JP2002121549A - 半導体超微粒子 - Google Patents

半導体超微粒子

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JP2002121549A
JP2002121549A JP2001182747A JP2001182747A JP2002121549A JP 2002121549 A JP2002121549 A JP 2002121549A JP 2001182747 A JP2001182747 A JP 2001182747A JP 2001182747 A JP2001182747 A JP 2001182747A JP 2002121549 A JP2002121549 A JP 2002121549A
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Manabu Kawa
学 加和
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性、生体物質への非特異吸着性、及び該
半導体結晶の量子効果により制御された吸発光特性を有
する半導体超微粒子を提供する。 【解決手段】 ポリアルキレングリコール残基を半導体
結晶表面に結合してなる半導体超微粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体超微粒子に関
する。詳しくは、優れた親水性、生体物質への非特異吸
着性、及び該半導体結晶の量子効果による制御された吸
光あるいは発光特性を兼ね備える新規な半導体超微粒子
に関するものであり、例えば生物学的分析試薬等、水性
媒体における吸光あるいは発光特性を利用する用途に有
用である。
【0002】
【従来の技術】半導体ナノ結晶(Nanocrysta
l)等の半導体超微粒子は、量子効果によりバルクとは
異なる電磁波の吸収及び発生能(以下、吸発光能とい
う)を示すことが知られており、発光材料や記憶材料と
しての使用が期待されている。一方で、抗原抗体反応、
細胞認識作用、あるいは遺伝子塩基対の相互作用等、基
質特異的な生物学的相互作用を利用した分析手法の開発
が精力的に行われており、かかる分野における分析試薬
や発光プローブに半導体超微粒子の前記の吸発光能を応
用することが検討されている。
【0003】半導体結晶の超微粒子の製造方法として、
従来の真空製造プロセス、例えば分子線エピタキシー法
(MBE法)、有機金属気相成長法(MOVPE法)、
あるいは原子層エピタキシー法(ALE法)等が挙げら
れる。かかる真空製造プロセスにより高い純度の製品が
得られるが、生成する超微粒子は基板上に強固に付着し
た状態でしか得られず溶媒や高分子等の媒質に自由に分
散利用できるものではなかった。
【0004】生物学的相互作用を利用した分析への応用
には、通常、半導体超微粒子に水溶性を付与することが
必要である。かかる手法として、例えばA.L.Rog
achら;J.Phys.Chem.B,103巻,3
065頁(1999)には、2−メルカプトエタノール
や1−チオグリセロール等の様々なメルカプトアルコー
ル類の共存下でセレン化カドミウム(CdSe)ナノ結
晶を水溶液原料から合成し、該メルカプトアルコール類
を生成するCdSeナノ結晶の表面に配位させる方法が
報告されている。従って、この方法は多数の水酸基を表
面に有する半導体超微粒子を与える。しかし前記の分析
分野への応用を考えた場合、水酸基は水素結合における
プロトン供与体として機能するので、非特異的相互作用
による無差別な生体物質の吸着を引き起こしやすく、基
質特異的な分析精度を悪化させる懸念があった。
【0005】また、米国特許5990479号(199
9)には、半導体ナノ結晶表面に、特定の物質(Sub
stance)との親和力を有する「親和性分子」(A
ffinity molecules:例えば抗体、核
酸、タンパク質、多糖類、あるいは糖、ペプチド、薬
剤、配位子等の低分子)を「連結剤」(Linking
agent)を介して結合した、生物学的応用を主な目
的とする半導体ナノ結晶プローブの概念が開示されてい
る。この特許公報では、半導体ナノ結晶表面に、将来
「親和性分子」を結合させることが可能な反応性官能基
(例えばカルボキシル基、アミノ基、あるいは尿素基−
NHCONH2、等)を有する「連結剤」を表面に固定
した半導体超微粒子の合成までを実施例とし、これら官
能基に「親和性分子」としてアビジン(Avidin)
やストレプトアビジン(Streptavidin)等
のアビジン類が結合可能であること、更に、生物学的分
析において既に広く用いられているアビジン類とビオチ
ン(Biotin)残基との特異的親和力を利用するこ
とにより、ビオチン残基で標識した任意の基質が原理的
に分析可能であるとの概念を述べている。しかし、前記
の反応性官能基はいずれも水素結合におけるプロトン供
与体として機能するので、非特異的相互作用による無差
別な生体物質の吸着を引き起こしやすく、基質特異的な
分析精度を悪化させる懸念があった。更に、生物学的活
性点であるアビジン類の半導体超微粒子表面への結合量
が制御されないため、分析試薬としての分析精度におい
て満足できる技術ではなかった。
【0006】WO0017656には、イオン性官能
基、即ちカルボキシレート基又はスルホネート基を分子
末端に有するアルカンチオール類を配位子とする水溶性
半導体超微粒子が開示されている。この技術により優れ
た水溶性が達成されるが、該イオン性官能基による前記
同様の非特異的相互作用の問題が依然としてあり、しか
も水性溶液のイオン強度(例えば共存する塩の濃度)や
水素イオン濃度により半導体超微粒子の溶解性が非常に
大きく変動する欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記実情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、実質的にプロト
ン供与体又はイオン性官能基として機能せず前記非特異
的相互作用を顕著に抑制する水溶性構造であるポリアル
キレングリコール残基を表面に結合している半導体超微
粒子の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を達
成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレングリコー
ルに代表されるポリアルキレングリコール残基を、例え
ばω−メルカプト脂肪酸残基(但し「ω−」は末端に結
合していることを表す化学での一般的な接頭語である)
を介して半導体結晶表面に結合した場合、該半導体結晶
の優れた発光能を維持したまま水溶性を付与可能である
ことを見いだし本発明に到達した。
【0009】即ち、本発明の第1の要旨は、ポリアルキ
レングリコール残基を表面に結合してなる半導体超微粒
子、に存する。また本発明の第2の要旨は、メルカプト
基を有するポリアルキレングリコールによる配位子交換
反応を行うことを特徴とする本発明の半導体超微粒子の
製造方法、に存する。
【0010】さらに本発明の第3の要旨は、かかる半導
体超微粒子に水溶性配位子として使用される、下記一般
式(1)で表されるω−メルカプト脂肪酸のトリエチレ
ングリコールエステル類、に存する。
【0011】
【化2】 (但し一般式(1)において、Rは水素原子又は炭素数
7以下のアルキル基を、nは20以下の自然数をそれぞ
れ表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】[ポリアルキレングリコール残
基]本発明におけるポリアルキレングリコール残基と
は、下記一般式(2)で表される重合体である。
【0013】
【化3】−(R1O)m−R2 (2) (但し一般式(2)において、R1は炭素数2〜6のア
ルキレン基を、R2は水素原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数10以下のアリール基及び炭素数2〜5
のアシル基からなる群から任意に選択される構造を、m
は50以下の自然数をそれぞれ表す。) 一般式(2)におけるR1の具体例としては、エチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレ
ン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、シクロペン
チレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基等が
挙げられ、水溶性の点で好ましくはエチレン基、n−プ
ロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基等の炭
素数2〜4のアルキレン基が、更に好ましくはエチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数2
又は3のアルキレン基が、最も好ましくはエチレン基が
使用される。一般式(2)において、1残基中に複数種
のR1が混在していても構わず、この場合の共重合順序
(シークエンス)にも制限はない。
【0014】一般式(2)におけるR2に使用されるア
ルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペ
ンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビニル
基、ベンジル基、ビニルベンジル基等が挙げられ、水溶
性の点で好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基等の炭素数3以下のアルキル基が、
更に好ましくはメチル基又はエチル基が、最も好ましく
はメチル基が使用される。該R2に使用されるアリール
基の具体例としては、フェニル基、トルイル基(モノメ
チルフェニル基)、ジメチルフェニル基、エチルフェニ
ル基、イソプロピルフェニル基、4−tert−ブチル
フェニル基、ビニルフェニル基、ピリジル基、モノメチ
ルピリジル基、ジメチルピリジル基等が挙げられ、水溶
性の点で好ましくはフェニル基あるいはピリジル基が使
用される。前記R2に使用されるアシル基の具体例とし
ては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル
基、クロトノイル基、マレオイル基等が挙げられ、水溶
性の点で好ましくはアセチル基が使用される。水溶性の
点で水素原子もR2として好適に使用されるが、この場
合末端の水酸基を形成し水素結合におけるプロトン供与
体となる場合があるので、生体物質との非特異的吸着が
増大する場合がある。
【0015】なお、前記例示のR2の具体構造のうち、
ビニル基、ビニルベンジル基、ビニルフェニル基、アク
リロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、マレ
オイル基等の重合性基を用いると、本発明の半導体超微
粒子が例えばラジカル重合性モノマー類やイオン重合性
モノマー類との共重合性を獲得する場合がある。一般式
(2)における自然数mは、好ましくは40以下、より
