JP4750051B2 - 光学部材用架橋樹脂組成物及び光学部材 - Google Patents
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Description
このような問題点を解決するため、超微粒子の表面の化学構造や化学組成を制御することが提案されている。
成分A:下記一般式(1)で表される含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート。
ホン基、カルボニル基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及びアラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及びpはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。)、に存する。
本発明の更に他の要旨は、上記光学部材用架橋樹脂組成物の薄膜を表面に有する成形体である光学部材に存する。
(重合性液体組成物)
本発明の架橋樹脂組成物の原料である重合性液体組成物は、前記成分A及び成分Bからなる群から選ばれた少なくとも1種の、分子内に2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体を主体とし、数平均粒径0.5〜50nmの超微粒子を含有する液体混合物であって、熱又は活性エネルギー線(例えば紫外線)によって重合反応が進行するものである。かかる重合性液体組成物は、分子内に1個の重合性官能基を有する重合性単量体を含有していてもよく、また上記重合性単量体の重合性を著しく阻害しない限りにおいて重合性を有さない液体(溶媒)を含有していてもよい。
重合性液体組成物には、これから製造される架橋樹脂組成物が本発明の目的を著しく逸脱しない限りにおいて、各種添加剤を加えてもよい。かかる添加剤としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、金属繊維、金属粉等のフィラー類、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が例示される。
上記の重合性液体組成物を重合して得られた本発明の架橋樹脂組成物は、溶媒不溶成分を含有する高分子マトリクス中に数平均粒径0.5〜50nmの超微粒子が分散してなるものであり、光路長1mmにおける複屈折が10nm以下であるものである。該複屈折の値は好ましくは5nm以下、更に好ましくは2nm以下である。
上記複屈折の条件を満たす限りにおいて、原料である重合性単量体及び超微粒子の化学
種に制限はないが、これらの具体例については後述する。また、本発明の架橋樹脂組成物の製造方法についても後述する。
本発明の架橋樹脂組成物が含有する超微粒子については後に詳述するが、その含有量は通常0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは1〜50重量%であり、後述する有機配位子をその表面に結合していてもよい。。かかる超微粒子の含有量が小さすぎると高屈折率性や紫外線吸収能等の機能特性を付与する効果が小さくなる場合があり、逆に大きすぎると機械強度や透明性が低下する場合がある。上記有機配位子を超微粒子の表面に結合させると、超微粒子の分散性が向上する場合が多い。
樹脂材料の成形体では、一般に厚みが大きくなるに従って複屈折も大きくなる。本発明において、上記超微粒子(特に無機物質の超微粒子)を使用することにより、本発明の架橋樹脂組成物は厚みの増大の割には従来になく複屈折の増加率が小さくなるという特徴を獲得する場合がある。従って、後述する本発明の光学部材のように、厚み0.1mm以上という比較的厚い成形体として本発明の架橋樹脂組成物を使用する場合、低複屈折率化の点で有利である。
なお本発明で用いる重合性液体組成物には、これから製造される架橋樹脂組成物が本発明の目的を著しく逸脱しない限りにおいて、各種添加剤を加えてもよい。かかる添加剤としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、金属繊維、金属粉等のフィラー類、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が例示される。
本発明の架橋樹脂組成物の原料である重合性液体組成物に使用される分子内に2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体としては、透明性と低複屈折性を有する架橋樹脂組成物を与える点で2官能性以上の(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。ただしここで「(メタ)アクリレート」なる表記は、アクリレート又はメタクリレートのいずれか、という意味である。具体的には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2価の(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3価の(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート等の4価の(メタ)アクリレート類、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の不定多価の(メタ)アクリレート類等が例示される。これらのうち、架橋生成反応の制御性から上記2価の(メタ)アクリレート類は好ましく用いられる。
