Yeast 10, 1793-1808, 1994)を、pFA6aKlURA3(Delneriら、Yeast 15: 1681-1689, 1999)のBamHI-SspI部位にクローニングすることによって構築した。
【0225】
プラスミドpBL230(Ayyagariら、Mol. Cell Biol. 15: 4420-4429, 1995)は、POL30遺伝子(ATGの195bp上流からその終止コドンの170bp下流まで)を含むゲノムDNAを有する。
【0226】
RAD52の欠失は、ApaIおよびNotIで切断したプラスミドpΔ52Leu(Lewisら、Mol. Cell Biol. 18: 1891-1902、1998)を用いて作製した。
【0227】
pLKL67Yは、pRS315+URA3由来の1.2kbのURA3断片を、(動原体ベクターpRS313(SikorskiおよびHieter、Genetics 122: 19-27, 1989))の多重制限部位XhoI-SacI部位にクローニングすることによって作製した。
【0228】
酵母の形質転換
環状プラスミド、線状二本鎖DNA分子またはオリゴヌクレオチドによる酵母の形質転換は、以前に記載された通りに高効率酢酸リチウムプロトコールに従って行った(Gietz, 「酢酸リチウムを用いた高効率形質転換(High efficiency transformation with lithium acetate)」、「酵母の分子遺伝学 実践的アプローチ(Molecular Genetics of Yeast. A Practical Approach.)」(Johnston編)、IRL Press, Oxford, UK, 121-134, 1994)。
【0229】
PCR増幅および配列解析
kanMX4およびKlURA3 CORE-カセットを、Taq DNAポリメラーゼ(Roche, Indianapolis, IN)を用いて94℃ 30秒間、56℃ 30秒間および72℃ 3分20秒間のサイクルを32サイクル行い、pCOREから3.2kb DNA断片として増幅した。染色体座位へのCORE-カセットの組込みのために、ゲノム標的座位の適切な隣接領域に対して相同な50ヌクレオチドおよびCORE-カセットの増幅を可能にする以下に示す20ヌクレオチドからなるキメラ性70-merを設計した:kanMX4側については
Figure 2005500841
(配列番号:1)、KlURA3側については
Figure 2005500841
(配列番号:2)。
【0230】
これらの70-merを用いた増幅により、上流および下流の染色体配列それぞれ50ヌクレオチドがCORE-カセット自体を挟み込んだPCR産物が得られた。
【0231】
正しくCORE-カセットの組込みが行われたクローンを同定するために、組込み座位の上流および下流とCORE-カセット内部をアニーリングさせるために設計されたプライマーを用いてコロニーPCR(Huxleyら、Trends Genet. 6: 236, 1990)を行った。
【0232】
新たな変異型構築物用のPCR断片(約0.5kb)を、それぞれの対応する野生型座位とともに、フェノール-クロロホルム抽出を用いて精製し、QIAquick PCR精製キット(Qiagen USA, Valencia, CA)を精製した上で、DNAシークエンシングのために用いた。シークエンシング反応は、dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI Prism, Applied Biosystems, Foster City, CA)を用い、自動シークエンシング装置(ABI377;Applied Biosystems)にて進行させて両方の鎖に対して行った。
【0233】
遺伝子MLP2、POL30、TRP5およびSIR2(コドン270位内部およびコドン354位と355位との間)へのCOREカセットの初期挿入は、それぞれ以下のプライマーを用いて行った:MLP2.U/MLP2.G、PCNA.U/PCNA.G、TRP5.U/TRP5.G、SIR2.U1/SIR2.G1およびSIR2.U2/SIR2.G2。K2およびURA3.2は、COREカセット内の、それぞれkanMX4およびKlURA3の内部にある内部プライマーである。
【0234】
各座位でのCOREの挿入は、以下のプライマーの組み合わせを用いて検証した:MLP2.l/MLP2.2/K2およびMLP2.3/MLP2.4/URA3.2;PCNA.3/PCNA.4、PCNA.3/URA3.2およびPCNA.4/K2;TRP5.1/TRP5.2、TRP5.1/K2およびTRP5.2/URA3.2;SIR2のコドン270位へのCORE挿入についてはSIR2.1/SIR2.4/K2およびSIR2.1/SIR2.4/URA3.2;SIR2のコドン354位と355位との間のCORE挿入についてはSIR2.2/SIR2.3/K2およびSIR2.2/SIR2.3/URA3.2。
【0235】
CORE-カセットの切出しおよび配列解析は以下のプライマーを用いて行った:MLP2.1/MLP2.4;PCNA.3/PCNA.4;TRP5.1/TRP5.2;SIR2のコドン270位からのCORE切出しについてはSIR2.1/SIR2.4;SIR2のコドン345位と364位との間のCORE切出しについてはSIR2.3/SIR2.2。
【0236】
RAD52の欠失を検証するために用いたプライマー:RAD52.1/LEU2.2およびRAD52.4/LEU2.1。
【0237】
組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)変異誘発
この検討に用いたIROはサイズおよびCORE-カセット組込み点に対する向きが異なる。
【0238】
オリゴヌクレオチドは、図3に示したように単一種または2つの種の組み合わせとして形質転換実験に用いた。3'-重複IRO(a+b)の配列をインビトロで伸長させるために、50μlの反応混合物に0.5ナノモルずつの各プライマー、4単位のPlatinum Pfx(Gibco BRL)、5μlの10×緩衝液、1μlの50mM MgSOおよび2μ1の10mM dNTP(Roche)を含めた。伸長は以下の通りに行った:94℃ 1分間および68℃で30秒間〜3分間。試料をエタノール沈降させた上で10〜20μlの水中に再懸濁した。Platinum Pfix DNAポリメラーゼの代わりにTaqポリメラーゼ(Roche)をこれらの伸長反応に用いたところ、オリゴヌクレオチド組込みの効率が幾分低下した。
【0239】
IRO DNAを細胞に添加する前に、単一のオリゴヌクレオチド種または2つのオリゴヌクレオチド種の組み合わせを、対の場合はPfx DNAポリメラーゼを用いてインビトロで伸長した点は異なるが(a+b Pfx)、100℃で2分間変性させた後に、二次構造の形成を減少または消失させるために直ちに氷上に置いた。
本実施例に用いたIROを、図2に示されたCORE-カセット組込み点を基準として、最初の第1の5'ヌクレオチドから始まって最後の3'塩基で終わるまでの各オリゴヌクレオチドの範囲が及ぶDNA配列を示す数字とともに記載する。
【0240】
MLP2を欠失させるために用いたIROは、MLP2.a(5' -70...-1, +1...+10)およびMLP2.b(5' +70...+1, -1...-10)であった。
【0241】
POL30欠失を作製するために用いたIROは、PCNA.a(5' -848...-778, +1...+10)およびPCNA.b(5' +70...+1, -778...-788)であった。
【0242】
TRP5のコドン334位にサイレント変異を作製するために用いたIROは、TRP5.a(5' -70...-1, +1...+10)、TRP5.b(5' +70...+1, -1...-10)、TRP5.c(5' +10...+1, -1...-70)、TRP5.d(5'-10...-1, +1...+70)、TRP5.e(5' -47...-1, +1...+48)、TRP5.f(5' +48...+1, -1...-47)、TRP5.e1(5' -40...-1, +1...+41)、TRP5.f1(5' +41...+1, -1...-40)、TRP5.e2(5' -25...-1, +1...+26),TRP5.f2(5' +26...+1, -1.. .-25)、TRP5.i(5' -127...-47)およびTRP5.j(5' +128...+48)であった。
【0243】
SIR2にG270A変異を作製するために用いたIROは、270.a(5' -70...-1, +1...10)、270.b(5' +70...+1, -1...-10)、270.e(5' -48...-1, +1...+47)、270.f(5' +47...+1, -1...-48)であった;SIR2にN345A変異を作製するために用いたIROは、345.a(5' -85...-1, +1...+10)および345.b(5' +70...+1, -1...-10)であった。
【0244】
SIR2にH364Y変異を作製するために用いたIROは、364.a(5' -70...-1, +1...+10)および364.b(5' +85...+1, -1...-10)であった。
【0245】
RAD50にK40A変異を作製するために用いたIROは、RAD50.a(5' -70...-1, +1...+10)およびRAD50.b(5' +70...+1, -1...-10)であった。
【0246】
MRE11にD16A変異を作製するために用いたIROは、MRE.a(5' -69...-1, +1...+11)およびMRE.b(5' +71...+1, -1...-9)であった。
【0247】
それぞれの形質転換による細胞を単一のYPDプレートに播き、30℃でインキュベートした上で翌日に5-FOA上にレプリカプレーティングを行った。3日後にコロニーをYPDプレート、G418プレート、Trpプレート(TRP5実験のため)およびYPGプレート(プチット変異体を除外選択するため)にレプリカプレーティングした。
【0248】
結果
ゲノム配列の欠失
MLP2遺伝子全体を開始コドンから終止コドンまで欠失させ(図2A)、欠失プロセスが完了した後に異種DNAが全く残らないようにするためにdelitto perfetto法を用いた。MLP2 ORFとの置換のために、CORE-カセットを一般的に用いられる3種類の酵母株バックグラウンド(BY4742、VL6αおよびE133)に標準的な相同組換え法によりターゲティング導入した。これにより、Ura+(5-FOA感受性)およびG418耐性である細胞が生じた。
【0249】
3'末端に20塩基の重複がある2つの80-ヌクレオチド(nt)IRO(MLP2.aおよびMLP2.bと命名)を設計した。MLP2.aおよびMLP2.bのアニーリングおよびインビトロ伸長により、CORE-カセットの上流領域および下流領域の配列に対して相同な70bpを含む140bpの二本鎖分子が得られた。これらの二本鎖分子を用いて細胞の形質転換を行った。
【0250】
表1に示す通り、5-FOA耐性(5-FOAR)、G418感受性(G418S)細胞の頻度は、IRO DNA 0.5ナノモル(35〜45μg)を添加した生細胞107個当たり形質転換体約100個であった。コロニーPCRによって検査したすべてのG418Sクローンがカセットを消失しており、ΔMLP2であった。5-FOARクローンの約半分はG418耐性であったため(おそらくKlURA3コード配列における変異のため)、G418感受性はCOREカセットの消失の判断材料となった。3種類の5-FOAR、G418S BY4742分離株のシークエンシングを行ったところ、それぞれが正しい欠失(ΔMLP2)を含んでいた。分離株の1つは140bpのIRO領域内に1つの点変異を獲得していた。
