JP7010748B2 - レバー様乾燥食品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、レバー様乾燥食品の製造方法に関する。
現在、様々な食品において、イミテーション食品が開発されている。イミテーション食品は、見た目や味、食感を本物の食品と似せた食品であり、例えば、蟹かまぼこ、人工イクラ、成形肉、植物タンパク質を用いた擬似肉などがある。
このうち、鶏や牛のレバーやフォアグラ、あん肝などのレバーについてもイミテーション食品の開発が検討されている(例えば、特許文献1~4参照)。しかしながら、お湯等で復元する乾燥食品については、検討されていない。
特許第6194574号公報 特許第2611408号公報 特公平5-70417号公報 特開2015-35981号公報
本発明は、お湯等で復元し、喫食することが可能なレバー様乾燥食品の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、鶏や牛のレバーやフォアグラ、あん肝などのレバーについて真空凍結乾燥し、熱湯を注湯して復元することを試みたが、レバーのもつ油分が分離し、タンパク質が変性するため、復元したものは、レバー独特のねっとりした食感を有していなかった。
そこで、鋭意研究した結果、お湯等で復元し、喫食することが可能な鶏や牛のレバーやフォアグラ、あん肝などのレバーについてのイミテーション食品であるレバー様乾燥食品を製造できる方法を見出し、本発明に至った。
すなわち、食用油脂と、W/O型の乳化剤と、卵白粉末を含む粉末素材と、を攪拌混合した油脂系混合物を作製する工程と、水と、O/W型の乳化剤と、を攪拌混合した水系混合物を作製する工程と、前記油脂系混合物と、前記水系混合物と、をさらに攪拌混合した乳化ペースト物を作製する工程と、前記乳化ペースト物を加熱成型する工程と、加熱成型した前記乳化ペースト物を凍結する工程と、凍結した前記乳化ペースト物を真空凍結乾燥する工程と、を含むことを特徴とするレバー様乾燥食品の製造方法である。
また、本発明に係る乳化ペーストの配合としては、乳化ペースト物の総重量に対して食用油脂が25~35重量%、卵白粉が2.5~5.5重量%、水が55~60重量%であることが好ましい。
また、本発明に係るO/W乳化剤は、HLBが8~16のものが好ましく、本発明にかかるW/O乳化剤はHLBが1~6のものが好ましい。さらに好ましくは、本発明に係るO/W乳化剤は、HLBが8~12のものであり、本発明にかかるW/O乳化剤はHLBが1~2のものである。
また、本発明に係る固形分としての粉末素材は、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウムが好ましい。
本発明により、お湯等で復元し、喫食することが可能なレバー様乾燥食品の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
1.原料
本発明に係るレバー様食品の原料には、食用油脂、卵白粉末を含む粉末素材、W/O型の乳化剤及びO/W型の乳化剤を含む。
(食用油脂)
本発明に係る食用油脂は、特に限定はなく、大豆油、菜種油、パーム油、米白絞油などの植物油、鶏脂、豚脂(ラード)、牛脂などの動物油、サンマやイワシなどの魚油、またはこれらの分別油もしくは硬化油を使用できる。レバー様乾燥食品の場合には、保存性が必要のため、酸化しにくい油であることが必要であり、また、融点が高すぎると熱湯に溶解するのに時間がかかるため、融点が30~40℃の半固形脂を使用することが好ましい。油脂の添加量については、乳化ペースト物の総重量に対して25~35重量%程度添加することが好ましい。添加量が少なすぎると、油脂由来の風味や食感が得られにくく、多すぎると保形性が悪くなる。
(粉末素材)
本発明に係る粉末素材としては、卵白粉末を含む。卵白粉末は、ゲル可能があれば特に限定はなく使用できる。添加量としては、乳化ペースト物の総重量に対して2.5~5.5重量%程度添加することが好ましい。添加量が少なすぎると保形性に欠け、多すぎると食感が硬くなり、復元性に時間がかかる。
