JP2010011786A - 酸性水中油型乳化食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マヨネーズ様食品や乳化液状ドレッシングのような酸性水中油型乳化食品において、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を保持した酸性水中油型乳化食品を提供する。
【解決手段】 卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マヨネーズ様食品や乳化液状ドレッシングのような酸性水中油型乳化食品において、特定の加工卵白を配合することにより、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を保持した酸性水中油型乳化食品に関する。
卵白は、他の蛋白質と比較しアミノ酸バランスに優れた蛋白原料であり、熱凝固性、起泡性、結着性、ゲル化能などの特殊な機能を有している。したがって、卵白は、上記特性を活かして様々な加工食品に利用されている。
しかしながら、卵白は特有の生臭さを有し、また、卵白を加熱すると、卵白の含硫アミノ酸が分解されて発生する硫化水素により、硫黄臭が発生し、卵白を配合した加工食品の風味が損なわれるという問題があった。
このような問題を解決するため、卵白を乳酸発酵させることが知られている(特開2006−320288号公報:特許文献1)。特許文献1に開示の乳酸発酵卵白は、食用油脂を含有させることなく、卵白および乳酸菌資化性糖類を含む水溶液に乳酸菌を添加して発酵させたものであり、食品に配合する際、食品本来の風味を損なうことなく、しかも食品の呈味を改善することができる卵白加工品である。
また、特許文献1は、乳酸発酵卵白を配合することにより呈味が改善された酸性水中油型乳化食品(マヨネーズ様食品)を提案している。しかしながら、特許文献1に開示の乳酸発酵卵白は、単に卵白を乳酸発酵させたものであるためか、当該乳酸発酵卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期保存を行うと、離水を生じるものがあり、酸性水中油型乳化食品の外観を損なうという問題があった。
特開2006−320288号公報 特開昭53−9353号公報
そこで、本発明の目的は、マヨネーズ様食品や乳化液状ドレッシングのような酸性水中油型乳化食品において、特定の加工卵白を配合することにより、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を保持した酸性水中油型乳化食品を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく卵白の加工方法について鋭意研究を重ねた。その結果、食用油脂を含有させた卵白混合液を特定処理した加工液卵白、さらに当該加工液卵白を乾燥した加工乾燥卵白を酸性水中油型乳化食品に配合するならば、意外にも長期間保存しても離水することなく乳化安定性が保持されることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品、
(2)前記加工液卵白に乾燥処理が施されてなる加工乾燥卵白を配合した(1)の酸性水中油型乳化食品、
(3)前記加工液卵白または前記加工乾燥卵白の配合量が酸性水中油型乳化食品全体に対し加工液卵白の固形分換算で0.1〜15%である(1)または(2)の酸性水中油型乳化食品、
(4)卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施して得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品、
(5)前記加工液卵白に乾燥処理を施して得られる加工乾燥卵白を配合した(4)の酸性水中油型乳化食品、
(6)前記加工液卵白または前記加工乾燥卵白の配合量が酸性水中油型乳化食品全体に対し加工液卵白の固形分換算で0.1〜15%である(4)または(5)の酸性水中油型乳化食品、
である。
なお、特開昭53−9353号公報(特許文献2)には、卵を用いたペースト状醗酵食品の製造方法に関し、卵として卵白が例示され、乳酸発酵卵白を製した後に当該乳酸発酵卵白と食用油脂とを均質化処理したペースト状発酵食品が示唆されている。しかしながら、得られる発酵食品は、食用油脂を本願発明と同程度含有させた場合、当該発酵食品を酸性水中油型乳化食品に配合し、長期保存を行うと、離水を生じるものがあり、酸性水中油型乳化食品の外観を損なうという問題があった。
本発明によれば、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を保持した酸性水中油型乳化食品を提供することが出来る。したがって、酸性水中油型乳化食品の更なる需要拡大が期待できる。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明は、特定の加工卵白を配合した酸性水中油型乳化食品に係る発明であるが、前記加工卵白の加工液卵白の製造方法に特徴を有することから、説明上、まず本発明で用いる加工液卵白の代表的な製造方法を中心に詳述する。
