JP2001011055A - ニグロシン系化合物及びその関連技術 - Google Patents
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Abstract
いもの)を鮮明に着色し得、特に着色した結晶性樹脂の
成形中の流動性が良好でその成形精度に優れ、その成形
物の表面光沢度等の外観及び表面形状を良好に改善す
る。また、結晶性樹脂の結晶化温度低下、流動性向上、
及び表面光沢度向上を実現する。 【解決手段】 ニグロシンを硫酸および/または燐酸で
処理してニグロシンの硫酸および/または燐酸による塩
である水不溶性のニグロシン系化合物を得る。結晶性樹
脂中にそのニグロシン系化合物を含有させる。
Description
シン系化合物、そのニグロシン系化合物を含有する結晶
性樹脂組成物及び繊維強化結晶性樹脂成形物、結晶性樹
脂の結晶化温度低下方法、結晶性樹脂の流動性向上方
法、及び結晶性樹脂の表面光沢度向上方法に関する。
樹脂は、機械的及び化学的性質に優れているため、自動
車や電気・電子製品等の部品の分野におけるプラスチッ
ク成形品に広く用いられており、エンジニアリングプラ
スチックの分野でもますます需要が高まっている。
分け効果、成形品の耐光性向上、内容物の保護や隠蔽等
の目的で行われる。結晶性樹脂の黒色着色には、従来、
カーボンブラック、黒色含金染料、アジン系染料及びペ
リノンブラック等の種々の無機顔料や有機染顔料による
着色が試みられてきた。
がカ−ボンブラック及びニグロシンで着色された成形配
合物(特公昭60−43379号);ポリアミド樹脂が
カーボンブラック及び銅フタロシアニン顔料で着色され
た成形用組成物(特開昭60−226551号);不飽
和ポリエステル樹脂がアニリンブラックとソルベントブ
ルーで着色された成形用組成物(特公平1−46524
号);熱可塑性樹脂にカーボンブラックと酸化チタンが
添加されたプラスチック成形組成物(特開平5−186
633号);熱可塑性樹脂が赤色有機顔料、青色有機顔
料及び黄色有機顔料で着色された着色樹脂組成物(特開
平5−230278号);ポリエチレンテレフタレート
樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂との混合樹脂に
カーボンブラックを分散した特開平5−194825号
等が挙げられる。
樹脂組成物は、外観や表面光沢が必ずしも良好でなく、
更に研究の余地を残していた。
ることにより、耐熱性や耐薬品性を向上させたり、各用
途に合わせた機械的特性を与えたりして、広範囲な工業
的用途に適合させる試みがなされている。更に、近時に
おいては、電子部品、自動車・電装部品等の分野におい
て、軽量化、工程の合理化、腐食の問題及び繊維強化し
た結晶性樹脂の成形材料としての良好な物性に着目し
て、従来金属を使用していた部品を繊維強化結晶性樹脂
に替える動きが顕著である。
の例としては、ナイロン66/6共重合体、ガラス繊
維、無機鉱物粉末及びアジン系染料からなる特開昭62
−246958号記載のポリアミド系車輛用部材;固有
粘度0.35以上のポリブチレンテレフタレートと強化
材とカーボンブラックを配合してなる成形用ポリエステ
ル樹脂組成物(特開平2−117951号);熱可塑性
樹脂、変性ポリオレフィン、繊維状補強材及びカーボン
ブラックからなる熱可塑性樹脂組成物(特開平3−50
263号);ポリアミド樹脂、表面処理されたガラス繊
維及びアジン系染料からなるガラス繊維強化黒色ポリア
ミド樹脂組成物(特開平6−128479号);体積固
有抵抗が1×1010Ω・cm以下であるガラス繊維強
化ポリブチレンテレフタレート樹脂にカーボンブラック
を配合してなる帯電防止性繊維強化ポリブチレンテレフ
タレート樹脂組成物(特開平8−53610号)等が挙
げられる。
色においては、樹脂中に繊維状補強材が存在するため、
長時間混練しても着色剤(例えば黒色顔料)が樹脂中に
十分に満遍なく均一に分散し難いという問題が存在す
る。また、着色剤を添加することにより、添加前の元の
樹脂と比較して物性の低下が生じることや、成形時の流
動性に著しい低下が生じたり、成形中の温度変化による
成形物のそり変形の増大を招く場合もある。特に、成形
時に、成形品表面に繊維補強材が浮き出て着色成形品の
光沢及び外観等が損なわれることが問題となっていた。
課題に鑑み行われたものであって、その目的とするとこ
ろは、結晶性樹脂(繊維強化されたもの又はされないも
の)を鮮明に着色し得、特に着色した結晶性樹脂の成形
中の流動性が良好でその成形精度に優れ、その成形物の
表面光沢度等の外観及び表面形状が良好に改善されるニ
グロシン系化合物、そのニグロシン系化合物を含有する
結晶性樹脂組成物及び繊維強化結晶性樹脂成形物、並び
に、結晶性樹脂の結晶化温度低下方法、結晶性樹脂の流
動性向上方法、及び結晶性樹脂の表面光沢度向上方法を
提供することにある。
る本発明のニグロシン系化合物は、ニグロシンの硫酸お
よび/または燐酸による塩である水不溶性のニグロシン
系化合物である(請求項1)。
る塩というのは、ニグロシン(一般には塩酸塩)におけ
る、硫酸イオン又は燐酸イオンと結合し得る基の全て又
は相当部分(例えば50%以上、又は70%以上、好ま
しくは90%以上)に硫酸イオンおよび/または燐酸イ
オンが結合したものを意味する。
濃度(すなわちニグロシン系化合物中の塩素濃度)が3
重量%以下であることが望ましい(請求項2)。
系化合物は、鉄濃度(すなわちニグロシン系化合物中の
鉄濃度)が0.5重量%以下であることが望ましい(請
求項3)。
ロシン系化合物は、残留アニリン濃度(すなわちニグロ
シン系化合物中の残留アニリン濃度)が0.5重量%以
下であることが望ましい(請求項4)。 (1-4) 更に、(1)、(1-1)、 (1-2) 又は(1-3)のニグロ
シン系化合物は、体積抵抗値が2.0×1010Ω・c
m以上であることが望ましい(請求項5)。
4)のニグロシン系化合物は、例えば、硫酸および/また
は燐酸でニグロシン(一般には塩酸塩)を処理すること
により製造することができる(請求項6)。ニグロシン
が塩酸塩である場合、そのニグロシンについての硫酸お
よび/または燐酸での処理は、ニグロシン中で塩を構成
する塩素イオンが硫酸イオンおよび/または燐酸イオン
