JP2000038348A - アルブミン含有腹膜透析液 - Google Patents

アルブミン含有腹膜透析液

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Abstract

(57)【要約】 【課題】腹膜炎の発生を抑制することのできる腹膜透析
液を提供する。 【解決手段】電解質、ブドウ糖などの浸透圧調整剤およ
び0.1〜30g/L、好ましくは0.1〜5g/Lの
アルブミン、特にヒト血清アルブミンを含む生理学的に
許容されるpHを有する腹膜透析液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な腹膜透析液に
関し、より詳細には、腹膜透析により生じる腹膜炎の発
生を抑制することが可能な腹膜透析液に関する。
【0002】
【従来の技術】腎不全になると、最終窒素代謝産物など
の排泄が困難になり、これらが体内に溜まって種々の臓
器に障害を生じる。そのため、従来、人工透析により体
内に溜まった代謝産物を体外に排泄する治療が行われて
いる。人工透析には大別して血液透析と腹膜透析に分類
される。 血液透析とは、過剰な水分、望ましくない電
解質、尿素またはクレアチニンなどの小分子量物質、他
の尿毒症関連の物質を除去し、その濃度を是正すること
を目的とする。したがって、通常の方法は患者から血液
を取り出し、透析液を使用して、患者血液を体外におい
て透析装置に通過させる。透析液として、近年、重曹
(アルカリ剤)を主体とする透析液を使用して、体外に
おいて患者血液を透析装置に通過させることが多い。該
方法は血液吸着法または血漿分離法との併用も可能であ
り、もっとも頻繁に行われている方法である。しかしな
がら、該方法は、長期間患者に適用可能であるという利
点を有する反面、透析装置を用いるため、多大な費用が
必要であり、血液を体外循環させるため、患者にブラッ
ドアクセス手術を行う必要があり、また適用が体外循環
に耐え得る心肺機能を有する患者に限定されるなどの欠
点を有している。
【0003】一方、腹膜透析とは、患者腹膜の毛細血管
内の溶質・水分を腹腔内に注入した高張透析液との間で
交換する方法である。該方法の原理は、腹膜を介して血
液と透析液が存在するとき、溶質が濃度勾配に従って、
移動する拡散と浸透圧較差による水分移動であり、この
原理に基づいて、高窒素血症、水、電解質の是正が行わ
れる方法である。該方法は一般に特殊な装置が不要であ
り、患者の血液を体外循環させる必要がないので、循環
動態に及ぼす影響が少なく、また、透析作用も本来の腎
臓に近い働きがあるなど多くの利点を有している。
【0004】腹膜透析の種類としては、通常、CAPD
(持続携行式腹膜透析)、IPD(間歇的腹膜透析)、
またはCCPD(連続循環腹膜透析)に分類される。こ
れらの腹膜透析に使用される腹膜透析液とは、ブドウ糖
などの浸透圧調整剤、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の電解質
イオン、および乳酸ナトリウムなどの有機酸塩を含む液
体である。これらの腹膜透析液は、その成分により電解
質や酸塩基平衡を調整し、老廃物を除去し、限外濾過が
良好に行うように設定されている。
【0005】しかしながら、腹膜透析液は、その組成の
安定性のためにpHが酸性(4.5 〜5.5)に維持され、ま
た、透析作用のために該透析液の浸透圧は、血液の浸透
圧よりも高張(生理食塩液に対する浸透圧比が約1.1
〜1.6)にされており、臨床の現場では、ヒト生体に
不適切な液である透析液を腹腔内に多量(約10L/ヒ
ト/日)に注入し、数時間(2〜24時間)貯留して使
用している。そのため、透析患者が腹痛などの臨床症状
を伴う腹膜炎等を起こし易く、ついには腹膜硬化症等に
至るという欠点を有している(若林良則、川口良人:
「腹膜透析と硬化性被嚢性腹膜炎」、医学の歩み、18
3,363−367,1997)。そして、腹膜硬化症
になると透析効果が低下するため、腎疾患患者は腹膜透
析を長期間使用することが困難になる。また、血漿蛋白
の喪失、透析時間が長いなどの欠点も有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたもので、腹膜炎の発生を抑制することが可
能である腹膜透析液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために鋭意検討の結果、適当な量のアルブ
ミンを添加した腹膜透析液が、腹膜炎の発生を著しく抑
制させることを見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、アルブミンを0.1
〜30g/L含有してなる腹膜透析液である。
【0009】
【発明の実施の態様】従来から、浸透圧調整剤としてア
ルブミンを腹膜透析液に使用することは公知である(例
えば、特開昭63-3871号公報、特開平1-313061号公報、A
rtificial Organ, 1995, 19(4), 307-314など)。しか
しながら、アルブミンを浸透圧調整剤として使用するこ
とは、より小さな分子量物質よりも小さな浸透圧効果を
示し、相当する高い水抽出(限外濾過)が得られるよう
に、極めて高濃度のものが用いられなければならないこ
とが指摘されている。すなわち浸透圧調整剤として使用
するアルブミンの量は、透析液1L当たり、75g(7.5
w/v%)と比較的多量であった。アルブミン投与量が多い
場合、生体内への取り込みが無視できず、アルブミン上
昇による血清浸透圧の乱れを生じるなどの欠点も見られ
る。本発明においてはアルブミン量が従来の浸透圧調整
剤として使用される量よりも極めて少量であることが特
徴である。
【0010】本発明において、腹膜透析液としては、電
解質、アルブミン以外の浸透圧調整剤、生理学的に許容
されるpHの水溶液および0.1〜30g/Lのヒト血
清アルブミンを含む。本発明の腹膜透析液の浸透圧比
(生理食塩液の浸透圧に対する比)は、1.0〜3.
