JP7158814B2 - ベーカリー食品用生地、及びベーカリー食品 - Google Patents
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(1)ブラン、及び比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を含む液状油脂を含有するベーカリー食品用生地であって、該ブランの質量部に対して、該比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を0.05~0.25倍質量部、及び、該液状油脂を0.15~0.50倍質量部含有するベーカリー食品用生地。
(2)前記液状油脂中の前記比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油の含有量が25~100質量%である、(1)に記載のベーカリー食品用生地。
(3)難消化性澱粉を含有する、(1)又は(2)に記載のベーカリー食品用生地。
(4)原料粉中の前記ブランの含有量が10~60質量%である、(1)~(3)のいずれか1つに記載のベーカリー食品用生地。
(5)(1)~(4)のいずれか1つに記載のベーカリー食品用生地が焼成された状態にあるベーカリー食品。
(ベーカリー食品用生地)
本発明のベーカリー食品用生地は、パン生地、及び菓子生地、それらに類する生地中に、ブランと比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を含む液状油脂とを含有する。また、本発明のベーカリー食品用生地は、前記のブラン及び比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を含む液状油脂以外の原料について、特に制限されるものではないが、通常のパン生地、及び菓子生地に使用される、穀粉類、糖類、卵類、乳製品、油脂類、食塩、膨張剤、酵母、水等の公知の材料を適宜用いることができる。本発明のベーカリー食品用生地は、好ましくはパン生地である。
本発明のベーカリー食品用生地が菓子生地の場合は、例えば、ブランを含む原料粉(穀物粉)100質量部に対して、比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を含む液状油脂を5~20質量部、糖類を10~200質量部、全卵を90~400質量部、膨張剤を0~5質量部、水を0~100質量部含有する生地が挙げられる。
本発明に使用するブラン(ふすま)は、オーツ麦、小麦、ライ麦等の表皮部分を粉砕した粉体である。また、前記ブランの平均粒径は、好ましくは50~300μm、より好ましくは70~200μmである。本発明に使用するブランは、食品用途のものであれば特に限定されないが、好ましくは小麦ブラン(小麦ふすま)である。
本発明に使用する原料粉中の前記ブランの含有量は、好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~50質量%、最も好ましくは20~40質量%である。ブランの含有量が上記の範囲にあると、本発明のベーカリー食品用生地を焼成して得られたベーカリー食品は、低糖質化、及びブランの栄養素の付加の点でバランスがとれたものになる。他方、前記ブランの含有量が、60質量%を超えると、ブラン特有の不快な風味を抑制することが困難になる。
本発明に使用する難消化性澱粉は、馬鈴薯、トウモロコシ等の各種澱粉を化工して得られる、ヒトの消化酵素で消化されにくい化工澱粉である。本発明に使用する難消化性澱粉は、食品用途のものであれば特に限定されない。
本発明に使用する原料粉中の前記難消化性澱粉の含有量は、好ましくは0~40質量%、より好ましくは10~30質量%である。難消化性澱粉の含有量が上記の範囲にあると、本発明のベーカリー食品用生地を焼成して得られたベーカリー食品は、さらに低糖質化される。
本発明における原料粉とは、穀物粉(小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉等だけでなく、低糖質化や食物繊維の強化を目的として、該穀物粉の代替原料として配合される、ブラン、難消化性澱粉、穀物由来たんぱく(小麦たんぱく等)も指す。
