JP3471114B2 - 発酵済み粉類の製造法及びこれを用いたパン類の製造法 - Google Patents

発酵済み粉類の製造法及びこれを用いたパン類の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パンの風味及び生地物
性を改良するための発酵済み粉類の製造法に関し、更に
短時間で優れた品質のパンをつくるためのパン類の製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、種生地として用いられる中種、液
種、宵種は流通にのせることができなかった。つまり、
これらを冷蔵もしくは常温で流通した場合、発酵が停止
しないため、イースト発酵によって包装材が膨張、破裂
し、また過発酵によって風味の劣化が生じ、パンの風味
が悪くなる。また冷凍で流通した場合、発酵によって出
芽したイーストが、著しく冷凍傷害を受けるため、パン
のボリュームが低下し、風味が悪くなる。従って、パン
製造において、製造時の発酵工程は必要不可欠なもので
あった。
【0003】そのため、一般にパンの製造は、製パンラ
インを持つ卸売のベーカリーにおいては中種法、製パン
ラインを持たない中小ベーカリーにおいてはストレート
法がとられている。
【0004】中種法によって得られたパンは、ストレー
ト法と比べて生地の伸展性が良いため、製パンラインに
適している。また、製造されたパンは内相及び触感が極
めて柔らかで、かつ老化が遅く保存性が良いこともあ
り、ほとんどの卸売りのベーカリーにおいて採用されて
いる。しかし、中種発酵時間が長くかかるので全工程で
7〜8時間が必要となるため、朝の開店に間に合うよう
本法でパンを焼き上げるには深夜作業が避けられない。
その上製造されたパンは長時間の発酵のため風味が悪
く、特に酸臭の問題を抱えている。
【0005】一方、ストレート法によって得られたパン
は、中種法と比べて生地の伸展性が悪く製パンラインに
適さない。さらに、製造されたパンは老化が早く保存性
も悪い。しかし、ストレート法は発酵時間が短いため早
朝作業は幾分緩和され、また、製造されたパンは風味が
良い。このため、朝の開店時から焼き立てのパンを提供
するようなベーカリーでは、本方法が好んで用いられて
いる。
【0006】また、このような製パン時間短縮とは逆
に、中種発酵時間を長くとることで深夜や早朝作業の軽
減を計ろうとした検討もなされている。例えば、特開平
6−189667号公報では、中種法において、中種原
料全量に基づいて0.1〜1.0重量%のイースト及び
0.1〜0.5重量%の食塩を用いて常温にて15〜2
5時間中種発酵を行うことを特徴としている。しかしこ
の方法では、24時間連続稼働している卸のベーカリー
ではメリットが少ない。また、中小ベーカリーにおいて
は、大量の中種生地を保存しておくスペースが必要にな
る上に、発酵を抑制することで発酵時間を長く設定して
いるため、発酵調整にかなりの配慮が必要となる。
【0007】さらに、最近は効率的に作業を進めるため
に冷凍生地製パン法が用いられている。これは、生地を
仕込み、成型後、もしくはホイロをとった後、冷凍し、
必要なときに解凍して焼成するものである。しかし、生
地を冷凍するための設備が必要になる上に、成型後冷凍
した生地は、イーストの出芽を抑えるために、十分な発
酵時間をとっていないので、製造されたパンは、ボリュ
ームがでない上に、風味が悪い。また、十分な発酵をと
ったホイロ後冷凍した生地は、生地が膨化しているため
容積が大きく、流通のコストが高いという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような事情の下に
おいて、本発明は、従来の中種工程や長時間中種発酵、
生地冷凍を必要とせず、ストレート法よりも短時間でパ
ンの製造が可能で、かつ生地の伸展性が良く、内相及び
食感が極めて柔らかで、保存性が良く、風味の良い、冷
蔵もしくは常温流通可能な発酵済み粉類の製造法及びこ
れを用いた製パン法を提供することを目的とするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するために、既に発酵を済ませ、冷蔵もしくは常温
流通可能な発酵済み粉類を提供し、さらにこれを用いた
製パン法を提供するものである。
【0010】詳しくは、アルコール発酵させた発酵種
に、さらに水分が5〜40%になるように、澱粉、加工
澱粉、α化澱粉、穀粉、乾燥処理穀粉の内、一種もしく
は数種を併用して添加し、均一に混合して得られること
