JP3481396B2 - 発酵風味付与剤及びこれを用いるパン類の製造方法 - Google Patents

発酵風味付与剤及びこれを用いるパン類の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発酵風味付与剤及び
これに用いるパン類の製造方法に関し、更に詳しくは、
速成法を主体とした短時間発酵製パン法のように、風味
の乏しいパンしか得られない製パン法に好適に使用さ
れ、パンの風味不足を補う発酵風味付与剤およびこれを
用いるパン類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パン類製造の簡略化のため、速成
法のような短時間発酵製パン法が存在するが、パンの風
味が乏しいこともあり、主流には至っておらず、現在の
ところ、冷凍生地製パン法がその中心になっている。こ
の製法の利点は、メーカーで製造した生地を末端小売店
に配送し、そこで最終的にパンを焼き上げることで、メ
ーカーでは最終発酵工程と焼成工程が省略され、これに
より人件費などの経費削減が期待されるものである。こ
の冷凍生地による製パン法は各種開発されているが、冷
凍生地法の本来の目的である製パン工程の中断をバラン
スよく行なえる成型生地冷凍法が多く用いられている。
何れにせよ従来の冷凍生地製パン法としては、一般に速
成法が利用されてきたが、速成法の場合は発酵時間が殆
どないか、あっても極めて短いために、パンの風味は通
常の発酵を経た製パン法によるものに比較して明らかに
乏しいものであった。
【0003】そこで、これらのパンに風味を付与するた
めに、水に酵母や乳酸菌とそれらの資化源等を加え発酵
させた後、菌類を除いた、発酵風味を付与した水溶液を
生地作成時の仕込み水に使用し、パンに風味を付与する
方法がある。また、最近では速成法による風味不足を解
消するため、中種法や液種法などの発酵種を利用した製
パン法が冷凍生地製パン法の中で使用されるケースも見
られるようになった。しかし、従来の水系の発酵風味液
では、出来上がったパンは香りに乏しく、また発酵種を
利用して発酵風味を付与しようとすれば、速成法の域を
越え、メリットである工程の簡略化が損なわれてしま
う。また、フレーバー類による風味の付与は、パンの美
味しさとしては到底満足し得るものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、製パン
工程数を削減でき、かつ美味しいパンを提供するための
有効な方法はまだ提案されていないのが現状である。本
発明は、冷凍パン生地製造に代表されるような速成法を
用いて製パンする場合の、パンの風味不足を改善する発
酵風味付与剤及びこれを用いるパン類の製造方法を提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み、上記問題点を克服すべく鋭意研究した結果、
水相と油相からなる混合液を酵母で発酵して得られた発
酵物、または該発酵物より分離した油相もしくは当該油
相を含有する油脂組成物又は乳化油脂組成物が、従来法
に比べて、パンに好ましい風味を付与できることを見い
出し本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明の第1は、主成分が水相と油
相からなる混合液の酵母発酵物からなる発酵風味付与剤
を、本発明の第2は、上記発酵風味付与剤を生地に添加
することを特徴とするパン類の製造方法を、それぞれ内
容とする。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明において水相とは、水に酵母、その
他食品製造に使用できる微生物類、及びそれらの資化源
である糖質や乳製品等を添加した溶液をいう。水相中に
添加される酵母等の量は、目的とする発酵風味が付与さ
れるように適宜増減すればよく、特に制約はないが、水
相に対し1〜10重量%程度が好ましい。これより少な
いと目的とする発酵風味が得難く、多過ぎると酵母臭が
強くなったり、発酵中に死滅する酵母からの漏洩物質が