【0251】
(表1)delitto perfettoを用いた標的指向性変化の精度
Figure 2005500841
a IROのインビトロ伸長はPfxによって示されている。Pfxの記載がない場合は、IROを細胞に直接添加した。
b 0.5ナノモルの各IROにより形質転換された生細胞107個当たりの5-FOARクローンの数。
c 形質転換頻度:0.5ナノモルの各IRO当たり、生細胞107個当たりのG418Sクローンの数。
d 正しいCORE-カセット切出しを有するクローンの数/コロニーPCRにより検査したランダム試料の数。
e 標的指向性変化を獲得したクローンの数/シークエンシングまたはBamHIによる消化を行った試料の数。
f 余分な変異を伴わない、ターゲティングがなされたクローン/シークエンシングを行った試料の数。
g 3回の実験の平均値。ND、試験せず。
【0252】
必須遺伝子の欠失
次に、delitto perfettoアプローチを、CORE-カセットを遺伝子の下流に組み込むことにより、必須遺伝子の欠失に対して適用した。CORE-カセットを、E133株においてPOL30遺伝子(PCNA)の終止コドンを越えたところに組み込み(図2B)、プラスミド(pBL230)上にある遺伝子の野生型コピー細胞内に導入した。続いて、POL30遺伝子の開始コドンの上流およびCORE-カセットの下流と相同性を有する重複性のIRO PCNA.aおよびPCNA.bを用いて細胞の形質転換を行った。
【0253】
3回の実験で得られた12種の5-FOAR G418Sコロニーのうち9種は染色体POL30遺伝子の正確な欠失を有していた(表1)。上記のMLP2欠失の態様と比較してIROによるCORE-カセット置換頻度が低いことは、プラスミドで運ばれたPOL30のコピーとの組換え競合に起因する可能性が高い。CORE-カセットの消失は通常は置換事象に伴うものであり、プラスミドによる組換えに起因するものではなかった。
【0254】
このようにして作製した欠失クローンは、非選択培地中では30世代を過ぎた後にもPOL30プラスミドを失わなかったが、野生型の染色体POL30遺伝子を含む対照細胞ではプラスミドが直ちに失われた。
【0255】
部位特異的変異誘発
delitto perfetto法を、ゲノム中の部位特異的変異の迅速な作製に対しても適用した(図1)。この方法の1つの態様は、新たなBamHI部位を生成する変異である、TRP5遺伝子へのサイレント変異の導入によって示された(図2C)。
【0256】
CORE-カセットをBY4742株のTRP5遺伝子中のnt 1002位と1003位との間にターゲティング導入し、Trp細胞(BY4742-TRP5-CORE)を得た。生じた細胞を、COREカセット挿入部位に隣接したBamHI変異部位を含む2つの80-nt IRO TRP5.aおよびTRP5.bを用いて形質転換させ、その後に5-FOAR G418Sコロニーを単離した(表1)。検査した50クローンのすべてがCORE-カセットを消失し、所望の標的指向性変異を獲得していた。シークエンシングを行った20種のG418Sクローン配列のうち19種は余分な変異を有していなかった。
【0257】
したがって、delitto perfetto変異誘発法の態様は、例えば、20bpの重複を有するIROを用いた、部位特異的変化の効率的な作製のために用いうる。
【0258】
複数回の部位特異的変異誘発
ひとたびCORE-カセットが配列中に組み込まれると、新たなオリゴヌクレオチドを設計し、IRO形質転換手順を繰り返すことのみにより、複数の部位特異的改変を行うことができる。このことを示すために、delitto perfetto法を、SIR2遺伝子における2つのCORE-カセット組込み位置(コドン270位およびコドン354位と355位との間)を取り囲む領域における部位特異的変化に対して適用した(図2Dおよび2E)。変異は重複領域(IRO 270.a+b)またはオリゴヌクレオチド対(345.a+bおよび364.a+b)の一方のみのいずれかに含めた。
【0259】
アニーリングおよびDNA合成(Pfxポリメラーゼによる)に続いて、IRO対270.a+bおよび345.a+b、または364.a+bのそれぞれを用いて菌株の形質転換を行った。予想された通り、コロニーPCRによれば、すべての5-FOAR G418SクローンがCORE-カセットを消失していた(表1)。部位指定変異ターゲティングの効率は非常に高かった。表1に示すように、COREカセットの近傍に変異を含むIROの場合には、すべてのクローン(20/20)が正しい変化を獲得した。当初のオリゴヌクレオチド重複の外側に変異があるIROの場合は、80%を上回るクローン(21/25)が正しい部位特異的変化を有していた。
【0260】
単一のIROを用いた部位指定変異誘発
部位指定変異誘発は、オリゴヌクレオチドの対ではなく、個々のオリゴヌクレオチドを細胞に直接添加することによって行いうる。単一のIROを、細胞に直接添加した時に部位特異的変異を生成する能力に関して比較する。BY4742-TRP5-CORE株に、TRP5中にサイレントBamHI変異を生じると考えられるいくつかのIRO(図3)を用いて形質転換を行った(図2C)。CORE-カセットの一方の側に伸びた95nt(eまたはf)および81nt(e1またはf1)の単一のIROは、個別に添加した場合に、部位指定変異の生成にかなり有効であった(図4A)。効率的な変異誘発のための相同性の最小限の長さは25〜40nt(51-merであるe2およびf2とe1およびf1の比較)であった。
【0261】
種々のIRO対を用いた部位指定変異誘発
IROの組み合わせを、それらが同じ部位特異的変異を作製する能力についても検討した。個々のIROを、インビトロでのアニーリングまたは伸長を行わずにコンピテント細胞に直接添加した。図4Bに示す通り、アニーリングしなかった81または95-nt IROの対による改変の効率は、それらが完全に相補的であった場合は高かった;頻度はインビトロでアニーリングおよび伸長を行ったオリゴヌクレオチドよりも高かった。単一のIROに関して観察されたように、効率的な変異誘発のために必要な最小限の相同性は25〜40ntであった(e2+f2とe1+f1との比較)。
【0262】
驚いたことに、20bpの3'-重複のみを有するTRP5.a+bの組み合わせも、インビトロでアニーリングおよび伸長を行ったこれらのDNAオリゴヌクレオチド対(TRP5.a+b Pfx)に関して認められたものの約6分の1のレベルで部位特異的変化を生成することができた。同様のオリゴヌクレオチド対であるが、極性が反対で5'-重複を生じたもの(図3のc+d)からは形質転換体は生じなかった。
【0263】
重複していないTRP5.e+jまたはTRP5.f+iは、TRP5.eまたはTRP5.f単独の場合を上回る形質転換の増加を示さなかった。対応する単一および2つのIRO(270.a、b、c、d、e、f、e1、f1、e2、f2、jおよびi)を用いた、BY4742株におけるSIR2コドン270位の改変(図2D参照)についても同様の結果が得られた。
【0264】
相補的IROによる部位特異的ターゲティングの効率は高かった;陽性/陰性選択後に、ほぼすべての分離株がCORE-カセットを消失し、所望の変異を獲得した。変異の成功の確認は大きく単純化されるが、これはオリゴヌクレオチドによって覆われる領域のみを少数の試料でシークエンシングすればよいためである;この領域の外側の変異は決して検出されない。例えば、TRP5(A334A-BamHI)およびSIR2 G270Aの変化に関してシークエンシングを行ったクローンのうち、相補的オリゴヌクレオチドをインビトロで伸長するか直接用いた場合には5〜35%には随伴性の点変異が見いだされた(表1)。
【0265】
単一のIROを変異誘発に用いることも可能と考えられるが、重複するIROの対を用いた方が効率ははるかに高い。さらに、ターゲティング効率は、単一および相補的なIROのサイズが大きくなるにつれて高まった(図4Aおよび4B)。これは、一本鎖オリゴヌクレオチドを用いた以前の報告(Moerschellら、Proc. Nati. Acad. Sci. USA 85、524-528、1988)とは異なるが、このシステムでは大きな領域(すなわち、CORE-カセット)の除去を必要とする対抗選択方式を用いていなかった。おそらく、組換え経路(以下参照)に対するdelitto perfetto変異誘発の依存性がこの違いの原因になったと考えられる。
【0266】
ある種の態様において、delitto perfetto法の効率は、長さが81nt以上の完全に相補的なオリゴヌクレオチドを用いた場合に最も高かった(図3および図4B)。最も高い組込み効率が得られたIROの2つの対は、相補的な95-mer e+fおよび伸長されたa+bオリゴマー(a+b Pfx)であり、これは140の二本鎖分子を生成可能であった。e+fなどのIROは、15-nt領域内のいずれかの場所に特定の点変異を導入するために最も実用的であるように思われ、図1および5Aに記載されたような小規模または大規模な欠失を作製するために用いうる。重複のないIRO対はそれぞれの個々のIROを用いた場合よりも効率が上回らなかった。3'末端に重複のあるDNAはインビトロでのアニーリングおよび伸長がなくとも中程度の効率であった ;しかし、重複性5'末端を有するIROは有効でなかった。このことは重複が20ヌクレオチドと短い鎖によっても形質転換手順におけるアニーリングが可能であり、おそらくはDNA合成を伴うプロセスによって効率的な部位特異的変異が生じることを示唆している。しかし、アニーリングした構造が染色体DNAと直接相互作用する可能性もある。また、3'末端および5'末端がホスホロチオエート化された保護性オリゴヌクレオチドを用いてもIRO対(TRP5.a+b、TRP5.c+dまたはTRP5.e+f)の形質転換効率は高まらなかったため、細胞内でのDNA分解はほとんどないように思われる。
【0267】
SIR2-N345AおよびH364Y変異に関して示されたように、ひとたびCORE-カセットが特定の位置に挿入されれば、COREの少なくとも30bp上流および下流にまたがる間隔でIROの異なる対を用いて、カセットを移動させることなくDNAを改変することができる。報告された結果に基づけば、図5Cに示したように、20-ntの重複がある100-nt IROを用いて、COREカセットから最大100ntの位置に特異的変異を作製しうる。他のすべての変異誘発手順では、たとえ同じ残基の追加的な改変のためであっても、部位特異的変異の作製における各段階を最初から繰り返す必要があるため、このことは特定領域の研究のための他のアプローチを明らかに上回る利点である。
【0268】
ターゲティングがなされたクローンの内部に認められる余分な変異が、IROによって覆われた配列の外側に検出されることはなかった。IROによって置換された配列内部の余分な変異の内訳には欠失が70%含まれ、これは以下の通りであった:46.7% 1bp欠失、26.7% 1bp置換、16.7% 2bp欠失、6.6% 1bp欠失+1bp置換、および3.3% IRO配列の部分の重複。
【0269】
実施例2:delitto perfettにおけるIROによるターゲティングは相同組換えを伴う
RAD52遺伝子はほぼすべてのタイプの相同組換えにとって重要であるため、delitto perfetto変異誘発におけるその役割について検討した。野生株および変異株(RAD52::LEU2;2つの独立した分離株)に対して、対照動原体プラスミドpLKL67Y(HIS3およびURA3遺伝子を含む)または以下のTRP5 IRO:(1)a+b Pfx、(2)a+b、(3)c+d、(4)e+f、(5)eおよび(6)fによる形質転換を行った。