成分Aは、下記一般式(1)で示される脂環骨格を有するビス(メタ)アクリレートである。
シクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ト
リシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合
物、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのトリシクロデカン化合物及びペンタシクロデカン化合物は、複数種を併用してもよい。
成分Bは下記一般式(2)で表される硫黄原子を有するビス(メタ)アクリレートである。
〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基を表し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各Yのうち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−SO2−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の場合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニル基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及びアラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及びpはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。
ン=ジメタクリレートは優れた透明性及び耐熱性を有する架橋樹脂組成物を与えるので、特に好適に用いられる。
(超微粒子)
本発明の架橋樹脂組成物において用いられる前記超微粒子を構成する物質種に制限はなく、遷移金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、亜鉛、銅、ニッケル、鉄等の遷移金属単体、あるいはこれら遷移金属の合金等)、半導体、金属の塩などの無機超微粒子や、有機化合物の超微粒子、あるいは有機金属超微粒子などを用いることができる。これらのうち半導体超微粒子が、表面硬度、帯電防止性、光吸収飽和特性、高屈折率、あるいは紫外線吸収等の機能特性を組成物に付与する効果が大きいため好ましい。
本発明における半導体超微粒子とは、後述する任意の半導体結晶を含有する超微粒子であり、該半導体結晶の構造や組成は、例えば半導体単結晶、複数半導体結晶組成が相分離した混晶、相分離の観察されない混合半導体結晶のいずれでもよく、後述するコア−シェル構造をとっていてもよい。また該半導体結晶超微粒子はその表面に有機配位子等の配位子を配位していてもよい。半導体結晶は、価電子帯と伝導帯とのエネルギー差(バンドギャップ)に応じた電磁波吸収(以下、特に断りのない限り単に「吸収」という)や高屈折率といった特性を有する物質であり、半導体ナノ結晶(Nanocrystal)等と呼ばれる数ナノメートル(nm)程度の結晶粒径とした場合には量子効果が顕著に見られるようになる。かかる量子効果により、エネルギー準位の量子化によりエネルギー準位が互いに離れた状態となり、かつそれらが結晶粒径の関数として制御されるようになる。かかる半導体ナノ結晶において、半導体結晶の基礎吸収(Fundamental absorption)の長波長側吸収端よりもわずかに低エネルギーに現れるエキシトン(Exciton、励起子)吸収帯はエネルギー幅が極めて小さいだけでなく、エキシトン準位が伝導帯準位から孤立しており近接したエネルギー準位との相互作用確率が比較的小さいという特徴を有する。
Se3、Sb2Te3、Bi2S3、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第15族元素と周期
表第16族元素との化合物、Cu2O、Cu2Se等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、CuCl、CuBr、CuI、AgCl、AgBr等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、NiO等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、CoO、CoS等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、α−Fe2O3、γ−Fe2O3、Fe3O4等の酸化鉄類、FeS等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、MnO等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、MoS2、WO2等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、VO、VO2、Ta2O5等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、
