JPH06292505A - 水中油型乳化組成物及びその製造方法 - Google Patents

水中油型乳化組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06292505A
JPH06292505A JP5107481A JP10748193A JPH06292505A JP H06292505 A JPH06292505 A JP H06292505A JP 5107481 A JP5107481 A JP 5107481A JP 10748193 A JP10748193 A JP 10748193A JP H06292505 A JPH06292505 A JP H06292505A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
composition
enzyme
water
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5107481A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuya Tsujinaka
卓弥 辻中
Yoshiyuki Yamane
義之 山根
Kiyoshi Ihara
潔 伊原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP5107481A priority Critical patent/JPH06292505A/ja
Publication of JPH06292505A publication Critical patent/JPH06292505A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 酵素活性を有する無菌の水中油型乳化組成
物。 【効果】 良好な流動性と分散性を有し、その取り扱い
は容易で、しかも殺菌処理を施しているため腐敗するこ
となく、特定の酵素活性のみを安定に長期間保存するこ
とができる。澱粉或いはタンパク質を主成分とする食品
に使用した場合、食品本来の風味を損なうことなく、
老化抑制、作業性の改善、及び食感の改質の3つの
効果を満足させる食品の製造が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵素活性を有する無菌
の水中油型乳化組成物及びその製造方法に関する。詳し
くは、澱粉或いはタンパク質を主成分とする食品の老
化抑制、作業性の改善、及び食感の改質とを同時に
満足させる、酵素活性を有する無菌の水中油型乳化組成
物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】澱粉或いはタンパク質を主成分とする加
工食品の多くは老化を伴い、生産者、消費者ともに、こ
れら食品の老化に悩まされてきた。即ち、この老化現象
は食品を製造後、保存した場合、食品全般に共通してみ
られる食味、食感の悪化をいう。例えば餅類では表面が
硬くなり、変色したり、またパン、ケーキ類では内相の
硬さが増して風味を損なったり、米飯類においては硬く
なり、粘りが減少し、風味が損なわれる。またタンパク
性食品においても、例えば肉類では製造後保存中に水分
や油分がドロップし、パサつくといった食味、食感の低
下がみられる。
【0003】また、近年、加工食品製造においては、人
件費の軽減、大量生産を目的として機械化がおこなわれ
ている。この様な機械量産工程では食品が機械に付着す
るなどのトラブルがあり、歩留の減少、作業性の低下の
原因となっており、新たにこれら作業性の改善が必要と
なっている。
【0004】さらに、最近の食に対する一般的な嗜好と
して、ソフトでねとつきのない(コシのある)食感が好
まれる傾向にある。例えば、パン類では内相はもちろん
クラムも軟らかいものが、また麺類も軟らかく、コシの
あるものが、さらに米飯類では硬さと粘りのバランスの
良いコシのあるものが好まれている。さらにまた、タン
パク性食品であるカマボコ類は弾力のあるコシが好まれ
る。以上のように、加工食品においては、老化抑制、
作業性の改善、食感の改良が同時に満たされること
が必要となっている。
【0005】これらの課題に対して、従来から各種の乳
化剤や酵素などを利用した改質剤が提案されている。例
えば、特公昭54−44730号、特公昭55−226
3号には、米に乳化剤を添加することにより、米飯加工
における作業性を改善する方法が開示されている。しか
しながら、この場合の改質効果は作業性の改善のみであ
り、老化抑制および食感の改良の効果は期待できない。
また、作業性の改善に関しても、乳化剤の形態は粉末で
あるため分散性は悪く、しかも炊飯水の温度が約60℃
以上でなければ溶解しないため、効果を出すためには添
加量を増やす必要があり、その結果として食味に関して
は、乳化剤自体の「苦み」を米飯に与えるとともに、澱
粉に対してその糊化を抑制する作用を有するため、本来
のふっくらしたコシのある食感が損なわれる。
【0006】また、酵素を用いた改質剤の代表として、
特開昭62−79746号には、細菌由来のβ−アミラ
ーゼを用いた澱粉質食品の老化防止方法が開示されてい
る。この場合、β−アミラーゼは生地に直接添加するた