【0270】
pLKL67Yを用いた反復形質転換では、野生型形質転換レベルの方がrad52変異型のものよりも約4倍高く(それぞれ4.3×105/μgに対して〜1×105/μg)、これはrad52変異型におけるプレーティング効率の低下に起因すると思われた。rad52株では3回の別々の実験で種々のIROを用いても5-FOAR G418Sクローンは観察されず、10倍多いe+fを用いた場合も観察されなかった(図4Aおよび4B)。IRO 270.a+b Pfx、270.a+bおよび270.c+dを用いたSIR2コドン270位での改変についても、完全なRAD52依存性が観察された(図2D参照)。これらの結果は、delitto perfetto変異誘発時のオリゴヌクレオチド置換が組換え機構によって媒介されることを示している。
【0271】
組換えに加えて二本鎖切断端の連結にも働くRAD50およびMRE11遺伝子の、IRO部位指定変化に対する意義についても検討した。COREカセットを、図2FおよびGに示したVL6α株の各遺伝子に組み込んだ。RAD50のコドン40位におけるAA→CG置換およびMRE11のコドン16位におけるA→C転換を生じさせるIROを作製した。CORE-カセットの欠失の効率はそれぞれのa+b Pfx IROを用いた場合には低かったが、CORE-カセットの正しい切出しを有するいくつかのG418Sコロニーが観察された(表1)。RAD50およびMRE11の両方に対する3つのG418S分離株の配列解析により、予想した改変がすべてのクローンで起こっており、(RAD50の)1つの分離株のみが余分な点変異を呈したことが示された。したがって、オリゴヌクレオチド組込みプロセスは、用いた変異検出のレベルではRAD52依存性であるが(以下のdelitto perfetto-DSBとは対照的である)、RAD50およびMRE11遺伝子に対する依存性はこれより低いように思われる。
【0272】
この例では、IROの組込みは、単一または対のいずれとして細胞に供給するかにかかわらず、RAD52遺伝子に完全に依存しており、RAD50およびMRE11にはある程度依存するように思われた。後者の2つの遺伝子の効果が比較的弱いことは、それらの組換えに対する効果が弱いことに一致する(LewisおよびResnick、Mutat. Res. 451: 71-89, 2000)。それらはDNA末端連結への関与が示されているが、末端連結に欠損のあるsir2変異体でのIROを介した組込みに対する効果がなかったため(LewisおよびResnick、Mutat. Res. 451: 71-89, 2000)、このことからdelitto perfettoにおけるそれらの役割は組換えに対して特異的である可能性が示唆された。
【0273】
酵母における形質転換分子の末端での効率的な組換えのために必要な相同性の最小量は約30bpである(Manivasakamら、Nucleic Acids Res. 23:2799-2800,1995)。同様に、delitto perfetto変異誘発を用いた結果から、IROにおける相同性の最短の長さは25〜40ntの間であるはずであることが示唆される。
【0274】
本明細書に報告した方法とは異なり、高等真核生物におけるDNA-RNAキメラオリゴヌクレオチド変異誘発システムは相同組換えによっては媒介されず(Cole-Straussら、Nucleic Acids Res. 27: 1323-1330, 1999;Yoonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 2071-2076, 1996)、Moerschellら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 524-528, 1988によって記載された酵母におけるオリゴヌクレオチドアプローチもそうである(Erdenizら、Genome Res. 7, 1174-1183, 1997;Yamamotoら、Yeast 8: 935-948, 1992も参照されたい)。delitto perfettoシステムは、少なくとも、相互に隔たった小さな核酸領域(COREカセットによって隔たれた)がオリゴヌクレオチド配列と近接して対を形成する点で、以前に記載されたものとは異なる。これはRAD52エピスタシス群タンパク質が必要な理由であると考えられる。
【0275】
実施例3:腫瘍に関連したp53変異を評価するための診断ツール
GAL1プロモーターの制御下にあるヒトp53コード配列を含む発現カセットを、一倍体酵母株の適した染色体座位(例えば、染色体IIIのLYS2遺伝子)に組み込む。図1に示したように、p53コード配列中に、DNA結合領域の全体にわたり、ヌクレオチド315位からヌクレオチド885位まで95ヌクレオチド間隔で7つの異なる位置に形質転換によるCORE-カセットをターゲティング導入した。すなわち、1つのCORE-カセットを指定された位置のそれぞれに含む、7つの一群の同質遺伝子酵母株を作製した。適切な株における最も近いCOREカセットを形質転換によって置換し、適切な部位指定変異をもたらすように、所望のp53変異を含むオリゴヌクレオチドを設計した。変化は導入した変異を含むp53コード配列領域のインビトロ増幅(例えば、PCR)および配列解析によって確認する。
【0276】
ヒトに関連したp53変異の結果は、それぞれの変異p53分子を発現させて、p53応答遺伝子に対応する種々のp53応答性因子での転写を誘導する能力を調べることによって検討しうる。インビボでのp53の親和性/特異性を取り扱うためのシステムは、例えば、Ingaら(Oncogene 20: 501-513, 2001);ならびにIngaおよびResnick(Oncogene 20: 3409-3419, 2001)に記載されている。
【0277】
これは、p53中のアミノ酸26位と27位との間の対応する部位にCORE-カセットを組み込む実証である。オリゴヌクレオチドのセットを用いて、この部位またはその近傍にさまざまな変異を作製した。COREおよびオリゴヌクレオチドのセットを用いて、Ser 15、20、33、37、47およびThr 18に変異を作製し、アラニンまたはアスパラギン酸の変化を生じさせた。
【0278】
実施例4:代替的なCORE-カセット
delitto perfettoアプローチの適用可能性を、野生型株を含むあらゆる酵母株(URA+株およびG418R株にも)に拡げるために、pFA6a大腸菌ベクターを基盤として、4種類の代替的なCORE-カセットを構築した。ハイグロマイシンに対する耐性を付与するレポーターおよびp53タンパク質のバリアント(V122A)である新たな対抗選択マーカーという、2種類の異種マーカーを検討した。バリアントp53を誘導性GAL1/10プロモーターの下で高発現させたところ、酵母の増殖は阻止された。これらのマーカーと以前のマーカー(KlURA3およびkanMX4)との組み合わせにより、4種類の新たなカセットを作製した:CORE-UK(KlURA3およびkanMX4)、CORE-UH(KlURA3およびHygroR)、CORE-Kp53(kanMX4およびGAL-p53)およびCORE-Hp53(HygroRおよびGAL-p53)。同様のCOREカセットを他の選択遺伝子および対抗選択遺伝子によって用いることもできる。
【0279】
実験プロトコール
酵母株および増殖条件
用いた酵母株は以下の通りである:BY4742およびVL6α。細胞は標準的なリッチ培地(YPD)、グリセロール培地(YPG)、およびウラシル(SD Ura)またはトリプトファン(SD Trp)を含まない合成最小培地中で増殖させた。ジェネティシン(G418)耐性細胞は200μg/mlのG418を含むYPDプレート上で増殖させた。ハイグロマイシン耐性細胞は200μg/mlのハイグロマイシン(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含むYPDプレート上で増殖させた。Ura細胞は5-フルオロオロト酸(5-FOA)を含む合成完全培地上で選別した。p53遺伝子を含むCOREカセットを消失した細胞は、グルコースの代わりに2%ガラクトースを含む合成完全培地(GAL)上で選別した(Shermanら(編)、「酵母遺伝学における方法(Methods in Yeast Genetics)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1986)。
【0280】
プラスミド
新たなCORE-カセットを含むプラスミドを以下の通りに命名した:pCORE-UK、pCORE-UH、pCORE-Kp53、pCORE-Hp53。プラスミドpCORE-UKは、kanMX4遺伝子(Wachら、Yeast 10, 1793-1808, 1994)を含む1.5kbのSacI-SmaI断片を、pFA6aKlURA3(Delneriら、Yeast 15: 1681-1689, 1999)のSacI-HpaI部位にクローニングすることによって構築した。プラスミドpCORE-UHは、pAG32ベクター(GoldsteinおよびMcCusker、Yeast 14, 1541-1553, 1999)由来のハイグロマイシン耐性(HygroR)遺伝子を含む1.7kbのSacI-SmaI断片を、pFA6aKlURA3のSacI-HpaI部位にクローニングすることによって構築した。pCORE-Kp53は、GAL1/10プロモーターの制御下にあるp53 V122遺伝子(IngaおよびResnick、Oncogene 20、3409-3419,2001)を含む2.1kbのEcoRI-SpeI断片を、pFA6akanMX4(Wachら、Yeast 10, 1793-1808, 1994)のEcoRI-SpeI部位にクローニングすることによって構築した。pCORE-Hp53は、pAG32由来のHygroR遺伝子を含む1.7kbのSacI-BamHI断片を、pCORE-Kp53のSacI-BglII部位にクローニングし、kanMX4遺伝子と置き換えることによって構築した。
【0281】
PCR増幅および配列解析
Taq DNAポリメラーゼを用い(Roche, Indianapolis, IN)、94℃ 30秒間、56℃ 30秒間および72℃ 4分のサイクルを32サイクル行うことにより、CORE-UK, -UH, -Kp3および-Hp53カセットを、対応するベクターからのそれぞれ3.2、3.5、3.7および4.0kbのDNA断片として増幅した。
【0282】
染色体座位へのCORE-カセットの組込みのために、ゲノム標的座位の適切な隣接領域に対して相同な50ヌクレオチド、および4種類のCORE-カセットすべての増幅を可能にする、以下に示す20ヌクレオチドからなるキメラ性70-merを設計した(これらのオリゴ体は元のCOREカセットの増幅には作用しない):pCORE-UKおよびpCORE-UHにおけるKlURA3側、ならびにpCORE-Kp53およびpCORE-Hp53におけるそれぞれkanMX4またはHygroR側については
Figure 2005500841
(全オリゴヌクレオチドは配列番号:61に示されている)、pCORE-UKおよびpCORE-UHにおけるそれぞれkanMX4またはHygroR側、ならびにpCORE-Kp53およびpCORE-Hp53におけるGAL1/10-p53側については
Figure 2005500841
(全オリゴヌクレオチドは配列番号:62に示されている)。
【0283】