本発明の酸性水中油型乳化食品に用いる加工液卵白は、卵白および食用油脂を主成分とした加工液卵白であって、その製造方法に特徴を有する。つまり、本発明で用いる加工液卵白は、卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施すことを特徴とし、酸性水中油型乳化食品に前記加工液卵白を配合することにより、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を保持した酸性水中油型乳化食品が得られる。
上記加工液卵白で用いる卵白タンパク質としては、水分を除く卵白成分の9割が卵白タンパク質であることから、例えば、鶏等の鳥類の卵を割卵し卵黄を分離したものであり工業的に得られる生卵白、またこれを殺菌、凍結したもの、濃縮または希釈したもの、特定の成分(リゾチームやアビジン等)を除去したもの、乾燥させたものなどを用いると良い。また本発明においては、効果に影響を及ぼさない程度に卵黄やその他の卵由来の成分を含んでいても差し支えない。
また、上記加工液卵白で用いる食用油脂としては、食用に供される油脂であればいずれのもので良い。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂などが挙げられる。
本発明の酸性水中油型乳化食品に用いる加工液卵白は、まず、卵白および食用油脂を含有した卵白混合液を調製する。卵白混合液に対する卵白の含有量は卵白タンパク質換算で2〜8%、好ましくは3〜8%である。つまり、卵白タンパク質の原料として生卵白やこれを殺菌した殺菌卵白を用いた場合、五訂食品成分表2001(女子栄養大学出版部発行)によると生卵白は水分が88.4%、タンパク質が10.5%であることより、卵白混合液に対し生卵白を19〜76%、好ましくは28.5〜76%配合することとなる。また、卵白混合液に対する食用油脂の含有量は5〜20%、好ましくは5〜15%である。本発明で用いる加工液卵白は、前記卵白混合液を後述する乳酸発酵により発酵させたものである。したがって、卵白混合液中の卵白タンパク質および食用油脂の含有量は、本発明の酸性水中油型乳化食品に用いる加工液卵白中の含有量となる。
卵白混合液中の卵白タンパク質の含有量が前記範囲より少ない、あるいは食用油脂の含有量が前記範囲より少ないと、得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存したとき、離水を生じるものがあり好ましくない。一方、卵白タンパク質の含有量が前記範囲より多いと、乳酸発酵前の殺菌を兼ねた加熱処理において、全体がセットしてしまう場合があり、その後の乳酸発酵が出来ない場合がある。また、食用油脂の含有量が前記範囲より多いと、乳酸発酵が困難となる場合がある。
卵白混合液は、次工程で乳酸発酵処理を施すが、乳酸発酵の効率を改善する目的で一般的に添加されている乳酸菌資化性糖類、発酵促進物質およびpH調整材を卵白混合液に含有させることが好ましい。また、卵白にはリゾチームなどの微生物増殖抑制因子を含有するが、乳酸発酵を円滑に促進する目的で、卵白混合液の加熱殺菌も兼ねて前記因子の失活処理を施すことが好ましい。
乳酸菌資化性糖類としては、例えば、単糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン等)、二糖類(ラクトース、マルトース、スクロース、セルビオース、トレハロース等)、オリゴ糖類(特に3〜5個の単糖類が結合しているもの)、ブドウ糖果糖液糖などが挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて卵白混合液に含有させることが出来る。また、卵白混合液に対する乳酸菌資化性糖類の含有量は、1〜15%が好ましく、2〜10%がさらに好ましい。乳酸菌資化性糖類の含有量が前記範囲より少ないと、乳酸菌資化性糖類不足により発酵が十分に進行しない場合があり、一方、前記範囲より多いと浸透圧上昇により発酵が進行しにくくなる傾向がある。
発酵促進物質としては、発酵を促進するための成分、例えば、ビタミン(ニコチン酸、パントテン酸、ビオチンなど)、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、または核酸などを含んだものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、カゼイン加水分解物、卵黄、脱脂粉乳、ビタミン類、補酵素類、ミネラル類などが挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて卵白混合液に含有させることが出来る。また、卵白混合液に対する発酵促進物質の含有量は、0.1〜15%が好ましく、0.5〜10%がさらに好ましい。発酵促進物質の含有量が前記範囲より少ないと、発酵促進としての機能を発揮し難く、一方、前記範囲より多くしたとしても含有量に応じた発酵促進機能が期待し難く経済的でない。
pH調整材としては、卵白混合液中の卵白がアルカリ性を呈すること、および乳酸発酵の至適pHが5.0〜7.5であることより、酸材を用いることが好ましい。酸材としては、具体的には、例えば、乳酸、クエン酸、酢酸、塩酸などが挙げられ、本発明は乳酸発酵処理を施すことから、乳酸が好ましい。なお、pH調整材の添加量は、卵白混合液が上記至適pHとなるように添加すれば良い。また、乳酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ材と組み合わせても良い。