多量となり、最終的な製パン性が劣る場合がある。また
菌種も食品に使用許可のある種類であれば特に制約はな
いが、好ましくは通常製パンに使用する酵母である。
【0008】資化源の糖質は菌が資化出来る種類のもの
であれば特に制約はないが、製造コストなどの面からは
果糖ブドウ糖液糖等が好ましい。糖質の添加量は特に制
約はなく、添加する酵母の量との兼ね合いを勘案し、目
的とする発酵風味が得られるよう適宜増減すればい。一
般的には酵母に対する浸透圧障害を防ぐためにも、水相
に対し1〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは
5〜15重量%である。添加する糖の量がこれより少な
いと適切な発酵風味が得られなかったり、多い場合には
前述の通り発酵障害を生じる場合がある。また、水相中
には粉乳類や卵等の蛋白類、澱粉やデキストリンのごと
き糖質類、pH調整剤のごとき塩類、アミノ酸類等を1種
または2種以上添加することも可能である。更に、その
まま乳化を行なう場合などには乳化剤の添加も可能であ
る。
【0009】本発明において油相に用いられる油脂とし
ては、あまに油、桐油、サフラワー油、かや油、胡桃
油、芥子油、向日葵油、綿実油、菜種油、大豆油、辛子
油、カポック油、米糠油、胡麻油、玉蜀黍油、落花生
油、オリーブ油、椿油、茶油、ひまし油、椰子油、パー
ム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂、ボルネオ脂等の
植物油脂や、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、乳脂、羊脂等の
動物油脂、これらの油脂を原料としてエステル交換した
ものや、硬化油、分別油、混合油などが挙げられ、これ
らは単独または2種以上組み合わせて用いられる。これ
ら油脂の中では菜種油、玉蜀黍油、サフラワー油、綿実
油等の液体脂やパーム油、魚脂、それらの硬化油、分別
油が好ましい。更に油相には、乳化剤類、蛋白類、澱粉
などの糖質類や多糖類の1種又は2種以上を適宜添加す
ることも可能である。
【0010】上記油水混合液の油相と水相との割合は、
2/8〜7/3の範囲が好ましい。油の割合が2未満で
は生産効率が悪く、また7を越えると充分な発酵ができ
ない。発酵温度は、含有する酵母類が資化活動できる範
囲の温度であればよいが、好ましくは−7℃〜35℃、
より好ましくは0℃〜28℃である。これらについて、
発酵温度の違いにより溶液中に生成するアルコール類、
エステル類のごとき香気成分や、アミノ酸のごとき呈味
成分の量比は変動するので、発酵温度は最終的に目的と
するパンで所望の風味になるように適宜変えればよい、
また、これらの発酵時間は添加する資化源の量と酵母の
量に応じてファーモグラフ等により、その温度でのガス
発生時間を測定し決定するとよい。また、発酵済みの溶
液に乳製品、塩類、多糖類、酸化剤、乳化剤、酵素類、
抗菌剤等、その他パンの製造に使用される成分を1種又
は2種以上含有させることも可能である。
【0011】本発明においてパン生地とは、小麦粉を主
原料とし、これに水等を加え更に油脂、糖類、卵、乳製
品、乳化物、イーストフード、各種酵素類、各種乳化剤
等の原料を必要に応じて添加し、パン酵母の添加の有無
に係わらず混捏工程を得て得られた一般的な生地を言
い、饅頭生地やドーナツ生地、パイ生地、ピザ生地、ホ
ットケーキ生地、スポンジケーキ生地、クレープ生地、
餃子生地等も包含する。更に上記原料の他に小麦以外の
穀物、例えばライ麦、オーツ麦、大麦、向日葵種子等の
1種又は2種以上を混入したものを包含する。
【0012】本発明の発酵風味付与剤は、製パン時、パ
ンに発酵風味を付与することを目的とし、特に冷凍生地
に代表される短時間発酵製パン法で作成したパンの発酵
風味の増強に使用されるものである。本発明の発酵風味
付与剤から得られた油相をそのまま用いてもよいが、油
相及び/又は水相を用いれば、マーガリン等のW/O型
エマルジョンやO/W型エマルジョンを作ることがで
き、また、ショートニング等に添加して油脂組成物や乳