本発明に使用する液状油脂は、比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を含有する。ここで、液状油脂とは20℃で液体の食用油脂を指す。本発明に使用する液状油脂は、比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油以外は、食用に用いられる液状油脂であれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、オリーブ油、米油、ゴマ油、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、大豆油、ヒマワリ油、紅花油、炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とする中鎖脂肪酸トリグリセリド、炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸と炭素数12~24の長鎖脂肪酸とを構成脂肪酸とするトリグリセリド、及びこれらの混合油等が挙げられるが、好ましくは比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油以外の菜種油を使用できる。
本発明に使用する比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油は、菜種種子より圧搾乃至圧搾抽出により得られる20℃で液体の油脂である。菜種種子は焙煎処理されたものでも良いが、未焙煎種子より得られた未焙煎油である方が好ましい。前記菜種油は、比色計におけるY+10R値が、好ましくは20~100、より好ましくは30~90、最も好ましくは40~70である。ここで、比色計におけるY+10R値とは、1インチセル(25.4ミリセル)を使用して測定したY値と、同じく1インチセル(25.4ミリセル)を使用して測定したR値とから、Y値にR値の10倍の数を加えることによって導き出される値である。比色計におけるY値及びR値の測定は、日本油化学協会、基準油脂分析法2.2.1.1-1996のロビボンド法に準拠して行うことができる。色度が濃い(Y+10R値が20以上である)菜種油を使用することで、ブラン特有の不快な風味を抑制することができる。
例えば、脱色処理は、油脂に吸着剤を添加することにより行う。油脂に添加する吸着剤は、適宜変更することができるが、例えば、モンモリロナイトを主成分とする白色から黄褐色の粘土鉱物である白土を酸処理した活性白土、活性炭等公知の種々の吸着剤を使用することができる。これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。
減圧水蒸気蒸留の条件は、脱臭処理する油脂の臭気の強さにより適宜変更されるが、通常の食用油脂の精製における脱臭温度(200~270℃)より低い温度、すなわち、脱臭温度が200℃以上とはならない(200℃未満である)ことが好ましい。例えば、20トール未満の減圧下(好ましくは2~10トールの減圧下)、脱臭温度180℃以下で行うことが好ましく、100~170℃で行うことがより好ましく、120~160℃で行うことが更に好ましい。脱臭時間は、10~120分間であることが好ましく、20~90分間であることがより好ましい。上記脱臭条件で脱臭処理することにより、比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油が容易に得られるので好ましい。
本発明のベーカリー食品用生地は、先に説明をした、ブラン、難消化性澱粉、原料粉、液状油脂、及び、比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を使用する以外は、通常のパン生地、菓子生地等に使用される原料を用いることができる。具体的には、水、卵、糖類、甘味料、起泡性乳化油脂、常温で固体のマーガリン・ショートニング、バター、牛乳、濃縮乳、生クリーム、脱脂粉乳、練乳、チーズ、果実、果実加工品、ココア、ココアパウダー、チョコレート類、ナッツ類、洋酒類、ベーキングパウダー、重曹、香料、酸味料、食塩、着色料、酸化防止剤等を使用することができる。
本発明のベーカリー食品用生地の製造方法は、通常のパン生地、菓子生地等の製造方法に準拠して行うことができ、例えば、共立て法、別立て法、及びオールインミックス法のいずれの製造方法を用いてもよい。
本発明のベーカリー食品は、本発明のベーカリー食品用生地を用いて、通常のパン生地、菓子生地等の焼成条件、及び焼成方法により製造することができる。本発明のベーカリー食品は、具体的には、パン類の場合は、食パン、ロールパン、菓子パン、フランスパン等が挙げられ、菓子類の場合は、スポンジケーキ、シフォンケーキ、バターケーキ、ビスケット、クッキー、シュー、イースト菓子等が挙げられる。本発明のベーカリー食品は、好ましくはパン類である。
未焙煎の菜種種子から圧搾抽出された菜種粗油を、常法に従って、脱ガム、脱酸、及び脱色処理して、脱色(処理)油を得た。得られた脱色油を、5~6トールの減圧下、140℃で60分間の水蒸気蒸留(脱臭処理)を行い、比色計におけるY+10R値が54、及び酸価が0.08である油脂Aを得た。同様にして、比色計におけるY+10R値が63、及び酸価が0.08である油脂B、及び比色計におけるY+10R値が57、及び酸価が0.07である油脂Cを得た。
