JP6850632B2 - 油糧種子含有熟成発酵種 - Google Patents

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本発明は、油糧種子を使用した発酵種及びその製造方法に関する。
発酵種は穀物や果実などに付着している酵母や複数の微生物を利用して作られた液状から生地状の発酵食品のことを指し、一般にパンの原料として使用される。なかでも、微生物叢(原始種)に糖類主体の発酵基質と水を加えて培養することにより元種を調製し、この元種、穀粉及び水を使用し1回以上種継ぎして得られる発酵種(以下「熟成発酵種」という)を原料として製造したパン類は風味や食味が改善されるだけでなく、カビなどの繁殖を抑えて保存性が向上する。このような熟成発酵種として、パネトーネ種、サンフランシスコサワー種、ルヴァン種等のホワイトサワー種、ドイツサワー種等のライサワー種、ホップ種、ビール種、酒種、果実種等が知られている(非特許文献1)。
なお、大量生産するパン工場では、中種法と称される発酵種を使用した製パン方法で食パンや菓子パン等が製造されている。この中種法とは、生地を作る前段階で、製パン原料の一部の小麦粉、水、パン酵母を捏ねて約3〜4時間発酵させた発酵種(中種)を得、残りの製パン原料とミキシングしてパン生地を調製する製パン方法である。きめ細かくボリュームのあるパンに焼き上がり、中種として発酵させているために芳香や風味が豊かになり、老化も遅くソフトな食感になるという特徴がある。中種は、比較的短時間の内に酵母の生育を促した発酵種の一種であるが、1回以上種継ぎし、長時間発酵させる熟成発酵種とは区別される。
一方亜麻仁や胡麻などの油糧種子、特に焙煎した油糧種子は、パン類に独特の風味を付与することができるので、パン生地に練り込むか、パン生地表面に付着させるなどしてパン類の製造に使用されてきた。
油糧種子粉砕物は、その外皮が破壊されているために、油脂が染み出しやすい。油脂はグルテン形成を抑制するため、油脂を除く製パン原料を混練りしてグルテン形成させた後に油脂を添加して生地を得るのが通常であり、製パン原料に直接油糧種子粉砕物を添加・混練してパン生地が調製されることはなかった。また、油脂は微生物の生育に悪影響を与えて発酵不全を起こすので、熟成発酵種の風味を十分に引き出すことができず、更に熟成発酵種の保存性や生地性を劣化させる恐れがあるため、熟成発酵種に油糧種子粉砕物が添加されることはなかった。また、油糧種子に含まれるαリノレン酸等の多価不飽和脂肪酸は、空気と接触すると酸化して不快な酸化臭を発するため、熟成発酵種の風味を劣化させる原因になる。このような理由から、油糧種子粉砕物が有する独特の芳香や風味が付与されたパン類は提供されていなかった。
伝統的パン種のおいしさと微生物の関わりについて 生物工学会誌 第90巻第6号、p329−334 (2012年)
パン類の原料として使用した場合に、得られたパン類が油糧種子粉砕物特有の芳香及び風味を有し、一般的な熟成発酵種を使用した場合と比較してマイルドな酸味になり、さらには、経時的な老化が起こり難くなる油糧種子含有熟成発酵種を提供する。
本発明者等は、常法に基づいて得た熟成発酵種に所定量の油糧種子粉砕物と水とを添加して常温発酵する工程を含む製造方法により得た油糧種子含有熟成発酵種をパン原料に使用して得たパン類が、油糧種子粉砕物特有の芳香及び風味を有し、一般的な熟成発酵種を使用した場合と比較してマイルドな酸味になり、さらには、経時的な老化が起こり難くなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]熟成発酵種100質量部に対して5〜56質量部の油糧種子粉砕物、100〜300質量部の穀粉及び200〜400質量部の水を添加して常温発酵する工程を含む油糧種子含有熟成発酵種の製造方法。