好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、最も好
ましくは10以下である。
【0016】一般式(2)の特に好ましい構造として、
トリエチレングリコール残基(R1がエチレン基、n=
3)が挙げられ、更に好ましいのはR2がメチル基又は
エチル基であるトリエチレングリコールモノアルキルエ
ーテル残基であり、最も好ましいのはR2がメチル基で
あるトリエチレングリコールモノメチルエーテル残基
(以下MTEG残基と略記)である。
【0017】かかるポリアルキレングリコール残基は、
本発明においては任意の結合様式により後述する半導体
結晶の表面に配位子として結合され、本発明の半導体超
微粒子を与える。かかる結合様式としては、半導体結晶
が含有する元素に対して可能な任意の結合様式、例えば
配位結合、共有結合、イオン結合等が挙げられ、具体的
には、メルカプト基(別称チオール基:SH)、スルフ
ィド結合(別称チオエーテル結合)、あるいはジスルフ
ィド結合(−S−S−)、チオ尿素基(NHCSN
2)等の含硫黄構造、ホスフィンオキシド基(O=
P)等の含リン構造、ニトリル基、アミノ基、あるいは
ピリジル基等の含窒素構造等の配位性構造を利用した結
合様式が例示される。これらのうち好ましいのは、メル
カプト基又はホスフィンオキシド基を利用した結合であ
り、中でもメルカプト基の利用が最適である。これは、
メルカプト基が半導体結晶表面に存在する遷移金属元素
への強い配位力を有することに起因するものと考えられ
る。メルカプト基等の前記例示の配位性構造と半導体結
晶表面との実際の結合構造は明らかではないが、例えば
メルカプト基の硫黄原子の配位結合、あるいは金属元素
と該硫黄原子との共有結合あるいはイオン結合等の存在
が推定される。
【0018】半導体結晶への配位子として使用されるメ
ルカプト基を有するポリアルキレングリコールの具体的
構造としては、後述するω−メルカプト脂肪酸のポリア
ルキレングリコールエステル類の他、下記一般式(3)
で表されるω−メルカプトポリアルキレングリコール類
も例示される。
【0019】
【化4】HS−(R1O)m−R2 (3) 但し一般式(3)におけるR1、R2、及びmとこれらの
好ましい場合の例示は全て前記一般式(2)の場合と同
一である。
【0020】本発明の半導体超微粒子は、複数種のポリ
アルキレングリコール残基を含有していても構わない。 [ω−メルカプト脂肪酸残基]本発明においてポリアル
キレングリコール残基は、ω−メルカプト脂肪酸残基を
介して好ましく半導体結晶表面に結合される。ここで言
うω−メルカプト脂肪酸残基とは、下記一般式(4)で
表される構造である。
【0021】
【化5】 但し一般式(4)においてpは20以下の自然数を、破
線の丸印はポリアルキレングリコール残基を結合する位
置を、それぞれ表す。ポリアルキレングリコール残基と
ω−メルカプト脂肪酸残基との結合様式には制限はない
が、通常、エステル結合、アミド結合、あるいは炭素−
炭素単結合のいずれかとする。即ち、エステル結合とす
る場合、前記一般式(2)における左端R1の炭素原子
と前記一般式(4)におけるカルボニル基の炭素原子と
が例えば1つの酸素原子を介して結合する様式、アミド
結合とする場合は同様に1つの窒素原子を介して結合す
る様式となる。かかるアミド結合には1級アミドと2級
アミドの両者が可能である。
【0022】配位子として好ましく使用されるポリアル
キレングリコール残基とω−メルカプト脂肪酸残基とが
結合した分子構造としては、下記一般式(1)で表され
る、ω−メルカプト脂肪酸のトリエチレングリコールエ
ステル類が例示される。
【0023】
【化6】 但し一般式(1)において、Rは水素原子又は炭素数7
以下のアルキル基を、nは20以下の自然数をそれぞれ
表す。Rとして使用されるアルキル基の例示は、前記一
般式(2)におけるR2の場合と同一である。一般式
(1)において自然数nは、好ましくは1〜17、更に
好ましくは3〜14、最も好ましくは6〜10であり、
この自然数nの値が6以上であると半導体結晶を外界か
ら保護してその吸発光特性を安定化する効果が見られる
場合がある。特に好ましい具体的化合物としては、下記
式(5)の11−メルカプトウンデカン酸MTEGエス
テルが例示される。
【0024】
【化7】 HS(CH210COO(CH2CH2O)3CH3 (5) 前記一般式(1)のエステル類は、例えば、3−メルカ
プトプロパン酸や11−メルカプトウンデカン酸等のω
−メルカプト脂肪酸と過剰当量のポリアルキレングリコ
ールとを硫酸やp−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在
下脱水エステル化させる方法(必要に応じ加熱や減圧脱
水を施し平衡反応を加速する)、該ω−メルカプト脂肪
酸のメチルエステルやエチルエステル等の低級アルキル
エステルと過剰当量のポリアルキレングリコールとを硫
酸やp−トルエンスルホン酸等の強酸やルイス酸等の触
媒存在下エステル交換反応させる方法(必要に応じ加熱
や減圧を施し平衡反応を加速する)、該ω−メルカプト
脂肪酸を相当する酸塩化物や酸無水物等の活性種に変換
し次いで塩基存在下ポリアルキレングリコールと縮合反
応させる方法等により合成される。
【0025】[半導体超微粒子]本発明の半導体超微粒
子は、後述するような半導体結晶を主体とし、その表面
に前記ポリアルキレングリコール残基を結合したもので
ある。従って、本発明の半導体超微粒子は、半導体結晶
とその表面に結合したポリアルキレングリコール残基と
を必須構成成分とする。
【0026】本発明に用いられる半導体結晶は、量子効
果により制御されるエキシトン吸発光帯をその吸発光ス
ペクトルに有するものであるのが好ましい。応用上特に
有用な吸発光波長範囲は遠紫外〜赤外領域の光であり、
通常150〜10000nm、好ましくは180〜80
00nm、更に好ましくは200〜6000nm、最も
好ましくは220〜4000nm程度の範囲である。前
記エキシトン吸発光帯の波長は、現象論的には該半導体
結晶の粒径に依存する。
【0027】該半導体結晶は、半導体単結晶、複数半導
体結晶組成が相分離した混晶、相分離の観察されない混
合半導体結晶のいずれでも構わず、後述するコアシェル
構造をとっていても構わない。かかる半導体結晶の粒径
は、数平均粒径として通常0.5〜20nm、量子効果
による吸発光波長の制御性の点で好ましくは1〜15n
m、更に好ましくは2〜12nm、最も好ましくは3〜
10nmとする。この数平均粒径の決定には、与えられ
た半導体超微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)観察像
より測定される数値を用いる。即ち、観察される半導体
結晶の粒子像と同面積の円の直径を該粒子像の粒径と定
義する。こうして決定される粒径を用い、例えば公知の
画像データの統計処理手法により該数平均粒径を算出す
るが、かかる統計処理に使用する半導体結晶の粒子像の
数(統計処理データ数)は可及的多いことが当然望まし
く、本発明においては、再現性の点で無作為に選ばれた
該粒子像の個数として最低でも50個以上、好ましくは
80個以上、更に好ましくは100個以上とする。該数
平均粒径が大きすぎると、凝集性が極端に増大したり量
子効果によるエキシトン吸発光の制御性が低下する場合
があり、一方該数平均粒径が小さすぎると半導体結晶粒
子の独立した結晶としての機能(例えば発光能を与える
バンド構造の形成)が低下したり、製造時の単離収率が
極端に低下する場合があり、いずれも好ましくない。な
お、半導体結晶が含有する元素の原子番号が小さくTE
M観察における電子線によるコントラストが得にくい場
合には、半導体超微粒子の原子間力顕微鏡(AFM)に
よる観察や溶液での光散乱や中性子散乱測定に元素分析
等の組成分析結果を組み合わせても粒径を見積もること
ができる。
【0028】該半導体結晶の粒径分布に制限はないが、
半導体結晶のエキシトン吸発光帯を利用する場合、かか
る分布を変えることで吸発光帯波長幅を変化させること
ができる。なお、かかる波長幅を狭くする必要がある場
合には該粒径分布を狭くするが、通常、標準偏差として
±40%以内、好ましくは±30%以内、更に好ましく
は±20%以内、最も好ましくは±10%以内とする。
この標準偏差の範囲を超えた粒径分布の場合、エキシト
ン吸発光帯の波長幅を狭くする目的を十分に達成するこ
とが困難となる。
【0029】[半導体結晶の組成]前記半導体結晶の組
成例を組成式で表すと、C、Si、Ge、Sn等の周期
表第14族元素の単体、P(黒リン)等の周期表第15
族元素の単体、SeやTe等の周期表第16族元素の単
体、SiC等の複数の周期表第14族元素からなる化合
物、SnO2、Sn(II)Sn(IV)S3、SnS2、S
nS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbT
e等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化
合物、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlA
s、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、
InN、InP、InAs、InSb等の周期表第13
族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII
−V族化合物半導体)、Al23、Al2Se3、Ga2
3、Ga2Se3、Ga2Te3、In23、In23
In2Se3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期
表第16族元素との化合物、TlCl、TlBr、Tl
I等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化
合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、
CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、Hg
Te等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との
化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、As23
As2Se3、As2Te3、Sb23、Sb2Se3、Sb
2Te3、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表
第15族元素と周期表第16族元素との化合物、Cu2
O、Cu2Se等の周期表第11族元素と周期表第16
族元素との化合物、CuCl、CuBr、CuI、Ag
Cl、AgBr等の周期表第11族元素と周期表第17
族元素との化合物、NiO等の周期表第10族元素と周
期表第16族元素との化合物、CoO、CoS等の周期
表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、Fe3
4等の酸化鉄類、FeS等の周期表第8族元素と周期
表第16族元素との化合物、MnO等の周期表第7族元
