JP2008266620A - チオール変性単量体混合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記一般式(3)及び/又は(4);
【化1】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、有機残基を表す。AGは、少なくとも1種の炭素数2〜18のアルキレングリコール基を含む有機残基を表す。R3は、水素原子又は有機残基を表す。)で表される構造を有するチオール変性単量体と、該チオール変性単量体の多量化物とを含むチオール変性単量体混合物である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、セメント混和剤の使用量をより低減するために、更に高い分散性能を発揮することができるセメント混和剤の開発が求められていた。
しかしながら、これらの重合体は、昨今要望される極めて高度のセメント分散性(減水性)を充分に発揮できる程度には至っていない。したがって、セメント混和剤の用途にも好適なものとすることによって、より多くの分野に有用な化合物とするための工夫の余地があった。また、このような有用な化合物を、より効率よく製造できるようにするための工夫の余地があった。
本発明はまた、上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体を含む分散剤でもある。
本発明は更に、上記チオール変性単量体混合物及び/又は上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体を含むセメント混和剤でもある。
本発明はそして、セメントと、上記チオール変性単量体混合物及び/又は上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体とを含むセメント組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、上記R1及びR2は、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホニル基、ニトロ基、ホルミル基等で一部置換されていてもよい。
上記R3はまた、セメント粒子の分散性の観点から親水性基であることが好ましく、具体的には、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることが好適である。より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。
中でも、上記AGで表される有機残基が、該有機残基100質量%に対し、オキシエチレン基を75質量%以上含む態様であることが好適であり、かかる構成により、チオール変性単量体はより高い親水性を有することとなる。
これらを考慮すると、上記オキシアルキレン鎖中における炭素数3以上のオキシアルキレン基の割合は、当該オキシアルキレン鎖100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
なお、本発明のチオール変性単量体の用途によっては、炭素数3以上のオキシエチレン基を含まない態様が好ましい場合もある。
その他にも、2分子以上の原料ポリアルキレンオキシド化合物を2官能以上の化合物と反応させることで得ることができる。反応方法は、原料ポリアルキレンオキシド化合物の持つ官能基によって適宜選ばれ、特に限定されるものではないが、例えば、下記の方法が挙げられる。なお、下記反応方法の2種以上を組み合わせてもよい。
カルボキシル基を有する原料ポリアルキレンオキシド化合物をアルコール化合物でエステル化する手法;カルボキシル基を有する原料ポリアルキレンオキシド化合物をアミン化合物でアミド化する手法;水酸基を有する原料ポリアルキレンオキシド化合物をカルボン酸化合物又はその無水物でエステル化する手法;水酸基を有する原料ポリアルキレンオキシド化合物をイソシアネート化合物でウレタン化する手法;アミノ基を有する原料ポリアルキレンオキシド化合物をカルボン酸化合物でアミド化する手法;アミノ基を有する原料ポリアルキレンオキシド化合物に(メタ)アクリレート化合物を付加反応させる手法;水酸基又はアミノ基を有する原料ポリアルキレンオキシド化合物にエポキシ化合物を付加反応させる手法等。
上記一般式(3)又は(4)で表される化合物において、AGが、チオール残基とカルボニル基とを介してとり得る結合態様は、エステル結合、アミド結合又はケトン型の結合が挙げられるが、AGは、それぞれに対応して、水酸基残基、アミノ基残基又は炭化水素残基を有することになる。中でも、チオール変性単量体の合成の容易さという観点から、水酸基残基、アミノ基残基を持つことが好ましく、水酸基残基を持つことがより好ましい。
なお、本発明のチオール変性単量体混合物をセメント混和剤成分の製造のために用いる場合には、セメント粒子との親和性の観点から、AOは主として炭素数2〜8程度の比較的短鎖のオキシアルキレン基であることが好ましい。より好ましくは、主として炭素数2〜4のオキシアルキレン基であることであり、更に好ましくは、主として炭素数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)であるである。特に好ましくは、−(AO)n−で表されるオキシアルキレン鎖を構成する全オキシアルキレン基100質量%に対し、オキシエチレン基を75質量%以上含む態様である。かかる構成により、チオール変性単量体はより高い親水性を有することとなる。
これらを考慮すると、上記オキシアルキレン鎖中における炭素数3以上のオキシアルキレン基の割合は、当該オキシアルキレン鎖100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
なお、本発明のチオール変性単量体の用途によっては、炭素数3以上のオキシエチレン基を含まない態様が好ましい場合もある。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基、アルキルグリシジルエーテル残基等が挙げられる。中でも、製造の容易さからオキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基の導入量としては、求められる耐加水分解性の程度によるが、−(AO)m−の両末端に対して、導入量が50%以上であることが好ましくい。より好ましくは100%以上であり、更に好ましくは150%以上であり、特に好ましくは200%以上である。
また付加反応の際の反応温度は、二級アルコール基の導入率を高めるために50〜200℃であることが好ましい。より好ましくは70〜170℃、更に好ましくは90〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。
