JP3948842B2 - ベーカリー製品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベーカリー製品及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、ベーカリー生地と酸性水中油型乳化物とからなり、油で揚げたことを特徴とするベーカリー製品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
食品用の調味料として、油脂、卵黄や全卵や卵白などの卵原料、食酢、調味料などを主原料として作られたマヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシングなどの酸性水中油型乳化物があり、これらは外食、サラダ他の惣菜、製菓、製パン業界などに広く使用されている。
【0003】
ところで、ベーカリー製品にマヨネーズ風味を付与したい場合、従来の酸性水中油型乳化物では油で揚げた際の耐熱性が不十分なため、ベーカリー生地に酸性水中油型乳化物をトッピングしたり、サンドしたり、包みこんだりした後、油で揚げても酸性水中油型乳化物がベーカリー生地より剥がれ落ちたり、しみでてしまったりしていた。また、ベーカリー生地を油で揚げた後に酸性水中油型乳化物をベーカリー製品の表面にトッピングしようとしても、表面の油によって酸性水中油型乳化物が滑り、剥がれ易いという問題があった。そのため、これまで油で揚げたベーカリー製品への酸性水中油型乳化物の応用は、油で揚げた後に水中油型乳化物を注入するという用途に限定されていた。
【0004】
従って、本発明の目的は、ベーカリー生地に酸性水中油型乳化物をトッピングしたり、サンドしたり、包みこんだものを、油で揚げても、酸性水中油型乳化物がベーカリー生地より剥がれ落ちたり、しみだしたりせず、また見た目にも食欲をそそられる新規なベーカリー製品及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を、下記のベーカリー製品及びその製造方法を提供することにより達成したものである。
「ベーカリー生地と油相8〜50重量%、酵素処理卵黄1〜15重量%及び水相20〜80重量%を含有する酸性水中油型乳化物とからなり、油で揚げたことを特徴とするベーカリー製品。」
「ベーカリー生地に、油相8〜50重量%、酵素処理卵黄1〜15重量%及び水相20〜80重量%を含有する酸性水中油型乳化物を、トッピングまたはサンド或いは包みこんだ後、油で揚げることを特徴とするベーカリー製品の製造方法。」
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のベーカリー製品及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明において、ベーカリー生地とは、小麦粉、糖類、牛乳や脱脂粉乳などの乳製品、ショートニングやマーガリンなどの油脂製品、卵、水、ベーキングパウダー、イーストなどからなるものであり、例えばパン生地、パイ生地、イーストドーナツ生地、ケーキドーナツ生地、ピロシキ用の生地などをあげることができる。
【0007】
また本発明で使用される酸性水中油型乳化物は、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシングなどの酸性水中油型乳化物の風味を有し、ベーカリー生地にトッピングまたはサンド或いは包みこんだ後、油で揚げても、剥がれ落ちたり、しみでたりせず、形が残るものであり、油相8〜50重量%、酵素処理卵黄1〜15重量%及び水相20〜80重量%を含有するものである。
【0008】
この酸性水中油型乳化物に使用される油相としては油脂が用いられ、該油脂としては、食用に適する油脂であればよく、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油などの常温で液体の油脂が一般的であるが、更にパーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂などの常温で固体の油脂も除外されるものではなく、更にこれらの硬化油、分別油、エステル交換油などの物理的または化学的処理を施した油脂を使用することができる。
【0009】
好ましい油相としては、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基とからなるトリグリセリドを1.5重量%以上含有する油相であり、より好ましくは、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基とからなるトリグリセリドを3重量%以上含有する油相である。本発明でいう炭素数20以上の飽和脂肪酸としては、アラキジン酸(アラキン酸とも呼ばれる)、ベヘン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。また不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられるが、特に制限はない。炭素数20以上の飽和脂肪酸残基の結合位置は、グリセリンの1位、2位、3位のいずれでも良い。
【0010】
上記の好ましい油相を形成する上記トリグリセリドを1.5重量%以上含有する油脂は、菜種油、落花生油、サル脂、からし油、マンゴ脂、魚油を分別してその低融点部分を使用するか、またはこれらの油脂をエステル交換するか、あるいは合成により得ることができる。上記の様な方法により、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基とからなるトリグリセリドを1.5重量%以上含有する油脂が得られるものであり、菜種油、落花生油、サル脂、からし油、マンゴ脂、魚油などの油脂そのものには、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基とからなるトリグリセリドは、1.1重量%程度しか含まれていない。
