JP2002249633A - 半導体結晶粒子を含有する高分子組成物及びその薄膜状成形体 - Google Patents

半導体結晶粒子を含有する高分子組成物及びその薄膜状成形体

Info

Publication number
JP2002249633A
JP2002249633A JP2001048064A JP2001048064A JP2002249633A JP 2002249633 A JP2002249633 A JP 2002249633A JP 2001048064 A JP2001048064 A JP 2001048064A JP 2001048064 A JP2001048064 A JP 2001048064A JP 2002249633 A JP2002249633 A JP 2002249633A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
semiconductor crystal
crystal particles
film
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001048064A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Otsu
猛 大津
Manabu Kawa
学 加和
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001048064A priority Critical patent/JP2002249633A/ja
Publication of JP2002249633A publication Critical patent/JP2002249633A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体結晶粒子由来の吸発光能や高屈折率
性、及び高分子マトリクス由来の帯電抑制効果を有す
る、新規な高分子組成物を提供する。 【解決手段】 数平均粒径0.5〜30nmの半導体結
晶粒子とポリ(4−ビニルピリジン)とを含有してなる
組成物であって、該半導体結晶粒子の含有量が該組成物
中10〜60体積%である高分子組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体結晶粒子を
高濃度で含有し透明性と帯電抑制効果に優れた高分子組
成物、及びその薄膜状成形体に関する。本発明の高分子
組成物及び薄膜状成形体は、該半導体結晶の有する特
性、例えば吸発光能や高屈折率性等を有するため、例え
ば、光ディスクの超解像膜、窓ガラスやメガネレンズ等
の表面に設けられる紫外線吸収膜、ディスプレイパネ
ル、レンズ、プリスム等の光学部材表面に用いられる反
射制御膜、あるいは光増幅器や光コネクタ等の光導波路
等、様々な光学用途に使用される。
【0002】
【従来の技術】ナノメートル(nm)オーダーの粒径を
有する超微粒子(ナノ粒子)が新材料として注目されて
いる。特に半導体結晶は、価電子帯と伝導帯とのエネル
ギー差(バンドギャップ)に応じた電磁波吸収や電磁波
放出(以下、特に断りのない限りまとめて「吸発光」と
呼ぶ)や高屈折率といった特性を有する物質であり、こ
れをナノ粒子とすることで量子効果による特徴的な吸発
光特性、あるいは溶媒や高分子等の媒質(マトリクス)
への優れた分散性を獲得するため、マトリクス物質に分
散した組成物としての利用が検討されている。特に、か
かる半導体結晶粒子を可及的高濃度で高分子マトリクス
に含有せしめた透明薄膜状成形体は、優れた成形生産
性、強靱性、及び軽量性により、以下のような各種光学
機能薄膜として非常に有用なものとなる。
【0003】半導体結晶のナノ粒子は、エネルギー準位
の量子化によりエネルギー準位が互いに離れた状態とな
り、かつそれらが結晶粒径の関数として制御されるよう
になる。かかる半導体結晶粒子において、半導体結晶の
基礎吸収(Fundamental absorpti
on)の長波長側吸収端よりもわずかに低エネルギーに
現れるエキシトン(Exciton、励起子)吸収帯は
エネルギー幅が極めて小さいだけでなく、エキシトン準
位が伝導帯準位から孤立しており近接したエネルギー準
位との相互作用確率が比較的小さい特徴を有する。かか
るエキシトン吸収帯の特徴は、例えば、該吸収帯での光
吸収飽和特性を利用して光ディスクにおける入射光ビー
ム径を実効的に絞って高密度記録を達成せしめる超解像
技術に応用されている。
【0004】半導体結晶粒子をガラス又は樹脂のマトリ
クス中に分散させその光吸収飽和特性を利用して入射光
ビーム径を絞る超解像膜の技術概念は、例えば特開平6
−28713号公報において公知である。しかしこの公
報においては、半導体結晶粒子の光吸収飽和特性を実用
的に十分な程度に発現させるために必要な分散状態の記
述、及びかかる分散状態を一定の再現性をもって実現す
る具体的手段の記述がなく、技術概念の開示にとどまっ
ていた。半導体結晶粒子を利用する超解像膜の具体的な
技術開示は、例えば特開平6−150367号公報ある
いは特開平11−86342号公報に見られる。しか
し、これら公報に開示されている超解像膜は、例えば半
導体結晶(例えばセレン化カドミウム)とマトリクス
(例えばシリカ)を生成する原料を用いた、真空蒸着、
スパッタリング、イオンプレーティング等の各種真空成
膜法で得られるものであるので、特殊な高真空装置を必
要とする点、実用に十分な超解像特性を発揮する程度の
厚みの製膜に長い時間を要する点等において工業生産性
的に必ずしも満足できるものとは言えない。従って、生
産性に優れる汎用の製膜手段、例えば溶液塗布法により
製膜可能な工業技術の開発が望まれている。
【0005】ところで、半導体結晶粒子を含有する薄膜
状成形体には前記の超解像膜以外にも、半導体結晶の特
性を利用した用途として、例えば紫外線等の電磁波吸収
膜あるいは反射挙動を制御する高屈折率膜等としての応
用が期待されている。いずれの用途においても、薄膜状
成形体としての透明性、機械的物性、及び製膜生産性が
優れていることが実用上重要である。かかる条件を満た
す薄膜状成形体を実現する1つの考え方として前記の高
分子組成物を利用する方法があり、マトリクスをなす高
分子への半導体結晶粒子の良好な分散性(即ち、溶解性
あるいは界面の濡れ性)が必須である。
【0006】高分子や有機溶媒への良好な分散性を有す
ると期待される有機配位子を表面に結合した半導体結晶
粒子の合成方法が、例えばJ.E.B.Katari
ら;J.Phys.Chem.,98巻,4109−4
117(1994)に報告されている。この方法で得ら
れる半導体結晶粒子は、例えばトリオクチルホスフィン
(以下、TOPOと略記)等の有機配位子がセレン化カ
ドミウム(CdSe)等の化合物半導体結晶粒子の表面
に結合した構造を有する。そして、トルエンや塩化メチ
レン等の有機溶剤への優れた溶解性を有するだけでな
く、粒径分布が極めて狭く制御される特徴をも有するも
のである。しかし、この方法で得られる半導体結晶粒子
は、分子間凝集力の小さいTOPOのオクチル基のよう
なアルキル基で被覆されていると考えられるため、自身
で透明性と機械的強度を兼ね備えた薄膜状成形体を形成
困難であるばかりか、ポリメチルメタクリレート(通称
PMMA)に代表されるアクリル系樹脂、ポリスチレン
に代表されるスチレン系樹脂、あるいはビスフェノール
Aポリカーボネートに代表される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂等の実用的な耐熱変形性を有する汎用非晶性樹脂
への分散性が不十分であるため不透明な高分子組成物を
与える欠点があった。
【0007】かかる欠点を改良した技術として、最近
J.Leeら;Adv.Mater.,12巻,110
2頁(2000)に前記のTOPOを配位子として有す
る半導体結晶粒子をポリラウリルメタクリレート(PL
MAと略)樹脂中に分散した発光材料が報告された。し
かし、炭素数12の側鎖を有するPLMAという耐熱変
形性や機械的強度が必ずしも十分でない特殊なアクリル
系樹脂マトリクスを必要とし、しかも薄膜状成形体に含
有される半導体結晶粒子の濃度を十分に高くする場合に
制限があるという課題を残していた。また、比較的疎水
的な高分子組成物となるので表面電気抵抗が大きく、薄
膜状成形体が帯電しやすいという欠点があった。
【0008】ピリジン環の半導体結晶への配位力を利用
した技術として、S.W.Haggataら;J.Ma
ter.Chem.,7巻,1969頁(1997)に
CdSe及びセレン化亜鉛(ZnSe)超微粒子をそれ
ぞれ31重量%及び25重量%程度分散した材料が、
S.W.Haggataら;J.Mater.Che
m.,6巻,1771頁(1996)に硫化カドミウム
(CdS)及び硫化亜鉛(ZnS)超微粒子をそれぞれ
25重量%及び18重量%程度分散した材料が、それぞ
れ報告されている。しかしいずれも、1,4−ポリブタ
ジエン主鎖の一部ブロックに2−ピリジル基側鎖を導入
した特殊なブロック共重合体をマトリクスとしたもので
あるのでピリジン環濃度に制限があり、半導体結晶粒子
の濃度を十分に高くする場合にも制限があった。更に、
4−ピリジル基等の異性体構造の効果についての検討は
なかった。
【0009】一方、欧州公開特許公報918245号公
報(1999)には、ポリスチレンと匹敵する耐熱変形
性を有するポリ(4−ビニルピリジン)をマトリクスと
し、TOPO等を有機配位子として結合したCdSe超
微粒子をCdSe結晶として高々10体積%含有する高
分子組成物が開示されている。しかしこの技術は、電界
による光学特性制御を利用する光学モジュレーターや光
学スイッチの提供を目的としたものであり、より具体的
には、2枚の電極で前記の高分子組成物薄膜を挟み、例
えば100V程度の電圧を印加した場合に生じる吸収ス
ペクトルの波長シフト(例えば50cm-1程度)や屈折
率変化(例えば10-4程度)の利用に関するものであっ
た。つまり、前記のCdSe超微粒子等の半導体結晶粒
子を可及的高濃度で含有する透明な高分子組成物を与え
ることを必ずしも目的とはしていないため、例えばTO
POを結合したCdSe超微粒子を4−ビニルピリジン
に溶解しアゾビスイソブチロニトリル(通称AIBN)
をラジカル開始剤として添加してラジカル重合せしめる
といった限定された製造方法を実施例として開示するに
とどまっており、ここで開示された技術により10体積
%を超える高濃度で半導体結晶粒子を含有する高分子組
成物を優れた透明性とともに得ることは困難であった。
【0010】E.Haoら;Chem.Lett.,5
−6(1999)には、Langmuir−Blodg
ett法により硫化カドミウム(CdS)結晶粒子層と
ポリ(4−ビニルピリジン)層とを交互に積層する技術
が開示されているが、積層数を大きくするにつれてCd
S結晶粒子の吸収のない波長領域の吸光度が増加すると
いうデータが同文献に明記されており、薄膜の透明性あ
るいは平滑性の点で問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の実情に
鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた透明性
と帯電抑制効果を有し、半導体結晶微粒子を高濃度で含
有する高分子組成物及びその薄膜状成形体を提供するこ
とに存する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、例えば前記のTO
POを有機配位子として結合した半導体結晶粒子は、比
較的親水的な高分子であるポリ(4−ビニルピリジン)
との溶液ブレンドにより非常に優れた透明性を有する高
濃度組成物を与え、該組成物をスピンコーティング等の
溶液塗布法を用いることにより容易に薄膜状成形体を与
えることができ、しかも該成形体は優れた帯電抑制効果
をも有することを見いだして、本発明に到達した。
【0013】即ち、本発明の第1の要旨は、数平均粒径
0.5〜30nmの半導体結晶粒子とポリ(4−ビニル
ピリジン)とを含有してなる組成物であって、該半導体
結晶粒子の含有量が該組成物中10〜60体積%である
高分子組成物、に存する。本発明の第2の要旨は、半導
体結晶粒子とポリ(4−ビニルピリジン)とを溶媒中で
混合して組成物溶液を調製する第1工程、該組成物溶液
から溶媒を除去する第2工程を有する前記高分子組成物
の製造方法、に存する。
【0014】本発明の第3の要旨は、上記高分子組成物
からなる薄膜状成形体、に存する。さらに本発明の第4
の要旨は、固体基板上に半導体結晶粒子とポリ(4−ビ
ニルピリジン)とを含有する組成物溶液を塗布し、その
後該組成物溶液から溶媒を除去する、前記薄膜状成形体
の製造方法、に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。 [高分子組成物と製造方法]本発明の高分子組成物は、
主として後述する半導体結晶粒子とポリ(4−ビニルピ
リジン)(以下「P4VP」と略記)を主体とするマト
リクス成分とからなるものである。該半導体結晶粒子の
含有量とその決定方法については後述する。
【0016】本発明に使用されるP4VPの分子量は、
それが溶媒可溶性を示す限りにおいて制限はないが、通
常1000〜500000、好ましくは10000〜3
00000、更に好ましくは50000〜200000
