JP5089644B2 - パン生地又はパン - Google Patents

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Description

本発明は、焼成等により加熱した後、時間が経過してもしっとりした食感を保持したパン生地又はパンに関する。
パンは、小麦粉等の穀粉を主体とした原料に水を加え、混捏し、必要に応じて発酵したパン生地を焼成等により加熱することで製造される食卓に欠かせない食品の一つである。種類も多く、さまざまなパンが市販されており、近年しっとり感のあるものが好まれる傾向にあるが、焼成等により加熱直後はしっとりとしていても経時的にしっとりした食感が失われ、パサついた食感となり、商品価値を著しく低下させるといった問題があった。
食感を改善する方法として、例えば特許文献1には、パン用酵素製剤及びジグリセリン脂肪酸エステルをパン生地中に添加することが記載されている。また、合成添加物を用いずに食感を改善する方法として、例えば特許文献2には、麹粉末、デンプン糖を含む食用油脂をパン生地中に添加することが記載されている。
しかしながら酵素や乳化剤を添加すると、パンの風味を損ない易いという問題があった。更に、特許文献1、2に記載された方法では、経時的にパンが乾燥してソフトではあるがパサパサとした食感になり易く、しっとりした食感が充分に保持されないといった問題があった。
特開平10−215757号公報 特開2005−295920号公報 特開昭53−9353号公報 特開2006−320288号公報
本発明の目的は、焼成等により加熱した後、時間が経過してもしっとりした食感を保持したパン生地又はパンを提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、食用油脂を配合させた卵白混合液を特定処理した加工液卵白、さらに当該加工液卵白を乾燥した加工卵白をパン生地又はパンに配合するならば、意外にも、焼成等により加熱した後、時間が経過してもしっとりした食感を保持したパン生地又はパンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)乳酸発酵されてなり、かつ、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白を配合することを特徴とするパン生地又はパン、
(2)上記加工液卵白が、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施して得られる加工液卵白である(1)記載のパン生地又はパン、
(3)上記加工液卵白に乾燥処理を施して製した加工乾燥卵白を配合した(1)又は(2)記載のパン生地又はパン、
(4)上記加工液卵白の配合量が、穀粉100部に対し固形分換算で0.05〜15部である請求項1又は2のいずれかに記載のパン生地又はパン、
(5)上記加工乾燥卵白の配合量が、穀粉100部に対し固形分換算で0.05〜15部である請求項3に記載のパン生地又はパン、
である。
なお、特開昭53−9353号公報(特許文献3)には、卵を用いたペースト状発酵食品の製造方法に関し、卵として卵白が例示され、加工液卵白又は加工乾燥卵白を製した後に当該加工液卵白又は加工乾燥卵白と食用油脂とを均質化処理したペースト状発酵食品が示唆されている。しかしながら、得られる発酵食品は、食用油脂を本願発明と同程度配合させた場合、当該発酵食品を配合して製したパン生地又はパンは、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれ、パサつきが生じた。
また、本出願人は、既に加工液卵白又は加工乾燥卵白を含む呈味改善剤に係る発明を出願している(特開2006−320288号公報:特許文献4)。特許文献4に開示の加工液卵白又は加工乾燥卵白は、食用油脂を配合させることなく、卵白及び乳酸菌資化性糖類を含む水溶液に乳酸菌を添加して発酵させたものである。しかしながら、上記加工液卵白又は加工乾燥卵白を配合して製したパン生地又はパンは、特許文献3のペースト状発酵食品と同様、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれ、パサつきが生じる場合があった。
本発明によれば、焼成等により加熱した後、時間が経過しても、しっとりした食感を保持するパン生地又はパンを提供することができる。これにより、パン生地又はパン市場の更なる需要の拡大が期待される。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明のパン生地又はパンは、特定の加工卵白を配合することを特徴とし、これにより、焼成等により加熱した後、時間が経過してもしっとりした食感を保持することができる。前記加工卵白の加工液卵白の製造方法に特徴を有することから、説明上、まず本発明で用いる加工液卵白の代表的な製造方法を中心に詳述する。
