JP3912929B2 - 酸性水中油型乳化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性水中油型乳化物に関する。詳しくは、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング等の酸性水中油型乳化物に関し、更に詳しくは、電子レンジ加熱、オーブンによる加熱、油ちょう、その他煮る・焼く・蒸す等の加熱処理、更にはレトルト加熱を行っても、乳化が破壊されず、また保形性が良好で、食感がクリーミーである酸性水中油型乳化物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般にマヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング等の酸性水中油型乳化物は、電子レンジで加熱する、オーブンで焼成する、油で揚げる、煮る、焼く、蒸す等の加熱処理によって、水分の蒸発や原材料の加熱変性によって水中油型乳化が破壊され、油が分離し食品の外観、食感、風味が著しく損なわれるという問題がある。特に電子レンジでの加熱や、油ちょうでは、秒単位で品温が急激に上昇するため、急激な水分の蒸発や、加熱変性が起こるため、水中油型乳化が破壊される、形がくずれ原形をとどめない、元の酸性水中油型乳化物のクリーミーな食感が失われる、酸性水中油型乳化物に特有の風味を形成している食酢等の揮発性の呈味成分やフレーバー成分が揮散し元の酸性水中油型乳化物らしい風味が著しく失われる、等の問題がある。
【0003】
これらの酸性水中油型乳化物の問題を解決するために、種々の方法が提案されている。例えば、セルロースIIの結晶型を持つセルロースと、ポリペプチド及び食用多糖類の中から選ばれた少なくとも一種のゲスト成分とを配合する方法(特開平1−98448号公報)、加熱処理したホエー蛋白質濃縮物を配合する方法(特開平4−126050号公報)、カゼインまたは/及びアラビアガムとポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用し、かつ特定の固体脂含量の油脂を配合する方法(特開平7−194336号公報)等が提案されている。
しかしながら、これらの方法では、加熱後の保形性は改善されるが、クリーミーな食感の保持や、特に酸性水中油型乳化物の風味を決定付けている食酢等の揮発性の呈味成分やフレーバー成分を保持するという点ではいまだ不十分であった。
【0004】
従って、本発明の目的は、常温または冷凍状態から、例えば電子レンジ加熱、オーブンによる加熱、油ちょう、その他煮る・焼く・蒸す等の加熱処理、更にはレトルト加熱を行っても、乳化が破壊されず安定であり、また加熱後も、保形性が良好で、かつ食感がクリーミーで、風味が良好な酸性水中油型乳化物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、油脂、酵素処理卵黄、メチルセルロース及び水を含有し、該酵素処理卵黄が、卵黄をホスホリパーゼA及びプロテアーゼで処理することにより得られた酵素処理卵黄であることを特徴とする酸性水中油型乳化物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸性水中油型乳化物について詳述する。
本発明で使用する油脂としては、食用に適する油脂であればよく、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が一般的であるが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂等の常温で固体の油脂も使用でき、更にこれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の物理的または化学的処理を施した油脂を使用することもできる。
【0007】
上記油脂の含有量は、水中油型乳化の安定化と、風味や食感を良くするために5〜50重量%とするのが好ましく、更に好ましくは8〜40重量%、最も好ましくは10〜35重量%である。油脂の含有量が50重量%よりも多いと、加熱処理によって水中油型乳化が不安定化し乳化が破壊されやすく、また5重量%よりも少ないと、得られる酸性水中油型乳化物の食感が悪くなりやすい。
【0008】
本発明では、酸性水中油型乳化物の乳化の安定化のため、乳化剤として、酵素で処理した卵黄(酵素処理卵黄)を使用する。酵素で処理しない卵黄を用いると、得られる酸性水中油型乳化物は、加熱後に卵黄が熱凝固し卵黄の界面活性が失われ、水中油型乳化が破壊されたり、クリーミーな食感が失われる等、品質が劣ったものとなる。
上記酵素処理卵黄は、基質としては生卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄のいずれをも使用することができるが、得られる水中油型乳化物の風味や、酵素反応時の微生物の増殖を抑えることを考慮すると加塩卵黄が適しており、例えば食塩が3〜20重量%添加された加塩卵黄を用いるのが良く、更に好ましくは食塩が5〜8重量%添加された加塩卵黄を用いるのが良い。
【0009】
上記酵素処理卵黄において、基質の卵黄の酵素処理の際に用いる酵素としては、ホスホリパーゼA及びプロテアーゼを併用する。
上記ホスホリパーゼAは、リン脂質加水分解酵素とも呼ばれ、リン脂質をリゾリン脂質に分解する反応を触媒する酵素であり、作用するエステル結合の位置の違いにより、ホスホリパーゼA1(EC3.1.1.32)とホスホリパーゼA2(EC3.1.1.4)の2種類を使用することができ、豚等の哺乳類の膵液や、微生物を起源とした市販のホスホリパーゼAを使用することができる。
