しかしながら、以上の従来例の容量素子では、強誘電体又は高誘電体を容量絶縁膜として用いる立体構造からなる容量素子を、水素バリア膜によって完全に被覆する構造を容易に実現できないために、高性能であって且つ高集積である半導体記憶装置を実用化することができない。
以下、この理由について詳細に説明する。
第1の従来例において採用されている平面構造を有する容量素子では、容量素子の高さが非常に低いので、水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆した構造を形成した後であっても、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。さらに、下部に配置された水素バリア膜と接続すると共に容量素子の上部に配置された水素バリア膜を加工する際においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。
ところが、第2の従来例で採用されている凸型の立体構造を有する容量素子では、容量素子の高さが1μm程度必要になるので、ウエハー全面に渡って容量素子の高さに起因する段差を緩和することは非常に困難である。したがって、容量素子形成後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを確保することが非常に困難となる。さらに、下部に配置された水素バリア膜と接続すると共に容量素子の上部に配置された水素バリア膜を加工する際においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを確保することが非常に困難となる。
一方、第3の従来例で採用されている凹型の立体構造を有する容量素子では、容量素子は、ホール内に形成されるので、段差はほぼ生じない。つまり、水素バリア膜によって容量素子を被覆しない場合には、容量素子を形成した後に実施される配線形成時のリソグラフィー工程において、フォーカスマージンを確保することは非常に容易になる。
しかしながら、前述のように、第3の従来例には、水素バリア膜を用いた構造が開示されていない。そこで、第3の従来例に記載されている容量素子が水素バリア膜によって完全に被覆された構造、具体的には、容量素子の下部に配置された水素バリア膜と容量素子の上部又は側壁を被覆するように配置された水素バリア膜とが容量素子の下部において接続された構造を凹型の立体形状を有する容量素子に適用することを考える。
図24は、前記第3の従来例に係る容量素子を水素バリア膜によって被覆することを想定した構造を示す要部断面図である。なお、図24においては、図22と共通する箇所には同一の符号が用いられており、また以下では、図22と共通する箇所の説明は繰り返さない。
図24に示すように、凹型の立体形状を有する容量素子130の下層には、第1の水素バリア膜132が配置されており、さらに、容量素子130の上部及び側壁を被覆するように第2の水素バリア膜133が配置されている。第1の水素バリア膜132と第2の水素バリア膜133とは、第1の水素バリア膜132の上面において接続されている。
図24に示す構造である場合には、水素バリア膜を形成しない場合(図23参照)には存在しなかった段差が必ず発生する。具体的には、容量素子131の高さに相当する高さである1.3μm程度の段差が発生する。このように高い段差が形成されると、第2の従来例の場合と同様に、ウエハー全面に渡って前記段差を緩和することは非常に困難である。このため、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを確保することが非常に困難となる。さらに、下部に配置された水素バリア膜と接続されると共に容量素子の上部に配置された水素バリア膜を加工する際においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを確保することが非常に困難となる。
また一方、第4の従来例で採用されている円筒型の立体形状を有する容量素子でも、大容量化を実現するためには、容量素子の高さが1μm程度必要になるので、ウエハー全面に渡って容量素子の高さに起因する段差を緩和することは非常に困難である。第4の従来例においては、水素バリア膜に関する記述がなされていないために、第4の従来例に記載されている容量素子を水素バリア膜によって完全に被覆する構造、具体的には、容量素子の下部に配置された水素バリア膜と容量素子の上部又は側壁を被覆するように配置された水素バリア膜とが容量素子の下部で接続する構造を円筒型の立体構造を有する容量素子に適用することを考える。
図25は、前記第4の従来例に係る容量素子を水素バリア膜によって被覆することを想定した構造を示す要部断面図である。なお、図25においては、図23と共通する箇所には同一の符号が用いられており、また以下では、図23と共通する箇所の説明は繰り返さない。
図25に示すように、円筒型の立体構造を有する容量素子131の下層には第1の水素バリア膜134が配置されており、さらに、容量素子131の上部及び側壁を被覆するように第2の水素バリア膜135が配置されている。第1の水素バリア膜134と第2の水素バリア膜135とは、第1の水素バリア膜135の上面において接続されている。
図25に示す構造を採用した場合には、第1の水素バリア膜134と第2の水素バリア膜135とを接続する部分において、容量素子117の高さに相当する段差、具体的には、約1μm程度の段差が発生する。このように高い段差が発生すると、ウエハー全面に渡って前記段差を緩和することは非常に困難である。したがって、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを確保することが非常に困難となる。また、下部に配置された第1の水素バリア膜と接続されると共に容量素子の上部に配置された第2の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを確保することが非常に困難となる。
以上のように、従来例に示した立体構造を有する容量素子では、立体構造特有の形状に起因した課題を解決することが可能な、水素バリア膜によって最適に被覆された構造を実現することができない。このため、強誘電体又は高誘電体よりなる容量絶縁膜を用いた高性能であって且つ高集積である容量素子を実用化することができないという課題を有していた。
前記に鑑み、本発明の目的は、高段差を発生させることなく、水素バリア膜によって被覆される構造を有する容量素子及びその製造方法を提供することである。これにより、水素による容量絶縁膜の特性劣化を防止して、優れた特性を有する容量素子及びその製造方法を実現する。
前記の目的を達成するために、本発明の第1の容量素子は、下部電極と、下部電極に対向して形成された上部電極と、下部電極と上部電極との間に形成された強誘電体又は高誘電体よりなる容量絶縁膜とから構成された容量素子において、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極は、少なくとも、上面に第1の水素バリア膜が配置されている層間絶縁膜に設けられたホールの内部から該ホールの上方にかけて形成されており、上部電極の上面と該上部電極のうちホールの上方に形成されている部分の側面とを覆うように、第1の水素バリア膜と接する第2の水素バリア膜を配置していることを特徴とする。
第1の容量素子によると、容量素子の上面及び側面を覆う第2の水素バリア膜は、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続しているので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第2の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1及び第2の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
第1の容量素子において、ホールの側壁には、第1の水素バリア膜と接する第3の水素バリアが配置されていることが好ましい。
このようにすると、高い段差を発生させることなく、第1、第2及び第3の水素バリア膜によって容量素子を被覆することができ、特に第3の水素バリア膜によって、層間絶縁膜から容量素子の側面への水素の拡散を防止できるので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化をより抑制することができる。
この場合において、ホールの下側に、上面がホールの底部以上の大きさを有する第5の水素バリア膜が配置されており、第5の水素バリア膜と第3の水素バリア膜とは接していることが好ましい。
このようにすると、第1、第2、第3、及び第5の水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆することができ、特に第5の水素バリア膜によって、下方からの容量素子への水素の拡散を防止できるので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化をより確実に防止することができる。
第1の容量素子において、ホールの側壁には、第1の水素バリア膜と接する第3の水素バリアが配置されており、ホールの底部には、第3の水素バリア膜と接する第4の水素バリア膜が配置されていることが好ましい。
このようにすると、高い段差を発生させることなく、第1、第2、第3、及び第4の水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆することができ、特に第4の水素バリア膜によって、下方からの容量素子への水素の拡散を防止できるので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を確実に抑制することができる。
この場合において、ホールの下側に、少なくとも前記第4の水素バリア膜と接する第5の水素バリア膜が配置されていることが好ましい。
このようにすると、容量素子への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
さらに、層間絶縁膜の下には、導電性材料よりなる埋め込みプラグが設けられた下層絶縁膜が形成されており、埋め込みプラグの上端は、第5の水素バリア膜の下面と接していることが好ましい。
このように、容量素子と基板とを接続するプラグコンタクトを設けた場合であっても、容量素子を水素バリア膜によって完全に被覆することができる。
さらに、下層絶縁膜の最上層には、埋め込みプラグの周囲を覆うように形成された第6の水素バリア膜が配置されており、第6の水素バリア膜は、第5の水素バリア膜と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子への下方からの水素の拡散に対するバリア性能をより強化することができる。特に、下層絶縁膜からの水素の拡散の防止に効果がある。
さらに、埋め込みプラグにおける最上層には、第7の水素バリア膜が配置されており、第7の水素バリア膜は、第5の水素バリア膜と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子へのプラグコンタクトからの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
また、第1の容量素子において、層間絶縁膜の下には、導電性材料よりなる埋め込みプラグが設けられた下層絶縁膜が形成されており、埋め込みプラグの上端は、ホールの底部と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子と基板とを接続するプラグコンタクトを設けた場合であっても、容量素子の特性劣化を防止できる。
この場合において、下層絶縁膜の最上層には、埋め込みプラグの周囲を覆うように形成された第6の水素バリア膜が配置されており、第6の水素バリア膜は、ホールの底部と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。特に、下層絶縁膜からの水素の拡散の防止に効果がある。
この場合において、埋め込みプラグにおける最上層には、第7の水素バリア膜が配置されており、第7の水素バリア膜は、ホールの底部と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子へのプラグコンタクトからの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
前記の課題を解決するために、本発明に係る第2の容量素子は、下部電極と、下部電極に対向して形成された上部電極と、下部電極と上部電極との間に形成された強誘電体又は高誘電体よりなる容量絶縁膜とを備えた容量素子において、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極は、少なくとも、上面に第1の水素バリア膜が配置されている層間絶縁膜に設けられたホールの内部から該ホールの上方にかけて形成されており、上部電極の上面と該上部電極のうちホールの上方に形成されている部分の側面とを覆うように、第1の水素バリア膜と接する第2の水素バリア膜が配置されており、ホールの側壁と下部電極との間には、上面が第1の層水素バリア膜の上面の高さよりも高く延びている第3の水素バリア膜が配置されており、第3の水素バリア膜と第1の水素バリア膜とは、第3の水素バリア膜の外側の側面において接していることを特徴とする。
第2の容量素子によると、容量素子の上面及び側面を覆う第2の水素バリア膜は、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続しているので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第2の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1、第2及び第3の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、容量素子の上方又は側方から拡散する水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
第2の容量素子において、下部電極、容量絶縁膜、及び上部電極は、第3の水素バリア膜の上面及び外側の側面に沿うように、ホールの上方から第1の水素バリア膜の上面に延びていることが好ましい。