本発明のパン生地又はパンに用いる加工液卵白は、卵白及び食用油脂を主成分とした加工液卵白であって、その製造方法に特徴を有する。つまり、本発明で用いる加工液卵白は、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施すことを特徴とし、前記加工液卵白をパン生地又はパンに配合すれば、焼成等により加熱した後、時間が経過しても、しっとりした食感を保持するパン生地又はパンが得られる。
上記加工液卵白で用いる卵白蛋白質としては、水分を除く卵白成分の9割が卵白蛋白質であることから、例えば、鶏等の鳥類の卵を割卵し卵黄を分離したものであり工業的に得られる生卵白、またこれを殺菌、凍結したもの、濃縮又は希釈したもの、特定の成分(リゾチームやアビジン等)を除去したもの、乾燥させたもの等を用いると良い。また本発明においては、効果に影響を及ぼさない程度に卵黄やその他の卵由来の成分を含んでいても差し支えない。
また、上記加工液卵白で用いる食用油脂としては、食用に供される油脂であればいずれのもので良い。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂等が挙げられる。
本発明のパン生地又はパンに用いる加工液卵白は、まず、卵白及び食用油脂を配合した卵白混合液を調製する。卵白混合液に対する卵白の配合量は卵白蛋白質換算で2〜8%、好ましくは3〜8%である。つまり、卵白蛋白質の原料として生卵白やこれを殺菌した殺菌卵白を用いた場合、五訂食品成分表2001(女子栄養大学出版部発行)によると生卵白は水分が88.4%、蛋白質が10.5%であることより、卵白混合液に対し生卵白を19〜76%、好ましくは28.5〜76%配合することとなる。また、卵白混合液に対する食用油脂の配合量は5〜20%、好ましくは5〜15%である。本発明の加工液卵白は、上記卵白混合液を後述する乳酸発酵により発酵させたものである。したがって、卵白混合液中の卵白蛋白質及び食用油脂の配合量は、本発明のパン生地又はパンに用いる加工液卵白中の配合量となる。
卵白混合液中の卵白蛋白質の含有量が上記範囲より少ない、あるいは食用油脂の配合量が上記範囲より少ないと、得られる加工液卵白をパン生地又はパンに配合しても、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれる場合がある。一方、卵白蛋白質の含有量が上記範囲より多いと、乳酸発酵前の殺菌を兼ねた加熱処理において、全体がセットしてしまう場合があり、その後の乳酸発酵が出来ない場合がある。また、食用油脂の配合量が上記範囲より多いと、乳酸発酵が困難となる場合がある。
卵白混合液は、次工程で乳酸発酵処理を施すが、乳酸発酵の効率を改善する目的で一般的に添加されている乳酸菌資化性糖類、発酵促進物質及びpH調整剤を卵白混合液に配合することが好ましい。また、卵白にはリゾチーム等の微生物増殖抑制因子を含有するが、乳酸発酵を円滑に促進する目的で、卵白混合液の加熱殺菌も兼ねて上記因子の失活処理を施すことが好ましい。
乳酸菌資化性糖類としては、例えば、単糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン等)、二糖類(ラクトース、マルトース、スクロース、セルビオース、トレハロース等)、オリゴ糖類(特に3〜5個の単糖類が結合しているもの)、ブドウ糖果糖液糖等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて卵白混合液に配合することが出来る。また、卵白混合液に対する乳酸菌資化性糖類の配合量は、1〜15%が好ましく、2〜10%がさらに好ましい。乳酸菌資化性糖類の配合量が上記範囲より少ないと、乳酸菌資化性糖類不足により発酵が十分に進行しない場合があり、一方、上記範囲より多いと浸透圧上昇により発酵が進行しにくくなる傾向がある。
発酵促進物質としては、発酵を促進するための成分、例えば、ビタミン(ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン等)、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、又は核酸等を含んだものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、カゼイン加水分解物、卵黄、脱脂粉乳、ビタミン類、補酵素類、ミネラル類等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて卵白混合液に配合することが出来る。また、卵白混合液に対する発酵促進物質の配合量は、1〜20%が好ましく、2〜20%がさらに好ましい。発酵促進物質の配合量が上記範囲より少ないと、発酵促進としての機能を発揮し難く、一方、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じた発酵促進機能が期待し難く経済的でない。
