JP2008529530A - 向上した機能を有する新規な蛋白質及び円順列変異を使用した新規な蛋白質を生成する方法 - Google Patents

向上した機能を有する新規な蛋白質及び円順列変異を使用した新規な蛋白質を生成する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、天然の蛋白質又はペプチドに対して新規でかつ/又は向上した機能及び/又は性質を有する新規な蛋白質及びペプチド、並びに円順列変異及び蛋白質操作技術を使用して前記新規な蛋白質及びペプチドを作成する方法に関する。

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年2月10日出願の「Lipase Variants from Candida Antarctica」と題された同時係属の米国仮特許出願シリアル番号60/651,850、2005年7月1日出願の「Lipase Variants from Candida Antarctica」と題されたシリアル番号60/696,325、2005年9月6日出願の「Circularly Permuted Proteins and Methods of Using Circular Permutation to Improve Protein Design and Activity」と題されたシリアル番号60/714,462、及び2005年10月12日出願の「Circularly Permuted Proteins and Methods of Using Circular Permutation to Improve Protein Design and Activity」と題されたシリアル番号60/726,009に基づく優先権を主張し、そのそれぞれが参照によりここに完全に組み込まれている。
(連邦により支援された研究又は開発に関する宣言)
本発明は国立科学財団によって与えられた認可番号CHE‐0404677の下で、政府の支援により行われた。政府は本発明について一定の権利を有する。
(開示の分野)
本開示は、一般に新規でかつ/又は向上した機能及び/又は性質を有する新規な蛋白質及びペプチド、並びに前記新規な蛋白質及びペプチドを作成する方法に関する。
(背景)
リパーゼは、非対称バイオ触媒(biocatalysis)において重要な役割を果たす。広義の基質特異性、一般に高部位(regio)‐及びエナンチオ‐選択性並びに水性及び有機の反応媒質におけるその能力は、速度論的分割、誘導体化、キラル合成、及びエステルの重合のために、それらを多用途なツールにする。リパーゼは、形成、加水分解、及びエステル結合の置換(エステル交換)、アミド結合などに触媒作用を及ぼし得る。それらは、精製化学製品及び調合薬、並びに洗濯洗剤のような多量製品のためのキラルビルディングブロックの生成において重要なバイオ触媒である。
特定の基質のための適切な酵素は、自然のリパーゼを選別することによって識別され、又は蛋白質工学によって調整され得る。後者の場合は、合理的な蛋白質設計、ランダム変異導入法、及びDNAシャッフリングが、変化した特異性、選択性、及び安定性を備えた実験用触媒を生成した。しかしながら、天然及び研究室で作られた(lab-made)リパーゼは、多量の、二級の及び三級のアルコールのエステルのような、大きい基質のためのエナンチオ選択性及び活性をほとんど示さない。前記基質の乏しい代謝回転の原因はリパーゼ活性部位における立体障害から生じ、まだ蛋白質設計が今までのところ改良された生体触媒を生成できないことが仮定される。新規へ前記酵素を調整するので、非天然な基質は蛋白質設計の最初の課題の一つである。円順列変異は、そのような課題に対応する能力を提供し得る。
円順列変異は、どこにポリペプチドの正常な末端が連結され、かつ新しい末端が他の場所に骨格を壊すことによって生成されるかという技術である。多くのポリペプチドにおいて正常な末端は近接近において存在し、かつ乏しいアミノ酸配列によって結合され得る。ポリペプチド骨格における中断は任意の点、好適にはポリペプチドの機能及びフォールドが破壊されない点において存在し得る。円順列変異は新しいC‐及びN‐末端を生成するので、前記技術は、融合されたペプチド又は蛋白質が宿主蛋白質上の異なる場所において付着されるところに、融合蛋白質の生成においてたびたび使用される。例えば、もし天然の末端が基礎蛋白質の内部において存在するなら、それは天然の末端においてペプチド又は蛋白質を付着するために破壊的になり得る。宿主蛋白質の内部近くの場所へ付着場所を変更することによって、宿主蛋白質の安定性は維持され得る。
円順列変異は、従来の欠失変異体を使用している利用できない方法において、リガンド結合上の除去又は骨格転位の生物物理学的な結果を調査する実験的な方法を提供する。円順列変異蛋白質は、蛋白質のフォールド問題を調査するために使用される(Yang Yら(1993年)Proc Natl Acad Sci US. 90:11980-1984、Graf Rら(1996年)Proc Natl Acad Sci USA 93:11591-11596)。自然発生的と人工の両方の円順列変異蛋白質は識別される(Heinemann Uら(1995年)Prog Biophys Molec Biol 64:122-143、Lindqvist Yら(1997年)Curr Opinion Struc Biol 7:422-427、Goldenberg D Pら(1983年)J Mol Biol 164:407-413、Luger Kら(1989年)Science 243-206-209)。PastanらU.S.Pat.No.5,635,599は、円順列変異インターロイキン4(IL4)から生成された融合蛋白質を開示する。
上述されたように、円順列変異は一般に、新しい末端を生成するために選択された点におけるポリペプチド鎖を分離し、かつ直接かそれともアミノ酸リンカーのようなリンカーを通じて二つの天然の末端に橋渡しをすることによって生成される。従って、円順列変異は異なる場所において新しい末端を生成する一方で、蛋白質のアミノ酸の配列及び同一性を本質的に保存している効果を有する。さらに、蛋白質の三次構造が一般的に保存される。円順列変異蛋白質は、化学的に生成され得るか又は組み換え技術によって生成され得る。
(要旨)
簡潔に説明すると、本開示の実施例は、新規又は改良された/強化された機能又は性質を有する新規蛋白質を含む。本開示の実施例において、新規蛋白質は、任意にリンカー配列を備えたものと、合致している天然蛋白質の天然アミノ末端及びカルボキシ末端先端と異なる新しいアミノ末端及びカルボキシ末端先端を連結された天然アミノ末端及びカルボキシ末端先端を有する円形に順序を変えられる。いくつかの好適な実施例において、円順列変異蛋白質は、合致している天然蛋白質を超えて、少なくとも一つの改良を含む。その改良は、制限されないが、増加された活性、増加された活性部位への接近可能性、増加された活性部位の柔軟性、増加されたエナンチオ選択性及び広範及び/又は変更された基質特異性を含み得る。
本開示の円順列変異蛋白質の実施例は、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの円順列変異蛋白質をさらに含む。α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの円順列変異蛋白質は、任意にリンカー配列を備えたものと、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの合致している天然蛋白質の元のアミノ末端及びカルボキシ末端先端と異なる新しいアミノ末端及びカルボキシ末端先端を連結された元のアミノ末端及びカルボキシ末端先端を含む。好適な実施例において、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの円順列変異蛋白質は、合致している天然蛋白質を超えて、少なくとも一つの改良を含み、その改良は、制限されないが、増加された活性、増加された活性部位への接近可能性、増加された活性部位の柔軟性、増加されたエナンチオ選択性及び広範又は変更された基質特異性を含んでいる。
本開示の円順列変異蛋白質及びα/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの円順列変異蛋白質は、さらに少なくとも一つの二次変異を含む。本開示の実施例において、二次変異は、異なるアミノ酸又はその組み合わせを備えた一以上のアミノ酸の欠失、挿入又は置換から選択される。二次変異は、二級の円順列変異蛋白質をもたらす。好適な実施例において、二級の円順列変異蛋白質は、合致する天然蛋白質及び合致する円順列変異蛋白質を超えて、少なくとも一つの改良を有する。その改良は、制限されないが、増加された活性、増加された安定性、広範又は変更された基質特異性、増加された活性部位の柔軟性、増加されたエナンチオ選択性及びその組み合わせを含む。
本開示は、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの新規蛋白質を生成する方法をさらに含む。その方法は、制限されないが、以下の段階を含む。活性部位、アミノ末端先端及びカルボキシ末端先端を有するα/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの天然蛋白質を選択し、環状蛋白分子を形成するために天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端先端を連結し、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの円順列変異蛋白質のライブラリを生成し、そしてそこで、ライブラリにおいて少なくとも一つの円順列変異蛋白質は、天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端先端と異なる新しいアミノ末端及びカルボキシ末端先端を有する天然蛋白質の変異であり、ライブラリから機能的な変異を選択し、そして、天然蛋白質に関して改良のために選択された機能的な変異を分析する。そのような改良は、制限されないが、増加された活性、増加された接近可能性、増加されたエナンチオ選択性、増加された活性部位の柔軟性、増加された安定性、広範及び/又は変更された基質特異性、及びその組み合わせを含む。
本開示の方法は、以下の段階を含んでいる新規蛋白質を生成する方法をさらに含む。活性部位、アミノ末端先端及びカルボキシ末端先端を有する天然蛋白質を選択し、環状蛋白分子を形成するために天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端先端を連結し、円順列変異蛋白質のライブラリを生成し、そしてそこで、ライブラリにおいて少なくとも一つの円順列変異蛋白質は、天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端先端と異なる新しいアミノ末端及びカルボキシ末端先端を有する天然蛋白質の変異であり、ライブラリから機能的な変異を選択し、許容される置換の位置を決定するための機能的な変異における新しいアミノ末端及びカルボキシ末端先端の位置をマッピングし、蛋白質の結合部位の近くに位置づけられた新しいアミノ末端及びカルボキシ末端先端を有する機能的な変異を選択し、天然蛋白質に関して改良のために選択された機能的な変異を分析し、その場所で改良が増加された活性、増加された接近可能性、増加されたエナンチオ選択性、増加された安定性、広範又は変更された基質特異性から選択される。
上述された本開示の新しい円順列変異蛋白質を生成する方法は、少なくとも一つの二級の円順列変異蛋白質を生成するために、一以上の選択された機能的な変異上で実行、二次的には設計することをさらに含む。いくつかの実施例において、二次的な設計は、円順列変異蛋白質に少なくとも一つの二次変異を導入することを含む。そしてそこで、二次変異は、制限されないが、欠失、挿入及び/又は円順列変異蛋白質の一以上のアミノ酸の置換又はその組み合わせを含む。二次変異は、二級の円順列変異蛋白質をもたらす。好適な実施例において、二級の円順列変異蛋白質は、合致する天然蛋白質及び合致する円順列変異蛋白質を超えて、少なくとも一つの改良を有する。その改良は、制限されないが、増加された活性、増加された安定性、広範又は変更された基質特異性、増加された活性部位の柔軟性、増加されたエナンチオ選択性、及びその組み合わせを含む。
本開示の他の側面、組成、方法、特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な説明の試験の上で当業者に明らかになり又はなり得る。そのような全ての付加的な組成、方法、特徴、及び利点は、本記述内に含まれ、本開示の範囲内になり、かつ添付の特許請求の範囲によって保護される。
(詳細な説明)
本開示の実施例は、別途示されない限り、当業者の技術の範囲内の有機合成化学、生化学、分子生物学等の従来の技術を使用する。そのような技術は、文献において十分に説明されている。
以下の実施例は、ここで特許請求され開示された方法をどのように実行し、ここで特許請求され開示された組成をどのように使用するかの完全な記述及び開示を当業者に提供するために提案される。取り組みは、番号について(例えば量、温度など)正確さを確実にしたが、いくつかの誤り及び偏差は説明されるべきである。別途示されない限り、割合は重さによる割合で、温度は°Cで、圧力は大気又はその近くである。標準温度及び圧力は、20°C及び1気圧として定義される。
本開示の実施例が詳細に述べられる前に、別途示されない限り本開示は、特定の物質、試薬、物質反応、製造工程又はそのような変化し得るような同種のものに制限されないことが理解される。ここで使用された専門用語は、特定の実施例だけの記述する目的とし、かつ制限されることを目的としていないことがさらに理解される。手順は、これが論理的に可能であるところに、異なる配列において実行され得ることを本開示においてさらに可能にする。
明細書及び添付の請求項において用いられるように、単数形「a」「an」及び「the」は、文脈が明確に別途指示をしない限り、複数の指示対象を含むことを記述されなければならない。従って、例えば「a support(一つの支持部)」への言及は、複数のsupportを含む。本明細書及び以下の請求項において、反対の意思が明白でない限り、参照は以下の意味を有することを定義されるべきである複数の用語にされ得る。
(定義)
ここで用いられるような「円順列変異」は、直鎖状分子を取り、環状分子を形成するために(直接に又はリンカーを通じて)終端を結合し、次に異なる末端を備えた新しい直鎖状分子を形成するために異なる位置において環状分子を切断する過程を指す。円順列変異はさらに、ここで定義されるような円順列変異蛋白質をもたらすいくつかの過程を含む。従って円順列変異は、異なる位置において新しい末端を生成しながら、配列及び蛋白質のアミノ酸の識別を保存する。
ここで用いられるような「円順列変異」「円順列変異蛋白質」及びその変形の用語は、DNA、RNA及び蛋白質、本質的に任意の直鎖状分子を指す。前記直鎖状分子は、環状分子を生成するために、末端が共に、直接に又はリンカーを通じてのどちらかで結合され、その後環状分子は、元の天然の/分子において末端の異なる末端と共に、新しい直鎖状分子を生成するために別の位置において開かれる。円順列変異は、構造が円形にされその後開かれた分子と等しいそれらの分子を含む。従って、円順列変異分子は直鎖状分子のように新たに合成され得て、かつ環状化及び開いている段階を決して経由しない。蛋白質又はペプチドの特定の円順列変異又は蛋白質、又はペプチドのように符号化しているポリヌクレオチドは、N‐末端が円順列変異ポリペプチドにおいて今存在するアミノ酸の剰余数を受けて、接頭辞「cp」(「円順列変異」に関して)によって表される。従って、記号表示cp44は、新しいN‐末端(例えば以下の新しく開いている場所における、又はペプチド結合が排除される)が非順列変異又は野生型蛋白質のアミノ酸44において存在する円順列変異蛋白質を指定する。
用語「非順列変異」「天然の」「野生型」又は「変更されていない」ポリペプチド、蛋白質又は酵素は、上述されたような円順列変異分子への再配置より前にポリペプチド、蛋白質又は酵素のために基準点を提供するためにここで使用される。典型的に、修正されていない、天然の又は野生型ポリペプチド、蛋白質又は酵素は、一般に自然に又は生体内で生じるようなポリペプチド、蛋白質又は酵素のアミノ酸配列へ実質的に一致するアミノ酸配列を有する。
ここで使用されるような「リンカー」又は「リンカー配列」の用語は、蛋白質のアミノ及びカルボキシル末端又はその対応する核酸配列(例えば蛋白質を符号化しているRNA又はDNA分子)を結合するために使用される分子を指す。リンカーは、アミノ及びカルボキシル末端の両方に共有結合を形成し得る。適切なリンカーは、当業者に良く知られ、制限されないが、直鎖状又は分鎖炭素リンカー、複素環炭素リンカー又はペプチドリンカーを含む。リンカーは、その側基を通して(例えばシステインへジスルフィド結合を通して)カルボキシル及びアミノ末端アミノ酸に結合し得る。しかしながら、参照された実施例において、リンカーは、アルファ炭素アミノ及び末端アミノ酸のカルボキシル基へ結合され得る。蛋白質の野生型末端を結び付けるための別の方法は、天然アミノとカルボ酸部分間の直接のつながりである。用語「リンカー」は、結合ペプチド配列に対応している核酸配列をさらに参照し得る。いくつかの具体例において、円順列変異蛋白質は、対応するDNA又はRNA配列の端を結び付けること、環状核酸配列を切断することによって様々な順列変異体を形成することと後に円順列変異蛋白質を形成するために核酸配列を翻訳することによって生成される。
ここで使用されるような「残基」の用語は、ペプチドの中へ組み込まれるアミノ酸を指す。アミノ酸は、別途制限されない限り、自然にアミノ酸を生じ、同じようにアミノ酸を自然に生じるように機能し得る天然アミノ酸の既知の類似物を包囲し得る。
円順列変異に言及する時に、ここで使用されるような「開放部位」の用語は、ペプチド結合が新しいアミノ及びカルボキシル末端を形成するために排除され得る位置を指す。開放部位は、円順列変異蛋白質の新規アミノ及びカルボキシル末端になる順序を変えられない(天然の)蛋白質のアミノとカルボキシル末端間に位置づけられた一対のアミノ酸の位置によって指定される。
ここで使用されるような「ポリヌクレオチド」は、単一又は多重の取り残された構造を含む。そしてそこでは一以上のストランドは、完全に似たようなものを整列され得る又はされ得ない。「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」の用語は、一般的なポリデオキシヌクレオチド(polydeoxynucleotide)(2‐デオキシ‐D‐リボースを含んでいる)、ポリリボヌクレオチド(D‐リボースを含んでいる)、プリン又はピリミジン塩基のN‐配糖体であるポリヌクレオチドの任意の他の型、及び従来の骨格が不自然に生じる又は合成の骨格と交換されるか、又は一以上の従来の塩基が不自然に生じる又は合成の塩基と交換される他のポリマーになり得る。「オリゴヌクレオチド」は、たびたびそれらは交互に用いられるけれども、「ポリヌクレオチド」が1より大きいいくつものヌクレオチドを有するヌクレオチドマルチマーを含む一方、長さ約2から100までのヌクレオチドのヌクレオチドマルチマーを一般に指す。
「ヌクレオチド」は、サブユニットのアナログと同様にリン酸基、糖類及び塩基を含んでいる窒素を含む核酸(DNA又はRNA又はそのアナログかどれか)のサブユニットを指す。
「ヌクレオシド」は、糖類及び塩基を含んでいる窒素を含んでいる核酸サブユニットを指す。用語「ヌクレオチド」は、本開示の実施例を記述するために主としてここで用いられるが、当業者は「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」の用語が大抵の場合置き換え可能であることを理解し得ることを言及されるべきである。当業者は、ヌクレオシドが適切になり得て、かつ当業者がそのような知識を有するために追加の修正に理解を有し得る。