本発明の酸性水中油型乳化食品に用いる加工液卵白は、卵白タンパク質および食用油脂、並びに乳酸発酵の効率を改善する目的で一般的に添加されている乳酸菌資化性糖類および発酵促進物質を含有し、pH調整材により乳酸発酵の至適pHに調整した卵白混合液を、微生物増殖抑制因子の失活と加熱殺菌を兼ねて加熱処理を施すと良い。加熱処理は、卵白タンパク質が加熱変性される程度の条件で行えば良く、具体的には、60〜110℃が好ましく、70〜95℃がより好ましい。前記範囲より加熱温度が低いと卵白タンパク質中に存在する微生物増殖抑制因子の失活や殺菌が不十分で乳酸発酵が不十分となる場合があり、前記範囲より加熱温度が高いと褐変や焦げ付きにより工業的利用が困難になる場合がある。また、処理時間は、加熱温度にもよるが、1〜60分が好ましく、5〜40分がより好ましい。卵白混合液の加熱処理は、加熱による卵白タンパク質の局部的な凝固物の発生を防止するため、流動性を持たせながら行うことが好ましい。例えば、攪拌機で攪拌したり、プレートヒーターで流しながら行うなどの方法で行うと良い。
次に、得られた卵白タンパク質および食用油脂を含有した卵白混合液を乳酸発酵の至適温度、具体的には、15〜50℃に冷却した後、pHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵する。上記食用油脂を含有した卵白混合液を乳酸発酵し、その後の工程を行って得られる本発明で用いる加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上となり、得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を有する。これに対し、後述の試験例で示しているとおり食用油脂を含有しない卵白混合液を本発明と同様、乳酸発酵させ均質化処理して加工液卵白を製した後、当該加工液卵白に食用油脂を添加して再度、均質化処理したものは、粘度が800mPa・sを下回り、得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存したとき、離水を生じるものがあり好ましくない。また、乳酸発酵もpHが4.5以下となるように行わないと、得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存したとき、離水を生じるものがあり好ましくない。なお、乳酸発酵が進行するとpHが徐々に低下するが、pHが低くなり過ぎると酸により逆に乳酸菌が死滅し発酵効率が低下し、実質的にpHを3.8より低くすることが出来ない。
乳酸発酵に用いる乳酸菌は、特に限定するものではなく、一般的にヨーグルトやチーズの製造に利用される例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus bulgaricus等)、ストレプトコッカス属(Streptococcus thermophilus、Streptococcus diacetylactis等)、ラクトコッカス属(Lactococcus lactis等)、ロイコノストック属(Leuconostoc cremoris等)、エンテロコッカス属(Enterococcus faecalis)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium Bbifidum等)などが挙げられ、本発明の乳酸発酵は、これらの乳酸菌の1種または2種以上を含んだ乳酸菌スターターを用いると良い。また、乳酸発酵の条件も、一般的な条件で行うと良く、具体的には、例えば、乳酸菌スターターを1mLあたり好ましくは10〜10、さらに好ましくは10〜10になるように卵白混合液に添加し、15〜50℃で8〜72時間発酵すると良い。
次に、得られた乳酸発酵液を乳酸菌を死滅させるために加熱殺菌し殺菌発酵液を調製する。加熱殺菌は、具体的には、70〜140℃で2秒〜30分行うことが好ましく、70〜95℃で30秒〜20分行うことがより好ましい。
本発明の酸性水中油型乳化食品に用いる加工液卵白は、上記得られた殺菌発酵液を30〜55℃、好ましくは35〜50℃に冷却した後、均質化処理を施す必要がある。殺菌発酵液を冷却せずに、あるいは冷却しても冷却温度が前記範囲より高い状態で均質化処理を施すと、得られる加工液卵白は、平均粒子径が40μmより大きく、得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存したとき、離水を生じるものがあり好ましくない。一方、冷却温度が前記範囲より低い状態で均質化処理を施すと、得られる加工液卵白は、粘度が800mPa・sより低く、得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存したとき、離水を生じるものがあり好ましくない。
冷却は、工業的規模での生産性を考慮し冷却水を用いて行うと良い。また、均質化処理は、加工液卵白の平均粒子径が40μm以下となるようなせん断力に優れた均質化処理機であればいずれのものでも良い。例えば、高圧ホモゲナイザーを用いる場合は、工業規模での生産性を考慮し、圧力5〜100MPa(ゲージ圧)で処理することが好ましく、8〜70MPaで処理することがより好ましい。