【0011】
本発明における油相として、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基とからなるトリグリセリドを1.5重量%以上含有する油相を用いる場合には、上記の様な方法で得られた炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基とからなるトリグリセリドを1.5重量%以上含有する油脂を1種または2種以上混合して油相としても良いし、更に、他の食用油脂と混合して混合油が炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基とからなるトリグリセリドを1.5重量%以上含有しているようにしても良い。
【0012】
また、本発明の油相には、トコフェロールなどの酸化防止剤や、βカロチンなどの着色剤の如き油脂に溶解する成分や添加剤、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タラガントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、ゼラチン、微小繊維状セルロースなどの増粘安定剤、コーン、ワキシーコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米などの澱粉を起源とし、この澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、酸やアルカリ、エステル化、リン酸架橋化、加熱、湿熱処理などの物理的、化学的処理を行った化工澱粉や、更にこれら化工澱粉を、あらかじめ加熱処理により糊化させた化工澱粉、乳蛋白質を任意に添加することができる。
【0013】
上記油相の配合割合は、8〜50重量%であり、好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。油相の配合割合が50重量%より多いと酸性水中油型乳化が不安定化し、また8重量%より少ないと得られるベーカリー製品の食感が硬く、悪いものとなる。
【0014】
次に、本発明の酸性水中油型乳化物に使用される酵素処理卵黄について説明する。この酵素処理卵黄は、乳化剤として使用される。酵素で処理しない卵黄を用いると、得られる酸性水中油型乳化物をベーカリー生地と組み合わせて油で揚げた際に酸性水中油型乳化の安定性が劣ったものとなり、ベーカリー生地より剥がれ落ちたり、しみだしたりしてしまうので好ましくない。
【0015】
酵素処理卵黄は、基質としては生卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄のいずれも使用することができるが、得られる酸性水中油型乳化物の風味や、酵素反応時の微生物の増殖を抑えることを考慮すると加塩卵黄が適しており、例えば食塩が3〜20重量%添加された加塩卵黄を用いるのが好ましく、更に好ましくは食塩が5〜8重量%添加された加塩卵黄を用いるのが良い。
【0016】
本発明で、酵素処理の際に用いる酵素としては、ホスフォリパーゼA及びプロテアーゼの併用が好ましい。
【0017】
ホスフォリパーゼAは、リン脂質加水分解酵素とも呼ばれ、リン脂質をリゾリン脂質に分解する反応を触媒する酵素であり、作用するエステル結合の位置の違いにより、ホスフォリパーゼA1(EC3.1.1.32)及びホスフォリパーゼA2(EC3.1.1.4)の2種類を使用することができ、豚などの哺乳類の膵液や、微生物を起源とした市販のホスフォリパーゼAを使用することができる。
【0018】
また、プロテアーゼとは、蛋白質を加水分解する反応を触媒する酵素であり、植物、動物、微生物を起源とした酵素、例えばパイナップルを起源としたブロメライン、パパイヤを起源としたパパイン、哺乳類の膵液を起源としたトリプシン、哺乳類の胃液を起源としたペプシン、カビ由来のプロテアーゼなど、市販のプロテアーゼを使用することができ、特にブロメラインが最適である。
【0019】
卵黄の酵素処理の際、ホスフォリパーゼA及びプロテアーゼの添加は任意の順序、または同時に行うことができるが、プロテアーゼによるホスフォリパーゼAの加水分解を避けるためには、卵黄をホスフォリパーゼAによる酵素処理後、プロテアーゼにより酵素処理するのが好ましい。
これらの酵素としては、市販されている食品用の、粉末または液体の酵素を使用することができる。
【0020】
ホスフォリパーゼAの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.2〜100ホスフォリパーゼユニット、更に好ましくは0.5〜20ホスフォリパーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。ホスフォリパーゼユニットとは、ホスフォリパーゼの活性量を表す単位であり、1ホスフォリパーゼユニットとは、pH8.0、40℃で卵黄にホスフォリパーゼAを作用させた時に、卵黄中のリン脂質から、1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離する活性量である。
【0021】
プロテアーゼの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.01〜10プロテアーゼユニット、更に好ましくは0.1〜5プロテアーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。プロテアーゼユニットとは、プロテアーゼの活性量を表す単位であり、1プロテアーゼユニットとは、pH7.0、37℃でミルクカゼインにプロテアーゼを作用させた時に、1分間に1マイクロモルのチロシンに相当する呈色度を示す活性量である。