化油脂組成物とすることも可能である。
【0013】発酵風味付与剤の作成方法としては、基本
的には水、糖類、油脂、酵母類を混合、攪拌し、発酵さ
せる。発酵終了後、得られた溶液から油相と水相及び酵
母類に分離するために遠心処理のごとき適当な分離処理
をおこなう。得られた油相と水相はそれぞれを別々に使
用してもよいし、量比を検討したうえで両方を用い乳化
物や混合物としてもよいが、油相と水相の乳化物か混合
物として用いた方がパンの風味を向上させる上で好まし
い。
【0014】発酵風味付与剤の具体的製法を示せば、例
えば、水10Kg、砂糖5Kg、菜種油7Kg、市販圧搾酵母
1Kgを20リットルのステンレス容器に入れ、攪拌機で
室温下24時間攪拌し発酵させる。発酵終了後遠心処理
を行い酵母を除いて発酵風味液が得られる。この場合得
られた液は、遠心処理により油相と水相に分離してお
り、油相と水相は香りが若干異なっている。香りの質は
水相がアルコール臭のきつい鼻につく香りであるのに対
し、油相は非常にフルーティーな吟醸酒のような芳香で
ある。
【0015】前記したように、従来、一般的な発酵風味
液としては、基本的に水に糖と酵母を加え発酵処理を行
い得られている。しかし、このようにして作製された発
酵風味液、即ち風味成分のキャリアーとして水相のみを
用いた風味液は、一般的な使用では効果があまり認めら
れないため、市場においてもあまり受け入れられていな
い。また、本発明のように発酵風味のキャリアーとし油
脂を用いた商品や油脂を発酵風味のキャリアーとして用
いることの効果に関する報告は無い。本発明における発
酵風味付与剤は、従来の水をキャリアーとした発酵風味
液よりも風味が強く、パンを作製した場合も、風味はパ
ン中に強く残存し、美味なパンを提供することができ
る。
【0016】速成法は、一般に、ストレート法から一次
発酵工程を省略した製パン方法で、即ち、原材料をミキ
シングした後即座に成型し、ホイロで発酵させ焼成する
方法である。製パン工程としては、一次発酵が省略され
ているため、随分短時間でパンが出来上がるが、パンの
重要な特性である発酵風味は殆ど期待できない。
【0017】この速成法を冷凍生地に応用した場合、生
地は成型終了後に即座に冷凍され、冷凍された生地は小
売店に配送されそこで解凍焼成されて店頭に焼きたてパ
ンとして並ぶ。前記したように、市販の冷凍耐性イース
トは発酵を充分にとると冷凍耐性が著しく低下してしま
うため、冷凍生地では速成法を使用せざるを得ないのが
現状である。従来、メーカーはコスト削減と店頭でのパ
ンのバラエティー化のため、殆どは発酵風味が無くても
速成法に頼らざるを得なかった。また、一部においては
パンの風味の悪さを改善するため、冷凍生地にもイース
トの添加方法を分けて中種法を使用するところも出てき
たが、工程に関しては速成法よりも煩雑になってしま
い、パン製造の簡略化は達成されない。このように、風
味の問題を克服出来れば、速成法は冷凍生地や一般の生
地でも製パン工程を簡略化でき、有用な方法となり得
る。このような状況の中で、本発明の発酵風味付与剤を
用いることにより、速成法であっても中種法等の種を用
いた場合と同じ程度の良好な風味をパンに付与すること
が可能である。
【0018】本発明の発酵風味付与剤を用いることによ
りパンの風味が著しく改善される理由は必ずしも明らか
でないが、発酵風味付与剤が油水混合であるため、イー
スト発酵により生じた各種アルコール類、有機酸類、そ
れらのエステル類等のうち、疎水性の高いものは水相よ
りもむしろ油相の中で、また油水界面でより安定化さ
れ、製パン時の風味成分の損失が少ないためと考えられ
る。
【0019】
【実施例】以下本発明を実施例及び比較例に基づいて説
明するが、本発明はこれらにより何ら限定を受けるもの
ではない。尚、実施例中の配合は全て重量部である。
【0020】〔発酵風味付与剤の製造〕 実施例1 水10Kg、精製菜種油7Kg、砂糖5Kg、イースト(後述
のグリーンイースト)1Kgを容器中で25℃下、24時
間攪拌発酵させ、遠心分離により除菌し発酵風味付与剤
