JP2003138033A - 半導体結晶粒子を含有する薄膜状成形体、及びその用途 - Google Patents

半導体結晶粒子を含有する薄膜状成形体、及びその用途

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JP2003138033A
JP2003138033A JP2001336119A JP2001336119A JP2003138033A JP 2003138033 A JP2003138033 A JP 2003138033A JP 2001336119 A JP2001336119 A JP 2001336119A JP 2001336119 A JP2001336119 A JP 2001336119A JP 2003138033 A JP2003138033 A JP 2003138033A
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JP2001336119A
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Takeshi Otsu
猛 大津
Yasuko Saito
康子 齋藤
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、表面硬度、帯電防止性に優れ、且つ
優れた発光特性、光吸収飽和特性、高屈折率、紫外線吸
収等の特性を有する薄膜状成形体を提供する。 【解決手段】 ポリアルキレングリコール残基がアミノ
基を介して表面に結合した半導体結晶粒子を含有する薄
膜状成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体結晶粒子を含
有した薄膜状成形体に関する。本発明の薄膜状成形体
は、透明性、表面硬度、あるいは帯電防止性に優れ、し
かも優れた発光特性、光吸収飽和特性、高屈折率、ある
いは紫外線吸収等の特性を有する。かかる特性を利用し
て、本発明の薄膜状成形体は、例えば、光ディスクの超
解像膜、窓ガラスやメガネレンズ等の表面に設けられる
紫外線吸収膜、ディスプレイパネル、レンズ、プリスム
等の光学部材表面に用いられる反射制御膜、あるいは光
増幅器や光コネクタ等の光導波路、発光ダイオード、デ
ィスプレイパネル等のエレクトロルミネッセンス素子の
発光層等、様々な光学用途に使用される。
【0002】
【従来の技術】半導体結晶は、価電子帯と伝導帯とのエ
ネルギー差(バンドギャップ)に応じた電磁波吸収(以
下、特に断りのない限り単に「吸収」と呼ぶ)や高屈折
率といった特性を有する物質であり、半導体ナノ結晶
(Nanocrystal)等と呼ばれる数ナノメート
ル(nm)程度の結晶粒径とした場合には量子効果が顕
著に見られるようになる。かかる量子効果により、エネ
ルギー準位の量子化によりエネルギー準位が互いに離れ
た状態となり、かつそれらが結晶粒径の関数として制御
されるようになる。かかる半導体ナノ結晶において、半
導体結晶の基礎吸収(Fundamental abs
orption)の長波長側吸収端よりもわずかに低エ
ネルギーに現れるエキシトン(Exciton、励起
子)吸収帯はエネルギー幅が極めて小さいだけでなく、
エキシトン準位が伝導帯準位から孤立しており近接した
エネルギー準位との相互作用確率が比較的小さい特徴を
有する。
【0003】かかるエキシトン吸収帯の特徴は、例え
ば、該吸収帯での光吸収飽和特性を利用して光ディスク
における入射光ビーム径を実効的に絞って高密度記録を
達成せしめる超解像技術に応用されている。半導体結晶
粒子をガラス又は樹脂のマトリクス中に分散させその光
吸収飽和特性を利用して入射光ビーム径を絞る超解像膜
の技術概念は、例えば特開平6−28713号公報にお
いて公知である。しかしこの公報においては、半導体結
晶粒子の光吸収飽和特性を実用的に十分な程度に発現さ
せるために必要な分散状態の記述、及びかかる分散状態
を一定の再現性をもって実現する具体的手段の記述がな
く、技術概念の開示にとどまっていた。半導体結晶粒子
を利用する超解像膜の具体的な技術開示は、例えば特開
平6−150367号公報あるいは特開平11−863
42号公報に見られる。しかし、これら公報に開示され
ている超解像膜は、例えば半導体結晶(例えばセレン化
カドミウム)とマトリクス(例えばシリカ)を生成する
原料を用いた、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
ーティング等の各種真空成膜法で得られるものであるの
で、特殊な高真空装置を必要とする点、実用に十分な超
解像特性を発揮する程度の厚みの製膜に長い時間を要す
る点、あるいは有毒な気体原料を使用せざるを得ない点
において必ずしも工業生産性に満足できるものとは言え
ない。従って、生産性に優れる汎用の製膜手段、例えば
溶液塗布法により製膜可能な超解像膜の開発が望まれて
いる。
【0004】ところで、半導体結晶粒子を含有する薄膜
状成形体には前記の超解像膜以外にも、半導体結晶の特
性を利用した用途として、例えば紫外線等の電磁波吸収
膜あるいは反射挙動を制御する高屈折率膜等としての応
用が期待されている。いずれの用途においても、薄膜状
成形体としての透明性、機械的物性、及び製膜生産性が
優れていることが実用上重要である。かかる条件を満た
す薄膜状成形体を実現する1つの考え方として、半導体
結晶粒子を自身あるいはこれを含有する透明組成物の薄
膜を溶液塗布法により形成する方法、例えば透明性を有
する高分子を連続相(母材あるいはマトリクス;本発明
においては「マトリクス」と呼ぶ)とする組成物(以
下、単に「高分子組成物」と呼ぶ)を利用する方法があ
る。かかる高分子組成物を得るには、組成物のマトリク
スをなす高分子への半導体結晶粒子の良好な分散性(即
ち、溶解性あるいは界面の濡れ性)が必須である。
【0005】有機高分子や有機溶媒への良好な分散性を
有すると期待される有機配位子を表面に結合した半導体
結晶粒子の合成方法が、例えばJ.E.B.Katar
iら;J.Phys.Chem.,98巻,4109−
4117(1994)に報告されている。この方法で得
られる半導体結晶粒子は、例えばトリオクチルホスフィ
ンオキシド(以下、TOPOと略記)等の有機配位子が
セレン化カドミウム(CdSe)等の化合物半導体結晶
粒子の面に結合した構造を有する。そして、トルエンや
塩化メチレン等の有機溶剤への優れた溶解性を有するだ
けでなく、粒径分布が極めて狭く制御される特徴をも有
するものである。しかし、この方法で得られる半導体結
晶粒子は、分子間凝集力の小さいTOPOのオクチル基
のようなアルキル基で被覆されていると考えられるた
め、自身で透明性と機械的強度を兼ね備えた薄膜状成形
体を形成困難であるばかりか、ポリメチルメタクリレー
ト(通称PMMA)に代表されるアクリル系樹脂、ポリ
スチレンに代表されるスチレン系樹脂、あるいはビスフ
ェノールAポリカーボネートに代表される芳香族ポリカ
ーボネート樹脂等の汎用非晶性樹脂への高い粒子濃度で
の分散性が不十分であるため不透明な高分子組成物を与
える欠点があった。
【0006】かかる欠点を改良した技術として、最近
J.Leeら;Adv.Mater.,12巻,110
2頁(2000)に前記のTOPOを配位子として有す
る半導体結晶粒子をポリラウリルメタクリレート(PL
MAと略)樹脂中に分散した発光材料が報告された。し
かし、炭素数12の側鎖を有するPLMAという耐熱性
や機械的強度に劣る特殊なアクリル系樹脂マトリクスを
必要とし、しかも薄膜状成形体に含有される半導体結晶
粒子の濃度を十分に高くする場合に制限があるという課
題を残していた。
【0007】その他の半導体結晶粒子を含有する高分子
組成物としては、例えば欧州特許928245号公報
(1999)にCdSe超微粒子をポリ(4−ビニルピ
リジン)のマトリクス中に10体積%程度分散した材料
が、S.W.Haggataら;J.Mater.Ch
em.,7巻,1969頁(1997)にCdSe及び
セレン化亜鉛(ZnSe)超微粒子をそれぞれ31重量
%及び25重量%程度分散した材料が、S.W.Hag
gataら;J.Mater.Chem.,6巻,17
71頁(1996)に硫化カドミウム(CdS)及び硫
化亜鉛(ZnS)超微粒子をそれぞれ25重量%及び1
8重量%程度分散した材料が、それぞれ報告されてい
る。しかしいずれも、ピリジル基を含有する特殊な高分
子マトリクスを必要とするだけでなく、半導体結晶粒子
の濃度を十分に高くする場合に制限があるという課題を
残していた。
【0008】また、半導体ナノ結晶の配位子にアミンを
用いると発光強度が増加することが報告されており、例
えばD.V.Talapinらは;NANO LETT
ERS,1巻,207−211(2001)において、
CdSeに配位したTOPOを1級アルキルアミン類に
置換することで、発光帯のピーク発光強度が20倍程度
になったと報告している。しかし、この場合、TOPO
と同様に粒子表面がアルキル基で被覆されているため、
汎用非晶性樹脂への高い粒子濃度での分散性が不十分で
あり、不透明な高分子組成物を与える欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の実情に
鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体結晶微
粒子を含有し、優れた透明性を有し、該半導体結晶粒子
を可及的高濃度で含有し、溶液塗布法で製造され、しか
も機械的強度に優れた薄膜状成形体を提供することに存
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレングリコ
ールに代表されるポリアルキレングリコール残基を、ω
−アミノ脂肪酸残基(但し「ω−」は末端に結合してい
ることを表す化学での一般的な接頭語である)を介して
半導体結晶表面に結合した場合、該半導体結晶が高分子
マトリクスを使用することなく透明性と機械的強度に優
れた溶液塗布膜を形成することを見いだし、本発明に到
達した。
【0011】即ち、本発明の第1の要旨は、ポリアルキ
レングリコール残基がアミノ基を介して表面に結合した
半導体結晶粒子を含有する薄膜状成形体、に存する。ま
た本発明の第2の要旨は、環状脂肪族類を溶媒として含
有する半導体結晶粒子の溶液を基板上に塗布する工程を
含むことを特徴とする前記の薄膜状成形体の製造方法、
に存する。
【0012】さらに本発明の第3の要旨は、前記の薄膜
状成形体の用途、即ち該薄膜状成形体からなる超解像
膜、紫外線吸収膜、反射制御膜、光導波路、面発光型エ
レクトロルミネッセンス素子の発光層、に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。 [薄膜状成形体]本発明における薄膜状成形体とは、ポ
リアルキレングリコール残基がアミノ基を介して表面に
結合した半導体結晶粒子を含有するものである。本発明
の薄膜状成形体は、後述する半導体結晶粒子を通常、1
0〜60体積%含有し、該半導体結晶粒子の膜厚1μm
当たり透過率は、通常80%以上である。かかる薄膜状
成形体は、フィルムや薄い板状(即ちシート状)の形状
で、用途に応じて紙パルプ、木材、樹脂、有機物結晶、
ダイヤモンド、ガラス、セラミクス、無機物結晶、金
属、半導体等の任意の固体素材基板上に密着して成形さ
れたものである。
【0014】前記の半導体結晶粒子の含有量が少なすぎ
ると後述する本発明の効果である超解像能、紫外線吸収
能、あるいは高屈折率といった特性が不十分となり、逆
に多すぎると薄膜状成形体の機械的強度や透明性が低下
する場合がある。従って、前記の半導体結晶粒子の含有
量は好ましくは15〜55体積%、更に好ましくは20
〜50体積%程度とする。
【0015】かかる半導体結晶粒子の体積百分率の決定
には、与えられた薄膜状成形体の透過型電子顕微鏡(T
EM)観察像より測定される数値を用いる。即ち、各観
察像と同面積の円の直径を該観察像の粒径と定義し、該
粒径と同一の直径の球の体積を該観察粒子の体積と定義
する。こうして決定される各粒子の体積を用いて、例え
ば公知の画像データの統計処理手法により該体積百分率
を算出するが、かかる統計処理に使用する観察像の数
(統計処理データ数)は可及的多いことが当然望まし
く、本発明においては、再現性の点で無作為に選ばれた
該観察像の個数として最低でも50個以上、好ましくは
80個以上、更に好ましくは100個以上とする。
【0016】含有される半導体結晶粒子の組成が既知の
場合には、与えられた薄膜状成形体を窒素ガス雰囲気下
(通常窒素気流下)において570〜610℃程度の温
度範囲まで昇温し、該温度範囲で90分以上保温して有
機成分を熱分解して得られる残渣の重量百分率を、該半
導体結晶粒子の組成の密度(バルク室温状態での数値を
用いる)で除した値を、前記の半導体結晶粒子の体積百
分率として採用しても構わない。かかる測定は、市販の
熱重量分析(TG)により容易かつ再現性良く測定され
る。なお、かかるTG測定で得られる前記の残渣の重量
百分率は、半導体結晶粒子の組成にもよるが、例えばC
dS(密度4.8)やCdSe(密度5.81)の場
合、通常、25〜80重量%、好ましくは35〜78重