素と周期表第16族元素との化合物、MoS2、WO2
の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、
VO、VO2、Ta25等の周期表第5族元素と周期表
第16族元素との化合物、TiO2、Ti25、Ti2
3、Ti59等の酸化チタン類(結晶型はルチル型、ル
チル/アナターゼの混晶型、アナターゼ型のいずれでも
構わない)、ZrO2等の周期表第4族元素と周期表第
16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第
2族元素と周期表第16族元素との化合物、CdCr2
4、CdCr2Se4、CuCr24、HgCr2Se4
等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3等が
挙げられる。なお、G.Schmidら;Adv.Ma
ter.,4巻,494頁(1991)に報告されてい
る(BN)75(BF21515や、D.Fenske
ら;Angew.Chem.Int.Ed.Eng
l.,29巻,1452頁(1990)に報告されてい
るCu146Se73(トリエチルホスフィン)22のように
構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示さ
れる。
【0030】これらのうち実用的に重要なものは、例え
ばSnO2、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、P
bS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周
期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaA
s、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等
のIII−V族化合物半導体、Ga23、Ga23、Ga2
Se3、Ga2Te3、In23、In23、In2
3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第1
6族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、Zn
Te、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、
HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導
体、As23、As23、As2Se3、As2Te3、S
23、Sb23、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi
23、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第
15族元素と周期表第16族元素との化合物、Fe34
等の酸化鉄類やFeS等の周期表第8族元素と周期表第
16族元素との化合物、前記の酸化チタン類やZrO2
等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合
物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第
16族元素との化合物である。
【0031】これらの中でも、SnO2、GaN、Ga
P、In23、InN、InP、Ga23、Ga23
In23、In23、ZnO、ZnS、CdO、Cd
S、前記酸化チタン類やZrO2、MgS等は高い屈折
率を有する特徴がありしかも毒性の高い陰性元素を含ま
ないので耐環境汚染性や生物への安全性の点で好まし
く、この観点ではSnO2、In23、ZnO、Zn
S、前記の酸化チタン類やZrO2等の毒性の高い陽性
元素を含まない組成は更に好ましく、中でもZnO、あ
るいは前記の酸化チタン類(高屈折率性のためにはルチ
ル型結晶が特に好ましい)やZrO2等の金属酸化物半
導体結晶は最も好ましい。なお、ルチル型酸化チタン結
晶粒子の長波長側吸収端はバルク状態では通常400n
m付近であるが、該結晶粒子の数平均粒径を前記範囲と
することで該長波長側吸収端波長をより短波長にずらす
ことが可能となり、可視領域での無色性を向上させる長
所が生じる場合がある。また、酸化鉄類やコバルトブル
ー(CoとAlの複合酸化物)等、可視領域に吸収能の
ある着色した半導体結晶は、顔料等の色材用途に重要で
ある。
【0032】実用的に重要な可視領域とその近傍に発光
帯を有するGaN、GaP、GaAs、InN、InP
等のIII−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnS
e、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、
HgO、HgS等のII−VI族化合物半導体、In23
In23等が重要であり、中でも半導体結晶の粒径の制
御性と発光能から好適なのはZnO、ZnS、ZnS
e、ZnTe、CdO、CdS、CdSe等のII−VI族
化合物半導体であり、特にZnSe、CdS、CdSe
等がこの目的では更に好適に用いられる。
【0033】前記で例示した任意の半導体結晶の組成に
は、必要に応じて微量のドープ物質(故意に添加する不
純物の意味)として例えばAl、Mn、Cu、Zn、A
g、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の元素を加えても
構わない。 [コアシェル型半導体結晶]前記半導体結晶は、例えば
A.R.Kortanら;J.Am.Chem.So
c.,112巻,1327頁(1990)あるいは米国
特許5985173号明細書(1999)に報告されて
いるように、その半導体結晶の電子励起特性を改良する
目的で内核(コア)と外殻(シェル)からなるいわゆる
コアシェル構造とすると、該コアを成す半導体結晶の量
子効果の安定性が改良される場合があるので、エキシト
ン吸発光帯を利用する用途に好適な場合がある。この場
合、シェルの半導体結晶の組成として、禁制帯幅(バン
ドギャップ)がコアよりも大きなものを起用することに
よりエネルギー的な障壁を形成せしめることが一般に有
効である。これは、外界の影響や結晶表面での結晶格子
欠陥等の理由による望ましくない表面準位等の影響を抑
制する機構によるものと推測される。
【0034】かかるシェルに好適に用いられる半導体結
晶の組成としては、コア半導体結晶のバンドギャップに
もよるが、バルク状態のバンドギャップが温度300K
において2.0電子ボルト以上であるもの、例えばB
N、BAs、GaNやGaP等のIII−V族化合物半導
体、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、C
dS等のII−VI族化合物半導体、MgSやMgSe等の
周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物等が
好適に用いられる。これらのうちより好ましいシェルと
なる半導体結晶組成は、BN、BAs、GaN等のIII
−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnSe、Cd
S等のII−VI族化合物半導体、MgS、MgSe等の周
期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物等のバ
ルク状態のバンドギャップが温度300Kにおいて2.
3電子ボルト以上のものであり、最も好ましいのはB
N、BAs、GaN、ZnO、ZnS、ZnSe、Mg
S、MgSe等のバルク状態のバンドギャップが温度3
00Kにおいて2.5電子ボルト以上のものであり、化
学合成上ZnSは最も好適に使用される。
【0035】本発明における半導体結晶に用いられる特
に好適なコア−シェル組成の組み合わせ例を組成式で表
現すると、CdSe−ZnS、CdSe−ZnO、Cd
Se−CdS、CdS−ZnS、CdS−ZnO等が挙
げられる。 [補助的配位子]本発明の半導体結晶超微粒子は、凝集
等の好ましくない作用を抑制して安定化させる目的で前
記ポリアルキレングリコール残基以外の補助的配位子を
その表面に有していても構わない。かかる配位子を以下
例示する。 (a)硫黄含有化合物・・・メルカプトエタン、1−メ
ルカプト−n−プロパン、1−メルカプト−n−ブタ
ン、1−メルカプト−n−ヘキサン、メルカプトシクロ
ヘキサン、1−メルカプト−n−オクタン、1−メルカ
プト−n−デカン等のメルカプトアルカン類、チオフェ
ノール、4−メチルチオフェノール、4−tert−ブ
チルチオフェノール、4−ヒドロキシチオフェノール等
のチオフェノール誘導体、ジメチルスルホキシド、ジエ
チルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジヘキシル
スルホキシド、ジオクチルスルホキシド、ジデシルスル
ホキシド等のジアルキルスルホキシド類、ジメチルジス
ルフィド、ジエチルジスルフィド、ジブチルジスルフィ
ド、ジヘキシルジスルフィド、ジオクチルジスルフィ
ド、ジデシルジスルフィド等のジアルキルジスルフィド
類、チオ尿素、チオアセタミド等のチオカルボニル基を
有する化合物、チオフェン等の硫黄含有芳香族化合物
等。 (b)リン含有化合物・・・トリエチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオ
クチルホスフィン、トリデシルホスフィン、トリス(3
−ヒドロキシプロピル)ホスフィン等のトリアルキルホ
スフィン類、トリエチルホスフィンオキシド、トリブチ
ルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシ
ド、トリオクチルホスフィンオキシド(略称TOP
O)、トリデシルホスフィンオキシド、トリス(3−ヒ
ドロキシプロピル)ホスフィンオキシド等のトリアルキ
ルホスフィンオキシド類、トリフェニルホスフィンやト
リフェニルホスフィンオキシド等の芳香族ホスフィンあ
るいは芳香族ホスフィンオキシド類等。 (c)窒素含有化合物・・・ピリジンやキノリン等の窒
素含有芳香族化合物、ジエチルアミン、ジブチルアミ
ン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルア
ミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジエタノ
ールアミン等の2級アミン類、ヘキシルアミン、オクチ
ルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシ
ルアミン、オクタデシルアミン、フェニルアミン、ベン
ジルアミン、2−アミノエタノール等の1級アミン類、
ニトリロ三酢酸トリエチルエステル等のアミノ基を有す
るカルボン酸エステル類等。
【0036】これら例示した補助的配位子のうち好まし
いのは、メルカプトエタン、1−メルカプト−n−プロ
パン、1−メルカプト−n−ブタン、1−メルカプト−
n−ヘキサン、メルカプトシクロヘキサン等の炭素数6
以下のメルカプトアルカン類、チオフェノール、4−メ