程度とする。P4VPは、4−ビニルピリジンの単独重
合体であっても良いし、本発明の効果を損なわない範囲
において他の共重合成分を含む共重合体であっても良
い。この場合、他の共重合成分としては、公知のラジカ
ル重合性モノマー類、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルス
チレン等のスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリル酸エステル類、メチルクロトネート、n−ブチ
ルクロトネート、ベンジルクロトネート、N,N−ジメ
チルアミノプロピルクロトネート等のクロトン酸エステ
ル類、(メタ)アクリル酸やクロトン酸等の不飽和共役
カルボン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−イソプ
ロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルア
ミド類、クロトニルアミド、N−メチルクロトニルアミ
ド、N,N−ジメチルクロトニルアミド、N−クロトニ
ルモルホリン、N−イソプロピルクロトニルアミド等の
クロトニルアミド類、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニ
ル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン
酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類、(メタ)
アクリロニトリル等のニトリル類、無水マレイン酸、マ
レイン酸、フマル酸、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジ
メチル、マレイン酸のモノエチルエステル、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−フェニルメレイミド等
の共役不飽和ジカルボン酸誘導体等が例示される。これ
らのうち、汎用的に用いられ重要なものは、スチレン、
メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビ
ニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイミド
等であり、応用上重要なヒドロゲルに好適に使用される
親水性モノマーとしては、アクリル酸やメタクリル酸等
の不飽和共役カルボン酸、アクリルアミド、N−メチル
アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアク
リルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N
−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリ
ン、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)等の
アクリルアミド誘導体、アクリルニトリル等が挙げられ
る。これらの他の共重合成分は、ポリマーを構成する全
モノマー中、通常、30モル%以下、好ましくは、15
モル%以下である。
【0017】本発明の高分子組成物において、含有する
半導体結晶粒子の基礎吸収の長波長側吸収端波長に50
nm程度を加えた該半導体結晶粒子の吸収のない波長領
域の入射光を使用してのASTM D−1003規格に
準じた測定方法による光線透過率は、通常70%以上、
好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上とす
る。
【0018】本発明の高分子組成物は、優れた帯電抑制
効果を有する。これは、P4VPマトリクスの親水性に
起因する効果と考えられ、想定される機構としては、成
形表面に空気中の水分等が吸着されやすいため表面電気
抵抗が比較的小さくなることが推定される。かかる帯電
抑制効果としては、例えば後述する薄膜状成形体とした
場合のASTMのD257規格での表面電気抵抗率とし
て通常1012オーム以下、好ましくは1011オーム以
下、更に好ましくは1010オーム以下程度とする。かか
る表面電気抵抗率の低下により電磁波遮蔽効果が付随し
て発現する場合がある。
【0019】本発明の高分子組成物の製造方法に制限は
ないが、半導体結晶粒子とP4VPとを混合する方法と
して例えば溶融混合法や溶液混合法が可能であるが、半
導体結晶粒子の分散性及び後述する薄膜状成形体の製造
の点で溶液混合法が好ましい。かかる溶液混合法とは、
半導体結晶粒子とP4VPとを分散するに適当な溶媒中
で両者を混合(好ましくは溶解)する第1工程(こうし
て得る液相を以後「組成物溶液」と呼ぶ)、次いで該溶
媒を除去する第2工程とを必須とするものである。かか
る溶媒としてはピリジン、クロロホルム、テトラヒドロ
フラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド等が例示され、これらのうち溶媒の揮発性の理
由でクロロホルム、テトラヒドロフランが好ましく、ピ
リジンは更に好ましい。
【0020】前記の溶液混合法における溶媒の使用量に
制限はないが、組成物溶液中の半導体結晶粒子とP4V
Pの合計が通常1〜95重量%、生産性と混合効果の点
で好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは10〜4
0重量%程度となるようにする。かかる組成物溶液を得
る場合の混合条件にも特に制限はないが、混合温度につ
いては使用する溶媒の沸点にもよるが通常5〜80℃、
混合効果の点で好ましくは10〜60℃、更に好ましく
は15〜30℃程度とし、一方混合時間については混合
温度にもよるが通常10秒〜24時間、混合効果と生産
性の点で好ましくは1分〜8時間、更に好ましくは3分
〜3時間程度とする。
【0021】前記の第2工程における溶媒を除去する方
法には制限はないが、通常、適当な基板に組成物溶液を
塗布して溶媒を揮発せしめる液膜揮発法、組成物溶液を
加温した気相あるいは液相中に噴霧して溶媒を揮発せし
めるスプレー揮発法、反応釜等の適当な容器中で溶媒を
蒸留して濃縮する濃縮法、あるいは組成物溶液を過剰容
量の貧溶媒中に滴下等の方法で注入して本発明の高分子
組成物を析出せしめる再沈殿法等が例示される。かかる
溶媒を除去する工程において、酸化や熱分解等の好まし
くない化学変化を抑制するために、必要に応じて窒素や
アルゴン等の不活性気体雰囲気とする措置、遮光する措
置等を講じても構わない。なお、機械的強度や透明性等
の必要に応じて、該溶媒の任意量を意図的に本発明の高
分子組成物中に残留させても構わない。
【0022】本発明の高分子組成物には、本発明の目的
を著しく逸脱しない限りにおいて、前記の任意の工程に
おいて以下の任意の改質剤を加えても構わない。即ち、
例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安
定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、
カオリン、粘土鉱物、炭素繊維、カーボンブラック、黒
鉛、金属繊維、金属粉等のフィラー類、帯電防止剤、可
塑剤、離型剤等の添加剤類、顔料や染料等の着色剤類等
が例示される。また、高分子マトリクスの機械的強度、
成形表面の濡れ性、耐光性等の改良を目的として、ポリ
エチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポ
リエーテル類、ナイロン6やナイロン66等のポリアミ
ド類、ポリカプロラクタムやポリ(3−ヒドロキシブチ
レート)等のポリエステル類、フェノキシ樹脂を含むビ
スフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂類、ポ
リビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルホルムアミ
ド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリビニルオ
キサゾリン、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリビ
ニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアリル
アミン、ポリビニルアミン、ポリ(4−スチレンスルホ
ン酸ナトリウム)等の側鎖に親水性官能基を結合したポ
リビニル高分子類、ポリスチレン、ポリメチルメタクリ
レート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の汎
用ポリビニル樹脂類等を高分子マトリクス成分として添
加しても構わない。
【0023】[半導体結晶粒子]本発明の高分子組成物
が含有する半導体結晶粒子とは、後述する任意の半導体
結晶を含有する粒子であり、該半導体結晶の構造や組成
は、例えば半導体単結晶、複数半導体結晶組成が相分離
した混晶、相分離の観察されない混合半導体結晶のいず
れでも構わず、後述するコア−シェル構造をとっていて
も構わない。本発明においては該半導体結晶粒子はその
表面に後述する有機配位子を結合していることが望まし
い。
【0024】本発明における半導体結晶粒子の数平均粒
径は、通常0.5〜30nm、好ましくは1〜20n
m、更に好ましくは2〜10nm、最も好ましくは3〜
7nm程度とする。また、かかる半導体結晶粒子は、本
発明の高分子組成物中に10〜60体積%含有される。
この含有量は本発明の目的から通常は可及的高いことが
望ましいので、該下限値は好ましくは15体積%、更に
好ましくは20体積%程度とする。一方、高分子組成物
の透明性の他、低比重性が求められる場合には、該上限
値は好ましくは50体積%、更に好ましくは40体積%
程度とする。
【0025】かかる半導体結晶粒子の数平均粒径や含有
量の決定に当たり使用する各結晶粒子の粒径は、以下に
述べる透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定され
る数値を用いる。即ち、与えられた高分子組成物のTE
M観察により得られる半導体結晶粒子像と同面積の円の
直径を該粒子像の粒径と定義し、該粒径と同一の直径の
球の体積を該粒子の体積と定義する。こうして決定され
る各粒子の体積を用いて、例えば公知の画像データの統
計処理手法により前記の数平均粒径や体積百分率を算出
するが、かかる統計処理に使用する観察像の数(統計処
理データ数)は可及的多いことが当然望ましく、本発明
においては、再現性の点で無作為に選ばれた該観察像の
個数として最低でも50個以上、好ましくは80個以
上、更に好ましくは100個以上とする。
【0026】前記のように決定される半導体結晶粒子の
粒径分布は、これが小さいほど半導体結晶のエキシトン
吸収帯の波長幅は小さくなると考えられるので好まし
く、標準偏差として通常20%以下、好ましくは15%
以下、更に好ましくは10%以下に制御する。但し、半
導体結晶の高屈折率性を利用する用途(例えば紫外線吸
収膜、反射制御膜、あるいは光導波路等)においては、
かかる粒径分布は問題とならない場合もある。
【0027】本発明の高分子組成物が含有する半導体結
晶粒子は複数種から構成されていても構わず、あるいは
同種の半導体結晶からなる半導体結晶粒子でも、例えば
2山分布等その粒径分布を必要に応じて任意に変化させ
て構わない。但し、透明性、即ち光散乱の低減の点で、
粒径が100nmを越える半導体結晶粒子が含有されて
いないことが望ましい。
【0028】なお、半導体結晶粒子が発光特性を有する
場合には、本発明の高分子組成物はかかる発光特性を利
用する用途にも有用となる。特に、エキシトン準位から
の発光(エキシトン発光)は、発光帯の線幅が小さいの
で色純度の優れた発光となり、しかも量子効果により半
導体結晶粒子の粒径によりエキシトン発光波長を制御可
能であるので、特に有用である。
【0029】[半導体結晶の組成]前記の半導体結晶粒
子が含有する半導体結晶の組成には特に制限はないが、
具体的な組成例を元素記号あるいは組成式として例示す
ると、C、Si、Ge、Sn等の周期表第14族元素の
単体、P(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、S
eやTe等の周期表第16族元素の単体、SiC等の複
数の周期表第14族元素からなる化合物、SnO2、S
n(II)Sn(IV)S3、SnS2、SnS、SnSe、
SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第1
4族元素と周期表第16族元素との化合物、BN、B
P、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、G
aN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、
InAs、InSb等の周期表第13族元素と周期表第
15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半
導体)、Al23、Al2Se3、Ga23、Ga2
3、Ga2Te3、In23、In23、In2Se3
In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第16族元
