JP7354659B2 - 半導体ナノ粒子複合体、半導体ナノ粒子複合体分散液、半導体ナノ粒子複合体組成物および半導体ナノ粒子複合体硬化膜 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の半導体ナノ粒子複合体(1)は、半導体ナノ粒子の表面に、リガンドが配位した半導体ナノ粒子複合体であって、
前記半導体ナノ粒子は、InおよびPを含有するコアと、1層以上のシェルとを有するコア/シェル型半導体ナノ粒子であり、
前記半導体ナノ粒子は、さらにハロゲンを含み、前記半導体ナノ粒子において、原子換算で、Inに対するハロゲンのモル比は、0.80~15.00であり、
前記リガンドは、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が700以下であり、
かつ前記リガンド全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体を提供するものである。
前記表面修飾用化合物は、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が700以下であり、
かつ前記表面修飾用化合物全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体を提供するものである。
本発明の半導体ナノ粒子複合体(A)は、半導体ナノ粒子の表面に、リガンドが配位した半導体ナノ粒子複合体であって、
前記半導体ナノ粒子は、InおよびPを含有するコアと、1層以上のシェルとを有するコア/シェル型半導体ナノ粒子であり、
前記半導体ナノ粒子は、さらにハロゲンを含み、前記半導体ナノ粒子におけるInに対するハロゲンのモル比が、原子換算で、0.80~15.00であり、
前記リガンドは、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が700以下であり、
かつ前記リガンド全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体である。
本発明の半導体ナノ粒子複合体を構成する半導体ナノ粒子は、InおよびPを含有するコアと、1層以上のシェルとを有するコア/シェル型半導体ナノ粒子である。半導体ナノ粒子において、シェルは少なくとも1層あればよく、半導体ナノ粒子としては、例えば、コアと1層のシェルからなるコア/シェル型の半導体ナノ粒子、コアと2層のシェルからなるコア/シェル型の半導体ナノ粒子、コアと3層以上のシェルからなるコア/シェル型の半導体ナノ粒子が挙げられる。特にシェルが2層以上からなることにより、半導体ナノ粒子の蛍光量子効率を維持することができ、半導体ナノ粒子複合体としても高い蛍光量子効率を有することが可能となる。また、半導体ナノ粒子の構造としては、シェルがコアの表面の少なくとも一部を覆っていればよいが、シェルがコアの表面全体を覆っている構造が好ましく、シェルがコアの表面全体を均一に覆っている構造が特に好ましい。
Inの前駆体、Pの前駆体、および必要に応じて添加物を溶媒中で混合し得られた前駆体混合液を加熱することで、半導体ナノ粒子のコアを形成することができる。溶媒としては配位性溶媒や非配位性溶媒が用いられる。
溶媒の例としては、1-オクタデセン、ヘキサデカン、スクアラン、オレイルアミン、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
Inの前駆体としては、前記Inを含む酢酸塩、カルボン酸塩、およびハロゲン化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Pの前駆体としては、前記Pを含む有機化合物やガスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前駆体がガスの場合には、前記ガス以外を含む前駆体混合液にガスを注入しながら反応させることでコアを形成させることができる。
Se前駆体としては、トリブチルホスフィンセレニド、トリオクチルホスフィンセレニドおよびトリス(トリメチルシリル)ホスフィンセレニドなどのホスフィンセレニド類、ベンゼンセレノールおよびセレノシステインなどのセレノール類、およびセレン/オクタデセン溶液などを使用することができる。
S前駆体としては、トリブチルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィドおよびトリス(トリメチルシリル)ホスフィンスルフィドなどのホスフィンスルフィド類、オクタンチオール、ドデカンチオールおよびオクタデカンチオールなどのチオール類、および硫黄/オクタデセン溶液などを使用することができる。
本発明の半導体ナノ粒子複合体は、前記半導体ナノ粒子の表面にリガンドが配位したものである。ここで述べる配位とは、配位子が半導体ナノ粒子の表面に化学的に影響していることを表す。半導体ナノ粒子の表面に配位結合や他の任意の結合様式(例えば共有結合、イオン結合、水素結合等)で結合していてもよいし、あるいは半導体ナノ粒子の表面の少なくとも一部に配位子を有している場合には、必ずしも結合を形成していなくてもよい。
HS-R1-COO-R2 (1)
さらに、一般式(1)において、-COO-に結合しない側のR 2 の末端基が、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基からなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。-COO-に結合しない側のR 2 の末端基が、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基からなる群から選択されるいずれかであることで、半導体ナノ粒子複合体間の相互作用を抑制し、半導体ナノ粒子を極性溶媒中に高濃度に分散させることができる。