に交換される処理であればよい(請求項7)。 (1-6) 更に、(1)、(1-1)、 (1-2)、 (1-3)又は(1-4)の
ニグロシン系化合物は、ニグロシンの硫酸塩であり、塩
素濃度が9000ppm以下であることが望ましい(請
求項8)。
性樹脂中に(1)、(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)又
は(1-6)のニグロシン系化合物を含有することを特徴と
する(請求項9)。
晶性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリフ
ェニレンスルフィド樹脂であることが好ましい(請求項
10)。
は、その結晶化温度が、ニグロシン系化合物を含有しな
い元の熱可塑性樹脂に比し7℃以上低いものであること
ができる(請求項11)。
組成物は、繊維状補強材を含有するものとすることがで
きる(請求項12)。
するニグロシン系化合物をニグロシン(元のニグロシ
ン。一般には塩酸塩。)に代えた結晶性樹脂組成物に比
し流動性が高いものであることが好ましい(請求項1
3)。例えば、繊維状補強材を含有する結晶性樹脂組成
物の通常の成形条件に相当する条件下で、スパイラルフ
ロー長が10%以上長いものであることが好ましい。よ
り好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上で
ある。
4)の結晶性樹脂組成物は、アニリンブラックを含有する
ものとすることができる(請求項14)。
又は(2-5)の結晶性樹脂組成物は、カーボンブラックを
含有するものとすることができる(請求項15)。
は、結晶性樹脂中に、繊維状補強材及び(1)、(1-1)、(1
-2)、(1-3) 、(1-4)、(1-5)又は(1-6)のニグロシン系化
合物を含有してなり、前記ニグロシン系化合物をニグロ
シンに代えた繊維強化結晶性樹脂成形物に比し表面光沢
度が高いことを特徴とする(請求項16)。
名:HG−268〕を用いて試験片の60度入射角で測
定した光沢値においてニグロシン系化合物をニグロシン
に代えた繊維強化結晶性樹脂成形物に比し10%以上高
いものであることが好ましい。
下方法は、結晶性樹脂中に(1)、(1-1)、(1-2)、(1-3)
、(1-4)、(1-5)又は(1-6)のニグロシン系化合物を含有
させることにより、その結晶性樹脂の結晶化温度をニグ
ロシン系化合物を含有しない元の熱可塑性樹脂に比し7
℃以上低下させることを特徴とする(請求項17)。
法は、結晶性樹脂中に(1)、(1-1)、(1-2)、(1-3) 、(1-
4)、(1-5)又は(1-6)のニグロシン系化合物を含有させる
ことにより、その結晶性樹脂の流動性をニグロシン系化
合物を含有しない元の熱可塑性樹脂に比し向上させるこ
とを特徴とする(請求項18)。
性樹脂中に繊維状補強材を含有するものとすることがで
きる(請求項19)。
上方法は、結晶性樹脂中に(1)、(1-1)、(1-2)、(1-3)
、(1-4)、(1-5)又は(1-6)のニグロシン系化合物を含有
させることにより、その結晶性樹脂の表面光沢度をニグ
ロシン系化合物を含有しない元の熱可塑性樹脂に比し向
上させることを特徴とする(請求項20)。
方法は、結晶性樹脂中に繊維状補強材を含有するものと
することができる(請求項21)。
した結晶性樹脂は、成形時の熱溶融状態において流動性
が高く、成形用金型内の隅々まで広がり、而も優れた熱
時寸法安定性を示し、スムーズに成形処理を行い得る。
そのため、成形物の表面に細かい凹凸ができにくく、成
形精度も良い。このことは大型成形機による成形や精密
な成形物の成形、寸法精度の厳しい要求の製品に非常に
有効である。またこのことは、繊維状補強材の影響を受
けるため、著しく着色剤や添加剤が分散しにくく而も流
動性が低くなる繊維状補強材を含有する結晶性樹脂組成
物において顕著である。
晶性樹脂は、そのニグロシン系化合物を含有しない元の
結晶性樹脂と比較して結晶化温度が低下する。この結晶
化温度の低下によって、結晶性樹脂の成形温度を低く設
定することができる。そのため、成形コストの低減及び
成形不良発生の抑制を容易に実現し得、成形時の冷却に
よる成形物の収縮量が小さくなるので成形精度が良くな
り、成形物の強度の異方性を良好に低減させることがで
き、表面光沢、外観及び熱時寸法安定性に優れた成形物
を得ることができる。表面光沢及び外観に優れた成形物
を得る点については、特に、成形物の表面に繊維状補強
材が浮き出易い、繊維状補強材を含有する結晶性樹脂組
成物において顕著である。更に、結晶化温度の低下によ
り、射出成形において金型温度や射出時間を調節できる
許容範囲が広くなり、成形物の結晶化度を所望の範囲に
容易に調整することが可能である。金型温度や射出時間
を最適に設定することにより、成形物の表面光沢度を向
上させることができる。
に配合して着色した場合、従来のニグロシン(塩酸塩)
よりOD値が高く、均一且つ鮮明に着色され表面光沢の
優れた成形物が得られ、特に、その効果は、繊維状補強
材の表面析出し易い、繊維状補強材を含有する結晶性樹
脂組成物において顕著である。而も、本発明のニグロシ
ン系化合物は、押出成形前のペレット乾燥、配合、混練
及び成形中に、結晶性樹脂中においてほとんど変退色が
起こらない。
脂の着色に従来用いられてきたニグロシン(塩酸塩)や
黒色顔料に比し、結晶性樹脂に対する分散性および/ま
たは相溶性に優れる。そのため、ドライカラー法におい
ても、結晶性樹脂を、外観、表面形状が良好で、より均
一な黒色に着色することができる。この均一着色効果
は、特に、繊維状補強材の影響を受けるため著しく着色
剤が分散しにくい、繊維状補強材を含有する結晶性樹脂
の着色において顕著である。安価で耐光性に富む材料で
あるカーボンブラックと共に本発明のニグロシン系化合
物を使用してコスト低減及び耐光性向上を図ることがで
きる。
性樹脂に配合してその結晶性樹脂を着色した場合、従来
のニグロシン(塩酸塩)よりも耐溶剤性が向上する。
有する結晶性樹脂と繊維状補強材を含有しない結晶性樹
脂とを区別している場合を除き、両者に共通する。
は、硫酸および/または燐酸でニグロシンを処理するこ
とにより得ることができる。
シン系化合物の原料として用いることができるニグロシ
ンとしては、COLOR INDEXにC.I.SOLVENT BLACK 5及びC.
