JP2000507458A - ホスホリパーゼの使用による高い量の非水和性リンを含む食用油中のリン含有成分の減少、ホスホリパーゼaおよび/またはb活性を有する糸状菌からのホスホリパーゼ - Google Patents

ホスホリパーゼの使用による高い量の非水和性リンを含む食用油中のリン含有成分の減少、ホスホリパーゼaおよび/またはb活性を有する糸状菌からのホスホリパーゼ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ホスホリパーゼを使用することからなる、高い非水和性リン含量を含む食用油中のリン含有成分の含量を減少する方法に関する。さらに、本発明は、ホスホリパーゼ活性を有する酵素、ホスホリパーゼ活性を有する酵素をコードするクローン化されたDNA配列、前記酵素を製造する方法、および多数の工業的用途のための前記酵素の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ホスホリパーゼの使用による高い量の非水和性リンを含む食用油中のリン含有成 分の減少、ホスホリパーゼAおよび/またはB活性を有する糸状菌からのホスホ リパーゼ 発明の分野 本発明は、ホスホリパーゼを使用して、高い量の非水和性リンを含む食用油中 のリン含有成分の含量を減少する方法に関する。 さらに、本発明は、ホスホリパーゼ活性を有する酵素、ホスホリパーゼ活性を 有する酵素をコードするクローン化DNA配列、前記酵素を製造する方法、およ び多数の工業的用途のための前記酵素の使用に関する。 発明の背景比較的高い量の非水和性リン含量を含む食用油の酵素的脱ガム化(degumm ing) 水−脱ガム化された食用油(米国特許第5,264,367号、 ム化して、前記水−脱ガム化された食用油のリン含量を減少するためにホスホリ パーゼを用いることは知られている。 しかしながら、この方法は、特に高い量の非水和性リン(NHP)および/ま たは比較的高い量の粘質物を含む食用油の酵素的脱ガム化を実施するために、な お改良することができる。 結局、本発明の目的は、ホスホリパーゼを使用することを含む、このような油 のリン含有成分の含量を減少する方法を提供することである。本発明のホスホリパーゼ リン脂質、例えば、レシチンまたはホスファチジルコリンは、外側位置(sn −1)および中央位置(sn−2)においておよび2つの脂肪酸でエステル化さ れかつ第3位置においてリン酸でエステル化されたグリセロールから成る;引き 続いて、リン酸をエステル化してアミノ−アルコールにすることができる。ホス ホリパーゼは、リン脂質の加水分解に関与する酵素である。いくつかの型のホス ホリパーゼ活性を区別することができ、これらの型は下記のものを包含する:ホ スホリパーゼA1(PLA1)およびA2(PLA2)、これらは1つの脂肪族アシ ル基を加水分解して(それぞれ、sn−1およびsn−2位置において)リゾリ ン脂質を形成する;およびリゾホスホリパーゼ(またはホスホリパーゼB(PL B))、これはリゾリン脂質中の残りの脂肪族アシル基を加水分解することがで きる。 本発明は、なかでも、リン脂質中の一方または双方の脂肪族アシル基を加水分 解する能力を有する(すなわち、PLAおよび/またはPLB活性を示す)糸状 菌のホスホリパーゼに関する。以前に特性決定された真菌のPLAおよび/またはPLB酵素 真菌のホスホリパーゼの特性決定は多数の参考文献に記載されている。先行技 術の水準を概観することを容易にするために、参考文献を2つの区分にグループ 化した。 第1区分において、現在、本発明の真菌のホスホリパーゼに関係すると考えら れない真菌のホスホリパーゼの同定を記載している参考文献を取り扱う。主に、 真菌のホスホリパーゼの特性決定の分野の範囲内の技術水準を要約するために、 これらの参考文献を含める。 第2区分において、本発明の真菌のホスホリパーゼに多少関係す ると考えられる真菌のホスホリパーゼの特性決定を記載する参考文献を取り扱う 。第1区分 : ホスホリパーゼAおよび/またはB活性を有する酵素は、下記のものを包含す る種々の真菌源において見出されてきている:ペニシリウム・ノタツム(Pen icillium notatum)(また、ペニシリウム・クリソゲヌム(P .chrysogenum)として知られている;N.Kawasaki、「J .Biochem.」、77、1233−44、1975;N.Masuda他 、「Eur.J.Biochem.」、202、783−787、1991)、 ペニシリウム・シクロピウム(P.cyclopium)(「Process Biochemistry」30(5);393−401(1995))、サッ カロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae )(M.Ichimasa他、「Agric.Biol.Chem.」、49( 4)、1083−89、1985;F.Paultauf他、「J.Biol. Chem.」、269、19725−30、1994)、トルラスポラ・デルブ ルエキイ(Torulaspora delbrueckii)(古い名称サッ カロマイセス・ロセイ(Saccharomyces rosei);Y.Ku wabara、「Agric.Biol.Chem.」、52(10)、245 1−58、1988;「FEMS Microbiol.Letters」、1 24、29−34)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccha romyces pombe)(H.Oishi他、「Biosci.Biot ech.Biochem.」、60(7)、1087−92、1996)、アス ペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)〔「Techni cal Blletin、G−zyme(商標)G999」、Enzyme B io−Systems Ltd.;「Process Biochemistr y」30(5):393−401(1995)〕およびコルチウム・セントリフ グム(Corticium centrifugum)(S.Uehara他、 「Agric.Biol.Chem.」、43(3)、517−525、197 9)。第2区分 : EP575133(A2)号には、アスペルギルス(Aspergillus )から得られた真菌のホスホリパーゼA1の単離および特性決定および工業的用 途のためのそれらの使用が記載されている。 配列の情報(DNAまたはアミノ酸)は前記出願に記載されていず、また、ア スペルギルス(Aspergillus)のホスホリパーゼのクローン化の戦略 または示唆は前記出願に記載または示されていない。 Tsung−Che他(「Phytopathological notes 」58:1437−38(1968))は、フザリウム・ソラニ(F.sola ni)からのホスホリパーゼの特性決定を簡単に記載している。 EP130,064号には、フザリウム・オキシスポラム(F.oxyspo rum)DSM2672株から得られたリパーゼ活性を示す発酵ブロスの単離さ れた画分が記載されている。さらに、洗剤組成物におけるその使用が開示されて いる。しかしながら、EP130,064号には、この画分がホスホリパーゼ活 性を示すことは記載されていない。 WO96/13579号には、フザリウム・クルモラム(F.c ulmorum)株、CBS513.94から得られたリパーゼ、およびそのN −末端の配列が記載されている。 しかしながら、WO96/13579号には、ホスホリパーゼ活性を示す酵素 は記載されていない。 フザリウム・ヘテロスポラム(F.heterosporum)からのリパー ゼをコードするcDNA配列が記載されている(Cloning and nu cleotide sequence of cDNA encoding a lipase frm Fusarium heterosporum)「J .Biochem.」、116、536−540、1994)。この配列は、現 在、本発明のクローン化DNA配列に比較して最も関係するDNA配列であると 考えられる(下記の「先行技術との比較」の節を参照のこと)。しかしながら、 この参考文献にはホスホリパーゼ活性を示す酵素は記載されていない。 ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)からの ホスホリパーゼBをコードするcDNA配列は記載されている(「Eur.J. Biochem.」202:783−787、1991)。しかしながら、この クローン化されたDNA配列は、本発明のDNA配列に対して非常に制限された 相同性を有する(下記の「先行技術との比較」の節を参照のこと)。ホスホリパーゼの工業的用途 ホスホリパーゼの多数の使用がこの分野において知られており、これらは下記 のものを包含する:水脱ガム化された油の酵素的脱ガム化(米国特許第5,26 4,367号、Metallgesel の)を処理して濾過性を改良すること(EP219,269号、CPC Int ernational);パンの弾性を改良するため のパン生地に対する添加剤として(米国特許第4,567,046号、協和発酵 );および特定の乳化特性を有するリゾレシチンの製造におけるホスホリパーゼ の使用。 現在、ホスホリパーゼLecitase(登録商標、Novo Nordis k A/S)は、例えば、油の脱ガム化について商業的に使用されている。Le citase(登録商標)はブタ膵臓から得られた哺乳動物の酵素である。 工業的、経済的に許容される収率で、特に糸状菌から、真菌の酵素を組換え的 に製造できることはよく知られている。 結局、本発明の目的は、例えば、前述の方法において使用するための、改良さ れたホスホリパーゼを提供することである。 さらに、本発明の目的は、工業的に許容される収率で、糸状菌から得られるホ スホリパーゼを組換え的に製造するプロセスおよび方法を記載することである。 発明の要約 食用油の水脱ガム化は水を使用する抽出により実施される。その処理において 、ホスファチドの一部分はその油の中に残る。その部分は一般用語「非水和性リ ン脂質」(NHP)により記載される。油の製造において、NHP含量を除去す ることは必須である(米国特許第5,264,367号)。 本発明は、比較的高い量のNHPを含む油中のNHP含量を除去する方法を提 供する。 したがって、第1面において、本発明は、食用油中のリン含有成分の含量を減 少する方法に関し、前記油は少なくとも50ppmの非水和性リン含量を含み、 前記非水和性リン含量は、 i) 60℃において、水中のクエン酸一水和物を含んでなる溶 液の添加(添加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106 mM、水/油エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)により、食用油を3 0分間前処理し、 ii) 10mlの前処理された油中水型エマルジョンを管に移し、 iii) 前記エマルジョンを沸騰する水浴中で30分間加熱し、 iv) 5000rpmにおいて10分間遠心し、 v) 約8mlの上(油)相を新しい管に移し、それを24時間沈降させ、そ して vi) 沈降後、上方の透明な相から2gを抜き出して、食用油中の非水和性 リン含量を測定する、ことによって測定され、そして前記方法は、前記油を、p H1.5〜8において、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、またはホスホ リパーゼBの水溶液と接触させ、これを前記油のリン含量が11ppmより低く 減少するまで前記油中で乳化させ、次いで水性相を処理された油から分離するこ とを含む。 他の面において、本発明は新規なクローン化されたホスホリパーゼに関する。 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)DSM2672の中 に見出される(そしてEP130,064号に記載されている)リパーゼ活性の 特質のそれ以上の研究において、単離された画分がリパーゼ活性を有するいくつ かの成分を含み、それらの1つはホスホリパーゼ活性を示した。 多数の技術的困難にかかわらず(下文参照)、本発明はフザリウム(Fusa rium)属、さらに詳しくはフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株からホスホ リパーゼA活性を示す酵素をクローン化することができた。 これは糸状菌のホスホリパーゼAがクローン化された最初であり、結局、本発 明は糸状菌のホスホリパーゼA酵素をコードするクローン化されたDNA配列を 提供する。 したがって、本発明の1つの面は、DNA配列が糸状菌から得られる、ホスホ リパーゼA活性を有するポリペプチドをコードするクローン化されたDNA配列 に関する。 ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)からの ホスホリパーゼBをコードするcDNA配列は、「Eur.J.Biochem .」202:783−787、1991に記載されている。 しかしながら、このDNA配列は本発明のDNA配列(配列番号:1 23− 1060)に対して非常に制限されたDNAの同一性を示すだけであり、そして さらに、物理的特性、例えば、分子量は前記ペニシリウム・ノタツム(P.no tatum)からのPLB(66kDa)と本発明のホスホリパーゼ(29±1 0kDa(下文参照))との間でかなり変化する。 さらに、先行技術のヌクレオチドおよびアミノ酸配列と比較すると、本発明の DNA配列および/または対応するコードされたアミノ酸配列が先行技術のDN Aおよび/またはアミノ酸配列に対してほんのわずかの相同性を有することが示 された(下文参照)。 結局、この出願において提供されるDNA配列の情報は、例えば、他の関係す る/相同的ホスホリパーゼをコードするDNA配列をクローン化するために、高 度に価値があると現在考えられる。なぜなら、特定のハイブリダイズプローブお よび/またはPCRプライマーは現在本発明の前記DNA配列に基づいて容易に 構築することができるからである。 さらに、この出願において提供されるDNA配列の情報に基づいて関係する/ 相同的ホスホリパーゼAおよび/またはホスホリパーゼBをコードするDNA配 列をクローン化することができると現在考えられる。 したがって、他の面において、本発明は、ホスホリパーゼAおよび/またはホ スホリパーゼBの活性を示す酵素をコードするクローン化されたDNA配列に関 し、前記DNA配列は、 (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSMI1299の中 に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホス ホリパーゼAをコードする部分、 (b) 配列番号:1中の位置23−1063、より好ましくは配列番号:1 中の位置113−1063、なおより好ましくは配列番号:1中の位置113− 929に示されるDNA配列、またはその相補的鎖、 (c) (a)または(b)において定義された前記DNA配列と少なくとも 70%相同性であるDNA配列、 (d) ホスホリパーゼ活性を示すポリペプチドをコードし、かつ配列番号: 2の位置31−346に示されるポリペプチド配列と少なくとも70%相同性で あり、より好ましくは配列番号:2の位置31−303に示されるポリペプチド 配列と少なくとも70%相同性である、(a)または(b)において定義された 前記DNA配列、 (e) 配列番号:1中の位置23−1063に示されるDNA配列を含んで なる二本鎖DNAプローブと低いストリンジェンシイにおいてハイブリダイズす るDNA配列、 (f) 配列番号:2の1〜346、31〜303または31〜303の位置 残基のアミノ酸配列あるいは(e)のDNA配列のい ずれかによりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDN A配列、および (g) (a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)において特定 されたDNA配列のフラグメントであるDNA配列、から成る群より選択される 。 さらに、本発明のホスホリパーゼは集中的に特性決定され、そしてそれは低い pHにおいてホスホリパーゼ活性を有することが見出された;この性質により、 それは油の脱ガム化において使用するために非常に適当である。ホスホリパーゼ は膜結合されていず、これによりそれは商業的生産および精製に適する。 したがって、他の面において、本発明は、ホスホリパーゼA活性を有する単離 されたポリペプチドに関し、前記ポリペプチドは、フザリウム(Fusariu m)属の株から得られ、そして i) 40℃において測定された、pH範囲3〜10におけるPLA活性、 ii) SDS−PAGEにより決定して、29±10kDaの分子量、 iii) 範囲4.5〜8の等電点(pI)、 iv) pH5において基質としてレシチンを使用して測定された、25〜5 5℃の範囲のホスホリパーゼ活性のための温度最適値、および/または v) 37°Cにおいて基質としてレシチンを使用して測定された、6〜12 のpH範囲のホスホリパーゼ活性のためのpH最適値、を有する。 本発明の単離されたホスホリパーゼの推定されたアミノ酸配列は、配列番号: 2に示されている。 成熟分泌された単離されたホスホリパーゼのN−末端のアミノ酸 配列が決定された。前記N−末端の配列は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を 有する、本発明のホスホリパーゼの成熟部分が、配列番号:2中のアミノ酸No .31において開始することを示した。それ以上の詳細については本明細書中の 実施例を参照のこと(下文参照)。 さらに、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する、本発明の活性な分泌され たホスホリパーゼのC−末端のアミノ酸配列が決定された。前記C−末端の決定 されたホスホリパーゼは、糸状菌の株アスペルギルス・オリゼ(Aspergi llus oryzae)において組換え的に発現された。それ以上の詳細につ いては本明細書中の実施例を参照のこと。 これらの結果により、酵素はアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)か らの発現の間にC−末端でプロセシングされることが示され、そしてこれらの結 果は配列番号:2中のSer303が発現された成熟活性酵素中のC−末端の残 基である可能性が最も高いことを示す。しかしながら、なおそれ以上のC−末端 のプロセシングが起こりうること(すなわち、前記配列のフラグメントを与える こと)、およびなお発現された成熟活性酵素を有することが予測される。 したがって、他の面において、本発明は、ホスホリパーゼAおよび/またはB の活性を示す単離されたポリペプチドに関し、前記ポリペプチドは、 (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中 に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホス ホリパーゼAおよび/またはB酵素をコードする部分によりコードされるポリペ プチド、 (b) 配列番号:2中の位置31−346に示されるアミノ酸 配列を有するポリペプチド、 (c) 配列番号:2中の位置31−303に示されるアミノ酸配列を有する ポリペプチド、 (d)(a)、(b)または(c)において定義された前記ポリペプチドの類 似体、前記類似体は前記ポリペプチドと少なくとも70%相同性である、および (e) (a)、(b)、(c)または(d)のフラグメント、から成る群よ り選択される。 なお他の面において、本発明は、本発明の酵素の異種組換え生産を可能とする 、組換え発現ベクターを提供する。これにより、相同的不純物を含有しないこと を特徴とする、高度に精製されたホスホリパーゼ組成物を製造することができる 。これは多数の工業的用途に対して高度に有利である。 フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)およびフザ リウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株の双方 から得られるホスホリパーゼが工業的に関係する用途において使用するために改 良された性質を有することを、本発明は実験的に証明する(下文参照)。フザリ ウム(Fusarium)属の株から得られるホスホリパーゼは、工業的に関係 する用途において使用するために改良された性質を有することが予測される。 したがって、なお他の面において、本発明は、リン脂質またはリゾリン脂質を ホスホリパーゼで処理して脂肪族アシル基を加水分解することを含む方法におけ る、フザリウム(Fusarium)属の株、例えば、フザリウム・クルモラム (F.culmorum)、フザリウム・ヘテロスポラム(F.heteros porum)、フザリウム・ソラニ(F.solani)の株、特にフザリウム ・オキシスポラム(F.oxysporum)の株から得られたホスホリパーゼ の使用に関する。 最後に、本発明は、糸状菌のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株から得られるホスホリパーゼをコードするDNA配 列(大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中に存在 するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパ ーゼをコードする部分)を収容する大腸菌(Escherichia coli )DSM No.11299株、あるいはホスホリパーゼをコードする能力を保 持した前記大腸菌(E.coli)の突然変異体の、単離された、実質的に純粋 な生物学的培養物に関する。 先行技術との配列の相同性の比較 ヌクレオチドおよびタンパク質のデータベースに対する本発明のホスホリパー ゼとの相同性のサーチを実施した。相同性のサーチにおいて、最も密接に関係す る既知の配列はフザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium hetero sporum)からのリパーゼであることが示された(アミノ酸の整列は第1図 に図解されている)。 ホスホリパーゼをコードする本発明のDNA配列(配列番号:1の23〜10 60)は、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosp orum)からの既知のリパーゼ配列(遺伝子バンクのデータバンクの参照S7 7816)に対して、わずかに62%の相同性を示し、そして本発明のホスホリ パーゼの対応するアミノ酸配列(配列番号:2)は、前述の既知のDNA配列に 基づいて推定されたアミノ酸配列に対して、わずかに60%の相同性を示す(第 1図参照)。 これが示すように、本発明のホスホリパーゼのDNAおよび/ま たはアミノ酸配列は事実いずれの既知のDNAおよび/またはアミノ酸配列とも 異なる。 ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)からの ホスホリパーゼBをコードするcDNA配列は記載されている(「Eur.J. Biochem.」202:783−787、1991)。しかしながら、この DNA配列(遺伝子バンクのデータバンクの参照X60348)は、本発明のD NA配列(配列番号:1の23〜1060)に対して、わずかに非常に制限され たDNAの同一性39%を示し、そして本発明のホスホリパーゼの対応するアミ ノ酸配列(配列番号:2)は、前述の既知のPLBのDNA配列に基づいて推定 されたアミノ酸配列に対して、わずかに20%の同一性を示す。 相同性の計算はこの明細書において後述するように実施された。 図面: 第1図:配列番号:2に示すアミノ酸と、フザリウム・ヘテロスポラム(Fu sarium heterosporum)からの先行技術のリパーゼの配列と の整列。 第2図:Lecitase(商標)と本発明によるフザリウム・オキシスポラ ム(Fusarium oxysporum)からのホスホリパーゼとの酵素的 脱ガム化能力の比較。 定義 本発明を詳細に論ずる前に、下記の用語を定義する。 「クローン化されたDNA配列」:用語「クローン化されたDNA配列」は、 DNAのセグメントをその自然の位置からそれが再現される異なる部位へ再配置 するために遺伝子操作において使用される標準的クローン化手順に従い、クロー ン化されたDNA配列を意味する。クローン化プロセスは、所望のDNAセグメ ントの切除 および単離、ベクター分子の中へのDNA片の挿入、およびDNAセグメントの 多数のコピーまたはクローンが複製される細胞の中への組換えベクターの組込み を包含する。 本発明の「クローン化されたDNA配列」は、また、「DNA構築物」または 「DNA配列を有するクローン化されたポリヌクレオチド」「単離されたDNA 配列」と命名することができる。 「から得られる」:本発明の目的に対して、用語「から得られる」は、特定の 微生物源に関して本明細書において使用するとき、酵素および結局、前記酵素を コードするDNA配列が、特定の源によるか、あるいは前記源からの遺伝子が挿 入された細胞により産生されることを意味する。 「単離されたポリペプチド」:本明細書において定義するとき、用語「単離さ れたポリペプチド」または「単離されたホスホリパーゼ」は、本発明のホスホリ パーゼについて使用するとき、他の非ホスホリパーゼを含有しない、例えば、S DS−PAGEにより測定して、少なくとも20%の純度、好ましくは少なくと も40%の純度、より好ましくは少なくとも60%の純度、なおより好ましくは 少なくとも80%の純度、最も好ましくは少なくとも90%の純度、なお最も好 ましくは少なくとも95%の純度であるホスホリパーゼまたはホスホリパーゼの 部分である。 単離されたポリペプチドが少なくとも60%の純度であるとき、用語「高度に 単離されたポリペプチド」を使用することができる。「単離されたポリペプチド 」は、また、「精製されたポリペプチド」と命名することができる。 「相同的不純物」:本明細書において使用するとき、用語「相同的不純物」は 、本発明の酵素が本来得られた相同的細胞から由来する、任意の不純物(例えば 、本発明の酵素以外のポリペプチド) を意味する。本発明において、相同的細胞は、例えば、フザリウム・オキシスポ ラム(Fusarium oxysporum)の株であることができる。 「ホスホリパーゼをコードする部分」:本明細書において使用するとき、DN A配列に関して使用する「ホスホリパーゼをコードする部分」は、ポリペプチド 配列に翻訳される領域に対応するDNA配列の領域を意味する。 配列番号:1に示すDNA配列において、それは第1「ATG」開始コドン( mRNAにおける「AUG」コドン)と次に続く停止コドン(「TAA」、「T AG」または「TGA」との間の領域である。 翻訳されたポリペプチドは、ホスホリパーゼ活性を示す成熟配列に加えて、N −末端のシグナルおよび/またはプロペプチドの配列をさらに含むことができる 。シグナル配列は一般にポリペプチドの分泌をガイドし、そしてプロペプチドは 一般にポリペプチドの折りたたみをガイドする。それ以上の情報については、下 記の文献を参照のこと:Egnell、P.他、「Molecular Mic robiol.」6(9):1115−19(1992)またはStryer、 L.、「Biochemistry」W.H.、Freeman and Co mpany/New York、ISBN 0−7167−1920−7。 「DNAおよび/またはアミノ酸配列の修飾」:本明細書において論ずるよう にDNAおよび/またはアミノ酸配列の修飾に関して使用する用語「修飾」は、 化学的修飾ならびに遺伝的操作を包含するように定義される。修飾は、問題のア ミノ酸の中の、あるいはアミノ酸における置換、欠失および/または挿入である ことができる。 「ホスホリパーゼA」:本発明の酵素に関して本明細書おいて使用される用語「 ホスホリパーゼA」は、ホスホリパーゼA1および/またはホスホリパーゼA2の 活性を有する酵素をカバーすることを意図する。 ホスホリパーゼA1 は、EC3.1.1.32として標準的酵素EC−分類に 従い定義される。 公式名称:ホスホリパーゼA1 (PLA1)。 触媒される反応: ホスファチジルコリン+H(2)O<> 2−アシルグリセロホスホコリン+脂肪酸アニオン 所見 ec3.1.1.4よりも非常に広い特異性を有する。ホスホリパーゼA2 は、EC3.1.1.4として標準的酵素EC−分類に従い 定義される。 公式名称:ホスホリパーゼA2(PLA2)。 別名:ホスファチジルコリン2−アシルヒドロラーゼ。 レシチナーゼa;ホスファチダーゼ;またはホスファチドリパーゼ。 触媒される反応: ホスファチジルコリン+H(2)O<> 1−アシルグリセロホスホコリン+脂肪酸アニオン 所見:また、ホスファチジルエタノールアミン、コリンプラスミノゲンおよびホ スファチドに作用して、2−位に結合した脂肪酸を除去する。 「ホスホリパーゼB:ホスホリパーゼB」は、EC3.1.1.5として標準的 酵素EC−分類に従い定義される。 