量%、更に好ましくは40〜75重量%程度となる。
【0017】なお、前記の半導体結晶粒子の含有量が大
きくなると、本発明の薄膜状成形体の硬度が大きくなる
副次的な特徴が現れるので、膜の表面硬度が要求される
場合に好適となる。透過率は、半導体結晶の価電子帯の
任意のエネルギー準位から伝導帯の任意のエネルギー準
位への電子励起に起因する基礎吸収あるいはそれよりわ
ずかに低エネルギーに現れるエキシトン吸収帯よりも長
波長側で測定するものとする。本発明の薄膜状成形体に
おいて、透過率が低すぎると、本発明の目的を達成する
に十分な透明性が得られない。透過率は、薄膜状成形体
の任意の部位の測定に基づく数値で構わないが、該測定
個所の厚み(膜厚)に基づく計算により厚み1μm当た
りの透過率に換算された数値を意味する。該透過率は可
及的高いことが望ましく、好ましくは85%以上、より
好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上とす
る。なお該透過率は、薄膜状成形体の表面平滑性が不良
であると光散乱等によりに低下するので、その測定は成
形表面が十分に平滑な状態で行う必要がある。従って、
必要に応じて測定部位の成形表面の研磨を施した上で該
測定を行っても構わない。
【0018】本発明の薄膜状成形体の厚さ(膜厚)は、
通常0.01〜10,000μm、好ましくは0.05
〜5,000μm、更に好ましくは0.1〜3,000
μm程度とし、この厚さは該成形体中で同一であって
も、連続的あるいは不連続的に変化していても構わな
い。但し、後述する超解像膜の用途においては、該厚さ
は可及的均一であることが望ましい。
【0019】本発明の薄膜状成形体は必ずしも平面状で
なくてもよく、例えば球面状、非球面曲面状、円柱状、
円錐状、あるいはペットボトル等のボトル状等の任意の
形状の基板上に成形されていても構わない。また、紙パ
ルプ、木材、あるいは樹脂等の可撓性基板による薄膜状
成形体は、成形作業の前あるいは後に折り曲げ、延伸、
圧縮等により物理的な変形を受けていても構わない。
【0020】かかる薄膜状成形体には、必要に応じて該
塗布面を被覆する層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の
機械的損傷を防止する保護層、半導体結晶粒子や基材等
の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光
線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑
制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、
低屈折率層等や、基材と塗布面との接着性を改善する下
引き層、電極層等、任意の付加機能層を設けて多層構造
としても構わない。
【0021】[半導体結晶粒子]本発明における半導体
結晶粒子とは、後述する任意の半導体結晶を含有する粒
子であり、該半導体結晶の構造や組成は、例えば半導体
単結晶、複数半導体結晶組成が相分離した混晶、相分離
の観察されない混合半導体結晶のいずれでも構わず、ま
た、半導体結晶の外側を別の半導体結晶で覆ったコア−
シェル構造をとっていても構わない。本発明の薄膜状成
形体において、該半導体結晶粒子はその表面に有機配位
子を結合している。
【0022】本発明における半導体結晶粒子の数平均粒
径は、通常0.5〜30nm、好ましくは1〜20n
m、更に好ましくは2〜10nm、最も好ましくは3〜
7nm程度とする。かかる半導体結晶粒子の数平均粒径
の決定に当たり使用する各結晶粒子の粒径は、前記の透
過型電子顕微鏡(TEM)観察像より測定される数値を
用いる方法と同様にして行う。
【0023】前記のように決定される半導体結晶粒子の
粒径分布は、これが小さいほど半導体結晶のエキシトン
吸収帯の波長幅は小さくなると考えられるので好まし
く、標準偏差として通常2nm以下、好ましくは1.5
nm以下、更に好ましくは1.0nm以下、最も好まし
くは0.6ナノメートル以下に制御する。但し、半導体
結晶の高屈折率性を利用する用途(紫外線吸収膜、反射
制御膜、あるいは光導波路等)においては、かかる粒径
分布は問題とならない場合もある。
【0024】本発明の薄膜状成形体が含有する半導体結
晶粒子は複数種から構成されていても構わず、あるいは
同種の半導体結晶からなる半導体結晶粒子でも、例えば
2山分布等その粒径分布を必要に応じて任意に変化させ
て構わない。但し、薄膜状成形体の透明性、即ち光散乱
の低減の点で、粒径が100nmを越える半導体結晶粒
子が含有されていないことが望ましい。
【0025】なお、半導体結晶粒子が発光特性を有する
場合には、本発明の薄膜状成形体はかかる発光特性を利
用する用途にも有用となる。特に、エキシトン準位から
の発光は、発光帯の線幅が小さいので色純度の優れた発
光となり、しかも前記の量子効果により半導体結晶粒子
の粒径により発光波長を制御可能であるので、特に有用
である。
【0026】[半導体結晶の組成]前記の半導体結晶粒
子が含有する半導体結晶の組成には特に制限はないが、
具体的な組成例を元素記号あるいは組成式として例示す
ると、C、Si、Ge、Sn等の周期表第14族元素の
単体、P(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、S
eやTe等の周期表第16族元素の単体、SiC等の複
数の周期表第14族元素からなる化合物、SnO2、S
n(II)Sn(IV)S3、SnS2、SnS、SnSe、
SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第1
4族元素と周期表第16族元素との化合物、BN、B
P、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、G
aN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、
InAs、InSb等の周期表第13族元素と周期表第
15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半
導体)、Al23、Al2Se3、Ga23、Ga2
3、Ga2Te3、In23、In23、In2Se3
In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第16族元
素との化合物、TlCl、TlBr、TlI等の周期表
第13族元素と周期表第17族元素との化合物、Zn
O、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、C
dSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等の周
期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あ
るいはII−VI族化合物半導体)、As23、As2
Se3、As2Te3、Sb23、Sb2Se3、Sb2Te
3、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第1
5族元素と周期表第16族元素との化合物、Cu2O、
Cu2Se等の周期表第11族元素と周期表第16族元
素との化合物、CuCl、CuBr、CuI、AgC
l、AgBr等の周期表第11族元素と周期表第17族
元素との化合物、NiO等の周期表第10族元素と周期
表第16族元素との化合物、CoO、CoS等の周期表
第9族元素と周期表第16族元素との化合物、Fe
34、FeS等の周期表第8族元素と周期表第16族元
素との化合物、MnO等の周期表第7族元素と周期表第
16族元素との化合物、MoS2、WO2等の周期表第6
族元素と周期表第16族元素との化合物、VO、V
2、Ta25等の周期表第5族元素と周期表第16族
元素との化合物、TiO2、Ti25、Ti23、Ti5
9、ZrO2等の酸化チタン類(結晶型はルチル型、ル
チル/アナターゼの混晶型、アナターゼ型のいずれでも
構わない)、ZrO2等の周期表第4族元素と周期表第
16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第
2族元素と周期表第16族元素との化合物、CdCr2
4、CdCr2Se4、CuCr24、HgCr2Se4
等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3等が
挙げられる。なお、G.Schmidら;Adv.Ma
ter.,4巻,494頁(1991)に報告されてい
る(BN)75(BF21515や、D.Fenske
ら;Angew.Chem.Int.Ed.Eng
l.,29巻,1452頁(1990)に報告されてい
るCu14 6Se73(トリエチルホスフィン)22のように
構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示さ
れる。
【0027】これらのうち実用的に重要なものは、例え
ばSnO2、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、P
bS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周
期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaA
s、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等
のIII−V族化合物半導体、Ga23、Ga23、Ga2
Se3、Ga2Te3、In23、In23、In2
3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第1
6族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、Zn
Te、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、
HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半
導体、As23、As23、As2Se3、As2Te3
Sb23、Sb23、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2
3、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第
15族元素と周期表第16族元素との化合物、前記の酸
化チタン類やZrO2等の周期表第4族元素と周期表第
16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第
2族元素と周期表第16族元素との化合物である。
【0028】実用的に重要な可視領域とその近傍に発光
帯を有するGaN、GaP、GaAs、InN、InP
等のIII−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnS
e、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、
HgO、HgS等のII−VI族化合物半導体、In23
In23等が重要であり、中でも半導体結晶の粒径の制
御性と発光能から好適なのはZnO、ZnS、ZnS
e、ZnTe、CdO、CdS、CdSe等のII−VI族
化合物半導体であり、特にZnSe、CdS、CdSe
等がこの目的では更に好適に用いられる。
【0029】一方、本発明の薄膜状成形体の超解像膜へ
の応用を考えた場合、一般に、入射光波長が小さいほど
そのビーム径を小さくでき、光ディスクの記録密度向上
に有利であるので、現時点で実用化されている短波長レ
ーザーである窒化ガリウム(GaN)レーザーを有効に
利用できるように、半導体結晶のエキシトン吸収帯波長
を調整することが特に好ましい。従って、半導体結晶が
405nmの光を該半導体結晶のエキシトン準位への電
子遷移により吸収する能力を有することが特に好まし
い。かかる条件を満たすことのできる特に好ましい半導
体結晶としては、例えば、CdSやZnSeが挙げられ
る。
【0030】前記で例示した任意の半導体結晶の組成に
は、必要に応じて微量のドープ物質(故意に添加する不
純物の意味)として例えばAl、Mn、Cu、Zn、A
g、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の元素を加えても
構わない。 [コアシェル構造をなす半導体結晶粒子]前記の半導体
結晶粒子は、例えばA.R.Kortanら;J.A
m.Chem.Soc.,112巻,1327頁(19
90)あるいは米国特許5985173号公報(199
9)に報告されているように、その半導体結晶の電子励
起特性を改良する目的で内核(コア)と外殻(シェル)
からなるいわゆるコアシェル構造とすると、該コアを成
す半導体結晶の量子効果の安定性が改良される場合があ
るので、エキシトン吸収帯を利用する超解像膜の用途に
好適な場合がある。この場合、コアの半導体結晶組成よ