I.SOLVENT BLACK 7として記載されているような黒色ア
ジン系縮合混合物を挙げることができる。好ましくはC.
I.SOLVENT BLACK 5である。このようなニグロシンの合
成は、例えば、アニリン、アニリン塩酸塩及びニトロベ
ンゼンを、塩化鉄の存在下、反応温度160乃至180
℃で酸化及び脱水縮合することにより行い得る。ニグロ
シンは、反応条件、仕込み原料及び仕込比等の如何によ
って、種々の異なる化合物の混合物として生成するが、
例えば次の式(I)又は(II)に表されるような各種の
トリフェナジンオキサジン及び式(III)乃至(VI)で
表されるようなフェナジンアジン系化合物の混合物と推
定されている。
ロシンについての硫酸および/または燐酸での処理は、
ニグロシン中で塩を構成する塩素イオンの全て又は相当
部分が硫酸イオンおよび/または燐酸イオンに交換され
る処理であれば特に制限されず、公知の反応方法を用い
得る。但し、硫酸処理の場合、ニグロシン中の芳香族核
置換(スルホン化)を除く。
に分散させ、適度に加熱(例えば、50乃至90℃)す
ることにより製造される。また例えば、ニグロシンを製
造して得られた縮合反応液を希硫酸に分散させ、適度に
加熱(例えば、50乃至90℃)することにより製造さ
れる。また例えば、スルホン化が起きないように液温度
を低温に調節しながらニグロシンを濃硫酸に溶解させた
ものを、大量の氷水に加えて結晶を析出させることによ
っても製造される。
は、3重量%以下であることが好ましく、結晶性樹脂組
成物中に含有させた場合の成形物の表面形状の向上と絶
縁性の向上のためにより好ましいのは、塩素濃度が2重
量%以下のニグロシン系化合物である。本発明のニグロ
シン系化合物がニグロシンの硫酸塩である場合、塩素濃
度は9000ppm以下であることが望ましい。より好
ましくは8000ppm以下である。
は、例えば0.7重量%以下とすることができる。結晶
性樹脂組成物中に含有させた場合の絶縁性をより向上さ
せるためには、好ましくは鉄濃度が0.5重量%以下、
更に好ましくは0.4重量%のニグロシン系化合物であ
る。
ン濃度は、例えば1重量%以下とすることができる。結
晶性樹脂組成物中に含有させた場合の成形物の表面形状
の向上のためにより好ましいのは、残留アニリン濃度が
0.5重量%以下、更に好ましくは0.4重量%以下の
ニグロシン系化合物である。本発明のニグロシン系化合
物は、硫酸および/または燐酸でニグロシンを処理する
こと等によりニグロシンの硫酸および/または燐酸によ
る塩とする工程で、ニグロシン中の不純物が取り除かれ
るため、絶縁性が向上したものとなる。このため、電子
部品や電気部品等の絶縁性が重要な物品の材料として好
適である。本発明のニグロシン系化合物の体積抵抗値
は、好ましくは2.0×1010Ω・cm以上、より好
ましくは2.5×1010Ω・cm以上、更に好ましく
は3.0×1010Ω・cm以上である。
性を有する熱可塑性樹脂が好ましい。その例としては、
ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂及び
ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。これ
らの熱可塑性樹脂のうち好ましいのは、ポリアミド樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂
である。これらの熱可塑性樹脂は、単独で、或は2種類
以上を混合して用いることができる。また、これらの重
合体を主体とする共重合体若しくは混合物;これらにゴ
ム又はゴム状樹脂等のエラストマーを配合した熱可塑性
樹脂;及びこれらの熱可塑性樹脂を10重量%以上含有
するポリマーアロイ等が挙げられる。
イロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン1
1、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610、ナ
イロン612、ナイロン96、非晶質性ナイロン、ナイ
ロンRIM、ナイロンMIX6等;それらの2種類以上
のものの共重合体、すなわち、ナイロン6/66共重合
体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロン6/
66/11/12共重合体、結晶性ナイロン/非結晶性
ナイロン共重合体等を挙げることができる。また本発明
に使用するポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂と他の合
成樹脂とのアロイであってもよい。そのようなアロイの
例としては、ポリアミド/ポリエステルアロイ、ポリア
ミド/ポリフェニレンオキシドアロイ、ポリアミド/ポ
リカーボネートアロイ、ポリアミド/ポリオレフィンア
ロイ、ポリアミド/スチレン/アクリロニトリルアロ
イ、ポリアミド/アクリル酸エステルアロイ、ポリアミ
ド/シリコーンアロイ等を挙げることができる。これら
のポリアミド樹脂は、単独で、或は2種類以上を混合し
て用いることができる。
ト樹脂としては、芳香族ジカルボン酸類(主にテレフタ
ル酸)又はそのエステルとグリコール類(主にエチレン
グリコール)を主な原料として得られるポリエステル樹
脂であって、分子内に多数のエチレンテレフタレート単
位の繰り返しが存在するものを挙げることができる。本
発明に適するものとしては、樹脂中にエチレンテレフタ
レート単位の繰り返しを少なくとも60モル%以上有す
るエチレンテレフタレート樹脂、好ましくは80モル%
以上、更に好ましく90モル%以上有するポリエチレン
テレフタレート樹脂である。テレフタル酸以外の芳香族