を特徴とした発酵済み粉類の製造法、並びに製パンに使
用する小麦粉の内の一部もしくは全量を発酵済み粉類に
代えて製パンすることを特徴としたパン類の製造法を提
供するものである。
【0011】ここで使用する発酵種は、イーストが発酵
可能な条件下であれば、発酵によって生産するアルコー
ル濃度の高低にかかわらず、本発明に使用する種として
利用できる。少なくともイースト発酵によって生成する
アルコールや各種香気成分が含まれていれば良い。場合
によっては、発酵原料として各種澱粉や穀粉、乳製品
等、製パンに使用する資材を併用することもできる。ま
た、発酵状態は、液状や生地状、塊状等、形態を問わな
い。
【0012】所望によっては、発酵種中のイーストの活
性を高めるために、グルコース、マルトース、砂糖、麦
芽エキス等、の糖類や、a−アミラーゼ、グルコアミラ
ーゼ等、の糖化酵素や、麹等を併用することによって、
イーストが資化する糖を供給することで、発酵種の香り
が大幅に向上する。さらに、酒粕、乳製品、乳酸菌、果
実等、を併用することで香りがさらに特徴的なものとな
る。これら糖質や酵素類、麹、その他の原料は発酵済み
粉を使用して製造する製品の用途や味に応じて使い分
け、製パン性を低下させない範囲でかつイーストの活性
を最大限に向上させる範囲で使用することが望ましい。
【0013】この発酵種に対して、澱粉、加工澱粉、α
化澱粉、穀粉、乾燥処理穀粉の内、一種もしくは数種を
併用して添加し、発酵済み粉類の水分を5〜40%に調
整して発酵済み粉類を製造することを特徴としている。
ここで言う穀粉とは、小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦
粉、トウモロコシ粉、大豆粉等、のことを言い、さらに
乾燥穀粉とはこれらの乾燥物を言う。これら粉類を用い
ることで、発酵種中のアルコールや酸が、澱粉質に吸着
することで、粉類の熟成が起こり、製パン性が改良され
る。これら粉類は製パンに用いられるものであればいず
れでも良いが、多種多様な最終製品に応じて粉類の種類
を使い分けることが好ましい。
【0014】これらの資材を用いて発酵種や発酵液を希
釈し、水分を5〜40%、好ましくは10〜35%に調
整することで、発酵済み粉類の形態が塊状もしくはペー
スト状、粉体状となるため取扱いが容易になり、さらに
冷蔵流通、常温流通、冷凍流通等、のあらゆる流通が可
能となる。
【0015】ここで水分が5%未満の場合希釈するため
の粉類の使用割合が増え、結果的に、発酵済み粉類中の
発酵種の使用割合が非常に少なくなるために、製パン改
良効果が期待できない。
【0016】逆に水分が40%を超えた場合、作業性や
保存性が悪くなるという問題が生じる。ここで言う作業
性とは製品のべた付きのことを言う。また、ここで言う
保存性とは、微生物による腐敗のことではなく、冷蔵や
常温においてはイーストによる発酵が停止しないため
に、包装材の膨張や破裂、過発酵による酸敗臭が生じる
ことを指したり、小麦粉よりも吸水力の劣る澱粉、穀粉
では離水が生じることを言う。
【0017】また、本発明では以上の方法によって得ら
れた発酵済み粉類を、製パンに使用する小麦粉の内の一
部もしくは全量を代えて、製パンすることを特徴として
いる。これによって、ベーカリーではパン製造において
発酵工程を省くことが可能となる。
【0018】ここで述べる製パン法は従来の製パン法の
ことを言い、ここでは代表的な、中種法、ストレート法
について述べる。発酵済み粉類の効果は特にストレート
法の方が顕著に現れる。ストレート法では従来1時間〜
3時間かかっていた発酵時間を発酵済み粉類の添加によ
ってさらに短縮できる。つまり、パンの配合の内の一部
もしくは全量を発酵済み粉類に代えてミキシングを行
い、生地を十分に形成し、生地を休ませ、分割、丸めの
後再度生地を休ませ、成型、ホイロを取った後、焼成し
て得られる。これによって得られたパンの品質は内相及
び食感が極めて柔らかで、老化が遅く、風味が良く、従
来法によって得られたパンよりも非常に優れた品質を持
っている。
【0019】しかし、どうしても中種工程を取らざるを
得ないライン化した工場では、中種法では従来約4時間
かかっていた発酵時間を約半分以下まで短縮できる上
に、得られたパンの品質は、酸臭のない風味の良いパン
ができる。
【0020】さらに冷凍生地を用いた製パン法について
言えば、一般に十分な発酵をとることができない成型冷
凍生地においては風味が貧弱であったが、発酵済み粉類
を用いることで風味が良くなる。
