JP2003515332A - 生地およびパンの品質を改良する方法 - Google Patents

生地およびパンの品質を改良する方法

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Abstract

(57)【要約】 生地を作る方法であって、無極性脂質、糖脂質およびリン脂質を同時に加水分解することができる酵素を生地に加えることを含む方法。その酵素の、1つ以上の基質、たとえば、ジガラクトジグリセリド(DGDG)等のガラクト脂質、または、たとえば、ホスファチジルコリン(PC)等のリン脂質を加えてもよい。脂質基質を、オートムギ油等の穀類油の形で生地に加えることができる。本方法は、生地に、改良された伸展性および低い粘着性、および高い比体積、改良された柔らかさおよび優れた柔らかい中身の構造を有する焼成したパン製品を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の分野] 本発明は、穀粉の生地および穀粉の生地を基にした製品を製造する分野に関し
、特に、生地の強さおよび機械加工性ならびにパンおよび他の焼成製品(bak
ed products)の体積および柔らかい中身の構造(crumb st
ructure)を改良することに関する。具体的には、本発明は、生地中に存
在する無極性および極性脂質の両者を加水分解することができる酵素を使用して
、生地およびパンを製造し、それによって、生地および完成した焼成製品の品質
を高める方法を提供する。
【0002】 [技術背景および従来技術] 生地および生地の取扱特性を改良するために、および/または体積を増やし、
鮮度が落ちるのを遅らせ、柔らかさを高めるように、焼成製品を改良するために
、アミラーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼおよびプロテアーゼ等の酵素を使用
することは、製パン業界内で周知である。
【0003】 リパーゼをパン焼成添加物(baking additives)として使用
することも知られている。リパーゼ(EC3.1.1.3)は、アシルグリセロ
ールの加水分解を触媒するカルボキシルエステラーゼと定義することができ、ア
ミラーゼおよびプロテアーゼと共に、主要な3つの消化酵素の1つとして、生理
学的に非常に重要な酵素である。リパーゼは、アシルグリセロール脂質を、グリ
セロールおよび脂肪酸に加水分解するが、エステル化またはエステル交換反応で
作用することもできる。
【0004】 従って、米国特許第3,368,903号には、パン生地混合物に加えたとき
、パンの鮮度が落ちるのを有意に遅らせる作用を有する、植物種子から単離され
た精製リパーゼ調製品が開示されている。
【0005】 日本特開昭62−285749号広報には、リパーゼを、不可欠なグルテンお
よびレシチンと混合して生地に加える製パン方法が説明されている。しかし、こ
のリパーゼは、パンの体積および柔らかい中身の弾力性等の、品質を低下させる
ことが述べられている。
【0006】 Mohsen et al.(Egypt.J.Food Sci.,198
6,14:175−182)は、Rhizopus delemarにより産生
されるリパーゼは、パンの柔らかさを改良することができると記述している。
【0007】 欧州特許EP468731A1号には、オキシダーゼまたはたとえばリパーゼ
等のヒドロラーゼと組合せてグルコースオキシダーゼを含むパン改良組成物が開
示されている。十分なかさのパンが得られる。しかし、この従来技術の記録によ
れば、リパーゼのみを使用した場合、満足のゆく品質のパンにはならなかった。
【0008】 WO−94/04035号には、生地(脂肪を加えたおよび加えない)および
/または微生物起源のリパーゼ(EC3.1.1.3)を生地に加えて、生地か
ら作られる焼成製品の性質を改良する方法が開示されている。微生物のリパーゼ
を使用することによって、かさが増し、且つ焼成製品の柔らかさが改良された。
さらに、鮮度が落ちるのを防止する作用が確認された。
【0009】 欧州特許EP 585 988 A1号には、少なくとも1種のリパーゼ、少
なくとも1種のヘミセルラーゼおよび少なくとも1種のアミラーゼを含むパン改
良剤組成物が開示されている。焼成実験(baking experiment
s)から、脂肪を加えない生地でリパーゼのみを使用すると、焼成製品の体積が
減少するが、脂肪を加えた生地でリパーゼを使用したとき、かさに対する作用は
みられないことが分かった。
【0010】 WO98/45453号には、パンの柔らかい中身の構造を改良するために、
Aspergillus niger由来のリパーゼを使用することが開示され
ている。しかし、この酵素は、パンの体積および柔らかさに対する有意な改良作
用を持っていなかった。
【0011】 従って、生地添加物として使用するとき、リパーゼの作用は、鮮度が落ちるの
を防止すること、または柔らかい中身が堅くなるのを遅らせること、およびパン
の体積を改良することに関して、非常に変化しやすいことが、従来技術から推論
される。
【0012】 WO98/45453号に開示されているリパーゼの重要な作用は、トリグリ
セリド加水分解作用に加えて、リパーゼは、穀粉中に存在する極性糖脂質、たと
えば、ジガラクトシルジグリセリド(DGDG)を加水分解できることである。
パンの柔らかい中身の構造を改良する作用は、この後者の作用と関連があると言
う仮説をたてた。Aspergillus nigerリパーゼは、リン脂質加
水分解作用を持たないことも分かった。
【0013】 パンの品質を改良するために、ホスホリパーゼを使用することも知られている
。従って、日本特許JP−82−66213号には、凍結生地の改良に、ホスホ
リパーゼCおよびリゾホスホリパーゼを使用することが開示されており、欧州特
許EP575133A号には、生地の取扱特性を改良するためにホスホリパーゼ
A1を使用することが開示されており、日本特開昭60−078529号広報に
は、小麦粉生地およびヌードルの機械特性を改良するためにホスホリパーゼAを
使用することが開示されており、欧州特許EP109244A号には、ホスホリ
パーゼAを使用して生地の特性を改良できることが開示されている。
【0014】 リパーゼまたはホスホリパーゼを生地に加えることによって、生地の機械特性
および/または完成した焼成製品の品質が改良されることは当技術分野で周知で
あるが、穀粉中に存在するそれぞれの酵素の脂質基質の量が限られていることは
重大な問題である。穀粉生地中のリパーゼの基質は、その約50%が無極性脂質
であり、50%が極性糖脂質およびリン脂質である内因性脂質である。
【0015】 欧州特許EP585998号およびWO94/04035号に開示されている
ものを含め、製パン業界で現在使用されているリパーゼの幾つかは、無極性脂質
分画に対して活性であるに過ぎず、遊離脂肪酸およびグリセロールの形成、およ
びより少量のモノグリセリドまたはジグリセリドの形成を招く。しかし、遊離脂
肪酸がパンの品質に対して有害な作用を有することがあるため、生地またはパン
の品質に対する有益な作用はかなり限定される。WO98/45453号に開示
されている真菌リパーゼは、アシルグリセロールに対する作用に加えて、極性糖
脂質に対してある一定の加水分解作用を有する。
【0016】 さらに、上述の通り、ホスホリパーゼAおよびCの使用は、生地および/また
はパン改良用添加物として提案されている。このようなホスホリパーゼの酵素作
用は、生地中に存在するリン脂質が、有効な乳化剤であることが判明している、
対応するリゾリン脂質に転換されることである。しかし、パン生地中の内因性リ
ン脂質量は比較的少なく、従って、リン脂質に対して選択的に活性な添加酵素の
、生地およびパン改良作用は限定されるであろう。
【0017】 従って、穀粉生地中に存在する脂質型の実質的に全て、すなわち、無極性アシ
ルグリセロールおよび極性リン脂質および糖脂質を、加水分解することができる
生地および/またはパン改良用酵素が必要である。本発明は、これらの脂質を基
質として同時に使用することができる脂肪分解的に活性な酵素の発見に基づいて
おり、また、このような酵素を生地に加えると、生地の安定性および強さならび
に生地の取扱特性が有意に改良され、パンの体積、柔らかい中身の構造,柔らか
い中身の外観、およびパンの色および柔らかさの有意な向上に関して、焼成した
パン製品の品質が改良されることが確認されている。これらの新規な酵素の特に
興味深く且つ重要な態様は、これらの酵素が、極性脂質に選択性があることであ
り、アシルグリセロール加水分解リパーゼで確認された有害作用は、極性脂質を
優先的に加水分解する酵素を選択することによって調節し得ることを意味する。
これらの新規な酵素の、さらなる興味深く且つ重要な態様は、短鎖脂肪酸、たと
えば、C4〜C10脂肪酸と比較して、長鎖脂肪酸、たとえば、C12〜C20脂肪酸
に選択性があることである。
【0018】 Rhizopus delemar由来のリパーゼで、鎖長選択性は、アミノ
酸置換によって影響されることが、従来技術で証明されている。R.D.Joe
rger et al(Lipids,29(6)377−384(1994)
)は、変異形F95D,F112WおよびV209Wは、C4およびC8酸に対し
て変化した選択性を有することを示している。R.R.Klein et al
(JAOCS,74(11)1401−1407(1997))は、変異形V2
06T+F95Dは、C8脂肪酸に対して高い選択性を有することを開示してい
る。R.R.Klein et al(Lipids 32(2)123−13
0(1997))は、変異形V209W+F112W,V94WおよびF95D
+F214Rは、C4〜C8脂肪酸に対して高い加水分解活性を有することを示し
、中間鎖長特異性の構造決定基は、アシル結合溝(acyl binding
groove)の遠位末端に在ることを示唆している。
【0019】 本発明による酵素の生地およびパン改良作用は、糖脂質および/またはリン脂
質を、たとえば、オートムギ油を含む穀類の脂質の形で、生地に加えることによ
って、さらに増強できることも確認されている。
【0020】 [発明の概要] 従って、本発明は、第1の態様では、穀粉生地を作製する方法であって、生地
の状態で、無極性脂質,糖脂質およびリン脂質を加水分解することができる酵素
、または上記酵素を含む組成物を、生地成分に加えるステップと、生地を得るた
めに生地成分を混合するステップとを含む方法に関する。酵素の脂質基質はいず
れも、穀粉中に天然に存在する脂質であってもよく、生地に加えてもよい。
【0021】 さらなる態様において、生地の状態で、無極性脂質、糖脂質およびリン脂質を
加水分解することができる酵素、および任意に少なくとも1つのさらなる生地成
分を含む、生地改良用組成物を提供する。さらなる生地成分は、たとえば、生地
特性および/またはその生地から作られる焼成製品の品質に対して、改良作用を
有する他の酵素であってもよい。
【0022】 さらなる態様において、本発明は、本発明の方法によって得られる生地、およ
びこのような生地を焼成することによって得られる焼成製品、および本発明によ
って作製されるヌードルおよびパスタ製品に関する。
【0023】 [発明の詳細な説明] 本発明は、穀粉を主成分とする生地、およびこのような生地から作製される製
品の特性を改良する方法を、有利に提供する。これは、焼成製品に関しては、パ
ンの体積、柔らかい中身の構造および外観に関して極めて望ましい特性を有し、
且つ向上した柔らかさに反映される長時間にわたる貯蔵寿命をさらに有する、す
なわち、本発明の酵素を使用せずに作られた焼成製品に比べて、焼成製品の鮮度
が落ちるのが遅い、焼成製品を作製する方法を達成することによって達成される
。現在、パン塊、ロールパンまたはトースト用パン等の、酵母を加えたパン製品
の製造に本方法を使用することが好ましいが、他のタイプの生地および生地を基
にした製品、たとえば、ヌードルおよびパスタ製品およびケーキ(本発明の酵素
を加えることにより、その品質を改良できる)に本方法を使用することも考えら
れる。
【0024】 本方法は、生地の状態で、無極性脂質、糖脂質およびリン脂質を加水分解する
ことができる酵素の有効量、または、上記酵素を含む組成物が、生地に、既に混
合された生地に直接加えられるか、または1つ以上の生地成分の成分として加え
られることを必須ステップとして含む。
【0025】 本明細書の関連において、表現「有効量」は、一般に、生地の状態で、生地中
に存在するトリグリセリド、リン脂質および糖脂質の検出可能な加水分解を行う
のに十分な酵素の量を表すのに使用される。これらの加水分解活性を検出するこ
とが可能な分析方法の例を以下の実施例に示す。さらに具体的には、この表現は
、上記脂質基質の検出可能な加水分解をもたらすのみならず、酵素添加の結果と
考えられる、有意に改良された粘性スコアおよび/または伸展性スコア等の生地
の特性の改良をさらにもたらすレベルで、または、生地を焼成する場合、パンの
体積の増加、柔らかさの向上または改良された柔らかい中身の構造等の、焼成製
品の品質の改良をもたらすレベルで酵素による最終生成物の形成をもたらす量に
関する。
【0026】 本発明の酵素は、若干のトリグリセリド加水分解作用を有してもよい。この酵
素は、トリグリセリド加水分解活性のほかにも、リン脂質および糖脂質に対して
加水分解活性を有してもよい。
【0027】 あるいは、本発明の酵素は、リン脂質および糖脂質に対して顕著な加水分解活
性を有するが、トリグリセリド加水分解作用は顕著ではなくてもよい。
【0028】 本発明の酵素は、アシルグリセロール(グリセリド)(すなわち、一般に、リ
パーゼ(EC3.1.1.3)と呼ばれる酵素の部類と関連した、エステラーゼ
活性を有する)、リン脂質および糖脂質、たとえば、ガラクト脂質を同時に加水
分解することができる多機能酵素と記述することができる。従って、本酵素は、
一般に、ホスホリパーゼと呼ばれる様々な酵素と関連した加水分解活性を有する
。リン脂質は、2グループの酵素(その1つはリパーゼ群に含まれ、ホスホリパ
ーゼA1およびホスホリパーゼA2、およびホスホジエステラーゼ(ホスホリパー
ゼCおよびD)などがある)によって2つの異なる方法で切断される。本発明の
酵素は、これらのホスホリパーゼ活性のいずれを有してもよい。