また本発明のチオール変性単量体混合物が上記一般式(4)で表されるモノチオール変性体を主成分とする場合、モノチオール変性体の好ましい含有量は、チオール変性単量体混合物を使用する目的によって異なるため特に制限されるものではないが、例えば、チオール変性単量体混合物100質量%中、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上である。
上記多量化物としては、例えば、下記一般式(3’’) ;
これらのチオール変性単量体混合物は、いずれも、チオール変性単量体の含有量が多いことから、分散性に優れたセメント混和剤成分を製造するための有用な組成物となる。
これらのチオール変性単量体混合物のうち、どのチオール変性単量体混合物を準備し、メント混和剤成分を製造するかは、実施者が有する設備やコストを勘案して適宜選択すればよい。
なお、このようなチオール変性単量体の製造方法により、上記チオール変性単量体と多量化物とを含む混合物を得ることができるため、当該チオール変性単量体の製造方法は、上記チオール変性単量体と多量化物とを含む本発明の単量体混合物の製造方法でもある。
(i)第一級、第二級のアルキルハロゲン化物やスルホン酸エステルと各種の硫黄化剤とによる置換反応を利用する合成法。
(ii)二重結合にチオ酢酸、チオ安息香酸を付加した後、加水分解してチオールを得る方法(付加反応を利用する合成法)。
(iii)ジスルフィド等の還元反応を利用する合成法。
上記チオール変性単量体混合物の製造方法において、アルキレングリコール基を含む有機残基を有する化合物(以下、単に「アルキレングリコール基含有化合物」ともいう。)としては、ポリアルキレングリコールや、このポリアルキレングリコールにカルボキシル基を導入した化合物等が挙げられる。ポリアルキレングリコールは、市販のものを使用してもよいし、アルキレンオキシドの1種以上を水又はアルコールと反応させて合成して得てもよい。
上記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のアルコールが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、上記チオール基含有化合物としては、1分子中にカルボキシル基とメルカプト基とを有する化合物であることが好適であり、特に、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプトイソブチル酸が好ましい。
上記エステル化の反応時間は、用いる酸触媒の種類や量、アルキレングリコール基含有化合物とチオール基含有化合物との混合比、及び、溶液濃度等に応じて適宜設計すればよい。
(1)アルキレングリコール基含有化合物由来の反応に供される水酸基、カルボキシル基等の官能基量に対して、チオール基含有化合物由来の水酸基やカルボキシル基をモル比で大過剰とする。具体的には、反応速度の観点から、モル比は好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、製造コストの観点から、好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下である。この方法により、短時間で純度良くチオール変性単量体を得ることができる。反応後の粗生成物はそのまま用いてもよいが、必要に応じて精製し、未反応物を除去してもよい。
得られた反応粗生成物の固化物は、そのまま乾燥してチオール変性単量体混合物として用いてもよいが、得られた反応粗生成物に未反応のチオール基含有化合物等の不純物が含まれ、これらを除去して本発明のチオール変性単量体混合物を精製する必要がある場合には、例えば、反応粗生成物の固化物を乾燥・粉砕した後、チオール基含有化合物等の不純物は溶解するもののチオール変性単量体は溶解しない溶剤、例えばジエチルエーテル等を用いて固化物を洗浄してもよい。
なお、多量化物量は、チオール変性単量体混合物又はその溶液の粘度が低いことが求められる場合、少ないほうが好ましい。
また多量化物は、チオール変性単量体又はその混合物から、様々な方法で合成することができる。例えば、チオール変性単量体のチオール基を、熱、光、放射線、ラジカル発生剤等を用いてラジカル化させ、硫黄ラジカル経由でジスルフィド化させたり、酸化剤で処理したり、アルカリで処理し、硫黄アニオン経由でジスルフィド化させる等の方法が挙げられる。
すなわち、原料のアルキレングリコール基含有化合物とチオール基含有化合物の反応には、通常加熱が必要である。一方、反応混合物を加熱すれば、反応混合物中のチオール変性単量体のチオール基から熱ラジカルが発生し、多量化が起こり得る。そこで、ラジカル捕捉能を持つ酸化防止剤を添加することによって、かかる多量化を効果的に抑制するのである。
上記酸化防止剤の添加は、例えば、エステル化反応工程時や、脱溶媒工程時や、精製工程時のいずれの段階でなされてもよく、各工程の途中でなされてもよい。
このように、上記チオール変性単量体混合物が、酸化防止剤を質量比で10〜5000ppm含む形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
なお、多量化物を取り除く工程の追加は製造コストの高騰を招くこととなることから、多量化物を含有するチオール変性単量体混合物をそのまま、例えば、後述する重合体の調製等に利用してもよい。
このような重合体は、上記チオール変性単量体由来のポリアルキレングリコール鎖(ポリアルキレングリコール鎖(1))と、該ポリアルキレングリコール鎖(1)の少なくとも一端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有する構造を持つことになる。
上記R10はまた、セメント粒子の分散性の観点から親水性基であることが好ましく、具体的には、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることが好適である。より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。
これらを考慮すると、上記オキシアルキレン鎖中における炭素数3以上のオキシアルキレン基の割合は、当該オキシアルキレン鎖を構成する全オキシアルキレン基100モル%に対し、1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5モル%以上、特に好ましくは7モル%以上であり、また、50モル%以下であることが好ましく、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、導入の容易さ、セメント粒子との親和性等の観点から、炭素数3〜8のオキシアルキレン基が好適である。より好ましくは、炭素数3のオキシプロピレン基や炭素数4のオキシブチレン基等である。