[2]熟成発酵種が、
(a)微生物叢に発酵基質と水を加えて培養することにより元種を調製する工程、及び
(b)工程(a)で調製した元種、穀粉及び水を使用し、1回以上種継ぎして熟成発酵種を得る工程
を含む方法により製造される前記[1]の製造方法。
[3]熟成発酵種がサワー種、ホップ種、ビール種、酒種、果実種から選択される、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1項の方法によって得られる油糧種子含有熟成発酵種。
[5]前記[4]の油糧種子含有熟成発酵種を使用して製造したパン類。
本発明の油糧種子含有熟成発酵種を製パン原料に使用して得たパン類は、油糧種子粉砕物特有の芳香及び風味を有し、一般的な熟成発酵種を使用した場合と比較してマイルドな酸味になり、さらには、経時的な老化が起こり難くなる。
本発明の油糧種子含有熟成発酵種の製造方法は、熟成発酵種100質量部に対して5〜56質量部の油糧種子粉砕物、100〜300質量部の穀粉及び200〜400質量部の水を添加して常温発酵する工程を含む。
本発明において「熟成発酵種」とは、穀物や果実などに付着している酵母や複数の微生物を利用して作られた元種を1回以上種継ぎして得られる液状から生地状の発酵食品のことを指し、一般にパンの原料として使用される。
このような熟成発酵種としてパネトーネ種、サンフランシスコサワー種、ルヴァン種等のホワイトサワー種、ドイツサワー種等のライサワー種、ホップ種、ビール種、酒種、果実種が挙げられる。本発明において熟成発酵種は好ましくはサワー種であり、さらに好ましくはホワイトサワー種である。
本発明において「油糧種子」は、油脂含有率が高い種子を意味し、食用油の搾油に使用される種子であれば特に限定なく使用できる。亜麻(種子の油脂含有率、30〜40%)、胡桃(約65%)、アーモンド(約50%)、落花生(約40〜50%)、エゴマ(約30%)、胡麻(約50%)、紅花(20〜40%)、シソ(約30%)、大豆(約20%)、月見草(約20%)、菜種(約40%)、ヒマワリ(約45%)、綿実(15〜40%)などが挙げられる。好ましくは油脂含有率が25%以上の種子である。
「油糧種子粉砕物」は油糧種子を公知の方法で粉砕したものである。粉砕の方法は特に限定が無く、例えばカッターミル、ロールミル、石臼型ミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、振動ミル、遊星ミル等を使用して粉砕することができる。粉砕の程度は、メジアン径が3mm以下になるように粉砕するのが好ましく、より好ましくは2mm以下である。油糧種子は粉砕前又は粉砕後に乾熱処理を行っても良い。芳香や風味をベーカリー製品に付与することができる観点から乾熱処理を行うことが好ましく、さらに乾熱処理は、焙煎香等の芳香や風味をベーカリー製品に付与することができる観点から焙煎処理が好ましい。
油糧種子粉砕物は、熟成発酵種100質量部に対して5〜56質量部で使用する。好ましくは熟成発酵種100質量部に対して10〜50質量部で使用する。5質量部未満では、油糧種子粉砕物に由来する芳香や風味、及び老化抑制効果を得ることができない。56質量部を超えると、発酵不全になり熟成発酵種のpHが低下しないために、熟成発酵種特有の食味(主に酸味)と風味を得ることができず、また、生地の保存性が悪くなり、焼成したパンの老化が抑制され難くなる。
油糧種子熟成発酵種のpHは好ましくは3.3〜4.2、さらに好ましくは3.6〜4.0である。pHの範囲が3.3〜4.2であれば発酵状態が良好であることの目安となる。