均質化処理を施した上記加工液卵白は、常法に則り、室温(30℃以下)以下に冷却し、細菌面を考慮し10℃以下で冷蔵保管する。
以上の製造方法で得られた加工液卵白は、卵白タンパク質2〜8%(好ましくは3〜8%)および食用油脂5〜20%(好ましくは5〜15%)を含有し、粘度が800mPa・s以上(好ましくは1,000mPa・s以上)(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下(好ましくは30μm以下)である水中油型乳化物からなる加工液卵白であり、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。これにより、本発明の加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を有する。ここで、加工液卵白が乳酸発酵されたものとは、加工液卵白の製造工程の何れかで乳酸発酵工程を含んでいるということである。
これに対し、後述の試験例で示しているとおり卵白タンパク質を2〜8%および食用油脂を5〜20%含有した卵白混合液を乳酸発酵させることなくpHを3.8〜4.5となるように調整し、その後、均質化処理を施したものは、卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白が得られる。しかしながら、上述した加工液卵白は、加工液卵白を乳酸発酵されていないためか、本発明で用いる加工液卵白とは異なり、得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存したとき、離水を生じるものがあり好ましくない。
また、本発明で用いる加工液卵白に、例えば、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、グアガム、アラビアガム、サイリュームシードガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉などの澱粉、湿熱処理澱粉、化工澱粉などの増粘材を安定化材として添加した場合、本発明で用いる加工液卵白の上記粘度は、当該増粘材を添加していないときの粘度である。また、粘度は品温10℃のときの粘度であり、BH形粘度計を用いローター:No.5、回転数:20rpmの条件で測定し、2回転後の示度により算出した値である。
また、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、商品名「マイクロトラックMT3300EXII」)を用いて、試料をセットしてから超音波をかけることなく1.5分後に測定開始し、2.5分後に測定終了して得られた値である。
本発明で用いる加工液卵白において、粘度の上限および平均粒子径の下限については、特に規定していないが、工業的規模での生産性、並びに卵白タンパク質および食用油脂の含有量より、上述した方法で得られる加工液卵白は、粘度が20,000mPa・s以下(品温10℃)、平均粒子径が1μm以上程度である。
本発明は、長期保管を考慮し、上記本発明で用いる加工液卵白に、必要に応じデキストリンなどの賦形材や清水などの水系媒体を添加した後、乾燥処理を施した加工乾燥卵白としても良い。乾燥処理は、例えば、スプレードライ、フリーズドライ、パンドライなど、任意の方法を採用することが出来る。特に、スプレードライは、瞬時に乾燥されるためか、加工乾燥卵白中の食用油脂の油滲みが殆どなく、上述した本発明で用いる加工液卵白と同様、得られる加工乾燥卵白を配合した酸性水中油型乳化食品は、長期間保存しても離水することなく、乳化安定性を有することから好ましい。
本発明において酸性水中油型乳化食品とは、食用油脂が油滴として水相中に略均一に分散して水中油型の乳化状態が維持され、常温流通を可能ならしめるためにpHを4.6以下に調整された酸性乳化食品である。このような酸性水中油型乳化食品は、具体的には、例えば、マヨネーズ、乳化型ドレッシング等の乳化液状調味料、タルタルソース等の具材入りマヨネーズ様食品などが挙げられる。
本発明の酸性水中油型乳化食品を長期間保存した時の離水防止効果は、酸性水中油型乳化食品の粘度にかかわらず発揮されるが、酸性水中油型乳化食品の粘度が低いほど顕著に発揮される。具体的には、本発明の酸性水中油型乳化食品の粘度は200Pa・s以下が好ましく、150Pa・s以下がより好ましい。なお、酸性水中油型乳化食品の粘度は品温20℃のときの粘度であり、BH形粘度計を用いローター:No.5、回転数:2rpmの条件で測定し、2回転後の示度により算出した値である。
本発明の酸性水中油型乳化食品に用いる加工液卵白または加工乾燥卵白の配合量は、本発明の効果を奏する程度配合すれば良く、具体的には、酸性水中油型乳化食品全体に対し加工液卵白の固形分換算で0.1〜15%が好ましく、0.5〜12%がより好ましい。配合量が前記範囲より少ないと長期間保存したとき、離水を生じるものがあり好ましくなく、一方、前記範囲より配合量を多くしたとしても、それ以上の効果が期待できず経済的でないためである。なお、加工液卵白の固形分換算とは、加工液卵白を用いた場合は、当該加工液卵白から水分を除いた部分を意味し、加工乾燥卵白を用いた場合は、原料の本発明の加工液卵白から水分を除いた部分を意味し、別途添加した賦形材などは含まれない。