このようにすると、容量素子の面積を増大させることができるため、大容量の容量素子を実現できると共に、水素による容量絶縁膜の還元を起因とした容量素子の特性劣化を抑制できる。
第2の容量素子において、ホールの下側に、上面がホールの底部以上の大きさを有する第5の水素バリア膜が配置されており、第5の水素バリア膜と第3の水素バリア膜とは接していることが好ましい。
このようにすると、第1、第2、第3、及び第5の水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆することができ、特に第5の水素バリア膜によって、下方からの容量素子への水素の拡散を防止できるので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化をより確実に防止することができる。
第2の容量素子において、ホールの底部と下部電極との間には、第3の水素バリア膜と接する第4の水素バリア膜が配置されていることを特徴とする。
このようにすると、高い段差を発生させることなく、第1、第2、第3、及び第4の水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆することができ、特に第4の水素バリア膜によって、下方からの容量素子への水素の拡散を防止できるので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を確実に抑制することができる。
この場合において、ホールの下側に、少なくとも第4の水素バリア膜と接する第5の水素バリア膜が配置されていることが好ましい。
このようにすると、容量素子への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
さらに、層間絶縁膜の下には、導電性材料よりなる埋め込みプラグが設けられた下層絶縁膜が形成されており、埋め込みプラグの上端は、第5の水素バリア膜の下面と接していることが好ましい。
このように、容量素子と半導体基板とを接続するプラグコンタクトを設けた場合であっても、容量素子を水素バリア膜によって完全に被覆することができる。
さらに、下層絶縁膜の最上層には、埋め込みプラグの周囲を覆うように形成された第6の水素バリア膜が配置されており、第6の水素バリア膜は、第5の水素バリア膜と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子への下方からの水素の拡散に対するバリア性能をより強化することができる。特に、下層絶縁膜からの水素の拡散の防止に効果がある。
さらに、埋め込みプラグにおける最上層には、第7の水素バリア膜が配置されており、第7の水素バリア膜は、第5の水素バリア膜と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子へのプラグコンタクトからの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
また、第1の容量素子において、層間絶縁膜の下には、導電性材料よりなる埋め込みプラグが設けられた下層絶縁膜が形成されており、埋め込みプラグの上端は、ホールの底部と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子と半導体基板とを接続するプラグコンタクトを設けた場合であっても、容量素子の特性劣化を防止できる。
この場合において、下層絶縁膜の最上層には、埋め込みプラグの周囲を覆うように形成された第6の水素バリア膜が配置されており、第6の水素バリア膜は、ホールの底部と接していることが好ましい。
このようにすると、容量素子への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
この場合において、埋め込みプラグにおける最上層には、第7の水素バリア膜が配置されており、第7の水素バリア膜は、ホールの底部と接していることが好ましい。
第2の容量素子において、第1の水素バリア膜の上面から第2の水素バリア膜の最上面までの高さは、20nmから200nmの範囲であることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、第3の水素バリア膜は、下部電極と接している場合に、第3の水素バリア膜に導電性材料を使用すると、第3の水素バリア膜は、水素バリア性能だけではなく、下部電極へ電気を導通させる役割も兼ねることができる。
第1又は第2の容量素子において、第3及び第4の水素アリア膜は、下部電極と接している場合に、第3及び第4の水素バリア膜に導電性材料を使用すると、第3の水素バリア膜及び第4の水素バリア膜は、水素バリア性能だけではなく、下部電極へ電気を導通させる役割も兼ねることができる。
第1又は第2の容量素子において、第4の水素バリア膜は、水素の拡散防止膜であると共に酸素の拡散防止膜であることが好ましい。
このようにすると、強誘電体又は高誘電体を結晶化する際に必要となる600℃以上の高温酸素雰囲気でのアニールの際に、酸素が、下部電極と基板とを接続するプラグコンタクトへ拡散することに起因したコンタクト抵抗の高抵抗化を防止することができる。
第1又は第2の容量素子において、第7の水素バリア膜は、第6の水素バリア膜と接している場合には、容量素子への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化できる。
第1又は第2の容量素子において、第1の水素バリア膜は、SiN、SiON、Al2O3、TiAlO、TaAlO、TiSiO、及びTaSiOのうちのいずれか1つの材料又は複数の材料を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、第2の水素バリア膜は、SiN、SiON、Al2O3、TiAlO、TaAlO、TiSiO、TaSiO、TiAlN、TiAlON、TiSiN、TiSiON、TaAlN、TaAlON、TaSiN、TaSiON、Ti及びTaのうちのいずれか1つの材料又は複数の材料を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、第3の水素バリア膜は、SiN、SiON、Al2O3、TiAlO、TaAlO、TiSiO、TaSiO、TiAlN、TiAlON、TiSiN、TiSiON、TaAlN、TaAlON、TaSiN、TaSiON、Ti、及びTaのうちのいずれか1つの材料又は複数の材料を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、第4の水素バリア膜は、SiN、SiON、Al2O3、TiAlO、TaAlO、TiSiO、TaSiO、TiAlN、TiAlON、TiSiN、TiSiON、TaAlN、TaAlON、TaSiN、TaSiON、Ti、及びTaのうちのいずれか1つの材料又は複数の材料を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、第5の水素バリア膜は、SiN、SiON、Al2O3、TiAlO、TaAlO、TiSiO、TaSiO、TiAlN、TiAlON、TiSiN、TiSiON、TaAlN、TaAlON、TaSiN、TaSiON、Ti、及びTaのうちのいずれか1つの材料又は複数の材料を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、第6の水素バリア膜は、SiN、SiON、Al2O3、TiAlO、TaAlO、TiSiO、及びTaSiOのうちのいずれか1つの材料又は複数の材料を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、第7の水素バリア膜は、TiAlN、TiSiN、TaAlN、TaSiN、Ti、及びTaのうちのいずれか1つの材料又は複数の材料を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、導電性材料は、ポリシリコン又はタングステンであることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、容量絶縁膜は、SrBi2(TaxNb1-x)2O9、Pb(ZrxTi1-x)O3、(BixLa1-x)4Ti3O12、(BaxSr1-x)TiO3(但し、0≦x≦1)、又はTa2O5 よりなることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、下部電極は、Pt、Ir、又はRuの貴金属材料のうちのいずれか1つからなる単層膜又は複数からなる積層膜を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、下部電極は、導電性酸素バリア層を含み、導電性酸素バリア層は、Ir、IrO2、Ru、RuO2、TiAlN、TaAlN、TiSiN、及びTaSiNのうちのいずれか1つからなる単層膜又は複数からなる積層膜を含んでいることが好ましい。
第1又は第2の容量素子において、上部電極は、Pt、Ir、又はRuの貴金属材料のうちのいずれか1つからなる単層膜又は複数からなる積層膜を含んでいることが好ましい。
このように、容量素子の構造に最適な材料を選択することにより、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を実現できる。
また、前記の課題を解決するために、本発明に係る第1の容量素子の製造方法は、基板上に、層間絶縁膜を形成する工程と、層間絶縁膜の上に、第1の水素バリア膜を形成する工程と、第1の水素バリア膜及び層間絶縁膜に、コンタクトホールを形成する工程と、コンタクトホールの側壁及び底部を被覆するように、第1の水素バリア膜と接する第2の水素バリア膜を形成する工程と、第2の水素バリア膜を覆うように、下部電極、強誘電体又は高誘電体よりなる容量絶縁膜、及び上部電極を順次形成する工程と、上部電極の上面と該上部電極のうちホールの上方に形成されている部分の側面を覆うように、第1の水素バリア膜と接する第3の水素バリア膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
第1の容量素子の製造方法によると、容量素子の上面及び側面を覆う第3の水素バリア膜を、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続するので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第3の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1、第2及び第3の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
また、前記の課題を解決するために、本発明に係る第2の容量素子の製造方法は、基板上に、層間絶縁膜を形成する工程と、層間絶縁膜の上に、第1の水素バリア膜を形成する工程と、第1の水素バリア膜の上に、上層絶縁膜を形成する工程と、上層絶縁膜、第1の水素バリア膜及び層間絶縁膜に、コンタクトホールを形成する工程と、コンタクトホールの側壁及び底部を被覆するように、第1の水素バリア膜と接する第2の水素バリア膜を形成する工程と、エッチングによって上層絶縁膜を選択的に除去することにより、第1の水素バリア膜の上面を露出させると共に、第2の水素バリア膜の外側の側面であって第1の水素バリア膜よりも高い位置に存在している部分を露出させる工程と、第2の水素バリア膜の内側の側面、底面、上面、及び露出している外側の側面を覆うように、下部電極、強誘電体又は高誘電体よりなる容量絶縁膜、及び上部電極を順次形成する工程と、上部電極の上面と該上部電極のうちホールの上方に形成されている部分の側面を覆うように、第1の水素バリア膜と接する第3の水素バリア膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
第2の容量素子の製造方法によると、容量素子の上面及び側面を覆う第3の水素バリア膜を、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続するので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第3の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1、第2及び第3の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
第2の容量素子の製造方法において、エッチングは、上層絶縁膜と第1の水素バリア膜とのエッチングレートの比、及び、上層絶縁膜と第2の水素バリア膜とのエッチングレートの比が、それぞれ10:1以上となるように行なわれることが好ましい。
このようにすると、選択的に上層絶縁膜をエッチングによって除去できるので、容易な方法で、高い段差を発生させることなく、水素バリア膜によって完全に被覆された容量素子を製造することができる。
第2の容量素子の製造方法において、上層絶縁膜は、SiO2 よりなることが好ましい。
第2の容量素子の製造方法において、エッチングは、フッ酸を使用したウエットエッチングであることが好ましい。
このようにすると、容易な方法で、高い段差を発生させることなく、水素バリア膜によって完全に被覆された容量素子を製造することができる。
第2の容量素子の製造方法において、エッチングは、フッ素と酸素との混合ガスを使用したドライエッチングであることが好ましい。
このようにすると、容易な方法で、高い段差を発生させることなく、水素バリア膜によって完全に被覆された容量素子を製造することができる。
第2の容量素子の製造方法において、第1の水素バリア膜を形成する工程は、ホールの側壁及び底部並びに層間絶縁膜の上面に水素バリア材料を形成した後、CMP法又はエッチバック法により、層間絶縁膜の上面に形成されている水素バリア材料を選択的に除去することが好ましい。
このようにすると、容易な方法で、円筒形状を有する水素バリア膜を形成することができる。
本発明に係る第1の容量素子によると、容量素子の上面及び側面を覆う第2の水素バリア膜は、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続しているので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第2の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1及び第2の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
