JP2016015898A - 乾燥練り物およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合に良好な食感になる乾燥練り物およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る乾燥練り物は、非加熱の畜肉のすり身または非加熱の魚介類のすり身と、気泡含有物質とが混合され、加熱され、乾燥もしくは真空乾燥されて成る。本発明に係る乾燥練り物の製造方法は、非加熱の畜肉のすり身または非加熱の魚介類のすり身と、気泡含有物質とを混合し、所定形状に成形された後に加熱し、乾燥もしくは真空乾燥することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥練り物およびその製造方法に関する。
豚肉や鶏肉などの畜肉、魚類、貝類、甲殻類などの水産物を使用した乾燥食品は様々なものがあり、即席ラーメン、即席味噌汁、ふりかけ、お茶漬けなどの具材として使用され、すり潰したり細かく刻まれたりした魚肉や貝が用いられている。このような乾燥食品を製造するため、乾燥工程では、熱風乾燥や真空凍結乾燥が施されている。
魚肉を加工して乾燥させた食品として、魚肉に油脂および乳糖を加えて加工し、熱風乾燥または真空乾燥させた乾燥魚肉フレークの製造方法が特許文献1に記載されている。魚肉のすり身を冷凍し、冷凍したすり身を小片状に削って食塩を添加し、冷凍、凍結乾燥させて粉砕した粉末すり身の製造方法が特許文献2に記載されている。
特開2003−235445号公報 特開2010−273590号公報
畜肉、魚肉や貝が乾燥されて水分がなくなると過度に硬くなり、湯戻りするのに長時間を要してしまう。また、熱風乾燥などの加熱乾燥や冷凍、真空凍結乾燥によって湯戻り時間を改善できるが、乾燥によって収縮して硬くなるため、食感に欠けてしまう。さらに、薄くスライスしたかまぼこや小片状の魚肉フレークのように、形状が限定されてしまう。
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合に良好な食感になる乾燥練り物およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の乾燥練り物は次の構成を備える。すなわち本発明は、非加熱の畜肉のすり身または非加熱の魚介類のすり身と、気泡含有物質とが混合され、加熱され、乾燥もしくは真空乾燥されて成る。この構成によれば、気泡含有物質が混合されたことで、非加熱のすり身中にある気泡が加熱されたときに膨張するため、湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合にふっくらとして良好な食感になる。
また、本発明において、前記すり身に添加される前記気泡含有物質の量が、前記すり身の重量に対して15〜20wt%であることが好ましい。これによれば、すり身中に含まれる気泡の量が適量であるため、すり身が加熱されてふっくらとなり、乾燥もしくは真空乾燥されても気泡が残るので、湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合にふっくらとして良好な食感になる。
また、本発明において、前記気泡含有物質が、卵白が泡立てられたメレンゲまたはすられた山芋であることが好ましい。これによれば、メレンゲまたは山芋とすり身とを混合し、気泡を含んだまま成形して加熱すると、微細な気泡を含んだまますり身とともに固まり、乾燥後も気泡が残るので、湯戻りが良い。また、メレンゲまたは山芋は加熱後のすり身の食感を良くし、ふっくらとなる。
また、本発明において、前記メレンゲが、卵白と糖とを混合して製造されたメレンゲであることが好ましい。これによれば、泡立ちが良くなると共に泡を頑丈にし、泡がつぶれにくくなるので、すり身中に気泡を多く残すことができる。
上記の目的を達成するため、本発明の乾燥練り物の製造方法は次の構成を備える。すなわち本発明は、非加熱の畜肉のすり身または非加熱の魚介類のすり身と、気泡含有物質とを混合し、所定形状に成形された後に加熱し、乾燥もしくは真空乾燥することを特徴とする。この構成によれば、気泡含有物質を含んだすり身を成形して加熱すると、すり身中にある気泡が膨張するため、気泡を含んだふっくらとしたすり身が製造できる。このすり身を乾燥もしくは凍結乾燥させても気泡を残したまま乾燥できるので、湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合にふっくらとして良好な食感になる。
本発明の乾燥練り物およびその製造方法によれば、湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合に良好な食感になる乾燥練り物を提供することができる。
本実施形態の乾燥練り物に用いられる材料は、非加熱の畜肉または非加熱の魚介類であり、非加熱の材料は生のもの、冷凍されて解凍したものである。これらの畜肉や魚介類をすり潰してすり身の状態にし、すり身と気泡含有物質とを混合する。気泡含有物質は気泡が安定的に含まれる物質であり、すり身との混合中に気泡が消失しにくい物質である。気泡含有物質が加えられることで混合物の体積が増す。得られた混合物は所定形状に成形されて加熱され、練り物が製造される。非加熱の材料を使用しているため、予め加熱されたものとは異なり、畜肉や魚介類が変性して固まりつつも練り物は弾力性を有し、混合物中の気泡も加熱後に残存してふっくらとした練り物が得られる。このため、得られた練り物を乾燥もしくは真空乾燥させても弾力性を有して気泡が残存しているので、乾燥練り物の湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合に良好な食感になる。