ジカルボン酸として、イソフタル酸、フタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカル
ボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニ
ルエーテルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、オキシカルボン酸(例えば、p−ヒドロキシ安息香
酸、p−ヒドロキシエトキシ安息香酸)等を共重合成分
として含むものでもよく、エチレングリコール以外のグ
リコール類として、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパ
ンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポ
リアルキレンオキサイド、ネオペンチルグリコール等を
共重合成分として含むものでもよい。
タレート系樹脂は、上記のようなテレフタル酸以外の芳
香族ジカルボン酸および/またはエチレングリコール以
外のグリコール類を共重合成分として含んでいてもよい
ポリエチレンテレフタレートと他の合成樹脂とのポリマ
ーアロイとすることも可能である。そのようなポリマー
アロイの例としては、ポリエチレンテレフタレート/ポ
リカーボネートアロイ、ポリエチレンテレフタレート/
ポリアミドアロイ、ポリエチレンテレフタレート/AB
Sアロイ、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレ
ンアロイ、ポリエチレンテレフタレート/ポリフェニレ
ンエーテルアロイ、ポリエチレンテレフタレート/ポリ
ブチレンテレフタレートアロイ等を挙げることができ
る。
ート樹脂としては、芳香族ジカルボン酸類(主にテレフ
タル酸)又はそのエステルとグリコール類(主に1,4
−ブタンジオール)を主な原料として得られるポリエス
テル樹脂であって、分子内に多数のブチレンテレフタレ
ート単位の繰り返しが存在するものを挙げることができ
る。本発明に適するものとしては、樹脂中にブチレンテ
レフタレート単位の繰り返しを少なくとも60モル%以
上有するポリブチレンテレフタレート樹脂、好ましくは
80モル%以上、更に好ましく90モル%以上有するポ
リブチレンテレフタレート樹脂を挙げることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂と他の合成樹脂とのポ
リマーアロイであってもよい。そのようなポリマーアロ
イの例としては、ポリブチレンテレフタレート/ポリカ
ーボネートアロイ、ポリブチレンテレフタレート/ポリ
アミドアロイ、ポリブチレンテレフタレート/ABS
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹
脂)アロイ、ポリブチレンテレフタレート/ポリプロピ
レンアロイ、ポリブチレンテレフタレート/ポリフェニ
レンエーテルアロイ等を挙げることができる。これらの
ポリブチレンテレフタレート樹脂(ポリマーアロイを含
む)は、単独で、或は2種類以上を混合して用いること
ができる。
シン系化合物の使用量は、一般的樹脂着色(低着色濃度
成形物[マスターバッチを用いた場合を含む])の場
合、例えば、結晶性樹脂に対し0.01乃至15重量%
とすることができる。好ましくは0.1乃至10重量
%、結晶性樹脂成形物の表面光沢向上や結晶性樹脂の流
動性向上ために更に好ましいのは0.5乃至5重量%で
ある。なお、結晶性樹脂の結晶化温度低下や結晶性樹脂
の流動性向上の目的に使用する場合、結晶性樹脂に対し
0.3乃至2重量%添加すればよい。また、マスターバ
ッチ(高着色濃度成形物)の場合の着色剤の使用量は、
例えば結晶性樹脂に対し20乃至60重量%とすること
ができる。好ましくは20乃至40重量%である。本発
明において結晶性樹脂に本発明のニグロシン系化合物を
含有させることによる効果は、一般に、結晶性樹脂に本
発明のニグロシン系化合物を直接混合して含有させた場
合よりも、結晶性樹脂に本発明のニグロシン系化合物を
高濃度で混合含有させたマスターバッチを更に結晶性樹
脂と混合した場合の方が高い。本発明のニグロシン系化
合物は、流動性向上剤、表面光沢向上剤及び結晶化温度
低下剤としての働きを有している。他の黒色着色剤のう
ち、アニリンブラックは、耐光性が良好であるが、高級
な成型品に用いるには外観及び表面光沢が十分ではな
い。また、アニリンブラックは、樹脂に対する分散が容
易でなく、十分な分散のためには手間のかかる操作が必
要である。一方カーボンブラックは、安価で耐光性が良
好であるが、結晶核剤として働き、樹脂組成物の結晶化
温度を上げてしまい、外観及び表面光沢をかなり低下さ
せる。而も、カーボンブラックは、結晶性樹脂内の結合
力を弱めるため、樹脂の機械的物性の劣化を招き得、樹
脂に対する分散性が不良であるため、樹脂を均一に着色
することは非常に困難である。ところが、本発明のニグ
ロシン系化合物と、アニリンブラックおよび/またはカ
ーボンブラックとを混合して使用すると、本発明のニグ
ロシン系化合物の効果により、アニリンブラック及びカ
ーボンブラックの樹脂に対する分散性が改善され、外観
及び表面光沢が向上した樹脂組成物が得られる。このた
め、ニグロシン系化合物と、アニリンブラックおよび/
またはカーボンブラックとを適宜配合して着色した場合
でも、十分な実用性のある着色結晶性樹脂組成物が得ら
れる。
的に応じ、各種の繊維状補強材を適量含有するものとす
ることができる。本発明において用い得る繊維状補強材
は、特に限定されず、従来の合成樹脂の補強材として用
い得るものを適宜使用し得る。このような繊維状補強材
の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、及び各種有機繊