チルチオフェノール、4−tert−ブチルチオフェノ
ール等のチオフェノール誘導体、ジメチルスルホキシ
ド、ジエチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド等の
総炭素数8以下のジアルキルスルホキシド類等の硫黄含
有化合物、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフ
ィン、トリオクチルホスフィン等の総炭素数24以下の
トリアルキルホスフィン類、トリエチルホスフィンオキ
シド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド等
の総炭素数24以下のトリアルキルホスフィンオキシド
類等のリン含有化合物、及びヘキサデシルアミン等の1
級アミン類であり、中でもメルカプトエタン、1−メル
カプト−n−ブタン等の炭素数4以下のメルカプトアル
カン類、チオフェノール、4−メチルチオフェノール、
4−tert−ブチルチオフェノール等のチオフェノー
ル誘導体等の硫黄含有化合物、トリブチルホスフィン、
トリヘキシルホスフィン等の総炭素数18以下のトリア
ルキルホスフィン類、トリブチルホスフィンオキシド、
トリヘキシルホスフィンオキシド等の総炭素数18以下
のトリアルキルホスフィンオキシド類等のリン含有化合
物が更に好適である。
【0037】[半導体結晶の製造方法]従来行われてい
る下記の半導体結晶の製造方法等、任意の方法を使用し
て構わない。前記真空製造プロセスを利用しても構わな
いが、好適な方法として以下の3つの液相法が例示され
る。 (a)原料水溶液を非極性有機溶媒中の逆ミセルとして
存在させ該逆ミセル相中にて結晶成長させる方法(以下
「逆ミセル法」と呼ぶ)であり、例えばB.S.Zou
ら;Int.J.Quant.Chem.,72巻,4
39(1999)に報告されている方法である。汎用的
な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術が利用で
き、比較的安価かつ化学的に安定な塩を原料とすること
ができ、しかも水の沸点を超えない比較的低温で行われ
るため工業生産に適した方法である。但し、下記のホッ
トソープ法の場合に比べて現状技術では発光特性に劣る
場合がある。 (b)熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結
晶成長させる方法(以下、ホットソープ法と呼ぶ)であ
り、例えば前記のKatariら著の文献に報告されて
いる方法である。前記の逆ミセル法に比べて粒径分布と
純度に優れた半導体結晶粒子が得られ、生成物は発光特
性に優れ有機溶媒に通常可溶である特徴がある。ホット
ソープ法における液相での結晶成長の過程の反応速度を
望ましく制御する目的で、半導体構成元素に適切な配位
力のある配位性有機化合物が液相成分(溶媒と配位子を
兼ねる)として選択される。かかる配位性有機化合物の
例としては、前記トリアルキルホスフィン類、前記トリ
アルキルホスフィンオキシド類、ドデシルアミン、テト
ラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルア
ミン等のω−アミノアルカン類、前記ジアルキルスルホ
キシド類等が挙げられる。これらのうち、前記のTOP
O等のトリアルキルホスフィンオキシド類やヘキサデシ
ルアミン等のω−アミノアルカン類等が好適である。 (c)前記のホットソープ法と類似の半導体結晶成長を
伴う溶液反応であるが、酸塩基反応を駆動力として比較
的低い温度で行う方法が古くから知られている(例えば
P.A.Jackson;J.Cryst.Growt
h,3−4巻,395頁(1968)等)。かかる方法
は、ゾル−ゲル法と呼ばれて分類されることもある。
【0038】前記3つの液相製造方法に使用可能な半導
体原料物質としては、周期表第2〜15族から選ばれる
陽性元素を含有する物質と、周期表第15〜17族から
選ばれる陰性元素を含有する物質が挙げられる。例えば
前記のホットソープ法では、ジメチルカドミウムやジエ
チル亜鉛等の有機金属類と、セレン単体をトリオクチル
ホスフィンやトリブチルホスフィン等の3級ホスフィン
類に溶解させたものやビス(トリメチルシリル)スルフ
ィド等のカルコゲニド元素化合物とをTOPO中で反応
させる方法が好適に用いられる。また、前記(c)の溶
液反応で例えば酸化亜鉛を製造する場合に、L.Spa
nhelら;J.Am.Chem.Soc.,113
巻,2826頁(1991)に記載の酢酸亜鉛と水酸化
リチウムとをエタノール中で反応させる方法が好適に用
いられる。半導体原料物質が複数種ある場合、これらを
あらかじめ混合しておいても良く、あるいはこれらをそ
れぞれ単独で反応液相に注入しても良い。これら原料
は、適当な希釈溶媒を用いて溶液にして使用しても構わ
ない。
【0039】半導体原料化合物となる陽性元素含有化合
物の例としては、ジエチルマグネシウムやジ−n−ブチ
ルマグネシウム等の周期表第2族元素のジアルキル化
物、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウ
ム、ヨウ化メチルマグネシウム、塩化エチニルマグネシ
ウム等の周期表第2族元素のアルキルハロゲン化物、ヨ
ウ化マグネシウム等の周期表第2族元素のジハロゲン化
物、四塩化チタン(IV)、四臭化チタン(IV)、四ヨウ
化チタン(IV)等の周期表第4族元素のハロゲン化物、
二塩化バナジウム(II)、四塩化バナジウム(IV)、二
臭化バナジウム(II)、四臭化バナジウム(IV)、二ヨ
ウ化バナジウム(II)、四ヨウ化バナジウム(IV)、五
塩化タンタル(V)、五臭化タンタル(V)、五ヨウ化
タンタル(V)等の周期表第5族元素のハロゲン化物、
三臭化クロム(III)、三ヨウ化クロム(III)、四塩化
モリブデン(IV)、四臭化モリブデン(IV)、四ヨウ化
モリブデン(IV)、四塩化タングステン(IV)、四臭化
タングステン(IV)等の周期表第6族元素のハロゲン化
物、二塩化マンガン(II)、二臭化マンガン(II)、二
ヨウ化マンガン(II)等の周期表第7族元素のハロゲン
化物、二塩化鉄(II)、三塩化鉄(III)、二臭化鉄(I
I)、三臭化鉄(III)、二ヨウ化鉄(II)、三ヨウ化鉄
(III)等の周期表第8族元素のハロゲン化物、二塩化
コバルト(II)、二臭化コバルト(II)、二ヨウ化コバ
ルト(II)等の周期表第9族元素のハロゲン化物、二塩
化ニッケル(II)、二臭化ニッケル(II)、二ヨウ化ニ
ッケル(II)等の周期表第10族元素のハロゲン化物、
ヨウ化銅(I)等の周期表第11族元素のハロゲン化
物、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜
鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソ
ブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛、ジシクロヘキシル
亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウム、ジメ
チル水銀(II)、ジエチル水銀(II)、ジベンジル水銀
(II)等の周期表第12族元素のジアルキル化物、塩化
メチル亜鉛、臭化メチル亜鉛、ヨウ化メチル亜鉛、ヨウ
化エチル亜鉛、塩化メチルカドミウム、塩化メチル水銀
(II)等の周期表第12族元素のアルキルハロゲン化
物、二塩化亜鉛、二臭化亜鉛、二ヨウ化亜鉛、二塩化カ
ドミウム、二臭化カドミウム、二ヨウ化カドミウム、二
塩化水銀(II)、塩化ヨウ化亜鉛、塩化ヨウ化カドミウ
ム、塩化ヨウ化水銀(II)、臭化ヨウ化亜鉛、臭化ヨウ
化カドミウム、臭化ヨウ化水銀(II)等の周期表第12
族元素のジハロゲン化物、トリメチルホウ素、トリ−n
−プロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリメチ
ルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−
ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウ
ム、トリオクチルアルミニウム、トリ−n−ブチルガリ
ウム(III)、トリメチルインジウム(III)、トリエチ
ルインジウム(III)、トリ−n−ブチルインジウム(I
II)等の周期表第13族元素のトリアルキル化物、塩化
ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩
化ジ−n−ブチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニ
ウム、ヨウ化ジエチルアルミニウム、塩化ジ−n−ブチ
ルガリウム(III)、塩化ジ−n−ブチルインジウム(I
II)等の周期表第13族元素のジアルキルモノハロゲン
化物、二塩化メチルアルミニウム、二塩化エチルアルミ
ニウム、二臭化エチルアルミニウム、二ヨウ化エチルア
ルミニウム、二塩化n−ブチルアルミニウム、二塩化n
−ブチルガリウム(III)、二塩化n−ブチルインジウ
ム(III)等の周期表第13族元素のモノアルキルジハ
ロゲン化物、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホ
ウ素、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨ
ウ化アルミニウム、三塩化ガリウム(III)、三臭化ガ
リウム(III)、三ヨウ化ガリウム(III)、三塩化イン
ジウム(III)、三臭化インジウム(III)、三ヨウ化イ
ンジウム(III)、二塩化臭化ガリウム(III)、二塩化
ヨウ化ガリウム(III)、塩化二ヨウ化ガリウム(II
I)、二塩化ヨウ化インジウム(III)等の周期表第13
族元素のトリハロゲン化物、四塩化ゲルマニウム(I
V)、四臭化ゲルマニウム(IV)、四ヨウ化ゲルマニウ
ム(IV)、二塩化錫(II)、四塩化錫(IV)、二臭化錫
(II)、四臭化錫(IV)、二ヨウ化錫(II)、四臭化錫
(IV)、二塩化二ヨウ化錫(IV)、四ヨウ化錫(IV)、
二塩化鉛(II)、二臭化鉛(II)、二ヨウ化鉛(II)等
の周期表第14族元素のハロゲン化物、ジフェニルシラ
ン等の周期表第14族元素の水素化物やアルキル化物、
トリメチルアンチモン(III)、トリエチルアンチモン
(III)、トリ−n−ブチルアンチモン(III)、トリメ
チルビスマス(III)、トリエチルビスマス(III)、ト
リ−n−ブチルビスマス(III)等の周期表第15族元
素のトリアルキル化物、二塩化メチルアンチモン(II
I)、二臭化メチルアンチモン(III)、二ヨウ化メチル
アンチモン(III)、二ヨウ化エチルアンチモン(II
I)、二塩化メチルビスマス(III)、二ヨウ化エチルビ
スマス(III)等の周期表第15族元素のモノアルキル
ジハロゲン化物、三塩化砒素(III)、三臭化砒素(II
I)、三ヨウ化砒素(III)、三塩化アンチモン(II
I)、三臭化アンチモン(III)、三ヨウ化アンチモン
(III)、三塩化ビスマス(III)、三臭化ビスマス(II
I)、三ヨウ化ビスマス(III)等の周期表第15族元素