ル/アナタースの混晶型、アナタース型のいずれでもよい)、ZrO2等の周期表第4族
元素と周期表第16族元素との化合物、Y2O3、La2O3、Ce2O3等の周期表第3族元素(ランタノイド元素を含む)と周期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、CdCr2O4、CdCr2Se4、CuCr2S4、HgCr2Se4等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3等が挙げ
られる。なお、G.Schmidら;Adv.Mater.,4巻,494頁(1991)に報告されている(BN)75(BF2)15F15や、D.Fenskeら;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29巻,1452頁(1990)に報告されているCu146Se73(トリエチルホスフィン)22のように構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示される。
Ga2S3、In2O3、In2S3、ZnO、ZnS、CdO、CdS、前記の酸化鉄類、ルチル型やアナタース型二酸化チタン、ZrO2、Y2O3、Ce2O3、MgS等は毒性の高
い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性の点で好ましく、この観点ではSnO2、In2O3、ZnO、ZnS、α−Fe2O3、ルチル型やアナタース型二酸化チ
タン、ZrO2、Y2O3、Ce2O3等の毒性の高い陽性元素を含まない組成は更に好まし
い。
前記半導体超微粒子の製造方法に制限はないが、例えば以下の3つの液相法が例示される。
(1)原料水溶液を非極性有機溶媒中の逆ミセルとして存在させ、該逆ミセル相中にて結晶成長させる方法(以下「逆ミセル法」という)であり、例えばB.S.Zouら;Int.J.Quant.Chem.,72巻,439(1999)に報告されている方法である。汎用的な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術が利用でき、比較的安価かつ化学的に安定な塩を原料とすることができ、しかも水の沸点を超えない比較的低温で行われるため工業生産に適した方法である。但し、下記のホットソープ法の場合と比べて現状技術では発光特性に劣る場合がある。
(その他の超微粒子の製造方法)
前記遷移金属超微粒子の製造には、例えばG.Schmid編;”Clusters and Colloids”,VCH社(Weinheim,1994)等に総説されている公知の酸化還元反応を利用する金属コロイドの製造方法が使用可能である。例えば、塩化金酸、硝酸銀、過塩素酸銀等の遷移金属イオン化合物又はその塩を、クエン酸又はその塩、水素化ホウ素塩、エタノール等のアルコール類等の還元剤と接触させる溶液反応、あるいは超音波や光の照射等物理的作用を利用する還元反応により合成可能である。M.Brustら;J.Chem.Soc.Chem.Commun.,801頁(1994)に報告があるように、該酸化還元反応を水相で行う際に有機溶媒に可溶の有機配位子で表面修飾するとともに超微粒子を該有機相に抽出する目的で、かかる有機配位子の有機溶液との2相系で反応を行ってもよい。
(超微粒子の分散方法)
本発明の架橋樹脂組成物が含有する前記各種超微粒子を分散させる方法に制限はないが、該超微粒子の表面に適当な有機分子(有機配位子)を結合させる表面修飾を施すと、分散性改善、あるいは吸発光能等の電磁気学的特性の改良に有効である場合が多い。これは、該表面修飾により超微粒子同士の凝集が抑制される効果、適切な有機分子による表面修飾により前記重合性単量体又は架橋樹脂(以下総合して「有機マトリクス」という)への相溶性が向上する効果、あるいは表面修飾により超微粒子表面に結合した有機分子と上記媒質の構成成分との化学反応による結合生成の効果等の複合効果によるものと考えられる。
上記一般式(3)において、Xは超微粒子の表面と任意の化学結合(例えば共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等)を形成する官能基を表し、Yは上記有機マトリクスとの親和性あるいは化学結合形成性を有する官能基を表し、RはXとYとを連結する炭素原子数1〜30の2価有機残基を表す。
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等の炭素数6以下の炭化水素基である;以下同様)、3級アミノ基(−NR1R2;但しR1及びR2は独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等の炭素数6以下の炭化水素基である;以下同様)、ピリジル基、アミド結合等の窒素含有官能基、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、リン酸基、亜リン酸基、ホスフィンセレニド基等のリン含有官能基等の周期表第15族元素を含有する官能基、水酸基、カルボキシル基、β−ジケトン基、β−ジケトネート基等の酸素含有官能基、メルカプト基(又はチオール基)、スルフィド結合、スルホキシド基、チオ酸基(−COSH)、ジチオ酸基(−CSSH)、スルホン酸基、キサントゲン酸基、キサンテート基、イソチオシアネート基、チオカルバメート基、チオフェン環等の硫黄含有官能基等の周期表第16族元素を含有する官能基等が例示される。