維を挙げることができる。例えばガラス繊維の場合、そ
の含有量は、結晶性樹脂100重量%に対し5乃至12
0重量%とすることが好ましい。5重量%未満の場合、
十分なガラス繊維補強効果が得られ難く、120重量%
を超えると成形性が低下することとなり易い。好ましく
は10乃至60重量%、特に好ましくは20乃至50重
量%である。
晶性樹脂成形物は、その目的に応じ所望の特性を付与す
るために、公知の種々の添加剤が配合されてもよい。こ
のような添加剤としては、例えば助色剤、分散剤、充填
剤、安定剤、可塑剤、改質剤、紫外線吸収剤又は光安定
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、及び耐衝撃性改
良用のエラストマー等が挙げられる。
耐熱性や耐光性の向上、又は色調の調整等のため、少量
の無機顔料、有機顔料又は有機染料等を用いることがで
きる。
オイル及びアルキル変性シリコンオイル等のケイ素化合
物、WAX等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合
物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合
物、ベンゾエート系化合物、オギザアリド系化合物、ヒ
ンダードアミン系化合物及びニッケル錯塩等が挙げられ
る。
合物、リン系化合物、イオウ系化合物及び チオエーテ
ル系化合物等が挙げられる。
−チアゾリル)ベンズイミダゾール、10,10’−オ
キシビスフェノキシアルシン、N−(フルオロジクロロ
メチルチオ)フタルイミド及びビス(2−ピリジルチオ
−1−オキシド)亜鉛等が挙げられる。
ェノールA誘導体、ヘキサブロモジフェニールエーテル
及びテトラブロモ無水フタル酸等のハロゲン含有化合
物;トリフェニールホスフェート、トリフェニールホス
ファイト、赤リン及びポリリン酸アンモニウム等のリン
含有化合物;尿素及びグアニジン等の窒素含有化合物;
シリコンオイル、有機シラン及びケイ酸アルミニウム等
のケイ素含有化合物;三酸化アンチモン及びリン酸アン
チモン等のアンチモン化合物等が挙げられる。
ク、ガラスビーズ、シリカ、石英、無定形ケイ酸、タル
ク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、金
属粉、カオリン、ケイ酸カルシウム、雲母及び珪灰石等
が挙げられる。
意の配合方法により配合することによって得ることがで
きる。これらの配合成分は、通常、できるだけ均質化さ
せることが好ましい。具体的には、例えば、全ての原材
料をブレンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロー
ル、押出機等の混合機で混合して均質化させることによ
り結晶性樹脂組成物を得たり、或いは、一部の原材料を
混合機で混合した後、残りの成分を加えて更に混合して
均質化させて結晶性樹脂組成物を得ることもできる。ま
た、予めドライブレンドされた原材料を、加熱した押出
機で溶融混練して均質化した後、針金状に押出し、次い
で所望の長さに切断して着色粒状物(着色ペレット)と
して得ることもできる。
ーバッチは、任意の方法により得られる。例えば、マス
ターバッチのベースとなる結晶性樹脂の粉末又はペレッ
トと着色剤をタンブラーやスーパーミキサー等の混合機
で混合した後、押出機、バッチ式混練機又はロール式混
練機等により加熱溶融してペレット化又は粗粒子化する
ことにより得ることができる。また例えば、合成後未だ
溶融状態にあるマスターバッチ用結晶性樹脂に着色剤を
添加後、溶媒を除いてマスターバッチを得ることもでき
る。
行われる種々の手順により行い得る。例えば、着色ペレ
ットを用いて、押出機、射出成形機、ロールミル等の加
工機により成形することにより行うことができる。ま
た、結晶性樹脂のペレット又は粉末、粉砕された着色
剤、及び必要に応じ各種の添加物を、適当なミキサー中
で混合し、この混合物を、加工機を用いて成形すること
により行うこともできる。また例えば、適当な重合触媒
を含有するモノマーに着色剤を加え、この混合物を重合
により所望の結晶性樹脂とし、これを適当な方法で成形
することもできる。成形方法としては、例えば、射出成
形、押出成形、圧縮成形、発砲成形、ブロー成形、真空
成形、インジェクションブロー成形、回転成形、カレン
ダー成形、溶液流延等、一般に行われる何れの成形方法
を採用することも可能である。
樹脂(繊維強化されたもの又はされないもの)を鮮明に
着色し得る。
した本発明の結晶性樹脂は、成形中の熱溶融状態におけ
る流動性が良好である。
形時の熱溶融により気化し易い不純物や結晶性樹脂に対
し反応性を有する不純物の含有量を従来のニグロシン
(塩酸塩)に比し大きく減少させることができるため、
本発明のニグロシン系化合物を配合した結晶性樹脂は、
成形時の重量減少や気化物の発生が効果的に抑制される
と共に、結晶性樹脂の物性変化を最小限度にとどめるこ
とができる。そのため、本発明のニグロシン系化合物を
配合した結晶性樹脂は、成形精度に優れ、その成形物の
表面光沢度等の外観及び表面形状が良好に改善される。
特に、本発明の繊維強化結晶性樹脂成形物は、表面光沢
度が良好である。
によれば、結晶性樹脂の結晶化温度をニグロシン系化合
物を含有しない元の熱可塑性樹脂に比し低下させること
ができる。
れば、繊維状補強材を含有するものを含めて、結晶性樹
脂の流動性をニグロシン系化合物を含有しない元の熱可
塑性樹脂に比し向上させることができる。
によれば、繊維状補強材を含有するものを含めて、結晶
性樹脂の表面光沢度をニグロシン系化合物を含有しない
元の熱可塑性樹脂に比し向上させることができる。