0、好ましくは1.1〜1.6である。また生理学的に
許容されるpHは、4.0〜8.0、好ましくは4.5
〜7.5、さらに好ましくは5.0〜7.4である。
【0011】本発明において使用するアルブミンとして
は、ヒトやウシなどの動物血清由来のもの、化学合成あ
るいは遺伝子操作等によって得られたもの、またはその
誘導体等が採用可能であり、特にヒト血清アルブミン
(遺伝子操作によって製造されたものを含む)が好まし
い。アルブミンの含有量は、0.1〜30g/L(0.01
〜3w/v%)、好ましくは0.1〜5g/L(0.01〜0.5w/
v%)である。アルブミン0.1g/L(0.01w/v%)未満
では、腹膜炎抑制効果が小さく、30g/L(3w/v%)
を越えると、体内から腹膜透析液中への水分移動量が多
くなるので好ましくない。後記する試験例5に見られる
ように、アルブミン量が30g/L(3w/v%)を越える
と、血清アルブミン濃度の上昇が認められ、血清浸透圧
に変化を来したものと考えられる。また、腹膜透析液に
はアルブミン安定化剤として、N−アセチルトリプトフ
ァンナトリウムやカプリル酸ナトリウム等を含んでいて
もよい。その含有量は、それぞれアルブミン1g当たり
5〜50mgである。
【0012】本発明の透析液に使用する浸透圧調整剤と
しては、グリセロール、単糖類、二糖類、多糖類、糖ア
ルコール、ゼラチンおよびアミノ酸からなる群から選択
された1種または2種以上の化合物を使用する。単糖類
としては、ブドウ糖、果糖、ガラクトースなどが例示さ
れ、二糖類としては、ショ糖、マルトース、トレハロー
スなどが例示され、多糖類としては、デキストリン、デ
ンプン、ポリグルコース、ヒドロキシエチルスターチな
どの炭水化物が例示される。糖アルコールとしては、キ
シリトール、マンニトール、ソルビトールなどが例示さ
れる。さらに、その他の高分子量物質として、ゼラチ
ン、ヒアルロン酸などが例示される。浸透圧調整剤の含
有量は、通常、約5〜200g/Lであり、単糖類で
は、約10〜70g/L、二糖類では、約20〜140
g/L、多糖類では約30〜100g/Lの範囲で用い
られる。アミノ酸としては、必須アミノ酸と非必須アミ
ノ酸からなるアミノ酸混合物を含み、その量は約5〜3
0g/Lの範囲で用いられる。本発明の透析液の浸透圧
調整剤としては、ブドウ糖が特に好ましい。
【0013】本発明の透析液中には、上記浸透圧調整剤
の他に、実質的に等張である濃度の電解質を含む。電解
質としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イ
オンなどの陽イオン、塩化物イオンなどの陰イオンを含
む。アルカリ金属として、ナトリウム、カリウムなどが
例示され、アルカリ土類金属として、カルシウム、マグ
ネシウムなどが例示される。これらの陽イオンの含有量
は、一般にナトリウムイオン110〜140mEq/
L、カリウイムイオン0〜0.05mEq/L、マグネ
シウムイオン0〜3mEq/L、カルシウムイオン0〜
6mEq/Lである。また、塩素イオン80〜144m
Eq/Lであることが好ましい。また、本発明の腹膜透
析液は無機酸、有機酸あるいはアルカリ性物質などのp
H調整剤により、製剤学的に安定な範囲で調整されるこ
とが好ましい。無機酸としては、塩酸などがあり、有機
酸としては、乳酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、マレイ
ン酸、ピルビン酸またはクエン酸などがあり、またアル
カリ性物質としては水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウムなどが例示される。
【0014】腹膜透析液の1例として、以下の成分の一
部または全てを含む処方が挙げられる。 グルコース 5〜45 g/L 電解質: ナトリウムイオン 120〜140 mEq/L カルシウムイオン 2.0〜5.0 mEq/L マグネシウムイオン 0.3〜2.0 mEq/L 塩化物イオン 80〜120 mEq/L 乳酸イオン 10〜50 mEq/L 炭酸水素イオン 0〜25 mEq/L アルブミン 0.1〜30 g/L、
【0015】本発明の腹膜透析液には、必要に応じて、
腹膜の癒着防止剤としてキトサン、アルギン酸ナトリウ
ム等を少量添加してもよい。また、浸透圧調整剤として
