JP2012531197A - タンパク質 - Google Patents
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Abstract
本発明は、バリアント脂肪分解酵素を調製する方法であって、宿主生物において、真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつコードされたアミノ酸配列において、a)もとの真菌脂肪分解酵素と比較して、前記アミノ酸配列における少なくとも1つのグリコシル化部位(又は1つのさらなるグリコシル化部位)の導入;b)ポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での(もとのアミノ酸と比較して)さらに親水性が高い少なくとも1つのアミノ酸の導入;又はc)位置33、63、78、190、305、306若しくは320の1又は2以上での置換若しくは挿入に相当する位置での少なくとも1つの修飾、又は位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失を含むヌクレオチド配列を発現させることを含む方法に関し、ここで、各アミノ酸位置は、配列番号2と整列させた場合のアミノ酸配列の位置に対応し、ここで、前記ヌクレオチド配列が、配列番号22又は配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する場合、前記修飾は位置63での置換でなく、欠失は位置311〜312においてではない。好ましくは前記ヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有する。本発明は、当該方法によって作製されるポリペプチド及び新規核酸にも関する。
Description
本発明は、新規(バリアント(variant))脂肪分解酵素、及び1又は2以上の新規脂肪分解酵素をコードする1又は2以上のポリヌクレオチドに関する。本発明は、脂肪分解酵素の産生方法、及びそれらの使用にも関する。本発明はさらに、改善された食料品の調製、特に改善されたベーカリー製品の調製に関する。具体的には、本発明は脂肪分解酵素を提供し、この酵素は、ベーカリー製品をはじめとする食品に対して改善された特性を付与することができる。
食品及び/又は飼料工業用途における脂肪分解酵素(E.C.3.1.1.x)の有効利用は長年にわたって知られている。
たとえば、EP0585988では、リパーゼを生地に添加すると、老化防止効果が改善されることが主張されている。リゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)から得られるリパーゼは、生地に添加された場合、ショートニング/脂肪と組み合わせて使用した場合に結果として得られるパンの質を改善できることが示唆されている。WO94/04035は、生地にリパーゼを添加することによって、さらに脂肪/油を生地に追加することなく、パンの柔らかさを改善できることを教示している。Castello, P. ESEGP 89-10 Dec. 1999 Helsinkiは、外因性リパーゼがパンの体積を修飾し得ることを示している。
小麦粉中のリパーゼの基質は、1.5〜3%の内因性小麦脂質であり、これらは極性及び無極性脂質の複雑な混合物である。極性脂質は、糖脂質とリン脂質とに分けることができる。これらの脂質は、2つの脂肪酸でエステル化されたグリセロール及び極性基で構成されている。極性基は、これらの脂質の表面活性に関与する。これらの脂質中の脂肪酸のうちの1つを酵素により切断すると、はるかに高い表面活性を有する脂質が得られる。DATEMなどの、高い表面活性を有する乳化剤は、生地に添加した場合に非常に機能的であることはよく知られている。
脂肪分解酵素は、食物中に存在する脂質由来の1又は2以上の脂肪酸を加水分解し、その結果、食料品内で強力な乳化剤分子が形成され、これらは商業的に有益な機能をもたらす。最も重要な乳化剤特性に寄与する分子は、リゾリン脂質、リゾ糖脂質及びモノグリセリド分子などの部分加水分解産物である。極性脂質加水分解産物、すなわちリゾリン脂質及びゾ糖脂質が特に有利である。製パンにおいて、そのようなインサイチュ(in situ)由来の乳化剤は、DATEMなどの添加された乳化剤と等しい機能をもたらすことができる。
しかしながら、脂肪分解酵素の活性は、遊離脂肪酸の蓄積をもたらすことも判明しており、これは食品において有害な機能をもたらし得る。脂肪分解酵素のこの固有の活性はそれらの機能を制限する。
パンの体積に対するマイナスの影響は、過剰添加で説明がつくことが多い。過剰添加はグルテン弾力性の低下に至る可能性があり、その結果、生地が硬くなりすぎ、かくして体積が減少する。それに加えて、又はその代わりに、そのようなリパーゼは生地に添加されたショートニング、油又は乳脂肪を分解し、その結果、生地及びベークド製品において異臭がする可能性がある。過剰添加及び異臭は、生地中の遊離脂肪酸、特に短鎖脂肪酸の蓄積が原因であるとされてきた。
原材料又は食品中に高レベルの遊離脂肪酸(FFA)が存在することは、一般的に、品質上の欠陥と認識され、食品加工業者及び顧客は、通常、食品の明細に最大FFAレベルを含める。過剰なFFAレベルの結果としての効果は、官能的及び/又は機能的欠陥であり得る。
WO2005/087918では、新規真菌脂肪分解酵素が、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)CBS782.83などのフザリウム(Fusarium)種から同定され、これはある用途で優れた特性を有することが示された。これらの酵素は、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)において発現され、生地中のガラクト脂質及びリン脂質のsn−1位置で主に脂肪酸を加水分解することが判明した。
いくつかの真菌脂肪分解酵素に関する問題は、酵素の発現が限定される可能性があり、従って製造するのにコストがかかる可能性があることである。たとえば、商業的規模の活動に好適な多量での酵素の発現は制限される可能性がある。産業界では、増強された発現を示す新規脂肪分解酵素、特に、機能及び/又は活性を損なうことなくこれが達成されるものを見いだすことに関心がもたれている。
Castello, P. ESEGP 89-10 Dec. 1999 Helsinki
意外にも、本発明の新規バリアント脂肪分解酵素は、それらの原料となる野生型酵素と比較して、増大した発現を示すことが見いだされた。特に、この増大した発現は、酵素機能及び/又は活性及び/又は適用性能を損なうことなく達成される。加えて、新規バリアント脂肪分解酵素は、野生型酵素と比較して、改善された機能及び/又は活性を示す可能性がある。
本発明者らは、脂肪分解酵素の活性部位(触媒トリアッド(catalytic triad))に対して遠位の外部ループ(複数可)中に位置する1又は2以上の表面アミノ酸を修飾(置換又は挿入)することにより、(もとのアミノ酸と比較して)より親水性の高いアミノ酸で表面アミノ酸を置換するか、又は親水性アミノ酸を導入するか、又はグリコシル化部位を導入して、野生型酵素と比較してバリアント酵素の発現及び/又は機能及び/又は活性を実質的かつ予想外に増大させることが可能であることを見いだした。好ましくは、表面アミノ酸を、1又は2以上のグリコシル化部位を導入する目的でAsn、Ser及び/又はThr(又はそれらの組み合わせ)で置換する。その代わりに又はそれに加えて、活性部位に対して遠位の外部ループ(複数可)を、Asn、Ser及び/又はThrから選択される1又は2以上のアミノ酸を挿入することにより修飾して、1又は2以上のグリコシル化部位を導入することができる。脂肪分解酵素は、典型的には、脂肪と水との間(すなわち、親水性環境と疎水性環境との間)の中間相で作用し、したがって、ある用途における脂肪分解酵素の性能は、この中間相並びに水分活性に非常に依存する。理論により拘束されることを望まないが、酵素の活性部位から離れた位置(すなわち、酵素の活性部位に対して遠位のループ中)で脂肪分解酵素の表面の親水性を変えることにより、脂肪/水中間相内の酵素の配向性を制御して、活性部位が酵素の基質、すなわち脂肪に対して向かうようにすることが可能である。したがって、脂肪分解酵素を修飾して、中間相での酵素を最適に配向させて、酵素の活性を増大させることが可能である。それに加えて、又はその代わりに、グリコシル化部位を導入することにより、宿主生物からの酵素のフォールディング及び発現及び/又は分泌を増大させ、かくしてバリアント酵素の発現を増強することが可能である。
それに加えて、又はその代わりに、本発明者らは、意外にも脂肪分解酵素の発現及び/又は機能性及び/又は活性を実質的に増大させる多くの特異的修飾も見いだした。これらには、グリコシル化部位の付加及び/又は酵素のC末端領域の安定化が含まれ得る。いくつかの実施形態では、特異的修飾は、脂肪分解酵素の機能性及び/又は活性を含まない発現を増大させる。したがって、一部の特異的修飾は、そのプロプレ配列が本明細書中では配列番号2(その成熟形態は、配列番号2のアミノ酸31〜305である)として示される野生型(KLM1)酵素と比較して、バリアント酵素の適用性能を損なうことなく発現を増大させる。
したがって、本発明の一態様では、宿主生物において、真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%同一性を有するか、又は1つ若しくは複数の核酸付加、欠失若しくは置換により真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と異なり、かつコードされたアミノ酸配列において、a)もとの真菌脂肪分解酵素と比較して、アミノ酸配列における少なくとも1つのグリコシル化部位(若しくは1つのさらなるグリコシル化部位)の導入;b)ポリペプチド上の表面位置及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での(もとのアミノ酸と比較して)より親水性の高い少なくとも1つのアミノ酸の導入;又はc)位置33、63、78、190、305、306若しくは320の1又は2以上における置換若しくは挿入
に相当する位置での少なくとも1つの修飾、或いは位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失を含む含むヌクレオチド配列を発現させることを含む方法が提供され、この場合、各アミノ酸位置は、配列番号2とアラインさせた場合のアミノ酸配列の位置に対応し;ヌクレオチド配列が配列番号22又は配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するか、又は1つ若しくは複数の核酸付加、欠失若しくは置換により配列番号22又は配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と異なる場合、修飾は位置63での置換でなく、欠失は位置311〜312においてではない(アミノ酸位置ナンバリングは、アラインした場合に配列番号2に関して示されるものである)。
に相当する位置での少なくとも1つの修飾、或いは位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失を含む含むヌクレオチド配列を発現させることを含む方法が提供され、この場合、各アミノ酸位置は、配列番号2とアラインさせた場合のアミノ酸配列の位置に対応し;ヌクレオチド配列が配列番号22又は配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するか、又は1つ若しくは複数の核酸付加、欠失若しくは置換により配列番号22又は配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と異なる場合、修飾は位置63での置換でなく、欠失は位置311〜312においてではない(アミノ酸位置ナンバリングは、アラインした場合に配列番号2に関して示されるものである)。
当該方法は、表面位置で1又は2以上のアミノ酸を置換するか又は挿入することによって、ポリペプチド上の表面位置で少なくとも1つのアミノ酸を導入することができ、ここで、置換又は挿入は、(最初のアミノ酸と比較して)より親水性の高いアミノ酸を用いるものである。
別の実施形態では、本発明は、バリアント脂肪分解酵素を作製する方法であって、宿主生物において、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するか、又は配列番号1と1つ若しくは複数の核酸付加、欠失若しくは置換により異なり、コードされたアミノ酸配列において、a)アミノ酸配列中の少なくとも1つのグリコシル化部位の導入;b)ポリペプチド上の表面位置で、及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での少なくとも1つの親水性アミノ酸の導入;又はc)位置33、63、78、190、305、306若しくは320の1又は2以上における置換若しくは挿入に相当する位置での少なくとも1つの修飾、或いは位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失を含むヌクレオチド配列を発現させることを含む方法を提供し、ここで、各アミノ酸位置は配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応する。
本発明は、脂肪分解酵素を作製する方法であって、宿主生物において、配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26を含むヌクレオチド配列;又はこれと少なくとも98%(好ましくは少なくとも99%、好適には少なくとも99.5%、たとえば少なくとも99.8%)の同一性を有するヌクレオチド配列;或いは配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26のヌクレオチド配列と、1つ若しくは複数のヌクレオチド付加、欠失若しくは置換により異なるか、又は遺伝子コードの縮重により関連する核酸を発現することを含む方法をさらに提供する。
脂肪分解酵素を調製する方法も提供され、この方法は、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有するポリペプチドをコードする組換え核酸で宿主細胞を形質転換させ(この核酸は、配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26を含むヌクレオチド配列;又は配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26と少なくとも98%(好ましくは少なくとも99%、好適には少なくとも99.5%、たとえば少なくとも99.8%)の同一性を有するヌクレオチド配列;又は配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26のヌクレオチド配列と1つ若しくは複数のヌクレオチド付加、欠失若しくは置換により異なるか、又は遺伝子コードの縮重によりこれと関連する核酸を含み、宿主細胞は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現することができる)、形質転換された宿主細胞を、核酸が発現される条件下で培養し、そして脂肪分解酵素を収集することを含む。
本発明は、本発明による核酸の増強された発現を提供し、したがって、バリアントポリペプチドを作製する改善された方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、本発明による方法によって得られるポリペプチド(プレプロポリペプチド若しくは成熟脂肪分解酵素)を提供する。
さらなる態様では、脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸が提供され、このヌクレオチド配列は、コードされたアミノ酸配列において、a)アミノ酸配列中の少なくとも1つのグリコシル化部位の導入;b)ポリペプチド上の表面位置で、及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での少なくとも1つの親水性アミノ酸の導入;又はc)位置33、63、78、190、305、306若しくは320の1又は2以上における置換若しくは挿入に相当する位置での少なくとも1つの修飾、又は位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失を含み、ここで、各アミノ酸位置は、配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応し、ここで、ヌクレオチド配列が配列番号22若しくは配列番号23として示される真菌脂肪分解酵素をコードする場合、修飾は位置63での置換でなく、欠失は位置311〜312においてではでない(この場合、アミノ酸位置ナンバリングは、アラインした場合に配列番号2に関して示されるものである)。
さらなる態様では、本発明は、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するか、又は配列番号1と1つ若しくは複数のヌクレオチド付加、欠失若しくは置換により異なる、ヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、このヌクレオチド配列は、コードされたアミノ酸配列において、a)アミノ酸配列中の少なくとも1つのグリコシル化部位の導入;b)ポリペプチド上の表面位置で、及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での少なくとも1つの親水性アミノ酸の導入;又はc)位置33、63、78、190、305、306若しくは320の1又は2以上における置換若しくは挿入に相当する位置での少なくとも1つの修飾、又は位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失を含み、ここで、各アミノ酸位置は、配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応する。
本発明はさらに、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を提供し、このヌクレオチド配列は、配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26を含む;又は配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26と少なくとも98%(好ましくは少なくとも99%、好ましくは少なくとも99.5%、例えば少なくとも99.8%)の同一性を有するヌクレオチド配列;又は配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26のヌクレオチド配列と、1つ若しくは複数のヌクレオチド付加、欠失若しくは置換により異なるか、又は遺伝子コードの縮重により関連する核酸を含む。
一実施形態では、好ましいヌクレオチド配列は、配列番号8(ミュータント(mutant)5)で示されるもの、又は遺伝子コードの縮重により配列番号8と関連するヌクレオチド配列である。
さらなる態様では、本発明は、本発明による核酸又はヌクレオチド配列によってコードされるバリアントポリペプチドを提供する。
本発明の別の態様は、極性脂質におけるエステル結合に対して加水分解活性を有し、配列番号2のアミノ酸33〜296と少なくとも90%の同一性を有するか、又は配列番号2のアミノ酸33〜296とは1つ若しくは複数のアミノ酸付加、欠失若しくは置換により異なり、配列番号2で示される配列と比較して、a)アミノ酸配列中に少なくとも1つのグリコシル化部位を導入するか;b)ポリペプチド上の表面位置及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置で少なくとも1つの親水性アミノ酸を導入するか;又はc)少なくとも位置33、63、78若しくは190の1又は2以上においてアミノ酸を置換若しくは挿入するように修飾されたアミノ酸配列を含むバリアントポリペプチドを提供し、ここで各アミノ酸位置は、配列番号2で示されるアミノ酸配列の位置に対応する。
別の態様では、本発明は、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有し、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、配列番号19、配列番号21若しくは配列番号25のアミノ酸33〜296(又はアミノ酸31〜305)として示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
さらなる態様では、本発明は、宿主生物において翻訳後にプロセスされる場合、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有するポリペプチドを産生するプレプロポリペプチドを提供し、この場合、このプレプロポリペプチドは、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25として示されるアミノ酸配列を含む。
一態様では、本発明はさらに、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有するポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25として示されるアミノ酸配列を含むプレプロポリペプチドから得ることができる。
宿主生物に応じて、プレプロ配列は多くの場合、翻訳後修飾を受ける。本発明の酵素に関して、生物にとって、プレプロ配列のN末端領域を除去すること、すなわち、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21若しくは配列番号25のアミノ酸1〜30の全て若しくは一部を除去することは、比較的一般的である。いくつかの実施形態では、宿主生物は、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25のアミノ酸1〜30として示されるものよりも若干多くのアミノ酸を除去する場合があり、例えば、アミノ酸1〜31又は1〜32又は1〜33を除去する。数例では、宿主生物は、アミノ酸1〜30として示されるアミノ酸の全て若しくは一部を含み得るか、又は完全に異なるN末端配列(例えば、EAEA若しくEAなど)を含み得る別のN末端配列を導入することができる。数例では、宿主生物によってプレプロ配列から産生される成熟酵素は、そのN末端でヘテロゲン(heterogen)であり得る。いくつかの実施形態では、翻訳後修飾とは、プレプロ配列のC末端領域における修飾を意味する場合がある。例えば、アミノ酸306〜348の全部若しくは一部を、成熟形態において、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25から除去することができる。いくつかの実施形態では、宿主生物は、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25のアミノ酸306〜348として示されるものよりも若干多いアミノ酸を除去することができ、例えば、アミノ酸305〜348又は304〜348又は303〜348を除去する。数例では、宿主生物によりプレプロ配列から産生される成熟酵素は、そのC末端でヘテロゲンであり得る。本発明は、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25として示されるアミノ酸配列を含むプレプロポリペプチドから得ることができるタンパク質の全ての成熟形態、特に宿主生物トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)から得られるものを包含することが想定される。
本発明はさらに、宿主生物由来の脂肪分解酵素の発現を増強するための本発明による核酸の使用を提供する。好適には、宿主生物は、真菌、好ましくはトリコデルマ種(Trichoderma spp.)、好ましくはトリコデルマ・リーゼイであってよい。好適には、発現は、野生型核酸(すなわち、本発明による修飾のない核酸)と比較して、約2倍〜約25倍まで増強される。
本発明はさらに、食料品を作製する方法であって、本発明によるポリペプチドを食料品の1又は2以上の成分に添加することを含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、ベークド製品を作製する方法であって、本発明によるポリペプチドを生地に添加し、生地を焼いて、ベークド製品を作製することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、リゾリン脂質を調製する方法であって、リン脂質を本発明によるポリペプチドで処理して、リゾリン脂質を作製することを含む方法を提供する。
更なる実施形態では、本発明は、リゾ糖脂質を調製する方法であって、糖脂質を本発明のポリペプチドで処理して、リゾ糖脂質を作製することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、植物油又は食用油の酵素による脱ガムのプロセスであって、食用油又は植物油を本発明によるポリペプチドで処理して、その中に存在する極性脂質の大部分を加水分解することを含むプロセスを提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の方法によって得られる食料品又はベークド製品を提供する。
本発明の態様を請求項及び以下の解説で提示する。
本発明で使用することができるヌクレオチド配列に関する他の態様には:本発明の配列を含む構築物;本発明で使用するための配列を含むベクター;本発明で使用するための配列を含むプラスミド;本発明で使用するための配列を含む形質転換細胞;本発明で使用するための配列を含む形質転換組織;本発明で使用するための配列を含む形質転換器官;本発明で使用するための配列を含む形質転換宿主;本発明で使用するための配列を含む形質転換生物が含まれる。本発明は、宿主細胞における発現などの、ヌクレオチド配列を使用する本発明で使用するためのヌクレオチド配列を発現する方法(これを転移させる方法を含む)を包含する。本発明はさらに、ヌクレオチド配列を単離する方法、例えば宿主細胞から単離する方法も包含する。
本発明で使用するためのアミノ酸配列に関する他の態様には:本発明で使用するためのアミノ酸配列をコードする構築物;本発明で使用するためのアミノ酸配列をコードするベクター;本発明で使用するためのアミノ酸配列をコードするプラスミド;本発明で使用するためのアミノ酸配列を発現する形質転換細胞;本発明で使用するためのアミノ酸配列を発現する形質転換組織;本発明で使用するためのアミノ酸配列を発現する形質転換器官;本発明で使用するためのアミノ酸配列を発現する形質転換宿主;本発明で使用するためのアミノ酸配列を発現する形質転換生物が含まれる。本発明はまた、例えば宿主細胞における発現などの、アミノ酸配列を用いる本発明で使用するためのアミノ酸配列を精製する方法;(同様のものを転写させ、次いで前記配列を精製する方法を含む)も包含する。
参照を簡単にするために、本発明のこれらの態様及びさらなる態様を適切なセクションの見だしのもとで考察する。しかしながら、各セクションでの教示は、必ずしも特定のセクションに限定されるものではない。
[発明の詳細な開示]
[発明の詳細な開示]
本明細書中で用いられるアミノ酸位置への言及は全て配列番号2のアミノ酸配列を参照することによってなされる。換言すれば、アミノ酸位置のナンバリングを考慮する場合、これは、アミノ酸配列の配列番号2とのアラインメントにより、そして参照配列として配列番号2を用いて、アラインさせた配列の位置ナンバリングを参照することによって、決定することができる(配列番号2の配列(図中、KLM1と表示)の本明細書中で教示される他の配列とのアラインメントを示す図22を参照)。