るが、勿論本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。
合物の製造についてのものであり、製造例8及び9は、
そのニグロシン系化合物を用いたマスターバッチの製造
についてのものである。
(オリヱント化学工業社製 ニグロシンの商品名)60
gを分散させ、80℃で6時間撹拌した。その後、分散
物を濾取し、その濾取物を水洗した後、乾燥させること
により、黒色化合物57.0g(収率95%)を得た。
00gに代えるほかは製造例1と同様に処理して黒色化
合物55.2g(収率92%)を得た。
gに代えるほかは製造例1と同様に処理して黒色化合物
55.8g(収率93%)を得た。
リヱント化学工業社製ニグロシンの商品名)に代えるほ
かは製造例1と同様に処理して黒色化合物54.5g
(収率91%)を得た。
ヱント化学工業社製ニグロシンの商品名)に代えるほか
は製造例1と同様に処理して黒色化合物59.4g(収
率99%)を得た。製造例6 スピリットブラックABをニグロシンベースSAP−L
(オリヱント化学工業社製 ニグロシンの商品名)に代
えるほかは製造例1と同様に処理して黒色化合物58.
4g(収率97%)を得た。
ml、塩化第二鉄 25g、及び濃塩酸5.5gを反応
容器に仕込み、180℃で14時間縮合反応させること
により、縮合物100gを得た。 (b)ニグロシンの硫酸塩の合成
られた縮合物(ニグロシン)100gを分散させ、80
℃で6時間撹拌した。その後、分散物を濾取し、その濾
取物を水洗した後、乾燥させることにより、黒色化合物
47g(収率94%)を得た。
合物並びにスピリットブラックAB(AB)、スピリッ
トブラックSB(SB)及びニグロシンベースSAP−
L(SAP−L)のFe、Cl、SO4 2−、PO4
3−及びアニリンの含有率を表1に示す。各サンプルに
ついてのデータの測定方法は次のとおりである。 Fe:試料50mgに硝酸5mlを加え、マイクロウエ
ーブを用いて加圧分解を行った。この分解物に0.1N
−塩酸を加え、全量を50mlとした。既知の標準試料
を用いて検量線を作成した後、前記のように得られた液
について原子吸光分析により測定した。[測定器:フレ
ーム分光光度計AA−660(島津製作所社製)] Cl:試料250mgを精秤し、それにDMF(ジメチ
ルホルムアミド)を加えて全量を25mlとし、超音波
をかけて溶解させた。既知の標準試料を用いて検量線を
作成した後、前記のように得られた液について全塩素分
析を行った。[測定器:TOX−10シグマ(商品名
三菱化学社製)] SO4 2−及びPO4 3−:試料200mgにメタノー
ル5mlを加えて超音波により分散させた液に、イオン
交換水を加え、全量を50mlとした。これを還流させ
ながら、1時間煮沸させ、得られた液を遠心分離した後
25μのメンブランフィルターで濾過した。既知の標準
試料を用いて検量線を作成した後、前記のように得られ
た濾液についてイオンクロマトグラフィーにより測定し
た。[測定器:DX−300(日本ダイオネクス社
製)、カラム:Iou Pac AS12A] 含有アニリン:アニリンの検量線を作成した後、試料0
・15gと内部標準の既定量のp−クロルアニリンにエ
タノールを加え、全量20mlとして超音波をかけ、相
溶させた。得られた液についてガスクロマトグラフィー
により測定した。[測定器:ヒューレットパッカード社
製の5890、カラム:DB−1(30xO.53mm
xl.5μm)、オーブン昇温条件:100℃から28
0℃を20℃/分、インジェクション温度:280℃、
デテクター温度:280℃、検出器:FID]
れ、1時間撹拌混合した。その混合物を、2軸押出機
(池貝鉄工社製 商品名:PCM−30)を用いて溶融
混練することにより、黒色ペレットを得た。このペレッ
トを一昼夜120℃で減圧乾燥させることにより、着色
濃度25重量%のマスターバッチを得た。
れ、1時間撹拌混合した。その混合物を、2軸押出機
(池貝鉄工社製 商品名:PCM−30)を用いて溶融
混練することにより、黒色ペレットを得た。このペレッ
トを一昼夜120℃で減圧乾燥させることにより、着色
濃度25重量%のマスターバッチを得た。
れ、20分間攪拌混合した。この混合物をベント式押出
機(エンプラ産業社製 商品名:E30SV)を用いて
270℃で溶融混合し、常法にて外観及び表面光沢が良
好で色むらがない、均一な着色ペレット(2mmφ×2
mm)を作成し、このペレットを120℃で6時間乾燥
させた。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製 商品名:DS
C6100)の測定容器に合わせて切断して容器内に均
一に収容し、覆蓋固定した後、示差走査熱量計を用いて
ペレットの融点と結晶化温度を次のように測定した。先
ず室温から20℃/分で300℃まで昇温させ、融解ピ
ーク温度を測定し、300℃で3分間保持後、10℃/
分で室温まで冷却し、補外結晶化開始温度(Tic)、結
晶化ピーク温度及び補外結晶化温度(Tec)を測定し
た。測定して得られたDSC曲線を図1に示す。図1に
おいて、横軸は時間(分)、左縦軸はDSCmW、右縦
軸は温度(℃)である。また、横軸を温度(℃)、縦軸
をDSCmWとして補外結晶化開始温度(Tic)、結晶
化ピーク温度及び補外結晶化温度(Tec)を測定した場
合のDSC曲線を図2に示す。
結晶化ピーク温度を結晶化温度とし、黒色化合物を含有
していない元の樹脂(以下、「元の樹脂」という。)の
結晶化温度をT0 PCとすると、結晶化温度差△TPC
は元の樹脂の結晶化温度T0 PCと着色樹脂組成物の結
晶化温度TPCとの差即ち△TPC=TPC−T0 P C
で表される。
度、結晶化温度、補外結晶化終了温度及び元の樹脂との