メルカプト脂肪酸エステルのSP値=Σ(Ai×Pi/100) (2)
全リガンドの平均のSP値=Σ(Ai×Pi/100) (3)
前記半導体ナノ粒子は、InおよびPを含有するコアと、1層以上のシェルとを有するコア/シェル型半導体ナノ粒子であり、
前記半導体ナノ粒子は、さらにハロゲンを含み、前記半導体ナノ粒子において、原子換算で、Inに対するハロゲンのモル比は、0.80~15.00であり、
前記リガンドは、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が300以上700以下、好ましくは300以上600以下であり、
かつ前記リガンド全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体である。一般式(1)で表されるメルカプト脂肪酸エステルの分子量が、上記範囲にあることで、半導体ナノ粒子が有機溶媒中に分散するために十分な立体障害が確保され、より高濃度で分散させることが可能となり、さらに、半導体ナノ粒子複合体の耐熱性が向上する。なお、本発明において、耐熱性とは、半導体ナノ粒子複合体をある温度下で熱処理した際に、熱処理前に分散していた溶媒へ熱処理後も再分散可能であることを意味する。
前記半導体ナノ粒子は、InおよびPを含有するコアと、1層以上のシェルとを有するコア/シェル型半導体ナノ粒子であり、
前記半導体ナノ粒子は、さらにハロゲンを含み、前記半導体ナノ粒子において、原子換算で、Inに対するハロゲンのモル比は、0.80~15.00であり、
前記リガンドは、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が300未満、好ましくは100以上300未満であり、
かつ前記リガンド全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体である。一般式(1)で表されるメルカプト脂肪酸エステルの分子量が、上記範囲にあることで、半導体ナノ粒子複合体を高質量分率で分散させても分散液の粘度を低くすることができる。なお、本発明において、半導体ナノ粒子複合体を高質量分率で分散さたときの分散液の粘度が低いとは、半導体ナノ粒子複合体を、半導体ナノ粒子の質量割合で30.0質量%となるように、イソボニルアクリレートに分散させたときに、25℃における粘度が30cp以下であることを意味する。
前記表面修飾用化合物は、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が700以下であり、
かつ前記表面修飾用化合物全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体である。
HS-R1-COO-R2 (1)
前記表面修飾用化合物は、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が、300以上700以下、好ましくは300以上600以下であり、
かつ前記表面修飾用化合物全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体である。一般式(1)で表されるメルカプト脂肪酸エステルの分子量が、上記範囲にあることで、半導体ナノ粒子が有機溶媒中に分散するために十分な立体障害が確保され、より高濃度で分散させることが可能となり、さらに、半導体ナノ粒子複合体の耐熱性が向上する。
前記表面修飾用化合物は、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)
で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が、300未満、好ましくは100以上300未満であり、
かつ前記表面修飾用化合物全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体である。一般式(1)で表されるメルカプト脂肪酸エステルの分子量が、上記範囲にあることで、半導体ナノ粒子複合体を分散させた分散液の粘度を低くすることができる。
本発明の半導体ナノ粒子複合体は、必要に応じて、反応溶液から分離精製することができる。精製方法として、半導体ナノ粒子複合体を、貧溶媒を用いて凝集させたのち、半導体ナノ粒子複合体を分離する方法を用いる。
本発明の半導体ナノ粒子複合体は、極性分散媒に分散されて、半導体ナノ粒子複合体分散液を形成することができる。本発明において、半導体ナノ粒子複合体が分散媒に分散している状態とは、半導体ナノ粒子複合体と分散媒とを混合させた場合に、半導体ナノ粒子複合体が沈殿しない状態、もしくは目視可能な濁り(曇り)として残留しない状態であることを表す。なお、半導体ナノ粒子複合体が分散媒に分散しているものを半導体ナノ粒子複合体分散液と表す。
本発明では、本発明の半導体ナノ粒子複合体分散液の分散媒として、モノマーまたはプレポリマーを選択し、半導体ナノ粒子複合体組成物を形成することができる。つまり、本発明の半導体ナノ粒子複合体組成物は、本発明の半導体ナノ粒子複合体が、モノマーまたはプレポリマーに分散された半導体ナノ粒子複合体組成物である。モノマーまたはプレポリマーは、特に限定されないが、エチレン性不飽和結合を含むラジカル重合性化合物、シロキサン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、およびフェノール誘導体などが挙げられる。モノマーとしては、例えば、上述した分散媒として用いられるモノマーが挙げられる。また、プレポリマーとしては、上述した分散媒として用いられるプレポリマーが挙げられる。