好適には、本発明にしたがって用いられる宿主生物は、真菌、好ましくはトリコデルマ属由来、さらに好ましくはトリコデルマ・リーゼイ由来であってよい。
一実施形態では、修飾前の真菌脂肪分解酵素はグリコシル化部位を含まない。換言すれば、本発明の方法を用いて、本来又は天然にグリコシル化部位を含まない脂肪分解酵素中に少なくとも1つのグリコシル化部位を導入することができる。
好適には、本発明のバリアントポリペプチドは、少なくとも2つ、好適には少なくとも3つのグリコシル化部位を含み得る。
好ましくは本発明のヌクレオチド配列又は本発明の方法で用いられるヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号1若しくは配列番号24、又は配列番号24の位置23〜106で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜1063で示されるヌクレオチド配列若しくは配列番号24の位置113〜929で示されるヌクレオチド配列又は記載した配列と1つ若しくは複数のヌクレオチド付加、欠失若しくは置換が異なるヌクレオチドと比較して、少なくとも1つの修飾を含む以外は、配列番号1若しくは配列番号24、又は配列番号24の位置23〜106で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜1063で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜929で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性(好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、好適には少なくとも99%、例えば少なくとも99.5%の同一性)を有する。
一実施形態では、ヌクレオチド配列が、配列番号22若しくは配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する場合、又はヌクレオチド配列が配列番号22若しくは配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と1つ若しくは複数のヌクレオチド付加、欠失若しくは置換により異なる場合、修飾は、位置63での置換ではなく(例えば、サブステーションK63Nでなく)、欠失は位置311〜312においてではない。配列番号22又は配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列は、本明細書中では、配列番号24又はその一部(例えば、配列番号24の位置23〜106で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜1063で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜929で示されるヌクレオチド配列)で示される。
一実施形態では、好ましくは、本発明による修飾は、ポリペプチド上の表面位置及び酵素の活性部位に対して遠位の外部ループ中の位置での少なくとも1つのグリコシル化部位の導入に対応する。
好ましくは、ヌクレオチド配列は、ポリペプチド上の表面位置及び酵素の活性部位に対して遠位である外部ループ中の位置にある1又は2以上のアミノ酸が、もとのアミノ酸よりも親水性の高いアミノ酸で置換されるように修飾される。
或いは、ヌクレオチド配列は、1又は2以上の親水性アミノ酸がポリペプチド上の表面位置及び酵素の活性部位に対して遠位の外部ループ中の位置で挿入されるように修飾することができる。
好ましい一実施形態では、ヌクレオチド配列は、コードされたアミノ酸において、1又は2以上のアミノが置換又は挿入されて、1又は2以上のコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはProを除く任意のアミノ酸であり得る)が得られるように修飾される。
一実施形態では、ヌクレオチド配列は、コードされたアミノ酸配列において、1又は2以上のAsn、Ser又はThrが導入されるように修飾される。換言すれば、本発明のヌクレオチド配列は、Asn、Ser又はThrの1又は2以上の、コードされたタンパク質中への導入に対応する修飾を含む。
本発明の方法又は核酸において好適には、少なくとも2つ、好適には少なくとも3つのグリコシル化部位を導入することができる。
本発明の、そして本発明の方法におけるヌクレオチド配列は、もとの脂肪分解酵素と比較して、たとえば、配列番号2又はそのアミノ酸33〜296(又は31〜305)を含む脂肪分解酵素と比較して、タンパク質のC末端プロセッシングを増強するためにさらに修飾することができる。
好適には、ヌクレオチド配列又はポリペプチドは、好ましくは、ポリペプチドを更に安定にするためのC末端プロセッシングを含んでもよい。
この場合、ポリペプチドのC末端はアミノ酸位置306以降からであると考えられ、この場合、前記位置は、アラインした場合に配列番号2のアミノ酸配列中の位置に対応する。
好適には、本発明において教示されるC末端プロセッシングは:位置306若しくは320での置換又は挿入、或いはC末端における1若しくは2以上のKEX2位置での欠失のうち、1又は2以上を含み、この場合、各位置は、配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応する。好適には、C末端プロセッシングは、少なくとも1つのC末端KEX2部位の除去を含み得る。理論によって拘束されることを望まないが、KEX2部位を除去すると、タンパク質分解プロセッシングが中止されるか、又はその速度が低下し、その活性が損なわれることなく酵素の安定性が改善されると考えられる。1つのKEX2部位を位置306で見出すことができる(配列番号2とアラインさせた場合)。別のKEX2部位は、位置311〜312(配列番号2とアラインさせた場合)で見いだすことができる。
好ましくは、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明において用いられるヌクレオチド配列は、位置33、63、78、190及び305の1又は2以上において置換があるように修飾され、この場合、アミノ酸はNで置換されている。
好適には、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、位置63、78、190及び305の1又は2以上において置換があるように修飾することができ、この場合、アミノ酸はNで置換されている。
一実施形態では、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、グリコシル化部位が位置190、191及び192で導入されるように(グリコシル化部位がコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはPro以外の任意のアミノ酸である)を含むように)修飾することができる。
別の実施形態では、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、グリコシル化部位が位置33、34及び35で導入されるように(グリコシル化部位がコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはPro以外の任意のアミノ酸である)を含むように)修飾することができる。
別の実施形態では、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、グリコシル化部位が位置63、64及び65で導入されるように(グリコシル化部位がコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはPro以外の任意のアミノ酸である)を含むように)修飾することができる。
別の実施形態では、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、グリコシル化部位が位置78、79及び80で導入されるように(グリコシル化部位がコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはPro以外の任意のアミノ酸である)を含むように)修飾することができる。
グリコシル化部位は、1つのアミノ酸を修飾(例えば、挿入又は置換)することによって導入することができる。別法として、グリコシル化部位を導入するために、2以上のアミノ酸(例えば、2つ又は3つのアミノ酸)を修飾(例えば、挿入又は置換)することができる。
好適には、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、位置190で置換があるように修飾することができ、この場合、アミノ酸はNで置換されている。
一実施形態では、好ましくは本発明によるヌクレオチド配列は、本明細書で配列番号8として示されるヌクレオチド配列(又は遺伝子コードの縮重により配列番号8に関連するヌクレオチド配列)の全体又は一部を含む。本発明はさらに、このヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを提供する。
一実施形態では、本発明のバリアントポリペプチド又は本発明で使用されるバリアントポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸33〜296(又は31〜304若しくは31〜305)で示されるアミノ酸配列を含む。
好適には、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、位置306で置換があるように修飾することができ、この場合、アミノ酸は、K又はR又はA以外の任意のアミノ酸で置換され、好ましくは位置306の置換は、アミノ酸Sでの置換である。
好適には、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、位置320で置換があるように修飾することができ、この場合、アミノ酸はT以外の任意のアミノ酸で置換され、好ましくは位置320の置換は、アミノ酸Eでの置換である。
本発明によるバリアントポリペプチド又は本発明の核酸によってコードされるバリアントポリペプチド又は本発明の方法によって産生されるバリアントポリペプチドは、好ましくはホスホリパーゼ活性又はガラクトリパーゼ活性を有する。
いくつかの実施形態では、好ましくは、バリアントポリペプチド又はこれをコードする核酸に対してなされる修飾は、少なくとも1つのグリコシル化部位(又は複数のグリコシル化部位)をバリアントポリペプチドに付加し、及び/又は、たとえばバリアントポリペプチドのC末端を安定化させるためのC末端プロセッシングに関連する修飾である。
好適には、ポリペプチドは、位置33、63、78、190、好適には63、78又は190の1又は2以上における置換を含み得る。好適には、置換はNでの置換であってよい。
一実施形態では、本発明によるバリアントポリペプチドは、位置306で少なくとも1つの置換を含み得る。好ましくは位置306での置換は、K又はR以外の任意のアミノ酸での置換である。好ましくは位置306での置換は、K又はR又はA以外の任意のアミノ酸での置換である。一実施形態では、位置306での置換は、好ましくは非荷電及び/又は親水性アミノ酸での置換である。好適には、位置306での置換はアミノ酸Sでの置換であってよい。
一実施形態では、本発明によるヌクレオチド配列又は本発明で用いられるヌクレオチド配列は、コードされたアミノ酸配列において、修飾された位置が以下のようになるように修飾することができる:
当業者には容易に理解されるように、骨格がKLM1wt(本明細書中では配列番号2として示す)でない場合、開始アミノ酸として表中に示すアミノ酸は、配列番号2とアラインさせた場合に、同じ位置の選択的骨格が異なり得る。
誤解を避けるために、記号「△」は本明細書中で用いられる場合、この記号の後に記載されるアミノ酸の欠失を意味する。
いくつかの実施形態では、ポリペプチド上の表面位置及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での、より親水性の高い(もとのアミノ酸と比較して)少なくとも1つのアミノ酸の導入は、好ましくはポリペプチド上の表面位置及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での少なくとも1つのグリコシル化部位(若しくは1つのさらなるグリコシル化部位)の導入による。換言すれば、グリコシル化部位を付加することにより、グリコシル化部位が付加された領域で酵素はさらに親水性が高くなる。
別の態様では、本発明は、食品、たとえば生地、ベークド製品、卵、卵ベースの製品、麺製品、チーズ製品、トルティーヤ製品、動物飼料製品、植物油又は食用油の製造における本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。有利には、本発明の酵素を食料品に添加することにより、遊離脂肪酸の蓄積が少なく、乳化の改善をもたらし得る。
さらなる態様では、本発明は、前記脂肪分解酵素を生地に添加し、そして(場合によって):生地の粘着性を低下させるため;生地の機械処理適性を改善するため;ベークド製品の焼成中の気泡形成を低減するため;パンの体積及び/又は柔らかさを改善するため;ベークド製品及び/又は生地の貯蔵寿命を延ばすため;ベークド製品及び/又は生地の老化防止効果を改善するため;ベークド製品のクラム構造を改善するため;ベークド製品の孔不均一性を減少させるため;ベークド製品の孔均一性を改善するため;ベークド製品の平均孔サイズを減少させるため;ベークド製品の風味及び/又は臭いを改善するため、ベークド製品の皮の色を改善するため、の1又は2以上のために、生地を焼いて、ベークド製品を作製することを含む、生地及び/又はベークド製品の製造における本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
さらなる態様では、本発明は、テクスチャーを改善するため、平均粒子サイズを低減するため、平均粒子分布を低減するため、熱安定性を改善するため、マイクロ波性能及び/又は安定性を改善するための、卵ベースの製品の製造における本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
本発明の別の態様では、卵又は卵ベースの製品の処理方法が提供され、この方法は、本発明によるバリアントポリペプチド酵素を卵又は卵ベースの製品に添加することを含む。
本発明の別の態様では、麺、又は麺生地若しくは麺ベースの製品を作製する方法が提供され、この方法は、本発明によるバリアントポリペプチド酵素を、麺、麺生地又は麺ベースの製品に添加することを含む。
本発明の一態様では、色/黄色の度合いを改善するため、色特性を安定化させるため、輝度を低減するため、脂肪含有量を減少させるため、テクスチャー及びバイト(bite)(かみ応え)を改善するため、水分活性を低減するため、切れを低減するため、芯の硬度を増大させるため、及び処理中の形状保持を改善するため、の1又は2以上のための、麺又は麺ベースの製品の製造における本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用が提供される。
本発明の別の態様では、トルティーヤ又はトルティーヤ生地を作製する方法が提供され、この方法は、本発明によるバリアントポリペプチド酵素をトルティーヤ又はトルティーヤ生地に添加することを含む。
本発明のさらなる態様は、トルティーヤのロール適性(rollability)を改善するため、トルティーヤの柔軟性を増大させるため、トルティーヤ及び/又はトルティーヤ生地の老化防止特性を改善するため、柔らかさを改善するため、及び/又はトルティーヤ及び/又はトルティーヤ生地における異臭を低減するための、トルティーヤ又はトルティーヤ生地の製造における本発明によるバリアントポリペプチド酵素を提供する。
トルティーヤ及び/又は麺における脂肪分解酵素の機能性は、DATEMなどの乳化剤との組合せによって改善される可能性がある。
本発明の別の態様では、ミルク、チーズミルク、チーズ又はチーズベースの製品を処理する方法が提供され、この方法はチーズ又はチーズベースの製品に本発明によるバリアントポリペプチド酵素を添加することを含む。
本発明はさらに、風味、テクスチャー及び/又は安定性の改善、チーズにおける脂肪分離効果の低減及び/又はチーズ生産におけるチーズ収量の増大のうちの1又は2以上のための、チーズ又はチーズベースの製品の製造における本発明のバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
本発明の別の態様では、動物の飼料を処理する方法が提供され、この方法は動物の飼料に本発明によるバリアントポリペプチド酵素を添加することを含む。
本発明はさらに:飼料利用及び/又は転換効率、体重増加、消化率、窒素取り込み、乾燥物質の代謝率及び食味の1又は2以上を増強するための、動物飼料の製造における本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
さらなる態様では、本発明は、リン脂質(例えば、レシチン)を酵素で処理することによって部分加水分解産物、すなわちリゾリン脂質を作製する、リゾリン脂質、例えばリゾレシチンを調製するプロセスにおける本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
本発明の別の態様では、リゾリン脂質、例えばリゾレシチンを調製するプロセスが提供され、このプロセスは、本発明によるバリアントポリペプチド酵素でリン脂質(例えばレシチン)を処理することを含む。
さらなる態様では、本発明は、糖脂質(例えば、ジガラクトシルジグリセリド(DGDG)又はモノガラクトシルジグリセリド(MGDG))を本発明による脂肪分解酵素で処理することにより部分加水分解産物、すなわちリゾ糖脂質を作製する、リゾ糖脂質(たとえば、ジガラクトシルモノグリセリド(DGMG)又はモノガラクトシルモノグリセリド(MGMG))を調製するプロセスにおける、本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
さらなる態様では、リゾ糖脂質(たとえば、ジガラクトシルモノグリセリド(DGMG)又はモノガラクトシルモノグリセリド(MGMG))を調製するプロセスが提供され、このプロセスは、糖脂質(例えば、ジガラクトシルジグリセリド(DGDG)又はモノガラクトシルジグリセリド(MGDG))を本発明によるバリアントポリペプチド酵素で処理することを含む。
本発明は、植物又は食用油の酵素による脱ガムのプロセスであって、食用油又は植物油を本発明によるバリアントポリペプチド酵素で処理して、極性脂質(例えば、リン脂質及び/又は糖脂質)の大部分を加水分解することを含むプロセスも提供する。
誤解を避けるために、当業者は、食用油の酵素処理を実施するのに好適な方法を知っている(例えば、EP0869167を参照)。既知酵素が本発明の酵素と置換されるという条件で、本発明を実施する際に既知方法を好適に用いることができる。
さらなる態様では、本発明は、植物油又は食用油の製造において、油のトリグリセリド含有量を維持し、及び/又は遊離脂肪酸の蓄積を防止若しくは軽減しつつ、植物油又は食用油中のリン脂質の量を減少させるための、本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
さらなる態様では、本発明は、脂肪酸アシル基を加水分解するためのリン脂質の処理を含むプロセスにおける、本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、油を本発明による真菌脂肪分解酵素で処理して、リン脂質の大部分を加水分解し、加水分解されたリン脂質を含む水性相を油から分離することを含む、食用油中のリン脂質の含有量を減少させるためのプロセスにおける本発明によるバリアントポリペプチド酵素の使用を提供する。
好ましくは、本発明によるバリアント脂肪分解酵素は極性脂質(例えば、糖脂質及び/又はリン脂質)を加水分解する。換言すれば、本発明によるバリアント脂肪分解酵素は、好ましくはホスホリパーゼ活性(例えば、ホスホリパーゼA2(例えば、E.C.3.1.1.4)活性及び/又はホスホリパーゼA1(例えば、E.C.3.1.1.32)活性)及び/又はガラクトリパーゼ若しくはグリコリパーゼ(例えば、E.C.3.1.1.26)活性を有する。本発明によるバリアント脂肪分解酵素は、さらにトリグリセリドを加水分解することができる。換言すれば、本発明によるバリアント脂肪分解酵素はさらにトリグリセリドリパーゼ活性(例えば、E.C.3.1.1.3)を有し得る。
「グリコリパーゼ活性」という用語は、本明細書で用いられる場合、「ガラクトリパーゼ活性」を包含する。糖脂質及びガラクト脂質という用語は、本明細書中では交換可能に用いることができ、DGDG及びMGDGの加水分解を包含し、これらはそれぞれ加水分解されてDGMG又はMGMGになる。
「極性脂質」という用語は、本明細書中で用いられる場合、リン脂質及び/又は糖脂質を意味する。好ましくは、「極性脂質」という用語は、本明細書中で用いられる場合、リン脂質及び糖脂質の両方を意味する。
好適には、本発明によるバリアントポリペプチドは、ホスホリパーゼ活性(例えば、ホスホリパーゼA2(例えば、E.C.3.1.1.4)活性及び/又はホスホリパーゼA1(例えば、E.C.3.1.1.32)活性)及び/又はガラクトリパーゼ若しくはグリコリパーゼ(例えば、E.C.3.1.1.26)活性を有し得る。
酵素のグリコリパーゼ活性、ホスホリパーゼ活性及びトリアシルグリセリドリパーゼ活性は、以下に示すアッセイを用いて決定することができる。
ガラクトリパーゼ活性(グリコリパーゼ活性アッセイ)の測定:
基質:
0.6%のジガラクトシルジグリセリド(Sigma D4651)、0.4%のTriton-X100(Sigma X-100)及び5mMのCaCl2を0.05MのHEPES緩衝液pH7中に溶解させた。
アッセイ手順:
400μLの基質を1.5mLのエッペンドルフ管に添加し、37℃のエッペンドルフサーモミキサー中に5分間入れた。時間t=0分で、50μLの酵素溶液を添加した。また、酵素の代わりに水を用いたブランクも分析した。試料を10*100rpmで37℃のエッペンドルフサーモミキサー中で10分間混合した。時間t=10分で、エッペンドルフ管を99℃の別のサーモミキサー中に10分間入れて、反応を停止した。
試料中の遊離脂肪酸を、WAKO社製のNEFA Cキットを用いて分析した。
pH7での酵素活性GLUを、アッセイ条件下で1分あたり産生される脂肪酸(マイクロモル)として計算した。
基質:
0.6%のジガラクトシルジグリセリド(Sigma D4651)、0.4%のTriton-X100(Sigma X-100)及び5mMのCaCl2を0.05MのHEPES緩衝液pH7中に溶解させた。
アッセイ手順:
400μLの基質を1.5mLのエッペンドルフ管に添加し、37℃のエッペンドルフサーモミキサー中に5分間入れた。時間t=0分で、50μLの酵素溶液を添加した。また、酵素の代わりに水を用いたブランクも分析した。試料を10*100rpmで37℃のエッペンドルフサーモミキサー中で10分間混合した。時間t=10分で、エッペンドルフ管を99℃の別のサーモミキサー中に10分間入れて、反応を停止した。
試料中の遊離脂肪酸を、WAKO社製のNEFA Cキットを用いて分析した。
pH7での酵素活性GLUを、アッセイ条件下で1分あたり産生される脂肪酸(マイクロモル)として計算した。
ホスホリパーゼ活性の測定(ホスホリパーゼ活性アッセイ):
ホスホリパーゼ活性を、同等の結果をもたらす2つの異なる方法を用いて測定した。これらの方法のいずれかを用いて、本発明にしたがってホスホリパーゼ活性を測定することができる。好ましくは、任意の酵素のホスホリパーゼ活性を測定するためにPLUアッセイを用いる。
ホスホリパーゼ活性を、同等の結果をもたらす2つの異なる方法を用いて測定した。これらの方法のいずれかを用いて、本発明にしたがってホスホリパーゼ活性を測定することができる。好ましくは、任意の酵素のホスホリパーゼ活性を測定するためにPLUアッセイを用いる。
ホスホリパーゼ活性を測定するための「PLUアッセイ」
基質:
0.6%のL−αホスファチジルコリン95%Plant(Avanti#441601)、0.4%のTriton-X100(Sigma X-100)及び5mMのCaCl2を0.05MのHEPES緩衝液pH7中に溶解させた。
アッセイ手順:
400μLの基質を1.5mLのエッペンドルフチューブに添加し、37℃のエッペンドルフサーモミキサー中に5分間入れた。時間t=0分で、50μLの酵素溶液を添加した。また、酵素の代わりに水を使用したブランクを分析した。試料を、10*100rpmで、37℃のエッペンドルフサーモミキサー中で10分間混合した。時間t=10分で、エッペンドルフチューブを99℃の別のサーモミキサー中に10分間入れて反応を停止させた。試料中の遊離脂肪酸を、WAKO社製のNEFA Cキットを用いて分析した。pH7での酵素活性PLU−7を、アッセイ条件下で1分あたり産生される脂肪酸(マイクロモル)として計算した。
基質:
0.6%のL−αホスファチジルコリン95%Plant(Avanti#441601)、0.4%のTriton-X100(Sigma X-100)及び5mMのCaCl2を0.05MのHEPES緩衝液pH7中に溶解させた。
アッセイ手順:
400μLの基質を1.5mLのエッペンドルフチューブに添加し、37℃のエッペンドルフサーモミキサー中に5分間入れた。時間t=0分で、50μLの酵素溶液を添加した。また、酵素の代わりに水を使用したブランクを分析した。試料を、10*100rpmで、37℃のエッペンドルフサーモミキサー中で10分間混合した。時間t=10分で、エッペンドルフチューブを99℃の別のサーモミキサー中に10分間入れて反応を停止させた。試料中の遊離脂肪酸を、WAKO社製のNEFA Cキットを用いて分析した。pH7での酵素活性PLU−7を、アッセイ条件下で1分あたり産生される脂肪酸(マイクロモル)として計算した。
ホスホリパーゼ活性の測定のための「TIPUアッセイ」
1TIPU(滴定ホスホリパーゼ単位)は、アッセイ条件で1分あたり1マイクロモルの遊離脂肪酸を遊離させる酵素の量と定義される。
1TIPU(滴定ホスホリパーゼ単位)は、アッセイ条件で1分あたり1マイクロモルの遊離脂肪酸を遊離させる酵素の量と定義される。
ホスホリパーゼA1及びA2は、それぞれ位置1及び2から遊離脂肪酸を放出して、レシチンをリゾレシチンに変換するのを触媒する。ホスホリパーゼ活性は、酵素法(enzymation)中にレシチンから遊離する脂肪酸を連続して滴定することによって測定することができる。なぜなら、アルカリの消費量は、遊離する脂肪酸の量に等しいからである。
基質:
4%のレシチン、4%のTriton-X100、及び6mMのCaCl2:12gのレシチン粉末(Avanti Polar Lipids #44160)及び12gのTriton-X100(Merck 108643)を磁気撹拌しながら約200mlの脱塩水中に分散させた。3.0mlの0.6MのCaC12(p.a.Merck 1.02382)を添加した。体積を脱塩水で300mLに調節し、エマルジョンを、Ultra Thuraxを用いて均質化した。基質は毎日新しく調製した。
4%のレシチン、4%のTriton-X100、及び6mMのCaCl2:12gのレシチン粉末(Avanti Polar Lipids #44160)及び12gのTriton-X100(Merck 108643)を磁気撹拌しながら約200mlの脱塩水中に分散させた。3.0mlの0.6MのCaC12(p.a.Merck 1.02382)を添加した。体積を脱塩水で300mLに調節し、エマルジョンを、Ultra Thuraxを用いて均質化した。基質は毎日新しく調製した。
アッセイ手順:
酵素溶液を調製して、300μLの酵素を添加して、0.06〜0.18mL/分の滴定曲線の勾配を得た。
既知活性の対照試料を含める。
試料を脱塩水中に溶解させ、15分間、300rpmで撹拌した。25.00mlの基質を10〜15分間37.0℃に温度調節した後、0.05MのNaOHでpHを7.0に調節した。300μLの酵素溶液を基質に添加し、0.05MのNaOHでの連続滴定を、pH-Stat滴定装置(Phm290、Mettler Toledo社製)を用いて実施した。2つの活性測定をそれぞれのスケーリングで実施する。8分後、滴定をやめ、5から7分の間で滴定曲線の勾配を計算した。検出限界は、3TIPU/ml酵素溶液であった。
酵素溶液を調製して、300μLの酵素を添加して、0.06〜0.18mL/分の滴定曲線の勾配を得た。
既知活性の対照試料を含める。
試料を脱塩水中に溶解させ、15分間、300rpmで撹拌した。25.00mlの基質を10〜15分間37.0℃に温度調節した後、0.05MのNaOHでpHを7.0に調節した。300μLの酵素溶液を基質に添加し、0.05MのNaOHでの連続滴定を、pH-Stat滴定装置(Phm290、Mettler Toledo社製)を用いて実施した。2つの活性測定をそれぞれのスケーリングで実施する。8分後、滴定をやめ、5から7分の間で滴定曲線の勾配を計算した。検出限界は、3TIPU/ml酵素溶液であった。
計算:
ホスホリパーゼ活性(TIPU/g酵素)を以下の方法で計算した:
ホスホリパーゼ活性(TIPU/g酵素)を以下の方法で計算した:
式中:αは、5から7分の間の反応時間での滴定曲線の勾配(ml/分)である。
Nは使用したNaOHの規定度(モル/l)である。
V1は、その中に酵素を溶解させた体積(ml)である。
mはV1に添加された酵素の量(g)である。
V2は基質に添加された酵素溶液の体積(ml)である。
Nは使用したNaOHの規定度(モル/l)である。
V1は、その中に酵素を溶解させた体積(ml)である。
mはV1に添加された酵素の量(g)である。
V2は基質に添加された酵素溶液の体積(ml)である。
トリアシルグリセリドリパーゼ活性の測定:基質(LIPU)としてのトリグリセリド(トリブチリン)に基づくアッセイ:
トリブチリンに基づくリパーゼ活性は、Food Chemical Codex, Forth Edition, National Academy Press, 1996, p 803にしたがい、試料をグリシン緩衝液の代わりに脱イオン水中に溶解させ、pHstatを7の代わりに5.5に設定するという修飾を加えて測定する。
1LIPUは、アッセイ条件下で1分あたり1モルの酪酸を遊離させることができる酵素の量と定義される。
トリブチリンに基づくリパーゼ活性は、Food Chemical Codex, Forth Edition, National Academy Press, 1996, p 803にしたがい、試料をグリシン緩衝液の代わりに脱イオン水中に溶解させ、pHstatを7の代わりに5.5に設定するという修飾を加えて測定する。
1LIPUは、アッセイ条件下で1分あたり1モルの酪酸を遊離させることができる酵素の量と定義される。
「バリアント」という用語は、本明細書中で用いられる場合、天然に見いだされないタンパク質を意味する。典型的には、バリアントポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド(又はこれをコードするヌクレオチド配列)を修飾することによって作製することができる。バリアントポリペプチドは、したがって、天然又は野生型配列と比較した場合、1又は2以上のアミノ酸改変(すなわち、アミノ酸欠失、付加又は置換)を含む。
好ましくは、本発明のバリアントポリペプチドは、糸状菌から得ることができる(好ましくは得られる)真菌脂肪分解酵素から得られる。さらに好ましくは、真菌脂肪分解酵素は、フザリウム種(Fusarium spp)から得ることができる(好ましくは得られる)。好ましくは、本発明による真菌脂肪分解酵素は、フザリウム・ヘテロスポラム又はフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得ることができる(好ましくは得られる)。好適には、本発明による真菌脂肪分解酵素は、フザリウム・ヘテロスポラム(CBS782.83)又はフザリウム・オキシスポラムから得ることができる(好ましくは得られる)(WO98/26057又はUS7,465,570で教示)。
一実施形態では、好ましくは、修飾は、特に骨格がフザリウム・オキシスポラム由来である場合、K63Nでない。
したがって、一態様では、好ましくは脂肪分解酵素及び本発明のバリアントポリペプチドは、真菌脂肪分解酵素、好ましくは糸状菌脂肪分解酵素である。
好ましくは、本発明による真菌脂肪分解酵素又はバリアントポリペプチドは、フザリウムタンパク質又はその一部由来のアミノ酸と融合した、サーモミセス(Thermomyces)タンパク質由来のアミノ酸配列又はその一部を含む融合タンパク質でない。特に、好ましくは、本発明による真菌脂肪分解酵素は、フザリウム・オキシスポラムタンパク質由来のアミノ酸配列又はその一部と融合したサーモミセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)タンパク質由来のアミノ酸配列又はその一部を含む融合タンパク質でない。
好ましくは、本発明による真菌脂肪分解酵素は、サーモミセス・ラヌギノーサから得られない、及び/又はサーモミセス・ラヌギノーサから得られる酵素のバリアントでない。
本発明のバリアントポリペプチドを焼成試験で試験し、フザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の脂肪分解酵素(配列番号2−これは、成熟配列がアミノ酸33〜296(好適には、宿主生物によって、31〜304又は31〜305)であるプレプロ配列である。この酵素は本明細書中ではKLM1とも表示され、本明細書中で教示されるバリアントポリペプチドに関して「野生型」酵素又は骨格酵素を構成する)と比較し、非常に良好な結果を得た。
バリアントポリペプチドの焼成効果は、エフ・ヘテロスポラム(F. heterosporum)CBS782.83由来の真菌脂肪分解酵素(配列番号2のアミノ酸33〜296(好適には、31〜304又は31〜305)として示されるアミノ酸配列を含む酵素;KLM1)よりも優れていることが判明した。
好適には、「食料品」という用語は、本明細書中で用いられる場合、ヒト及び/又は動物の消費に好適な物質を意味する。
好適には、「食料品」という用語は、本明細書中で用いられる場合、すぐに消費することができる形態の食料品を意味する場合がある。しかし、その代わりに又はそれに加えて、食料品という用語は、本明細書中で用いられる場合、食料品の調製で用いられる1又は2以上の食品材料を意味する場合がある。例としてのみ、食料品という用語は、生地から製造されるベークド物品並びに前記ベークド物品の調製で用いられる生地を包含する。
好適な態様では、本発明は前記定義の食料品を提供し、この場合、食料品は:卵、卵ベースの製品、たとえばこれらに限定されるものではないが、マヨネーズ、サラダドレッシング、ソース、アイスクリーム、卵粉、修飾卵黄(modified egg yolk)及びそれらから作製される製品;ベークド物品、たとえばパン、ケーキ、スイート生地製品、層状生地、液状衣用生地、マフィン、ドーナツ、ビスケット、クラッカー及びクッキー;菓子類、たとえばチョコレート、キャンディー、キャラメル、ハルワ、ガム、たとえば無糖及び加糖ガム、風船ガム、ソフト風船ガム、チューインガム及びプリン;冷凍製品、たとえばシャーベット、好ましくは冷凍乳製品、たとえばアイスクリーム及びアイスミルク;乳製品、たとえばチーズ、バター、ミルク、コーヒークリーム、ホイップクリーム、カスタードクリーム、乳飲料及びヨーグルト;ムース、植物性ホイップクリーム;食用油脂、エアレイテッド(aerated)及び非エアレイテッド(non-aerated)ホイップ製品、水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、マーガリン、ショートニング及びスプレッド、たとえば低脂肪及び超低脂肪スプレッド;ドレッシング、マヨネーズ、ディップ、クリームベースのソース、クリームベースのスープ、飲料、スパイスエマルジョン及びソースの1又は2以上から選択される。
一態様では、本発明による食料品は、生地製品又はパンなどのベークド製品、揚げ物、スナック、ケーキ、パイ、ブラウニー、クッキー、麺、即席麺、トルティーヤ、クラッカー、グラハムクラッカー、プレッツェル、及びポテトチップなどのスナック品、並びにパスタであり得る。
別の態様では、本発明による食料品は、動物飼料であり得る。
一態様では、好ましくは、食料品は:卵、卵ベースの製品、たとえばマヨネーズ、サラダドレッシング、ソース、アイスクリーム、卵粉、修飾卵黄及びそれらから作製される製品の1又は2以上から選択される。
本明細書中で言及されるいくつかの用途、特にベーカリー用途などの食物用途において、本発明による脂肪分解酵素は、たとえば、モノグリセリド、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)及びレシチンをはじめとする1又は2以上の通常の乳化剤とともに使用することができる。
それに加えて、又はその代わりに、本発明による酵素は、1又は2以上の他の好適な食物等級の酵素とともに用いることができる。したがって、本発明による脂肪分解酵素に加えて、少なくとも1つのさらなる酵素をベークド製品及び/又は生地に添加することができることも、本発明の範囲内に含まれる。そのようなさらなる酵素としては、デンプン分解酵素、たとえばエンドアミラーゼ又はエキソアミラーゼ、プルラナーゼ、脱分枝酵素、ヘミセルラーゼ、たとえばキシラナーゼ、セルラーゼ、酸化還元酵素、たとえばグルコースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ又は炭水化物オキシダーゼ、たとえばマルトースを酸化するもの、たとえば、ヘキソースオキシダーゼ(HOX)、リパーゼ、ホスホリパーゼ及びヘキソースオキシダーゼ、プロテアーゼ、及びアシルトランスフェラーゼ(たとえば、WO04/064987で記載されているもの)が挙げられる。
食品を製造する際に、本発明の脂肪分解酵素をアルファアミラーゼと組み合わせて用いることが特に好ましい。特に、アミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼ(non-maltogenic amylase)、たとえば非マルトース生成エキソアミラーゼ活性、特に、グルカン1,4−アルファ−マルトテトラヒドロラーゼ(EC 3.2.1.60)活性(WO05/003339で開示されているとおり)を有するポリペプチドであってもよい。好適な非マルトース生成アミラーゼは、Powersoft(商標)(Danisco社(デンマーク)から入手可能)として市販されている。マルトース生成アミラーゼ、たとえばNovamyl(商標)(Novozymes社(デンマーク))も使用することができる。一実施形態では、アルファアミラーゼと本発明の脂肪分解酵素との併用は、生地、及び/又はベークド製品、たとえばパン、ケーキ、ドーナツ、ケーキドーナツ又はベーグルの製造において用いることができる。アルファアミラーゼと本発明の脂肪分解酵素との組み合わせは、小麦及び/又はトウモロコシトルティーヤなどのトルティーヤの製造法における使用にも好ましいと思われる。
別の好適な実施形態では、本発明による脂肪分解酵素は、食品の製造においてキシラナーゼとともに用いることができる。GRINDAMYL(商標)及びPOWERBake 7000は、Danisco社から入手可能な市販のキシラナーゼ酵素の例である。キシラナーゼ酵素の他の例は、WO03/020923及びWO01/42433で見いだすことができる。
好ましくは、本発明による脂肪分解酵素は、キシラナーゼ及びアルファアミラーゼと組み合わせて用いることができる。好適には、アルファアミラーゼは、マルトース生成、若しくは非マルトース生成アルファアミラーゼ(たとえば、GRINDAMYL(商標)若しくはPOWERSoft、Danisco社から市販)、又はそれらの組み合わせであってよい。
本発明の脂肪分解酵素は、酸化酵素、たとえばマルトース酸化酵素(MOX)、たとえば、ヘキソースオキシダーゼ(HOX)と組み合わせて用いることもできる。好適な方法は、WO03/099016で記載されている。市販のマルトース酸化酵素GRINDAMYL(商標)及びSUREBakeは、Danisco社から入手可能である。
場合によって、本発明による酵素と組み合わせたアルファ−アミラーゼ、たとえば非マルトース生成エキソアミラーゼ及び/又はマルトース生成アミラーゼ、及び/又はマルトース酸化酵素(MOX)を、生地、ベークド製品、トルティーヤ、ケーキ、即席麺/揚げたスナック食物、又は乳製品、たとえばチーズの調製法において使用することができる。
本発明による脂肪分解酵素は、典型的には、当該技術分野で公知の方法により、食料品又は他の組成物中に含められる。そのような方法には、脂肪分解酵素を食料品又は組成物に直接添加すること、脂肪分解酵素を安定剤及び/又は担体と組み合わせて添加すること、並びに脂肪分解酵素及び安定剤及び/又は担体を含む混合物を添加することが含まれる。
本発明に関する使用に適した安定剤としては、これらに限定されるものではないが、無機塩(たとえば、NaCl、硫酸アンモニウム)、ソルビトール、乳化剤及び界面活性剤(たとえばTween20、Tween80、Panodan AB100(トリグリセリドを含まない)、ポリグリセロールエステル、ソルビタンモノオレエート)、油(たとえば、菜種油、ヒマワリ種子油及び大豆油)、ペクチン、トレハロース及びグリセロールが挙げられる。
本発明に関する使用に適した担体としては、これらに限定されるものではないが、デンプン、粗挽き小麦粉、小麦粉、NaCl及びクエン酸塩が挙げられる。
さらに好ましい態様を、添付の請求の範囲並びに以下の説明及び実施例で記載する。
[利点]
本発明の方法、本発明の核酸及び本発明のバリアントポリペプチドの1つの利点は、商業的な宿主種、たとえばトリコデルマ・リーゼイにおける核酸の発現が、野生型酵素(例えば、KLM1;配列番号1のヌクレオチド配列によりコード)と比較して有意に改善されることである。これは、バリアントを作製するのにはるかに安価であるという利点を有する。生産量の増加は有意であり、ティー・リーゼイ(T.reesei)の野生型は非効率的に産生されるが、バリアントは典型的には改善された発現レベルを有する。典型的には、バリアントは、野生型酵素よりも約2〜約25倍、好ましくは約6倍〜約25倍高いレベルで発現される。
本発明の方法、本発明の核酸及び本発明のバリアントポリペプチドの1つの利点は、商業的な宿主種、たとえばトリコデルマ・リーゼイにおける核酸の発現が、野生型酵素(例えば、KLM1;配列番号1のヌクレオチド配列によりコード)と比較して有意に改善されることである。これは、バリアントを作製するのにはるかに安価であるという利点を有する。生産量の増加は有意であり、ティー・リーゼイ(T.reesei)の野生型は非効率的に産生されるが、バリアントは典型的には改善された発現レベルを有する。典型的には、バリアントは、野生型酵素よりも約2〜約25倍、好ましくは約6倍〜約25倍高いレベルで発現される。
本発明のバリアント酵素は、意外にも、焼成用途で用いられる場合、優れた機能を有することが判明した。本発明によるバリアント脂肪分解酵素の使用は、有利には、真菌由来の他の脂肪分解酵素、特に、LipopanF(商標)及び/又はフザリウム・ヘテロスポラム由来の野生型酵素(配列番号2のアミノ酸33〜296(好適には、31〜304又は31〜305)として示され、WO2005/087918で教示されるアミノ酸配列を含む)と比較して、生地及び/又はベークド製品に対して有意に改善された特性をもたらす。
本発明のバリアントポリペプチドの別の利点は、野生型酵素(例えば、KLM1、配列番号2のアミノ酸33〜296(好適には、31〜304又は31〜305)として本明細書中で示されるアミノ酸配列を含む)と比較して改善されたそれらの活性及び/又は機能性である。これにより、酵素の「使用中のコスト」が減少するに至る可能性がある。たとえば、野生型酵素と比較して同じ結果/効果を達成するために、バリアントポリペプチドの必要な単位の割合は有意に減少するであろう。
たとえば、バリアントポリペプチドは、野生型酵素(複数可)のレベルの約25%〜75%、好ましくは約25%〜50%、好ましくは約25%で添加することができることが想定される。
「修飾する」(又は「修飾」)という用語は、本明細書中で用いられる場合、置換すること若しくは挿入すること(又は置換若しくは挿入)を意味する。
[技術的効果]
パン、蒸しパン及びアメリカパンブレッド(US white pan bread)などのベークド製品に関して、例えば、本発明の脂肪分解酵素を添加すると:改善されたパンの体積及び柔らかさ、延長された貯蔵寿命及び/又は老化防止効果、改善されたクラム構造、減少した孔不均一性、減少した平均孔サイズ、改善された風味及び/又は臭い、及び改善された皮の色の1又は2以上が起こり得る。
パン、蒸しパン及びアメリカパンブレッド(US white pan bread)などのベークド製品に関して、例えば、本発明の脂肪分解酵素を添加すると:改善されたパンの体積及び柔らかさ、延長された貯蔵寿命及び/又は老化防止効果、改善されたクラム構造、減少した孔不均一性、減少した平均孔サイズ、改善された風味及び/又は臭い、及び改善された皮の色の1又は2以上が起こり得る。
有利には、本発明の酵素は、食料品、例えば生地及び/又はベークド製品において乳化剤の代わりに用いることができる。
本発明による脂肪分解酵素は、DATEM、SSL、CSL、モノグリセリド、ポリソルベート及びTweenなどの乳化剤と相乗作用を有し得る。したがって、本発明による脂肪分解酵素は、1又は2以上の乳化剤と組み合わせて用いることができる。有利には、本発明による脂肪分解酵素を1又は2以上の乳化剤と組み合わせて使用すると、本発明による酵素を使用しない場合に必要な量と比べて、乳化剤の全体的な使用量が減少する可能性がある。
本発明による脂肪分解酵素はまた、親水コロイド、グアー、キサンタン(xanthum)及びペクチンと、そしてヘキソースオキシダーゼなどのマルトース酸化酵素とも相乗作用を有し得る。
ドーナツ、ケーキドーナツ、ベーグル、スナックケーキ及びマフィンに関して、例えば、本発明の脂肪分解酵素の使用は、1又は2以上のアルファ−アミラーゼ、マルトース生成アルファ−アミラーゼ及び非マルトース生成アルファ−アミラーゼと併用した場合、相乗効果が得られる可能性がある。
ケーキ、スポンジケーキ及びパームケーキ(palm cake)に関して、例えば、本発明の脂肪分解酵素の使用は、1又は2以上の親水コロイド、例えばグアー、及び/又は1又は2以上の乳化剤、例えばDATEMと併用する場合、相乗効果が得られる可能性がある。
ビスケットに関して、例えば、本発明による脂肪分解酵素の使用は、ロール適性及び取り扱い特性(特に冷たい場合(冷時ロール適性))の改善をもたらす。
有利には、マヨネーズ及び他の卵ベースの製品では、例えば、本発明による脂肪分解酵素の使用は、テクスチャーの改善、平均粒子サイズの減少、及び/又は平均粒子分布の減少、熱安定性の改善、マイクロ波性能及び/又は安定性の改善をもたらす可能性がある。
ケーキでは、本発明の使用は、有利には、柔らかさの改善、体積、保存特性(keeping properties)及び貯蔵寿命の改善をもたらす。
麺又は麺製品、例えば即席麺に関して、例えば、本発明の脂肪分解酵素は以下の特性:色/黄色の度合いの改善、更に安定な色特性、輝度の低下、脂肪含有量の減少、テクスチャー及びバイト(bite)(かみ応え)の改善、水分活性の改善、切れの低減、芯の堅さの増大及び加工中の形状保持の改善、の1又は2以上をもたらし得る。
好ましくは、本発明の脂肪分解酵素を用いて、麺又は麺製品、たとえば即席麺の脂肪含有量を減少させることができる。
トルティーヤでは、例えば、本発明の酵素の使用は:例えば柔軟性を増大させることによるトルティーヤのロール適性の低下、老化防止特性の改善、柔らかさの改善及び/又は異臭の低減、の1又は2以上をもたらす可能性がある。
有利には、改善されたロール適性及び/又は柔軟性は、トルティーヤを丸めた場合に割れる可能性の低減につながり得る。
チーズ及び/又はチーズベースの製品では、例えば、本発明の酵素の使用は:風味、テクスチャー及び/又は安定性の改善、チーズにおける脂肪分離効果の減少及び/又はチーズ収量の増大、の1又は2以上をもたらす可能性がある。
「脂肪分離効果」という用語は、本明細書中で用いられる場合、チーズが溶ける場合に放出される遊離油(free oil)を指す。
本発明による脂肪分解酵素を用いて、低脂肪チーズを製造することができる。有利には、本発明の酵素は、乳中の脂肪の安定化及び/又は風味の増強が可能である。
動物飼料では、例えば、本発明の酵素は、有利には:動物内での飼料利用/変換効率の向上、動物の体重増加の改善、飼料の消化率の改善、動物による、例えば飼料からの窒素取り込みの改善、飼料の乾燥物質の代謝率の改善及び飼料の食味の改善、の1又は2以上をもたらす可能性がある。
[使用]
本発明による酵素は多くの用途がある。
本発明による酵素は多くの用途がある。
特に、本発明によるバリアントポリペプチドは、食料品の調製において有用であり得る。
例えば、本発明によるバリアントポリペプチドは、卵又は卵ベースの製品の処理において特に有用であり得る。
卵又は卵ベースの製品を本発明による真菌脂肪分解酵素で処理することにより、安定性、低温殺菌などの熱処理下での熱安定性を改善することができ、実質的に増粘をもたらす。卵ベースの製品としては、これらに限定されるものではないが、ケーキ、マヨネーズ、サラダドレッシング、ソース、アイスクリーム等を挙げることができる。
本発明による真菌脂肪分解酵素は、パン、ケーキ、スイート生地製品、層状生地、液状衣用生地、マフィン、ドーナツ、ビスケット、クラッカー及びクッキーをはじめとする、生地から調製されるものなどのベークド製品の調製において特に有用である。
本発明による真菌脂肪分解酵素は、パン改善添加剤、例えば生地組成物、生地添加剤、生地コンディショナー、プレミックス及びパン又は他のベークド製品の性質を改善するために、パン又は他のベークド製品を作製するプロセス中に小麦粉及び/又は生地に通常添加される類似の調製物において用いることもできる。
したがって、本発明はさらに、本発明のバリアントポリペプチドを含むパン改善組成物及び/又は生地改善組成物;並びにそのようなパン改善及び/又は生地改善組成物を含む生地又はベークド製品に関する。
パン改善組成物及び/又は生地改善組成物は、本発明による真菌脂肪分解酵素に加えて、生地及び/又はベークド製品の性質を改善するために焼成において通常用いられる他の物質を含んでもよい。
パン改善組成物及び/又は生地改善組成物は、1又は2以上の通常の焼成剤(baking agent)、例えば以下の構成成分:粉乳、グルテン、乳化剤、顆粒化脂肪、酸化剤、アミノ酸、糖、塩、小麦粉又はデンプンの1又は2以上を含んでもよい。
好適な乳化剤の例は:モノグリセリド、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、糖エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)及びレシチンである。
パン及び/又は生地改善組成物はさらに、別の酵素、例えば1又は2以上の他の好適な食物等級の酵素、例えばデンプン分解酵素、例えばエンドアミラーゼ若しくはエキソアミラーゼ、プルラナーゼ、脱分枝酵素、ヘミセルラーゼ、例えばキシラナーゼ、セルラーゼ、酸化還元酵素、例えばグルコースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ又は炭水化物オキシダーゼ、例えばマルトースを酸化するもの、たとえば、ヘキソースオキシダーゼ(HOX)、リパーゼ、ホスホリパーゼ及びヘキソースオキシダーゼ、プロテアーゼ及びアシルトランスフェラーゼ(例えばWO04/064987で記載されているもの)を含んでもよい。
「改善された特性」という用語は、本明細書中で用いられる場合、本発明のバリアントポリペプチドの作用により改善される可能性がある任意の特性を意味する。特に、本発明によるバリアントポリペプチドを使用すると、以下の特性の1又は2以上が得られる:ベークド製品の体積の増大;ベークド製品のクラム構造の改善;ベークド製品における老化防止特性;生地の強度の増大、安定性の増大、粘着性の減少及び/又は機械処理適性の改善。
改善された特性を、本発明によるバリアントポリペプチドを添加せずに調製した生地及び/又はベークド製品との比較によるか、又は野生型酵素(例えば、KLM1;配列番号2のアミノ酸33〜296(好適には、31〜304又は31〜305)として本明細書中で示されるアミノ酸配列を含む)を添加して調製した生地及び/又はベークド製品との比較により評価する。
「ベークド製品」という用語は、本明細書中で用いられる場合、生地から調製された製品を含む。本発明により有利に製造することができるベークド製品(ホワイト、ライト又はダークタイプにかかわらず)の例としては:典型的にはローフ又はロール又はトーストの形態のパン(白パン、全粒粉パン及びライ麦パンを含む)、フレンチバゲットタイプのパン、ピタパン、トルティーヤ、タコス、ケーキ、パンケーキ、ビスケット、クリスプブレッド(crisp bread)、パスタ、麺など、の1又は2以上が挙げられる。
本発明による生地は、ふくらませた生地又はふくらませようとする生地であってよい。生地は、様々な方法で、例えば重炭酸ナトリウムなどを添加することによるか、又は好適な酵母培養菌、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(パン酵母)の培養菌を添加することによって、ふくらませることができる。
本発明はさらに、パスタ生地、好ましくは、デューラム小麦粉又は同等の品質の小麦粉から調製されたパスタ生地を製造するための本発明による真菌脂肪分解酵素の使用に関する。
本発明によるバリアントポリペプチドは、植物油又は食用油の酵素による脱ガムにおける使用に適している。食用油又は植物油の加工に際して、植物油又は食用油を本発明による真菌脂肪分解酵素で処理して、極性脂質(例えば、リン脂質及び/又は糖脂質)の大部分を加水分解する。好ましくは、脂肪酸アシル基は極性脂質から加水分解される。脱ガムプロセスの結果、典型的には、極性脂質、例えば糖脂質及び/又はリン脂質の大部分(すなわち、50%超)の加水分解により、食用油中の極性脂質、特にリン脂質の含有量が減少する。典型的には、加水分解された極性脂質(例えば、リン脂質及び/又は糖脂質)を含む水性相を油から分離する。好適には、食用油又は植物油は当初(本発明による酵素での処理前)、50〜250ppmのリン含有量を有する。
更に、本発明は、チーズ製品を処理するための本発明によるバリアントポリペプチドの使用に関する。
本発明によるバリアントポリペプチドは、動物飼料の調製における使用にも特に適している。
当業者が認識しているように、「脱ガム」という用語は、本明細書中で用いられる場合、ホスファチド(例えばレシチン、リン脂質及び吸蔵油(occluded oil))を水和性(hydratable)ホスファチドに変換することによって油を精製することを意味する。脱ガムされた油は、より流動性であり、したがって脱ガムされていない油よりも良好な取り扱い特性を有する。
以下の表は、単に一般的指針としてであって、異なる用途で必要とされ得る本発明によるバリアントポリペプチドの添加量レベルの概要を提供する。この表は、例えば乳化剤と併用する場合の本発明による脂肪分解酵素の添加量レベルに関する指針を更に提供する。もちろん、当業者には明らかなように、酵素添加量、反応温度及び反応時間の最適化は、任意の所定の用途に関して、常用の実験を用いて容易に決定することができる。
