JP2002531226A - 改質したイコデキストリンを含む腹膜透析溶液 - Google Patents
改質したイコデキストリンを含む腹膜透析溶液Info
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Abstract
Description
本発明は、腹膜透析溶液中の改質したイコデキストリン(icodextrin
)の使用に関し、このイコデキストリンは浸透圧剤として、および浸透圧剤とし
てのグルコースの使用の代替物としてのものである。本発明はさらに、オートク
レーブ条件下で安定である腹膜透析溶液を調製する方法に関する。
を提供する。主に、血液透析および腹膜透析は、現在利用されている2つの方法
である。
血液を浄化するための人工腎として働く。それは特殊な機械を必要とする体外処
置であるので、血液透析は透析機の有効性、ならびに感染および汚染の可能性な
どの特定の固有の不利益を伴う。
析は、患者自身の腹膜を半透膜として利用する。この腹膜は、身体の腹骨盤壁の
膜状内層である。腹膜は、その大多数の血管および毛細血管のために天然の半透
膜として作用し得る。
れる。十分な時間の後、透析液と血液との間の溶質の交換が達成される。液体の
除去が透析液から血液まで適切な浸透圧勾配を提供することによって達成され、
水分が血液から流出することが可能になる。これは適切な酸−塩基、電解質およ
び液体バランスを血液中に達成させることを可能にする。適切なドウェル期間の
後、透析溶液または透析液はカテーテルによって身体から抜き出される。
い溶液の浸透圧を維持するために、浸透圧剤としてグルコースを含む。グルコー
スは浸透圧剤として好ましい。なぜなら、それは迅速な限外濾過速度を与えるか
らである。しかし、グルコースの使用に関して特定の不利益がある。
5−ヒドロキシメチル−フルフラール(5−MHF)へ分解することが知られて
いる。Smithら、AM.J. Hosp. Pharm.,34:205−
206(1977)。5−HMFは腹膜に有害であると考えられているので(H
endersonら、Blood Purif.,7:86−94(1989)
)、グルコースと同等の効果を有するが、オートクレービングまたは滅菌の間に
5−HMFまたは他の有害な分解生成物を生じない浸透圧剤を含む腹膜透析溶液
を有することが所望される。要するに、グルコースに代わる浸透圧剤が必要とさ
れる。
コデキストリン(マルトデキストリン(maltodextrin)を含む)が
ある。しかし、これらの化合物が浸透圧剤としての使用に適する一方で、これら
はまた、熱滅菌の間に分解してアルドン酸およびホルムアルデヒドになることが
知られている。腹膜透析溶液中のホルムアルデヒドの存在は、その乏しい生体適
合性のために適切でないので、浸透圧剤としてグルコースの代わりのイコデキス
トリン(マルトデキストリンを含む)の使用は、十分ではない。
滅菌条件下で安定である改良された腹膜透析溶液が必要とされている。
マーを含む滅菌した腹膜透析溶液を提供することで前述の必要性に対する解決策
を提供する。ポリマー分子内に他の結合(例えば、α−1,6結合)が同様に存
在する(より少量であるが)ことが予測されるので、用語「優勢に」を使用する
。従って、本明細書中で使用される、用語「優勢に」は、少なくとも85%を意
味する。このように、α−1,4結合によって優勢に連結されるグルコースポリ
マーは、少なくとも85%の、番号でα−1,4結合を含む。
スポリマーは、以下の式
H3CH2および(CH2OH)2CH、CH2(OH)CH(OH)CH2、ならび
に(CH2OH)(CHOHCH2OH)CHからなる群から選択される。
析溶液のグルコースポリマーは、他の結合(α−1,6結合を含むが、これに限
定されない)を10%まで含有し得る。
ドを含まない。
含まない。
端アルデヒド基を含まない。
製する方法を提供し、この方法は、水に溶解したデンプンの溶液を提供し、そし
て部分的に加水分解したこのデンプンの溶液にデンプンを還元するためにNaB
H4を添加する工程を包含する。
ン交換樹脂に通すことによって、還元したデンプン溶液を精製する工程をさらに
包含する。
室温で実施される。
してこのデンプンを還元した後、この溶液を約10時間スキャンさせる工程をさ
らに包含する。
結合によって優勢に連結され、そして以下の式
する方法を提供し、この方法は、水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、
NaOClの溶液を提供する工程、およびこのNaOCl溶液をデンプン溶液に
添加して、このデンプンを酸化する工程を包含する。
透クロマトグラフに通すことによって、酸化したデンプン溶液を精製する工程を
さらに包含する。
結合によって優勢に連結され、そして以下の式
製する方法を提供し、この方法は酸、ならびにメタノール、ブタノール、グリセ
ロールおよび他のアルコールからなる群から選択されるアルコールにデンプンを
溶解させる工程を包含する。
6時間攪拌する工程をさらに包含する。
0℃の温度で攪拌する工程をさらに包含する。
て優勢に連結され、そして以下の式
酸塩で前処理されたデンプンに加水分解が起こる場合、Rはグリコール−分裂(