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と、炭素数1〜20のアルキルアルコール、炭素数2〜18のグリコール若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコール、又は、炭素数1〜20のアルキルアルコールに炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加してなるアルキレンオキシドの付加モル数2〜300のアルコキシポリアルキレンオキシドとのモノエステル、ジエステル類;
上記不飽和ジカルボン酸類と、炭素数1〜20のアルキルアミン及び炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、又は、これらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのモノアミド、ジアミド類;
上記不飽和モノカルボン酸と、炭素数1〜20のアルキルアミン及び炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、又は、これらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのアミド類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアルキルアミド、メタクリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;
ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の不飽和アミノ化合物類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等の炭素数3〜20のアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
スチレン等の芳香族ビニル類;等。
ここで、ポリアルキレングリコール鎖(1)の量と、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の使用量との関係は、(単量体(a)+単量体(b)+単量体(c))の和を100%とした際のポリアルキレングリコール鎖(1)の比率(単位は質量%)として表すと、単量体(a)が主成分である場合には、50〜99であることが好ましく、より好ましくは55〜95、更に好ましくは60〜90、特に好ましくは65〜85である。また、単量体(b)が主成分である場合には、0.5〜50であることが好ましく、より好ましくは1〜45、更に好ましくは2〜40、より更に好ましくは3〜35、特に好ましくは4〜30、最も好ましくは5〜25である。
この場合、n個のオキシアルキレン基からなるポリアルキレングリコール鎖(1)の片末端又は両末端に、硫黄原子を介して、単量体(a)由来のカルボキシル基を有する構成単位と、単量体(b)由来のp個のオキシアルキレン基からなるポリアルキレングリコール鎖(2)を有する構成単位と、単量体(c)を使用した場合には更に単量体(c)由来の構成単位とを有する重合体が主として生成する。それ以外に、上記重合体の構造が2回又はそれ以上繰り返されている重合体や、単量体(a)由来のカルボキシル基を有する構成単位と、単量体(b)由来のp個のオキシアルキレン基からなるポリアルキレングリコール鎖(2)を有する構成単位と、単量体(c)を使用した場合には更に単量体(c)由来の構成単位とを有する重合体が副次的に生成する。更に、単量体(a)と単量体(b)との重合体や、単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)との重合体が生成することもある。
上記重合開始剤の使用量は、上記チオール変性単量体混合物の種類や量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤が重合する単量体に対して少なすぎると、ラジカル濃度が低すぎて重合反応が遅くなり、逆に多すぎると、ラジカル濃度が高すぎて、メルカプト基やジスルフィド結合からの重合より単量体からの重合が優先し、ブロックポリマーの収率が充分とはならないおそれがある。それゆえ、ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体成分100モル%に対して、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.01モル%以上、更に好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは0.2モル%以上であり、また、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは2モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物、2,4’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)と(アルコキシ)ポリエチレングリコールとのエステル等のマクロアゾ化合物等の水溶性アゾ開始剤;等が使用される。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合開始剤のうち、メルカプト基やジスルフィド結合からラジカルを発生させやすい水溶性アゾ開始剤が好適である。
なお、上記連鎖移動剤としては、1種又は2種以上使用することができ、また、親水性連鎖移動剤と疎水性連鎖移動剤とを組み合わせて用いてもよい。
また単量体成分の反応容器への添加方法としては特に限定されず、例えば、全量を反応容器に初期に一括投入する方法;全量を反応容器に分割又は連続投入する方法;一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割又は連続投入する方法;のいずれであってもよい。また、ラジカル重合開始剤や連鎖移動剤は、反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また、目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素等の不活性ガスを加圧充填後、密閉容器内の圧力を下げることで溶媒中の酸素の分圧を低くする。窒素気流下で、密閉容器内の圧力を下げてもよい。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素等の不活性ガスで置換したまま液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に窒素等の不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素等の不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素等の不活性ガスを混合する。