【0021】以上の他に、イースト発酵を伴う小麦粉食
品に応用が可能である。例えば、イースト饅頭、イース
トドーナツ、菓子パン、デニッシュペストリー、テーブ
ルロール、フランスパン、ライブレッド等、の製パン時
間の短縮及び風味改良にも適している。
【0022】
【作用】従来、パン製造において、発酵工程は必要不可
欠なものであった。しかし、発酵済み粉類を流通にのせ
ることで、ベーカリーにおいては、発酵工程が不要にな
る。これは発酵済み粉類自体、既にアルコール発酵によ
って生成するエタノールや乳酸エチル、イソ−ブチルア
ルコール、イソ−アミルアルコール等、の香り成分やア
ミノ酸等の旨味成分が含まれているため、従来法のよう
に、中種や液種を用いたり、長時間のフロアタイムを取
ったりしなくても、生地中に芳香成分を賦与し得るため
である。発酵済み粉類を使用した場合でもフロアタイム
を取るが、これは分割成型をスムーズに行うために生地
を緩ませるための時間であり、香りや旨味成分を生成す
るためのものではない。
【0023】さらに、発酵済み粉類は既に発酵を済ませ
ているので、エタノールや酸等の生地の熟成を促進する
物質や、既に熟成の終了した粉類が含まれているため、
これらが生地に作用し、中種生地のように優れた伸展性
を与え、パン生地を十分に発酵させなくても短時間発酵
でありながら香りが良く、内相及び食感は柔らかく、老
化の遅いパンが得られるのである。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を用いて
詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限
定されるものではない。
【0025】本実施例及び比較例では、表1の配合並び
に製法にて7種の実施例と1種の比較例に示される発酵
済み粉類を製造した。
【0026】
【表1】
【0027】詳細には、実施例1では、発酵種配合を均
一に混合し30℃で7日間発酵させ、所定の希釈材に発
酵種を加え、縦型ミキサーを用いて均一に混合し製造し
た。
【0028】実施例2では、発酵種配合を均一に混合し
15℃で14日間発酵させ、発酵種を遠心分離し、上清
を得、所定の希釈材に上清を加え、縦型ミキサーを用い
て均一に混合し製造した。
【0029】実施例3及び4では、発酵種配合を縦型ミ
キサーで均一に混合しそれぞれ発酵させ、所定の希釈材
に発酵種を加え、縦型ミキサーを用いて均一に混合し製
造した。
【0030】実施例5では、発酵種配合を横型製麺ミキ
サーで均一に混合し35℃で3日間発酵させ、所定の希
釈材に発酵種を加え、縦型ミキサーを用いて均一に混合
し、さらにハンマーミルで粉砕して製造した。
【0031】実施例6及び7では、発酵種配合をリボン
ミキサーで均一に混合しそれぞれ発酵させ、所定の希釈
材に発酵種を加え、リボンミキサーを用いて均一に混合
し、さらにピンミルで粉砕して製造した。
【0032】比較例1では、発酵種配合を縦型ミキサー
で均一に混合し30℃で4日間発酵させ、所定の希釈材
に発酵種を加え、縦型ミキサーを用いて均一に混合し製
造した。
【0033】本実施例及び比較例1で使用した乾燥強力
粉および乾燥フランス専用粉は、水分は約5.5%のも
のを使用した。
【0034】得られた発酵済み粉類の品質の比較は、水
分及びエタノール/アセトン比によって比較した。
【0035】エタノール/アセトン比の測定はガスクロ
マトグラフィー(以下GCと略す)で行った。詳細に
は、発酵済み粉類の一定量を三角フラスコに計りとり、
これに内部標準物質としてアセトンを添加し、40℃に
て30分間インキュベートし、このヘッドスペースガス
をキャピラリーカラム(TC−WAX:ガスクロ工業株
式会社製)を装着したGCに供与した。得られたチャー
トからエタノールのピーク面積をアセトンのピーク面積
で割った値を求め、測定値とした。
【0036】以上の実施例について、水分及びエタノー
ル/アセトン比の分析を行った。その結果を表1に示
す。いずれもアルコールを含み、かつ優れた発酵臭を有
する発酵済み粉類を製造することができた。
【0037】それぞれの発酵済み粉類の有効性の確認
は、実際の製パン試験により実施した。
【0038】得られた発酵済み粉類はポリラミネート袋
にいれヒートシールした後、実施例1,3,4は5℃で
2ケ月、実施例2は15℃で3ケ月、実施例5は15℃
で1ケ月、実施例6,7は37℃で1ケ月間保存したも
のについて品質を調べた。
【0039】(試験例1)本試験例では、発酵済み粉類