結晶化温度差を表2に示す。
れぞれ製造例2の黒色化合物、製造例3の黒色化合物、
及び製造例7の黒色化合物を用いるほかは実施例1と同
様にして、外観及び表面光沢が良好で色むらがない、均
一な着色ペレット(2mmφ×2mm)を作成し、示差
熱分析を行った。得られた結果を表2に示す。
ブラックAB(オリヱント化学工業社製 ニグロシンの
商品名)を用い、その他は実施例1と同様に均一な着色
ペレット(2mmφ×2mm)を作成し、示差熱分析を
行った。得られた結果を表2に示す。
ブラックSB(オリヱント化学工業社製 ニグロシンの
商品名)を用い、その他は実施例1と同様に均一な着色
ペレット(2mmφ×2mm)を作成し、示差熱分析を
行った。得られた結果を表2に示す。
結晶化温度である。
=67:33の重量混合比の繊維強化ポリアミド樹脂
デュポン社製 商品名:70G33L) 100g 製造例8のマスターバッチ 4g
れ、20分攪拌混合した後、その混合物を射出成形機
(川口鐵工社製 商品名:KM−50C)を用いて29
0℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面
光沢が良好で色むらがない均一な黒色の試験片〔49×
79×3(mm)〕(製造例1の黒色化合物濃度:約1重
量%)を得た。
差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表3に示
す。
名:HG−268)を用いて試験片の60度入射角での
光沢値を測定した。
平滑性が高く、表面光沢が豊富であると判断される。
(mm)〕にて、成形温度280℃、金型温度80℃で、
射出速度・射出圧力等の成形条件を一定とし、成形物の
長さを測定した。
動性が良く、成形物の成形が容易になり、表面の平滑性
が高く、ガラス繊維強化ナイロン等の繊維強化結晶性樹
脂ではガラス繊維などの補強材が浮き出る現象を抑える
ことができるものと考えられる。OD値の測定と評価 OD値は、試験片について透過・反射兼用濃度計(マク
ベス社製 商品名:TR−927)を用いて測定した。
一般に、OD値が高いものの方が、表面の平滑性が高
く、表面光沢が豊富であると判断される。
例1と同様にして着色ペレット(2mmφ×2mm)を
作成して融点と結晶化温度を測定した。
例5と同様にして、外観及び表面光沢が良好で色むらが
ない均一な黒色の試験片〔49×79×3(mm)〕を得
た。
差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表3に示
す。
ント化学工業社製 ニグロシンの商品名)の25%のマ
スターバッチを製造した。
に代えてスピリットブラックABのマスターバッチを用
いるほかは実施例5と同様にして黒色の試験片〔49×
79×3(mm)〕を得た。
とするほかは比較例3と同様にして黒色の試験片〔49
×79×3(mm)〕を得た。
温度差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表3に
示す。
ト化学工業社製 ニグロシンの商品名)の25%のマス
ターバッチを製造した。
に代えてニグロシンベースSAのマスターバッチを用い
るほかは実施例5と同様にして黒色の試験片〔49×7
9×3(mm)〕を得た。
とするほかは比較例5と同様にして黒色の試験片〔49
×79×3(mm)〕を得た。
温度差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表3に
示す。
例5と同様にして、無色の試験片〔49×79×3(m
m)〕を得た。
差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表3に示
す。
=67:33の重量混合比の繊維強化ポリアミド樹脂
デュポン社製 商品名:70G33L)をガラス強化ナ
イロン66(ポリアミド樹脂:ガラス繊維=57:43
の重量混合比の繊維強化ポリアミド樹脂 デュポン社製
商品名:70G43L)に代える以外は実施例5と同
様にして外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な
黒色の試験片〔49×79×3(mm)〕を得た。
差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表4に示
す。
例7と同様にして、外観及び表面光沢が良好で色むらが
ない均一な黒色の試験片〔49×79×3(mm)〕を得
た。
差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表4に示
す。
用いたスピリットブラックABのマスターバッチに代え
る以外は実施例7と同様にして、黒色の試験片〔49×
79×3(mm)〕を得た。
の量を半分とするほかは比較例8と同様にして、黒色の
試験片〔49×79×3(mm)〕を得た。
温度差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表4に
示す。
で用いたニグロシンベースSAのマスターバッチに代え
る以外は実施例7と同様にして、黒色の試験片〔49×
79×3(mm)〕を得た。
分とするほかは比較例10と同様にして、黒色の試験片
〔49×79×3(mm)〕を得た。
温度差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表4に
示す。
例7と同様にして、無色の試験片〔49×79×3(m
m)〕を得た。
差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表4(及び
表5)に示す。
=57:43の重量混合比の繊維強化ポリアミド樹脂
デュポン社製 商品名:70G43L) 100g 製造例1の黒色化合物 1.0g