は、上記ブドウ糖の代わりに単糖類(果糖など)や二糖
類(ショ糖など)、炭水化物(デキストラン、デンプン
など)を採用することもできる。腹膜透析法は栄養素を
血液中から透析液へ漏出するため、その漏出する栄養素
を添加した腹膜透析液を採用することもできる。pH調
整剤としては、酢酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩を乳
酸塩または重炭酸塩に代えて使用してもよい。また、種
々のアミノ酸をpH調整剤または浸透圧調整剤として使
用することもできる。透析液中に栄養素を含まない場
合、腹膜透析法は血液から透析液中に栄養素が漏出する
から、漏出する栄養素を含む腹膜透析液を使用すること
も可能である。
【0016】一般的な腹膜透析法(CAPD)として
は、患者腹部の腹腔内にカテーテルを留置し、ここから
1.5〜2Lの透析液を注入する。腹腔内を該液体で充
満し、一定時間、停留させた後、廃液する。溶質と水の
除去は半透膜である腹膜を通して行う。この過程を複数
回、繰り返す。また、他の透析法としては、間歇的腹膜
透析法(IPD)、機械化により自動化された腹膜透析
法(APD)として、連続的サイクリック腹膜還流(C
CPD)などがあり、本発明の腹膜透析液はこれらのい
ずれの腹膜透析法にも適用可能である。
【0017】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する。実施例1 腹膜炎発生抑止効果確認試験 健常なSD系ラット雄(5〜6週齢)を用い、24時間
絶食後、表1に示す処方の薬液(腹膜透析液)1Lにヒ
ト由来の血清アルブミン(HSA)をそれぞれ0.1
g、0.3g、1g、5gまたは10g添加したものを
100mL/kgの割合でラット腹膜内投与した。投与
40分後に、色素標識蛋白質としてFITC−アルブミ
ン(フルオロレッセン・イソチオシアネート標識牛血清
アルブミン) 2mg/mL液を、0.9mg/kgの割
合でラット尾静脈内投与した。その後、20分後に、エ
ーテル麻酔下にラットを放血致死せしめて、腹水(回収
透析液)を採取し、蛍光分光光度計(励起波長494n
m、蛍光波長523nm)を用いて、該腹水中のFIT
C標識アルブミン濃度を測定し。また、HSAを添加し
ない透析液および生理食塩液についても同様な測定を行
った。その結果を表2に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】表2から、HSAを含まない腹膜透析液を
投与した群では、対照群である生理食塩液投与群と比較
して、腹水中のFTIC標識アルブミン濃度が有意に増
加していることが認められる。また、腹膜透析液へHS
Aを添加することにより、腹水中のFTIC標識アルブ
ミン濃度が濃度依存的に減少していることが認められ
る。これらの結果から、HSAの添加により腹膜炎の指
標となる漏出アルブミンの量が減少、すなわち腹膜炎の
発生が抑制されたものと思われる。
【0021】実施例2 腹膜炎発生抑止効果確認試験 健常なSD系ラット雄(5〜6週齢)を用い、24時間
絶食後、表1に示す処方の薬液(腹膜透析液)1Lに遺
伝子操作により製造されたヒト血清アルブミン(r−H
SA)をそれぞれ0.1g、1g、10g添加したもの
を、100mL/kgの割合でラット腹膜内投与し、試
験例1と同様の試験を行った。r−HSAを添加しない
腹膜透析液および生理食塩液についても同様な測定を行
った。その結果を表3に示す。
【0022】
【表3】
【0023】表3から、r−HSAを含まない腹膜透析
液を投与した群では、対照群である生理食塩液を投与し
た群と比較して、腹水中のFTIC標識アルブミン濃度
が有意に増加していることが認められる。また、腹膜透
析液へr−HSAを添加することにより、腹水中のFT
IC標識アルブミン濃度が濃度依存的に減少しているこ
とが認められる。これらの結果からr−HSAの添加に
より腹膜炎の発生が抑制されたものと思われる。
【0024】実施例3 腹膜炎発生抑止効果確認試験 健常なSD系ラット雄(5〜6週齢)を用い、24時間
絶食後、各試験投与群に表1に示す処方の薬液(腹膜透
析液)1Lにウシ血清アルブミン(BSA)をそれぞれ
0.1g、0.3g、1g、3g、10g添加したもの
を、100mL/kgの割合でラット腹膜内投与し、実