本発明に係る第2の容量素子によると、容量素子の上面及び側面を覆う第2の水素バリア膜は、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続しているので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第2の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1、第2及び第3の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
本発明に係る第1の容量素子の製造方法によると、容量素子の上面及び側面を覆う第3の水素バリア膜を、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続するので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第3の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1、第2及び第3の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
本発明に係る第2の容量素子の製造方法によると、容量素子の上面及び側面を覆う第3の水素バリア膜を、容量素子の底部よりも上部に位置する層間絶縁膜の最上層に配置された第1の水素バリア膜と接続するので、従来例に示したような高い段差が発生することがない。これにより、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。また、第3の水素バリア膜の加工においても、マスクパターンを形成する際に使用するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保できる。さらに、第1、第2及び第3の水素バリア膜によって容量素子を被覆するので、水素による容量絶縁膜の還元に起因した容量素子の特性劣化を抑制できる。このように、容易な方法によって、高性能であって且つ大容量を有する立体構造の容量素子を小面積で実現できる。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る容量素子について、図1並びに図2(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体構造(凹型)を有する容量素子を使用した半導体記憶装置の要部平面図を示している。また、図2(a) 及び(b) は、本発明に係る第1の実施形態に係る立体構造を使用した半導体記憶装置の要部断面図を示しており、具体的には、図2(a) は、図1におけるIIa-IIa 線の要部断面図であり、図2(b) は、図1におけるIIb-IIb 線の要部断面図である。
図1並びに図2(a) 及び(b) に示すように、半導体基板10上には、素子分離領域11及び活性領域12が形成されており、さらに、ゲート13が形成されている。素子分離領域11及び活性領域12を有する半導体基板10上の全面に亘って、ゲート13を覆うように、膜厚が500〜1000nmであるSiO2 又はSiNよりなる下層絶縁膜14が形成されている。下層絶縁膜14には、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンよりなると共に下端が活性領域12と接するプラグコンタクト15が形成されている。
下層絶縁膜14及びプラグコンタクト15の上には、SiO2 よりなる層間絶縁膜16が形成されており、該層間絶縁膜16の上面には、SiNよりなる第1の水素バリア膜17が形成されている。層間絶縁膜16及び第1の水素バリア膜17には、プラグコンタクト15の上端を露出させるホール18が形成されている。なお、このホール18の底部及び側壁を利用して後述する立体構造を有する容量素子を形成する。
容量素子の容量を大きくするためには、層間絶縁膜16の膜厚をなるべく厚くする必要があるが、本実施形態においては、層間絶縁膜16の膜厚は、1μm以上としている。また、第1の水素バリア膜17の膜厚は、水素の拡散を防止できる膜厚以上あれば十分であるので、本実施形態においては、10nm以上としている。また、ホール18の直径は、0.2μmから1μmの範囲を想定しており、本実施形態においては約0.6μmとしている。
ホール18の底部には、下面がプラグコンタクト15の上端と接するように、TiAlNよりなる第4の水素バリア膜19が配置されている。さらに、ホール18の側壁には、第1の水素バリア膜17と第4の水素バリア膜19とに接するように、TiAlNよりなる第3の水素バリア膜20が配置されている。本実施形態においては、第4の水素バリア膜19と第3の水素バリア膜20とを同一材料にすることによって、第4の水素バリア膜19と第3の水素バリア膜20とを同一の工程で形成することを可能にしている。また、第4の水素バリア膜19及び第3の水素バリア膜20の膜厚は、それぞれ、10nm以上としている。さらに、第4の水素バリア膜19は、後述する容量絶縁膜22の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト15へ到達することによるコンタクト抵抗の上昇を防止するための酸素バリア膜としての役割も有している。
第4の水素バリア膜19と第3の水素バリア膜20との上には、下部電極21が形成されている。下部電極21は、本実施形態においては、例えば、上から順にPt/IrO2 /Irの積層構造を有している。IrO2 /Irは、前述のように、容量絶縁膜の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト15へ到達することによるコンタクト抵抗の上昇を防止するための酸素バリア膜である。なお、下部電極21を構成するPt、IrO2 、及びIrのそれぞれの膜厚は、いずれも10nmから50nmの範囲である。さらに、本実施形態においては、下部電極21の端部における側面形状と第4の水素バリア膜19の端部の側面形状とを同一の形状にしている。これにより、下部電極21の形成、及び第4の水素バリア膜19の形成の際に、マスクを形成する回数を削減することができる。
複数の下部電極21の上面及び側面、並びに第2の水素バリア膜17の上面には、SrBi2(TaxNb1-x)2O9 (0≦x≦1)よりなる容量絶縁膜22が形成されている。立体構造を有する下部電極21を被覆するように容量絶縁膜22を形成するためには、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vaper Deposition、MOCVD法という)を用いて容量絶縁膜22を形成する。また、容量絶縁膜22の膜厚は、12.5nmから100nmの範囲である。
容量絶縁膜22には、図2(b) に示すように、下部電極21が露出するように設けられたコンタクトホール23が形成されており、該コンタクトホール23は、後述する上部電極24と下部電極21とを接続する役割を有している。また、容量絶縁膜22の上面及び側面、並びにコンタクトホール23の側面及び底部を被覆するように、Ptよりなる上部電極24が形成されている。これにより、上部電極24には、下部電極21を介して電気信号が伝達される。この構造の長所は、上部電極24の上部に形成される配線と上部電極24とを電気的に接続するために、上部電極24の上部を被覆する後述の第2の水素バリア膜26にコンタクトホールを形成する必要がない、つまり第2の水素バリア膜26を除去する必要がないので、水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆する構造を容易に実現できる。
また、容量絶縁膜22の上面及び側面、並びにコンタクトホール23の内部を被覆するように、複数の下部電極21と対向するようにPtよりなる上部電極24が形成されており、該上部電極24の膜厚は、第1の水素バリア膜17の上方の領域において、10nmから50nmの範囲である。なお、本実施形態においては、上部電極24の端部の側面形状と容量絶縁膜22の端部の側面形状とを同一形状にしている。これにより、上部電極24及び容量絶縁膜22を形成する際に、マスクを形成する回数を削減することができる。このように、下部電極21と容量絶縁膜22と上部電極24とをホール18の内壁に沿ってホール18の内部から上方にかけて形成することにより、凹型の立体形状を有する情報記憶用の容量素子25が完成する。
また、上部電極24の上面及び側面、並びに容量絶縁膜22の側面には、Al2O3又はTiAlNよりなる第2の水素バリア膜26が形成されている。第2の水素バリア膜26は、上部電極24及び容量絶縁膜22が形成されていない領域において第1の水素バリア膜17と接している。
これにより、容量素子25は、第1の水素バリア膜17、第2の水素バリア膜26、第3の水素バリア膜20、及び第4の水素バリア膜19により、完全に被覆されている。
ここで、第2の水素バリア膜26を形成する場合の段差、又は第2の水素バリア膜26を形成した後の段差は、上部電極24の膜厚、容量絶縁膜22の膜厚、下部電極21の膜厚、及び第3の水素バリア膜20の膜厚の合計となる。具体的には、最大で310nm程度の非常に小さい段差となる。
以上のように、本実施形態に係る容量素子は、第1の水素バリア膜、第2の水素バリア膜、第3の水素バリア膜、及び第4の水素バリア膜によって、完全に被覆されている。このため、水素による容量絶縁膜の還元に起因する容量素子の特性劣化を防止することができる。また、水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆する構造を形成した後であっても、最大310nm程度と非常に低い段差しか形成されない。このため、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。さらに、容量素子の上部及び側壁を被覆する水素バリア膜を形成する工程において存在する段差についても最大310nm程度と非常に低いので、水素バリア膜を加工するためにマスクパターンを形成するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。
<第1の変形例>
以下に、第1の実施形態における第1の変形例に係る容量素子について、図3を参照しながら説明する。なお、図3における構成要素のうち、図2(a) 及び(b) に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
図3は、第1の実施形態における第1の変形例に係る容量素子の要部断面図を示しており、以下では、図3に示す容量素子が図2(a) に示した容量素子と異なる点を主に説明する。
図3に示すように、下層絶縁膜14の上には、プラグコンタクト15の上端を覆うように、TiAlNよりなる第5の水素バリア膜27が配置されている。また、第5の水素バリア膜27の上面は、ホール18の底部に配置されている第4の水素バリア膜19の下面とホール18の側壁に配置されている第3の水素バリア膜20の端部とに接している。なお、図3に示すように、第5の水素バリア膜27の上面は、ホール18の下方からの水素の進入をより確実に阻止することを考慮すると、ホール18の底部が占める領域以上の領域を有していることが望ましいが、第5の水素バリア膜27の上には第4の水素バリア膜19が配置されているので、第5の水素バリア膜27の上面が占める領域は図3に示す場合に限定されるものではない。
このように、第1の変形例に係る容量素子によると、第5の水素バリア膜27が配置されていることによって、ホール18の下方から進入してくる水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。したがって、水素による容量絶縁膜の還元に起因する容量素子の特性劣化を防止することができる。
また、第5の水素バリア膜27は、容量絶縁膜22の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト15へ到達することによってコンタクト抵抗が上昇することを防止するための酸素バリア膜としての役割も有している。なお、第5の水素バリア膜27の膜厚は、10nmから100nmの範囲に設定している。
<第2の変形例>
以下に、第1の実施形態における第2の変形例に係る容量素子について、図4を参照しながら説明する。なお、図4における構成要素のうち、図2(a) 及び(b) に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
図4は、第1の実施形態における第2の変形例に係る容量素子の要部断面図を示しており、以下では、図4に示す容量素子が図2(a) に示した容量素子と異なる点を主に説明する。
図4に示すように、下層絶縁膜14の上には、プラグコンタクト15の上端を覆うように、導電性材料よりなる第5の水素バリア膜27が配置されている。また、ホール18の底部には、第4の水素バリア膜19は形成されていないので、第5の水素バリア膜27の上面は、ホール18の底部が占める領域以上の領域を有しており、且つ、下部電極21の最下面と第3の水素バリア膜20の端部とに接している。なお、第2の変形例においては、第5の水素バリア膜27としてTiAlNを採用しおり、その膜厚は、10nmから100nmの範囲に設定されている。
このように、第2の変形例に係る容量素子によると、第1の利点として、図2(a) に示した第4の水素バリア膜19を形成していない場合であっても、第1の水素バリア膜17、第2の水素バリア膜26、第3の水素バリア膜20、及び第5の水素バリア膜27によって、容量素子25が完全に被覆される構造を実現することができる。
また、第2の利点として、第3の水素バリア膜20として絶縁性材料を使用できることである。すなわち、一般に、容量素子の高集積化を実現するためには、ホール18の直径を可能な限り小さくすると共にホール18の深さを可能な限り深くすることが必要となる。したがって、ホール18の内部に形成する膜としては、段差被覆性に優れると共に膜厚を薄く(50nm以下が望ましい)できる材料を使用できれば有利である。段差被覆性に優れた成膜方法といえば、化学気相成膜法(Chemical Vaper Deposition、CVD法という)又は原子層成膜法(Atomic Layer Deposition、ALD法という)等があるが、金属に代表される導電性材料は、CVD法又はALD法によって成膜することは非常に困難である。一方、絶縁性材料を用いる場合には、CVD法又はALD法によって成膜することが比較的容易である。そこで、第2の変形例において、第3の水素バリア膜20として、例えばAl2O3を用いることによって、第3の水素バリア膜20の段差被覆性及び薄膜化が可能になり、容量素子の高集積化を実現することができる。なお、第3の水素バリア膜20の膜厚は、2nmから20nmの範囲としている。