【0029】 本発明による酵素の加水分解特性を有する酵素は、脂質基質における脂肪酸部
分に対して異なるアフィニティを有してもよいこと(本発明の酵素は、C4〜C1 0 脂肪酸等の短鎖脂肪酸を含む脂質を優先的に加水分解してもよく、あるいは、
12〜C20脂肪酸等の脂質長鎖脂肪酸基を有する脂質を優先的に加水分解しても
よいということを意味する)が確認されている。長鎖脂肪酸基を優先する酵素は
、そのままでは、遊離酪酸が望ましくない味および香味を生じさせる可能性があ
るという周知の問題である、たとえば、バターの脂肪または酪酸基を含む他の脂
質を含む生地で特に有用な可能性がある。
【0030】 非常に好ましい態様において、本発明の酵素は、C4〜C10脂肪酸等の短鎖脂
肪酸と比較して、C12〜C20脂肪酸等の長鎖脂肪酸を含む脂質を優先的に加水分
解する。換言すれば、酵素は、短鎖脂肪酸に対しては比較的低い活性を有するが
、長鎖脂肪酸を有するグリセリドに対しては特に活性であることが好ましい。
【0031】 できれば、本発明の酵素は、短鎖脂肪酸に対して活性でないことが好ましい。
【0032】 短鎖脂肪酸に対して比較的低い活性を有する酵素を使用することにより、望ま
しくない香味の発生を回避もしくは抑制することが可能であり、その望ましくな
い香味は、短鎖脂肪酸の放出によって発生する可能性がある。
【0033】 この選択的基質の特徴は、レシピおよびその脂質含量に応じて、所与の生地で
特に活性な酵素を選択できることを意味する。
【0034】 本明細書に明示されている特性を有する酵素は、植物、動物および微生物、た
とえば、細菌種および酵母種を含む真菌種を含む、様々なソースに由来してもよ
い。本発明の酵素は、酵素を自然に産生する生物に由来してもよく、酵素をコー
ドする遺伝子を用いて適当な宿主細胞を形質転換することにより、組換え的に産
生することも可能である。酵素は、その酵素活性の全てに関する活性部位を本来
含む酵素であってもよいが、合成で、または組換えDNAテクノロジーを使用し
て、本明細書に明示されている酵素活性を有するハイブリッド酵素を構築するこ
とも可能である。
【0035】 あるいは、本明細書に明示されている特性を有し、且つ望ましい基質特異性を
有する酵素を提供するために、たとえば、アミノ酸配列を変えることによって、
少なくとも最初は、本明細書に明示されている特定の特性を持たない酵素を修飾
することができる。酵素の改良された性能を得るために、ランダム突然変異誘発
によって酵素を修飾すること(米国特許第第4,814,331号、WO93/
01285号およびWO95/22615号)、および部位特異的突然変異誘発
により脂肪分解酵素を修飾すること(WO97/04079号)は、当技術分野
で周知である。この一般に使用される概念は、当該脂肪分解酵素のアミノ酸鎖の
構造部分内にアミノ酸を、挿入、削除または置換することである。修飾に適した
酵素は、エステル結合を加水分解することができるものである。このような酵素
としては、たとえば、トリアシルグリセロールリパーゼ(EC3.1.1.3)
、リポタンパク質リパーゼ(EC3.1.1.34)、モノグリセリドリパーゼ
(EC3.1.1.23)、リゾホスホリパーゼ、フェルラ酸エステラーゼおよ
びエステラーゼ(EC3.1.1.1,EC3.1.1.2)等の、リパーゼな
どが含まれる。
【0036】 修飾に適した酵素は、植物、動物および微生物、たとえば、細菌種および酵母
種を含む真菌種を含む、様々なソースに由来してもよい。修飾に適した酵素の例
は、たとえばP.cepacia(米国特許第5,290,694号)、P.g
lumae(Frenken N et al(1992)Appl.Envi
r.Microbiol.58 3787−3791)、P.pseudoal
caligenes(欧州特許EP 0 334 462号)またはPseud
omonas sp.菌株SD 705(WO95/06720号、欧州特許E
P 0 721 981号、WO 96/27002号、欧州特許EP 0 8
12 910号)に由来する、Pseudomonasリパーゼである。あるい
は、修飾に適した酵素は、たとえば、HumicolaファミリーおよびZyg
omycetesファミリーの脂肪分解酵素および真菌クチナーゼ等の、真菌脂
肪分解酵素であってもよい。Humicolaファミリーの脂肪分解酵素は、H
.lanuginosa菌株DSM 4109由来のリパーゼおよびこのリパー
ゼと50%を超える相同性を有するリパーゼからなる。H.lanuginos
a(異名Thermomyces lanuginosus)由来のリパーゼは
、欧州特許EP 0 258 068号および欧州特許EP 0 305 21
6号に記載されており、米国特許第5,869,438号の配列番号2の位置1
〜269に示されているアミノ酸配列を有する。
【0037】 本発明で使用するのに現在好ましい酵素は、リパーゼSP 972およびリパ
ーゼSP 979であり、その作用を、以下の実施例で詳細に説明する。
【0038】 ほとんどの穀粉は、本発明の酵素の基質の役割を果たすことができる、トリグ
リセリドを含む無極性脂質、およびリン脂質および糖脂質を含む極性脂質を含む
。従って、本方法の1つの実施形態では、無極性脂質、ジガラクトシルジグリセ
リド(DGDG)を含むガラクト脂質等の糖脂質、およびホスファチジルコリン
(PC)等のリン脂質の少なくとも1つが、生地に使用される穀粉中に存在する
天然(または内因性)脂質成分である。
【0039】 しかし、穀粉生地は、本発明の酵素の脂質基質の全てを、十分量含まない可能
性がある。従って、酵素に十分な基質を提供するために、無極性脂質、糖脂質お
よびリン脂質の少なくとも1つを生地に加えることは、本発明の範囲内である。
表現「十分な基質」は、3つの主要なタイプの脂質基質はどれも、上述の、生地
改良作用または焼成製品の改良作用を得ることに関して、限定要因ではないとい
う意味を含むということが理解されるであろう。
【0040】 本発明の酵素用の補足的脂質基質は、アシルグリセロール等の無極性脂質であ
ってもよい。本発明によれば、たとえば、植物油、植物性脂肪、動物油、たとえ
ば、バターの脂肪、およびショートニング等の動物性脂肪等の、様々なこのよう
な脂質を使用することができる。この点に関して、特に有用な脂質は、穀類由来
の油または脂肪、たとえば、オートムギ油である。オートムギ油は、一般に、ト
リグリセリド類に加えて、5〜25%のリン脂質および5〜12%の糖脂質を含
む。オートムギ油を分留して、高含有率の極性脂質を有する分画を得ることがで
きる。
【0041】 従って、1つ以上のリン脂質を生地に加えてもよいことは、本発明の方法の1
つの態様である。この点に関して、有用なリン脂質としては、ホスファチジルイ
ノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルコ
リン(PC)、レシチンおよびホスファチジルエタノールアミン(PE)等があ
る。
【0042】 本発明によれば、酵素は、10〜100,000LUT/kg粉の範囲または
10〜100,000PLU/kg粉の範囲の量で加えられ、単位の指示は、1
00〜10,000LUT/kg粉または100〜10,000PLU/kg粉
の範囲を含む、50〜50,000LUTまたはPLU/kg粉の範囲等の、以
下の実施例に明示されているものである。
【0043】 本発明は、さらに、上述の改良された品質特性を有する、焼成製品を得る方法
を、有利に提供することが可能である。従って、1つの実施形態において、本発
明の方法で作製される生地はパン生地であり、方法は、焼成製品を得るために、
生地を焼成することを、さらなるステップとして含む。焼成したパン製品の1つ
の特に望ましい特性は、実施例に明示されている、高い比体積である。従って、
本発明の酵素を加えた結果、焼成製品の比体積が、酵素を加えないこと以外は同
一条件で作られた焼成製品に比べて、少なくとも10%増加することが好ましい
。さらに好ましくは、比体積の増加は、少なくとも20%、たとえば、少なくと
も30%、たとえば、少なくとも40%である。
【0044】 本発明は、さらに、パスタ生地、ヌードル生地およびケーキ生地またはバッタ
ー(batters)、およびこのような生地またはバッターから作られる完成
製品を提供することが可能である。
【0045】 リパーゼ以外の酵素が、生地特性および焼成製品の品質を改良する一因となり
得ることは、当技術分野で周知である。本発明の酵素に加えて、少なくとも1つ
のさらなる酵素を生地に加えることは、本発明の範囲内である。このようなさら
なる酵素としては、エンドアミラーゼまたはエキソアミラーゼ等のでんぷん分解
酵素、プルラナーゼ、脱分枝酵素、キシラナーゼを含むヘミセルラーゼ、セルラ
ーゼおよび酸化還元酵素、たとえば、グルコースオキシダーゼ、リパーゼ、ホス
ホリパーゼおよびヘキソースオキシダーゼなどが含まれる。
【0046】 本発明の酵素は、たとえば、有効な界面活性剤であるジガラクトモノグリセリ
ド(DGMG)に転換されるジガラクトジグリセリド(DGDG)を含む、ガラ
クト脂質等のある種の糖脂質に対して特に活性であってもよいことが確認されて
いる。従って、有用な実施形態において、本発明の酵素は、生地中に最初に存在
するDGDGの少なくとも25%を加水分解することができる酵素であり、DG
DGの少なくとも50%、たとえば、この少なくとも60%または少なくとも7
5%が加水分解されることが好ましい。
【0047】 本酵素に有用な別の脂質基質は、リン脂質、ホスファチジルコリン(PC)で
ある。従って、有用な実施形態において、酵素は、生地中に最初に存在するPC
の少なくとも25%、好ましくは、少なくとも60%、たとえば、少なくとも7
5%を含む、少なくとも50%を分解することができる。
【0048】 酵素が、他のタイプに対するよりも、上述の脂質基質タイプのある種に対して
、加水分解的に活性であってもよいことは、本発明の酵素の1つの有利な態様で
ある。従って、酵素は、無極性トリグリセリドに対するよりも、極性脂質に対し
て、相対的により活性であってもよい。このことは、いずれかの加水分解される
脂質基質タイプの量を分析し、次いで、脂質基質のいずれかの組(たとえば、ト
リグリセリド対糖脂質またはトリグリセリド対リン脂質)の、加水分解の関係を
示す曲線を構築することによって、示すことができる。
【0049】 ある特定の実施形態において、酵素がトリグリセリド類を加水分解できる能力
と、糖脂質を加水分解できる能力との関係を、少なくとも1.5または少なくと
も2.0等の、少なくとも1.0である勾配を有する曲線として描写できること
で、または、酵素が、トリグリセリドを加水分解できる能力と、リン脂質を加水
分解するできる能力との関係を、少なくとも0.5または少なくとも1.0を含
む、少なくとも0.2等の、少なくとも0.1である勾配を有する曲線として描
写できることで、本発明の酵素は特性決定される。
【0050】 さらなる態様において、本発明は、生地の状態で、無極性脂質、糖脂質および
リン脂質を加水分解することができる酵素、および任意に少なくとも1つのさら
なる生地成分を含む、生地改良用組成物を提供する。このようなさらなる生地成
分は、たとえば、本発明の酵素の基質プロフィールを持たないリパーゼまたはホ
スホリパーゼを含む、上述のさらなる酵素であってもよい。組成物中に組込むこ
とができる他の適する生地成分としては、小麦粉、米粉およびトウモロコシ粉等
の穀粉、酵母、化学膨張剤、酸化還元酵素およびアスコルビン酸塩等の生地強化
剤、乳化剤、砂糖、上述のタイプのアシルグリセロール類、大豆レシチンおよび
卵レシチン等のリン脂質、糖脂質および塩類などがある。
【0051】 本発明のさらなる態様において、上述の組成物、および本発明の方法従って得
られる生地に酵素が加えられる、上述の生地を作製する方法が提供される。この
ような生地は、生地を新鮮に保つように管理されたガスで任意に包装された生生
地であってもよく、凍結生地であってもよい。
【0052】 当業者は、本明細書に明示されている特定の特性を有する幾つかの酵素を容易
に同定することができるが、本発明は、さらに、無極性脂質、糖脂質およびリン
脂質を加水分解することができる酵素を同定する方法、または無極性脂質、糖脂
質およびリン脂質を加水分解することができる酵素になるのに好適な酵素を同定
する方法を提供する。本発明による酵素にするのに好適な1つのこのような酵素
は、Aspergillus niger由来のリパーゼであり、このリパーゼ
は、WO98/45453(参照により本明細書に組み込む)に開示されている
【0053】 本発明は、さらに、無極性脂質、糖脂質およびリン脂質を加水分解することが
できる酵素を開発する方法を提供する。
【0054】 <酵素をコードするヌクレオチド配列をクローニングする> 本明細書に明示されている特定の特性を有する酵素か、修飾に適した酵素のい
ずれかをコードするヌクレオチド配列を、上記酵素を産生する細胞または生物か
ら単離することが可能である。様々な方法が、ヌクレオチド配列を単離する技術
分野内で周知である。
【0055】 たとえば、酵素を産生する生物由来の染色体DNAまたはメッセンジャーRN
Aを使用して、ゲノムDNAおよび/またはcDNAライブラリーを構築するこ
とが可能である。酵素のアミノ酸配列が判明している場合、標識したオリゴヌク
レオチドプローブを合成して、生物から作製されたゲノムライブラリーから酵素
をコードしているクローンを同定することが可能である。あるいは、別の既知の
酵素の遺伝子に相同な配列を含む標識オリゴヌクレオチドプローブを使用すれば
、酵素をコードするクローンを同定することが可能であろう。後者の場合、低ス
トリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件および洗浄条件を使用する。
【0056】 あるいは、プラスミド等の発現ベクターにゲノムDNAのフラグメントを挿入
し、結果として得られるゲノムDNAライブラリーを用いて酵素陰性細菌を形質
転換し、次いで酵素(すなわち、マルトース)の基質を含む寒天上に形質転換細
菌をプレーティングし、それによって、同定すべき酵素をクローンに発現させる
ことによって、酵素をコードするクローンを同定することが可能である。
【0057】 さらなる代替法では、確立された標準方法、たとえば、Beucage S.