希釈組成物は、前述の本発明の半導体ナノ粒子複合体組成物が有機溶媒で希釈されてなるものである。
本発明の半導体ナノ粒子複合体硬化膜とは、本発明の半導体ナノ粒子複合体を含有した膜であり、硬化しているものを表す。本発明の半導体ナノ粒子複合体硬化膜は、前述の半導体ナノ粒子複合体組成物または希釈組成物を膜状に硬化することで得られる。
半導体ナノ粒子複合体パターニング膜は、前述の半導体ナノ粒子複合体組成物または希釈組成物を膜状にパターン形成することで得ることができる。半導体ナノ粒子複合体組成物および希釈組成物をパターン形成する方法は特に限定されず、例えば、スピンコート、バーコート、インクジェット、スクリーン印刷、およびフォトリソグラフィ等が挙げられる。
以下のようにして、実施例及び比較例で用いるリガンド単体を作製した。なお、以下で、PEGとは、ポリエチレングリコール鎖を指し、「-(CH2CH2O)n-CH3」で表される構造である。
<リガンド単体の作製>
(メルカプトプロピオン酸1,1-ジメチル-3-オキソブチルの調整方法)
フラスコに4.2gの3-メルカプトプロピオン酸(40mmol)と4.7gのジアセトンアルコール(40mmol)、5.4gの1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(40mmol)、100mLの塩化メチレンおよび7.7gの塩酸1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(40mmol)を窒素雰囲気下で混合した。溶液を室温で60分間反応させたのち、反応溶液を分液ロートに移して飽和重曹水、水、飽和食塩水を用いて順に洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥したのち、ろ過してエバポレーションで濃縮した。この濃縮物をヘキサンおよび酢酸エチルを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーによって精製して目的とするリガンド(メルカプトプロピオン酸1,1-ジメチル-3-オキソブチル)を得た。
フラスコに3.7gのチオグリコール酸(40mmol)と19.2gのメトキシPEG-OH(分子量400、48mmol)、および0.2gの濃硫酸を窒素雰囲気下で混合した。溶液を60℃で撹拌しながら、30mmHg以下に減圧し24時間反応した。反応溶液を室温まで冷却後トルエンに溶解し、飽和重曹水、水、飽和食塩水を用いて順に洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥したのち、有機相をろ過してエバポレーションで濃縮して目的とするリガンド(チオグリコール酸PEGエステル、分子量470)を得た。
メトキシPEG-OH(分子量400、48mmol)をメトキシPEG-OH(分子量690、48mmol)に変え、上記と同様に調製を行うことで、分子量760のチオグリコール酸PEGエステルを得た。
フラスコに4.2gの3-メルカプトプロピオン酸(40mmol)と21.6gのメトキシPEG-OH(分子量450、48mmol)、および0.2gの濃硫酸を窒素雰囲気下で混合した。溶液を60℃で撹拌しながら、30mmHg以下に減圧し24時間反応した。反応溶液を室温まで冷却後トルエンに溶解し、飽和重曹水、水、飽和食塩水を用いて順に洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥したのち、有機相をろ過してエバポレーションで濃縮して目的とするリガンド(3-メルカプトプロピオン酸PEGエステル、分子量550)を得た。
メトキシPEG-OH(分子量450、48mmol)をメトキシPEG-OH(分子量550、48mmol)に変え、上記と同様に調製を行うことで、分子量760の3-メルカプトプロピオン酸PEGエステルを得た。
フラスコに2.1gの3-メルカプトプロピオン酸(20mmol)、1.2gの酢酸(20mmol)、7.2gのトリエチレングリコール(48mmol)、100mLのトルエンおよび0.2gの濃硫酸を窒素雰囲気下で混合した。フラスコにディーンスターク装置を装着し、溶液を110℃で撹拌しながら、24時間反応した。反応溶液を室温まで冷却後、飽和重曹水、水、飽和食塩水を用いて順に洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥したのち、ろ過してエバポレーションで濃縮した。この濃縮物をヘキサンおよび酢酸エチルを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーによって精製して目的とするリガンド(3-メルカプトプロピオン酸2-[2-(2-アセトキシエトキシ)エトキシ]エチルを)得た。
フラスコに5.9gの6-メルカプトヘキサン酸(40mmol)と19.2gのメトキシPEG-OH(分子量400、48mmol)、および0.2gの濃硫酸を窒素雰囲気下で混合した。溶液を60℃で撹拌しながら、30mmHg以下に減圧し24時間反応した。反応溶液を室温まで冷却後トルエンに溶解し、飽和重曹水、水、飽和食塩水を用いて順に洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥したのち、有機相をろ過してエバポレーションで濃縮して目的とするリガンド(6-メルカプトヘキサン酸PEGエステル、分子量530)を得た。
