JP2008011745A - 麺類改質剤及び麺類改良用組成物 - Google Patents
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【解決手段】リゾホスファチジルグリセロールからなる麺類改質剤及びその麺類改質剤を含む麺類改良用組成物。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、この酵素改質レシチンは、酵素分解により生じる脂肪酸や、未分解のレシチン、原料レシチン由来の中性脂質を含有するため、麺類の風味が落ちるという問題があり、また酵素改質レシチンのみでは効果が不充分であった。
また、パン等の練り粉が硬くなったり、体積が減少したりするのを改善するため、糖脂質、レシチンと酵素を配合する方法が知られている(特許文献8参照)。
すなわち本発明は、リゾホスファチジルグリセロールからなる麺類改質剤と、上記麺類改質剤を含む麺類改良用組成物に関する。
本発明は、また、ホスファチジルグリセロール及びホスホリパーゼA2からなる麺類改良用組成物に関する。
本発明は、また、麺類改質剤としてリゾホスファチジルグリセロールを麺類の主原料に対して0.001重量%以上添加してなる麺類に関する。
本発明は、また、上記麺類改良用組成物を添加することからなる麺類の製造方法に関する。
本発明の麺類改質剤に含まれるリゾホスファチジルグリセロール(LPG)は、レシチンにホスホリパーゼA2(PLA2)を作用させて得られるリゾレシチンの一種である。LPGを得る方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン等の天然物から抽出分離されたレシチンにホスホリパーゼDとグリセロールを作用させてホスファチジルグリセロール(PG)を得、得られたPGにPLA2を作用させて、PGの2位の脂肪酸エステル結合を加水分解してLPGを製造する方法や、レシチンにPLA2を作用させて得られる酵素分解レシチン中のLPGを抽出する方法等が挙げられる。レシチンにホスホリパーゼDやPLA2を反応させる際、これらの反応系は水系であってもよいし、二相系でもよく、特に限定されない。
第一の麺類改良用組成物の形態としては特に限定されず、例えばLPGを油脂で分散させたものであってもよいし、粉末のLPGからなるものであってもよい。
LPGを油脂で分散させる場合、分散に用いる油脂としては大豆油、菜種油、パーム油、コーン油等の植物油、あるいは、魚油等の動物油及び、それらの硬化油、エステル交換油、分別油等の食用油脂が挙げられる。更に、乳化を安定させる等の目的で、液糖、蔗糖、オリゴ糖、澱粉分解糖化物、水飴等の糖類、ソルビトール、還元澱粉糖化物、グリセリン等の多価アルコール類、キサンタンガム、アラビアガム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナン、セルロース、おから粉末、デキストリン等の増粘剤、あるいは、乳清タンパク質、卵黄、全卵、卵白、カゼインタンパク質、小麦蛋白、大豆蛋白、血漿蛋白、各種の蛋白分解物、蛋白酵素処理物等のタンパク質、ペプチド類等を1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
第一の麺類改良用組成物が粉末のLPGからなる場合、澱粉、デキストリン、トレハロースなどの一般的な賦形剤を含有していてもよい。上記賦形剤の種類は、本発明の効果に影響されない限り特に限定されない。
第一の麺類改良用組成物は、LPG以外に、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン等のLPG以外のリゾレシチンや、PLA2の加水分解により生じる脂肪酸、未反応のレシチン等を含んでいてもよい。但し、脂肪酸は、麺類の風味に悪影響を与えるため、その含有量は少ない方が望ましい。
第一の麺類改良用組成物は、リン脂質を10〜99.9%重量%含むことが好ましい。
第二の麺類改良用組成物は、麺を製造する際に他の材料と一緒に混合し、その後麺中でPGとPLA2を反応させてLPGを生成させることを目的とするものである。
PGとしては、大豆レシチン、卵黄レシチン等の天然物から抽出分離したものを用いてもよいし、天然のレシチンにホスホリパーゼDとグリセロールを作用させて得られるもの等を用いてもよい。