混合物中の気泡は加熱されるときに膨張し、製造される練り物がふっくらとなる。そして、ふっくらとした練り物は、乾燥もしくは真空乾燥されると、練り物に含まれる気泡が残存した乾燥練り物になる。特に真空乾燥の場合は、練り物中の気泡が真空乾燥されているときに膨張するので、よりふっくらと仕上がり、湯戻しした場合に良好な食感になる。これは、残存する気泡が膨張しない真空凍結乾燥による乾燥方法と異なる。真空凍結乾燥法の場合、練り物が凍った状態となり、減圧されても練り物には弾力性がないため、形状変化ができなく、練り物内の気泡が膨張しない。このため、本実施形態の乾燥練り物と比較して、真空凍結乾燥させた練り物は気泡の体積が小さく、真空凍結乾燥させた練り物は湯戻しに時間がかかり、食感が良好ではなくなる。
すり身に用いられる原材料の畜肉として、豚肉、鶏肉を用いることができ、魚介類として、白身魚、えび、かに、たこ、いか、貝類等を用いることができ、骨、皮、殻を取り除き、身だけを取り出して用いる。
また、すり身に添加される気泡含有物質の量が、すり身の重量に対して15〜20wt%であることが好ましい。これは、風味や食感などを考慮した値であり、十分な気泡が含まれて乾燥もしくは真空乾燥でき、湯戻し後には弾力性を有して適度な硬さであり、口当たりが良くなる。
気泡含有物質として用いられる物質は、卵白が泡立てられたメレンゲ、すられた山芋である。メレンゲは撹拌されるとき、山芋はすられるときに微細な気泡が入りやすく、予め微細な気泡が入ったものをすり身に加える。気泡が多いメレンゲや山芋とすり身とが含まれる混合物を成形し、加熱すると、練り物は微細な気泡が含まれた状態で固まり、ふっくらとして食感が良い。
また、メレンゲが、卵白と糖とを混合して製造されたメレンゲであることが好ましい。メレンゲに糖分を加えることで、卵白に微細な気泡が入りやすく、製造されたメレンゲに含まれる気泡は消失しにくくなる。糖としては、砂糖、グラニュー糖、また、砂糖やグラニュー糖を水に溶かしたシロップを用いることができる。
成形されたすり身と気泡含有物質との混合物の大きさは、乾燥もしくは真空乾燥できれば特に限定されない。このため、従来からある、薄くスライスしたかまぼこや小片状の魚肉フレークよりも大きくすることができる。最終的な乾燥練り物の大きさが3cm角内に納まる大きさとなるように、すり身と気泡含有物質を含む混合物を成形すればよい。
本実施形態の乾燥練り物に用いられる練り物としては、肉団子、はんぺん、かまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、つみれを作ることができる。それぞれの練り物に相応しい非加熱の畜肉のすり身または非加熱の魚介類を用い、気泡含有物質を加えて練り物が作られる。これらを乾燥もしくは真空乾燥させて乾燥練り物とすることができる。また、練り物を作るときには、畜肉、魚介類等の原材料に調味料を加えて乾燥練り物の味を調えることができ、塩を加えることによって練り物の粘り気を出すことができる。このため、食塩等の塩分を加えても湯戻しした場合に影響がなく、良好な食感になる。
気泡含有物質と混合された混合物の加熱は、茹でる、蒸す、油で揚げる等の加熱調理法によって施される。お湯や蒸気、油によって調理されることにより、混合物中の気泡が膨張して練り物がふっくらとして弾力が出る。得られる練り物に合わせて適宜これらの調理法を選択すればよく、これらの加熱方法は組み合わせてもよい。
本実施形態の乾燥練り物は、即席スープ、インスタントラーメン、吸い物の具材として用いることができる。また、他の材料とともに詰めて製品としてもよい。
(実施例1)
冷凍されたえびを解凍し、殻、頭、尾をとってむきえびとした。むきえびに食塩、馬鈴薯澱粉を加えてミキサーを用いてペースト状にして、えびのすり身とした。メレンゲは、調整済み卵白とシロップを用いて製造した。調整済み卵白に用いられる材料とその配合比(重量比)は、卵白100、グラニュー糖25〜35、乾燥卵白5である。また、シロップに用いられる材料は、グラニュー糖100に対して水25であり、これらを混合して115℃〜120℃で加熱してシロップを製造した。調整済み卵白1に対して、1.5〜2倍重量のシロップを用い、メレンゲを製造した。えびのすり身100gとメレンゲ20gを混合し、混合物を直径10〜20mmになるように成形した。その後、90〜95℃のお湯で茹で、水冷却して練り物を製造した。得られた練り物は、真空乾燥させて、えびの乾燥練り物を製造した。
製造したえびの乾燥練り物を湯戻ししたところ、従来の練り物の乾燥品と比較して湯戻り時間を短縮し、湯戻しした場合に良好な食感となった。

Claims (5)

  1. 非加熱の畜肉のすり身または非加熱の魚介類のすり身と、気泡含有物質とが混合され、加熱され、乾燥もしくは真空乾燥されて成る乾燥練り物。
  2. 前記すり身に添加される前記気泡含有物質の量が、前記すり身の重量に対して15〜20wt%であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥練り物。
  3. 前記気泡含有物質が、卵白が泡立てられたメレンゲまたはすられた山芋であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乾燥練り物。
  4. 前記メレンゲが、卵白と糖とを混合して製造されたメレンゲであることを特徴とする請求項3に記載の乾燥練り物。
  5. 非加熱の畜肉のすり身または非加熱の魚介類のすり身と、気泡含有物質とを混合し、所定形状に成形された後に加熱し、乾燥もしくは真空乾燥することを特徴とする乾燥練り物の製造方法。
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