L.et al(1981)Tetrahedron Letters 22,
p 1859−1869に記載のホスホロアミダイト法、Matthes et
al (1984)EMBO J.3,p 801−805に記載の方法で、
酵素をコードするヌクレオチド配列を合成的に作製することができる。ホスホロ
アミダイト法では、たとえば、自動DNAシンセサイザーでオリゴヌクレオチド
を合成し、精製し、アニーリングし、ライゲートして、適当なベクターでクロー
ニングする。
【0058】 ヌクレオチド配列は、標準技法に従って、合成起源、ゲノム起源またはcDN
A起源(必要に応じて)のフラグメントをライゲートすることによって作製した
、ゲノム起源と合成起源との混合、合成起源とcDNA起源との混合、またはゲ
ノム起源とcDNA起源との混合であってもよい。ライゲートされた各フラグメ
ントは、全ヌクレオチド配列の様々な部分に対応する。米国特許第4,683,
202号またはSaiki R K et al(Science(1988)
239,pp 487−491)に記載の、特定のプライマーを使用したポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)で、DNA配列を作製することも可能である。
【0059】 <ヌクレオチド配列> 本発明は、本明細書に明示されている特定の特性を有する酵素をコードするヌ
クレオチド配列も含む。本明細書で使用される用語「ヌクレオチド配列」は、オ
リゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列、およびその変異形、相同体
、フラグメントおよび誘導体(たとえば、その一部)を指す。このヌクレオチド
配列は、ゲノム起源であってもよく、あるいは合成起源または組換え起源であっ
てもよく、センス鎖またはアンチセンス鎖を提示する二本鎖または1本鎖であっ
てもよい。
【0060】 本発明に関して、用語「ヌクレオチド配列」は、ゲノムDNA、cDNA、合
成DNA、およびRNAを含む。ヌクレオチド配列は、好ましくはDNA、さら
に好ましくは、本発明のコード配列に関するcDNAを意味することが好ましい
【0061】 好ましい実施形態において、本発明のヌクレオチド配列それ自体は、それが自
然に関連した、同様に自然な環境にある、配列に連結しているとき、自然環境に
ある、本発明の生来のヌクレオチド配列をカバーしない。参照を容易にするため
に、我々は、この好ましい実施形態を「非生来ヌクレオチド配列」と呼ぶことに
する。この点に関して、用語「生来のヌクレオチド配列」は、その生来の環境に
あり、且つヌクレオチド配列が自然に関連しているプロモーター全体に作動可能
に連結されているヌクレオチド配列全体であり、そのプロモーターがやはりその
生来の環境にあるものを意味する。従って、本発明の酵素は、その生来の生物の
ヌクレオチド配列によって発現させることができるが、そのヌクレオチド配列は
、その生物内で、そのヌクレオチド配列と自然に関連しているプロモーターの調
節下にない。
【0062】 本発明の酵素は、他の酵素と共に使用してもよい。従って、本発明は、酵素の
組合せであって、本発明の酵素と、本発明による別の酵素であってもよい、別の
酵素とを含む組合せもカバーする。
【0063】 酵素は、自然の酵素ではないことが好ましい。この点に関して、用語「自然の
酵素」は、その自然環境にある酵素全体であり且つ酵素がその自然のヌクレオチ
ド配列によって発現されているとき、を意味する。
【0064】 一般に、本発明のヌクレオチド配列は、組換えDNA技法(すなわち、組換え
DNAである)を使用して作製される。しかし、本発明の代替実施形態では、当
技術分野で周知の化学的方法を使用して、ヌクレオチド配列を、全部または一部
、合成することが可能である(Caruthers MH et al(198
0)Nuc Acids Res Symp Ser 215−23およびHo
rn T et al(1980)Nuc Acids Res Symp S
er 225−232参照)。
【0065】 <アミノ酸配列> 本発明は、本明細書に明示されている特定の特性を有する酵素のアミノ酸配列
も含む。
【0066】 本明細書で使用される用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」および
/または用語「タンパク質」と同義である。場合によっては、用語「アミノ酸配
列」は、用語「ペプチド」と同義である。場合によっては、用語「アミノ酸配列
」は、用語「酵素」と同義である。
【0067】 アミノ酸配列は、適当なソースから作製/単離してもよく、あるいは、合成的
に製造してもよく、または組換えDNA技法を使用して作製してもよい。
【0068】 <変異形/相同体/誘導体> 本発明は、本発明の酵素のアミノ酸配列、またはこのような酵素をコードする
ヌクレオチド配列の変異形、相同体および誘導体の使用も含む。ここで、用語「
相同体」は、主題のアミノ酸配列および主題のヌクレオチド配列とある一定の相
同性を有する全体を意味する。ここで、用語「相同性」は、「同一性」と同等と
みなすことができる。
【0069】 この関係において、相同な配列は、主題の配列と、少なくとも75、85また
は90%同一であり得るアミノ酸配列、好ましくは、少なくとも95または98
%同一であり得るアミノ酸配列を含むと考えられる。一般に、相同体は、主題の
アミノ酸配列と同じ活性部位等を含む。相同性は、類似性(すなわち、類似した
化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)という観点で考えることもできるが、
本発明の関係では、相同性は、配列同一性の観点で相同性を表すことが好ましい
【0070】 この関係において、相同な配列は、本発明の酵素をコードするヌクレオチド配
列(主題の配列)と、少なくとも75、85または90%同一であり得るアミノ
酸配列、好ましくは、少なくとも95または98%同一であり得るヌクレオチド
配列を含むと考えられる。一般に、相同体は、主題のアミノ酸配列と同じ活性部
位等をコードする配列を含む。相同性は、類似性(すなわち、類似した化学的特
性/機能を有するアミノ酸残基)という観点で考えることもできるが、本発明の
関係では、相同性は、配列同一性の観点で相同性を表すことが好ましい。
【0071】 相同比較は、目で、または通常は、容易に入手できる配列比較プログラムを用
いて、実施することができる。これらの市販のコンピュータープログラムは、2
つ以上の配列間の%相同性を算出することができる。
【0072】 %相同性は、近接した配列に関して算出することが可能である、すなわち、1
つの配列を他の配列と一線上にそろえ、1つの配列における各アミノ酸を、他の
配列における対応するアミノ酸と(1度に残基1個)直接比較する。これは、「
アンギャップト(ungapped)」アラインメントと呼ばれる。一般に、こ
のようなアンギャップトアラインメントは、比較的少数の残基に関してのみ実施
される。
【0073】 これは、非常に単純且つ堅実な方法であるが、たとえば、その他の点では全く
同じ配列対において、1つの挿入または欠失によって、以下のアミノ酸残基がア
ラインメントから締め出される、従って、広範囲のアラインメントを実施すると
き、潜在的に、%相同性が大きく低減する結果となることを考慮に入れていない
。従って、ほとんどの配列比較方法は、総体的な相同性スコアに、不当にペナル
ティを課さずに、可能な挿入および欠失を考慮に入れる最適アラインメントをも
たらすようにデザインされている。これは、局所的相同性が最大限になるように
、「ギャップ」を配列アラインメントに挿入することによって実現する。
【0074】 しかし、こうした、より複雑な方法は、同数の同一アミノ酸の場合、可能な限
り少数のギャップを有する配列アラインメント(比較される2配列間のより高い
関連性を示す)が、多くのギャップを有する配列アラインメントより高いスコア
を達成するように、アラインメントに存在する各ギャップに「ギャップペナルテ
ィ」を割り当てる。ギャップの存在に対して比較的高いコストを課し、ギャップ
における各後続の残基に小さいペナルティを課す「アフィンギャップコスト」が
一般に使用される。これは、もっともよく使用されるギャップスコアリングシス
テムである。高いギャップペナルティは、もちろん、少ないギャップを有する最
適化されたアラインメントをもたらす。ほとんどのアラインメントプログラムは
、ギャップペナルティを改変することができる。しかし、このような配列比較用
ソフトウェアを使用するとき、デフォルト値を使用することが好ましい。たとえ
ば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージを使用するとき、
ギャップに関するアミノ酸配列のデフォルトギャップペナルティは−12であり
、各延伸のデフォルトギャップペナルティは−4である。
【0075】 従って、最大%相同性の算出には、先ず、ギャップペナルティを考慮に入れて
、最適アラインメントを作ることが必要である。このようなアラインメントを実
施するのに適したコンピュータープログラムは、GCG Wisconsin
Bestfitパッケージである(Devereux et al 1984
Nuc.Acids Research 12 p387)。配列比較を実施す
ることができる他のソフトウェアの例としては、BLASTパッケージ(Aus
ubel et al 1999 Molecular Biology,4th Ed ? Chapter 18のShortプロトコールを参照)、FAS
TA(Altschuletal 1990 J.Mol.Biol.403−
410)およびGENEWORKS比較ツール一式などが挙げられるが、その限
りではない。BLASTもFASTAも共に、オフライン検索およびオンライン
に使用できる(Ausubel et al 1999,7−58〜7−60ペ
ージ参照)。しかし、一部の用途では、GCG Bestfitプログラムを使
用することが好ましい。BLAST2 Sequencesと呼ばれる新しいツ
ールも、タンパク質およびヌクレオチド配列の比較に使用できる(FEMS M
icrobiol Lett 1999 174(2):247−50; FE
MS Microbiol Lett 1999 177(1):187−8お
よびtatiana@ncbi.nlm.nih.gov参照)。
【0076】 同一性の観点で、最終%相同性を測定することができるが、アラインメント法
そのものは、一般に、全か無かの対比較に基づくものではない。そうではなく、
化学的類似性または進化的距離に基づいて、スコアを各二つ一組の比較に割り当
てる、基準化された類似性スコアマトリックスが一般に使用される。よく使用さ
れるこのようなマトリックスの1例は、BLOSUM62マトリックス(BLA
STプログラム一式用デフォルトマトリックス)である。GCG Wiscon
sinプログラムは、一般に、公的デフォルト値か、または提供されるのであれ
ば、注文符号比較表(さらなる詳細については、ユーザーマニュアル参照)のい
ずれかを使用する。一部の用途では、GCG パッケージ用公的デフォルト値を
使用することが好ましく、あるいは、他のソフトウェアの場合には、BLOSU
M62等のデフォルトマトリックスを使用することが好ましい。
【0077】 ソフトウェアが最適アラインメントを作成したら、その後は、%相同性を、好
ましくは、%配列同一性を、算出することができる。ソフトウェアは一般に、配
列比較の一部としてこれを行い、数値成績を作成する。
【0078】 配列は、同義的変化をもたらし、結果として機能的に等価の物質を生じる、ア
ミノ酸残基の欠失、挿入または置換も有してもよい。その物質の二次的結合活性
が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/また
は両親媒性の類似性に基づいて、計画的なアミノ酸置換を行うことが可能である
。たとえば、負に帯電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン
酸などがあり、正に帯電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニンなどが
あり、類似した親水性値を有する非帯電極性頭基を含むアミノ酸としては、ロイ
シン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン
、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンなどがある。
【0079】 たとえば、下表に従って、保存的置換を行うことが可能である。第2欄の同じ
ブロック内、好ましくは、第3欄の同じ行内のアミノ酸は、互いに置き換えるこ
とが可能である。
【0080】
【表1】
【0081】 本発明は、起こってもよい相同な置換(本明細書では、置換(substit
ution)も、交換(replacement)も、存在するアミノ酸残基の
代替残基との交換を意味するのに使用される)、すなわち、塩基同士、酸同士、
極性同士等の同種置換も含む。非相同置換、すなわち、1種の残基から、(オル
ニチン(以後、Zと表す)、ジアミノ酪酸オルニチン(以後、Bと表す)、ノル
ロイシンオルニチン(以後、Oと表す)、ピリイルアラニン、チエニルアラニン
、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシン等)他の慙愧、あるいは代わりに非
天然アミノ酸を含むものに関するものへの置換も起こってもよい。
【0082】 以下のものを含む、非天然アミノ酸によって交換を行うことも可能である;α
*およびα−二置換*アミノ酸、N−アルキルアミノ酸*、乳酸*、天然アミノ酸の
ハライド誘導体、たとえば、トリフルオロチロシン*、p−Cl−フェニルアラ
ニン*、p−Br−フェニルアラニン*、p−I−フェニルアラニン*、L−アリ
ル−グリシン*、β−アラニン*、L−α−アミノ酪酸*、L−γ−アミノ酪酸*、
L−α−アミノイソ酪酸*、L−ε−アミノカプロン酸#、7−アミノヘプタン酸
*、L−メチオニンスルホン(*、L−ノルロイシン*、L−ノルバリン*、p−ニ
トロ−L−フェニルアラニン*、L−ヒドロキシプロリン#、L−チオプロリン*
、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、たとえば、4−メチル−Phe
*、ペンタメチル−Phe*、L−Phe(4−アミノ)#、L−Tyr(メチル
)*、L−Phe(4−イソプロピル)*、L−Tic(1,2,3,4−テトラ
ヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)*、L−ジアミノプロピオン酸(およ
びL−Phe(4−ベンジル)*。上記説明(相同置換非相同置換に関する)で
、表示*は、誘導体の疎水性を示すために使用し、#は、誘導体の親水性を示すた
めに使用し、#*は、両親媒性を示す。
【0083】 変異形アミノ酸配列は、グリシン残基またはβ−アラニン残基等のアミノ酸ス
ペーサーに加えて、メチル基、エチル基またはプロピル基等のアルキル基を含む
配列の、いずれか2つのアミノ酸残基の間に挿入することが可能な適当なスペー
サー基を含んでもよい。さらなる変異形は、ペプトイド形のアミノ酸残基の1つ
以上の存在を含み、当業者により十分に理解されるであろう。不確かさを避ける
ために、(α−炭素置換基が、α−炭素ではなく、残基の窒素原子上にある、変
異形アミノ酸残基を表すために)「ペプトイド形」を使用する。ペプトイド形の
ペプチドを作成する方法は、当技術分野で周知である。(たとえば、Simon
RJ et al.,PNAS(1992)89(20),9367−937
1およびHorwell DC,Trends Biotechnol.(19
95)13(4),132−134)
【0084】 本発明で使用するのに適したヌクレオチド配列は、その中に、合成ヌクレオチ
ドまたは修飾ヌクレオチドを含んでもよい。オリゴヌクレオチドへの、多数の異
なるタイプの修飾は、当技術分野で周知である。これらの修飾には、メチルホス