[グリコシル化]
1つのグリコシル化部位でさえも脂肪分解酵素(特に、天然にグリコシル化部位を含まないもの)、例えば本明細書中で教示される脂肪分解酵素(例えば、フザリウム・ヘテロスポラム酵素(本明細書中ではKLM1と表示する場合もある)及び/又はフザリウム・オキシスポラム脂肪分解酵素(本明細書中ではLipopan F(商標))と表示する場合もある)中に導入することにより、発現レベル及び/又は酵素の機能性及び/又は活性に対する結果が、野生型酵素と比較してはるかに改善される(特に、宿主細胞がトリコデルマ種、例えばティー・リーゼイである場合)ことが意外にも判明した。
1つのグリコシル化部位でさえも脂肪分解酵素(特に、天然にグリコシル化部位を含まないもの)、例えば本明細書中で教示される脂肪分解酵素(例えば、フザリウム・ヘテロスポラム酵素(本明細書中ではKLM1と表示する場合もある)及び/又はフザリウム・オキシスポラム脂肪分解酵素(本明細書中ではLipopan F(商標))と表示する場合もある)中に導入することにより、発現レベル及び/又は酵素の機能性及び/又は活性に対する結果が、野生型酵素と比較してはるかに改善される(特に、宿主細胞がトリコデルマ種、例えばティー・リーゼイである場合)ことが意外にも判明した。
したがって、本発明は、脂肪分解酵素(特に、配列番号2のアミノ酸のアミノ酸40〜290(好ましくは35〜300、さらに好ましくは31〜305)を含むもの)又は脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列(例えば、本明細書中で配列番号1として示されるヌクレオチド配列)を修飾して、配列中にアミノ酸を置換又は挿入して、付加されたグリコシル化部位を含むバリアントポリペプチドを作製することを提供する。特に、配列番号2として示される(KLM1のプレプロ配列)又は成熟配列の配列番号2のアミノ酸33〜296(好適には、31〜304若しくは31〜305)を含む野生型酵素は、天然にはグリコシル化部位を含まない。好適には、少なくとも1つのグリコシル化部位(好適には、1又は2以上のグリコシル化部位)を導入する目的で、脂肪分解酵素を修飾して、Asn、Ser、Thrから選択される1又は2以上のアミノ酸を置換又は挿入する。
特に、フザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の野生型酵素(本明細書中ではKLM1として表示し、配列番号2として示されるプレプロ配列を有し、成熟配列は配列番号2のアミノ酸33〜296(例えば、31〜304又は31〜305)を含む)はグリコシル化部位を有さない。少量の添加、すなわち、1つのグリコシル化部位の添加であっても、発現、機能性及び/又は活性に関してそのような重大な改善をもたらすことができることは、本発明者等にとっては意外であった。
「グリコシル化部位」という用語は、本明細書中で用いられる場合、配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thrを意味し、ここで、Xxxはプロリン以外のアミノ酸残基である。
本明細書中でグリコシル化部位について言及する場合、潜在的なグリコシル化部位を意味する場合がある。換言すれば、本発明者等は、バリアント酵素中の適切なコンセンサス配列、すなわちAsn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、Xxxはプロリン以外のアミノ酸残基である)を提供し、コンセンサス配列を有するそのようなタンパク質が真菌宿主により分泌される場合、(タンパク質の三次構造がグリコシル化の有効性を調節する可能性があるが)アスパラギンのγ−アミドがグリコシル化される可能性が高い。
グリコシル化は、遊離しているか、又はタンパク質及び脂質に結合しているかいずれでも、サッカリドと結合してグリカンを作製する酵素プロセスである。この酵素プロセスは、全細胞の4つの基本的成分のうちの1つを(核酸、タンパク質、及び脂質とともに)産生し、膜及び分泌されたタンパク質の構造及び機能を調節する同時翻訳及び翻訳後修飾メカニズムも提供する。粗面ER(rough ER)中で合成されるタンパク質の大部分は、グリコシル化を受ける。これは、糖化の非酵素化学反応と対照的に、酵素に誘導された部位特異的プロセスである。グリコシル化はまた、細胞質及び核においてO−GlcNAc修飾として存在する。6種類のグリカン:アスパラギン側鎖のアミド窒素に結合したN連結グリカン、セリン及びトレオニン側鎖のヒドロキシ酸素に結合したO連結グリカン;セリンのヒドロキシ酸素に結合したグリコサミノグリカン;グリカンがセラミドに結合した糖脂質、タンパク質にも脂質にも結合しないヒアルロナン、及びグリカン結合によりタンパク質を脂質に連結させるGPIアンカーが産生される。
本発明では、グリコシル化について言及する場合、N連結グリコシル化のみをさす。換言すれば、本発明は、O連結グリコシル化に関することを意図しない。
N連結オリゴ糖に関して、14−糖前駆体をまず、標的タンパク質のポリペプチド鎖中のアスパラギンに添加する。この前駆体の構造は、ほとんどの真核細胞に共通であり、3つのグルコース、9つのマンノース、及び2つのN−アセチルグルコサミン分子を含む。反応の複合セットは、この分枝鎖をドリコールとよばれる担体分子と結合させ、次いでER内腔中に移行する際に、ポリペプチド鎖上の適切な位置に移す。
N連結サッカリドには3つの主な種類:高マンノースオリゴ糖、複合オリゴ糖及びハイブリッドオリゴ糖がある。
高マンノースは、本質的に、多数の(多くの場合、タンパク質に結合する前の前駆体オリゴ糖で見られるのと同じくらい多数の)マンノース残基を有するちょうど2つのN−アセチルグルコサミンである。
複合オリゴ糖は、もとの2つのN−アセチルグルコサミンよりも多いものを含む、ほとんど任意の数の他の種類のサッカリドを含み得るので、このように命名される。
タンパク質は、タンパク質の異なる部分上の両種類のオリゴによりグリコシル化することができる。オリゴ糖が高マンノースであるか、又は複合であるかは、ゴルジ中のサッカリド修飾タンパク質へのアクセス可能性に依存すると考えられる。サッカリドが比較的アクセス不可能であるならば、もとの高マンノース形態でとどまる可能性が高いであろう。アクセス可能であるならば、マンノース残基の多くは切断され、サッカリドは前述の他の種類の基の添加によって更に修飾される。
オリゴ糖鎖を、オリゴサッカリルトランスフェラーゼにより、トリペプチドコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XはPro以外の任意のアミノ酸であり得る)中に存在するアスパラギンに結合させる。この配列は、グリコシル化シークオン(sequon)としても知られる。結合後、タンパク質が正しく折り畳まれたら、3つのグルコース残基を鎖から除去し、タンパク質はERからの排出に利用可能である。このようにして形成された糖タンパク質を次いでゴルジに移し、ここでさらなるマンノース残基の除去が起こり得る。
本発明では、脂肪分解(骨格)酵素、例えばKLM1若しくはLipopan Fなどの野生型酵素又はこれをコードするヌクレオチド配列を修飾して、1又は2以上のアミノ酸を置換又は挿入し、形成されるバリアントポリペプチドが少なくとも1つのグリコシル化部位(又は骨格酵素と比較して少なくとも1つのさらなるグリコシル化部位)を含むようにすることについて議論する場合、1又は2以上のコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XはPro以外の任意のアミノ酸であり得る)が導入されるような、骨格酵素中のアミノ酸の置換又は骨格中への1又は2以上のアミノ酸の挿入を意味する。
一実施形態では、好適には、修飾は、骨格配列中の1つのアミノ酸の置換又は導入であり得る。たとえば、骨格配列は以下のもの:Yyy−Xxx−Ser又はYyy−Xxx−Thr又はAsn−Xxx−Zzz(ここで、XxxはProではなく、YyyはAsnではなく、ZzzはSer又はThrでない)を含み得、単に、アミノ酸YyyのAsnでの置換、及びZzzのSer若しくはThrのいずれかでの置換、或いはYyy後へのAsnの挿入又はZzz前へのSer若しくはThrの挿入を必要とする可能性がある。
或いは、骨格中の2又は3個のアミノ酸を変えて、1つのグリコシル化コンセンサス配列を生成させることができる。例えば、骨格を修飾して、3個のアミノ酸をAsn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XはPro以外の任意のアミノ酸であり得る)で置換するか又は挿入することができる。
好適には、1より多いグリコシル化部位(潜在的なグリコシル化部位)を骨格配列中に挿入して、バリアントポリペプチドが1より多いグリコシル化部位(骨格配列と比較して1より多いさらなるグリコシル化部位)を含むようにすることができる。明らかに、バリアントポリペプチド中のグリコシル化部位(又は潜在的なグリコシル化部位)の総数は、骨格酵素中のグリコシル化部位の数、そして付加されたグリコシル化部位の数に依存するであろう。誤解を避けるために、野生型KLM1酵素(配列番号2で示される)は、グリコシル化部位を含まず、したがってバリアントポリペプチド中のグリコシル化部位の数は、付加されるグリコシル化部位の数によって決定される。
[C末端の安定化]
好適には、本発明によるバリアントポリペプチドは、好ましくはポリペプチドをさらに安定にするためのC末端プロセッシングを含み得る。好適には、C末端プロセッシングは、C末端KEX2部位の除去を含み得る。理論によって拘束されることを望まないが、KEX2部位の除去により、タンパク質分解プロセッシングが中断又は減速し、その活性が損なわれることなく酵素の安定性が改善されると考えられる。1つのKEX2部位を位置306(配列番号2とアラインさせた場合)で見出すことができる。別のKEX2部位を位置311〜312(配列番号2とアラインさせた場合)で見出すことができる。
好適には、本発明によるバリアントポリペプチドは、好ましくはポリペプチドをさらに安定にするためのC末端プロセッシングを含み得る。好適には、C末端プロセッシングは、C末端KEX2部位の除去を含み得る。理論によって拘束されることを望まないが、KEX2部位の除去により、タンパク質分解プロセッシングが中断又は減速し、その活性が損なわれることなく酵素の安定性が改善されると考えられる。1つのKEX2部位を位置306(配列番号2とアラインさせた場合)で見出すことができる。別のKEX2部位を位置311〜312(配列番号2とアラインさせた場合)で見出すことができる。
好適には、ポリペプチドのC末端はアミノ酸位置306以降で開始する。
[活性部位に対して遠位の外部ループ]
本出願では、アミノ酸修飾(例えば、置換及び/又は挿入)は、親水性アミノ酸を導入するか又は1又は2以上のグリコシル化部位を導入するかのいずれかのために、ポリペプチドの活性部位に対して遠位の外部ループ中に位置するポリペプチドの表面アミノ酸に対してなされることが教示されている。
本出願では、アミノ酸修飾(例えば、置換及び/又は挿入)は、親水性アミノ酸を導入するか又は1又は2以上のグリコシル化部位を導入するかのいずれかのために、ポリペプチドの活性部位に対して遠位の外部ループ中に位置するポリペプチドの表面アミノ酸に対してなされることが教示されている。
修飾の部位を選択する場合、好ましくは、部位はa)表面位置、b)非保存的アミノ酸、及びc)活性部位(触媒トリアッド)又は活性部位リッド(lid)のすぐ近くでない位置である。
「外部ループ」という用語は、タンパク質の三次構造において、ループ中のタンパク質の外表面上に露出しているアミノ酸の部分を意味する。外部ループは酵素の触媒トリアッド又はリッド領域の形成に関与しない。
「活性部位」という用語は、本明細書中で用いられる場合、触媒トリアッドという用語と同義である。誤解を避けるために、本明細書中で教示される脂肪分解酵素中の触媒トリアッドは、複数の位置にある。KLM1酵素の触媒トリアッドは、S174、D228及びH287から形成される。
好ましくは、外部ループは、Serl74のα−炭素から約15A超、好ましくは約16Å超、例えば約17Å超、約18Å超、約19Å超、好ましくは約20Å超である。誤解を避けるために、触媒トリアッド及び酵素のリッド領域はどちらもSerl74のα−炭素から15Å未満である。
一実施形態では、ポリペプチドの活性部位に対して遠位の外部ループは、以下のアミノ酸領域(アミノ酸位置は配列番号2で示されるナンバリングにしたがう−すなわち、脂肪分解酵素を本明細書中で示される配列番号2とアラインさせることによって得られる):54〜66、75〜79、99〜103、127〜135、162〜167、188〜195及び213〜221の1又は2以上に対応する。
「活性部位に対して遠位の」という用語は、タンパク質の活性部位から遠いか又はある距離を置いていることを意味する。好ましくは、外部ループは、Ser174のα−炭素から少なくとも約15Å、好ましくは約16Å超、例えば約17Å超、約18Å超、約19Å超、好ましくは約20Å超である。
[親水性アミノ酸]
側鎖の極性に応じて、アミノ酸はそれらの親水性又は疎水性特性が異なる。他のアミノ酸よりも親水性が高いアミノ酸を選択することは、当業者には慣例である。いずれにしても、下記表に指針を提示する:
側鎖の極性に応じて、アミノ酸はそれらの親水性又は疎水性特性が異なる。他のアミノ酸よりも親水性が高いアミノ酸を選択することは、当業者には慣例である。いずれにしても、下記表に指針を提示する:
[脂肪分解酵素]
好ましくは、本発明による脂肪分解酵素又はバリアント脂肪分解酵素は、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有する。
好ましくは、本発明による脂肪分解酵素又はバリアント脂肪分解酵素は、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有する。
好ましくは、本発明による脂肪分解酵素又はバリアント脂肪分解酵素は、極性脂質(例えば、糖脂質及び/又はリン脂質)を加水分解する。換言すれば、本発明によるバリアント脂肪分解酵素は、好ましくはホスホリパーゼ活性(例えば、ホスホリパーゼA2(E.C.3.1.1.4)活性及び/又はホスホリパーゼA1(例えば、E.C.3.1.1.32)活性)及び/又はガラクトリパーゼ若しくはグリコリパーゼ(E.C.3.1.1.26)活性を有する。本発明によるバリアント脂肪分解酵素は、トリグリセリドをさらに加水分解し得る。換言すれば、本発明によるバリアント脂肪分解酵素は、トリグリセリドリパーゼ活性(E.C.3.1.1.3)をさらに有し得る。
「グリコリパーゼ活性」という用語は本明細書中で用いられる場合、「ガラクトリパーゼ活性」を包含する。糖脂質及びガラクト脂質という用語は、本明細書中では交換可能に用いることができ、DGDG及びMGDGの加水分解を含み、これらは加水分解されて、それぞれDGMG又はMGMGになる。
「極性脂質」という用語は、本明細書中で用いられる場合、リン脂質及び/又は糖脂質を意味する。好ましくは、「極性脂質」という用語は、本明細書中で用いられる場合、リン脂質及び糖脂質の両方を意味する。
好適には、本発明によるバリアントポリペプチドは、ホスホリパーゼ活性(例えば、ホスホリパーゼA2(E.C.3.1.1.4)活性及び/又はホスホリパーゼA1(E.C.3.1.1.32)活性)及び/又はガラクトリパーゼ若しくはグリコリパーゼ(E.C.3.1.1.26)活性を有し得る。
酵素のグリコリパーゼ活性、ホスホリパーゼ活性及びトリアシルグリセリドリパーゼ活性は、本明細書で前述のアッセイを用いて測定することができる。
いくつかの実施形態では、本発明による修飾の前に脂肪分解酵素はグリコシル化部位を含まない。
一実施形態では、本発明による修飾前の脂肪分解酵素(すなわち、真菌脂肪分解酵素)は、アルファ/ベータヒドロラーゼのファミリー23、さらに詳細にはサブファミリー23.01に属するものである(シュツットガルト大学から得られるリパーゼエンジニアリングデータベースによる分類−http://www.led.uni-stuttgart.de/を参照)。このデータベースは、同じa/bヒドロラーゼフォールドを共有する関連したタンパク質の配列及び構造に関する情報を集積する。
[単離された]
一態様では、好ましくは、配列は単離された形態である。「単離された」という用語は、当該配列が、天然に関連し、天然で見出される少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的に含まないことを意味する。
一態様では、好ましくは、配列は単離された形態である。「単離された」という用語は、当該配列が、天然に関連し、天然で見出される少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的に含まないことを意味する。
一実施形態では、本発明のポリペプチド及び/又はヌクレオチド配列は単離されている。
[精製された]
一態様では、好ましくは、配列は精製された形態である。「精製された」という用語は、比較的純粋な状態であること、例えば少なくとも約90%の純度、又は少なくとも約95%の純度又は少なくとも約98%の純度であることを意味する。
一態様では、好ましくは、配列は精製された形態である。「精製された」という用語は、比較的純粋な状態であること、例えば少なくとも約90%の純度、又は少なくとも約95%の純度又は少なくとも約98%の純度であることを意味する。
一実施形態では、本発明のポリペプチド及び/又はヌクレオチド配列は精製されている。
[ヌクレオチド配列]
本発明の範囲は、本明細書中で定義されるような特定の性質を有する酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
本発明の範囲は、本明細書中で定義されるような特定の性質を有する酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。
「ヌクレオチド配列」という用語は、本明細書中で用いられる場合、オリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列、並びにそのバリアント、相同体、断片及び誘導体(例えば、その部分)を指す。ヌクレオチド配列は、ゲノム又は合成又は組換え起源であり得、センス又はアンチセンス鎖であるかどうかによらず、二本鎖又は一本鎖であり得る。
本発明に関する「ヌクレオチド配列」という用語は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、及びRNAを含む。好ましくは、DNA、さらに好ましくは本発明をコードするcDNA配列を意味する。
好ましい実施形態では、本発明の範囲自体に関連する場合、及び本発明の範囲自体により含まれる場合のヌクレオチド配列は、その自然の環境中にある場合、及びこれもまたその自然の環境中にあるその自然に関連する配列(複数可)と結合する場合の本発明による天然のヌクレオチド配列を含まない。参照しやすいように、本発明者等は、この好適な実施形態を「非天然のヌクレオチド配列」と呼ぶ。この点に関して、「天然のヌクレオチド配列」という用語は、その天然の環境中にあり、自然に関連する全プロモータと機能的に連結する場合の全ヌクレオチド配列を意味し、このプロモータもその天然の環境にある。しかし、本発明の範囲に含まれるアミノ酸配列を、その天然の生物におけるヌクレオチド配列の発現後に単離及び/又は精製することができる。しかし、好ましくは、本発明の範囲に含まれるアミノ酸配列を、その天然の生物においてヌクレオチド配列により発現することができるが、この場合、ヌクレオチド配列は、その生物に自然に関連するプロモータの制御下にない。
[ヌクレオチド配列の調製]
典型的には、本発明の範囲に含まれるヌクレオチド配列は、組換えDNA技術(すなわち、組換えDNA)を用いて調製される。しかし、本発明の別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、全体又は一部において、当該技術分野で周知の化学的方法を用いて合成することができる(Caruthers MH et al.,(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 215-23及びHorn T et al,(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 225-232を参照)。
典型的には、本発明の範囲に含まれるヌクレオチド配列は、組換えDNA技術(すなわち、組換えDNA)を用いて調製される。しかし、本発明の別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、全体又は一部において、当該技術分野で周知の化学的方法を用いて合成することができる(Caruthers MH et al.,(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 215-23及びHorn T et al,(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 225-232を参照)。
本明細書中で定義される特定の性質を有する酵素をコードするヌクレオチド配列は、前記酵素を産生する任意の細胞又は生物から同定及び/又は単離及び/又は精製することができる。ヌクレオチド配列の同定及び/又は単離及び/又は精製については様々な方法が当該技術範囲内で周知である。一例として、好適な配列が同定及び/又は単離及び/又は精製されたら、より多くの配列を調製するためのPCR増幅技術を用いることができる。
更なる例として、当該酵素を産生する生物由来の染色体DNA又はメッセンジャーRNAを用いて、ゲノムDNA及び/又はcDNAライブラリを構築することができる。酵素のアミノ酸配列又は酵素のアミノ酸配列の一部が既知である場合、標識されたオリゴヌクレオチドプローブを合成することができ、生物から調製されたゲノムライブラリーから酵素コードクローンを同定するために用いることができる。或いは、別の既知酵素遺伝子に対して相同性の標識されたオリゴヌクレオチドプローブ含有配列を用いて、酵素コードクローンを同定することができる。後者の場合、低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション及び洗浄条件を使用する。
或いは、ゲノムDNAの断片をプラスミドなどの発現ベクター中に挿入し、酵素−陰性菌を結果として得られるゲノムDNAライブラリーで形質転換し、次いで形質転換菌を、酵素の基質(例えば、グルコシダーゼ(マルターゼ)産生酵素についてマルトース)を含む寒天プレート上に蒔き、それによりクローンに同定しようとする酵素を発現させることによって、酵素をコードするクローンを同定することができる。
更に別の選択肢において、酵素をコードするヌクレオチド配列は、確立された標準的方法、例えばBeucage S. L. et al, (1981) Tetrahedron Letters 22, p 1859-1869により記載されているホスホルアミダイト法、又はMatthes et al, (1984) EMBO J. 3, p 801-805により記載されている方法により、合成的に調製することができる。ホスホルアミダイト法では、オリゴヌクレオチドを、例えば自動DNA合成装置中で合成し、精製し、アニーリングし、ライゲートし、そして適切なベクター中にクローニングする。
ヌクレオチド配列は、標準的技術にしたがって合成、ゲノム又はcDNA起源(必要に応じて)の断片をライゲートすることによって調製される、混合ゲノム及び合成起源、混合合成及びcDNA起源、又は混合ゲノム及びcDNA起源のものであってよい。それぞれのライゲートされた断片は、全ヌクレオチド配列の様々な対に対応する。DNA配列は、例えばUS4,683,202又はSaiki R K et al.,(Science(1988)239, pp 487-491)で記載されているようにして、特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって調製することもできる。
遺伝子コードにおける縮重のために、もとのヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸の一部又は全部について、トリプレットコドン使用が変更され、それにより、もとのヌクレオチド配列との相同性は低いが、もとのヌクレオチド配列によりコードされるのと同じアミノ酸配列又はバリアントアミノ酸配列を産生するヌクレオチド配列を容易に作製することができる。例えば、大部分のアミノ酸について、遺伝子コードの縮重は、トリプレットコドンの第3位(ゆらぎ(wobble)位置)(参考のために、Stryer, Lubert, Biochemistry, Third Edition, Freeman Press, ISBN 0-7167-1920-7を参照)にあり、したがって、第3位のすべてのトリプレットコドンが「ゆらいだ」ヌクレオチド配列は、もとのヌクレオチド配列と約66%同一である。しかし、改変されたヌクレオチド配列は、もとのヌクレオチド配列と同じ第1アミノ酸配列又はバリアント第1アミノ酸配列をコードするであろう。
したがって、本発明はさらに、トリプレットコドンをコードするが、もとのヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドと同じポリペプチド配列又はバリアントポリペプチド配列をコードする少なくとも1つのアミノ酸についての別のトリプレットコドン用法を有する任意のヌクレオチド配列に関する。
更に、特定の生物は、典型的には、アミノ酸をコードするためにどのトリプレットコドンが使用されるかについての傾向を有する。好ましいコドン使用表は広く入手可能であり、コドン最適化遺伝子を調製するために使用することができる。そのようなコドン最適化技術は、異種宿主における導入遺伝子の発現を最適化するために慣例的に用いられる。
[アミノ酸配列]
本発明の範囲は、本明細書中で定義される特定の性質を有する酵素のアミノ酸配列も包含する。
本発明の範囲は、本明細書中で定義される特定の性質を有する酵素のアミノ酸配列も包含する。
本明細書中で用いられる場合、「アミノ酸配列」という用語は「ポリペプチド」という用語及び/又は「タンパク質」という用語と同義である。いくつかの場合では、「アミノ酸配列」という用語は、「ペプチド」という用語と同義である。いくつかの場合では、「アミノ酸配列」という用語は、「酵素」という用語と同義である。
アミノ酸配列は好適な供給源から調製/単離することができ、合成的に作製することができるか、又は組換えDNA技術の使用により調製することができる。
本発明に含まれる酵素は、他の酵素とともに使用することができる。したがって、本発明は、酵素の組み合わせも対象とし、ここで、この組み合わせは、本発明の酵素と、本発明による別の酵素であり得る別の酵素とを含む。
好ましくは、アミノ酸配列は、本発明の本質的な範囲に関連するか又は含まれる場合、天然の酵素でない。この点に関して、「天然の酵素」という用語は、その天然の環境中にある全酵素であって、その天然のヌクレオチド配列によって発現された場合を意味する。
[配列同一性又は配列相同性]
ここでは、「相同体」という用語は、対象アミノ酸配列及び対象ヌクレオチド配列とある相同性を有するものを意味する。ここでは、「相同性」という用語は、「同一性」と同等に考えることができる。
ここでは、「相同体」という用語は、対象アミノ酸配列及び対象ヌクレオチド配列とある相同性を有するものを意味する。ここでは、「相同性」という用語は、「同一性」と同等に考えることができる。
相同性アミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列は、機能的活性を保持及び/又は酵素の活性を増強するポリペプチドを提供及び/又はコードするはずである。