フラスコに2.1gの3-メルカプトプロピオン酸(20mmol)、2.3gのレブリン酸(20mmol)、6.0gのトリエチレングリコール(40mmol)、5.4gの1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(40mmol)、100mLの塩化メチレンおよび7.7gの塩酸1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(40mmol)を窒素雰囲気下で混合した。溶液を室温で60分間反応させたのち、反応溶液を分液ロートに移して飽和重曹水、水、飽和食塩水を用いて順に洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥したのち、ろ過してエバポレーションで濃縮した。この濃縮物をヘキサンおよび酢酸エチルを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーによって精製して目的とするリガンド(3-メルカプトプロピオン酸2-[2-(2-レブリノキシシエトキシ)エトキシ]エチル)を得た。
フラスコに4.2gの3-メルカプトプロピオン酸(40mmol)と13.4gのテトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル(48mmol)、100mLのトルエンおよび0.2gの濃硫酸を窒素雰囲気下で混合した。フラスコにディーンスターク装置を装着し、溶液を110℃で撹拌しながら、24時間反応した。反応溶液を室温まで冷却後、飽和重曹水、水、飽和食塩水を用いて順に洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥したのち、ろ過してエバポレーションで濃縮した。この濃縮物をヘキサンおよび酢酸エチルを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーによって精製して目的とするリガンド(3-メルカプトプロピオン酸2-[2-[2-(2-ヘキシロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル)を得た。
以下の方法に従って、InP系半導体ナノ粒子複合体の作製を行った。
(コア粒子の作製)
酢酸インジウム(0.3mmol)とオレイン酸亜鉛(0.6mmol)を、オレイン酸(0.9mmol)と1-ドデカンチオール(0.1mmol)とオクタデセン(10mL)の混合物に加え、真空下(<20Pa)で約120℃に加熱し、1時間反応させた。真空下で反応させた混合物を25℃、窒素雰囲気下にして、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(0.2mmol)を加えたのち、約300℃に加熱し、10分間反応させた。反応液を25℃に冷却し、オクタン酸クロリド(1.1mmol)を注入し、約250℃で30分間加熱後、25℃に冷却して、InP系半導体ナノ粒子の分散液を得た。
シェルの作製にあたって、まずは以下の前駆体の調製を行った。
(Zn前駆体溶液の調製)
40mmolのオレイン酸亜鉛と75mLのオクタデセンを混合し、真空化で110℃にて1時間加熱し、[Zn]=0.4MのZn前駆体を調製した。
(Se前駆体(セレン化トリオクチルホスフィン)の調製)
22mmolのセレン粉末と10mLのトリオクチルホスフィンを窒素中で混合し、全て溶けるまで撹拌して[Se]=2.2Mのセレン化トリオクチルホスフィンを得た。
(S前駆体(硫化トリオクチルホスフィン)の調製)
22mmolの硫黄粉末と10mLのトリオクチルホスフィンを窒素中で混合し、全て溶けるまで撹拌して[S]=2.2Mの硫化トリオクチルホスフィンを得た。
(シェルの形成)
コアの分散液を200℃まで加熱した。250℃において6.0mLのZn前駆体溶液と2.0mLセレン化トリオクチルホスフィンに添加し、30分間反応させInP系半導体ナノ粒子の表面にZnSeシェルを形成した。さらに、4.0mLのZn前駆体溶液と1.8mLの硫化トリオクチルホスフィンを添加し、280℃に昇温して1時間反応させZnSシェルを形成した。
得られた半導体ナノ粒子を、STEM-EDSによって観察したところ、コア/シェル構造をしていることが確認された。
合成で得られたコア/シェル型構造の半導体ナノ粒子が分散している溶液に脱水アセトンを加え、半導体ナノ粒子を凝集させた。次いで、遠心分離(4000rpm、10分間)後、上澄みを除去し、半導体ナノ粒子をヘキサンに再分散させた。これを繰り返して、精製された半導体ナノ粒子を得た。
半導体ナノ粒子の元素分析は、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)並びに蛍光X線分析装置(XRF)を用いて行った。ICP測定では精製した半導体ナノ粒子を硝酸で溶解し加熱後、水に希釈してICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS-8100)を用いて検量線法で測定した。XRF測定は分散液を濾紙に含浸させたものをサンプルホルダに入れ蛍光X線分析装置(リガク製、ZSX100e)を用いて定量分析を行った。半導体ナノ粒子のInに対するハロゲンのモル比を表1に記載した。