PLA2としては、動物(例えば、ブタの膵臓)由来の酵素、微生物由来の酵素などが挙げられる。ブタ膵臓に由来する酵素としては、ノボザイムズジャパン社製のレシターゼ10Lが挙げられる。微生物由来の酵素としては、ナガセケムテックス社製のPLA2(商品名:ホスホリパーゼA2ナガセ)が挙げられる。これらの酵素の至適pHは7〜9、至適温度は40〜60℃である。
第二の麺類改良用組成物は、PGをリン脂質中に10〜99.9重量%含むことが好ましい。リン脂質中のPGの含量は「基準油脂分析試験法2003年版」(日本油化学会制定)4.3.3.1記載の方法に従って定量される。
また、第二の麺類改良用組成物中のPGとPLA2の配合比は、PG1gあたりPLA210〜1000Uが好ましく、100〜300Uがより好ましい。
第二の麺類改良用組成物は、リン脂質を10〜99.9重量%含むことが好ましい。
麺類改良用組成物を麺に添加する方法としては特に限定されず、第一の麺類改良用組成物を用いる場合は、麺を製造する際に他の材料と一緒に混合してもよいし、また、出来上がった麺を麺類改良用組成物に浸漬することもでき、出来上がった麺の表面に麺類改良用組成物をスプレーしてもよい。
第二の麺類改良用組成物を用いる場合は、麺を製造する際に他の材料と一緒に混合する。第二の麺類改良用組成物を用いる場合、麺中でPGとPLA2を反応させてLPGを生成させるため、例えば5℃〜40℃で0.5〜4時間熟成させることが好ましい。この熟成条件は、麺中でPGがLPGに変換できればよく、上記条件に特に限定されない。
麺類改質剤としてLPGを麺類の主原料に対して0.001重量%以上添加してなる麺類も、本発明の一つである。
製造例1 リゾホスファチジルグリセロールの調製
原料レシチン(ツル−レシチン工業社製レシチンSLP−PC70:ホスファチジルコリン70%以上)27gをヘプタン/アセトン(80/20)混合溶液に溶解して300mlにして溶媒層を調製した。次に、グリセロール溶液(0.6M酢酸緩衝液(pH4)・7.2Mグリセロール混液)50mlにホスホリパーゼD(ナガセケムテックス社製)17,550Uを混合して水層を調製した。溶媒層と水層とを30℃で5時間、2相がよく混ざるように攪拌し処理を行った。
処理後、35gの食塩を添加・溶解して、溶媒層と水層を分離させ、溶媒層を分取した。
分取した溶媒層はエバポレータを用い、60℃にて溶媒を除去することにより、ホスファチジルグリセロール70〜90%を含有する固形物が得られた。
次いで、得られた固形物20gを、6mM CaCl2を含有するpH8、0.2Mトリス塩酸緩衝液に分散して80mlにし、ホスホリパーゼA2(ナガセケムテックス社製PLA2ナガセ:10,000〜13,000PLA2UN/L)24,000PLA2UNを加え、50℃で5時間の処理を行うことにより、90%以上のホスファチジルグリセロールがリゾ化したリゾホスファチジルグリセロール分散液が得られた。
この分散液に300mlのエタノールを加え、室温で30分間攪拌した後、セライト1gを添加した。No.2ろ紙を用いて吸引ろ過し、沈殿を除いた。ろ液を60℃で減圧濃縮し、約96mlの濃縮液を得た。この濃縮液に5倍容量のアセトンを加え、黄色のペーストを得た。さらに遊離脂肪酸を除くために同容量のアセトンを用い3回洗浄、ろ過し、浅黄色の粉末7.8gを得た。このリン脂質の組成成分を分析したところ、LPG80.4%、PG5.9%、リゾホスファチジルコリン0.1%、リゾホスファチジルエタノールアミン1.5%であった。
製造例1で得られたLPGを含む粉末を、甘藷澱粉と1:4の配合比で混合し、乳化剤1を調製した(20%製剤)。
製造例1で得られたLPGを含む粉末を、甘藷澱粉と15:100の配合比で混合し、乳化剤2を調製した(15%製剤)。
エー・デイー・エム・ファーイースト社製のレシチン、Ultralec P(商品名)をそのまま用いた。
エー・デイー・エム・ファーイースト社製のUltralec Pを出発原料として用い、10%の重量比になるように水に分散させた後、pH値を8.0に調整し、Ultralec P 1gあたり1200PLA2UNのPLA2ナガセ(ナガセケムテックス社製)を添加して、40℃で攪拌しながら5時間反応させた。反応後に、50%容積量のアセトンを加え、さらに1時間攪拌を続けて酵素を失活させた。その後、3倍容積量のアセトンを加え、酵素分解レシチンを沈殿させて、真空乾燥によって回収した。