ホネートおよびホスホロチオエート主鎖および/または分子の3′および/また
は5′末端におけるアクリジン鎖またはポリリジン鎖の付加が含まれる。本発明
のために、本明細書に記載のヌクレオチド配列を、当技術分野で利用できる任意
の方法で修飾してもよいことを理解すべきである。本発明のヌクレオチド配列の
in vivo活性または寿命を増大するために、このような修飾を行うことが
可能である。
【0085】 本発明は、本明細書に記載の配列、またはその誘導体、フラグメントまたは誘
導体に相補的なヌクレオチド配列の使用も含む。配列が、そのフラグメントに相
補的な場合、その配列をプローブとして使用して、他の生物等における類似した
コード配列を同定することができる。
【0086】 本発明の配列に100%相同ではないが、本発明の範囲内に入るポリヌクレオ
チドを、多数の方法で得ることができる。本明細書に記載の配列の他の変異形は
、たとえば、ある範囲の個体、たとえば異なる集団からの個体から作成されたD
NAライブラリーを精査することによって、得ることが可能である。さらに、他
のウイルス/細菌相同体、または細胞相同体、特に哺乳類細胞(たとえば、ラッ
ト、マウス、ウシおよび霊長類細胞)にある細胞相同体を得ることができ、この
ような相同体およびそのフラグメントは、一般に、本明細書の配列リストに示す
配列に、選択的にハイブリダイズすることができる。このような配列は、他の動
物種から作成したcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを精査
し、このようなライブラリーを、添付の配列リスト内の配列のいずれか1つの全
部または一部を含むプローブを用いて、中ストリンジェンシーないし高ストリン
ジェンシー条件で、精査することによって、得ることが可能である。本発明のポ
リペプチドまたはヌクレオチド配列の種相同体および対立遺伝子変異形を獲得す
るのに、同様の考えが当てはまる。
【0087】 変異形および菌株/種相同体は、本発明の配列内に保存されるアミノ酸配列を
コードする変異形および相同体内の配列を標的とするようにデザインされたプラ
イマーを使用する変性PCR(degenerate PCR)を使用して得る
ことも可能である。保存される配列は、たとえば、幾つかの変異形/相同体から
のアミノ酸配列を整列させることによって予測することができる。当技術分野で
周知のコンピューターソフトウェアを使用して、配列アラインメントを実施する
ことができる。たとえば、GCG Wisconsin PileUpプログラ
ムが広く使用されている。
【0088】 変性PCRで使用されるプライマーは、1つ以上の変性位置を含み、既知の配
列に対して1つの配列プライマーを用いた配列のクローニングで使用されるもの
より低いストリンジェンシー条件で使用される。
【0089】 あるいは、このようなポリヌクレオチドを、特性決定された配列の位置指定突
然変異誘発によって得ることが可能である。これは、たとえば、ポリヌクレオチ
ド配列が発現されようとしている特定の宿主細胞に対するコドン優先傾向を最適
化するためにサイレントコドン配列変化が必要な場合に有用であろう。制限酵素
認識部位を導入するために、または、ポリヌクレオチドによってコードされるポ
リペプチドの特性または機能を変えるために、他の配列変化が望ましいこともあ
る。
【0090】 本発明のポリヌクレオチド(ヌクレオチド配列)は、プライマー、たとえば、
PCRプライマー、代替増幅反応用プライマー、たとえば、放射性または非放射
性標識を使用する従来の方法で啓示的標識で標識されたプローブを作製するため
に使用してもよく、あるいは、このポリヌクレオチドを、ベクターにクローニン
グしてもよい。このようなプライマー、プローブおよび他のフラグメントは、少
なくとも15ヌクレオチド、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド、たとえば
少なくとも25、30または40ヌクレオチドの長さであり、本明細書で使用さ
れる用語、本発明のポリヌクレオチドに含まれる。
【0091】 DNAポリヌクレオチドおよび本発明によるプローブ等のポリヌクレオチドは
、組換え的に、合成的に、または、当業者に利用できる任意の方法で、作製する
ことが可能である。これらのポリヌクレオチドを、標準技法でクローニングする
ことも可能である。
【0092】 一般に、プライマーは、所望の核酸配列の段階的製造を含む合成方法によって
、1ヌクレオチドが一つずつ作製される。オートメーション化した技法を使用し
てこれを遂行する技法は、当技術分野で容易に利用できる。
【0093】 長いポリヌクレオチドは、一般に、組換え方法を使用して、たとえばPCR(
ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技法を使用して、作製される。この方法は
、クローニングに望ましい脂質標的配列の領域に隣接する一対のプライマー(た
とえば、約15〜30ヌクレオチド)を作るステップと、このプライマーを、動
物またはヒト細胞から得たmRNAまたはcDNAと接触させるステップと、所
望の領域の増幅を引き起こす条件でポリメラーゼ連鎖反応を実施するステップと
、増幅されたフラグメントを(たとえば、反応混合物をアガロースゲルで精製す
ることによって)単離するステップと、増幅されたDNAを回収するステップと
を含む。増幅されたDNAを適当なクローニングベクターにクローニングできる
ように、このプライマーを、適当な制限酵素認識部位を含むようにデザインする
ことが可能である。
【0094】 <ハイブリダイゼーション> 本発明は、本発明の配列に相補的な配列、あるいは、本発明の配列またはそれ
に相補的な配列のいずれかにハイブリダイズすることができる配列も含む。
【0095】 本明細書で使用される用語「ハイブリダイゼーション」は、「核酸の鎖が、塩
基対合によって相補鎖と接合する過程」ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR
)技術で実施される増幅過程を含むものとする。
【0096】 本発明は、本明細書に記載の配列、またはその誘導体、フラグメントまたは誘
導体に相補的な配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用
も含む。
【0097】 用語「変異形」は、本明細書に記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズする
ことができる配列に相補的な配列も含む。
【0098】 好ましくは、用語「変異形」は、ストリンジェントな条件で(たとえば、50
℃および0.2×SSC{1×SSC=0.15MのNaCl、0.015Mの
クエン酸ナトリウム、pH7.0})、本明細書に記載のヌクレオチド配列にハ
イブリダイズすることができる配列に相補的な配列を含む。
【0099】 さらに好ましくは、用語「変異形」は、高ストリンジェント条件(たとえば、
65℃および0.1×SSC{1×SSC=0.15MのNaCl、0.015
Mのクエン酸ナトリウム、pH7.0})で、本明細書に記載のヌクレオチド配
列にハイブリダイズすることができる配列に相補的な配列を含む。
【0100】 本発明は、本発明のヌクレオチド配列(本明細書に記載のものの相補配列を含
む)にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列にも関する。
【0101】 本発明は、本発明のヌクレオチド配列(本明細書に記載のものの相補配列を含
む)に本明細書に記載のものの相補配列を含む)ハイブリダイズすることができ
る配列に相補的なヌクレオチド配列にも関する。
【0102】 中程度ないし最高のストリンジェンシー条件で、本明細書に記載のヌクレオチ
ド配列にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド配列も、本発明の範
囲内に含まれる。
【0103】 好ましい態様において、本発明は、ストリンジェントな条件(たとえば、50
℃および0.2×SSC)で、本発明のヌクレオチド配列、またはその補体にハ
イブリダイズすることができるヌクレオチド配列をカバーする。
【0104】 さらに好ましい態様において、本発明は、高ストリンジェント条件(たとえば
、65℃および0.1×SSC)で、本発明のヌクレオチド配列、またはその補
体にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列をカバーする。
【0105】 <位置指定変異誘発> いったん、酵素をコードするヌクレオチド配列が単離されたら、その後は、本
発明の酵素を作製するために、その配列を突然変異させることが望ましいことも
ある。
【0106】 合成オリゴヌクレオチドを使用して、突然変異を導入することが可能である。
こうしたオリゴヌクレオチドは、所望の突然変異部位に隣接したヌクレオチド配
列を含む。
【0107】 適当な方法は、Morinaga et al(Biotechnology
(1984)2,p646−649)に開示されており、DNAの1本鎖ギャッ
プ(酵素をコードする配列)が、酵素遺伝子を運搬するベクターで作られる。次
いで、所望の突然変異を担持する合成ヌクレオチドを、1本鎖DNAの相同部分
にアニーリングする。次いで、残りのギャップに、DNAポリメラーゼI(クレ
ノーフラグメント)を充填し、T4リガーゼを使用して、この構築物をライゲー
トする。
【0108】 米国特許第4,760,025号には、カセットの些細な変更を実施すること
による、多数の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドの導入が開示されてい
る。しかし、上述のMorinaga法で、様々な長さの、多数のオリゴヌクレ
オチドを導入することができるため、さらに大きい様々な突然変異を、いつでも
導入することができる。
【0109】 Nelson and Long(Analytical Biochemi
stry(1989),180,p 147−151)には、酵素をコードする
ヌクレオチド配列に突然変異を導入する別の方法が記載されている。この方法は
、化学的に合成されたDNA鎖を、PCR反応におけるプライマーの1つとして
使用することによって導入される所望の突然変異を含む、PCRフラグメントの
3段階生成である。制限エンドヌクレアーゼで切断し、発現プラスミドに再挿入
することによって、PCR生成フラグメントから、突然変異を担持するDNAフ
ラグメントを単離することが可能である。
【0110】 さらに、Sierks et al(Protein Eng(1989)2
,621−625およびProtein Eng(1990)3,193−19
8)には、Aspergillusグルコアミラーゼにおける位置指定変異誘発
が記載されている。
【0111】 <酵素の発現> 本発明で使用するのに適したヌクレオチド配列を、組換え複製可能ベクターに
組込むことができる。このベクターを使用して、ヌクレオチド配列を、酵素形で
、且つ/または適合する宿主細胞から、複製し、発現させることが可能である。
プロモーター/エンハンサーおよび他の発現制御シグナルを含む調節配列を使用
して、発現を調節することが可能である。原核細胞プロモーターおよび真核細胞
におけるプロモーター機能を使用してもよい。組織特異的または刺激特異的プロ
モーターを使用してもよい。上述の2つ以上の異なるプロモーター由来の配列エ
レメントを含むキメラプロモーターを使用してもよい。
【0112】 ヌクレオチド配列の発現により、宿主組換え細胞によって産生される酵素は、
使用される配列および/またはベクターに応じて、分泌されてもよく、または細
胞内に含まれてもよい。ある特定の原核細胞膜または真核細胞膜を通って、物質
コード配列の分泌を指令するシグナル配列を含むコード配列をデザインすること
ができる。
【0113】 <発現ベクター> 用語「発現ベクター」は、インビボまたはインビトロで発現させることができ
る構築物を意味する。
【0114】 この発現ベクターは、生物のゲノムに組み込まれることが好ましい。用語「組
込まれる」は、ゲノムへの安定な組込みをカバーすることが好ましい。
【0115】 本発明のベクターは、本発明による構築物を含むことが好ましい。代わりに発
現される、好ましくは本発明のヌクレオチド配列がベクターに存在し、制御配列
が、適当な宿主生物によるヌクレオチド配列の発現を実現することができるよう
に、すなわち、ベクターが発現ベクターであるように、ヌクレオチド配列が、制
御配列に、作動可能に連結されている。
【0116】 以下に記載の通りに、本発明のベクターを、適当な宿主細胞に形質転換して、
本発明のポリペプチドの発現を実現することが可能である。従って、さらなる態
様において、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするコード配列のベクタ
ーによる発現を実現する条件で、上述の発現ベクターを用いて形質転換またはト
ランスフェクトされた宿主細胞を培養すること、および発現されたポリペプチド
を回収することを含む、本発明に従って次に使用するためのポリペプチドを作製
する方法を提供する。
【0117】 ベクターは、たとえば、複製起点、任意に、上記ポリヌクレオチド発現のため
のプロモーター、および任意選択的に、プロモーターのレギュレーターを備えた
プラスミド、ウイルスベクターまたはファージベクターであってもよい。ベクタ
ーの選択は、多くの場合、ベクターが中に導入される宿主細胞によって異なる。
【0118】 本発明のベクターは、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子を含むことが可能
である。工業用微生物に最も適した選択システムは、宿主生物における突然変異
を必要としない選択マーカー群によって形成されるものである。適当な選択マー
カーは、B.subtilisまたはB.licheniformis由来のd
al遺伝子であってもよく、あるいは、アンピシリン、カナマイシン、クロラム
フェニコールまたはテトラサイクリン耐性等の抗生物質耐性を与えるものであっ
てもよい。代替選択マーカーは、amdS、argB、niaDおよびsC等の
Aspergillus選択マーカーであってもよく、あるいは、ヒグロマイシ
ン耐性を生じさせるマーカーであってもよい。他の真菌の選択マーカーの例は、
ATPシンセターゼ、サブユニット9(oliC)、オロチジン−5′−ホスフ
ェート−デカルボキシラーゼ(pvrA)、フレオマイシンおよびベノミル耐性
(benA)に関する遺伝子である。非真菌選択マーカーの例は、細菌のG41
8耐性遺伝子(これを酵母で使用することも可能であるが、糸状菌で使用するこ
とはできない)、アンピシリン耐性遺伝子(E.coli)、ネオマイシン耐性
遺伝子(Bacillus)およびβ−グルクロニダーゼ(GUS)をコードす
るE.coli uidA遺伝子である。さらなる適当な選択マーカーとしては
、B.subtilisまたはB.licheniformis由来のdal遺
伝子などがある。あるいは、共形質転換(WO91/17243に記載)によっ
て、選択を遂行することが可能である。
【0119】 ベクターは、in vitroで、たとえばRNA産生のために使用すること
が可能であり、あるいは、宿主細胞のトランスフェクションまたは形質転換に使
用することも可能である。
【0120】 従って、本発明に従って使用するのに適したヌクレオチド配列を、組換えベク
ター(一般に、複製可能ベクター)、たとえば、クローニングベクターまたは発
現ベクターに、組み込むことができる。このベクターを使用して、適合する宿主
細胞で核酸を複製することができる。従って、さらなる実施形態において、本発
明は、本発明のヌクレオチド配列を複製可能ベクターに導入し、このベクターを
適合する宿主細胞に導入し、ベクターの複製をもたらす条件で宿主細胞を増殖さ
せることによって、本発明のヌクレオチド配列を作製する方法を提供する。この
ベクターを宿主細胞から回収することが可能である。発現ベクターに関して、適
当な宿主細胞を以下に記載する。