フラスコに、精製した半導体ナノ粒子を質量比で10質量%となるように1-オクタデセンに分散させた半導体ナノ粒子1-オクタデセン分散液を調製した。調製した半導体ナノ粒子1-オクタデセン分散液10.0gをフラスコに収め、メルカプト脂肪酸エステルとしてチオグリコール酸PEGエステル(分子量470)を3.6g、非極性リガンドとしてドデカンチオールを0.4g添加し、窒素雰囲気下で110℃、60分間攪拌し、25℃まで冷却することで、半導体ナノ粒子複合体を得た。前記半導体ナノ粒子複合体を含む反応溶液を遠沈管に移し、4000Gで20分間遠心分離すると、透明な1-オクタデセン相と半導体ナノ粒子複合体相に分離した。1-オクタデセン相を取り除き、残った半導体ナノ粒子複合体相を回収した。
得られた半導体ナノ粒子複合体相にアセトン5.0mLを加え、分散液を作製した。得られた分散液に50mLのノルマルヘキサンを加え、4000Gで20分間遠心分離した。遠心分離後、透明な上澄みを取り除き、沈殿物を回収した。この操作を数回繰り返し、精製された半導体ナノ粒子複合体を得た。
(リガンドの分子量の測定)
リガンドの分子量の測定を、液体クロマトグラフ(LC-20:島津製作所)を用いてGPC法により行った。まず、リガンドをTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させ、溶離液を得た。カラム(KF-801,KF-803,KF-805:Shodex)に溶離液を注入し、得られた分子量分布曲線より数平均分子量を算出した。この時、標準物質には平均分子量が既知のポリエチレングリコール( Polyethylene glycol READY_CAL SET Mp 102-40,000:アルドリッチ)を用いた。
半導体ナノ粒子複合体の光学特性は蛍光量子効率測定システム(大塚電子製、QE-2100)を用いて測定した。合成にて得られた半導体ナノ粒子複合体を分散媒に分散させ、450nmの単一光を励起光として当て発光スペクトルを得た。ここで得られた発光スペクトルより再励起されて蛍光発光した分の再励起蛍光発光スペクトルを除いた再励起補正後の発光スペクトルより蛍光量子効率(QY)と半値幅(FWHM)を算出した。分散媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いた。得られた結果を表2に記載した。
精製された半導体ナノ粒子複合体について、半導体ナノ粒子に配位しているリガンドを、核磁気共鳴(NMR)装置(日本電子株式会社製JNM-LA400)を用いて分析した。すべての測定において溶媒には重クロロホルムを、化学シフトの内標準物質にはテトラメチルシランを使用し、1H-NMRを測定した。実施例1で得られた半導体ナノ粒子複合体からは0.8~1.6ppm付近にドデカンチオールのアルキル基に起因するシグナルと、3.5~4.0ppm付近にポリエチレングリコール骨格に起因するシグナルとがそれぞれ観測された。これらのシグナルの面積比から、各リガンドの存在比を算出した。各リガンドの存在比を基に、全リガンドの平均SP値と、全リガンドに対するメルカプト脂肪酸エステルの比率を算出した。得られた結果を表1及び表3に記載した。
精製された半導体ナノ粒子複合体を示唆熱重量分析(DTA-TG)で550℃まで加熱後、10分保持し、降温した。分析後の残留質量を半導体ナノ粒子の質量とし、この値から半導体ナノ粒子複合体中のリガンドと半導体ナノ粒子の質量比(リガンド/半導体ナノ粒子)を確認した。得られた結果を表1及び表3に記載した。
前記質量比を参考に、半導体ナノ粒子複合体に、半導体ナノ粒子の濃度がそれぞれ20.0質量%、30.0質量%、35.0質量%になるように有機分散媒を添加し、その時の分散状態を確認した。分散しているものには「○」を、沈殿、および濁りが観察されたものには「×」を表2及び表4に記載した。なお、分散媒にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いた。
半導体ナノ粒子の濃度が20.0質量%の半導体ナノ粒子複合体PGMEA分散液を調製可能であったサンプルに対して、ろ過性試験を実施した。20質量%の半導体ナノ粒子複合体PGMEA溶液1mLをシリンジに量り取り、目開き0.45μmのPTFEシリンジフィルター(フィルター径13mm)を用いてろ過した。1枚のシリンジフィルターでろ過できたものには「〇」を、途中で目詰まりをおこしたものには「×」を表2及び表4に記載した。
50mgの半導体ナノ粒子複合体をサンプル管に量り取り、大気雰囲気下、180℃で60分間加熱した。サンプルを室温まで空冷し、1mLのクロロホルムを添加し、その時の分散状態を確認した。分散しているものには「〇」を、沈殿、および濁りが観察されたものには「×」を表2及び表4に記載した。
半導体ナノ粒子複合体を、半導体ナノ粒子の濃度が30.0質量%となるように、イソボニルアクリレートに分散させて、分散液を調製した。次いで、得られた分散液を、25℃でTA Instruments製AR-2000レオメーターにより粘度を測定した。測定は、0.1s-1で予備せん断を1分間行ったのち、0.1s-1から1000s-1までせん断速度を変化させて行った。100s-1における粘度が30cp以下である場合を「◎」、30cpを超え60cp以下の場合を「〇」、60cpを超えている場合を「×」とし、表2及び表4に記載した。なお、30質量%の半導体ナノ粒子複合体イソボルニルアクリレート分散液が調製できなかったサンプルには-(ハイフン)を記載した。