りも禁制帯幅(バンドギャップ)の大きな半導体結晶を
シェルとして起用することによりエネルギー的な障壁を
形成せしめることが一般に有効である。これは、外界の
影響による望ましくない表面準位や結晶格子欠陥準位等
の生成を防ぐ機構によるものと推測される。
【0031】かかるシェルに好適に用いられる半導体結
晶の組成としては、コア半導体結晶のバンドギャップに
もよるが、バルク状態のバンドギャップが温度300K
において2.0電子ボルト以上であるもの、例えばB
N、BAs、GaNやGaP等のIII−V族化合物半導
体、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、C
dS等のII−VI族化合物半導体、MgSやMgSe
等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物
等が好適に用いられる。これらのうちより好ましいシェ
ルとなる半導体結晶組成は、BN、BAs、GaN等の
III−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnSe、
CdS等のII−VI族化合物半導体、MgS、MgS
e等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合
物等のバルク状態のバンドギャップが温度300Kにお
いて2.3電子ボルト以上のものであり、最も好ましい
のはBN、BAs、GaN、ZnO、ZnS、ZnS
e、MgS、MgSe等のバルク状態のバンドギャップ
が温度300Kにおいて2.5電子ボルト以上のもので
あり、化学合成上ZnSは最も好適に使用される。
【0032】本発明における半導体結晶に用いられる特
に好適なコア−シェル組成の組み合わせ例を組成式で表
現すると、CdSe−ZnS、CdSe−ZnO、Cd
Se−ZnSe、CdSe−CdS、CdS−ZnS、
CdS−ZnO等が挙げられる。 [ポリアルキレングリコール残基を含有する有機配位
子]本発明におけるポリアルキレングリコール残基と
は、下記一般式(1)で表される重合体残基である。
【0033】
【化1】−(R1O)n−R2 (1) (但し一般式(1)において、R1は炭素数2〜6のア
ルキレン基を、R2は水素原子、炭素数1〜7のアルキ
ル基、炭素数10以下のアリール基、及び炭素数2〜5
のアシル基からなる群から任意に選択される構造を、n
は50以下の自然数をそれぞれ表す。) 一般式(1)におけるR1の具体例としては、エチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレ
ン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、シクロペン
チレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基等が
挙げられ、水溶性の点で好ましくはエチレン基、n−プ
ロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基等の炭
素数2〜4のアルキレン基が、更に好ましくはエチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数2
又は3のアルキレン基が、最も好ましくはエチレン基が
使用される。なお、一般式(1)において、1残基中に
複数種のR1が混在していても構わず、この場合の共重
合順序(シークエンス)にも制限はない。
【0034】一般式(1)におけるR2に使用されるア
ルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペ
ンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジ
ル基等が挙げられ、水溶性の点で好ましくはメチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数
3以下のアルキル基が、更に好ましくはメチル基又はエ
チル基が、最も好ましくはメチル基が使用される。該R
2に使用されるアリール基の具体例としては、フェニル
基、トルイル基(モノメチルフェニル基)、ジメチルフ
ェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル
基、4−tert−ブチルフェニル基、ピリジル基、モ
ノメチルピリジル基、ジメチルピリジル基等が挙げら
れ、水溶性の点で好ましくはフェニル基あるいはピリジ
ル基が使用される。前記R2に使用されるアシル基の具
体例としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリ
ロイル基、クロトノイル基、マレオイル基等が挙げら
れ、水性溶媒への溶解性の点で好ましくはアセチル基が
使用される。
【0035】なお、前記例示の前記R2の具体構造のう
ち、ビニル基、ビニルベンジル基、ビニルフェニル基、
アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、
マレオイル基等の重合性基を用いると、本発明の半導体
超微粒子が例えばラジカル重合性モノマー類やイオン重
合性モノマー類との共重合性を獲得する場合がある。
【0036】一般式(1)における自然数nは、好まし
くは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましく
は5以下である。この自然数nの値が大きすぎると本発
明の薄膜状成形体中の半導体結晶粒子含有量が小さくな
り、本発明の効果が不十分となる。一般式(1)の特に
好ましい構造として、トリエチレングリコール残基(R
1がエチレン基、n=3)が挙げられ、特に好ましいの
はR2がメチル基又はエチル基であるものであり、最も
好ましいのはR2がメチル基であるトリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル残基(以下MTEG残基と略
記)である。
【0037】本発明においては、かかるポリアルキレン
グリコール残基がアミノ基を介して半導体結晶表面に結
合してなることを特徴とする。これは、アミノ基が半導
体結晶表面に存在する遷移金属元素への強い配位力を有
するため、及びアミノ基の配位した半導体超微粒子の発
光能が向上するためである。アミノ基配位性構造と半導
体結晶表面との実際の結合構造は明らかではないが、例
えばアミノ基の窒素原子の配位結合等の存在が推定され
る。
【0038】半導体結晶への配位子として使用されるア
ミノ基を有するポリアルキレングリコールの具体的構造
としては、後述するω−アミノ脂肪酸のポリアルキレン
グリコールエステル類の他、下記一般式(3)で表され
るω−アミノポリアルキレングリコール類も例示され
る。
【0039】
【化2】NH2−(R1O)n−R2 (2) 但し一般式(2)におけるR1、R2、及びnとこれらの
好ましい場合の例示は全て前記一般式(1)の場合と同
一である。
【0040】なお、前記のポリアルキレングリコール残
基を有機配位子構造が含有する効果として、後述する溶
液塗布法により得られる塗膜の機械的強度と透明性が向
上すること、及び該塗膜に帯電防止効果を付与すること
の2点が少なくとも挙げられる。前者の効果は、例えば
TOPOの脂肪鎖に比べて電気陰性度の大きな酸素原子
が有機配位子構造に入ることで有機配位子間の凝集力
(分子間力)が増大する作用によるものと推測される。
一方、後者の効果は、親水性に富むポリアルキレングリ
コール残基の塗膜への導入により、例えば空気中や塗布
溶媒中の水分由来の微量の水分子等の極性の大きな低分
子が該塗膜に吸着されやすく、その表面電気抵抗が低下
する作用が一因と推測される。
【0041】[ポリアルキレングリコール類のω−アミ
ノ脂肪酸エステル]本発明に用いられる最も好ましい有
機配位子の構造として、前記のポリアルキレングリコー
ル類のω−アミノ脂肪酸エステルが例示され、これは下
記一般式(3)で表される分子構造である。
【0042】
【化3】 NH2−(CH2)m−COO−(R1O)n−R2 (3) 但し一般式(3)においてmは20以下の自然数を表
し、R1、R2、及びnとこれらの好ましい場合の例示は
全て前記一般式(1)の場合と同一である。前記一般式
(3)における−(CH2)m−で表されるメチレン基連
鎖は前記の遮蔽効果を発揮する構造単位であるので、該
自然数mの値の好ましい範囲は、前記の遮蔽効果におけ
るメチレン基連鎖の炭素数についての記述と同一であ
る。
【0043】従って、前記一般式(3)で表される構造
の好適な分子構造としては、例えばポリエチレングリコ
ール類の11−アミノウンデカン酸エステルが挙げら
れ、中でも下記式(4)の11−アミノウンデカン酸M
TEGエステルは最も好適な有機配位子の一例である。
【0044】
【化4】 NH2(CH210COO(CH2CH2O)3CH3 (4) 前記一般式(3)のエステル類は、例えば11−アミノ
ウンデカン酸等のω−アミノ脂肪酸とほぼ当量のポリア
ルキレングリコールにカルボジイミド類等の縮合剤を加
えてエステル化させる方法、該ω−アミノ脂肪酸と過剰
当量のポリアルキレングリコールとを硫酸やp−トルエ
ンスルホン酸等の酸触媒存在下脱水エステル化させる方
法(必要に応じ加熱や減圧脱水を施し平衡反応を加速す
る)、該ω−アミノ脂肪酸のメチルエステルやエチルエ
ステル等の低級アルキルエステルと過剰当量のポリアル
キレングリコールとを硫酸やp−トルエンスルホン酸等
の強酸やルイス酸等の触媒存在下エステル交換反応させ
る方法(必要に応じ加熱や減圧を施し平衡反応を加速す
る)、該ω−アミノ脂肪酸を相当する酸塩化物や酸無水
物等の活性種に変換し次いで塩基存在下ポリアルキレン
グリコールと縮合反応させる方法等により合成される。
このときアミノ基とカルボキシル基の反応を防ぐため
に、アミノ基に保護基を導入する場合がある。
【0045】[補助的配位子]本発明においては、前記
のポリアルキレングリコール類のω−アミノ脂肪酸エス
テルを主に使用することで好適な効果を得るが、必要に
応じて下記に例示するような補助的配位子を任意割合で
併用しても構わない。 (a)硫黄含有化合物・・・メルカプトエタン、1−メ
ルカプト−n−プロパン、1−メルカプト−n−ブタ
ン、1−メルカプト−n−ヘキサン、メルカプトシクロ
ヘキサン、1−メルカプト−n−オクタン、1−メルカ
プト−n−デカン等のメルカプトアルカン類、チオフェ
ノール、4−メチルチオフェノール、4−tert−ブ
チルチオフェノール等のチオフェノール誘導体、ジメチ
ルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジブチルスルフィ
ド、ジヘキシルスルフィド、ジオクチルスルフィド、ジ
デシルスルフィド等のジアルキルスルフィド類、ジメチ
ルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジブチルスル
ホキシド、ジヘキシルスルホキシド、ジオクチルスルホ
キシド、ジデシルスルホキシド等のジアルキルスルホキ
シド類、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィ
ド、ジブチルジスルフィド、ジヘキシルジスルフィド、
ジオクチルジスルフィド、ジデシルジスルフィド等のジ
アルキルジスルフィド類、チオ尿素、チオアセタミド等
のチオカルボニル基を有する化合物、チオフェン等の硫
黄含有芳香族化合物等。 (b)リン含有化合物・・・トリエチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオ
クチルホスフィン、トリデシルホスフィン等のトリアル
キルホスフィン類、トリエチルホスフィンオキシド、ト
リブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィン
オキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデシ
ルホスフィンオキシド等のトリアルキルホスフィンオキ
シド類、トリフェニルホスフィンやトリフェニルホスフ
ィンオキシド等の芳香族ホスフィンあるいは芳香族ホス
フィンオキシド類等。 (c)窒素含有化合物・・・ピリジンやキノリン等の窒
素含有芳香族化合物、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオ
クチルアミン、トリデシルアミン、トリフェニルアミ
ン、メチルジフェニルアミン、ジエチルフェニルアミ
ン、トリベンジルアミン等の3級アミン類、ジエチルア
ミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチル
アミン、ジデシルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジ
ルアミン等の2級アミン類、ヘキシルアミン、オクチル
アミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシル
アミン、オクタデシルアミン、フェニルアミン、ベンジ
ルアミン等の1級アミン類、ニトリロ三酢酸トリエチル