公式名称:リゾホスホリパーゼ。 別名:レシチナーゼb;リゾレシチナーゼ;ホスホリパーゼb;またはplb。 触媒される反応: 2−アシルグリセロホスホコリン+H(2)O<> グリセロホスホコリン+脂肪酸アニオン 「ホスホリパーゼ活性」:本発明の酵素に関して本明細書おいて使用される用 語「ホスホリパーゼ活性」または「ホスホリパーゼ活性を有する/を示す」は、 下記において実験的に定義する量のホスホリパーゼ活性(PLAまたはPLBの 活性)を有する酵素を特定することを意図する。 したがって、ホスホリパーゼ活性を示す酵素は、本明細書中の実施例6に示す 「単層ホスホリパーゼアッセイ」(下文参照)において、酵素の投与量:60μ g、25℃において、少なくとも0.25nmol/分;より好ましくは酵素投 与量:60μg、25℃において、少なくとも0.40nmol/分;より好ま しくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なくとも0.75nmol/ 分;より好ましくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なくとも1.0 nmol/分;より好ましくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なく とも1.25nmol/分;なおより好ましくは酵素投与量:60μg、25℃ において、少なくとも1.5nmol/分のホスホリパーゼ活性を有する、酵素 として本発明において定義される。 このような有意なホスホリパーゼ活性を有する酵素のみは、例えば、脱ガム化 (米国特許第5,264,367号)において使用するために、工業的重要性を 有すると現在考えられる。 「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」:したがって、用語「ホスホリパ ーゼ副活性を有するリパーゼ」は、実施例6に示す 「単層ホスホリパーゼアッセイ」におけるホスホリパーゼ副活性が前述の数値よ り小さい、ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼとして定義される。 多数のリパーゼは、このようなホスホリパーゼ副活性を有する。本明細書にお ける実施例6(下文参照)において、ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼの あるものが示されている。 「粗製油」:粗製油(また、非脱ガム化油と呼ぶ)は、例えば、ナタネ、大豆 、またはヒマワリから、プレスされたまたは抽出された油またはその混合物であ ることができる。粗製油中のホスファチド含量は、200〜1200ppmの範 囲、より好ましくは250〜1200ppmの範囲のリン含量に対応して、0. 5〜3%w/wの範囲内で変化することができる。ホスファチドは別として、粗 製油は、また、低濃度の炭水化物、糖化合物、およびCa、MgおよびFeの金 属/ホスファチド酸錯体を含有する。 「半粗製油」:粗製油ではないが、250ppm以上、より好ましくは500 ppm以上のホスファチド含量を有するあらゆる油。このような油は、例えば、 粗製油を後述する「水脱ガム化された油」に類似するプロセスに付すことによっ て、達成できるであろう。 「水−脱ガム化された油」:水脱ガム化された油は、典型的には、1〜3%w /wの熱水を温かい(60〜90℃)粗製油と混合することによって得られる。 通常の処理時間は30〜60分である。水脱ガム化工程は、水和したとき油の中 に不溶性となる、ホスファチドおよび粘質性ガムを除去する。水和したホスファ チドおよびガムは、沈降、濾過または遠心により油から分離することができる− 遠心はより一般的な実施である。 前記水−脱ガム化プロセスにおける本質的目的は、水和ホスファ チドを油から分離することである。前述の熱水の油の中への混合は、本発明にお いて、この分野における標準的水−脱ガム化プロセスに従い、水溶液を油の中に 混合することとして広く理解すべきである。 また、本明細書において「水−脱ガム化された油」と命名するプロセスは「粘 質物を除去する湿式精製」と呼ぶことができる(米国特許第5,264,367 号参照)。 発明の詳細な説明 高い量の非水和性ホスファチド/リン脂質を含んでなる食用油の酵素的脱ガム 化法 本発明について、食用油中の非水和性リンの量は、 i) 60℃において、水中のクエン酸一水和物を含んでなる溶液の添加(添 加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/油 エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)により、前記食用油を30分間前 処理し、 ii) 10mlの前処理された油中水型エマルジョンを管に移し、 iii) 前記エマルジョンを沸騰する水浴中で30分間加熱し、 iv) 5000rpmにおいて10分間遠心し、 v) 約8mlの上(油)相を新しい管に移し、それを24時間放置し(沈降 させ)、 vi) 沈降後、上方の透明な相から2gを抜き出して、食用油中の非水和性 リン含量(ppm)を測定する、 ことによって測定される。 それ以上の詳細は、本明細書における実施例を参照のこと。 本明細書における実施例に例示されているように、異なる食用油のリン脂質組 成物(水和性/非水和性リン脂質)はかなり変化する。結局、異なる水−脱ガム 化された油中の残留するリン脂質のレベルは広い範囲にわたって変化する(例え ば、約30ppm〜200ppm)。 酵素的脱ガム化について、最適な酵素投与量は、上記において定義したように 、水脱ガム化またはクエン酸/水前処理後に存在する非水和性ホスファチドの量 に依存する。 さらに、油の中に存在する非水和性ホスファチドの量がより高くなるほど、酵 素的脱ガム化法はいっそう効率よくなる。 本発明は、比較的高い量のNHPを含んでなる油中のNHP含量を除去する方 法を提供することである。 好ましくは、食用油は、少なくとも60ppmの非水和性リン含量、より好ま しくは少なくとも100ppmの非水和性リン含量、なおより好ましくは少なく とも200ppmの非水和性リン含量を有する。 より好ましくは、食用油は、60〜500ppmの範囲、より好ましくは10 0〜500ppmの範囲、なおより好ましくは200〜500ppmの範囲の非 水和性リン含量を有する。 本明細書における記載に従い、比較的高い量の非水和性リンを有するとして定 義された食用油は、水脱カム化された油、より好ましくは粗製油または半粗製油 であることができる。 したがって、本発明の態様は、前記食用油が粗製油であり、前記粗製油は、本 発明の方法を実施する前において、250部/106部(ppm)より大きいリ ン含量を有する油であり、前記油は本発明の方法を実施する前において水−脱ガ ム化されていない(水脱ガム化は水を温かい粗製油の中に混合し、次いで水和し たとき油の中 に不溶性となるホスファチドを除去することを含む)ことを特徴とする、本発明 の第1の面に関する。 好ましくは、このような粗製食用油は、本発明の前記方法を実施する前におい て、350ppm以上、より好ましくは400ppm以上、なおより好ましくは 500ppm以上、最も好ましくは600ppm以上のリン含量を有する。 さらに、前記粗製食用油は、好ましくは、本発明の前記方法を実施する前にお いて、250〜1500ppmの範囲、より好ましくは350〜1500ppm の範囲、なおより好ましくは500〜1500ppmの範囲、最も好ましくは5 00〜1500ppmの範囲のリン含量を有する。 本発明による粗製食用油の酵素的脱ガム化法は、先行技術の水脱ガム化された 食用油の酵素的脱ガム化法(米国特許第5,264,367号)よりも有利であ る。なぜなら、本発明による、粗製油を処理するための直接的酵素的脱ガム化法 は、油の水脱ガム化の前の工程を節約するからである。 これは時間および金銭の双方を節約する。水−脱ガム化された油は、典型的に は、熱水を温かい(60〜90℃)粗製油の中に通常30〜60分間混合するこ とによって得られる。対照的に、本発明による粗製油を酵素的に脱ガム化する完 全なプロセスは1時間未満の時間内に実施することができ、実際の酵素的処理は 約25分である。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照の こと。 さらに、本明細書における記載に従い、比較的高い量の非水和性リンを有する として定義された食用油は半粗製油であることができる。 したがって、本発明の態様は、前記食用油が半粗製食用油であり 、前記半粗製食用油が500部/106部(ppm)以上のリン含量を有し、そ して前記油が本発明の方法を実施する前において水−脱ガム化されていることを 特徴とする、本発明の第1の面に関する。 好ましくは、前記半粗製食用油は、前記方法を実施する前において、600部 /106部(ppm)以上、最も好ましくは750部/106部(ppm)以上の リン含量を有する。 一般に、食用油の水脱ガム化は油中のリン含量を500ppm以下のレベルに 減少させる。 したがって、本明細書において記載する半粗製油は、例えば、本発明による食 用油中のリン含有成分のレベルを減少させる方法を実施する前に、わずかに部分 的に水−脱ガム化されていることができる。 用語「部分的に水脱ガム化された」は、油の水脱ガム化手順が標準的水−脱ガ ム化手順に比較して単なる部分的/短いプロセスであることを意味する。 「部分的水脱ガム化」プロセスは、わずかに0.5%の熱水を油の中に混合す る(標準は1〜3%の熱水である。本明細書における「定義」の節を参照のこと )ことによるか、あるいは処理時間を10分に減少する(標準は30〜60分で ある)ことによって実施することができる。 また、本明細書において定義する半粗製油は、粗製油と半粗製油との混合物で あることができる。 本発明の態様は、下記の工程を含む、本発明の第1の面のいずれかに従う方法 に関する: i) 食用油の温度を25℃〜70℃の温度に調節し、 ii) 上記調節された温度において、0.5〜6%(前記油に 関する重量による)の少なくとも85%の水を含んでなる水溶液の添加により、 食用油を5〜120分間前処理し、ここで前記前処理後に、油中の水和された粘 質物およびリン含量を除去せず、 iii) 前記水/油エマルジョンのpHをpH1.5〜8に調節し(例えば 、適当な量のNaOH溶液の添加により)、 iv) 前記水/油エマルジョンをホスホリパーゼの水溶液と接触させ(工程 i)に従い調節した温度(+/−5℃)において)、このホスホリパーゼを前記 油のリン含量が11ppmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、 v) 水性相を処理された油から分離する。 前述の工程i)における食用油の温度を、この方法において使用する酵素の最 適ホスホリパーゼ活性温度である温度に調節することが好ましい。 商業的に入手可能なホスホリパーゼLecitase(商標、Novo No rdisk A/S)について、これは約60℃であり、そして糸状菌フザリウ ム(Fusarium)属から得られた本発明のホスホリパーゼについて、約4 5℃である。この問題に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実 施例を参照のこと。 糸状菌のホスホリパーゼの大部分は温度最適値約35〜50℃を有するであろ うことが予測される。 したがって、本発明の態様は、工程i)における食用油の温度を35℃〜50 ℃に調節し、そして工程iv)において使用するホスホリパーゼが糸状菌株から 得られる、前述の方法に関する。 前述の方法の工程ii)において、食用油を好ましくは調節された温度(工程 i))において、0.5〜6%(前記油に関する重量による)の少なくとも85 %の水を含んでなる水溶液の添加により 、食用油を5〜120分間前処理し、ここで前記前処理後に、油中の水和された 粘質物およびリン含量を除去しない。 この工程は食用油の酵素的脱ガム化における標準的前処理工程である(米国特 許第5,264,367号;米国特許第5,558,781号)。工程ii)の 目的は、水和したとき油の中に不溶性となる、食用油中の水和性/親水性成分( 例えば、水和性リン含量)を水和することである。 しかしながら、この工程は本発明の関係における「食用油の水−脱ガム化」と 呼ぶものと異なる。1つの主要な差は、前記前処理工程が水和したホスファチド および粘質物を油から除去しないことである。油からの前記水和した含量の除去 は、食用油の水−脱ガム化の主要な目的である。 したがって、ホスホリパーゼを上記工程iv)において油と接触させるとき、 油は前記水和したホスファチドおよび粘質物をまだ含む。 換言すると、食用油が非水脱ガム化食用油である場合、上記方法は簡素化され た酵素的脱ガム化法であり、前記油とホスホリパーゼとの接触前に、水和したホ スファチドおよび粘質物を油から除去しない。 好ましくは、少なくとも85%の水を含んでなる水溶液(上記工程ii)はク エン酸をさらに含む。好ましくは、前記水溶液中に1〜15%(w/w)のクエ ン酸が存在し、より好ましくは前記水溶液中に3〜11%(w/w)のクエン酸 が存在する。 好ましくは、工程ii)における時間は15〜50分、より好ましくは15〜 30分である。 工程ii)における前記前処理に関するそれ以上の詳細については、本明細書 における実施例を参照のこと。 上記工程iii)において、水/油エマルジョンのpHをpH1.5〜8に調 節する(例えば、適当な量のNaOH溶液の添加により)。これは、工程iv) においてホスホリパーゼを油と接触させる前に、実施して油のpH値を調節する 。一般に、実際の最適pH値は工程iv)において油と接触させるために使用す る実際の酵素に依存するであろう。この問題に関するそれ以上の詳細については 、本明細書における実施例を参照のこと。 一般に、本発明の第1の面およびそれらの態様に従い、前記油とホスホリパー ゼを含んでなる水溶液との接触はpH1.5〜6、より好ましくはpH3〜6に おいて実施することが好ましい。 油中水型エマルジョンにおける水中のpH値は、2mlの水を油エマルジョン から取り、それらを2mlの水と混合することによって測定される。相分離後、 生ずる上部の油層をピペットで取り、そしてpHを水性相中で測定する。下記式 pH(真の)=pH(測定)−0.38により、測定値を「真の(real)」 pH値に変換する。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照 のこと。 好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法にお いて、油中で乳化されるホスホリパーゼの量が0.1〜15mgの酵素(乾燥物 質)/kgの油、好ましくは0.25〜5mgの酵素(乾燥物質)/kgの油、 なおより好ましくは0.25〜2.5mgの酵素(乾燥物質)/kgの油の範囲 である。 一般に、食用油の酵素的脱ガム化に使用するホスホリパーゼの量および時間を 最適化して、11ppm以下のリン含量を得ることが有利である。実際の最適な 酵素の投与量および時間は、なかでも、使用する実際のホスホリパーゼに依存す るであろう。この方法の酵素の投与量および時間の最適化に関するそれ以上の詳 細については 、本明細書における実施例を参照のこと。 好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法にお いて、前記油を0.5〜6mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油と接触 させた後、油のリン含量は11ppmより低く減少され、そしてホスホリパーゼ を前記油と1〜6時間の間接触させ、より好ましくは前記油を0.25〜2.5 mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油と接触させた後、油のリン含量は 11ppmより低く減少され、そしてホスホリパーゼを前記油と15分〜2時間 の間接触させる。 個々のホスホリパーゼについての最適な温度の同定に関するそれ以上の詳細に ついては、本明細書における実施例を参照のこと。 好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法のす べての面および態様において、油のリン含量は5ppmより低く減少される。 油中のリン含量は、油エマルジョン中に存在する水の油相中の部/106部( ppm)として測定される。リン含量の分析は、「Standard Meth ods for the Analysis of Oils, Fats, and Derivatives,第7版(1987)」における手順2.42 1に従い実施される。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参 照のこと。 本発明の態様は、ホスホリパーゼが哺乳動物種から得られ、特にホスホリパー ゼが前記哺乳動物種の膵臓から得られ、最も好ましくはホスホリパーゼがブタの 膵臓から得られる、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法 に関する。 好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法にお いて、ホスホリパーゼは微生物、好ましくは糸状菌、 酵母、または細菌から得られる。 好ましくは、前述の糸状菌がフザリウム(Fusarium)属の範囲内の種 であるとき、好ましい株は、フザリウム・クルモラム(F.culmorum) 、フザリウム・ヘテロスポラム(F.heterosporum)、フザリウム ・ソラニ(F.solani)の株、特にフザリウム・オキシスポラム(F.o xysporum)の株のような株である。 さらに、前記糸状菌がアスペルギルス(Aspergillus)属の範囲内 の種であるとき、好ましい株は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergil lus awamori)、アスペルギルス・フェチダス(Aspergill us foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergil lus japonicus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergill us niger)、特にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の株のような株である。 さらに、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法において 、食用油は好ましくは大豆油、ヒマワリ実油、より好ましくはナタネ油である。 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得 られるホスホリパーゼの特性決定 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から 得られる本発明のホスホリパーゼは、集中的に特性決定されてきている。 したがって、本発明の1つの面は、好ましくは、単離されたホスホリパーゼA である。このホスホリパーゼAはフザリウム(Fusarium)属の株から得 られ、40℃において測定してpH3〜10においてホスホリパーゼA活性、よ り好ましくは40℃におい て測定してpH3〜7においてホスホリパーゼA活性、より好ましくは40℃に おいて測定してpH3.5〜6においてホスホリパーゼA活性、なおより好まし くは40℃において測定してpH4.5〜5.5においてホスホリパーゼA活性 を有する。 ホスホリパーゼA活性は、基質として大豆レシチンを使用して(NEFA試験 塩基アッセイ)、あるいは2%のレシチン、2%のTriton X−100、 20mMのブリットン−ロビンソン(Britton−Robinson)(B R)を含んでなる緩衝液中で測定される。それ以上の詳細については、本明細書 における実施例を参照のこと。 本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フザリウム(F usarium)属の株から得られ、好ましくは29±10kDano分子量、 より好ましくは29±5kDaの分子量、なおより好ましくは29±3kDaの 分子量、最も好ましくは29±2kDaの分子量を有するものである。 分子量は、「材料および方法」の節(下文参照)にさらに記載するように、S DS−PAGE電気泳動により測定される。 本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フザリウム(F usarium)属の株から得られ、好ましくは範囲4.5〜8の等電点(pI )、より好ましくは範囲5〜7.5の等電点(pI)、なおより好ましくは範囲 5.5〜7.5の等電点(pI)を有するものである。 等電点(pI)は、ファーマシア(Pharmacia)からのアンフォリン (Am−pholine)PAGEプレートを使用して測定した。それ以上の詳 細については、本明細書における実施例を参照のこと(下文参照)。 本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フ ザリウム(Fusarium)属の株から得られ、好ましくはpH5において基 質としてレシチンを使用して測定して、25〜55℃の範囲、より好ましくはp H5において基質としてレシチンを使用して測定して、30〜50℃の範囲、な おより好ましくはpH5において基質としてレシチンを使用して測定して、40 〜50℃の範囲のホスホリパーゼ活性のための温度最適値を有するものである。 ホスホリパーゼ活性のための温度最適値は、2%のレシチン、2%のTrit on X−100、20mMのブリットン−ロビンソン緩衝剤を含んでなる緩衝 液中でpH5において測定された。それ以上の詳細については、本明細書におけ る実施例を参照のこと(下文参照)。 本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フザリウム(F usarium)属の株から得られ、好ましくは37℃においてpH範囲6〜1 2、より好ましくは37℃においてpH範囲8〜11、なおより好ましくは37 ℃においてpH範囲8.5〜11のホスホリパーゼ活性のpH最適値を有するも のである。 ホスホリパーゼ活性のpH最適値は、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのブリットン−ロビンソン(BR)を含んでなる緩衝液中 で37℃において測定された。それ以上の詳細については、本明細書における実 施例を参照のこと。 好ましくは、本発明のホスホリパーゼは酵素の5つ(番号i)〜v))の前述 の物理的特性のうちの少なくとも2つを有し、より好ましくは本発明のホスホリ パーゼは酵素の5つ(番号i)〜v))の前述の物理的特性のうちの少なくとも 3つを有し、なおより好ましくは本発明のホスホリパーゼは酵素の5つ(番号i )〜v))の前述の物理的特性のうちの少なくとも4つを有し、最も好ましくは 本発明のホスホリパーゼは酵素の5つ(番号i)〜v))の前述の 物理的特性のすべてを有する。 前述したように、本発明のホスホリパーゼはクローン化、組換え的に発現され 、精製され、そして活性な分泌された酵素のN−末端およびC−末端の配列が決 定された。 したがって、本発明の他の態様は、フザリウム(Fusarium)属の株か ら得られ、そして i) 40℃において測定された、pH範囲3〜10におけるPLA活性、 ii) SDS−PAGEにより決定して、29±10kDaの分子量、 iii) 範囲4.5〜8の等電点(pI)、 iv) pH5において基質としてレシチンを使用して測定された、25〜5 5℃の範囲のホスホリパーゼ活性のための温度最適値、および/または v) 37℃において基質としてレシチンを使用して測定された、6〜12の pH範囲のホスホリパーゼ活性のためのpH最適値、を有し、そして、さらに (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中 に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホス ホリパーゼA酵素をコードする部分によりコードされるポリペプチド、 (b) 配列番号:2中の位置31−346に示されるアミノ酸配列を有する ポリペプチド、 (c) 配列番号:2中の位置31−303に示されるアミノ酸配列を有する ポリペプチド、 (d) (a)、(b)または(c)において定義された前記ポリペプチドと 少なくとも70%相同性であるポリペプチドの類似体 、および (e) (a)、(b)、(c)または(d)のフラグメント、から成る群よ り選択されるアミノ酸配列を含んでなる、ホスホリパーゼA活性を有する単離さ れたポリペプチドに関する。 本発明の態様において、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離された ポリペプチドは、ホスホリパーゼA1活性を有するホスホリパーゼである。 他の態様において、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリ ペプチドはホスホリパーゼA2活性を有するホスホリパーゼであり、なお他の態 様において、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチド はホスホリパーゼB活性を有するホスホリパーゼである。 好ましくは、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する前記単離されたポリペ プチドはホスホリパーゼA1活性を有するホスホリパーゼである。 個々のPLA1、PLA2および/またはPLB活性を測定する標準的技術の特 定の実施例については、本明細書における実施例を参照のこと。 他の態様において、本発明は、ホスホリパーゼがCa2+濃度に対して実質的に 独立であるホスホリパーゼである、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単 離されたポリペプチドに関し、前記Ca2+濃度は、37℃において10分間イン キュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン、 2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液、 pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を測定するホスホリパーゼ活性の アッセイにおいて5mMのEDTAおよび5mMのCa2+における相対ホスホリ パーゼ活性として測定され、ここで5m MのEDTA/5mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性の比は0.25 より大きく、より好ましくは0.5より大きく、最も好ましくは0.80より大 きい。 Ca2+濃度に対する酵素活性の依存性の測定に関するそれ以上の詳細について は、本明細書における実施例を参照のこと。 いくつかのリパーゼは制限されたホスホリパーゼ活性を有する。本発明の関係 において、前記リパーゼのこのような制限されたホスホリパーゼ活性は「ホスホ リパーゼ副活性を有するリパーゼ」として定義される(本明細書における「定義 」の節参照)。本発明は、前記単離されたポリペプチドのホスホリパーゼ活性が それが工業的関連性を有するように高い、ホスホリパーゼ活性を有する単離され たポリペプチドに関する。 したがって、本発明は、下記のように単層ホスホリパーゼアッセイにおいて測 定して、60μgの酵素投与量、25℃において少なくとも0.25nmol/ 分、より好ましくは60μgの酵素投与量、25℃において少なくとも0.40 nmol分であるホスホリパーゼ活性を有するホスホリパーゼである、本発明に よるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドに関する: a. 緩衝溶液(10mMのTRIS、pH8.0、25℃)の完全に精製さ れた表面上の単層装置(ゼロ次トラフ)において、リン脂質DDPC(Di D icanoyl(C10)ホスファチジルコリン)の単層をクロロホルム溶液か ら広げ、 b. 単層を緩和させた(クロロホルムを蒸発させた)後、ほぼ643Å2/ 分子のDDPCの平均分子面積に対応して、表面圧力を15mN/mに調節し、 c. 60μgの酵素を含有する緩衝溶液(前述)を単層を通して「ゼロ次ト ラフ」中の反応区画室(面積1520mm2および体 積30400mm3を有するシリンダー)の部分相の中に注入し、 d. 不溶性基質分子がより水溶性の反応生成物に加水分解されるとき、一定 の表面圧力を維持するために、単層を圧縮する移動性バリヤーの速度により酵素 活性を測定し、ここで酵素により1分当たり加水分解されるDDPC−分子の数 をDDPCの平均分子面積(MMA)から推定する。 本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドについての ホスホリパーゼ活性の好ましい量のそれ以上の説明については、「定義」の節お よび実施例を参照のこと。 