その他の粉末素材としては、風味や食感調整や固形分増量のために動物粉末や馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、トウモロコシ澱粉などの各種澱粉及びこれらの加工澱粉、大豆粉や大豆タンパク粉、エンドウ豆タンパク粉などの植物タンパク質粉末を添加することができる。動物粉末は、動物由来の粉末であり、鶏や豚や牛等の肉や内臓の粉末や魚の粉末などが挙げられる。これらの動物由来の粉末を添加することで目的とするレバー様食品に味や風味を付与することができる。好ましくは、求めるレバーかそれに近い種のレバー粉末を使用することが好ましい。添加量は、好みに合わせて添加すればよく、乳化ペースト物の総重量に対して1~10重量%添加することが好ましい。澱粉としては、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウムが乳化性を有しており、食感の面で好ましい。植物タンパク質粉末としては、風味に影響が少なく、レバー独特のタンパク質のボソツキ感を付与できるエンドウ豆タンパク粉末が好ましい。これらの粉末素材は、卵白粉を含む粉末素材全体として、乳化ペースト物の総重量に対して、5~15重量%添加することが好ましい。少なすぎると食感のボディー感が弱く、多すぎるとねっとりとした食感が得られにくくなる。
(W/O型の乳化剤)
本発明に係るW/O型の乳化剤は、HLB1~6のものであれば特に限定はなく、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。より好ましくは、HLB1~2の液体状のものを使用することが油脂の乳化を保持する上で好ましい。添加量は食用油脂が分離しない程度に配合すればよく、乳化ペースト物の総重量に対して0.5~1.5重量%の範囲で適宜調整して添加すればよい。
(O/W型の乳化剤)
本発明に係るO/W型の乳化剤は、HLB8~16のものであれば特に限定はなく、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。より好ましくはHLB8~12の乳化剤を用いることが凍結時や乾燥時の乳化安定性のため好ましい。添加量は水が分離しない程度に配合すればよく、乳化ペースト物の総重量に対して0.1~1.0重量%添加することが好ましい。
乳化剤については、W/O型の乳化剤またはO/W型の乳化剤のどちらか一方を含むだけでは不十分であり、2つの乳化剤が組み合わさることで、凍結時や乾燥時の乳化安定性が保たれ、後述する真空凍結乾燥後のレバー様乾燥食品の復元性や調理後のねっとりとした食感が維持される。
(その他の素材)
本発明においては、その他の素材として味付け用の食塩、グルタミン酸ナトリウムなどの調味料や、トコフェロール等の酸化防止剤、キサンタンガムなどの増粘多糖類、色素、香料などを添加することができる。これらの素材は、食用油脂に添加しても水に添加してもどちらでもよい。
2.レバー様乾燥食品の製造
(油脂系混合物の作製)
本発明に係るレバー様食品の製造方法としては、まず、油脂系混合物を製造する。油脂系混合物の製造方法としては、卵白粉末を含む粉末素材にW/O型の乳化剤を添加した食用油脂を添加し、攪拌混合することで作製する。粉末素材を食用油脂に添加することでダマにならず均質に混合することが可能となる。攪拌混合の方法としては、ミキサーやホモジナイザーを用いて行えばよい。ホモジナイザーで行う場合は、高速攪拌することで食用油脂とW/O型の乳化剤と粉末素材とを均質に細かく混合することができる。また、混合した油脂系混合物をさらに3本ロールミルに通すことで、滑らかな食感とすることができる。
(水系混合物の作製)
次いで水系混合物を製造する。水系混合物の製造方法としては、水に食塩や増粘多糖類などの水溶性素材を溶解し、O/W型の乳化剤を添加し、混合することで作製する。水の添加量としては、乳化ペースト物の総重量に対して55~60重量%となるように添加することが好ましい。水の量が少なすぎると復元性が悪くなり、多すぎると保形性が悪くなる。
(乳化ペースト物の作製)
作製した油脂系混合物と水系混合物を攪拌混合することにより乳化ペースト物を作製する。攪拌混合の方法としては、ホモジナイザーを用いて乳化攪拌する。油脂系混合物と水系混合物が均質化し、しっかりと乳化することが重要であり、攪拌条件としては、6000rpm以上、好ましくは10000~12000rpmの範囲で攪拌することが好ましい。
(加熱成型)
作製した乳化ペースト物をチューブや型枠等に充填し、加熱成型する。加熱方法は、スチームまたはボイルにより加熱する。加熱することで卵白粉が凝固し、成形されたレバー様食品となる。加熱温度は、卵白が凝固し加熱殺菌できればよく、70~100℃で中心温が70℃以上となるように加熱すればよい。
加熱成型されたレバー様食品は冷却後、チューブや型枠等から取りだして、そのまま喫食してもよく、さらに焼いたり、煮たりして調理されて喫食されてもよい。また、凍結して保存することも可能である。
(凍結工程)
また、作製したレバー様食品の凍結方法は、従来技術を適用することができる。例えば、エアブラスト式のトンネルフリーザー、スパイラルフリーザー、ワゴンフリーザーや凍結庫、ブライン式のフレキシブルフリーザー等が適用できる。復元性を良くするためには、-20℃程度の凍結庫で品温がー15℃以下となるように緩慢凍結することが好ましい。
(真空凍結乾燥工程)