これらの70-merを用いた増幅により、上流および下流の染色体配列のそれぞれ50ヌクレオチドがCORE-カセット自体を挟み込んで有するPCR産物が得られた。TRP5遺伝子へのCORE-カセットの初期挿入は以下のプライマーを用いて行った:TRP5.I/TRP5.II(配列番号:61および2)。K1(配列番号:74)、H1(配列番号:76)、URA3.1(配列番号:75)およびp7(配列番号:77)。これらはCOREカセット内の、それぞれkanMX4、HygroR、KlURA3およびGAL1/10-p53の内部にある内部プライマーである。
【0284】
CORE-UKの挿入はTRP5座位で以下のプライマーの組み合わせを用いて検証した:TRP5.1/URA3.1(配列番号:21および75)およびTRP5.2/K1(配列番号:22および74)。CORE-UHの挿入はTRP5座位でTRP5. 1/URA3.1およびTRP5.2/H1を用いて検証した。CORE-Kp53の挿入についてはTRP5.1/K.1(配列番号:21および74)およびTRP5.2/p7(配列番号:22および74)を用いた;CORE-Hp53の挿入についてはTRP5.1/H.1(配列番号:21および76)およびTRP5.2/p7(配列番号:22および77)を用いた。CORE-カセットの切出しおよび配列解析は以下のプライマーを用いて行った:TRP5.1/TRP5.2(配列番号:21および22)。
【0285】
組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)変異誘発
TRP5のコドン334位にサイレント変異を作製するために用いたIROは、TRP5.e(5' -47...-1, +1...+48;配列番号:35)、TRP5.f(5' +48...+1, -1...-47;配列番号:36)であった。
【0286】
各形質転換による細胞を単一のYPDプレートに播き、30℃でインキュベートした上で翌日に5-FOAプレートまたはGALプレートへのレプリカプレーティングを行った。GALプレート上で増殖させる細胞は、バックグラウンドの増殖を減らすために、毎日新たなGALプレートへのレプリカプレーティングを行った。3日後にコロニーを5-FOAプレートまたはGALプレートからYPDプレート、G418プレート、TrpプレートおよびYPGプレート(プチット変異体を除外選択するため)にレプリカプレーティングした。
【0287】
結果:代替的なCORE-カセットおよびp53の対抗選択マーカーとしての使用
4種類のさらなるCORE-カセットを構築した:CORE-UK(KlURA3およびkanMX4)、CORE-UH(KlUR43およびHygroR)、CORE-Kp53(kanMX4およびGAL-p53)およびCORE-Hp53(HygroRおよびGAL-p53)。このすべてのカセットを、delitto perfetto法において、上記のように新たなBamHI部位を生成する変異である、TRP5遺伝子における部位特異的変異およびサイレント変異の迅速な作製に関して検討した。CORE-カセットをBY4742株およびVL6α株のTRP5遺伝子中のnt 1002位と1003位との間にターゲティング導入し、Trp細胞(BY4742-TRP5-COREおよびVL6α-TRP5-CORE)を得た。生じた細胞を、BamHI変異部位を含む2つの80-nt IRO TRP5.eおよびTRP5.fを用いて形質転換させ、その後に5-FOA耐性のあるG418SまたはHygroSコロニーを単離した(表2)。
【0288】
(表2)delitto perfetto変異誘発における種々のCORE-カセットの有効性
Figure 2005500841
a 種々のCORE-カセット:CORE-UK、CORE-UH、CORE-Kp53およびCORE-Hp53がTRP5座位に組み込まれたBY4742株およびV16α株。
b IROを細胞に直接添加した。
c 0.5ナノモルの各IROにより形質転換された生細胞107個当たりの5-FOARクローンの数。
d 形質転換頻度:0.5ナノモルの各IRO当たり、生細胞107個当たりのG418SクローンまたはHygroSの数。
【0289】
各菌株に由来する4つの独立したG418SクローンまたはHygroSクローンをBamHI部位の存在に関して調べたところ、オリゴ体のターゲティングが正確であることが示された。このため、p53アレルV122Aは一般的な対抗選択マーカーとして用いうる。
【0290】
ここではCORE-カセット形式を用いて例示しているが、本実施例において作製したカセットは、単にカセット内の他のエレメントを変更するだけで、CORE-DSB-カセットおよびRE-DSB-カセット形式にも同じく用いうると考えられる。この代替的な態様は詳細に想定されており、このため本開示に含められる。
【0291】
実施例5:delitto perfetto-DSB変異誘発
本実施例では、発現誘導性二本鎖切断酵素および対応する二本鎖切断部位を、レポーターマーカー(RE-DSB)または対抗選択遺伝子とレポーターマーカー(CORE-DSB)を含むカセットに導入する、delitto perfetto-DSB変異誘発の代表的な説明を提示する。IROの導入の前に、二本鎖切断酵素の誘導およびその結果としての発現を行うことにより、対応する部位での二本鎖切断が誘発され、それによってIROを介した変化が非常に高い頻度でもたらされる。
【0292】
実験プロトコール
酵母株および増殖条件
用いた酵母株は以下の通りである:BY4742、および、E133の派生株であるE133a(S1-A12:MATa、ade5-1、lys2-12A、trp1-289、his7-2、leu2-3、112、ura3-52;未発表)。細胞は標準的なリッチ培地(YPD)、グリセロール培地(YPG)、およびウラシル(SD Ura)またはトリプトファン(SD Trp)を含まない合成最小培地中で増殖させた。ジェネティシン(G418)耐性細胞は200μg/mlのG418を含むYPDプレート上で増殖させた。ハイグロマイシン耐性細胞は200μg/mlのハイグロマイシン(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含むYPDプレート上で増殖させた。。Ura細胞は5-フルオロオロト酸(5-FOA)を含む合成完全培地上で選別した。オリゴヌクレオチドによる形質転換を行う前の細胞は、グルコースの代わりに0.02、0.2または2%ガラクトースを含む液体合成完全培地(GAL)中で増殖させた。
【0293】
プラスミド
CORE-DSBカセットを含むプラスミドを以下の通りに命名した:pCORE-GALSceKUおよびpCORE-GALSceHU。プラスミドpCORE-GALSceKUおよびpCORE-GALSceHUは、GAL1/10プロモーターの制御下にあるI-SceI遺伝子を含む1.4kbのBglII断片を、pCORE-UKおよびpCORE-UHのBglII部位にクローニングすることによって構築した。GAL1/10プロモーターの制御下にあるI-SceI遺伝子を含む1.4kb断片は、PCR増幅によってpWY203ベクター(GalliおよびSchiestl、Genetics 149, 1235-1250, 1998)から入手し、これには以下のプライマーを用いた:BglII部位を含むSce.F1およびSce.R。
【0294】
PCR増幅および配列解析
pCORE-GALSceKUおよびpCORE-GALSceHUに由来するRE-DSBカセットは、Taq DNAポリメラーゼ(Roche, Indianapolis, IN)を用い、94℃ 30秒間、56℃ 30秒間および72℃ 3分間のサイクルを32サイクル行うことにより、それぞれ2.7kbおよび3.0kbのDNA断片として対応するベクターから増幅した。
【0295】
染色体座位への短いCORE-カセットの組込みのために、ゲノム標的座位の適切な隣接領域に対して相同な50ヌクレオチド、および4種類のCORE-DSBカセットすべての増幅を可能にする、以下に示す20および38ヌクレオチドからなり、I-SceI部位をも含む、1つのキメラ性70-merおよび1つのキメラ性88-merを設計した:
【0296】
kanMX4またはHygroR側については
Figure 2005500841
(全オリゴヌクレオチドは配列番号:70に示されている)および
GAL1/10::I-SceI側については
Figure 2005500841
(I-SceI部位は太字)(全オリゴヌクレオチドは配列番号:65に示されている)。
【0297】
pCORE-GALSceKUおよびpCORE-GALSceHU由来のCORE-DSBカセットは、Taq DNAポリメラーゼ(Roche, Indianapolis, IN)を用いて、94℃ 30秒間、56℃ 30秒間および72℃ 4分30秒間のサイクルを32サイクル行うことにより、それぞれ4.6kbおよび4.9kbのDNA断片として、対応するベクターから増幅した。
【0298】
染色体座位へのCORE-カセットの組込みのために、ゲノム標的座位の適切な隣接領域に対して相同な50ヌクレオチド、および4種類のCORE-DSBカセットすべての増幅を可能にする、以下に示す20および38ヌクレオチドからなり、I-SceI部位をも含む、1つのキメラ性70-merおよび1つのキメラ性88-merを設計した:
【0299】
KlUKA3側については
Figure 2005500841
(全オリゴヌクレオチドは配列番号:61に示されている)および
GAL1/10::I-SceI側については
Figure 2005500841
(I-SceI部位は太字)(全オリゴヌクレオチドは配列番号:65に示されている)。
【0300】
TRP5遺伝子へのRE-DSB(I-SceI部位+GAL1-I-SceI+kanMX4)または(I-SceI部位+GAL1-I-SceI+HygroR)カセットの初期挿入は、以下のプライマーを用いて行った:TRP5.IK/TRP5.SceII。I-SceI部位はカセットの両側に異なる向きに配置しうる:両方のカセットに関して、TSce.IK/TRP5.IIもしくはTecS.IK/TRP5.IIまたは2つの反転I-SceI部位をともにカセットの一方に配置することができる:TRP5.IK/TscecS.IIまたは2つのI-SceI部位をカセットの両側に直接(TSce.IK/TRP5.SceII)または反対向き(TecS.IK/TRP5.SceII)に配置することができる。
【0301】
これらのプライマーを用いた増幅により、上流および下流の染色体配列それぞれ50ヌクレオチドがCORE-DSBカセット自体を挟み込んだPCR産物が得られた。K.2、H.2およびSce.2は、CORE-DSBカセット内の、それぞれkanMX4、HygroRおよびGAL1/10I-SceIの内部にある内部プライマーである。
【0302】
RE-DSBカセットの挿入はTRP5座位で以下のプライマーの組み合わせを用いて検証した:TRP5.1/K2またはTRP5.1/H2およびTRP5.2/Sce.2。
【0303】
CORE-カセットの切出しは以下のプライマーを用いて行った:TRP5.1/TRP5.2。
【0304】
組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)変異誘発
用いたIRO:TRP5.e(5' -47...-1, +1...+48)、TRP5.f(5' +48...+1, -1...-47)、TRP5.e1(5' -40...-1, +1...+41),TRP5.f1(5' +41...+1, -1...-40)、TRP5.e2(5' -25...-1, +1...+26)、TRP5.f2(5' +26...+1, -1...-25)、TRP5.e3(5' -20...-1, +1...+21)、TRP5.f3(5' +21...+1, -1...-20)、TRP5.e4(5' -15...-1, +1...+16)、TRP5.f4(5' +16...+1, -1...-15)。