従って、低いpHで重合反応を行った後にアルカリ性物質を添加してより高いpHに調整することが好ましい。
なお、このように上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール重合体を含む分散剤もまた、本発明の1つである。また、上記チオール変性単量体混合物及び/又は上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール重合体を含むセメント混和剤もまた、本発明の1つである。
上記セメント混和剤中における上記重合体の配合量は、所望の分散性能に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、固形分換算で、セメント混和剤の全質量100質量%に対して、50質量%以上であることが好適である。より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
上記セメント混和剤にはまた、必要に応じて、上記重合体以外に、ポリカルボン酸系重合体を配合してもよい。その際、配合量は、上記重合体/ポリカルボン酸系重合体の比率(単位は質量%)で、90/10〜10/90とすることが好適である。より好ましくは80/20〜20/80、更に好ましくは70/30〜30/70、特に好ましくは60/40〜40/60である。
この場合にも、ポリカルボン酸系重合体を配合してもよい。その際、配合量は、上記単量体混合物/ポリカルボン酸系重合体の比率(単位は質量%)で、90/10〜10/90とすることが好適である。より好ましくは80/20〜20/80、更に好ましくは70/30〜30/70、特に好ましくは60/40〜40/60である。
なお、上記セメント混和剤が、上記重合体及び上記単量体混合物を含む場合、その含有量は、上記単量体混合物と上記重合体の総量として上述した範囲となることが好適であり、また、ポリカルボン酸系重合体との配合量も、上記単量体混合物と上記重合体のとの総量として上述した範囲となることが好ましい。
上記スルホン酸系混和剤は、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発によりセメントに対する分散性を発現する混和剤であって、従来公知の各種スルホン酸系混和剤を用いることができるが、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等の各種スルホン酸系混和剤が挙げられる。水/セメント比が高いコンクリートの場合には、リグニンスルホン酸塩系の混和剤が好適に使用され、一方、より高い分散性能が要求される水/セメント比が中程度のコンクリートの場合には、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系、芳香族アミノスルホン酸塩系、ポリスチレンスルホン酸塩系等の混和剤が好適に使用される。なお、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系混和剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
上記オキシカルボン酸系化合物としては、炭素数4〜10のオキシカルボン酸又はその塩が好ましく、オキシカルボン酸系化合物としてグルコン酸又はその塩を使用することが好ましい。
(1)水溶性高分子物質
(2)高分子エマルジョン
(4)早強剤・促進剤
(5)オキシアルキレン系以外の消泡剤
(6)AE剤
(7)その他界面活性剤
(8)防水剤
(9)防錆剤
(10)ひび割れ低減剤
(11)膨張材
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、該セメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含有する。このようなセメント組成物もまた、本発明の1つである。すなわち、セメントと、上記チオール変性単量体混合物及び/又は上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体とを含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
本明細書に記載の各略号について、表1−1〜1−3に示す。
原料PAGは、下記条件で数平均分子量(Mn)を分析し、このMnから、PAG中のオキシアルキレン基(AO)の平均付加モル数(AO繰り返し単位数)を算出した。ただし、表2中のPAG No.G−1については、物質収支からMnを計算した。また、実施例で得た本発明重合体及び比較例で得た比較重合体の重量平均分子量及び数平均分子量は、以下のような測定条件を用いて測定した。
装置:Waters Alliance(2695);
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション;
使用カラム:東ソー(株)製、TSK guard column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL;
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996);
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に酢酸でpH6.0に調整した溶液を使用した;
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、107000、50000、24000、12600、7100、4250、1470);
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成した;
流量:1.0mL/min;
カラム温度:40℃;
測定時間:45分;
試料液注入量:100μL(PAG、チオール変性単量体は試料濃度0.4質量%、重合体は試料濃度0.5質量%の溶離液溶液)。
RIクロマトグラムにおいて、溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ピークを検出・解析した。多量体や不純物が目的ピークに一部重なって測定された場合は、ピークの重なり部分の最凹部において垂直分割し、目的物の分子量を測定した。アルキレンオキシド(AO)の平均付加モル数(繰り返し単位数)は、Mnの値から計算した。