のトリハロゲン化物等が挙げられる。
【0040】なお、四塩化ゲルマニウム(IV)、四臭化
ゲルマニウム(IV)、四ヨウ化ゲルマニウム(IV)、二
塩化錫(II)、四塩化錫(IV)、二臭化錫(II)、四臭
化錫(IV)、二ヨウ化錫(II)、四臭化錫(IV)、二塩
化二ヨウ化錫(IV)、四ヨウ化錫(IV)、二塩化鉛(I
I)、二臭化鉛(II)、二ヨウ化鉛(II)等の周期表第
14族元素のハロゲン化物、ジフェニルシラン等の周期
表第14族元素の水素化物やアルキル化物は、単独でS
i、Ge、Sn等の周期表第14族元素の単体半導体の
超微粒子の原料として使用される場合がある。
【0041】半導体原料化合物となる陰性元素含有化合
物の例としては、窒素、リン、砒素、アンチモン、ビス
マス、酸素、硫黄、セレン、テルル、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素等の周期表第15〜17族元素の単体、アン
モニア、ホスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)、
スチビン(SbH3)等の周期表第15族元素の水素化
物、トリス(トリメチルシリル)アミン、トリス(トリ
メチルシリル)ホスフィン、トリス(トリメチルシリ
ル)アルシン等の周期表第15族元素のシリル化物、硫
化水素、セレン化水素、テルル化水素等の周期表第16
族元素の水素化物、ビス(トリメチルシリル)スルフィ
ド、ビス(トリメチルシリル)セレニド等の周期表第1
6族元素のシリル化物、硫化ナトリウム、セレン化ナト
リウム等の周期表第16族元素のアルカリ金属塩、トリ
ブチルホスフィンスルフィド、トリヘキシルホスフィン
スルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィド、トリ
ブチルホスフィンセレニド、トリヘキシルホスフィンセ
レニド、トリオクチルホスフィンセレニド等のトリアル
キルホスフィンカルコゲニド類、フッ化水素、塩化水
素、臭化水素、ヨウ化水素等の周期表第17族元素の水
素化物、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリル
ブロミド、トリメチルシリルヨージド等の周期表第17
族元素のシリル化物が挙げられる。これらのうち、反応
性や化合物の安定性・操作性の点で、リン、砒素、アン
チモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルル、ヨウ素等の
周期表第15〜17族元素の単体、トリス(トリメチル
シリル)ホスフィン、トリス(トリメチルシリル)アル
シン等の周期表第15族元素のシリル化物、硫化水素、
セレン化水素、テルル化水素等の周期表第16族元素の
水素化物、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、ビス
(トリメチルシリル)セレニド等の周期表第16族元素
のシリル化物、硫化ナトリウム、セレン化ナトリウム等
の周期表第16族元素のアルカリ金属塩、トリブチルホ
スフィンスルフィド、トリヘキシルホスフィンスルフィ
ド、トリオクチルホスフィンスルフィド、トリブチルホ
スフィンセレニド、トリヘキシルホスフィンセレニド、
トリオクチルホスフィンセレニド等のトリアルキルホス
フィンカルコゲニド類、トリメチルシリルクロリド、ト
リメチルシリルブロミド、トリメチルシリルヨージド等
の周期表第17族元素のシリル化物等が好適に用いら
れ、中でもリン、砒素、アンチモン、硫黄、セレン等の
周期表第15及び16族元素の単体、トリス(トリメチ
ルシリル)ホスフィン、トリス(トリメチルシリル)ア
ルシン等の周期表第15族元素のシリル化物、ビス(ト
リメチルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシリ
ル)セレニド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫
化ナトリウム、セレン化ナトリウム等の周期表第16族
元素のアルカリ金属塩、トリブチルホスフィンスルフィ
ド、トリオクチルホスフィンスルフィド、トリブチルホ
スフィンセレニド、トリオクチルホスフィンセレニド等
のトリアルキルホスフィンカルコゲニド類等が特に好適
に用いられる。
【0042】特に好ましい液相製造方法であるホットソ
ープ法における前記原料化合物の反応液相への供給速度
には制限はないが、生成する半導体結晶超微粒子の粒径
分布を狭くする場合には0.1〜60秒程度の短時間に
所定量を注入することが好適な場合がある。また、原料
溶液の注入後の適切な結晶成長反応時間(流通法の場合
には滞留時間)は、半導体種や所望の粒径あるいは反応
温度により変動するが、代表的な条件としては200〜
350℃程度の反応温度で1分〜10時間程度である。
【0043】かかるホットソープ法では半導体結晶の成
長反応終了後、通常単離精製を行う。この方法として
は、液相成分の濃縮、あるいは沈殿法が好適である。沈
殿法の好ましい代表的な手順は以下の通りである。即
ち、反応液の固化温度に至らない程度に冷却後トルエン
やヘキサン等を添加して室温での固化性を抑制し、次い
で半導体超微粒子の貧溶媒、例えばメタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n
−ブタノール等の低級アルコール類、あるいは水と混合
して半導体超微粒子を析出せしめ、これを遠心分離やデ
カンテーション等の物理的な手段で分離する手順であ
る。こうして得られる析出物をトルエンやヘキサン等に
再度溶解し析出・分離の手順を繰り返すことで更に精製
度を上げることが可能である。沈殿溶媒は混合溶媒とし
ても構わない。
【0044】[ポリアルキレングリコール残基の半導体
結晶表面への結合]前記に例示したような任意の製造方
法で得られる半導体結晶に、メルカプト基やホスフィン
オキシド基等に代表される前記の配位性構造を利用して
ポリアルキレングリコールを結合させる方法に制限はな
い。その一例として、メルカプト基を有するポリアルキ
レングリコール(以下PAG−SHと略記)を半導体結
晶の表面に配位させる方法が挙げられ、具体的には、前
記ホットソープ法により得られるTOPO等の配位性有
機化合物を表面に有する半導体超微粒子をPAG−SH
と液相中で接触させる配位子交換反応が可能である。こ
の場合、必要に応じて後述するような溶剤を使用した溶
液としても良く、使用するPAG−SHが反応条件にお
いて液体である場合には、PAG−SH自身を溶媒とし
て使用し他の溶剤を添加しない反応形式も可能である。
【0045】かかる配位子交換反応条件としては、例え
ば、X.Pengら;Angew.Chem.Int.
Ed.Engl.,36巻,145頁(1997)に記
載の方法に準じてメタノール等アルコール類中で行う方
法、M.Bruchez Jr.ら;Science,
281巻,2013頁(1998)に記載の方法に準じ
てジメチルスルホキシドとメタノール等アルコール類の
混合溶媒中で行う方法、あるいはC.W.Warren
ら;Science,281巻,2016頁(199
8)に記載の方法に準じてクロロホルム等ハロゲン化溶
剤中で行う方法等が挙げられる。また、前記のX.Pe
ngら;J.Am.Chem.Soc.,119巻,7
019頁(1997)に報告されているように、前記の
ホットソープ法により得られるトリオクチルホスフィン
オキシド等の配位性有機化合物を表面に有する半導体超
微粒子をピリジン等の弱配位性化合物(通常溶媒として
大過剰量用いる)含む液相に分散して該配位性有機化合
物を除去する方法も応用可能である。即ちピリジン等の
弱配位性化合物中で配位性有機化合物を除去する第一工
程、次いで、PAG−SHを加える第二工程からなる二
段階反応である。いずれの方法においても、必要に応じ
て反応液を加熱や減圧してもよい。
【0046】かかる配位子交換反応に用いられる溶剤と
しては、ピリジン、ルチジン、コリジン、あるいはキノ
リン等の含窒素芳香族化合物、塩化メチレン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲ
ン化アルキル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフ
タレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族
炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン、n−オクタン、イソオクタン等のアルカン類、ジ
エチルエーテルやテトラヒドロフラン等の脂肪族エーテ
ル類、アセトンやメチルエチルケトン等の脂肪族ケトン
類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル系溶剤、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピル
アルコール、n−ブタノール、エチレングリコール等の
アルコール類、フェノールやクレゾール等のフェノール
類、及び水等の水酸基を有する化合物、ブチルアミン、
ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミ
ン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミ
ン、オクタデシルアミン、フェニルアミン、アニリン等
の炭素数20以下程度の1級アミン類、ジエチルアミ
ン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルア
ミン、ジデシルアミン、ジフェニルアミン、メチルフェ
ニルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、メ
チルアニリン等の炭素数20以下程度の2級アミン類、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプ
ロピルアミン、トリヘキシルアミン、フェニルジメチル
アミン、メチルジフェニルアミン、N−メチルピロリジ
ン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジ
メチルアニリン等の炭素数20以下程度の3級アミン
類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N
−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロ
リドン(NMP)等のアミド系非プロトン性溶剤、ジメ
チルスルホキシド等のスルホキシド類、あるいは水等が
例示される。これらの溶剤は、半導体超微粒子やその生
成物等の溶解度調整等の必要に応じて、任意の種類・組
み合わせ・比において混合して使用して構わない。
【0047】前記の配位子交換反応において、使用する
PAG−SHの量を制御することにより、半導体結晶表
面に所望量のPAG−SHを結合することが可能であ
る。かかるPAG−SH結合量の制御により、本発明の
半導体超微粒子の親水性や水溶性を制御することが可能
である。本発明の半導体超微粒子におけるPAG−SH