pH調整剤としては、卵白混合液中の卵白がアルカリ性を呈すること、及び乳酸発酵の至適pHが5.0〜7.5であることより、酸剤を用いることが好ましい。酸剤としては、具体的には、例えば、乳酸、クエン酸、酢酸、塩酸等が挙げられ、本発明は乳酸発酵処理を施すことから、乳酸が好ましい。なお、pH調整剤の添加量は、卵白混合液が上記至適pHとなるように添加すれば良い。また、乳酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤と組み合わせても良い。
本発明のパン生地又はパンに用いる加工液卵白は、卵白蛋白質及び食用油脂、並びに乳酸発酵の効率を改善する目的で一般的に添加されている乳酸菌資化性糖類及び発酵促進物質を配合し、pH調整剤により乳酸発酵の至適pHに調整した卵白混合液を、微生物増殖抑制因子の失活と加熱殺菌を兼ねて加熱処理を施すと良い。加熱処理は、卵白蛋白質が加熱変性される程度の条件で行えば良く、具体的には、60〜110℃が好ましく、70〜95℃がより好ましい。上記範囲より加熱温度が低いと卵白蛋白質中に存在する微生物増殖抑制因子の失活や殺菌が不十分で乳酸発酵が不十分となる場合があり、上記範囲より加熱温度が高いと褐変や焦げ付きにより工業的利用が困難になる場合がある。また、処理時間は、加熱温度にもよるが、1〜60分が好ましく、5〜40分がより好ましい。卵白混合液の加熱処理は、加熱による卵白蛋白質の局部的な凝固物の発生を防止するため、流動性を持たせながら行うことが好ましい。例えば、攪拌機で攪拌したり、プレートヒーターで流しながら行う等の方法で行うと良い。
次に、得られた卵白蛋白質及び食用油脂を配合した卵白混合液を乳酸発酵の至適温度、具体的には、15〜50℃に冷却した後、pHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵する。上記食用油脂を配合した卵白混合液を乳酸発酵し、その後の工程を行って得られる本発明で用いる加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上となり、パン生地又はパンに配合すると、焼成等により加熱した後、時間が経過しても、しっとりした食感が保持される。これに対し、後述の試験例で示しているとおり食用油脂を配合しない卵白混合液を本発明と同様、乳酸発酵させ均質化処理して加工液卵白を製した後、当該加工液卵白に食用油脂を添加して再度、均質化処理した際には、粘度が800mPa・sを下回り、パン生地又はパンに配合しても、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれて好ましくない。また、乳酸発酵もpHが4.5以下となるように行わないと、パン生地又はパンに配合しても、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれて好ましくない。なお、乳酸発酵が進行するとpHが徐々に低下するが、pHが低くなり過ぎると酸により逆に乳酸菌が死滅し発酵効率が低下し、実質的にpHを3.8より低くすることが出来ない。
乳酸発酵に用いる乳酸菌は、特に限定されるものではなく、一般的にヨーグルトやチーズの製造に利用される例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus bulgaricus等)、ストレプトコッカス属(Streptococcus thermophilus、Streptococcus diacetylactis等)、ラクトコッカス属(Lactococcus lactis等)、ロイコノストック属(Leuconostoc cremoris等)、エンテロコッカス属(Enterococcus faecalis)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium Bbifidum等)等が挙げられ、本発明の乳酸発酵は、これらの乳酸菌の1種又は2種以上を含んだ乳酸菌スターターを用いると良い。また、乳酸発酵の条件も、一般的な条件で行うと良く、具体的には、例えば、乳酸菌スターターを1mLあたり好ましくは10〜10、さらに好ましくは10〜10になるように卵白混合液に添加し、15〜50℃で8〜72時間発酵すると良い。
次に、得られた乳酸発酵液を乳酸菌を死滅させるために加熱殺菌し殺菌発酵液を調製する。加熱殺菌は、具体的には、70〜140℃で2秒〜30分行うことが好ましく、70〜95℃で30秒〜20分行うことがより好ましい。
本発明のパン生地又はパンに用いる加工液卵白は、上記で得られた殺菌発酵液を30〜55℃、好ましくは35〜50℃に冷却した後、均質化処理を施す必要がある。殺菌発酵液を冷却せずに、あるいは冷却しても冷却温度が上記範囲より高い状態で均質化処理を施すと、得られる加工液卵白は、平均粒子径が40μmより大きく、パン生地又はパンに配合しても、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれて好ましくない。一方、冷却温度が上記範囲より低い状態で均質化処理を施すと、得られる加工液卵白は、粘度が800mPa・sより低く、パン生地又はパンに配合しても、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれて好ましくない。