尚、ホスフォリパーゼA及びプロテアーゼの併用からなる上記酵素は、次の様な基準で添加しても良い。
即ち、上記酵素の添加量(合計量)は、卵黄100重量部に対し、好ましくは0.001〜0.8重量部であり、更に好ましくは0.01〜0.3重量部である。このとき、ホスフォリパーゼAとプロテアーゼとの重量比は、好ましくは20/80〜90/10であり、更に好ましくは40/60〜85/15である。
【0022】
卵黄の酵素処理は、卵黄の蛋白質やホスフォリパーゼA及びプロテアーゼが熱により変性せず、ホスフォリパーゼA及びプロテアーゼの最適温度で行うのが良く、通常20〜60℃、更に好ましくは40〜55℃の温度範囲で行うのが良い。また、酵素処理中に攪拌機などで攪拌を行うのが有利である。
また、卵黄の酵素処理の際の反応時間に特に制約はないが、1〜30時間の範囲内で行うのが好ましい。
なお、卵黄を酵素処理する方法としては、回分式で上述の条件により加水分解する方法が採用されるが、連続式で加水分解する方法でもよい。
【0023】
卵黄の酵素処理の際に、ホスフォリパーゼA及びプロテアーゼの至適pHに調整するのが良く、この目的のpH調整剤は食品用であれば特に限定されず、例えば乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、アスコルビン酸、酢酸などの酸味料や、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、食酢、果汁、発酵乳などの酸性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどを用いることができ、例えばpH6〜9の範囲で行うのが好ましい。また、卵黄の酵素処理の際に、酵素の安定剤として食品用の塩化カルシウム、リン酸二水素カルシウム、乳酸カルシウムなどのカルシウム塩を添加しても良い。
【0024】
ホスフォリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度と、プロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は、酵素の添加量、反応温度、反応開始時のpH、酵素の安定剤の有無、反応時間などの影響を受けるが、特に限定されない。たとえばホスフォリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度は卵黄に含まれる全リン脂質の30〜100重量%がリゾリン脂質に分解される程度までに分解するのが好ましく、またプロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は卵黄に含まれる蛋白質の加熱凝固性が完全に失われる程度までに分解するのが良い。
【0025】
上記の酵素処理卵黄の配合割合は、1〜15重量%、好ましくは2〜13重量%、さらに好ましくは4〜12重量%である。酵素処理卵黄の配合割合が15重量%より多いとベーカリー製品の食感がボソボソとした硬いものとなり、また1重量%より少ないと酸性水中油型乳化が不安定となってしまう。
【0026】
本発明の酸性水中油型乳化物において、水相の配合割合は、20〜80重量%、好ましくは40〜75重量%、さらに好ましくは50〜70重量%である。水相の配合割合が80重量%よりも多いと油分が少なくなるので、口当たりと組織がマヨネーズやドレッシングとかけ離れてしまい、20重量%よりも少ないと水中油型乳化の乳化状態が不安定となるので好ましくない。
なお、本発明の水中油型乳化物を調製する際に、上記水相は、前記酵素処理卵黄も含めて調製されるが、このときの酵素処理卵黄は、上記水相の配合割合には含めないものとする。
【0027】
本発明における水相には、通常マヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシングなどの酸性水中油型乳化物に使用されている酸味料、増粘安定剤、化工澱粉、調味料、香辛料、香料、食塩、糖類、デキストリン、乳蛋白質、着色料などの副原料を本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができる。例えば酸味料としては乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、食酢、果汁、発酵乳などが挙げられ、増粘安定剤としてはキサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タラガントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、ゼラチン、微小繊維状セルロースなどが挙げられ、化工澱粉としては、コーン、ワキシーコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米などの澱粉を起源とし、この澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、酸やアルカリ、エステル化、リン酸架橋化、加熱、湿熱処理などの物理的、化学的処理を行ったものが挙げられ、更にこれら化工澱粉を、あらかじめ加熱処理により糊化させたものが挙げられる。また、糖類を使用することは任意ではあるが、油で揚げる際の加熱による褐変を低減するためには、糖類を使用しなくとも良い。
【0028】