本発明に関連して、相同性配列は、対象配列と少なくとも75、85又は90%同一であり得、好ましくは少なくとも95、98%又は99%同一であり得るアミノ酸配列を包含すると考えられる。典型的には、相同体は、対象アミノ酸配列と同じ活性部位などを含むであろう。相同性はまた、類似性(すなわち、類似した化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)に関して検討することもできるが、本発明に関連して、配列同一性に関して相同性を表すことが好ましい。
本発明に関連して、相同性配列は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(対象配列)と少なくとも75、85又は90%同一であり得、好ましくは少なくとも95、98%又は99%同一であり得るヌクレオチド配列を含むと考えられる。典型的には、相同体は、対象配列と同じ、活性部位などをコードする配列を含むであろう。相同性はまた、類似性(すなわち、類似した化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)に関して検討することができるが、本発明に関連して相同性を配列同一性に関して表すことが好ましい。
相同性比較は、目視により、又はさらに一般的には、容易に入手可能な配列比較プログラムを用いて実施することができる。これらの市販のコンピュータプログラムは、2以上の配列間の相同性(%)を計算することができる。
相同性(%)は、隣接する配列、すなわち、他の配列とアラインさせた1つの配列にわたって計算することができ、1つの配列中の各アミノ酸を他の配列中の対応するアミノ酸と、1つの残基を一度に、直接比較する。これは、「アンギャップト(ungapped)」アラインメントと呼ばれる。典型的には、このようなアンギャップトアラインメントは、比較的短い残基にわたってのみ実施される。
これは、非常に簡単で一貫した方法であるが、例えば、それ以外では同じである配列対において、1つの挿入又は欠失のために、後続アミノ酸残基がアラインメントから外され、従って全体的なアラインメントを実施する場合に相同性(%)が大きく減少する可能性があることを考慮していない。したがって、ほとんどの配列比較法は、全体的な相同性スコアに対して不当にペナルティーを与えることなく、可能な挿入及び欠失を考慮する最適なアラインメントを与えるように設計される。このことは、配列アラインメント中に「ギャップ」を挿入して、局所的相同性を最大限にすることを試みることによって達成される。
しかし、これらのより複雑な方法は、アラインメントにおいて存在する各ギャップに、「ギャップペナルティー」を割り当て、同じ数の同一アミノ酸に関して、できるだけ少ないギャップを有する配列アラインメント(2つの比較される配列間のより高度な相関性を反映する)は、多くのギャップを有するものよりも高いスコアを達成するであろう。ギャップの存在については比較的高いコストを課し、ギャップ中のその各後続残基についてはより小さなペナルティーを課す、「アフィンギャップコスト」が、典型的に用いられる。これは、最も一般的に用いられるギャップ評価法である。高いギャップペナルティーは、もちろん、ギャップがより少ない最適化されたアラインメントを生じる。ほとんどの配列プログラムは、ギャップペナルティーを修正することが可能である。しかし、配列比較のためにそのようなソフトウェアを使用する場合、デフォルト値を使用するのが好ましい。
したがって、最大相同性(%)の算出には、ギャップペナルティーを考慮して、最適アラインメントの生成がまず必要である。そのようなアラインメントを実施するために適したコンピュータプログラムは、Vector NTI Advance(商標)11 (Invitrogen社)である。配列比較を実施できる他のソフトウェアの例としては、これらに限定されるものではないが、BLASTパッケージ(Ausubel et al 1999 Short Protocols in Molecular Biology, 4th Ed -Chapter 18を参照)、及びFASTA(Altschul et al 1990 J. Mol. Biol. 403-410)が挙げられる。BLASTとFASTAとは、どちらもオフラインとオンライン検索に利用可能である(Ausubel et al 1999, pages 7-58 to 7-60を参照)。しかし、いくつかの用途については、Vector NTI Advance(商標)11プログラムを使用するのが好ましい。BLAST 2 Sequencesと呼ばれる新規手段も、タンパク質及びヌクレオチド配列を比較するのに利用可能である(FEMS Microbiol Lett 1999 174(2):247-50;及びFEMS Microbiol Lett 1999 177(1):187-8を参照)。
最終相同性(%)を同一性に関して測定することができるが、アラインメントプロセス自体は、典型的にはオール・オア・ナッシングの対比較に基づかない。そうではなく、化学的類似性又は進化距離に基づいて各ペアワイズ比較にスコアを割り当てる、基準化された(scaled)類似性スコアマトリックスが一般的に用いられる。一般に使用されるそのようなマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス(プログラムのBLASTスイート用デフォルトマトリックス)である。Vector NTIプログラムは周知のデフォルト値又は提供される場合はカスタムシンボル比較表(詳しくはユーザーマニュアルを参照)を一般に使用する。いくつかの用途に関して、Vector NTI Advance(商標)11パッケージのデフォルト値を使用するのが好ましい。
或いは、相同性のパーセンテージは、CLUSTALと同様にして、アルゴリズムに基づき、Vector NTI Advance(商標)11(Invitrogen社)で複数のアラインメント機能を用いて計算することができる(Higgins DG & Sharp PM(1988), Gene 73(1), 237-244)。
ソフトウェアにより最適アラインメントが得られたら、相同性(%)、好ましくは配列同一性(%)を計算することが可能である。ソフトウェアは、典型的には、配列比較の一部としてこれを行い、数値結果をもたらす。
配列同一性を決定する場合、ギャップペナルティーを用いるならば、好ましくは、プログラムのデフォルトパラメータがペアワイズアラインメントに用いられる。例えば、以下のパラメータがBLAST2のペアワイズアラインメントの現行のデフォルトパラメータである:
一実施形態では、好ましくは、ヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列の配列同一性は、BLAST2(blastn)と前記定義のスコアリングパラメータを用いて決定することができる。
本発明の目的に関して、同一性の程度は、同じである配列エレメントの数に基づく。アミノ酸配列についての本発明による同一性の程度は、好適には、Vector NTI Advance(商標)11(Invitrogen社)などの当該技術分野で公知のコンピュータプログラムを用いて決定することができる。ペアワイズアラインメントに関して、使用されるスコアリングパラメータは、好ましくはBLOSUM62であり、ギャップ存在ペナルティー(Gap existence penalty)は11、ギャップ伸長ペナルティー(Gap extension penalty)は1である。
好適には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度を、少なくとも20の隣接するヌクレオチド、好ましくは少なくとも30の隣接するヌクレオチド、好ましくは少なくとも40の隣接するヌクレオチド、好ましくは少なくとも50の隣接するヌクレオチド、好ましくは少なくとも60の隣接するヌクレオチド、好ましくは少なくとも100隣接するヌクレオチドにわたって決定する。
好適には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度を、全配列にわたって決定することができる。
配列は、サイレント変化をもたらし、その結果、機能的に等価な物質を生じる、アミノ酸残基の欠失、挿入又は置換も有する可能性がある。物質の二次結合活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性における類似性に基づいて、意図的なアミノ酸置換を行うことができる。例えば、マイナスに荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ;プラスに荷電したアミノ酸としてはリジン及びアルギニンが挙げられ;そして類似した親水性値を有する非荷電極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、及びチロシンが挙げられる。
たとえば、下表にしたがって、保存的置換を行うことができる。第二列の同じブロック中のアミノ酸、好ましくは第3列の同じ行のアミノ酸は、互いに置き換えることができる:
本発明は、起こり得る相同性置換(置換(substitution)及び置き換え(replacement)はどちらも、本明細書中では、存在するアミノ酸残基を、別の残基と交換することを意味するために用いられる)、すなわち、塩基性には塩基性、酸性には酸性、極性には極性などの同種置換も包含する。非相同性置換、すなわち1つのクラスの残基から別のものへ、或いはオルニチン(以下、Zと称する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以下、Bと称する)、ノルロイシンオルニチン(以下、Oと称する)、ピリルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン及びフェニルグリシンなどの非天然のアミノ酸を含むものに関する置換も起こり得る。
置き換えは、非天然のアミノ酸により行うこともできる。
バリアントアミノ酸配列は、グリシン又はβ−アラニン残基などのアミノ酸スペーサーに加えて、メチル、エチル又はプロピル基などのアルキル基を含む配列の任意の2つのアミノ酸残基間に挿入することができる好適なスペーサー基を含み得る。さらなる変化形は、ペプトイド形態での1又は2以上のアミノ酸の存在を含み、当業者にはよく理解されるであろう。誤解を避けるために、α−炭素置換基が、α−炭素ではなく、残基の窒素原子上にある、バリアントアミノ酸残基を表すために、「ペプトイド形態」が用いられる。ペプトイド形態でペプチドを調製するためのプロセスは、当該技術分野で公知である(たとえば、Simon RJ et al., PNAS(1992)89(20), 9367-9371 and Horwell DC, Trends Biotechnol.(1995)13(4), 132-134)。
本発明で用いられるか、又は本明細書中で定義される特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、合成又は修飾ヌクレオチドをそれらの中に含み得る。オリゴヌクレオチドに対する様々な種類の修飾が当該技術分野で公知である。これらには、メチルホスホネート及びホスホロチオエート骨格及び/又は分子の3’及び/又は5’末端でのアクリジ鎖若しくはポリリジン鎖の付加が含まれる。本発明のために、本明細書中で記載されるヌクレオチド配列は、当該技術分野で利用可能な任意の方法によって修飾することができると理解される。ヌクレオチド配列のインビボ活性又は寿命を増大させるために、そのような修飾を実施することができる。
本発明は、本明細書中で検討される配列、又はそれらの任意の誘導体、断片若しくは誘導体に対して相補的であるヌクレオチド配列の使用も包含する。配列がその断片に対して相補的であるならば、その配列をプローブとして用いて、他の生物などにおける類似したコーディング配列を同定することができる。
本発明の配列と100%相同性でないが、本発明の範囲内に含まれるポリヌクレオチドを、多くの方法で得ることができる。本明細書中で記載される配列の他のバリアントは、たとえば、ある範囲の個体、例えば異なる集団からの個体から作製されるDNAライブラリーをプローブすることによって、得ることができる。加えて、他のウイルス/細菌相同体、又は細胞相同体、特に、哺乳動物細胞(例えば、ラット、マウス、ウシ及び霊長類細胞)で見られる細胞相同体を得ることができ、そのような相同体及びそれらの断片は、一般的に、本明細書中の配列リストに示される配列に選択的にハイブリダイズすることができるであろう。そのような配列は、他の動物種から作製されるcDNAライブラリ又はゲノムDNAライブラリーをプローブし、そしてそのようなライブラリーを、添付した配列リスト中の配列のいずれか1つの全部若しくは一部を含むプローブを用いて、中〜高ストリンジェンシー条件下でプローブすることによって得ることができる。同様の考えは、本発明のポリペプチド又はヌクレオチド配列の種相同体及び対立遺伝子バリアントを得る際にも当てはまる。
バリアント及び株/種相同体は、本発明の配列内の保存アミノ酸配列をコードするバリアント及び相同体内の配列を標的とするように設計されたプライマーを使用する変性PCR(degenerate PCR)を用いて得ることもできる。保存配列は、例えば、いくつかのバリアント/相同体からアミノ酸配列をアラインさせることによって、予想することができる。配列アラインメントは、当該技術分野で公知のコンピュータソフトウェアを用いて実施することができる。たとえば、GCG Wisconsin PileUpプログラムが広く用いられている。
変性PCRで使用されるプライマーは、1又は2以上の変性位置を含み、既知配列に対して1つの配列プライマーを用いて配列をクローニングするために用いられるものよりも低いストリンジェンシー条件で用いられる。
或いは、そのようなポリヌクレオチドは、特性化された配列の部位特異的突然変異誘発によって得ることができる。これは、たとえば、ポリヌクレオチド配列が発現される特定の宿主細胞についてのコドン優先性を最適化するために、サイレントコドン配列変化が必要な場合に有用であり得る。制限ポリペプチド認識部位を導入するために、又はポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特性若しくは機能を改変するために、他の配列変化が望ましい場合がある。
本発明のポリヌクレオチド(ヌクレオチド配列)を用いて、プライマー、例えばPCRプライマー、別の増幅反応のためのプライマー、例えば放射性若しくは非放射性標識を用いた通常の手段によって啓示的(revealing)標識で標識されたプローブを作製することができるか、或いはポリヌクレオチドをベクター中にクローニングすることができる。そのようなプライマー、プローブ及び他の断片は、長さが少なくとも15、好ましくは少なくとも20、たとえば、少なくとも25、30又は40ヌクレオチドであり、本明細書中で用いられる場合、本発明のポリヌクレオチドという用語に含まれる。
ポリヌクレオチド、例えばDNAポリヌクレオチド及び本発明によるプローブは、組換え的に、合成的に、又は当業者に利用可能な任意の手段により作製することができる。それらは、標準的技術によってクローニングすることもできる。
一般的に、プライマーは、所望の核酸配列の段階的製造(一度に1つのヌクレオチド)を含む合成手段によって産生される。自動化技術を用いてこれを達成するための技術は、当該技術分野で容易に利用可能である。
更に長いポリヌクレオチドは、組換え手段を用いて、たとえばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を用いて産生される。これは、クローニングするのが望ましい脂質ターゲティング配列の領域に隣接する一対のプライマー(例えば、約15〜30ヌクレオチド)を作製し、プライマーを動物若しくはヒト細胞から得られるmRNA又はcDNAと接触させ、所望の領域の増幅をもたらす条件下でポリメラーゼ連鎖反応を実施し、(例えば、アガロースゲル上で反応混合物を精製することにより)増幅された断片を単離し、そして増幅されたDNAを回収することを含む。プライマーは、増幅されたDNAを好適なクローニングベクター中にクローニングすることができるように、好適な制限酵素認識部位を含むように設計することができる。
[ハイブリダイゼーション]
本発明は、本発明の配列に対して相補的な配列、又は本発明の配列若しくはそれに相補的な配列のいずれかにハイブリダイズすることができる配列の使用も包含する。
本発明は、本発明の配列に対して相補的な配列、又は本発明の配列若しくはそれに相補的な配列のいずれかにハイブリダイズすることができる配列の使用も包含する。
「ハイブリダイゼーション」という用語は、本明細書中で用いられる場合、「核酸のストランドが、塩基対合により相補ストランドと結合するプロセス」並びにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術で実施される増幅のプロセスを包含する。
本発明はまた、本明細書中で検討される対象配列、又はそれらの任意の誘導体、断片若しくは誘導体に対して相補性である配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用も包含する。
本発明はまた、本明細書中で検討されるヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる配列に対して相補性である配列も包含する。
ハイブリダイゼーション条件は、Berger及びKimmelにより教示されるように、ヌクレオチド結合複合体の融解温度(Tm)に基づき(1987, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, San Diego CA)、以下で説明するような所定の「ストリンジェンシー」を付与する。
最高ストリンジェンシーは、典型的には、約Tm−5℃(プローブのTmより5℃低い)で起こり;高ストリンジェンシーは、Tmより約5℃〜10℃低い温度で起こり;中ストリンジェンシーはTmより約10℃〜20℃低い温度で起こり;そして低ストリンジェンシーはTmより約20℃〜25℃低い温度で起こる。当業者らには理解されるように、最高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを用いて、同一ヌクレオチド配列を同定することができ、一方、中(又は低)ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを用いて、類似若しくは関連するポリヌクレオチド配列を同定することができる。
好ましくは、本発明は、高ストリンジェンシー条件又は中ストリンジェンシー条件下で、本明細書で定義されるような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる配列に対して相補性である配列の使用を包含する。
更に好ましくは、本発明は、高ストリンジェンシー条件(例えば、65℃及び0.1×SSC{1×SSC=0.15MのNaCl、0.015Mのクエン酸ナトリウムpH7.0})下で、本明細書中で定義される特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる配列に対して相補性である配列の使用を包含する。
本発明は、本明細書中で検討されるヌクレオチド配列(本明細書中で検討されるものの相補的配列を包含する)にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用にも関する。
本発明は、本明細書中で検討されるヌクレオチド配列(本明細書中で検討されるものの相補的配列を包含する)にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用にも関する。
中〜最高ストリンジェンシー条件下で本明細書において検討されるヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド配列の使用も本発明の範囲内に含まれる。
好適な態様では、本発明は、本明細書中で検討されるヌクレオチド配列、又はそれらの相補配列と、ストリンジェントな条件(例えば、50℃及び0.2×SSC)下でハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用を対象とする。
さらに好適な態様では、本発明は、本明細書中で検討されるヌクレオチド配列、又はそれらの相補配列に、高ストリンジェンシー条件(例えば、65℃及び0.1×SSC)下で、ハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用を対象とする。
[生物学的に活性な]
好ましくは、バリアント配列等は、本明細書中で提示される配列と、少なくとも同程度に生物学的に活性である。
好ましくは、バリアント配列等は、本明細書中で提示される配列と、少なくとも同程度に生物学的に活性である。
本明細書中で用いられる場合、「生物学的に活性な」とは、天然に存在する配列に類似した構造的機能(しかし同程度までの必要はない)、及び/又は類似した調節機能(しかし同程度までの必要はない)、及び/又は類似した生化学的機能(しかし同程度までの必要はない)を有する配列を指す。
[組換え]
一態様では、本発明で使用される配列は、組換え配列、すなわち組換えDNA技術を用いて調製された配列である。
一態様では、本発明で使用される配列は、組換え配列、すなわち組換えDNA技術を用いて調製された配列である。
これらの組換えDNA技術は当業者の能力範囲内である。そのような技術は、文献で説明されている(例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring HarborLaboratory Press)。
[合成的]
一態様では、本発明で使用される配列は、合成配列、すなわちインビトロで化学的に又は酵素的合成により調製された配列である。これらに限定されるものではないが、メチロトローフ酵母ピキア属(Pichia)及びハンセヌラ属(Hansenula)などの宿主生物に最適のコドン使用で作製される配列が含まれる。
一態様では、本発明で使用される配列は、合成配列、すなわちインビトロで化学的に又は酵素的合成により調製された配列である。これらに限定されるものではないが、メチロトローフ酵母ピキア属(Pichia)及びハンセヌラ属(Hansenula)などの宿主生物に最適のコドン使用で作製される配列が含まれる。
[酵素の発現]
本発明で用いられるヌクレオチド配列は、組換え複製可能なベクター中に組み入れることができる。このベクターを用いて、ヌクレオチド配列を、適合する宿主細胞中及び/又は適合する宿主細胞から、酵素形態で複製及び発現することができる。
本発明で用いられるヌクレオチド配列は、組換え複製可能なベクター中に組み入れることができる。このベクターを用いて、ヌクレオチド配列を、適合する宿主細胞中及び/又は適合する宿主細胞から、酵素形態で複製及び発現することができる。
発現は、制御配列、例えば調節配列を用いて制御することができる。
ヌクレオチド配列の発現によって宿主組換え細胞により産生される酵素は、使用される配列及び/又はベクターに応じて、分泌され得るか、又は細胞内に含まれ得る。コーディング配列は、特定の原核又は真核細胞膜を通って物質コーディング配列の分泌を行うシグナル配列を用いて設計することができる。
[発現ベクター]
「発現ベクター」という用語は、インビボ又はインビトロで発現が可能な構築物を意味する。
「発現ベクター」という用語は、インビボ又はインビトロで発現が可能な構築物を意味する。
好ましくは、発現ベクターは、好適な宿主生物のゲノム中に組み込まれる。「組み込まれる」という用語は、好ましくは、ゲノム中への安定な組込みを対象とする。
本発明のヌクレオチド配列は、ベクター中で存在してもよく、このベクター中で、ヌクレオチド配列は、好適な宿主生物によるヌクレオチド配列の発現ができる調節配列と機能的に連結される。
本発明で使用されるベクターは、以下で記載されるように好適な宿主細胞に形質転換して、本発明のポリペプチドの発現をもたらすことができる。
ベクター、例えばプラスミド、コスミッド、又はファージベクターの選択は、多くの場合、導入される宿主細胞に依存するであろう。
本発明用のベクターは、抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を与える遺伝子などの1又は2以上の選択可能なマーカー遺伝子を含み得る。別法として、選択は、同時形質転換によって達成することができる(WO91/17243で記載されているとおり)。
ベクターを、たとえばRNAの産生のためにインビトロで用いることができるか、又は宿主細胞をトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染するために用いることができる。
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、本発明のヌクレオチド配列を複製可能なベクター中に導入し、ベクターを適合性宿主細胞中に導入し、ベクターの複製をもたらす条件下で宿主細胞を増殖させることにより、本発明のヌクレオチド配列を作製する方法を提供する。
ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞において複製することを可能にするヌクレオチド配列をさらに含み得る。そのような配列の例は、プラスミドpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1及びpIJ702の複製の起源である。
一実施形態では、pTrex3発現ベクターを実施例において記載されるように使用することができる。
[調節配列]
いくつかの用途で、本発明で用いられるヌクレオチド配列は、選択された宿主細胞によるなど、ヌクレオチド配列の発現ができる調節配列と機能的に連結される。一例として、本発明は、そのような調節配列に機能的に連結した本発明のヌクレオチド配列を含むベクターを対象とする。すなわち、ベクターは発現ベクターである。
いくつかの用途で、本発明で用いられるヌクレオチド配列は、選択された宿主細胞によるなど、ヌクレオチド配列の発現ができる調節配列と機能的に連結される。一例として、本発明は、そのような調節配列に機能的に連結した本発明のヌクレオチド配列を含むベクターを対象とする。すなわち、ベクターは発現ベクターである。
「機能的に連結した」という用語は、記載された成分が意図される方法で機能することを可能にするような関係にある近位を指す。コーディング配列に「機能的に連結した」調節配列を、コーディング配列の発現が制御配列と適合する条件下で達成されるような方法でライゲートする。
「調節配列」という用語は、プロモーター及びエンハンサー及び他の発現調節シグナルを包含する。
「プロモーター」という用語は、当該技術分野の通常の意味で用いられ、例えばRNAポリメラーゼ結合部位である。
本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列の増強された発現は、異種調節領域、例えばプロモーター、分泌リーダー及びターミネーター領域の選択によって達成することもできる。
好ましくは、本発明のヌクレオチド配列は、少なくとも1つのプロモータと機能的に連結される。
細菌、真菌の又は酵母宿主中のヌクレオチド配列の転写を行うために適したプロモーターの例は、当該技術分野で周知である。
[構築物]
「構築物」という用語(「接合体」、「カセット」及び「ハイブリッド」などの用語と同義である)には、プロモーターに直接的又は間接的に結合した、本発明による使用のためのヌクレオチドが含まれる。
「構築物」という用語(「接合体」、「カセット」及び「ハイブリッド」などの用語と同義である)には、プロモーターに直接的又は間接的に結合した、本発明による使用のためのヌクレオチドが含まれる。
間接的結合の一例は、Sh1−イントロン又はADHイントロンなどのイントロン配列などの好適なスペーサー基を、プロモーターと本発明のヌクレオチド配列との中間に提供することである。直接的又は間接的結合を包含する、本発明に関連した「融合した」という用語についても同じことが当てはまる。場合によっては、この用語は、通常、野生型遺伝子プロモーターと関連し、両方がそれらの天然の環境にある場合、タンパク質をコードするヌクレオチド配列の天然の組み合わせを対象としない。