【0121】 本明細書に明示されている特定の特性を有する酵素をコードする本発明のDN
A構築物、および制御配列をライゲートし、それらを、複製に必要な情報を含む
適当なベクターに挿入する手順は、当業者に周知である(たとえば、Sambr
ook et al Molecular Cloning:A labora
tory Manual,2nd Ed.(1989)参照)。
【0122】 ベクターは、さらに、ベクターが問題の宿主細胞で複製するのを可能にするヌ
クレオチド配列を含んでもよい。このような配列の例は、プラスミドpUC19
、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1およびpIJ70
2の複製起点である。
【0123】 <制御配列> 一部の用途では、本発明で使用するのに適したヌクレオチド配列は、たとえば
、選択された宿主細胞による、ヌクレオチド配列の発現を実現することができる
制御配列に、作動可能に連結されている。例として、本発明は、このような制御
配列に作動可能に連結された本発明のヌクレオチド配列を含むベクターをカバー
する、すなわち、ベクターは、発現ベクターである。
【0124】 用語「作動可能に連結された」は、記載の成分が、記載の成分を所期の方式で
機能させることが可能な関係にある、近位を指す。コード配列に「作動可能に連
結された」制御配列は、調節配列と両立する条件で、コード配列の発現が達成さ
れる方法でライゲートされる。
【0125】 用語「制御配列」は、プロモーターおよびエンハンサーおよび他の発現制御シ
グナルを含む。
【0126】 用語「プロモーター」は、当技術分野の正常な意味、、たとえば、RNAポリ
メラーゼ結合部位の意味で使用される。
【0127】 選択された発現宿主による関心のあるタンパク質の発現、および必要に応じて
、分泌レベルを増強し、且つ/または本発明の酵素の発現を誘導できる調節を実
現するのに役立つ、異種制御領域、たとえば、プロモーター、分泌リーダーおよ
び転写終結領域を選択することによって、本発明の酵素をコードするヌクレオチ
ド配列の発現増強を実現することも可能である。真核細胞では、ポリアデニル化
配列が、酵素をコードするヌクレオチド配列に作動可能に接続されていてもよい
【0128】 本発明のヌクレオチド配列は、少なくとも1つのプロモーターに作動可能に連
結され得ることが好ましい。
【0129】 本発明のヌクレオチド配列をコードする遺伝子に由来するプロモーターを除く
、他のプロモーターを使用して、本発明のポリペプチドの発現を指令することが
可能である。所望の発現宿主における、本発明のヌクレオチド配列発現の指令能
率に合うプロモーターを選択することが可能である。
【0130】 別の実施形態において、本発明の所望のヌクレオチド配列の発現を指令するた
めに、構成的プロモーターを選択することが可能である。このような発現構築物
は、誘導基質を含む培地で発現宿主を培養する必要性をなくすため、さらなる利
点を提供することが可能である。
【0131】 真菌発現宿主で使用するのに好ましい強力な構成的および/または誘導プロモ
ーターの例は、キシラナーゼ(xlnA)、フィターゼ、ATP−シンセターゼ
、サブユニット9(oliC)、トリオースリン酸イソメラーゼ(tpi)、ア
ルコールデヒドロゲナーゼ(AdhA)、α−アミラーゼ(amy)、アミログ
ルコシダーゼ(glaA遺伝子由来のAG)、アセトアミダーゼ(amdS)お
よびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(gpd)プロモーター
に関する真菌遺伝子から得られるものである。真菌宿主における転写に有用なプ
ロモーターのその他の例は、A.oryzae TAKAアミラーゼ、S.ce
revisiae由来のTPI(トリオースリン酸イソメラーゼ)プロモーター
(Alber et al(1982)J.Mol.Appl.Genet.1
、 p419−434)、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸
プロテイナーゼ、A.niger中性α−アミラーゼ、A.niger酸安定な
α−アミラーゼ、A.nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor m
ieheiリパーゼ、A.oryzaeアルカリプロテアーゼ、A oryza
eトリオースリン酸イソメラーゼまたはA.nidulansアセトアミダーゼ
をコードする遺伝子に由来するものである。
【0132】 強力な酵母プロモーターの例は、アルコールデヒドロゲナーゼ、ラクターゼ、
3−ホスホグリセレートキナーゼおよびトリオースリン酸イソメラーゼに関する
遺伝子から得られるものである。
【0133】 強力な細菌プロモーターの例は、α−アミラーゼプロモーターおよびSP02
プロモーター、ならびに、細胞外プロテアーゼ遺伝子からのプロモーターである
。特に細菌宿主におけるヌクレオチド配列の転写を指令するのに適したその他の
プロモーターの例は、E.coliのlacオペロンのプロモーター、Stre
ptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子dagAプロモータ
ー、Bacillus licheniformis α−アミラーゼ遺伝子(
amyL)のプロモーター、Bacillus stearothermoph
ilus マルトゲニック(maltogenic)アミラーゼ遺伝子(amy
M)のプロモーター、Bacillus amyloliquefaciens
α−アミラーゼ(amyQ)のプロモーター、Bacillus subti
lis xylAおよびxylB遺伝子のプロモーターである。
【0134】 ハイブリッドプロモーターを使用して、発現構築物の誘導可能な制御を改良す
ることが可能である。
【0135】 プロモーターは、さらに、適当な宿主における発現を保証または増大するため
の特徴を含むことができる。たとえば、この特徴は、Pribnow Boxま
たはTATA box等の、保存された領域であってもよい。プロモーターは、
本発明のヌクレオチド配列の発現レベルに影響する(たとえば、維持する、増強
する、減少させる)他の配列さえ含んでもよい。たとえば、適当な他の配列とし
ては、Sh1−イントロンまたはADHイントロンなどがある。他の配列として
は、誘導可能な要素−たとえば、温度、化学的、光またはストレス誘導可能な要
素などがある。また、転写または翻訳を増強する適当な要素が存在してもよい。
後者の要素の1例は、TMV 5′シグナル配列である(Sleat 1987
Gene217,217−225およびDawson 1993 Plant
Mol.Biol.23:97参照)。
【0136】 <構築物> 用語「構築物」−「接合体」、「カセット」および「ハイブリッド」等の用語
と同義である−は、プロモーターに直接または間接に付着した、本発明によるヌ
クレオチド配列を含む。間接的付着の1例は、適当なスペーサー基、たとえば、
Sh1−イントロンまたはADHイントロン等のイントロン配列の提供であり、
本発明のプロモーターとヌクレオチド配列とを仲介する。直接または間接的付着
を含む、本発明に関連した用語「融合した」の場合も、同じである。野生型遺伝
子プロモーターと通常に関連し、且つ両者共に自然環境にあるとき、この用語は
、タンパク質をコードするヌクレオチド配列の自然の組合せをカバーしない場合
もある。
【0137】 本構築物は、たとえば、細菌で、好ましくは、Bacillus subti
lis等のBacillus属の細菌で、またはマーカーが中に移入された植物
で、遺伝子構築物の選択を可能にするマーカーを含むかまたは発現させることが
可能である。使用することが可能な様々なマーカー、たとえば、マンノース−6
−リン酸イソメラーゼをコードするもの(特に植物用)または抗生物質耐性(た
とえば、G418、ヒグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシンおよびゲン
タマイシンに対する耐性)を提供するマーカー等が存在する。
【0138】 一部の用途では、本発明の構築物は、少なくとも、プロモーターに作動可能に
連結された本発明のヌクレオチド配列を含むことが好ましい。
【0139】 <宿主細胞> 本発明と関連した用語「宿主細胞」は、上述のヌクレオチド配列または発現ベ
クターのいずれかを含み、且つ本明細書に明示されている特定の特性を有する酵
素の組換え産生で使用される細胞を含む。
【0140】 従って、本発明のさらなる実施形態は、本発明の酵素を発現するヌクレオチド
配列を用いて形質転換したまたはトランスフェクトした宿主細胞を提供する。上
記ヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の複製および発現用のベクターで運搬
されることが好ましい。細胞は、上記ベクターと適合するように選択され、たと
えば、原核細胞(たとえば細菌の)、真菌細胞、酵母細胞または植物細胞であっ
てもよい。
【0141】 グラム陰性菌E.coliは、異種遺伝子発現用の宿主として広く使用されて
いる。しかし、細胞内部に多量の異種タンパク質が蓄積する傾向がある。後続す
る、E.coli細胞内タンパク質の大部分から所望のタンパク質を精製するこ
とは、時として困難である。
【0142】 E.coliと対照的に、B.subtilis、B.lichenifor
mis、B.lentus、B.brevis、B.stearothermo
philus、B.alkalophilus、B.amyloliquefa
ciens、B.coagulans、B.circulans、B.laut
us、B.megaterium、B.thuringiensis、Stre
ptomyces lividansまたはS.murinus等の、Baci
llus属グラム陽性菌は、タンパク質を培地中に分泌することができるため、
異種宿主として非常に適する可能性がある。宿主として適する可能性があるその
他の細菌は、Streptomyces属およびPseudomonas属の細
菌である。
【0143】 本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列の性質、および/または発現した
タンパク質のさらなるプロセッシングの望ましさによって、真核宿主、たとえば
、酵母または他の真菌が好ましいこともある。一般に、酵母細胞の方が操作しや
すいため、真菌細胞より酵母細胞が好ましい。しかし、一部のタンパク質は、酵
母細胞からの分泌が不十分であるか、または、場合によっては、プロセッシング
が不適切である(たとえば、酵母におけるグリコシル化過多)かのいずれかであ
る。こうした場合には、異なる真菌宿主生物を選択すべきである。
【0144】 適当な酵母 生物を、Kluyveromyces、Saccharomyc
es、または Schizosaccharomycesの種から、たとえば、
Saccharomyces cerevisiae,または Hansenul
aから、選択することが可能である (英国特許出願 No.9927801.2
に開示)。
【0145】 適当な糸状菌は、たとえば、Aspergillusの種に属する菌株、たと
えば、Aspergillus oryzaeまたはAspergillus
nigerであってもよく、あるいは、Fusarium oxysporiu
m、Fusarium graminearum(完全な状態では、Gribb
erella zeaeと呼ばれ、以前はSphaeria zeaeと呼ばれ
、Gibberella roseumおよびGibberella rose
um f.sp.Cerealisと同義)、またはFusarium sul
phureum(完全な状態では、Gibberella puricaris
と呼ばれ、Fusarium trichothercioides、Fusa
rium bactridioides,Fusarium sambuciu
m,Fusarium roseumおよびFusarium roseum
var.graminearumと同義)、Fusarium cereali
s(Fusarium crokkwellnseと同義)、またはFusar
ium venenatumの菌株であってもよい。
【0146】 例として、代表的な発現宿主は、Aspergillus niger、As
pergillus niger var.tubigenis、Asperg
illus niger var.awamori、Aspergillus
aculeatis、Aspergillus nidulans、Asper
gillus oryzae、Trichoderma reesei、Bac
illus subtilis、Bacillus licheniformi
s、Bacillus amyloliquefaciens、Kluyver
omyces lactisおよびSaccharomyces cerevi
siaeから選択することが可能である。
【0147】 本発明の組換え発現生成物に最適な生物学的活性を与える必要があれば、適当
な宿主細胞(たとえば、酵母宿主細胞、真菌宿主細胞および植物宿主細胞)を使
用することにより、翻訳後修飾(たとえば、ミリストイル化、グリコシル化、切
断、ラピデーション(lapidation)およびチロシン、セリンまたはス
レオニンリン酸化)を行うことができる。
【0148】 宿主細胞は、プロテアーゼ欠損菌株またはプロテアーゼマイナス菌株であって
もよい。宿主細胞は、たとえば「alp」と呼ばれるアルカリプロテアーゼ遺伝
子が欠失した、プロテアーゼ欠損菌株Aspergillus oryzae
JaL 125であってもよい。この菌株は、WO97/35956号に記載さ
れている。
【0149】 <生物> 本発明に関連した用語「生物」は、本発明による酵素をコードするヌクレオチ
ド配列および/またはそれから得られる産物を含むことが可能であり、且つ/ま
たは生物に存在するとき、プロモーターが、本発明によるヌクレオチド配列を発
現させることができるあらゆる生物を含む。
【0150】 適当な生物は、原核生物、真菌、酵母または植物を含んでもよい。
【0151】 本発明に関連した用語「トランスジェニック生物」は、本発明による酵素をコ
ードするヌクレオチド配列および/またはそれから得られる産物を含むあらゆる
生物を含み、且つ/またはプロモーターが、本発明によるヌクレオチド配列を微
生物内で発現させることができるあらゆる生物を含む。このヌクレオチド配列は
、生物のゲノムに組み込まれることが好ましい。
【0152】 用語「トランスジェニック生物」は、生来のヌクレオチドコード配列が、自然
環境にある、ヌクレオチドコード配列の生来のプロモーターの調節下にあるとき
、自然環境にある生来のヌクレオチドコード配列をカバーしない。
【0153】 従って、本発明のトランスジェニック生物は、本発明による酵素をコードする
ヌクレオチド配列、本発明による構築物、本発明によるベクター、本発明による
プラスミド、本発明による細胞、本発明による組織、またはそれらの産物の、い
ずれか1つ、または組合せを含む生物を含む。たとえば、トランスジェニック生
物は、異種プロモーターの調節下にある本発明の酵素をコードするヌクレオチド
配列も含むことができる。
【0154】 <宿主細胞/微生物の形質転換> 記述の通り、宿主生物は、原核生物であってもよく、真核生物であってもよい
。適当な原核生物宿主の例としては、E.coliおよびBacillus s
ubtilisなどが挙げられる。原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当
技術分野において十分に資料が提供されており、たとえばSambrook e
t al(Molecular Cloning:A Laboratory
Manual,2nd edition,1989,Cold Spring
Harbor Laboratory Press)およびAusubel e
t al.,Current Protocols in Molecular
Biology (1995),John Wiley & Sons,Inc.