【0305】
形質転換前の細胞は、I-SceIエンドヌクレアーゼの発現を誘導するために液体GAL中で20分〜5時間増殖させた。この酵素はカセット内のその部位を標的とし、DBSを生成する。各形質転換による細胞をTrpプレートまたはYPDプレート上に直接播き、30℃でインキュベートした。
【0306】
TRP5遺伝子へのCORE-DSB(I-SceI部位+GAL1-I-SceI+kanMX4+KlURA3)または(I-SceI部位+GAL1-I-SceI+HygroR+KlURA3)カセットの初期挿入は以下のプライマーを用いて行った:TRP5.I/TRP5.SceII。I-SceI部位はカセットの両側に異なる向きに配置しうる:両方のカセットに関して、TSce.IU/TRP5.IIもしくはTecS.IU/TRP5.IIまたは2つの反転I-SceI部位をともにカセットの一方の側に配置することができる:TRP5.I/TscecS.IIまたは2つのI-SceI部位をカセットの両側に直接(TSce.IU/TRP5.SceII)または反対向き(TecS.IU/TRP5.SceII)に配置することができる。
【0307】
これらのプライマーを用いた増幅により、上流および下流の染色体配列それぞれ50ヌクレオチドがCORE-DSBカセット自体を挟み込んだPCR産物が得られた。URA3.1およびSce.2は、CORE-DSBカセット内の、それぞれKlURA3およびGAL1/10I-SceIの内部にある内部プライマーである。
【0308】
CORE-DSBカセットの挿入はTRP5座位で以下のプライマーの組み合わせを用いて検証した:TRP5.1/URA3.1およびTRP5.2/Sce.2。
【0309】
CORE-カセットの切出しは以下のプライマーを用いて行った:TRP5.1/TRP5.2。
【0310】
組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)変異誘発
用いたIRO:TRP5.e(5' -47...-1、+1...+48)、TRP5.f(5' +48...+1, -1...-47)、TRP5.e1(5' -40...-1, +1...+41)、TRP5.f1(5' +41...+1, -1...-40)、TRP5.e2(5' -25...-1, +1...+26)、TRP5.f2(5' +26...+1, -1...25)。TRP5のコドン334位にサイレント変異を作製するために用いた別のIROは、TRP5.e3(5' -20...-1, +1...+21)、TRIP5.f3(5' +21...+1, -1...-20)、TRP5.e4(5' -15...-1、+1...+16)、TRP5.f4(5' +16...+1, -1...-15)であった。
【0311】
形質転換前の細胞は、I-SceIエンドヌクレアーゼの発現を誘導するために液体GAL中で20分〜5時間増殖させた。この酵素はカセット内のその部位を標的とし、DBSを生成する。各形質転換による細胞をTrpプレートまたはYPDプレート上に直接播き、30℃でインキュベートした上で、翌日に5-FOAプレートにレプリカプレーティングした。3日後にコロニーを5-FOAプレートまたはGALプレートからYPDプレート、G418プレート、TrpプレートおよびYPGプレート(プチット変異体を除外選択するため)にレプリカプレーティングした。
【0312】
結果:delitto perfetto-DSBシステム
delitto perfetto-DSB法を、新たなBamHI部位を生成するサイレント変異であるTRP5遺伝子におけるサイレント変異の導入により、TRP5座位におけるゲノム中への部位特異的変異のハイスループット作製に対して適用した。
【0313】
RE-DSBカセットおよびCORE-DSBカセットをBY4742株のTRP5遺伝子中のnt 1002位と1003位との間にターゲティング導入し、Trp細胞(BY4742-TRP5-CORE)を得た。RE-DSBを含む細胞に対して、DSBの非誘導下および誘導下(GAL 2%中で5時間)で、カセット挿入部位に隣接したBamHI変異部位を含む、2つの96-nt IRO TRP5.eおよびTRP5.f、または51-mer TRP5.e2およびTRP5.f2、または41mer TRP5.e3およびTRP5.f3、または31-mer TRP5.e4およびTRP5.f4を用いて形質転換を行い、その後にTrpコロニーを単離した(表3)。
【0314】
(表3)DSB誘導後のIRO変異誘発の頻度
Figure 2005500841
a 「誘導せず」:細胞をグルコース培地中で増殖させた;「誘導」:細胞を2%ガラクトースの存在下で5時間増殖させた。
b IROを細胞に直接添加した。
c 0.5ナノモルの各IROによる形質転換後にTrpプレート上で増殖したTrpクローンの数。
d 0.5ナノモルの各IROによる形質転換の後、102倍希釈後にTrpプレート上で増殖したTrpクローンの数。
e 0.5ナノモルの各IROによる形質転換の後、104倍希釈後にTrpプレート上で増殖したTrpクローンの数。
f 0.5ナノモルの各IROによる形質転換の後、105倍希釈後にYPDプレート上で増殖した生存クローンの総数。
g 3〜4回の独立した形質転換実験による平均クローン数
【0315】
YPD上で増殖したコロニー(表3の最も右側のコロニー)のTrp培地への直接レプリカ
プレーティングにより、Trpクローンが2〜5%得られた。これがDSB誘導後のIROによるターゲティングの効率である。
【0316】
実施例6:ゲノム配列の欠失
最大16kbのゲノムDNAを欠失させ、欠失プロセスが完了した後に異種DNAが全く残らないようにするために、delitto perfetto法(例えば、実施例1)を用いた。上記のように、最初のCORE-カセットを標準的な相同組換え法により、BY4742株のTRP5座位にターゲティング導入した。これにより、Ura+(5-FOA感受性)およびG418耐性の細胞が得られた。
【0317】
3'末端に20塩基の重複があり、同じくStuI制限部位をも含む、一連の4つの60-mer(1Stu.a、1Stu.b、2Stu.aおよび2Stu.bと命名(それぞれ配列番号:55〜58))を設計した。1Stu.aおよび1Stu.b、1Stu.aおよび2Stu.b、2Stu.aおよび1Stu.b、2Stu.aおよび2Stu.bのアニーリングおよびインビトロ伸長により、CORE-カセットの上流領域および下流領域の配列に対して相同な50bpを含む100bpの二本鎖分子が生じた。これらの二本鎖分子を用いて細胞の形質転換を行い、前記の通りに形質転換体である5-FOA耐性G418感受性クローンを単離した。1Stu.aおよび1Stu.bは染色体VII上のTRP5座位の周辺に16kbの欠失が生じるように設計されており、1Stu.aおよび2Stu.bは10.3欠失が生じるように設計され、2Stu.aおよび1Stu.bは8kb欠失が生じるように設計され、2Stu.aおよび2Stu.bは3.2kb欠失を生じるように設計されている。
【0318】
IROを用いて作製された種々のサイズの欠失に関する5-FOA耐性(5-FOAR)、G418感受性(G418S)クローンの数(3回の独立した形質転換事象による)は以下の通りである:3.2kb欠失については80.5、8kb欠失については27、10.3kb欠失については3.5、16kb欠失については2,5。CGR1.1およびSTT3.1プライマーを用いるコロニーPCRによって調べたすべてのG418Sクローンはカセットを消失しており、正しいStuI制限パターンを示した。
【0319】
本実施例に開示したものに類似した大規模な欠失を、delitto perfetto-DSBシステムを用いて作製することもできる。
【0320】
実施例7:相同組換えに著しい障害がある状況(例えば、rad52-ヌルバックグラウンド)でのdelitto perfetto-DSBアプローチを用いたIROによるターゲティング
【0321】
本明細書において考察したように、delitto perfettoシステムにおいて、最初のCORE-カセットとの置換によるIRO(単一または対のいずれとして細胞に供給するかにかかわらず)の組込みは、RAD52遺伝子に依存しており、RAD50およびMRE11に部分的に依存するように思われた。現在では、驚くべきことに、CORE-DSB(またはRE-DSB)カセットがゲノム中にひとたび配置されれば、効率の高い組換えシステムが存在しなくてもDSB増強型アプローチを用いうることが明らかになっている。
【0322】
RE-DSBカセットにおけるDSBの誘導はIROを用いた極めて効率的なターゲティングをもたらすため、ターゲティング効率の変化を、RAD52遺伝子の非存在下で検討した。野生株および変異株(RAD52::LEU2;2つの独立した分離株)に対して、対照動原体プラスミドYcp50(Roseら、Gene、60: 237-243, 1987)(URA3遺伝子を含む)または以下のTRP5 IRO:TRP5.e+f、TRP5.e2+f2、TRP5.e3+f3およびTRP5.e4+f4による形質転換を行った。
【0323】
YCp50を用いた反復形質転換において、野生型形質転換レベルはがrad52変異型のものよりも約2〜3倍高く、これはrad52変異型におけるプレーティング効率の低下に起因すると思われた。DSB誘導の非存在下では完全なRAD52依存性が観察された。しかし、DSB誘導後には高レベルのIROターゲティングが観察された(表4)。これらの結果は、delitto perfetto-DSB変異誘発時のオリゴヌクレオチド置換がRAD52の非存在下でも起こりうることを示しており、RAD52機能とは独立した残余レベルの相同組換えターゲティングの存在を強く示すものである。
【0324】
(表4)rad52-ヌルバックグラウンドにおけるDSB誘導後のIROターゲティングの頻度
Figure 2005500841
a 「誘導せず」:細胞をグルコース培地中で増殖させた;「誘導」:細胞を2%ガラクトースの存在下で5時間増殖させた。
b 2つの独立したrad52ヌル分離株を用いた:Δrad52(1)およびΔrad52(2)。
c IROを細胞に直接添加した。
d 0.5ナノモルの各IROによる形質転換後にTrpプレート上で増殖したTrpクローンの数。各値は3回の独立した形質転換実験の平均である。
【0325】
実施例9:キット
本明細書中に開示した、delitto perfetto変異誘発法およびdelitto perfetto-DSB変異誘発法、ならびにこのような方法を行うために必要なまたは有用な成分を、インビボ変異誘発反応の実施に用いるためのキットの形態で供給することができる。このようなキット中には、ある量の1つまたは複数のCORE-カセット、CORE-DSBカセット、RE-カセットおよび/または1つもしくは複数のIROを、1つまたは複数の容器に入れて提供する。核酸分子は、例えば、水相溶液中に懸濁化してもよく、または凍結乾燥粉末として提供してもよい。選択的には、キットは1つまたは複数の適切な酵母株または他の生物の細胞も含む。
【0326】
また、本発明によるキットは、CORE-カセットおよび/または1つもしくは複数のIROを用いてインビボ変異誘発反応を行う上で利用者を補助するための説明書、通常は書面の形式の説明書も含みうる。このような説明書を、選択的には、コンピュータ可読媒体を通じて提供することもできる。
【0327】
核酸を供給する容器は、例えば、微量遠心管、アンプルまたは瓶などの、供給される形態を保持しうる任意の従来の容器でよい。用途によっては、核酸をあらかじめ計量された単回使用量として、個別の、典型的には使い捨て式の、チューブまたは同等の容器に入れて提供することもできる。
【0328】