構築物は、遺伝子構築物の選択を可能にするマーカーを含むか又は発現する可能性さえある。
いくつかの用途に関して、好ましくは、本発明の構築物は、少なくともプロモーターに機能的に連結した本発明のヌクレオチド配列を含む。
[宿主細胞]
「宿主細胞」という用語は、本発明に関連して、前述のヌクレオチド配列又は発現ベクターのいずれかを含み、本明細書中で定義されるような特定の性質を有する酵素の組換え産生において用いられる任意の細胞を含む。
「宿主細胞」という用語は、本発明に関連して、前述のヌクレオチド配列又は発現ベクターのいずれかを含み、本明細書中で定義されるような特定の性質を有する酵素の組換え産生において用いられる任意の細胞を含む。
したがって、本発明のさらなる実施形態は、本発明の酵素を発現するヌクレオチド配列で形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。細胞は、前記ベクターと適合性であるように選択され、たとえば、原核(たとえば、細菌)、真菌、酵母又は植物細胞であり得る。好ましくは、宿主細胞はヒト細胞でない。
好適な細菌宿主生物の例は、グラム陽性又はグラム陰性細菌種である。
本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列の性質、及び/又は発現されたタンパク質のさらなるプロセッシングの望ましさに応じて、酵母又は他の真菌などの真核生物宿主が好ましい可能性がある。しかし、いくつかのタンパク質は、酵母細胞から十分に分泌されないか、又は数例では適切に処理(例えば、酵母における超グリコシル化)されないかのいずれかである。これらの場合、異なる真菌宿主生物を選択しなければならない。
好適な宿主細胞(例えば、酵母、真菌及び植物宿主細胞)の使用により、本発明の組換え発現産物に関して最適の生物学的活性を付与する必要があり得る場合、翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、トランケーション、ラピデーション及びチロシン、セリン又はトレオニンリン酸化)ができる。
宿主細胞は、プロテアーゼ欠損又はプロテアーゼマイナス株であり得る。
宿主細胞の遺伝子型を修飾して発現を改善することができる。
宿主細胞修飾の例としては、プロテアーゼ欠損、稀少tRNAの補足、及びジスルフィド結合形成を増強するための細胞質における還元可能性の修飾が挙げられる。
例えば、宿主細胞大腸菌(E. coli)は、Kane(Curr Opin Biotechnol(1995), 6, 494-500 “Effects of rare codon clusters on high-level expression of heterologous proteins in E, coli”)で例示/記載されるように異種タンパク質の発現を改善するために稀少tRNAを過剰発現することができる。宿主細胞は、多くの還元酵素が欠失している可能性があり、したがって、Bessette(Proc Natl Acad Sci USA(1999), 96, 13703-13708 “Efficient folding of proteins with multiple disulphide bonds in the Escherichia coli cytoplasm”)で例示/記載されるように、安定なジスルフィド結合の形成に好ましい。
好ましい実施形態では、宿主細胞は真菌宿主細胞であり、好ましくは糸状菌宿主細胞、好ましくはトリコデルマ属由来である。好ましい実施形態では、好ましくは、宿主細胞はトリコデルマ・リーゼイである。
本発明のバリアントポリペプチドの発現は、ティー・リーゼイを宿主細胞として用いることにより、実質的に増大させることができることが意外にも判明した。
本発明の前に、フザリウム・ヘテロスポラム由来の脂肪分解酵素(すなわち、wt KLM1)が、酵母ハンセヌラ・ポリモルファにおける発現によって産生されている。大規模酵素産生のための産生を基準化する目的で別の発現系を考慮する場合、ティー・リーゼイにおける発現が考慮された。しかし、wt KLM1酵素はティー・リーゼイにおいて効率的に産生されない。
しかし、意外にも、本発明によるバリアントポリペプチドは、ティー・リーゼイにおいて有意に改善された発現レベル(野生型KLM1酵素よりも12〜25倍良好)を有することが判明した。これは、酵素の商業的な規模での産生において有意なコストの減少をもたらし得る重大な改善である。
一実施形態では、本発明は、トリコデルマ・リーゼイにおいてバリアント脂肪分解酵素を発現するための方法であって、極性脂質中のエステル結合に対して加水分解活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、本発明によるヌクレオチド配列)で形質転換し、そしてティー・リーゼイを培養してヌクレオチド配列の発現を得、そしてポリペプチドを収集することを含む方法を提供する。
[生物]
本発明に関連した「生物」という用語は、本発明による酵素をコードするヌクレオチド配列及び/又はそれから得られる生成物を含み得、及び/又は生物中に存在する場合、本発明によるヌクレオチド配列の発現を可能にする、任意の生物を含む。
本発明に関連した「生物」という用語は、本発明による酵素をコードするヌクレオチド配列及び/又はそれから得られる生成物を含み得、及び/又は生物中に存在する場合、本発明によるヌクレオチド配列の発現を可能にする、任意の生物を含む。
好適な生物は、原核生物、真菌、酵母又は植物を含み得る。
本発明に関連して「トランスジェニック生物」という用語は、本発明による酵素をコードするヌクレオチド配列及び/又はそれから得られる生成物を含み、及び/又はプロモーターが生物内で本発明によるヌクレオチド配列の発現を可能にすることができる、任意の生物を包含する。好ましくは、ヌクレオチド配列は生物のゲノム中に組み入れられる。
「トランスジェニック生物」という用語は、天然の環境中にある天然のヌクレオチドコーディング配列であって、それらが、これもまたその天然の環境中にある天然のプロモータの制御下にある場合のヌクレオチドコーディング配列は対象としない。
したがって、本発明のトランスジェニック生物は、本発明による酵素をコードするヌクレオチド配列、本発明による構築物、本発明によるベクター、本発明によるプラスミド、本発明による細胞、本発明による組織、又はそれらの産物のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを含む生物を包含する。
例えば、トランスジェニック生物は、異種プロモーターの制御下で本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列も含み得る。
[宿主細胞/生物の形質転換]
先に述べたように、宿主生物は原核生物又は真核生物であり得る。好適な原核宿主の例としては、大腸菌及び枯草菌(Bacillus subtilis)が挙げられる。
先に述べたように、宿主生物は原核生物又は真核生物であり得る。好適な原核宿主の例としては、大腸菌及び枯草菌(Bacillus subtilis)が挙げられる。
原核宿主の形質転換に関する教示は、当該技術分野で十分に文書化され、たとえば、Sambrook et al(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照。原核宿主が用いられる場合、ヌクレオチド配列は、好適には、形質転換前に(例えばイントロンの除去により)修飾する必要がある場合がある。
糸状菌細胞は、当該技術分野で公知の様々な方法(例えば、プロトプラスト形成及びプロトプラストの形質転換とそれに続いて公知方法での細胞壁の再生を含むプロセス)を用いて形質転換することができる。宿主微生物としてのアスペルギルス属(Aspergillus)の使用は、EP0238023に記載されている。一実施形態では、好ましくはトリコデルマ・リーゼイが宿主生物である。
別の宿主生物は植物であり得る。植物を形質転換するために使用される一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol [1991] 42:205-225)及びChristou(Agro-Food-Industry Hi-Tech March/April 1994 17-27)による論文で見いだすことができる。植物形質転換に関するさらなる教示は、EP−A−0449375で見いだすことができる。
真菌、酵母及び植物に関する一般的な教示を以下のセクションで記載する。
[形質転換された真菌]
宿主生物は、真菌(例えば糸状菌)であり得る。好適なそのような宿主の例としては、サーモミセス属、アクレモニウム属(Acremonium)、アスペルギルス属、ペニシリウム属(Penicillium)、ムコール属(Mucor)、ノイロスポラ属(Neurospora)、トリコデルマ属などに属する任意のメンバーが挙げられる。一実施形態では、好ましくはトリコデルマが宿主生物であり、好ましくはティー・リーゼイである。
宿主生物は、真菌(例えば糸状菌)であり得る。好適なそのような宿主の例としては、サーモミセス属、アクレモニウム属(Acremonium)、アスペルギルス属、ペニシリウム属(Penicillium)、ムコール属(Mucor)、ノイロスポラ属(Neurospora)、トリコデルマ属などに属する任意のメンバーが挙げられる。一実施形態では、好ましくはトリコデルマが宿主生物であり、好ましくはティー・リーゼイである。
糸状菌の形質転換に関する教示は、US−A−5741665で概説され、ここでは糸状菌の形質転換及び真菌の培養に関する標準的技術は当該技術分野で周知であることが記載されている。エヌ・クラッサ(N.crassa)に適用される技術の広範囲の総説は、たとえば、Davis and de Serres, Methods Enzymol(1971)17A:79-143で見いだされる。
糸状菌の形質転換に関するさらなる教示は、US−A−5674707で概説されている。
糸状菌における遺伝子発現は、Punt et al.(2002)Trends Biotechnol 2002 May;20(5):200-6, Archer & Peberdy Crit Rev Biotechnol(1997)17(4):273-306で概説されている。
[形質転換された酵母]
別の実施形態では、トランスジェニック生物は酵母であり得る。
別の実施形態では、トランスジェニック生物は酵母であり得る。
酵母における異種遺伝子発現の原理の概説は、例えば、Methods Mol Biol(1995), 49:341-54、及びCurr Opin Biotechnol(1997)Oct;8(5):554-60に記載されている。
これに関して、サッカロミセス・セレビシエ種又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はハンセヌラ・ポリモルファなどの酵母(FEMS Microbiol Rev(2000 24(l):45-66を参照))を異種遺伝子発現のビヒクルとして用いることができる。
サッカロミセス・セレビシエにおける異種遺伝子発現及び遺伝子産物の分泌の概説は、E Hinchcliffe E Kenny(1993, “Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes”, Yeasts, Vol 5, Anthony H Rose and J Stuart Harrison, Eds., 2nd edition, Academic Press Ltd.)により記載されている。
酵母の形質転換に関して、いくつかの形質転換プロトコルが開発されている。例えば、本発明によるトランスジェニックサッカロミセス属(Saccharomyces)は、Hinnen et al.,(1978, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 75, 1929);Beggs, J D(1978, Nature, London, 275, 104);及びIto, H et al(1983, J Bacteriology 153, 163-168)の教示にしたがうことにより調製することができる。
形質転換された酵母細胞は、栄養要求性マーカー優性抗生物質耐性マーカーなどの種々の選択マーカーを用いて選択することができる。
[形質転換された植物/植物細胞]
本発明に好適な宿主細胞は植物であり得る。一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol [1991] 42:205-225)及びChristou(Agro-Food-Industry Hi-Tech March/ April 1994 17-27)による論文で見いだすことができる。
本発明に好適な宿主細胞は植物であり得る。一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol [1991] 42:205-225)及びChristou(Agro-Food-Industry Hi-Tech March/ April 1994 17-27)による論文で見いだすことができる。
[培養及び産生]
本発明のヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、コードされた酵素の産生を引き起こし、細胞及び/又は培養培地からの酵素の回収を促進する条件下で培養することができる。
本発明のヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、コードされた酵素の産生を引き起こし、細胞及び/又は培養培地からの酵素の回収を促進する条件下で培養することができる。
細胞を培養するために用いられる培地は、問題の宿主細胞を増殖させ、酵素の発現を得るために適した任意の通常の培地であってよい。
組換え細胞によって産生されるタンパク質は、細胞の表面上で提示される可能性がある。
酵素は宿主細胞から分泌される可能性があり、周知の手順を用いて培養培地から通常どおり回収することができる。
[分泌]
多くの場合、酵素をより容易に回収することができる培養培地中に発現宿主から酵素が分泌されるのが望ましい。本発明にしたがって、分泌リーダー配列を、所望の発現宿主に基づいて選択することができる。ハイブリッドシグナル配列も本発明に関連して用いることができる。
多くの場合、酵素をより容易に回収することができる培養培地中に発現宿主から酵素が分泌されるのが望ましい。本発明にしたがって、分泌リーダー配列を、所望の発現宿主に基づいて選択することができる。ハイブリッドシグナル配列も本発明に関連して用いることができる。
異種分泌リーダー配列の典型的な例は、真菌アミログルコシダーゼ(AG)遺伝子(glaA−例えばアスペルギルス由来の18及び24アミノ酸の両バージョン)a−因子遺伝子(酵母、例えばサッカロミセス、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)及びハンセヌラ)又はα−アミラーゼ遺伝子(バチラス(Bacillus))由来のものである。
一例として、大腸菌における異種タンパク質の分泌は、Methods Enzymol(1990)182:132-43で概説されている。
[検出]
アミノ酸配列の発現を検出し、測定するための種々のプロトコルが当該技術分野で公知である。例としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)が挙げられる。
アミノ酸配列の発現を検出し、測定するための種々のプロトコルが当該技術分野で公知である。例としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)が挙げられる。
様々な標識及び接合技術が当業者には公知であり、種々の核酸及びアミノ酸アッセイで用いることができる。
Pharmacia Biotech社(Piscataway, NJ)、Promega社(Madison, WI)、及びUS Biochemical社(Cleveland, OH)などの多くの企業がこれらの方法のための商業的なキット及びプロトコルを提供している。
好適なレポーター分子又は標識としては、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、又は発色剤並びに基質、補因子、阻害剤、磁性粒子などが挙げられる。そのような標識の使用を教示する特許としては、US−A−3,817,837;US−A−3,850,752;US−A−3,939,350;US−A−3,996,345;US−A−4,277,437;US−A−4,275,149及びUS−A−4,366,241が挙げられる。
さらに、組換え免疫グロブリンをUS−A−4,816,567で示されるようにして作製することができる。
[融合タンパク質]
本発明による使用のためのアミノ酸配列はたとえば、抽出及び精製を助けるために、融合タンパク質として作製することができる。融合タンパク質パートナーの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性化ドメイン)及び(β−ガラクトシダーゼ)が挙げられる。融合タンパク質パートナーと関心のあるタンパク質配列との間にタンパク質分解性切断部位を含めて、融合タンパク質配列の除去を可能にすることも好都合であり得る。
本発明による使用のためのアミノ酸配列はたとえば、抽出及び精製を助けるために、融合タンパク質として作製することができる。融合タンパク質パートナーの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性化ドメイン)及び(β−ガラクトシダーゼ)が挙げられる。融合タンパク質パートナーと関心のあるタンパク質配列との間にタンパク質分解性切断部位を含めて、融合タンパク質配列の除去を可能にすることも好都合であり得る。
好ましくは、融合タンパク質はタンパク質配列の活性を損なわない。
大腸菌における遺伝子融合発現系は、Curr Opin Biotechnol(1995)6(5):501-6で概説されている。
本発明の別の実施形態では、アミノ酸配列を異種配列にライゲートして、融合タンパク質をコードすることができる。例えば、物質の活性に影響を及ぼし得る薬剤のペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体により認識される異種エピトープを発現するキメラ物質をコードすることが有用であり得る。
[大規模用途]
本発明の好ましい一実施形態では、アミノ酸配列を大規模用途のために用いる。
本発明の好ましい一実施形態では、アミノ酸配列を大規模用途のために用いる。
好ましくは、アミノ酸配列を大量に、宿主生物の培養後の全細胞培養体積1リットルあたり、1g〜約25g、好ましくは2.5g超〜約18g、好ましくは8g超の量で産生される。
[食物/食料品]
本発明の組成物は、食物若しくは食料品として、又は食物若しくは食料品の調製において用いることができる。ここで、「食物」又は「食料品」という用語は、広義で用いられ、ヒト用の食物並びに動物用の食物(すなわち、飼料)を対象とする。好適な態様では、ヒトの消費用の食物である。
本発明の組成物は、食物若しくは食料品として、又は食物若しくは食料品の調製において用いることができる。ここで、「食物」又は「食料品」という用語は、広義で用いられ、ヒト用の食物並びに動物用の食物(すなわち、飼料)を対象とする。好適な態様では、ヒトの消費用の食物である。
食物は、使用及び/又は適用様式及び/又は投与様式によって、溶液の形態であってもよいし、又は固体としてであってよい。
[食物成分]
本発明の組成物は、食物成分として用いることができる。
本発明の組成物は、食物成分として用いることができる。
本明細書中で用いられる場合、「食物成分」という用語は、機能的食物又は食料品に添加することができる配合物を包含し、低レベルで、例えば、酸性化又は乳化を必要とする様々な製品において用いることができる配合物を包含する。
食物成分は、使用及び/又は適用様式及び/又は投与様式によって、溶液の形態であってもよいし、或いは固体としてであってもよい。
[食品]
本発明の組成物は、食品、例えば:菓子製品、乳製品、家禽製品、魚加工品及びベーカリー製品の1又は2以上の調製において用いることができる。
本発明の組成物は、食品、例えば:菓子製品、乳製品、家禽製品、魚加工品及びベーカリー製品の1又は2以上の調製において用いることができる。
本発明はまた、食物又は食物成分の調製法であって、本発明による脂肪分解酵素を別の食物成分と混合することを含む方法も提供する。
[実施例]
[実施例]
本発明を、例示のみにより記載し、ここでは、以下の図面を参照する:
1,2−O−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタリック−レゾルフィンエステルを用いたリパーゼアッセイ(DGGRアッセイ)。
4部の緩衝液(50mMのHEPES pH8、0.4mg/mlのMgCl2、1.2mg/mlのCaCl2、2%のアラビアゴム)及び1部の基質(664μMのジメチルスルホキシド中1,2−O−ジラウリル−rac−グリセロ−S−グルタリック−レゾルフィンエステル(DGGR、Fluka社製))を混合することにより、基質溶液を調製した。リパーゼの好適に希釈したアリコートを、マイクロタイタープレートのウェル中の200μlの基質溶液に添加した。DGGRの加水分解の結果、572nmでの吸収に変化が起こり、これを、マイクロタイタープレートリーダーを用いてリアルタイムで追跡した。
4部の緩衝液(50mMのHEPES pH8、0.4mg/mlのMgCl2、1.2mg/mlのCaCl2、2%のアラビアゴム)及び1部の基質(664μMのジメチルスルホキシド中1,2−O−ジラウリル−rac−グリセロ−S−グルタリック−レゾルフィンエステル(DGGR、Fluka社製))を混合することにより、基質溶液を調製した。リパーゼの好適に希釈したアリコートを、マイクロタイタープレートのウェル中の200μlの基質溶液に添加した。DGGRの加水分解の結果、572nmでの吸収に変化が起こり、これを、マイクロタイタープレートリーダーを用いてリアルタイムで追跡した。
フザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83(KLM1)由来の野生型脂肪分解酵素の発現
フザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の脂肪分解酵素(DNA配列−配列番号1;配列番号2のプレプロタンパク質配列)をコードする合成DNA断片を、SacII及びAscIで消化し、発現ベクターpTrex3のSacII及びAscI制限部位間でクローニングした。
pTrex3は、以下の機能的領域を含む:
1.ティー・リーゼイcbhIプロモータ及びコーディング領域の一部。このDNA配列は、コーディング領域の約1500bp上流の天然に存在するXbaI部位から始まり、CBHIのシグナルペプチドに対応するcbh1遺伝子コーディング配列内の天然に存在するSfil部位で終わる。
2.操作されたAscI部位と、それに続くティー・リーゼイcbhI転写ターミネーター領域(約0.36kb)
3.amdS(アセトアミダーゼ)遺伝子のプロモータ、コーディング領域及びターミネーターを含むアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)ゲノムDNAの2.75kb断片。天然のXbaI部位はこの断片の3’−末端付近に存在する。
4.colE1複製起源及びアンピシリン耐性遺伝子を含む細菌DNAの約3.2kb断片。
フザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の脂肪分解酵素(DNA配列−配列番号1;配列番号2のプレプロタンパク質配列)をコードする合成DNA断片を、SacII及びAscIで消化し、発現ベクターpTrex3のSacII及びAscI制限部位間でクローニングした。
pTrex3は、以下の機能的領域を含む:
1.ティー・リーゼイcbhIプロモータ及びコーディング領域の一部。このDNA配列は、コーディング領域の約1500bp上流の天然に存在するXbaI部位から始まり、CBHIのシグナルペプチドに対応するcbh1遺伝子コーディング配列内の天然に存在するSfil部位で終わる。
2.操作されたAscI部位と、それに続くティー・リーゼイcbhI転写ターミネーター領域(約0.36kb)
3.amdS(アセトアミダーゼ)遺伝子のプロモータ、コーディング領域及びターミネーターを含むアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)ゲノムDNAの2.75kb断片。天然のXbaI部位はこの断片の3’−末端付近に存在する。
4.colE1複製起源及びアンピシリン耐性遺伝子を含む細菌DNAの約3.2kb断片。
図23は、グラフィック形態でpTrex3の構造を示す。pTrex3のDNA配列を配列番号3として記載する(図3を参照)。
pTrex3中の脂肪分解酵素遺伝子(pTrex3(KLM1))をクローニングすることから得られるベクターを、XbaI及びSspIで消化し、脂肪分解発現カセット及びamdSマーカーを含む4.5kbのXbaI−XbaIのDNA断片をアガロースゲル電気泳動法によって精製した。精製された断片を用いて、ティー・リーゼイのクアッド欠失株(ΔcbhI、Δcbh2、Δegl1、Δegl2、WO05/001036に記載)の胞子をエレクトロポレーションによって形質転換した(A. N. Miasnikov, S. Kim. Transformation of T. reesei spores by electroporation. Poster No 598. Abstracts of 25th Fungal Genetics Conference at Asilomar. March 17-22, 2009, p 266)。形質転換体を、唯一の窒素源としてアセトアミドを含む培地(アセトアミド 0.6g/l;塩化セシウム 1.68g/l;グルコース 20g/l;リン酸二水素カリウム 15g/l;硫酸マグネシウム七水和物 0.6g/l;塩化カルシウム二水和物 0.6g/l;硫酸鉄(II)5mg/l;硫酸亜鉛 1.4mg/l;塩化コバルト(II)1mg/l;硫酸マンガン(II)1.6mg/l;寒天 20g/l;pH4.25)上で選択した。形質転換されたコロニーが約1週間で出現した。個々の形質転換体を新しいアセトアミド選択プレート上に移し、2〜4日間増殖させた。選択培地上で安定した増殖を示す単離株を用いて、底部にマイクロフィルターを備えたマイクロタイタープレート(Millipore Multiscreen-GV(商標))のウェル中の0.2mlのグルコース−ソホロース培地(1%のソホロース、0.6%のグルコース、0.6%のグリシン、3.3%のPIPPS緩衝液、0.47%の(NH4)2SO4、0.5%のKH2PO4、0.3%のクエン酸、0.1%のMgSO4、500mg/lのFeSO4、40mg/lのZnSO4、8mg/lのCuSO4、3.5mg/lのMnSO4、2mg/lのホウ酸)に接種した。プレートを、4〜6日間、25〜28℃、純粋な酸素雰囲気中でインキュベートした。培養培地をろ過により分離し、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS PAGE)又はDGGRアッセイによって分析した。多くの形質転換体はSDSゲル上に新しいタンパク質バンドを生成した。このバンドの推定分子量(約28kDa)は、N末端及びC末端(Nagao et al. J. Biochem. 124, 1124-1129(1998))処理KLM1リパーゼの予想される分子量(28.6kDa)に相当する。28kDaのバンドを生じる形質転換体クローンの培養培地も実質的なリパーゼ活性を含んでいた(DGGRアッセイで測定)。本質的に、形質転換においてレシピエントとして使用した非形質転換ティー・リーゼイ株の培養培地中で検出可能なリパーゼ活性は無かった。
フザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の脂肪分解酵素のミュータント形態の発現
脂肪分解酵素遺伝子のミュータント形態を、標準的PCRベースの技術を用いて構築した。ミュータント遺伝子のDNA及びタンパク質配列並びに脂肪分解酵素のプレプロ形態を表1により示すように記載する。全ミュータントは、R306S変異を有する(ミュータント0)。ミュータント1、3、4及び5は、異なる位置で導入された1つのN連結グリコシル化部位コンセンサス配列を有する(野生型脂肪分解酵素(KLM1)はN−結合グリコシル化部位を有さない)。ミュータント9は2つのアミノ酸残基の欠失を有する(K311R312)。全ての他のミュータントは複数のグリコシル化部位を含む。
脂肪分解酵素遺伝子のミュータント形態を、標準的PCRベースの技術を用いて構築した。ミュータント遺伝子のDNA及びタンパク質配列並びに脂肪分解酵素のプレプロ形態を表1により示すように記載する。全ミュータントは、R306S変異を有する(ミュータント0)。ミュータント1、3、4及び5は、異なる位置で導入された1つのN連結グリコシル化部位コンセンサス配列を有する(野生型脂肪分解酵素(KLM1)はN−結合グリコシル化部位を有さない)。ミュータント9は2つのアミノ酸残基の欠失を有する(K311R312)。全ての他のミュータントは複数のグリコシル化部位を含む。
野生型酵素(KLM1;配列番号2)と比較した、ミュータント又はバリアント脂肪分解酵素のそれぞれにおける修飾を以下で表2に示す。すべてのナンバリングは、wtプレプロKLM1(本明細書中では配列番号2として示す)の配列に従う。
脂肪分解酵素遺伝子のミュータント形態の全てを野生型脂肪分解酵素遺伝子と同じ方法でpTrex3中にクローニングした(SacII及びAscI制限部位を用いる)。ティー・リーゼイの形質転換、形質転換体の選択及び培養を実施例2で記載したように実施した。ミュータントのそれぞれを発現する少なくとも50の安定な形質転換体を分析した。最高レベルのリパーゼを産生する各種類の1つの形質転換体を選択した。
ティー・リーゼイのエンドT遺伝子の破壊カセットの構築
特許出願WO2006/050584の情報を用いて、エンドT遺伝子を、ティー・リーゼイのゲノム配列で同定した(http://genome.jgi-psf.org/Trire2/Trire2.home.html)。その5’フランキング領域(1.9Kb)を、プライマーSK915(5’-CTGATATCCTGGCATGGTGAATCTCCGTG-3’)及びSK916(5’-CATGGCGCGCCGAGGCAGATAGGCGGACGAAG-3’)を用いたPCRによって増幅した。3’フランキング領域(1.7Kb)を、プライマーSK917(5’-CATGGCGCGCCGTGTAAGTGCGTGGCTGCAG-3’)及びSK918(5’-CTGATATCGATCGAGTCGAACTGTCGCTTC-3’)を用いたPCRにより増幅した。PfuII Ultra(Stratagene社製)を全てのPCR反応においてポリメラーゼとして使用した。PCR反応の産物を、QIAquick PCR精製キット(Qiagen社製)を用い、マニュアルに記載されたプロトコルに従うことにより精製した。両方の増幅されたDNA断片を、制限エンドヌクレアーゼAscIで消化し、続いてQIAquickキットを用いた消化DNAの精製を行った。2つのDNA断片を混合し、プライマーSK915及びSK918との融合PCR反応のためのテンプレートとして使用した。この反応の産物である3.6kbのDNA断片を、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen社製)を用いてpCR-Blunt II TOPOベクター中にクローニングした。結果として得られるプラスミド(pCR-BluntII-TOPO(5’−3’フランク))の構造を制限分析によって確認した。クロリムロンエチルに対する耐性を付与するティー・リーゼイアセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子のミュータント形態(WO2008/039370)を、PCRプライマーSK949(5’-GTTTCGCATGGCGCGCCTGAGACAATGG-3’)及びSK946(5’-CACAGGCGCGCCGATCGCCATCCCGTCGCGTC-3’)並びにpTrex-Glucoamylaseベクター(WO2008/039370、実施例2)をテンプレートとして用いて増幅した。PCR反応の産物を、QIAquickキットで精製し、AscIで消化し、再度精製し、同じ酵素で消化し同様に精製したpCR-BluntII-TOPO(5’−3’フランク)とライゲートした。結果として得られるプラスミドpCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)中の挿入物の配向性を制限分析により証明した。ティー・リーゼイ染色体配列のさらなる断片(「3’−リピート」と称する)を、同じ技術並びにプライマーMC40(5’-CTATGACATGCCCTGAGGCGATGCTGGCCAGGTACGAGCTG-3’)及びMC41(5’-CAGCCTCGCGGTCACAGTGAGAGGAACGGGGTGAAGTCGTATAAG-3’)を用いて増幅した。この配列は、pCR-BluntII-TOPO(5’−3’フランク)内に含まれる3’−フランク部分のさらに下流のティー・リーゼイ染色体上に位置する。0.46kbのこのPCR産物(3’−リピート)を、In-Fusion Dry-Down PCR Cloning Kit(Clontech社製)を用いてpCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)中のALS遺伝子の上流にクローニングした。pCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)を、3’リピートの挿入のためにPasI及びBstEIIで消化した。結果として得られる構築物pCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’リピート−3’フランク)を、プライマーSK1008(CTAGCGATCGCGTGTGCACATAGGTGAGTTCTCC)及びSK1009:(CTAGCGATCGCGCAGACTGGCATGCCTCAATCAC)を用いたPCR用のテンプレートとして使用した。7.5kbのDNA産物を、Invitrogen社製の対応するキットを用いて、pCR-BluntII-TOPOベクター中にクローニングした。結果として得られるプラスミドをAsiSIで消化し、7.5kbのDNA断片(エンド−T欠失カセット)を分取アガロースゲル電気泳動法により精製した。
特許出願WO2006/050584の情報を用いて、エンドT遺伝子を、ティー・リーゼイのゲノム配列で同定した(http://genome.jgi-psf.org/Trire2/Trire2.home.html)。その5’フランキング領域(1.9Kb)を、プライマーSK915(5’-CTGATATCCTGGCATGGTGAATCTCCGTG-3’)及びSK916(5’-CATGGCGCGCCGAGGCAGATAGGCGGACGAAG-3’)を用いたPCRによって増幅した。3’フランキング領域(1.7Kb)を、プライマーSK917(5’-CATGGCGCGCCGTGTAAGTGCGTGGCTGCAG-3’)及びSK918(5’-CTGATATCGATCGAGTCGAACTGTCGCTTC-3’)を用いたPCRにより増幅した。PfuII Ultra(Stratagene社製)を全てのPCR反応においてポリメラーゼとして使用した。PCR反応の産物を、QIAquick PCR精製キット(Qiagen社製)を用い、マニュアルに記載されたプロトコルに従うことにより精製した。両方の増幅されたDNA断片を、制限エンドヌクレアーゼAscIで消化し、続いてQIAquickキットを用いた消化DNAの精製を行った。2つのDNA断片を混合し、プライマーSK915及びSK918との融合PCR反応のためのテンプレートとして使用した。この反応の産物である3.6kbのDNA断片を、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen社製)を用いてpCR-Blunt II TOPOベクター中にクローニングした。結果として得られるプラスミド(pCR-BluntII-TOPO(5’−3’フランク))の構造を制限分析によって確認した。クロリムロンエチルに対する耐性を付与するティー・リーゼイアセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子のミュータント形態(WO2008/039370)を、PCRプライマーSK949(5’-GTTTCGCATGGCGCGCCTGAGACAATGG-3’)及びSK946(5’-CACAGGCGCGCCGATCGCCATCCCGTCGCGTC-3’)並びにpTrex-Glucoamylaseベクター(WO2008/039370、実施例2)をテンプレートとして用いて増幅した。PCR反応の産物を、QIAquickキットで精製し、AscIで消化し、再度精製し、同じ酵素で消化し同様に精製したpCR-BluntII-TOPO(5’−3’フランク)とライゲートした。結果として得られるプラスミドpCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)中の挿入物の配向性を制限分析により証明した。ティー・リーゼイ染色体配列のさらなる断片(「3’−リピート」と称する)を、同じ技術並びにプライマーMC40(5’-CTATGACATGCCCTGAGGCGATGCTGGCCAGGTACGAGCTG-3’)及びMC41(5’-CAGCCTCGCGGTCACAGTGAGAGGAACGGGGTGAAGTCGTATAAG-3’)を用いて増幅した。この配列は、pCR-BluntII-TOPO(5’−3’フランク)内に含まれる3’−フランク部分のさらに下流のティー・リーゼイ染色体上に位置する。0.46kbのこのPCR産物(3’−リピート)を、In-Fusion Dry-Down PCR Cloning Kit(Clontech社製)を用いてpCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)中のALS遺伝子の上流にクローニングした。pCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)を、3’リピートの挿入のためにPasI及びBstEIIで消化した。結果として得られる構築物pCR-BluntII-TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’リピート−3’フランク)を、プライマーSK1008(CTAGCGATCGCGTGTGCACATAGGTGAGTTCTCC)及びSK1009:(CTAGCGATCGCGCAGACTGGCATGCCTCAATCAC)を用いたPCR用のテンプレートとして使用した。7.5kbのDNA産物を、Invitrogen社製の対応するキットを用いて、pCR-BluntII-TOPOベクター中にクローニングした。結果として得られるプラスミドをAsiSIで消化し、7.5kbのDNA断片(エンド−T欠失カセット)を分取アガロースゲル電気泳動法により精製した。
ティー・リーゼイにおけるエンド−T遺伝子の破壊及び結果として得られるミュータントの脂肪分解酵素発現構築物での形質転換
ティー・リーゼイのクアッド欠失株(Δcbh1、Δcbh2、Δegl1、Δegl2)はWO05/001036で記載されている。この株を、(実施例4の)欠失カセットで、 Penttila et al. (Penttila M. et al.1987. A versatile transformation system for the cellulolytic filamentous fungus Trichoderma reesei. Gene 61: 155-164)により記載された形質転換法を用いて形質転換した。形質転換体を、200ppmのクロリムロンエチルを含有するModified Vogel’s培地上で選択した(WO2008/039370)。形質転換体を液体培地中で培養し、培養上清をSDSゲル電気泳動法により分析した。ゲル上のほとんどのタンパク質の移動度の上方へのシフトを示す2つのクローン(#11及び#74)を特定した。染色体DNAをこれらの2つの株並びにティー・リーゼイの親クアッド欠失株から単離した。PCR分析を、これらのDNA調製物に関して、プライマー対MC42+MC48(5’-CTCGCCATCTGACAACCTACAAATC-3’及び5’-CTAGTACCCTGAGTTGTCTCGCCTCC-3’)並びにMC45+MC50(5’-CCTCTACCATAACAGGATCCATCTG-3’及び5’-CGTGAGCTGATGAAGGAGAGAACAAAGG-3’)を用いて実施した。予想されるサイズ(2.9及び2.3kb)の産物は、クローン#74から単離されたDNAを用いて得られた。このクローンを連続した2回の精製に付した(1つの胞子の子孫の単離による)。DNAを精製された形質転換体#74から単離した。PCR分析を繰り返し、エンド−T遺伝子の成功した欠失を確認した。結果として得られたティー・リーゼイのミュータント株を、pTrex3(MUT10)、pTrex3(MUT11)及びpTrex3(MUT12)で形質転換した。形質転換体のスクリーニング及び胞子精製を、実施例3において記載されるようにして実施した。
ティー・リーゼイのクアッド欠失株(Δcbh1、Δcbh2、Δegl1、Δegl2)はWO05/001036で記載されている。この株を、(実施例4の)欠失カセットで、 Penttila et al. (Penttila M. et al.1987. A versatile transformation system for the cellulolytic filamentous fungus Trichoderma reesei. Gene 61: 155-164)により記載された形質転換法を用いて形質転換した。形質転換体を、200ppmのクロリムロンエチルを含有するModified Vogel’s培地上で選択した(WO2008/039370)。形質転換体を液体培地中で培養し、培養上清をSDSゲル電気泳動法により分析した。ゲル上のほとんどのタンパク質の移動度の上方へのシフトを示す2つのクローン(#11及び#74)を特定した。染色体DNAをこれらの2つの株並びにティー・リーゼイの親クアッド欠失株から単離した。PCR分析を、これらのDNA調製物に関して、プライマー対MC42+MC48(5’-CTCGCCATCTGACAACCTACAAATC-3’及び5’-CTAGTACCCTGAGTTGTCTCGCCTCC-3’)並びにMC45+MC50(5’-CCTCTACCATAACAGGATCCATCTG-3’及び5’-CGTGAGCTGATGAAGGAGAGAACAAAGG-3’)を用いて実施した。予想されるサイズ(2.9及び2.3kb)の産物は、クローン#74から単離されたDNAを用いて得られた。このクローンを連続した2回の精製に付した(1つの胞子の子孫の単離による)。DNAを精製された形質転換体#74から単離した。PCR分析を繰り返し、エンド−T遺伝子の成功した欠失を確認した。結果として得られたティー・リーゼイのミュータント株を、pTrex3(MUT10)、pTrex3(MUT11)及びpTrex3(MUT12)で形質転換した。形質転換体のスクリーニング及び胞子精製を、実施例3において記載されるようにして実施した。
1つの操作されたグリコシル化部位を有するフザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の脂肪分解酵素のミュータント形態の産生
野生型脂肪分解酵素並びにミュータント3、4及び5を発現する最もよく選択された形質転換体(実施例2及び3を参照)を、4日間、マクロタイタープレート中で前述(実施例2中)のようにして培養した。これらのミュータントのうちの2つ並びに野生型脂肪分解酵素及びMUT0(R306S変異のみを有する)の産生も、標準的流加−バッチプロセス(WO2004/035070)を用いて発酵装置中で試験した。操作されたグリコシル化部位を含む3つのミュータントは全て、特に発酵装置中で長時間(184時間)流加−バッチ培養の条件下で、野生型脂肪分解酵素よりも高いレベルで発現された(図24及び図25並びに表3を参照)。
野生型脂肪分解酵素並びにミュータント3、4及び5を発現する最もよく選択された形質転換体(実施例2及び3を参照)を、4日間、マクロタイタープレート中で前述(実施例2中)のようにして培養した。これらのミュータントのうちの2つ並びに野生型脂肪分解酵素及びMUT0(R306S変異のみを有する)の産生も、標準的流加−バッチプロセス(WO2004/035070)を用いて発酵装置中で試験した。操作されたグリコシル化部位を含む3つのミュータントは全て、特に発酵装置中で長時間(184時間)流加−バッチ培養の条件下で、野生型脂肪分解酵素よりも高いレベルで発現された(図24及び図25並びに表3を参照)。
[実施例6]
複数のグリコシル化部位及びC末端タンパク質分解プロセッシング部位の修飾を有するフザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の脂肪分解酵素のミュータント形態の産生
ミュータントMUT345、MUT3459、MUT9、MUT10、MUT11及びMUT12をコードする遺伝子(表1)を実施例2で記載するようにしてティー・リーゼイのクアッド欠失株において発現させた。ミュータントMUT11及びMUT12をコードする遺伝子をティー・リーゼイのエンド−T欠失株において更に発現させた(実施例5を参照)。少なくとも50の安定な形質転換体を、実施例2で記載するようにして脂肪分解酵素産生についてスクリーニングした。典型的には、形質転換体の各セットは、脂肪分解酵素を(所定のミュータントについて最高の)類似したレベルで発現する5〜6個のクローンを含む。1つのそのような形質転換体を各タイプのミュータントについて選択した。選択された最良の形質転換体を全て、1つの実験ではMTP中で7日間培養し、SDS PAGE及び活性アッセイによって分析した(実施例1を参照)。結果(図25及び表4)は、試験したミュータント全てが、野生型脂肪分解酵素よりも高いレベルで発現されることを示す。1群としての多重にグリコシル化されたミュータントは、1つの操作されたN連結グリコシル化部位のみを有するMUT5と比較して、発現レベルの実質的な改善を示さない。注目に値する例外は、MUT12であり、これはMUT5又はこのシリーズの他のミュータントの約2倍多い組換えタンパク質を産生する。
複数のグリコシル化部位及びC末端タンパク質分解プロセッシング部位の修飾を有するフザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83由来の脂肪分解酵素のミュータント形態の産生
ミュータントMUT345、MUT3459、MUT9、MUT10、MUT11及びMUT12をコードする遺伝子(表1)を実施例2で記載するようにしてティー・リーゼイのクアッド欠失株において発現させた。ミュータントMUT11及びMUT12をコードする遺伝子をティー・リーゼイのエンド−T欠失株において更に発現させた(実施例5を参照)。少なくとも50の安定な形質転換体を、実施例2で記載するようにして脂肪分解酵素産生についてスクリーニングした。典型的には、形質転換体の各セットは、脂肪分解酵素を(所定のミュータントについて最高の)類似したレベルで発現する5〜6個のクローンを含む。1つのそのような形質転換体を各タイプのミュータントについて選択した。選択された最良の形質転換体を全て、1つの実験ではMTP中で7日間培養し、SDS PAGE及び活性アッセイによって分析した(実施例1を参照)。結果(図25及び表4)は、試験したミュータント全てが、野生型脂肪分解酵素よりも高いレベルで発現されることを示す。1群としての多重にグリコシル化されたミュータントは、1つの操作されたN連結グリコシル化部位のみを有するMUT5と比較して、発現レベルの実質的な改善を示さない。注目に値する例外は、MUT12であり、これはMUT5又はこのシリーズの他のミュータントの約2倍多い組換えタンパク質を産生する。
フザリウム・ヘテロスポラムCBS782.83の脂肪分解酵素のミュータント形態の応用
脂肪分解酵素のバリアントの機能を評価するために、これらを後述のようにパイロット焼成用途で評価した。
脂肪分解酵素のバリアントの機能を評価するために、これらを後述のようにパイロット焼成用途で評価した。
[材料及び方法]
[酵素]
以下の酵素を焼成試験に使用した(表5)。
[酵素]
以下の酵素を焼成試験に使用した(表5)。
[酵素アッセイ(TIPU)]
使用した酵素のホスホリパーゼ活性測定を、以下のアッセイを用いて実施した:
1TIPU(滴定ホスホリパーゼ単位)は、アッセイ条件で1分あたり1マイクロモルの遊離脂肪酸を遊離させる酵素の量と定義される。
ホスホリパーゼA1及びA2は、レシチンからリゾレシチンへ変換して、それぞれ位置1及び2で遊離脂肪酸を放出するのを触媒する。ホスホリパーゼ活性は、酵素法の間にレシチンから遊離される脂肪酸の連続滴定によって測定することができる。なぜなら、アルカリの消費は遊離する脂肪酸の量に等しいからである。
[基質]
4%のレシチン、4%のTriton-X100、及び6mMのCaCl2:12gのレシチン粉末(Avanti Polar Lipids#44160)及び12gのTriton-X100(Merck 108643)を磁気撹拌しながら約200mlの脱塩水中に分散させた。3.0mlの0.6MのCaC12(p.a. Merck 1.02382)を添加した。体積を脱塩水で300mLに調節し、Ultra Thuraxを用いてエマルジョンを均質化した。基質を毎日新しく調製した。
[アッセイ手順]
酵素溶液を調製して、300μLの酵素を添加して0.06〜0.18ml/分で滴定曲線の傾斜を得た。
既知活性の対照試料が含まれる。
試料を脱塩水中に溶解させ、15分間、300rpmで撹拌した。25.00mlの基質を37.0℃に10〜15分間調節した後、0.05MのNaOHでpHを7.0に調節した。300μLの酵素溶液を基質に添加し、0.05MのNaOHでの連続滴定を、pH−Stat滴定装置(Phm 290, Mettler Toledo社製)を用いて実施した。2つの活性測定を各スケーリングで実施する。8分後、滴定をやめ、5から7分の間で滴定曲線の勾配を計算した。検出限界は、3TIPU/ml酵素溶液であった。
[計算]
ホスホリパーゼ活性(TIPU/g酵素)を以下の方法で計算した:
使用した酵素のホスホリパーゼ活性測定を、以下のアッセイを用いて実施した:
1TIPU(滴定ホスホリパーゼ単位)は、アッセイ条件で1分あたり1マイクロモルの遊離脂肪酸を遊離させる酵素の量と定義される。
ホスホリパーゼA1及びA2は、レシチンからリゾレシチンへ変換して、それぞれ位置1及び2で遊離脂肪酸を放出するのを触媒する。ホスホリパーゼ活性は、酵素法の間にレシチンから遊離される脂肪酸の連続滴定によって測定することができる。なぜなら、アルカリの消費は遊離する脂肪酸の量に等しいからである。
[基質]
4%のレシチン、4%のTriton-X100、及び6mMのCaCl2:12gのレシチン粉末(Avanti Polar Lipids#44160)及び12gのTriton-X100(Merck 108643)を磁気撹拌しながら約200mlの脱塩水中に分散させた。3.0mlの0.6MのCaC12(p.a. Merck 1.02382)を添加した。体積を脱塩水で300mLに調節し、Ultra Thuraxを用いてエマルジョンを均質化した。基質を毎日新しく調製した。
[アッセイ手順]
酵素溶液を調製して、300μLの酵素を添加して0.06〜0.18ml/分で滴定曲線の傾斜を得た。
既知活性の対照試料が含まれる。
試料を脱塩水中に溶解させ、15分間、300rpmで撹拌した。25.00mlの基質を37.0℃に10〜15分間調節した後、0.05MのNaOHでpHを7.0に調節した。300μLの酵素溶液を基質に添加し、0.05MのNaOHでの連続滴定を、pH−Stat滴定装置(Phm 290, Mettler Toledo社製)を用いて実施した。2つの活性測定を各スケーリングで実施する。8分後、滴定をやめ、5から7分の間で滴定曲線の勾配を計算した。検出限界は、3TIPU/ml酵素溶液であった。
[計算]
ホスホリパーゼ活性(TIPU/g酵素)を以下の方法で計算した:
(式中:
αは、5から7分の間の反応時間での滴定曲線の勾配(ml/分)である。
Nは使用したNaOHの規定度(mol/l)である。
V1は、その中に酵素を溶解させた体積(ml)である。
mは、V1に添加された酵素の量(g)である。
V2は、基質に添加された酵素溶液の体積(ml)である)。
αは、5から7分の間の反応時間での滴定曲線の勾配(ml/分)である。
Nは使用したNaOHの規定度(mol/l)である。
V1は、その中に酵素を溶解させた体積(ml)である。
mは、V1に添加された酵素の量(g)である。
V2は、基質に添加された酵素溶液の体積(ml)である)。
[焼成プロトコル]
[レシピ]
[レシピ]
装置:
ミキサー:Diosna社製
加熱キャビネット
成形:Glimekラウンダー
プルーフィングキャビネット
オーブン:/MIWE社製
[手順]
1.すべての乾燥成分をボウル中で1分間混合し、水を添加する。
2.混合プログラム:2分間 遅−5.5分間 速
3.生地温度は約26℃でなければならない。
4.1350gを計る−成形
5.加熱キャビネット中で10分間30℃にて休ませる。
6.「Glimekラウンダー」(機械の表にしたがって設定)で成形する。
7.34°、85%RHで45分間試験する。
8.焼成
9.焼成後、ロールを25分間冷却した後、計量し、体積を測定する。
ミキサー:Diosna社製
加熱キャビネット
成形:Glimekラウンダー
プルーフィングキャビネット
オーブン:/MIWE社製
[手順]
1.すべての乾燥成分をボウル中で1分間混合し、水を添加する。
2.混合プログラム:2分間 遅−5.5分間 速
3.生地温度は約26℃でなければならない。
4.1350gを計る−成形
5.加熱キャビネット中で10分間30℃にて休ませる。
6.「Glimekラウンダー」(機械の表にしたがって設定)で成形する。
7.34°、85%RHで45分間試験する。
8.焼成
9.焼成後、ロールを25分間冷却した後、計量し、体積を測定する。
[焼成試験]
野生型−及びバリアントリパーゼを用いて2つの焼成試験を実施した。試験設定を表6及び表7に記載する。
野生型−及びバリアントリパーゼを用いて2つの焼成試験を実施した。試験設定を表6及び表7に記載する。
[脂質修飾の分析]
生地を試験後に集め(焼成レシピを参照)、直ちに凍結させた。その後、凍結生地試料を凍結乾燥し、コーヒーミルで粉砕した。生地試料から脂質を抽出し、以下のプロトコルにより分析した:
生地を試験後に集め(焼成レシピを参照)、直ちに凍結させた。その後、凍結生地試料を凍結乾燥し、コーヒーミルで粉砕した。生地試料から脂質を抽出し、以下のプロトコルにより分析した:
[脂質抽出]
6.0mLの水飽和ブタノール:エタノール(85:15(v/v))を1gの試料に添加し、次いで15秒間ボルテックスで混合した後、35rpmでローターミキサーに5分間入れた。その後、試料を97℃の水浴中に10分間入れ、続いてローターミキサーで35rpmにて1時間混合した。試料を次いで1370gで10分間遠心分離した。抽出された脂質を含む有機相である上清を次いで新しいガラス管に移した。