RIクロマトグラムにおいて、溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ピークを検出・解析した。多量体や不純物が目的物ピークに一部重なって検出された場合は、ピークの重なり部分の最凹部において垂直分割し、目的物の分子量を測定した。
単量体純分量及び多量化物量の計算;
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
単量体純分量=(チオール変性単量体面積)/(多量化物ピーク面積+チオール変性単量体面積)
多量化物量=(多量化物ピーク面積)/(多量化物ピーク面積+チオール変性単量体面積)
得られたRIクロマトグラムにおいて、ポリマー溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ポリマーを検出・解析した。ただし、単量体、単量体由来の不純物、チオール変性単量体由来と思われる低分子量体ピーク等がポリマーピークに一部重なって測定された場合、それらとポリマーの重なり部分の最凹部において垂直分割して重合体部と単量体部とを分離し、重合体部のみの分子量・分子量分布を測定した。重合体部とそれ以外が完全に重なり分離できない場合はまとめて計算した。
重合体純分の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
重合体純分=(重合体ピーク面積)/(重合体ピーク面積+重合体以外のピーク面積)
得られたRIクロマトグラムにおいて、重合体溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、重合体を検出・解析した。ただし、単量体、二量体、チオール変性単量体混合物由来と思われる低分子量体ピークなどが重合体ピークに一部重なって測定された場合、それらと重合体の重なり部分の最凹部において垂直分割して重合体部とモノマー部を分離し、重合体部のみの分子量・分子量分布を測定した。重合体部とそれ以外が完全に重なり分離できない場合はまとめて計算した。
重合体純分の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
重合体純分=(重合体ピーク面積)/(重合体ピーク面積+重合体以外のピーク面積)
LCによる分析法の一例を示す。但し、PAGチオールの構造によってはこの条件で分析できないものがあり、その際は適宜LCカラムや溶離液等の条件を変更して分析を行った。
装置:Waters Alliance(2695);
解析ソフト:Waters社製 Empowerプロフェッショナル+GPCオプション;
カラム:GLサイエンス Inertsil ODS−2 ガードカラム+カラム(内径4.6mm×250mm×3本);
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996);
溶離液:アセトニトリル/100mM酢酸イオン交換水溶液=40/60(質量%)の混合物に30%NaOH水溶液を加えてpH4.0に調整した溶液を使用した;
流量:0.6mL/min;
カラム温度:40℃;
測定時間:90分間;
試料液注入量:100μL(試料濃度1質量%の溶離液溶液)。
総エステル化率の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
総エステル化率=(モノエステルピーク面積+ジエステルピーク面積)/(原料PAG面積+モノエステルピーク面積+ジエステルピーク面積)
ジエステル/総エステル比の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
ジエステル/総エステル比=(ジエステルピーク面積)/(モノエステルピーク面積+ジエステルピーク面積)
なお、ここでのモノエステルとは、モノチオール変性単量体であり、ジエステルとは、ジチオール変性体である。
試料約0.5gをアルミ皿に量り採り、水約1gで希釈して均一に広げた。窒素雰囲気下、130℃で1時間乾燥させ、デシケーター中で放冷した後、乾燥後質量を量った。乾燥前後の質量差により固形分(不揮発分)濃度を計算した。
チオール変性単量体や、チオール変性単量体混合物、重合体の水溶液の濃度としては、特に断りがない限り、上記の手順で測定した固形分を用いた。
原料PAG(PAG No.G−1〜G−14)について、表2に示す。
表2中、No.G−1、G−7〜G−9及びG−12〜G−14のPAGは、特開2002−173593号公報に記載の方法によって合成した。
すなわち、以下のようにして合成した。なお、原料アルコールの沸点が低く減圧脱水できない場合は、別途アルコールの一部をナトリウムアルコキシドに調整して反応を行った。また、AO(アルキレンオキシド)付加数が多く反応が1段で終了できないポリアルキレングリコールについては、所定のAO付加数になるまで同様の手順を繰り返して合成した。
(1)ポリアルキレングリコールの合成法(エチレンオキシドの付加)
原料アルコール、及び、仕上がり重量に対して500ppmの水酸化ナトリウム(30%水溶液)を、攪拌器を備えた耐圧反応容器に仕込んだ。オイルバスを用いて反応系内を100℃に加温し、系内に窒素をゆっくりとバブリングしながら、真空ポンプで2時間100Torrに減圧し、水分を留去した。反応器内を150℃に加温し、窒素を導入して内圧を0.2MPaに調整した。反応器内温を150±2℃に保ちながら、所定量のエチレンオキシドを添加した。但し、反応器内圧は0.8MPaを超えないように、反応器内のエチレンオキシド分圧は50%を超えないようにした。エチレンオキシドの添加終了後、反応器内を1時間150℃に保ち、反応を完結させた。
(2)ポリアルキレングリコールの合成法(プロピレンオキシド、ブチレンオキシドの付加)
反応温度を125℃とした以外は、(1)と同様の手順で行った。
(チオール変性単量体及びチオール変性単量体混合物)
表4−1〜4−2に示すように、所定のPAG、チオール基含有化合物(1分子中にカルボキシル基又は水酸基とメルカプト基とを有する化合物)、酸触媒及び酸化防止剤を原料として、所定の仕込み量を仕込み、所定の反応温度・反応時間で、チオール変性単量体(チオール変性単量体混合物)を調製した。なお、表4−2中、「−」とは、該当する原料を添加しなかったこと、又は、該当する有機残基が存在しないことを意味する。
また表4−1中の製法1〜3は、以下の通りである。
(1)エステル化工程