と発酵種(従来の種)の保存安定性を比較した。
【0040】詳細には、実施例1,3,6,比較例1の
発酵済み粉、および、実施例1,3,6,比較例1で製
造した発酵種に何も加えていないものを、ポリラミネー
ト袋にいれヒートシールしたものを対照例として、所定
の温度で一定期間保存した。
【0041】製法については表2に示す短時間製パン法
において、使用小麦粉の内20重量部を発酵済み粉類に
置き換え、さらに発酵種は発酵済み粉類中の発酵種含量
相当量を置き換えて製造した。なお、水の添加量は発酵
済み粉類の水分値を換算し、または発酵種の水を置き換
えて調整した。
【0042】
【表2】
【0043】本試験における評価は、保存後の状態とし
て、袋の膨張の有無、離水の有無、保存後の作業性とし
てべた付きの有無を比較し、また、焼成後のパンは室温
にて一晩乾燥しないように放置し、翌日、容積及び比容
積、官能検査として酸敗臭の有無を比較した。
【0044】容積及び比容積は、菜種排出重量を菜種の
比重で割ってパンの容積(単位=cc)を求め、さらに
容積をパンの重量で割ることで比容積(単位=cc/
g)を求めた。
【0045】本試験例の結果を表3に示す。その結果、
発酵種に各種粉類を加えて製造した発酵済み粉類におい
て、水分含量が40%を越えないものについては、いず
れも各種粉類を加えていない対照例よりも、保存性がよ
く、包装材の膨張や離水等も見られなかった。また、過
発酵によるパンのボリュームの低下や酸敗臭もなかっ
た。従って、発酵済み粉類を流通にのせることが可能で
あることがわかった。しかし、比較例1に見られるよう
に、水分含量が40%を越える発酵済み粉については、
保存中に発酵が進んだために、保存中に製品が膨張し、
パンには酸敗臭が生じた。
【0046】
【表3】
【0047】(試験例2)本試験例では、実施例1,
3,6の発酵済み粉類を用いて、食パンを製造した。製
法については表2に示す短時間製パン法において、使用
小麦粉の内20重量部を発酵済み粉類に置き換えて製造
した。なお、水の添加量は発酵済み粉類の水分値を換算
して適宜調整した。
【0048】比較例としては、表4に示すストレート法
によって得られた食パンを標準とし、併せて中種法によ
って得られたパンについても比較した。
【0049】
【表4】
【0050】本試験における評価は、生地の状態として
は伸展性及び弾力を比較し、焼成した後のパンは室温に
て一晩乾燥しないように放置し、翌日評価した。評価項
目は、容積及び比容積、官能検査としては香りの強さ、
香りの質、柔らかさ、口溶け、味、を比較した。
【0051】また、生地の状態及び官能検査の判定は、
5段階で評価した。つまり、5段階を、1=劣る,2=
やや劣る,3=普通,4=やや良い,5=非常に良い、
とした。
【0052】本試験例の結果を表5に示す。その結果、
発酵済み粉類を用いて製パンしたものは、いずれも従来
法よりもよい結果となった。特に、実施例6は、発酵済
み粉類中のエタノール濃度が高いため、製パン改良効果
も大きく、従来法と比較した場合、生地物性やパンの柔
らかさは中種法と同等以上、パンの風味はストレート法
と同等以上になり、非常に良好な品質のパンが得られ
た。
【0053】
【表5】
【0054】(試験例3)本試験例では、試験例2によ
って得られたパンの香気成分をGCによって分析し、比
較した。
【0055】GC分析法は、まず各種製パン法によって
得られたパンを、焼成後室温で1時間30分冷却した後
スライスし、直ちにマイナス35℃の冷凍庫で保存し
た。この凍ったパンをサイコロ状に切り、このパンの内
相と内部標準物質としてのn−ブチルアルコールを三角
フラスコにいれ、30℃で30分間インキュベートし
た。このヘッドスペースガスをキャピラリーインサート
カラムに充填したTENAX−GC(ガスクロ工業株式
会社製)に一定量吸着させ、キャピラリーカラム(TC
−WAX:ガスクロ工業株式会社製)を装着したGC
(島津GC14A)に供与した。ここでは、パンの主要
香気成分である酢酸エチル、エタノール、n−プロパノ
ール、イソブチルアルコール、イソアミルアルコールの
ピーク面積を内部標準のピーク面積で割った値を求め、
比較した。
【0056】本試験例の分析結果を表6に示す。その結
果、発酵済み粉類を使用して得られたパンの香りは、無
添加のものとは比較にならない程強く、ストレート法に
よって得られたパン並まで強化されていることが分かっ
た。
【0057】
【表6】
【0058】(試験例4)本試験例では、実施例2,
4,7の発酵済み粉類を用いて、フランスパンを製造し