本発明において「穀粉」とは穀粒を粉状に加工したものである。穀粉としては、小麦粉、ライ麦粉、米粉等が挙げられ、これ等を単独又は複数の組み合わせで使用することができる。好ましくは小麦粉単独、ライ麦粉単独、小麦粉とライ麦の混合物を使用する。穀粉を糖類主体の発酵基質として元種に使用する場合、ライ麦粉単独又はライ麦粉を主な成分とするその他の穀粉との混合物であることが好ましい。
本発明の油糧種子含有熟成発酵種の製造方法において、熟成発酵種100質量部に対して穀粉を100〜300質量部使用し、好ましくは120〜250質量部使用する。100質量部より少ないと発酵基質が足りず発酵不全となり、300質量部を超えると雑菌の繁殖が起こる恐れがある。
本発明の、油糧種子含有熟成発酵種の製造方法では熟成発酵種100質量部に対して200〜400質量部の水を使用する。250〜300質量部が好ましい。200質量部未満では生地が硬く、油脂含量が高くなるために発酵不全となる恐れがある。400質量部を超えると雑菌が繁殖する恐れがあり、芳香及び風味成分が希釈される傾向にある。
本発明において「常温発酵」は20〜30℃で発酵することを意味する。常温発酵は6〜48時間行うことが好ましく、8〜36時間行うことがさらに好ましい。
得られた油糧種子含有熟成発酵種は、すぐにパン類の製造に使用しても良く、またパン類の製造に使用するまで冷蔵保存することもできる。
本発明において、熟成発酵種は好ましくは(a)微生物叢に発酵基質と水を加えて培養することにより元種を調製する工程、及び(b)工程(a)で調製した元種、穀粉及び水を使用し、1回以上種継ぎして熟成発酵種を得る工程を含む方法により製造される。
元種製造において使用する「微生物叢」(原始種)としては、ライ麦粉等の穀粉や果実、花などに付着している天然の微生物叢をそのまま使用しても良く、酵母、乳酸菌、麹菌などの単離した微生物を人工培養して得た微生物を単独又は複数の組み合わせ、或いは穀類やイモ類を発酵基材として培養して得たスターターを利用することもできる。
元種製造において使用する微生物叢の「発酵基質」としては、微生物が資化できる糖類主体の発酵基質であれば特に限定されず、ライ麦粉、小麦粉、米粉等の穀粉;ジャガイモ、サツマイモ等のイモ類;精製糖、粗糖等の糖類などが挙げられる。
元種製造において使用する「穀粉」は本発明の油糧種子含有熟成発酵種の製造方法において上記定義されるものと同じである。穀粉としては、小麦粉、ライ麦粉、米粉が挙げられ、これ等を単独又は複数の組み合わせで使用することができる。好ましくは小麦粉単独、ライ麦粉単独、小麦粉とライ麦の混合物を使用する。穀粉を糖類主体の発酵基質として元種に使用する場合、ライ麦粉単独又はライ麦粉を主な成分とするその他の穀粉との混合物であることが好ましい。
元種製造において使用する「微生物叢」、「発酵基質」、「水」の量は微生物叢の種類や起源により適宜調整することが可能である。例えば微生物叢が発酵基質である穀粉に由来する場合(サワー種等)は、発酵基質(穀粉)100質量部に対して水100〜150質量部使用することが出来る。
種継ぎとは発酵させた元種の全部又は1部に穀粉と水を添加し発酵させる工程、またその工程で得られた発酵物の全部又は一部に穀粉と水を添加し発酵させる工程をいう。発酵温度、種継ぎの頻度及び回数は目的とする風味や製造によって適宜調整することができる。発酵温度は使用する微生物の成育に適した範囲であれば特に制限はなく、例えば乳酸菌や酵母を使用する場合は20〜30℃で行うことができる。
種継ぎの頻度や回数、使用する穀類や水の量は、熟成発酵種の種類や、求める風味や性状によって適宜調整することができ、1日に1回の頻度で、1回以上行うことができる。少なくとも1回植え継ぐことで、菌叢が安定する。例えばライ麦と小麦粉を使用した植え継ぎサワー種では、ライ麦粉、小麦粉、水、モルトを使用し、ライ麦粉、水、モルトを発酵させて元種を作り、小麦粉、元種、水を使用し、27℃の条件で1日1回の頻度で5〜6回種継ぎをすることにより製造できる。