次いで、凍結したレバー様食品を真空凍結乾燥機を用いて減圧下で真空凍結乾燥する。真空凍結乾燥条件は特に限定されず、解凍しない程度の真空度、棚加熱温度で乾燥すればよい。好ましい範囲としては真空度が1.5torr以下、棚加熱温度が80℃以下、乾燥後の水分としては1~5重量%となるように乾燥すればよい。
作製したレバー様乾燥食品は、お湯で復元する即席食品(例えば、即席カップ麺など)や水を入れてレンジ加熱する即席食品(即席ライスなど)の具材として用いることができる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
<実験1>レバー様乾燥食品の製造方法
(実施例1-1)
レバーパウダー(鶏)3g、卵白粉末3g、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム3g、エンドウ豆タンパク粉0.5g、トコフェロール製剤0.5g及びW/O型の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB1)1gを精製ラード30gに添加し、混合攪拌して油脂系混合物を作製した。
食塩0.2g、O/W型の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB9)0.3gを水58.5gに添加し、攪拌混合し、水系混合物を作製した。
作製した油脂系混合物と水系混合物をホモジナイザーにて12000rpmで10分乳化攪拌し、乳化ペースト物を作製した。
作製した乳化ペースト物を30x40x10mmの型枠に10g充填し、95℃のスチーム庫で中心温が80℃となるように加熱した。
加熱した乳化ペースト物を自然冷却して粗熱をとり、型枠から取りだしてレバー様食品(フォアグラ風)を作製した。
作製したレバー様食品(フォアグラ風)を-20℃の凍結庫で12時間凍結し、凍結したレバー様食品を真空凍結乾燥機(東洋技研株式会社製TFD10LF4)にて0.1torr以下で、棚温が60℃、品温が58℃になるまで乾燥し、レバー様乾燥食品(フォアグラ風)とした。
(比較例1-1)
W/O型の乳化剤、O/W型の乳化剤を添加せずに、レバーパウダー(鶏)3g、卵白粉末3g、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム4.3g、エンドウ豆タンパク粉0.5g、トコフェロール製剤0.5g及び精製ラード30gを混合して油脂系混合物を作製し、食塩0.2gに水58.5gに添加し水系混合物を作製し、攪拌混合した後、ホモジナイザーにて12000rpmで10分乳化攪拌し、乳化ペースト物を作製した。その後の工程は、実施例1-1の方法に従ってレバー様乾燥食品サンプルを作製した。
(比較例1-2)
O/W型の乳化剤を添加せずに、レバーパウダー(鶏)3g、卵白粉末3g、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム3.3g、エンドウ豆タンパク粉0.5g、トコフェロール製剤0.5g、W/O型の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB1)1g及び精製ラード30gを混合して油脂系混合物を作製し、食塩0.2gを水58.5gに添加し水系混合物を作製し、攪拌混合した後、ホモジナイザーにて12000rpmで10分乳化攪拌し、乳化ペースト物を作製した。その後の工程は、実施例1-1の方法に従ってレバー様乾燥食品サンプルを作製した。
(比較例1-3)
W/O型の乳化剤を添加せずに、レバーパウダー(鶏)3g、卵白粉末3g、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム4g、エンドウ豆タンパク粉0.5g、トコフェロール製剤0.5g及び精製ラード30gを混合して油脂系混合物を作製し、食塩0.2g、O/W型の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB9)0.3g、を水58.5gに添加し水系混合物を作製し、攪拌混合した後、ホモジナイザーにて12000rpmで10分乳化攪拌し、乳化ペースト物を作製した。その後の工程は、実施例1-1の方法に従ってレバー様乾燥食品サンプルを作製した。
(比較例1-4)
レバーパウダー(鶏)3g、卵白粉末3g、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム3g、エンドウ豆タンパク粉0.5g、トコフェロール製剤0.5g及びW/O型の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB1)1g、精製ラード30g、食塩0.2g、O/W型の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB9)0.3g、水58.5gに添加し、同時に攪拌混合した後、ホモジナイザーにて12000rpmで10分乳化攪拌し、乳化ペースト物を作製した。その後の工程は、実施例1-1の方法に従ってレバー様乾燥食品サンプルを作製した。