ジムロート冷却管付の水分定量受器、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に原料を仕込んだ。水分定量受器をシクロヘキサン(溶媒)で満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。反応系内の温度が110±5℃になるように途中でシクロヘキサンを加えながら所定時間加温し、脱水エステル化反応を行った。
なお、反応時間は、理論脱水量への到達及び、LCとGPCの分析結果により決定した。
(2)脱溶媒工程
エステル化工程後、固化しないように撹拌しながら反応溶液を60℃以下に放冷した後、所定量の30%NaOH水溶液と水の混合物を速やかに反応器内に投入した。次に、この反応溶液を約70℃まで昇温し、還流が落ち着いてから徐々に約100℃まで加温してシクロヘキサンを留去した。溶媒留去後、加温を停止し、放冷しながら窒素を30mL/分で90分バブリングして残存シクロヘキサンを除去し、本発明のチオール変性単量体(又はチオール変性単量体混合物)の水溶液を得た。
(3)1H−NMR分析
PAGチオール(チオール変性単量体又はチオール変性単量体混合物)のエステル化工程後のサンプルを一部採取し、溶媒を重クロロホルムに置換して1H−NMRスペクトルを測定した。
(i)測定条件
機器:Varian 400MHz−NMR Unity plus
溶媒:CDCl3(TMSを0.05vol%含有)
温度:30℃
積算:32回
(ii)結果
下記表3のようになった。
(1)エステル化工程
ジムロート冷却管付の水分定量受器、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に原料を仕込んだ。水分定量受器をシクロヘキサン(溶媒)で満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。反応系内の温度が110±5℃になるように途中でシクロヘキサンを加えながら所定時間加温した。
なお、反応時間は、理論脱水量への到達及び、LCとGPCの分析結果により決定した。
(2)脱溶媒工程
エステル化工程後、固化しないように撹拌しながら反応溶液を60℃以下に放冷した後、所定量の30%NaOH水溶液を速やかに反応器内に投入した。次に、この反応溶液を室温まで放冷し、反応粗生成物を固化・ろ過して固化物を得た。この固化物を、体積比で約1.5倍のジエチルエーテルを加えて30分撹拌後、吸引ろ過して粉体を得た。この際、固化物が完全に乾燥しないように留意した。更に、得られた粉体を同様の手順で2回以上洗浄した。洗浄後の粉体を同重量程度の水に溶解し濃度を50%に調整した。続いて、室温100Torrで残存ジエチルエーテルを留去し、本発明のチオール変性単量体(又はチオール変性単量体混合物)の水溶液を得た。
(1)エステル化工程
ジムロート冷却管付の水分定量受器、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に原料を仕込んだ。水分定量受器をシクロヘキサン(溶媒)で満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。反応系内の温度が110±5℃になるように途中でシクロヘキサンを加えながら所定時間加温した。
なお、反応時間は、理論脱水量への到達及び、LCとGPCの分析結果により決定した。
(2)脱溶媒工程
エステル化工程後、固化しないように撹拌しながら60℃以下に放冷した後、所定量の30%NaOH水溶液を速やかに反応器内に投入した。次に、この反応溶液を室温まで放冷し、反応粗生成物を固化・ろ過して固化物を得た。この際、固化物はなるべく乾燥するようにした。この固化物を粉砕し、体積比で約1.5倍のジエチルエーテルを加えて30分撹拌後、吸引ろ過して粉体を得た。更に、得られた粉体を同様の手順で2回以上洗浄した。得られた粉体を室温100Torrで24時間以上乾燥し、本発明のチオール変性単量体(又はチオール変性単量体混合物)を得た。
また本発明の製造方法により、高分子量のチオール変性単量体を得ることができることも分かった。
(ポリアルキレングリコール鎖含有チオール重合体)
次に、実施例P1〜P29で得られたチオール変性単量体(チオール変性単量体混合物)を用いて、不飽和カルボン酸系単量体としての(メタ)アクリル酸と、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体としてのポリアルキレンエチレングリコール系モノマー(以下、「PEGモノマー」ともいう。)とを重合して得られる本発明の重合体の実施例について説明する。
表5−1〜5−4及び表6−1〜6−4に記載する重合条件で、重合体を合成した。各重合体についての分析結果は表5−1〜5−4に記載する通りである。
なお、これらの実施例では、重合体の組成は、SMAA換算(不飽和カルボン酸系単量体をNaOHで完全中和した場合)の質量比で表しており、チオール変性単量体及びチオール変性単量体混合物は外割で考慮しているので、合計は100%になっていない。
<製法F−1>
単量体溶液として、所定量の単量体、PAGチオール、水酸化ナトリウムの水溶液を調製した。開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の水を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。続いて、所定量の単量体溶液を4時間、開始剤溶液を5時間かけて反応器内に滴下し、滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、重合体の水溶液を得た。
単量体溶液として、所定量の単量体、水酸化ナトリウムの水溶液を調製した。連鎖移動剤溶液として、所定量のPAGチオール水溶液を調製した。開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の水を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。続いて、所定量の単量体溶液を4時間、連鎖移動剤溶液を3.5時間、開始剤溶液を5時間かけて反応器内に滴下した。滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、重合体の水溶液を得た。
単量体溶液として、所定量の単量体、水酸化ナトリウムの水溶液を調製した。連鎖移動剤溶液として、所定量のPAGチオールの水溶液を調製した。開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ガラス製反応器具内に単量体溶液を仕込み、撹拌しながら所定温度まで加温した。続いて、連鎖移動剤溶液、開始剤溶液を反応器内に全量添加し、均一に混合後、所定温度で所定時間にわたり保持して反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、重合体の水溶液を得た。