「ヌクレオシド部分」は、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド又はヌクレオシドホスホロアミダイト(phosphoramidite)のような一部のより大きい分子のような糖類及び塩基を含んでいる窒素(ヌクレオチドにあるような)を有する分子を指す。
「ヌクレオチドモノマー」は、より大きいオリゴ‐又はポリ‐ヌクレオチド鎖において組み込まれないかつ単一のヌクレオチドサブユニットに対応する分子を指す。活性化し、保護する基がヌクレオチドモノマーの意図された使用のために必要とするのであれば、ヌクレオチドモノマーは、活性化し、保護する基をさらに有し得る。
ここで使用されたような「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」は、天然に生じるプリン及びピリミジン塩基、例えばアデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)、又はウラシル(U)だけでなく、修正されたプリン及びピリミジン塩基及び修正されている他の複素環塩基も含む部分を含み得ることを理解する(これらの部分は時々ここで「プリン及びピリミジン塩基及びそのアナログ」のように集合的に参照される。)。そのような修正は、例えばジアミノプリン及びその派生物、イノシン及びその派生物、アルキル化プリン又はピリミジン、アシル化プリン又はピリミジン、チオール化(thiolated)プリン又はピリミジン及び同類のもの、又はアセチル、ジフルオロアセチル(difluoroacetyl)、トリフルオロアセチル、イソブチリル基、ベンゾイル、9‐フルオレニルメトキシカルボニル(fluorenylmethoxycarbonyl)、フェノキシアセチル(phenoxyacetyl)、ジメチルホルムアミジン(dimethylformamidine)、N,N‐ジフェニルカルバメート(diphenyl carbamate)、又は同様のもののような保護する基の追加を含む。プリン又はピリミジン塩基は、前述のアナログにさらになり得る。適切なアナログは、当業者に知られ得るし、かつ適切な文章及び文献において記述される。共通のアナログは、制限されないが、1‐メチルアデニン(methyladenine)、2‐メチルアデニン、N6‐メチルアデニン、N6‐イソペンチルアデニン(isopentyladenine)、2‐メチルチオ‐N6‐イソペンチルアデニン、N,N‐ジメチルアデニン(dimethyladenine)8‐ブロモアデニン(bromoadenine)、2‐チオシトシン(thiocytosine)、3‐メチルシトシン(methylcytosine)、5‐メチルシトシン、5‐エチルシトシン(ethylcytosine)、4‐アセチルシトシン(acetylcytosine)、1‐メチルグアニン、2‐メチルグアニン、7‐メチルグアニン、2,2‐ジメチルグアニン(dimethylguanine)、8‐ブロモグアニン(bromoguanine)、8‐クロログアニン(chloroguanine)、8‐アミノグアニン(aminoguanine)、8‐メチルグアニン、8‐チオグアニン、5‐フルオロウラシル、5‐ブロモウラシル、5‐クロロウラシル(chlorouracil)、5‐ヨードウラシル(iodouracil)、5‐エチルウラシル(ethyluracil)、5‐プロピルウラシル(propyluracil)、5‐メトキシウラシル(methoxyuracil)、5‐ヒドロキシメチルウラシル(hydroxymethyluracil)、5‐(カルボキシヒドロキシメチル(carboxyhydroxymethyl))ウラシル、5‐(メチルアミノメチル(methylaminomethyl))ウラシル、5‐(カルボキシメチルアミノメチル(carboxymethylaminomethyl))‐ウラシル、2‐チオウラシル、5‐メチル‐2‐チオウラシル、5‐(2‐ブロモビニル(bromovinyl))ウラシル、ウラシル‐5‐オキシ酢酸、ウラシル‐5‐オキシ酢酸メチルエステル、擬似ウラシル(pseudouracil)、1‐メチル擬似ウラシル、キューオシン(queosine)、イノシン、1‐メチルイノシン(methylinosine)、ヒポキサンチン、キサンチン、2‐アミノプリン、6‐ヒドロキシアミノプリン(hydroxyaminopurine)、6‐チオプリン及び2,6‐ジアミノプリンを含む。
「インターヌクレオチド(internucleotide)結合」は、自然界に見られる核酸におけるホスホジエステル結合のような、又は核酸及び核酸アナログの合成の技術から良く知られるような結合のような二つのヌクレオシド部分間での化学結合を指す。インターヌクレオチド結合は、リンの又は亜リン酸塩基を含み、かつ一以上のリンの又は亜リン酸塩基の酸素原子が置換基とともに修正されるか、又は例えば硫黄原子、又はモノ‐又はジ‐アルキルアミノ基のような別の原子に置き換えられるところの結合を含み得る。
用語「ポリペプチド」及び「蛋白質」は、蛋白質及びその残留物質を含む。ポリペプチドは、アミノ酸残基配列としてここに開示される。それらの配列は、左から右へアミノからカルボキシ末端への方向で書かれている。標準名称法に従って、アミノ酸残基配列は、次の通りに表示されるように三文字又は一つの文字コードのどちらかによって命名される。アラニン(Ala,A)、アルギニン(Arg,R)、アスパラギン(Asn,N)、アスパラギン酸(Asp,D)、システイン(Cys,C)、グルタミン(Gln,Q)、グルタミン酸(Glu,E)、グリシン(Gly,G)、ヒスチジン(His,H)、イソロイシン(Ile,I)、ロイシン(Leu,L)、リジン(Lys,K)、メチオニン(Met,M)、フェニルアラニン(Phe,F)、プロリン(Pro,P)、セリン(Ser,S)、トレオニン(Thr,T)、トリプトファン(Trp,W)、チロシン(Tyr,Y)及びバリン(Val,V)。
「変異体」は、参照ポリペプチドとは異なるが本質的な性質を維持するポリペプチドを指す。ポリペプチドの典型的な変異体は、別の参照ポリペプチドとアミノ酸配列が異なる。一般に違いは、参照ポリペプチド及び変異体の配列が全体的によく似ていてかつ多くの範囲において同一であるために限られる。変異体及び参照ポリペプチドは、一以上の修正(例えば置換、追加及び/又は削除)によってアミノ酸配列において異なり得る。置き換えられた又は挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによって符号化され一つになり得るか又はなり得ない。ポリペプチドの変異体は、対立遺伝子多型のように自然に発生し得るか、又は自然に発生することを知られていない変異体になり得る。加えて、ここで使用されるような「変異体」の用語は、蛋白質及びペプチドの円順列変異を含む。
修正及び変更は、開示におけるポリペプチドの構造においてなされ、ポリペプチドのような(例えば保守的なアミノ酸置換)類似した特性を有する分子をさらに取得し得る。例えば特定のアミノ酸は、活性のかなりの損失なしに、配列において他のアミノ酸と置き換えられ得る。なぜなら、それはポリペプチドの生物学の機能活性を定義するポリペプチドの性質及び相互作用の能力であるので、特定のアミノ酸配列置換は、ポリペプチド配列においてなされ得るし、それでもなお類似の性質を備えたポリペプチドが取得され得る。
そのような変化を行う際に、アミノ酸の水治療(hydropathic)指数が考慮され得る。ポリペプチド上の与えられている相互作用的な生物学的機能において、水治療アミノ酸指数の重要性は、一般に技術的に理解される。特定のアミノ酸が、類似した水治療指数又はスコアを有している他のアミノ酸に置き換えられ、類似した生物活性を備えたポリペプチドをさらにもたらし得ることは知られる。それぞれのアミノ酸は、その疎水性及び電荷特性の基礎上の水治療指数を割り当てられる。それらの指数は、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/システイン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸塩(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸塩(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)及びアルギニン(−4.5)である。
アミノ酸の関係のある水治療特徴は、酵素、基質、受容体、抗体、抗原などのような他の分子を備えたポリペプチドの相互作用を順に定義する得られたポリペプチドの二次構造を決定すると考えられている。アミノ酸は類似した水治療指数を有している別のアミノ酸によって置き換えられ、機能的に等しいポリペプチドをさらに取得し得ることは技術的に知られる。そのような変化において、水治療指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好適で、水治療指数が±1以内であるアミノ酸の置換は特に好適で、水治療指数が±0.5以内であるアミノ酸の置換はさらに特に好適である。
類似したアミノ酸の置換は、特に親水性の基礎上でさらに作られ得る。そして前記親水性の基礎上で生物学的に等しいポリペプチド又はその結果生成されたペプチドは、免疫学的な実施例における使用を意図する。以下の親水性値は、アミノ酸残基へ割り当てられる。アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパラギン酸塩(+3.0±1)、グルタミン酸塩(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、プロリン(−0.5±1)、トレオニン(−0.4)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、トリプトファン(−3.4)。アミノ酸が類似した親水性値を有している別のものに置き換えられ、生物学的に等しく、特に免疫学的に等しいポリペプチドをさらに取得し得ることが理解される。そのような変化において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好適で、水治療指数が±1以内であるアミノ酸の置換は特に好適で、水治療指数が±0.5以内であるアミノ酸の置換はさらに特に好適である。
上記のように、アミノ酸置換は、例えば疎水性、親水性、電荷、サイズなどのような一般に関係ある類似したアミノ酸側鎖置換基に基づいている。様々な前述した特徴を考慮に入れると典型的な置換は、当業者によく知られ、(元の残留物:典型的な置換)(Ala:Gly,Ser)、(Ala: Gly,Ser)、(Arg:Lys)、(Asn: Gln,His)、(Asp:Glu,Cys,Ser)、(Gln:Asn)、(Glu:Asp)、(Gly:Ala)、(His:Asn,Gln)、(Ile: Leu, Val)、(Leu:Ile,Val)、(Lys:Arg)、(Met:Leu,Tyr)、(Ser:Thr)、(Thr:Ser)、(Tip:Tyr)、(Tyr: Trp,Phe)及び(Val:Ile, Leu)を含む。従って本開示の実施例は、上述したような機能的又は生物学的に等しいポリペプチドを意図する。特に、ポリペプチドの実施例は、興味のあるポリペプチドに対して約50%、60%、70%、80%、90%及び95%の配列同一性を有する変異体を含み得る。
ここで使用されるような「機能的な変異体」は、同じレベルにおいて(例えば変異体が基本の機能を維持する限りは、変異体が機能的に強化、減少又は変更され得る)必要でないにしても、元の蛋白質又はポリペプチドのような同じ機能又は活性を実行し得る蛋白質又はポリペプチドの変異体(例えば追加の配列変更を備えた又はなしの円順列変異蛋白質)を指す。
技術的に知られるような「同一性」は、配列を比較することによって決定されるような二以上のポリペプチド配列間の関係である。技術的に、「同一性」は、前記配列の文字列間適合によって決定されるようなポリペプチド間の一定の配列同系性も指す。「同一性」及び「類似性」は、(Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., Ed., Oxford University Press, New York, 1988年、 Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., Ed., Academic Press, New York, 1993年、 Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., Eds., Humana Press, New Jersey, 1994年、 Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987年、 and Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., Eds., M Stockton Press, New York, 1991年、 and Carillo, K, andLipman, D., SIAM J Applied Math., 48: 1073 (1988年))において記述された方法を含むが、これらに限られない既知の方法によって直ちに計算され得る。
同一性を決定するための好適な方法は、試験済みの配列間に最大の適合を与えるように設計される。同一性及び類似性を決定するための方法は、公に利用可能なコンピュータプログラムを体系化される。二つの配列間の同一性割合は、Needelman and Wunsch(J. Mol. Biol., 48: 443-453, 1970年)アルゴリズム(例えばNBLAST及びXBLAST)を組み込む分析ソフトウェアを使用することによって決定され得る(例えばSequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, Madison Wis.)。定義パラメータは、本開示のポリペプチドに関する同一性を決定するために用いられる。
実施例を手段として、ポリペプチド配列は参照配列と同一になり得る、つまり100%同一であるか、又は%同一性を100%未満にするために参照配列と比較して、アミノ酸変更の特定の整数値に至るまで含み得る。前記変更は、少なくとも一つのアミノ酸削除、置換、保守的及び非保守的を含む置換、又は挿入から選択され、かつそこで前記変更が参照ポリペプチド配列のアミノ‐又はカルボキシ‐末端位置、又は参照配列においてアミノ酸の間に個別にか又は参照配列内の一以上の接触している基において撒き散らされる前記末端位置間のどこかにおいて生じ得る。与えられた%同一性に関してアミノ酸変更の数は、参照ポリペプチドにおけるアミノ酸の全体数に、それぞれの割合同一性の数値の割合(100で割る)を掛け、その後前記参照ポリペプチドにおけるアミノ酸の全体数からその積を引くことによって決定される。
ここで使用されるような「酵素」は、触媒の機能を果たすポリペプチドであり、化学反応を開始する割合を一般に加速し促進するが、反応の向き又は性質を変化させない。
ここで使用されるような「プロモーター」は、コード配列の転写を操作し得る全ての配列を含む。特に、ここで使用されるような用語「プロモーター」は、開始コドンの近位にある、一般に5´遺伝子部位のように記述されるDNA配列を指す。近接した遺伝子の転写は、プロモーター領域において開始される。用語「プロモーター」は、遺伝子の開始転写において機能的であるプロモーターの残留物質をさらに含む。
ここで使用されるような「プライマー」は、一般に核酸ストランド、又は複製のための開始点としての機能を果たす関連する分子を指し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅法において用いられる。前記増幅法において用いられるプライマーは、通常比較的短く(一般的に約20−50塩基対)、人工的にポリヌクレオチドストランドを合成させる。PCRにおいて、プライマーはPCR過程によって増幅されるためのポリヌクレオチド配列を選択するのに向いている。
ここで使用されるような用語「発現」は、ポリペプチドを生成するための構造遺伝子によって受けられた過程を記述する。前記過程は転写及び翻訳の組み合わせである。
ここで使用されるような「プラスミド」は、プラスミドが宿主細胞において複製されるために、無傷の「レプリコン」を含んでいる非染色体二本鎖DNA配列を指す。
ここで使用されるような用語「ベクター」又は「発現ベクター」は、核酸配列を細胞の中へ導入するために用いられる媒体に関連して使用される。ベクターは、直鎖状又は環状のDNA分子を含み得るが、前記DNA分子は、宿主細胞又は宿主細胞細胞小器官の中へ導入の上に翻訳及びその転写のために提供する追加断片へ、操作可能に結び付けられる興味のあるポリペプチドを符号化する断片を含む。前記追加断片は、プロモーター及び終了配列を含み、さらに一以上の複製の原本、一以上の選択可能なマーカー、エンハンサー、ポリアデニル化信号なども含み得る。発現ベクターは、一般にイースト又は細菌の遺伝子の、又はプラスミドDNA又はウイルスのDNAから派生され、両方の要素を含み得る。
用語「形質変換」は、遺伝子発現を可能にするように、細胞の中へDNA又はRNAの導入を指す。
用語「天然の末端」又は「元の末端」は、円順列変異より前に蛋白質の末端アミノ酸残基を指す(例えば天然又は野生型蛋白質のアミノ及びカルボキシ末端)。
用語「新規な末端」は、円順列変異後の蛋白質の末端アミノ酸残基を指す。「新規な末端」は、天然又は元の末端と異なる。
ここで使用されるような用語「結合された」は、蛋白質のつながり、特に活性部位及び基質又は配位子を有する蛋白質のつながりの結合、接合又は他の形式を指す。
ここで使用されるような用語「向上させる」、「増加させる」及び/又は「増やす」は、一般に天然又は期待された平均に関連して機能又は習性を改良するための行為を指す。例えば、対応する天然蛋白質の活性を超えて増加した円順列蛋白質は、対応する天然蛋白質の活性と比較して、活性を改良した(例えば反応のより速い速度、又は同じ時間におけるより多数の基質を結合/反応させること)。
ここで使用されるような用語「実質的に類似」は、全ての実用的な目的にとって、一般に考慮されるように、天然、予期された又は平均に限りなく近く十分置き換え可能である機能、活性又は習性を指す。例えば、実質的に類似した活性を備えた蛋白質は、天然蛋白質より多かれ少なかれ実質的に活動的になることを考慮され得ない活性レベルを有するものになり得る。
ここで使用されるような用語「改良」又は「向上」は、望ましいと考えられる適用可能な状況において、一般に酵素のような蛋白質の機能又は習性において変化又は交換を指す。
ここで使用されるような用語「可触性」は、蛋白質/酵素の活性部位と関連付ける又は結合するための基質又は配位子の能力を指す。従って、「増加された可触性」を備えた蛋白質は、天然又は野生型蛋白質と比較して、基質が蛋白質の活性部位とさらに簡単に関連付ける又は結合し得るものである。
ここで使用されるような用語「エナンチオ選択性」は、他を越えた単一の所望された光学異性体とともに相互作用するための過程を指す。従って、「増加されたエナンチオ選択性」を備えた蛋白質は、天然又は別の蛋白質に対して天然又は予測されるものと比較して、他の光学異性体を越えた一つの光学異性体に関してより大きい優先を有する。
用語「基質特異性」は、ポリペプチドが効果を生成することに影響し得る基質の範囲を指す。用語「広範囲な基質特異性」は、天然蛋白質と比較して、ポリペプチドが効果を生成することに影響し得る基質のより大きい範囲を指す。用語「変更された基質特異性」は、天然蛋白質と比較して、効果を生成することに影響し得るポリペプチドより基質の異なる又は変更された範囲を指す。