(比較例1-5)
卵白粉を添加せずに、レバーパウダー(鶏)3g、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム6g、エンドウ豆タンパク粉0.5g、トコフェロール製剤0.5g、W/O型の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB1)1g及び精製ラード30gを混合して油脂系混合物を作製する以外は、実施例1-1の方法に従って、レバー様乾燥食品サンプルの作製を試みたが、加熱により乳化ペースト物が保形しなかったため、その後の作業は行わなかった。
実験1の各試験区について評価を行った。乳化ペースト物の安定性については、均一に乳化しており、十分乳化しており、非常に安定性の高いものを◎、乳化は概ね良好なものであり、安定性も概ね良好なものを○、乳化が不十分で置いておくと分離するもの△、乳化しておらず、すぐに分離するものを×とした。
加熱後の保形性については、ゲル化しており、保形性が非常に良好なものを◎、概ねゲル化しており、保形性が良好なものを○、ゲル化が不十分であり、保形性に欠けるものを△、ゲル化しておらず、保形性が無いものを×とした。
乾燥後の乳化安定性については、油浮き(分離)が無く非常に良好なものを◎、若干油浮きが認められるが、概ね良好なものを○、油浮きが多く乳化安定性に欠けるものを△、ほとんどの油が分離してしまい乳化安定性がないものを×とした。
復元性、食感については、レバー様乾燥食品サンプルを熱湯で3分間調理してお湯からレバー様乾燥食品サンプルを取りだして喫食し評価を行った。評価は、ベテランのパネラー5人で行い、復元性については、水の入りが非常に良好なものを◎、水の入りが概ね良好なものを○、水の入りが悪く、ところどころ戻っていない場所があるものを△、非常に水の入りが悪く全体的に戻っていないものを×とした。
食感については、レバー様の滑らかな食感とボディー感を有し非常に良好なものを◎、レバー様の滑らかな食感とボディー感を感じ概ね良好なものを○、ボディー感に乏しいか、蛋白のざらつきを感じ劣るものを△、著しくボディー感に欠けるか、著しくざらつき非常に劣るものを×とした。
実験1の各試験区の配合及び評価結果について下記表1に示す。
Figure 0007010748000001
比較例1-1で示すようにO/W型の乳化剤及びW/O型の乳化剤の両方を使用しない場合には、作製した乳化ペースト物の乳化安定性がなく、油脂と水とが分離してしまうため、乾燥後の乳化安定性や復元性及び食感も悪くなった。比較例1-2または比較例1-3で示すようにW/O型の乳化剤のみまたはO/W型の乳化剤のみを添加する場合には、乳化ペースト物の作製時の乳化安定性は良好であるが、冷凍し、真空凍結乾燥した後の乾燥物は、乳化が壊れて油脂が浮き出してしまうため、復元性が悪く、食感も蛋白質のザラツキを感じ悪くなった。また、比較例1-4で示すように、W/O型の乳化剤とO/W型の乳化剤を両方添加したとしても、粉末素材と水と油を同時に混合すると粉末素材の分散性が悪くダマになるため、乾燥後の乳化の安定性や復元性、食感については、不十分な結果となった。また、比較例1-5で示すように卵白粉を添加しない場合は、加熱後の保形性が無いため、その後の工程を行わなかった。これらの比較例に対し、W/O型の乳化剤及びO/W型の乳化剤を添加し、卵白粉を添加し、油系混合物と水系混合物を分離して混合したものは、乳化ペースト物の乳化安定性に優れ、加熱により保形性を有し、真空凍結乾燥後の乳化安定性にも優れ、復元性、食感が優れていた。
<実験2>配合の検討
下記表2の配合に従って、実施例1-1と同様にレバー様サンプルを作製した。また、実験1と同様に乳化ペースト物の安定性、加熱時の保形性、真空凍結乾燥後の乳化の安定性、復元性、食感について評価を行った。
Figure 0007010748000002
実施例2-1は卵白粉を2.5gとした試験区であるが、加熱後の乳化ペースト物の保形性は良好であるが、やわらかめであった。乾燥後の乳化安定性については、やや油脂の分離が見られるものの良好であり、復元性や食感も概ね良好であった。それに対し、実施例2-2は卵白粉を5.5gとした試験区であるが、加熱後の乳化ペースト物の保形性は非常に良好であるが、硬めであり、喫食時の復元性は、実施例1-1と比較して水の入りがやや悪いが概ね復元しており、食感も実施例1-1より卵白ゲルの硬もろい感じがあるが概ね良好であった。