元種、熟成発酵種、油糧種子含有熟成発酵種を製造する際の任意の成分として、酵母や乳酸菌等の微生物の生育を促進して発酵を促進することができる微生物生育促進剤を添加することができる。このような微生物生育促進剤として、モルトエキス、ブドウ糖やしょ糖などの糖類等を使用することができる。ベーカリー生地調製に汎用されるモルトエキスが好ましい。
微生物生育促進剤を元種の製造に使用する場合、発酵基質100質量部に対して1質量部以上添加することが好ましい。1質量部未満では発酵時間が長くなる傾向にある。上限は特にないが、3部以上添加しても添加量に見合う発酵促進効果は得られない傾向にあり、ほぼプラトーに達していると考えられる。
微生物生育促進剤を熟成発酵種の製造に使用する場合、元種に使用する発酵基質100質量部に対して0.05〜0.5質量部が好ましい。0.05質量部未満では発酵時間が長くなる傾向にある。0.5質量部を超えると、発酵が進みすぎ、種継のタイミング並びに酸味及び風味の調節が難しくなる恐れがある。
微生物生育促進剤を油糧種子含有熟成発酵種の製造に使用する場合、熟成発酵種100質量部に対して0.05〜0.5質量部使用することが好ましい。0.05質量部未満であると発酵時間が長くなる傾向になり、0.5質量部を超えると発酵が進みすぎ、酸味及び風味の調節が難しくなる恐れがある。
本発明の油糧種子含有熟成発酵種を使用して使用して製造されるパン類の種類に特に制限はなく、食パン、菓子パン、デニッシュペストリー、フランスパン、ライブレッド、ベーグル、クロワッサン、ロールパン、ブリオッシュ、イーストドーナツなどが挙げられる。
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
製造例1 元種の製造
ライ麦粉100質量部、水120質量部、モルトエキス2質量部を十分に混合し、27℃で24時間静置して元種を得た。
製造例2 熟成発酵種の製造
製造例1で得た元種100質量部に小麦粉100質量部と水100質量部とを十分に混合して27℃で24時間発酵させた(種継ぎ工程1回目)。この発酵物100質量部に小麦粉100質量部と水100質量部とを十分に混合して27℃で24時間発酵させた(種継ぎ工程2回目)。種継ぎ工程を計4回繰り返して熟成発酵種を得た。
製造例3 焙煎亜麻仁含有熟成発酵種の製造
表1に示した量の熟成発酵種、小麦粉、焙煎亜麻仁粉砕物、モルトエキス及び水を十分に混合し、24℃で8時間静置して室温発酵させて焙煎亜麻仁含有熟成発酵種を得た(実施例1〜3、比較例1〜3)。得られた焙煎亜麻仁含有熟成発酵種はパン類の製造に使用するまで冷蔵庫で保管した。なお焙煎亜麻仁として日本製粉社製のローストアマニ粉末を用いた。
得られた焙煎亜麻仁含有熟成発酵種のpHを測定したところ、比較例1の油糧種子粉砕物を含有しない標準的な熟成発酵種ではpH3.7であり、実施例1〜3及び比較例2も同様のpHを示し、良好な発酵が生じていることが確認できた。比較例3では、乳酸発酵が十分に起こらなかったためかpH5.2であった。また、実施例1〜3及び比較例1〜2の熟成発酵種は、発酵に由来するガス発生により発泡が認められ、液様の流動性がある良好な種であった。熟成発酵種100質量部に対する油糧種子粉砕物の量が56質量部を超える比較例3では、発泡が認められず、生地上の流動性の乏しい不適な種であった。
Figure 0006850632
製造例4 油糧種子含有熟成発酵種の製造
表2に示した種類の油糧種子粉砕物を使用した以外は、実施例3に従って油糧種子含有熟成発酵種を得た(実施例4〜6)。胡桃には東洋ナッツ社製の食塩無添加くるみを、アーモンドには東洋ナッツ社製の食塩無添加アーモンドを、落花生には小島屋社製の落花生半立をフードプロセッサーで粉砕したものを使用した。