蛋白質活性部位の「中又は近くに」ある残基又は末端は、蛋白質がその折り畳まれた構造において存在するとき、活性部位の接近可能性、柔軟性及び/又は機能性に影響を与えるための蛋白質の活性部位に十分に近接している残基又は末端を指す。「中」又は「近く」の使用は、置き換え可能である。
用語「固定化酵素」は、制限されないが、イオン交換ビーズ及びアガロースを含んでいる固形又は半固形の表面物質(例えばマトリクス材)の表面へ共有結合的又は非共有結合的に結合された酵素を指す。
用語「反応媒質」は、酵素又は固定化された酵素が化学反応を触媒する環境を指す。典型的に、リパーゼ及びエステラーゼのための反応媒質は、制限されないが、例えば水性緩衝液、有機溶媒及びイオン液体を含む。反応媒質における変化は、例えばその基質特異性及びエナンチオ選択性を変更する酵素の特性に時々影響を与えることで知られる。反応媒質のさらなる調節可能なパラメータは、制限されないが、ビニルアセテート又は酢酸を含んでいる化学反応における試薬の性質と同様に、制限されないが、非水性反応媒質における水分活性を含む。要約すれば、酵素触媒による反応のための反応媒質の最適化は、酵素の性能をさらに改良するために使用され得る。
蛋白質又はペプチド(例えば「折り畳まれた構造」)に関連して用語「構造」は、一般に一次構造(ペプチド配列)、特に蛋白質又はペプチドの三次構造を越えてペプチドのより高い折り畳まれた状態を指す。
用語「二次操作」又は「二次変異」は、すでに変異された(例えば非天然又は非野生型)蛋白質上で更なる変異、配列変更又は他の蛋白質操作を実行する活動又はその結果を指す。例として、円順列変異蛋白質は、その末端の位置において対応する天然蛋白質とすでに異なる。従って、円順列変異蛋白質の二次変異は、新しい末端位置に加えて、天然蛋白質から別の変異又は変化(例えば削除、置換又は挿入)を含み得る。二次操作及び二次変異の追加的な記述及び例は、以下により詳細に論じられる。
(説明)
本開示は、一般に対応する天然又は野生型蛋白質を超えて、増加された活性及び/又は他の強化/改良を有する操作された蛋白質及びペプチドを含んでいる構成を提供し、そしてそこで操作された蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端が、図1において示されるように、天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端に関して移動される。言い換えれば、本開示は天然蛋白質を超えて、より高い又は強化された活性及び/又は他の改良を有する活性又は機能的な円順列変異蛋白質を含んでいる構成(例えば増加された接近可能性、増加された活性部位の柔軟性、増加されたエナンチオ選択性、増加された安定性、広範及び/又は変更された基質特異性)を提供する。
一実施例において、本開示は蛋白質の活性部位の中に、又は近くに位置に移動されるN及びC‐末端を有する円順列変異蛋白質を提供する。さらに以下に議論されるように、蛋白質設計に関して円順列変異の技術における従来の見解は、円順列変異蛋白質の新規N及びC‐末端が、一般に活性部位の近くの場所において一般に存在し得ず、かつ一般に蛋白質の重要な二次構造又は三次フォールドの一部を形成することを知られる位置において存在し得ない。これは、もしかするとすべての機能性を抑制する範囲へ、蛋白質のフォールディング及び構造ひいては機能を妨げ得るような前記位置において、蛋白質骨格を破壊することは正当な懸念に起因する。
しかしながら、本開示の構成及び方法は、末端を有する円順列変異蛋白質が、機能性を破壊しないだけでなく、ある場合には天然蛋白質を越えて約175‐フォールドに至るまで、さらに蛋白質の機能性も強化し得る蛋白質の活性部位の中、又は近くの特定の位置に移動されることを示す。さらには、円順列変異蛋白質の前記強化された機能の新規アミノ末端及びカルボキシ末端は蛋白質の活性部位近くの外部ループ範囲において位置づけられ得るだけでなく、アルファらせんのような二次構造においても組み込まれ得る。そして二次構造は、近くに存在するか又は蛋白質の活性部位の一部を形成する。いくつかの実施例において、円順列変異蛋白質の新規アミノ末端及びカルボキシ末端は、円順列変異蛋白質の活性部位から約20Å以内に位置づけられ、他の実施例においては円順列変異蛋白質の活性部位から約15Å以内に位置づけられる。
他の実施例において、本開示は蛋白質の活性部位の中又は近くでない(例えば離れている)位置に移動されたN及びC‐末端を有する円順列変異蛋白質を提供する。新規末端は蛋白質の活性部位の中又は近くでないけれども、好適には新しい場所は蛋白質機能及び/又は性質への望ましい影響を有する。
本開示は、興味のある天然蛋白質に対応する円順列変異蛋白質のライブラリをさらに提供する。本開示の円順列変異ライブラリは、移転されたアミノ末端及びカルボキシ末端を有している興味のある蛋白質の一以上の変異を含み、そしてそこで移転された先端が天然蛋白質の末端と異なる位置に存在する。好適には、前記ライブラリは、ポリペプチド配列の至る所に新規末端を有している円順列変異を含む。さらに好適には、前記ライブラリは機能的な変異のために含みかつ選別され得る。最も好適には、前記ライブラリは、増加された活性又は天然蛋白質を超えた他の改良を有する機能的な変異を含む。いくつかの実施例において、ライブラリは蛋白質の活性部位の中、又は近くの位置において新規末端を有している機能的な変異体を含む。
いくつかの実施例において、本開示の円順列変異蛋白質は、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリー(例えばリパーゼ、エステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ジエンラクトン(dienelactone)ヒドロラーゼ、チオエステラーゼ(thioesterase)、セリンカルボキシペプチダーゼ、プロリンイミノペプチダーゼ、プロリンオリゴペプチターゼ、ハロアルカン脱ハロゲン酵素(dehalogenase)、ハロペルオキシダーゼ(haloperoxidase)、エポキシドヒドロラーゼ及びヒドロキシニトリル(hydroxynitrile)リアーゼ)の蛋白質である。多くのリパーゼ及びエステラーゼが類似した構造及び/又は機能を有する。それ自体は、いくつかの参考文献がエステラーゼのようないくつかのリパーゼを参照し、逆の場合も同じである。リパーゼ及びエステラーゼと呼ばれ得るいくつかのα/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの全ての蛋白質を含むことが本開示の意図である。しかし、リパーゼ又はエステラーゼの正確な用語はいくつかの実施例において置き換え可能になり得る(例えばカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)からの蛋白質はリパーゼ又はエステラーゼと呼ばれ得る)。従って、リパーゼへの参照はエステラーゼを除外して必ずしも必要とされない。
リパーゼは、エステル結合、アミド結合などの形成、加水分解及び置換(エステル交換)に触媒作用を及ぼし得る。それらは、洗濯洗剤のような大量の製品と同様に、生成化学製品及び調合薬のためのキラル・ビルディング・ブロックの生成において重要な生体触媒である。特に速度論的分割及びキラル合成との関連で、酵素の広い基質特異性、その高い安定性(例えば有機溶媒及び高められた温度)は、その高いエナンチオ及びレジオ選択性と同様に人気のある選択をさせる。
参照された実施例において、円順列変異α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリー蛋白質又はペプチド(例えばリパーゼ)は、制限されないが、天然蛋白質と比較して、増加された安定性、増加された活性部位への接近可能性、増加された活性部位の柔軟性、広範及び/又は変更された基質特異性、及び/又は増加されたエナンチオ選択性を含んでいる増加された活性及び/又は一以上の他の改良を有する。いくつかの実施例におけるα/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの円順列変異蛋白質は、活性部位の中又は近くに新規末端を有する。いくつかの実施例における新規末端は、円順列変異蛋白質の活性部位から約20Å以内に位置づけられ、他の実施例における新規末端は円順列変異蛋白質の活性部位から約15Å以内に位置づけられる。いくつかの参照された実施例において、新規末端は、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリー蛋白質の「キャップ」領域又はキャップ範囲として知られる範囲において位置づけられる。キャップ領域は一般に、ポケットを結びつける活性部位の一部を形成し得る活性部位を越えたキャップのような構造を形成する蛋白質の範囲を指すが、一般にコアα/β‐ヒドロラーゼフォールドの一部を形成しない。図2は、カンジダ・アンタークチカからのリパーゼB(CALB)(図2B)及びアグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)からのエポキシド・ヒドロラーゼ(図2C)というα/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの二つのメンバーを表現する。図から見え得るように、両方の蛋白質は、コアα/β‐ヒドロラーゼフォールド、キャップ範囲、及び一般にコアとキャップ範囲の間に位置づけられた(触媒の三つ組の三残留物質を備えた)活性部位を含む。他の実施例において、円順列変異α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーは、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの活性部位から離れた又は外側に新規末端を有する。
理論により拘束されることを意図していないが、本開示のいくつかの具体例において、円順列変異α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリー蛋白質は、正常に結合し得ない基質及び/又は配位子と関連又は結合するために、α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーを許可する活性部位の増加された柔軟性及び/又は接近可能性をもたらす広範及び/又は変更された基質特異性を有する。前記基質は、制限されないが、アミド、エステル及び特に多数の第二級及び第三級アルコールのエステルを含む。
反応媒質は、生物の触媒作用(biocatalysis)において個々の酵素の性能における別のパラメーターを表す。触媒上の環境の特定の効果はほとんど不十分に理解されながら、確率手法からの結果は、蛋白質安定性と同様に、反応媒質の最適化が基質特異性及びエナンチオ選択性に影響を与え得ることを明瞭に示す。反応媒質操作は、一般にa)それ自身の酵素触媒の修正及びb)試薬及び溶媒環境の変化の二つの様相を含む。理論によって結び付けられることを意図していないけれども、前の場合に、例えば酵素はその天然型において使用され、その溶解度を改良する(例えばニトロ化)ための(ほとんどは)表面残基の化学反応によって修正されるか、又は固形又は半固形担体(例えばビーズのようなマトリクス材、カラム)上で固定される。理論によって結び付けられることを意図していないけれども、後の場合に、水性緩衝液、有機溶媒及びイオン液体及び温度の選択は、天然の化学反応(加水分解対エステル化)に影響を与えるだけでなく、例えばその安定性、基質特異性及びエナンチオ選択性を変更する酵素の特性に影響を与え得ることも知られる。反応媒質のさらなる調整可能なパラメータは、制限されないが、ビニル・アセテート又は酢酸を含んでいる化学反応における天然の試薬と同様に、制限されないが、非水性反応媒質における水分活性を含む。要約すれば、酵素触媒による反応のための反応媒質の最適化は、酵素の性能をさらに改良するために使用され得る。
リパーゼファミリーの間において最も一般に使用される一つである生体触媒は、カンジダ・アンタークチカからのリパーゼBである(CALB)(ONA配列、SEQ ID NO:1)。CALBは、活性部位におけるそのコア構造及び触媒の三つ組Ser‐His‐Aspのような特徴α/β‐ヒドロラーゼフォールドを備えた317アミノ酸蛋白質(SEQ ID NO:2)である。蛋白質の二次及び三次構造を示しているCALBの三次元表示が図6において示される。CALBは、際立った特異性及び選択性、特に第二級アルコールのエステルを示す。最近の蛋白質操作活動は、この酵素によって触媒される幅広い種類の反応にだけ追加される。従って、本開示の実施例は、CALBの円順列変異を提供する。特定の実施例は、円順列変異CALBがα17、α16、α9、α7又はα2(α2の残留物質44と残留物質47の間)において位置づけられる新規アミノ及び/又はカルボキシ末端を有することを提供する。本開示の実施例は、制限されないが、残留物質44、144、148、150、193、268、277、278、283、284、289及び294を含む位置において、新規アミノ末端を有する円順列変異CALB蛋白質を含む。円順列変異蛋白質は、接頭辞「cp‐」によってここで示され、次に新規アミノ末端、例えばcp144として示され得る残留物質144のように新規N‐末端を備えた円順列変異蛋白質のような、新規アミノ末端である残留物質の数が続き得る。いくつかの参照される実施例において、新規末端はCALBのキャップ範囲(例えばα7、α9、α17、α19及び任意の連結している外部ループ範囲を含む範囲)において位置づけられる。参照された具体例において、円順列変異CALBは残留物質283(cp283)において位置づけられた新規アミノ末端を有する。
本開示は、新規蛋白質、特に酵素、さらに具体的にはα/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーのメンバー、最も具体的には制限されないが、増加された安定性、増加された活性部位への接近可能性、増加された活性部位の柔軟性、広範及び/又は変更された基質特異性、増加されたエナンチオ選択性又はその組み合わせを含んでいる、天然蛋白質を超えて強化された活性及び/又は一以上の他の改良を備えたリパーゼ及びエステラーゼを設計するための円順列変異を使用する方法をさらに提供する。いくつかの実施例において、改良は、増加された柔軟性及び/又は接近可能性が蛋白質の活性部位の中、又は近くの位置へ末端の位置を変更することが原因で活性部位へ追加されたことに起因している。蛋白質の活性部位から離れた場所又は他の外側へ末端の位置を変更することは、一以上の上述の改良をもたらすための方法において、蛋白質の構造環境又は他の様相にさらに影響を与え得る。
簡潔に記述すれば、本開示の方法は、制限されないが、活性部位を有する天然蛋白質、アミノ末端、及びカルボキシ末端を選択し、好適にはリンカーを通じて、円形の蛋白質分子を形成するための天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端を連結し、新規アミノ末端及びカルボキシ末端を備えたライブラリにおいて、天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端とは異なる少なくとも一つ、しかし好適には多数の円順列変異蛋白質を有する円順列変異蛋白質のライブラリを生成すること、ライブラリから機能的な変異を選択することを含む。その方法は、許容される順列変異の位置を決定するために、機能的な変異において新規アミノ末端及びカルボキシ末端の位置をマッピングすること、更なる検査のために様々な異なる位置において末端と共に機能的な変異を選択することをさらに含み得る。前記の更なる検査は、制限されないが、詳細な動態分析、エナンチオ選択性、基質特異性及び構造分析(例えば、蛍光分光、円偏光二色性、及び蛋白質操作)を含み得る。加えて、本開示の方法は、機能的な変異のライブラリ、蛋白質の結合部位の中、又は近くに位置づけられたアミノ末端及びカルボキシ末端を有する円順列変異蛋白質から選択し、次に上述されたような更なる検査へ前記変異を提起することをさらに含み得る。
蛋白質、特に活性部位の範囲への更なる柔軟性を導くための本開示の方法を使用することで、研究者に、天然蛋白質を越えた所望の向上/改良を有するための蛋白質及びペプチド、特に酵素を設計することを許容する。いくつかの可能な向上の例は、制限されないが、増加された活性、増加された接近可能性、増加されたエナンチオ選択性、増加された安定性、及び広範及び/又は変更された基質特異性を含む。前記向上は、蛋白質の柔軟性が原因で起因し得ないか又は一部にのみ起因し得て、かつ本開示の実施例は柔軟性に関してこの理論に対して制限されないことが記述されるべきである。
本開示の方法の一実施例において、ここに簡単に記述され、以下の実施例において今まで以上に詳しく記述されるが、CALBの操作された変異のライブラリは、野生型蛋白質のランダム円順列変異によって生成された。いくつかの変異において、蛋白質末端の再配置は、新規をもたらす触媒の生化学的及び生物物理学的な特性を変更し、かつ活性部位配置、親和性と結合する基質/製品及び/又は蛋白質柔軟性における変化に応えて選択された基質の方へ活性を改良した。ライブラリメンバーの間で機能的な変異は、それらの生化学的及び生物物理学的な特性の詳細な研究に影響され、かつ識別される。前記円順列変異生体触媒は、速度論的分割、生体内変化における又は重合触媒のような適用を発見し得る。あるいは、前記順列変異は二次蛋白質操作手法のためのテンプレートとして供給し得る。
本開示は、二次変異(例えば初期円順列変異によって導かれた変更に加えて、二次操作活動をもたらす変異及び/又は変更)を有する円順列変異蛋白質(二次円順列変異蛋白質)の第二世代を生成するために、本開示の円順列変異蛋白質をさらに操作する方法をさらに含み得る。前記二次変異は、制限されないが、円順列変異蛋白質のポリペプチド配列及びその組み合わせにおける一以上のアミノ酸の削除、挿入及び置換を含む。二次変異は、対応する天然蛋白質及び対応する円順列変異蛋白質と比較して、好適には少なくとも一つの改良を有する一以上の二次円順列変異蛋白質をもたらす。そして前記二次円順列変異蛋白質は、制限されないが、増加された活性、増加された安定性、増加されたエナンチオ選択性、増加された活性部位への可触性、増加された活性部位の柔軟性、及び広範及び/又は変更された基質特異性を含む。
二次変異を導くための二次操作手法は、制限されないが、変異生成、同族依存再結合(homology-dependent recombination)、同族独立再結合(homology-independent recombination)、アルゴリズム(例えばSCHEMAアルゴリズム)を用いる指向進化の計算法によって、蛋白質配列における個々の位置、又は多数の位置の挿入、削除又は置換のような指向進化の方法及び合理的設計に基づいた変異のような蛋白質操作の様々な技術を含む。二次操作技術は当業者に知られ、上に記載された多くの技術がLutz, S.、ら「Novel methods for directed evolution of enzymes: quality, not quantity,」(2004年)、Current Opinion in Biotechnology, 15:291-297において記述され、そして参照によってここに組み込まれる。