を参照されたい。
【0155】 原核生物宿主を使用する場合、形質転換前に、(たとえば、イントロンを除去
することによって)ヌクレオチド配列を適当に修飾することが必要かもしれない
【0156】 別の実施形態では、トランスジェニック生物は、酵母であってもよい。この点
に関して、酵母も、異種遺伝子発現の媒体として広く使用されてきた。種Sac
charomyces cerevisiaeには、異種遺伝子発現のための使
用を含む、工業用途の長い歴史がある。Goodey et al(1987,
Yeast Biotechnology,D R Berry et al,
eds,pp 401-429,Allen and Unwin,Londo
n)およびKing et al (1989,Molecular and C
ell Biology of Yeasts,E F Walton and
G T Yarronton,eds,pp 107-133,Blacki
e,Glasgow)によって、Saccharomyces cerevis
iaeにおける異種遺伝子の発現が再検討されている。
【0157】 幾つかの理由から、Saccharomyces cerevisiaeは、
異種遺伝子発現に適する。第1に、Saccharomyces cerevi
siaeは、ヒトに対して非病原性であり、且つ明白なエンドトキシンを産生す
ることができない。第2に、Saccharomyces cerevisia
eには、様々な目的のために商業開発された後、何世紀にもわたって安全使用さ
れた長い歴史がある。このため、公的に広く受け入れられるようになった。第3
に、大量の商業的使用および生物に向けられた研究の結果、遺伝学および生理学
ならびにSaccharomyces cerevisiae独特の大規模醗酵
に関する豊富な知識が得られた。
【0158】 E Hinchcliffe E Kenny (1993,"Yeast a
s a vehicle for the expression of he
terologous genes",Yeasts,Vol 5,Antho
ny H Rose and J Stuart Harrison,eds,
2nd edition,Academic Press Ltd.)により、S
accharomyces cerevisiaeにおける異種遺伝子発現の原
理および遺伝子産物の分泌に関する総説が与えられている。
【0159】 維持のために宿主ゲノムとの組換えを必要とする組込みベクター、および自主
的に複製するプラスミドベクターを含む、幾つかのタイプの酵母ベクターが利用
できる。
【0160】 トランスジェニックSaccharomycesを作製するためには、本発明
のヌクレオチド配列を、酵母における発現向けにデザインされた構築物に挿入す
ることによって、発現構築物を作製する。異種発現に使用される幾つかのタイプ
の構築物が開発されている。この構築物は、本発明のヌクレオチド配列に融合し
た酵母で活性なプロモーターを含み、通常は、酵母起源のプロモーター、たとえ
ば、GAL1プロモーターが使用される。通常、酵母起源のシグナル配列、たと
えば、SUC2シグナルペプチドをコードする配列が使用される。酵母で活性な
ターミネーターが、発現系を終結させる。
【0161】 酵母の形質転換用に、幾つかの形質転換プロトコールが開発されている。たと
えば、Hinnen et al(1978,Proceedings of
the National Academy of Sciences of
the USA 75,1929);Beggs,J D(1978,Natu
re,London,275,104);およびIto,H et al(19
83,J Bacteriology 153,163−168)の教示に従っ
て、本発明によるトランスジェニックSaccharomycesを作製するこ
とができる。
【0162】 様々な選択マーカーを使用して、形質転換酵母細胞を選択する。LEU2、H
IS4およびTRP1等の多数の栄養要求マーカー、およびアミノグリコシド抗
生物質マーカー、eg G418等の、主要な抗生物質耐性マーカーは、形質転
換に使用されるマーカーの中でも最たるものである。
【0163】 プロトプラスト形成およびプロトプラストの形質転換に続く細胞壁の再生を含
む方法によって、既知の方式で、糸状菌細胞を形質転換することが可能である。
欧州特許EP0238023号には、Aspergillusを宿主生物として
使用することが記載されている。
【0164】 別の宿主生物は植物である。遺伝学的に修飾された植物を構築する際の基本原
理は、挿入された遺伝物質の安定した維持を得られるように、植物ゲノムに遺伝
情報を挿入することである。遺伝情報を挿入するための技法が幾つかあり、2つ
の主な原理は、遺伝情報の直接導入、およびベクター系を使用した遺伝情報の導
入である。Potrykus(Annu Rev Plant Physiol
Plant Mol Biol [1991] 42:205-225)およびC
hristou (Agro-Food-Industry Hi-Tech Ma
rch/April 1994 17-27)には、一般技法の総説がある。欧州
特許EP−A−0449375には、植物形質転換に関するさらなる教示がある
【0165】 コードされた酵素の産生を助け、且つ細胞および/または培地からの酵素の回
収を容易にする条件で、ヌクレオチド配列で形質転換した宿主細胞を培養するこ
とが可能である。
【0166】 細胞の培養に使用される培地は、問題の宿主細胞を増殖させて酵素の発現を得
るのに適した、従来の培地であってもよい。適当な培地は、業者から入手でき、
あるいは、公表された(たとえば、American Type Cultur
e Collectionのカタログに記載の)レシピに従って作製することも
可能である。
【0167】 組換え細胞によって産生されるタンパク質は、細胞の表面上に表示される可能
性がある。必要に応じて、また、当業者に理解されるだろうが、特定の原核細胞
膜または真核細胞膜を通過するコード配列の分泌を指令するシグナル配列を含む
、コード配列を含む発現ベクターをデザインすることができる。他の組換え構築
物は、コード配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメイ
ンをコードするヌクレオチド配列に接合することが可能である(Kroll D
J et al(1993)DNA Cell Biol 12:441-53)
【0168】 酵素は、宿主細胞から分泌され、遠心分離または濾過によって細胞を培地から
分離するステップと、硫酸アンモニウム等の塩に続いてイオン交換クロマトグラ
フィまたはアフィニティクロマトグラフィ等々のクロマトグラフィ的手順を用い
て、培地のタンパク質成分を沈澱させるステップとを含む、周知の手順で培地か
ら便利に回収することが可能である。
【0169】 <分泌> 多くの場合、酵素が、発現宿主から、酵素を容易に回収することが可能な培地
内に、分泌されることが望ましい。本発明によれば、所望の発現宿主に基づいて
、分泌リーダー配列を選択することが可能である。本発明の関連で、ハイブリッ
ドシグナル配列を使用することも可能である。
【0170】 異種分泌リーダー配列の代表例は、真菌アミログルコシダーゼ(AG)遺伝子
(glaA−たとえば、Aspergillus由来の、18アミノ酸バージョ
ンおよび24アミノ酸バージョン)、a−因子遺伝子(酵母、たとえば、Sac
charomyces、KluyveromycesおよびHansenula
)またはα−アミラーゼ遺伝子(Bacillus)を起源とするものである。
【0171】 <融合タンパク質> たとえば、抽出および精製に役立つように、本発明のアミノ酸配列を融合タン
パク質として産生することが可能である。融合タンパク質パートナーの例として
は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4
(DNA結合性活性化ドメインおよび/または転写活性化ドメイン)および(β
−ガラクトシダーゼなどがある。融合タンパク質配列の除去を可能にするために
、融合タンパク質パートナーと、関心のあるタンパク質配列との間に、タンパク
質分解切断部位を含むことも便利であろう。好ましくは、融合タンパク質は、タ
ンパク質配列の活性を妨害しない。
【0172】 融合タンパク質は、抗原または本発明の物質に融合した抗原決定基を含んでも
よい。この実施形態において、融合タンパク質は、免疫系の一般化刺激を提供す
る意味で、アジュバントの役割をすることが可能な物質を含む非天然融合タンパ
ク質であってもよい。抗原または抗原決定基は、アミノ末端またはカルボキシ末
端のいずれかに付着していてもよい。
【0173】 本発明の別の実施形態において、このアミノ酸配列を異種配列にライゲートし
て、融合タンパク質をコードすることが可能である。たとえば、物質活性に影響
することができる作用物質のペプチドライブラリーをスクリーニングするために
は、市販の抗体によって認識される異種エピトープを発現させるキメラ物質をコ
ードすることが有用であろう。
【0174】 以下の非限定的実施例および図面で、本発明をさらに説明する。
【0175】 [実施例] <材料および方法> 1.使用酵素 SP972およびSP979と呼ばれる酵素調製品(酵素が、無極性脂質、糖
脂質およびリン脂質を加水分解することができる修飾脂肪分解酵素である)は、
Novo Nordisk(バグスバード、デンマーク)から入手した。酵素の
呼称は、Novo Nordiskで使用されているものである。
【0176】 さらに、市販の酵素製剤は、Fluka Chemie AG,Switze
rlandから入手した(指定されたカタログ番号62299)。この酵素は、
Candida antarcticaを起源とする。
【0177】 参考として、以下のリパーゼを使用した:GRINDAMYLTM EXEL1
6(Danisco Ingredients,Brabrand,デンマーク
)およびStalingaseTM(Gist−brocades,Delfts
,オランダ)。
【0178】 2.トリブチリンを基質として使用したリパーゼ活性(LUTおよびLIPU)
サンプルを、グリシン緩衝溶液ではなく脱イオン水に溶解し、pHスタットセ
ットポイントが7ではなく5.5であるという改変を加えたこと以外、Food
Chemical Codex,4th edition,National
Academy Press,1996,p.803に記載の通りに、トリブ
チリンを基質として使用したリパーゼ活性を測定した。
【0179】 1 LUTは、アッセイ条件で、分当たり2μmの酪酸を放出することができ
る酵素の量と定義される。1 LIPUは、アッセイ条件で、分当たり1μmの
酪酸を放出することができる酵素の量と定義される。
【0180】 3.ひまわり油を基質として使用するリパーゼアッセイ(LUSol,pH6.
5) 試薬:アラビアゴム8.4gを鉱質除去水100mlに溶解し、30mMのCa
Cl2 100mlを加える。エマルジョンを得るために、Ultra Tur
raxTMミキサーを20,000rpmで使用して混合しながら、ひまわり油3
6mlを徐々に加える。
【0181】 アッセイ:ビーカー内のひまわり油エマルジョン20mlを、30℃で5分間、
平衡化し、pHスタットを使用して、pHを6.3〜6.5に調製する。酵素製
剤2mlを加え、pHを6.5に保ちながら、10分間、0.05NのNaOH
を連続的に加える。時間の関数としての、0.05NのNaOH添加に関する曲
線の勾配を算出する。
【0182】 1 LUSolは、アッセイ条件で、分当たり1μmの脂肪酸を放出できる酵
素の量と定義される。
【0183】 4.ホスホリパーゼアッセイ(PLU,pH8.0) 基質:40〜50℃に加熱しながら、レシチン粉末(Metarin P,07
4793)8gを水150mlに溶解する。50mMのCaCl2 40mlを
加え、水を加えて200mlとする。Ultra TurraxTMミキサーを2
0,000rpmで使用して、この基質混合物を、1分間、ホモジナイズする。
【0184】 アッセイ:基質20.0mlをビーカーに移し、30℃で5分間、平衡化し、p
Hを8.0に調整し、酵素製剤2mlを加え、続いて、pHを8.0に保ちなが
ら、10分間、0.05NのNaOHを連続的に加える。
【0185】 時間の関数としての、0.05NのNaOH添加に関する曲線の勾配を算出す
る。1 PULは、アッセイ条件で、1分当たり1μmの脂肪酸を放出できる酵
素の量と定義される。
【0186】 5.焼成試験(トーストパン) フック付きHobartTMミキサーを、低速で2分間および高速で10分間使
用して、デニッシュ改質粉2000g、ドライイースト30g、砂糖30g、塩
30gおよび400 Brabender単位(BU)+3%の水をこねた。混
合後の生地温度は25℃であった。休止時間は、30℃にて10分であった。生
地を、生地ごとに750gで量り分け、33℃および85%RHで5分間、再度
休止させた。GlimikTM成形装置を使用して、成形を行った。この生地を、
鍋の中で、33℃にて50分間寝かせ、WachtelTMオーブン内で、220
℃にて40分間焼き、16秒間、蒸気噴射した。冷却後、パンを秤量し、菜種置
換法を使用して、パンの体積を測定した。
【0187】 柔らかい中身も1〜10の尺度で主観的に評価した。ここで、1=きめの粗い
構造であり、10=均質な構造である。
【0188】 鍋で焼成して3塊に蓋をして20℃で保存し、堅さ測定に使用した。
【0189】 6.堅さ測定 コンピューターに接続したInstronTM UTMモデル4301を使用し
て、パンの堅さを測定した。測定条件は、以下の通りであった:
【0190】
【表2】
【0191】 力を、N/dm2に変換した。結果は、塊ごとに、パン10切れの平均値とし
て算出した。
【0192】 7.焼成試験(堅い皮のロールパン) フック付きHobartTMミキサーを低速で2分間および高速で6分間使用し
て、デニッシュ改質粉1500、圧縮酵母90g、砂糖24g、塩24gおよび
400Brabender単位+2%の水をこねた。生地温度は26℃であった
。生地を1350gで量り分け、30℃で10分間休止させ、FortunaTM 成形装置を使用して成形した。成形した生地を34℃にて45分間寝かせ、Ba
goTMオーブン内で、220℃にて18分間焼成し、12秒間、蒸気にあてた。
冷却後、ロールパンを秤量し、菜種置換法を使用して、ロールパンの体積を測定
した。
【0193】 以下の通りに、ロールパンの比体積を算出した: 比体積=パンの体積(ml)/パンの重量(g)
【0194】 8.ミニ焼成試験 50g BrabrenderTMミキシングボウルを30℃にて5分間使用し
て、デニッシュ改質粉50g、ドライイースト10g、砂糖0.8g、塩0.8
g、アスコルビン酸70ppmおよび400 Brabender単位の水をこ
ねた。休止時間は、34℃で10分間であった。この生地を、生地ごとに、15
gにて量り分け、木皿とプレキシガラス枠との間で生地を転がす装置を使用して
成形した。この生地を、鍋の中で、34℃で45分間寝かせ、VossTM家庭用
オーブン内で、225℃にて8分間焼成した。焼成後、小塊を環境温まで冷却し
、20分後、この塊を秤量し、菜種置換法で体積を測定した。この塊を切断して
、柔らかい中身および皮を評価した。
【0195】 9.脂質抽出および脂肪酸分析 十分に寝かせた生地20gを直ちに凍結し、凍結乾燥させた。コーヒー豆ミル
を使用して、凍結乾燥生地を製粉し、800μmスクリーンを通過させた。ネジ
蓋付15ml遠沈管を使用して、凍結乾燥生地2gを秤量した。水飽和ブタノー
ル(WSB)10mlを加えた。この遠沈管を、沸騰している水浴に10分間入
れた。この遠沈管を、RotamixTM装置に入れ、環境温で、45rpmにて
20分間回転させ、続いて、沸騰している水浴に10分間入れ、Rotamix TM 装置で、環境温にて30分間回転させた。この遠沈管を3,500gにて5分
間遠心分離し、上澄5mlをバイアルに移した。窒素流れ下で、WSBを蒸発乾
固させた。
【0196】 抽出物中の遊離脂肪酸を、715nmにて測定されるイソオクタン中のCu塩
として分析し、オレイン酸に基づく較正曲線に従って定量化した(Kwon,D
.Y.and J.S.Rhee (1986),A Simple and Ra
pid Colourimetric Method for Determi
nation of Free Fatty Acids for Lipas
e Assay,JAOCS 63:89)。
【0197】 10.HPLC分析 カラム:LiChrospherTM100 DIOL 5μm(Merck a
rt.16152)250 × 4.0 内寸、水ジャケット付、50℃。
【0198】 移動相: A:ヘプタン/イソプロパノール/ブタノール/テトラヒドロフラン/イソオク