(a)金属アルコキシド基含有有機配位子:3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、3−グリシジルオキシプロピルトリイソプロピルオキシチタン等のアルコキシチタン類等。
HS−(CH2)m−COO−(CH2CH2O)n−R1 (5)
素基、又はベンゼン環を表し、nは重合度を表す自然数であり、通常2≦n≦15、過度の立体的障害を避ける観点で好ましくは2≦n≦10、更に好ましくは2≦n≦5である。また、一般式(5)においてmは自然数であり、通常1≦m≦20、過度の立体的障害を避ける観点で、その上限値は好ましくは15、更に好ましくは12であり、一方、該mの下限値は超微粒子表面を外界から遮蔽する観点で、好ましくは5、更に好ましくは8である。
上記一般式(6)において、RFはトリフルオロメチル基(CF3−)又はジフルオロメチレン基(−CF2−)を含有する炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。
また、上記有機配位子は、半導体結晶等の超微粒子を大気(特に酸素ガスや水)や光等の外界からの影響から遮蔽して保持する効果(以下「遮蔽効果」という)をも有する。かかる遮蔽効果の点では、該有機配位子は炭素数4以上のメチレン基連鎖を含有するものであることが好ましく、特に水やエタノール等のプロトン性溶媒を併用する場合にその効果を顕著に発揮する。これは、該メチレン基連鎖がその疎水性により一種の疎水障壁を半導体結晶表面に形成し、プロトン性溶媒分子等の極性化学種が半導体結晶等の表面に接近して金属元素を溶出する等の悪影響を妨げる、といった機構によるものと推測される。かかる炭素数4以上のメチレン基連鎖を有する有機配位子の使用により、具体的には、半導体超微粒子の量子効果の安定化が見られる場合が多い。このメチレン基連鎖の炭素数は通常4〜20、好ましくは5〜16、最も好ましくは6〜12程度とする。
本発明の架橋樹脂組成物の製造方法に制限はないが、例えば、前記重合性液体組成物の熱又は活性エネルギー線の照射による重合反応の開始により好適に製造可能である。かかる方法につき以下説明する。
上記重合反応の形式に制限はなく、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、縮重合、開環重合などの公知の重合形式を用いることができる。これらの重合形式の例示のうち、厳密な脱水や脱気が必ずしも必要でない等重合条件を幅広く取ることができる観点で好適なのはラジカル重合、縮重合及び開環重合であり、中でもラジカル重合が更に好ましい。一方、光学部材としての諸特性、例えば光線透過率や低複屈折性などを高めるためには、活性エネルギー線照射による任意の重合形式が好ましく、その理由は定かではないが、重合反応の開始が重合系内で均質かつ短時間に進行することによる生成物の均質性によるものと推定される。従って、最も好ましい重合形式は活性エネルギー線照射によるラジカル重合である。
上記光ラジカル重合開始剤の添加量は、重合性単量体の総和100重量部に対し通常0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部であり、この添加量が多すぎると、重合が急激に進行して複屈折の増大をもたらすだけでなく色相も悪化する場合があり、また少なすぎると組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。上記紫外線は、波長が通常200〜400nmの範囲であり、この波長範囲は好ましくは250〜400nmである。一方、該紫外線の強度は通常0.1〜200J/cm2のエネルギー範囲で照射し、該照射時間は通常1秒〜3時間、反応促進と生産性の点で好ましくは10秒〜1時間程度とする。
(光学部材)
本発明の架橋樹脂組成物は、複屈折で代表される光学歪みが小さく、良好な透明性を有し、優れた耐熱性を有するほか、屈折率制御性や表面硬度、帯電防止性、吸発光特性(特に紫外線吸収能)等などの種々の機能特性を有する。従って、本発明は、前記架橋樹脂組成物を利用した光学部材を提供する。ここでいう光学部材とは、それを構成する材料の光学特性、例えば透明性、吸発光特性、外界との屈折率差、複屈折の小ささ、前記の特異な屈折率とアッベ数とのバランス等を利用する用途に用いられる成形体一般を指す。具体例としては、ディスプレイパネル、タッチパネル、レンズ、プリズム、導波路、光増幅器等のオプティクス、オプトエレクトロニクス用部材が挙げられる。
また合成例における各種同定や分析、実施例及び比較例における評価は以下の方法で実施した。なお、原料試薬は、特に記載がない限り、Aldrich社より供給されるものを精製を加えずに使用した。ただし、市販の溶剤を以下のような精製操作により精製溶媒とした。