典型的な二次操作活動は、制限されないが、生体外及び生体内における配列相同性に基づいた再結合と同様に、(Cadwell, R.C. & Joyce, G.F. (1992年) PCR methods and applications, 2, 28-33、及びReidmann-Olsen, J.F. ら (1991年) Methods in Enzymology, 208, 564-586において記述されるように、そしてこれらは参照によってここに組み込まれる)合理的かつランダムな変異生成を含む。前記手法の例は、制限されないが、DNAシャッフリング(Stemmer, W.P. (1994年) Proc Natl Acad Sci U S A, 91, 10747-10751、Stemmer, W.P. (1994年) Nature, 370, 389-391、及びZhao, H., Giver, L., Shao, Z., Affholter, J.A. and Arnold, F.H. (1998年) Nat Biotechnol, 16, 258-261において記述されるように、そしてこれらは参照によってここに組み込まれる)及び配列相同性の操作蛋白質独立のための方法(例えばITCHY & SCRATCHY 及びOstermeierら、「A combinatorial approach to hybrid enzymes independent of DNA homology」(1999年) Nature Biotechnology, 17: 1205-9、Lutzら. 「Creating multiple-crossover DNA libraries independent of sequence identity」 (2001年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:11248-53、及びSieberら「Libraries of hybrid proteins from distantly related sequences」(2001年) Nature Biotechnology 19:456-60に記述されるような他の方法、そしてこれらは参照によってここに組み込まれる)を含む。
本開示の方法の実施形態において、円順列変異は、新規末端を備えた順列変異のライブラリを生成するために興味のある蛋白質上で実行される。次に、機能的な変異は、酵素活性のためのコロニースクリーニングのような当業者に知られる方法によって、蛋白質活性のためのスクリーニングによって識別され、例が以下の実施例においてさらに詳細に記述される。機能的な変異は、次に活性を維持するための蛋白質を許容する蛋白質配列において許容される変異の位置を決定するためにマッピングされる。次に、蛋白質配列における様々な位置において新規末端を有する代表的な機能的順列変異は、更なる検査から選択される。いくつかの実施例において、代表的な順列変異は、天然蛋白質に関して関連する活性を決定するために詳細な動態分析について検査される。この検査は、天然蛋白質を越えて増加された活性を備えた順列変異を識別するのに役立つ。
円順列変異蛋白質は、以下の実施例において両方がさらに詳細に述べられる蛍光分光法及び円偏光二色性を含むがこれらに限られない当業者に知られる様々な方法を通じて構造的完全性について、次にさらに検査され得る。蛋白質の構造分析は、蛋白質の部分的又は全体的な構造上で有する末端の新しい位置がもたらすものを決定することに役立つ。これは、高レベルの活性を説明し得る、より大きな活性部位柔軟性及び/又は活性部位へのより大きな可触性を有する蛋白質の識別に役立ち得る。構造分析は、例えば構造不安定性を導き得る蛋白質の領域を識別することによってなどで、二次操作活動のための可能な対象をさらに識別することに役立ち得る。
円順列変異蛋白質は、もし円順列変異蛋白質が維持又は天然蛋白質を越えたエナンチオ選択性を改良したなら、決定するためにエナンチオ選択性についてさらに検査され得る。参照された具体例において、円順列変異蛋白質は、天然蛋白質へ少なくとも本質的に類似したエナンチオ選択性を有し得る。様々な順列変異は、どのように円順列変異が特異性、選択性及び蛋白質の混乱に影響を与えるかを決定するためにさらに検査され得る。例えば、検査は、様々な選択された基質上で機能的な変異の力学的特性を測定するために行われ得る。好適には、円順列変異は三つのカテゴリーから基質上で検査される。1)野生型特異性及び選択性の保持を調べるための天然基質、2)新規活性を検査するための非天然基質及び3)円順列変異が混乱した活性への上昇を与え得るかどうかを調査するための酵素又は蛋白質の特定の型に一般に基質上で関連していない。
いくつかの実施例において、順列変異又は特定の興味のある順列変異は、安定性が可能な商業使用に関連があり得る特定の環境において蛋白質の活動における要素であるので、安定性に関して検査される。いくつかの実施例において、円順列変異蛋白質は、マトリクスのように、いくつか又は全ての上述の検査のために、表面/基質をさらに結合される。前記基質は当業者に知られ、いくつかの典型的な基質は以下の実施例において記述される。
以下により詳細に説明される本開示の制限されない一つの実施例において、カンジダ・アンタークチカからのリパーゼB(CALB)は円順列変異され、上述のように種々の円順列変異型がさらなる分析及び試験を受けた。加えて、特定の関心のある円順列変異型が識別され、二次変異型を含む二次順列変異蛋白質のライブラリを生成するための二次的操作を受けた。その後、前記二次変異型は、本開示の方法に従って種々の機能及び性質について試験された。本開示の例示的実施形態の詳細は、円順列変異技術の詳細な論考に沿って以下に詳細に説明される。
本開示の新規かつ強力な組み換え蛋白質操作方法の紹介は、特定の合成問題及び環境的制約のための注文仕立ての触媒の発見を加速する能力を提供し、本開示の方法に蛋白質操作の将来における主要な役割を演じる可能性を与える。
(円順列変異)
円順列変異は、新規かつ/又は改善された蛋白質及びペプチドの設計において有用な蛋白質骨格の多様化のためにはほとんど調査されていない技術である。以下においてより詳細に論じられ、かつ図1Aに示されるように、円順列変異はリンカー26(好適にはペプチドリンカー)による蛋白質10の天然の末端12と末端14の接続を包含し、一以上の円順列変異20を生成するための蛋白質骨格の別の領域への新たな末端22及び24の再導入がこれに続く。末端の再配置は、蛋白質の構造的整合性に影響を与え得て、その活性部位の可触性及び柔軟性を変化させ、全ての要因は酵素の基質認識及び代謝回転に影響を与える。表面ループ領域は新たな終端について好適な選択であるように見えるが、以下の実施例において説明されるように、実験的研究は、蛋白質の第二の構造内の末端及び中心領域も可能であることを証明した。本開示の一つの実施形態において、実験の効率性及び情報内容を最大化するために、円順列変異CALB(図3)の完全な組み合わせライブラリが生成された。
円順列変異蛋白質は、ウイルス、微生物、植物及び高等動物を含む種々の生命体において自然に発見された。円順列変異蛋白質は、翻訳後の変形、遺伝子複製又はエクソンシャッフリング事象から派生される。ファビン(favin)の円順列変異体態であるコンカナバリンAは、初期ポリペプチド内の翻訳後の転位及び連結反応により形成される、最初に報告された真核生物内の円順列変異蛋白質であった。スワポシン(swaposin)は植物アスパラギン酸プロテイナーゼ挿入であり、サポシン(saposin)の円順列変異体態である。1995年に、ラッセル(Russell)及び共同研究者は、構造内の4つの螺旋及びジスルフィド結合によりスワポシンがサポシンに対して高度の相同性を有するにもかかわらず、サポシンの二つのN‐末端螺旋がスワポシン内のC‐末端に交換され、ポリペプチドリンカーによって結合されていることを発見した。スワポシンのcDNA分析により、円順列変異は翻訳後の変形の代わりに、遺伝子レベルについて起こることが明らかにされた。天然蛋白質の円順列変異は、機能的に重要であり得る。スワポシンの場合には、スワポシンと元のサポシン領域の間の方向の差を利用して、アスパラギン酸プロテイナーゼ内の末端の移動がスワポシン領域の挿入を促進し得ると仮定された。
円順列変異の別の例は、アルドラーゼスーパーファミリーである。このスーパーファミリーのメンバーは共通のTIMバレル層を共有し、TIMバレル層は円形の配列内に組み立てられた8つのα/βモチーフを包含する。この構造的特徴は円順列変異の発生を支援し得て、異なる活性部位位置についてのものを除く基質特異性及び反応化学における高い類似性を有する酵素が明らかにされた。活性部位の柔軟性は、部分的には新たな機能のためのさらなる適応を説明し得ることが提案され、これは天然のTIMバレルの機能的多様性への説明を与える可能性がある。
当研究所において、円順列変異は化学的凝縮を通じてウシ膵臓トリプシン阻害剤について最初に実行された。1989年に、円順列変異アントラニル酸塩イソメラーゼを設計するために、遺伝子操作が最初に使用された。末端の再配置は、三次構造及び生物学的機能に関するポリペプチド鎖の天然の終端の重要性について、価値ある情報を提供し得る。重要な構造要素は、骨格の破損によって破壊され得ないと考えられている一方、鎖結合性は蛋白質の遷移状態と折り畳み中心(folding nucleus)に影響を与えると考えられている。蛋白質機能についての円順列変異の影響の例は、インターロイキン4と緑膿菌からの外毒素の間の融合蛋白質であり、ここでは二つの構成要素の連続した(back-to-back)単純な融合がインターロイキンを不活性化したが、円順列変異により融合蛋白質を再組織化すると機能は回復された。
合理的な設計アプローチと比較して、無作為の円順列変異は、蛋白質構造と触媒作用の間の蛋白質の安定性と関係を研究するためのより包括的なアプローチを提供する。実験毎に一つの円順列変異を生成するよりむしろ、単一の試験管内に全ての可能な末端再配置の完全なセットが生成され、高スループットスクリーニング又は選択方法により評価される。この方法論は、多数かつ種々の蛋白質、特に酵素に適用され得て、操作された蛋白質に適用されて天然の対応物を超える改善された機能を与える。本開示の実施形態において、円順列変異はCALBの構造的及び機能的多様性の調査に適用される。
円順列変異は、蛋白質の二つの終端を結合し、その後環状蛋白質切断する観点について記述されるが、これらのステップは最終製品を作成するのに実際に必要とされないことが理解されるであろう。そのため、本明細書に開示される新規な配列のいずれかを有する一般蛋白質の円順列変異は、蛋白質が構成される方法に関係なく、そのような構造の全ての蛋白質に言及する。
分子の天然の形態の生物学的活性を維持する順列変異を作成することは重要である。新規な末端が天然蛋白質の重要な領域を遮断する場合には、活性は失われ得る。同様に、元の末端の結合が活性を破壊する場合、順列変異は天然の生物学的活動を維持しない可能性が高い。そのため、活性の円順列変異蛋白質の作成のための候補の好適であるが限定する二つの属性である、1)結合の作成が天然の生物学的活性を破壊しないように好都合に位置する天然蛋白質における末端、及び2)蛋白質折り畳み及び所望の生物学的活性について重要な領域を機能的に破壊することなく新規な末端が形成され得るところに存在する「開いた部位」、が存在する。
このように、一般的には、円順列変異のための良い候補は、元の蛋白質の末端が近接して好都合に方向付けられている蛋白質である。末端が共に天然に近く位置付けられている場合には、末端の互いへの直接的融合又はリンカーの導入は相対的に小さい効果を有するであろうことが期待される。球形蛋白質の既知の構造の約三分の一において、末端は相対的に近接していることが示唆された(Thortonら、J.Mol.Biol.、167、443〜460頁(1983年))。しかしながら、リンカーは任意の長さであり得るため、天然の末端の近い近接性は絶対的要件ではない。
好適な実施形態においては、非順列変異又は天然の分子と同程度の末端間の間隔を保存するリンカーを使用することが望ましい。一般に、リンカーは二つの反応部位を包含するヘテロ‐又はホモ‐二官能性分子のいずれかであり、各反応部位はカルボキシル及びアミノ末端アミノ酸との共有結合をそれぞれ形成し得る。適切なリンカーは当業者にとって周知であり、直鎖又は分鎖炭素リンカー、複素環炭素リンカー又はペプチドリンカーを含むが、これらに限られない。最も共通であり単純な例は、典型的には天然蛋白質の末端へのペプチド結合を通じて結合された数個のアミノ酸を含むペプチドリンカーである。リンカーは、その側基を通じて(例えば、システインへのジスルフィド結合を通じて)末端アミノ酸に結合され得る。しかしながら、好適な実施形態においては、リンカーは末端アミノ酸のアルファ炭素アミノ及びカルボキシル基へのペプチド結合を通じて結合されるであろう。加えて、ペプチド結合を介した天然蛋白質末端の直接結合が、いくつかの蛋白質において可能である。
アミノ及びカルボキシル末端アミノ酸との共有結合を形成することが可能な官能基は、当業者にとって周知である。例えば、末端アミノ基の結合が可能な官能基は、無水物、カルボジイミド、酸塩化物、活性化エステル、アミド等を含む。同様に、末端カルボキシルと共有結合を形成することが可能な官能基は、アミン、アルコール等を含む。好適な実施形態においては、リンカー自体がペプチドであり、ペプチド結合により蛋白質末端に結合されるであろう。
従来の思索は、円順列変異が、末端の形成がフォールディング過程において重大な第二の構造又は最終的構造の重大な要素を遮断しない開いた部位を有する蛋白質を必要とすることを示す。これは、三次元構造が末端の結合と両立する場合であっても、環状蛋白質を開くことがフォールディングの機序又は天然状態の安定性にとって重大な短い範囲の相互作用に参加する残基を分離するのであれば、円順列変異によりフォールディングの動力学及び熱力学が大きく変更されることが考えられるとの意見に基づいている(Goldenberg、Protein Eng.、7:493-495、1989年)。そのため、現在の実務は、開放部位がアルファ螺旋、プリーツシート、バレル構造等の第二の構造を示さない蛋白質の領域において選択されることを報告する。
開放部位の選択が蛋白質活性にとって重要であることは真実であるが、新規な末端が蛋白質の機能に悪影響を与えることなく第二の構造要素内又は蛋白質の活性部位の近くに位置し得ないとは限らない。実際に、本開示の組成は、好適には新規な末端が活性部位内又は活性部位の近くに位置する一方で、より大きい柔軟性、又は活性部位及び全体としての円順列変異蛋白質に対する他の所望の特性を与えるために、蛋白質の活性をなお保存し又は向上させさえする蛋白質を含む。いくつかの好適な実施形態において、新規な末端は円順列変異蛋白質の活性部位から約20Å以内に位置し、別の実施形態においては新規な末端は円順列変異蛋白質の活性部位から約15Å以内に位置する。いくつかの実施形態において、新規な末端は活性部位の約5Åと20Åの間、約5Åと15Åの間又は約10Åと15Åの間に位置する。
円順列変異蛋白質は、当業者に知られた多数の方法により作成され得る。これらは化学合成、既存の蛋白質の変形及び組み換えDNA方法論を使用した円順列変異蛋白質の発現を含む。
蛋白質が比較的短い(例えば約50アミノ酸より小さい)場合には、円順列変異蛋白質は標準的な化学ペプチド合成技術を使用して合成され得る。リンカーがペプチドである場合、リンカーは合成中に組み込まれ得る。リンカーがペプチドでない場合、リンカーは合成後にペプチドに結合させられる。配列のC‐末端アミノ酸が不溶性の担体に付加され、配列内の残りのアミノ酸の逐次付加がこれに続く固体相合成は、円順列変異蛋白質の化学的合成のための一つの方法である。固体相合成のための技術は、Barany及びMerrifield、「Solid-Phase Peptide Synthesis」、The Peptides内3〜284頁、Analysis, Synthesis, Biology. Vol2、「Special Methods in Peptide Synthesis」、Part A.、Merrifieldら、J. Am. Chem. Soc.、85:2149-2156(1963年)、及びStewartら「Solid Phase Peptide Synthesis」第2版、Pierce Chem. Co.、Rockford, Ill.(1984年)により説明され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
あるいは、円順列変異蛋白質は天然の蛋白質を化学的に変形することにより作られ得る。一般に、これはリンカーと蛋白質のカルボキシル及びアミノ末端の間の共有結合を形成するために天然蛋白質をリンカーの存在下において反応させ、これにより環状蛋白質を形成することを含む。その後、新規な末端は、ペプチド結合を開き、次にアミノ酸を別の位置において結合させることにより形成される。これは、例えばペプチダーゼを使用して化学的又は酵素的に達成され得る。
開放反応が一つのペプチド結合より多く加水分解をする傾向がある場合、反応は短時間に実行され得る。一以上の開かれたペプチド結合を有するこれらの分子は完全長の円順列変異分子より短く、後者はサイズにより(例えばサイズ除外クロマトグラフィー又は電気泳動法により)選択する任意の蛋白質精製技術により単離され得る。あるいは、環状蛋白質内の種々の部位は、酵素結合に干渉し得るアミノ酸側鎖の化学的変形により、又はペプチド結合に参加する不安定な基の化学的遮断により、加水分解から保護され得る。
図1Bに示されるように、好適な実施形態において、円順列変異蛋白質は組み換えDNA方法論を使用して合成され得る。一般に、これは円順列変異蛋白質32(元の/天然のN‐末端34とC‐末端36を含む)をコード化するDNA配列30と、リンカー38をコード化するDNA配列38a及び38bを作成することを包含する。次に、DNA配列30は、分子内DNA連結反応によって環状化される。次に、環状DNA40は切断されてDNアーゼIにより線状化される。好適な実施形態においては、DNA配列毎に概ね一つだけの切断を達成するために、DNアーゼIの量は最小化される。環状DNA配列40の切断及び線状化は、円順列変異蛋白質の新規なアミノ末端及びカルボキシ末端をそれぞれコード化する新規な終端54及び56を有する、一以上の円順列変異DNA配列50を生成する。結果として生じる円順列変異蛋白質は、円順列変異DNA配列50を特定のプロモーターの制御下において発現カセット内に置き、宿主内の蛋白質を発現し、発現された蛋白質を単離し、かつ、適切な場合には当該蛋白質を再生することにより発現され得る。
円順列変異蛋白質をコード化するDNAは、任意の適切な方法により準備され得る。前記方法は、例えば、適切な配列によるクローニング及び抑制、又は、Narang他「Meth. Enzymol.」68: 90-99(1979年)のリン酸ジエステル方法、Brown他「Meth. Enzymol.」68: 109-151(1979年)のリン酸ジエステル方法、Beaucage他「Tetra. Lett.」22: 1859-1862(1981年)のジエチルホスホラミダイト方法、及び米国特許第4,458,066号の固体支持方法のような方法による直接的化学合成を含み、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
化学合成は、単鎖のオリゴヌクレオチドを生成する。これは、補完的配列によるハイブリッド形成により、又は鋳型として単鎖を使用したDNAポリメラーゼによる重合により二本鎖のDNAに変換され得る。当業者は、DNAの化学合成が約100塩基の配列に限られる一方で、より長い配列はより短い配列の連結反応により得られる可能性があることを認識するであろう。あるいは、配列はクローニングされ得て、適切な部分配列は適切な制限酵素を使用して開裂され得る。その後、断片は所望のDNA配列を生成するために連結反応され得る。
好適な実施形態において、円順列変異蛋白質をコード化するDNAは、例えばポリメラーゼ鎖反応(PCR)のようなDNA増幅方法を使用して生成され得る。最初に、新規な末端の各側面について、天然のDNAの部分が分離して増幅される。例えば、CALBの天然の蛋白質配列は317アミノ酸長であり、その開放部位はアミノ酸37と38の間にそれぞれあって、コドン1乃至37及び38乃至317を表す配列は分離して増幅される。第一の増幅された配列の5´終端はペプチドリンカーをコード化する一方、第二の増幅された配列の3´終端はペプチドリンカーをもコード化する。第一の断片の5´終端は第二の断片の3´終端に対して相補的であるため、前記二つの断片は(例えばLMPアガロースについての部分的精製後に)、第三のPCR反応における重複する鋳型として使用され得る。増幅された配列はコドン38〜317、リンカー及びコドン1〜37を含むであろう。次に、円順列変異分子はプラスミド内に連結反応され得る。