冷却は、工業的規模での生産性を考慮し冷却水を用いて行うと良い。また、均質化処理は、加工液卵白の平均粒子径が40μm以下となるようなせん断力に優れた均質化処理機であればいずれのものでも良い。例えば、高圧ホモゲナイザーを用いる場合は、工業規模での生産性を考慮し、圧力5〜100MPa(ゲージ圧)で処理することが好ましく、8〜70MPaで処理することがより好ましい。
均質化処理を施した上記加工液卵白は、常法に則り、室温(30℃以下)以下に冷却し、細菌面を考慮し10℃以下で冷蔵保管する。
以上の製造方法で得られた加工液卵白は、卵白蛋白質2〜8%(好ましくは3〜8%)及び食用油脂5〜20%(好ましくは5〜15%)を配合し、粘度が800mPa・s以上(好ましくは1,000mPa・s以上)(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下(好ましくは30μm以下)である水中油型乳化物からなる加工液卵白であり、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。これにより、本発明のパン生地又はパンに用いる加工液卵白は、パン生地又はパンに配合すると、焼成等により加熱した後、時間が経過しても、しっとりした食感を保持する。ここで、加工液卵白が乳酸発酵されたものとは、加工液卵白の製造工程の何れかで乳酸発酵工程を含んでいるということである。
これに対し、後述の試験例で示しているとおり卵白蛋白質を2〜8%及び食用油脂を5〜20%配合した卵白混合液を乳酸発酵させることなくpHを3.8〜4.5となるように調整し、その後、均質化処理を施したものは、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白が得られる。しかしながら、上述した加工液卵白は、加工液卵白を乳酸発酵されていないためか、本発明で用いる加工液卵白と同様にパン生地又はパンに配合しても、焼成等により加熱した後、経時的にしっとりした食感が損なわれて好ましくない。
また、本発明で用いる加工液卵白に、例えば、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、グアガム、アラビアガム、サイリュームシードガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の増粘剤を安定化剤として添加した場合、本発明で用いる加工液卵白の上記粘度は、当該増粘剤を添加していない時の粘度である。また、粘度は品温10℃の時の粘度であり、BH形粘度計を用いローター:No.5、回転数:20rpmの条件で測定し、2回転後の示度により算出した値である。
また、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、商品名「マイクロトラックMT3300EXII」)を用いて、試料をセットしてから超音波をかけることなく1.5分後に測定開始し、2.5分後に測定終了して得られた値である。
本発明で用いる加工液卵白において、粘度の上限及び平均粒子径の下限については、特に規定していないが、工業的規模での生産性、並びに卵白蛋白質及び食用油脂の配合量より、上述した方法で得られる加工液卵白は、粘度が20,000mPa・s以下(品温10℃)、平均粒子径が1μm以上程度である。
本発明は、長期保管を考慮し、上記本発明で用いる加工液卵白に、必要に応じデキストリン等の賦形材や清水等の水系媒体を添加した後、乾燥処理を施した加工乾燥卵白としても良い。乾燥処理は、例えば、スプレードライ、フリーズドライ、パンドライ等、任意の方法を採用することが出来る。特に、スプレードライは、瞬時に乾燥されるためか、加工液卵白の物性が良く保持され、上述した本発明で用いる加工液卵白と同様、パン生地又はパンに配合すると、焼成等により加熱した後、時間が経過しても、しっとりした食感が保持され易いことから好ましい。
本発明のパン生地は、薄力粉、強力粉、全粒粉等の小麦粉、もち米粉、うるち米粉、上新粉等の米粉、大麦粉、ライ麦粉、玄米粉、そば粉、とうもろこし粉等の1種又は2種以上を組み合わせた穀粉を主原料とし、これに水を加え、混捏し、必要に応じて発酵した生地であれば、特に制限はなく、その生地調製過程において生地を冷凍した冷凍パン生地も含む。また、生地を冷凍する過程は、大きく分けて発酵前と発酵後に分けられるが、本発明においては何れの過程を経て製した冷凍パン生地も含む。
本発明のパンは、上述のパン生地を必要に応じて発酵した後に、焼成等により加熱したものであれば特に制限はない。このような本発明のパンとしては、具体的には、例えば、クロワッサン、テーブルロール、バターロール、コッペパン、ジャムパン、アンパン、クリームパン、フランスパン、グラハムパン、山型食パン、プルマン型食パン、バンズパン、フォカッチャ、べーグル、ブリオッシュ及び蒸しパン等が挙げられる。