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸PEGエステル(分子量550)を3.2g、脂肪族リガンドとしてオレイン酸を0.8g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとしてチオグリコール酸PEGエステル(分子量470)を3.2g、脂肪族リガンドの代わりに3-メルカプトプロピオン酸エチルヘキシルを0.8g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸PEGエステル(分子量640)を6.4g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとしてチオグリコール酸PEGエステル(分子量470)を2.8g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを1.2g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとしてチオグリコール酸PEGエステル(分子量470)を2.4g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを1.6g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に0.45mmolのオクタン酸クロリドを、半導体ナノ粒子複合体を作製時にメルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸PEGエステル(分子量550)を3.6g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.4g用いた以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に2.5mmolのオクタン酸クロリドを、半導体ナノ粒子複合体を作製時にメルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸PEGエステルを3.8g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.2g用いた以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸 2-[2-[2-(2-ヘキシロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルを3.6g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.4g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸2-[2-(2-レブリノキシエトキシ)エトキシ]エチルを3.8g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.2g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸1,1-ジメチル-3-オキソブチルを3.6g、脂肪族リガンドとしてトリオクチルホスフィンを0.4g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に0.45mmolのオクタン酸クロリドを、半導体ナノ粒子複合体を作製時にメルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチルを3.2g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いた以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に2.5mmolのオクタン酸クロリドを、半導体ナノ粒子複合体を作製時にメルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸1,1-ジメチル-3-オキソブチルを3.2g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いた以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチルを2.8g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオール1.2g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸2-[2-(2-アセトキシエトキシ)エトキシ]エチルを3.8g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.05g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチルを2.8g、脂肪族リガンドの代わりにベンゼンチオールを1.2g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