施例1と同様の試験を行った。また、BSAを添加しな
い腹膜透析液および生理食塩液について同様な測定を行
った。その結果を表4に示す。
【0025】
【表4】
【0026】表4から、BSAを含まない腹膜透析液を
投与した群は、対照である生理食塩液を投与した群に比
べて、腹水中のFTIC標識アルブミン濃度が有意に増
加していることが認められる。また、腹膜透析液へBS
Aを添加することにより、腹水中のFTIC標識アルブ
ミン濃度が濃度依存的に減少していることが認められ
る。これらの結果からBSAの添加により腹膜炎の発生
が抑制されたものと思われる。
【0027】実施例4 健常なSD系雄性ラット(6〜7週齢)を用い、24時
間絶食後、表1に示す処方の薬液(腹膜透析液)のみ、
ならびにこの薬液にLPS(リポポリサッカライド)5
μg/mL、またはLPS5μg/mLとラット血清ア
ルブミン(RSA)3mg/mLを溶解した液を、10
0mL/kgの割合でラット腹腔内に投与した。投与1
8時間後にエーテル麻酔下にラットを放血致死せしめ、
その腹水を採取し、腹水中の白血球数を測定した。その
結果を表5に示す。
【0028】
【表5】 数値は平均値±標準誤差を示す。1群の動物数は5〜6
例である。
【0029】表5から、LPS投与群の腹水中の白血球
数は、膜透析液単独投与群と比較して、腹水中の白血球
数が有意に増加しているが、LPSとRSAの両者を投
与した群は、腹膜透析液単独投与群と比較して、腹水中
の白血球数が同程度まで減少した。すなわち、RSAは
細菌感染性腹膜炎と類似しているといわれているLPS
惹起腹膜炎の発症を抑制したものと思われる。
【0030】実施例5 健常なSD系雄性ラット(5から6週齢)を用い、24
時間絶食後、表1に示す処方の薬液(腹膜透析液)に、
牛血清アルブミン(BSA)を0.1、1.0、5.
0、10.0、30.0、50.0および100.0g
/L添加した液を、100mL/kgの割合で腹腔内投
与した。投与4時間後、エーテル麻酔下に動脈血を採取
した。血液は常法に従って遠心分離して得た血清につい
て、生化学的検査(アルブミン濃度)を行った。アルブ
ミン濃度は市販のアルブミン測定キット(アルブミン・
テスト、和光純薬製)を使用した。比較対照として、無
処置の健常なラットを用いた。その結果を表6に示す。
【0031】
【表6】 (注)数値は平均値±標準誤差であり、Dunnett多重比
較検定を採用した。 ※:腹膜透析液単独投与群との間に有意差あり(P<
0.01)。 ##:正常動物群との間に有意差あり(p<0.0
1)。
【0032】表6から、腹膜透析液単独投与およびBS
A0.1〜10.0kg/L投与群では、未処置動物群
と比較して血中アルブミン濃度において有意な変化は見
られなかった。一方、BSA50〜100g/L液を1
回投与された場合には、血中アルブミン濃度は未処置ラ
ットと比較して有意な高値を示した。したがって、アル
ブミンを高濃度に含む透析液で処置された患者は血清中
のアルブミンが著しく上昇し、膠質浸透圧が上昇するで
あろうことが推察される。さらに高用量のアルブミンが
腹膜中に取り込まれた際には、高窒素血症をきたす可能
性があり、したがって、30g/L以上のアルブミンを
腹膜透析液へ添加することは好ましくない。
【0033】実施例6 透析効果確認試験 健常なSD系ラット雄(5週齢)を用い、麻酔して背部
皮膚を切開し、腎臓を露出して腎動脈と腎静脈を同時結
紮した後、両腎臓を摘出した。切開部を縫合し、20時
間絶食後、各投与群に表1に示す処方の薬液(腹膜透析
液)に遺伝子操作により製造されたヒト血清アルブミン
(r−HSA)をそれぞれ0.1g、1g、5g、10
g、30g添加したものを100mL/kgの割合で腹
膜内投与した。4時間後、腹水(回収透析液)を採取
し、液量および尿素窒素濃度を測定し、尿素窒素含有量
を算出した。また、r−HSAを添加しない腹膜透析液
および生理食塩液について同様に測定した。その結果を
表5に示す。なお、尿素窒素の測定には市販の臨床用測
定キット(和光純薬工業株式会社製、尿素窒素Bテスト
ワコー)を用いた。
【0034】
【表7】
【0035】表7から、腹膜透析液を投与した群は、生
理食塩液を投与した群と比較して、透析液中の尿素窒素
含有量が有意に増加しており、腹膜透析液が透析効果を