なお、本発明のパン生地又はパンには、上述したもの以外に、本発明の効果を損わない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、キサンタンガム、タマリンドシードガム、グアガム、アラビアガム、サイリュームシードガム等の増粘剤、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、ペクチン、プルラン、マンナン、ガラクトマンナン、キチン、キトサン、デキストリン等のゲル化剤、グルコース、ショ糖、乳糖、麦芽糖、オリゴ糖、ぶどう糖果糖液糖、水飴、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、トレハロース、パラチノース等の甘味料、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、オリゴ糖アルコール、分岐オリゴ糖アルコール、デキストリンアルコール等の糖アルコール類、難消化性デキストリン、結晶セルロース、アップルファイバー等の食物繊維、セラミド、イソフラボン、コエンザイムQ10、コラーゲン等の美容原料、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸化澱粉等の乳化剤、菜種油、卵黄油、ショートニング、バター、マーガリン、ラード等の油脂類、クルミ、アーモンド、ゴマ等のナッツ類、レーズン、アンズ、ブルーベリー、クランベリー等の果実類、人参、トマト、ホウレンソウ等の野菜類、粉乳、生乳、練乳、チーズ、生クリーム、ヨーグルト等の乳製品、食塩、醤油、味噌、胡椒、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、動植物由来のエキス類、アミノ酸、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、各種ペプチド、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸等の有機酸又はその塩、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ナイアシン等のビタミン類、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等のミネラル類又はその塩、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、香辛料、グレープフルーツフレーバー、オレンジフレーバー、りんごフレーバー、レモンフレーバー等の香料、イーストフード、湿熱処理澱粉、加工澱粉、色素等が挙げられる。
本発明のパン生地又はパンにおいて、上記本発明で用いる加工液卵白の配合量は、本発明の効果を奏する程度配合すれば良く、穀粉100部に対し加工液卵白の固形分換算で0.05〜15部が好ましく、0.1〜10部がより好ましい。加工液卵白の配合量が上記範囲より少ないと本発明の効果である焼成等により加熱した後のパンにおけるしっとりした食感の保持能力が発揮されない場合があり、一方、上記範囲より配合量を多くしたとしても、それ以上の効果が期待できず経済的でないためである。なお、加工液卵白の固形分換算とは、加工液卵白を用いた場合は、当該加工液卵白から水分を除いた部分を意味し、加工乾燥卵白を用いた場合は、原料の本発明の加工液卵白から水分を除いた部分を意味し、別途添加した賦形材等は含まれない。また、本発明のパン生地又はパンに用いる穀粉は、穀類の粉の一種又は二種以上を組み合わせたものをいう。穀類の粉であればその種類を特に限定するものではないが、例えば、薄力粉、強力粉、全粒粉等の小麦粉、もち米粉、うるち米粉、上新粉等の米粉、大麦粉、ライ麦粉、玄米粉、そば粉、とうもろこし粉等が挙げられる。
本発明のパン生地又はパンの製造方法は、本発明で用いる乳酸発酵した加工卵白を、常法に則り製造したパン生地又はパンに配合したものであればよく、例えば、以下のように製造することができる。公知の直捏法(ストレート法)や中種法等に準じて、原料に上記乳酸発酵した加工卵白及び水を加え、混捏し、必要に応じて発酵し、本発明のパン生地が得られる。また、前述したパン生地を焼成等により加熱することで本発明のパンが得られる。具体的には、例えば、山型食パンの場合は、パン生地を型に入れ成型後、必要に応じて最終発酵(ホイロ)してからオーブン等で焼成すればよい。
以下、本発明について、実施例、比較例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[本発明品用加工液卵白の製造例1]
生卵白34部(卵白蛋白質3.6部)、菜種油10部、スクロース6部、生卵黄0.5部、酵母エキス0.05部、50%乳酸0.15部及び清水49.3部からなる卵白混合液100部(pH6.8)を攪拌、調製した。得られた卵白混合液を高速で攪拌させながら85℃で30分間加熱した後、冷水により35℃まで冷却し、次いで乳酸菌スターター0.01部(Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus)を添加し、35℃で48時間発酵しpH4.2とした。次に、発酵液を85℃で5分間加熱殺菌した後、冷水により40℃まで冷却し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し本発明品用加工液卵白1を製した。