6.0mLの水飽和ブタノール:エタノール(85:15(v/v))を1gの試料に添加し、次いで15秒間ボルテックスで混合した後、35rpmでローターミキサーに5分間入れた。その後、試料を97℃の水浴中に10分間入れ、続いてローターミキサーで35rpmにて1時間混合した。試料を次いで1370gで10分間遠心分離した。抽出された脂質を含む有機相である上清を次いで新しいガラス管に移した。
HPTLCのために、1.5mLの抽出された脂質を70℃、窒素カバー下で蒸発させ、次いで400μLのヘキサン:イソプロパノール(3:2(v/v))中に再分散させた。3μLの再分散され抽出された脂質をTLCプレートに適用した(以下を参照)。
[HPTLC手順]
乾燥(160℃、20〜30分)により、HPTLCプレート(20×10cm、Merck no. 1.05641)を活性化し、標準及び試料を、Automatic HPTLC Applicator(ATS4, CAMAG社製)を用いて適用した。Automatic Developing Chamber(ADC2, CAMAG社製)(7cm)を用いてプレート溶出を実施した。溶出後、プレートを乾燥し(160℃、10分)、冷却し、展開液(16%H3PO4中6%酢酸銅)中に浸漬した(10秒)。乾燥(160℃、6分)後、TLCスキャナー(TLC Scanner 3、CAMAG社製)を用いてプレートを目視で評価した。
乾燥(160℃、20〜30分)により、HPTLCプレート(20×10cm、Merck no. 1.05641)を活性化し、標準及び試料を、Automatic HPTLC Applicator(ATS4, CAMAG社製)を用いて適用した。Automatic Developing Chamber(ADC2, CAMAG社製)(7cm)を用いてプレート溶出を実施した。溶出後、プレートを乾燥し(160℃、10分)、冷却し、展開液(16%H3PO4中6%酢酸銅)中に浸漬した(10秒)。乾燥(160℃、6分)後、TLCスキャナー(TLC Scanner 3、CAMAG社製)を用いてプレートを目視で評価した。
[結果]
第1焼成試験から得られた結果を表8及び図28で表す。
第1焼成試験から得られた結果を表8及び図28で表す。
図28は、第1焼成試験の結果を示し、これは脂肪分解酵素(KLM1、Mut4、Mut5及びMut9)並びに添加量(TIPU/kg小麦粉)の関数としてのパンの体積(ml/g)を示す。
表8及び図28からわかるように、3つの脂肪分解バリアントは全て野生型(KLM1)よりも有意に少ない酵素添加量でパンの体積を増大させた。第1焼成試験で得られた結果に基づいて、第2焼成試験を実施し、野生型リパーゼ(KLM1)よりも少ない脂肪分解バリアントを添加した。この実験から得られた結果を表9及び図29に示す。
図29は、第2の焼成試験から得られた結果、脂肪分解酵素(KLM1、Mut4、Mut5及びMut9)及び添加量(TIPU/kg小麦粉)の関数としてのパンの体積(ml/g)を示す。
第2の焼成試験からわかるように、脂肪分解酵素バリアントは、はるかに低い活性を有する野生型脂肪分解酵素を添加した場合と同程度のパンの体積を促進し、このことは、製パンにおけるそれらの性能が野生型脂肪分解酵素よりも優れていることを示す。
バリアント脂肪分解酵素及び野生型(KLM1)の前記焼成性能は、脂質分析により示される脂質修飾とうまく相関した。3つのバリアント脂肪分解酵素はすべて、ガラクト脂質フラクション(ジ−ガラクトシル−ジ−グリセリド(DGDG))の有意に高度の修飾を促進し、結果としてリゾ成分(ジ−ガラクトシル−モノ−グリセリド(DGMG))を生じた。
前記試験に加えて、Mut9、Mut345、Mut3459及びMut11について同じ方法及び材料を用いて焼成試験をさらに実施し、図31はこの試験の結果、すなわち、異なるバリアントを異なる添加量(mg/kg小麦粉)で用いて焼いたパンの相対的なパンの体積(%)を示す。
これらのデータからわかるように、バリアント脂肪分解酵素の焼成性能は、はるかに低い活性を有する野生型脂肪分解酵素を添加した場合と同程度又はより良好なパンの体積を促進し、このことは、製パンにおけるそれらの性能が野生型脂肪分解酵素(KLM1)よりも優れていることを示す。
KLM1脂肪分解酵素の相同性モデル
KLM1脂肪分解酵素の3D構造を示す3Dモデルを、修飾の部位を特定するために作成した。
KLM1脂肪分解酵素の3D構造を示す3Dモデルを、修飾の部位を特定するために作成した。
脂肪分解酵素のアミノ酸配列(本明細書中では配列番号2(KLM1)として示す)をProtein Data Bank(www.rcsb.org)中の全ての既知酵素構造と比較し、最も高い配列相同性を有する機知構造はサーモミセス・ラヌギノーサリパーゼエントリー1DT3であることが判明した。KLM1脂肪分解酵素のアミノ酸配列は、タンパク質データバンク構造中に存在する269残基にわたって40%の配列同一性しか共有しない。
Chemical Computing Group of Montreal社(Quebec Canada)製のコンピュータプログラムスイートMOE(著作権)の相同性モデリング機能を用いて、MOEプログラムスイートにおいてプログラムデフォルトを使用して、KLM1脂肪分解酵素の残基33〜296のモデルを作製した。結果として得られたモデルを図32においてサーモミセスリパーゼの基本構造と比較した。全体として、全体的なフォールドと、サーモミセスリパーゼトリアッドに重ねたKLM1脂肪分解酵素の触媒トリアッド残基、S174、D228及びH287とは非常によく一致する。
KLM1の触媒トリアッドはS174、D228及びH287である。
図32は、KLM1脂肪分解酵素の残基33〜296(濃い色の線)の相同性モデルと、淡い色の線で表したサーモミセスリパーゼ(pdbエントリー1DT3)の構造とを比較する立体図を示す。2つの構造は、サーモミセスリパーゼで見られる二次構造の共通の特性に対する位置で見られる相同性モデルの触媒トリアッドを有する二次構造の高い保存性を共有する。
3つの置換(すなわちK63、G78及びA190)の位置は相同性モデル中に位置していた。
K63N、G78N及びA190Nは、触媒トリアッドに対して遠位であるループ中にグリコシル化部位を導入する。触媒トリアッドに対するこれらの部位の位置を図33に示す。位置63での置換は、C54とC66との間のジスルフィド結合により形成されるループ中にある。位置78は、位置75が末端である予想されるらせんと、残基79から始まる中央混合βシートのβ鎖との間の隣接するループ中で見いだされる。位置190は、残基188から、らせんの末端及び中央混合βシートの別のβ鎖の始まりである残基195に伸びる別のループ中で見出される。
図33は、棒線画で示された触媒トリアッドに対する位置63、78及び190(空間を埋める表示で示す)での置換の相対的位置を示す立体図を示す。これらの位置は、触媒トリアッドから遠位であるループ中で見いだされることがわかる。
位置63、78及び190で置換を有するループに加えて、酵素の活性部位に対して類似した近位を共有するモデルにおいて幾つかの他のループを見出すことができる。これらのループのうちの3つはループ75〜79及びループ188〜195の間で見られ、これらは、中心シートの2つのβ鎖間、別のジスルフィド結合ループを形成するC129〜C135間及びらせんの末端と中央らせんの別の鎖の始まりとの間に存在する162〜167間に存在する残基99〜103により形成される。らせんと、中央らせん残基213〜221の鎖との間にもう一つ別のループがある。触媒トリアッドに対するこれらのループの位置を図34に示す。
図34は、相同性モデルに基づくKLM1脂肪分解酵素中の遠位のループの位置を示す立体図を示す。これらのループは、空間を埋める表示で示された位置63、78及び190での置換の位置を組み入れ、棒線画として示した触媒トリアッドに対して遠位である。これらのループは、残基54〜66、75〜79、99〜103、127〜135、162〜167、188〜195及び213〜221を含む。
前記明細書中で記載の全ての刊行物は、参照することにより本明細書中に組み込まれる。記載された方法及び本発明の系の種々の修飾及び変更は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を具体的な好ましい実施形態に関連して記載したが、請求される本発明は、そのような具体的な実施形態に不必要に限定されるべきではないと理解されるべきである。実際、生化学及びバイオテクノロジーの分野の熟練した人々には明らかな、本発明を実施するために記載された様式の種々の修飾は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
Claims (61)
- バリアント脂肪分解酵素を調製する方法であって、真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有し、かつコードされたアミノ酸配列において、
a)もとの真菌脂肪分解酵素と比較して、前記アミノ酸配列における少なくとも1つのグリコシル化部位(若しくは1つのさらなるグリコシル化部位)の導入;
b)ポリペプチド上の表面位置、及び前記酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での、(もとのアミノ酸と比較して)さらに親水性の高い少なくとも1つのアミノ酸の導入;又は
c)位置33、63、78、190、305、306若しくは320の1又は2以上における置換若しくは挿入、
に相当する位置での少なくとも1つの修飾
或いは位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失
を含むヌクレオチド配列を宿主生物において発現させることを含み、
各アミノ酸位置が、配列番号2とアラインさせた場合に該アミノ酸配列の位置に対応し、前記ヌクレオチド配列が、配列番号22又は配列番号23で示される真菌脂肪分解酵素をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する場合、前記修飾が位置63での置換でなく、前記欠失が位置311〜312においてではない、方法。 - 修飾前の真菌脂肪分解酵素がグリコシル化部位を含まない、請求項1記載の方法。
- ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号24、又は配列番号24の位置23〜106で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜1063で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜929で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する、請求項1又は2記載の方法。
- 脂肪分解酵素を産生させる方法であって、配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26を含むヌクレオチド配列;又はそれと少なくとも98%の同一性を有するヌクレオチド配列;又は遺伝子コードの縮重により配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26のヌクレオチド配列と関連する核酸を宿主生物において発現させることを含む、方法。
- 修飾が、ポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位に対して遠位の外部ループ中の位置での少なくとも1つのグリコシル化部位の導入に相当する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- ポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位に対して遠位である外部ループ中の位置に位置する1又は2以上のアミノ酸が、もとのアミノ酸よりも親水性の高いアミノ酸で置換されるように、ヌクレオチド配列が修飾された、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 1又は2以上の親水性アミノ酸がポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位に対して遠位の外部ループ中の位置で挿入されるように、ヌクレオチド配列が修飾される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- コードされたアミノ酸配列において、1又は2以上のアミノ酸が置換又は挿入されて、1又は2以上のコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはProを除く任意のアミノ酸であり得る)が得られるように、ヌクレオチド配列が修飾される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- コードされたアミノ酸配列において、1又は2以上のAsn、Ser又はThrが導入されるように、ヌクレオチド配列が修飾される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのグリコシル化部位が導入される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 配列番号2と比較して、タンパク質のC末端プロセッシングを増強するように、ヌクレオチド配列がさらに修飾される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- C末端がアミノ酸位置306以降であり、前記位置が、アラインさせた場合の配列番号2のアミノ酸配列中の位置に対応する、請求項10記載の方法。
- C末端プロセッシングが、位置306若しくは320での置換又は挿入、或いは前記C末端中の1若しくは2以上のKEX2位置での欠失のうち、1又は2以上を含み、各位置が、配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応する、請求項10又は11記載の方法。
- C末端プロセッシングが、位置306若しくは320での置換又は位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失の、1又は2以上を含み、各位置が、配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応する、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
- 位置33、63、78、190及び305の1又は2以上において置換があるように、ヌクレオチド配列が修飾され、アミノ酸がNで置換されている、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 位置306で置換があるようにヌクレオチド配列が修飾され、アミノ酸がK又はR又はA以外の任意のアミノ酸で置換され、好ましくは位置306での前記置換がアミノ酸Sでの置換である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
- 位置320で置換があるようにヌクレオチド配列が修飾され、アミノ酸がT以外の任意のアミノ酸で置換され、好ましくは位置320での前記置換がアミノ酸Eでの置換である、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
- 宿主生物が、真菌、好ましくはトリコデルマ属由来、さらに好ましくはトリコデルマ・リーゼイ種由来である、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜18のいずれかに記載の方法によって得られるポリペプチド(プレプロポリペプチド又は脂肪分解酵素)。
- 脂肪分解酵素をコードし、かつコードされたアミノ酸配列において、a)前記アミノ酸配列中の少なくとも1つのグリコシル化部位の導入;b)ポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置での少なくとも1つの親水性アミノ酸の導入;又は
c)位置33、63、78、190、305、306若しくは320の1又は2以上における置換若しくは挿入
に相当する位置での少なくとも1つの修飾
或いは
位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失を含むヌクレオチド配列を含む核酸であって、
各アミノ酸位置が配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応し、前記ヌクレオチド配列が配列番号22又は配列番号23として示される真菌脂肪分解酵素をコードする場合、前記修飾は位置63での置換でなく、前記欠失は位置311〜312においてではない、核酸。 - 修飾前の真菌脂肪分解酵素がグリコシル化部位を含まない、請求項20記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号24、又は配列番号24の位置23〜106で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜1063で示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24の位置113〜929で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する、請求項20又は21記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、ポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位に対して遠位である外部ループ中の位置に位置する1又は2以上のアミノ酸の、もとのアミノ酸よりも親水性の高いアミノ酸での置換に相当する少なくとも1つの修飾を含む、請求項20〜22のいずれかに記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、ポリペプチド上の表面位置で、及び酵素の活性部位に対して遠位の外部ループ中の位置での1又は2以上の親水性アミノ酸の挿入に相当する少なくとも1つの修飾を含む、請求項20〜23のいずれかに記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、コードされたタンパク質において1又は2以上のコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはProを除く任意のアミノ酸であり得る)を提供するような1若しくは2以上のアミノ酸の置換又は挿入に相当する少なくとも1つの修飾を含む、請求項20〜24のいずれかに記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、コードされたタンパク質中への1又は2以上のAsn、Ser又はThrの導入に相当する修飾を含む、請求項20〜25のいずれかに記載の核酸。
- 少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのグリコシル化部位をコードするコドンを含む、請求項20〜26のいずれかに記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、配列番号2と比較して、タンパク質のC末端プロセッシングを増強するための、前記配列のC末端領域における修飾を含む、請求項20〜27のいずれかに記載の核酸。
- C末端がアミノ酸位置306以降をコードするヌクレオチド配列から構成され、前記位置が、アラインさせた場合の配列番号2のアミノ酸配列中の位置に対応する、請求項28記載の核酸。
- C末端領域における修飾が、位置306若しくは320での置換又はは挿入、或いはコードされたタンパク質のC末端における1若しくは2以上のKEX2位置での欠失をもたらす1又は2以上の修飾を含み、各位置が配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応する、請求項28又は29記載の核酸。
- 修飾が、位置306若しくは320での置換又は位置311〜312若しくは307〜319の1又は2以上における欠失のうち、1又は2以上をもたらす修飾を含み、各位置が配列番号2のアミノ酸配列の位置に対応する、請求項28〜30のいずれかに記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が位置63、78、190及び305の1又は2以上における置換をもたらす修飾を含み、コードされたタンパク質においてアミノ酸がNで置換されている、請求項20〜31のいずれかに記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、コードされたタンパク質において位置306での置換をもたらす修飾を含み、前記置換がK又はR又はA以外の任意のアミノ酸での置換であり、好ましくは位置306での前記置換がアミノ酸Sでの置換である、請求項20〜32のいずれかに記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が、位置320での置換をもたらす修飾を含み、アミノ酸がT以外の任意のアミノ酸で置換され、好ましくは位置320での前記置換がアミノ酸Eでの置換である、請求項20〜33のいずれかに記載の核酸。
- 極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26;又は配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20若しくは配列番号26と少なくとも98%(好ましくは少なくとも99%、さらに好ましくは少なくとも99.5%、さらに好ましくは少なくとも99.8%)の同一性を有するヌクレオチド配列;又は遺伝子コードの縮重により、配列番号8、配列番号6、配列番号4、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20又は配列番号26のヌクレオチド配列と関連する核酸を含むヌクレオチド配列。
- 請求項20〜35のいずれかに記載の核酸又はヌクレオチド配列によってコードされるバリアントポリペプチド。
- 極性脂質におけるエステル結合に対して加水分解活性を有し、かつ配列番号2のアミノ酸33〜296と少なくとも90%の同一性を有し、配列番号2で示される配列と比較して、
a)アミノ酸配列中に少なくとも1つのグリコシル化部位を導入するため;
b)ポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位(触媒トリアッド)に対して遠位の外部ループ中の位置で少なくとも1つの親水性アミノ酸を導入するため;又は
c)位置33、63、78若しくは190の少なくとも1又は2以上においてアミノ酸を置換若しくは挿入するための
修飾がなされたアミノ酸配列を含むバリアントポリペプチドであって、各アミノ酸位置が配列番号2で示されるアミノ酸配列の位置に対応する、バリアントポリペプチド。 - ポリペプチド上の表面位置、及び酵素の活性部位に対して遠位である外部ループ中の位置に位置する1若しくは2以上のアミノ酸が、もとのアミノ酸よりも親水性の高いアミノ酸で置換されている、請求項37記載のポリペプチド。
- 1又は2以上の親水性のアミノ酸が、ポリペプチド上の表面位置で、及び酵素の活性部位に対して遠位の外部ループ中の位置で挿入されている、請求項37又は38記載のポリペプチド。
- 1若しくは2以上のコンセンサス配列Asn−Xxx−Ser又はAsn−Xxx−Thr(ここで、XxxはProを除く任意のアミノ酸であり得る)が得られるように、1又は2以上のアミノ酸が置換又は挿入されている、請求項37又は38記載のポリペプチド。
- 1又は2以上のAsn、Ser又はThrが導入されている、請求項37〜40のいずれかに記載のポリペプチド。
- 位置33、63、78、190の1又は2以上での修飾が、その位置のアミノ酸のアミノ酸Nでの置換である、請求項37〜41のいずれかに記載のポリペプチド。
- 少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのグリコシル化部位が導入されている、請求項37〜42のいずれかに記載のポリペプチド。
- バリアントポリペプチドがホスホリパーゼ活性又はガラクトリパーゼ活性を有する、請求項19及び36〜45のいずれかに記載のポリペプチド。
- 請求項19及び36〜5のいずれかに記載のポリペプチドであって、以下の修飾:
- 宿主生物において翻訳後にプロセスする場合、極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有するポリペプチドを産生するプレプロポリペプチドであって、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25として示されるアミノ酸配列を含む、プレプロポリペプチド。
- 極性脂質中のエステル結合に対する加水分解活性を有するポリペプチドであって、配列番号9、配列番号7、配列番号5、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21又は配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むプレプロポリペプチドから得ることができる、ポリペプチド。
- 宿主生物由来の脂肪分解酵素の発現を増強させるための請求項20〜35のいずれかに記載の核酸の使用。
- 宿主生物が、真菌、好ましくはトリコデルマ種、好ましくはトリコデルマ・リーゼイである、請求項49記載の使用。
- 請求項19、36〜45及び47のいずれかに記載のポリペプチドを食料品の1又は2以上の成分に添加することを含む、食料品の作製方法。
- 請求項19、36〜45及び47のいずれかに記載のポリペプチドを生地に添加すること、及び前記生地を焼いて、ベークド製品を作製することを含む、ベークド製品の作製方法。
- 食料品が:卵又は卵ベースの製品;ベークド製品;麺;トルティーヤ;生地;菓子類;冷凍製品;チーズをはじめとする乳製品;ムース;植物性ホイップクリーム;並びに食用油脂;エアレイテッド(aerated)及び非エアレイテッド(non-aerated)ホイップ製品;水中油エマルジョン及び油中水エマルジョン;マーガリン;ショートニング;低脂肪及び超低脂肪スプレッドをはじめとするスプレッド;ドレッシング;マヨネーズ;ディップ;クリームベースのソース;クリームベースのスープ;飲料;スパイスエマルジョン及びソースの1又は2以上である、請求項50記載の方法。
- リン脂質を請求項19、36〜45及び47のいずれかに記載のポリペプチドで処理して、リゾリン脂質を作製することを含む、リゾリン脂質を調製する方法。
- 糖脂質を請求項19、36〜45及び47のいずれかに記載のポリペプチドで処理して、リゾ糖脂質を作製することを含む、リゾ糖脂質を調製する方法。
- 食用油又は植物油を請求項19、36〜45及び47のいずれかに記載のポリペプチドで処理して、その中に存在する極性脂質の大部分を加水分解することを含む、植物油又は食用油の酵素的脱ガムのプロセス。
- 請求項50又は52記載の方法によって得られる食料品。
- 請求項51記載の方法によって得られるベークド製品。
- 請求項19、36〜45及び47のいずれかに記載のバリアントポリペプチドを含むパン改善組成物又は生地改善組成物。
- 請求項54記載のパン改善組成物又は生地改善組成物を含む生地又はベークド製品。
- 実施例及び図面を参照して本明細書中で一般的に定義されるバリアントポリペプチド。
- 実施例及び図面を参照して本明細書中で一般的に定義される方法。
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