精製メタノール:硫酸カルシウムと水素化カルシウムで乾燥した後、更に水素化ナトリウムを加え、ここから大気圧にて直接蒸留したもの、又はAldrich社より供給された無水(「Anhydrous」)グレードを使用した。
(2)赤外吸収(IR)スペクトル:日本分光工業社製FT/IR−8000型FT−IR。23℃にて測定した。
(3)X線回折(XRD)スペクトル:リガク(株)製RINT1500(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)。23℃にて測定した。
(4)透過型電子顕微鏡(TEM)観察:日立製作所(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧300kV、観察時の真空度約7.6×10-9Torr)にて行った。
(6)吸収スペクトルと光線透過率:ヒューレットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計にて室温で測定した。
(7)熱重量分析(TG):セイコーインスツルメンツ(株)製TG−DTA320により、200mL/分の窒素気流下、アルミニウム皿の上で、昇温速度は10℃/分、140℃で保温30分、次いで最高設定温度590℃(サンプル直下の実測温度は602〜603℃程度)で保温120分の条件で行った。
(8)複屈折:0.5mm厚の試験片で複屈折測定装置(オーク社製)を用いて25℃で測定した。
(9)耐熱性:3mm×30mm×0.5mmの短冊状試験片を用いて、ガラス転移温度Tgを引っ張り法熱機械測定(TMA)にて加重2gで測定した。
[合成例1:有機配位子の合成例]
11−メルカプトウンデカン酸(1.70g)とトリエチレングリコールモノメチルエーテル(以下「MTEG」という;50mL)、及び濃硫酸(国産化学(株)社製;5滴)を乾燥窒素雰囲気のフラスコ内で混合し、60℃で攪拌しながら30mmHg以下の圧力での減圧脱水を延べ約36時間行った。反応液を大量の氷水に攪拌しながら徐々に加えて得た析出物をn−ヘキサン/酢酸エチル(共に純正化学(株)社製)混合溶媒で抽出し、この有機相を飽和重曹水、次いで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した後、濾過して濃縮し、室温で真空乾燥した。この生成物は、IRスペクトルにおいて1735cm-1にエステル基、2920cm-1及び2845cm-1のピークを含むMTEG由来の炭化水素構造にそれぞれ帰属される吸収帯を与えた。更に1H−NMRスペクトルにおいて、後述するように予想構造に合致する合理的なシグナルと積分値を与えたので、下記式(7)に示される11−メルカプトウンデカン酸MTEGエステル(以下「MTEG−C11SH」という)を単離したものと結論した。
族鎖)2.33(トリプレット,2プロトン,J=7.6Hz,原料カルボン酸残基由来のメチレン基)、3.38(シングレット,3プロトン,メチル基)、3.54〜3.58(マルチプレット,2プロトン)、3.63〜3.72(マルチプレット,8プロトン)、4.23(トリプレット,2プロトン,J=5.0Hz,エステル結合に隣接するMTEG残基のメチレン基)。
[合成例2:CdSe超微粒子]
空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電対を装着したパイレックス(登録商標)ガラス製3口フラスコにトリオクチルホスフィンオキシド(以下「TOPO」と略記;4g)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら乾燥アルゴンガス雰囲気で360℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内で、セレン(単体の黒色粉末;0.1g)をトリブチルホスフィン(以下「TBP」と略記;6.014g)に溶解した液体に更にジメチルカドミウム(Strem Chemical社製;97%;0.216g)を混合溶解した原料溶液Aを、ゴム栓(Aldrich社から供給されるセプタム)で封をし、アルミニウム箔ですき間なく包んで遮光したガラス瓶中に調製した。この原料溶液Aの一部(2.0mL)を、前記のTOPOの入ったフラスコに注射器で一気に注入し、この時点を反応の開始時刻とした。
B.O.Dabbousiら;J.Phys.Chem.B,101巻,9463頁(1997)に記載の方法に準じて行った。これを以下説明する。乾燥アルゴンガス雰囲気の褐色ガラス製の3口フラスコ中にTOPO(15g)を入れ、減圧下130〜150℃での溶融状態で約2時間攪拌した。この間、残留する空気及び水等の揮発性分を置換する目的で、乾燥アルゴンガスにより大気圧に復圧する操作を数回行った。温度設定を100℃として約1時間後、合成例2で得たCdSe超微粒子の固形粉体(0.094g)のトリオクチルホスフィン(1.5g、以下「TOP」と略記)溶液を加えて、CdSeナノ結晶を含む透明溶液を得た。これを100℃の減圧下で更に約80分間攪拌後、温度を180℃に設定して乾燥アルゴンガスで大気圧に復圧した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内で、ジエチル亜鉛の1N濃度n−ヘキサン溶液(1.34mL;1.34ミリモル)とビス(トリメチルシリル)スルフィド(0.239g;1.34ミリモル)とをTOP(9mL)に溶解した原料溶液Bを、セプタムで封をしアルミニウム箔ですき間なく包んで遮光したガラス瓶中に調製した。