得られた本発明品用加工液卵白1は、卵白蛋白質を3.6%、食用油脂を10%含有し、固形分20%、粘度2,200mPa・s(品温10℃)、pH4.2、平均粒子径25μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
[本発明品用加工液卵白の製造例2]
生卵白50部(卵白蛋白質5.3部)、菜種油12部、スクロース6部、生卵黄0.5部、酵母エキス0.05部、50%乳酸0.15部及び清水31.3部からなる卵白混合液100部(pH7.0)を攪拌、調製した。得られた卵白混合液を高速で攪拌させながら75℃で15分間加熱した後、冷水により35℃まで冷却し、次いで乳酸菌スターター0.01部(Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus)を添加し、35℃で24時間発酵しpH4.4とした。次に、発酵液を85℃で5分間加熱殺菌した後、冷水により45℃まで冷却し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて30MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し本発明品用加工液卵白2を製した。
得られた本発明品用加工液卵白2は、卵白蛋白質を5.3%、食用油脂を12%含有し、固形分24%、粘度7,200mPa・s(品温10℃)、pH4.4、平均粒子径18μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
[本発明品用加工乾燥卵白の製造例3]
本発明品用加工液卵白の製造例1で得られた加工液卵白20部、デキストリン2部及び清水78部を混合した後、当該混合液を送風温度160℃、排風温度65℃の条件でスプレードライし本発明品用加工乾燥卵白3を製した。
得られた本発明品用加工乾燥卵白3は、卵白蛋白質を11.5%、食用油脂を32%含有し、固形分64%、デキストリン32%、水分4%、pH4.2であり、乳酸発酵された加工液卵白を粉末化したものである。
[比較用加工液卵白の製造例1]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、菜種油10部を除いた配合で、本発明品用加工液卵白の製造例1の全工程と同様の方法で食用油脂を配合しないで乳酸発酵させた加工液卵白を製した後、当該加工液卵白90部に菜種油10部を添加混合し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し比較用加工液卵白1を製した。
得られた比較用加工液卵白1は、卵白蛋白質を3.6%、食用油脂を10%含有し、固形分20%、粘度700mPa・s(品温10℃)、pH4.2、平均粒子径22μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
[比較用加工液卵白の製造例2]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の配合で、本発明品用加工液卵白の製造例1の乳酸菌を添加する前までの工程を行った後、50%乳酸でpHを4.2に調整し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し比較用加工液卵白2を製した。
得られた比較用加工液卵白2は、卵白蛋白質を3.6%、食用油脂を10%含有し、固形分20%、粘度1,500mPa・s(品温10℃)、pH4.2、平均粒子径21μmである水中油型乳化物からなるものであるが、加工液卵白が乳酸発酵されたものでない。
[試験例1]
本発明品用加工液卵白1及び2、並びに比較用加工液卵白1及び2を用いて、加工液卵白の製造方法の違いによる、焼成後のパンにおけるしっとりした食感の保持能力への影響を調べた。以下の方法によりモデル食パンを得た。つまり、下記配合表に従い、縦型ミキサーに清水、強力粉、各加工液卵白、上白糖、食塩、脱脂粉乳とを投入し、更に、ドライイーストを投入して均一に混捏した後、一次発酵させた。次に、発酵させた生地を分割し約20分間休ませた後に、食パンの型に詰めて二次発酵させ、パン生地を得た。得られたパン生地を焼成してモデル食パンを製した。
[配合表]
強力粉 100部
各加工液卵白 20部
上白糖 5部
食塩 2部
脱脂粉乳 2部
ドライイースト 1.5部
清水 60部
製したモデル食パンを48時間室温(25℃)で放置した後に、試食して下記の基準で評価した。
Figure 0005089644
<評価基準>
◎:非常にしっとりした食感である。
○:しっとりした食感である。