実施例2-3は、水の添加量を55gに減らし、固形分としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムの含量を増やした試験区であるが、水の添加量を減らすと喫食事の復元性が悪くなる傾向が見られた。それに対し、実施例2-4では、水の量を60gに増やし、固形分としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムを減らした試験区であるが、乾燥後に油脂が若干分離しているが、復元性は概ね良好あった。また、食感は、実施例1-1と比較してややボディー感が弱いが概ね良好であった。
実施例2-5は、精製ラードを25gに減らし、固形分としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムの含量を増やした試験区であるが、喫食時の復元性は非常に良好であるが、実施例1-1と比較してレバー様のねっとりとした食感が弱く、概ね良好な結果となった。それに対し、実施例2-6は、精製ラードの添加量を35gに増やし、固形分としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムを減らし、さらに水の添加量を減らした試験区であるが、乾燥後に油脂が若干分離しているが復元性は概ね良好であった。食感は実施例1-1と比較してやや脂っこく、ねっとり感が強いが概ね良好であった。
<実験3>乳化剤についての検討
乳化剤の配合を下記表3の配合に従って配合する以外は、実施例1-1と同様にレバー様乾燥食品サンプルを作製した。また、実験1と同様に乳化ペースト物の安定性、加熱時の保形性、真空凍結乾燥後の乳化の安定性、復元性、食感について評価を行った。
Figure 0007010748000003
実験3の結果から、W/O型の乳化剤は、乳化安定性の面でHLB1~6のものが好ましく、さらにHLB1~2の物が好ましいことがわかる。また、O/W型の乳化剤も同様に乳化安定性の面でHLB8~16の物が好ましく、さらにHLB8~12の物が好ましいことがわかる。
<実験4>固形分としての粉末素材の検討
オクテニルコハク酸澱粉ナトリウムの代わりに下記表4の素材を用いる以外は、実施例1-1と同様にレバー様乾燥食品サンプルを作製した。また、実験1と同様に乳化ペースト物の安定性、加熱時の保形性、真空凍結乾燥後の乳化の安定性、復元性、食感について評価を行った。
Figure 0007010748000004
オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム以外の澱粉素材では、復元性のよいレバー様乾燥食品を製造することが可能であるが、食感は、レバー様のねっとりした食感と若干異なるため概ね良好な結果となった。実施例1-1で示すようにレバー様のねっとりとした食感を出すために固形分として添加する粉末素材としては乳化性を有するオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムがよいことが示唆された。

Claims (5)

  1. 食用油脂と、W/O型の乳化剤と、卵白粉末を含む粉末素材と、を攪拌混合した油脂系混合物を作製する工程と、
    水と、O/W型の乳化剤と、を攪拌混合した水系混合物を作製する工程と、
    前記油脂系混合物と、前記水系混合物と、をさらに攪拌混合した乳化ペースト物を作製する工程と、
    前記乳化ペースト物を加熱成型する工程と、
    加熱成型した前記乳化ペースト物を凍結する工程と、
    凍結した前記乳化ペースト物を真空凍結乾燥する工程と、を含むことを特徴とするレバー様乾燥食品の製造方法。
  2. 前記食用油脂の添加量が前記乳化ペースト物の総重量に対して25~35重量%であり、
    前記卵白粉末の添加量が前記乳化ペースト物の総重量に対して2.5~5.5重量%であり、
    前記水の添加量が前記乳化ペースト物の総重量に対して55~60重量%であることを特徴とする請求項1記載のレバー様乾燥食品の製造方法。
  3. 前記O/W型の乳化剤がHLB8~16であり、前記W/O型の乳化剤がHLB1~6であることを特徴とする請求項1または2記載のレバー様乾燥食品の製造方法。
  4. 前記O/W型の乳化剤がHLB8~12であり、前記W/O型の乳化剤がHLB1~2であることを特徴とする請求項1~3何れか一項記載のレバー様乾燥食品の製造方法。
  5. 前記粉末素材としてオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムを含むことを特徴とする請求項1~4何れか一項記載のレバー様乾燥食品の製造方法。
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