素との化合物、TlCl、TlBr、TlI等の周期表
第13族元素と周期表第17族元素との化合物、Zn
O、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、C
dSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等の周
期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あ
るいはII−VI族化合物半導体)、As23、As2
Se3、As2Te3、Sb23、Sb2Se3、Sb2Te
3、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第1
5族元素と周期表第16族元素との化合物、Cu2O、
Cu2Se等の周期表第11族元素と周期表第16族元
素との化合物、CuCl、CuBr、CuI、AgC
l、AgBr等の周期表第11族元素と周期表第17族
元素との化合物、NiO等の周期表第10族元素と周期
表第16族元素との化合物、CoO、CoS等の周期表
第9族元素と周期表第16族元素との化合物、Fe
34、FeS等の周期表第8族元素と周期表第16族元
素との化合物、MnO等の周期表第7族元素と周期表第
16族元素との化合物、MoS2、WO2等の周期表第6
族元素と周期表第16族元素との化合物、VO、V
2、Ta25等の周期表第5族元素と周期表第16族
元素との化合物、TiO2、Ti25、Ti23、Ti5
9、ZrO2等の酸化チタン類(結晶型はルチル型、ル
チル/アナターゼの混晶型、アナターゼ型のいずれでも
構わない)、ZrO2等の周期表第4族元素と周期表第
16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第
2族元素と周期表第16族元素との化合物、CdCr2
4、CdCr2Se4、CuCr24、HgCr2Se4
等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3等が
挙げられる。なお、G.Schmidら;Adv.Ma
ter.,4巻,494頁(1991)に報告されてい
る(BN)75(BF21515や、D.Fenske
ら;Angew.Chem.Int.Ed.Eng
l.,29巻,1452頁(1990)に報告されてい
るCu14 6Se73(トリエチルホスフィン)22のように
構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示さ
れる。
【0030】これらのうち実用的に重要なものは、例え
ばSnO2、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、P
bS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周
期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaA
s、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等
のIII−V族化合物半導体、Ga23、Ga23、Ga2
Se3、Ga2Te3、In23、In23、In2
3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第1
6族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、Zn
Te、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、
HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半
導体、As23、As23、As2Se3、As2Te3
Sb23、Sb23、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2
3、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第
15族元素と周期表第16族元素との化合物、前記の酸
化チタン類やZrO2等の周期表第4族元素と周期表第
16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第
2族元素と周期表第16族元素との化合物である。
【0031】これらの中でも、SnO2、GaN、Ga
P、In23、InN、InP、Ga23、Ga23
In23、In23、ZnO、ZnS、CdO、Cd
S、前記の酸化チタン類やZrO2、MgS等は毒性の
高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安
全性の点で好ましく、この観点ではSnO2、In
23、ZnO、ZnS、前記の酸化チタン類やZrO2
等の毒性の高い陽性元素を含まない組成は更に好まし
く、中でもZnO、あるいは前記の酸化チタン類(高屈
折率性と比較的小さい表面光触媒能のためルチル型結晶
が特に好ましい)やZrO2等の酸化物半導体結晶は最
も好ましい。なお、ルチル型酸化チタン結晶粒子の長波
長側吸収端はバルク状態では通常400nm付近である
が、該結晶粒子の粒径を本発明の範囲である0.5〜3
0nm程度とすることで該長波長側吸収端波長をより短
波長にずらすことが可能となり、可視領域での無色性を
向上させる長所が生じる場合がある。
【0032】一方、本発明の高分子組成物の薄膜状成形
体を超解像膜として応用する場合、一般に、入射光波長
が小さいほどそのビーム径を小さくでき、光ディスクの
記録密度向上に有利であるので、現時点で実用化されて
いる短波長レーザーである窒化ガリウム(GaN)レー
ザーを有効に利用できるように、半導体結晶のエキシト
ン吸収帯波長を調整することが特に好ましい。従って、
半導体結晶が405nm付近の光を該半導体結晶のエキ
シトン準位への電子遷移により吸収する能力を有するこ
とが特に好ましい。かかる条件を満たすことのできる特
に好ましい半導体結晶としては、例えば、CdSやZn
Seが挙げられる。
【0033】なお、前記の半導体結晶粒子が周期表第1
2族元素、特に亜鉛を含有する場合、前記のP4VPマ
トリクスへの分散性(相溶性)が非常に良好となるとい
う効果を発揮する。この理由は完全に解明されてはいな
いが、後述する比較例で説明するように、例えば類似高
分子であるポリ(2−ビニルピリジン)(以下P2VP
と略記)のマトリクスとしての使用では該効果を必ずし
も好適に達成できない。従って、該効果は、該P4VP
が有する4−ビニルピリジル残基という特定の化学構造
が半導体結晶粒子の表面に存在する亜鉛原子に対して適
度な配位力を有することに起因するものと推定され、ま
た該効果発現の好ましい必要条件として、半導体結晶粒
子の表面に亜鉛原子が存在することが挙げられる。かか
る理由から、ZnO、ZnS、あるいはZnSeといっ
た亜鉛を含有する半導体結晶組成を有する半導体結晶粒
子は非常に好適に利用される。
【0034】前記で例示した任意の半導体結晶の組成に
は、必要に応じて微量のドープ物質(故意に添加する不
純物の意味)として例えばAl、Mn、Cu、Zn、A
g、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の元素を加えても
構わず、実用的に重要な発光能を有する好適なドープ型
半導体結晶組成としてZnS:MnやZnS:Tb等が
例示される。
【0035】[コアシェル構造をなす半導体結晶粒子]
前記の半導体結晶粒子は、例えばA.R.Kortan
ら;J.Am.Chem.Soc.,112巻,132
7頁(1990)あるいは米国特許5985173号公
報(1999)に報告されているように、その半導体結
晶の電子励起特性を改良する目的で内核(コア)と外殻
(シェル)からなるいわゆるコアシェル構造とすると、
該コアを成す半導体結晶の量子効果の安定性が改良され
る場合がある。この場合、コアの半導体結晶組成よりも
禁制帯幅(バンドギャップ)の大きな半導体結晶をシェ
ルとして起用することによりエネルギー的な障壁を形成
せしめることが一般に有効である。これは、外界の影響
による望ましくない表面準位や結晶格子欠陥準位等の生
成を防ぐ機構によるものと推測される。
【0036】かかるシェルに好適に用いられる半導体結
晶の組成としては、コア半導体結晶のバンドギャップに
もよるが、バルク状態のバンドギャップが温度300K
において2.0電子ボルト以上であるもの、例えばB
N、BAs、GaNやGaP等のIII−V族化合物半導
体、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、C
dS等のII−VI族化合物半導体、MgSやMgSe
等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物
等が好適に用いられる。これらのうちより好ましいシェ
ルとなる半導体結晶組成は、BN、BAs、GaN等の
III−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnSe、
CdS等のII−VI族化合物半導体、MgS、MgS
e等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合
物等のバルク状態のバンドギャップが温度300Kにお
いて2.3電子ボルト以上のものであり、最も好ましい
のはBN、BAs、GaN、ZnO、ZnS、ZnS
e、MgS、MgSe等のバルク状態のバンドギャップ
が温度300Kにおいて2.5電子ボルト以上のもので
あり、化学合成上ZnSは最も好適に使用される。
【0037】なお、半導体結晶粒子が亜鉛を含有する半
導体結晶のシェルを有するコアシェル構造をなすもので
あると、前記した半導体結晶粒子の表面の亜鉛原子に対
するP4VPの配位性の点で非常に好ましく、かかるシ
ェル組成として具体的にはZnO、ZnS等が例示され
る。 [有機配位子]前記の半導体結晶粒子に結合せしめる有
機配位子とは、後述する配位官能基により半導体結晶表
面に任意の結合様式(例えば、配位結合、共有結合、イ
オン結合、水素結合等)で結合する有機分子を意味す
る。
【0038】かかる有機配位子の使用の主な効果として
は、以下の3つが考えられる。即ち、前記のP4VPを
主体とするマトリクスへの半導体結晶粒子表面の濡れ性
あるいは相溶性を向上させその分散性を改良する効果
(以下「分散効果」と呼ぶ)、P4VPを主体とする該
マトリクス相に侵入あるいは溶解してその一部をなすこ
とで半導体結晶粒子と該マトリクスとの界面接着性を改
良して本発明の高分子組成物に機械的強度を付与する効
果(以下「接着効果」と呼ぶ)、及び半導体結晶を大気
(特に酸素ガスや水)や光等の外界からの影響から遮蔽
して保持する効果(以下「遮蔽効果」と呼ぶ)の3つの
効果である。
【0039】前記の分散効果と接着効果の点で、該有機
配位子はP4VPとの親和的分子間力(例えば、双極子
相互作用、水素結合、クーロン力、π電子相互作用、疎
水相互作用等の任意の相互作用)が大きい化学構造を含
有することが好ましい。また、本発明の目的から、半導
体結晶粒子の含有量を可及的大きくすることが好ましい
ので、該有機配位子の分子量は必要な機能を保持する限
りにおいて可及的小さいことが望ましい。
【0040】前記の遮蔽効果の点では、該有機配位子は
炭素数4以上のメチレン基連鎖を含有するものであるこ
とが好ましく、特に例えば水やエタノール等のプロトン
性溶媒、あるいはピリジンやジメチルスルホキシド等の
配位能を有する極性溶媒等の半導体結晶表面への化学作
用を及ぼす可能性のある溶媒(以下「活性溶媒」と呼
ぶ)を製造工程で用いる場合にその効果を顕著に発揮す
る。これは、該メチレン基連鎖がその疎水性により一種
の疎水障壁を半導体結晶表面に形成し、前記の活性溶媒
分子が半導体結晶表面に接近して半導体結晶を形成する
金属元素を溶出したり好ましくない配位をする等の悪影
響を妨げる、といった機構によるものと推測される。か
かる炭素数4以上のメチレン基連鎖を有する有機配位子
の使用により、具体的には、半導体結晶粒子の量子効果
の安定化が見られる場合が多い。このメチレン基連鎖の
炭素数は通常4〜20、好ましくは5〜16、最も好ま
しくは6〜12程度とする。
【0041】該有機配位子がラジカル重合性等の重合反
応性官能基をその化学構造中に含有する場合、薄膜状成
形体とした後、該重合反応を進行させて該成形体の機械
的強度等を向上させても構わない。かかる重合反応性官
能基としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル
基、マレオイル基、ビニルフェニル基、ビニルエステル
基、ビニルアミノ基等のラジカル重合性基が好適に用い
られる。
【0042】本発明の高分子組成物の透明性を著しく損
なわない限りにおいてかかる有機配位子の化学構造に制
限はなく、また複数種の有機配位子を併用しても構わな
い。前記の有機配位子がその化学構造中に含有する配位
官能基には、半導体結晶表面への結合能力を有する限り
において制限はないが、通常周期表第15又は16族元
素を含有する官能基を用いる。その具体例としては、1
級アミノ基(−NH 2)、2級アミノ基(−NHR;但
しRはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フ
ェニル基等の炭素数6以下の炭化水素基である;以下同
様)、3級アミノ基(−NR12;但しR1及びR2は独
立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェ
ニル基等の炭素数6以下の炭化水素基である;以下同
様)、ニトリル基やイソシアネート基等の含窒素多重結
合を有する官能基、ピリジン環やトリアジン環等の含窒
素芳香環等の窒素含有官能基、1級ホスフィン基(−P
2)、2級ホスフィン基(−PHR)、3級ホスフィ
ン基(−PR12)、1級ホスフィンオキシド基(−P
2=O)、2級ホスフィンオキシド基(−PHR=
O)、3級ホスフィンオキシド基(−PR12=O)、
1級ホスフィンセレニド基(−PH2=Se)、2級ホ
スフィンセレニド基(−PHR=Se)、3級ホスフィ
ンセレニド基(−PR12=Se)等のリン含有官能基
等の周期表第15族元素を含有する官能基、水酸基(−
OH)、メチルエーテル基(−OCH3)、フェニルエ
ーテル基(−OC65)、カルボキシル基(−COO
H)等の酸素含有官能基、メルカプト基(別称はチオー
ル基;−SH)、メチルスルフィド基(−SCH3)、
エチルスルフィド基(−SCH2CH3)、フェニルスル
フィド基(−SC65)、メチルジスルフィド基(−S
−S−CH3)、フェニルジスルフィド基(−S−S−
65)、チオ酸基(−COSH)、ジチオ酸基(−C
SSH)、キサントゲン酸基、キサンテート基、イソチ
オシアネート基、チオカルバメート基、チオフェン環等
の硫黄含有官能基、同様に−SeH、−SeCH3、−
SeC65等のセレン含有官能基等の周期表第16族元
素を含有する官能基等が例示される。これらのうち好ま
しく利用されるのは、ピリジン環等の窒素含有官能基、
3級ホスフィン基、3級ホスフィンオキシド基、3級ホ
スフィンセレニド基等のリン含有官能基等の周期表第1
5族元素を含有する官能基、メルカプト基、メチルスル
フィド基等の硫黄含有官能基等の周期表第16族元素を
含有する官能基であり、中でも3級ホスフィン基、3級
ホスフィンオキシド基等のリン含有官能基、あるいはメ
ルカプト基等の硫黄含有官能基等は更に好ましく用いら
れる。
【0043】有機配位子の半導体結晶粒子への結合量は
該有機配位子の分子量にもよるが、結合された有機配位
子を含んだ半導体結晶粒子の全重量に対して、通常10
〜80重量%、前記の分散効果や接着効果及び必要最小
限の有機配位子を使用する観点から好ましくは20〜6
0重量%、更に好ましくは30〜50重量%程度とす
る。かかる重量百分率は、元素分析や熱重量分析(T
G)により見積もることが可能である。
【0044】ナノ結晶に代表される半導体結晶の表面へ
の有機配位子の具体的な配位化学構造は十分に解明され
ていないが、本発明においては前記に例示した配位官能
基は必ずしもそのままの構造を保持していなくても良
い。例えば、メルカプト基(SH)の場合、半導体結晶
終端に存在する金属元素M(例えばII−VI族化合物
半導体における亜鉛やカドミウム、III−V族化合物
半導体におけるガリウムやインジウム等)との共有結合
を形成した構造(例えばS−Mなる構造)への変化、ホ
スフィンオキシド基(P=O)の場合、金属元素Mとの
共有結合を形成した構造(例えばP−O−Mなる構造)
への変化等も考えられる。
【0045】[好適な有機配位子の例示]前記の有機配
位子として本発明に好適に用いられるものとして、トリ
プロピルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィン
オキシド、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO
と略記)、トリデシルホスフィンオキシド等の総炭素数
が9〜40程度のトリアルキルホスフィンオキシド類が
例示され、該総炭素数は前記の分散効果や接着効果及び
必要最小限の分子量の観点で更に好ましくは20〜30
程度であり、中でもTOPOは最適である。
【0046】前記の帯電抑制効果とP4VPへの分散効
果の点で、アルキル末端に水酸基等の活性水素官能基を
結合した前記のトリアルキルホスフィンオキシド類も好
適に使用され、例えばトリス(3−ヒドロキシ−n−プ
ロピル)ホスフィンオキシド、n−ブチル−ビス(3−
ヒドロキシ−n−プロピル)ホスフィンオキシド等が例
示される。
【0047】一方、前記の分散効果や接着効果、あるい
は前記の帯電抑制効果の観点で、ポリアルキレングリコ
ール残基を含有する有機配位子が好適な有機配位子とし
て例示される。ここで言うポリアルキレングリコール残
基とは、下記一般式(1)で表される重合体残基であ
る。
【0048】
【化1】−(R1O)n−R2 (1) (但し一般式(1)において、R1は炭素数2〜6のア
ルキレン基を、R2は水素原子、炭素数1〜7のアルキ
ル基、及び炭素数10以下のアリール基からなる群から
任意に選択される構造を、nは30以下の自然数をそれ
ぞれ表す。) 一般式(1)におけるR1の具体例としては、エチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレ
ン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、シクロペン
チレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基等が
挙げられ、水溶性の点で好ましくはエチレン基、n−プ
ロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基等の炭
素数2〜4のアルキレン基が、更に好ましくはエチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数2
又は3のアルキレン基が、最も好ましくはエチレン基が
使用される。なお、一般式(1)において、1残基中に
複数種のR1が混在していても構わず、この場合の共重
合順序(シークエンス)にも制限はない。
【0049】一般式(1)におけるR2に使用されるア
ルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペ
ンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジ
ル基等が挙げられ、水溶性の点で好ましくはメチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数
3以下のアルキル基が、更に好ましくはメチル基又はエ
チル基が、最も好ましくはメチル基が使用される。該R
2に使用されるアリール基の具体例としては、フェニル
基、トルイル基(モノメチルフェニル基)、ジメチルフ
ェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル
基、4−tert−ブチルフェニル基、ピリジル基、モ
ノメチルピリジル基、ジメチルピリジル基等が挙げら
れ、前記の分散効果の点で好ましくはフェニル基あるい
はピリジル基が使用される。また、水素原子もP4VP
との水素結合形成能(即ち前記の分散効果)及び前記の
帯電抑制効果の点でR2として好適に使用される。
【0050】一般式(1)における自然数nは、好まし
くは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましく
は5以下である。この自然数nの値が大きすぎると高分
子組成物における半導体結晶粒子含有量が小さくなり、
本発明の効果が不十分となる場合がある。一般式(1)
の特に好ましい構造として、トリエチレングリコール残
基(R1がエチレン基、n=3)が挙げられ、特に好ま
しいのはR2が水素原子又はメチル基であるものであ
る。
【0051】かかるポリアルキレングリコール残基は、
前記の任意の配位官能基により半導体結晶粒子の表面に
結合されるが、特に好ましく用いられる配位官能基はメ
ルカプト基である。これは、メルカプト基が半導体結晶
表面に存在する遷移金属元素に特に強い配位力を有する
ためである。半導体結晶への配位子として使用されるメ
ルカプト基を有するポリアルキレングリコールの具体的
構造としては、特に好ましい構造である後述するω−メ
ルカプト脂肪酸のポリアルキレングリコールエステル類
の他、下記一般式(2)で表されるω−メルカプトポリ
アルキレングリコール類も例示される。
【0052】
【化2】HS−(R1O)n−R2 (2) 但し一般式(2)におけるR1、R2、及びnとこれらの
好ましい場合の例示は全て前記一般式(1)の場合と同
一である。
【0053】本発明に用いられる特に好ましい有機配位
子の一般構造として、前記のポリアルキレングリコール
類のω−メルカプト脂肪酸エステルが例示され、これは
下記一般式(3)で表される分子構造である。
【0054】
【化3】 HS−(CH2m−COO−(R1O)n−R2 (3) 但し一般式(3)においてmは20以下の自然数を表
し、R1、R2、及びnとこれらの好ましい場合の例示は
全て前記一般式(1)の場合と同一である。前記一般式
(3)における−(CH2m−で表されるメチレン基連
鎖は前記の遮蔽効果を発揮する構造単位であるので、該
自然数mの値の好ましい範囲は、前記の遮蔽効果におけ
るメチレン基連鎖の炭素数についての記述と同一であ
る。
【0055】従って、前記一般式(3)で表される構造
の好適な分子構造としては、例えばポリエチレングリコ
ール類の11−メルカプトウンデカン酸エステルが挙げ
られ、中でも下記一般式(4)の11−メルカプトウン
デカン酸トリエチレングリコールエステルは最も好適な
有機配位子の一例である。
【0056】
【化4】 HS(CH210COO(CH2CH2O)3−R2 (4) 但し一般式(4)においてR2とこれらの好ましい場合
の例示は全て前記一般式(1)の場合と同一である。
【0057】前記一般式(3)のエステル類は、例えば
11−メルカプトウンデカン酸等のω−メルカプト脂肪
酸と過剰当量のポリアルキレングリコールとを硫酸やp
−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在下脱水エステル化
させる方法(必要に応じ加熱や減圧脱水を施し平衡反応
を加速する)、該ω−メルカプト脂肪酸のメチルエステ
ルやエチルエステル等の低級アルキルエステルと過剰当
量のポリアルキレングリコールとを硫酸やp−トルエン
スルホン酸等の強酸やルイス酸等の触媒存在下エステル
交換反応させる方法(必要に応じ加熱や減圧を施し平衡
反応を加速する)、該ω−メルカプト脂肪酸を相当する
酸塩化物や酸無水物等の活性種に変換し次いで塩基存在
下ポリアルキレングリコールと縮合反応させる方法等に
より合成される。
【0058】[その他の有機配位子の例示]本発明にお
いては、前記の好適な有機配位子を主に使用することで
好適な効果を得るが、必要に応じて下記に例示するよう
な有機配位子を任意割合で併用しても構わない。 (a)硫黄含有化合物・・・メルカプトエタン、1−メ
ルカプト−n−プロパン、1−メルカプト−n−ブタ
ン、1−メルカプト−n−ヘキサン、メルカプトシクロ
ヘキサン、1−メルカプト−n−オクタン、1−メルカ
プト−n−デカン等のメルカプトアルカン類、チオフェ
ノール、4−メチルチオフェノール、4−tert−ブ
チルチオフェノール等のチオフェノール誘導体、ジメチ
ルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジブチルスルフィ
ド、ジヘキシルスルフィド、ジオクチルスルフィド、ジ
デシルスルフィド等のジアルキルスルフィド類、ジメチ
ルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジブチルスル
ホキシド、ジヘキシルスルホキシド、ジオクチルスルホ
キシド、ジデシルスルホキシド等のジアルキルスルホキ
シド類、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィ
ド、ジブチルジスルフィド、ジヘキシルジスルフィド、
ジオクチルジスルフィド、ジデシルジスルフィド等のジ
アルキルジスルフィド類、チオ尿素、チオアセタミド等
のチオカルボニル基を有する化合物、チオフェン等の硫
黄含有芳香族化合物等。 (b)リン含有化合物・・・トリエチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオ
クチルホスフィン、トリデシルホスフィン等のトリアル
キルホスフィン類、トリフェニルホスフィンやトリフェ
ニルホスフィンオキシド等の芳香族ホスフィンあるいは
芳香族ホスフィンオキシド類等。 (c)窒素含有化合物・・・ピリジンやキノリン等の窒
素含有芳香族化合物、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオ
クチルアミン、トリデシルアミン、トリフェニルアミ
ン、メチルジフェニルアミン、ジエチルフェニルアミ
ン、トリベンジルアミン等の3級アミン類、ジエチルア
ミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチル
アミン、ジデシルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジ
ルアミン等の2級アミン類、ヘキシルアミン、オクチル
アミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシル
アミン、オクタデシルアミン、フェニルアミン、ベンジ
ルアミン等の1級アミン類、ニトリロ三酢酸トリエチル
エステル等のアミノ基を有するカルボン酸エステル類
等。
【0059】[半導体結晶粒子の製造方法]前記の半導
体結晶粒子は、従来行われている下記の半導体結晶の製
造方法等、任意の方法を使用して構わない。 (a)分子ビームエピタキシー法あるいはCVD法等の
高真空プロセス。この方法により組成が高度に制御され
た高純度の半導体結晶粒子が得られるが、ホスフィンや
アルシン等の有毒気体を原料とする場合があり、且つ高
価な製造装置を要するので生産性の点で産業上の利用に
制限がある。 (b)原料水溶液を非極性有機溶媒中の逆ミセルとして
存在させ該逆ミセル相中にて結晶成長させる方法(以下
「逆ミセル法」と呼ぶ)であり、例えばB.S.Zou
ら;Int.J.Quant.Chem.,72巻,4
39(1999)に報告されている方法である。汎用的
な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術が利用で
き、比較的安価かつ化学的に安定な塩を原料とすること
ができ、しかも水の沸点を超えない比較的低温で行われ
るため工業生産に適した方法である。但し、下記のホッ
トソープ法の場合に比べて現状技術では発光特性に劣る
場合がある。 (c)熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結
晶成長させる方法(以下、ホットソープ法と呼ぶ)であ
り、例えば前記のKatariら著の文献に報告されて
いる方法である。逆ミセル法に比べて粒径分布と純度に
優れた半導体結晶粒子が得られ、生成物は発光特性に優
れ有機溶媒に通常可溶である特徴がある。ホットソープ
法における液相での結晶成長の過程の反応速度を望まし
く制御する目的で、半導体構成元素に適切な配位力のあ
る配位性有機化合物が液相成分(溶媒と配位子を兼ね
る)として選択される。かかる配位性有機化合物の例と
しては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィ
ン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィ
ン類、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド
(TOPO)、トリデシルホスフィンオキシド等のトリ
アルキルホスフィンオキシド類、オクチルアミン、デシ
ルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキ
サデシルアミン、オクタデシルアミン等のω−アミノア
ルカン類、ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシ
ド等のジアルキルスルホキシド類等が挙げられる。これ
らのうち、トリブチルホスフィンオキシドやTOPO等
のトリアルキルホスフィンオキシド類やドデシルアミ
ン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等の炭素
数12以上のω−アミノアルカン類等が好適であり、中
でもTOPO等のトリアルキルホスフィンオキシド類、
及びヘキサデシルアミン等の炭素数16以上のω−アミ
ノアルカン類は最適である。 (d)前記のホットソープ法と類似の半導体結晶成長を
伴う溶液反応であるが、酸塩基反応を駆動力として比較
的低い温度で行う方法が古くから知られている(例えば
P.A.Jackson;J.Cryst.Growt
h,3−4巻,395頁(1968)等)。
【0060】かかる液相製造方法に使用可能な半導体原
料物質としては、周期表第2〜15族から選ばれる陽性
元素を含有する物質と、周期表第15〜17族から選ば
れる陰性元素を含有する物質が挙げられる。例えば前記
のホットソープ法では、ジメチルカドミウムやジエチル
亜鉛等の有機金属類と、セレン単体をトリオクチルホス
フィンやトリブチルホスフィン等の3級ホスフィン類に
溶解させたものやビス(トリメチルシリル)スルフィド
等のカルコゲニド元素化合物とを反応させる方法が知ら
れている。また、前記(d)の溶液反応で例えば酸化亜
鉛を製造する場合に、酢酸亜鉛と水酸化リチウムとをエ
タノール中で反応させる方法がL.Spanhelら;
J.Am.Chem.Soc.,113巻,2826頁
(1991)において知られている。なお周期表第15
族元素は、例えば理化学辞典(第4版、岩波書店、19
87年)に記載の硫化ビスマスやテルル化ビスマスのよ
うに3価の陽性元素としても半導体を構成することが知
られている。
【0061】前記の液相製造方法で生成した半導体結晶
粒子の単離は、その溶解性を利用する方法、例えば良溶
媒の溶液を貧溶媒と混合して析出させこれを遠心分離等
により単離する方法が好適に用いられる。半導体原料物
質が複数種ある場合、これらをあらかじめ混合しておい
ても良く、あるいはこれらをそれぞれ単独で反応液相に
注入しても良い。これら原料は、適当な希釈溶媒を用い
て溶液にして使用しても構わない。
【0062】[有機配位子の半導体結晶粒子への結合方
法]前記の半導体結晶粒子に前記の有機配位子を結合さ
せる方法に制限はないが、好適な方法として、前記のホ
ットソープ法によりTOPO等のトリアルキルホスフィ
ンオキシド類を結合する方法、前記のポリアルキレング
リコール類のω−メルカプト脂肪酸エステル(以下PA
G−SHと略記)におけるメルカプト基等の強力な配位
力を利用した配位子交換反応が例示される。後者につい
て具体的には、前記のホットソープ法により得られるT
OPO等の配位性有機化合物を表面に有する半導体結晶
粒子を例えばPAG−SHと液相で接触させる配位子交
換反応が可能である。この場合、通常後述するような溶
剤を使用した液相反応とするが、使用するPAG−SH
が反応条件において液体である場合には、PAG−SH
自身を溶媒とし他の溶剤を添加しない反応形式も可能で
ある。
【0063】TOPOを主要有機配位子として有する半
導体結晶粒子においてPAG−SHによる配位子交換反
応を実施する場合、過剰量のPAG−SHをエタノール
中で加熱(例えば還流条件)しながら、例えば1〜60
分程度(通常30分以内程度)混合接触する方法が好適
である。かかる反応においては、TOPOを主要有機配
位子として有する半導体結晶粒子は最初エタノールに実
質的に溶解しないが、PAG−SHによる配位子交換反
応の進行によりエタノールに可溶化する。
【0064】これ以外に、例えば、X.Pengら;A
ngew.Chem.Int.Ed.Engl.,36
巻,145頁(1997)に記載の方法に準じてメタノ
ール等アルコール類中で行う方法、M.Bruchez
Jr.ら;Science,281巻,2013頁
(1998)に記載の方法に準じてジメチルスルホキシ
ドとメタノール等アルコール類の混合溶媒中で行う方
法、あるいはC.W.Warrenら;Scienc
e,281巻,2016頁(1998)に記載の方法に
準じてクロロホルム等ハロゲン化溶剤中で行う方法も可
能である。また、X.Pengら;J.Am.Che
m.Soc.,119巻,7019頁(1997)に報
告されているように、ピリジン等の弱配位性化合物(通
常溶媒として大過剰量用いる)含む液相にTOPOを主
要有機配位子として有する半導体結晶粒子を分散してT
OPOをまず除去する方法も応用可能である。即ちピリ
ジン等の弱配位性化合物中でTOPOを除去する第一工
程、次いで、PAG−SHを加える第二工程からなる二
段階反応である。
【0065】かかる配位子交換反応は、酸化等の副反応
を避けるため、窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気に
おいて行うのが望ましい。また、遮光条件が好ましい場
合もある。かかる配位子交換反応の後、半導体結晶粒子
を単離するには、濾過、沈殿と遠心分離の併用、蒸留、
昇華等の任意の方法を使用して構わないが、特に有効な
のは、半導体結晶の比重が通常の有機化合物より大きい
ことを利用した沈殿と遠心分離の併用であり、具体的に
は例えば以下のように実施される。遠心分離は、配位子
交換反応の生成物を含有する溶液(好適には反応溶媒で
あるエタノールをまず留去しトルエンに溶解し直す)
を、PAG−SHを結合した半導体結晶粒子の貧溶媒
(例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、イソオクタン等の炭化水素を含む有機溶剤)中
に投入し、生成する沈殿を含む懸濁液を遠心分離して行
われる。得られた沈殿は、デカンテーション等により上
澄み液と分離し、必要に応じ溶媒洗浄や再溶解と再沈殿
/遠心分離を繰り返して精製度を向上させる。かかる再
溶解の溶媒としてもトルエンが好適である。
【0066】[薄膜状成形体とその製造方法]本発明
は、前記の高分子組成物からなる薄膜状成形体を提供す
る。ここでいう薄膜状成形体とは、フィルムや薄い板状
(即ちシート状)の形状の成形体であり、通常、樹脂、
有機物結晶、紙、木材、ダイヤモンド、ガラス、セラミ
クス、無機物結晶、金属、半導体等の任意の固体素材基
板上、あるいは溶融したワックスや炭化水素系有機溶剤
等の液体表面上にて成形され、必要に応じてかかる固体
素材基板に密着した状態で使用されるものである。
【0067】本発明の薄膜状成形体の厚さ(膜厚)は、
通常0.01〜10,000μm、好ましくは0.05
〜5,000μm、更に好ましくは0.1〜3,000
μm程度とし、この厚さは該成形体中で同一であって
も、連続的あるいは不連続的に変化していても構わな
い。但し、前記の超解像膜等の精密な膜厚制御の必要な
用途においては、該厚さは可及的均一であることが望ま
しい。
【0068】本発明の薄膜状成形体は必ずしも平面状で
なくてもよく、例えば球面状、非球面曲面状、円柱状、
円錐状、あるいはペットボトル等のボトル状等の任意の
形状の基板上に成形されていても構わない。また、紙パ
ルプ、木材、あるいは樹脂等の可撓性基板による薄膜状
成形体は、成形作業の前あるいは後に折り曲げ、延伸、
圧縮等により物理的な変形を受けていても構わない。
【0069】本発明の薄膜状成形体において、含有する
半導体結晶粒子の基礎吸収の長波長側吸収端波長に50
nm程度を加えた該半導体結晶粒子の吸収のない波長領
域の入射光を使用した場合の光線透過率は、通常70%
以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以
上とする。かかる薄膜状成形体には、必要に応じて該塗
布面を被覆する層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機
械的損傷を防止する保護層、半導体結晶粒子や基材等の
劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線
吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制
あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低
屈折率層等や、基材と塗布面との接着性を改善する下引
き層、電極層等、任意の付加機能層を設けて多層構造と
しても構わない。
【0070】かかる薄膜状成形体の製造方法に制限はな
いが、好適なのは前記の組成物溶液から溶媒を除去する
工程を含む方法、より具体的には前記の任意の固体素材
基板上に該組成物溶液を塗布し蒸発により溶媒を除去す
る方法(以下「溶液塗布製膜法」と呼ぶ)である。かか
る場合に使用する該組成物溶液における前記の高分子組
成物の濃度について制限はなく、これは使用する溶媒の
種類により調整されるが、該溶液全量に対して通常1〜
95重量%、製膜性の点で好ましくは5〜60重量%、
更に好ましくは10〜40重量%程度とする。
【0071】該塗布溶液に使用する溶媒にも制限はない
が、例えばピリジン、2−メチルピリジン、3−メチル
ピリジン、4−メチルピリジン、2−ビニルピリジン、
4−ビニルピリジン等のモノアルキルピリジン類、2,
3−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、
2,5−ジメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジ
ン、3,4−ジメチルピリジン、3,5−ジメチルピリ
ジン等のジアルキルピリジン類、sym−コリジン等の
トリアルキルピリジン類等のピリジン誘導体、テトラヒ
ドロフラン(略称THF)、1,4−ジオキサン、テト
ラヒドロピラン等の環状脂肪族エーテル類、エチルセロ
ソルブ等の直鎖状脂肪族エーテル類、メタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、
n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブ
チルアルコール等の低級アルコール類、塩化メチレンや
クロロホルム等のハロゲン化アルキル類、N,N−ジメ
チルホルムアミド(略称DMF)やN−メチルピロリド
ン(略称NMP)等のアミド系非プロトン性極性溶媒等
が使用可能である。これらのうち、ピリジン、前記のメ