△:しっとりした食感に欠ける。
×:パサついた食感である。
表1より、乳酸発酵した油脂不含有の加工液卵白に食用油脂を添加し均質化処理した比較用加工液卵白1は、平均粒子径が40μm以下であるが、粘度が800mPa・sより低く、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力が劣っていた。また、乳酸発酵していない比較用加工液卵白2は、粘度も800mPa・s以上であり、平均粒子径も40μm以下であるが、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力が劣っていた。これに対し、油脂含有の状態で乳酸発酵した本発明品用加工液卵白1および2は、粘度が800mPa・s以上であり、平均粒子径が40μm以下であり、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力が優れていた。
[試験例2]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、生卵白および菜種油の含有量を変えて下記表の卵白蛋白質および食用油脂の含有量の加工液卵白を本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の方法で調製し、得られた各加工液卵白を用いて、卵白蛋白質および食用油脂の含有量の違いによる、焼成後のパンにおけるしっとりした食感の保持能力への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれも粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、評価試験は、試験例1と同様、焼成後48時間室温(25℃)で放置した後にモデル食パンを試食して行った。
Figure 0005089644
表2より、卵白蛋白質の含有量が2%より少ない加工液卵白、あるいは食用油脂が5%より少ない加工液卵白は、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力が劣っていた。これに対し、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合した加工液卵白は、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力に優れていた。
[試験例3]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、乳酸発酵し加熱殺菌した後の冷却温度を下記表の温度まで行った以外は、本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の方法で加工液卵白を調製し、得られた各加工液卵白を用いて冷却温度の違いによる、焼成後のパンにおけるしっとりした食感の保持能力への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれもpHが3.8〜4.5である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、評価試験は、試験例1と同様、焼成後48時間室温(25℃)で放置した後にモデル食パンを試食して行った。
Figure 0005089644
表3より、品温55℃より高い状態までしか冷却しなかった加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)であるが、平均粒子径が40μmより大きく、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力に劣っていた。また、冷却を品温30℃より低い状態まで行った加工液卵白は、平均粒子径が40μm以下であるが、粘度が800mPa・s(品温10℃)より低く、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力に劣っていた。これに対し、冷却を30〜55℃まで行った加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、平均粒子径が40μm以下であり、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力に優れていた。特に、冷却を35〜50℃まで行った加工液卵白は、粘度が1,000mPa・s以上(品温10℃)、平均粒子径が30μm以下であり、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力に優れていた。