の結合量は該超微粒子の有機成分中の重量百分率(wt
%)として、通常0.1〜100wt%、親水性の点で
好ましくは1〜100wt%、更に好ましくは10〜1
00wt%、最も好ましくは20〜100wt%とす
る。かかる重量百分率は、核磁気共鳴スペクトル(NM
R)や赤外吸収スペクトル(IR)、元素分析、あるい
は熱重量分析(TG)等の各種分析手法の組み合わせに
より見積もることが可能である。
【0048】前記の配位子交換反応は、通常−10〜2
50℃程度の温度範囲で行われ、有機物の熱劣化や交換
反応の未完結を避けるため好ましくはこの温度範囲を0
〜200℃程度、更に好ましくは10〜150℃程度、
最も好ましくは20〜120℃程度とする。一方反応時
間は原料や温度にもよるが、通常1分〜100時間、好
ましくは5分〜70時間、更に好ましくは10分〜50
時間、最も好ましくは10分〜30時間程度である。ま
た、かかる配位子交換反応において、半導体超微粒子と
PAG−SHを反応液に加える順序に制限はない。
【0049】かかる配位子交換反応は、酸化等の副反応
を避けるため、窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気に
おいて行うのが望ましい。また、かかる配位子交換反応
だけでなく超微粒子製造の後処理工程は、遮光条件が好
ましい場合もある。かかる配位子交換反応の後、製品を
単離するには、濾過、沈殿と遠心分離の併用、蒸留、昇
華等の任意の精製方法を使用して構わないが、特に有効
なのは、半導体結晶の比重が通常の有機化合物より大き
いことを利用した沈殿と遠心分離の併用である。遠心分
離は、配位子交換反応の生成物を含有する液体を、PA
G−SHを結合した本発明の半導体超微粒子の貧溶媒
(例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、イソオクタン等の炭化水素を含む有機溶剤)中
に投入し、生成する沈殿を含む懸濁液を遠心分離して行
われる。得られた沈殿は、デカンテーション等により上
澄み液と分離し、必要に応じ溶媒洗浄や再溶解と再沈殿
/遠心分離を繰り返して精製度を向上させる。再溶解に
は例えばトルエン等の芳香族炭化水素類、エタノール、
イソプロピルアルコール、n−ブタノール、tert−
ブチルアルコール等の炭素数4以下程度の低級アルコー
ル類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等の
環状エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、あるいは
水等の溶媒が用いられ、これらは任意種類を混合して用
いてもよい。遠心分離の回転数は、通常毎分100〜8
000回転程度、好ましくは毎分300〜6000回転
程度、更に好ましくは毎分500〜4000回転程度程
度とし、温度は通常−10〜100℃程度、好ましくは
0〜80℃程度、更に好ましくは10〜70℃程度、最
も好ましくは20〜60℃程度の範囲で行う。また、か
かる精製工程も、酸化等の副反応を避けるため、窒素や
アルゴン等の不活性気体雰囲気において行うのが望まし
い場合もある。
【0050】[用途等]本発明の半導体超微粒子は、特
定の化学構造との生物学的相互作用を有する化学構造
(例えば抗体、核酸、タンパク質等)をさらに導入する
ことにより、優れた水溶性を有し、分析精度を悪化させ
る非特異的吸着が従来より大幅に低減された生物学的分
析試薬として利用される。
【0051】本発明の半導体超微粒子は、その親水性を
生かした水性又はアルコール性塗料の原料として利用可
能である。ここで言う「水性塗料」とは、水又を水を含
有する混合溶媒(以下水性溶剤と称する)を溶剤とした
塗料を意味する。無毒性の点で好適な混合溶媒は水とエ
タノールの混合物であり、好ましくは水の含有量が30
重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。本
発明の半導体超微粒子を含有する水性塗料は、塗布膜か
ら水性溶剤を除去すると、配位子であるポリアルキレン
グリコール残基が半導体結晶を互いに凝集しがたい状況
とする連続マトリクスとして機能し、該半導体結晶の吸
発光特性を発揮する安定な塗膜を与えるので有用であ
る。この場合、該水性塗料に、ポリビニルアルコール
(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(E
VOH)、あるいはポリエチレンオキシド(PEO)等
の親水性樹脂、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防
黴剤、染料や顔料、ガラス繊維やガラスフレークあるい
はガラスビーズ等のフィラー等、任意の添加剤を混入せ
しめても構わない。
【0052】本発明の半導体超微粒子は、任意の樹脂マ
トリクスに分散して樹脂組成物として使用しても構わな
い。この場合も前記の任意の添加剤等を加えて構わな
い。かかる樹脂組成物を製造する方法に特に制限はない
が、通常、本発明の半導体超微粒子を任意の樹脂と公知
の任意の方法で混合する方法、あるいは該半導体超微粒
子を任意の樹脂マトリクスを与えるモノマー類と混合し
次いで該モノマー類の重合反応を進行させる方法が好適
に使用される。
【0053】半導体超微粒子を任意の樹脂と混合する方
法としては、溶融混練、溶液ブレンド等が挙げられる。
該溶融混練の方法としては、前記に例示した熱可塑性樹
脂のペレット、粉末、フレーク等と半導体超微粒子の粉
末とを混合し(ドライブレンド)、次いで単軸押出機、
二軸押出機、ブラベンダー、ロール、ラボプラストミル
等の任意の溶融混練機に投入し、該熱可塑性樹脂の軟化
点以上の温度においてせん断を加えて溶融した熱可塑性
樹脂と混合する方法等が挙げられる。このとき使用する
スクリュ等の攪拌機構の形状には制限はないが、例えば
二軸押出機のせん断を強化するためにニーディングディ
スクや逆回転ディスク等のスクリューブロックを入れて
も構わない。得られた樹脂組成物はストランド、樹脂
塊、板、ペレット等、任意の形状で取り出して構わな
い。かかる溶融混練時に、水及び/又はエタノールに代
表されるアルコール類等の溶媒を加えても構わず、また
揮発成分を除く目的で溶融混練系の減圧(いわゆるベン
ト引き)を行っても構わない。
【0054】該溶液ブレンドの方法としては、熱可塑性
樹脂のペレット、粉末、フレーク等と半導体超微粒子の
粉末あるいはフレークとを、適当な共通溶媒(代表的な
ものは、水やアルコール類等の水酸基を有する溶媒、ピ
リジン等の含窒素芳香族化合物、THFや1,4−ジオ
キサン等の環状エーテル類、塩化メチレンやクロロホル
ム等のハロゲン化アルキル類、DMFやNMP等のアミ
ド系非プロトン性極性溶媒等)中に溶解し、かかる溶液
中で十分に混合し次いで該溶媒を蒸留や乾燥により除去
する方法、あるいはシクロヘキサン等の貧溶媒中に該溶
液を投入して樹脂組成物を沈殿させる方法等が挙げられ
る。かかる溶解時に、必要に応じて加熱しても構わな
い。また、溶媒の蒸留は減圧下にて行っても構わない。
該溶液調製に使用する溶媒や沈殿用の貧溶媒には、複数
種の溶媒溶媒を使用しても構わない。
【0055】一方、半導体超微粒子を任意の樹脂マトリ
クスを与えるモノマー類と混合し次いで該モノマー類の
重合反応を進行させる方法としては、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−クロロスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−クロロメチルスチレン、p−ヒドロキシスチレ
ン、p−アセトキシスチレン、ビニルナフタレン、2−
ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の芳香族ビニル
化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニ
ル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
ヒドロキシエチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル
酸フェニル、メタクリル酸ノルボルナンメチル、メタク
リル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチル、アク
リルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等のアクリル酸やメタクリル酸の誘導
体、酢酸ビニル等のビニルエステル類、N−ビニルピロ
リドンやN−ビニルオキサゾリン等のN−ビニル化合物
等のラジカル重合性モノマー、THF、プロピレンオキ
シド、エピクロロヒドリン等の環状エーテル類、ε−カ
プロララクタム等の環状アミド類、ε−カプロララクト
ン、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類等の開環重
合性モノマー、あるいはテトラエトキシシラン等加水分
解縮合(いわゆるゾル−ゲル法)に用いられる金属アル
コキシド類等の重合性モノマーにまず本発明の半導体超
微粒子を溶解させ、次いで所定のモノマー重合反応を行
うのが一般的である。この時適当な溶媒を併用してもよ
い。
【0056】前記のモノマー類には、必要に応じて架橋
性多価モノマーを加えても構わず、その例としては、ラ
ジカル重合性の架橋剤としてジビニルベンゼン、トリビ
ニルベンゼン、ジビニルピリジン等の芳香族ビニル化合
物、ビスアクリロイロキシエタン、ペンタエリスリトー
ルのテトラキス(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエ
リスリトールのトリス(メタ)アクリル酸エステル等が
挙げられる。かかる場合には、樹脂組成物は熱可塑性を
失う場合がある。
【0057】半導体超微粒子の存在下でかかるラジカル
重合性モノマーのラジカル重合を実施する場合には、通
常、ラジカル開始剤を添加する。ここで使用可能なラジ
カル開始剤には制限はなく、例えば熱分解性のラジカル
開始剤として前記のラジカル重合性モノマーに溶解性の
もの、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイルやtert−ブチル
ペルオキシド等の過酸化物等が代表的であるが、水溶性
のラジカル発生剤、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カ
リウム、過硫酸リチウム、過硫酸アンモニウム等の過硫
酸塩等を使用しても構わない。また光分解性のラジカル
開始剤、例えばα−アミノアセトフェノンや2−ベンジ
ル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニ
ル)−ブタン−1等のアミノアセトフェノン類、の他、
ベンジルジメチルケタール類、グリオキシエステル類、
アシルホスフィンオキシ類等も使用可能である。
【0058】前記の任意の樹脂組成物の製造方法におい
て、半導体超微粒子を適当な有機物にあらかじめ高濃度
に含有させたいわゆるマスターバッチとして使用しても