タン/H2*、64.5/17.5/7/5/5/1 B:イソプロパノール/ブタノール/テトラヒドロフラン/イソオクタン/H2
*、730/7/5/5/10* 1mmolトリフルオロ酢酸/移動相l (pH=6.6、NH3で調整)
【0199】 ポンプ:WatersTM 510+勾配 コントローラー
【0200】 勾配:
【0201】
【表3】
【0202】 検出器:CUNOWTMDDL21(蒸発光散乱)(温度:100℃、電圧:60
0V、気流:6.0 l/分)
【0203】 注入器:Hewlett PackardTM1050、注入体積50μl
【0204】 サンプル調製:小麦脂質をCHCl3/CH3OH(75:25)5mlに溶解し
、10分間超音波処理し、0.45μmの孔サイズを有するフィルターを通過さ
せて濾過した。
【0205】 計算:PC用較正曲線(International Lecithin an
d Phospholipid Societyからのレシチン標準)
【0206】 参考文献:Arnoldsson,K.C.and P.Kaufmann (1
996),Chromatographia 38:317
【0207】 11.ガスクロマトグラフィ 以下の条件で、WCOTヒューズドシリカカラム(内寸12.5×0.25m
m)を備えたPerkin ElmerTM 8420 キャピラリーガスクロマ
トグラフおよび0.1μm 5%フェニルメチルシリコーン(CP Sil 8
CB from Chrompack)を使用し、ヘリウムを担体とした:
【0208】 検出器:FID、385℃
【0209】 オーブンプログラム:
【0210】
【表4】
【0211】 サンプル調製:小麦脂質50mgを、2mg/mlヘプタデカンを内部標準とし
て含む、ヘプタン:ピリジン 2:1、12mlに溶解した。500μlをクリ
ンプ(crimp)バイアルに移し、MSTFA(N−メチル−N−トリメチル
シリル−トリフルオロアセトアミド)100μlを加え、90℃で15分間、反
応させた)。
【0212】 計算:モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドおよび遊離脂肪酸に
関する応答因子を、これらの成分の参照混合物から決定した。Basedonこ
れらの応答因子に基づいて、小麦脂質中の、モノグリセリド、ジグリセリドおよ
びトリグリセリドおよび遊離脂肪酸の含量を算出した。
【0213】 12.以下の実施例で使用する酵素の酵素活性
【0214】
【表5】
【0215】 [実施例1] <堅い皮のロールパン中のSP 972およびGRINDAMYLTM EXEL 16の作用> ロールパンを焼成し、上述の手順に従って試験した。結果を、下表1.1にま
とめる。
【0216】
【表6】
【0217】 この焼成試験の、十分に寝かせた生地を抽出し、遊離脂肪酸の含量を測定した
。結果を、表1.2にまとめる。
【0218】
【表7】
【0219】 以上の結果から、生地中の脂肪酸形成に対するリパーゼSP 972の明白な
作用がわかる。
【0220】 さらに、図1から分かるように、リパーゼ972の添加によってパンの体積が
有意に改良され、また、この酵素は、白さおよび均質な柔らかい中身の構造を与
える。
【0221】 [実施例2] <リパーゼを加えた寝かせた生地中の脂肪酸および極性脂質の含量> 5種の試験生地(1〜5)は、50g BrabenderTM Farino
graphを、30℃で5分間使用して混合し、34℃で60分間寝かせた後、
直ちに凍結して凍結乾燥させた。
【0222】 試験生地の組成を表2.1にまとめる。
【0223】
【表8】
【0224】 脂肪酸の含量をGCで分析した。これらの分析結果を表2.2にまとめる。
【0225】
【表9】
【0226】 さらに、上述の通りに、対照生地(試験生地1)および試験生地5における極
性脂質の含量をHPLCで分析した。 結果を、表2.3にまとめる。
【0227】
【表10】
【0228】 上の結果から、脂肪酸の形成に対するリパーゼSP 972の明白な作用がわ
かる。894LUT/kg粉という最低用量でも、試験生地における脂肪酸含量
の有意な増加が認められた。HPLC分析から、リン脂質および糖脂質の加水分
解に関する、著明な作用がわかる。
【0229】 従って、これらの実験から、SP 972リパーゼは、グリセリド、リン脂質
および糖脂質を、基質として使用できることがわかる。
【0230】 [実施例3] <堅い皮のロールパン生地における脂肪酸および極性脂質の含量および焼成した
ロールパンの品質に対する、リパーゼSP 972単独の作用および大豆レシチ
ンと組合せた作用> 堅い皮のロールパンの品質に対する、リパーゼSP 972単独の活性および
大豆レシチンと組合せた活性について試験した。市販のリパーゼ製品、GRIN
DAMYLTM EXEL 16(EXEL16)および市販のDATEM乳化剤
、PanodanTMA 2020を比較のために試験した。
【0231】 酵素および乳化剤添加物の使用量およびそれぞれの焼成したロールパンの品質
特性を表3.1にまとめる。
【0232】
【表11】
【0233】 GRINDAMYLTM EXEL 16またはPanodan A 2020
乳化剤と比較して、リパーゼSP 972を使用した焼成実験は、単独でも大豆
レシチンと組合せても、SP 972の優れた焼成性能を示した。この作用は、
市販のリパーゼ,GRINDAMYLTM EXEL 16より有意にすぐれてい
る。
【0234】 上述の通り、生地からの脂質抽出物を、遊離脂肪酸および極性脂質について分
析した。これらの分析結果を、表3.2および3.3にまとめる。
【0235】
【表12】
【0236】
【表13】
【0237】 上の結果から、GRINDAMYLTM EXEL 16は、DGDGおよびP
Cの加水分解に対して全く作用しないことがわかる。従って、市販のリパーゼG
RINDAMYLTM EXEL 16と比較するとき、リパーゼSP 972に
よって行われる生地中のリン脂質および糖脂質の修飾は、両者とも、リパーゼ9
72のパン改良作用にとって重要ではないと結論することができる。
【0238】 [実施例4] <オートムギ脂質を加えた生地におけるリパーゼSP 972の酵素活性> リパーゼSP 972を、オートムギ脂質分画、2133−18−1を加えた
モデル生地で試験した。生地のレシピは以下の通りである。
【0239】
【表14】
【0240】 50g Brabender Farinographを使用して、生地を3
0℃で混合した。60分間醗酵させた後、生地を凍結して凍結乾燥させ、続いて
、凍結乾燥生地から脂質を抽出し、HPLCを使用して極性脂質を分析した。結
果を表4.2にまとめる。
【0241】
【表15】
【0242】 オートムギ脂質を添加することにより、リン脂質も糖脂質も高レベルになり、
また、SP 972リパーゼは、だいたいにおいて、DGDGおよびPCを基質
として使用すると思われる。従って、生地に酵素を加えることは、より多い極性
脂質成分の形成に関して、有意な作用を有する。
【0243】 [実施例5] <穀類脂質およびリパーゼSP 979を生地に加えることにより起こり得る相
乗効果を評価するための焼成実験> パンの品質に対する、分留オートムギ脂質調製品(2133−100−1)の
、単独およびリパーゼSP 979またはGRINDAMYLTM EXEL 1
6と組合せた作用を試験して、オートムギ脂質とリパーゼとの相乗効果を証明す
ることができるかどうかを評価する、焼成実験を実施した。生地を作って生地を
焼成する手順は、「ミニ焼成試験」について上述した通りであった。添加物の使
用量およびパンの品質に関する結果を、表5.1にまとめる。
【0244】
【表16】
【0245】 これらの焼成実験から、オートムギ脂質とリパーゼSP 979との組合せに
よる非常に強力な体積作用がわかる。オートムギの脂質分画のみでは、パンの体
積に対する改良作用を全く示さなかった。市販のリパーゼGRINDAMYLTM EXEL 16は、僅かな体積改良作用を示したものの、添加物を含まない対
照を基準にして、43%の比体積改良を与え、市販のリパーゼを基準にして、約
22%の改良を与えたSP979リパーゼより有意に少ないパンの体積改良作用
を有していたことも非常に明白であった。
【0246】 改良されたパンの体積に加えて、リパーゼSP979を添加することにより、
パンの柔らかい中身の構造およびパンの外観が改良される結果となった。これを
図2に示すが、この図から、SP979を含む焼成されたパンは、上品で且つ繊
細な柔らかい中身の構造と、有意なオーブンスプリングとを与えたと思われる。
【0247】 [実施例6] <生地の品質およびトーストパンの品質に対する、リパーゼSP97の、単独お
よびアシルグリセロールと組合せた作用> 上述の通りに実行した、トーストパンを用いた焼成実験で、リパーゼSP 9
72を、単独および大豆油と組合せて、試験し、生地特性およびパンの品質に対
する作用を、GRINDAMYLTM EXEL 16およびDIMODANTM
DM−Tの作用と比較した。これらの実験の、生地品質パラメーターおよびパン
の品質に関する結果を、下表にまとめる。
【0248】
【表17】
【0249】
【表18】
【0250】 これらの焼成実験で、リパーゼSP 972を、単独およびアシルグリセロー
ル脂質と組合せて加えることにより、パンの体積および柔らかさが有意に改良さ
れ、且つこの作用は、市販のリパーゼGRINDAMYLTM EXEL 16の
作用より明らかにすぐれていることが立証された。さらに、上表から明らかなよ
うに、リパーゼSP 972を加えることにより、生地伸展性および柔らかい中
身のスコアが向上した。SP 972は、大豆油と組合せても、ショートニング
と組合せても、非常にプラスになる効果を示すことも、上の結果から明白である
【0251】 リパーゼSP 972の作用と対照的に、GRINDAMYLTM EXEL
16を加えても、パンの柔らかさは改良されなかった。
【0252】 [実施例7] <リパーゼSP979の、生地特性およびパンの品質に対する作用> 短鎖トリグリセリドに対して比較的低い活性を有するが、長鎖脂肪酸を有する
グリセリド(上の、セクション12参照)、およびリン脂質に対して特に活性な
リパーゼSP 979を、トーストパン焼成実験で試験した。生地およびパンの
品質に関して実験結果をまとめた下表7.1に示す通りに添加物を加えたこと以
外は、トーストパンを作る手順は上述の通りであった。
【0253】
【表19】
【0254】 これらの焼成実験から、改良されたパンの体積および柔らかい中身の構造に関
する、リパーゼSP 979の非常に興味深い作用がわかる。この作用は、市販
の乳化剤DIMODANTM SDM−Tより有意に優れている。
【0255】 しかし、さらに興味深いのは、リパーゼSP 979は、単独でもアシルグリ
セロールおよびリン脂質と組合せても、有意な柔らかさ改良作用を有することを
明らかに示す、パンの柔らかさに対する酵素の作用である。この実験でSP 9
79を加えて作ったパンの柔らかい中身は湿り気があること、およびこのような
パンの柔らかい中身の構造は、非常に均質であり且つ添加物を含まない対照パン
のそれより短い噛みを有することが認められた。
【0256】 [実施例8] <パンの品質に対する、リパーゼSP 979の、単独およびオートムギ脂質と
組合せた作用> 比体積および生地における遊離脂肪酸の形成(比色法で分析)に対する作用を
まとめた下表8.1に示す通りに添加物を加えたこと以外は、上述の手順に従っ
て、ミニパン焼成実験を実施した。
【0257】
【表20】
【0258】 良くなった比体積および柔らかい中身の構造および外観に反映される通り、リ
パーゼSP 979の有意な生地強化作用が、上の結果からわかる。SP 97
9の作用は、オートムギ油と組合せたとき、なおいっそう著明であった。
【0259】 この焼成試験からの寝かせた生地を凍結乾燥させ、脂質を抽出し、HPLC分
析に付した。この分析結果を表8.2に示す。
【0260】
【表21】
【0261】 これらの結果から、リパーゼSP 979は、糖脂質(DGDG)もリン脂質
(PC)も加水分解できることがわかる。事実、SP 979を加えることによ
って、存在するDGDGおよびPCの50%以上が、加水分解された。
【0262】 [実施例9] <市販のリパーゼGRINDAMYLTM EXEL 16およびStaling
aseTMと比較した、リパーゼSP 972およびリパーゼSP97の生地およ
びパンの品質改良作用> リパーゼSP 972およびリパーゼSP 979の脂質加水分解作用を、モ
デル生地システムで、2種の市販のリパーゼ、GRINDAMYLTM EXEL
16およびStalingaseTM(Gist−brocades)(後者の
酵素は、#1867とも呼ばれる)と比較した。生地を、32℃にて1時間保ち
、凍結乾燥させ、極性脂質をHPLCで分析し、無極性脂質をGLC分析で分析
した。
【0263】 モデル生地は次の組成を有していた。
【0264】
【表22】
【0265】 生地中の、遊離脂肪酸およびトリグリセリド(GLC分析)、および極性脂質
、DGDGおよびPC(HPLC分析)の含量を表9.2にまとめる。
【0266】
【表23】
【0267】 これらの値を基に、生地中で形成された遊離脂肪酸(FFA)の量、および、
それぞれ、生地中で加水分解されたトリグリセリド、DGDGおよびPCの量を
算出することができる。これらのデータを、表9.3に示す。
【0268】
【表24】
【0269】 上表に示すように、生地中のリパーゼの活性を、生地中で形成されたFFAの
量によって表すとき、リパーゼSP 972およびリパーゼSP 979は、糖
脂質(DGDG)およびリン脂質(PC)の両者の加水分解に関して、試験した
市販のリパーゼ(これらの基質に対して、作用を全く示さなかった)に比べて、
非常に活性であることが明らかである。
【0270】 トリグリセリドに対する作用に関しては、リパーゼSP 972もリパーゼS
P 979も活性ではあるが、試験した市販のリパーゼより低い。
【0271】 従って、これらの結果から、本発明による2種のリパーゼは、トリグリセリド
等の無極性脂質および糖脂質、DGDG等の極性脂質、およびリン脂質、PCを
含む広範囲の脂質基質を加水分解することが裏付けられる。
【0272】 表9.3にまとめたデータは、グラフで表して、酵素がトリグリセリドを加水
分解できる能力と、糖脂質を加水分解できる能力との間の関係(図3)、および
酵素がトリグリセリドを加水分解できる能力と、リン脂質を加水分解できる能力
との間の関係(図4)を示すことが可能である。リパーゼSP 972およびリ
パーゼSP 979のこの関係は、それぞれ、DGDGに関して、それぞれ、1
.3965および2.6405の勾配を有する曲線として表すことができ、PC
に関して対応する値は、それぞれ、0.1648および0.7248であること
が、これらの図からわかる。
【0273】 トリグリセリドに対する作用を基準にして、比較的高いリパーゼSP 972
およびリパーゼSP 979の、糖脂質およびリン脂質に対する活性が、これら
のデータからわかる。
【0274】 [実施例10] <異なる脂肪酸に対するリパーゼSP 979およびSP 972の作用> バター脂肪を含む試験生地を作ることによって、異なる脂肪酸に対するSP
979およびSP 972リパーゼの活性を評価した。市販のリパーゼ製品GR
INDAMYL( EXEL 16を、比較のために試験した。
【0275】 表10.1に略述したレシピに従って、試験生地を作った。
【0276】
【表25】
【0277】 4種の試験生地(1〜4)は、50g Brabender(ミキシングボウ
ルを使用して混合して寝かせた(上の、「8.ミニ焼成試験」と題するセクショ
ンに詳述した通り)。寝かせた後、生地を凍結し、凍結乾燥した。生地中の総脂
質を、水飽和ブタノールで抽出した。Bond Elut−NH2カラムを使用
して生地脂質中の遊離脂肪酸を単離し、遊離脂肪酸組成物を、脂肪酸メチルエス
テルとしてGLCで分析した(表10.2参照)。生地脂質中の遊離脂肪酸の総
量(生地乾燥重量に基づいて算出した、%)を、Cu塩として、分光光度法で分
析した(表10.2も参照)。
【0278】
【表26】
【0279】 遊離脂肪酸および脂肪酸組成物の量を基に、リパーゼを加えていない対照生地
を基準にして、リパーゼを含む生地で生成した遊離脂肪酸の量を、算出すること
が可能である(表10.3参照)。
【0280】 たとえば、リパーゼを加えていない生地番号1と比較した、リパーゼGRIN
DAMYL EXEL 16を含む生地番号2で生成したC16(パルミチン)
脂肪酸の量は、以下の通りに算出される:
【数1】
【0281】 この情報を基に、生地で生成された長鎖脂肪酸(炭素数(12)の量を基準に
して、短鎖脂肪酸(炭素数≦10)の量を算出することが可能である(表10.