split)グルコース単位の残余である。
腹膜透析溶液を提供することは、本発明の利点である。
ることである。
ることである。
である腹膜透析溶液用の改良された浸透圧剤を提供することである。
ましい実施態様の詳細な説明および添付の図面を参照することで明らかとなる。
する腹膜透析溶液を提供する。本発明の安定な浸透圧剤は、還元、酸化またはグ
リコシル化によって調製され得る。マルトデキストリンのような、還元性の末端
単位を有するイコデキストリンが用いられる場合、本発明の還元、酸化またはグ
リコシル化手順は、このイコデキストリンを、それぞれ対応するD−グルシトー
ル、グルコン酸およびアルキルグリコシドに変換する。
トリンを用いて開始することによって調製した。この溶液に1gのNaBH4を
、室温で添加し、この溶液を10時間静置した。次いで、この溶液を陰イオン交
換樹脂を通して精製した。
%マルトース、20%マルトテトラオース(maltotetraose)およ
び42%高分子量オリゴ糖を含有する、3%の重合度(DP)を有する低分子量
(LMW)を使用した。2番目に、1%グルコース、2%マルトース、4%マル
トテトラオースおよび94%高分子量オリゴ糖を含有する、14%の重合度を有
する高分子量マルトデキストリン(HMW1)を利用した。3番目に、1%グル
コース、3%マルトース、7%マルトテトラオースおよび90%高分子量オリゴ
糖を含有する、9%の重合度を有する第2の高分子量マルトデキストリン(LM
W2)を利用した。生成物および出発物質は、13C NMR分光法を使用して分
析した。生成物のスペクトルには、出発物質の還元性末端単位に関係するシグナ
ルは完全に消失した。いくらかの解重合が観察された。
還元型化合物について、284nmでの吸光度の変化の著しい減少(ΔAbs)
が観測される。実施例1からの還元型化合物は、表1中で、HMW1 red、
HMW2 redおよびLMW redと記載する。
を利用して、マルトデキストリン(15g)を水(30ml)に溶解し、デンプ
ン溶液を、43℃の温度で、8±0.5のpHを有する、水酸化ナトリウムを含
有する溶液(70ml)中の有効量のNaOClと合わせて、各サンプルで酸化
反応を行った。合わせた溶液を約2時間静置し、そして生成溶液をゲル透過クロ
マトグラフィーによって精製した。また、生成物は13C NMR分光法を使用し
て分析し、表1に示すような滅菌条件下で、安定性について試験した。酸化生成
物、HMW1 ox、HMW2 oxおよびLMW oxは、対照的な結果を示
すが、これは、完全に精製されていない高分子量酸化生成物が原因である。
。 ΔAbs=滅菌後と滅菌前の吸光度の差 (実施例3) 本発明に従って安定な浸透圧剤を調製する第3の方法において、イコデキスト
リンをグリコシル化した。出発物質としてデンプン、およびアルキル化剤として
アルコールを使用して、グリコシル化反応を行った。ブタノールおよびグリセロ
ールは、その生物的適合性のため選択した。反応生成物の分子量は、使用した温
度、時間および酸の濃度に依存する。
60mg)を含有するアルコール(540mg)中のデンプン(200mg)の
懸濁液を、約2時間撹拌することによって行った。それぞれメタノールおよびブ
タノールを用いて、この反応から得られた2つの生成物の13C NMRスペクト
ルを、図1および2に示す。表2は、重合度(DP)および置換されていない還
元性末端の割合を、反応条件の関数として提示する。このデータは、適切なNM
Rシグナル間(DP値については1H NMR、および置換されていない還元性
末端の割合については13CNMR)の比から得た。
)(湿気9%)およびグリセロール(2.7g)を使用し、異なる量の塩酸と共
に、異なる期間、この混合物を100℃で撹拌して、反応を行った。過剰なグリ
セロールを、減圧下でエバポレートすることによって除去し、ゲル濾過によって
さらなる精製を行った。この結果を表3に示す。
Rスペクトルを、図2に示す。グリコシドのアノマーのシグナルα(100.9
ppm)およびβ(105.1ppm)、両方置換されたCH2シグナル(α=
71.3ppm、β=73ppm)およびグリセロールの非置換1級ヒドロキシ
ル基(65.3ppm)、グリセロールの2級置換ヒドロキシル基のCHシグナ
ル(α=81.5ppm、β=83ppm)を観察し得る。
、284nmにおいて観測された変化をグルコースおよびメチルグリコシドの変
化と比較する。
00ダルトンのSpectra Pore膜を有する小さな透析バッグ(直径1
5mm、高さ15cm)を、異なる濃度(サンプルの2.5、5.0%w/v)
の水溶液(3ml)で満たした。余分な透析溶液を撹拌しながら、このバッグを
37℃の蒸留水(200ml)に浸した。所定の時間(0、1、2、3、4、5
、6時間)にて、透析バッグ内の容積の増加を重量により評価し、初めの容積と
比較した増加割合(ΔW%)として表した。その平均結果を、表5に示し、グル
コースおよびグルコース−1−ホスフェートについての結果と比較する。
圧剤、安定な浸透圧剤を含有する改善された腹膜透析溶液、ならびに改善された
腹膜透析溶液を生成する種々の方法を提供する。
は、当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変化および