さらに、本発明によるホスホリパーゼの比ホスホリパーゼ活性は、既知の標準 的ホスホリパーゼ活性のアッセイにより測定することができる。 したがって、他の態様において、本発明は、ホスホリパーゼが、少なくとも7 μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、より好ましくは少なくとも15μmo lの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、なおより好ましくは少なくとも30μmol の遊離脂肪酸/分/mgの酵素、最も好ましくは少なくとも50μmolの遊離 脂肪酸/分/mgの酵素を解放することができるホスホリパーゼ活性を有するホ スホリパーゼである、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリ ペプチドに関し、前記ホスホリパーゼ活性は、37℃において10分間インキュ ベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン、2% のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液、pH 5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を測定するアッセイにおいて測定され る。 本発明のこの態様に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施 例を参照のこと。 本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドは、食用油 の酵素的脱ガム化を実施するために非常に適する。 したがって、下記の単離されたポリペプチドに関する: 1. 本発明に従い、少なくとも50ppmの非水和性リン含量を含む食用油 中のリン含有成分の量を減少するために、ホスホリパーゼは食用油の酵素的脱ガ ム化を実施することができる、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離さ れたポリペプチド;および 2. 水−脱ガム化された食用油(50〜250ppmのリン含量を有する) の酵素的脱ガム化を実施し、これにより前記油のリン含量を11ppmより低く 減少することができ、ここで酵素的脱ガム化プロセスが前記油をpH1.5〜8 においてホスホリパーゼの水溶液と接触させ、これを前記油のリン含量が11p pmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、次いで水性相を処理された油か ら分離することからなる、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離された ポリペプチド。 好ましくは、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチ ドは、水脱ガム化された食用油(前述)の前記酵素的脱ガム化プロセスを1.5 時間未満で実施することができ、そして2mg未満の少ないホスホリパーゼ(乾 燥物質)/kgの油を使用する。 好ましくは、本発明のホスホリパーゼ活性を示しかつ上に示した特性を有する 単離されたポリペプチドは、フザリウム(Fusarium)属の範囲内の糸状 菌株から得られる。 しかしながら、いかなる理論にも制限されないで、本発明のホスホリパーゼは 、また、他の微生物、好ましくは他の糸状菌株から得ることができる。それらの 例は「微生物源」の節(下文参照)に記載されている。 クローン化されたDNA配列 多数の技術的困難(「糸状菌ホスホリパーゼのクローン化のプロトコール」の 節、下文参照)にかかわらず、本発明はフザリウム(Fusarium)属、さ らに詳しくはフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyspor um)の株からPLA活性を示すホスホリパーゼをクローン化することができる 。 さらに、この出願の中に提供されている配列の情報に基づいてDNA配列をコ ードする関係するホスホリパーゼAおよび/またはホスホリパーゼBの両方をク ローン化することが可能であると現在考えられる。 したがって、本発明の1つの面は、ホスホリパーゼAおよび/またはホスホリ パーゼBの活性を示す酵素をコードするクローン化されたDNA配列に関し、こ のDNA配列は、 (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中 に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたポリヌクレオチド のホスホリパーゼAをコードする部分、 (b) 配列番号:1中の位置23−1063、より好ましくは配列番号:1 中の位置113−1063、なおより好ましくは配列番号:1中の位置113− 929に示すDNA配列、またはその相補的鎖、 (c) (a)または(b)において定義された前記DNA配列と少なくとも 70%相同性であるDNA配列、 (d) ホスホリパーゼ活性を示すポリペプチドをコードし、かつ配列番号: 2の位置31−346に示されたポリペプチド配列と少なくとも70%相同性で あり、より好ましくは配列番号:2の位置31−303に示すポリペプチド配列 と少なくとも70%相同性である、(a)または(b)において定義された前記 DNA配列、 (e) 配列番号:1中の位置23−1063に示すDNA配列を含んでなる 二本鎖DNAプローブと低いストリンジェンシイにおいてハイブリダイズするD NA配列、 (f) 配列番号:2の残基1〜346、31〜346または31〜303の アミノ酸配列あるいは(e)のDNA配列のいずれかによりコードされるアミノ 酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列、および (g) (a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)において特定 されたDNA配列のフラグメントであるDNA配列、から成る群より選択される 。 この明細書において、DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2 .0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分につ いて言及するときはいつでも、このような言及は、また、配列番号:1の中に表 されているDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分を包含することを意図 する。 したがって、用語「DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2. 0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分」およ び「配列番号:1の中に表されているDNA配列のホスホリパーゼをコードする 部分」を互換的に使用することができる。 DNA配列は、ゲノム、cDNA、または合成由来またはそれらの任意の組合 わせであることができる。 本発明は、また、配列番号:2の成熟部分として記載されたアミノ酸配列を有 するホスホリパーゼAおよび/またはBの活性を示す酵素をコードし、遺伝暗号 の縮退によって配列番号:1と異なる、クローン化されたDNA配列を包含する 。 本発明の配列番号:1に示すDNA配列および/または類似体D NA配列を、ホスホリパーゼ活性を有する酵素を産生する糸状菌フザリウム・オ キシスポラム(Fusarium oxysporum)の株、あるいはさらに 後述する(「微生物源」の節を参照のこと)他のまたは関係する微生物からクロ ーン化することができる。 また、類似の配列は配列番号:1のホスホリパーゼをコードする部分として表 わされるDNA配列をベースとして構築することができ、例えば、それらのサブ 配列であり、および/またはDNA配列によりコードされるホスホリパーゼの他 のアミノ酸配列を生じないが、酵素の産生に意図される宿主微生物のコドンの使 用に対応するヌクレオチドの置換を導入するか、あるいは異なるアミノ酸配列( すなわち、本発明のホスホリパーゼの変異型)を生ずることができるヌクレオチ ドの置換の導入によるか、あるいは異なるアミノ酸配列(すなわち、本発明のホ スホリパーゼの変異型)を生ずることができるヌクレオチドの置換を導入するこ とによって構築することができる。 ヌクレオチドの置換を実施するとき、アミノ酸の変化は好ましくは小さい特質 を有する、すなわち、タンパク質の折りたたみまたは活性に有意に影響を与えな い、保存的アミノ酸の置換;小さい欠失、典型的には1〜約30アミノ酸;小さ いアミノ−またはカルボキシル−末端伸長、例えば、アミノ末端メチオニン残基 ;約20〜25残基までの小さいリンカーペプチド;または精製を促進する小さ い伸長、例えば、ポリ−ヒスチジントラクト;抗原性エピトープまたは結合ドメ インである。 保存的置換の例は、塩基性アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジ ン;酸性アミノ酸、例えば、グルタミン酸およびアスパラギン酸;極性アミノ酸 、例えば、グルタミンおよびアスパラギン;疎水性アミノ酸、例えば、ロイシン 、イソロイシン、バリン; 芳香族アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン;およ び小さいアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオ ニンのグループの範囲内である。ヌクレオチドの置換の一般的説明については、 例えば、下記の文献を参照のこと:Ford et al.、(1991)、「 Protein Expression and Purification」 2、95−107。 当業者にとって明らかなように、このような置換は分子の機能に対して重大で ある領域の外側で実施することができ、なお活性ポリペプチドを生じさせること ができる。本発明のクローン化されたDNA配列によりコードされ、したがって 、好ましくは置換に付されないポリペプチドの活性に対して必須のアミノ酸は、 この分野において知られている手順、例えば、部位特異的突然変異誘発またはア ラニン走査突然変異誘発に従い同定することができる(例えば、Cunning hamおよびWells、(4989)、「Science」244、1081 −1085参照)。後者の技術において、突然変異は分子中のすべての残基に導 入され、そして生ずる突然変異体分子を生物学的(すなわち、ホスホリパーゼ) 活性について試験して、分子の活性に対して重大であるアミノ酸残基を同定する 。基質−酵素の相互作用部位は、また、核磁気共鳴分析、結晶学または光アフィ ニティー標識化のような技術により決定される結晶構造により決定することがで きる(下記の文献を参照のこと:例えば、de Vos他、(1992)、「S cience」255、306−312;Smith他、(1992)、「J. Mol.Biol.」224、899−904;Wlodaver他、(199 2)、「FEBS Lett.」309、59−64)。 本発明のポリペプチドは、また、他のポリペプチドがポリペプチ ドのN−末端またはC−末端またはそのフラグメントに融合されている、融合ポ リペプチドまたは切断可能な融合ポリペプチドを包含する。融合ポリペプチドは 、他のポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部分)を本発明の核酸 配列(またはその一部分)に融合することによって製造される。融合ポリペプチ ドを製造する技術はこの分野において知られており、そしてポリペプチドをコー ドするコード配列をそれらをインフレームであるようにかつ融合ポリペプチドの 発現が1または2以上の同一プロモーターおよびターミネーターの制御下にある ように結合することを包含する。 本発明のDNA配列を、例えば、下記の文献に記載されているような、標準的 クローン化技術を使用して、大腸菌(Escherichia coli)DS M No.11299株からクローン化することができる:Sambrook他 、(1989)、「Molecular Cloning:A Laborat ory Manual」、Cold Spring Harbor Labor atory、Cold Spring Harbor、N.Y.。 本発明は本発明のホスホリパーゼをクローン化する発現クローン化技術におい て使用するために適当なスクリーニングアッセイを開発するという問題を解決し たので(題目「糸状菌ホスホリパーゼのクローン化のプロトコール」の節を参照 のこと)、本発明のDNA配列は、今回、下記の工程を包含する一般的方法によ りクローン化することができる: ・ 適当なベクターにおいて、問題のホスホリパーゼを産生することが期待さ れる微生物からのcDNAライブラリーをクローン化し、 ・ 適当な酵母宿主細胞を前記ベクターで形質転換し、 ・ cDNAライブラリー中のクローンによりコードされる問題 の酵素を発現させるために適当な条件下に、宿主細胞を培養し、 ・ このようなクローンにより生産された酵素のホスホリパーゼ活性を測定す ることによって、陽性のクローンをスクリーニングし、そして ・ このようなクローンから酵素をコードするDNAを単離する。 また、本発明は糸状菌PLA酵素をコードするクローン化されたDNA配列を 最初に提供するので、本発明のホスホリパーゼをコードするDNAは、よく知ら れている手順に従い、適当な源、例えば、「微生物源」の節に記載されている微 生物から、本明細書において開示するDNA配列をベースとして製造された合成 オリゴヌクレオチドのプローブを使用して好都合にクローン化することができる 。例えば、適当なオリゴヌクレオチドのプローブは配列番号:1に表すヌクレオ チドの置換のホスホリパーゼをコードする部分またはそれらの任意の部分列をベ ースとして、あるいはアミノ酸配列配列番号:2をベースとして製造することが できる。 さらに、本発明のクローン化されたDNA配列は本発明によるホスホリパーゼ 活性を有するポリペプチドをコードするので、本発明のホスホリパーゼ活性を有 する単離されたポリペプチドは、また、ホスホリパーゼ活性を有するポリペプチ ドをコードする本発明のクローン化されたDNA配列についての本発明の態様で ある。結局、前記ホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドの参照お よび好ましいおよび最も好ましい態様は、また、本発明のクローン化されたDN A配列に関する。 したがって、本発明の態様は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパ ーゼがホスホリパーゼA1である、本発明によるクローン化されたDNA配列に 関する。 他の態様において、本発明によるクローン化された配列は、前記DNA配列に よりコードされるホスホリパーゼがホスホリパーゼA2である、クローン化され たDNA配列であり、そしてなお他の態様において、本発明によるクローン化さ れた配列は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼがホスホリパー ゼBである、クローン化されたDNA配列である。 好ましくは、本発明による前記クローン化されたDNA配列は、ホスホリパー ゼA1活性を有するポリペプチドをコードする。 さらに、本発明は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼがCa2+ 濃度に対して実質的に独立である、本発明によるクローン化されたDNA配列 に関し、前記Ca2+濃度は、 37℃において10分間インキュベートし、次いで95℃において5分間反応 を停止する、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのク エン酸塩を含んでなる緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を 測定するホスホリパーゼ活性のアッセイにおいて5mMのEDTAおよび5mM のCa2+における相対ホスホリパーゼ活性として測定され、ここで5mMのED TA/5mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性の比は0.25より大き く、より好ましくは0.5より大きい。 なおさらに、本発明は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが 、下記のようにして単層ホスホリパーゼアッセイにおいて測定して、60μgの 酵素投与量、25℃において少なくとも0.25nmol/分、より好ましくは 60μgの酵素投与量、25℃において少なくとも0.40nmol/分である ホスホリパーゼ活性を有する、本発明によるクローン化されたDNA配列に関す る: a. 緩衝溶液(10mMのTRIS、pH8.0、25℃)の 完全に精製された表面上の単層装置(ゼロ次トラフ)において、リン脂質DDP C〔ジ デカノイル(Dicanoyl)(C10)ホスファチジルコリン〕の 単層をクロロホルム溶液から広げ、 b. 単層を緩和させた(クロロホルムを蒸発させた)後、ほぼ63Å2/分 子のDDPCの平均分子面積に対応して、表面圧力を15mN/mに調節し、 c. 60μgの酵素を含有する緩衝溶液(前述)を単層を通して「ゼロ次ト ラフ」中の反応区画室(面積1520mm2および体積30400mm3を有する シリンダー)の部分相の中に注入し、 d. 不溶性基質分子がより水溶性の反応生成物に加水分解されるとき、一定 の表面圧力を維持するために、単層を圧縮する移動性バリヤーの速度により酵素 活性を測定し、ここで酵素により1分当たり加水分解されるDDPC−分子の数 をDDPCの平均分子面積(MMA)から推定する。 他の態様において、本発明は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパ ーゼが、少なくとも7μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、より好ましくは 少なくとも15μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素を解放することができる ホスホリパーゼ活性を有するホスホリパーゼである、本発明によるクローン化さ れたDNA配列に関し、前記ホスホリパーゼ活性は、37℃において10分間イ ンキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン 、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液 、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を測定するアッセイにおいて測 定される。 他の態様において、本発明は下記のクローン化されたDNA配列に関する: 前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが、本発明の 方法に従い食用油の酵素的脱ガム化を実施して、少なくとも50ppmの非水和 性リン含量を含む食用油中のリン含有成分の量を減少させることができる、本発 明によるクローン化されたDNA配列;および 前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが、水−脱ガム化された食 用油(50〜250ppmのリン含量を有する)の酵素的脱ガム化を実施し、こ れにより前記油のリン含量を11ppmより低く減少させることができ、ここで 酵素的脱ガム化プロセスが前記油をpH1.5〜8においてホスホリパーゼの水 溶液と接触させ、これを前記油のリン含量が11ppmより低く減少するまで前 記油中で乳化させ、次いで水性相を処理された油から分離することからなる、本 発明によるクローン化されたDNA配列。 好ましくは、本発明によるクローン化されたDNA配列は、前記DNA配列に よりコードされるホスホリパーゼが、2mgより少ないホスホリパーゼ(乾燥物 質)/kgの油を使用することによって水−脱ガム化された食用油の前記酵素的 脱ガム化を実施することができ、そして前記ホスホリパーゼを前記油と15分〜 2時間の間接触させる、クローン化されたDNA配列である。 糸状菌ホスホリパーゼをクローン化するプロトコール 本発明のホスホリパーゼを単離するか、あるいはそれをコードするポリヌクレ オチドをクローン化しようと試みるとき、多数の困難に直面した。酵素を単離す ることは不可能であるように思われ、そしてポリヌクレオチドをクローン化する という問題が追求された。 本明細書において記載するように、糸状菌ホスホリパーゼAをコードする先行 技術のDNA配列は入手可能ではなかった。結局、本発明は、酵母技術において 発現クローン化に基づくクローン化戦略を開発した(H.Dalboege他、 「Mol.Gen.Gen et.」(1994)243:253−260;WO93/11249号;およ びWO94/14953号)。 この技術に直面した主要な問題は、酵母がプレートアッセイに対してホスホリ パーゼのバックグラウンドを生ずる内部活性を産生することであった。このバッ クグラウンドはアッセイプレート中の基質の量に対して高度に依存性であること が見出され、したがって、バックグラウンドが発現クローン化スクリーニング手 法の間においてアッセイが信頼性であるために十分に低いけれども、反応が起こ るのに十分に高いレベルに、基質の量を注意して滴定しなくてはならなかった。 さらに、糸状菌株は一般に多数の異なるリパーゼを含み、それらのいくつかは 制限されたホスホリパーゼ活性を示す。このようなリパーゼは本明細書において 「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」として定義される(本明細書におけ る「定義」の節を参照のこと)。 プレートアッセイにおいて、このようなホスホリパーゼ副活性を有するリパー ゼのバックグラウンドは、また、アッセイプレートにおける基質の量に対して高 度に依存性であることが見出され、したがって、酵母細胞および糸状菌の双方の ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼからバックグラウンドの活性を排除する ように、基質の量をいっそう注意して滴定しなくてはならなかった。 最初に、基質を注意して選択しなくてはならないことが見出された。なぜなら 、ホスホリパーゼ活性をもたないリパーゼは、基質に対して反応することができ たので、試験した多数のホスホリパーゼ基質はバックグラウンドの活性を与えた からである。したがって、極めて多い数の基質を試験し、滴定して、適当な基質 を同定しなくてはならなかった。 ホスホリパーゼをコードするポリヌクレオチドの発現クローン化の実施を可能 とすることが見出されたた解決法は、注意してモニターした濃度でリポイド(L ipoid)E80(Lipoid GmbHから)を使用することであった。 本明細書における材料および方法の節において、前述の問題を解決するプレート アッセイを含む、酵母のプロトコールにおける完全な発現クローン化の詳細な説 明が開示されている。DNA配列の相同性/同一性 前述のDNA配列の相同性/同一性は、第1配列から第2配列への偏りを示す 2つの配列の間の同一性の程度として決定される。相同性は、この分野において 知られているコンピュータープログラム、例えば、GCGプログラムパッケージ で提供されるGAPにより適当に決定することができる(Program Ma nual for the Wisconsin Package、Versi on 8、Augst 1994、Genetics Computer Gr oup、575 Science Drive、Madison、Wiscon sin,USA 53711)(Needleman、S.B.およびWunc sh、C.D.、(1970)、「Journal of Molecular Biology」、48、443−453)。DNA配列の比較のための下記 の設定を有するGAPを使用する:5.0のGAPクリエーション・ペナルティ ーおよび0.3のGAP発現ペナルティー、DNA配列コーディング領域は、配 列番号:1に示すDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分(すなわち、配 列番号:1中の位置23−1063)と;より好ましくは配列番号:1中の位置 113−1063に示すDNA配列(成熟酵素のN−末端の残基に対応する位置 113)と;なおより好ましくは配列番号:1中の位置23−929に示すDN A配列(C−末端のプロセシング、分泌された活性酵 素中のC−末端の残基に対応する位置929)と、少なくとも70%、好ましく は少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なく とも95%、より好ましくは少なくとも97%の同一性の程度を示す。 ハイブリダイズ 前述のハイブリダイズは類似のDNA配列を含むことを意図し、前記類似のD NA配列は、配列番号:1に示すDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分 、すなわち、ヌクレオチド23−1063に対応する二本鎖DNAプローブと、 より好ましくは配列番号:1中の位置113−1063に示すDNA配列(成熟 酵素のN−末端の残基に対応する位置113)に対応する二本鎖DNAプローブ と、なおより好ましくは配列番号:1中の位置23−929に示すDNA配列( C−末端のプロセシング、分泌された活性酵素中のC−末端の残基に対応する位 置929)に対応する二本鎖DNAプローブと、下記において詳細に説明するよ うに、少なくとも低いストリンジェンシイの条件下に、ハイブリダイズする。 ヌクレオチドのプローブと、相同性DNAまたはRNAとの間の、低い、中程 度、または高いストリンジェンシイにおけるハイブリダイズを決定するために適 当な実験的条件は、DNAフラグメントまたはRNAを含有するフィルターを前 ソーキングして5×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム、Sambr ook他、1989)中で10分間ハイブリダイズし、5×SSC、5×デンハ ルト溶液(Sambrook他、1989)、0.5%のSDSおよび100μ g/mlの変性超音波処理したサケ精子DNA(Sambrook他、1989 )の溶液中でフィルターをプレハイブリダイズし、次いで10ng/mlのラン ダム−プライムド(Feinberg、A.P.およびVogelstein、 B.(198 3)「Anal.Biochem.」132:6−13)、32P−dCTP−標 識化(比活性>1×109cpm/μg)プローブを含有する同一溶液中で約4 5℃において12時間ハイブリダイズすることを包含する。次いで、フィルター を2×SSC、0.5%のSDS中で30分間、少なくとも55℃(低いストリ ンジェンシイ)、より好ましくは少なくとも60℃(中程度のストリンジェンシ イ)、なおより好ましくは少なくとも65℃(中程度/高いストリンジェンシイ )、なおより好ましくは少なくとも70℃(高いストリンジェンシイ)、なおよ り好ましくは少なくとも75℃(非常に高いストリンジェンシイ)の温度におい て2回洗浄する。 これらの条件下にオリゴヌクレオチドのプローブがハイブリダイズする分子は 、X線フィルムを使用して検出される。 2つの所定のDNA配列がある種の特定した条件下にハイブリダイズするか否 かを理論的に予測できることが見出された。 したがって、前述の実験的方法に対する別法として、類似のDNA配列が前述 のヌクレオチドのプローブにハイブリダイズするか否かの決定は、既知の配列を 有する2つの異種DNA配列が特定した条件下に(例えば、カチオン濃度および 温度に関して)ハイブリダイズするTm(溶融温度)の理論的計算に基づくこと ができる。 異種DNA配列のための溶融温度(Tm(ヘテロ))を決定するために、相同 DNA配列のための溶融温度(Tm(ホモ))を最初に決定することが必要であ る。 2つの完全に相補的なDNA鎖(ホモ二本鎖の形成)の間の溶融温度(Tm( ホモ))を、下記の式を使用して決定することができる: Tm(ホモ)=81.5℃+16.6(logM)+0.41(GC%)−0. 61(form%)−500/L(「Current Protocols in Molecular Biology」、Joh n Wiley and Sons、1995)、ここで、 「M」は、洗浄緩衝液中のカチオンのモル濃度である。 「GC%」は、DNA配列中の塩基の合計数のグアニン(G)およびシトシン (C)の%である。 「form%」は、洗浄緩衝液中のホルムアミドの%である。 「L」は、DNA配列の長さである。 この式および前述の実験の洗浄条件を使用して、配列番号:1に示すDNA配 列、すなわち、ヌクレオチド23−1060に対応するヌクレオチドのプローブ のホモ二本鎖の形成のためのTm(ホモ)は、下記の通りである: Tm(ホモ)=81.5+16.6(log0.30)+0.41(56)−0 .61(0)−(500/1038) Tm(ホモ)=103.5℃。 