また、上記プロテアーゼは、蛋白質を加水分解する反応を触媒する酵素であり、植物、動物または微生物を起源とした、例えばパイナップルを起源としたブロメライン、パパイヤを起源としたパパイン、哺乳類の膵液を起源としたトリプシン、哺乳類の胃液を起源としたペプシン、カビ由来のプロテアーゼ等、市販のプロテアーゼを使用することができ、特にブロメラインが最適である。
【0010】
ホスホリパーゼAとプロテアーゼとの併用による処理は、任意の順序で、または同時に行うことができるが、プロテアーゼによるホスホリパーゼAの加水分解を避けるためには、ホスホリパーゼAによる酵素処理後、プロテアーゼによる酵素処理を行うのが好ましい。
【0011】
ホスホリパーゼAの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.2〜100ホスホリパーゼユニット、更に好ましくは0.5〜20ホスホリパーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。ホスホリパーゼユニットとは、ホスホリパーゼの活性量を表す単位であり、1ホスホリパーゼユニットとは、pH8.0、40℃で卵黄にホスホリパーゼAを作用させた時に、卵黄中のリン脂質から、1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離する活性量である。
【0012】
プロテアーゼの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.01〜10プロテアーゼユニット、更に好ましくは0.1〜5プロテアーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。プロテアーゼユニットとは、プロテアーゼの活性量を表す単位であり、1プロテアーゼユニットとは、pH7.0、37℃でミルクカゼインにプロテアーゼを作用させた時に、1分間に1マイクロモルのチロシンに相当する呈色度を示す活性量である。
尚、ホスホリパーゼA及びプロテアーゼの併用からなる上記酵素は、次のような基準で添加しても良い。
即ち、上記酵素の添加量(合計量)は、卵黄100重量部に対し、好ましくは0.001〜0.8重量部であり、更に好ましくは0.01〜0.3重量部である。このとき、ホスホリパーゼAとプロテアーゼとの重量比は、好ましくは20/80〜90/10であり、更に好ましくは40/60〜85/15である。
【0013】
卵黄の酵素処理は、卵黄の蛋白質や酵素が熱により変性せず、また酵素の最適温度で行うのが良く、通常20〜60℃、好ましくは40〜55℃の温度範囲で行うのが良い。また、酵素処理中に攪拌機等で攪拌を行うのが有利である。
卵黄の酵素処理の際に、至適pH、通常pH5〜9の範囲に調整するのが良く、この目的のpH調整剤としては、食品用であれば特に限定されず、例えば乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、アスコルビン酸、酢酸等の酸味料や、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、食酢、果汁、発酵乳等の酸性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を用いることができる。また、卵黄の酵素処理の際に、酵素の安定剤として食品用の塩化カルシウム、リン酸二水素カルシウム等のカルシウム化合物を添加しても良い。
【0014】
卵黄の酵素処理の際の反応時間に特に制約はないが、0.5〜30時間の範囲内で行うのが良い。
ホスホリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度と、プロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は、酵素の添加量、反応温度、反応開始時のpH、酵素の安定剤の有無、反応時間の影響を受けるが、特に限定されない。例えば、ホスホリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度は、卵黄に含まれる全リン脂質の30〜100%がリゾリン脂質に分解される程度までに分解するのが良く、また、プロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は、卵黄に含まれる蛋白質の加熱凝固性が完全に失われる程度までに分解するのが良い。
このようにして得られた酵素処理卵黄に食塩や糖類を添加して、酵素処理加塩卵黄や酵素処理加糖卵黄としてもよい。
【0015】
上記酵素処理卵黄の含有量は、酸性水中油型乳化物の安定化と、風味や食感を良くするために1〜15重量%とするのが好ましく、更に好ましくは2〜13重量%、最も好ましくは4〜12重量%である。酵素処理卵黄の含有量が15重量%より多いと、得られる酸性水中油型乳化物の粘度が上昇しやすく、作業性が低下しやすい。また、酵素処理卵黄の含有量が1重量%より少ないと、加熱処理によって水中油型乳化が不安定化し乳化が破壊されやすい。
【0016】
本発明で使用するメチルセルロースとは、日本食品添加物公定書に記載されている様に、パルプをアルカリで処理してアルカリセルロースとした後、これを塩化メチルにてメチル化し、セルロースの水酸基の一部をメチル基でエーテル置換したもので,分子内に親油基であるメトキシ基と親水基である水酸基を有し、水溶性としたものである。食品添加物として市販されているものは、一般に2重量%水溶液の粘度により、各種のグレードが規格化されている。本発明で使用するメチルセルロースとしては、2重量%水溶液をJISウベローデ粘度計で20℃にて測定した時の粘度が100mpa・s以上のものが好ましく、更に好ましくは300mpa・s以上のもの、最も好ましくは500mpa・s以上のものである。