<第3の変形例>
以下に、第1の実施形態における第3の変形例に係る容量素子について、図5(a) 及び(b) 並びに図6(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図5(a) 及び(b) 並びに図6(a) 及び(b) は、第1の実施形態における第3の変形例に係る容量素子の要部断面図を示している。なお、図5(a) 及び(b) 並びに図6(a) 及び(b) における構成要素のうち、図2(a) 及び(b) 並びに図3及び図4に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
第1の実施形態における第3の変形例に係る容量素子においては、第6の水素バリア膜28が配置されている点が特徴であるので、以下では、その特徴的な部分を中心に説明する。
まず、第3の変形例に係る容量素子の図5(a) に示す構造は、図2(a) と比較すると、下層絶縁膜14の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜28が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜28の上面は第4の水素バリア膜19の底面と第3の水素バリア膜20の端部とに接している。
次に、第3の変形例に係る容量素子の図5(b) に示す構造は、図2(a) と比較すると、第4の水素バリア膜19が形成されておらず、さらに、下層絶縁膜14の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜28が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜28の上面は下部電極21の底面と第3の水素バリア膜20の端部とに接している。
また、第3の変形例に係る容量素子の図6(a) に示す構造は、図3と比較すると、下層絶縁膜14の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜28が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜28の上面は第5の水素バリア膜27の底面に接している。なお、第5の水素バリア膜27の上面が占める領域の大きさについては、前述の第1の変形例において説明した通りである。
さらに、第3の変形例に係る容量素子の図6(b) に示す構造は、図4と比較すると、下層絶縁膜14の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜28が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜28の上面は第5の水素バリア膜27の底面に接している。なお、第5の水素バリア膜27の上面が占める領域の大きさについては、前述の第2の変形例において説明した通りである。
このように、図5(a) 及び(b) 並びに図6(a) 及び(b) に示した第6の水素バリア膜28は、その配置及び及び加工の際に、新たなマスクを必要としない。したがって、図5(a) 及び(b) 並びに図6(a) 及び(b) に示した容量素子によると、容易な方法によって、ホール18の下方、特に下層絶縁膜14から進入してくる水素の拡散に対するバリア性能をより強化することができる。これにより、水素による容量絶縁膜22の還元に起因する容量素子25の特性劣化を防止することができる。また、図5(b) 及び図6(b) に示した容量素子においては、前記第2の変形例と同様に、第3の水素バリア膜20に絶縁性材料を用いることによって、第3の水素バリア膜20の段差被覆性及び薄膜化が可能になり、容量素子の高集積化も実現することができる。なお、第3の変形例においては、第6の水素バリア膜28の膜厚は、10nmから150nmの範囲に設定されている。
<第4の変形例>
以下に、第1の実施形態における第4の変形例に係る容量素子について、図7(a) 及び(b) 並びに図8(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図7(a) 及び(b) 並びに図8(a) 及び(b) は、第1の実施形態における第4の変形例に係る容量素子の要部断面図を示している。なお、図7(a) 及び(b) 並びに図8(a) 及び(b) における構成要素のうち、図2(a) 及び(b) 、図3、図4、図5(a) 及び(b) 、並びに図6(a) 及び(b) に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
第1の実施形態における第4の変形例に係る容量素子においては、第7の水素バリア膜29が配置されている点が特徴であるので、以下では、その特徴的な部分を中心に説明する。
まず、第4の変形例に係る容量素子の図7(a) に示す構造は、図5(a) と比較すると、プラグコンタクト15における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜29が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜29は、第6の水素バリア膜28と接すると共に第4の水素バリア膜19の下面と接している。
次に、第4の変形例に係る容量素子の図7(b) に示す構造は、図5(b) と比較すると、プラグコンタクト15における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜29が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜29は、第6の水素バリア膜28と接すると共に下部電極21の下面と接している。
また、第4の変形例に係る容量素子の図8(a) に示す構造では、図6(a) と比較すると、プラグコンタクト15における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜29が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜29は、第6の水素バリア膜28と接すると共に第5の水素バリア膜27の下面と接している。
さらに、第4の変形例に係る容量素子の図8(b) に示す構造では、図6(b) と比較すると、プラグコンタクト15における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜29が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜29は、第6の水素バリア膜28と接すると共に第5の水素バリア膜27の下面と接している。
このように、図7(a) 及び(b) 並びに図8(a) 及び(b) に示した容量素子によると、プラグコンタクト15における最上層に第7の水素バリア膜29をさらに配置しているので、プラグコンタクト15から進入してくる水素の拡散に対するバリア性能をより強化することができる。これにより、水素による容量絶縁膜22の還元に起因する容量素子25の特性劣化を防止することができる。また、図7(b) 及び図8(b) に示した容量素子においては、前述のように、第3の水素バリア膜20に絶縁性材料を用いることによって、第3の水素バリア膜20の段差被覆性及び薄膜化が可能になり、容量素子の高集積化も実現することができる。なお、第4の変形例においては、第7の水素バリア膜29の膜厚は、10nmから150nmの範囲に設定されている。
なお、図示していないが、図7(a) 及び(b) 、並びに図8(a) 及び(b) において第6の水素バリア膜28を配置しない構造を採用することも当然に可能である。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る容量素子の製造方法について、図9(a) 〜(c) 及び図10(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図9(a) 〜(c) 及び図10(a) 及び(b) は、第2の実施形態に係る容量素子の製造方法を示す工程断面図を示している。なお、第2の実施形態に係る容量素子の製造方法は、前述の第1の実施形態で説明した各容量素子の製造方法であるので、図9(a) 〜(c) 及び図10(a) 及び(b) における構成要素のうち、前述の第1の実施形態で説明した各容量素子の構成要素と共通する部分は、同一の符号を用いている。
図9(a) に示すように、半導体基板10上に、素子分離領域11と活性領域12とを形成し、さらに、ゲート13を形成する。
次に、CVD法により、半導体基板10の全面を覆うように、SiO2 又はSiNを成膜した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって平坦化し、膜厚が500〜1000nmである下層絶縁膜14を形成する。
次に、ドライエッチング法により、下層絶縁膜14に、活性領域3を露出させるコンタクトホールを形成する。その後、CVD法により、コンタクトホールの中を含む下層絶縁膜14上の全面に亘って、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを成膜した後、CMP法により、下層絶縁膜14上に成膜されているタングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを除去してプラグコンタクト15(径は0.2μm以下)を形成する。
次に、CVD法により、下層絶縁膜14及びプラグコンタクト15の上に、SiO2 よりなる膜厚が1μm以上である層間絶縁膜16を形成した後、該層間絶縁膜16の上面を被覆するように、SiNよりなる第1の水素バリア膜17を形成する。なお、第1の水素バリア膜17の膜厚は、水素の拡散を防止できる膜厚以上あれば十分であるので、10nm以上であればよい。
次に、図9(b) に示すように、層間絶縁膜16及び第1の水素バリア膜17をドライエッチングすることにより、プラグコンタクト15の上端を露出させるホール18を形成する。なお、ホール18の直径は、0.2μm〜1μmの範囲を想定しており、本実施形態においては約0.6μmとしている。
図9(c) に示すように、スパッタリング法又はCVD法により、ホール18の底部及び側壁を被覆するように、第1の水素バリア膜17の全面に、TiAlNよりなる水素バリア材料を成膜した後、スパッタリング法又はCVD法により、水素バリア材料の上に、上から順にPt/IrO2 /Irが積層されてなる電極材料を形成する。その後、電極材料及び水素バリア材料を所望の形状に加工するために、塩素を含むガスを用いたドライエッチングを行なうことにより、第4の水素バリア膜19及び第3の水素バリア膜20を形成すると共に下部電極21を形成する。すなわち、ホール18の底部には、プラグコンタクト15の上端と接する第4の水素バリア膜19が配置されると共に、ホール18の側壁には、第1の水素バリア膜17及び第4の水素バリア膜19と接する第3の水素バリア膜20が配置される。また、第4の水素バリア膜19の膜厚と第3の水素バリア膜20の膜厚とは、それぞれ10nm以上としている。また、本実施形態においては、第4の水素バリア膜19及び第3の水素バリア膜20としてそれぞれ同一の材料を用いることにより、第4の水素バリア膜19と第3の水素バリア膜20とを同一の工程により形成できる場合について説明したが、異なる工程により形成してもかまわない。なお、第4の水素バリア膜19は、後述する容量絶縁膜22の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト15へ到達し、コンタクト抵抗の上昇を防止するための酸素バリア膜としての役割も有している。
一方、下部電極21に含まれるIrO2 /Irは、前述のように容量絶縁膜の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト15へ到達し、コンタクト抵抗の上昇を防止するための酸素バリア膜である。なお、下部電極21を構成する各膜の膜厚は、Pt、IrO2 、及びIrともに10nm〜50nmの範囲である。
また、本実施形態においては、下部電極21の端部と第4の水素バリア膜19及び第3の水素バリア膜20よりなる水素バリア膜の端部とを同一形状にしている。これにより、マスクを形成する回数を削減することができる。
図10(a) に示すように、複数の下部電極21の上面及び側面、並びに第1の水素バリア膜17の上面に、SrBi2(TaxNb1-x)2O9 (0≦x≦1)よりなる誘電体薄膜を形成する。また、立体構造を有する下部電極21を被覆するように誘電体薄膜を形成するために、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vaper Deposition、MOCVD法という)によって誘電体薄膜を形成する。また、誘電体博膜の膜厚は、12.5nm〜100nmの範囲である。また、誘電体薄膜を成膜した後には、結晶化のために、酸素を含む雰囲気下で600℃〜800℃の範囲の熱処理が施されている。なお、熱処理は、炉又はRTA(Rapid Tharmal Anneal)装置において実施される。
また、図10(a) 及び(b) には示していなが、前記図2(b) に示したように、誘電体薄膜に対してエッチングを行なって、下部電極21を露出させるコンタクトホール23を形成する。この場合のエッチングは、フッ素を含むガスを用いたドライエッチング法を用いる。また、コンタクトホール23は、後述の上部電極24と下部電極21とを接続する役割を有している。これにより、上部電極24には、下部電極21を介して電気信号が伝達される。
次に、スパッタリング法又はCVD法により、誘電体薄膜の上面及び側面、並びにコンタクトホール23の側面及び底部を被覆するように、Ptよりなる電極材料を成膜した後、電極材料と誘電体薄膜を所望に形状に加工するために、塩素又はフッ素を含むガスを用いたドライエッチング法により、容量絶縁膜22及び上部電極24を形成する。上部電極24は複数の下部電極21と対向するように形成される。また、上部電極24の膜厚は、10nmから50nmの範囲である。