有しているのが確認される。また、HSA添加量0.1
〜5g/Lでは回収透析液量に差が認められなかった
が、HSA添加量が10gおよび30g/Lでは回収透
析液量の減少が認められる。これらの結果から、腹膜透
析液への0.1〜5g/Lのr−HSAの添加は透析効
果に影響しないものと思われる。
【0036】
【発明の効果】上述したように、本発明の腹膜透析液は
0.1〜30g/Lのアルブミンを含有することによ
り、腹膜透析液に起因する腹膜炎の発生を有意に抑制す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊地 武夫 大阪市北区本庄西3丁目9番3号 株式会 社ニッショー内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルブミンを0.1〜30g/L含有し
    てなる腹膜透析液。
  2. 【請求項2】 アルブミンの量が0.1〜5g/Lであ
    る請求項1記載の腹膜透析液。
  3. 【請求項3】 アルブミンがヒト血清アルブミンである
    請求項1または2記載の腹膜透析液。
  4. 【請求項4】 電解質、浸透圧調整剤、生理学的に許容
    されるpHの水溶液および0.1〜30g/Lのヒト血
    清アルブミンを含む腹膜透析液。
  5. 【請求項5】 電解質がナトリウムイオンおよび塩素イ
    オンを含む請求項4記載の腹膜透析液。
  6. 【請求項6】 電解質がナトリウムイオン110〜14
    0mEq/L、カリウイムイオン0〜0.05mEq/
    L、マグネシウムイオン0〜2mEq/L、カルシウム
    イオン0〜6mEq/Lおよび塩素イオン80〜144
    mEq/Lである請求項4記載の腹膜透析液。
  7. 【請求項7】 浸透圧調整剤が、グリセロール、単糖
    類、多糖類、糖アルコール、ゼラチン、ヒアルロン酸お
    よびアミノ酸からなる群から選択された1種または2種
    以上の化合物である請求項4記載の腹膜透析液。
  8. 【請求項8】 生理学的に許容される水溶液のpHが
    4.5〜7.5である請求項4記載の腹膜透析液。
  9. 【請求項9】 生理学的に許容される水溶液が、pH調
    整剤を含む請求項4記載の腹膜透析液。
  10. 【請求項10】 生理食塩液に対する透析液の浸透圧比
    が、1.1〜3.0である請求項1または4記載の腹膜
    透析液。
  11. 【請求項11】 pH調整剤として、塩酸、乳酸、酢
    酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ピルビン酸、コ
    ハク酸、水酸化ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムか
    らなる群から選択された1種または2種以上の化合物で
    ある請求項9記載の腹膜透析液。
  12. 【請求項12】 下記組成を有する、生理学的に許容で
    きるpH4.5〜7.5である腹膜透析液。 (1)グリセロール、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、ゼラチンお よびアミノ酸からなる群から選択された浸透圧調整剤、 (2)電解質 5〜200 g/L ナトリウムイオン 110〜140 mEq/L カリウムイオン 0〜0.05 mEq/L マグネシウムイオン 0〜3 mEq/L カルシウムイオン 0〜6 mEq/L 塩化物イオン 80〜144 mEq/L (3)アルブミン 0.1〜30 g/L
  13. 【請求項13】 下記組成を有する、生理学的に許容
    できるpH4.0〜8.0であり、浸透圧比が1.1〜
    3.0である腹膜透析液。 (1)グルコース 5〜45 g/L (2)電解質 ナトリウムイオン 120〜140 mEq/L、 カルシウムイオン 2.0〜5.0 mEq/L マグネシウムイオン 0.3〜3.0 mEq/L、 塩化物イオン 80〜120 mEq/L、 乳酸イオン 10〜50 mEq/L 重炭酸イオン 0〜25 mEq/L (3)アルブミン 0.1〜30 g/L、
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