[試験例4]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、乳酸発酵を下記表のpHとなるように処理時間を変えた以外は、本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の方法で加工液卵白を調製し、得られた各加工液卵白を用いて、焼成後のパンにおけるしっとりした食感の保持能力への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれも粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、評価試験は、試験例1と同様、焼成後48時間室温(25℃)で放置した後にモデル食パンを試食して行った。
Figure 0005089644
表4より、pHが4.5より高い加工液卵白は、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力に劣っていた。pHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵させた加工液卵白は、焼成後のパンにおけるしっとりした食感を保持する能力に優れていた。
[実施例1]
(1)ロールパンの冷凍生地の調製
下記配合表に従い、縦型ミキサーに、清水、強力粉、製造例1で得られた本発明品用加工液卵白1(固形分換算20%)、上白糖、卵、脱脂粉乳、及び食塩とを投入し、更に、ドライイーストを投入して均一に混捏した後に、一次発酵させた。次に、発酵させた生地を分割し約20分間休ませた後に、生地を成型し、得られた成型物を急速冷凍し、冷凍パン生地を得た。この製した本発明の冷凍パン生地は、穀粉100部に対し本発明品用加工液卵白1を固形分換算で2部配合するものであった。
[配合表]
強力粉 100部
本発明品用加工液卵白1(固形分換算20%) 10部
上白糖 10部
卵 10部
脱脂粉乳 6部
食塩 2部
ドライイースト 2部
溶き卵(仕上げ用) 適量
清水 45部
(2)ロールパンの焼成及び官能評価
得られた本発明の冷凍パン生地を解凍した後、ニ次発酵させたものを焼成し、パンを製した。
製した本発明のパンを焼成後48時間放置した後に試食したところ、パンはしっとりとした食感を保持していた。
[実施例2]
実施例1において、本発明品用加工液卵白1(固形分換算20%)10部、清水45部を、製造例2で得られた本発明品用加工液卵白2(固形分換算24%)1部、清水52部に変更した以外は、実施例1の(1)に準じて、冷凍パン生地を製した。この製した本発明の冷凍パン生地は、穀粉100部に対し本発明品用加工液卵白2を固形分換算で0.24部配合するものであった。
実施例1の(2)に準じて、焼成したパンを製した。製した本発明のパンを焼成後48時間放置した後に試食したところ、パンはしっとりとした食感を保持していた。
[比較例1]
実施例1において、本発明品用加工液卵白1(固形分換算20%)10部、清水45部を、無塩バター(固形分換算80%)0.3部、清水53部に変更した以外は、実施例1の(1)に準じて冷凍パン生地を製した。この製した冷凍パン生地は、穀粉100部に対し無塩バターを固形分換算で0.24部配合するものであった。
実施例1(2)に準じて、焼成したパンを製した。製した本発明のパンを焼成後48時間放置した後に試食したところ、パンはしっとした食感を失っており、パサついていた。
[実施例3]
実施例1において、本発明品用加工液卵白1(固形分換算20%)10部、清水45部を、製造例3で得られた本発明品用加工液卵白3(固形分換算64%)7.8部、清水50部に変更した以外は、実施例1の(1)に準じて冷凍パン生地を製した。この製した冷凍パン生地は、穀粉100部に対し本発明品用加工液卵白3を固形分換算で5部配合するものであった。
実施例1の(2)に準じて焼成したパンを製した。製した本発明のパンを焼成後48時間放置した後に試食したところ、パンはしっとりとした食感を保持していた。
以上の結果より、実施例1〜3で得られた本発明品の加工液卵白を配合したパンは、焼成等により加熱した後、時間が経過してもしっとりした食感を保持していた。一方、比較例1で得られた本発明の加工液卵白を配合していないパンは、焼成等により加熱した後、時間が経過すると、しっとりした食感が損なわれていた。

Claims (5)

  1. 乳酸発酵されてなり、かつ、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白を配合することを特徴とするパン生地又はパン。
  2. 上記加工液卵白が、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施して得られる加工液卵白である請求項1記載のパン生地又はパン。
  3. 上記加工液卵白に乾燥処理を施して製した加工乾燥卵白を配合した請求項1又は2記載のパン生地又はパン。
  4. 上記加工液卵白の配合量が、穀粉100部に対し固形分換算で0.05〜15部である請求項1又は2のいずれかに記載のパン生地又はパン。
  5. 上記加工乾燥卵白の配合量が、穀粉100部に対し固形分換算で0.05〜15部である請求項3に記載のパン生地又はパン。
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