エステル等のアミノ基を有するカルボン酸エステル類
等。
【0046】これら例示した補助的配位子のうち好まし
いのは、メルカプトエタン、1−メルカプト−n−プロ
パン、1−メルカプト−n−ブタン、1−メルカプト−
n−ヘキサン、メルカプトシクロヘキサン等の炭素数6
以下のメルカプトアルカン類、チオフェノール、4−メ
チルチオフェノール、4−tert−ブチルチオフェノ
ール等のチオフェノール誘導体、ジメチルスルフィド、
ジエチルスルフィド、ジブチルスルフィド等の総炭素数
8以下のジアルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシ
ド、ジエチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド等の
総炭素数8以下のジアルキルスルホキシド類等の硫黄含
有化合物、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフ
ィン、トリオクチルホスフィン等の総炭素数24以下の
トリアルキルホスフィン類、トリエチルホスフィンオキ
シド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド等
の総炭素数24以下のトリアルキルホスフィンオキシド
類、トリフェニルホスフィンやトリフェニルホスフィン
オキシド等の芳香族ホスフィンあるいは芳香族ホスフィ
ンオキシド類等のリン含有化合物、及びピリジン等の窒
素含有芳香族化合物であり、中でもメルカプトエタン、
1−メルカプト−n−ブタン等の炭素数4以下のメルカ
プトアルカン類、チオフェノール、4−メチルチオフェ
ノール、4−tert−ブチルチオフェノール等のチオ
フェノール誘導体、ジメチルスルフィド、ジエチルスル
フィド、ジブチルスルフィド等の総炭素数8以下のジア
ルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシド、ジエチル
スルホキシド、ジブチルスルホキシド等の総炭素数8以
下のジアルキルスルホキシド類等の硫黄含有化合物、ト
リブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン等の総炭
素数18以下のトリアルキルホスフィン類、トリエチル
ホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、
トリヘキシルホスフィンオキシド等の総炭素数18以下
のトリアルキルホスフィンオキシド類、トリフェニルホ
スフィンやトリフェニルホスフィンオキシド等の芳香族
ホスフィンあるいは芳香族ホスフィンオキシド類等のリ
ン含有化合物が更に好適である。
【0047】[高分子マトリクス成分]本発明の薄膜状
成形体には、必要に応じて適当な高分子をマトリクス成
分として添加しても構わない。しかし、該成形体中の半
導体結晶粒子の含有量を可及的大きくする観点では、か
かる高分子マトリクス成分の使用量は該成形体の通常0
〜30重量%、好ましくは0〜15重量%、更に好まし
くは0〜5重量%程度とする。かかる高分子マトリクス
成分の添加により、該成形体の機械的強度の向上や、後
述する溶液塗布製膜法における溶液粘度を好適に調整す
ることが可能となる場合がある。
【0048】与えられた薄膜状成形体におけるかかる高
分子マトリクス成分の含有量は、例えば該高分子マトリ
クス成分の良溶媒(例えばテトラヒドロフラン、クロロ
ホルム、トルエンあるいはN,N−ジメチルホルムアミ
ド等が通常の高分子に好適に使用される)により該薄膜
状成形体を抽出あるいは溶解し、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィ(略称GPC)により分離し、その構
造の決定と定量が可能である。
【0049】かかる高分子マトリクス成分としては、例
えば、ポリエチレンオキシド(又はポリエチレングリコ
ール)、ポリプロピレンオキシド、あるいはエチレンオ
キシド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレ
ンオキシド類、PMMA等のアクリル系樹脂、ポリスチ
レン等のスチレン系樹脂、ビスフェノールAポリカーボ
ネート等の芳香族ポリカーボネート樹脂、あるいはポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体(EVOH樹脂)、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルピロリドン、ポリN−ビニルホルム
アミド、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリビニルピリ
ジン、ポリビニルオキサゾリン等の親水性ポリビニル高
分子類等が挙げられる。これらの高分子マトリクス成分
は複数種を混合して用いても構わない。これらのうち、
前記のポリアルキレングリコール残基のω−アミノ脂肪
酸エステルを半導体結晶粒子に結合する場合に好適な高
分子マトリクス成分は、ポリエチレンオキシド、ポリプ
ロピレンオキシド、あるいはエチレンオキシド−プロピ
レンオキシド共重合体等のポリアルキレンオキシド類、
ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルピロリドン、ポリN−ビニルホルムアミド等の親水
性ポリビニル高分子類等であり、特にポリエチレンオキ
シド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合
体、及びポリビニルアルコールの3種、あるいはこれら
を適当な割合での混合は更に好ましく用いられる。
【0050】[半導体結晶粒子の製造方法]前記の半導
体結晶粒子は、従来行われている下記の半導体結晶の製
造方法等、任意の方法を使用して構わない。(a)分子
ビームエピタキシー法あるいはCVD法等の高真空プロ
セス。この方法により組成が高度に制御された高純度の
半導体結晶粒子が得られるが、ホスフィンやアルシン等
の有毒気体を原料とする場合があり、且つ高価な製造装
置を要するので生産性の点で産業上の利用に制限があ
る。 (b)原料水溶液を非極性有機溶媒中の逆ミセルとして
存在させ該逆ミセル相中にて結晶成長させる方法(以下
「逆ミセル法」と呼ぶ)であり、例えばB.S.Zou
ら;Int.J.Quant.Chem.,72巻,4
39(1999)に報告されている方法である。汎用的
な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術が利用で
き、比較的安価かつ化学的に安定な塩を原料とすること
ができ、しかも水の沸点を超えない比較的低温で行われ
るため工業生産に適した方法である。但し、下記のホッ
トソープ法の場合に比べて現状技術では発光特性に劣る
場合がある。 (c)熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結
晶成長させる方法(以下、ホットソープ法と呼ぶ)であ
り、例えば前記のKatariら著の文献に報告されて
いる方法である。逆ミセル法に比べて粒径分布と純度に
優れた半導体結晶粒子が得られ、生成物は発光特性に優
れ有機溶媒に通常可溶である特徴がある。ホットソープ
法における液相での結晶成長の過程の反応速度を望まし
く制御する目的で、半導体構成元素に適切な配位力のあ
る配位性有機化合物が液相成分(溶媒と配位子を兼ね
る)として選択される。かかる配位性有機化合物の例と
しては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィ
ン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィ
ン類、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド
(TOPO)、トリデシルホスフィンオキシド等のトリ
アルキルホスフィンオキシド類、オクチルアミン、デシ
ルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキ
サデシルアミン、オクタデシルアミン等のω−アミノア
ルカン類、ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシ
ド等のジアルキルスルホキシド類等が挙げられる。これ
らのうち、トリブチルホスフィンオキシドやTOPO等
のトリアルキルホスフィンオキシド類やドデシルアミ
ン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等の炭素
数12以上のω−アミノアルカン類等が好適であり、中
でもTOPO等のトリアルキルホスフィンオキシド類、
及びヘキサデシルアミン等の炭素数16以上のω−アミ
ノアルカン類は最適である。 (d)前記のホットソープ法と類似の半導体結晶成長を
伴う溶液反応であるが、酸塩基反応を駆動力として比較
的低い温度で行う方法が古くから知られている(例えば
P.A.Jackson;J.Cryst.Growt
h,3−4巻,395頁(1968)等)。
【0051】かかる液相製造方法に使用可能な半導体原
料物質としては、周期表第2〜15族から選ばれる陽性
元素を含有する物質と、周期表第15〜17族から選ば
れる陰性元素を含有する物質が挙げられる。例えば前記
のホットソープ法では、ジメチルカドミウムやジエチル
亜鉛等の有機金属類と、セレン単体をトリオクチルホス
フィンやトリブチルホスフィン等の3級ホスフィン類に
溶解させたものやビス(トリメチルシリル)スルフィド
等のカルコゲニド元素化合物とを反応させる方法が知ら
れている。また、前記(d)の溶液反応で例えば酸化亜
鉛を製造する場合に、酢酸亜鉛と水酸化リチウムとをエ
タノール中で反応させる方法がL.Spanhelら;
J.Am.Chem.Soc.,113巻,2826頁
(1991)おいて知られている。なお周期表第15族
元素は、例えば理化学辞典(第4版、岩波書店、198
7年)に記載の硫化ビスマスやテルル化ビスマスのよう
に3価の陽性元素としても半導体を構成することが知ら
れている。
【0052】半導体原料物質が複数種ある場合、これら
をあらかじめ混合しておいても良く、あるいはこれらを
それぞれ単独で反応液相に注入しても良い。これら原料
は、適当な希釈溶媒を用いて溶液にして使用しても構わ
ない。 [ポリエチレングリコール残基の半導体結晶粒子への結
合方法]前記の半導体結晶粒子に前記のポリエチレング
リコール残基を結合させる方法に制限はないが好適な方
法として、前記のポリアルキレングリコール類のω−ア
ミノ脂肪酸エステル(以下PAG−NH2と略記)のよ
うな特に好適な有機配位子のアミノ基の強力な配位力を
利用した配位子交換反応が例示される。具体的には、前
記のホットソープ法により得られるTOPO等の配位性
有機化合物を表面に有する半導体結晶粒子をPAG−N
2と液相で接触させる配位子交換反応が可能である。
この場合、通常後述するような溶剤を使用した液相反応
とするが、使用するPAG−NH2が反応条件において
液体である場合には、PAG−NH2自身を溶媒とし他
の溶剤を添加しない反応形式も可能である。
【0053】TOPOを主要有機配位子として有する半
導体結晶粒子においてPAG−NH2による配位子交換
反応を実施する場合、過剰量のPAG−NH2をエタノ
ール中で加熱(例えば還流条件)しながら、例えば1〜
6時間程度混合接触する方法が好適である。かかる反応
においては、TOPOを主要有機配位子として有する半
導体結晶粒子は最初エタノールに実質的に溶解しない
が、PAG−NH2による配位子交換反応の進行により
エタノールに可溶化する。
【0054】これ以外に、例えば、X.Pengら;A
ngew.Chem.Int.Ed.Engl.,36
巻,145頁(1997)に記載の方法に準じてメタノ
ール等アルコール類中で行う方法、M.Bruchez
Jr.ら;Science,281巻,2013頁
(1998)に記載の方法に準じてジメチルスルホキシ
ドとメタノール等アルコール類の混合溶媒中で行う方
法、あるいはC.W.Warrenら;Scienc
e,281巻,2016頁(1998)に記載の方法に
準じてクロロホルム等ハロゲン化溶剤中で行う方法も可
能である。また、X.Pengら;J.Am.Che
m.Soc.,119巻,7019頁(1997)に報
告されているように、ピリジン等の弱配位性化合物(通
常溶媒として大過剰量用いる)含む液相にTOPOを主
要有機配位子として有する半導体結晶粒子を分散してT
OPOをまず除去する方法も応用可能である。即ちピリ
ジン等の弱配位性化合物中でTOPOを除去する第一工
程、次いで、PAG−NH2を加える第二工程からなる
二段階反応である。
【0055】前記のような方法で半導体結晶粒子表面に
導入されるPAG−NH2の結合量は、該超微粒子の有
機成分中の重量百分率(wt%)として、通常10〜1
00wt%、好ましくは40〜100wt%、更に好ま
しくは60〜100wt%とする。かかる重量百分率
は、与えられた薄膜状成形体を構成する成分をまず前記
のGPC等の手法により分画し、分離された半導体結晶
粒子が結合する有機配位子を、核磁気共鳴スペクトル
(NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)、元素分析、
あるいは熱重量分析(TG)等の各種分析手法の組み合
わせにより分析することにより見積もることが可能であ
る。
【0056】かかる配位子交換反応は、酸化等の副反応
を避けるため、窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気に
おいて行うのが望ましい。また、遮光条件が好ましい場
合もある。かかる配位子交換反応の後、半導体結晶粒子
を単離するには、濾過、沈殿と遠心分離の併用、蒸留、
昇華等の任意の方法を使用して構わないが、特に有効な
のは、半導体結晶の比重が通常の有機化合物より大きい
ことを利用した沈殿と遠心分離の併用であり、具体的に
は以下のように実施される。遠心分離は、配位子交換反
応の生成物を含有する溶液(好適には反応溶媒であるエ
タノールをまず留去しトルエンに溶解し直す)を、PA
G−NH2を結合した半導体結晶粒子の貧溶媒(例えば
n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、
イソオクタン等の炭化水素を含む有機溶剤)中に投入
し、生成する沈殿を含む懸濁液を遠心分離して行われ
る。得られた沈殿は、デカンテーション等により上澄み
液と分離し、必要に応じ溶媒洗浄や再溶解と再沈殿/遠
心分離を繰り返して精製度を向上させる。かかる再溶解
の溶媒としてもトルエンが好適である。
【0057】[薄膜状成形体の製造方法]前記で説明し
た本発明の薄膜状成形体の製造方法に制限はないが、好
適なのは該薄膜状成形体の構成成分(例えば有機配位子
を結合した半導体結晶粒子と必要に応じて添加する高分
子マトリクス成分や後述する改質剤)を溶解した溶液
(以下「塗布溶液」と呼ぶ)を前記の任意の基板上に塗
布する工程を含む方法(以下「溶液塗布製膜法」と呼
ぶ)である。
【0058】前記の塗布溶液における該薄膜状成形体の
構成成分の総和の濃度に制限はなく、かつ使用する溶媒
の種類にもよるが、該溶液全量に対して通常5〜95重
量%、製膜性の点で好ましくは10〜85重量%、更に
好ましくは20〜80重量%程度とする。該塗布溶液に
使用する溶媒にも制限はないが、例えばテトラヒドロフ
ラン(略称THF)、1,4−ジオキサン、テトラヒド
ロピラン等の環状脂肪族エーテル類、エチルセロソルブ
等の直鎖状脂肪族エーテル類、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−
ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチル
アルコール等の低級アルコール類、塩化メチレンやクロ
ロホルム等のハロゲン化アルキル類、N,N−ジメチル
ホルムアミド(略称DMF)やN−メチルピロリドン
(略称NMP)等のアミド系非プロトン性極性溶媒等が
使用可能である。これら溶媒は複数種を混合して用いて
も構わない。有機配位子として前記のPAG−NH2を
使用する場合、好ましい溶媒はトルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類、THFや1,4−ジオキサン等の環
状脂肪族エーテル類、エタノール、n−プロパノール、
あるいはイソプロピルアルコール等の低級アルコール類
であり、中でもトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
類にに必要に応じてTHFや1,4−ジオキサン等の環
状脂肪族エーテル類等を併用するのが更に好ましい。
【0059】かかる溶液塗布製膜法は、公知の任意の塗
布製膜形式、例えばスピンコーティング法、ディップコ
ーティング法、ウェッティングフィルム法、スプレーコ
ーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード
法等を用いることができる。また、基板、塗布溶液、あ
るいは雰囲気を必要に応じて加熱しても構わない。更
に、塗布製膜工程の雰囲気を例えば吸湿や酸化劣化等を
防止する目的で乾燥空気や乾燥窒素等の制御された雰囲
気としても構わず、溶媒の蒸発速度の制御等の目的で必
要に応じて送風措置を併用しても構わない。
【0060】これら任意の塗布製膜形式において、1回
の塗布製膜を終了した後、更にその上に塗布製膜を行っ
てゆく多重製膜を行っても構わず、その際、毎回の製膜
において使用する塗布溶液の濃度や溶媒組成、あるいは
前記の各種製膜温度条件を変化させても構わない。更
に、かかる多重製膜における各製膜において、必要に応
じて前記の薄膜状成形体の構成成分の組成自体を変化さ
せて、多重組成成形体とすることも可能である。かかる
多重組成成形体は、例えば屈折率が薄膜状成形体の深さ
方向に変化した傾斜構造膜として非常に好適である。か
かる多重製膜において、塗布された膜中の溶媒が任意量
残留した状態で次の製膜を行っても構わない。
【0061】例えばスピンコーティング法を用いる場
合、回転数は塗布溶液の粘度にもよるが通常100〜1
0000rpm、好ましくは300〜7000rpm、
更に好ましくは500〜5000回rpm程度とする。
前記の多重製膜をスピンコーティング法で行う場合に
は、2回目以降の製膜をやや速い回転数とすると好適な
場合があるが、これは、既存の塗布膜上では塗布溶液の
親和性(濡れ性)が初期基板表面よりも向上するため流
延性が悪くなることによる。スピンコーティング法にお
いては、基板上に塗布溶液を印加する滴下点を基板の任
意箇所に複数箇所設けても構わない。
【0062】前記の塗布溶液の溶液粘度に制限はなく、
これは塗布製膜形式や温度条件等により最適値が変動す
るが、通常、23℃における粘度として0.5〜500
0mPa・秒、好ましくは1〜3000mPa・秒、更
に好ましくは10〜1000mPa・秒程度に調整され
る。前記の多重製膜を行う場合には、前記同様の流延性
の理由で2回目以降に使用する塗布溶液の溶液粘度を低
くすると好適な場合がある。
【0063】かかる溶液塗布製膜法において、製造され
る薄膜状成形体が本発明の目的を著しく逸脱しない限り
において、塗布溶液に任意の改質剤を加えても構わな
い。かかる改質剤としては、例えば酸化防止剤、熱安定
剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラ
スビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、炭素
繊維、カーボンブラック、黒鉛、金属繊維、金属粉等の
フィラー類、帯電防止剤、可塑剤等の添加剤類、顔料や
染料等の着色剤類等が例示される。
【0064】その他の可能な成型方法として、例えば、
溶融成型法、あるいは半導体結晶粒子の堆積した層を高
圧で押し固めるプレス成型法等も挙げられる。 [薄膜状成形体の用途]以下、本発明の薄膜状成形体の
特に重要な用途について説明する。 (1)超解像膜 本発明の薄膜状成形体は光ディスク等の光記録媒体に設
けられる超解像膜に使用される。本発明における「超解
像」なる術語は、前記の公開特許公報にも解説されてい
るように、例えば光ディスクにおけるデータの読み出し
あるいは書き込み(以下「データの読み書き」と短縮す
る)において、その解像度、即ち単位記録領域の面積を
データの読み書きに使用する入射光ビームの元の径より
も小さくして記録密度の向上を図る技術概念を意味す
る。
【0065】前記の光吸収飽和特性とは、前記の半導体
結晶粒子が吸収する特定波長の光(以下「入射光」と呼
ぶ)を入射した場合に、該特定波長における半導体結晶
の吸光度が該入射光強度の増大により減少する特性を意
味する。かかる光吸収飽和特性は、定性的には、入射光
強度の増大(即ち入射光における光子数の増大)により
吸光に関与する励起準位への電子の励起頻度が増大し、
このため該励起準位の電子存在確率も増大し、その結果
該励起準位への電子遷移確率が減少する現象と理解され
る。該入射光強度が十分大きい場合には、もはや実質的
に吸光が起こらない状態が想定されるので、かかる現象
は「光吸収飽和」と呼ばれる。
【0066】かかる光吸収飽和特性に関わる電子励起
は、前記の半導体結晶粒子の任意のエネルギー準位間で
の電子遷移により生じるもので構わないが、特定の入射
光波長にエネルギーを集中して効率的に光吸収飽和特性
を発現せしめることがエネルギー効率上望ましい。換言
すれば、入射光としては、白色光のような幅広い波長範
囲にエネルギーが分散している光よりも、レーザーのよ
うな単一波長の光を使用することが望ましい。前記のエ
キシトン吸収帯は、基礎吸収帯に比べて非常に狭い波長
幅を有するので、レーザー入射光による光吸収飽和に最
適である。
【0067】前記の光吸収飽和特性は、入射光強度があ
るしきい値を越えると急に発現することが望ましい。ま
た、その時の吸光度変化ができるだけ大きいことが望ま
しい。以上の説明からわかるように、本発明の薄膜状成
形体を超解像膜に応用する場合、該成形体が含有する半
導体結晶粒子の吸光度がある程度大きくないと、検出可
能な光吸収飽和が得られない場合がある。従って、所望
の入射光波長における本発明の薄膜状成形体の吸光度
を、通常0.1以上、好ましくは0.3以上、更に好ま
しくは0.5以上とする。但し、かかる吸光度の値は、
23℃の薄膜状成形体において、通常0.3mW以下程
度、好ましくは0.1mW以下の強度の入射光を該成形
体表面の法線方向から入射して測定されるものである。
【0068】かかる超解像膜の膜厚には有効な光飽和吸
収が検出できる限りにおいて制限はないが、通常50〜
10000nm、好ましくは100〜5000nm、更
に好ましくは150〜3000nm程度とし、該膜厚の
分布は可及的小さいことが望ましい。膜の表面は、光散
乱を抑制するために可及的平滑であることが望ましい。
【0069】本発明の薄膜状成形体を超解像膜に応用す
る場合に好適に使用される半導体結晶粒子は前記したよ
うにCdSやZnSeであり、例えばZnS等のより大
きなバンドギャップを有する半導体結晶のシェルを設け
たコアシェル型粒子とすると、量子効果に基づくエキシ
トン吸収挙動が安定化する場合があるので好ましい。か
かる半導体結晶粒子の該超解像膜中の含有量は、通常1
0〜60体積%、光吸収飽和の検出性と膜の機械的強度
から好ましくは20〜55体積%、更に好ましくは25
〜50体積%程度とする。 (2)紫外線吸収膜 本発明の薄膜状成形体は、含有する半導体結晶粒子が紫
外領域に吸収を有する場合には紫外線吸収膜として利用
される。かかる紫外線吸収膜は、太陽光等の紫外線を吸
収して透過を抑制あるいは遮蔽する必要のある透明な部
材、例えば自動車、航空機、建造物の窓ガラスやサング
ラスのレンズ等の表面に密着成形された形態で例えば使
用されるので、可視領域での透明性や無色性を有するこ
とが望ましい。従って、かかる用途に用いられる薄膜状
成形体が含有する半導体結晶粒子は、その吸収スペクト
ルの長波長側吸収端の波長が400nm以下であること
が望ましい。かかる目的に好適な半導体結晶粒子として
は、例えば前記の酸化チタン類、酸化ジルコニウム(Z
rO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)等
が例示される。
【0070】紫外線吸収能力の点では、薄膜状成形体中
の半導体結晶粒子の含有量は可及的大きいことが望まし
いが、通常10〜60体積%、紫外線吸収能力と膜の機
械的強度から好ましくは20〜55体積%、更に好まし
くは30〜50体積%程度とする。なお、前記の薄膜状
成形体中の半導体結晶粒子の含有量が大きくなると、紫
外線吸収膜としての硬度が大きくなる副次的な特徴が現
れるので、窓ガラスやレンズの表面硬度が必要な場合に
好適となる。
【0071】かかる紫外線吸収膜の膜厚には、有効な紫
外線吸収能力を発揮する限りにおいて制限はないが、通
常0.05〜2000μm、好ましくは0.1〜100
0μm、更に好ましくは0.5〜500μm程度とす
る。また、該膜厚の分布は目的の透明部材の機能に応じ
て自由に設計して構わない。膜の表面は、光散乱による
光線透過率の低下を抑制するために可及的平滑であるこ
とが望ましいが、目的に応じて適当な凹凸を設けても構
わない。 (3)反射制御膜 本発明の薄膜状成形体は、その透明性と含有する半導体
結晶粒子の高屈折率を利用した反射制御膜として利用さ
れる。かかる反射制御膜は、ディスプレイパネル、レン
ズ、プリズム、あるいは窓ガラス等の透明部材表面に設
けられ、該透明部材表面での光反射の抑制等の効果を発
揮する。かかる目的に好適な半導体結晶粒子としては、
例えば前記の酸化チタン類、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)等が例
示される。
【0072】薄膜状成形体の高屈折率化の点では、薄膜
状成形体中の半導体結晶粒子の含有量は可及的大きいこ
とが望ましいが、通常10〜60体積%、高屈折率化と
膜の機械的強度から好ましくは15〜50体積%、更に
好ましくは20〜45体積%程度とする。実用的には、
ナトリウムD線波長での23℃における薄膜状成形体の
屈折率を通常1.6以上とし、好ましくはこの値は1.