合成例3で得たZnSシェルを有するコアシェル構造CdSe超微粒子(0.5g)を、窒素雰囲気下、エタノール(純正化学(株)、8mL)中で攪拌して分散しながら、ここに合成例1で合成したMTEG−C11SH(0.4g)を加え、約20分間加熱還流させた。この加熱還流により上記コアシェル構造CdSe超微粒子が溶解して濁りのない赤色エタノール溶液を与えた。反応液を減圧濃縮して得た残渣にn−ヘキサンを加えて約20秒間超音波照射して分散させ、次いで遠心分離(4000rpm、6分間)とデカンテーションにより不溶物を分離した。こうして分離した不溶物を精製トルエンに再溶解し、約10倍容量のn−ヘキサン中に注入して析出物を生成させ、これを前記同様に遠心分離とデカンテーションにより分離した。この再溶解、析出及び分離の操作をもう1度繰り返して精製した。この生成物を室温で真空乾燥して得た固体は、エタノール又は50重量%のエタノール水溶液に可溶で濁りのない赤色溶液を与えた。かかるエタノール溶液は合成例3の場合と同一の発光帯を与え、該固体生成物のIRスペクトルはMTEG−C11SH由来のエステル基及び炭化水素構造部分にそれぞれ帰属される吸収帯を与え、しかも合成例3で述べたTOPOのアルキル基に由来すると考えられる3つの鋭い吸収ピークは観測されなかったので、MTEG−C11SHが半導体結晶部分には実質的に化学変化を及ぼさずにTOPOを置換した半導体超微粒子が得られたものと考えられた。この固体生成物の有機物含量をTG測定で定量したところ29重量%であった。
子の合成]
前記伊藤ら著の文献記載の方法を参考として行った。以下、手順を説明する。0.1モル/Lの濃度の塩化チタニル水溶液を攪拌しながら、同容量の1.5モル/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液を室温で25分かけて滴下した。こうして得た白色の超微粒子の懸濁液を、遠心分離(4000rpm)、上澄み液のデカンテーションによる除去及び水洗の3工程をこの順に繰り返す操作により精製した。但し、該精製は、上澄み液に水酸化バリウム水溶液を加えても硫酸バリウムの白色の濁りが目視観察されなくなるまで行った。こうして得た白色沈殿を0.3モル/Lの濃度の希塩酸中に攪拌分散しながら60℃で約1時間加熱して透明感のある酸性ヒドロゾルを得た。この酸性ヒドロゾルに氷冷し、アルキル基の一方がアリル基でありラジカル重合性を有するジアルキルスルホスクシネートモノナトリウム塩(三洋化成工業(株)製、商標名はエレミノールJS−2、ロット番号0804831)の水溶液を加えたところ白色沈殿を生じたので、これを遠心分離とデカンテーションにより分離した。この白色沈殿は酢酸エチル等の有機溶媒に可溶であったのでこれを大量の水中に分散してよく攪拌して水洗し、次いで酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒で抽出し、乾燥した後、濃縮した。この濃縮残渣のXRDとTEMより、アナタース型TiO2超微粒子のナノ結晶(数平均粒径は約5nm)の生成を確認した。この濃縮残渣も有機溶媒に可溶であったことから、上記ジアルキルスルホスクシネート残基がアナタース型二酸化チタンのナノ結晶表面にスルホン酸基を介して結合したTiO2超微粒子であるものと考えられた。
L.Spanhelら;J.Am.Chem.Soc.,113巻、2826頁(1991)に記載されている方法により合成した。即ち、関東化学社製の酢酸亜鉛二水和物(0.8789g)を遮光したガラスフラスコ内でエタノール(40mL)に溶解し、窒素ガスバブリングを30分間行って溶在空気を置換し、窒素雰囲気下にて溶液を加熱し、エタノールの一部(24mL)を蒸留して共存する水を共沸除去した。液温を室温に戻してエタノール(24mL)を加え、ここにキシダ化学社製の水酸化リチウム一水和物(0.2352g)の粉末を加えて10分間超音波照射して非沈殿性固体粒子を含まない溶液を得た。この溶液の吸収スペクトルは314nmに極大を有するエキシトン発光帯を示したことから、上記文献記載の通りZnO超微粒子が生成していることが確認された。またこの溶液は、300nmの励起光により496nmに極大を有するブロードな発光帯を与えた。この発光は目視で白緑色であった。このZnO超微粒子の平均粒径は、TEM観察によれば約4nmであった。
[実施例1:コアシェル構造CdSe超微粒子を含有する架橋樹脂組成物の熱ラジカル重合による調製]
合成例4で得たMTEG−C11SHを有機配位子として有するコアシェル構造CdSe超微粒子1重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ
ン=ジメタクリレート99部、熱ラジカル発生剤としてアゾビスイソブチロニトリル(通称AIBN)1重量部を精製トルエンに溶解して濁りのない溶液を得た。これを乾燥窒素気流下約80℃で加熱してトルエンを留去しながらラジカル重合を進行させ、更に120℃で1時間加熱することにより、濁りのない架橋樹脂組成物を得た。この架橋樹脂組成物の光路長1mmにおける複屈折は約9nmであり、ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率は約88%であった。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。また、合成例3及び4に記載したコアシェル構造CdSe超微粒子と同様の発光能を保持していた。
合成例4で得たMTEG−C11SHを有機配位子として有するコアシェル構造CdSe超微粒子5重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ
ン=ジメタクリレート95部、光ラジカル発生剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.1部、ベンゾフェノン0.1部を加え均一に攪拌混合した後、脱泡して重合性液体組成物を得た。これを、スペーサーとして厚さ0.5mmのシリコーン板を用いた光学研磨ガラスの型及びスペーサーとして厚さ1mmのシリコーン板を用いた光学研磨ガラスの型にそれぞれ注液し、ガラス面より距離40cmで上下に設置された出力80W/cmのメタルハライドランプの間にて、5分間紫外線を照射した。紫外線照射後脱型し、120℃で1時間加熱して硬化物を得た。硬化物の諸物性は表−1の通りであった。この架橋樹脂組成物のナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率は、約85%であった。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。また、合成例3及び4に記載したコアシェル構造CdSe超微粒子と同様の発光能を保持していた。
実施例1のビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメ
タクリレートの代わりにα、α’−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)−p−キシレンを用いたこと以外は実施例2と同様の操作を行い、重合性液体組成物を経て架橋樹脂組成物を得た。組成物の諸物性は表−1の通りであった。この架橋樹脂組成物のナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率は約83%であった。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。また、合成例3及び4に記載したコアシェル構造CdSe超微粒子と同様の発光能を保持していた。
]
合成例5で得たジアルキルスルホスクシネートを有機配位子として有するTiO2超微
粒子10重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=
ジメタクリレート90部、熱ラジカル発生剤としてアゾビスイソブチロニトリル(通称AIBN)1重量部を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒に溶解して濁りのない溶液を得た。これを乾燥窒素気流下約110℃で加熱して該混合溶媒を留去しながらラジカル重合を進行させ、更に120℃で1時間加熱することにより、濁りのない架橋樹脂組成物を得た。この架橋樹脂組成物の光路長1mmにおける複屈折は約8nmであり、ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率は約81%であった。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。また、TiO2超微粒子に由来する紫外線吸収能を有
するものであった。
]
実施例2において、超微粒子として合成例5で得たジアルキルスルホスクシネートを有機配位子として有するTiO2超微粒子45重量部を、重合性単量体としてビス(ヒドロ
キシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート45部及びn
−ブチルメタクリレート10重量部の混合物をそれぞれ用い、重合性液体組成物の温度を
約80℃として紫外線を照射した他は同様の操作を行い、重合性液体組成物を経て架橋樹脂組成物を得た。こうして得た架橋樹脂組成物の光路長1mmにおける複屈折は約5nmであり、ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率は約75%であった。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。また、TiO2超微粒子に由来
する紫外線吸収能を有するものであった。
ポリメチルメタクリレート(東京化成社製;平均分子量7〜7.5万;以下PMMAという)90部をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下「PEGMEA」という)400部に40℃で攪拌溶解した後、合成例5で得たジアルキルスルホスクシネートを有機配位子として有するTiO2超微粒子10重量部を加え、更に2時間攪拌