このように、下部電極21と容量絶縁膜22と上部電極23とを、ホール18の内壁に沿うように、ホール18の内部及びその上方に形成することにより、凹型の立体形状を有する情報記憶用容量素子25が完成する。
なお、本実施形態においては、上部電極24の端部と容量絶縁膜22の端部とを同一形状にしている。これにより、マスクを形成する回数を削減することができる。
また、ドライエッチング法によって電極材料が所望の形状に加工されることによって、上部電極24及び容量絶縁膜22が形成されていない領域においては、第1の水素バリア膜17を露出させる。
図10(b) に示すように、スパッタリング法又はCVD法により、上部電極24の上面及び側面、並びに容量絶縁膜22の側面に、Al2O3又はTiAlNよりなる第2の水素バリア膜26を形成する。第2の水素バリア膜26は、上部電極24及び容量絶縁膜22が形成されていない領域においては、第1の水素バリア膜17と必ず接している。これにより、容量素子25は、第1の水素バリア膜17、第2の水素バリア膜26、第3の水素バリア膜20、及び第4の水素バリア膜19により、完全に被覆される。このため、水素による容量絶縁膜の還元に起因する容量素子の特性劣化を防止することができる。
また、水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆する構造を形成した後であっても、従来例に示したような高い段差は形成されていない。このため、容量素子25を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。さらに、容量素子25の上部及び側壁を被覆する第2の水素バリア膜26を形成する工程において存在する段差についても非常に低いので、第2の水素バリア膜26を加工するためにマスクパターンを形成するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。
<第1の変形例>
以下に、第2の実施形態の第1の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図3並びに前記図9(a) 〜(c) 並びに図10(a) 及び(b) を参照しながら説明する。なお、第1の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図3に示した容量素子の製造方法であって、第5の水素バリア膜27を配置する点が特徴であるので、以下では、その特徴的な部分を中心に説明する。
前記図3に示すように、プラグコンタクト15を形成するまでの工程は、前記図9(a) を用いた説明と同様である。
次に、下層絶縁膜14及びプラグコンタクト15上の全面に亘って、TiAlNよりなる水素バリア材料を成膜する。次に、塩素を含むガスを用いたドライエッチング法により、水素バリア材料を所望の形状に加工することにより、膜厚が10〜100nmの範囲である第5の水素バリア膜27を形成する。
次に、下層絶縁膜14の上に、第5の水素バリア膜27を覆うように、SiO2 よりなるなる絶縁膜を成膜した後、CMP法より、絶縁膜を平坦化することにより、層間絶縁膜16を形成する。層間絶縁膜16の膜厚は、第5の水素バリア膜27の上で1μm以上としている。
次に、CVD法により、層間絶縁膜16の上に、SiNよりなる第1の水素バリア膜17を形成する。第1の水素バリア膜17の膜厚は、水素の拡散を防止できる膜厚以上あれば十分であるので、10nm以上とする。
なお、以降の工程は、前記図9(b) 及び(c) 並びに図10(a) 及び(b) と同様である。
このように、第5の水素バリア膜27を設けることにより、容量素子25への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
<第2の変形例>
以下に、第2の実施形態における第2の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図4、前記図9(a) 〜(c) 、並びに図10(a) 及び(b) を参照しながら説明する。なお、第2の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図4に示した容量素子の製造方法であって、ホール18の側壁に形成される第3の水素バリア膜20のみを配置する点と第5の水素バリア膜27を配置する点とが特徴であるが、第5の水素バリア膜27を配置する方法は前述の第1の変形例で述べたので、以下では、ホール18の側壁に第3の水素バリア膜20のみを配置する方法を中心に説明する。
前記図3に示すように、プラグコンタクト15を形成するまでの工程は、前記図9(a) を用いた説明と同様である。
次に、下層絶縁膜14及びプラグコンタクト15上の全面に亘って、TiAlNよりなる水素バリア材料を成膜する。次に、塩素を含むガスを用いたドライエッチング法により、水素バリア材料を所望の形状に加工することにより、膜厚が10〜100nmの範囲である第5の水素バリア膜27を形成する。
前記図4に示すように、プラグコンタクト15を形成するまでの工程は、前記図9(a) を用いた説明と同様である。また、第5の水素バリア膜27及び第1の水素バリア膜17を形成するまでの工程は、前述の第2の実施形態における第2の変形例で説明したのと同様である。さらに、ホール18を形成する工程は、前記図9(b) に示した工程と同様である。
次に、スパッタリング法又はCVD法により、ホール18の底部及び側壁を被覆するように、第1の水素バリア膜17の全面に、SiN、Al2O3等の絶縁性水素バリア材料、又はTiAlNよりなる水素バリア材料を成膜する。
次に、ドライエッチング法により、基板全面に対して異方性エッチングを行なってエッチバックすることにより、ホール18の側壁のみに第3の水素バリア膜20を形成する。このドライエッチングには、フッ素又は塩素を含むガスが用いられている。
ホール18の側壁に第3の水素バリア膜20を配置するのみで、ホール18の底部に第4の水素バリア膜19を配置しない構造による利点は、第3の水素バリア膜20として絶縁性水素バリア材料の使用が可能になることである。つまり、第3の水素バリア膜20に用いる材料として選択の幅が広がる点である。
次に、スパッタリング法又はCVD法により、基板全面に、上から順にPt/IrO2 /Irが積層されてなる電極材料を形成した後、塩素を含むガスを用いたドライエッチング法により、電極材料を所望に形状に加工することにより、下部電極21を形成する。
なお、以降の工程は、前記図10(a) 及び(b) を用いた説明と同様である。
<第3の変形例>
以下に、第2の実施形態における第3の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図5(a) 及び(b) 、前記図6(a) 及び(b)、前記図9(a) 〜(c) 、並びに図10(a) 及び(b) を参照しながら説明する。なお、第3の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図5(a) 及び(b) 、並びに図6(a) 及び(b) に示した容量素子の製造方法であって、前記第1及び第2の変形例と比較して、第6の水素バリア膜28を配置する点が特徴であるので、以下では、第6の水素バリア膜28の配置する方法を中心に説明する。
前記図5(a) 及び(b) 並びに図6(a) 及び(b) 示すように、半導体基板10上に、素子分離領域11及び活性領域12を形成し、さらに、ゲート13を形成する。
次に、CVD法により、半導体基板10の全面を覆うように、SiO2 又はSiNを成膜した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって平坦化することにより、膜厚が500〜1000nmである下層絶縁膜14を形成する。
次に、CVD法又はスパッタリング法により、下層絶縁膜14の上に、SiN、Al2O3 又はTiAlOよりなる第6の水素バリア膜28を成膜する。第6の水素バリア膜28の膜厚は、10〜150nmの範囲である。
次に、ドライエッチング法により、第6の水素バリア膜28及び下層絶縁膜14に、活性領域12へ通じるコンタクトホールを形成する。
次に、CVD法により、コンタクトホールの中を含む第6の水素バリア膜28の上の全面に亘って、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを成膜した後、CMP法により、第6の水素バリア膜28の上のタングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを除去してプラグコンタクト15を形成する。
以降、前記図5(a) に示す容量素子を形成する場合には、前記図9(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜28及びプラグコンタクト15の上に、層間絶縁膜16及び第1の水素バリア膜17を成膜する。なお、後の工程についても、図9(b) 及び(c) 並びに図10(a) 及び(b) と同様である。
また、前記図5(b) に示す容量素子を形成する場合には、前記図9(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜28及びプラグコンタクト15の上に、層間絶縁膜16及び第1の水素バリア膜17を成膜する。その後、前述の第2の変形例での説明と同様にして、ホール18を形成した後に、ホール18の側壁に第3の水素バリア膜20を配置する。なお、後の工程についても、図9(b) 及び(c) 並びに図10(a) 及び(b) と同様である。
また、前記図6(a) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第1の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜28及びプラグコンタクト15の上に、プラグコンタクト15の上端と接する第5の水素バリア膜27を形成する。なお、後の工程についても、前述の第1の変形例での説明と同様に行なえばよい。
さらに、前記図6(b) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第2の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜28及びプラグコンタクト15の上に、プラグコンタクト15の上端と接する第5の水素バリア膜27を形成する。なお、後の工程についても、前述の第2の変形例での説明と同様に行なえばよい。
このように、第6の水素バリア膜28を設けることによって、容量素子25への下方から水素の拡散に対するバリア性能を強化できる。
<第4の変形例>
以下に、第2の実施形態における第4の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図7(a) 及び(b) 、前記図8(a) 及び(b)、前記図9(a) 〜(c) 、並びに図10(a) 及び(b) を参照しながら説明する。なお、第4の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図7(a) 及び(b) 、並びに図8(a) 及び(b) に示した容量素子の製造方法であって、前記第1〜第3の変形例と比較して、第7の水素バリア膜29を配置する点が特徴であるので、以下では、第7の水素バリア膜29を配置する方法を中心に説明する。
前記図7(a) 及び(b) 並びに図8(a) 及び(b) 示すように、半導体基板10上に、素子分離領域11及び活性領域12を形成し、さらに、ゲート13を形成する。
次に、CVD法により、半導体基板10の全面を覆うように、SiO2 又はSiNを成膜した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって平坦化することにより、膜厚が500〜1000nmである下層絶縁膜14を形成する。
次に、CVD法又はスパッタリング法により、下層絶縁膜14の上に、SiN、Al2O3 又はTiAlOよりなる第6の水素バリア膜28を成膜する。第6の水素バリア膜28の膜厚は、10〜150nmの範囲である。
次に、ドライエッチング法により、第6の水素バリア膜28及び下層絶縁膜14に、活性領域12へ通じるコンタクトホールを形成する。
次に、CVD法により、コンタクトホールの中を含む第6の水素バリア膜28の上の全面に亘って、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを成膜した後、CMP法により、第6の水素バリア膜28の上のタングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを除去してプラグコンタクト15を形成する。
次に、ドライエッチング法により、プラグコンタクト15の内部のタングステン又は低抵抗ポリシリコンをエッチバックして、リセスを形成する。なお、このエッチバックには、フッ素を含むガスが使用される。また、リセスの深さは、20〜100nmに範囲である。
次に、プラグコンタクト15に形成されたリセスを埋め込むように、膜厚が10〜150nmであるTiAlNよりなる水素バリア材料を基板全面に亘って成膜する。
次に、CMP法又はエッチバック法により、リセス内部以外に成膜されている水素バリア材料を除去して、リセス内部にのみに第7の水素バリア膜29を形成する。
以降、前記図7(a) に示す容量素子を形成する場合には、前記図9(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜28及びプラグコンタクト15の上に、層間絶縁膜16及び第1の水素バリア膜17を成膜する。なお、後の工程についても、図9(b) 及び(c) 並びに図10(a) 及び(b) と同様である。
また、前記図7(b) に示す容量素子を形成する場合には、前記図9(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜28及びプラグコンタクト15の上に、層間絶縁膜16及び第1の水素バリア膜17を成膜する。その後、前述の第2の変形例での説明と同様にして、ホール18を形成した後に、ホール18の側壁に第3の水素バリア膜20を配置する。なお、後の工程についても、図9(b) 及び(c) 並びに図10(a) 及び(b) と同様である。