酸性水中油型乳化食品には、本発明の酸性水中油型乳化食品の必須原料である加工液卵白または加工乾燥卵白以外に、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油などの動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリドなどのように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂などの食用油脂、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム、アラビアガム、サイリュームシードガムなどのガム質、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋などの処理を施した加工澱粉、並びに湿熱処理澱粉などの澱粉類、澱粉分解物、デキストリン、デキストリンアルコール、オリゴ糖、オリゴ糖アルコールなどの糖類、食酢、クエン酸、乳酸、レモン果汁などの酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖などの各種調味料、卵黄、ホスホリパーゼA処理卵黄、全卵、液卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸化澱粉などの乳化材、動植物のエキス類、からし粉、胡椒などの香辛料、各種蛋白質やこれらの分解物、ダイス状のゆで卵、きゅうりのピクルス、タマネギ、パセリなどのみじん切りにした野菜などが挙げられる。
なお、本発明の酸性水中油型乳化食品は、ホスホリパーゼA処理卵黄を配合することで、長期間保存したときの離水防止効果が強化されることから好ましい。具体的には、酸性水中油型乳化食品に対するホスホリパーゼA処理卵黄の配合量は、生卵黄換算で0.5〜12%が好ましく、1〜8%がさらに好ましい。配合量が前記値より少ないと、本発明の離水防止効果が強化され難く、一方、配合量を前記値より多くしたとしても、配合量に応じた効果が期待し難く経済的でないため好ましくないからである。ここで、ホスホリパーゼA処理卵黄とは、卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質(卵黄リン脂質、卵黄油およびコレステロール等の卵黄脂質と卵黄蛋白の複合体)の構成リン脂質にリン脂質分解酵素であるホスホリパーゼAあるいはホスホリパーゼAを作用させてリン脂質の1位あるいは2位の脂肪酸残基を加水分解してリゾリン脂質とした卵黄をいう。また、ホスホリパーゼA処理卵黄の前記酵素処理による加水分解の程度としては、リゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの合計量に対するリゾホスファチジルコリンの割合がイアトロスキャン法(TLC−FID法)で分析した場合、その値(本発明の「リゾ化率」)が、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。リゾ化率が前記値より低いと、本発明の離水防止効果の更なる改善が得られず、好ましくないからである。
また、本発明の酸性水中油型乳化食品の製造方法は、上述の加工液卵白または加工乾燥卵白を配合させる以外は、酸性水中油型乳化食品の常法に則り製造すればよく、例えば、上述の加工液卵白を含む水相原料をミキサー等で攪拌させながら油相原料と注加して粗乳化し、次にコロイドミル、高圧ホモゲナイザーなどで仕上げ乳化をした後、ボトル容器やガラス容器などに充填密封するなどの方法が挙げられる。
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[実施例1]
<本発明品用加工液卵白の製造方法1>
生卵白34部(卵白タンパク質3.6部)、菜種油10部、スクロース6部、生卵黄0.5部、酵母エキス0.05部、50%乳酸0.15部及び清水49.3部からなる卵白混合液100部(pH6.8)を攪拌、調製した。得られた卵白混合液を高速で攪拌させながら85℃で30分間加熱した後、冷水により35℃まで冷却し、次いで乳酸菌スターター0.01部(Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus)を添加し、35℃で48時間発酵しpH4.2とした。次に、発酵液を85℃で5分間加熱殺菌した後、冷水により40℃まで冷却し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し本発明品用加工液卵白1を製した。なお、得られた本発明品用加工液卵白1は、卵白タンパク質を3.6%、食用油脂を10%含有し、粘度が2,200mPa・s(品温10℃)、pHが4.2、平均粒子径が25μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
<マヨネーズ様食品の製造方法>
下記に示す配合割合でマヨネーズ様食品を製した。つまり、上記本発明品用加工液卵白1、食酢、生卵黄、食塩、グルタミン酸ソーダ、胡椒、キサンタンガム、清水をミキサーに入れ、攪拌しながら(320rpm)植物油を徐々に添加して粗乳化し、更にコロイドミル(3500rpm)に通して仕上げ乳化を施した。次に、得られた乳化物を容量300gの三層のラミネート容器に充填することにより本発明品のマヨネーズ様食品を製した。なお、マヨネーズ様食品に対する本発明品用加工液卵白1の配合量は、固形分換算で約6%である。