7以上、更に好ましくは1.8以上、最も好ましくは
1.9以上とする。なお、前記の薄膜状成形体中の半導
体結晶粒子の含有量が大きくなると、反射制御膜として
の硬度が大きくなる副次的な特徴が現れるので、前記の
透明部材の表面硬度が必要な場合に好適となる。
【0073】本発明の与える反射制御膜の表面には、例
えばPMMAやシリカ等の屈折率の比較的小さな材料に
よる膜を設けても構わない。かかる低屈折率膜の設置に
より優れた反射防止機能が発現する場合があり好適であ
る。特にシリカ膜の表面への形成は、その優れた表面硬
度による機械的外力(例えば摩擦や擦過傷)への保護機
能層としての機能も有用である。
【0074】かかる反射制御膜の膜厚には、有効な反射
制御能力を発揮する限りにおいて制限はないが、通常
0.05〜500μm、好ましくは0.1〜100μ
m、更に好ましくは0.2〜10μm程度とする。ま
た、該膜厚の分布は目的の透明部材の機能に応じて自由
に設計して構わない。膜の表面は、光散乱による光線透
過率の低下を抑制するために通常可及的平滑であること
が望ましいが、目的に応じて適当な凹凸を設けても構わ
ない。 (4)光導波路 本発明の薄膜状成形体は、その透明性と含有する半導体
結晶粒子の高屈折率等を利用した光導波路として利用さ
れる。かかる光導波路は、光通信における光コネクタや
光増幅器として利用される。本発明の与える光導波路の
ナトリウムD線波長での23℃における屈折率は通常
1.6以上とするので、クラッド(外套)材料として高
価なフッ素原子含有樹脂等を用いずPMMA(屈折率
1.49)等の汎用の樹脂材料を例えば溶液塗布法によ
り容易に適用することが可能となる。該光導波路の屈折
率は、好ましくは1.7以上、更に好ましくは1.75
以上とする。
【0075】かかる目的に好適な半導体結晶粒子として
は、例えば前記の酸化チタン類、酸化ジルコニウム(Z
rO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)等
が例示される。薄膜状成形体の高屈折率化の点では、薄
膜状成形体中の半導体結晶粒子の含有量は可及的大きい
ことが望ましいが、通常10〜60体積%、高屈折率化
と膜の機械的強度から好ましくは15〜55体積%、更
に好ましくは20〜50体積%程度とする。
【0076】かかる光導波路の通常の膜厚は、高屈折率
性を利用する点で前記の反射制御膜の記述と同一であ
る。該膜厚の分布は目的の透明部材の機能に応じて自由
に設計して構わない。膜の表面は、光導波路内部壁面で
の全反射条件を確保するためには可及的平滑であること
が望ましいが、目的に応じて適当な凹凸を設けても構わ
ない。 (5)面発光型エレクトロルミネッセンス素子の発光層 本発明の薄膜状成形体は、その透明性と含有する半導体
結晶粒子に固有の発光スペクトルを利用した面発光型エ
レクトロルミネッセンス素子(EL素子)の発光層とし
て利用される。かかるEL素子は、高輝度発光、高速応
答、広視野角、薄型軽量、高解像度などの多くの優れた
特徴を有し、フラットパネルディスプレイに応用され
る。そのため、その発光層は散乱等による発光効率の低
下が生じないように透明であり、かつ高密度に半導体結
晶を含有していることが望ましい。従って、かかる用途
に用いられる薄膜状成形体が含有する半導体結晶粒子と
しては、紫外〜近赤外の波長領域で発光スペクトルを与
える例えば前記のセレン化カドミウム(CdSe)、セ
レン化亜鉛(ZnSe)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カ
ドミウム(CdS)等が例示される。
【0077】かかる面発光型EL素子の発光層の膜厚
は、有効な発光能力を発揮する限りにおいて制限はない
が、通常5〜10000nm、好ましくは20〜200
0nm、更に好ましくは50〜500nm程度とする。
また、該発光層中の半導体結晶の含有率は通常10〜6
0体積%、好ましくは20〜55体積%、さらに好まし
くは25〜50体積%とする。
【0078】
【実施例】以下に実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、原料試薬は、特に記載がない限り、市販の試薬を
精製を加えず使用した。但し、市販の溶剤を以下のよう
な精製操作により精製溶媒とした。
【0079】[測定装置と条件等] (1)核磁気共鳴(NMR)スペクトル:日本電子社製
JNM−EX270型FT−NMR( 1H:270MH
z,13C:67.8MHz)。溶媒は特に断らない限り
重水素化クロロホルムを溶媒として使用し、テトラメチ
ルシランを0ppm対照として23℃にて測定した。 (2)赤外吸収(IR)スペクトル:日本分光工業社製
FT/IR−8000型FT−IR。23℃にて測定し
た。 (3)光励起発光(PL)スペクトル:日立製作所
(株)製F−2500型分光蛍光光度計にて、スキャン
スピード60nm/分、励起側スリット5nm、蛍光側
スリット5nm、フォトマル電圧400Vの条件で、光
路長1cmの石英製セルを用いて測定した。 (4)吸収スペクトル:ヒューレットパッカード社製H
P8453型紫外・可視吸光光度計にて光路長1cmの
石英製セルを用いて室温で測定した。 (5)熱重量分析(TG):セイコーインスツルメンツ
(株)製TG−DTA320により、200mL/分の
窒素気流下、アルミニウム皿の上で、昇温速度は10℃
/分、140℃で保温30分次いで最高設定温度590
℃(サンプル直下の実測温度は602〜603℃程度)
で保温120分の条件で行った。 (6)膜厚測定:ケーエルエー・テンコール社製ALP
HA STEP500を使用し、走査長さ5mm、走査
速度0.05mm/秒、針圧11.0mgの条件で行っ
た。 [合成例] 合成例1[11−アミノウンデカン酸MTEGエステル
の合成] 11−アミノウンデカン酸(キシダ化学:10.0
g)、1M水酸化ナトリウム水溶液(キシダ化学:70
mL)、1,4−ジオキサン(国産化学:130m
L)、及び水(70mL)をフラスコ内にて混合し、内
容物が完全に溶解するまで室温で撹拌した。冷水浴上に
フラスコを移し、撹拌しながらジ−t−ブチルジカーボ
ネート(Aldrich社:11.9g)を加えた後、
室温で3時間撹拌し、室温で一晩放置した。反応混合物
を減圧濃縮した後、酢酸エチル(純正化学:150m
L)を加え、更にクエン酸一水和物(関東化学)を溶液
のpHが3〜4になるまで加え、室温で5分間撹拌し
た。水槽を酢酸エチルで抽出し、抽出液と有機層を合わ
せて水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上
で乾燥後、濾過して濃縮し、室温で真空乾燥して11−
(N−t−ブトキシカルボニル)アミノウンデカン酸
(1)を得た。
【0080】11−(N−t−ブトキシカルボニル)ア
ミノウンデカン酸(6.00g)、トリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル(以下MTEGと略記:3.6
1g)、4−ジメチルアミノピリジン(東京化成:24
4mg)、及び塩化メチレン(純正化学:300mL)
をフラスコ内にて混合し、0℃で撹拌しながら1−エチ
ル−3−(3'−ジメチルアミノプロピル)カルボジイ
ミド塩酸塩(東京化成:4.20g)を加えた後、0℃
で2時間、次いで室温で30分撹拌し、室温で一晩放置
した。反応混合物に水(100mL)加え、室温で1時
間撹拌した後、有機層を水、10%クエン酸水溶液、
水、飽和重曹水、水の順で洗浄した。硫酸ナトリウム上
で乾燥し、濾過後、濃縮して無色油状物を得た。この油
状物が入ったフラスコに塩化メチレン(5mL)を加
え、溶解した後、冷水浴上に移した。撹拌しながらトリ
フルオロ酢酸(キシダ化学:15mL)を加え室温で1
時間撹拌した後、50℃で10mmHg以下の圧力で塩
化メチレン及びトリフルオロ酢酸を減圧留去した。反応
混合物を1M重曹水(100mL)に加えて得られた液
に飽和重曹水を溶液がアルカリ性になるまで加えた後、
クロロホルム(純正化学)で抽出した。有機層を水で洗
浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、濾過して濃縮し、室
温で真空乾燥した。
【0081】この生成物はIRスペクトルにおいて17
34cm-1にエステル基、3310cm-1と1634c
-1にアミノ基、1111cm-1にMTEG由来のエー
テル構造、及び2922cm-1と2853cm-1にアミ
ノウンデカン酸及びMTEG由来の炭化水素構造にそれ
ぞれ帰属される吸収帯を与えた。更に1H−NMRにお
いて、後述するように予想構造に合致する合理的なシグ
ナルと積分値を与えたので、前記式(5)の11−アミ
ノウンデカン酸のMTEGエステル(以下MTEG−C
11NH2と略記)を単離したと結論した。1H−NM
Rスペクトル:1.16−1.75(マルチプレット、
16プロトン、カルボン酸脂肪族鎖)、2.33(トリ
プレット、2プロトン、J=7.6Hz、エステル結合
に隣接するカルボニル側メチレン基)、2.69(トリ
プレット、2プロトン、J=7.0、アミノ基に隣接し
たメチレン基)、3.39(シングレット、3プロト
ン、メチル基)、3.50−3.80(マルチプレッ
ト、10プロトン)、4.23(トリプレット、2プロ
トン、J=4.86、エステル結合に隣接するMTEG
側メチレン基) 合成例2[CdS結晶粒子の合成] 空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電
対を装着した無色透明のパイレックス(登録商標)ガラ
ス製3口フラスコにトリオクチルホスフィンオキシド
(以下TOPOと略記;Strem Chemical
社;純度90%;13g)を入れ、30分間Arフロー
することで内部をAr置換し、マグネチックスターラー
で攪拌しながら300℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰
囲気のグローブボックス内で、ジメチルカドミウム(S
trem Chemical社;10wt%n−ヘキサ
ン溶液;1.12g)とビス(トリメチルシリル)スル
フィド(Fluka;0.066mL)とをトリブチル
ホスフィン(以下TBPと略記;Strem Chem
ical社;5.1g)に溶解した原料溶液Aを、ゴム
栓で封をしアルミニウム箔ですき間なく包んで遮光した
ガラス瓶中に調製した。この原料溶液A(6mL)を、
前記のTOPOの入ったフラスコに注射器で一気に注入