円順列変異蛋白質は、大腸菌、他の微生物宿主、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisia)他の酵母又は菌類、及び、COS、CHO及びHeLa細胞株並びに骨髄腫細胞株のような種々の高等真核細胞を含むが、これらに限られない種々の宿主細胞内において発現され得る。組み換え蛋白質遺伝子は、各宿主について適切な発現抑制配列に操作可能に結合されるであろう。大腸菌については、これはT7、trp又はラムダプロモーターのようなプロモーターと、リボソーム結合部位と、好適には転写末端シグナルを含む。真核細胞については、抑制配列は、プロモーターと、好適には免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルス等から生成されたエンハンサーと、ポリアデニル化配列を含み、スプライスドナー及び受容体配列を含み得る。
本開示のプラスミドは、大腸菌についての電気穿孔法又は塩化カルシウム形質転換、及び哺乳類細胞についてのリン酸カルシウム処理又は電気穿孔法のような周知の方法により、選択された宿主細胞内に転送され得る。プラスミドにより形質転換された細胞は、amp、gpt、neo及びhyg遺伝子のようなプラスミド上に含まれる遺伝子によって与えられる抗生物質に対する耐性により選択され得る。
組み換え蛋白質は、発現すると硫酸アンモニウム沈殿、親和性カラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含む従来技術の標準的手順に従って精製され得る(一般に、R. Scopes「Protein Purification」Springer- Verlag、ニューヨーク(1982年)、Deutscher、Methods in Enzymology Vol. 182「Guide to Protein Purification」Academic Press, Inc.、ニューヨーク(1990年)参照。前記文献は参照により本明細書に組み込まれる)。実質的に、少なくとも約90〜95%の均一性の純粋な組成が好適であり、98〜99%又はより高い均一性が最も適用に好適である。所望されたように部分的に又は均一に精製されると、ポリペプチドは任意の所望の用途に使用され得る。
当業者は、化学合成、生物学的発現又は精製の後に、円順列変異蛋白質が天然の蛋白質と実質的に異なる構造を有し得ることを認識するであろう。この場合において、蛋白質を変性及び削減して、次に蛋白質を好適な構造内に再フォールドすることが適切であり得る。蛋白質の削減及び変性並びに再フォールディングの誘発は、当業者には周知である(Debinski他「 J. Biol. Chem.」268:14065-14070頁(1993年)、Kreitman及びPastan「Bioconjug. Chem.,」4:581-585頁(1993年)、及びBuchner他「Anal. Biochem」205:263-270頁(1992年)参照)。デビンスキ(Debinski)らは、例えばグアジニン‐DTE中の体タンパク質の包含の変性及び削減を説明する。その後、蛋白質は酸化型グルタチオン及びL‐アルギニンを含むレドックス緩衝剤中において再フォールドされる。
当業者は、生物学的活性を減少させることなく、円順列変異蛋白質等に対して変形が行われ得ることを認識するであろう。いくつかの変形は、融合蛋白質への円順列変異リガンドのクローニング、発現又は組み込みを促進するために行われ得る。そのような変形は当業者には周知であって、例えば開始部位を与えるためにアミノ末端において付加されたメチオニン、又は好都合に位置する制約された部位又は終止コドンを作成するためにいずれかの末端に置かれた追加のアミノ酸を含む。例えば、いくつかの実施形態において、円順列変異蛋白質は開始部位を与えるためにアミノ末端において追加のメチオニン(Met)を有するであろう。円順列変異蛋白質は、クローニング目的のための追加の要素をも含み得る。
当業者は、他の変形が行われ得ることを認識するであろう。そのため、例えば円順列変異蛋白質の特異性又は結合親和性を増加させるアミノ酸置換が行われ得る。あるいは、分子の非必須領域が短縮され、又は全体的に消去される。このように、分子の活性にそれら自体が関与しない分子の領域が存在する場合、前記領域は消去され、又は単に分子の活性構成要素間の正しい空間的関係を維持するために働くより短い部分によって置換される。
(リパーゼの設計)
以下は、本開示のいくつかの非制限的実施例を説明する。特定の観察が起こる方法及び/又は理由に関して科学的主張がなされるが、前記科学的主張に限定され又は理論により拘束される意図は存在しないことにも留意されるべきである。
本開示のいくつかの実施形態において、円順列変異はカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)からのリパーゼB(CALB)の触媒性能について、変更された活性部位可触性及び蛋白質骨格柔軟性の効果を調査するために使用された。CALBは、部分的にはα/β加水分解酵素フォールドファミリーのメンバーであるため、また、そのバイオテクノロジー及び有機合成化学の用途における生体触媒としての広い使用のため選択された。
α/β加水分解酵素フォールドは、最も多用途かつ広範囲の蛋白質構造であり、エステラーゼ、プロテアーゼ、デハロゲナーゼ、ハロペルオキシダーゼ、リアーゼ及びエポキシドヒドラーゼのような機能的に多様な酵素を含む。α/β加水分解酵素フォールドファミリーの二つのメンバーの構造は、図2に示される。「フォールド」をその名称に与えるように、これらの酵素において共通の特性は、α螺旋により両側において側面に立たれるねじれたβシート内に配置される(図2B及び2C)、保存された八つの螺旋を有する最も平行なα/β構造(図2A)である。α/β加水分解酵素フォールド又はコアは、典型的には高度に保存された三つ組である触媒残基のための安定した足場を提供する。このフォールドのメンバーは、保存されたコア構造を超えて、広い種類のループ挿入を収容することによりその進化した可能性を示す。これらの挿入は、主に蛋白質のC‐末端半分に位置し、小数のアミノ酸から全体の領域までの範囲を取り得て、基質結合ポケットを規定することにより重要な役割を果たすリッド及びキャップを形成し、活性部位の可触性を調整する。
このフォールドファミリー内の多数の酵素は、不斉合成のための生体触媒として重要な役割を果たす。これらの広い基質特異性並びに一般に高い部位及びエナンチオ選択性は、有機合成化学及びバイオテクノロジーのための酵素多用途手段を作成する。重要な蛋白質操作の努力は、これらの生体触媒をカスタム化するために行われた。実務家は、酵素の熱安定性及び有機溶媒中における性能を調整し、並びに合理的設計を介して基質特異性を変更してエナンチオ選択性を変更し、進化した方法を導いたが、円順列変異はこれらの酵素を操作するために前記蛋白質のファミリーと共に使用されなかった。
317アミノ酸長であるCALBは、α/β加水分解酵素コア構造を含む。α/β加水分解酵素コア構造は、触媒三つ組の残基(S105,D187,H224)及び蛋白質のC‐末端に近い延長されたキャップ領域を含む。CALBは、第一級及び第二級アルコールの立体選択的変換について卓越した生体触媒特性を示し、広く使用される生体内変化触媒である。
円順列変異ライブラリの構築及び機能的変異型の識別:リパーゼにおける構造的制約が、アミノ酸の置換よりむしろ、蛋白質骨格切断を通じて緩和されると考えられる。具体的には、活性部位内又はその近くへの蛋白質のN及びC‐末端の内部再配置が、鎖柔軟性及び活性部位可触性を増加させ得ると考えられる。前記鎖柔軟性及び活性部位可触性は、構造的により厳しい基質についてより高い活性となり得る。このように、円順列変異はリパーゼの触媒性能についての末端再配置の効果を調査するために使用された。
組み合わせのアプローチを使用して、CALBの円順列変異は63個の固有の機能的順列変異を識別し、選択された候補の動態解析は酵素変異型の大部分が、一連の標準基質上において野生型CALBの活性を維持し又は上回った。前記結果は、非天然基質用の新規な触媒としてのこれらの注文仕立てのリパーゼの潜在的利点を超えて、円順列変異を蛋白質操作、特にリパーゼ操作のための有望な一般的方法として確認する。
合理的な設計による適切な順列変異部位の識別の困難さを前提として、不規則に円順列変異されたCALB変異型の包括的な組み合わせライブラリが生成された。野生型CALB遺伝子により始まり、柔軟な六アミノ酸リンカーをコード化する側面オリゴヌクレオチド配列(GGTSGG‐、配列番号3)が最初に導入されることにより、元の末端間の17Åまでの距離が埋められる。分子内連結反応の後、図1Bに一般に示されるように、DNアーゼIを使用して環状DNAが線状化された。そのような方法は当業者に知られており、以下において説明されている。Baird, G. S.他「Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.」1999, 96, (20), 11241-11246頁、Beernink, P. T.他「 Protein Sci.」2001, 10, (3), 528-537頁、及びGraf, R.他「Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.」1996, 93, (21), 11591-11596頁。これらはその全体について参照により本明細書に組み込まれる。反応条件は、平均してDNA螺旋毎に単一の切断のみが導入されるように選択された。
結果として生じるCALB順列変異のライブラリは、以下により詳細に説明されるように、次にpPIC9内にクローニングされ、蛋白質発現のためにピチア・パストリスGS115に形質転換された。未実験のライブラリ(5×10個までのコロニー)内の96個の不規則に選択されたDNA配列分析は、蛋白質配列の全長に亘る偏りのない新規な末端の分布を裏付けた。これは、図3中のCALBの円順列変異マップにより示される。次に、図4に示されるように、CALBライブラリ中の機能的変異型がトリブチリンプレート上におけるコロニースクリーニングにより識別された。これは、以下の実施例においてより詳細に説明される。機能的メンバーのDNA配列分析は、野生型以外の位置における末端を有する63個の固有の蛋白質配列を識別した。これらは図5に示されるCALBの円順列変異マップ上の外側の円内の線として示される。
データは、CALBが蛋白質の全長に亘る多数の位置における順列変異に耐えることを示す。図6内の模様入りの領域により示されるように、機能的順列変異の新規な末端は、野生型CALB構造上にマッピングされたとき、表面ループと一致するのみならず、酵素の表面及び内部領域上の第二の構造要素を遮断する。最も顕著なことは、アミノ酸243から317までの機能的順列変異の集中は、酵素のキャップ領域の主な部分を作り上げることである。この配列は大きく表面が露出され、α/β加水分解酵素コアの前面の周りを包み、活性部位ポケットのアルコール結合部(α17)を形成する。
順列変異に耐える二つの追加領域は、アミノ酸44及び47を含むが、これらに限られない。アミノ酸44及び47は、オキシアニオン安定化残基及びα7/9内の順変異のクラスター(アミノ酸135〜155)に近接して位置する。この第二の領域は酵素のリッド領域を構成し、キャップ領域の部分でもある。二つの蛋白質セグメント(残基48〜143及び204〜246)は、機能的順列変異を有さずに識別された。これらの領域は、α/β加水分解酵素フォールドのコアを作り上げ、触媒三つ組の残基S105及びH224を含む。これらの残基の近くの機能的順列変異の不存在、並びに前記三つ組の第三のアミノ酸(D187)に近接する単一の部位のみの存在は、触媒に対するこの領域の重要性と、場合によれば蛋白質フォールディングに対するその関連性を反映する。
蛋白質変異型の動態解析:触媒についての円順列変異の影響を検査するため、活性部位内又はその近くの末端を有する11個の機能的CALB変異型が、詳細な動態特性について選択された。これらの変異型における末端の位置は、図6中のCALBの構造上に示される。数字は、新規な末端のアミノ酸残基に対応する。P・パストリス内の過剰発現に続き、選択された円順列変異蛋白質は、均一に精製された。これらの変異型の触媒性能は、発色性基質p‐ニトロフェノールブチレート(pNB)及び蛍光性基質6,8‐ジフルオロ‐4‐メチルアンベリフェリル(DiFMU)オクタン酸塩の加水分解の初期比率を測定して、二つの標準リパーゼ基質を有する活性分析において決定された。動態データは、以下の表1及び2に示される。
表1及び2において、CALBの名称、例えばcp44は、N‐末端が野生型配列のアミノ酸44において開始する円順列変異蛋白質を示す。名称の後の「a」は、タグ及び特定の操作アーチファクト(例えばHisタグ又はC‐末端延長)が除去された特定のcp‐変異型の変異を示す。配列bは、N及びC‐末端アミノ酸(全て単一文字コードによる)を示す。個々の順列変異の鎖の長さにおける小さな変化は、DNアーゼIの消化に際する読み枠の移動及び互い違いの終端により引き起こされる。Hisは、Hisタグの存在を示し、追加の配列断片もまた単一文字コードにより示される。c相対的特異性=kcat/K(変異型)/kcat/K(野生型)
動態解析は、円順列変異がCALBの溶媒性能について重大な影響を有することを確認した。野生型CALB上の酵素活性における最も実質的な改善は、α16/17のキャップ領域への末端再配置に際して観察された。7個の変異型(cp268〜cp294)のうちの6個が、pNB及びDiFMUオクタン酸塩についての明らかなkcatにおける一貫した改善を示した。4個の変異型のうちの3個(cp283、cp284,cp289)が、その明らかなkcatにおける一貫した10‐フォールドの改善と、DiFMUオクタン酸塩の生産高における175‐フォールドまでの増加を示す。操作アーチファクトであるC‐末端ペプチド延長の除去は三つの変異型全て発見され、Hisタグは触媒反応速度を一般に変化しないままとし、又はcp283の場合における大幅な改善を伴って触媒反応速度を改善した。対照的に、cp294内の全体の蛋白質断片(アミノ酸284〜293)の除去は、触媒にとって有害であるように思われる。欠失が生産性のある基質の結合を防いで活性部位ポケットを分解するか、あるいはC293を形成するジスルフィド結合が消去されるため蛋白質安定性に影響を与えるかは不明なままである。
リッド領域(cp144、cp148,cp150)内の骨格切断は、我々の試験基質の加水分解について穏やかな効果を示した。三つの変異型についてのK及びkcatの両方は、説明された分析条件下において親酵素の二つのフォールド内に留まる。構造モデルにより、基質のアシル部分によるこの蛋白質領域の近い相互作用が予測される。さらに、リッド領域の円順列変異は、反応媒質内の変化への酵素の応答を変化させ得る。リッド領域の円順列変異は、リッド領域内の構造変化を調整することにより、リパーゼ活性に影響を与え得る。
最後に、cp44についての動態データは、野生型CALBと比較して相対的特異性における10〜100フォールドの削減を示す。順列変異部位のオキシアニオン結合ポケットへの近接性は、活性部位残基の位相的不整合を結果として生じる。順列変異のない蛋白質の観察と一貫して、蛋白質順列変異は局所的骨格柔軟性を確かに増加させると考えられる。そのような柔軟性は活性部位残基に近接した位置において有害であるように見えるが、緩和効果は、活性部位位相に貢献するが触媒に関与する側鎖を直接的に保持しない蛋白質領域に適用されたときに有益であり得る。
要約すれば、円順列変異によるCALB操作は、少なくとも63個の新規な非天然リパーゼ変異型を生成した。動態解析は、これらの蛋白質変異型が野生型、変異及び混合されたCALBの上の複数の基質について、維持又は改善された触媒機能を有し得ることを確認した。観察された速度の向上は、改善された活性部位可触性と増加した局所的蛋白質骨格柔軟性から生じると考えられる。
蛋白質変異型における基質特異性及びエナンチオ選択性の分析:円順列変異CALB変異型を分析するため、野生型特異性及び選択性の保有について調査するために三つの天然基質が選択された(例えば下記化合物1〜3)。
CALBのための三つの天然の基質である(1)4‐シクロペンテン‐1,3‐ジオール1、(2)3‐ヒドロキシ‐テトラヒドロフラン、及び(3)6‐メチル‐5‐ヘプテン‐2‐オールが野生型CALB及びcp283について基質として試験された。三つの化合物全ての純粋な異性体は、多数の薬剤のための開始物質として働く、有機合成化学における重要なキラル構成要素である。
実験は、ワン(Wang)YFら「Lipase-Catalyzed Irreversible Transesterifications Using Enol Esters as Acylating Reagents - Preparative Enantioselective and Regioselective Syntheses of Alcohols, Glycerol Derivatives, Sugars, and Organometallics」J Am Chem Soc 1988, 110:7200-7205頁において説明されているように、固定化された酵素及び第二の試薬としてのビニルアセテートを使用して、典型的には有機溶媒について実行された。前記文献は、参照によりその全体について本明細書に組み込まれる。この反応機序は、ビニルアルコール副産物が高速にホルムアルデヒドに転位して、反応平衡からビニルアルコール副産物を効率的に除去してこれにより生成阻害を回避するという利点を有する。反対に、有機溶媒における反応のために、酵素は好適には固定化される。CALB変異型は、商用CALB製品にも使用される弱イオン交換樹脂であるルワチット(Lewatit)VPOC 1600上にて固定された。予備実験において、三つの天然基質1〜3の全ては、野生型CALB及びcp283の両方によりアセチル化された。天然基質3による反応のキラルガスクロマトグラフィー(シクロシル(CycloSil)‐Bキラルカラムを実装したアジレント(Agilent)6850GC )による生成物分析は、野生型CALBに比較して、cp283による基質3のより速いエステル化を示した。
キラル第三級アルコールとそれらのエステル(TAE)は、多数の天然製品において見付けられ、有機合成化学のための価値ある構成要素を表す。不十分な合成方法の代替として酵素の動態溶液によるそれらの準備が考慮されたが、それでも第二級アルコールの分離のために成功裡に使用されるリパーゼの大部分は、TAEについて乏しい反応性とせいぜい平凡なエナンチオ選択性を示す。TAEについての酵素の劣った性能は、触媒の活性部位内の立体的制限から生じると考えられる。非活性触媒により第三級アルコールを加水分解することが可能なリパーゼの構造比較は、より大きい第三級基の結合を促進するリパーゼ内のより広いアルコール結合ポケットを示唆する。本開示の円順列変異方法は、この仮説を試験するためにこの結合部位に近接する新規な末端を識別した。第三級アルコールを加水分解することが可能なリパーゼは、活性部位の一部として特徴的なGGGXループをも保持し、これはオキシアニオン安定化ポケットの柔軟性を最大化すると考えられる。要約すれば、第三級アルコールを有する単純なエステルについてさえ満足なエナンチオ選択性と活性を有する生体触媒は、文献において報告されなかった。