【0017】
上記メチルセルロースの含有量は、酸性水中油型乳化物の乳化の安定化と、加熱処理後の保形性の確保、酸性水中油型乳化物特有の風味や食感を良くするために0.1〜3重量%とするのが好ましく、更に好ましくは0.2〜2.5重量%、最も好ましくは0.4〜2重量%である。メチルセルロースの含有量が3重量%よりも多いと、得られる酸性水中油型乳化物の粘度が上昇しやすく、作業性が低下しやすい。また、メチルセルロースの含有量が0.1重量%よりも少ないと、加熱処理によって保形性が劣りやすく、食酢等の揮発性の呈味成分やフレーバー成分の保持が不十分となりやすい。
【0018】
本発明の酸性水中油型乳化物において、水とは、使用成分に由来する水分も含むものであり、例えば酵素処理卵黄、食酢、水飴等に由来する水分を含むものである。
この水の含有量は、好ましくは30〜85重量%、更に好ましくは35〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%である。本発明の酸性水中油型乳化物は、このように水の割合が高い状態でも加熱処理に対し安定である。水の含有量が85重量%よりも多いと、加熱処理後の保形性が不十分となりやすい。また、水の含有量が30重量%よりも少ないと、加熱処理後のクリーミーな食感が不十分となりやすい。
【0019】
本発明の酸性水中油型乳化物には、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング等の酸性水中油型乳化物に通常使用されている水溶性、油溶性、分散性の副原料を使用することができる。この様な原料として、例えば酸味料、増粘安定剤、化工澱粉、着色料、酸化防止剤、保存料、苦味料、調味料、香辛料、香料、食塩等の無機塩類、糖類、デキストリン、卵白・卵白粉末・卵黄粉末等の卵製品、クリーム・脱脂粉乳・発酵乳等の乳製品、酢漬野菜等の野菜類、等の副原料を、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができる。上記酸味料としては乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、醸造酢、果汁等が挙げられ、上記増粘安定剤としてはキサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タラガントガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、ゼラチン、微小繊維状セルロース、大豆多糖類等が挙げられ、上記化工澱粉としてはコーン、ワキシーコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米等の澱粉を起源とし、この澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したものや、酸やアルカリ、エステル化、リン酸架橋化、加熱、湿熱処理等の物理的、化学的処理を行ったもの、更にこれら化工澱粉を、水に溶解し易い様にあらかじめ加熱処理により糊化させたものが挙げられる。
これら副原料を配合する際には、通常、油溶性の副原料を油相に、水溶性の副原料を水相に溶解してから水中油型に乳化させるが、水溶性の副原料を油相に分散させても良い。
【0020】
本発明の水中油型乳化物は、例えば以下の様にして得ることができる。水に酵素処理卵黄及び必要に応じて醸造酢、食塩、水飴等の糖類、コショウ等の香辛料等を混合し分散溶解させたものを水相とし、また大豆サラダ油等の油脂にメチルセルロース及び必要に応じてワキシーコーンのアルファ化化工澱粉、キサンタンガム等を分散させたものを油相とする。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、酸性水中油型予備乳化物を得る。これをコロイドミル等の乳化機、ホモゲナイザー等の均質化機で処理し仕上げ乳化を行い、本発明の酸性水中油型乳化物が得られる。
【0021】
本発明の酸性水中油型乳化物は、例えば外食・サラダ等の惣菜用のトッピングや、製菓・製パン用のフィリング、トッピング等のようにそのまま食したり、また製菓・製パン用の焼きこみ用フィリング、トッピングとして、焼成前の生地にフィリング、トッピングして焼成したり、更に冷凍食品用に畜肉や魚介類の切り身に付着させた後、パン粉で包み込み冷凍する場合等に用いることができる。
【0022】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0023】
実施例1
加塩卵黄(食塩含量8重量%)を水酸化ナトリウムにてpH8.4に調整し、この加塩卵黄100重量部に対して豚の膵液由来のホスホリパーゼAを0.015重量部加え、40℃にて6時間処理し、次いでブロメライン0.001重量部を加え、45℃にて5時間反応させ、10℃まで冷却し、水分46重量%の酵素処理卵黄を得た。