また、前記図8(a) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第1の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜28及び第7の水素バリア膜29の上に、第7の水素バリア膜29の上面と接する第5の水素バリア膜27を形成する。なお、後の工程についても、前述の第1の変形例での説明と同様に行なえばよい。
さらに、前記図8(b) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第2の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜28及び第7の水素バリア膜29の上に、第7の水素バリア膜29の上面と接する第5の水素バリア膜27を形成する。なお、後の工程についても、前述の第2の変形例での説明と同様に行なえばよい。
このように、第7の水素バリア膜29を設けることによって、容量素子25への下方から水素の拡散に対するバリア性能を強化できる。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る容量素子について、図11〜図17(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る立体構造(円筒型)を有する容量素子を使用した半導体記憶装置の要部平面図を示している。また、図12(a) 及び(b) は、本発明に係る第3の実施形態に係る立体構造を使用した半導体記憶装置の要部断面図を示しており、具体的には、図12(a) は、図11におけるXIIa-XIIa 線の要部断面図であり、図12(b) は、図11におけるXIIb-XIIb 線の要部断面図である。
図11並びに図12(a) 及び(b) に示すように、半導体基板50上には、素子分離領域51及び活性領域52が形成されており、さらに、ゲート53が形成されている。素子分離領域51及び活性領域52を有する半導体基板50上の全面に亘って、ゲート53を覆うように、膜厚が500〜1000nmであるSiO2 又はSiNよりなる下層絶縁膜54が形成されている。下層絶縁膜54には、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンよりなると共に下端が活性領域52と接するプラグコンタクト55が形成されている。
下層絶縁膜54及びプラグコンタクト55の上には、膜厚が300〜1000nmであるSiO2 よりなる層間絶縁膜56が形成されており、該層間絶縁膜56の上面には、SiNよりなる第1の水素バリア膜57が形成されている。第1の水素バリア膜57の膜厚は、水素の拡散を防止できる膜厚以上であれば十分であるので、本実施形態においては、10nm以上としている。
層間絶縁膜56及び第1の水素バリア膜57には、プラグコンタクト55の上端を露出させるホール58が形成されている。ホール58の底部には、下面がプラグコンタクト55の上端と接するように、導電性であるTiAlNよりなる第4の水素バリア膜59が配置されている。さらに、ホール58の側壁には、外側面で第1の水素バリア膜17と接するように、同様にTiAlNよりなり円筒型の形状を有する第3の水素バリア膜60が配置されている。つまり、第3の水素バリア膜60の上面は、第1の水素バリア膜57の上面よりも上方に位置しており、第1の水素バリア膜57の上面よりも突き出したような形状を有している。また、第3の水素バリア膜60は、第4の水素バリア膜59とも接している。本実施形態では、第1の水素バリア膜57の上面から第3の水素バリア膜60の上面までの高さを20nm〜200nmの範囲としている。また、第3及び第4の水素バリア膜59及び60の膜厚は、水素の拡散を防止できる膜厚以上であれば十分であるので、本実施形態では、10nm以上としている。また、第3の水素バリア膜60の高さ(ホール58の底部に位置する下面から上面までの長さ)は、十分な容量を確保するために、0.5μm以上としている。なお、本実施形態においては、第4の水素バリア膜59と第3の水素バリア膜60とを同一材料にすることによって、第4の水素バリア膜59と第3の水素バリア膜60とを同一の工程で形成することを可能にしている。
また、第3及び第4の水素バリア膜59及び60は、後述する容量絶縁膜62の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト55へ到達することによるコンタクト抵抗の上昇を防止するための酸素バリア膜としての役割も有している。
第3及び第4の水素バリア膜59及び60の表面、並びに第1の水素バリア膜57の上には、下部電極61が形成されている。下部電極61は、本実施形態では、例えば、上から順にPt/IrO2/Irの積層構造を有している。IrO2 /Irは、前述のように、容量絶縁膜の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト55へ到達することによるコンタクト抵抗の上昇を防止するための酸素バリア膜である。なお、下部電極61を構成するPt、IrO2 、及びIrのそれぞれの膜厚は、いずれも10nmから50nmの範囲である。
複数の下部電極61の上面及び側面、並びに第1の水素バリア膜57の上面には、SrBi2(TaxNb1-x)2O9 (0≦x≦1)よりなる容量絶縁膜62が形成されている。立体構造(円筒型)を有する下部電極51を被覆するように容量絶縁膜62を形成するためには、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vaper Deposition、MOCVD法という)を用いて容量絶縁膜62を形成する。また、容量絶縁膜62の膜厚は、12.5nmから100nmの範囲である。
容量絶縁膜62には、図12(b) に示すように、下部電極61が露出するように設けられたコンタクトホール63が形成されており、該コンタクトホール63は、後述する上部電極64と下部電極61とを接続する役割を有している。また、容量絶縁膜62の上面及び側面、並びにコンタクトホール63の側面及び底部を被覆するように、Ptよりなる上部電極64が形成されている。これにより、上部電極64には、下部電極61を介して電気信号が伝達される。この構造の長所は、上部電極64の上部に形成される配線と上部電極64とを電気的に接続するために、上部電極64の上部を被覆する後述の第2の水素バリア膜66にコンタクトホールを形成する必要がない、つまり第2の水素バリア膜66を除去する必要がないので、水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆する構造を容易に実現できる。
また、容量絶縁膜62の上面及び側面、並びにコンタクトホール63の内部を被覆するように、複数の下部電極61と対向するようにPtよりなる上部電極64が形成されており、該上部電極64の膜厚は、第3の水素バリア膜60の上方の領域において、10nmから50nmの範囲である。なお、本実施形態においては、上部電極64の端部の側面形状と容量絶縁膜62の端部の側面形状とを同一形状にしている。これにより、上部電極64及び容量絶縁膜62を形成する際に、マスクを形成する回数を削減することができる。このように、下部電極61と容量絶縁膜62と上部電極64とをホール58の内壁に沿ってホール58の内部から上方にかけて形成することにより、円筒型の立体形状を有する情報記憶用容量素子65が完成する。
また、第1の水素バリア膜57よりも上に位置している容量素子65の上部と側部を被覆するように、Al2O3又はTiAlNよりなる第2の水素バリア膜66が形成されている。第2の水素バリア膜66は、上部電極64及び容量絶縁膜62が形成されていない領域において第1の水素バリア膜57と接している。
これにより、容量素子65は、第1の水素バリア膜57、第2の水素バリア膜66、第3の水素バリア膜60、及び第4の水素バリア膜59により、完全に被覆されている。したがって、第2の水素バリア膜66を形成する場合の段差、又は第2の水素バリア膜66を形成した後の段差は、上部電極64の膜厚、容量絶縁膜62の膜厚、下部電極61の膜厚、及び第1の水素バリア膜57の上面から第3の水素バリア膜60の上面までの膜厚の合計となる。具体的には、最大で500nm程度の非常に小さい段差となる。
これにより、容量素子65は、第1の水素バリア膜57、第2の水素バリア膜66、第3の水素バリア膜60、及び第4の水素バリア膜59により、完全に被覆される。
ここで、第2の水素バリア膜66を形成する場合に発生している段差は、前述の通り、最大で500nm程度で、下層絶縁膜54の上に第1の水素バリア膜57を直接配置した場合と比較して、非常に低い段差となる。
以上のように、本実施形態に係る容量素子は、第1の水素バリア膜、第2の水素バリア膜、第3の水素バリア膜、及び第4の水素バリア膜によって、完全に被覆されている。このため、水素による容量絶縁膜の還元に起因する容量素子の特性劣化を防止することができる。また、水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆する構造を形成した後であっても、非常に低い段差しか形成されない。このため、容量素子を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。さらに、容量素子の上部及び側壁を被覆する水素バリア膜を形成する工程において存在する段差についても非常に低いので、水素バリア膜を加工するためにマスクパターンを形成するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。
<第1の変形例>
以下に、第2の実施形態のおける第1の変形例に係る容量素子について、図13(a) を参照しながら説明する。なお、図13(a) における構成要素のうち、図12(a) 及び(b) に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
図13(a) は、第2の本実施形態における第1の変形例に係る容量素子の要部断面図を示しており、以下では、図13(a) に示す容量素子が図12(a) に示した容量素子と異なる点を主に説明する。
図13(a) に示すように、下層絶縁膜54の上には、プラグコンタクト55の上端を覆うように、TiAlNよりなる第5の水素バリア膜67が配置されている。また、第5の水素バリア膜67の上面は、ホール58の底部に配置されている第4の水素バリア膜59の下面とホール58の側壁に配置されている第3の水素バリア膜60の端部とに接している。なお、図13(a) に示すように、第5の水素バリア膜67の上面は、ホール58の下方からの水素の進入をより確実に阻止することを考慮すると、ホール58の底部が占める領域以上の領域を有していることが望ましいが、第5の水素バリア膜67の上には第4の水素バリア膜59が配置されているので、第5の水素バリア膜67の上面が占める領域は図13(a) に示す場合に限定されるものではない。
このように、第1の変形例に係る容量素子によると、第5の水素バリア膜67が配置されていることによって、ホール58の下方から進入してくる水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。したがって、水素による容量絶縁膜の還元に起因する容量素子の特性劣化を防止することができる。
また、第5の水素バリア膜67は、容量絶縁膜62の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト55へ到達することによってコンタクト抵抗が上昇することを防止するための酸素バリア膜としての役割も有している。なお、第5の水素バリア膜67の膜厚は、10nmから100nmの範囲に設定されている。
<第2の変形例>
以下に、第2の実施形態における第2の変形例に係る容量素子について、図13(b) を参照しながら説明する。なお、図13(b) における構成要素のうち、図12(a) 及び(b) に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
図13(b) は、第2の実施形態における第2の変形例に係る容量素子の要部断面図を示しており、以下では、図13(b) に示す容量素子が図12(a) に示した容量素子と異なる点を主に説明する。
図13(b) に示すように、下層絶縁膜54の上には、プラグコンタクト55の上端を覆うように、導電性材料よりなる第5の水素バリア膜67が配置されている。また、ホール58の底部には、第4の水素バリア膜59は形成されていないので、第5の水素バリア膜67の上面は、ホール58の底部が占める領域以上の領域を有しており、且つ、下部電極61の最下面と第3の水素バリア膜60の端部とに接している。なお、第2の変形例においては、第5の水素バリア膜67としてTiAlNを採用しおり、その膜厚は、10nmから100nmの範囲に設定されている。
このように、第2の変形例に係る容量素子によると、第1の利点として、図12(a) に示した第4の水素バリア膜59を形成していない場合であっても、第1の水素バリア膜57、第2の水素バリア膜66、第3の水素バリア膜60、及び第5の水素バリア膜67によって、容量素子65が完全に被覆される構造を実現することができる。
また、第2の利点として、第3の水素バリア膜60として絶縁性材料を使用できることである。すなわち、一般に、容量素子の高集積化を実現するためには、ホール58の直径を可能な限り小さくすると共にホール58の深さを可能な限り深くすることが必要となる。したがって、ホール58の内部に形成する膜としては、段差被覆性に優れると共に膜厚を薄く(50nm以下が望ましい)できる材料を使用できれば有利である。段差被覆性に優れた成膜方法といえば、化学気相成膜法(Chemical Vaper Deposition、CVD法という)又は原子層成膜法(Atomic Layer Deposition、ALD法という)等があるが、金属に代表される導電性材料は、CVD法又はALD法によって成膜することは非常に困難である。一方、絶縁性材料を用いる場合には、CVD法又はALD法によって成膜することが比較的容易である。そこで、第2の変形例において、第3の水素バリア膜60として、例えばAl2O3を用いることによって、第3の水素バリア膜60の段差被覆性及び薄膜化が可能になり、容量素子の高集積化を実現することができる。なお、第3の水素バリア膜60の膜厚は、2nmから20nmの範囲としている。