そして、本発明の酸性水中油型乳化物は、水に酵素処理卵黄、酸味料、必要によりその他の副原料を分散溶解させたものを水相とし、また油脂に必要により化工澱粉、増粘安定剤などの副原料を分散させたものを油相とする。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得る。これをコロイドミルなどの乳化機、ホモゲナイザーなどの均質化機で処理し仕上げ乳化を行い、酸性水中油型乳化物が得られる。
【0029】
このようにして得られた酸性水中油型乳化物をベーカリー生地に、トッピングまたはサンド或いは包みこんだ後、油で揚げることにより、揚げパンやフライドパイ、ドーナツ、ピロシキなどのベーカリー製品を得ることができる。このときのベーカリー生地と酸性水中油型乳化物の割合は特に限定されるものではないが、ベーカリー生地100重量部に対して、酸性水中油型乳化物を好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは15〜40重量部を組み合わせるのがよい。
【0030】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0031】
[実施例1]
食塩を7重量%含有した加塩卵黄を水酸化ナトリウムにてpH8.5に調整し、このもの100kgに対して豚の膵臓由来のホスフォリパーゼAを600000ホスフォリパーゼユニット加え、45℃にて4時間処理し、次いでブロメライン200000ユニットを加え、45℃にて7時間反応させ、10℃まで冷却し、酵素処理卵黄を得た。
水40重量%、食酢7重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、前記酵素処理卵黄10重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆油40重量%、ワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、酸性水中油型乳化物を得た。次いで、強力粉70重量部、薄力粉30重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、ベーキングパウダー1重量部、上白糖15重量部、食塩1.2重量部、脱脂粉乳2重量部、全卵10重量部及び水52重量部をミキサーボールに入れ、フックにて低速3分、中速2分混捏し、更にマーガリン12重量部を加え、中速2分、高速2分混捏し、イーストドーナツ生地を得た。フロアタイム50分後、45gずつに分割し、更にベンチタイム20分後、コッペパン型(紡錘型)に成形しホイロ(温度38℃、湿度60%)にて50分発酵を行った後、この生地に酸性水中油型乳化物15gをトッピングし、フライ用油脂を用い、180℃にて表側90秒間、裏側90秒間揚げ、本発明のドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0032】
[比較例1]
水40重量%、食酢7重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、7重量%加塩卵黄10重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆油40重量%、ワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、酸性水中油型乳化物を得た。次いでこの酸性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様の方法にてドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0033】
[実施例2]
水61.8重量%、上白糖2重量%、食酢8重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、荒挽き胡椒0.2重量%、実施例1で使用したものと同じ酵素処理卵黄8重量%を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油15重量%、ワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉3重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをホモゲナイザーにて均質化し、酸性水中油型乳化物を得た。
次いでこの酸性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様の方法にて本発明のドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0034】
[比較例2]
水61.8重量%、上白糖2重量%、食酢8重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、荒挽き胡椒0.2重量%、7重量%加塩卵黄8重量%を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油15重量%、ワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉3重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをホモゲナイザーにて均質化し、酸性水中油型乳化物を得た。
次いでこの酸性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様の方法にてドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0035】
[実施例3]