水41重量%、水飴(水分30重量%)10重量%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)7重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%、動物性蛋白質加水分解物0.1重量%、からし粉0.5重量%、及び前記酵素処理卵黄10重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油27重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に1500mpa・sのもの)1.5重量%、及びワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、水分55重量%の本発明の酸性水中油型乳化物を得た。
この酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0024】
実施例2
実施例1で得られた酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、−20℃の冷凍庫で30日保管後、冷凍状態のまま高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0025】
比較例1
水41重量%、水飴(水分30重量%)10重量%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)7重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%、動物性蛋白質加水分解物0.1重量%、からし粉0.5重量%、及び食塩を8重量%含有した加塩卵黄(水分46.9重量%)10重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油27重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に1500mpa・sのもの)1.5重量%、及びワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、水分55重量%の酸性水中油型乳化物を得た。
この酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0026】
比較例2
比較例1で得られた酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、−20℃の冷凍庫で30日保管後、冷凍状態のまま高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0027】
比較例3
水41重量%、水飴(水分30重量%)10重量%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)7重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%、動物性蛋白質加水分解物0.1重量%、からし粉0.5重量%、及び実施例1で使用したものと同じ酵素処理卵黄10重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油27重量%、馬鈴薯起源のDE値20のデキストリン1.5重量%、及びワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、水分55重量%の酸性水中油型乳化物を得た。
この酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0028】
比較例4
比較例3で得られた酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、−20℃の冷凍庫で30日保管後、冷凍状態のまま高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0029】
実施例3
水51.3重量%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)5重量%、食塩1.5重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、粉末野菜エキス0.2重量%、からし粉0.3重量%、及び実施例1で使用したものと同じ酵素処理卵黄6重量%を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油35重量%、及びメチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に4000mpa・sのもの)0.5重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、水分59重量%の本発明の酸性水中油型乳化物を得た。
この酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0030】
実施例4
実施例3で得られた酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、−20℃の冷凍庫で30日保管後、冷凍状態のまま高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0031】
実施例5
水56.9重量%、上白糖3重量%、DE値20のデキストリン7重量%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)10重量%、食塩2.2重量%、グルタミン酸ナトリウム0.3重量%、粉末野菜エキス0.2重量%、からし粉0.3重量%、粉末胡椒0.1重量%、及び実施例1で使用したものと同じ酵素処理卵黄8重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油10重量%、及びメチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に8000mpa・sのもの)2.0重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、水分70重量%の本発明の酸性水中油型乳化物を得た。
この酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0032】
実施例6
実施例5で得られた酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、−20℃の冷凍庫で30日保管後、冷凍状態のまま高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0033】
比較例5
水41重量%、水飴(水分30重量%)10重量%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)7重量%、食塩2.6重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%、動物性蛋白質加水分解物0.1重量%、からし粉0.5重量%、及び生卵黄(水分51重量%)9.2重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油27重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に1500mpa・sのもの)1.5重量%、及びワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、水分55重量%の酸性水中油型乳化物を得た。
この酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0034】
比較例6
比較例5で得られた酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、−20℃の冷凍庫で30日保管後、冷凍状態のまま高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0035】
実施例7
加塩卵黄(食塩含量8重量%)を水酸化ナトリウムにてpH8.4に調整し、この加塩卵黄100kgに対して豚の膵液由来のホスホリパーゼAを600000ホスホリパーゼユニット加え、40℃にて6時間処理し、次いでブロメラインを15000プロテアーゼユニット加え、45℃にて5時間反応させ、10℃まで冷却し、水分46重量%の酵素処理卵黄を得た。
水41重量%、水飴(水分30重量%)10重量%、食酢(酢酸酸度10重量%、水分90重量%)7重量%、食塩1.8重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%、動物性蛋白質加水分解物0.1重量%、からし粉0.5重量%、及び前記酵素処理卵黄10重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油27重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に1500mpa・sのもの)1.5重量%、及びワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を攪拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化し、水分55重量%の本発明の酸性水中油型乳化物を得た。
この酸性水中油型乳化物50gを100mlビーカーに採取し、高周波出力500Wの電子レンジで30秒間加熱処理後の外観、食感、風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
本発明の酸性水中油型乳化物は、常温または冷凍状態から、例えば電子レンジ加熱、オーブンによる加熱、油ちょう、その他煮る・焼く・蒸す等の加熱処理、更にはレトルト加熱を行っても、乳化が破壊されず安定であり、また加熱後も、保形性が良好で、かつ食感がクリーミーで、風味が良好なものであり、本発明の酸性水中油型乳化物を用いることにより、商品性を高めた惣菜やパン製品、菓子製品、冷凍食品が得られる。
Claims (4)
- 油脂、酵素処理卵黄、メチルセルロース及び水を含有し、該酵素処理卵黄が、卵黄をホスホリパーゼA及びプロテアーゼで処理することにより得られた酵素処理卵黄であることを特徴とする酸性水中油型乳化物。
- 油脂の含有量が5〜50重量%、酵素処理卵黄の含有量が1〜15重量%、メチルセルロースの含有量が0.1〜3重量%、水の含有量が30〜85重量%である請求項1記載の酸性水中油型乳化物。
- 酵素処理卵黄が、卵黄をホスホリパーゼAで処理し、次いでプロテアーゼで処理することにより得られた酵素処理卵黄である請求項1または2記載の酸性水中油型乳化物。
- 請求項1〜3の何れかに記載の酸性水中油型乳化物の製造方法であって、メチルセルロースを添加した油相と酵素処理卵黄を添加した水相とを乳化することを特徴とする酸性水中油型乳化物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13195799A JP3912929B2 (ja) | 1999-05-12 | 1999-05-12 | 酸性水中油型乳化物 |
Applications Claiming Priority (1)
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