合理的な操作の試み及び導かれた発展は、いずれの適切な触媒も産出しなかった。研究は現在のリパーゼによる根本的な問題のいくつかを明らかにしたが、第三級アルコールについてのリパーゼ活性を再設計し延長するための新たな蛋白質操作アプローチの調査に向かってはほとんど達成されなかった。そのような従来のアプローチは所望の活性及び選択性を有する変異体を生成しなかったが、本開示の順列変異CALB内の活性部位結合ポケットの変更、又は本開示による他の順列変異リパーゼ及びエステラーゼは、これらの新規な基質を収容することが可能であり得る。
これらのリパーゼ変異型のための別の潜在的用途は、機能性高分子の合成である。CALBの高い選択性は、水性及び有機媒質におけるその触媒活性と共に、リパーゼを魅力的な重合触媒にした。例えば、酵素は7員環ε‐カプロラクトンのような環状ラクトンの開環重合のために利用される。δ‐バレロラクトン及びγ‐ブチロラクトンのようなより小さい環系を加水分解する酵素の限られた能力に関心があり、前記能力は酵素の活性部位に適合しない環の高い硬直性(rigidity)により引き起こされる。CALBの円順列変異は、単量体基質の収容においてより高い柔軟性を有する触媒を提供し、利用され得る重合体構成要素の範囲を拡張すると考えられる。
円順列変異の結果としての活性部位結合ポケットの再編成は、新規な加水分解酵素活性の生成のために可能な機構であり、円順列変異CALB変異型もまた新規な触媒活性を有し得る。リパーゼ及び他のα/β加水分解酵素における触媒の混合(promiscuity)が報告され、そのため円順列変異の結果としての活性部位結合ポケットにおける変更は、酵素の基質特異性を移動させるための非常に魅力的な機構を提供する。
蛋白質構造及び動態についての円順列変異の影響:蛋白質の構造的完全性及び動態についての円順列変異の重要性はよく理解されておらず、当該目的に対する実験的研究は文献にほとんど記述されていなかった。上述したデータは、順列変異がCALBの触媒性能について有益な効果を有し得ることを証明するが、やはりこの観察の理論的根拠は不明確である。前記データは、新規な末端が重大な貢献を行うことと、観察された反応速度向上は単により速い生成物放出だけに起因しない可能性があることを示唆する。上述したエナンチオ選択性の保存は、表1及び2において示された変異型におけるKの値における小さな変化と共に、骨格の切断にもかかわらず基質結合部位が大部分は損なわれないままであることを示唆する。
このように、円順列変異は局所的蛋白質環境について重要性を有すると考えられる。例えば、アミノ酸282と283(cp283)の間のペプチド結合の切断は、二つのより小さいが定義された螺旋領域の局所的動態に影響を与え得る。あるいは、順列変異は二つの無秩序な鎖を生成して、螺旋領域の「解放」を結果として生じ得る。蛋白質構造上の円順列変異の影響を研究するために、円偏光二色性及び蛍光分光に基づく一連の生物物理学的実験が考案された。これらの研究は、CALB変異型の第二の蛋白質操作により補完される。
蛋白質の第二の構造の含量は、紫外線円偏光二色性(UV CD)分光法により測定され得る。図7の遠紫外線円偏光二色性スペクトルに示されるように、表1及び表2内に列記された選択されたCALB変異型のスペクトル分析は、α7/9内の末端による順列変異においてほとんど構造的変化を示さない。対照的に、図8に示されるように、CALB変異型のヘリックス含量における明確な減少は、蛋白質末端がα16/17に位置するときに観察される。195及び222nmでの平均楕円率における減少は、酵素変異型内の削減されたヘリックス含量を示す。さらに、減少するヘリックス含量と、cp289からcp268に移動する蛋白質末端の位置の間の相関が見付けられた。これらのデータは、順列変異するとN‐末端に移動するこれらの螺旋の要素が、定義された第二の構造内にフォールドされない可能性があることを示唆する。そのような構造的完全性の減少する傾向は、図7及び8上に挿入として示される円偏光二色性(CD)熱生成(thermodenaturation)実験とも一致する。cp289からcp268への末端再配置は、Tにおける着実な減少と、鋭い二状態遷移からより協力的でない蛋白質アンフォールディングへの出発を示す。
N‐末端螺旋断片の不安定化についての説明の調査において、図9の9Cに模式的に示されるように、野生型末端を6個のアミノ酸リンカーにより結合することは、アミノ末端に近い延長されたループを形成することが見付けられた。蛋白質における大きなループは熱力学的に好ましくなく、モデル蛋白質の熱安定性を減少させることが発見された。増加したループ柔軟性は蛋白質のフォールディング挙動においてほとんど変化を示さなかったが、蛋白質の自由エネルギー上におけるその効果は、ループ閉鎖のエントロピー消費により説明され得る。ループ領域が蛋白質を安定させ得る第二の構造を採用しないと仮定すると、このモデルはループ延長と関係して蛋白質不安定化における一般的傾向を示す。このように、CDの結果は、第二の構造における欠失がCALBの触媒活性における増加に伴って起こり得ることを示唆する。これらの構造的変化は、順列変異部位の近くにおいて起こる可能性が高いと考えられる。このように、下記においてより詳細に論じられるように、延長されたループは第二の操作のための興味深い対象を提供した。
機能的に選択されたCALB変異型の間において、α螺旋16及び17における新規な末端による順列変異は、骨格切断の位置及び観察された触媒反応速度の向上に関して突出している。cp294についての動態データは、当該領域における欠失が触媒に対して有害であり得て、新規な末端が酵素機能に対して重要な役割を果たす可能性が高く、それでもなお切断された螺旋がその第二の構造を維持するか構造化されていない鎖になるかは不明確なままであることを示す。
蛍光分光法は、酵素の構造的完全性に対する円順列変異の影響を明らかにするために使用され得る。具体的には、時間分解蛍光異方性実験が、切断部位における又は切断部位に近いポリペプチド鎖の動態を調査するために使用され得る。アセチルコリンエステラーゼについての同様の実験は、蛋白質中の部位特異の蛍光色素分子ラベリングが、アポ蛋白質の選択された領域のナノ〜マイクロ秒動態を調べるために、並びに基質結合についての構造的変化を調査するために使用され得ることを証明した。これらの方法により、順列変異部位又はその近くのシステインの側鎖に付加された蛍光色素分子の柔軟性が測定され得る。「堅固な」参考として、野生型CALBにおける無傷の螺旋はラベルについてほとんど柔軟性を与えず、遅いシグナル減衰を結果として生じる。対照的に、CALB(Δ301)内のラベル付けされたC293残基(図9参照)は、七つのアミノ酸長の鎖上に位置し、構造的制約を最小化して、前記鎖を高度に柔軟な蛋白質鎖のための基準とする。
α17において蛍光色素分子ラベルを付加するために、多数の表面が曝される位置が螺旋全体を通じて選択された。変異型の第二の生成のために、位置A279、V286及びG288における三つの単一のシステイン変異型が作成された。これらの残基は、蛋白質末端から一又は二螺旋回転離れて位置している。以下において論じられるように、自由システインを有する適切にフォールドされた活性の酵素の発現は、切断された酵素CALB(Δ301)による活性分析において解決された。切断された酵素CALB(Δ301)は、対にならないシステインを有し、それでもなお野生型レベルのピチア・パストリスにおいて過剰発現され得る。
CALB変異型の第二の操作:上記において論じられ図7及び8において示されたCDデータの解釈に基づいて、減少する蛋白質安定性と約40アミノ酸長の延長されたループの間の可能な関係が、野生型CALB(図9の9B)及びcp283(図9の9D)の増分切断により試験された。
野生型CALB内の延長された非構造化領域の機能的必要性を調査するために、増分して切断されたC‐末端を有するCALBのライブラリ(図9の9B)が作成された。C‐末端の切断されたCALBの包括的なライブラリは、ITCHY技術(Lutz S、Ostermeier M、Benkovic SJ「Rapid generation of incremental truncation libraries for protein engineering using alpha-phosphothioate nucleotides」Nucleic Acids Res 2001, 29:E16、参照によりその全体について本明細書に組み込まれる)を使用して生成され、トリブチリンプレート上における機能的スクリーニングを経た。ハロ形成コロニーからのリパーゼ遺伝子は、DNA配列決定により分析された。この研究からの結果は、CALBの十六個のC‐末端アミノ酸がリパーゼ機能の損失なしに除去され得ることを示す。最も短いCALB変異型であるCALB(Δ301)は、現在より詳細な動態及び生物物理学的特性付けを経ている。切断変異型は、切断されたペプチド配列内の新規なC‐末端の位置に対して命名される。そのため、CALB(Δ301)はその新規なC‐末端をアミノ酸301に有する天然のCALBである(ここでは、C末端の終端からの16個のアミノ酸は除去された)。
単独で(separately)、CALB(Δ301)は上に簡単に述べた蛍光異方性実験のための基準として働く。C‐末端の切断はC311を除去するため、野生型酵素において三つのジスルフィド結合を形成する天然の六つのシステインのうちの一つであるCALB(Δ301)には、位置293における対にならないジオールが残され、位置293を柔軟なC‐末端において固有のラベリング部位とする。蛋白質の過剰発現データは、活性の切断された酵素への自由なC293の干渉を示さない。
独立して、図9の9Dに模式的に示されるcp283において新規に作成された延長ループのより短い変形を識別するために、増加切断実験が実行された。検出されたアミノ酸を示す、数個のcp283の切断された変異型の部分的配列もまた、図9に示される。cp/欠失変異型は、欠失されたアミノ酸の数について命名される。例えば、cp283 Δ11は、配列が延長ループから除去された11個のアミノ酸を有するcp283の変異型であることを示す。添え字のa、b、c等は、同一の欠失の数を有する異なる変異型を示す。CALB変異型cp283を鋳型として使用して、3×10個までのリパーゼ変異型の不規則なライブラリがITCHY技術を使用して作成された。40,000個までのコロニーの機能的スクリーニングはリパーゼ活性を有する多数のコロニーを識別し、DNA分析はループ内の最大10個のアミノ酸の欠失を有する数個の活性蛋白質を識別した。後続のこれらの蛋白質変異型のいくつかの過剰発現及び動態解析は、野生型より高い活性を確認した。特に、cp283Δ7a(配列番号20として部分的に特徴付けられる)は、天然のCALBの活性を超える増加した活性を有することが発見された。
本明細書において説明される、円順列変異の概念を使用し、選択的に第二の操作が続く方法は、他のリパーゼ、エストラーゼ、加水分解酵素等にも適用され得て、本明細書において説明された実施形態又は下記実施例に限定されることは意図されない。
(実施例)
以下の詳細な実施例は、本開示のいくつかの好適な実施形態を示すために与えられ、いかなる方法においても本開示を限定することは意図されない。
(物質)
試薬:蛍光性基質6,8‐ジフルオロ‐4‐メチルアンベリフェリルオクタン酸塩(DiFMUオクタン酸塩)及び基準標準6,8‐ジフルオロ‐7‐ヒドロキシ‐4‐メチルクマリン(DiFMU)がモレキュラー・プローブ社(Molecular Probe、Eugene、オレゴン州)から購入された。p‐ニトロフェニルブチレート(p‐NB)は、シグマ社(Sigma、セントルイス、ミズーリ州)から購入された。酵素は、別途注記しない限りニュー・イングランド・バイオラブ社(New England Biolab、Beverly、マサチューセッツ州)から購入された。
株及び媒質:ピチア・パストリスGS115(his4)(Invitrogen、Carlsbad、カリフォルニア州)は、リパーゼ発現のために使用された。大腸菌株DH5α‐E(Invitrogen、Carlsbad、カリフォルニア州)は、全てのベクター構築のために使用された。P・パストリスはYPG媒質(1リットルにつきイースト抽出物10g、バクトペプトン20g、グルコース20g)において培養された。BMGY媒質(1リットルにつきイースト抽出物10g、ペプトン20g、イーストニトロゲンベース13.4g、ビオチン0.4mg、グリセロール10ml、1Mリン酸カリウム緩衝液100ml、pH6.0)及びBMMY媒質(1リットルにつきイースト抽出物10g、ペプトン20g、イーストニトロゲンベース13.4g、ビオチン0.4mg、メタノール5ml、1Mリン酸カリウム緩衝液100ml、pH6.0)が、蛋白質発現のために使用された。MD Hisプレートは、形質転換細胞の選択のために使用された(1リットルにつきイーストニトロゲンベース13.4g、ビオチン0.4mg、デキストロース20g、寒天15g)。MMトリブチリンプレートは、リパーゼ分泌形質転換細胞をスクリーニングするために使用された(1リットルにつきイーストニトロゲンベース13.4g、ビオチン0.4mg、メタノール5ml、トリブチリン10ml、寒天15g)。
(wt−CALB発現ベクターの構築)
配列番号1の野生型calB(wt−calB)遺伝子(配列番号2の蛋白質を有する)は、プライマーZQ_CALBfor1(5´‐GAGGCTGAAGCTCATCATCATCATCATCATAGCAGCGGCCTTGTTCCACGTCTACCTTCCGGTTCGGACCCT‐3´)(配列番号5)、ZQ_CALBfor2(5´‐CGCCTCGAGAAAAGAGAGGCTGAAGCTCATCATCATCATCATCAT‐3´)(配列番号6)及びZQ_CALBrev(5´‐CGCGCGGCCGCTTAGGGGGTGACGATGCCGGAGCA‐3´)(配列番号7)を使用した二段階PCR増幅により、カンジダ・アンタークチカ(ATCC株番号32657)から単離された。増幅された遺伝子は、リパーゼ遺伝子のN‐末端におけるトロンビン切断部位が続く(His)タグを含んでいた。制限酵素認識部位XhoI及びNotIもまた、5´及び3´末端にそれぞれ導入された(認識配列は下線部である)。PCR生成物は、XhoI及びNotIにより消化され、同一の制限酵素により消化されたベクターpPIC9(Invitrogen、Carlsbad、カリフォルニア州)に連結反応された。この構造(pPIC9‐calB)は、CALB遺伝子をメタノール誘導アルコールオキシダーゼプロモーター(AOX1)の制御下に置き、サッカロミセス・セレヴィシエのα‐因子分泌シグナルペプチドを伴うフレーム内に(in frame with)置いた。
(calBの不規則円順列化)
wt−calB(配列番号1)は、SpeI部位を両方の終端(下線部)に有するプライマーZQ_cpCALBfor(5´‐GGTACTAGTGGTGGCCTACCTTCCGGTTCGGACCCT‐3´)(配列番号8)及びZQ_cpCALBrev(5´‐CGCACTAGT ACCGCCGGGGGTGACGATGCCGGAGCA‐3´)(配列番号9)を使用してPCRにより増幅された。SpeIによる消化後、5μgのPCR断片が、90ワイス(Weiss)単位のT4 DNAリガーゼ(Promega、Madison、ウィスコンシン州)を有する2.5ng/μlの濃度において、16°Cにて一夜環状化された。この構造は、天然のN‐及びC‐末端を結合するGly‐Gly‐Thr‐Ser‐Gly‐Gly(配列番号3)をコード化する18bpのリンカー配列(配列番号4)を有する環状calBを生成した。設計されたリンカーは、柔軟性のためのグリシン及び親水性のためのセリン/スレオニンに富む6つのアミノ酸ペプチドにより構成された。エタノール沈殿後、残る線状DNAを除去するため、DNAは37°Cにて30分間エクソヌクレアーゼIII(0.4単位/μg DNA、Promega、Madison、ウィスコンシン州)消化を受けた。エクソヌクレアーゼIIIは、65°Cでの15分間の加熱により不活性化された。DNAは、キアクイック(QIAquick)カラムにより精製され、50μlEB緩衝液により溶出された。
環状化遺伝子の不規則再線状化は、50mMのトリスHCl、pH7.5、1mMのMnCl、DNA(5μg/ml)中のDNアーゼI(Roche、インディアナポリス、インディアナ州)(RNアーゼIなし、0.5ミリユニット/μg DNA)による室温における15分間の制限された消化により実行された。反応は、10μlの0.5Mのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えることにより停止され、キアクイックカラム(Qiagen、Valencia、カリフォルニア州)により溶出緩衝液(10mMのトリスHCl、pH8.5)中に脱塩された。線状化されたDNAは、最終的濃度150μMまでdNTPが加えられたT4リガーゼ緩衝液中において、T4 DNAポリメラーゼ(Promega、Madison、ウィスコンシン州)(1単位/μg DNA)及びT4リガーゼ(2ワイス単位/μg DNA)を使用して、室温において1時間修復された。線状化され修復されたDNAは、アガロースゲル電気泳動法により回復された。
(pPIC9‐cp‐calBライブラリの作成)
発現ベクターpPIC9へのcp‐calBの直接の平滑末端連結反応は、ベクターのサイズにより困難であった。成功したライブラリ集積は、代わりにシャトルベクターとしてpAMB‐CAT(Ambion、Austin、テキサス州)を使用することにより達成された。ライブラリクローニングの準備において、pAMB‐CATはcalBクローニング部位から上流のN‐末端延長(Hisタグ、トロンビン切断部位、開始コドン)に加えて挿入部位の直後の停止コドンを保持するように変更された。そのため、PCR増幅された野生型calB(プライマー:ZQ_CALBfor1、ZQ_CALBfor2、ZQ_CALBrev)(それぞれ配列番号5,6,7)はNotI/XhoIにより消化され、同一の制限酵素により消化されたベクターpAMB‐CATに連結反応された。結果として生じるベクターは、ZQ_pAMBfor(5´‐CCGGATATCAGGCCTTGGAACAAGGCCGCTGCTATG‐3´)(配列番号10)及びZQ_pAMBrev(5´‐CCGGATATCTTATAAGCGGCCGCAAGCTTGTCG‐3´)(配列番号11)を使用して増幅され、これらは両方の終端の側面に位置するEcoRV部位(下線部の半角文字)と共に、StuI及びPsiI部位(下線部の全角文字)を有した。増幅されたベクターは、挿入のサイズを増加させるために、EcoRVにより消化され、pET‐16bベクター(Novagen、Madison、ウィスコンシン州)のEcoRV消化物から生成されたセグメントにより連結反応された。このことは、後続の消化が監視されることを可能にした。最後に、ベクターはStuI及びPsiIにより消化され、cp‐calBライブラリは平滑末端ライゲーションによりベクターに組み込まれた。電気的コンピーテント大腸菌DH5α‐E細胞へのプラスミドの形質転換は、pAMB‐cp‐calBライブラリ(5×10メンバーまで)を生成した。当該コロニーは採取され、プラスミドはキアプレップ(QIAprep)回転少量調製キットにより単離された。
第二のクローニング段階において、cp‐calBライブラリはpPIC9において集積された。精製されたpAMB‐cp‐calBはNotI/XhoIにより消化され、cp‐calBライブラリを含むセグメントは同一の酵素により消化されたpPIC9ベクターに連結反応された。約1.5×10個のコロニーが、電気的コンピーテント大腸菌DH5α‐E細胞への形質転換後に得られた。形質転換細胞は採取され、プラスミドはキアプレップ回転少量調製キットを使用して単離された。