し、この時点を反応の開始時刻とした。反応はフラスコ
や還流管をアルミニウム箔で覆い、遮光下で行った。反
応開始20分後に熱源を除去し約50℃に冷却された時
点で無水メタノール(Aldrich社;Anhydr
ous;1.4mL)を注入し、さらに室温まで冷却し
た。この反応液を窒素雰囲気下で無水メタノール(45
mL)中に滴下し5分間撹拌し黄色不溶物を生じさせ
た。この不溶物を遠心分離(3500rpm)し、デカ
ンテーションにより上澄み液を除去して分離し、固形粉
体を得た。この固体粉末をトルエン(2mL)に溶解
し、無水メタノール(30mL)中に注入し、室温で5
分間攪拌して前記同様の遠心分離とデカンテーションに
より固体沈殿を分離した。この固体を室温で乾燥窒素気
流下乾燥後、室温で一晩真空乾燥して黄色固形粉体(以
下CdS−TOPOと略記;87.2mg)を得た。
【0082】こうして得た黄色固形粉体はトルエンに分
散し、吸収スペクトルを測定したところピーク波長を4
04nmに持っていた。また、発光スペクトルを測定し
たところ(励起光366nm)ピーク波長を434.5
nmと523.5nmに持つ二つの発光帯を与えた。 合成例3[CdSe結晶粒子の合成] 空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電
対を装着した無色透明のパイレックスガラス製3口フラ
スコにTOPO(8g)を入れ、30分間Arフローす
ることで内部をAr置換し、マグネチックスターラーで
攪拌しながら350℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲
気のグローブボックス内で、セレン(単体の黒色粉末;
Aldrich社;0.05g)をTBP(2.19
g)に溶解した液体に更にジメチルカドミウム(10w
t%n−ヘキサン溶液;1.09g)を混合溶解した原
料溶液Bを、ゴム栓(Aldrich社から供給される
セプタム)で封をしアルミニウム箔ですき間なく包んで
遮光したガラス瓶中に調製した。この原料溶液Bすべて
を、前記のTOPOの入ったフラスコに注射器で一気に
注入し、この時点を反応の開始時刻とした。注入直後設
定温度を300℃とし、反応開始20分後に熱源を除去
し約60℃に冷却された時点で無水メタノール(20m
L)を注入して不溶物を生じさせた。この不溶物を遠心
分離(3000rpm)し、デカンテーションにより上
澄み液を除去して分離し、固形粉体を得た。この固体粉
末をトルエン(2mL)に溶解し、無水メタノール(2
0mL)中に注入し、室温で5分間攪拌して前記同様の
遠心分離とデカンテーションにより固体沈殿を分離し
た。この固体を室温で乾燥窒素気流下乾燥後、室温で一
晩真空乾燥して赤色固形粉体(以下CdSe−TOPO
と略記;120.5mg)を得た。
【0083】こうして得た赤色固形粉体はトルエンに溶
解し、吸収スペクトルを測定したところピーク波長を5
46nmに持っていた。また、発光スペクトルを測定し
たところ(励起光365nm)緑色の発光帯(ピーク波
長557nm)を与えた。 合成例4[ZnSe結晶粒子の合成] 空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電
対を装着した無色透明のパイレックスガラス製3口フラ
スコにヘキサデシルアミン(以下HDAと略記;東京化
成社;8g)を入れ、30分間Arフローすることで内
部をAr置換し、マグネチックスターラーで攪拌しなが
ら330℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲気のグロー
ブボックス内で、セレン(0.0876g)をトリオク
チルホスフィン(以下TOPと略記;Aldrich
社;0.5g)に溶解した液体に更にジエチル亜鉛の1
N濃度n−ヘキサン溶液(Aldrich社;1.22
mL)を混合溶解した原料溶液Cを、ゴム栓で封をしア
ルミニウム箔ですき間なく包んで遮光したガラス瓶中に
調製した。この原料溶液Cすべてを、前記のHDAの入
ったフラスコに注射器で一気に注入し、この時点を反応
の開始時刻とした。注入直後設定温度を300℃とし、
反応開始5時間後にTOPOを5g添加し更に1時間加
熱後熱源を除去し約60℃に冷却された時点で無水ブタ
ノール(Aldrich社;Anhydrous;20
mL)を注入し。40℃まで冷却した。この反応液を無
水メタノール(50mL)中に滴下し5分間攪拌するこ
とにより白色不溶物を生じさせた。この不溶物を遠心分
離(3000rpm)し、デカンテーションにより上澄
み液を除去して分離し、固形粉体を得た。この固体粉末
をトルエン(50mL)に溶解し、無水メタノール(3
0mL)と無水ブタノール(20mL)の混合液中に注
入し、室温で5分間攪拌して前記同様の遠心分離とデカ
ンテーションにより固体沈殿を分離した。更にもう一度
固体粉末をトルエン(2mL)に溶解し、無水メタノー
ル(20mL)と無水ブタノール(10mL)の混合液
中に注入し、室温で5分間攪拌して前記同様の遠心分離
とデカンテーションにより固体沈殿を分離した。この固
体を室温で乾燥窒素気流下乾燥後、室温で一晩真空乾燥
して黄白色固形粉体(以下ZnSe−HDAと略記;1
30.0mg)を得た。
【0084】こうして得た黄白色固形粉体はトルエンに
溶解し、吸収スペクトルを測定したところピーク波長を
398nmに持っていた。また、発光スペクトルを測定
したところ(励起光365nm)青色の発光帯(ピーク
波長407.5nm)を与えた。 合成例5[MTEG−C11NH2を配位したCdS超微
粒子の合成] 合成例2に記載の操作により得たCdS−TOPO
(0.03g)と合成例1で合成したMTEG−C11
2(0.03g)にエタノール(純正化学(株)、5
mL)を加えAr雰囲気下で攪拌しながら約3時間加熱
還流させた。この加熱還流により、合成例2の半導体超
微粒子が溶解して濁りのない黄色エタノール溶液を与え
た。反応液を減圧濃縮して得た残渣にn−ヘキサンを加
えて約20秒間超音波照射して分散させ、次いで遠心分
離(3000rpm、6分間)とデカンテーションによ
り不溶物を分離した。こうして分離した不溶物をトルエ
ンとエタノールの2/1容量比混合液(3mL)に再溶
解し、n−ヘキサン(20mL)中に注入して析出物を
生成させ、これを前記同様に遠心分離とデカンテーショ
ンにより分離した。この再溶解、析出及び分離の操作を
2度繰り返して精製した。このようにして得た沈殿物に
トルエン(10mL)を加えると、完全には溶解せず、
濁った状態となった。この溶液を遠心分離器にかけると
不溶物が沈殿した。この不溶物は粒子に配位していない
MTEG−C11NH2だと推測される。デカンテーショ
ンにより得た上澄みをメンブランフィルター(0.45
μm)で濾過し、エバポレーションにより液量を3mL
程度まで減らしてヘキサン(20mL)に加え、生じた
沈殿を遠心分離により回収した。室温で真空乾燥して溶
媒を除去して黄色固体を得た(9.5mg、以下CdS
−NH2−MTEGと略記)。
【0085】こうして得た黄色固体のIRスペクトルは
MTEG−C11NH2由来のエステル基(1736cm
-1)に帰属される吸収ピークが確認されたことから、M
TEG−C11NH2が配位したと考えられる。また、こ
の固体をトルエン、クロロホルム、エタノール、又は2
5重量%のエタノール水溶液に分散すると濁りのない黄
色溶液を与えた。吸収帯のピークは412nm、発光帯
のピーク位置435nm、521nmであった(励起光
366nm)。また、同じトルエンを溶媒として同一吸
光度のCdS−TOPOと比較した場合、MTEG−C
11NH2を配位したCdS超微粒子の二つの発光帯の
内、短波長にあるピーク発光強度は2.6倍、長波長に
あるピーク発光強度ほとんど変わらなかった。ここで短
波長の発光帯はエキシトン発光、長波長の発光帯は不純
物準位に由来する発光と思われ、MTEG−C11NH
2の配位によりエキシトン発光の強度のみが強くなった
と考えられる。
【0086】このCdS結晶粒子のTG測定から、半導
体結晶含量は65重量%であった。半導体結晶部分(C
dS)密度を4.82とし、残りの有機成分の密度をM
TEG−C11NH2の密度(原料から1.0と算出)
とした場合の半導体結晶含有量は28体積%と算出され
る。 合成例6[MTEG−C11NH2を配位したCdSe超
微粒子の合成] 合成例3に記載の操作により得たCdSe−TOPO
(0.03g)と合成例1で合成したMTEG−C11
2(0.03g)にエタノール(8mL)を加えAr
雰囲気下で攪拌しながら約3時間加熱還流させた。この
加熱還流により、合成例3の半導体超微粒子が溶解して
濁りのない赤色エタノール溶液を与えた。反応液を減圧
濃縮して得た残渣にn−ヘキサンを加えて約20秒間超
音波照射して分散させ、次いで遠心分離(3000rp
m、6分間)とデカンテーションにより不溶物を分離し
た。こうして分離した不溶物をトルエンとクロロホルム
の1/1容量比混合液(3mL)に再溶解し、n−ヘキ
サン(20mL)中に注入して析出物を生成させ、これ
を前記同様に遠心分離とデカンテーションにより分離し
た。この再溶解、析出及び分離の操作を2度繰り返して
精製した。このようにして得た沈殿物にトルエン(10
mL)を加えると、完全には溶解せず、濁った状態とな
った。この溶液を遠心分離器にかけると不溶物が沈殿し
た。この不溶物は粒子に配位していないMTEG−C11
NH2だと推測される。デカンテーションにより得た上
澄みをメンブランフィルター(0.45μm)で濾過
し、エバポレーションにより液量を3mL程度まで減ら
してヘキサン(20mL)に加え、生じた沈殿を遠心分
離により回収した。室温で真空乾燥して溶媒を除去して
赤色固体を得た(26.4mg、以下CdSe−NH2
−MTEGと略記)。
【0087】こうして得た赤色固体はトルエン、クロロ
ホルム、エタノール、又は25重量%のエタノール水溶
液に溶解して濁りのない赤色溶液を与えた。吸収帯や発
光帯のピーク位置は配位子交換を行う前のCdSe−T
OPOと変わらなかった。また、同じトルエンを溶媒と
して同一吸光度のCdSe−TOPOと比較した場合、
MTEG−C11NH2を配位したCdSe超微粒子の発
光帯のピーク発光強度は7倍であった(励起光365n
m)。
【0088】このCdSe結晶粒子のTG測定から、半
導体結晶含量は64重量%であった。半導体結晶部分
(CdSe)密度を5.81とした場合の半導体結晶含
有量は23体積%と算出される。 合成例7[MTEG−C11NH2を配位したZnSe超