構わない。かかるマスターバッチにおけるマトリクス有
機物としては、任意の熱可塑性樹脂、ワックス類、溶
媒、あるいは前記の任意の重合性モノマー(架橋性多価
モノマーも含む)等が使用される。かかるマスターバッ
チの調製方法も、前記の溶融混練や溶液ブレンド等公知
の任意の方法によって構わない。
【0059】前記の任意の樹脂組成物の製造工程におい
て、原料混合時の熱や光による酸化反応を抑制するため
に、不活性気体雰囲気(例えば乾燥した窒素やアルゴン
等)や遮光条件が好ましい場合がある。
【0060】
【実施例】以下に実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、原料試薬は、特に記載がない限り、Aldric
h社より供給されるものを精製を加えず使用した。但
し、市販の溶剤を以下のような精製操作により精製溶媒
とした。
【0061】精製トルエン・・・濃硫酸、水、飽和重曹
水、更に水の順序で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾
燥次いで濾紙で濾過し、五酸化二リン(P25)を加え
て大気圧にて蒸留した。 精製メタノール・・・硫酸カルシウムと水素化カルシウ
ムで乾燥した後更に水素化ナトリウムを加え、ここから
大気圧にて直接蒸留したもの、又はAldrich社よ
り供給された無水(「Anhydrous」)グレード
を使用した。
【0062】精製塩化メチレン・・・五酸化二リン(P
25)で乾燥した後、ここから大気圧にて直接蒸留し
た。 [測定装置と条件等] (1)核磁気共鳴(NMR)スペクトル:日本電子社製
JNM−EX270型FT−NMR( 1H:270MH
z,13C:67.8MHz)。溶媒は特に断らない限り
重水素化クロロホルムを溶媒として使用し、テトラメチ
ルシランを0ppm対照として23℃にて測定した。 (2)赤外吸収(IR)スペクトル:日本分光工業社製
FT/IR−8000型FT−IR。23℃にて測定し
た。 (3)X線回折(XRD)スペクトル:リガク(株)製
RINT1500(X線源:銅Kα線、波長1.541
8Å)。23℃にて測定した。 (4)透過型電子顕微鏡(TEM)観察:日立製作所
(株)製H−9000UHR型透過電子顕微鏡(加速電
圧300kV、観察時の真空度約7.6×10-9Tor
r)にて行った。 (5)光励起発光(PL)スペクトル:日立製作所
(株)製F−2500型分光蛍光光度計にて、スキャン
スピード60nm/分、励起側スリット5nm、蛍光側
スリット5nm、フォトマル電圧400Vの条件で、光
路長1cmの石英製セルを用いて室温で測定した。 (6)吸収スペクトル:ヒューレットパッカード社製H
P8453型紫外・可視吸光光度計にて石英製セルを用
いて室温で測定した。 (7)熱重量分析(TG):セイコーインスツルメンツ
(株)製TG−DTA320により、200mL/分の
窒素気流下、アルミニウム皿の上で、昇温速度は10℃
/分、140℃で保温30分次いで最高設定温度590
℃(サンプル直下の実測温度は602〜603℃程度)
で保温120分の条件で行った。
【0063】[合成例:半導体ナノ結晶の合成] 合成例1:CdSeナノ結晶の合成 空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電
対を装着した無色透明のパイレックス(登録商標)ガラ
ス製3口フラスコにトリオクチルホスフィンオキシド
(以下TOPOと略記;4g)を入れ、マグネチックス
ターラーで攪拌しながら乾燥アルゴンガス雰囲気で36
0℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボッ
クス内で、セレン(単体の黒色粉末;0.1g)をトリ
ブチルホスフィン(以下TBPと略記;6.014g)
に溶解した液体に更にジメチルカドミウム(Strem
Chemical社;97%;0.216g)を混合
溶解した原料溶液Aを、ゴム栓(Aldrich社から
供給されるセプタム)で封をしアルミニウム箔ですき間
なく包んで遮光したガラス瓶中に調製した。この原料溶
液Aの一部(2.0mL)を、前記のTOPOの入った
フラスコに注射器で一気に注入し、この時点を反応の開
始時刻とした。反応開始20分後に熱源を除去し約50
℃に冷却された時点で精製トルエン(2mL)を注射器
で加えて希釈し、更に前記の精製メタノール(10m
L)を注入して不溶物を生じさせた。この不溶物を遠心
分離(3000rpm)し、デカンテーションにより上
澄み液を除去して分離し、室温にて約14時間真空乾燥
して固形粉体を得た。
【0064】この固形粉体のXRDスペクトルにおい
て、Wurtzite型CdSe結晶の002面及び1
10面に帰属される回折ピークを観測したことからCd
Seナノ結晶の生成を確認した。また、このCdSeナ
ノ結晶の平均粒径は、TEM観察によれば約4nmであ
った。このCdSeナノ結晶は、精製トルエン溶液にお
いて、366nm波長の励起光を照射すると赤色の発光
帯(ピーク波長595nm、半値幅43nm)を与え
た。
【0065】合成例2:ZnSシェルを有するCdSe
ナノ結晶の合成 B.O.Dabbousiら;J.Phys.Che
m.B,101巻,9463頁(1997)に記載の方
法に準じて行った。これを以下説明する。乾燥アルゴン
ガス雰囲気の褐色ガラス製の3口フラスコ中にTOPO
(15g)を入れ、減圧下130〜150℃での溶融状
態で約2時間攪拌した。この間、残留する空気及び水等
の揮発性分を置換する目的で、乾燥アルゴンガスにより
大気圧に復圧する操作を数回行った。温度設定を100
℃として約1時間後、合成例1で得たCdSeナノ結晶
の固形粉体(0.094g)のトリオクチルホスフィン
(1.5g、以下TOPと略記)溶液を加えて、CdS
eナノ結晶を含む透明溶液を得た。これを100℃の減
圧下で更に約80分間攪拌後、温度を180℃に設定し
て乾燥アルゴンガスで大気圧に復圧した。別途、乾燥窒
素雰囲気のグローブボックス内で、ジエチル亜鉛の1N
濃度n−ヘキサン溶液(1.34mL;1.34ミリモ
ル)とビス(トリメチルシリル)スルフィド(0.23
9g;1.34ミリモル)とをTOP(9mL)に溶解
した原料溶液Bを、セプタムで封をしアルミニウム箔で
すき間なく包んで遮光したガラス瓶中に調製した。この
原料溶液Bを、注射器により、前記の180℃のCdS
eナノ結晶を含む透明溶液に20分間かけて滴下し、9
0℃に降温後約1時間攪拌を継続した。室温で約14時
間静置した後、再び90℃で3時間加熱攪拌した。熱源
を除去し、Aldrich社から供給される無水グレー
ド(99.8%)のn−ブタノール(8mL)を反応液
に加えて室温まで冷却して、透明な赤色溶液を得た。
【0066】この赤色溶液には、原料のビス(トリメチ
ルシリル)スルフィド等の硫黄化合物の臭気はなく、代
わりにセレン特有のニラ様臭気があった。合成例1で得
たCdSeナノ結晶の溶液にはこのようなセレン臭はな
かったので、該CdSeナノ結晶表面での意図した硫化
物生成反応の進行とともに、該ナノ結晶表面における硫
黄原子によるセレン原子の置換反応等何らかの機構によ
るセレンの遊離があったものと推測され、前記文献記載
同様にZnSシェルを有するCdSeナノ結晶が生成し
たものと考えられた。
【0067】この赤色溶液の一部(8mL)を、乾燥窒
素気流下、室温で精製メタノール(16mL)中に滴下
し20分間攪拌を継続する沈殿操作により赤色不溶物を
得た。この赤色不溶物を合成例1同様に遠心分離及びデ
カンテーションにより分離し、精製トルエン(14m
L)に再溶解した。この再溶解トルエン溶液を用いて、
再び同様の沈殿操作、遠心分離、及びデカンテーション
の一連の精製操作を行って固体生成物を得た。この固体
生成物は、1mLの精製メタノールと振り混ぜて洗浄
後、デカンテーションで分離した。この固体生成物は透
明赤色の精製トルエン溶液を与え、ここに468nm波
長の励起光を照射すると赤色の発光帯(ピーク波長59
7nm、半値幅41nm)を与えた。この発光は同程度
の溶液濃度において、合成例1で得たCdSeナノ結晶
の場合よりも明らかに発光強度が大きかったことから、
ZnSシェルを有するCdSeナノ結晶に変換され、表
面準位等を経由する非発光過程の寄与が抑制されたもの
と考えられた。また、この生成物のIRスペクトルは、
TOPOのアルキル基に由来すると考えられる3つの吸
収帯を2940,2920,及び2850cm-1に与え
たので、TOPOがナノ結晶表面に結合しているものと
考えられた。
【0068】合成例3:ZnOナノ結晶の合成 前記L.Spanhelら著の文献記載の方法により合
成した。即ち、関東化学(株)から供給された酢酸亜鉛
2水和物(0.8789g)を遮光したガラスフラスコ
内でエタノール(40mL)に溶解し窒素ガスバブリン
グを30分間行って溶在空気を置換し、窒素雰囲気下に
て溶液を加熱しエタノールの一部(24mL)を蒸留し
て共存する水を共沸除去した。液温を室温に戻してエタ
ノール(24mL)を加え、ここにキシダ化学(株)か
ら供給された水酸化リチウム1水和物(0.2352
g)の粉末を加えて10分間超音波照射して濁りのない
溶液を得た。この溶液の吸収スペクトルは314nmに
極大を有するエキシトン発光帯を示したことから、前記
文献記載のとおりZnOナノ結晶が生成していることが
わかった。またこの溶液は、300nmの励起光により
496nmに極大を有するブロードな発光帯を与えた。
【0069】[実施例] 実施例1:3−メルカプトプロパン酸MTEGエステル
の合成 東京化成社から供給された3−メルカプトプロパン酸
(4.32g)とトリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル(以下MTEGと略記:104.16g)、及び
濃硫酸(0.63g)を乾燥窒素雰囲気のフラスコ内に
混合し、60℃で攪拌しながら10mmHg以下の圧力
での減圧を10時間継続した。反応液に濃硫酸と同当量
の無水炭酸カリウム(関東化学社)を加えて減圧蒸留に
よりMTEGを留去(1.5mmHgの圧力にて蒸気温
度100−103℃)して濃縮し、残渣をシリカゲルカ
ラムコロマトグラフィ(n−ヘキサン/アセトン=75
/25〜60/40で溶出)により精製した。得られた
生成物は、IRスペクトルにおいて1730cm-1にエ
ステル基、及び2870cm-1のピークと2820cm
-1の肩を含む3050〜2650にかけてのブロードな
領域にMTEGの炭化水素構造部分にそれぞれ帰属され
る吸収帯を与えた。更に、1H−NMRスペクトルにお
いて、後述するように予想構造に合致する合理的なシグ
ナルと積分値を与えたので、目的とする3−メルカプト
プロパン酸のMTEGエステル(以下MTEG−C3S
Hと略記)を単離したものと結論した。1 H−NMRスペクトル:2.64(トリプレット,2
プロトン,J=7.3Hz,原料カルボン酸残基由来の
メチレン基)、2.81(トリプレット,2プロトン,
J=6.9Hz,原料カルボン酸残基由来のメチレン
基)、3.38(シングレット,3プロトン,メチル
基)、3.53〜3.58(マルチプレット,2プロト
ン)、3.63〜3.73(マルチプレット,8プロト
ン)、4.26(トリプレット,2プロトン,J=5.