<第3の変形例>
以下に、第2の実施形態における第3の変形例に係る容量素子について、図14(a) 及び(b) 並びに図15(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図14(a) 及び(b) 並びに図15(a) 及び(b) は、第2の実施形態における第3の変形例に係る容量素子の要部断面図を示している。なお、図14(a) 及び(b) 並びに図15(a) 及び(b) における構成要素のうち、図12(a) 及び(b) 並びに図13(a) 及び(b) に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
第2の実施形態における第3の変形例に係る容量素子においては、第6の水素バリア膜68が配置されている点が特徴であるので、以下では、その特徴的な部分を中心に説明する。
まず、第3の変形例に係る容量素子の図14(a) に示す構造は、図12(a) と比較すると、下層絶縁膜54の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜68が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜68の上面は第4の水素バリア膜59の底面と第3の水素バリア膜60の端部とに接している。
次に、第3の変形例に係る容量素子の図14(b) に示す構造は、図12(a) と比較すると、第4の水素バリア膜59が形成されておらず、さらに、下層絶縁膜54の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜68が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜68の上面は下部電極61の底面と第3の水素バリア膜60の端部とに接している。
また、第3の変形例に係る容量素子の図15(a) に示す構造は、図13(a) と比較すると、下層絶縁膜14の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜68が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜68の上面は第5の水素バリア膜67の底面に接している。なお、第5の水素バリア膜67の上面が占める領域の大きさについては、前述の第1の変形例において説明した通りである。
さらに、第3の変形例に係る容量素子の図15(b) に示す構造は、図13(b) と比較すると、下層絶縁膜54の最上層に、SiNよりなる第6の水素バリア膜68が配置されている点で大きく異なっている。第6の水素バリア膜68の上面は第5の水素バリア膜67の底面に接している。なお、第5の水素バリア膜67の上面が占める領域の大きさについては、前述の第2の変形例において説明した通りである。
このように、図14(a) 及び(b) 並びに図15(a) 及び(b) に示した第6の水素バリア膜68は、その配置及び及び加工の際に、新たなマスクを必要としない。したがって、図14(a) 及び(b) 並びに図15(a) 及び(b) に示した容量素子によると、容易な方法によって、ホール58の下方、例えば下層絶縁膜54から進入してくる水素の拡散に対するバリア性能をより強化することができる。これにより、水素による容量絶縁膜62の還元に起因する容量素子65の特性劣化を防止することができる。また、図14(b) 及び図15(b) に示した容量素子においては、前記第2の変形例と同様に、第3の水素バリア膜60に絶縁性材料を用いることによって、第3の水素バリア膜60の段差被覆性及び薄膜化が可能になり、容量素子の高集積化も実現することができる。なお、第3の変形例においては、第6の水素バリア膜68の膜厚は、10nmから150nmの範囲に設定されている。
<第4の変形例>
以下に、第2の実施形態の第4の変形例に係る容量素子について、図16(a) 及び(b) 並びに図17(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図16(a) 及び(b) 並びに図17(a) 及び(b) は、第2の実施形態の第4の変形例に係る容量素子の要部断面図を示している。なお、図16(a) 及び(b) 並びに図17(a) 及び(b) における構成要素のうち、図12(a) 及び(b) 、図13(a) 及び(b) 、図14(a) 及び(b) 、並びに図15(a) 及び(b) に示された構成要素と共通する部分には同一の符号を付しており、その説明は繰り返さない。
第2の実施形態における第4の変形例に係る容量素子においては、第7の水素バリア膜69が配置されている点が特徴であるので、以下では、その特徴的な部分を中心に説明する。
まず、第4の変形例に係る容量素子の図16(a) に示す構造は、図14(a) と比較すると、プラグコンタクト55における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜69が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜69は、第6の水素バリア膜68と接すると共に第4の水素バリア膜59の下面と接している。
次に、第4の変形例に係る容量素子の図16(b) に示す構造は、図14(b) と比較すると、プラグコンタクト55における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜69が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜59は、第6の水素バリア膜68と接すると共に下部電極61の下面と接している。
また、第4の変形例に係る容量素子の図17(a) に示す構造では、図15(a) と比較すると、プラグコンタクト55における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜69が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜69は、第6の水素バリア膜68と接すると共に第5の水素バリア膜67の下面と接している。
さらに、第4の変形例に係る容量素子の図17(b) に示す構造では、図15(b) と比較すると、プラグコンタクト55における最上層に、TiAlNよりなる第7の水素バリア膜69が配置されている点で大きく異なっている。第7の水素バリア膜69は、第6の水素バリア膜68と接すると共に第5の水素バリア膜67の下面と接している。
このように、図16(a) 及び(b) 並びに図17(a) 及び(b) に示した容量素子によると、プラグコンタクト55における最上層に第7の水素バリア膜69をさらに配置しているので、プラグコンタクト55から進入してくる水素の拡散に対するバリア性能をより強化することができる。これにより、水素による容量絶縁膜62の還元に起因する容量素子65の特性劣化を防止することができる。また、図16(b) 及び図17(b) に示した容量素子においては、前述のように、第3の水素バリア膜60に絶縁性材料を用いることによって、第3の水素バリア膜60の段差被覆性及び薄膜化が可能になり、容量素子の高集積化も実現することができる。なお、第4の変形例においては、第7の水素バリア膜69の膜厚は、10nmから150nmの範囲に設定されている。
なお、図示していないが、図16(a) 及び(b) 、並びに図17(a) 及び(b) において第6の水素バリア膜68を配置しない構造を採用することも当然に可能である。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る容量素子の製造方法について、図18(a) 〜(c) 及び図19(a) 〜(c) を参照しながら説明する。
図18(a) 〜(c) 及び図19(a) 〜(c) は、第4の実施形態に係る容量素子の製造方法を示す工程断面図を示している。なお、第4の実施形態に係る容量素子の製造方法は、前述の第3の実施形態で説明した各容量素子の製造方法であるので、図18(a) 〜(c) 及び図19(a) 〜(c) における構成要素のうち、前述の第3の実施形態で説明した各容量素子と共通する部分は、同一の符号が用いられている。
図18(a) に示すように、半導体基板50上に、素子分離領域51と活性領域52とを形成し、さらに、ゲート53を形成する。
次に、CVD法により、半導体基板50の全面を覆うように、SiO2 又はSiNを成膜した後、CMP法によりSiO2 又はSiNを平坦化し、膜厚が500〜1000nmである下層絶縁膜54を形成する。
次に、ドライエッチング法により、下層絶縁膜54に、活性領域52を露出させるコンタクトホールを形成する。その後、CVD法により、コンタクトホールの中を含む下層絶縁膜54上の全面に亘って、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを成膜した後、CMP法を用いて、下層絶縁膜54の上面に成膜されているタングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを除去してプラグコンタクト55(径は0.2μm以下)を形成する。
次に、CVD法により、下層絶縁膜54及びプラグコンタクト55の上に、SiO2 よりなる層間絶縁膜56を成膜した後、CVD法により、該層間絶縁膜56の上面を被覆するように、膜厚が10nm以上であるSiNよりなる第1の水素バリア膜57を堆積する。さらに、CVD法により、第1の水素バリア膜57の上に、膜厚が20〜200nmであるSiO2 よりなる上層絶縁膜71(膜厚は20〜200nm)を成膜する。なお、上層絶縁膜71の膜厚は、第1の水素バリア膜57の上面から後述する第3の水素バリア膜60の上面までの高さに相当する。
次に、図18(b) に示すように、ドライエッチング法により、上層絶縁膜71、第1の水素バリア膜57、及び層間絶縁膜56に、プラグコンタクト55の上端を露出させるホール58(径は0.2〜1μm)を形成する。
次に、図18(c) に示すように、スパッタリング法又はCVD法により、ホール58の内壁及び底部、並びに上層絶縁膜71の上に、膜厚が10nm以上であって且つ導電性であるTiAlNよりなる水素バリア材料を堆積する。次にCMP法又はエッチバック法により、上層絶縁膜71上の水素バリア材料を除去して、ホール58の内壁に配置された膜厚が10nm以上である第3の水素バリア膜60、及びホール58の底部に配置された膜厚が10nm以上である第4の水素バリア膜59を形成する。ここで、第3の水素バリア膜60は、ホール58の内壁に露出している第1の水素バリア膜57と接しており、第4の水素バリア膜59は、ホール58の底部に露出しているプラグコンタクト55と接している。本実施形態においては、第4の水素バリア膜59及び第3の水素バリア膜60はそれぞれ同一の材料よりなり、同一の工程により形成できる場合について説明したが、異なる工程により形成してもかまわない。
次に、図19(a) に示すように、上層絶縁膜71のみを選択的に除去することにより、円筒形状を有する第3の水素バリア膜60の形成が完了する。ここで、上層絶縁膜71のみを選択的に除去する方法は、上層絶縁膜71と第1の水素バリア膜57とのエッチングレートの比、及び上層絶縁膜71と第3の水素バリア膜60とのエッチングレートの比が10:1以上となるようなプロセスを使用する。具体的には、フッ酸を使用したウエットエッチング、フッ素と酸素との混合ガスを使用したドライエッチング等を使用する。
次に、図19(b) に示すように、スパッタリング法又はCVD法により、第3の水素バリア膜60の表面、及び第1の水素バリア膜57の上に、上から順にPt/IrO2 /Irが積層されてなる電極材料を形成した後、塩素を含むガスを使用したドライエッチング法により、電極材料を所望の形状に加工して下部電極61を形成する。このドライエッチングにおいては、電極材料の加工が完了して第1の水素バリア膜57が露出する際に、第1の水素バリア膜57が完全に除去されないようにする必要がある。また、下部電極61に含まれるIrO2 /Irは、前述のように容量絶縁膜の結晶化時に不可欠となる酸素を含む雰囲気下での高温(600℃から800℃)アニール時に、酸素がプラグコンタクト55へ到達し、コンタクト抵抗の上昇を防止するための酸素バリア膜である。なお、下部電極61を構成する各膜の膜厚は、Pt、IrO2 、及びIrともに10nm〜50nmの範囲である。
次に、複数の下部電極61の上面及び側面、並びに第1の水素バリア膜57の上面に、SrBi2(TaxNb1-x)2O9 (0≦x≦1)よりなる誘電体博膜を形成する。また、円筒型の立体構造を有する下部電極61を被覆するように誘電体薄膜を形成するために、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vaper Deposition、MOCVD法という)によって誘電体薄膜を形成する。また、誘電体薄膜の膜厚は、12.5nm〜100nmの範囲である。また、誘電体薄膜を成膜した後には、結晶化のために、酸素を含む雰囲気下で600℃〜800℃の範囲の熱処理が施されている。なお、熱処理は、炉又はRTA(Rapid Tharmal Anneal)装置において実施される。
また、図19(a) 〜(c) には示していなが、前記図12(b) に示したように、誘電体薄膜に対してエッチングを行なって、下部電極61を露出させるコンタクトホール63を形成する。この場合のエッチングは、フッ素を含むガスを用いたドライエッチング法を用いる。また、コンタクトホール63は、後述の上部電極64と下部電極61とを接続する役割を有している。これにより、上部電極64には、下部電極61を介して電気信号が伝達される。
次に、スパッタリング法又はCVD法により、誘電体薄膜の上面及び側面、並びにコンタクトホール63の側壁及び底部を被覆するように、Ptよりなる電極材料を成膜した後、電極材料と誘電体薄膜との積層膜を所望の形状に加工するために、塩素又はフッ素を含むガスを用いたドライエッチング法により、容量絶縁膜62及び上部電極64を形成する。また、上部電極64の膜厚は、10nmから50nmの範囲である。