微粒子の合成] 合成例4に記載の操作により得たZnSe−TOPO
(0.03g)と合成例1で合成したMTEG−C11
2(0.015g)にエタノール(8mL)を加えA
r雰囲気下で攪拌しながら約4時間加熱還流させた。こ
の加熱還流により、合成例4の半導体超微粒子が溶解し
て濁りのない黄色エタノール溶液を与えた。反応液を減
圧濃縮して得た残渣にn−ヘキサンを加えて約20秒間
超音波照射して分散させ、次いで遠心分離(3000r
pm、6分間)とデカンテーションにより不溶物を分離
した。こうして分離した不溶物をトルエンとクロロホル
ムの1/2容量比混合液(3mL)に再溶解し、n−ヘ
キサン(20mL)中に注入して析出物を生成させ、こ
れを前記同様に遠心分離とデカンテーションにより分離
した。この再溶解、析出及び分離の操作を2度繰り返し
て精製した。このようにして得た沈殿物にトルエン(1
0mL)を加えると、完全には溶解せず、濁った状態と
なった。この溶液を遠心分離器にかけると不溶物が沈殿
した。この不溶物は粒子に配位していないMTEG−C
11NH2だと推測される。デカンテーションにより得た
上澄みをメンブランフィルター(0.45μm)で濾過
し、エバポレーションにより液量を3mL程度まで減ら
してヘキサン(20mL)に加え、生じた沈殿を遠心分
離により回収した。室温で真空乾燥して溶媒を除去して
黄色固体を得た(26.0mg、以下ZnSe−NH2
−MTEGと略記)。
【0089】こうして得た黄色固体はトルエン、クロロ
ホルム、エタノールに溶解して濁りのない黄色溶液を与
えた。吸収帯や発光帯のピーク位置は配位子交換を行う
前のZnSe−HDAと変わらず、365nmで励起し
たときの発光強度もほどんど同程度であった。こうして
得られるZnSe結晶粒子の半導体結晶含量は、前記の
TG測定によると通常60〜70重量%程度となる。 [実施例] 実施例1[CdS結晶粒子を含有する薄膜状成形体
(1)] 合成例5で得たCdS−NH2−MTEG(1.5m
g)をトルエン(15μL)に溶解し、ガラス板上にス
ピンコートした(500rpm)ところ、べとつきのな
い透明で硬い薄膜を得た。この塗膜は、CdS-NH2
MTEGの溶液と同様の形状の吸収・発光スペクトルを
与え、平均膜厚は80nmであった。こうして得られた
薄膜の膜厚1μm当たりの透過率は83%であった。ま
た、薄膜中の半導体結晶粒子の含有量は、合成例5のT
G測定の結果から65重量%あるいは28体積%であ
る。この薄膜状成形体が含有する有機成分の屈折率とし
てトリエチレングリコールモノメチルエーテルの値
(1.4380)を仮定し、またバルク状態でのCdS
結晶の屈折率(2.5)を用いてこの薄膜状成形体の屈
折率を該体積%による比例計算から算出すると1.73
となる。
【0090】実施例2[CdS結晶粒子を含有する薄膜
状成形体(2)] 合成例5で得たCdS−NH2−MTEG(2mg)に
対して平均分子量50万のポリエチレングリコール(和
光純薬(株)、0.02mg)をテトラヒドロフラン
(20μL)に溶解しスピンコート(500rpm)を
行ったところ、べとつきのない透明で硬い薄膜を得た。
この塗膜は、CdS−NH2−MTEGの溶液と同様の
形状の吸発光スペクトルを与え、平均膜厚は670nm
であった。こうして得られた薄膜の膜厚1μm当たりの
透過率は98%であった。また、薄膜中の半導体結晶粒
子の含有量は、前記のTG測定から通常60〜70重量
%程度となる。
【0091】実施例3[CdSe結晶粒子を含有する薄
膜状成形体(3)] 合成例6で得たCdSe−NH2−MTEG(1.5m
g)をトルエン(5μL)とクロロホルム(15μL)
の混合液に溶解し、ガラス板上にスピンコートした(5
00rpm)ところ、べとつきのない透明で硬い薄膜を
得た。この塗膜は、CdSe-NH2−MTEGの溶液
と同様の形状の吸収・発光スペクトルを与え、平均膜厚
は250nmであった。こうして得られた薄膜の膜厚1
μm当たりの透過率は95%であった。また、薄膜中の
半導体結晶粒子の含有量は、合成例6のTG測定の結果
から64重量%あるいは23体積%である。
【0092】実施例4[ZnSe結晶粒子を含有する薄
膜状成形体] 合成例7で得たCdSe−NH2−MTEG(2mg)
をトルエン(10μL)とクロロホルム(10μL)の
混合液に溶解し、ガラス板上にスピンコートした(50
0rpm)ところ、べとつきのない透明で硬い薄膜を得
た。この塗膜は、ZnSe-NH2−MTEGの溶液と同
様の形状の吸収・発光スペクトルを与え、平均膜厚は4
80nmであった。こうして得られた薄膜の膜厚1μm
当たりの透過率は97%であった。また、薄膜中の半導
体結晶粒子の含有量は、前記のTG測定から通常60〜
70重量%程度となる。
【0093】比較例1[CdS結晶を含有する不透明な
薄膜(1)] 合成例2で得たCdS−TOPO(1.5mg)をトル
エン(15μL)に溶解し、ガラス板上にスピンコート
(500rpm)したが、目視観察で不透明な薄膜が得
られた。この薄膜の平均膜厚は400nmであり、膜厚
1μm当たりの透過率は11%であった。
【0094】比較例2[CdS結晶を含有する不透明な
薄膜(2)] 合成例2で得たCdS−TOPO(2mg)に対して平
均分子量50万のポリエチレングリコール(0.02m
g)をテトラヒドロフラン(20μL)に溶解しスピン
コート(500rpm)を行ったところ、目視観察で不
透明な薄膜が得られた。この薄膜の平均膜厚は400n
mであり、膜厚1μm当たりの透過率は10%であっ
た。
【0095】
【発明の効果】本発明の薄膜状成形体は半導体結晶粒子
を含有するものであり、該半導体結晶粒子がアミノ基を
介してポリエチレングリコール残基をその表面に結合し
ているので、優れた透明性を有し、しかも溶液塗布のよ
うな生産性に優れた製造方法が可能となる。
【0096】また、高分子マトリクス成分を必ずしも必
要としないので半導体結晶粒子を従来にない高濃度で含
有せしめることが可能である。従って、該半導体結晶粒
子の特性(例えば光吸収飽和、高屈折率、紫外線吸収
能、発光能、硬度)が従来になく大きく発現するものと
なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 11/06 680 C09K 11/06 680 G02B 1/10 G11B 7/24 538A 1/11 H05B 33/14 Z G11B 7/24 538 33/20 H05B 33/14 G02B 1/10 Z 33/20 A Fターム(参考) 2K009 AA12 CC03 CC09 CC12 CC24 DD02 EE03 3K007 AB03 AB18 DA04 DB02 EA03 EB00 FA01 4F071 AA01 AA02 AA03 AB01 AD02 AE15 AF36 AH19 4J002 AA001 AA011 AA021 FB266 FD106 GP00 5D029 MA39

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレングリコール残基がアミノ
    基を介して表面に結合した半導体結晶粒子を含有する薄
    膜状成形体。
  2. 【請求項2】半導体結晶粒子の含有量が10〜60体積
    %であり、かつ膜厚1μm当たりの透過率が80%以上
    である請求項1に記載の薄膜状成形体。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレングリコール残基が、ポリ
    エチレングリコール残基である請求項1に記載の薄膜状
    成形体。
  4. 【請求項4】 ポリアルキレングリコール残基がω−ア
    ミノ脂肪酸エステルを介して半導体結晶表面に結合した
    半導体結晶粒子を含有する請求項1〜3のいずれかに記
    載の薄膜状成形体。
  5. 【請求項5】 ω−アミノ脂肪酸エステルが、11−ア
    ミノウンデカン酸エステルである請求項4に記載の薄膜
    状成形体。
  6. 【請求項6】 半導体結晶がII−VI族化合物半導体組成
    又はIII−V族化合物半導体組成を主体とするものであ
    る請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜状成形体。
  7. 【請求項7】 半導体結晶がコアシェル構造をなすもの
    である請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜状成形体。
  8. 【請求項8】 溶媒抽出可能な高分子マトリクス成分を
    0〜30重量%含有するものである請求項1〜7のいず
    れかに記載の薄膜状成形体。
  9. 【請求項9】 環状脂肪族類を溶媒として含有する半導
    体結晶粒子の溶液を基板上に塗布する工程を含むことを
    特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜状成形
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】 半導体結晶粒子のエキシトン吸収帯ピ
    ーク波長における吸光度が0.1以上であることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜状成形体か
    らなる超解像膜。
  11. 【請求項11】 半導体結晶粒子の吸収スペクトルの長
    波長側吸収端の波長が400nm以下であることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜状成形体か
    らなる紫外線吸収膜。
  12. 【請求項12】 ナトリウムD線波長での23℃におけ
    る屈折率が1.6以上であることを特徴とする請項1〜
    8のいずれかに記載の薄膜状成形体からなる反射制御
    膜。
  13. 【請求項13】 請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜
    状成形体からなる光導波路。
  14. 【請求項14】 請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜
    状成形体からなる面発光型エレクトロルミネッセンス素
    子の発光層。
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