「M」:2×SSCは0.3Mのカチオン濃度に相当する。 「GC%」:配列番号:1の位置23−1060中のGC%は56%である。 「form%」:洗浄緩衝液の中にホルムアミドは存在しない。 「L」:配列番号:1の長さ配列番号:1位置23−10631038bp。 上記の式により決定されたTmは、2つの完全に相補的なDNA配列の間のホ モ二本鎖の形成のTm(Tm(ホモ))である。Tm値を2つの異種DNA配列 のTmに適合させるために、2つの異種配列の間のヌクレオチド配列の1%の差 はTmの1℃の減少に等しいと仮定する(「Current Protocol s in Molecular Biology」、John Wiley a nd Sons、1995)。したがって、異種二本鎖の形成についてのTm( ヘテロ)は、問題の類似の配列と前述のヌクレオチドのプローブとの間の相同性 %の差をTm(ホモ)から減ずることによって見出される。減ずべきDNAの相 同性の百分率は、本明細書において記載するように計算される(下文参照)。 アミノ酸配列に対する相同性 前述のポリペプチドの相同性は、第1配列の第2配列からの偏りを示す、2つ の配列の同一性の程度として決定される。相同性は、この分野において知られて いるコンピュータープログラム、例えば、GCGプログラムパッケージで提供さ れるGAPにより適当に決定することができる(Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8 、Augst 1994、Genetics Computer Group、 575 Science Drive、Madison、Wisconsin, USA 53711)(Needleman、S.B.およびWuncsh、C .D.、(1970)、「Journal of Molecular Bio logy」、48、443−453)。DNA配列の比較のための下記の設定を 有するGAPを使用する:3.0のGAPクリエーション・ペナルティーおよび 0.1のGAP発現ペナルティー、類似のDNA配列によりコードされるポリペ プチドの成熟部分は、配列番号:2に示すアミノ酸配列の成熟部分、すなわち、 配列番号:2中の位置31−346と、より好ましくは配列番号:2の位置31 −303に示すアミノ酸配列(位置303はC−末端のプロセシング、分泌され た活性酵素中のC−末端の残基である)と、好ましくは少なくとも70%、より 好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましく は少なくとも95%、特に少なくとも9 7%の同一性の程度を示す。 本発明は、また、配列番号:2に記載するアミノ酸配列の成熟部分と3以下の アミノ酸、好ましくは2以下のアミノ酸、より好ましくは1以下のアミノ酸だけ 異なるアミノ酸配列を有するホスホリパーゼの変異型に関する。 さらに、前述の好ましいアミノ酸の同一性は、また、ホスホリパーゼ活性を示 し、かつ配列番号:2の位置31−346に示すポリペプチド配列と少なくとも 70%の相同性、より好ましくは配列番号:2の位置31−303を構成するポ リペプチド配列と少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドをコードする 、本発明のクローン化されたDNA配列に関する。 免疫学的交差反応性 免疫学的交差反応性を決定するとき使用すべき抗体は、精製されたホスホリパ ーゼを使用して製造することができる。さらに詳しくは、下記の文献に記載され ている手順に従い、ウサギ(または他の齧歯類)を免疫化することによって、本 発明のホスホリパーゼに対して抗血清を発生させることができる:N.Axel sen他、「A Manual of Quantitative Immnu noelectrophoresis」、Blackwell Scienti fic Publications、1973、Chapter 23、または A.JohnstoneおよびR.Thorpe、「Immunochemis try in Practice」、Blackwell Scientifi c Publications、1982(さらに詳しくは、p.27−31) 。得られた抗血清から、例えば、塩沈降((NH42SO4)、引き続く透析お よびイオン交換クロマトグラフィー、例えば、DEAE−Sephadexのイ オン交換クロマトグラフィーにより、 精製された免疫グロブリンを単離することができる。タンパク質の免疫化学的特 性決定は、アウトシェルロニイ(Outcherlony)二重拡散分析(O. Ouchterlony、「Handbook of Experimenta l Immunology」(D.M.Weir、編)、Blackwell Scientific Publications、1967、pp.655− 706)、交差免疫電気泳動(N.Axelsen他、前記、Chapter 3および4)、またはロケット免疫電気泳動(N.Axelsen他、Chap ter 2)により、実施することができる。 微生物源 本発明の優先権主張日において、下記において適用した分類学は、ワールド・ ワイド・ウェブ(WWW)NCBI分類学ブラウサー(browser)に従う 。 本発明のホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドおよび対応する クローン化されたDNA配列は、任意の微生物、好ましくは糸状菌、酵母細胞、 または細菌から得ることができる。 好ましくは、本発明のホスホリパーゼおよび対応するクローン化されたDNA 配列は糸状菌株から得ることができ、ここで好ましい門は子嚢菌門(Ascom ycota)であり、ここで好ましい網は好ましいアカツグダケ科(Nectr iaceae)を含む核菌網(Pyrenomycetes)である。 より好ましくは、本発明のホスホリパーゼおよび対応するクローン化されたD NA配列は、フザリウム(Fusarium)属の株、例えば、フザリウム・ク ルモラム(F.culmorum)、フザリウム・ヘテロスポラム(F.het erosporum)、またはフザリウム・ソラニ(F.solani)の株、 特にフザリウ ム・オキシスポラム(F.oxysporum)の株から得ることができる。 さらに、本発明のホスホリパーゼおよび対応するクローン化されたDNA配列 は、アスペルギルス(Aspergillus)属の範囲内の株、例えば、アス ペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペル ギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)、アスペル ギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アス ペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、特にアスペルギ ルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の株から得ることがで きる。 本発明のホスホリパーゼを得ることができるフザリウム・オキシスポラム(F usarium oxysporum)の株の単離物は、特許手続きの目的のた めの微生物の寄託の国際的承認についてのブダベスト条約の規定に従いドイツ国 の微生物株保存機関(Deutche Sammlung von Mikro organismen und Zellkulturen GmbH.、Ma scheroder Weg 1b、D−38124 Braunschwei g、ドイツ国(DSM))に寄託された。 寄託日 :1983年6月6日 寄託番号 :NN014759 DSM No. :フザリウム・オキシスポラム(F.oxys Porum) DSM No.2672 さらに、本発明のホスホリパーゼをコードする全長のcDNA配列からなる発 現プラスミドpYES2.0は大腸菌(Escherichia coli)の 株の中に形質転換され、特許手続きの目 的のための微生物の寄託の国際的承認についてのブダベスト条約の規定に従いド イツ国の微生物株保存機関(Deutche Sammlung von Mi kroorganismen und Zellkulturen GmbH、 Mascheroder Weg 1b、D−38124 Braunschw eig、ドイツ国(DSM))に寄託された。 寄託日 :1996年11月25日 寄託番号 :NN049279 DSM No. :大腸菌(Escherichia coli ) DSM No. 11299 発現ベクター 本発明の発現ベクターは組換えDNA手順に好都合に付される任意の発現ベク ターであることができ、ベクターの選択はベクターを導入すべき宿主細胞にしば しば依存する。したがって、ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、 染色体外の実在物として存在するベクターであることができ、その複製は染色体 の複製、例えば、プラスミドに対して独立である。また、ベクターは、宿主細胞 の中に導入されたとき、宿主細胞の遺伝子操作の中に組込まれ、それが組込まれ た染色体と一緒に複製されるものであることができる。 発現ベクターにおいて、ホスホリパーゼをコードするDNA配列は適当なプロ モーターおよびターミネーターの配列に作用可能に接続されているべきである。 プロモーターは選択した宿主細胞においてホスホリパーゼ活性を示す任意のDN A配列であることができ、そして宿主細胞に対して相同または異種であるタンパ ク質をコードする遺伝子から誘導することができる。ホスホリパーゼをコードす るDNA配列、プロモーターおよびターミネーターを結合し、そしてそれらを適 当なベクターの中に挿入する手順は当業者によく知られている(例えば、Sam brook他、(1989)、「Molecular Cloning:A L aboratory Manual」、Cold Spring Harbor 、NY、を参照のこと)。 糸状菌の宿主細胞において使用するために適当なプロモーターの例は、例えば 、ADH3プロモーター(McKnight他、「The EMBO J.」、 4(1985)、2093−2099)またはtpiAプロモーターである。他 の有用なプロモーターの例は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillu s oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizom ucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニ ガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ、アスペルギ ルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定性α−アミラーゼ 、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはアス ペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミ ラーゼ(gluA)、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor mieh ei)リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryz ae)アルカリ性ホスファターゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergil lus oryzae)トリオースホスフェートイソメラーゼまたはアスペルギ ルス・ニヅランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダ ーゼをコードする遺伝子に由来する。 宿主細胞 本発明は、また、本発明の核酸配列を含む組換え宿主細胞に関し 、前記細胞はホスホリパーゼの組換え生産において好都合に使用ことができる。 用語「宿主細胞」は、複製の間に起こる突然変異のために親細胞と同一ではない 親細胞の子孫を包含する。 細胞は好ましくは本発明の核酸配列を含んでなるベクターで形質転換され、次 いでベクターは宿主染色体の中に挿入される。 「形質転換」は、ベクターが染色体の組込み体として、または自己複製する染 色外ベクターとして維持されるように、本発明の核酸配列を含んでなるベクター を宿主細胞の中に導入することを意味する。核酸配列は細胞において安定に維持 された可能性が高いので、組込みは一般に有利であると考えられる。宿主染色体 の中へのベクターの組込みは、前述したように相同的または非相同的組換えによ り起こることがある。 好ましい態様において、宿主細胞は真菌細胞である。「真菌」は、本明細書に おいて使用するとき、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basi diomycota)、ツボカビ門(Chytridomycota)、および 接合菌門(Zygomycota)(Hawksworth他、「In、Ain sworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi」、第8版、1995、CAB International、U niversity Press、英国ケンブリッジ、において定義されている )ならびに卵菌門(Oomycota)(Hawksworth他、1995、 上記、p.171、に記載されている)およびすべての有糸分裂性真菌(Haw ksworth他、1995、上記)を包含する。子嚢菌門(Ascomyco ta)の代表的なグループは、例えば、ニューロスポラ(Neurospora )、エウペニシリウム(Eupenicillium)(=Penicilli um)、エメリセラ(Emericel la)(=Aspergillus)、ユーロチウム(Eurotium)(= Aspergillus)、および前述の真の酵母を包含する。担子菌門(Ba sidiomycota)の例は、キノコ菌、銹病菌、およびクロボ病菌を包含 する。ツボカビ門(Chtridomycota)の代表的なグループは、例え ば、アロミセス(Allomyces)、ブラストクラヂエラ(Blastoc ladiella)、セロモミセス(Coelomomyces)、および水生 菌類を包含する。卵菌門(Oomycota)の代表的なグループは、例えば、 サプロレグニオミセタス(saprolegniomycetous)水生菌類 (水かび)、例えば、アキリア(Achlya)を包含する。栄養胞子性真菌の 例は、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penic illium)、カンジダ(Candida)、およびアルテルナリア(Alt ernaria)を包含する。接合菌門(Zygomycota)の代表的なグ ループは、例えば、リゾプス(Rhizopus)およびムコル(Mucor) を包含する。 好ましい態様において、真菌の宿主細胞は糸状菌の細胞である。「糸状菌」は 、再分割真菌門(Eumycota)および卵菌門(Oomycota)のすべ ての糸状形態を包含する(Hawksworth他、1995、上記、により定 義されている)。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナ ン、および他の複雑な多糖類から構成された栄養菌糸により特徴づけられる。栄 養増殖は菌糸の伸長により、そして炭素の異化は偏性好気性である。対照的に、 酵母、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces c erevisiae)による栄養増殖は単細胞の葉状体の発芽により、そして炭 素の異化は発酵性である。より好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞は下記 の種の細胞で あるが、これらに限定されない:アクレモニウム(Acremonium)、ア スペルギルス(Aspergillus)、フザリウム(Fusarium)、 フミコラ(Humicola)、ムコル(Mucor)、ミセリオフトラ(My celiophthora)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニ シリウム(Penicillium)、チエラビア(Thielavia)、ト リポクラジウム(Tolypocadium)、およびトリコデルマ(Tric hoderma)またはそれらのテレオモルフまたはシノニム。なおいっそう好 ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はアスペルギルス(Aspergill us)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細 胞はアクレモニウム(Acremonium)の細胞である。他のなおいっそう 好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はフザリウム(Fusarium)の 細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はフミ コラ(Humicola)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様におい て、糸状菌の宿主細胞はムコル(Mucor)の細胞である。他のなおいっそう 好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はミセリオフトラ(Myceliop hthora)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌 の宿主細胞はニューロスポラ(Neurospora)の細胞である。他のなお いっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はペニシリウム(Penic illium)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌 の宿主細胞はチエラビア(Thielavia)の細胞である。他のなおいっそ う好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はトリポクラジウム(Tolypo cadium)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌 の宿主細胞はトリコデルマ(Trich oderma)の細胞である。最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞は 、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、ア スペルギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)、ア スペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus) 、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはアス ペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の細胞である。他 の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はディスカラー(Discol or)セクションのフザリウム(Fusarium)細胞である(フザリウム( Fusarium)のセクションとしても知られている)。他の好ましい態様に おいて、糸状菌の宿主細胞はエレガンス(Elegans)のセクションのフザ リウム(Fusarium)株、例えば、フザリウム・オキシスポラム(Fus arium oxysporum)である。他の最も好ましい態様において、糸 状菌の宿主細胞はフミコラ・インソレンス(Humicola insolen s)またはサーモミセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanug inosus)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細 胞はリゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)の細胞であ る。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はミセリオフトラ・サー モフィルム(Myceliophthora thermophilum)の細 胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はニューロスポラ ・クラッサ(Neurospora crassa)の細胞である。他の最も好 ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はニューロスポラ・クラッサ(Neur ospora crassa)の細胞である。他の最も好ましい態様において、 糸状菌の宿主細胞はペニシリウム・ プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)の細胞 である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はチエラビア・テレ ストリス(Thielavia terrestris)の細胞である。他の最 も好ましい態様において、トリコデルマの細胞はトリコデルマ・ハルジアナム( Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ( Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキア ツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデ ルマ・リーシエ(Trichoderma reesie)またはトリコデルマ ・ビリデ(Trichoderma viride)の細胞である。 真菌の細胞は、それ自体知られている方法におけるプロトプラストの形成、プ ロトプラストの形質転換、および細胞壁の再生を包含するプロセスにより形質転 換することができる。アスペルギルス(Aspergillus)宿主細胞の形 質転換に適当な手順は、EP238,023号およびYelton他、1984 、「Proceeding of the National Acaddem y of Sciences USA」81:1470−1474に記載されて いる。フザリウム(Fusarium)種を形質転換する適当な方法は、Mal ardier他、1989、「Gene」78:147−156または同時継続 米国出願第08/269,449号に記載されている。酵母は下記の文献に記載 されている手順を使用して形質転換することができる:BeckerおよびGu arente、In Abelson、J.N.およびSimon、M.I.、 編、「Guide to Yeast Genetics and Molec ular Biology、Methods in Enzymology」、 Vol.194、pp.1 82−187、Academic Press,Inc.、New York; Ito他、1983、「Journal of Bacteriology」1 53:163;およびHinnen他、1978、「Proceeding o f the National Acaddemy of Sciences USA」75:1920。哺乳動物細胞は、GrahamおよびVan der Eb(1978、「Virology」52:546)のリン酸カルシウム沈 澱法による直接的吸収により形質転換することができる。 ホスホリパーゼを生産する方法 本発明は、酵素の産生を可能とする条件下に、酵素をコードするDNA配列で 形質転換された適当な宿主細胞を培養し、そして生ずる酵素を培養物から回収す る、本発明による単離された酵素を製造する方法を提供する。 酵素をコードするDNA配列を含んでなる発現ベクターを異種宿主細胞の中に 形質転換するとき、本発明の酵素の異種組換え製造を可能とすることができる。 これにより、相同的不純物を含有しないことを特徴とする、高度に精製された ホスホリパーゼ組成物を得ることができる。 本発明において、相同宿主細胞はフザリウム・オキシスポラム(Fusari um oxysporum)の株であることができる。 形質転換された宿主細胞を培養するために使用する培地は、問題の宿主細胞の 成長に適当な任意の慣用の培地であることができる。発現されたホスホリパーゼ は好都合に培地の中に分泌され、そしてよく知られた手順により培地から回収す ることができ、例えば、遠心または濾過により培地から細胞を分離し、硫酸アン モニウムのよ うな塩により培地からタンパク質成分を沈降させ、次いでクロマトグラフィー手 順、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィ ー、またはその他により培地から回収することができる。 ホスホリパーゼの使用 高い量の非水和性リンを含む食用油を酵素的脱ガム化する本発明の新規な方法 におけるホスホリパーゼの使用の外に、ホスホリパーゼの多数の他の使用がこの 分野において知られている。 ホスホリパーゼのこのようなこの分野において知られている使用/用途を後述 する。 本発明のホスホリパーゼは、リン脂質またはリゾリン脂質、例えば、レシチン またはリゾレシチンの脂肪族アシル基を加水分解しようとする、任意の用途にお いて使用することができる。好ましくは、ホスホリパーゼはpH3〜10および 30〜70℃(特に40〜60℃)において使用される。必要に応じて、ホスホ リパーゼを、反応後、それを、例えば、pH7、80℃において1時間、あるい は90℃において10分間熱処理することによって不活性化することができる。 1例として、本発明のホスホリパーゼを、たとえば、パンまたはケーキの弾性 を改良するために、練り粉、パンおよびケーキの製造に用いることができる。 このように、本発明のホスホリパーゼを練り粉(dough)の成分に添加し 、練り粉を混練し、焼いてパンを製造する方法において、本発明のホスホリパー ゼを使用することができる。これは米国特許第4,567,046号(協和発酵 )、特開昭60−78529号(キューピー Corp.)、特開昭62−11 1629号(キューピー Corp.)、特開昭63−258528号(キュー ピー Corp.)またはEP426211号(Unilever)と同様に実 施することができる。 本発明のホスホリパーゼは、リン脂質を含有する炭水化物由来の水性溶液また はスラリーをホスホリパーゼで処理することによって、その濾過性を改良するた めにも使用することができる。これは、特に、澱粉の加水分解物、特にコムギ澱 粉の加水分解物を含有する溶液またはスラリーに適用可能である。なぜなら、こ れは濾過が困難でありかつ曇った濾過液を与える傾向があるからである。この処 理はEP219,269号(CPC International)と同様に実 施することができる。 さらに、本発明のホスホリパーゼは、改良されたリン脂質の乳化剤を得るため に、リン脂質、好ましくはレシチンを部分的加水分解するために使用することが できる。この用途は、さらに、それに関するLecitase(商標)(Nov o Nordisk A/S)の製品のカタログ、およびウルマンのUllma nn’s Encyclopedia of Industrial Chem istry(発行所:VCH Weinheim(1996))に記載されてい る。 さらに、本発明のホスホリパーゼは、ホスホリパーゼを飼料物質および少なく とも1つのリン脂質と混合することからなる、動物飼料を製造する方法において 使用することができる。これはEP743,017号と同様に実施することがで きる。 この分野において知られている手順に従う植物油/食用油の脱ガム化 この分野において知られている手順に従い、食用油をホスホリパーゼで処理し てリン脂質の主要部分を加水分解し、そして加水分解されたリン脂質を含有する 水性相を前記油から分離することからな る、食用油中のリン脂質の含量を減少する方法において、本発明のホスホリパー ゼを使用することができる。このプロセスは、リン脂質を含有する任意の食用油 、例えば、植物油、例えば、大豆油、ナタネ油、およびヒマワリ油の精製に適用 可能である。 酵素処理の前に、植物油を前処理して、例えば、湿式精製により、粘液(粘質 物)を除去することが好ましい。典型的には、油はホスホリパーゼを使用する処 理の開始において、リン脂質として55〜250ppmのリンを含有するであろ う、そして本発明の方法はこの値を11ppm以下、より好ましくは5ppm以 下に減少させることができる。 酵素処理は、ホスホリパーゼの水溶液を、好ましくは10μ(マイクロ)m以 下の平均直径の液体粒子として、分散させることによって実施される。水の量は 油に関して好ましくは0.5〜5重量%である。必要に応じて、乳化剤を添加す ることができる。