チルピリジン類、前記のビニルピリジン類等のモノアル
キルピリジン類、THFや1,4−ジオキサン等の環状
脂肪族エーテル類、DMFやNMP等のアミド系非プロ
トン性極性溶媒等が沸点(即ち適度な揮発除去性)、半
導体結晶粒子やP4VPを溶解する能力、あるいは半導
体結晶粒子への配位性の点で好適に用いられ、中でもピ
リジン、THF、DMFは更に好適に用いられ、ピリジ
ンは最も好適である。これら溶媒は複数種を混合して用
いても構わない。
【0072】かかる溶液塗布製膜法は、公知の任意の塗
布製膜形式、例えばスピンコーティング法、ディップコ
ーティング法、ウェッティングフィルム法、スプレーコ
ーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード
法等を用いることができる。また、基板、塗布溶液、あ
るいは雰囲気を必要に応じて加熱しても構わない。更
に、塗布製膜工程の雰囲気を例えば吸湿や酸化劣化等を
防止する目的で乾燥空気や乾燥窒素等の制御された雰囲
気としても構わず、溶媒の蒸発速度の制御等の目的で必
要に応じて送風措置を併用しても構わない。
【0073】これら任意の塗布製膜形式において、1回
の塗布製膜を終了した後、更にその上に塗布製膜を行っ
てゆく多重製膜を行っても構わず、その際、毎回の製膜
において使用する塗布溶液の濃度や溶媒組成、あるいは
前記の各種製膜温度条件を変化させても構わない。更
に、かかる多重製膜における各製膜において、必要に応
じて前記の薄膜状成形体の構成成分の組成自体を変化さ
せて、多重組成成形体とすることも可能である。かかる
多重組成成形体は、例えば屈折率が薄膜状成形体の深さ
方向に変化した傾斜構造膜として非常に好適である。か
かる多重製膜において、塗布された膜中の溶媒が任意量
残留した状態で次の製膜を行っても構わない。
【0074】例えばスピンコーティング法を用いる場
合、回転数は塗布溶液の粘度にもよるが通常100〜1
0000回転/分、好ましくは500〜8000回転/
分、更に好ましくは1000〜6000回転/分程度と
する。前記の多重製膜をスピンコーティング法で行う場
合には、2回目以降の製膜をやや速い回転数とすると好
適な場合があるが、これは、既存の塗布膜上では塗布溶
液の親和性(濡れ性)が初期基板表面よりも向上するた
め流延性が悪くなることによる。スピンコーティング法
においては、基板上に塗布溶液を印加する滴下点を基板
の任意箇所に複数箇所設けても構わない。
【0075】前記の塗布溶液の溶液粘度に制限はなく、
これは塗布製膜形式や温度条件等により最適値が変動す
るが、通常、23℃における粘度として0.5〜500
0mPa・秒、好ましくは1〜3000mPa・秒、更
に好ましくは10〜1000mPa・秒程度に調整され
る。前記の多重製膜を行う場合には、前記同様の流延性
の理由で2回目以降に使用する塗布溶液の溶液粘度を低
くすると好適な場合がある。
【0076】かかる溶液塗布製膜法の段階で、前記に例
示した任意の改質剤を加えても構わない。 [薄膜状成形体の用途]以下、本発明の薄膜状成形体の
特に重要な用途について説明する。 (1)超解像膜 本発明の薄膜状成形体は光ディスク等の光記録媒体に設
けられる超解像膜に使用される。本発明における「超解
像」なる術語は、前記の公開特許公報にも解説されてい
るように、例えば光ディスクにおけるデータの読み出し
あるいは書き込み(以下「データの読み書き」と短縮す
る)において、その解像度、即ち単位記録領域の面積を
データの読み書きに使用する入射光ビームの元の径より
も小さくして記録密度の向上を図る技術概念を意味す
る。
【0077】前記の光吸収飽和特性とは、前記の半導体
結晶粒子が吸収する特定波長の光(以下「入射光」と呼
ぶ)を入射した場合に、該特定波長における半導体結晶
の吸光度が該入射光強度の増大により減少する特性を意
味する。かかる光吸収飽和特性は、定性的には、入射光
強度の増大(即ち入射光における光子数の増大)により
吸光に関与する励起準位への電子の励起頻度が増大し、
このため該励起準位の電子存在確率も増大し、その結果
該励起準位への電子遷移確率が減少する現象と理解され
る。該入射光強度が十分大きい場合には、もはや実質的
に吸光が起こらない状態が想定されるので、かかる現象
は「光吸収飽和」と呼ばれる。
【0078】かかる光吸収飽和特性に関わる電子励起
は、前記の半導体結晶粒子の任意のエネルギー準位間で
の電子遷移により生じるもので構わないが、特定の入射
光波長にエネルギーを集中して効率的に光吸収飽和特性
を発現せしめることがエネルギー効率上望ましい。換言
すれば、入射光としては、白色光のような幅広い波長範
囲にエネルギーが分散している光よりも、レーザーのよ
うな単一波長の光を使用することが望ましい。前記のエ
キシトン吸収帯は、基礎吸収帯に比べて非常に狭い波長
幅を有するので、レーザー入射光による光吸収飽和に最
適である。
【0079】前記の光吸収飽和特性は、入射光強度があ
るしきい値を越えると急に発現することが望ましい。ま
た、その時の吸光度変化ができるだけ大きいことが望ま
しい。以上の説明からわかるように、本発明の薄膜状成
形体を超解像膜に応用する場合、該成形体が含有する半
導体結晶粒子の吸光度がある程度大きくないと、検出可
能な光吸収飽和が得られない場合がある。従って、所望
の入射光波長における本発明の薄膜状成形体の吸光度
を、通常0.1以上、好ましくは0.3以上、更に好ま
しくは0.5以上とする。但し、かかる吸光度の値は、
23℃の薄膜状成形体において、通常0.3mW以下程
度、好ましくは0.1mW以下の強度の入射光を該成形
体表面の法線方向から入射して測定されるものである。
【0080】かかる超解像膜の膜厚には有効な光飽和吸
収が検出できる限りにおいて制限はないが、通常50〜
10000nm、好ましくは100〜5000nm、更
に好ましくは150〜3000nm程度とし、該膜厚の
分布は可及的小さいことが望ましい。膜の表面は、光散
乱を抑制するために可及的平滑であることが望ましい。 (2)紫外線吸収膜 本発明の薄膜状成形体は、含有する半導体結晶粒子が紫
外領域に吸収を有する場合には紫外線吸収膜として利用
される。かかる紫外線吸収膜は、太陽光等の紫外線を吸
収して透過を抑制あるいは遮蔽する必要のある透明な部
材、例えば自動車、航空機、建造物の窓ガラスやサング
ラスのレンズ等の表面に密着成形された形態で例えば使
用されるので、可視領域での透明性や無色性を有するこ
とが望ましい。従って、かかる用途に用いられる薄膜状
成形体が含有する半導体結晶粒子は、その吸収スペクト
ルの長波長側吸収端の波長が400nm以下であること
が望ましい。かかる目的に好適な半導体結晶粒子として
は、例えば前記の酸化チタン類、酸化ジルコニウム(Z
rO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)等
が例示される。
【0081】紫外線吸収能力の点では、薄膜状成形体中
の半導体結晶粒子の含有量は可及的大きいことが望まし
い。かかる紫外線吸収膜の膜厚には、有効な紫外線吸収
能力を発揮する限りにおいて制限はないが、通常0.0
5〜2000μm、好ましくは0.1〜1000μm、
更に好ましくは0.5〜500μm程度とする。また、
該膜厚の分布は目的の透明部材の機能に応じて自由に設
計して構わない。膜の表面は、光散乱による光線透過率
の低下を抑制するために可及的平滑であることが望まし
いが、目的に応じて適当な凹凸を設けても構わない。 (3)反射制御膜 本発明の薄膜状成形体は、その透明性と含有する半導体
結晶粒子の高屈折率を利用した反射制御膜として利用さ
れる。かかる反射制御膜は、ディスプレイパネル、レン
ズ、プリズム、あるいは窓ガラス等の透明部材表面に設
けられ、該透明部材表面での光反射の抑制等の効果を発
揮する。かかる目的に好適な半導体結晶粒子としては、
例えば前記の酸化チタン類、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)等が例
示される。
【0082】薄膜状成形体の高屈折率化の点では、薄膜
状成形体中の半導体結晶粒子の含有量は可及的大きいこ
とが望ましい。実用的には、ナトリウムD線波長での2
3℃における薄膜状成形体の屈折率を通常1.6以上と
し、好ましくはこの値は1.7以上、更に好ましくは
1.75以上とする。かかる反射制御膜の表面には、例
えばPMMAやシリカ等の屈折率の比較的小さな材料に
よる膜を設けても構わない。かかる低屈折率膜の設置に
より優れた反射防止機能が発現する場合があり好適であ
る。特にシリカ膜の表面への形成は、その優れた表面硬
度による機械的外力(例えば摩擦や擦過傷)への保護機
能層としての機能も有用である。
【0083】かかる反射制御膜の膜厚には、有効な反射
制御能力を発揮する限りにおいて制限はないが、通常
0.05〜500μm、好ましくは0.1〜100μ
m、更に好ましくは0.2〜10μm程度とする。ま
た、該膜厚の分布は目的の透明部材の機能に応じて自由
に設計して構わない。膜の表面は、光散乱による光線透
過率の低下を抑制するために通常可及的平滑であること
が望ましいが、目的に応じて適当な凹凸を設けても構わ
ない。 (4)光導波路 本発明の薄膜状成形体は、その透明性と含有する半導体
結晶粒子の高屈折率等を利用した光導波路として利用さ
れる。かかる光導波路は、光通信における光コネクタや
光増幅器として利用される。本発明の与える光導波路の
ナトリウムD線波長での23℃における屈折率は通常
1.6以上とするので、クラッド(外套)材料として高
価なフッ素原子含有樹脂等を用いずPMMA(屈折率
1.49)等の汎用の樹脂材料を例えば溶液塗布法によ
り容易に適用することが可能となる。該光導波路の屈折
率は、好ましくは1.7以上、更に好ましくは1.75
以上とする。
【0084】かかる目的に好適な半導体結晶粒子として
は、例えば前記の酸化チタン類、酸化ジルコニウム(Z
rO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)等
が例示される。薄膜状成形体の高屈折率化の点では、薄
膜状成形体中の半導体結晶粒子の含有量は可及的大きい
ことが望ましい。かかる光導波路の通常の膜厚は、高屈
折率性を利用する点で前記の反射制御膜の記述と同様で
ある。該膜厚の分布は目的の透明部材の機能に応じて自
由に設計して構わない。膜の表面は、光導波路内部壁面
での全反射条件を確保するためには可及的平滑であるこ
とが望ましいが、目的に応じて適当な凹凸を設けても構
わない。
【0085】
【実施例】以下に実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、原料試薬は、特に記載がない限り、Aldric
h社より供給されたものを精製を加えず使用した。但
し、無水メタノールと無水n−ブタノールは共にAld
rich社より供給された無水(「Anhydrou
s」)グレードを使用した。精製トルエンは、純正化学
(株)から供給されたものを濃硫酸、水、飽和重曹水、
更に水の順序で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥次
いで濾紙で濾過し、五酸化二リン(P25)を加えてそ
こから大気圧にて直接蒸留して得た。ピリジンは、純正
化学(株)から供給されたものを酸化カルシウムで乾燥
後ここから大気圧下で直接蒸留したものを使用した。
【0086】[測定装置と条件等] (1)核磁気共鳴(NMR)スペクトル:日本電子社製
JNM−EX270型FT−NMR( 1H:270MH
z,13C:67.8MHz)。溶媒は特に断らない限り
重水素化クロロホルムを溶媒として使用し、テトラメチ
ルシランを0ppm対照として23℃にて測定した。 (2)赤外吸収(IR)スペクトル:日本分光工業社製
FT/IR−8000型FT−IR。23℃にて測定し
た。 (3)X線回折(XRD)スペクトル:リガク(株)製
RINT1500(X線源:銅Kα線、波長1.541
8Å)。23℃。 (4)透過型電子顕微鏡(TEM)観察:日立製作所
(株)製H−9000UHR型透過電子顕微鏡(加速電
圧300kV、観察時の真空度約7.6×10-9Tor
r)。 (5)発光スペクトル:日立製作所(株)製F−250
0型分光蛍光光度計にて、スキャンスピード60nm/
分、励起側スリット5nm、蛍光側スリット5nm、フ
ォトマル電圧400Vの条件で行い、溶液試料の場合は
光路長1cmの石英製セルを用いて測定した。 (6)熱重量分析(TG):セイコーインスツルメンツ
(株)製TG−DTA320により、200mL/分の
窒素気流下、アルミニウム皿の上で、昇温速度は10℃
/分、140℃で保温30分次いで最高設定温度590
℃(サンプル直下の実測温度は602〜603℃程度)
で保温120分の条件で行った。 (7)膜厚測定:ケーエルエー・テンコール社製ALP
HA STEP500を使用し、走査長さ5mm、走査
速度0.05mm/分、サンプリングレート50Hz、
水平分解能1.00μm、針圧11.0mgの条件で行
った。
【0087】[合成例] 合成例1[CdS結晶粒子の合成] 乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内で、トリブチルホ
スフィン(以下TBPと略記;5.625g)、ジメチ
ルカドミウムの10重量%n−ヘキサン溶液(1.40
g)、及びビス(トリメチルシリル)スルフィド(0.