表7−1〜7−5及び表8−1〜8−5に記載する重合条件で、重合体を合成した。各重合体についての分析結果は表7−1〜7−5に記載する通りである。
なお、これらの実施例では、重合体の組成は、SAA換算(不飽和カルボン酸系単量体をNaOHで完全中和した場合)の質量比で表しており、チオール変性単量体及びチオール変性単量体混合物は外割で考慮しているので、合計は100%になっていない。
<製法I−1>
単量体/PAGチオール溶液として、所定量の単量体及びPAGチオールを含む水溶液を調整した。また、開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の単量体、水を仕込み、300rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。続いて、所定量の単量体/PAGチオール溶液、開始剤溶液を所定時間かけて反応器内に滴下した。滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、重合体の水溶液を得た。
単量体溶液として、所定量の単量体水溶液を調製した。また、所定量のPAGチオール溶液を調製した。開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の単量体、水を仕込み、300rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。続いて、所定量の単量体溶液、PAGチオール溶液、開始剤溶液を所定時間かけて反応器内に滴下した。滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、重合体の水溶液を得た。
PAGチオールとして実施例P1、P2又はP4で得られた化合物以外のものを用いたものについては、ポリアルキレングリコール鎖(1)の両末端に硫黄原子含有基を介して結合したポリマー部位を有し、該ポリマー部位が不飽和カルボン酸系単量体(メタクリル酸)由来のカルボキシル基と、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)由来のポリアルキレングリコール鎖(2)とを有する重合体(iii)を主成分とし、ポリアルキレングリコール鎖(1)の片末端に硫黄原子含有基を介して結合したポリマー部位(前記と同様の構造)を有する重合体(i)と、ポリアルキレングリコール鎖(1)の片末端に硫黄原子含有基を介して結合したポリマー部位(前記と同様の構造)を有する構成単位を、繰り返して有する重合体(ii)と、ポリマー部位(前記と同様の構造)の両末端に硫黄原子含有基を介して結合したポリアルキレングリコール鎖(1)を有する重合体(iv)とを、少量含む混合物であった。
PAGチオールとして実施例P1、P2又はP4で得られた化合物を用いたものについては、重合体(i)を主成分とし、重合体(ii)、(iii)及び(iv)を、少量含む混合物であった。
表9−1〜9−2に記載する重合条件で、重合体を合成した。各重合体についての分析結果は表9−1に記載する通りである。
なお、これらの実施例では、重合体の組成は、AA換算(不飽和カルボン酸系単量体をNaOHで完全中和した場合)の質量比で表しており、チオール変性単量体及びチオール変性単量体混合物は外割で考慮しているので、合計は100%になっていない。
(比較用重合体)
次に、PAGチオールの非存在下で、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコール系モノマー(以下「PEGモノマー」ともいう。)とを重合して得られる比較重合体の比較例について説明する。
表10−1〜10−2に記載する重合条件で、重合体を合成した。各重合体についての分析結果は表10−1に記載する通りである。
表中の製法F−4は、以下の通りである。
<製法F−4>
単量体/連鎖移動剤溶液として、所定量の単量体及び連鎖移動剤を含む水溶液を調製した。また、開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の水を仕込み、200rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。続いて、所定量の単量体溶液を4時間、開始剤溶液を5時間かけて反応器内に滴下し、滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、比較重合体の水溶液を得た。
得られた比較重合体は、不飽和カルボン酸系単量体(メタクリル酸)由来のカルボキシル基と不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)由来のポリアルキレングリコール鎖(2)とを有するが、ポリアルキレングリコール鎖(1)を有しない重合体である。
表11−1〜11−2に記載する重合条件で、重合体を合成した。各重合体についての分析結果は表11−1に記載する通りである。
<製法I−3>
単量体溶液として、所定量の単量体水溶液を調製した。反応器仕込開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。滴下開始剤/連鎖移動剤溶液として、所定量の開始剤/移動剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器に所定量の単量体、水を仕込み、200rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。次いで、所定量のH2O2水溶液を全量投入し、所定温度まで加温した。続いて、所定量のモノマー溶液を3時間、開始剤/移動剤溶液を3.5時間かけて反応器内に滴下した。滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、比較重合体の水溶液を得た。
得られた比較重合体は、不飽和カルボン酸系単量体(アクリル酸)由来のカルボキシル基と、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体(3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド(EO)付加体)由来のポリアルキレングリコール鎖(2)とを有するが、ポリアルキレングリコール鎖(1)を有しない重合体である。
試験例1〜139
次に、実施例で得た本発明の重合体及び比較例で得た比較重合体の分散性能の評価を行った試験例1〜139について説明する。
モルタル試験は、温度が20℃±1℃、相対湿度が60%±10%の環境下で行った。