<マヨネーズ様食品の配合割合>
(油相)
植物油 40%
(水相)
加工液卵白(実施例1) 30%
食酢(酸度5%) 20%
生卵黄 3%
食塩 1.5%
グルタミン酸ソーダ 0.3%
胡椒 0.1%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
[実施例2]
<本発明品用加工液卵白の製造方法2>
生卵白50部(卵白タンパク質5.3部)、菜種油12部、スクロース6部、生卵黄0.5部、酵母エキス0.05部、50%乳酸0.15部及び清水31.3部からなる卵白混合液100部(pH7.0)を攪拌、調製した。得られた卵白混合液を高速で攪拌させながら75℃で15分間加熱した後、冷水により35℃まで冷却し、次いで乳酸菌スターター0.01部(Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus)を添加し、35℃で24時間発酵しpH4.4とした。次に、発酵液を85℃で5分間加熱殺菌した後、冷水により45℃まで冷却し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて30MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し本発明品用加工液卵白2を製した。なお、得られた本発明品用加工液卵白2は、卵白タンパク質を5.3%、食用油脂を12%含有し、粘度が7,200mPa・s(品温10℃)、pHが4.4、平均粒子径が18μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
<マヨネーズ様食品の調製>
実施例1のマヨネーズ様食品において、実施例1で用いた本発明品用加工液卵白1を、前記本発明品用加工液卵白2に置換した以外は、実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製した。なお、マヨネーズ様食品に対する本発明品用加工液卵白2の配合量は、固形分換算で約7.2%である。
[比較例1]
<比較品用加工液卵白の製造方法1>
本発明品用加工液卵白の製造方法1において、菜種油10部を除いた配合で、本発明品用加工液卵白の製造方法1の全工程と同様の方法で食用油脂を含有しない乳酸発酵させた加工液卵白を製した後、当該加工液卵白90部に菜種油10部を添加混合し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し比較品用加工液卵白1を製した。なお、得られた比較品用加工液卵白1は、卵白タンパク質を3.6%、食用油脂を10%含有し、粘度が700mPa・s(品温10℃)、pHが4.2、平均粒子径が22μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
<マヨネーズ様食品の調製>
実施例1のマヨネーズ様食品において、実施例1で用いた本発明品用加工液卵白1を、前記比較品用加工液卵白1に置換した以外は、実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製した。
[比較例2]
<比較品用加工液卵白の製造方法2>
本発明品用加工液卵白の製造方法1において、本発明品用加工液卵白の製造方法1と同様の配合で、本発明品用加工液卵白の製造例1の乳酸菌を添加する前までの工程を行った後、50%乳酸でpHを4.2に調整し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し比較品用加工液卵白2を製した。なお、得られた比較品用加工液卵白2は、卵白タンパク質を3.6%、食用油脂を10%含有し、粘度が1,500mPa・s(品温10℃)、pHが4.2、平均粒子径が21μmである水中油型乳化物からなるものであるが、加工液卵白が乳酸発酵されたものでない。
<マヨネーズ様食品の調製>
実施例1のマヨネーズ様食品において、実施例1で用いた本発明品用加工液卵白1を、前記比較品用加工液卵白2に置換した以外は、実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製した。
[試験例1]
実施例1および2、並びに比較例1および2で調製したマヨネーズ様食品を用いて、保存促進試験を行うことにより、使用する加工液卵白の製造方法の違いによる酸性水中油型乳化食品の離水への影響を調べた。つまり、各マヨネーズ様食品10本を35℃で4週間保存し、保存後のマヨネーズ様食品を目視で観察し、離水状態を下記の評価基準で評価した。なお、本発明において、35℃で1週間の保存は、常温(20℃)で1ヶ月間の保存に相当する。また、得られたマヨネーズ様食品は、いずれも粘度が150Pa・s以下である。
Figure 2010011786
<乳酸発酵>
○:加工液卵白が乳酸発酵している。
×:加工液卵白が乳酸発酵していない。
<評価基準>
◎:10本とも殆ど離水が観察されない。
○:1本以上が僅かに離水が観察されるものの問題とならない程度である。
△:1本以上が少量離水している。