機械的撹拌を加えてエマルジョンを維持することができる。 酵素処理は、1.5〜8の範囲の任意のpHにおいて実施することができる。 pHはクエン酸、クエン酸塩の緩衝剤またはHClの添加により調節可能である 。 適当な温度は、一般に30〜70℃(特に40〜60℃)である。反応時間は 典型的には0.5〜12時間(例えば、2〜6時間)であり、そして酵素の適当 な投与量は通常100〜5000IU/lの油、特に200〜2000IU/l であろう。 酵素処理は、バッチ式に、例えば、撹拌しながらタンク中で実施することがで きるか、あるいはそれは連続的に、例えば、1連の撹拌されたタンクの反応器中 で実施することができる。 酵素処理後、水性相と油相との分離を行う。この分離は慣用手段、例えば、遠 心により実施することができる。 他の面において、このプロセスはこの分野において知られている原理に従い、 例えば、下記の文献に記載されているように実施することができる:米国特許第 5,264,367号(Metallgeselschaft、R hm);K .Dahlke & H.Buchold、「INFORM」、6(12)、1 284−91(1995);H.Buchold、「Fat Sci.Tech nol.」、95(8)、300−304(1993);特開平2−15399 7号(昭和産業);またはEP654,527号(M ベーキングにおける本発明のホスホリパーゼの使用 本発明のホスホリパーゼは、また、パンまたは他の焼かれた製品の性質を改良 するためにパンまたは他の焼かれた製品の製造プロセスの間に粉または練り粉に 通常添加される、パン改良添加剤、例えば、練り粉組成物、練り粉添加剤、練り 粉コンディショナー、プレミックス、および同様な調製物において使用すること ができる。 したがって、本発明の態様は、パン改良および/または練り粉改良組成物に関 し、さらに、このような組成物における本発明のホスホリパーゼの使用、および 本発明のパン改良および/または練り粉改良組成物を含んでなる練り粉または焼 かれた製品に関する。 本発明の関係において、用語「パン改良組成物」および「練り粉改良組成物」 は、酵素成分に加えて、練り粉および/または焼かれた製品の性質を改良するた めに通常使用される他の物質を含むことができる、組成物を示すことを意図する 。このような成分の例を下に示す。 本発明の関係において、用語「改良された性質」は、本発明のホスホリパーゼ 酵素の作用により改良することができる性質を示すことを意図する。特に、ホス ホリパーゼを使用すると、焼かれた製品 の体積が増加しかつパンの中身の構造が改良され、品質変化の防止性が得られ、 ならびに練り粉の強度、サザンブロットが増加しかつ粘着性が減少し、これによ り機械加工性が改良される。練り粉に対する効果は、低い品質の粉を使用したと き、特にすぐれることが見出された。この機械加工性の改良は、工業的にプロセ シングすべき練り粉と関連して、特に重要である。 性質の改良は、本発明によるホスホリパーゼを添加しないで製造された練り粉 および/または焼かれた製品との比較により評価される。 本発明のパン改良および/または練り粉改良組成物は、他の酵素をさらに含む ことができる。他の酵素の例は下記の通りである:セルラーゼ、ヘミセルラーゼ 、ペントサナーゼ(練り粉の伸長性を増加するペントサンの部分的加水分解に有 効である)、グルコースオキシダーゼ(練り粉の強化に有効である)、リパーゼ (練り粉を軟化するために練り粉または練り粉成分の中に存在する脂質の変性に 有効である)、ペルオキシダーゼ(練り粉のコンシステンシーの改良に有効であ る)、プロテアーゼ(特に固いコムギ粉を使用するとき、グルテンの弱化に有効 である)、ペプチダーゼおよび/またはアミラーゼ、例えば、α−アミラーゼ( 酵母により発酵可能な糖類を提供するために有効である)。 他の酵素成分に加えて、またはそれらの代替物として、練り粉改良および/ま たはパン改良組成物は通常に使用されているベーキング剤、例えば、下記の成分 1または2以上を含むことができる: ミルク粉末(表面の色を提供する)、グルテン(弱い粉のガス保持力を改良す るため)、乳化剤(練り粉の伸長性を改良しかつ生ずるパンのコンシステンシー をある程度改良するため)、粒状化された脂肪(練り粉の軟化およびコンシステ ンシーのため)、酸 化体(グルテン構造を強化するために添加される;例えば、アスコルビン酸、臭 素酸カリウム、ヨウ素酸カリウムまたは過硫酸アンモニウム)、アミノ酸(例え ば、システイン)、糖、および塩(練り粉を固くするために、例えば、塩化ナト リウム、酢酸カルシウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸カルシウム)、粉または澱 粉)。 適当な乳化剤の例は、モノグリセリドまたはジグリセリド、モノグリセリドま たはジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸の ポリグリセロールエステル、モノグリセリドの乳酸エステル、モノグリセリドの 酢酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、リン脂質およびレシチンであ る。 本発明の関係において、用語「焼かれた製品」は、柔らかいか、あるいはさく さくした特性の、練り粉から製造された任意の製品を包含することを意図する。 白色、淡いまたは暗色であり、好都合には本発明により製造することができる、 焼かれた製品の例は、典型的には一塊またはロールの形態の、パン(特に白色、 完全小麦粉またはライムギのパン)、フレンチバゲット型のパン、ピタパン、タ コス、ケーキ、パンケーキ、ビスケット、かりかりするパンおよびその他である 。 本発明の練り粉は前述の型の任意のものであり、かつ新鮮であるか、あるいは 凍結されていることができる。 上記の開示から明らかなように、本発明の練り粉は通常発酵を起こさせた練り 粉または発酵すべき練り粉である。練り粉は種々の方法で、例えば、重炭酸ナト リウムまたはその他を添加するか、あるいはパン種(発酵している練り粉)を添 加することによって発酵させることができるが、適当な酵母培養物、例えば、サ ッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisia e)(パン酵母)の培養物の添加により練り粉を発酵させることができる。商業 的に入手可能なサッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)の任 意のものを使用することができる。 最終の態様において、本発明は、好ましくはマカロニコムギ粉または匹敵する 品質の粉から製造された、パスタ練り粉を製造するための本発明のホスホリパー ゼの使用に関する。慣用技術および前述したものに類似する投与量でホスホリパ ーゼを使用することによって、練り粉を製造することができる。ホスホリパーゼ は好ましくは微生物由来、例えば、本明細書において開示した由来のものである 。パスタの製造において使用するとき、ホスホリパーゼはグルテン構造を強化し 、こうして、練り粉の粘着性を減少しかつ練り粉の強度を増加させると考えられ る。 本発明の酵素のリパーゼ活性の使用 本明細書における実施例において示すように、本発明のホスホリパーゼはリパ ーゼ活性をさらに示す。 したがって、本発明は、リパーゼの標準的使用において、特にクリーニングお よび洗剤組成物において使用するための、このリパーゼ活性の使用に関する。こ のようなクリーニングおよび洗剤組成物はこの分野においてよく記載されており 、そして適当なクリーニングおよび洗剤組成物のそれ以上の説明については、W O96/34946号、WO97/07202号およびWO95/30011号 を参照のこと。 下記の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例はいか なる方法おいても本発明の範囲を限定することを意図しない。 材料および方法 寄託された微生物: フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)DSM No.26 72は、本発明のホスホリパーゼをコードするDNA配列を含んでなる。 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299は、シャトル ベクターpYES2.0中の、本発明のホスホリパーゼをコードする、全長のc DNA配列を含んでなるプラスミドを含有する。他の株: 酵母株:使用したサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、W3124であった(MATa;ura 3−5 2;leu 2−3、112;his3−D200;pep 4−1137;p rcl::HIS3;prbl::LEU2:cir+)。 大腸菌(E.coli)株:DH10B(Life Technologie s) プラスミド: アスペルギルス(Aspergillus)発現ベクターpHD414は、プ ラスミドp775の誘導体である(EP238,023号に記載されている)。 pHD414の構築は、WO93/11249号にさらに記載されている。 pYES2.0(Invitrogen) pA2PH10(実施例7参照) 一般的分子生物学の方法 特記しない限り、DNAの操作および形質転換は分子生物学の標準的方法を使 用して実施した(Sambrook他、(1989)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Sp ring Harbor、NY;Ausubel、F.M.他(編)「Curr ent pr otocols in Molecular Biology」 、John Wiley and Sons、1995;Harwood、C.R.およびC utting、S.M(編)「Molecular Biological M ethods for Bacillus」、John Wiley and Sons、1990)。 DNAの操作のための酵素は、供給会社の規格書に従い使用した。 DNAの操作のための酵素 特記しない限り、DNAの操作のためのすべての酵素、例えば、制限エンドヌ クレアーゼ、リガーゼおよびその他は、ニュー・イングランド・バイオラブス・ インコーポレーテッド(New England Biolabs Inc.) から入手した。 NEFA−c試験をベースとするホスホリパーゼ活性のアッセイ 基質:L−α−リゾホスファチジルコリン(Sigma)。 基質:大豆レシチン(Sigma #P3644)。ホスホリパーゼA活性を 測定するために使用する。 Nefa−c試験キットは、ワコ・ケミカルス・ジャーマニー(Wako C hemicals Germany)から入手した。 緩衝液:20mMのNaOAc pH4.5。 基質溶液:1mlのミリQ水および1mlの緩衝液中の10mgの基質(すべ ての試料に対して十分な基質溶液を調製する)。 1. 15μlの酵素を150μlの基質溶液に添加する。 2. 40℃において10分間インキュベートする。 3. 30μlを300μlの試薬1に添加する(Nefaキットから)。 4. 37℃において10分間インキュベートする。 5. 600μlの試薬2を添加する(Nefaキットから)。 6. 37℃において10分間インキュベートする。 7. Nefaキットの使用説明書に従い、最終反応生成物の吸収を550nm において測定する。 酵素反応の1分当たり1μmolの脂肪酸を生産するために必要な酵素活性を 1単位として定義した。酵母中の発現クローン化 酵母中の発現クローン化を下記の文献に包括的に記載されているように実施し た:H.Dalboege他、「Mol.Gen.Genet.」(1994) 243:253−260;WO93/11249号;WO94/14953号) 、これらは引用することによって本明細書の一部とされる。 全体のRNAの抽出、cDNAの合成、ヤエナリ(mung bean)ヌク レアーゼの処理、T4DNAポリメラーゼを使用する平滑末端化、およびライブ ラリーの構築のすべての個々の工程は、前述の参考文献に従い実施した。mRN Aの単離のためのフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysp orum)DSM No.2672の発酵手順: フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)DS M No.2672を、YPD培地中で30℃において4日間培養した。後述す るプレートアッセイにおいて、10μlの上清をホスホリパーゼ活性について試 験した。 下記の文献に記載されているように、mRNAをこの培養からの菌糸体から単 離した:H.Dalboege他、「Mol.Gen.Genet.」(199 4)243:253−260;WO93/11249号;WO94/14953 号)、 陽性の酵母のクローンの同定(プレートアッセイ): 陽性の酵母のクローン(すなわち、ホスホリパーゼ活性をコード する遺伝子を含むクローン)の同定を、後述するように実施した。 2%のグルコースを含有するSC寒天上に酵母の形質転換体をプレートし、3 0℃において3日間インキュベートした。酢酸セルロースのフィルター(OE6 7、Schleicher & Schuell)を細胞の上部に配置し、次い でフィルターの上部上の細胞とともにSC寒天および2%のガラクトースを含有 するプレートに移す。30℃において3日間インキュベートした後、細胞を有す るフィルターを基質プレートに移す。陽性のクローンは、コロニーの下に基質プ レート中の青−緑色ゾーンを生ずるコロニーとして同定される。 基質プレートを下記の方法でつくる:2.5gの寒天(BA−30INA A gar(登録商標)、Funakosi Co. Ltd.)を137.5ml のH2Oに添加し、電子レンジ中で加熱沸騰させる。約60℃に冷却した後、3 0mlの下記の混合物を添加する:62.5mlの0.4MのTris−HCl 緩衝液(pH7.5)および50mlの3%のLioid E80(Lioid GnbH、D−67065 Ludwigshafen、ドイツ国)と2%の Triton X−100(v/v)および0.5mlのH2O中の2%のブリ リアント・グリーン溶液との溶液。基質の濃度は重要である。この濃度が高い場 合、それは酵母細胞からおよび/またはホスホリパーゼ副活性を有する糸状菌の リパーゼからバックグラウンドの活性を生ずることがある。 アスペルギルス(Aspergillus)中の発現のためのcDNA遺伝子の 単離 ホスホリパーゼを産生する酵母コロニーを、50mlのガラス製試験管中の2 0mlのYPDブロスの中に接種する。試験管を30℃において2日間震盪する 。3000rpmにおいて10分間遠心 することによって、細胞を収集する。 DNAをWO94/14953号に従い単離し、50mlの水中に溶解する。 DNAを標準的手順により大腸菌(E.coli)の中に形質転換する。プラス ミドDNAを標準的手順により大腸菌(E.coli)から単離し、制限酵素分 析により分析する。適当な制限酵素を使用してcDNAインサートを切除し、ア スペルギルス(Aspergillus)の発現ベクターの中に結合する。 アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)またはアス ペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の形質転換 WO95/02043号、第16ページ、第21行〜第17ページ、第12行 (これは引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されているよう にして、プロトプラストを調製する。 100μlのプロトプラストの懸濁液を5〜25μlの適当なDNAと10μ lのSTC(1.2Mのソルビトール、10mMのTris−HCl、pH=7 .5、10mMのCaCl2)中で混合する。プロトプラストをp3SR2(プ ラスミドを有するアスペルギルス・ニヅランス(A.nidulans)のam dS遺伝子)と混合する。この混合物を室温において25分間放置する。0.2 mlの60%のPEG4000(BDH29576)、10mMのCaCl2お よび10mMのTris−HCl、pH=7.5を添加し、注意して混合し(2 回)、最後に0.85mlの同一溶液を添加し、注意して混合する。この混合物 を室温に25分間放置し、2500gにおいて15分間回転し、ペレットを2m lの1.2Mのソルビトールの中に再懸濁させる。さらに1回沈降させた後、プ ロトプラストを1.0Mのスクロース、pH7.0、窒素源として10mMのア セトアミドおよびバックグラウンドの生長を阻止する ために20mMのCsClを含有する最少プレート(Cove、Biochim .Biophys.Acta 113(1966)51−56)上に広げる。3 7℃において4〜7日間インキュベートした後、胞子を取り上げ、単一のコロニ ーについて広げる。この手順を反復し、第2回の再単離後の単一のコロニーの胞 子を規定された形質転換体として貯蔵する。 アスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)またはアスペルギルス・ニガー( Aspergillus niger)の形質転換体の試験 アスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)の形質転換体の各々を10ml のYPM(下記を参照)の中に接種し、増殖させる。30℃において2〜5日間 インキュベートした後、上清を取出す。20μlの上清を基質プレート(上を参 照)の中に押抜いた孔の中に負荷する。1〜24時間後、ホスホリパーゼ活性は 孔の回りの青−緑色のゾーンとして現れる。 流加発酵 炭素源としてマルトデキストリン、窒素源として尿素および酵母エキスを含ん でなる培地中で、流加発酵を実施した。問題のアスペルギルス・オリゼ(A.o ryzae)宿主細胞の震盪フラスコの培養物を3.5%の炭素源および0.5 %の窒素源を含んでなる培地の中に接種することによって、流加発酵を実施した 。pH7.0および34℃において24時間培養した後、追加の炭素源および窒 素源の連続的供給を開始した。炭素源を制限因子として保持し、そして酸素が過 剰量で存在するようにした。流加培養法を4日間続けた。 配列番号:1に示すDNA配列の単離 本発明のホスホリパーゼをコードする配列番号:1に示すDNA 配列のホスホリパーゼをコードする部分は、この分野において知られている方法 によりプラスミドDNAの抽出により、寄託された微生物大腸菌(Escher ichia coli)DSM11299から得ることができる(Sambro ok他(1989)「Molecular Cloning:A Labora tory Manual」、Cold Spring Harbor、NY)。 培地 YPD:10gの酵母エキス、20gのペプトン、900mlとするH2O。 オートクレーブ処理し、100mlの20%のグルコース(滅菌濾過した)を添 加する。 YPM:10gの酵母エキス、20gのペプトン、900mlとするH2O。 オートクレーブ処理し、100mlの20%のマルトデキストリン(滅菌濾過し た)を添加する。 10×基礎塩:75gの酵母窒素塩基、113gのコハク酸、68gのNaO H、1000mlとする水を滅菌濾過した。 SC−URA:100mlの10×基礎塩、28mlの20%のカサミノ酸、 ビタミンを含まない、10mlの10%のトリプトファン、900mlとする水 をオートクレーブ処理し、3.6mlの5%のスレオニンおよび100mlの2 0%のグルコースまたは20%のガラクトースを添加する。 SC寒天:SC−URA、20g/lの寒天を添加する。 SC−変異型寒天:20gの寒天、20mlの10×基礎塩、900mlとす る水をオートクレーブ処理する。 PEG4000(ポリエチレングリコール、分子量=4000)(BDH、英 国)。 実施例 実施例1 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)ホスホ リパーゼの発酵 寒天斜面上のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyspo rum)DSM2672の培養物を、各々が100mlのBouillon−3 培地を有する、5本の500mlの震盪フラスコに移し、30℃において1日間 震盪した(200rpm、振幅2.5cm)。 Bouillon−3培地の組成は下記の通りであった: ペプトン 6g/l トリプシン消化カゼイン 4g/l 酵母エキス 3g/l 肉エキス 1.5g/l グルコース 1g/l 培地を121℃において40分間オートクレーブ処理した。 これらのBouillon−3震盪フラスコの培養ブロスを、各々がPL−1 培地を含む、20本の500mlの震盪フラスコのための種培養物として使用し た。 PL−1培地の組成は下記の通りであった: ペプトン 10g/l Tween(登録商標)−80 12g/l MgSO4・7H2O 2g/l CaCl2・2H2O 0.1g/l オートクレーブ処理前のpH 6.0 培地を121℃において40分間オートクレーブ処理した。 各PL−1震盪フラスコを0.5〜2mlのBouillon− 3培養ブロスで接種し、200rpm(振幅2.5cm)で30℃において5日 間震盪した。震盪フラスコからの培養ブロスを収集時にプールした、合計3.9 リットル、酵素収量53LU/ml。 実施例2 ホスホリパーゼの精製 工程1)− 1リットルの発酵上清を遠心し、生ずる沈澱を廃棄した。次いで 、固体の酢酸アンモニウムの添加により、上清を0.8Mの酢酸アンモニウムに 調節した。 工程2)− 疎水性クロマトグラフィー − トヨパール(Toyopear l)ブチル650Cマトリックスをトソ・ハス(To 入した。50mlのカラムにマトリックスを詰めた。カラムを50%のエタノー ルで洗浄し、次いで水で洗浄した。次いでカラムを0.8Mの酢酸アンモニウム と平衡化した。次いで、0.8Mの酢酸アンモニウムで調節した発酵上清をカラ ムに適用した。次いで未結合の物質を0.8Mの酢酸アンモニウムで洗浄して、 すべての紫外線吸収物質(280nm)を除去した。 次いでカラムを水で溶離し、引き続く50%のエタノールで溶離した。 前述したNEFAキットを使用して、ホスホリパーゼ活性をpH4.5および 40℃において測定した。水およびアルコールの溶出液の中に活性を含有する画 分をプールした。NEFAキットアッセイを使用して、活性をpH4.5におい てアッセイした。 次いでホスホリパーゼ活性を含有する画分をプールし、透析し、10kDaの カットのアミコン(Amicon)限外濾過膜を使用して濃縮した。 工程3)− DEAE高速クロマトグラフィー上の陰性の吸収。 DEAE FFをファーマシア(Pharmacia)から購入し、50ml のカラムにマトリックスを詰めた。 次いでカラムを製造業者が記載するように洗浄し、25mMのTris緩衝液 pH7と平衡化した。 透析し、濃縮した試料をpH7、コンダクタンス2mSiに調節し、アニオン 交換体DEAE FFカラムに適用した。 活性を流出液として集めた。活性はアニオン交換体にpH7において結合しな い。 活性を含有するDEAE FFからの流出液を濃縮し、10kDaのカットの アミコン膜を使用して透析し、25mMの酢酸ナトリウム緩衝液pH6で緩衝化 した。 スーパーデックス(Superdex)75上のゲル濾過。 ファーマシアからのスーパーデックス75を前もって充填したカラムHilo ad Tm16/20を洗浄し、150mMのNaClを含有する25mMの酢 酸ナトリウムpH6と平衡化した。 pH4.5および40℃においてホスホリパーゼ活性を示すアニオン交換体か らの濃縮された流出液の2mlを、スーパーデックスカラム上に適用した。 活性を1ml/分の流速のゲル濾過により分離した。 実施例3 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得 られた精製されたホスホリパーゼの特性決定 実施例1に記載したように発酵させ、実施例2に記載したように精製したフザ リウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリ パーゼについて、後述する特性決定を実施した。 ノベックス(Novex)Tmからの4〜20%のSDS−PA GEプレキャストプレートを使用することによって、ホスホリパーゼ酵素の分子 量を測定した。前述したように還元性条件下に、このタンパク質の分子量を測定 した。 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼに ついて、分子量は還元性条件下に29〜30kDaであることが見出された。 ファーマシアからのアンフォライン(Ampholine)PAGEプレート を使用することによって、等電点を測定した。 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)について、タンパク 質のpIは、ほぼ中性のpHにおいて、好ましくは5.8〜6.8の範囲である 。 ホスホリパーゼの熱安定性 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から のホスホリパーゼの熱安定性をDSC(示差走査熱量計)により試験した。一定 の、プログラミングされた加熱速度において酵素溶液を加熱した後に得られたサ ーモグラム(Cp/T)中の変性ピークの頂部として、熱変性温度、Td、を取 った。 実験: ハート・サイエンティフィック(Hart Scientific)(米国ユ タ州、1993)からのDSC IIを実験に使用した。 pH10(50mMのグリシン緩衝液)、pH7(50mMのHEPES緩衝 液+10mMのEDTA)またはpH4(50mMのクエン酸塩緩衝液)におい て、50mMの緩衝化溶液を酵素(ほぼ2mg/ml)のための溶媒として使用 した。前述の実施例2に従い、酵素を精製した。 750μlの酵素溶液をハート・サイエンティフィックからの標 準的1mlの密閉可能なハステロイのアンプルの中に移した。アンプルを熱量計 の中に入れ、5℃に15分間冷却した。DSC走査の前に、熱的平衡化を実施し た。ほぼ90K/時の走査速度で5℃から95℃まで、DSC走査を実施した。 ほぼ+/−2℃の正確度で、変性温度を測定した。 結果: 表1:pHの関数として変性ピークに対する頂部 酵素の安定性に影響を有意に及ぼすことがある油マトリックスの非存在におい て、これらの実験を実施したことに注意すべきである。DSCの結果は、中性の pH付近における最大の安定性を示す。 不可逆的熱変性を仮定すると、工業的用途、例えば、油の脱ガム化(米国特許 第5,264,367号)における関係する実施温度は、上記表1に記載するT d温度よりも少なくとも10°低い。 アミノ末端の配列 製造業者の記載するようにアプライド・バイオシステム(Applied B iosystem)の装置(ABI 473Aタンパク質配列決定装置、App lied Biosystem、米国)を使用して、エドマン分解法によりアミ ノ末端の分析を実施した。 N−末端の配列: フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼにつ いて、N−末端の配列は下記の通りである: N−末端A−V−G−V−T−T−T−D−F−S−N−F−K−F−Y−I N−末端のアミノ酸「A」(Ala)は、配列番号:2中の位置31である。 これにより示されるように、本発明の成熟ホスホリパーゼ酵素は配列番号:2中 の位置31において開始する。 結局、成熟配列は配列番号:2において31−346である。 実施例4 ホスホリパーゼA活性 前述したようにpH4.5、40℃において基質として大豆レシチンを使用し て、ホスホリパーゼA活性を測定した(NEFA試験塩基アッセイ)。 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼは 、前述の条件において有意なホスホリパーゼA活性を示した。 実施例5 L−α−リゾホスファチジルコリンに向かう活性 前述したようにpH4.5、40℃において基質としてL−α−リゾホスファ チジルコリンを使用して、ホスホリパーゼA活性を測定した(NEFA試験塩基 アッセイ)。 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼは 、前述の条件においてL−α−リゾホスファチジルコリンに対して有意な活性を 示した。 実施例6 単層の構成におけるホスホリパーゼ活性 単層装置(ゼロ次トラフ、KSV5000、KSV Instruments 、フィンランド国)を使用して、ホスホリパーゼDDPC(Di Dicany l(C10)ホスファチジルコリン)に 対する種々の酵素の活性を評価した。 実験 緩衝溶液(10mMのTRIS、pH8.0、25℃)の完全に精製された表面 上で、DDPCの単層をクロロホルム溶液から広げた。単層の緩和(クロロホル ムの蒸発)後、ほぼ63Å2/分子のDDPCの平均分子面積に対応して、表面 圧力を15mN/mに調節する。ほぼ60μgの酵素を含有する緩衝溶液(前述 )を単層を通して「ゼロ次トラフ」中の反応区画室(面積1520mm2および 体積30400mm3を有するシリンダー)の部分相の中に注入しする。