キット中に供給される、それぞれのCORE-カセットまたはオリゴヌクレオチドIRO(またはIRO対)の量は、例えば、製品が対象とする市場に応じた、任意の適切な量であってよい。例えば、キットが研究用または臨床用に適合化される場合には、提供される各IROの量は、いくつかの形質転換反応を媒介するのに十分な量である可能性が高い。本明細書中に例示した例は、単一の形質転換のために有用なIROの量に関する指針になる。
【0329】
同様に、インビトロ増幅反応のためのオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットの場合には、例示した態様は、単一の増幅反応のために有用な量の指針になる。さらに、当業者は、単一の増幅反応に用いるのに適したオリゴヌクレオチドプライマーの量を把握している。一般的な指針は、例えば、Innisら(「PCRプロトコール:方法および応用への手引き(PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications)」、Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1990)、Sambrookら(「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor, New York, 1989)およびAusubelら(「分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、Greene Publ. Assoc. and Wiley-Intersciences, 1992)に記載されている。
【0330】
いくつかの態様において、キットは、例えば、DNA試料調製試薬、適切な緩衝液(例えば、ポリメラーゼ緩衝液)、塩(例えば、塩化マグネシウム)およびデオキシリボヌクレオチド(dNTP)を含む、PCR増幅反応を行うために必要な試薬の1つまたは複数も含みうる。いくつかの態様において、キットが、形質転換反応を行うために必要な試薬の1つまたは複数を含んでもよい。例えば、酵母(特に出芽酵母(S. cerevisiae))系の使用に適合化されたキットの場合には、キットは酢酸リチウム、または酵母の形質転換に用いられる他の緩衝液もしくは試薬を含みうる。
【0331】
また、キットに、インビトロ増幅反応または形質転換反応に用いるための1つまたは複数の陽性対照または陰性対照核酸分子を用意することも有益と考えられる。このような対照核酸分子の設計は当業者には公知である。いくつかの態様においては、対照株、例えば組換えに対する能力のない陰性対照株(例えば、酵母rad52株)を用意してもよい。同様に、適した陽性対照株としては、IRO形質転換の成功(または失敗)の検出を可能にするCOREカセットがゲノム中に組み入れられたものが考えられる。例えば、1つの代表的な陽性対照株は、既存のTRP5変異型遺伝子中にCORE-カセット(またはキットによってはCORE-DSB-カセットもしくはRE-DSBカセット)を含んでおり、このためIRO TRP5.eおよびTRP5.f(上記の通り)を用いた形質転換により、Trp表現型を示し、TRP5に新たなBamHI部位とともにサイレント変異を有する細胞が生じるような、酵母株(BY4742など)である。
【0332】
本開示は、点変異、欠失、挿入および置換を含む、部位指定変異誘発および/またはランダムインビボ変異誘発のための方法を提供する。本開示はさらに、このような変異誘発方法のために必要なまたは有用な成分、ならびにこのような方法を行うためのキットも提供する。記載した方法の厳密な詳細を、記載した発明の趣旨を逸脱することなしに変更または改変しうることは明らかであると考えられる。本発明者らは、このようなすべての改変および変更が、特許請求の範囲および趣旨に含まれることを主張する。
【図面の簡単な説明】
【0333】
【図1】組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)を用いるdelitto perfettoシステムの2種類の態様を示した概略図である;一方の態様はある配列の欠失を例示し、もう一方はある特定の点変異の作製を例示している。
例示された態様のいずれにおいても、段階1では、KlURA3(対抗選択可能)およびkanMX4(レポーター)を備えたCORE(対抗選択可能なレポーター(COunterselectable REporter)の頭文字)カセットが、標準的なDNAターゲティング手順により、あるDNA配列の箇所に挿入される。これらの態様において、挿入部位は、欠失させようと選択した配列中の任意の箇所であるか、または特定の変異を作製しようとする部位の近傍にある。
段階2では、IROを用いた、CORE-カセットを含む細胞の形質転換により、CORE-カセットの消失、および(1)所望の領域の欠失、または(2)所望の変異(*)の導入がもたらされる。一般的DNA配列を斑点または縞模様の入った枠として示している。例示した態様において、IROには短い重複がある。
【図2】IROを用いる形質転換により、指定された配列中に生じたいくつかの具体的な変化を例示している。
MLP2(A)、POL30(B)、TRP5(C)、SIR2(D、E)、RAD50(F)およびMRE11(G)の内部の標的座位が、野生型ヌクレオチドおよびアミノ酸配列とともに示されている。星印(*)は終止コドンを表す。DNA配列の変化および対応するアミノ酸置換は、矢印の下に太字で示されている。縦方向の破線は、指定された変異を遂行するためにCORE-カセットが組み込まれた各配列中の位置を示す。個別の野生型DNA配列の上にある小さな数字は、CORE-カセットが組み込まれた場所を基準としたヌクレオチド位置に対応する。
【図3】実施例の項に記載された通りのインビボ変異を作製するために単独または対として用いられる、いくつかの種類のIROの構造を示すとともに、例示したシステムの相対的な形質転換効率を示している。
IRO aおよびbは3'末端に20塩基の重複があり、一方、cおよびdは5'末端に20塩基の重複がある;eおよびf、e1およびf1、ならびにe2およびf2は完全に重複している。IRO対であるe+jまたはf+iは互いに重複していない。IRO-ヌクレオチド長は左に示されている。
横方向の点線は、Pfxポリメラーゼによるa+bオリゴヌクレオチド対のインビトロ伸長を表す。縦方向の破線は、CORE-カセット組込み点の上流または下流の領域に対して相同なIRO内部のそれぞれの配列を区分している(このため、これはCORE-カセットが消失する前に存在した部位を示す)。
形質転換効率の定性的な概要を種々のIROの右側に++、+および-として提示しており、これはそれぞれ効率が高い、中程度または極めて低いことを表す。
【図4】BY4742-TRP5-CORE株およびrad52同質遺伝子株に単一のIRO(A)またはIRO対(G)を用いた形質転換実験での5-FOAR G418Sクローンの細胞107個当たりの具体的な頻度を示している。縦方向のバーは3〜6回の測定による95%信頼区間の値を表している。
分析したIROのタイプを各バーの下に示している(IROは図3に例示した通りである)。Pfxは形質転換の前にインビトロ伸長を行ったオリゴヌクレオチドを示し、rad52はrad52株で得られた結果を示している。用いた各オリゴヌクレオチドの量は、別に指示する場合(2倍または10倍)を除き、0.5ナノモルである。各バーの下方には、5-FOAR G418Sクローン/細胞107個の数の平均値、続いてTrpクローンの平均値、最後に5-FOAR G418Sクローンに占めるTrpの比率を示している。略号:n. c.、陰性対照(IROを含まないDNA);NA、適用せず。
G418S組込み体におけるTrpクローンの割合は高く、このことからTRP5を不活性化する別の点変異の頻度は低いことが示された。用いたIROの各タイプに対して5種類のランダムTrpクローンを調べたところ、予想されるBamHIバンドを含むことが示され、このことから所望の変異がTRP5遺伝子に首尾良く挿入されたことが示された。シークエンシング用にランダムに選択した9つのTrp G418Sクローンのすべてが、IRO領域内に限局したフレームシフト変異を有していた。
【図5】delitto perfetto変異誘発法の3種類の態様の概略図を示したものであり、種々の変異を迅速に作製する上での本技法の汎用性の一部を例示している。
図5Aは、相補的な95-merのe+fが部位指定変異に用いうる15ntの中央部を有する、1つの態様を示している。効率的な相同組込みのためのある種の態様では、IROの各末端の40nt(CORE-カセット組込み部位の上流および下流)は変化しないままである。
図5Bは、Pfxにより充填した80-merのa+bが変異誘発可能な60ntの領域を有する、1つの態様を示している。これらの60ntのうち、重複部の両側の20ntをランダム変異誘発のために設計することもできる。図5Aの場合と同じく、効率的な相同組込みのためのある種の態様では、各末端の40ntは変化しないままである。
図5Cは、組み込まれたCORE-カセットを移動させずに、80〜100-merのさまざまな対(ここではa+b Pfxまたはe+fと同様にm+n Pfxと称する)を用いて、部位特異的な変異をCORE-カセット組込み点の上流または下流の最大100bpまでの範囲で導入しうる、1つの態様を示している。
この図は、IRO m+n Pfxを用いて、ある変異(*)をCORE-カセット組込み点の100bp上流に導入するために設計されたオリゴヌクレオチドの一例を示している。IRO配列中の変異位置が5'末端の近くに位置するほど変異誘発効率は低下すると考えられるが、COREの切出しをもたらすIRO組換え事象がIRO中の変異を含めることなく起こりうるためである。
【図6】p53のDNA結合ドメインの全体にわたる変異のインビボ部位特異的ターゲティングのための戦略の一例を示している。
CORE-カセットがp53のDNA結合ドメイン内の異なる位置にそれぞれ組み込まれた7種類の同質遺伝子株を作製している;菌株1(図6A)、菌株2(図6B)および菌株7(図6C)の構築について示している。
p53変異は、所望の変異を含むオリゴヌクレオチドを単に設計することのみによって作製しうる。CORE-カセットの周囲の領域に対して相同な20bpの重複性オリゴヌクレオチドを用いた形質転換により、COREカセットの除去および部位特異的変化の生成がもたらされる。変異は各CORE-カセット挿入点の45塩基対上流および下流に設計可能である。例示した具体的な態様は、ヌクレオチド315位(菌株1;図6A)、ヌクレオチド410位(菌株2;図6B)またはヌクレオチド885位(菌株7;図6C)に挿入されたCORE-カセットよりも下流への変異の導入を示している。
【図7】変異を作製するために組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)を利用する、delitto perfetto-DSBシステムの1つの態様を例示している。
DSB-COREカセットは、対抗選択遺伝子およびレポーター遺伝子に加えて、例示したGAL1/10プロモーターなどの誘導性プロモーターの制御下にあるI-SceIエンドヌクレアーゼを含む。I-SceIの発現により、同じくカセット内に含まれる、一意的な標的部位での二本鎖切断(DSB)が生じる。
段階1:DSB-COREカセットを、標準的なDNAターゲティング手順によって所望の部位に挿入する。挿入部位は、欠失させようと選択した配列中の任意の箇所であるか、または特定の1つもしくは複数の変異を作製しようとする部位の近傍にある。DSB-COREカセットは以下のものを含む:
i)Gal1/10プロモーターがI-SceIのオープンリーディングフレームと融合したもの(GAL1/10::I-SceI)。I-SceIはカセットに含められた切断部位にDSBを生成する。細胞内で切断される唯一のDNA部位がカセット内に位置する限り、任意の誘導性(すなわち、オン/オフ型)プロモーターを用いることができ、任意のDSB部位特異的切断酵素をDSB-COREカセット内に含めることができる。
ii)カセットの一方の端または内部に位置する、I-SceI切断部位(または、DSB部位特異的な切断酵素の標的である他の一意的な切断部位)。
iii)対抗選択可能なレポーター遺伝子(すなわち、対抗選択遺伝子Kl-URA3+kanMX4レポーター遺伝子)。
段階2:IROを用いる形質転換の直前に、I-SceIエンドヌクレアーゼの発現を誘導するガラクトースの存在下で細胞を増殖させる。この酵素はカセット内のその単一部位を標的とし、DSBを生成する。
段階3:IROを用いた細胞の形質転換により、カセットの消失、所望の変異の生成または所望の領域の欠失がもたらされる。DSBの近傍でのオリゴヌクレオチドターゲティング(delitto perfetto-DSB法)は、DSBを用いないオリゴ媒介性変化(delitto perfetto法)と比べて、最大1000倍に増加する。
【図8】delitto perfetto-DSB変異誘発法の態様の概略図を示したものであり、種々の変異を迅速に作製する上での本技法の汎用性の一部を例示している。
この図は、IRO m+n Pfxを用いて、ある変異(*)をCORE-DSB組込み点の100bp上流に導入するために設計されたオリゴヌクレオチドの一例を示している。RE-DSBはCORE-DSBの代わりに用いうる。CORE-DSBまたはRE-DSBを置換するIROによるDSB誘導後の変異誘発効率は、DSBを用いない場合(すなわち、COREカセットのみを用いる場合)よりも最大で1000倍高い。
【図9】CORE-DSBを用いる、p53のDNA結合ドメインの全体にわたる変異のインビボ部位特異的ターゲティングのための戦略の一例を示している。RE-DSBはCORE-DSBの代わりに用いうる。delitto perfetto-DSBアプローチを用いるIROターゲティングの効率は非常に高いため、CORE-DSBまたはRE-DSBカセットはより長い間隔で、すなわち互いに最大200bpの間隔で配置しうる。
CORE-DSBまたはRE-DSBカセットがp53のDNA結合ドメイン内の異なる位置にそれぞれ組み込まれた5種類の同質遺伝子株を作製する;菌株1(図9A)、菌株2(図9B)および菌株4(図9C)の構築について示している。
p53変異は、所望の変異を含むオリゴヌクレオチドを単に設計することのみによって作製しうる。CORE-DSBまたはRE-DSBカセットの周囲の領域に対して相同な20bpの重複性オリゴヌクレオチドを用いた形質転換により、カセットの除去および部位特異的変化の生成がもたらされる。変異は各CORE-カセット挿入点の100塩基対上流および下流に設計可能である。例示した具体的な態様は、ヌクレオチド315位(菌株1;図9A)、ヌクレオチド515位(菌株2;図9B)またはヌクレオチド915位(菌株4;図9C)に挿入された、CORE-DSBカセットよりも上流への変異の導入を示している。

Claims (91)

  1. 第1および第2の鎖を含む二本鎖核酸配列である、細胞内の標的二本鎖核酸配列に変異を導入するための方法であって、以下の段階を含む方法:
    二本鎖核酸カセットを挿入点で標的核酸配列中に導入する段階であって、カセットがRE-カセットであり、かつ
    挿入点の第1の側にある核酸配列に対して相同な第1の部分;
    挿入点の第2の側にある第2の核酸配列に対して相同な第2の部分;および
    第1の部分と第2の部分との間に位置するレポーターをコードする核酸配列
    を含む段階;
    挿入点の第1の側にある位置で標的核酸配列の一方の鎖(選択した鎖)に対して相同な核酸配列;および
    挿入点の第2の側にある位置で標的核酸配列の同じ鎖に対して相同な核酸配列
    を含み、標的核酸配列の選択した鎖とは異なる少なくとも1つのヌクレオチドを含む、第1のオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する段階;ならびに
    レポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失に関して選択する段階であって、レポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失により、標的核酸配列とは異なる少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列の組込みが示される段階。
  2. 二本鎖核酸カセットが、第1の部分と第2の部分との間に位置する対抗選択マーカーをコードする核酸配列をさらに含み、そのカセットがCORE-カセットと呼ばれる、請求項1記載の方法であって、対抗選択マーカーをコードする核酸およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失に関して選択する段階をさらに含み、対抗選択マーカーをコードする核酸配列およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失によって、標的核酸配列とは異なる少なくとも1つのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列の組込みが示される方法。
  3. 二本鎖核酸カセットが、
    二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、
    二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および
    二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーター、
    をさらに含み、
    そのカセットがRE-DSB-カセットと呼ばれる、請求項1記載の方法。
  4. 二本鎖核酸カセットが、
    二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、
    二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および
    二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーター、
    をさらに含み、
    そのカセットがCORE-DSB-カセットと呼ばれる、請求項2記載の方法。
  5. 二本鎖切断酵素の発現を誘導し、それによってカセットの内部に、組換えを誘発する二本鎖切断を誘発する段階、
    をさらに含む、請求項3または4記載の方法。
  6. オリゴヌクレオチド配列が、標的核酸配列とは異なる複数のヌクレオチドを含む、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
  7. 第1のオリゴヌクレオチドを用いた細胞の形質転換が、対抗選択マーカーをコードする核酸およびレポーター遺伝子をコードする核酸の両方の消失に関する選択の前に行われる、請求項2または4記載の方法。
  8. 第1のオリゴヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補的な第2のオリゴヌクレオチドを用いて、細胞を形質転換する段階をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
  9. 第1のオリゴヌクレオチドを用いた細胞の形質転換が、第2のオリゴヌクレオチドを用いた細胞の形質転換と同時に行われる、請求項8記載の方法。
  10. 第2のオリゴヌクレオチドが以下を含む、請求項8記載の方法:
    挿入点の第1の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列。
  11. 第2のオリゴヌクレオチドが以下を含む、請求項8記載の方法:
    挿入点の第2の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列。
  12. 第2のオリゴヌクレオチドが以下を含む、請求項8記載の方法:
    挿入点の第1の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列;および
    挿入点の第2の側にある位置で標的核酸配列に対して相同な核酸配列。
  13. 第1および/または第2のオリゴヌクレオチドが、標的核酸配列と比較して少なくとも1つのランダムなヌクレオチド変化を含む、請求項8記載の方法。
  14. 第2のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である、請求項8記載の方法。
  15. 2つのオリゴヌクレオチドの3'末端が相補的であるが、第1のオリゴヌクレオチドには挿入点の第2の側との相同性がなく、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない、請求項8記載の方法。
  16. 2つのオリゴヌクレオチドの3'末端が相補的であるが、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第2の側との相同性がなく、第1のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない、請求項8記載の方法。
  17. 2つのオリゴヌクレオチドの5'末端が相補的であるが、第1のオリゴヌクレオチドは挿入点の第2の側との相同性がなく、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない、請求項8記載の方法。
  18. 2つのオリゴヌクレオチドの5'末端が相補的であるが、第2のオリゴヌクレオチドには挿入点の第2の側との相同性がなく、第1のオリゴヌクレオチドには挿入点の第1の側との相同性がない、請求項8記載の方法。
  19. 対抗選択マーカーが、KlURA3、URA3、TRP5、TRP1、または毒素をコードする遺伝子である、請求項2または4記載の方法。
  20. 対抗選択マーカーが毒素をコードする遺伝子であり、毒素が誘導性制限酵素または誘導性p53遺伝子である、請求項19記載の方法。
  21. 誘導性p53遺伝子が毒性型である、請求項20記載の方法。
  22. レポーターが、細胞に抗生物質耐性を付与するポリペプチドをコードする、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
  23. 抗生物質が、G418、ハイグロマイシン、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ゼオシン、ナーセオスリシン、シクロヘキシミドまたはカナバニンである、請求項22記載の方法。
  24. レポーターが、アミノ酸合成経路またはヌクレオチド合成経路由来のポリペプチドをコードする、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
  25. ポリペプチドが、LEU2、TRP5、TRP1、LYS2、HIS3、またはADE2である、請求項24記載の方法。
  26. オリゴヌクレオチドが少なくとも30ヌクレオチド長である、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
  27. オリゴヌクレオチドが少なくとも40ヌクレオチド長である、請求項26記載の方法。