実施例4〜6共にpH3.7であり、発泡があり、流動性のある良好な熟成発酵種であった。胡桃、アーモンド、落花生のいずれの種類の油糧種子粉砕物を配合しても熟成発酵種のpHは十分に低く、種の発泡性及び流動性も比較例1と遜色なく良好であった。
Figure 0006850632
製造例5 食パンの製造
小麦粉(日本製粉社製のクイン)100重量部、上白糖5重量部、生イースト2重量部、食塩2重量部、イーストフード0.2重量部、脱脂粉乳2重量部、水65重量部及び実施例1〜6及び比較例1〜3の油糧種子含有熟成発酵種10重量部をミキサーに投入し、低速2分、中速4分、高速2分で混練し、ショートニング5重量部を添加して更に低速2分、中速3分、高速3分で混練してパン生地を得た。この際の捏上温度は27℃であった。得られた生地を湿度75%、温度27℃で90分間発酵させた後、240gに分割して25分間のベンチタイムを取った。モルダーで成形後、2斤型に生地をU字型に4個ずつ入れ、湿度85%、温度38℃で45分間ホイロした。その後、200℃で33分間焼成してプルマン型の食パンを得た(実施例7〜12、比較例4〜6)。
評価例1 食味、風味改良効果
熟練のパネラー10名により、油糧種子含有熟成発酵種を使用して製造した食パンの食味及び風味を以下の表3に示す基準に従って評価し、結果を表4に示した。なお、油糧種子粉砕物を含まない熟成発酵種を使用して製造した食パン(比較例4)の評価点を3点とした。
Figure 0006850632
Figure 0006850632
実施例7〜9では、焙煎亜麻仁粉砕物の配合量の増加に伴って食味及び風味共に良好になった。比較例5では、焙煎亜麻仁粉砕物の配合量が少なかったために比較例4と大差はなかった。比較例6では、熟成発酵種が発酵不良であったために、熟成発酵種本来の酸味と風味があまりなく、むしろ発酵不良により雑味が付与されていた。
評価例2 老化防止効果
熟練のパネラー10名により、油糧種子含有熟成発酵種を使用して焼成し、焼成後粗熱を取った直後及び2日間室温保存した食パンの食感を以下表5に示す基準に従って評価し、結果を表6に示した。参考例として、熟成発酵種の代わりに水を使用して標準的な食パンについても評価した。
Figure 0006850632
Figure 0006850632

Figure 0006850632
焼成後の食パンは何れもクラムの食感が良好であった。2日間室温保存すると、何れも老化が起こっていた。熟成発酵種を使用しない参考例と比較して、熟成発酵種を使用して製造したパン(比較例4)では老化の抑制が見られた。本発明の油糧種子含有熟成発酵種を使用して製造したパン(実施例7〜12)では、熟成発酵種を使用した場合よりもよりも高い老化抑制効果が観察された。

Claims (4)

  1. 熟成発酵種100質量部に対して5〜56質量部の油糧種子粉砕物、100〜300質量部の穀粉及び200〜400質量部の水を添加して常温発酵する工程を含む油糧種子含有熟成発酵種の製造方法。
  2. 熟成発酵種が、
    (a)微生物叢に発酵基質と水を加えて培養することにより元種を調製する工程、及び
    (b)工程(a)で調製した元種、穀粉及び水を使用し、1回以上種継ぎして熟成発酵種を得る工程
    を含む方法により製造される請求項1の製造方法。
  3. 熟成発酵種がサワー種、ホップ種、ビール種、酒種、果実種から選択される、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項の方法によって油糧種子含有熟成発酵種を製造し、得られた油糧種子含有熟成発酵種を使用して生地を調製する工程を含む、パン類の製造方法
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