この二段階手順は、500,000メンバーから構成されるライブラリを産出した。理論的ライブラリサイズを317+6(蛋白質長+ペプチドリンカー)と仮定すると、そのようなライブラリサイズは、ライブラリの各メンバーが少なくとも一回表されることを仮想的に保証した。新規に作成された蛋白質末端の分布における任意の検出可能な偏向の不存在は、不規則に選択されたライブラリメンバーの89個のCALB遺伝子のDNA配列決定により確認された(図3)。期待された順列変異完全長CALB遺伝子に加えて、野生型蛋白質の一以上の残基の挿入及び欠失を保持した数個のライブラリメンバーが識別された。いくつかの場合において、PCRによる遺伝子配列の操作は、元の蛋白質配列の変異 をもたらし得る一以上のヌクレオチド置換の結果として追加の配列変化を導入した。
最後に、CALB変異型の分析の重要な局面は、宿主細胞毎に単一のcp−CALB遺伝子ライブラリメンバーの形質転換であった。微生物発現系と対照的に、ピチア・パストリスは形質転換されたプラスミドとその内容をその染色体DNAに組み込む。細胞毎の対象遺伝子の多数の組み込みは、均質のDNA試料にとって有用であり、より高い発現レベルに導くが、ライブラリについては同一の場合ではない。単一の宿主のDNAにおける複数のライブラリメンバーの組み込みは、個々のメンバーの機能的特性を希釈し得る。さらに、リパーゼ活性を示す宿主細胞は、配列プールにおける機能的変異型を単離するために多数の第二の特徴付けを必要とするであろう。当業者に知られた種々の形質転換手順が使用され得る。本実験においては、電気泳動法が単独の遺伝子組み込みの最も高い画分を生成した。配列分析は、約75〜80%のコロニーが単一のライブラリメンバーだけを保持することを示した。
(ライブラリ分析)
SacI及びエタノール沈殿による消化後、pPIC9‐cp‐calBライブラリは、(参照により本明細書に組み込まれるWu, Sら「Biotechniques」2004年、36、(1)、152-4において説明されるような)電気的コンピーテントP.パストリス株GS115に形質転換され、MM‐トリブチリンプレート上に置かれた。リパーゼ変異型を発現すると、酵母は添付のα‐シグナル配列により定義されるような細胞の周囲の媒質に前駆蛋白質を運び出した。細胞外プロテアーゼによるリパーゼのプロ配列の切断が続き、機能的ライブラリメンバーは、図4に示されるように、短鎖トリグリセリン酸塩である乳化トリブチリンを、当該特定のコロニーの周囲の「透明(clearing)領域」を作成する水溶生成物に加水分解するであろう。トリブチリンは、既知のリパーゼの大部分により利用され得る扱い易い基質であると考えられる。
コロニーは、30°Cにおける4日間の培養後に現れた。参照により本明細書に組み込まれるグプタ(Gupta),Rら「Biotechnol Appl Biochem」2003年、37に説明されるように、活性cp‐CALBは、それぞれの宿主コロニーの周囲の透明なハローの形成により識別された。これらのスクリーニングプレート上におけるcp‐ライブラリの成長は、数百個のハロー形成コロニーを生成した。図4にまた示されるように、これらのコロニーは採取され、第二のスクリーニングにおけるリパーゼ活性を検証するためにMD及びMM‐トリブチリンプレート上に再度置かれた。リパーゼ活性の確認後、対応するcp‐CALB遺伝子の配列がプライマーZQ‐pPIC9‐for(5´‐TACTATTGCCAGCATTGCTGC‐3´)(配列番号12)及びZQ_pPIC9‐rev(5´‐GCAAATGGCATTCTGACATCC‐3´)(配列番号13)を使用したコロニーPCR及びDNA配列決定により得られた。
280個のコロニーの配列分析は、63個の固有の円順列変異CALBの識別を導き、選択された変異型の分布は図5において視覚化された(外部の円の線)。培養の成長温度は、より高い熱安定性を有する好都合な蛋白質によりスクリーニング実験の結果を偏らせる可能性があり得たため、前記実験は30°Cと共に室温において行われた。しかしながら、分布における違いは検出されなかった。さらに、リパーゼ変異型スクリーニング及び機能上におけるN‐末端Hisタグの影響が調査された。His‐タグを有しない蛋白質ライブラリは、タグ付けされた変異型と同一の機能的順列変異体の分布を示した。
現在の63個の機能的リパーゼ変異型の分析、及びCALBの三次構造上の新規な末端位置のマッピング(図6)は、いくつかの興味深い結果を引き起こす。期待されるようにかなりの数の順列変異が表面ループ領域内に位置するが、図6はC‐末端領域が機能の損失なしの骨格切断の導入に対してより影響を受け易いように思われることを示す。具体的には、キャップ領域の曲がった螺旋16〜17は、ほとんど全ての単一のアミノ酸において切断され得る。二つの螺旋の間の中心(hinge)領域がCALBの活性領域の重要部分を覆うため、前記結果はより刺激的ですらある。そのため、骨格切断の導入は酵素の触媒性能に影響を与える可能性が高い。多数の順列変異を有する第二の領域は、CALBのリッド領域を構成する螺旋7〜9である。前記領域は、より小さくより重要でないが、リパーゼを活性化する重要な構造的変化を経るため、ほとんどのリパーゼにとって重要である。驚くべきことに、順列変異は活性部位内のオキシアニオン結合ポケットの一部を形成する螺旋2においても発見された。全ての示された順列変異部位は、対応する遺伝子の単離、再形質転換、ハロー形成の検証及び反復されるDNA配列決定により確認された。
(蛋白質発現及び精製)
野生型CALBの過剰発現及び精製は、参照により本明細書に組み込まれるロティッチ‐マルダー(Rotticci-Mulder),J.C.ら「Protein Expr Purif」2001年、21、(3)、386-92に説明されるように実行された。同一の手順は、CALBの円順列変異型の単離にも適応された。簡潔には、pPIC9‐calBはSacI消化により線状化され、P.パストリス細胞(GS115)内に電気泳動された。アリコートはMD Hisプレート上に置かれて30°Cにおいて培養された。コロニーは、2日間の培養後にプレート上に現れた。25mlのBMGY培地に接種するために単一のコロニーが採取され、培養物は2〜6のOD600に達するまで30°Cにおいて培養された。細胞は採取され、BMMY媒質においてOD600が1まで再懸濁された。蛋白質発現は、24時間毎に最終濃度0.5%(v/v)までメタノールを加えることにより引き起こされた。4日間の培養後、リパーゼを含む培地は遠心分離(1500g、4°C、10分間)により細胞から分離された。
Hisタグ付けされたCALBは、100mlの上澄み毎に2.5mlの樹脂を使用して、Ni‐NTAアガロース(Qiagen、Valencia、カリフォルニア州)についての親和性クロマトグラフィーを介して透明な上澄みから単離された。カラムは、2つのカラム体積の緩衝液1(20mMのイミダゾール、300mMのNaCl、50mMのNaHPO、pH8.0)により洗浄され、酵素は2つのカラム体積の緩衝液2(250mMのイミダゾール、300mMのNaCl、50mMのNaHPO、pH8.0)中に溶出された。全ての破片は、SDS‐PAGEにより解析され、アリコートを含む生成物は貯蔵された。精製されたCALBは、限外濾過法(Amicon Ultra-4遠心分離フィルターユニット、Millipore、Bedford、マサチューセッツ州)により貯蔵緩衝液(150mMのNaCl、50mMのリン酸カリウム、pH7.0)と交換され、4°Cにおいて貯蔵された。蛋白質濃度は、参照により本明細書に組み込まれるロティッチ,D.ら「Biochim Biophys Acta」2000年、1483、(1)、132-40に説明されるように、280nmにおける分光光度法により決定された(ε=3.3×10-1cm-1)。
上述したように、代替的にはCALBを均質にまで精製するために、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)がサイズ除外クロマトグラフィーと組み合わされて使用された。二段階精製は、そのHisタグが接触可能でない(蛋白質の内部領域内の末端による円順列変異)か、全て一緒に除去されたリパーゼ変異型の高速単離を可能にする。問題解決はHis‐タグが酵素機能を妨げ得ることに関係し、我々は親和性タグを有しない同一のcalBライブラリにより実験の第二の選択を実行した。機能的候補のDNA配列分析は、機能的CALB変異型内の順列変異部位の位置及び分布が、図5に示されるものと同一であったことを示した。HIC精製ルートについては、透明な培養物の上澄みが、最終濃度がそれぞれ1M及び50mMとなるまで、2Mの(NHSO溶液及び1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)と混合された。次に、蛋白質試料はHICカラム(ブチルセファロース4樹脂(AmershamBiosciences、Piscataway、ニュージャージー州)7ml)上に装填され、1Mの(NHSO及び50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)(緩衝液4)と予備平衡化された(pre-equilibrated)。カラムは4つのカラム体積の緩衝液4により洗浄され、リン酸緩衝液中のNHSOの段階的な削減(段階毎に0.2M増加、4カラム体積)がこれに続いた。溶出液中のリパーゼ活性はp‐NB加水分解(下記参照)を介して監視され、所望の活性を含む破片が貯蔵されて限外濾過法(Amicon Ultra-15遠心分離フィルターユニット、Millipore、Bedford、マサチューセッツ州)により濃縮された。SDS‐PAGEによれば、溶出された蛋白質は85%を超える純度を有する。さらなる混入物質の除去は、150mMのNaClを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を使用したスーパーデックス(Superdex)‐200 10/300 GLカラム(AmershamBiosciences、Piscataway、ニュージャージー州)上のゲル濾過により可能であった。最終生成物のSDS‐PAGE分析は、95%を超える純度を示した。
(活性分析)
リパーゼ活性は、シナジー(Synergy)‐HTマイクロタイタープレートリーダー(Bio-Tek Instruments、Winooski、バーモント州)上において室温にてp‐NB及びDiFMUオクタン酸塩の初期加水分解速度を測定することにより決定された。p‐NBの貯蔵溶液(200mM)及びDiFMUオクタン酸塩(3mM)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中において準備された。0〜1.6mMの範囲の基質上におけるp‐NB加水分解は、参照により本明細書に組み込まれるベンダー(Bender),M.L.ら「J Am Chem Soc」1968年、90、(1)、201-7において説明されるように、400nm(p‐NBのためのε=13260M-1cm-1)にて50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中において測定された。DiFMUオクタン酸塩の加水分解の速度は、励起/放射波長360/460nmにて、50mMのリン酸カリウム緩衝液中(pH7.0)の0〜12μMの基質範囲上においてDiFMU形成を測定することにより決定された。動態定数は、オリジン(Origin、登録商標)ソフトウェア(バージョン7、OriginLab Corporation)を使用して初期速度をミカエリス・メンテン式に適応させることにより計算された。結果は、上記表1及び2に提示される。
(生化学及び生物物理学的研究のための大規模リパーゼ過剰発現)
ピチア・パストリスにおいてCALBを過剰発現するための一括発酵処理手順が確立され、実施された。野生型及び順列変異CALBによる実験は、一貫して1リットルの培地毎に600mgまでの蛋白質を産出する。対象蛋白質は培地内に隠され、弱イオン交換樹脂上における一段階精製を介して、95%を超える純度により単離され得る。
有機溶媒中での実験については、(Rotticci D.ら「An active-site titration method for lipases」Biochim Biophys Acta、2000年、1483、132〜140頁、及びFujii R、Utsunomiya Y、Hiratake J、Sogabe A、Sakata K「Highly sensitive active- site titration of lipase in microscale culture media using fluorescent organophosphorus ester. BBA-Molecular and Cell Biology of Lipids」2003年、1631、197〜205頁において説明されるように)CALBはルワチットVPOC 1600(Sybron Chem. Inc)上において固定され、樹脂上の活性リパーゼの量は、自殺型阻害剤による活性部位滴定を介して計量される。そのような自殺型阻害剤であるメトキシ‐4‐メチルアンベリフェリルヘキシルホスホン酸塩は、合成されて樹脂上の酵素積載量を決定するために使用されることに成功した。
(リパーゼ触媒によるエステル交換反応の動態解析)
ビニルアセテートによる6‐メチル‐5‐ヘプテン‐2‐オールのエステル交換は、23°Cにてヘキサン中において実行された。各1ml反応混合物は、1〜10mgの固定化された酵素、50mMの内部標準6‐メチル‐5‐ヘプテン‐2‐オン、及び可変量のラセミ体の6‐メチル‐5‐ヘプテン‐2‐オール(25〜500mM)を含む。混合物は、23°Cにて30分間培養され、反応は0.5mモルのビニルアセテートの追加により開始された。異なる時点における試料は、初期反応速度を決定するために取得された。各反応について少なくとも5つの試料が取得され、全体の変換は基質の5%に限定された。試料は、炎イオン化検出器に接続されたシクロシル(Cyclosil)‐Bカラム(長さ30m、内径0.32mm、フィルム0.25mm、Agilent)に装着されたガスクロマトグラフィーG6850(Agilent Technologies)により分析された。水素は搬送ガスとして使用され、温度プログラムは、70°Cにて1分間、2°C/分にて90°Cまで上げて3分間維持、その後10°C/分にて120°Cまで上げて3分間維持、であった。保持時間は、S‐6‐メチル‐5‐ヘプテン‐2‐オールについて12.2分間、そのR‐光学異性体について12.8分間であった。
ビニルアセテートによる3‐ヒドロキシテトラヒドロフランのエステル交換は、アセトニトリルが溶媒として使用されることを除き、同様に実行された。GC分析のための温度プログラムは、65°Cにて5分間、2°C/分にて90°Cまで、その後10°C/分にて120°Cまで、であった。
(野生型CALBのC末端の増分切断)
野生型CALB遺伝子(配列番号1)は、プライマーCALB_for_hisfree(5´‐CGCCTCGAGAAAAGAGAGGCTGAAGCTCTACCTTCCGGTTCGGACCCTGCC‐3´、配列番号24)及びZQ_CALB_rev(5´‐CGCGCGGCCGCTTAGGGGGTGACGATGCCGGAGCA‐3´、配列番号7)を使用してPCR増幅された。PCR製品は、NotI及びXhoIにより消化され、同一の制限酵素により消化されたベクターpAMB‐CAT内に連結反応された。プラスミドは、EcoRI消化により線状化され、増分切断ライブラリは、マーク・オスターメイヤー(Marc Ostermeier)及びステファン・ルッツ(Stephan Lutz)の手順に従って生成された(Methods in molecular biology、Vol 231、129〜142頁)。詳細には、線状化されたプラスミドは、プライマーTrunc_for(5´‐GAGCTCCGTCGACAAGCTTGCGG‐3´)とTrunc_rev(5´‐GGATGAGCATTCATCAGGCGGGCA‐3´)を使用して、Taq DNAポリメラーゼにより増幅された。50μlのPCR反応混合物は、175μM dNTP/25μM αS−dNTP(dNTP:αS−dNTP=7:1)を含んでいた。キアゲン(Qiagen)のキアクイック(QIAquick)PCR精製キットによる精製の後、PCR生成物はエキソヌクレアーゼIII(120単位/μg DNA)により37°Cにて30分間消化された。反応は、リン酸(PB)緩衝液の5本の体積(5 volume)の追加により抑えられ、キアクイックPCR精製キットにより精製された。5´‐の突出は、30分間の30°Cにおけるマング・ビーン・ヌクレアーゼ(2.5単位/μg DNA、DNA濃度0.1μg/μl)による培養により除去され、DNAはキアゲン回転カラムにより精製された。次に、精製されたDNAは、付着末端を修復するためにクレノウポリメラーゼにより処理された(1単位/μg DNA、DNA濃度0.1μg/μl、25°Cにて15分間及び75°Cにて20分間)。キアゲン回転カラムによる精製後、DNAはXhoIにより消化され、サイズ選択(750〜1k塩基間の断片)がゲル抽出により後で実行された。
抽出されたDNAは、PsiI及びXhoIにより消化された、変更されたベクターpAMB‐pETに連結反応され、大腸菌DH5α細胞内に形質転換される。約1.5×10個のコロニーが取得された。細胞は採取され、プラスミドはキアゲン少量調製キットにより精製された。NotI及びXhoIによるプラスミドの消化後、CALB遺伝子断片を含む破片が抽出され、同一の酵素により消化されたプラスミドpPIC9に連結反応された。連結反応混合物は再度DH5αに形質転換され、120万個のコロニーのライブラリが得られた。プラスミドは精製され、SacIにより消化され、ピチア・パストリス株GS115に形質転換され、MM‐トリブチリンプレート上に置かれた。活性ライブラリメンバーは、コロニーの周囲のハローにより視覚化された。これらのコロニーは採集され、DNA配列に提示された。
(cp283の外部ループの増分切断)
cp283のペプチド配列をコード化する遺伝子(配列番号14)は、NotI及びXhoI制限部位を使用してベクターpAMB‐CAT内に配置された。次に、cp283遺伝子を含むプラスミドが、SpeI消化により線状化された(SpeIは、天然のC‐末端とN‐末端の間の6つのアミノ酸リンカー内にある)。線状化されたプラスミドは、プライマーZQ_cpCALB_for(5´‐GGTACTAGTGGTGGCCTACCTTCCGGTTCGGACCCT‐3´、配列番号8)、プライマーZQ_cpCALB_rev(5´‐CGCACTAGTACCGCCGGGGGTGACGATGCGGGAGCA‐3´、配列番号9)及びスパイクを有する(spiked)dNTP(dNTP:αS−dNTP=7:1)を使用してTaq DNAポリメラーゼにより増幅された。増分切断ライブラリは、分子内連結反応がクレノウDNAポリメラーゼ処理(DNA濃度:2.5ng/ul、16°C一夜)の後に実行されたことを除き、C‐末端切断ライブラリと同一の方法により生成された。連結反応混合物は、エタノール沈殿により濃縮され、DH5αに電気穿孔された。約300万個のコロニーが得られた。精製されたプラスミドはNotI及びXhoI消化を受け、750〜1000の間の塩基対(bp)のDNA断片がアガロースゲルから抽出された。断片はベクターpPIC9内に連結反応され、続く手順はC‐末端切断ライブラリと同一であった。cp283切断ライブラリのいくつかのメンバーの欠失されたセグメントの位置を示す部分的配列は、図9に示される。
本開示の上述された実施形態は、特に、任意の「好適な」実施形態が単に可能な実施例であり、単に本開示の原理の明確な理解のために説明されることが強調されるべきである。多数の変形及び変更が、本開示の精神及び原理から実質的に離れることなく、本開示の上述の実施形態に対してなされ得る。そのような全ての変形及び変更は、本開示の範囲内において本明細書に含まれることが意図され、本開示は添付の特許請求の範囲により保護される。