0Hz,エステル結合に隣接するMTEG残基のメチレ
ン基)。
【0070】実施例2:MTEG−C3SHを結合した
半導体超微粒子の合成 合成例2で得たZnSシェルを有するCdSeナノ結晶
の全量を、アルミニウム箔で隙間なく包んで遮光したガ
ラス容器内で乾燥窒素雰囲気下精製トルエン(2mL)
に溶解し、更に精製塩化メチレン(10mL)を加えて
均一溶液とした。これを室温で攪拌しながら、実施例1
で合成したMTEG−C3SH(0.29g)の精製塩
化メチレン(2mL)溶液を加えて、室温遮光条件での
攪拌を約2時間継続後、室温で約17時間静置した。そ
の後、精製トルエン(6mL)を追加し、乾燥窒素気流
下100℃に昇温して塩化メチレンを留去するとともに
45分間加熱し、室温に冷却した。この反応液に、約9
倍容量のn−ヘキサン(純正化学(株))を加え、得ら
れた不溶物を前記合成例1同様に遠心分離とデカンテー
ションにより分離する精製操作を行った。こうして分離
した不溶物を再度精製トルエン(1mL)に溶解し、同
様な精製操作(約9倍容量のn−ヘキサン添加、次いで
遠心分離及びデカンテーション)を繰り返して固体生成
物を得た。なお、TOPOあるいは過剰のMTEG−C
3SH等の有機不純物は、トルエン/n−ヘキサン
(1:9容量比)混合溶媒に可溶又は分散するので、こ
こで記述した精製操作により除去された。
【0071】こうして得た固体生成物は、50重量%の
エタノール水溶液への溶解性と発光能(励起波長468
nmにおける発光帯のピーク波長は602nm、半値幅
は39nm)を兼ね備えていた。また、こうして得た固
体生成物のIRスペクトルは、使用したMTEG−C3
SH由来のエステル基(1730cm-1)及び炭化水素
構造部分(2870cm-1のピークと2820cm-1
肩を含む3000〜2750にかけてブロードな領域)
それぞれ帰属される吸収帯を与え、しかも前記の合成例
2で述べたTOPOのアルキル基に由来すると考えられ
る3つの鋭い吸収ピークは観測されなかったので、MT
EG−C3SHがTOPOを置換して配位とした半導体
超微粒子が得られたものと考えられた。
【0072】実施例3:11−メルカプトウンデカン酸
MTEGエステルの合成 11−メルカプトウンデカン酸(1.70g)と実施例
1で使用したMTEG(50mL)、及び濃硫酸(国産
化学(株);5滴)を乾燥窒素雰囲気のフラスコ内にて
混合し、60℃で攪拌しながら30mmHg以下の圧力
での減圧脱水を延べ約36時間行った。反応液を大量の
氷水に攪拌しながら徐々に加えて得た析出物をn−ヘキ
サン/酢酸エチル(共に純正化学(株))混合溶媒で抽
出し、この有機相を飽和重曹水、次いで水で洗浄し、硫
酸ナトリウム上で乾燥後濾過して濃縮し、室温で真空乾
燥した。この生成物の密度は23℃において1.009
であった。またこの生成物は、IRスペクトルにおいて
1735cm-1にエステル基、及び2920cm-1と2
845cm-1のピークを含むMTEG由来の炭化水素構
造にそれぞれ帰属される吸収帯を与えた。更に1H−N
MRスペクトルにおいて、後述するように予想構造に合
致する合理的なシグナルと積分値を与えたので、前記式
(5)の11−メルカプトプロパン酸のMTEGエステ
ル(以下MTEG−C11SHと略記)を単離したもの
と結論した。1 H−NMRスペクトル:1.25−1.67(マルチ
プレット,18プロトン,脂肪族鎖)2.33(トリプ
レット,2プロトン,J=7.6Hz,原料カルボン酸
残基由来のメチレン基)、3.38(シングレット,3
プロトン,メチル基)、3.54〜3.58(マルチプ
レット,2プロトン)、3.63〜3.72(マルチプ
レット,8プロトン)、4.23(トリプレット,2プ
ロトン,J=5.0Hz,エステル結合に隣接するMT
EG残基のメチレン基)。
【0073】実施例4:MTEG−C11SHを結合し
た半導体超微粒子の合成(その1) 合成例1及び合成例2に記載の操作により得たZnSシ
ェルを有するCdSeナノ結晶(0.5g)を、窒素雰
囲気下エタノール(純正化学(株)、8mL)中で攪拌
して分散しながら、ここに実施例3で合成したMTEG
−C11SH(0.4g)を加え約20分間加熱還流さ
せた。この加熱還流により、合成例2の半導体ナノ結晶
が溶解して濁りのない赤色エタノール溶液を与えた。反
応液を減圧濃縮して得た残渣に実施例2で使用したn−
ヘキサンを加えて約20秒間超音波照射して分散させ、
次いで遠心分離(4000rpm、6分間)とデカンテ
ーションにより不溶物を分離した。こうして分離した不
溶物を精製トルエンに再溶解し、約10倍容量のn−ヘ
キサン中に注入して析出物を生成させ、これを前記同様
に遠心分離とデカンテーションにより分離した。この再
溶解、析出及び分離の操作をもう1度繰り返して精製し
た。この生成物を室温で真空乾燥して得た固体は、エタ
ノール又は50重量%のエタノール水溶液に溶解して濁
りのない赤色溶液を与えた。かかるエタノール溶液は実
施例2の場合と同一の発光帯を与えた。この固体生成物
のIRスペクトルは、使用したMTEG−C11SH由
来のエステル基及び炭化水素構造部分にそれぞれ帰属さ
れる吸収帯を与え、しかも前記の合成例2で述べたTO
POのアルキル基に由来すると考えられる3つの鋭い吸
収ピークは観測されなかったので、MTEG−C11S
HがTOPOを置換して配位とした半導体超微粒子が得
られたものと考えられた。この固体生成物の有機物含量
を前記TGにより測定したところ29重量%であった。
この固体生成物のエタノール溶液をガラス基板上にスピ
ンコートすると、濁りのない赤色の塗布膜を与え、この
塗布膜は前記同様の発光能を示した。
【0074】実施例5:MTEG−C11SHを結合し
た半導体超微粒子の合成(その2) 合成例3で得たZnOナノ結晶を含有する溶液の約15
%容量を分取し、ここに実施例3で合成したMTEG−
C11SH(0.2000g)を加え、窒素雰囲気下攪
拌しながら70℃で2時間加熱還流した。次いで、三光
純薬(株)から供給されたセルロース製透析膜UC36
−32−100(製造元:VISKASE SALES
CORP.、カタログ記載の透過分子量の上限値は1
2000〜14000)を使用しエタノールにより透析
精製して塩類や過剰量のMTEG−C11SH等の低分
子量物を除去した。精製したエタノール溶液を減圧濃縮
して得た残渣は、エタノールに再溶解可能で濁りのない
溶液を与え、しかも合成例3のエキシトン吸収帯を保持
していた。後述する比較例3との比較から、本実施例の
生成物はMTEG−C11SHを表面に結合したZnO
であり、この効果によりナノ結晶の成長に伴うエキシト
ン吸収帯の変化が抑止されしかもエタノールへの再溶解
性を獲得したものと考えられた。
【0075】[比較例] 比較例1:TOPOを結合した半導体超微粒子の溶解性
(その1) 合成例1のCdSeナノ結晶を主体とする半導体超微粒
子は、エタノール又は50重量%のエタノール水溶液中
で加熱還流しても濁りのない溶液を与えなかった。この
ことから、疎水性の強いTOPOを有機配位子として結
合しているため、アルコール類や水性溶媒への分散性が
極端に悪いことがわかった。
【0076】比較例2:TOPOを結合した半導体超微
粒子の溶解性(その2) 合成例2のZnSシェルを有するナノ結晶を主体とする
半導体超微粒子は、エタノール又は50重量%のエタノ
ール水溶液中で加熱還流しても濁りのない溶液を与えな
かった。このことから、疎水性の強いTOPOを有機配
位子として結合しているため、アルコール類や水性溶媒
への分散性が極端に悪いことがわかった。
【0077】比較例3:有機配位子を結合していない半
導体超微粒子の溶解性 合成例3で得たZnOナノ結晶を含有するエタノール溶
液をそのまま減圧濃縮して得た残渣は、エタノール、水
及び50重量%のエタノール水溶液のいずれにも再溶解
しないZnO粉末を与えた。つまり、何らかの有機配位
子を表面に結合しないと半導体結晶の超微粒子どうしが
2次凝集し、再溶解性を持たないものと考えられた。
【0078】[化学的安定性の評価]室温条件で、実施
例2及び実施例4で得た半導体超微粒子のエタノール溶
液に10%塩酸を加えたところ、前者は30秒以内にそ
の発光能を消失したにもかかわらず後者はその発光能を
保持した。このことから、ω−メルカプト脂肪酸のMT
EGエステルのメチレン基連鎖長が長いと、半導体結晶
表面に疎水性の脂肪族鎖の被膜を形成し、プロトン酸等
の親水性化学種の接近による該結晶表面の化学反応を阻
止する効果を発揮することがわかった。
【0079】
【発明の効果】本発明のポリアルキレングリコール残基
を表面に結合している半導体超微粒子は、優れた親水
性、生体物質への非特異吸着性、及び該半導体結晶の量
子効果による制御された吸発光特性を兼ね備える。ま
た、その溶液の塗布により、濁りのない均質な塗膜を与
え、これは前記吸発光特性を保持する。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレングリコール残基を半導体
    結晶表面に結合してなる半導体超微粒子。
  2. 【請求項2】 ポリアルキレングリコール残基がω−メ
    ルカプト脂肪酸残基を介して半導体結晶表面に結合した
    ものである請求項1に記載の半導体超微粒子。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレングリコール残基がポリエ
    チレングリコール残基である請求項1又は2に記載の半
    導体超微粒子。
  4. 【請求項4】 ポリエチレングリコール残基がトリエチ
    レングリコールモノアルキルエーテル残基である請求項
    3に記載の半導体超微粒子。
  5. 【請求項5】 半導体結晶がII−VI族化合物半導体組成
    又は金属酸化物組成を主体とするものである請求項1〜
    4のいずれかに記載の半導体超微粒子。
  6. 【請求項6】 半導体結晶がコアシェル構造をなすもの
    である請求項1〜5のいずれかに記載の半導体超微粒
    子。
  7. 【請求項7】 メルカプト基を有するポリアルキレング
    リコールによる配位子交換反応を行うことを特徴とする
    請求項1〜6のいずれかに記載の半導体超微粒子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 下記一般式(1)で表される、ω−メル
    カプト脂肪酸のトリエチレングリコールエステル類。 【化1】 (但し一般式(1)において、Rは水素原子又は炭素数
    7以下のアルキル基を、nは20以下の自然数をそれぞ
    れ表す。)
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