不溶性 基質分子がより水溶性の反応生成物に加水分解されるとき、一定の表面圧力を維 持するために、単層を圧縮する移動性バリヤーの速度により、酵素活性は発現さ れる。反応生成物(カプロン酸およびDDPC)の溶解度がDDPCについてよ りかなり高いことが確認されると、酵素により1分当たり加水分解されるDDP C−分子の数はDDPCの平均分子面積(MMA)から推定される。 結果 表2 単層の構成におけるDDPCに対する酵素の活性 *)酵素の存在により誘発された単層面積/単位時間の減少から計算した。 表2中の「フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からの酵 素」は、実施例2に記載するように精製された、本発明のホスホリパーゼである 。 結論 小さいホスホリパーゼ活性を示すモルモットのリパーゼから得られたリパーゼ を除外して、酵素の大部分についてホスホリパーゼ活性は検出されなかった。 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から 得られた本発明のホスホリパーゼは、驚くほどに高い有意なホスホリパーゼ活性 を示した。 結局、本発明において、本発明のホスホリパーゼに関して本発明において使用 する用語「ホスホリパーゼ活性」は、上に示した「単層ホスホリパーゼアッセイ 」において、少なくとも0.25nmol/分、酵素投与量:60μg;より好 ましくは少なくとも0.40nmol/分、酵素投与量:60μg;より好まし くは少なくとも0.75nmol/分、酵素投与量:60μg;より好ましくは 少なくとも1.0nmol/分、酵素投与量:60μg;より好ましくは少なく とも1.25nmol/分、酵素投与量:60μg;なおより好ましくは少なく とも1.5nmol/分、酵素投与量:60μg;である活性として定義される 。 用語「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」は、それに応じて、実施例6 に示す「単層ホスホリパーゼアッセイ」におけるホスホリパーゼ副活性がホスホ リパーゼ活性を特定する前述の数値より低い、ホスホリパーゼ副活性を有するリ パーゼとして定義される。 本明細書における定義に従うホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼの1例は 、上記表2に示すモルモットのリパーゼである。前記モルモットのリパーゼは、 「単層ホスホリパーゼアッセイ」において、0.25nmol/分、酵素投与量 :60μg、より低いホスホリパーゼ副活性を有する。 実施例7 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)DSM No.2672からのホスホリパーゼのクローン化および発現 前述した酵母技術における発現クローン化を使用することによって、クローン 化および発現を実施した。 前述したように十分なエアレーションを保証するための撹拌を含めて上記の増 殖させた、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporu m)、DSM No.2672から、mRNAを単離した。3〜5日間増殖させ た後、菌糸体を収集し、直ちに液体窒素中で凍結させ、−80℃において貯蔵し た。1%のベクターのバックグラウンドをもつ前述の大腸菌(E.coli)中 で、ほぼ9×105の個々のクローンから成るフザリウム・オキシスポラム(F usarium oxysporum)、DSM No.2672からのライブ ラリーを構築した。プールのいくつかからのプラスミドDNAを酵母の中に形質 転換し、250〜400の酵母コロニーを含有する50〜100のプレートが各 プールから得られた。 ホスホリパーゼ陽性コロニーを基質プレート(上を参照)上で同定し、単離し た。cDNAインサートを酵母のコロニーから直接増幅し、前述の材料および方 法の節に記載するように特性決定した。ホスホリパーゼをコードするcDNAの DNA配列を配列番号:1に示し、そして対応するアミノ酸配列を配列番号:2 に示す。配列番号:1において、No.23からNo.1060までのDNAヌ クレオチドはホスホリパーゼをコードする領域を定める。ホスホリパーゼの成熟 部分をコードする配列番号:1中のDNA配列の部分は、配列番号:2における アミノ酸位置31−346に相当する、位置113−1060からなる。 cDNAはDSM11299中のプラスミドから得ることができる。 全体のDNAを酵母のコロニーから単離し、そして前述したように大腸菌(E .coli)の形質転換によりプラスミドDNAをレスキューした。アスペルギ ルス(Aspergillus)中でホスホリパーゼを発現させるために、DN Aを適当な制限酵素で消化し、ゲル上でサイズ分画し、ホスホリパーゼ遺伝子に 対応するフラグメントを精製した。遺伝子を引き続いてpHD414に結合し、 適当な制限酵素で消化すると、プラスミドpA2PH10が得られた。 大腸菌(E.coli)中のDNAを増幅した後、プラスミドを前述したよう にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の中に形 質転換した。 アスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)の試験 形質転換体の各々を前述したように酵素活性について試験した。形質転換体の いくつかは、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae )のバックグラウンドよりも有意に高い 、ホスホリパーゼ活性を有した。これはアスペルギルス・オリゼ(Asperg illus oryzae)中のホスホリパーゼの効率よい発現を証明する。 実施例8 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼの組 換え発現 アスペルギルス(Aspergillus)の発現ベクターpA2PH10を含 むアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)の形質転換体(実施例7参照) を、前述したように流加発酵させた。組換え的に生産されたフザリウム・オキシ スポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼの精製を、実施例2に記 載するように実施した。 実施例9 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得 られた組換え的に発現させ、精製したホスホリパーゼの特性決定 組換え的に発現させ、引き続いて精製したホスホリパーゼ(実施例8参照)を 特性決定した。 本発明の組換えフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホ スホリパーゼに関するこれらの特性決定の結果は、実施例3に示す特性決定の結 果と完全に相関し、ここで組換え的に発現させ、精製した酵素は、実施例3にお いて特性決定した非組換え的に発現させ、精製したホスホリパーゼと同一であっ た。 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得 られた組換え的に生産されたホスホリパーゼを特性決定するために使用した一般 的アッセイ ホスホリパーゼのアッセイ: ホスホリパーゼ活性(PHLU)を、レシチンからの遊離脂肪酸の放出として 測定した。50μlの50mMのHEPES、pH7、中の4%のL−α−ホス ファチジルコリン(植物のレシチン、Avnti、米国)、4%のTriton X−100、5mMのCaCl2を添加し、50μlの酵素溶液を50mMの HEPES、pH7、中で適当な濃度に希釈した。試料を30℃において10分 間インキュベートし、95℃において5分間反応を停止させた後、遠心(700 0rpmにおいて5分)した。ワコ・ケミカル社(Wako Chemical s GmbH)からのNEFA Cキットを使用して、遊離脂肪酸を定量した; 25μlの反応混合物を250μlの試薬Aに添加し、37℃において10分間 インキュベートした。次いで500μlの試薬Bを添加し、試料を再び37℃に おいて10分間インキュベートした。HP8452Aダイオード配列分光光度計 を使用して、550nmにおける吸収を測定した。試料を少なくとも二重反復実 験において試験した。基質および酵素の盲検試料(予熱した酵素試料(95℃に おいて10分)+基質)を含めた。オレイン酸を脂肪酸の標準として使用した。 1PHLUは、これらの条件下に、1μmolの遊離脂肪酸/分を解放すること ができる酵素の量に等しい。 また、このアッセイを37℃において20mMのクエン酸塩緩衝液、pH5( Ca2+依存性)または20mMのブリットン−ロビンソン緩衝液(pH−プロフ ィル/温度−プロフィル/安定性)中で実施した。基質として1−(S−デカノ イル)−2−デカノイル)−1−チオ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(D 3761分子プローブ)を使用して、ホスホリパーゼA1活性(PLA1)を測定 した。200μlのクベット中の190μlの基質(100μlのD3761( エタノール中の2mg/ml)+50μlの1 %のTriton X−100+1.85mlの50mMのHEPES、0.3 mMのDTNB、2mMのCaCl2、pH7)を1oμlの酵素に添加し、そ して室温においてHP8452Aダイオード配列分光光度計により時間の関数と して、410nmにおける吸収を測定した。線状の範囲における曲線の勾配とし て、活性を計算した。PLA1は、これらの条件下に、1μmolの遊離脂肪酸 (チオール)/分を解放することができる酵素の量に等しい。 1−ヘキサデカノイル−2−(1−ピレンデカノイル)−1−チオ−sn−グ リセロ−3−ホスホコリン(H361分子プローブ)を使用して、40℃におい てホスホリパーゼA1活性(PLA1)を測定した。2mlのクベット中の2ml の基質(50μlの1%のTriton X−100+25μlのメタノール中 の0.1%のH361+10mlの50mMのHEPES、pH7)を撹拌しな がら10μlの酵素に添加し、そしてパーキンエルマー(Perkin Elm er)LS50装置を使用して時間の関数(1秒の間隔)として376nm(3 40nmにおける励起)においてピレン蛍光放射を測定した。Triton X −100/ホスホリパーゼの菌糸体において、ホスホリパーゼの濃度を励起二量 体が形成する(480nmにおいて放射する)ように調節した。切断が起こると 、ピレン基を含有する2−位における脂肪酸は水性相の中に放出され、モノマー の放射が増加する。線状の範囲における曲線の勾配として、PLA2活性を取っ た。 リパーゼアッセイ: リパーゼ活性(LU)はノボ・ノルディス(Novo Nordisk)の刊 行物AF95に従い測定した。pHスタット滴定実験において、30℃、pH7 においてトリブチリンの加水分解を追跡した。1LUは、標準的条件下に、1μ molの酪酸/分を放出す ることができる酵素の量に等しい。 オリーブ油に対する活性(SLU)を下記のようにして測定した:12mlの 5mMのTris−HCl、40mMのNaCl、5mMのCaCl2、pH9 、を2.5mlの(Sigma)リパーゼ基質に添加した。pHをpH9または それよりちょうど低い値に調節した後、0.5mlのリパーゼ溶液(緩衝液中で 希釈した)を添加し、そしてラジオメーター(Radiometer A/S、 デンマーク国コペンハーゲン)から商業的に入手可能であるチトララブ(Tit ralab)を使用して、30℃においてpHスタット滴定アッセイを実施した 。1SLUはpH9、30℃において1μmolの遊離脂肪酸/分を放出するこ とができる酵素の量に等しい。 本発明の組換え的に生産されたフザリウム・オキシスポラム(F.oxyspo rum)のホスホリパーゼの特性決定 後述する酵素を特性決定するために使用したアッセイは、直ぐ上に記載したア ッセイであった。酵素: 配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fu sarium oxysporum)からのPL。 バッチF−9700989、OD280 0.83(0.69mg/ml)、純 度>95%(SDS−PAGE)。 前述したように、酵素を組換え的に発現させ、精製した。 Lecitase(商標)バッチL546−F06(10368 IU/ml 、ほぼmg/ml)。 Lipolase(登録商標)(Novo Nordisk A/S)。 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)リパーゼ/ホスホリ パーゼのホスホリパーゼ活性に対するCa2+の影響を 研究した。EDTAまたはCa+2をアッセイに含めるか否かにかかわらず、主要 な差は観察されず(下記表3参照)、こうして、酵素はCa2+に対して比較的独 立であるように見える。 表3 EDTAおよびCa2+に対するフザリウム・オキシスポラム(F.oxyspo rum)のホスホリパーゼ活性(PHLU)の依存性−2%のレシチン、2%の Triton X−100、20mMのクエン酸塩、pH5、37℃ 1相対活性は1mMのCaCl2における活性に関し、1に正規化されている。 基質として植物レシチンを使用して、pH−プロフィルをブリットン−ロビン ソン緩衝液中で研究した(表4)。酵素はホスホリパーゼに対するアルカリ性の pH−プロフィルを示し、最適値はpH9以上であるが、活性は低いpHにおい て油を脱ガム化しかつベーキングにおける性能を提供するのに十分に高い(比活 性の比較については下記を参照)。 表4 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホス ホリパーゼのpH−プロフィル、2%のレシチン、2%のTriton X−1 00、20mMのBR、37℃ 1相対活性はpH9における活性に関し、1に正規化されている。 ホスホリパーゼについて温度のプロフィルをpH5において得た;活性は40 ℃以上の温度において下向し始める(表5)。これは酵素を前インキュベートし 、次いで残留活性を測定することによって測定した温度安定性(表6)と合理的 に一致し、ここで酵素はpH5において45℃までの温度において安定である。 表5 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホス ホリパーゼの温度プロフィル、2%のレシチン、2%のTriton X−10 0、20mMのBR すべてのデータは、pH5、40℃における活性に関する相対活性のデータと して示されており、1に正規化されている。 表6 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼの温 度安定性;20mMのBR中で30分間のインキュベート すべてのデータは残留活性のデータとして示されており、ここで5℃における 前インキュベーション後の活性は1に正規化されている。 酵素の低い安定性は究極的製品をプロセス助剤として記録するために有利であ ることがある。なぜなら、活性酵素は食用油の脱ガム化または焼かれた製品にお いて最終生成物として期待されないであ ろうからである。 本発明のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporu m)から得られたホスホリパーゼは、ホスホリパーゼ活性およびリパーゼ活性の 双方を有する。 したがって、種々の異なるリパーゼおよびホスホリパーゼの基質に対する酵素 活性を研究し、商業的に入手可能なホスホリパーゼLecitase(商標)、 および商業的に入手可能なリパーゼLipolase(登録商標、Novo N ordisk A/S)の活性と比較した。 フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼ/ リパーゼはpH7および9においてトリブチリンおよびオリーブ油の双方に対し て高い活性を有する(表7)。比較の理由で、Lipolase(登録商標)の 比活性は約5000LU/mgである。しかしながら、Lipolase(登録 商標)と反対に、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysp orum)のリパーゼは非常に広い特異性を示し、かなりのホスホリパーゼ活性 およびまたチオエステラーゼ活性を有する〔上記単層の実施例を参照、Lipo lase(登録商標)は測定可能なホスホリパーゼ活性をもたない〕。 本発明のフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリ パーゼ/リパーゼは、pH7においてホスホリパーゼLecitase(商標) (ブタ膵臓のPLA2)のそれよりかなり高いレシチンに対する比活性を有する (表7)。 Lecitase(商標)に比較して、フザリウム・オキシスポラム(F.o xysporum)酵素はpH7において100倍高い活性を有する。フザリウ ム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)酵素についてホ スホリパーゼ/リパーゼの 比は、同様な条件(pH7および30℃)下に、約0.225(1000LU/ mg/225PHLU/mg)である。 表7 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のリパ ーゼ/ホスホリパーゼの活性−Lecitase(商標)に対する比較 1PLUはPHLUのように測定したが、50mMのHEPES、pH7、30 ℃の代わりに、20mMのクエン酸塩中で、pH5および37℃において測定し た。 ホスホリパーゼA1に対して特異的な基質を使用し、1−(S−デカノイル) −2−デカノイル)−1−チオ−sn−グリセロ−3−ホスホコリンの1−位に おけるチオエステル結合の切断を測定することによって、フザリウム・オキシス ポラム(Fusarium oxysporum)のリパーゼ/ホスホリパーゼ の特異性を研究した。 この酵素はホスホリパーゼ中の1−位を明瞭に加水分解する(表7)が、Le citase(商標)(ブタ膵臓のPLA2)は期待されるようにこの基質に対 して活性を示さなかった。 本発明のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum )のホスホリパーゼのC−末端のアミノ酸配列 組換え的に発現された成熟ホスホリパーゼのタンパク質のN−末端のアミノ酸 配列を実施例3に記載するように決定し、そしてこのN−末端の配列は非組換え 的に生産され、精製された酵素(実施例 3参照)について決定された配列と同一であると確証された。 Christgau他、「Biochem.J.」319、705−712、 1996に記載されているように、VGTofSpec質量分析計(Micro mass、英国マンチェスター)を使用して、MALDI−TOFの質量分析を 実施した。 バックグラウンド DNA配列から推定された、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼのN−末端のアミノ酸配列は、成熟ホ スホリパーゼの既知のN−末端のアミノ酸配列と組み合わせて、315アミノ酸 残基のタンパク質(配列番号:2中のアミノ酸31−346)を予知する。この 予測されるタンパク質の理論的分子量は33,256.8Daである。 MALDI−TOFの質量分析を使用して、我々はフザリウム・オキシスポラ ム(F.oxysporum)からの真性のリパーゼ/ホスホリパーゼの分子量 が28.2kDa(データは示されていない)であると以前に測定し、そしてS DS−PAGE上で、分子量は29〜30kDa(上を参照)であることが示さ れた。 真性および組換えのフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum) のリパーゼのN−末端のアミノ酸配列は同一であるので、予測された分子量と実 験の分子量との間の差はC−末端のプロセシングにより引き起こされるようであ る。 これを研究するために、我々はアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae) において発現された組換えフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporu m)のリパーゼからC−末端のペプチドを単離し、そのC−末端を通してそれを 配列決定した。 戦略 28.2kDaのフザリウム・オキシスポラム(F.oxysp orum)からの真性のリパーゼ/ホスホリパーゼの平均分子量を使用して、最 も期待できそうなC−末端の残基を予測することができ、これはSer303で あると判明する(配列番号:2)。 この推定は、酵素がグリコシル化されていないという仮定に基づく。Asn1 63において配列の中に見出された単一の潜在的N−グリコシル化部位は、Pr o残基が位置164に見出されるので、多分使用されない。N−グリコシル化の ためのコンセンサス配列(Asn−Xaa−Ser/Thr)中の第2残基とし てのPro残基の存在は、決して報告されていない。さらに、質量スペクトル中 のピークの形状はグリコシル化を示さない。しかしながら、このピークは相同タ ンパク質について通常直面するピークよりも広く、サイズの異質性の可能性を示 す。この酵素のN−末端はよく定められているので、サイズの異質性は異種C− 末端のプロセシングにその基礎を有することが最も期待される。 配列番号:2(下記を参照のこと)を検査すると、予測されるC−末端は配列 中の8つのCys残基の最後に密接して位置することが明らかになる。これらの Cys残基上に放射性標識を導入すると、Cys残基を含有するペプチドをペプ チド精製により追跡することが容易となる。放射性標識化と、Asp残基の前に おいて切断するAsp−Nプロテアーゼを使用するタンパク質分解とを組合わせ ると、標識化C−末端のペプチドが生ずる。さらに、3つの内部のペプチドが標 識化されるであろう。すべての標識化ペプチドを配列決定すると、酵素のC−末 端が明らかとなるであろう。配列番号:2:フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyspo rum)のリパーゼ/ホスホリパーゼの予測されたアミノ酸配列 配列はDNA配列から推定され、真性および組換えの双方の酵素について実験 的に決定されたN−末端において開始する。8つのC 量分析から予測されたC−末端のSer残基は↑で示されている。N−グリコシ ル化のためのコンセンサス配列(NXS/T)の中に見出されるAsn残基は( ◇)で示されているが、XはPro残基であるので、すべての確度において使用 されていない。 実験結果 実施例は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポ ラム(Fusarium oxysporum)からのPLであった。 バッチF−9700989、OD280 0.83(0.69mg/ml)、純 度>95%(SDS−PAGE)。 前述したように、酵素を組換え的に発現させ、精製した。 酵素を変性し、ジスルフィド結合を還元した後、チオール基をI[1−14C ]CH2CONH2と反応させた。 Cys残基の放射性標識化後、リパーゼをAsp−Nプロテアーゼを使用して 分解した。 発生したペプチドを逆相HPLCにより分画した。収集した画分をMALDI −TOF質量分析し、シンチレーションカウンティングに付した。有意な量の反 応性を含有する画分を、逆相HPLCによる再精製のための選択した。 再精製した画分をシンチレーションカウンティングに付し、引き続いて放射性 を含有する画分を配列決定した。 結果の要約を下に記載する。このスキームは、記載する多数の配列のために、 混沌しているように見えることがある。しかしながら、このスキームは放射性画 分から得られた配列のデータのすべてを含有し、したがって、引き出された結論 のための基礎を表す。すべてのCys残基は配列決定を通してカバーされている ことに注意すべきである;それらの大部分は1回より大きくカバーされている。 注意すべき他の事柄は、多数の小さい放射性的に標識化されたペプチドを生ずる ように見られる異常な切断である。 放射性標識化されたペプチドの配列決定により得られたアミノ酸配列は、組換 えフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)酵素から誘導された。これらの配列は、DNA配列から推 定された、予測されたアミノ酸に対して整列された。8つのCys残基は で示 されているが、真性酵素のMALDI−TOF質量分析から予測されたC−末端 のSer残基は↑で示されている。 実験の結論 すべての放射性標識化されたペプチドの配列決定から、DNAにおいてコード されたアミノ酸のC−末端部分はフザリウム・オキシスポラム(Fusariu m oxysporum)からのリパーゼの発現の間にプロセシングされること が明らかである。MALDI−TOF質量分析からの結果に従い、ペプチドの配 列は最も期待できそうなC−末端の残基としてSer303を指示する。 しかしながら、データに基づいて、示差的C−末端のプロセシングが起こって 異種C−末端に導くことは除外することができない;例えば、1つのペプチドは Phe272が、C−末端の残基としても見出されうることを示す。 実施例10 食用油の酵素的脱ガム化についてのアッセイの一般的説明 酵素的脱ガム化を実施する装置 この装置は1リットルのジャケット付き鋼製反応器から成り、鋼製蓋、プロペ ラ(600rpm)、そらせ板、温度センサー、上部における入口管、上部にお ける還流冷却器(4℃)、および下部における出口管を装備する。反応器のジャ ケットはサーモスタット浴に接続されている。出口管はシリコーン管を介してシ ルバーソン(Silverson)インラインミキサーヘッドに接続されており 、ミキサーヘッドはシルバーソンL4RT高剪断ラブミキサー(8500rpm 、流速、約1.1リットル/分)により駆動される「 正方形の孔の高剪断スクリーン」を装備する。ミキサーヘッドは冷却コイル(5 〜10℃)および出口管を装備し、出口管はシリコーン管を介して反応器の入口 管に接続されている。温度センサーを、ミキサーヘッドの直後において、シリコ ーン管の中に挿入されている。反応器/ミキサーヘッドのシステムからの雰囲気 への唯一の接続は、還流冷却器を通してである。 酵素的脱ガム化を実施する一般的手順 すべての冷却およびサーモスタット装置を始動させる。次いで0.6リットル (約560g)の油を反応器の中に入れ、これを特定の実験のために必要な温度 付近にする。ラブミキサーを始動させ、これにより油は反応器からミキサーヘッ ドに行き、反応器に戻るように循環し始める。このシステムを約10分間平衡化 させ、その間に温度を微細に調節する。前処理期間は27gのMilliQ水中 の0.6g(2.86mmol)のクエン酸一水和物の添加とともに開始する( 添加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/ 油エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)、ここでt=0に設定する。t =30分において、適当な量の4MのNaOH溶液を添加する。 0.0当量の4MのNaOH →pH3.7 1.0当量の4MのNaOH(0.714ml) →pH4.5 1.5当量の4MのNaOH(1.07ml) →pH5.0 2.0当量の4MのNaOH(1.43ml) →pH5.5 2.5当量の4MのNaOH(1.79ml) →pH6.2 3.0当量の4MのNaOH(2.14ml) →pH8.0 t=35分において、試料をP−分析およびpHの測定のために抜き出す。この 直後に、必要な量の酵素溶液を添加する(前処理期間の終わり)。P−分析およ びpHの測定のための試料をt=1、 2、3.5、5、6時間に抜き出し、次いで反応を停止させる。 反応器/ミキサーのシステムを空にし、2×500mlの10%のDecon es/DI水溶液ですすぎ、最小3×500mlのDI水ですすぐ。反応器の間 の種々の添加およびサンプリングを表8に表す。 表8.酵素的脱ガム化のためのスケジュールリンの分析: P−分析のためにサンプリング: 10mlの油中水型エマルジョンをガラス製遠心機の中に取る。沸騰水浴中で エマルジョンを30分間加熱する。5000rpmにおいて10分間遠心する。 8mlの上方の(油)相を12mlのポリスチレン管に移し、12〜24時間放 置する(沈降させる)。沈 降後、約1〜2gを上方の透明相からP−分析のために抜き出す。 「Standard Methods for the Analysis of Oils、Fats、and Dervatives」、第7版(198 7)の手順2.421に従い、P−分析を実施した:100mgのMgO(le icht、Merck#5862)を磁器の皿の中で秤量し、ガスバーナーで加 熱する。1〜2gの油を添加し、ガスバーナーで強熱して、黒色の固い塊にする 。ベクスター(Vecstar)炉中で850℃に2時間加熱して、白色の灰を 得る。灰を5mlの6MのHNO3の中に溶解し、20mlの試薬混合物を添加 する。460nmにおける吸収を測定する(ゼロ調節のためにブランク(5ml のHNO3+20mlの試薬混合物)を使用する)。