  28. オリゴヌクレオチドが少なくとも50ヌクレオチド長である、請求項26記載の方法。
  29. オリゴヌクレオチドが少なくとも80ヌクレオチド長である、請求項26記載の方法。
  30. 第1および第2のオリゴヌクレオチドがそれぞれ少なくとも30ヌクレオチド長である、請求項8または16記載の方法。
  31. 第1および第2のオリゴヌクレオチドがそれぞれ少なくとも40ヌクレオチド長である、請求項30記載の方法。
  32. 第1および第2のオリゴヌクレオチドが少なくとも50ヌクレオチド長である、請求項30記載の方法。
  33. 第1および第2のオリゴヌクレオチドが少なくとも80ヌクレオチド長である、請求項30記載の方法。
  34. 第1および第2のオリゴヌクレオチドの長さが異なる、請求項8または16記載の方法。
  35. 3'末端にある重複領域が少なくとも10塩基対である、請求項8または16記載の方法。
  36. 3'末端にある重複領域が少なくとも15塩基対である、請求項35記載の方法。
  37. 第1および第2のオリゴヌクレオチドの3'末端をインビトロ重合によって伸長しうる、請求項36記載の方法。
  38. 少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、複数のヌクレオチドの点で標的核酸配列とは異なる、請求項8記載の方法。
  39. 両方のオリゴヌクレオチドが、少なくとも単一のヌクレオチドの点で標的核酸配列とは異なる、請求項16記載の方法。
  40. 少なくとも1つのヌクレオチドの違いが、第1および第2のオリゴヌクレオチド間の重複領域の内側にある、請求項39記載の方法。
  41. 少なくとも1つのヌクレオチドの違いが、第1および第2のオリゴヌクレオチド間の重複領域の外側にある、請求項39記載の方法。
  42. 第1および第2の鎖を含む標的二本鎖核酸配列を細胞内から欠失させる方法であって、以下の段階を含む方法:
    二本鎖核酸カセットを挿入点で標的核酸配列中に導入する段階であって、カセットがRE-カセットであり、かつRE-カセットの第1の部分と第2の部分との間に位置するレポーターをコードする核酸配列を含む段階;
    関心対象の核酸の5'側の核酸の第1の鎖に対して相同な核酸配列;および
    関心対象の核酸配列の3'側の核酸の第1の鎖に対して相同な配列
    を含む第1のオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する段階;ならびに
    レポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失に関して選択する段階であって、標的二本鎖核酸からのレポーター遺伝子をコードする核酸配列の消失によって標的二本鎖核酸の欠失が示される段階。
  43. 二本鎖核酸カセットが、第1の部分と第2の部分との間に位置する対抗選択マーカーをコードする核酸配列をさらに含み、そのカセットがCORE-カセットと呼ばれる、請求項42記載の方法であって、対抗選択マーカーをコードする核酸配列およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失に関して選択する段階をさらに含み、対抗選択マーカーをコードする核酸配列およびレポーター遺伝子をコードする核酸配列の両方の消失によって、標的二本鎖核酸配列の欠失が示される方法。
  44. 二本鎖核酸カセットが、
    二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、
    二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および
    二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーター、
    をさらに含み、
    そのカセットがRE-DSB-カセットと呼ばれる、請求項42記載の方法。
  45. 二本鎖核酸カセットが、
    二本鎖切断認識部位を含む核酸配列、
    二本鎖切断認識部位を認識する二本鎖切断酵素をコードする核酸、および
    二本鎖切断酵素をコードする核酸と機能的に結合した誘導性プロモーター、
    をさらに含み、
    そのカセットがCORE-DSB-カセットと呼ばれる、請求項43記載の方法。
  46. 二本鎖切断酵素の発現を誘導し、それによってカセットの内部に、組換えを誘発する二本鎖切断を誘発する段階、
    をさらに含む、請求項44または45記載の方法。
  47. 欠失させる標的配列の長さが1bpから約16,000bpの範囲である、請求項42記載の方法。
  48. カセットの第1の部分が、挿入点の第1の側にある核酸配列に対して相同であり;かつ
    カセットの第2の部分が、挿入点の第2の側にある第2の核酸配列に対して相同である、
    請求項42から45のいずれか一項記載の方法。
  49. 標的二本鎖核酸配列の5'側の核酸の第2の鎖に対して相同な核酸配列
    を含む第2のオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する段階をさらに含み;
    第1のオリゴヌクレオチドの配列が、第2のオリゴヌクレオチドの配列の3'末端の少なくとも10ヌクレオチドに対して相同である、
    請求項42から45のいずれか一項記載の方法。
  50. 第1のオリゴヌクレオチドの配列が、第2のオリゴヌクレオチドの配列の3'末端の少なくとも15ヌクレオチドに対して相同である、請求項49記載の方法。
  51. 第2のオリゴヌクレオチドが、関心対象の核酸配列の3'側の核酸の第2の鎖に対して相同な配列をさらに含む、請求項49記載の方法。
  52. 第2のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である、請求項49記載の方法。
  53. 対抗選択マーカーが、KlURA3、URA3、TRP5、TRP1、または毒素をコードする遺伝子である、請求項42から45のいずれか一項記載の方法。
  54. 対抗選択マーカーが、KlURA3、URA3、TRP5、TRP1、または毒素をコードする遺伝子である、請求項49記載の方法。
  55. 対抗選択マーカーが毒素をコードする遺伝子であり、毒素が誘導性制限酵素または誘導性p53遺伝子である、請求項53記載の方法。
  56. 誘導性p53遺伝子が毒性型である、請求項55記載の方法。
  57. レポーターが、細胞に抗生物質耐性を付与するポリペプチドをコードする、請求項42から45のいずれか一項記載の方法。
  58. 抗生物質が、G418、ハイグロマイシン、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ゼオシン、ナーセオスリシン、シクロヘキシミドまたはカナバニンである、請求項57記載の方法。
  59. レポーターが、アミノ酸合成経路またはヌクレオチド合成経路由来のポリペプチドをコードする、請求項42から45のいずれか一項記載の方法。
  60. ポリペプチドが、LEU2、TRP5、TRP1、LYS2、HIS3またはADE2である、請求項59記載の方法。
  61. オリゴヌクレオチドが少なくとも30ヌクレオチド長である、請求項42から45のいずれか一項記載の方法。
  62. オリゴヌクレオチドが少なくとも40ヌクレオチド長である、請求項61記載の方法。
  63. オリゴヌクレオチドが少なくとも50ヌクレオチド長である、請求項61記載の方法。
  64. オリゴヌクレオチドが少なくとも80ヌクレオチド長である、請求項61記載の方法。
  65. 第1および第2のオリゴヌクレオチドがそれぞれ少なくとも20ヌクレオチド長である、請求項49記載の方法。
  66. 第1および第2のオリゴヌクレオチドがそれぞれ少なくとも30ヌクレオチド長である、請求項65記載の方法。
  67. 第1および第2のオリゴヌクレオチドがそれぞれ少なくとも40ヌクレオチド長である、請求項65記載の方法。
  68. 第1および第2のオリゴヌクレオチドが少なくとも50ヌクレオチド長である、請求項65記載の方法。
  69. 第1および第2のオリゴヌクレオチドが少なくとも80ヌクレオチド長である、請求項65記載の方法。
  70. 第1および第2のオリゴヌクレオチドの長さが異なる、請求項65記載の方法。
  71. 第1および第2のオリゴヌクレオチドが少なくとも20ヌクレオチド長であり、3'末端にある重複領域が少なくとも10塩基対である、請求項65記載の方法。
  72. 第1および第2のオリゴヌクレオチドが少なくとも40ヌクレオチド長であり、3'末端にある重複領域が少なくとも15塩基対である、請求項65記載の方法。
  73. 第1および第2のオリゴヌクレオチドの3'末端をインビトロ重合によって伸長しうる、請求項72記載の方法。
  74. 細胞が、相同組換えを達成しうる生物の細胞である、請求項1から4または42から45のいずれか一項記載の方法。
  75. 細胞が真菌細胞、細菌細胞、植物細胞または動物細胞である、請求項1から4または42から45のいずれか一項記載の方法。
  76. 細胞が真菌細胞であり、真菌細胞が酵母細胞である、請求項75記載の方法。
  77. 細胞が動物細胞であり、動物細胞がニワトリ細胞である、請求項75記載の方法。
  78. ニワトリ細胞がヒト染色体またはその断片を含む、請求項77記載の方法。
  79. 核酸配列中の変異を、変異が核酸の機能または発現パターンに影響を及ぼすか否かを判定するために評価するための方法であって、請求項1から4または42から45のいずれか一項記載の方法を含む方法。
  80. 核酸配列中の一連の変異を分析するための方法であって、以下の段階を含む方法:
    少なくとも2つの異なる変異が核酸配列に導入される、請求項79記載の方法を複数回行う段階;および
    核酸の機能または発現パターンを分析し、それによって核酸配列中の一連の変異を分析する段階。
  81. 核酸配列が哺乳動物の配列である、請求項79または80記載の方法。
  82. 核酸配列がポリペプチドをコードする、請求項79または80記載の方法。
  83. ポリペプチドの機能を評価する段階をさらに含む、請求項82記載の方法。
  84. 一倍体酵母の細胞において行われる、請求項79または80記載の方法。
  85. 二倍体酵母の細胞において行われる、請求項79または80記載の方法。
  86. 変異を遺伝子内部の任意の場所に導入して生物学的結果を評価しうるように、それぞれが遺伝子内部の異なる位置にカセットを有する一連の菌株または細胞系を作製する、診断ツールとして用いるための、請求項1から4または42から45のいずれか一項記載の方法。
  87. p53における欠陥の分析方法であって、p53変異型タンパク質における欠陥の影響を評価しうる様式で、p53変異型タンパク質を酵母内で発現させる、請求項1から4または42から45のいずれか一項記載の方法。
  88. p53変異型タンパク質における欠陥を評価する段階をさらに含む、請求項87記載の方法。
  89. delitto perfetto変異誘発に用いるための、CORE-カセット構築物、RE-DSB-カセット構築物またはCORE-DSB-カセット構築物。
  90. delitto perfetto変異誘発に用いるための組込み型組換えオリゴヌクレオチド(IRO)。
  91. ある量のCORE-カセット構築物、RE-DSB-カセット構築物またはCORE-DSB-カセット構築物、およびある量の組込み型組換えオリゴヌクレオチドを含む、核酸配列のインビボ変異誘発または欠失を行うためのキット。
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