水32.8重量%、食酢8重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、荒挽き胡椒0.1重量%、タマゴフレーバー0.1重量%、実施例1で使用したものと同じ酵素処理卵黄12重量%を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油45重量%を油相とした。水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをホモゲナイザーにて均質化し、酸性水中油型乳化物を得た。
次いでこの酸性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様の方法にて本発明のドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0036】
[実施例4]
食塩を8重量%含有した加塩卵黄を水酸化ナトリウムにてpH8.0に調整し、このもの100kgに対して豚の膵臓由来のホスフォリパーゼAを300000ホスフォリパーゼユニット加え、45℃にて5時間処理し、次いでブロメライン80000ユニットを加え、45℃にて10時間反応させ、10℃まで冷却し、酵素処理卵黄を得た。
水32.8重量%、食酢8重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、荒挽き胡椒0.1重量%、タマゴフレーバー0.1重量%、上記酵素処理卵黄12重量%を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油45重量%を油相とした。水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをホモゲナイザーにて均質化し、酸性水中油型乳化物を得た。
次いでこの酸性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様の方法にて本発明のドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0037】
[実施例5]
水40重量%、食酢7重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、実施例1で使用したものと同じ酵素処理卵黄10重量%を混合して水相を調製した。別に、あらかじめ融解したサル脂の低融点分別油(融点10℃、沃素価60、アラキジン酸1残基とオレイン酸2残基から成るトリグリセリドを10重量%含む)10重量%と大豆油30重量%、ワキシーコーン澱粉をリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、酸性水中油型乳化物を得た。
次いで、強力粉70重量部、イースト2重量部、イーストフード0.1重量部及び水40重量部をミキサーボールに入れ、フックにて低速3分、中速2分混捏した。室温にて4時間発酵し、中種を得た。この中種に強力粉30重量部、上白糖6重量部、食塩2重量部、脱脂粉乳2重量部、牛乳10重量部、及び水15重量部を加え、低速3分、中速2分混捏し、更にマーガリン10重量部を加え、中速2分、高速2分混捏し、イーストドーナツ生地を得た。フロアタイム20分後、45gずつに分割し、更にベンチタイム20分後、コッペパン型(紡錘型)に成形しホイロ(温度38℃、湿度60%)にて50分発酵を行った後、この生地に酸性水中油型乳化物15gをトッピングし、フライ用油脂を用い、180℃にて表側90秒間、裏側90秒間揚げ、本発明のドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0038】
[実施例6]
水32.8重量%、食酢8重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、荒挽き胡椒0.1重量%、タマゴフレーバー0.1重量%、実施例4で使用したものと同じ酵素処理卵黄12重量%を混合して水相を調製した。別に、ハイエルカ酸菜種油(エルカ酸の割合が47重量%)の極度硬化油5重量%と大豆サラダ油95重量%とのランダムエステル交換油(ベヘン酸1残基と、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸のいずれかの不飽和脂肪酸2残基から成るトリグリセリドを33重量%含む)5重量%と菜種サラダ油40重量%を混合して油相とした。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、酸性水中油型乳化物を得た。
次いでこの酸性水中油型乳化物を用いて、実施例5と同様の方法にて本発明のドーナツを得た。このドーナツの外観をまとめた結果を下記〔表1〕に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明は、ベーカリー生地と酸性水中油型乳化物を組み合わせ、油で揚げたベーカリー製品に関するものであり、油で揚げても酸性水中油型乳化物がベーカリー生地から剥がれ落ちたり、しみだしたりすることがない。また本発明ではベーカリー生地と酸性水中油型乳化物を組み合わせたそのままの形に残るため、ベーカリー製品の表面を立体的に飾ることができ、商品性を高めたベーカリー製品を提供することが出来る。
Claims (3)
- ベーカリー生地と油相8〜50重量%、酵素処理卵黄1〜15重量%及び水相20〜80重量%を含有する酸性水中油型乳化物とからなり、油で揚げたことを特徴とするベーカリー製品。
- 酵素処理卵黄が、卵黄をホスフォリパーゼA及びプロテアーゼで処理したものである請求項1記載のベーカリー製品。
- ベーカリー生地に、油相8〜50重量%、酵素処理卵黄1〜15重量%及び水相20〜80重量%を含有する酸性水中油型乳化物を、トッピングまたはサンド或いは包みこんだ後、油で揚げることを特徴とするベーカリー製品の製造方法。
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