1を作成した。
【0021】実施例2 水10Kg、精製硬化菜種油(融点33℃)7Kg、砂糖5
Kg、イースト(後述のグリーンイースト)1Kgを容器中
で35℃下、10時間攪拌発酵させ、遠心分離による除
菌を行い油相を得た。この油相7.8に対し水2.0、
乳化剤としてレシチン0.1、モノグリセリド0.1を
加え、常法によりマーガリン、即ち油中水型エマルジョ
ンに調製した本発明の風味付与剤2を作成した。
【0022】〔パンの製造〕 比較例1〜4、実施例3〜8、参考例1 表1に示すバターロール配合を用い、速成法にて、本発
明の発酵風味付与剤、市販の発酵風味液(2品種)を用
い、以下に示す条件で成型生地を作成し冷凍生地製パン
を行った。50Kgに成型した冷凍生地は−30℃のブラ
ストフリーザー中で1時間急速冷凍した後、−20℃の
フリーザー中で2週間冷凍保存した。冷凍した生地を3
0℃、湿度60%下で解凍し、38℃、湿度85%のホ
イロ内で最終発酵を行なった後焼成した。得られたパン
について、風味をパネラーにより官能評価した。製パン
方法は上述のとおり速成法を利用し、参考例として50
%中種法を用い、パン風味の評価基準とした(下記の表
2参照)。尚、製パンには冷凍耐性イースト(商品名:
グリーンイースト、鐘淵化学工業株式会社製商品名)を
用いた。油脂は綿実油のショートニング(商品名:スノ
ーライト、鐘淵化学工業株式会社製商品名)を用いた。
イーストフードは冷凍生地用フード(商品名:Gフー
ド:鐘淵化学工業株式会社製商品名)を用いた。小麦粉
は市販の強力粉(商品名:カメリア、日清製粉株式会社
製商品名)を用いた。以下に、製パン方法を示す。
【0023】 (冷凍生地製パン工程、バターロール配合速成法) ミキシング : 低速2分、中速2分、高速3分後、油脂を添加して更に低速2 分、中速2分、高速3分ミキシングする(捏上温度22℃) フロアタイム: 20分 分割 : 50グラム 成型 : モルダーにてバターロール成型 冷凍 : −30℃、1時間後、−20℃、2週間 解凍 : 30℃、湿度60%のホイロ内で45分解凍 発酵 : 38℃、湿度85%のホイロ内で45分発酵 焼成 : 200℃、8分
【0024】 (冷凍生地製パン工程、バターロール配合中種法) 中種: ミキシング : 低速2分、中速2分、(捏上温度26℃) 発酵 : 28℃下、120分 本ごね: ミキシング : 低速2分、中速2分、高速3分後、油脂を添加して更に低速2 分、中速2分、高速3分ミキシングする(捏上げ温度22℃) フロアタイム: 20分 分割 : 50グラム 成型 : モルダーにてバターロール成型 冷凍 : −30℃、1時間後、−20℃、2週間 解凍 : 30℃、湿度60%のホイロ内で45分解凍 発酵 : 38℃、湿度85%のホイロ内で45分発酵 焼成 : 200℃、8分
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】比較例1〜4、実施例3〜8、参考例1で
得られたパンの評価結果を表3に示す。
【0028】
【表3】 ◎:発酵風味強く良好である。 ○:発酵風味良好である。 △:発酵風味弱い。 ×:発酵風味無し。
【0029】比較例1は、通常の一般的な速成法で行な
ったが、得られたパンは発酵風味がなく、非常に粉っぽ
い風味であり、美味しいとは感じられず、最も評価が低
かった。
【0030】実施例3は、比較例1の速成法において、
油脂(ショートニング)の半分(60グラム)を本発明
の発酵風味付与剤1の油相と置き換え、仕込みの水の一
部(40グラム)を本発明の発酵風味付与剤1の水相と
置き換えて実施した。実施例3から得られたパンはやや
マイルドな発酵風味を呈し、大部分のパネラーから支持
された。
【0031】実施例4、5は、比較例1において、油脂
(ショートニング)の90グラム又は全量を本発明の発
酵風味付与剤1の油相と置き換え、仕込み水の60グラ
ム又は100グラムを本発明の発酵風味付与剤1の水相
と置き換えて実施した。実施例4、5から得られたパン
は実施例3のパンよりもかなり風味が強く、とりわけ発