×:1本以上が明らかに離水している。
表1より、乳酸発酵した油脂不含有の加工液卵白に食用油脂を添加し均質化処理した比較品用加工液卵白1は、平均粒子径が40μm以下であるが、粘度が800mPa・sより低く、当該加工液卵白を配合したマヨネーズ様食品は、保存中に1本以上が少量離水していた。また、乳酸発酵していない比較品用加工液卵白2は、粘度も800mPa・s以上であり、平均粒子径も40μm以下であるが、当該加工液卵白を配合したマヨネーズ様食品は、保存中に1本以上が明らかに離水していた。これに対し、油脂含有の状態で乳酸発酵した本発明用加工液卵白1および2は、粘度が800mPa・s以上、平均粒子径が40μm以下であり、これを配合したマヨネーズ様食品は、10本とも殆ど離水が観察されなかった。
[試験例2]
実施例1の本発明品用加工液卵白の製造方法1において、生卵白および菜種油の含有量を変えて下記表の卵白タンパク質および食用油脂の含有量の加工液卵白を本発明品用加工液卵白の製造方法1と同様の方法で調製した。次に、実施例1のマヨネーズ様食品において、実施例1で用いた本発明品用加工液卵白1を、各加工液卵白に置換した以外は、実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製し、各加工液卵白の卵白タンパク質および食用油脂の含有量の違いによる酸性水中油型乳化食品の離水への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれも粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、得られたマヨネーズ様食品は、いずれも粘度が150Pa・s以下である。また、保存促進試験は、試験例1と同様に各マヨネーズ様食品10本を35℃で4週間保存し、保存後のマヨネーズ様食品を目視で観察し、評価した。
Figure 2010011786
表2より、卵白タンパク質の含有量が2%より少ない加工液卵白、あるいは食用油脂が5%より少ない加工液卵白は、これを配合したマヨネーズ様食品は、保存中に1本以上が少量あるいは明らかに離水していた。これに対し卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有した加工液卵白は、これを配合したマヨネーズ様食品は、保存中に10本とも殆ど離水が観察されなかったか、あるいは離水が問題とならない程度であった。
[試験例3]
実施例1の本発明品用加工液卵白の製造方法1において、乳酸発酵し加熱殺菌した後の冷却温度を下記表の温度まで行った以外は、本発明品用加工液卵白の製造方法1と同様の方法で加工液卵白を調製した。次に、実施例1のマヨネーズ様食品において、実施例1で用いた本発明品用加工液卵白1を、各加工液卵白に置換した以外は、実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製し、各加工液卵白の冷却温度の違いによる酸性水中油型乳化食品の離水への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれもpHが3.8〜4.5である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、得られたマヨネーズ様食品は、いずれも粘度が150Pa・s以下である。また、保存促進試験は、試験例1と同様に各マヨネーズ様食品10本を35℃で4週間保存し、保存後のマヨネーズ様食品を目視で観察し、評価した。
Figure 2010011786
表3より、冷却を55℃より高い状態までしか冷却を行わなかった加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)であるが、平均粒子径が40μmより大きく、これを配合したマヨネーズ様食品は、保存中に1本以上が少量離水していた。また、冷却を30℃より低い状態まで行った加工液卵白は、平均粒子径が40μm以下であるが、粘度が800mPa・s(品温10℃)より低く、これを配合したマヨネーズ様食品は、保存中に1本以上が少量離水していた。これに対し、冷却を30〜55℃まで行った加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、平均粒子径が40μm以下であり、これを配合したマヨネーズ様食品は、保存中に10本とも殆ど離水が観察されなかったか、あるいは離水が問題とならない程度であった。特に、冷却を35〜50℃まで行った加工液卵白は、粘度が1,000mPa・s以上(品温10℃)、平均粒子径が30μm以下であり、これを配合したマヨネーズ様食品は、保存中に10本とも殆ど離水が観察されなかった。
[試験例4]
実施例1の本発明品用加工液卵白の製造方法1において、乳酸発酵を下記表のpHとなるように処理時間を変えた以外は、本発明品用加工液卵白の製造方法1と同様の方法で加工液卵白を調製した。次に、実施例1のマヨネーズ様食品において、実施例1で用いた本発明品用加工液卵白1を、各加工液卵白に置換した以外は、実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製し、各加工液卵白の乳酸発酵の程度の違い(pHの違い)による酸性水中油型乳化食品の離水への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれも粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、得られたマヨネーズ様食品は、いずれも粘度が150Pa・s以下である。また、保存促進試験は、試験例1と同様に各マヨネーズ様食品10本を35℃で4週間保存し、保存後のマヨネーズ様食品を目視で観察し、評価した。