表1に示す配合量で、原料をミキサーで18分間混涅し、常法により最終的な厚みが0.96ミリとなるように製麺して#10角刃で麺線を切り出した。切り出した麺線を蒸機で1分30秒蒸し、蒸した麺線を40cmに切断した。次いで、切断した麺線を一食分ずつ(約90g)計量し、金属製リテーナーに詰めて、150℃で1分間パーム油で揚げて、油揚げ麺(即席カップうどん)のサンプルを得た。なお、表1中の配合量はすべて重量部を示す。
実施例1〜4、比較例1〜3のサンプルの上に粉末スープを加え、沸騰した湯を規定量(400ml)注いで調理した。麺の湯戻りと弾力をパネラー11人で評価した。結果を表2に示す。
<湯戻り>
調理開始から5分後の麺を試食し、復元性を官能により評価した。
評価基準
○:設定時間で十分に戻る
△:やや戻り不十分
×:戻っていない
<弾力>
調理開始から6分後の麺を試食し、官能により評価した。
評価基準
○:コシ強い
△:ややコシ不足
×:弾力無く、柔らかい
表3に示す配合量で、原料をミキサーで18分間混涅し、常法により最終的な厚みが0.90ミリとなるように製麺して#20丸刃で麺線を切り出した。切り出した麺線を蒸機で1分30秒蒸し、蒸した麺線を40cmに切断した。次いで、切断した麺線を一食分ずつ(約80g)計量し、金属製リテーナーに詰めて、150℃で1分10秒間パーム油で揚げて、油揚げ麺(即席カップラーメン)のサンプルを得た。なお、表3中の配合量はすべて重量部を示す。
実施例5〜9、比較例4〜5のサンプルの上に粉末スープを加え、沸騰した湯を規定量(380ml)注ぎ、3分後液体スープを加えた。麺の湯戻りと弾力をパネラー11人で評価した。評価基準は上記と同様である。結果を表4に示す。
<湯戻り>
調理直後の麺を試食し、復元性を官能により評価した。
<弾力>
調理開始から4分後の麺を試食し、官能により評価した。
表5に示す配合量で、原料を真空ミキサーで18分間混涅し、常法により最終的な厚みが0.90ミリとなるように製麺して#20丸刃で麺線を切り出した。切り出した麺線を蒸機で4分蒸し、蒸した麺線を40cmに切断した。次いで、切断した麺線を一食分ずつ(約90g)計量し、金属製リテーナーに詰めて、90℃で50分間熱風乾燥し、ノンフライ麺(即席カップノンフライラーメン)のサンプルを得た。なお、表5中の配合量はすべて重量部を示す。
実施例10〜11、比較例6〜7のサンプルの上に粉末スープを加え、沸騰した湯を規定量(380ml)注ぎ、4分後液体スープを加えた。麺の湯戻りと弾力をパネラー11人で評価した。評価基準は上記と同様である。結果を表6に示す。
<湯戻り>
調理直後の麺を試食し、復元性を官能により評価した。
<弾力>
調理開始から5分後の麺を試食し、官能により評価した。
表7に示す配合量で、原料をミキサーで15分間混涅し、常法により最終的な厚みが1.30ミリとなるように製麺して#20角刃で麺線を切り出した。切り出した麺線を40cmに切断し、打ち粉をして生麺(ラーメン)のサンプルを得た。
また麺線の一部を蒸機で4分蒸し、蒸した麺線を40cmに切断し、蒸し麺(ラーメン)のサンプルを得た。なお、表7中の配合量はすべて重量部を示す。
実施例12〜13、比較例8〜10の生麺サンプルを約1リットルの沸騰した湯で2分間茹で、湯切りした後、スープを入れた丼に麺を移した。麺の茹で伸びと弾力をパネラー11人で官能評価した。弾力についての評価基準は上記と同様である。結果を表8に示す。
<茹で伸び>
調理直後の麺を試食し、官能により評価した。
評価基準
○:伸び遅い
△:やや伸び早い
×:伸び早い
<弾力>
調理開始から4分後の麺を試食し、官能により評価した。
<湯戻り>
調理直後の麺を試食し、復元性を官能により評価した。
<弾力>
調理開始から4分後の麺を試食し、官能により評価した。
Claims (5)
- リゾホスファチジルグリセロールからなる麺類改質剤。
- 請求項1記載の麺類改質剤を含む麺類改良用組成物。
- ホスファチジルグリセロール及びホスホリパーゼA2からなる麺類改良用組成物。
- 麺類改質剤としてリゾホスファチジルグリセロールを麺類の主原料に対して0.001重量%以上添加してなる麺類。
- 請求項2又は3記載の麺類改良用組成物を添加することからなる麺類の製造方法。
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