酵臭が強く、味、香りとも参考例1の同程度の良好なも
のであった。発酵風味の質は実施例3とはやや異なり、
アルコール臭を訴えるパネラーもいた。
【0032】実施例6は、比較例1において、油脂(シ
ョートニング)の30グラムを本発明の発酵風味剤1の
油相と置き換えて実施した。実施例6から得られたパン
はややマイルドな風味を呈したが、パンの粉っぽさはマ
スキングされていた。
【0033】実施例7は、比較例1において、油脂(シ
ョートニング)の全量を本発明の発酵風味付与剤1の油
相と置き換えて実施した。実施例7から得られたパン
は、実施例4、5のパンよりも風味はマイルドであっ
た。味にややコク味が不足しているものの、充分な発酵
臭があった。
【0034】実施例8は、比較例1において、油脂(シ
ョートニング)の全量を本発明の発酵風味剤2の全量と
置き換えて実施した。実施例8から得られたパンは実施
例7で得られたパンと略同等のものであった。
【0035】比較例2は、比較例1において、仕込み水
の100グラムを本発明の発酵風味付与剤1の水相と置
き換えた。比較例2から得られたパンの味はややコク味
が感じられたが、香りに乏しく実施例7と対照的であ
り、比較例1よりも若干風味が感じられる程度であっ
た。
【0036】比較例3は、比較例1において、仕込み水
の100グラムを市販の発酵風味液1と置き換えた。添
加量は該発酵風味液1に記載された標準使用量範囲中の
最大使用量を用いた。比較例3から得られたパンは、比
較例2と同様、味、香りに乏しく、風味を改善するとい
ったほどの効果は認められなかった。
【0037】比較例4は、仕込み水の100グラムを市
販の発酵風味液2と置き換えた。比較例4から得られた
パンは、比較例2、3と同様、風味は乏しかった。
【0038】参考例1は、2時間発酵の50%中種法を
用いた。参考例1から得られたパンは風味評価の基準と
なるものであり、発酵風味に富み、味、香りとも良好で
あった。
【0039】
【発明の効果】叙上の通り、本発明の油水混合液の発酵
物からなる発酵風味付与剤は、従来の水系での発酵風味
液に比べ、強い発酵風味をパンに付与することができ
る。かくして、冷凍生地製造に際し、発酵種を用いずと
も、速成法を用いて十分に満足し得る発酵風味を得るこ
とが可能であり、従って達成法で製造工程の簡略化を図
りつつ、発酵風味豊かな美味しいパンを製造することが
でき、業界への貢献は頗る大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21D 2/16 A21D 8/02 CA/WPIDS(STN) 食品関連文献情報(食ネット) FOODLINE/FOODS ADL IBRA/FOOD SCIENCE AND TECHNOLOGY ABS TRACTS(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油相と水相からなる混合液の酵母発酵物
    からなる発酵風味付与剤。
  2. 【請求項2】 発酵物を水中油型又は油中水型エマルジ
    ョンに調製した請求項1記載の発酵風味付与剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の発酵物から分離した油相
    からなる発酵風味付与剤。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の油相を使用した油脂組成
    物又は乳化油脂組成物からなる発酵風味付与剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれか1項に記載の発酵
    風味付与剤を生地に添加することを特徴とするパン類の
    製造方法。
JP17853296A 1996-06-18 1996-06-18 発酵風味付与剤及びこれを用いるパン類の製造方法 Expired - Lifetime JP3481396B2 (ja)

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