Figure 2010011786
表4より、pHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵させた加工液卵白を配合したマヨネーズ様食品は、保存中に10本とも殆ど離水が観察されなかった。
[実施例3]
実施例1で得られた加工液卵白20部、デキストリン6部および清水74部を混合した後、当該混合液を送風温度160℃、排風温度65℃の条件でスプレードライし本発明品用加工乾燥卵白3を製した。次に実施例1のマヨネーズ様食品において、実施例1で用いた本発明品用加工液卵白1(配合量30%)を、前記本発明品用加工乾燥卵白3(配合量15%)に置換した以外は、実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製した。なお、マヨネーズ様食品に対する本発明品用加工乾燥卵白3の配合量は、固形分換算で約6%である。また、得られたマヨネーズ様食品の粘度は130Pa・sである。
実施例3で得られたマヨネーズ様食品10本を常温(20℃)で4ヵ月間保存したところ、マヨネーズ様食品は保存中に10本とも殆ど離水が観察されなかった。
[実施例4]
実施例1において、本発明品用加工液卵白1(配合量30%)に代えて本発明品用加工液卵白の製造方法2で得られた本発明品用加工液卵白2(配合量3%)とした以外は実施例1と同様の方法でマヨネーズ様食品を製した。なお、マヨネーズ様食品に対する本発明品用加工液卵白2の配合量は、固形分換算で約0.7%である。また、得られたマヨネーズ様食品は、粘度が45Pa・sである。
実施例4で得られたマヨネーズ様食品10本を常温(20℃)で4ヵ月間保存したところ、マヨネーズ様食品は保存中に1本以上が僅かに離水が観察されるものの問題とならない程度であった。
[実施例5]
<乳化液状ドレッシングの製造方法>
下記の配合割合に準じ、実施例1で得られた加工液卵白及びその他の水相原料を混合し、ミキサーで均一に攪拌し、水相部を調製した。次いで、得られた水相部を攪拌させながら油層の植物油を徐々に注加して粗乳化物を製し、更に高速で攪拌して仕上げ乳化を行った。得られた乳化物をゆっくり攪拌させながら70℃に加熱し、70℃で5分間加熱処理を施した後、250mL容量のポリエチレンテレフタレート製の容器(以下、PET容器)に充填し、乳化液状ドレッシングを製した。なお、マヨネーズ様食品に対する本発明品用加工液卵白1の配合量は、固形分換算で約0.4%であり、ホスホリパーゼA処理卵黄の配合量は、生卵黄換算で約3%である。また、得られた乳化液状ドレッシングの粘度は40Pa・sである。
<乳化液状ドレッシングの配合割合>
(油相)
植物油 30%
(水相)
食酢(酸度5%) 15%
グラニュー糖 5%
ホスホリパーゼA処理卵黄 3%
(リゾ化率30%)
食塩 2.5%
加工液卵白(実施例1) 2%
グルタミン酸ソーダ 0.2%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
実施例5で得られた乳化液状ドレッシング10本を常温(20℃)で6ヵ月間保存したところ、4ヶ月経過時、6ヶ月経過時共に、乳化液状ドレッシングは保存中に10本とも殆ど離水が観察されなかった。なお、実施例5の乳化液状ドレッシングの配合において、ホスホリパーゼA処理卵黄を生卵黄に置換したサンプルは4ヶ月経過時では、保存中に10本とも殆ど離水が観察されなかったが、6ヶ月経過時では、保存中に1本以上が少量離水していた。このことにより、ホスホリパーゼA処理卵黄を配合することで、酸性水中油型乳化食品を長期間保存したときの離水防止効果が強化されることが理解される。

Claims (6)

  1. 卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品。
  2. 前記加工液卵白に乾燥処理が施されてなる加工乾燥卵白を配合した請求項1記載の酸性水中油型乳化食品。
  3. 前記加工液卵白または前記加工乾燥卵白の配合量が酸性水中油型乳化食品全体に対し加工液卵白の固形分換算で0.1〜15%である請求項1または2記載の酸性水中油型乳化食品。
  4. 卵白タンパク質2〜8%および食用油脂5〜20%を含有した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施して得られる加工液卵白を配合した酸性水中油型乳化食品。
  5. 前記加工液卵白に乾燥処理を施して得られる加工乾燥卵白を配合した請求項4記載の酸性水中油型乳化食品。
  6. 前記加工液卵白または前記加工乾燥卵白の配合量が酸性水中油型乳化食品全体に対し加工液卵白の固形分換算で0.1〜15%である請求項4または5記載の酸性水中油型乳化食品。
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