た。製法については表7に示す短時間製法において、使
用小麦粉の内15重量部を発酵済み粉類に置き換えて製
造した。なお、水の添加量は発酵小麦粉の水分値を換算
して適宜調整した。比較例としては、表7に示すストレ
ート法によって得られたフランスパンを標準とし、併せ
て発酵済み粉類を添加せずに短時間製法によって得られ
たものについても比較した。
【0059】
【表7】
【0060】本試験における評価は、比容積、生地の状
態としては伸展性及び弾力、パンの官能検査としては香
りの強さ、香りの質、クープの立ち具合い、味、をそれ
ぞれ5段階評価で比較した。
【0061】本試験例の結果を表8に示す。その結果、
発酵済み粉類を用いて製パンしたものは、いずれも従来
法よりもよい結果となった。特に、実施例2は、総合的
な製パン改良効果が大きく、無添加のものよりもかなり
良好な製品が得られた。
【0062】
【表8】
【0063】(試験例5)本試験例では、実施例1,
3,6の発酵済み粉類を用いて、表9に示すバターロー
ル冷凍生地製パン法に基づいて、使用小麦粉の内15重
量部を発酵済み粉類に置き換えて製造した。なお、水の
添加量は発酵済み粉類の水分値を換算して適宜調整し
た。比較例としては、未冷凍ものを標準とし、併せて発
酵済み粉類を添加していないものについても比較した。
【0064】
【表9】
【0065】本試験における評価は、比容積、生地の状
態としては伸展性及び弾力、パンの官能検査としてはな
し肌の有無、香りの強さ、香りの質、味、をそれぞれ5
段階評価で比較した。
【0066】本試験例の結果を表10に示す。その結
果、発酵済み粉類を用いて製パンしたものは、いずれも
従来法よりもよい結果となった。特に、実施例1は、風
味改良効果が大きく、無添加のものよりもかなり良好な
風味を持つ製品が得られた。
【0067】
【表10】
【0068】(試験例6)本試験例では、実施例2,5
の発酵済み粉類を用いて、表11に示すライブレッド製
パン法に基づいて、使用小麦粉の内30重量部を発酵済
み粉類に置き換えて製造した。なお、水の添加量は発酵
済み粉類の水分値を換算して適宜調整した。比較例とし
ては、無添加のものを標準とし比較した。
【0069】
【表11】
【0070】本試験における評価は、比容積、パンの官
能検査としては香りの強さ、香りの質、味、をそれぞれ
5段階で評価した。
【0071】本試験例の結果を表12に示す。その結
果、発酵済み粉類を用いて製パンしたものは、いずれも
無添加よりもよい結果となった。特に、実施例2は、風
味改良効果が大きく、無添加のものよりもかなり良好な
風味を持つ製品が得られた。
【0072】
【表12】
【0073】
【発明の効果】冷蔵もしくは常温流通可能な発酵済み粉
類を製パンに使用することによって、従来の中種工程や
長時間中種発酵を必要とせず、ストレート法よりも短時
間でパンの製造が可能で、パンの製造が効率的である。
さらに、生地の伸展性が良く、内相及び食感が極めて柔
らかで、保存性が良く、風味の良いパンが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−304938(JP,A) 特開 昭63−36733(JP,A) 特開 昭62−25972(JP,A) 特開 平5−328889(JP,A) 特開 平6−189667(JP,A) 特開 昭63−309133(JP,A) 特開 平8−191658(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21D 8/04 A21D 2/18 A23L 1/10 CA/WPIDS(STN) 食品関連文献情報(食ネット) FOODLINE/FOODS ADL IBRA/FOOD SCIENCE AND TECHNOLOGY ABS TRACTS(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール発酵させた発酵種に、さらに
    水分が5〜40%になるように、澱粉、加工澱粉、α化
    澱粉、穀粉、乾燥処理穀粉の内、一種もしくは数種を併
    用して添加し、均一に混合して得られることを特徴とし
    た発酵済み粉類の製造法。
  2. 【請求項2】 製パンに使用する小麦粉の内の一部もし
    くは全量を請求項1記載の発酵済み粉類に代えて製パン
    することを特徴としたパン類の製造法。
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