なお、このドライエッチングにおいては、電極材料と誘電体薄膜との加工が完了して第1の水素バリア膜57が露出する際に、第1の水素バリア膜57が完全に除去されないようにしなければならない。このようにして、下部電極61と容量絶縁膜62と上部電極64とよりなる円筒型の立体形状を有する情報記憶用容量素子65が完成する。
次に、CVD法又はスパッタリング法により、第1の水素バリア膜57よりも上に位置している容量素子65の上面と側壁とを被覆するように、Al2O3又はTiAlNよりなる第2の水素バリア膜66を形成する。第2の水素バリア膜66は、上部電極64及び容量絶縁膜62が形成されていない領域において、第1の水素バリア膜57と必ず接している。これにより、容量素子65は、第1の水素バリア膜57、第2の水素バリア膜66、第3の水素バリア膜60、及び第4の水素バリア膜59により、完全に被覆される。このため、水素による容量絶縁膜62の還元に起因する容量素子の特性劣化を防止することができる。
また、水素バリア膜によって容量素子を完全に被覆する構造を形成した後であっても、従来例に示したような高い段差は形成されていない。このため、容量素子65を形成した後に実施する配線形成時のリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。さらに、容量素子65の上部及び側壁を被覆する第2の水素バリア膜66を形成する工程において存在する段差についても非常に低いので、第2の水素バリア膜66を加工するためにマスクパターンを形成するリソグラフィー工程において、ステッパーの性能で実現できる範囲のフォーカスマージンを容易に確保することができる。
<第1の変形例>
以下に、第3の実施形態における第1の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図13(a) 並びに前記図18(a) 〜(c) 並びに図19(a) 〜(c) を参照しながら説明する。なお、第1の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図13(a) に示した容量素子の製造方法であって、第5の水素バリア膜67を配置する点が特徴であるので、以下では、その特徴的な部分を中心に説明する。
前記図13(a) に示すように、プラグコンタクト55を形成するまでの工程は、前記図18(a) を用いた説明と同様である。
次に、下層絶縁膜54及びプラグコンタクト55上の全面に亘って、TiAlNよりなる水素バリア材料を成膜する。次に、塩素を含むガスを用いたドライエッチング法により、水素バリア材料を所望の形状に加工することにより、膜厚が10〜100nmの範囲である第5の水素バリア膜67を形成する。
次に、下層絶縁膜54の上に、第5の水素バリア膜67を覆うように、SiO2 よりなる絶縁膜を成膜した後、CMP法より、絶縁膜を平坦化することにより、層間絶縁膜56を形成する。層間絶縁膜56の膜厚は、第5の水素バリア膜67の上で300〜1000nmとしている。
次に、CVD法により、層間絶縁膜56の上に、SiNよりなる第1の水素バリア膜57を形成する。第1の水素バリア膜57の膜厚は、水素の拡散を防止できる膜厚以上あれば十分であるので、10nm以上とする。さらに、CVD法により、第1の水素バリア膜57上に上層絶縁膜71(膜厚は20nm〜200nm)を形成する。
なお、以降の工程は、前記図18(b) 及び(c) 並びに図19(a) 〜(c) と同様である。
このように、第5の水素バリア膜67を設けることにより、容量素子65への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
<第2の変形例>
以下に、第2の実施形態における第2の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図13(b) 、前記図18(a) 〜(c) 、並びに図19(a) 〜(c) を参照しながら説明する。なお、第2の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図13(b) に示した容量素子の製造方法であって、ホール58の側壁に形成される第3の水素バリア膜60のみを配置する点と第5の水素バリア膜67を配置する点とが特徴であるが、第5の水素バリア膜67を配置する方法は前述の第1の変形例で述べたので、以下では、ホール58の側壁に第3の水素バリア膜60のみを配置する方法を中心に説明する。
前記図13(b) に示すように、プラグコンタクト55を形成するまでの工程は、前記図18(a) を用いた説明と同様である。
次に、下層絶縁膜54及びプラグコンタクト55上の全面に亘って、TiAlNよりなる水素バリア材料を成膜する。次に、塩素を含むガスを用いたドライエッチング法により、水素バリア材料を所望の形状に加工することにより、膜厚が10〜100nmの範囲である第5の水素バリア膜67を形成する。
前記図13(b) に示すように、プラグコンタクト55を形成するまでの工程は、前記図18(a) を用いた説明と同様である。また、第5の水素バリア膜67、第1の水素バリア膜57及び上層絶縁膜71を形成するまでの工程は、前述の第2の実施形態における第2の変形例で説明したのと同様である。さらに、ホール58を形成する工程は、前記図18(b) に示した工程と同様である。
次に、スパッタリング法又はCVD法により、ホール58の底部及び側壁を被覆するように、上層絶縁膜71の全面に、SiN、Al2O3等の絶縁性水素バリア材料、又はTiAlNよりなる水素バリア材料を成膜する。
次に、ドライエッチング法により、基板全面に対して異方性エッチングを行なってエッチバックすることにより、ホール58の側壁のみに第3の水素バリア膜60を形成する。このドライエッチングには、フッ素又は塩素を含むガスが用いられている。
ホール58の側壁に第3の水素バリア膜60を配置するのみで、ホール58の底部に第4の水素バリア膜59を配置しない構造による利点は、第3の水素バリア膜60として絶縁性水素バリア材料の使用が可能になることである。つまり、第3の水素バリア膜60に用いる材料として選択の幅が広がる点である。
なお、以降の工程は、図19(a) 〜(c) を用いた説明と同様である。
<第3の変形例>
以下に、第2の実施形態における第3の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図14(a) 及び(b) 、前記図15(a) 及び(b)、前記図18(a) 〜(c) 、並びに図19(a) 〜(b) を参照しながら説明する。なお、第3の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図14(a) 及び(b) 、並びに図15(a) 及び(b) に示した容量素子の製造方法であって、前記第1及び第2の変形例と比較して、第6の水素バリア膜68を配置する点が特徴であるので、以下では、第6の水素バリア膜68の配置する方法を中心に説明する。
前記図14(a) 及び(b) 並びに図15(a) 及び(b) 示すように、半導体基板50上に、素子分離領域51及び活性領域52を形成し、さらに、ゲート53を形成する。
次に、CVD法により、半導体基板50の全面を覆うように、SiO2 又はSiNを成膜した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって平坦化することにより、膜厚が500〜1000nmである下層絶縁膜54を形成する。
次に、CVD法又はスパッタリング法により、下層絶縁膜54の上に、SiN膜、Al2O3 膜又はTiAlO膜よりなる第6の水素バリア膜68を成膜する。第6の水素バリア膜68の膜厚は、10〜150nmの範囲である。
次に、ドライエッチング法により、第6の水素バリア膜68及び下層絶縁膜54に、活性領域52へ通じるコンタクトホールを形成する。
次に、CVD法により、コンタクトホールの中を含む第6の水素バリア膜68の上の全面に亘って、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを成膜した後、CMP法により、第6の水素バリア膜68の上のタングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを除去してプラグコンタクト55を形成する。
以降、前記図14(a) に示す容量素子を形成する場合には、前記図18(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜68及びプラグコンタクト55の上に、層間絶縁膜56、第1の水素バリア膜57及び上層絶縁膜71を成膜する。なお、後の工程についても、図18(b)及び(c) 並びに図19(a) 〜(c) と同様である。
また、前記図14(b) に示す容量素子を形成する場合には、前記図18(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜68及びプラグコンタクト55の上に、層間絶縁膜56、第1の水素バリア膜57及び上層絶縁膜71を成膜する。その後、前述の第2の変形例での説明と同様にして、ホール58を形成した後に、ホール58の側壁に第3の水素バリア膜60を配置する。なお、後の工程についても、図19(a) 〜(c) と同様である。
また、前記図15(a) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第1の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜68及びプラグコンタクト55の上に、プラグコンタクト55の上端と接する第5の水素バリア膜67を形成する。なお、後の工程についても、前述の第1の変形例での説明と同様に行なえばよい。
さらに、前記図15(b) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第2の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜68及びプラグコンタクト55の上に、プラグコンタクト55の上端と接する第5の水素バリア膜67を形成する。なお、後の工程についても、前述の第2の変形例での説明と同様に行なえばよい。
このように、第6の水素バリア膜68を設けることにより、容量素子65への下方からの水素の拡散に対するバリア性能を強化することができる。
<第4の変形例>
以下に、第2の実施形態における第4の変形例に係る容量素子の製造方法について、前記図16(a) 及び(b) 、前記図17(a) 及び(b)、前記図18(a) 〜(c) 、並びに図19(a) 〜(c) を参照しながら説明する。なお、第4の変形例に係る容量素子の製造方法は、前記図16(a) 及び(b) 、並びに図17(a) 及び(b) に示した容量素子の製造方法であって、前記第1〜第3の変形例と比較して、第7の水素バリア膜69を配置する点が特徴であるので、以下では、第7の水素バリア膜69の配置する方法を中心に説明する。
前記図16(a) 及び(b) 並びに図17(a) 及び(b) 示すように、半導体基板50上に、素子分離領域51及び活性領域52を形成し、さらに、ゲート53を形成する。
次に、CVD法により、半導体基板50の全面を覆うように、SiO2 又はSiNを成膜した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって平坦化することにより、膜厚が500〜1000nmである下層絶縁膜54を形成する。
次に、CVD法又はスパッタリング法により、下層絶縁膜54の上に、SiN、Al2O3 又はTiAlOよりなる第6の水素バリア膜68を成膜する。第6の水素バリア膜68の膜厚は、10〜150nmの範囲である。
次に、ドライエッチング法により、第6の水素バリア膜68及び下層絶縁膜54に、活性領域52へ通じるコンタクトホールを形成する。
次に、CVD法により、コンタクトホールの中を含む第6の水素バリア膜68の上の全面に亘って、タングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを成膜した後、CMP法により、第6の水素バリア膜68の上のタングステン又はn型不純物がドープされた低抵抗ポリシリコンを除去してプラグコンタクト55を形成する。
次に、ドライエッチング法により、プラグコンタクト55の内部のタングステン又は低抵抗ポリシリコンをエッチバックして、リセスを形成する。なお、このエッチバックには、フッ素を含むガスが使用される。また、リセスの深さは、20〜100nmに範囲である。
次に、プラグコンタクト55に形成されたリセスを埋め込むように、膜厚が10〜150nmであるTiAlN膜よりなる水素バリア材料を基板全面に亘って成膜する。
次に、CMP法又はエッチバック法により、リセス内部以外に成膜されている水素バリア材料を除去して、リセス内部にのみに第7の水素バリア膜69を形成する。
以降、前記図16(a) に示す容量素子を形成する場合には、前記図18(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜68及びプラグコンタクト55の上に、層間絶縁膜56、第1の水素バリア膜57及び上層絶縁膜71を成膜する。なお、後の工程についても、図18(b) 及び(c) 並びに図19(a) 〜(c) と同様である。
また、前記図16(b) に示す容量素子を形成する場合には、前記図18(a) での工程と同様にして、第6の水素バリア膜68及びプラグコンタクト55の上に、層間絶縁膜56、第1の水素バリア膜57及び上層絶縁膜71を成膜する。その後、前述の第2の変形例での説明と同様にして、ホール58を形成した後に、ホール58の側壁に第3の水素バリア膜60を配置する。なお、後の工程についても、図19(a) 〜(c) と同様である。
また、前記図17(a) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第1の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜68及び第7の水素バリア膜69の上に、第7の水素バリア膜69の上面と接する第5の水素バリア膜67を形成する。なお、後の工程についても、前述の第1の変形例での説明と同様に行なえばよい。
さらに、前記図17(b) に示す容量素子を形成する場合には、前述の第2の変形例での説明と同様にして、第6の水素バリア膜68及び第7の水素バリア膜69の上に、第7の水素バリア膜69の上面と接する第5の水素バリア膜67を形成する。なお、後の工程についても、前述の第2の変形例での説明と同様に行なえばよい。