0825mL)をガラス瓶中にて混合し、ゴム栓(Al
drich社から供給されるセプタム)で封をした(こ
の混合液を以下「原料溶液A」と呼ぶ)。この原料溶液
Aとは別に、反応容器として、空冷式のリービッヒ還流
管と反応温度調節のための熱電対を装着した無色透明の
パイレックス(登録商標)ガラス製3口フラスコ(内容
積100mL)をアルミニウム箔で表面を覆って遮光
し、トリオクチルホスフィンオキシド(以下TOPOと
略記;13g)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌
しながら140℃で3時間減圧乾燥した。この間、乾燥
アルゴンガスで内部を大気圧に復圧し次いで再度減圧す
る内部雰囲気の置換操作を3回行った。その後300℃
に昇温し同様の内部雰囲気の置換操作を3回行って最後
に乾燥アルゴンガス雰囲気とし、更に30分加熱を継続
した時点で、前記の原料溶液Aを注射器で一気に注入
し、この時点を反応の開始時刻とした。反応開始20分
後に熱源を除去し約50℃に冷却された時点で無水メタ
ノール(1.2mL)を加えて希釈し室温まで放冷し
た。この反応液を乾燥窒素雰囲気において、無水メタノ
ール(45mL)中に注入して室温で5分間攪拌し、不
溶物を生じさせた。この不溶物を遠心分離(3000r
pm)し、デカンテーションにより上澄み液を除去して
黄色い固体を得た。この固体は精製トルエン(2mL)
に溶解し、無水メタノール(30mL)中に注入し、室
温で15分間攪拌して前記同様の遠心分離とデカンテー
ションにより黄色い固体沈殿を分離した。この固体を室
温で乾燥窒素気流下乾燥後、室温で一晩真空乾燥して黄
色固形粉体(84.8mg)を得た。こうして得た黄色
固形粉体はトルエンに可溶であり、その溶液は波長36
5nmの水銀灯の紫外線照射により白色の発光を与え
た。また、XRDスペクトルにおいて、Wurtzit
e型CdS結晶に帰属される回折ピークを与えることか
らCdS結晶であることが確認される。
【0088】合成例2[ZnSシェルを有するコアシェ
ル型CdS結晶粒子の合成] 合成例1で使用したグローブボックス内部にて、合成例
1で得たCdS結晶粒子の黄色固形粉体(60.0m
g)をトリオクチルホスフィン(以下TOPと略記;
0.62g)とガラス瓶中にて混合し、合成例1の記載
同様にセプタムで封をした(この混合液を以下「原料液
B」と呼ぶ)。一方、前記のグローブボックス内で、ジ
エチル亜鉛の1モル濃度n−ヘキサン溶液(0.75m
L)、ビス(トリメチルシリル)スルフィド(0.15
74mL)、及びTOP(5mL)をガラス瓶中にて混
合して溶液とし、前記同様にセプタムで封をした(この
混合液を以下「原料溶液C」と呼ぶ)。別途、反応系と
して内容積50mLの褐色ガラス製の3口フラスコ中に
TOPO(6.2g)を入れ、140℃で110分間減
圧乾燥した。次いで該反応系内温を100℃とし、合成
例1の記載同様の乾燥アルゴンガスによる内部雰囲気の
置換操作を1回行った後、前記の原料液Bに約0.5m
Lのn−ヘキサンを加えて溶液とし、これを反応系に注
射器で加え、原料液Bの入っていたガラス瓶内壁をn−
ヘキサン(2mL)で洗った洗液を同様に反応系に加え
た。反応系はその後90分間減圧してn−ヘキサンを留
去した。次いで反応系内温を210℃とし、前記の乾燥
アルゴンガスによる内部雰囲気の置換操作を3回行い、
ここに前記の原料溶液Cを31分間で滴下した後、反応
系の温度設定を90℃として約40分間かけて反応系内
温を90℃に到達せしめ、1時間90℃を保った後に熱
源を除去して乾燥アルゴンガス雰囲気下室温で一晩放置
した。翌日、反応系を更に90℃で4時間加熱し、60
℃まで放冷したところで無水n−ブタノール(3.3m
L)を加えて室温まで冷却した。この反応液を合成例1
同様に無水メタノール(35mL)中に室温で注入し5
分間攪拌した。これを遠心分離(4000rpm)した
ところ上澄み液と黄色い沈殿物を得たので、デカンテー
ションにより該沈殿物を分取しこれを精製トルエン(2
mL)に溶解した。このトルエン溶液を無水メタノール
/無水n−ブタノールの2/1容量比混合液(30m
L)中に室温で注入し5分間攪拌した後、遠心分離(3
000rpm)し、上澄み液をデカンテーションにより
除去してと黄色い固体沈殿を得た。この固体を室温で乾
燥窒素気流下乾燥し、室温で一晩真空乾燥して黄色固形
粉体(120mg)を得た。こうして得た黄色固形粉体
はクロロホルムに可溶であり、その溶液は波長365n
mの水銀灯の紫外線照射によりオレンジ色の発光を与え
た。この半導体結晶粒子を、以下CdS/ZnS−TO
POと略記する。 合成例3[CdSe結晶粒子の合
成]空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための
熱電対を装着した無色透明のパイレックスガラス製3口
フラスコにTOPO(4g)を入れ、マグネチックスタ
ーラーで攪拌しながら乾燥アルゴンガス雰囲気で360
℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボック
ス内で、セレン(単体の黒色粉末;0.1g)をTBP
(4.38g)に溶解した液体に更にジメチルカドミウ
ム(Strem Chemical社;97%;0.2
16g)を混合溶解した原料溶液Aを、ゴム栓(Ald
rich社から供給されるセプタム)で封をしアルミニ
ウム箔ですき間なく包んで遮光したガラス瓶中に調製し
た。この原料溶液Aの一部(2.0mL)を、前記のT
OPOの入ったフラスコに注射器で一気に注入し、この
時点を反応の開始時刻とした。反応開始20分後に熱源
を除去し約50℃に冷却された時点で精製トルエン(2
mL)を注射器で加えて希釈し、メタノール(10m
L)を注入して不溶物を生じさせた。この不溶物を遠心
分離(3000rpm)し、デカンテーションにより上
澄み液を除去して分離し、室温にて約14時間真空乾燥
して固形粉体を得た。これを以下CdSe−TOPOと
略記する。この固形粉体のXRDスペクトルにおいて、
Wurtzite型CdSe結晶の002面及び110
面に帰属される回折ピークを観測されることからCdS
e結晶粒子の生成が確認される。また、このCdSe結
晶粒子の数平均粒径は、TEM観察によれば約4nmと
なる。このCdSeナノ結晶は、精製トルエン溶液にお
いて、400nm波長の励起光を照射すると赤色域の発
光帯を与えた。
【0089】合成例4[11−メルカプトウンデカン酸
とトリエチレングリコールモノメチルエーテル(以下M
TEGと略)のエステル化] 11−メルカプトウンデカン酸(1.70g)と東京化
成(株)から供給されたトリエチレングリコールモノメ
チルエーテル(以下MTEGと略記:50mL)、及び
濃硫酸(国産化学(株);5滴)を乾燥窒素雰囲気のフ
ラスコ内に混合し、60℃で攪拌しながら30mmHg
以下の圧力での減圧脱水を延べ約36時間行った。反応
液を大量の氷水に攪拌しながら徐々に加えて得た析出物
をn−ヘキサン/酢酸エチル(5/1容量比、共に純正
化学(株))混合溶媒で抽出し、この有機相を飽和重曹
水、次いで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後濾過
して濃縮し、室温で真空乾燥した。この生成物の密度は
23℃において1.009であった。またこの生成物
は、IRスペクトルにおいて1730cm-1にエステル
基、及び2870cm-1のピークと2820cm-1の肩
を含む3050〜2650cm-1にかけてのブロードな
領域にMTEG由来の炭化水素構造にそれぞれ帰属され
る吸収帯を与えたこと、1H−NMRスペクトルにおい
て4.23ppmにエステル基の酸素原子に隣接するメ
チレン基プロトン(トリプレット、J=5.0Hz、積
分値は2プロトン)のシグナルを与えたこと、更に13
−NMRスペクトルにおいて173.8ppmにエステ
ル基のカルボニル炭素のシグナルを与えたことから、1
1−メルカプトウンデカン酸のMTEGエステル(以下
11−MTEGと略記)の構造を確認した。
【0090】合成例5[11−MTEGを配位子として
含有する半導体超微粒子の合成] 合成例2で得たCdS/ZnS−TOPO(約100m
g)と合成例4で得た11−MTEG(約150mg)
をエタノール(2mL)中70℃で攪拌した。約1時間
後には均一な溶液となったので濃縮し、n−ヘキサン
(20mL)を加えて市販の超音波洗浄機での超音波照
射を約10秒間行って十分に分散し、次いで遠心分離
(4000rpm×3分間)し、デカンテーションによ
り液体を除いた。得られた沈殿物は精製トルエン(2m
L)に溶解してn−ヘキサン(20mL)中に注入し再
沈殿させた。これを前記同様の遠心分離とデカンテーシ
ョンにより分離し、再度同様のトルエン溶解からデカン
テーションまでの精製操作を繰り返し真空乾燥して超微
粒子を得た。これを以下CdS/ZnS−MTEGと略
記する。合成例2で得たCdS/ZnS−TOPOはエ
タノールに実質的に不溶性なので、その有機配位子の主
体と考えられるTOPOが11−MTEGにより置換さ
れたためエタノール可溶性となったものと考えられた。
前記条件のTG測定で、こうして得たCdS/ZnS−
MTEGは69重量%の残渣を与えたので有機配位子量
は約31重量%と考えられ、また、合成例2で得たCd
S/ZnS−TOPOと実質的に同一の吸発光特性を示
すものである。
【0091】[実施例] 実施例1:コアシェル型CdS結晶粒子を含有する高分
子組成物からなる薄膜状成形体(その1) 合成例2で得たCdS/ZnS−TOPO(5mg)と
Aldrich社から供給された平均分子量が約16万
であるP4VP(0.5mg)をピリジン(25μL)
に溶解し、これをスピンコーティング法(1000rp
m)により石英ガラス基板上に塗布乾燥して薄膜状成形
体を得た。この薄膜状成形体の吸収スペクトルは412
nmにピークを与えた。この薄膜状成形体の平均膜厚は
約2.5μmであり、平坦性と膜厚均一性が非常に優れ
ていた。前記の吸収スペクトルにおいて470nmより
長波長側に干渉縞が見られたことからも平坦性と膜厚均
一性が非常に優れていることがわかった。入射光波長5
75nmにおける光線透過率は88%であった。また、
366nmで励起した場合の発光スペクトルは439n
mと570nmにピークを持っていた。この薄膜状成形
体中の半導体結晶粒子の含有量は約40体積%である。
【0092】実施例2:CdSe結晶粒子を含有する高
分子組成物からなる薄膜状成形体 合成例3で得たCdSe−TOPO(2mg)とP4V
P(0.2mg)をピリジン(20μL)に溶解し、こ
れをスピンコーティング法(1000rpm)により石
英ガラス基板上に塗布乾燥して薄膜状成形体を得た。こ
の薄膜状成形体の吸収スペクトルは555nmにピーク
を持っていた。この薄膜状成形体の平均膜厚は約0.6
μmであり、平坦性と膜厚均一性が非常に優れていた。
入射光波長700nmにおける光線透過率は89%であ
った。また、365nmで励起した場合の発光スペクト
ルは570nmにピークを持っていた。この薄膜状成形
体中の半導体結晶粒子の含有量は約35体積%である。
【0093】実施例3:コアシェル型CdS結晶粒子を
含有する高分子組成物からなる薄膜状成形体(その2) 合成例5で得たCdS/ZnS−MTEG(2mg)と
P4VP(0.04mg)をTHFとピリジンの混合溶
媒(体積1:1)(20μL)に溶解し、これをスピン
コーティング法(1000rpm)により石英ガラス基
板上に塗布乾燥して薄膜状成形体を得た。この薄膜状成
形体の吸収スペクトルは413nmにピークを持ってい
た。この薄膜状成形体の膜厚は0.6μmであり、平坦
性と膜厚均一性が非常に優れていた。入射光波長590
nmにおける光線透過率は89%であった。この薄膜状
成形体中の半導体結晶粒子の含有量は約30体積%であ
る。
【0094】[比較例] 比較例1:不透明な塗布膜 合成例2で得たCdS/ZnS−TOPOをトルエンに
溶解し、これを実施例1同様に石英ガラス基板上に塗布
乾燥したが、目視観察で不透明で容易に微粉化する塗布
膜のみが得られた。
【0095】比較例2:不透明な高分子マトリクス塗布
膜(その1) 合成例2で得たCdS/ZnS−TOPOとPMMA
(東京化成(株)、平均重合度7000〜7500)と
を99/1(重量比)でトルエンに溶解し、これを実施
例1同様に石英ガラス基板上に塗布乾燥したが、目視観
察で不透明で容易に微粉化する塗布膜のみが得られた。
【0096】比較例3:不透明な高分子マトリクス塗布
膜(その2) 比較例2においてCdS/ZnS−TOPOとPMMA
の比を50/50(重量比)として同様の操作を行った
が、PMMAをマトリクスとする目視観察で濁った膜が