シェル形成反応において、ZnSeシェルを形成したのち、Zn前駆体溶液と硫化トリオクチルホスフィンを添加せずに室温に冷却した。さらに、半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸1,1-ジメチル-3-オキソブチルを3.2g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとしてチオグリコール酸PEGエステル(分子量760)を9.6g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に4.5mmolのオクタン酸クロリドを、半導体ナノ粒子複合体を作製時にメルカプト脂肪酸エステルとしてチオグリコール酸PEGエステル(分子量470)を3.6g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.4g用いた以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして6-メルカプトヘキサン酸PEGエステルを3.2g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとしてチオグリコール酸PEGエステル(分子量470)を2.0g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを2.0g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。なお、蛍光量子収率測定には溶媒としてクロロホルムを用いた。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルを添加せず、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを4.0g用い、窒素雰囲気下で110℃、60分間攪拌し、25℃まで冷却することで、半導体ナノ粒子複合体を得た。前記半導体ナノ粒子複合体を含む反応溶液を遠沈管に移し、アセトン100mLを加えて4000Gで20分間遠心分離すると、透明な上澄み液と半導体ナノ粒子複合体相に分離した。上澄み液を取り除き、残った半導体ナノ粒子複合体相を回収した。得られた半導体ナノ粒子複合体相にノルマルヘキサン5.0mLを加え、分散液を作製した。得られた分散液に50mLのアセトンを加え、4000Gで20分間遠心分離した。遠心分離後、透明な上澄みを取り除き、沈殿物を回収した。この操作を数回繰り返した。それ以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。なお、蛍光量子収率測定には溶媒としてノルマルヘキサンを用いた。
コア粒子の分散液の作製時に0.2mmolのオクタン酸クロリドを、半導体ナノ粒子複合体を作製時にメルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチルを3.2g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いた以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程でメルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸エチルヘキシルを3.2g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.8g用いて、窒素雰囲気下で110℃、60分間攪拌し、25℃まで冷却することで、半導体ナノ粒子複合体を得た。前記半導体ナノ粒子複合体を含む反応溶液を遠沈管に移し、アセトン100mLを加えて4000Gで20分間遠心分離すると、透明な上澄み液と半導体ナノ粒子複合体相に分離した。上澄み液を取り除き、残った半導体ナノ粒子複合体相を回収した。得られた半導体ナノ粒子複合体相にノルマルヘキサン5.0mLを加え、分散液を作製した。得られた分散液に50mLのアセトンを加え、4000Gで20分間遠心分離した。遠心分離後、透明な上澄みを取り除き、沈殿物を回収した。この操作を数回繰り返した。それ以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。なお、蛍光量子収率測定には溶媒としてクロロホルムを用いた。
半導体ナノ粒子複合体を作製する工程で、メルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸2-ヒドロキシエチルを3.2g、脂肪族リガンドとしてトリオクチルホスフィンを0.8g用いた以外は実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。この半導体ナノ粒子複合体はクロロホルムおよびPGMEAに対して分散せず、蛍光量子収率測定が実施できなかった。
コア粒子の分散液の作製時に4.5mmolのオクタン酸クロリドを、半導体ナノ粒子複合体を作製時にメルカプト脂肪酸エステルとして3-メルカプトプロピオン酸―3-メトキシブチルを3.6g、脂肪族リガンドとしてドデカンチオールを0.4g用いた以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に、オクタン酸クロリドを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に、酢酸インジウムの代わりに塩化インジウムを0.3mmоl添加し、オクタン酸クロリドを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で半導体ナノ粒子複合体を得た。
コア粒子の分散液の作製時に添加した塩化インジウムは合成中に塩化水素を副生成物として発生する。そのため、最終的に得られる半導体ナノ粒子において、ハロゲン前駆体をコア粒子分散液の作製時にハロゲン前駆体を添加したものと比較して、半導体ナノ粒子中のハロゲンの含有量が少なくなることが判明した。
MPAE :メルカプト脂肪酸エステル
QD :半導体ナノ粒子
DDT :ドデカンチオール
TOP :トリオクチルホスフィン
EHMP :3-メルカプトプロピオン酸エチルヘキシル