改変は、本発明の精神および請求の範囲から逸脱することなく、そして、それに
伴う利点が減少することなく行われ得る。従って、このような変化および改変は
、添付の請求の範囲により網羅されることが意図される。
NMRスペクトルの図示である。
NMRスペクトルの図示である。
Claims (22)
- 【請求項1】 滅菌した腹膜透析溶液であって、以下: 複数の結合によって連結され、そして以下の式 【化1】 を有するD−グルシトール、以下の式 【化2】 を有するグルコン酸、および以下の式 【化3】 を有するアルキルグリコシドからなる群から選択されるグルコースポリマーであ
って、ここで、RはCH3、CH3CH2、(CH2OH)2CH、CH2(OH)C
H(OH)CH2、および[CH2(OH)CH(OH)CH2(OH)]CHか
らなる群から選択され、そして前記ポリマーを連結する前記複数の結合は、少な
くとも85%の、番号でα−1,4結合を含む、ポリマー、 を含む、デンプンを包含する、溶液。 - 【請求項2】 前記溶液がホルムアルデヒドを含まない、請求項1に記載の
腹膜透析溶液。 - 【請求項3】 前記溶液がフルフラールを含まない、請求項1に記載の腹膜
透析溶液。 - 【請求項4】 前記部分的に加水分解されたデンプンが末端アルデヒド基を
含まない、請求項1に記載の腹膜透析溶液。 - 【請求項5】 腹膜透析溶液用の滅菌した浸透圧剤を調製する方法であって
、前記方法は、以下の工程: 水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、 NaBH4を前記デンプン溶液に添加して、前記デンプンを還元する工程、 を包含する、方法。 - 【請求項6】 請求項5に記載の方法であって、前記方法は、以下の工程: 前記還元したデンプン溶液を、陰イオン交換樹脂に通すことによって、前記還
元したデンプン溶液を精製する工程、 をさらに包含する、方法。 - 【請求項7】 前記溶解する工程および添加する工程が室温で実施される、
請求項5に記載の方法。 - 【請求項8】 請求項6に記載の方法であって、前記方法は、添加する工程
の後であって、かつ精製する工程の前に、以下の工程: 前記溶液を約10時間放置させる工程、 をさらに包含する、方法。 - 【請求項9】 前記デンプンがマルトデキストリンである、請求項5に記載
の方法。 - 【請求項10】 請求項5に記載の方法であって、ここで、前記デンプンが
、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式: 【化4】 を有するイコデキストリンに還元される、方法。 - 【請求項11】 腹膜透析溶液用の安定化した浸透圧剤を調製する方法であ
って、以下の工程: 水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、 NaOClの溶液を提供する工程、 前記NaOCl溶液を前記デンプン溶液に添加して、前記デンプンを酸化する
工程、 を包含する、方法。 - 【請求項12】 請求項11に記載の方法であって、前記方法は、以下の工
程: 前記酸化したデンプン溶液を、ゲル浸透クロマトグラフに通すことによって、
前記酸化したデンプン溶液を精製する工程、 をさらに包含する、方法。 - 【請求項13】 前記添加する工程が室温で実施される、請求項11に記載
の方法。 - 【請求項14】 請求項12に記載の方法であって、前記方法は、添加する
工程の後であって、かつ精製する工程の前に、以下の工程: 前記溶液を約2時間放置させる工程、 をさらに包含する、方法。 - 【請求項15】 前記デンプンがマルトデキストリンである、請求項11に
記載の方法。 - 【請求項16】 請求項11に記載の方法であって、ここで、前記デンプン
が、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式: 【化5】 を有するイコデキストリンに酸化される、方法。 - 【請求項17】 腹膜透析溶液用の安定化した浸透圧剤を調製する方法であ
って、以下の工程: 酸、およびメタノール、ブタノールおよびグリセロールからなる群から選択さ
れるアルコールにデンプンを溶解する工程、 を包含する、方法。 - 【請求項18】 請求項17に記載の方法であって、前記方法は、以下の工
程: 前記デンプン、アルコールおよび酸を約2時間攪拌する工程、 をさらに包含する、方法。 - 【請求項19】 前記攪拌する工程が約100℃の温度で実施される、請求
項17に記載の方法。 - 【請求項20】 前記デンプンがマルトデキストリンである、請求項17に
記載の方法。 - 【請求項21】 前記酸がHClである、請求項17に記載の方法。
- 【請求項22】 請求項17に記載の方法であって、ここで、前記デンプン
が、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式: 【化6】 を有するイコデキストリンにグリコシル化され、ここで、RがCH3、CH3CH 2 、および(CH2OH)2CHからなる群から選択される、方法。
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