検量線を使用して計算する 。 pHの測定 2mlの油中水型エマルジョンを取り、2mlのMilliQ水と混合する。 相分離後、上部の油層をピペットで除去する。水性相中のpHをpH電極オリオ ン(Orion)で測定する。測定値を下記式により「現実の(real)」p H値に変換する: pH(真の)=pH(測定)−0.38 27gのDI水の中に0.6gのクエン酸一水和物を溶解することによって、 検量線を作成した;この溶液のpHをpH電極オリオンにより測定した〔pH( 真の)〕。100μlを2mlのMilliQ水と混合し、この溶液のpHをp H電極オリオンにより測定した〔pH(測定)〕。NaOH溶液の添加により、 クエン酸溶液のpHを徐々に変化させ、各調節のために、希釈およびpHの測定 を前述したように実施した。 実施例11 Lecitase(商標)のために最適な脱ガム化条件 実施例10に記載するように、食用油の脱ガム化に関するすべての実験を実施 した。 油: アアルフス・オリエファブリク(Aarhus Oliefabrik、デン マーク国)からの水−脱ガム化されたナタネ油(Colzro)。 バッチC00730/B01200、9kg、P含量186ppm(0.47 %のホスファチド)。 この油は商業的に入手可能な製品ではなく、工場における生産ラインから直接 取る。 酵素: Lecitase(商標)10L。 バッチL646−D02(10190U/ml)、推定濃度20mg/ml。 Lecitase(商標)を使用する1連のパラメーター最適化実験のための特 定の条件を表9に記載する。標準的条件は次の通りである:酵素の投与量535 U/kg油(1.1mg/kg油)、60℃、2.0当量のNaOH(pH5. 5)。酵素の投与量を268から1070U/kg油まで変化させ、温度を40 ℃から70℃まで変化させ、そして表9に示す種々のpHレベルに対応してNa OHの添加量を1.0から3.0当量まで変化させた。 表9.Lecitase(商標)の最適化のための特定の条件*t=35分〜6時間のpH。この時間内に、すべてのpHの測定値は狭いウイ ンドウ内に存在する。これを下記の実施例13においてさらに例示する。 別々の最適化研究を表10に表す。 表10における結果は、下記の事柄を示す: i) 投与量/応答の研究から、最適な酵素の投与量(60℃および2.0当 量のNaOHにおいて)は約535U/kg油であることが理解される。半分の 投与量は脱カム化時間を約3.5時間から6時間に増加させ、そして2倍の投与 量は脱ガム化の性能にほぼ変化をなんら引き起こさない。酵素のブランクの結果 を比較のために挿入した。 ii) 最適なNaOHの添加量は約2.0当量である(pH約5.5)、悪 い性能は1.0当量(pH約4.5)および3.0当量(pH約8)である。 iii) 最適な温度は約60℃である。なぜなら、70℃はPのレベルを完 全には低下させず、50℃は脱ガム化時間を約3.5時間から6時間に増加し、 そして40℃は悪い性能を与えるからである。 表10:Lecitase(商標)の脱ガム化条件の最適化の結果 1示した時間(時)における油相中のリン含量(ppm)。 実施例12 本発明によるフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyspor um)のホスホリパーゼについての最適な脱ガム化条件 実施例10に記載するように、食用油の実験のすべての酵素的脱ガム化を実施 した。 油: アアルフス・オリエファブリク(Aarhus Oliefabrik、デン マーク国)からの水−脱ガム化されたナタネ油(Colzro)。 バッチC00730/B01208、P含量約200ppm バッチC00730/B01209、P含量約200ppm バッチC00730/B01429、P含量227ppm バッチC00730/B01430、P含量252ppm この油は商業的に入手可能な製品ではなく、工場における生産ラインから直接 取る。酵素: 配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fu sarium oxysporum)からのPL。 バッチF−9700123、OD2801.48、純度約58%、推定濃度0. 9mg/ml。 前述したように、酵素を組換え的に発現させ、精製した。 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から のPLを使用する1連のパラメーター最適化実験のための特定の条件を表11に 記載する。標準的条件は次の通りである:酵素の投与量1.6mg/kg油、4 0℃、1.5当量のNaOH(pH約5.5)。酵素の投与量を0.2から1. 6mg/kg油まで変化させ、温度を30℃から50°Cまで変化させ、そして 表11に示す種々のpHレベルに対応してNaOHの添加量を1.0から2.5 当量まで変化させた。 表11.フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporu m)からのPLの最適化のための特定の条件 実験結果を下記表12に表す。時間のウインドウ35分〜6時間におけるpH の偏りのすべては、期待した間隔の範囲内に入り、わずかの不規則性を伴う。 要約すると、表12における結果は下記の事柄を示す: i) 投与量/応答の研究から、最適な酵素の投与量(40℃および1.5当 量のNaOHにおいて)は約0.8mg/kg油であることが理解される。 ii) 最適なNaOHの添加量は約1.5当量である(pH約5.0)、性 能の非発揮1.0当量(pH約4.5)および;制限された性能2.0当量(p H約5.5)および2.5当量(pH約6.2)、そして iii) 最適な温度は約45℃であり、そして50℃は制限された性能を与 える。 表12.フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporu m)の脱ガム化条件の最適化の結果 1示した時間(時)における油相中のリン含量(ppm)。 実施例13 酵素的脱ガム化プロセスの間の標準的pHの偏りの例示 実施例10に記載するように実施した酵素的脱ガム化プロセスの間のpHの偏 りの平均的例を、下記表13に示す。 Lecitase(商標)を使用して実験を実施する。それ以上の詳細につい ては、実施例11を参照のこと。 表13.t=35分から6時間までのpH値 本明細書において開示する酵素的脱ガム化実験の実施例においてそれ以上述べ ない場合、前記実験における標準的pHの偏りは上記表に示す通りであった。 実施例14 Lecitase(商標)および本発明によるフザリウム・オキシスポラム(F usarium oxysporum)からのホスホリパーゼの酵素的脱ガム化 能力の比較 第2図において、上記実施例11および12において測定した、それぞれの最 適条件下ににおけるPLからの結果を示す。 第2図に示す実験条件: Lecitase(商標):60℃、pH5.5(2.0当量のNaOH)、 および1mgの酵素/kgの油(約535U)(実験#9)。 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のP L:40℃、pH5.0(1.5当量のNaOH)、および0.8mgの酵素/ kgの油(実験#33)。 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyspo rum)のPL:45℃、pH5.0(1.5当量のNaOH)、および1.6 mgの酵素/kgの油(実験#64)。 明らかなように、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxys porum)からのPLは、Lecitase(商標)に比較して、非常に速い 脱ガム化作用を与える。 本発明によるフザリウム(Fusarium)からのPLは、酵素と油との2 5分の接触後、ほとんど完全な脱ガム化を与える。 実施例15 異なる型の食用油の中に存在する非水和性リン脂質の定量 油: アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM )、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチCO0745/BO1146、 P含量609ppm。このバッチは固体残留物を含有する。 スカノラ(Scanola)(デンマーク国)からの粗製ナタネ油。バッチC 00745/B01593、P含量315ppm。 濾過した粗製ナタネ油。濾過したバッチC00745/B01146、P含量 231ppm。この油は上記バッチC00745/B01146(609ppm )を100μmのジョンソン(Johnson)フィルターを通して濾過した油 である。 アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM )、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B01700、 P含量459ppm。 ルルギ(Lurgi)、ドイツ国、からのナタネ油。バッチC00932/B 01381、P含量148ppm。 アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)、デンマ ーク国、からの粗製大豆油。バッチC00744/B 01145、P含量593ppm。 上記実施例10に記載するように水中のクエン酸−水和物を含んでなる溶液で 油を前処理することによって、上に示した異なる型の食用油の中に存在する非水 和性リン脂質の定量を実施した。 簡単に述べると、前処理プロセスは下記の工程からなる: i) 60℃において、水中のクエン酸−水和物を含んでなる溶液の添加(添 加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/油 エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)により、前記食用油を30分間前 処理し、 ii) 10mlの前処理された油中水型エマルジョンを管に移し、 iii) 前記エマルジョンを沸騰する水浴中で30分間加熱し、 iv) 5000rpmにおいて10分間遠心し、 v) 約8mlの上(油)相を新しい管に移し、それを24時間沈降させ、 沈降後、上方の透明な相から2gを抜き出して、食用油中の非水和性リン含量( ppm)を測定する。ppm値を上記実施例10に記載するように測定した。 このプロセス後、上に示した異なる型の食用油の中に存在する非水和性リン脂 質の量は、下記の通りであった: AOMからの粗製ナタネ油#1146は、部分的に高いPレベル(609pp m)の原因となる固体の粒子を含有する;100μmのジョンソン篩を通す濾過 は231ppmのP含量を有する透明な油を与える。 粗製油および濾過した油の前処理は140ppmのPレベルを与え、これは油 の中に存在する非水和性リン脂質の測定である; スカノラからの粗製ナタネ油のリン脂質含量は、前処理により315ppmか ら約30ppmに減少した; ルルギから入手したナタネ油(多分粗製油と完全に精製された油との任意の混 合物)のリン脂質含量は、前処理プロセスにより60ppmに減少した; AOMからの粗製ナタネ油#1710の前処理は、P含量を459ppmから 200〜250ppmに減少した; AOMからの粗製大豆油#1145では、前処理はPレベルを593ppmか ら10ppmに減少した。この大豆油は、水−脱ガム化/クエン酸塩の処理単独 により脱ガム化することができる油の1例を構成する。前処理後のこの粗製大豆 油への酵素の添加は、P含量をそれ以上減少しなかった。 これらのデータが示唆するように、粗製ナタネ油のリン脂質の組成(水和性/ 非水和性リン脂質)は1つのバッチから他のバッチに対して大きく変化し、結局 酵素的脱ガム化されたナタネ油中の残留するリン脂質のレベルは広い範囲(30 ppm(スカノラ)から200〜250ppm(AOM)まで)にわたって変化 するであろう。 酵素的脱ガム化について、最適な酵素の投与量は脱ガム化または前処理後に存 在する非水和性リン脂質の量に依存する。 さらに、油の中に存在する非水和性リン脂質の量が高くなるほど、酵素的脱ガ ム化法はいっそう有効である。 これはまた下記の実施例16において例示されており、ここで本発明は約14 0ppmの非水和性リン脂質のレベルを有する、粗製ナタネ油#1146の酵素 的脱ガム化を示す。 実施例16 粗製ナタネ食用油の脱ガム化(I) 上記実施例10に記載する「酵素的脱ガム化を実施する一般的手順」に従い、 実験AおよびBを実施した。 油: アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM )、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B01146、 P含量609ppm。このバッチは固体残留物を含有する。 酵素: Lecitase(商標)10L。 バッチL646−F02(10190U/ml)、推定濃度20mg/ml。 配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fu sarium oxysporum)からのPL。 バッチF−9700123、OD2801.48、純度約58%、推定濃度0. 9mg/ml。 この酵素は、前述したように、組換え的に発現させ、精製した。実験A(参照) 0.6リットル(580g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、60℃に加熱する 。t=30分において、1.43ml(5.7mmol)の4MのNaOH溶液 を添加し、これによりpHは約5.6となる。t=35分において、30μl( 300単位)のLecitase 10L(Novo Nordisk A/S から入手した)を添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相 中のpH値を表14に示す。 表14.Lecitase(商標)を使用する粗製ナタネ油の脱ガム化からの 結果 実験B 0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、40℃に加熱する 。t=30分において、1.07ml(4.3mmol)の4MのNaOH溶液 を添加し、これによりpHは約5.4となる。t=35分において、1ml(0 .9mg)のフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からのホ スホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中 のpH値を表15に示す。 表15.フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からのホス ホリパーゼを使用する粗製ナタネ油の脱ガム化からの結果 実施例17 粗製ナタネ食用油の脱ガム化(II) 上記実施例10に記載する「酵素的脱ガム化を実施する一般的手順」に従い、 実験AおよびBを実施した。 油: アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM )、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B04710、 P含量459ppm。 酵素: Lecitase(商標)10L。 バッチL646−F02(10190U/ml)、推定濃度20mg/ml。 配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fu sarium oxysporum)からのPL。 バッチF−9700476、OD2800.8、純度約58%、推定濃度0.4 5mg/ml。 この酵素は、前述したように、組換え的に発現させ、精製した。実験A 0.6リットル(580g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、60℃に加熱する 。t=30分において、1.43ml(5.7mmol)の4MのNaOH溶液 を添加し、これによりpHは約5.6となる。t=35分において、適当な量( 例えば、1mgの酵素/kgの油について50μl(500単位))のLeci tase 10L(Novo Nordisk A/Sから入手した)を添加す る。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中のリン含量を表16に 示す。 表16.Lecitaseを使用する粗製ナタネ油の脱ガム化からの結果 実験B 0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、40 ℃に加熱する。t=30分において、1.07ml(4.3mmol)の4Mの NaOH溶液を添加し、これによりpHは約5.0となる。t=35分において 、適当な量(すなわち、1.6mgの酵素/kg、および3.2mgの酵素/k gの油))のフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からのホ スホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中 のリン含量表17に示す。 表17.フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からのホス ホリパーゼを使用する粗製ナタネ油の脱ガム化からの結果 要約すると、結果は下記の事実を示す:Lecitase、60℃、pH5.5 酵素の投与量を1.0から3.0mg/kg油まで変化させた。結果を上記表 16に記載する。1.0mg/kg油において、油の脱ガム化は遅く、6時間に おいて約20ppmを与えた。高い酵素の投与量では、脱ガム化の性能は改良さ れ、3.0mgの酵素/k g油を使用して約3.5時間において10ppmのリン含量を与えた。 より高い酵素の投与量を使用する場合、性能はさらに改良されることが仮定さ れる。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のPL 、45℃、pH5.0 酵素の投与量1.6および3.2mg/kg油を試験し、性能は等しくすぐれ ることが見出された(上記表17)。1.6mgの酵素/kg油−または多分こ れより低い−では、きわめてすぐれた脱ガム化が約2時間において観測され、9 ppmのPを与えた。なおより低い量のフザリウム・オキシスポラム(F.ox ysporum)のホスホリパーゼ(例えば、0.9mg/kg油)を使用する ことができ、なおすぐれた脱ガム化性能が得られることが予測される。 実施例18 フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)から得られる ホスホリパーゼ調製物を使用する水脱ガム化された食用油の脱ガム化 上記実施例10に記載する「酵素的脱ガム化を実施する一般的手順」に従い、 実験を実施した。 油: アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM )からの水−脱ガム化されたナタネ油。 バッチC00730/B01700、P含量231ppm。 酵素: フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)から発酵ブ ロス。 フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)株を培養し 、遠心し、そして上清を後述するように精製した。 フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)CBS51 3.94株(寄託日:1994年10月25日)の種培養物を、100mlの下 記の組成物を含有する500mlの震盪フラスコ中の生産した: コーンスティープリカー(乾燥) 12g/l グルコース 24g/l 各フラスコに0.5gのCaCO3および0.5mlの油を添加する 。 pHを5.5に調節した後、オートクレーブ処理する。 26℃および250rpmにおいて3日後、5mlの種培養物の各々を100 mlの下記の培地を含有する震盪フラスコの中に接種した: ペプトン、Difco 0118 6g/l ペプチカーゼ、Sheffield Products 4g/l 酵母エキス、Difco 0127 3g/l 肉エキス、Difco 0126 1.5g/l デキストロース、Roquette 101−0441 1g/l オリーブ油、Sigma 10g/l pHを7.3〜7.4に調節した後、オートクレーブ処理する。 26℃および250rpmにおいて9日間培養する。ブロスを遠心し、濾過( 0.45μm)し、上清を収集し、下に示す脱ガム化実験のために供給する。 推定された活性:200PHLU/ml。 実験:フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)から 得られたホスホリパーゼ調製物を使用する水脱ガム化された油の酵素的脱ガム化 0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、40℃に加熱する 。t=30分において、1.43ml(5.7mmol)の4MのNaOH溶液 を添加し、これによりpHは約5.5となる。t=35分において、適当な量( すなわち、1070PHLU/kg油)のフザリウム・クルモラム(F.cul morum)からのホスホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の測定したリン 含量ならびに水性相中のリン含量表18に示す。 表18.フザリウム・クルモラム(F.culmorum)からのホスホリパ ーゼを使用する粗製ナタネ油の脱ガム化からの結果 実施例19 デゴマ(Degomma)VODを使用する粗製油の酵素的脱ガム化 油 粗製ナタネ油C00745/B01700、P含量459ppm 酵素 商業的に入手可能なホスホリパーゼ、デゴマ(Degomma) 0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、50℃に加熱する 。t=30分において、0.714ml(2.86mmol)の4MのNaOH 溶液を添加し、これによりpHは約4.5となる。t=35分において、適当な 量(すなわち、3.6mg/kg油、または7.1mg/kg油)の精製された デゴマ(Degomma)VODホスホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の 測定したリン含量ならびに水性相中のリン含量表19に示す。 表19. この実施例が例示するように、デゴマ(Degomma)VODは食用油を脱 ガム化することができる。しかしながら、前記油の満足すべき脱ガム化を得るた めには、本発明のフザリウム(Fusarium)のホスホリパーゼに比較して 、比較的高い量のデゴマ( Degomma)VODを必要とする。比較のため、例えば、実施例16および 17を参照。 実施例20 パン改良剤としてのフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)か ら得られたホスホリパーゼの使用 材料および方法 パンの製造 ヨーロッパのストレートの練り粉パンおよびロールを下記の基本的処方から製 造した: 基本的処方 小麦粉(Meneba BBZ) 100%(2000g) 水 61% 酵母 4% 塩 1.5% 砂糖 1.5% アスコルビン酸 40ppm ベーキング手順 混合(スパイラルミキサー)、625RPM 3分 混合(スパイラルミキサー)、1250RPM 3.5分 練り粉の評価 7分 発酵(室温) 15分 シーティング/成形 3分 室温における緩和 5分 フォルディング 2分 室温における緩和 5分 シーティング/成形/パンニング 2分 プルーフィング(32℃、82%の相対湿度) ロール: 45分 パンニングされたパン: 55分 ベーキング(230℃) ロール 22分 パンニングされたパン: 35分 練り粉および焼かれた製品の評価 練り粉および焼かれた製品の性質を下記のようにして測定した: 比体積指数:パンの一塊またはロールの体積を、伝統的ナタネ置換方法により 測定する。比体積をパン1g当たりの体積mlとして計算する。対照(酵素を含 まない)の比体積を100として定義する。相対比体積指数を下記のように計算 する: 比体積指数=(パンの一塊の比体積)/(対照のパンの一塊の比体積)×10 0 下記の目盛りに従い、練り粉の粘着性をマニュアルで評価する: ロールの直立性 非常にフラット 1 フラット 2 正常 3 すぐれる/丸い 4 非常にすぐれる 5 丸過ぎる 6 結果 *ベーキングのための商用レシチン調製物(Superfos、デンマーク国) 。 レシチンを含有しない処方において、ロールおよびパンニングされたパンの双 方に対して、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyspor um)のホスホリパーゼは明瞭に体積を増加することを、結果は示す。処方にレ シチンを添加する場合、なおいっそうすぐれた効果が得られるが、レシチンは体 積それ自体に寄与しない。スタトグラフィックス・プラス(Statgraph ics Plus)において実施された、統計学的解析(ANOVA、α=0. 05)は、ホスホリパーゼとレシチンとの間の有意な陽性の相乗性を示す。 処方におけるレシチンの存在および非存在の双方において、フザリウム・オキ シスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼを使用して、有意に改 良されたロールの形状(ロールの直立性)が得られる。この実施例において、レ シチンとホスホリパーゼ(1500LU/kg小麦粉)を組合わせることによっ て、最良のロールの直立性が得られた。 実施例21 パンにおける品質変化の防止剤としてフザリウム・オキシスポラム(F.oxy sporum)から得られたホスホリパーゼの使用 材料および方法 パンの製造 ヨーロッパのストレートの練り粉パンおよびロールを下記の基本的処方から製 造した: 基本的処方 小麦粉(Meneba BBZ) 100%(2000g) 水 61% 酵母 5% 塩 1.5% 砂糖 1.5% アスコルビン酸 40ppm ベーキング手順 混合(スパイラルミキサー)、625RPM 3分 混合(スパイラルミキサー)、1250RPM 3.5分 練り粉の評価 7分 発酵(室温) 15分 シーティング/成形 3分 室温における緩和 5分 フォルディング 2分 室温における緩和 5分 シーティング/成形/パンニング 2分 プルーフィング(32℃、82%の相対湿度) 55分 ベーキング(230℃) 35分 この実施例において、パンの一塊を蓋付きパンの中でパンニングして、テキス チャーの分析の前における比体積の差を回避した。冷 却後、パンの一塊を室温において貯蔵し、プラスチックのバッグの中の中に包装 した。 焼かれた製品の評価 AACC法74−09に従い、品質変化およびテキスチャーの評価を実施した 。パンの品質変化のインジケーターとしてのパン小片の柔軟性の評価を、下記の 手順に従い、ベーキング後、第0、1、3、および7日に実施した: パンのスライスをテキスチャー分析装置(TA TX−2)において一定速度 で圧縮し、そして圧縮力(g)を測定した。パンが品質を変化させるにつれて、 パン小片の固さは増加する。 結果 固さの測定値の結果を貯蔵日数の関数として表2に示す。レシムルチン(Le cimultin)を1g/kg小麦粉の濃度で添加し、そしてフザリウム・オ キシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼを5 00U/kg小麦粉の投与量で添加した。表におけるすべての数値は6回の測定 の平均値である(2つのパンの一塊、各々についての3回の測定)。 *ベーキングのための商用レシチン調製物(Superfos、デンマーク国) 。 表21に示すように、ホスホリパーゼで処理したパンは3日までの貯蔵におい て対照よりもわずかに柔軟であった。