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
一方、メルカプト脂肪酸エステルを用いない比較例5、メルカプト脂肪酸エステルの分子量が大き過ぎる比較例1、メルカプト脂肪酸エステルのSP値が低過ぎる比較例3及び比較例7、リガンド全体の平均のSPが低過ぎる比較例4、リガンド全体の平均のSPが高過ぎる比較例8は、いずれも、極性を有する分散媒への分散性が悪く、高質量分率での分散が困難である。また、比較例2、比較例6、比較例9、比較例10及び比較例11は、半導体ナノ粒子のハロゲン/Inが本発明に規定の範囲から外れているために、蛍光量子効率が低く、さらにはろ過性も低かった。
3、103 液晶
7、8 QDパターニング
9 拡散層
11 コア
12 シェル
102 QDフィルム
104 カラーフィルター(R)
105 カラーフィルター(G)
106 カラーフィルター(B)
Claims (16)
- 半導体ナノ粒子の表面に、リガンドが配位した半導体ナノ粒子複合体であって、
前記半導体ナノ粒子は、InおよびPを含有するコアと、1層以上のシェルとを有するコア/シェル型半導体ナノ粒子であり、
前記半導体ナノ粒子は、さらにハロゲンを含み、前記半導体ナノ粒子において、原子換算で、Inに対するハロゲンのモル比は、0.80~15.00であり、
前記リガンドは、下記一般式(1):
HS-R1-COO-R2 (1)
(一般式(1)中、R1は炭素数1~3のアルキレン基を表し、R2は親水基を表す。)で表されるメルカプト脂肪酸エステルを1種以上含み、
前記メルカプト脂肪酸エステルのSP値は9.20以上であり、前記メルカプト脂肪酸エステルの分子量が300以上700以下であり、
かつ前記リガンド全体の平均のSP値は9.10~11.00であること、
を特徴とする半導体ナノ粒子複合体。 - 前記リガンドと半導体ナノ粒子の質量比(リガンド/半導体ナノ粒子)が1.00以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記リガンドと半導体ナノ粒子の質量比(リガンド/半導体ナノ粒子)が0.40以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記リガンド全体に占める前記一般式(1)で表されるメルカプト脂肪酸エステルの含有率が40mol%以上であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記シェルの少なくとも1つがZnSeで形成されていることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記シェルが2層以上であり、前記シェルの最外層がZnSで形成されていることを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記一般式(1)中のR2はオリゴエチレングリコール基、ポリエチレングリコール基及びアルコキシ基からなる群から選ばれるいずれかを含むことを特徴とする請求項1~6いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記一般式(1)中の-COO-に結合しない側のR2の末端基が、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基からなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1~7いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記リガンドは脂肪族リガンドをさらに含むことを特徴とする請求項1~8いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記脂肪族リガンドは、脂肪族チオール、脂肪族カルボン酸及び脂肪族ホスフィンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項9記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記シェルが、少なくとも、ZnSeで形成される前記コアの外側表面を覆う第一シェルと、ZnSで形成される該第一シェルの外側表面を覆う第二シェルと、からなることを特徴とする請求項1~10いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記半導体ナノ粒子複合体の精製後の量子効率が80%以上であることを特徴とする請求項1~11いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 前記半導体ナノ粒子複合体の発光スペクトルの半値幅が38nm以下であることを特徴とする請求項1~12いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体。
- 請求項1~13いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体が、有機分散媒に分散した半導体ナノ粒子複合体分散液。
- 請求項1~13いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体が、モノマーまたはプレポリマーに分散した半導体ナノ粒子複合体組成物。
- 請求項1~13いずれか1項記載の半導体ナノ粒子複合体が、高分子マトリクス中に分散した半導体ナノ粒子複合体硬化膜。
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