本開示は、以下の図面を参照することでより良い理解をされ得る。図面における要素は、本開示の原則を明確に説明している上に掲載される代わりに、規模、強調に必要ではない。
円順列変異の概念を示す。左側に天然蛋白質の構造、そして右側に天然蛋白質の三つの円順列変異を示している。 組み換え型DNAを使用している円順列変異の過程を示す。 α/β‐ヒドロラーゼフォールドファミリーの蛋白質の二級の構造要素の概略図を示す。 α/β‐加水分解酵素フォールドファミリーのメンバーであるカンジダ・アンタークチカからのリパーゼB(CALB)の二次及び三次構造を示す。 α/β‐加水分解酵素フォールドファミリーのメンバーであるアグロバクテリウム・ラジオバクターからのエポキシド加水分解酵素の二次及び三次構造を示す。 ライブラリメンバー(外側の円)(ライブラリサイズ〜0.5x10)をランダムに選択された89の末端位置の分布を示しているCALBの円順列変異図である。 CALBライブラリの機能的な変異を識別するために用いられたスクリーニング技術を示す。スクリーニングは、ヒドロラーゼ活性に関して評価するためにトリブチリン(tributyrin)プレート上で行われる。一次と二次の両方のスクリーニングが、図示されるように行われる。 独自の配列(外側の円)を備えた63の機能的なライブラリメンバーの末端位置の分布を示しているCALBの円順列変異図である。 CALBの構造を示し、許容される置換の位置(斜線領域によって表示される)及び更なる特性化のために選択された変異(新しいアミノ末端のアミノ酸位置によって表示される)を識別する。 螺旋7/9において新しい末端を備えたCALB変異のための遠赤外線円二色性スペクトルである。挿入部分は、同じ変異のための耐熱性データのグラフである。 螺旋16/17において新しい末端を備えたCALB変異のための遠赤外線円二色性スペクトルである。挿入部分は、同じ変異のための耐熱性データのグラフである。 9A及び9Bは、アミノを天然CALBにおけるカルボキシ末端及び変異cp283における外部ループの位置に表している範囲の概略図である。9Aは、野生型CALB末端を示す。9Bは、野生型CALBにおけるC末端尾部の増加切断を示す。9Cは、cp283における外部ループを描く。9Dは、cp283における外部ループ構造の増加欠失/切断を示す。図9の右側には、野生型CALB(又はそのC‐末端切断)かcp283(又はそのループ切断)のどちらかに対応するいくつかの部分列が示される。

Claims (56)

  1. 天然のアミノ末端と天然のカルボキシ末端を結合させるリンカー配列と、
    対応する天然蛋白質の天然のアミノ末端及び天然のカルボキシ末端から異なる新規なアミノ末端及び新規なカルボキシ末端
    を含む円順列変異された蛋白質であって、
    対応する天然蛋白質に対して少なくとも一つの改善を含み、増加した活性、活性部位への増加した可触性、活性部位の増加した柔軟性、増加したエナンチオ選択性及びより広い又は変更された基質特異性から前記改善が選択される、
    円順列変異された蛋白質。
  2. 前記円順列変異された蛋白質が活性部位を有し、かつ、前記円順列変異された蛋白質がフォールドされた構造内にあるときに、前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端が蛋白質の前記活性部位の近くに位置する、請求項1に記載の円順列変異された蛋白質。
  3. 天然蛋白質の活性部位への可触性に対して増加した活性部位への可触性を有する、請求項1又は2に記載の円順列変異された蛋白質。
  4. 前記増加した活性部位可触性により、対応する天然蛋白質が実質的に結合することができない少なくとも一つの基質との結合が可能にされた、請求項3に記載の円順列変異された蛋白質。
  5. 前記増加した活性部位可触性が、前記円順列変異された蛋白質の対応する天然蛋白質に対して前記基質特異性を広げ又は変更する、請求項3に記載の円順列変異された蛋白質。
  6. 対応する天然蛋白質の活性部位の柔軟性と比較して増加した活性部位の柔軟性を有する、請求項1又は2に記載の円順列変異された蛋白質。
  7. 対応する天然蛋白質のエナンチオ選択性に対して実質的に類似又は増加したエナンチオ選択性を有する、請求項1又は2に記載の円順列変異された蛋白質。
  8. 対応する天然蛋白質の活性に対して増加した活性を有する、請求項1又は2に記載の円順列変異された蛋白質。
  9. 前記蛋白質が酵素である、請求項1又は2に記載の円順列変異された蛋白質。
  10. 前記蛋白質がα/β加水分解酵素フォールドファミリーのメンバーである、請求項9に記載の円順列変異された蛋白質。
  11. 前記蛋白質がリパーゼである、請求項9に記載の円順列変異された蛋白質。
  12. 前記蛋白質がカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)からのリパーゼB(CALB)である、請求項11に記載の円順列変異された蛋白質。
  13. 前記蛋白質が表面に固定された、請求項1乃至12のいずれかに記載の円順列変異された蛋白質。
  14. 前記蛋白質がマトリックス材に固定された、請求項13に記載の円順列変異された蛋白質。
  15. 前記固定が前記円順列変異された蛋白質の安定性を増加させる、請求項13又は14に記載の円順列変異された蛋白質。
  16. 請求項1乃至12のいずれかに記載の円順列変異された蛋白質をコード化した、核酸。
  17. 少なくとも一つの第二の変異をさらに含み、前記少なくとも一つの第二の変異が、一以上のアミノ酸の欠失、一以上のアミノ酸の挿入、異なるアミノ酸による一以上のアミノ酸の置換及びこれらの組み合わせから選択され、かつ前記少なくとも一つの第二の変異が第二の円順列変異された蛋白質をもたらす、請求項1乃至12のいずれかに記載の円順列変異された蛋白質。
  18. 前記第二の円順列変異された蛋白質が対応する天然蛋白質及び対応する円順列変異された蛋白質に対して少なくとも一つの改善を有し、前記少なくとも一つの改善が増加した活性、増加した安定性、より広い又は変更された基質特異性、増加した活性部位の柔軟性、増加したエナンチオ選択性及びこれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載の円順列変異された蛋白質。
  19. 元のアミノ末端と元のカルボキシ末端を結合させるリンカー配列と、
    α/β加水分解酵素フォールドファミリーの対応する天然蛋白質の元のアミノ末端及び元のカルボキシ末端から異なる新規なアミノ末端及び新規なカルボキシ末端
    を含む、α/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質であって、
    対応する天然蛋白質に対して少なくとも一つの改善を含み、増加した活性、活性部位への増加した可触性、増加した活性部位の柔軟性、増加したエナンチオ選択性及びより広い又は変更された基質特異性から前記改善が選択される、
    α/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  20. 前記円順列変異された蛋白質が活性部位を有し、かつ、前記円順列変異された蛋白質がフォールドされた構造内にあるときに、前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端が前記活性部位の近くに位置する、請求項19に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  21. 前記円順列変異された蛋白質がキャップ領域を有し、かつ、前記円順列変異された蛋白質がフォールドされた構造内にあるときに、前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端が前記キャップ領域内に位置する、請求項19又は20に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  22. α/β加水分解酵素フォールドファミリーの天然蛋白質の活性部位への可触性に対して増加した活性部位への可触性を有する、請求項19乃至21のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  23. 前記増加した活性部位可触性により、対応するα/β加水分解酵素フォールドファミリーの天然蛋白質が実質的に結合することができない少なくとも一つの基質との結合が可能にされた、請求項22に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  24. 前記増加した活性部位可触性によりエステル及びアミドとの結合が可能にされた、請求項22に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  25. 前記エステルが、第一級アルコールのエステル、第二級アルコールのエステル及び第三級アルコールのエステルから選択される、請求項24に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  26. 対応する天然蛋白質の活性部位の柔軟性と比較して増加した活性部位の柔軟性を有する、請求項19乃至21のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  27. 対応するα/β加水分解酵素フォールドファミリーの天然蛋白質のエナンチオ選択性に対して実質的に類似又は増加したエナンチオ選択性を有する、請求項19乃至21のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  28. 対応するα/β加水分解酵素フォールドファミリーの天然蛋白質の活性に対して増加した活性を有する、請求項19乃至21のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  29. 前記蛋白質が表面に固定された、請求項19乃至21のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  30. 前記α/β加水分解酵素フォールドファミリーの蛋白質がカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)からのリパーゼB(CALB)である、請求項19乃至28のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  31. 前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端がCALBのα16又はα17に位置する、請求項30に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  32. 前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端がCALBのα7又はα9に位置する、請求項30に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  33. 前記新規なアミノ末端が、144、148、150、193、268、277、278、283、284、289及び294から選択される残基に位置する、請求項30に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  34. 前記新規なアミノ末端が残基283に位置する、請求項30に記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  35. 請求項19乃至28及び30乃至34のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質をコード化した、核酸。
  36. 少なくとも一つの第二の変異をさらに含み、前記少なくとも一つの第二の変異が、一以上のアミノ酸の欠失、一以上のアミノ酸の挿入、異なるアミノ酸による一以上のアミノ酸の置換及びこれらの組み合わせから選択され、かつ前記少なくとも一つの第二の変異が第二の円順列変異された蛋白質をもたらす、請求項19乃至28及び30乃至34のいずれかに記載のα/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質。
  37. 前記少なくとも一つの第二の変異が、対応する天然蛋白質及び対応する円順列変異された蛋白質に対して少なくとも一つの改善を有する第二の円順列変異された蛋白質をもたらし、前記少なくとも一つの改善が増加した活性、増加した安定性、より広い又は変更された基質特異性、活性部位の増加した柔軟性、増加したエナンチオ選択性及びこれらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の円順列変異された蛋白質。
  38. 前記円順列変異された蛋白質がcp283であり、cp283が対応する天然蛋白質の元のアミノ末端及び元のカルボキシ末端とリンカー配列を含む外部ループ領域を含み、前記第二の変異が前記外部ループ領域内の一以上のアミノ酸の欠失を含む、請求項37に記載の円順列変異された蛋白質。
  39. 前記外部ループ領域内の前記一以上のアミノ酸の欠失が第二の円順列変異された蛋白質をもたらし、前記第二の円順列変異された蛋白質がcp283に対して実質的に類似又は増加した活性を有し、かつcp283に対して増加した安定性を有する、請求項38に記載の円順列変異された蛋白質。
  40. 共に結合された元のアミノ末端及び元のカルボキシ末端と、
    対応する天然蛋白質の元のアミノ末端及び元のカルボキシ末端から異なる新規なアミノ末端及び新規なカルボキシ末端
    を含む円順列変異された蛋白質であって、
    対応する天然蛋白質に対して少なくとも一つの改善を含み、増加した活性、活性部位への増加した可触性、活性部位の増加した柔軟性、増加したエナンチオ選択性及びより広い又は変更された基質特異性から前記改善が選択される、
    円順列変異された蛋白質。
  41. 活性部位、アミノ末端及びカルボキシ末端を有するα/β加水分解酵素フォールドファミリーの天然蛋白質を選択することと、
    環状蛋白質分子を形成するために前記天然蛋白質の前記アミノ末端と前記カルボキシ末端を結合させることと、
    ライブラリ内の少なくとも一つの円順列変異された蛋白質が新規なアミノ末端及び新規なカルボキシ末端を有する天然蛋白質の変異体であり、前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端が前記天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端から異なる、α/β加水分解酵素フォールドファミリーの円順列変異された蛋白質のライブラリを作成することと、
    前記ライブラリから機能的変異体を選択することと、
    増加した活性、増加した可触性、増加したエナンチオ選択性、活性部位の増加した柔軟性、増加した安定性及びより広い又は変更された基質特異性から選択される改善である、天然蛋白質に対する改善について選択された機能的変異体を試験すること
    を含む、新規な蛋白質を作成する方法。
  42. 許容可能な順列の位置を決定するために、前記機能的変異体内の前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端の位置をマッピングすることをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記蛋白質の結合部位の近くに位置する前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端を有する円順列変異された蛋白質を選択することをさらに含む、請求項41又は42に記載の方法。
  44. 前記α/β加水分解酵素フォールドファミリーの蛋白質がキャップ領域を有し、前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端が前記キャップ領域内に位置する、請求項41乃至43のいずれかに記載の方法。
  45. 前記円順列変異された蛋白質がリパーゼである、請求項41乃至43のいずれかに記載の方法。
  46. 前記リパーゼがカンジダ・アンタークチカからのリパーゼB(CALB)である、請求項45に記載の方法。
  47. 前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端がCALBのα16又はα17に位置する、請求項46に記載の方法。
  48. 前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端がCALBのα7又はα9に位置する、請求項46に記載の方法。
  49. 前記新規なアミノ末端が、144、148、150、193、268、277、278、283、284、289及び294から選択される残基に位置する、請求項46に記載の方法。
  50. 前記新規なアミノ末端が残基283に位置する、請求項46に記載の方法。
  51. 少なくとも一つのα/β加水分解酵素フォールドファミリーの第二の円順列変異された蛋白質を生成するために、一以上の選択された機能的変異体について第二の操作を実行することをさらに含む、請求項41乃至50のいずれかに記載の方法。
  52. 前記第二の操作が少なくとも一つの第二の変異を円順列変異された蛋白質に導入することを含み、前記第二の変異が円順列変異された蛋白質の一以上のアミノ酸の欠失、挿入及び置換又はこれらの組み合わせから選択される、請求項51に記載の方法。
  53. α/β加水分解酵素フォールドファミリーの第二の円順列変異された蛋白質のライブラリを生成することをさらに含む、請求項51又は52に記載の方法。
  54. 少なくとも一つの第二の円順列変異された機能的蛋白質を選択することと、
    増加した活性、増加した可触性、増加したエナンチオ選択性、活性部位の増加した柔軟性、増加した安定性及びより広い又は変更された基質特異性から選択される改善である、天然蛋白質及び円順列変異蛋白質に対する少なくとも一つの改善のために第二の円順列変異された機能的蛋白質を試験すること
    をさらに含む、請求項51乃至53のいずれかに記載の方法。
  55. 活性部位、アミノ末端及びカルボキシ末端を有する天然蛋白質を選択することと、
    環状蛋白質分子を形成するために前記天然蛋白質の前記アミノ末端と前記カルボキシ末端を結合させることと、
    ライブラリ内の少なくとも一つの円順列変異された蛋白質が新規なアミノ末端及び新規なカルボキシ末端を有する天然蛋白質の変異体であり、前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端が前記天然蛋白質のアミノ末端及びカルボキシ末端から異なる、円順列変異された蛋白質のライブラリを作成することと、
    前記ライブラリから機能的変異体を選択することと、
    許容可能な順列の位置を決定するために前記機能的変異体内の前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端の位置をマッピングすることと、
    前記蛋白質の結合部位の近くに位置する前記新規なアミノ末端及び前記新規なカルボキシ末端を有する前記機能的変異体を選択することと、
    増加した活性、増加した可触性、増加したエナンチオ選択性、活性部位の増加した柔軟性、増加した安定性及びより広い又は変更された基質特異性から選択される改善である、天然蛋白質に対する改善について選択された前記機能的変異体を試験すること
    を含む、新規な蛋白質を作成する方法。
  56. 配列表の配列番号14の配列を含む、ポリペプチド。
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