得られた。 比較例4:不透明な高分子マトリクス塗布膜(その3) 比較例3においてPMMAの代わりにポリスチレン(A
ldrich社、Polystyrene stand
ard,分子量20万)を使用し、CdS/ZnS−T
OPO及びポリスチレンをそれぞれ25重量部及び75
重量部使用して同様の操作を行ったところ、ポリスチレ
ンをマトリクスとする目視観察で濁った膜が得られた。
【0097】比較例5:不透明な高分子マトリクス塗布
膜(その4) 合成例2で得たCdS/ZnS−TOPOとポリ(2−
ビニルピリジン)(P2VP)を10/1(重量比)で
ピリジンに溶解し、これを実施例1同様に石英ガラス基
板上に乾燥塗布したが、目視観察で濁った膜が得られ
た。これはP2VPが有する2−ピリジル基の窒素原子
の位置がP2VP高分子鎖に近く、立体障害の影響でC
dS/ZnS表面にピリジル基がうまく配位しないこと
が一因と考えられた。
【0098】
【発明の効果】本発明の高分子組成物は、半導体結晶粒
子を高濃度で含有し、且つ透明性に優れるものであり、
容易に薄膜状成形体を与えることができる。これらは、
該半導体結晶粒子の吸発光能や高屈折率性を有すると共
にマトリクスの必須成分であるポリ(4−ビニルピリジ
ン)の親水性の効果による帯電抑制効果にも優れるもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/5313 C08K 5/5313 7/00 7/00 G11B 7/24 538 G11B 7/24 538A Fターム(参考) 4F070 AA38 AC11 AC14 AC20 AC46 AC50 AC55 AC66 AD07 AE05 AE06 AE28 FA04 4F071 AA37 AB00 AC15 AD07 AE15 AE16 AF30 AF38 AH12 AH19 BA02 BC01 4J002 BJ001 DA006 DA116 DC006 DD026 DE046 DE136 DF016 DG026 DG066 DH006 DJ006 DK006 DM006 EU047 EW146 FA116 FB066 FB076 FB266 FD010 FD106 FD116 GH00 GL00 GP00 GP01 GS02 HA05 5D029 MA02 MA39

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均粒径0.5〜30nmの半導体結
    晶粒子とポリ(4−ビニルピリジン)とを含有してなる
    組成物であって、該半導体結晶粒子の含有量が該組成物
    中10〜60体積%である高分子組成物。
  2. 【請求項2】 半導体結晶粒子が有機配位子を結合した
    ものである請求項1に記載の高分子組成物。
  3. 【請求項3】 有機配位子としてトリアルキルホスフィ
    ンオキシド類を含有する請求項2に記載の高分子組成
    物。
  4. 【請求項4】 半導体結晶粒子が周期表第12族元素を
    含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の高
    分子組成物。
  5. 【請求項5】 周期表第12族元素が亜鉛である請求項
    4に記載の高分子組成物。
  6. 【請求項6】 半導体結晶粒子が亜鉛を含有する半導体
    結晶のシェルを有するコアシェル構造をなすものである
    請求項1〜5のいずれかに記載の高分子組成物。
  7. 【請求項7】 半導体結晶粒子とポリ(4−ビニルピリ
    ジン)とを溶媒中で混合して組成物溶液を調製する第1
    工程、該組成物溶液から溶媒を除去する第2工程を有す
    る、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子組成物の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 溶媒としてピリジンを使用する請求項7
    に記載の高分子組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子
    組成物からなる薄膜状成形体。
  10. 【請求項10】 固体基板上に半導体結晶粒子とポリ
    (4−ビニルピリジン)とを含有する組成物溶液を塗布
    し、その後該組成物溶液から溶媒を除去する、請求項9
    に記載の薄膜状成形体の製造方法。
JP2001048064A 2001-02-23 2001-02-23 半導体結晶粒子を含有する高分子組成物及びその薄膜状成形体 Pending JP2002249633A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001048064A JP2002249633A (ja) 2001-02-23 2001-02-23 半導体結晶粒子を含有する高分子組成物及びその薄膜状成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001048064A JP2002249633A (ja) 2001-02-23 2001-02-23 半導体結晶粒子を含有する高分子組成物及びその薄膜状成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002249633A true JP2002249633A (ja) 2002-09-06

Family

ID=18909386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001048064A Pending JP2002249633A (ja) 2001-02-23 2001-02-23 半導体結晶粒子を含有する高分子組成物及びその薄膜状成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002249633A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003147090A (ja) * 2001-11-14 2003-05-21 Mitsubishi Chemicals Corp ナノ粒子含有熱可塑性樹脂組成物成形体及びその製造方法
JP2008188573A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Toyota Central R&D Labs Inc 微粒子の製造方法
JP2010506343A (ja) * 2006-10-13 2010-02-25 トムソン ライセンシング 超解像近接場構造を伴うマスク層を備える光学記憶媒体
US7767284B2 (en) 2004-04-28 2010-08-03 Ricoh Company, Ltd. Optical recording medium, and, method for manufacturing the same, and method and apparatus for optical recording and reproducing thereof
CN110691836A (zh) * 2017-06-08 2020-01-14 默克专利股份有限公司 包含具有硫醇官能表面配体的半导体发光纳米粒子的组合物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003147090A (ja) * 2001-11-14 2003-05-21 Mitsubishi Chemicals Corp ナノ粒子含有熱可塑性樹脂組成物成形体及びその製造方法
US7767284B2 (en) 2004-04-28 2010-08-03 Ricoh Company, Ltd. Optical recording medium, and, method for manufacturing the same, and method and apparatus for optical recording and reproducing thereof
JP2010506343A (ja) * 2006-10-13 2010-02-25 トムソン ライセンシング 超解像近接場構造を伴うマスク層を備える光学記憶媒体
JP2008188573A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Toyota Central R&D Labs Inc 微粒子の製造方法
CN110691836A (zh) * 2017-06-08 2020-01-14 默克专利股份有限公司 包含具有硫醇官能表面配体的半导体发光纳米粒子的组合物
KR20200016328A (ko) * 2017-06-08 2020-02-14 메르크 파텐트 게엠베하 티올 관능 표면 리간드를 갖는 반도체 발광 나노입자를 포함하는 조성물
JP2020523444A (ja) * 2017-06-08 2020-08-06 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングMerck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung チオール官能性の表面配位子を有する半電導性発光ナノ粒子を含む組成物
CN110691836B (zh) * 2017-06-08 2024-02-23 默克专利股份有限公司 包含具有硫醇官能表面配体的半导体发光纳米粒子的组合物
KR102652514B1 (ko) 2017-06-08 2024-03-28 메르크 파텐트 게엠베하 티올 관능 표면 리간드를 갖는 반도체 발광 나노입자를 포함하는 조성물

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20040007169A1 (en) Semiconductor nanoparticles and thin film containing the same
JP2002121549A (ja) 半導体超微粒子
KR101821086B1 (ko) 티오에테르 리간드를 포함하는 복합 나노입자
JP2003286292A (ja) 半導体超微粒子及びそれを含有してなる薄膜状成形体
EP2371926B1 (en) Light emitting device including quantum dot-block copolymer hybrid and fabrication method thereof
JP3932866B2 (ja) 重合性液体組成物
JP2003064278A (ja) コアシェル型半導体ナノ粒子
Zhang et al. Synthesis of transparent ZnO/PMMA nanocomposite films through free-radical copolymerization of asymmetric zinc methacrylate acetate and in-situ thermal decomposition
TW201835296A (zh) 半傳導性發光奈米顆粒
JP7395487B2 (ja) 半電導性ナノ粒子
JP4750051B2 (ja) 光学部材用架橋樹脂組成物及び光学部材
KR102243623B1 (ko) 페로브스카이트 나노입자 제조방법 및 이에 의해 제조된 페로브스카이트 나노입자를 포함하는 광전자소자
JP2003155355A (ja) 超微粒子を含有する樹脂組成物成形体
JP2003138033A (ja) 半導体結晶粒子を含有する薄膜状成形体、及びその用途
JP3829634B2 (ja) 面状樹脂成形体の製造方法
JP2003183414A (ja) 超微粒子を含有する架橋樹脂組成物成形体
US20060199900A1 (en) Resin composition containing ultrafine particles
JP2003147090A (ja) ナノ粒子含有熱可塑性樹脂組成物成形体及びその製造方法
JP2003155415A (ja) 超微粒子を含有する樹脂組成物及びその成形体
JP2002162501A (ja) 半導体結晶粒子を含有する薄膜状成形体、及びその用途
JP2002020740A (ja) 超分岐構造配位子を有する半導体結晶超微粒子
JP2002121548A (ja) エタノール可溶性半導体超微粒子の製造方法
JP2002249633A (ja) 半導体結晶粒子を含有する高分子組成物及びその薄膜状成形体
JP2002053319A (ja) 硫化物シェルを有するカルコゲン化亜鉛半導体超微粒子
JP2002104842A (ja) 半導体超微粒子を含有するガラス組成物