3参照)。
【0282】
【表27】
【0283】 表10.3に示した結果から、同一基質で、異なるリパーゼは、異なる脂肪酸
に対して異なる活性を有することが明白であり、リパーゼSP 972およびS
P 979は、Grindamyl EXEL 16と比較して、短鎖脂肪酸に
対して低い活性を有することがわかる。
【0284】 [実施例11] <極性脂質に対する市販のリパーゼの活性。> カタログ番号62299として表されていて、Fluka Chemie A
G,スイスから入手可能な市販のリパーゼの活性を評価した。このリパーゼをモ
デル生地システム試験し、リパーゼを加えていない対照生地と比較した。
【0285】 表11.1に略述したレシピに従って、穀粉10gに基づく試験生地を作った。
【0286】
【表28】
【0287】 50g Brabender(ミキシングボウルを使用して、生地(1〜2)
を30℃にて5分間こね、34℃にて45分間寝かせた。寝かせた後、生地を凍
結し、凍結乾燥させた。凍結乾燥生地を水飽和ブタノールで抽出した。次いで、
単離された生地脂質の遊離脂肪酸を、Cu塩類として比色法で分析し、生地脂質
をHPLCでも分析した(表11.2参照)。
【0288】
【表29】
【0289】 表11.2に示した結果から、Flukaリパーゼno.62299は、遊離
脂肪酸の形成中の生地システムで活性なこと、およびFlukaリパーゼno.
62299は、糖脂質(DGDG)およびリン脂質(PC)の両者に対して活性
なことがわかる。
【0290】 [要約] 次に、番号付けしたパラグラフによって、本発明を要約する。 1.穀粉の生地を作る方法であって、生地の状態で、無極性の脂質、糖脂質お
よびリン脂質を加水分解することができる酵素、または上記酵素を含む組成物を
、生地成分に加えるステップと、生地成分を混合して生地を得るステップとを含
む方法。 2.無極性脂質、糖脂質およびリン脂質の少なくとも1つが、生地に使用する
ための穀粉中に存在する天然脂質成分である、パラグラフ1に記載の方法。 3.天然脂質がリン脂質である、パラグラフ2に記載の方法。 4.リン脂質がホスファチジルコリン(PC)である、パラグラフ3に記載の 方法。 5.天然脂質が糖脂質である、パラグラフ2に記載の方法。 6.糖脂質がジガラクトシルジグリセリド(DGDG)である、パラグラフ5
に記載の方法。 7.無極性脂質、糖脂質およびリン脂質の少なくとも1つが生地に加えられる
、パラグラフ1に記載の方法。 8.添加される無極性脂質がアシルグリセロールである、パラグラフ7に記載
の方法。 9.添加されるアシルグリセロールが、植物油、植物性脂肪、動物油、動物性
脂肪、ショートニングおよびバターからなる群から選択される、パラグラフ8に
記載の方法。 10.植物油が、オートムギ油を含む天然穀類油である、パラグラフ9に記載
の方法。 11.添加される極性脂質が、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスフ
ァチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルコリン(PC)およびホスファ
チジルエタノールアミン(PE)からなる群から選択されるリン脂質である、パ
ラグラフ7に記載の方法。 12.生地が、酵母で発酵させる生地である、パラグラフ1に記載の方法。 13.酵素が、10〜100,000 LUT/kg粉の範囲、または10〜
100,000PUL/kg粉の範囲である量で添加される、パラグラフ1に記
載の方法。 14.酵素の量が、100〜10,000LUT/kg粉または100〜10
,000 PUL/kg粉の範囲である、パラグラフ13に記載の方法。 15.生地がパン生地であるパラグラフ1に記載の方法であって、さらなるス
テップとして、生地を焼成して焼成製品を得ることを含む方法。 16.生地が、パスタ生地、ヌードル生地およびケーキ生地またはバッターか
らなる群から選択される生地である、パラグラフ1に記載の方法。 17.酵素が添加されないこと以外は同じ条件で作られた焼成製品を基準にし
て、少なくとも10%である焼成製品の比体積の増加を来たす量で酵素が添加さ
れる、パラグラフ1に記載の方法。 18.さらなる酵素が生地に添加される、パラグラフ1に記載の方法。 19.さらなる酵素が、リパーゼ、でんぷん分解酵素、ヘミセルラーゼ、セル
ラーゼおよび酸化還元酵素からなる群から選択される、パラグラフ18に記載の
方法。 20.生地中に最初に存在するDGDGの少なくとも25%が加水分解される
、パラグラフ1に記載の方法。 21.生地中に最初に存在するPCの少なくとも25%が加水分解される、パ
ラグラフ1または20に記載の方法。 22.酵素がトリグリセリドを加水分解できる能力と、糖脂質を加水分解でき
る能力との間の関係を、少なくとも1.0である勾配を有する曲線として表せる
点で酵素を特徴付けられる、パラグラフ1に記載の方法。 23.酵素がトリグリセリドを加水分解できる能力と、リン脂質を加水分解で
きる能力との間の関係を、少なくとも0.1である勾配を有する曲線として表せ
る点で酵素を特徴付けられる、パラグラフ1に記載の方法。 24.無極性脂質がC4〜C10脂肪酸を含むトリグリセリドおよびC12〜C20
脂肪酸を含むトリグリセリドであり、酵素が、C4〜C10脂肪酸を含むトリグリ
セリドと比較して、C12〜C20脂肪酸を含む上記トリグリセリドを優先的に加水
分解する、パラグラフ1〜23のいずれか1つに記載の方法。 25.生地を作る方法であって、生地の状態で、C4〜C10脂肪酸を含むトリ
グリセリド、C12〜C20脂肪酸を含むトリグリセリド、糖脂質およびリン脂質を
加水分解することができ、且つその酵素が、C4〜C10脂肪酸を含むトリグリセ
リドと比較して、C12〜C20脂肪酸を含む上記トリグリセリドを優先的に加水分
解する酵素を生地成分に添加するステップと、生地成分を混合して生地を得るス
テップとを含む、方法。 26.上記糖脂質がジガラクトシルジグリセリドである、パラグラフ25に記
載の方法。 27.a)少なくとも1つの酵素を、トリグリセリドにおけるC4〜C10脂肪
酸、トリグリセリドにおけるC12〜C20脂肪酸、ジガラクトシルジグリセリドお
よびリン脂質に対する、その加水分解活性について試験するステップと、 b)ジガラクトシルジグリセリドおよびリン脂質に対する加水分解活性を有し
、且つC4〜C10脂肪酸と比較して、C12〜C20脂肪酸に対してより大きい活性
を有する酵素を選択するステップと、 c)選択された酵素を生地に添加するステップと、 を含む、生地または生地から作られた焼成製品を作る方法。 28.生地の状態で、無極性脂質、糖脂質およびリン脂質を加水分解すること
ができる酵素、および任意選択的に少なくとも1つのさらなる生地成分を含む、
生地改良用組成物。 29.リパーゼ、でんぷん分解酵素、ヘミセルラーゼ、セルラーゼおよび酸化
還元酵素からなる群から選択されたさらなる酵素を含む、パラグラフ28に記載
の組成物。 30.さらなる生地成分が、穀類の粉、酵母、化学膨張剤、生地強化剤、乳化
剤、砂糖、アシルグリセロール、リン脂質、糖脂質および塩からなる群から選択
される、パラグラフ28に記載の組成物。 31.酵素が、パラグラフ28〜30のいずれか1つに記載の組成物の状態で
添加される、パラグラフ1に記載の方法。 32.パラグラフ1〜27および31のいずれか1つに記載の方法で得られる
生地。 33.凍結されるか、または管理されたガスで包装されている、パラグラフ3
2に記載の生地。 34.パラグラフ32の生地を焼成することによって得られる焼成製品。 35.パラグラフ32の生地から作られる、ヌードル製品。 36.パラグラフ32の生地から作られる、パスタ製品。
【0291】 上の明細書に記載の全ての刊行物を、参照により本明細書に組み込む。本発明
の範囲および精神から逸脱することのない、記載の方法および本発明のシステム
の様々な修飾および変更は、当業者に明白であるだろう。具体的な好ましい実施
形態に関連して本発明を説明してきたが、クレームに記載されている本発明は、
具体的な実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。実際、
分子生物学または関連分野における当業者に明白な、記載されている発明を実行
する方式の様々な修飾は、本クレームの範囲内であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リパーゼを添加しない対照(右側のロールパン)と比較したときの、パンの柔
らかい中身の構造に対する、市販のリパーゼ、GRINDAMYLTM EXEL
16(200ppm)(左側のロールパン)、リパーゼSP 972(それぞ
れ、1000,2500および5000LUT/kg穀粉)(ロールパン2〜4
)の作用を表す図である。
【図2】 パンの体積および柔らかい中身の構造に対する、オートムギ脂質単独(左側の
パン)、オートムギ脂質+1010ppm SP 979(中程のパン)および
オートムギ脂質+200ppm GRINDAMYLTM EXEL 16(右側
のパン)添加の作用を示す図である。
【図3】 リパーゼSP 972およびリパーゼSP 979が、トリグリセリドを加水
分解できる能力と、それらが糖脂質を加水分解できる能力との関係を示す図であ
る。
【図4】 リパーゼSP 972およびリパーゼSP 979が、トリグリセリドを加水
分解できる能力と、リン脂質を加水分解できる能力との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 0028701.1 (32)優先日 平成12年11月24日(2000.11.24) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穀粉の生地を作る方法であって、生地の状態で、無極性の脂
    質、糖脂質およびリン脂質を加水分解することができる酵素、または前記酵素を
    含む組成物を、生地成分に加えるステップと、前記生地成分を混合して前記生地
    を得るステップとを含む方法。
  2. 【請求項2】 前記無極性脂質、前記糖脂質および前記リン脂質の少なくと
    も1つが、前記生地に使用するための穀粉中に存在する天然脂質成分である、請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記天然脂質がリン脂質である、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記リン脂質がホスファチジルコリン(PC)である、請求
    項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記天然脂質が糖脂質である、請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記糖脂質がジガラクトシルジグリセリド(DGDG)であ
    る、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記無極性脂質、前記糖脂質および前記リン脂質の少なくと
    も1つが前記生地に加えられる、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 添加される前記無極性脂質がアシルグリセロールである、請
    求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 添加される前記アシルグリセロールが、植物油、植物性脂肪
    、動物油、動物性脂肪、ショートニングおよびバターからなる群から選択される
    、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記植物油が、オートムギ油を含む天然穀類油である、請
    求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 添加される前記極性脂質が、ホスファチジルイノシトール
    (PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルコリン(PC
    )およびホスファチジルエタノールアミン(PE)からなる群から選択されるリ
    ン脂質である、請求項7に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記生地が、酵母で発酵させる生地である、請求項1に記
    載の方法。
  13. 【請求項13】 前記酵素が、10〜100,000 LUT/kg粉の範
    囲、または10〜100,000PUL/kg粉の範囲である量で添加される、
    請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記酵素の量が、100〜10,000 LUT/kg粉
    または100〜10,000 PUL/kg粉の範囲である、請求項13に記載
    の方法。
  15. 【請求項15】 前記生地がパン生地である請求項1に記載の方法であって
    、さらなるステップとして、前記生地を焼成して焼成製品を得ることを含む方法
  16. 【請求項16】 前記生地が、パスタ生地、ヌードル生地およびケーキ生地
    またはバッターからなる群から選択される生地である、請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記酵素が添加されないこと以外は同じ条件で作られた焼
    成製品を基準にして、少なくとも10%である前記焼成製品の比体積の増加を来
    たす量で酵素が添加される、請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 さらなる酵素が前記生地に添加される、請求項1に記載の
    方法。
  19. 【請求項19】 前記さらなる酵素が、リパーゼ、でんぷん分解酵素、ヘミ
    セルラーゼ、セルラーゼおよび酸化還元酵素からなる群から選択される、請求項
    18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記生地中に最初に存在するDGDGの少なくとも25%
    が加水分解される、請求項1に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記生地中に最初に存在するPCの少なくとも25%が加
    水分解される、請求項1または20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記酵素がトリグリセリドを加水分解できる能力と、糖脂
    質を加水分解できる能力との間の関係を、少なくとも1.0である勾配を有する
    曲線として表せる点で前記酵素を特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記酵素がトリグリセリドを加水分解できる能力と、リン
    脂質を加水分解できる能力との間の関係を、少なくとも0.1である勾配を有す
    る曲線として表せる点で前記酵素を特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記無極性脂質がC4〜C10脂肪酸を含むトリグリセリド
    およびC12〜C20脂肪酸を含むトリグリセリドであり、前記酵素が、C4〜C10
    脂肪酸を含むトリグリセリドと比較して、C12〜C20脂肪酸を含む前記トリグリ
    セリドを優先的に加水分解する、請求項1〜23のいずれか1つに記載の方法。
  25. 【請求項25】 生地を作る方法であって、生地の状態で、C4〜C10脂肪
    酸を含むトリグリセリド、C12〜C20脂肪酸を含むトリグリセリド、糖脂質およ
    びリン脂質を加水分解することができ、且つその酵素が、C4〜C10脂肪酸を含
    むトリグリセリドと比較して、C12〜C20脂肪酸を含む前記トリグリセリドを優
    先的に加水分解する酵素を前記生地成分に添加するステップと、前記生地成分を
    混合して前記生地を得るステップとを含む、方法。
  26. 【請求項26】 前記糖脂質がジガラクトシルジグリセリドである、請求項
    25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 a)少なくとも1つの酵素を、トリグリセリドにおけるC 4 〜C10脂肪酸、トリグリセリドにおけるC12〜C20脂肪酸、ジガラクトシルジ
    グリセリドおよびリン脂質に対する、その加水分解活性について試験するステッ
    プと、 b)ジガラクトシルジグリセリドおよび前記リン脂質に対する加水分解活性を
    有し、且つC4〜C10脂肪酸と比較して、C12〜C20脂肪酸に対してより大きい
    活性を有する酵素を選択するステップと、 c)選択された酵素を前記生地に添加するステップと、 を含む、生地または生地から作られた焼成製品を作る方法。
  28. 【請求項28】 生地の状態で,無極性脂質、糖脂質およびリン脂質を加水
    分解することができる酵素、および任意選択的に少なくとも1つのさらなる生地
    成分を含む、生地改良用組成物。
  29. 【請求項29】 リパーゼ、でんぷん分解酵素、ヘミセルラーゼ、セルラー
    ゼおよび酸化還元酵素からなる群から選択されたさらなる酵素を含む、請求項2
    8に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 前記さらなる生地成分が、穀類の粉、酵母、化学膨張剤、
    生地強化剤、乳化剤、砂糖、アシルグリセロール、リン脂質、糖脂質および塩か
    らなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
  31. 【請求項31】 前記酵素が、請求項28〜30のいずれか1項に記載の組
    成物の状態で添加される、請求項1に記載の方法。
  32. 【請求項32】 請求項1〜27および31のいずれか1項に記載の方法で
    得られる生地。
  33. 【請求項33】 凍結されるか、または管理されたガスで包装されている、
    請求項32に記載の生地。
  34. 【請求項34】 請求項32の前記生地を焼成することによって得られる焼
    成製品。
  35. 【請求項35】 請求項32の前記生地から作られる、ヌードル製品。
  36. 【請求項36】 請求項32の前記生地から作られる、パスタ製品。
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