レシチンと組み合わせると、有意な品質変 化防止効果が貯蔵期間全体を通じて得られた(レシチンまたはホスホリパーゼの 単独では得られない)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11B 3/04 C11B 3/04 C12N 1/15 C12N 1/15 1/21 1/21 9/20 9/20 C12Q 1/68 C12Q 1/68 A //(C12N 1/15 C12R 1:66) (C12N 1/15 C12R 1:77) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/20 C12R 1:19) (C12N 9/20 C12R 1:66) (C12N 9/20 C12R 1:77) (31)優先権主張番号 0190/97 (32)優先日 平成9年2月21日(1997.2.21) (33)優先権主張国 デンマーク(DK) (31)優先権主張番号 0211/97 (32)優先日 平成9年2月26日(1997.2.26) (33)優先権主張国 デンマーク(DK) (31)優先権主張番号 1283/97 (32)優先日 平成9年11月11日(1997.11.11) (33)優先権主張国 デンマーク(DK) (81)指定国 OA(BF,BJ,CF,CG, CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,T D,TG),AP(GH,GM,KE,LS,MW,SD ,SZ,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG, KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI ,GB,GE,GH,GM,HU,ID,IL,IS, JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,L R,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN ,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU, SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,T R,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ボルフ,キム デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (72)発明者 ハルキール,トルベン デンマーク国,デーコー―3460 ビルケレ ズ ヘステコーバイ 11 イー (72)発明者 バルフォーズ,マーチン デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (72)発明者 クラウセン,キム デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (72)発明者 フグルサン,クラウス クローネ デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (72)発明者 ジブダル,ロネ デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 食用油中のリン含有成分の含量を減少する方法であって、前記油は少なく とも50ppmの非水和性リン含量を含み、前記非水和性リン含量は、 i) 60℃において、水中のクエン酸一水和物を含んでなる溶液の添加(添 加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/油 エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)により、前記食用油を30分間前 処理し、 ii) 10mlの前処理された油中水型エマルジョンを管に移し、 iii) 前記エマルジョンを沸騰する水浴中で30分間加熱し、 iv) 5000rpmにおいて10分間遠心し、 v) 約8mlの上(油)相を新しい管に移し、それを24時間沈降させ、 vi) 沈降後、上の透明な相から2gを抜き出して、食用油中の非水和性リ ン含量(ppm)を測定する、 ことによって測定され、そして前記方法は、前記油を、pH1.5〜8において 、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、またはホスホリパーゼBの水溶液と 接触させ、これを前記油のリン含量が11ppmより低く減少するまで前記油中 で乳化させ、次いで水性相を処理された油から分離することを含む、食用油中の リン含有成分の含量を減少する方法。 2. 前記食用油が少なくとも60ppmの非水和性リン含量、より好ましくは 少なくとも100ppmの非水和性リン含量、なおより好ましくは少なくとも2 00ppmの非水和性リン含量を有する 、請求項1に記載の方法。 3. 前記食用油が粗製油であり、前記粗製油は、前記接触工程前において、2 50部/106部(ppm)より大きいリン含量を有しかつ水−脱ガム化されて いない油である、請求項1または2に記載の方法。 4. 前記粗製食用油が350ppm以上のリン含量、より好ましくは400p pm以上のリン含量、なおより好ましくは500ppm以上のリン含量を有する 、請求項3に記載の方法。 5. 前記粗製食用油が250〜1200ppmの範囲、より好ましくは350 〜1200ppmの範囲、なおより好ましくは500〜1200ppmの範囲の リン含量を有する、請求項3〜4のいずれか一項に記載の方法。 6. 前記食用油が半粗製食用油であり、前記半粗製食用油は500部/106 部(ppm)以上のリン含量を有し、かつ前記接触工程前において水−脱ガム化 されている、請求項1または2に記載の方法。 7. 工程: i) 食用油の温度を25℃〜70℃の温度に調節し、 ii) 上記調節された温度において、少なくとも85%の水を含んでなる水 溶液の0.5〜6%(前記油に関する重量による)の添加により、食用油を5〜 120分間前処理し、 iii) 前記水/油エマルジョンのpHをpH1.5〜8に調節し、 iv) 前記水/油エマルジョンをホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、 またはホスホリパーゼBの水溶液と接触させ、この溶液を前記油のリン含量が1 1ppmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、 v) 水性相を処理された油から分離する、 ことからなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 8. 工程i)における食用油の温度を35℃〜50℃に調節し、そして工程i v)において使用するホスホリパーゼが糸状菌株から得られる、請求項7に記載 の方法。 9. 前記油とホスホリパーゼを含んでなる水溶液との接触をpH1.5〜8、 好ましくはpH3〜6において実施する、前記請求項のいずれか一項に記載の方 法。 10. ホスホリパーゼの量が0.1mgの酵素(乾燥物質)/kgの油〜1 5mgの酵素(乾燥物質)/kgの油の範囲である、請求項1〜9のいずれか一 項に記載の方法。 11. ホスホリパーゼの量が0.5mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/k gの油〜6mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油の範囲であり、そして ホスホリパーゼを前記油と1時間〜6時間の間接触させる、請求項1〜9のいず れか一項に記載の方法。 12. ホスホリパーゼの量が0.25mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/ kgの油〜2.5mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油の範囲であり、 そしてホスホリパーゼを前記油と15分〜2時間の間接触させる、請求項12に 記載の方法。 13. 前記ホスホリパーゼが哺乳動物種から得られ、特に前記ホスホリパー ゼが前記哺乳動物種の膵臓から得られる、請求項1〜1のいずれか一項に記載の 方法。 14. 前記ホスホリパーゼがブタの膵臓から得られる、請求項13に記載の 方法。 15. 前記ホスホリパーゼが微生物、好ましくは糸状菌、酵母、または細菌 から得られる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。 16. 前記糸状菌が、フザリウム(Fusarium)属、例えば、フザリ ウム・クルモラム(F.culmorum)、フザリウム・ヘテロスポラム(F .heterosporum)、フザリウム・ソラニ(F.solani)の株 、特にフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)の株の範囲内の 種である、請求項15に記載の方法。 17. 前記糸状菌が、アスペルギルス(Aspergillus)属、例え ば、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、 アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)、 アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus )またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、特 にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の株の範 囲内の種である、請求項15に記載の方法。 18. 前記食用油が大豆油、ヒマワリ実油、より好ましくはナタネ油である 、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。 19. DNA配列が糸状菌から得られた、ホスホリパーゼA活性を有するポ リペプチドをコードするDNA配列を有するクローン化されたポリヌクレオチド 。 20. DNA配列が、 (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中 に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたポリヌクレオチド のホスホリパーゼAをコードする部分、 (b) 配列番号:1中の位置23−1063、より好ましくは配列番号:1 中の位置113−1063、なおより好ましくは配列番号:1中の位置113− 929に示すDNA配列、またはその相補的鎖、 (c) (a)または(b)において定義された前記DNA配列と少なくとも 70%相同性であるDNA配列、 (d) ホスホリパーゼ活性を示すポリペプチドをコードし、かつ配列番号: 2の位置31−346に示すポリペプチド配列と少なくとも70%相同性であり 、より好ましくは配列番号:2の位置31−303に示すポリペプチド配列と少 なくとも70%相同性である、(a)または(b)において定義された前記DN A配列、 (e) 配列番号:1中の位置23−1063に示すDNA配列を含んでなる 二本鎖DNAプローブと低いストリンジェンシイにおいてハイブリダイズするD NA配列、 (f) 配列番号:2の残基1〜346、31〜346または31〜303の アミノ酸配列あるいは(e)のDNA配列のいずれかによりコードされるアミノ 酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列、および (g) (a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)において特定 されたDNA配列のフラグメントであるDNA配列、から成る群より選択される 、ホスホリパーゼAおよび/またはホスホリパーゼBの活性を示す酵素をコード するDNA配列を有するクローン化されたポリヌクレオチド。 21. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼがホスホリ パーゼA1である、請求項19または20に記載のクローン化されたポリヌクレ オチド。 22. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼがホスホリ パーゼA2である、請求項19または20に記載のクローン化されたポリヌクレ オチド。 23. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼがホスホリ パーゼBである、請求項20に記載のクローン化され たポリヌクレオチド。 24. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼがCa2+濃 度に対して実質的に独立であり、前記Ca2+濃度は、37℃において10分間イ ンキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン 、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液 、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の放出を測定するホスホリパーゼ活性 のアッセイにおいて5mMのEDTAおよび5mMのCa2+における相対ホスホ リパーゼ活性により決定して測定され、ここで5mMのEDTA/5mMのCa2+ における相対ホスホリパーゼ活性の比は0.25より大きく、より好ましくは 0.5より大きい、請求項19〜23のいずれか一項に記載のクローン化された ポリヌクレオチド。 25. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼが、単層ホ スホリパーゼアッセイにおいて測定して、60μgの酵素投与量および25℃に おいて少なくとも0.25nmol/分、より好ましくは60μgの酵素投与量 、25℃において少なくとも0.40nmol/分であるホスホリパーゼ活性を 有する、請求項19〜24のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。 26. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼが、37℃ において10分間インキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止す る、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩 を含んでなる緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の放出を決定する アッセイにおいて測定して、少なくとも7μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵 素、より好ましくは少なくとも15μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素を放 出することができるホスホリパーゼ活性を有するホス ホリパーゼである、請求項19〜25のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド 。 27. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼが、請求項 1〜18のいずれか一項に記載の方法に従い食用油の酵素的脱ガム化を実施する ことができる、請求項19〜26のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。 28. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼが、水−脱 ガム化された食用油(50〜250ppmのリン含量を有する)の酵素的脱ガム 化を実施し、これにより前記油のリン含量を11ppmより低く減少させること ができ、ここで酵素的脱ガム化プロセスが前記油をpH1.5〜8においてホス ホリパーゼの水溶液と接触させ、これを前記油のリン含量が11ppmより低く 減少するまで前記油中で乳化させ、次いで水性相を処理された油から分離するこ とを含む、請求項19〜27のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。 29. 前記ポリヌクレオチドによりコードされるホスホリパーゼが、2mg より少ないホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油を使用することによって水− 脱ガム化された食用油の前記酵素的脱ガム化を実施することができ、そして前記 ホスホリパーゼを前記油と15分〜2時間の間接触させる、請求項28に記載の ポリヌクレオチド。 30. 前記ポリヌクレオチドが、微生物、好ましくは糸状菌、酵母、または 細菌から得られる、請求項20〜29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド 。 31. 前記ポリヌクレオチドが、核菌網(Pyrenomycetes)、 例えば、フザリウム(Fusarium)属の糸状菌株から得られる、請求項1 9〜30のいずれか一項に記載のポリヌ クレオチド。 32. 前記ポリヌクレオチドが、フザリウム(Fusarium)属、例え ば、フザリウム・クルモラム(F.culmorum)、フザリウム・ヘテロス ポラム(F.heterosporum)、フザリウム・ソラニ(F.sola ni)の株、特にフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)の株 から得られる、請求項31に記載のポリヌクレオチド。 33. 前記ポリヌクレオチドが、フザリウム・オキシスポラム(F.oxy sporum)DSM No.2672のDNAライブラリーに基づいて得られ る、請求項32に記載のポリヌクレオチド。 34. 前記ポリヌクレオチドが、アスペルギルス(Aspergillus )属、例えば、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awam ori)、アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus foeti dus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergiゥlus japo nicus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger )、または、特にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryz ae)の株の範囲内の糸状菌株から得られる、請求項30に記載のポリヌクレオ チド。 35. フザリウム(Fusarium)属の株から得られ、そして i) 40℃において測定された、pH範囲3〜10におけるPLA活性、 ii) SDS−PAGEにより決定して、29±10kDaの分子量、 iii) 範囲4.5〜8の等電点(pI)、 iv) pH5において基質としてレシチンを使用して測定された、25〜5 5℃の範囲のホスホリパーゼ活性のための温度最適値、および/または v) 37℃において基質としてレシチンを使用して測定された、6〜12の pH範囲のホスホリパーゼ活性のためのpH最適値、を有する、ホスホリパーゼ A活性を有する単離されたポリペプチド。 36. ホスホリパーゼAおよび/またはBの活性を有し、 (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中 に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホス ホリパーゼAおよび/またはB酵素をコードする部分によりコードされるポリペ プチド、 (b) 配列番号:2中の位置31−346に示すアミノ酸配列を有するポリ ペプチド、 (c) 配列番号:2中の位置31−303に示すアミノ酸配列を有するポリ ペプチド、 (d) (a)、(b)または(c)において定義された前記ポリペプチドと 少なくとも70%相同性であるポリペプチド、および (e) (a)、(b)、(c)または(d)のフラグメント、から成る群よ り選択される単離されたポリペプチド。 37. ホスホリパーゼA1である、請求項35または36に記載の単離され たポリペプチド。 38. ホスホリパーゼA2である、請求項35または36に記載の単離され たポリペプチド。 39. ホスホリパーゼBである、請求項35または36に記載の単離された ポリペプチド。 40. Ca2+濃度に対して実質的に独立であり、前記Ca2+濃 度は、37℃において10分間インキュベートし、次いで95℃において5分間 反応を停止する、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mM のクエン酸塩を含んでなる緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の放 出を測定するホスホリパーゼ活性のアッセイにおいて5mMのEDTAおよび5 mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性として測定され、ここで5mMの EDTA/5mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性の比は0.25より 大きく、より好ましくは0.5より大きい、請求項35〜39のいずれか一項に 記載の単離されたポリペプチド。 41.単層ホスホリパーゼアッセイにおいて測定して、60μgの酵素投与量 および25℃において少なくとも0.25nmol/分、より好ましくは60μ gの酵素投与量、25℃において少なくとも0.40nmol/分であるホスホ リパーゼ活性を有する、請求項35〜40のいずれか一項に記載の単離されたポ リペプチド。 42. 少なくとも7μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、より好ましく は少なくとも15μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素を放出することができ るホスホリパーゼ活性を有し、前記ホスホリパーゼ活性は、37℃において10 分間インキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレ シチン、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる 緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の放出を測定するアッセイにお いて測定される、請求項35〜41のいずれか一項に記載の単離されたポリペプ チド。 43. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法に従い食用油の酵素的脱 ガム化を実施することができる、請求項35〜42のいずれか一項に記載の単離 されたポリペプチド。 44. 水−脱ガム化された食用油(50〜250ppmのリン 含量を有する)の酵素的脱ガム化を実施し、これにより前記油のリン含量を11 ppmより低く減少することができ、ここで酵素的脱ガム化プロセスが前記油を pH1.5〜8においてホスホリパーゼの水溶液と接触させ、これを前記油のリ ン含量が11ppmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、次いで水性相を 処理された油から分離することからなる、請求項35〜43のいずれか一項に記 載の単離されたポリペプチド。 45.2mgより少ないホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油を使用するこ とによって水−脱ガム化された食用油の前記酵素的脱ガム化を実施することがで き、そして前記ホスホリパーゼを前記油と15分〜2時間の間接触させる、請求 項44に記載の単離されたポリペプチド。 46. 微生物、好ましくは糸状菌、酵母、または細菌から得られる、請求項 36〜45のいずれか一項に記載の単離されたポリペプチド。 47. 核菌網(Pyrenomycetes)、例えば、フザリウム(Fu sarium)属の株から得られる、請求項35〜46のいずれか一項に記載の 単離されたポリペプチド。 48. フザリウム(Fusarium)属、例えば、フザリウム・クルモラ ム(F.culmorum)、フザリウム・ヘテロスポラム(F.hetero sporum)、フザリウム・ソラニ(F.solani)の株、特にフザリウ ム・オキシスポラム(F.oxysporum)の株から得られる、請求項47 に記載の単離されたポリペプチド。 49. フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)DSM N o.2672の株から得られる、請求項48に記載の単離されたポリペプチド。 50. アスペルギルス(Aspergillus)属、例えば、アスペルギ ルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス ・フェチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス ・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギ ルス・ニガー(Aspergillus niger)、または、特にアスペル ギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の株の範囲内の糸状 菌株から得られる、請求項46に記載の単離されたポリペプチド。 51. 請求項19〜34のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含んで なる組換え発現ベクター。 52. 請求項19〜34のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請 求項51に記載の組換え発現ベクターを含んでなる宿主細胞。 53. 真核細胞、特に真菌細胞、例えば、酵母細胞または糸状菌細胞である 、請求項52に記載の宿主細胞。 54. アスペルギルス(Aspergillus)の株、特にアスペルギル ス・ニガー(Aspergillus niger)またはアスペルギルス・オ リゼ(Aspergillus oryzae)の株である、請求項53に記載 の宿主細胞。 55. フザリウム(Fusarium)属の株、特にフザリウム・オキシス ポラム(F.oxysporum)の株である、請求項54に記載の宿主細胞。 56. ホスホリパーゼ活性を示す酵素の産生を可能とする条件下に請求項5 1〜55のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、そして培養物から前記酵素 を回収することを含む、ホスホリパーゼ活性を示す酵素を製造する方法。 57. (i)相同的不純物を含有しせずかつ(ii)請求項56に記載の方 法により製造されることを特徴とする、ホスホリパーゼ活性を示す単離された酵 素。 58. リン脂質またはリゾリン脂質をホスホリパーゼで処理して脂肪族アシ ル基を加水分解することを含む方法における、フザリウム(Fusarium) 属の株、例えば、フザリウム・クルモラム(F.culmorum)、フザリウ ム・ヘテロスポラム(F.heterosporum)、フザリウム・ソラニ( F.solani)の株、または、特にフザリウム・オキシスポラム(F.ox ysporum)の株から得られたホスホリパーゼの使用。 59. リン脂質またはリゾリン脂質をホスホリパーゼで処理して脂肪族アシ ル基を加水分解することを含む方法における、請求項35〜50および57のい ずれか一項に記載のホスホリパーゼの使用。 60. 前記リン脂質またはリゾリン脂質がレシチンまたはリゾレシチンを含 んでなる、請求項58または59に記載の使用。 61. 前記処理をpH3〜10および30〜70℃(好ましくは35〜50 ℃)において実施する、請求項58〜60のいずれか一項に記載の使用。 62. 改良されたリン脂質の乳化剤を得るためのリン脂質の部分的加水分解 の方法における、特に前記リン脂質がレシチンである、請求項58〜61のいず れか一項に記載の使用。 63. リン脂質を含有する炭水化物由来の水性溶液またはスラリーの濾過性 を改良する方法における、請求項58〜61のいずれか一項に記載の使用。 64. 前記溶液またはスラリーが澱粉の加水分解物、特にコムギ澱粉の加水 分解物を含有する、請求項63に記載の使用。 65. ホスホリパーゼを練り粉に添加し、前記練り粉を焼いて焼かれた製品 を製造する方法における、請求項58〜61のいずれか一項に記載の使用。 66. 請求項35〜50および57のいずれか一項に記載のホスホリパーゼ を含んでなる練り粉または焼かれた製品。 67. 食用油をホスホリパーゼで処理してリン脂質の主要部分を加水分解し 、そして加水分解されたリン脂質を含有する水性相を前記油から分離することを 含む、50〜250ppmのリン含量を有する食用油中のリン脂質の含量を減少 する方法における、請求項58〜61のいずれか一項に記載の使用。 68. 前記油が酵素的脱ガム化プロセスの前に水−脱ガム化された油である 油である、請求項67に記載の使用。 69. ホスホリパーゼを飼料物質および少なくとも1つのリン脂質と混合す ることからなる、動物の飼料を製造する方法における、請求項58〜61のいず れか一項に記載の使用。 70. 寄託された大腸菌(Escherichia coli)DSM11 299の単離された実質的に純粋な生物学的培養物。
JP52610598A 1996-12-09 1997-12-09 ホスホリパーゼの使用による高い量の非水和性リンを含む食用油中のリン含有成分の減少、ホスホリパーゼaおよび/またはb活性を有する糸状菌からのホスホリパーゼ Expired - Lifetime JP3824174B2 (ja)

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