れ、20分攪拌混合した。その混合物を射出成形機(川
口鐵工社製 商品名:KM−50C)を用いて290℃
で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢
が良好で色むらがない均一な黒色の試験片〔49×79
×3(mm)〕を得た。
差、スパイラルフロー長に関する測定結果を表5に示
す。
リンブラック)の配合を表5に示すように代えるほかは
実施例9と同様にして、黒色の試験片〔49×79×3
(mm)〕を得た。
の25%マスターバッチをガラス強化ナイロン66に対
しその4重量%混合してなるもの)及び比較例10の黒
色試験片(ニグロシンベースSAの25%マスターバッ
チをガラス強化ナイロン66に対しその4重量%混合し
てなるもの)を用い下記試験方法で耐溶剤性試験を行っ
た。
8時間浸し、その後の溶剤を目視にて判定すると共に、
色差計(カラーテクノシステム社製 商品名:JP71
00F)を用いてその各溶剤の色差を測定した。判定基
準は次の通りである。 溶出無し:○ 溶出若干あり:△ 溶出あり:×
ルエチルケトン]
B、スピリットブラックAB及びニグロシンベースSA
P−Lの体積抵抗値をそれぞれ測定した。 測定条件:測定サンプル1gを精秤し、それを抵抗値測
定セル(直径18mmの円筒形セル)の中で銅製の電極
(蓋)間に挟み、両電極間で2kg重の加圧力で1分間
加圧した。その加圧を継続しながら、抵抗値測定セルの
中の電極(サンプルをはさむ電極)に500Vの電圧を
かけた状態で、1分後に抵抗値測定器(ADVANTE
ST社製 商品名:R8340A)で体積抵抗値を測定
した。測定に当っては、抵抗値測定器に電極間の距離
(測定サンプルの厚さ)を入力した。
Claims (21)
- 【請求項1】ニグロシンの硫酸および/または燐酸によ
る塩である水不溶性のニグロシン系化合物。 - 【請求項2】塩素濃度が3重量%以下である請求項1記
載のニグロシン系化合物。 - 【請求項3】鉄濃度が0.5重量%以下である請求項1
又は2記載のニグロシン系化合物。 - 【請求項4】残留アニリン濃度が0.5重量%以下であ
る請求項1、2又は3記載のニグロシン系化合物。 - 【請求項5】体積抵抗値が2.0×1010Ω・cm以
上である請求項1、2、3又は4記載のニグロシン系化
合物。 - 【請求項6】硫酸および/または燐酸でニグロシンが処
理されてなるものである請求項1、2、3、4又は5記
載のニグロシン系化合物。 - 【請求項7】上記ニグロシンが塩酸塩であり、そのニグ
ロシンについての硫酸および/または燐酸での処理が、
ニグロシン中で塩を構成する塩素イオンが硫酸イオンお
よび/または燐酸イオンに交換される処理である請求項
6記載のニグロシン系化合物。 - 【請求項8】ニグロシンの硫酸塩であり、塩素濃度が9
000ppm以下である請求項1、2、3、4、5、6
又は7記載のニグロシン系化合物。 - 【請求項9】結晶性樹脂中に請求項1、2、3、4、
5、6、7又は8記載のニグロシン系化合物を含有する
ことを特徴とする結晶性樹脂組成物。 - 【請求項10】結晶性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト樹脂又はポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項
9記載の結晶性樹脂組成物。 - 【請求項11】結晶化温度が、ニグロシン系化合物を含
有しない元の熱可塑性樹脂に比し7℃以上低い請求項9
又は10記載の結晶性樹脂組成物。 - 【請求項12】繊維状補強材を含有する請求項9、10
又は11記載の結晶性樹脂組成物。 - 【請求項13】含有するニグロシン系化合物をニグロシ
ンに代えた結晶性樹脂組成物に比し流動性が高い請求項
12記載の結晶性樹脂組成物。 - 【請求項14】アニリンブラックを含有する請求項9、
10、11、12又は13記載の結晶性樹脂組成物。 - 【請求項15】カーボンブラックを含有する請求項9、
10、11、12、13又は14記載の結晶性樹脂組成
物。 - 【請求項16】結晶性樹脂中に、繊維状補強材及び請求
項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のニグロシン
系化合物を含有してなり、前記ニグロシン系化合物をニ
グロシンに代えた繊維強化結晶性樹脂成形物に比し表面
光沢度が高いことを特徴とする繊維強化結晶性樹脂成形
物。 - 【請求項17】結晶性樹脂中に請求項1、2、3、4、
5、6、7又は8記載のニグロシン系化合物を含有させ
ることにより、その結晶性樹脂の結晶化温度をニグロシ
ン系化合物を含有しない元の熱可塑性樹脂に比し7℃以
上低下させることを特徴とする結晶性樹脂の結晶化温度
低下方法。 - 【請求項18】結晶性樹脂中に請求項1、2、3、4、
5、6、7又は8記載のニグロシン系化合物を含有させ
ることにより、その結晶性樹脂の流動性をニグロシン系
化合物を含有しない元の熱可塑性樹脂に比し向上させる
ことを特徴とする結晶性樹脂の流動性向上方法。 - 【請求項19】結晶性樹脂中に繊維状補強材を含有する
請求項18記載の結晶性樹脂の流動性向上方法。 - 【請求項20】結晶性樹脂中に請求項1、2、3、4、
5、6、7又は8記載のニグロシン系化合物を含有させ
ることにより、その結晶性樹脂の表面光沢度をニグロシ
ン系化合物を含有しない元の熱可塑性樹脂に比し向上さ
せることを特徴とする結晶性樹脂の表面光沢度向上方
法。 - 【請求項21】結晶性樹脂中に繊維状補強材を含有する
請求項20記載の結晶性樹脂の表面光沢度向上方法。
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