なお、前記油脂A~CのY+10R値の測定と酸価の測定は、上記に記載の方法で行った。
表1及び2の配合に従い、ミキサーの容器に、水以外の原材料を投入して混合した後、水を添加して、さらにミキサーを用いた混合により混捏して食パン生地を得た。得られた食パン生地を28℃、相対湿度80%の恒温槽に60分間収容し一次発酵した。一次発酵後のパン生地を分割し、28℃、相対湿度80%の恒温槽に20分間収容した(ベンチタイム)。次に、ベンチタイム後の食パン生地を丸め直して成形し、36℃、相対湿度80%の恒温槽に45分収容することによりホイロ(最終発酵)した。ホイロ後の食パン生地をオーブン(2段式、上段温度:200℃、下段温度:220℃)で35分間焼成して、実施例1~6、及び比較例1~4のプルマン型食パンを得た。
なお、原材料として、ブランは、日清製粉(株)製のウィートブランP、難消化性澱粉は、松谷化学工業(株)製のファイバージムRW、菜種油は、日清オイリオグループ(株)製の日清キャノーラオイル、及び、ショートニング(固形脂)は、日清オイリオグループ(株)製の日清ピュアショート20を使用した。
上記で製造した各食パンについて、下記の評価方法に従い、ブラン特有の不快な風味の抑制評価、及び、歯切れの評価を行った。
焼成から1日後の食パンを食した時の風味について、5人の専門パネルが下記の採点基準に従って採点をし、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(採点基準)
2点:ブラン特有の不快な風味を感じない
1点:ブラン特有の風味を若干感じるが、不快な風味ではない
0点:ブラン特有の不快な風味を感じる
(評価基準)
9点以上、10点以下:◎(非常に良好)
5点以上、8点以下 :○(良好)
0点以上、4点以下 :×(不良)
焼成から1日後の食パンを食した時の食感について、5人の専門パネルが下記の採点基準に従って採点をし、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1及び2に示す。なお、良好な歯切れとは、噛んだ時に適度な弾力があり、かつ、容易に噛み切ることができる食感を指す。
(採点基準)
2点:歯切れが非常に良好
1点:歯切れが良好
0点:硬い食感、又はくちゃついた食感で、歯切れが悪い
(評価基準)
9点以上、10点以下:◎(非常に良好)
5点以上、8点以下 :○(良好)
0点以上、4点以下 :×(不良)
他方、油脂A~C(比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油)を含有しない食パン生地を焼成して得られた食パン(比較例1)は、ブラン特有の不快な風味が強く残り、食パンとして許容できないものであった。ブランの質量部に対して、油脂A~C(比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油)を0.25倍より多く含有する食パン生地を焼成して得られた食パンは(比較例2)は、比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油に由来する風味が強く感じられ、食パンとして許容できないものであった。ブランの質量部に対して、液状油脂を0.15倍より少なく含有する食パン生地を焼成して得られた食パン(比較例3)は、食感が硬く、歯切れの悪い食パンであった。ブランの質量部に対して、液状油脂を0.50倍より多く含有する食パン生地を焼成して得られた食パン(比較例4)は、くちゃついた食感で、歯切れの悪い食パンであった。
Claims (5)
- ブラン、及び比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を含む液状油脂を含有するベーカリー食品用生地であって、該ブランの質量部に対して、該比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油を0.05~0.25倍質量部、及び、該液状油脂を0.15~0.50倍質量部含有するベーカリー食品用生地。
- 前記液状油脂中の前記比色計におけるY+10R値が20以上である菜種油の含有量が25~100質量%である、請求項1に記載のベーカリー食品用生地。
- 難消化性澱粉を含有する、請求項1又は2に記載のベーカリー食品用生地。
- 原料粉中の前記ブランの含有量が10~60質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のベーカリー食品用生地。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のベーカリー食品用生地が焼成された状態にあるベーカリー食品。
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