モルタル配合は、C/S/W=550/1350/220(g)とした。ただし、
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S:セメント強さ試験用標準砂(セメント協会製)
W:本発明重合体又は比較重合体、及び、消泡剤のイオン交換水溶液
Wとして、表12−1〜12−3及び表13−1〜13−3に示した添加量の重合体水溶液を量り採り、消泡剤MA−404(ポゾリス物産製)を有姿でポリマー固形分に対して10質量%加え、更にイオン交換水を加えて所定量とし、充分に均一溶解させた。表12−1〜12−3及び表13−1〜13−3において重合体の添加量は、セメント重量に対する重合体固形分の重量%で表されている。
ホバート型モルタルミキサー(型番N−50;ホバート社製)にステンレス製ビーター(撹拌羽根)を取り付け、C、Wを投入し、1速で30秒間混練した。更に1速で混練しながら、Sを30秒かけて投入した。S投入終了後、2連で30秒間混練した後、ミキサーを停止し、15秒間モルタルの掻き落としを行い、その後、75秒間静置した。75秒間静置後、更に60秒間2速で混練を行い、モルタルを調製した。
なお、15打フロー値は、数値が大きいほど、分散性能が優れている。また、この条件で重合体等の分散剤なしでモルタルを調製すると、充分混練ができずモルタルに流動性が出ない。0打フロー値は105mm前後、15打フロー値は145mm前後となる。
モルタルを500mLのガラス製メスシリンダーに約200mL詰め、径8mmの丸棒で突き、手で軽く振動させて粗い気泡を抜いた。更にモルタルを約200mL加えて同様に気泡を抜いた後、モルタルの体積と重量を測り、各材料の密度から空気量を計算した。
なお、表12−1〜12−3及び表13−1〜13−3のそれぞれにおいて、シリーズNo.の同じものは、同日・同条件で測定した事を表す。モルタル実験は、セメントロット等の影響を受けやすいため、シリーズNo.の同じもの同士でのみ比較が可能である。
また、表12−3は、混練したモルタルを所定時間おいてモルタル流動性の経時的保持性(以下、単に「保持性」ということがある。)を測定した結果である。表12−3から明らかなように、本発明重合体は単に初期の分散性能が高いため配合量が少ないだけでなく、比較重合体と比べて同等又はそれ以上の保持性を発揮しており、高い分散性と保持性とを併せ持つことがわかる。
次に、実施例で得た本発明重合体及び比較例で得た比較重合体のコンクリート試験による性能評価を行った試験例129〜189について説明する。
コンクリート配合:
実施例で得た本発明重合体及び比較例で得た比較重合体をセメント混和剤として用いて、表14に示すコンクリートNo.1〜7をそれぞれ調合・混練した。
表14に示す配合で、容量50Lの強制練りミキサーにセメント(C)及び砂(S)を仕込み、10秒間空練を行った後、水及びセメント混和剤(W)を添加し、表14に記載の時間混練を行い、石(G)を添加してコンクリートNo.1〜7を調製した。
評価方法及び評価基準:
日本工業規格(JIS A1101−2005年、1128−2005年、6204−2006年)に準拠し、各コンクリート配合で得たコンクリートのスランプ値及びスランプフロー値の測定を行った。結果を表15−1〜15−7に示す。
なお、スランプ値、スランプフロー値は大きいほど、コンクリートの流動性が高いことを示す。スランプ値やスランプフロー値が同等であれば、添加量が少ない混和剤ほど、セメント分散性能が良好であり、減水性能が高いことを示す。
表15−1〜15−7から明らかなように、実施例で得られた本発明重合体を用いたコンクリートは、いずれも比較例で得られた比較重合体を用いたコンクリートに比べて、混和剤の少ない添加量で所定のスランプ値になるまでセメントを分散・流動させることができており、優れた減水性を示している。
Claims (12)
- 前記多量化物の含有量は、前記チオール変性単量体混合物100質量%に対し、1質量%以上、6質量%未満である
ことを特徴とする請求項1に記載のチオール変性単量体混合物。 - 前記多量化物の含有量は、前記チオール変性単量体混合物100質量%に対し、6質量%以上、30質量%未満である
ことを特徴とする請求項1に記載のチオール変性単量体混合物。 - 前記多量化物の含有量は、前記チオール変性単量体混合物100質量%に対し、30質量%以上、100質量%未満である
ことを特徴とする請求項1に記載のチオール変性単量体混合物。 - 前記AGで表される有機残基は、該有機残基100質量%に対し、オキシエチレン基を75質量%以上含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のチオール変性単量体混合物。 - 前記チオール変性単量体混合物は、酸化防止剤を質量比で10〜5000ppm含む
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のチオール変性単量体混合物。 - 前記一般式(3)及び/又は(4)で表されるチオール変性単量体は、アルキレングリコール基を含む有機残基を有する化合物に、1分子中にカルボキシル基又は水酸基とメルカプト基とを有する化合物をエステル化反応させることにより得られるものである
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のチオール変性単量体混合物。 - 請求項1〜8のいずれかに記載のチオール変性単量体混合物の存在下で、不飽和カルボン酸系単量体及び/又は不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む不飽和単量体成分を重合して得られる
ことを特徴とするポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体。 - 請求項9に記載のポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体を含む
ことを特徴とする分散剤。 - 請求項1〜8のいずれかに記載のチオール変性単量体混合物、及び/又は、請求項9に記載のポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体を含む
ことを特徴とするセメント混和剤。 - セメントと、請求項1〜8のいずれかに記載のチオール変性単量体混合物、及び/又は、請求項9に記載のポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体とを含む
ことを特徴とするセメント組成物。
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