し、均一に分散させ、溶液を得た。エバポレータによってPEGMEAを半分程度蒸発除去した後、この溶液(以下 溶液Aという)をガラス基板上にバーコート法によって塗布し、120℃で乾燥させて薄膜を得た。その薄膜の上に更にバーコート塗布を行い、以下同様に操作を繰り返し、厚さ0.5mm及び1mmの超微粒子分散PMMAシートを得た。このPMMAシートの諸物性は表−1の通りであり、実施例に比べて複屈折が非常に大きく、しかもガラス転移温度が低く、耐熱性に劣ることが明らかである。また、この樹脂組成物は架橋樹脂組成物でないので、トルエンやテトラヒドロフランにより容易に溶解するものであった。
比較例1の溶液Aを、ガラス基板とシリコーンスペーサーで構成された注型型に厚さ0.5mm及び1mmで注型し、120℃で乾燥させたところ、無数の気泡を生じ、透明性が著しく損なわれ、光学歪みが増大した。乾燥条件を80〜150℃の範囲で変化させ、あるいは加熱速度を10℃/分に抑えたが、気泡の発生は抑制できなかった。
Claims (8)
- 下記成分A及び成分Bからなる群から選ばれた少なくとも1種の分子内に2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体を主体とし、数平均粒径が3〜15nm、粒径分布が標準偏差として10%以下の、CdSe超微粒子、TiO 2 超微粒子及びZnO超微粒子から選ばれる無機超微粒子を含有する重合性液体組成物を重合させて得られ、該無機超微粒子が高分子マトリクス中に分散しており、光路長1mmにおける複屈折が10nm以下であることを特徴とする光学部材用架橋樹脂組成物(但し超微粒子がシリカであるときには、液晶表示基板として用いる場合を除く)。
成分A:下記一般式(1)で表される含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート。
(上記一般式(1)において、Ra およびRb はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を、Rc およびRd はそれぞれ独立して炭素数6以下のアルキレン基を、xは1又は2を、yは0または1を、それぞれ表す。)
成分B:下記一般式(2)で表される硫黄原子含有ビス(メタ)アクリレート。
(上記一般式(2)において、Ra およびRb は上記一般式(1)の場合と同一であり、各Re はそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を表す。各Arはそれぞれ炭素数が6〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基を表し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子または硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各Yのうち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−SO2−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の場合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニル基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及びアラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及びpはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。) - 重合性液体組成物が、重合性単量体の全量と該無機超微粒子との総重量に対して0.1〜60重量%の無機超微粒子を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の光学部材用架橋樹脂組成物。
- 無機超微粒子が有機配位子を結合したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部材用架橋樹脂組成物。
- 有機配位子の無機超微粒子への結合量が、無機超微粒子と有機配位子との総和に対する重量百分率として10〜60重量%であることを特徴とする請求項3に記載の光学部材用架橋樹脂組成物。
- ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学部材用架橋樹脂組成物。
- ガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の光学部材用架橋樹脂組成物。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の光学部材用架橋樹脂組成物の成形体である光学部材。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の光学部材用架橋樹脂組成物の薄膜を表面に有する成形体である光学部材。
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