め、β−アミラーゼの分散性は悪く、局部的に作用して
製品の品質にバラツキを生ずるという問題が生じる。ま
た、常温あるいは生地調整段階でβ−アミラーゼが作用
するため、生地はベタツキを生じ作業性は逆に低下す
る。さらに食感の改質効果に関しても対象となる食品の
種類により、その効果は不十分である。
【0007】また、特開昭56−68366号には油脂
を炊飯時に添加する米飯の改質方法が開示されている。
この場合、油脂が米に吸収され、風味や艶が向上し、米
飯の付着が防止され、作業性が改善されるとしている。
しかしながら、油脂は水よりも軽く、かつ水に分散しに
くいため、均一に分散させることは困難であり、そのた
め改質効果にはバラツキが生じ、かえって作業性は低下
してしまう。油脂による艶の向上に関しても、この場合
の艶は油脂の油ぎった光沢であり、米飯本来の透明感の
ある艶とは全く性質の異なるものである。さらに風味の
向上に関しても、お茶漬けの際に油が浮いたり、保存し
た場合に油脂の劣化臭が感じられるなどの問題が生じ
る。また老化抑制効果は期待できない。
【0008】さらに、上記のような乳化剤、酵素、油脂
等を配合した改質剤の提案がなされている。例えば、特
開平1−262762号では、水中油型エマルジョンを
用いた米飯の改質方法が開示されている。この場合、水
中油型エマルジョンとすることにより、分散性は良くな
り油脂が均一に分散し、作業性の改善効果が得られると
している。しかしながら、この場合においても、油脂単
独の場合と同様に老化抑制効果は期待できず、さらに食
感の向上に関しても十分な改善効果をもつものではな
い。
【0009】また、特開平3−292846号、特開平
3−292847号、特開平3−292848号には、
それぞれグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤とアミラ
ーゼ、プロテアーゼ類の酵素を油脂に配合した油脂組成
物が開示されている。これらは乳化剤、酵素が澱粉、タ
ンパク質にもたらす効果と油脂が生地にもたらす効果を
併用することにより、老化抑制、作業性の改善、食感の
改良を達成しようとするものである。しかしながら、こ
れらの油脂組成物は油脂と糖類の含量が多いため流動性
に乏しく、油脂組成物を食品の内部まで十分に分散させ
るためには多大な攪拌を必要とするため、パンなどのよ
うに生地調整過程をもち、さらに油脂を添加しても食
味、食感への影響がない食品だけに限られる。
【0010】そこで流動性を良くするために、油脂組成
物の形態を水中油型乳化とした場合には分散性は改善さ
れる。しかしながら、一般に食品に用いられる酵素は粗
酵素であるため、目的の酵素活性以外の酵素活性を有し
ており、この目的外の酵素活性が乳化を不安定にした
り、改質する食品の品質を損なうという問題が生じる。
また、単に酵素を添加しただけでは、酵素が均一に分散
されずに沈澱を生じたり、酵素活性が失活するなどの問
題が生じ、目的とする改質効果は得られない。さらに殺
菌処理をしていないと保存性は悪く、しかも微生物の繁
殖により菌体外酵素が生産され、食品の品質を損なう恐
れがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上の如く、食品の
老化抑制、作業性の改善、及び食感の改良に関して
は従来から種々の検討が行われているにもかかわらず、
今だ十分な結果は得られておらず、現在までこれら3つ
の課題を同時に満足させることはできなかったのが実情
である。本発明は上記の実情に鑑み、澱粉或いはタンパ
ク質を主成分とする食品の製造において、食品本来の風
味を損なうことなく、製造工程における作業性を改善す
るとともに、老化が極めて遅く、かつ食感の改質効果を
有する食品を製造可能とする、酵素活性を有する無菌の
水中油型乳化組成物とその製造方法を提供せんとするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酵素活性を
有する無菌の水中油型乳化組成物とすることにより、上
記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明の第1は、酵素活性を有す
る無菌の水中油型乳化組成物を、本発明の第2は、酵素
を添加した後、殺菌処理することを特徴とする酵素活性
を有する無菌の水中油型乳化組成物の製造方法を、本発
明の第3は、殺菌処理を施した水中油型乳化組成物に、
無菌の酵素を添加することを特徴とする酵素活性を有す
る無菌の水中油型乳化組成物の製造方法を、それぞれ内
容とする。すなわち、酵素を添加した後、殺菌処理する
か或いは殺菌処理を施した水中油型乳化組成物に無菌の
酵素を添加して酵素活性を有する無菌の水中油型乳化組
成物とすることにより、特定の酵素活性のみを安定的に
有し流動性と分散性に優れ、かつ長期保存が可能なた
め、食品本来の風味を損なうことなく、老化抑制、
作業性の改善、及び食感の改質の3つの効果を同時に
満足できることを見出した。本発明でいう無菌の水中油
型乳化組成とは、水中油乳化剤組成物を37℃で2日間
インキュベートした後、測定した菌数が、大腸菌群は陰
性、一般生菌数は10個/g以下の場合をいう。
【0013】以下、本発明について詳述する。本発明の
酵素活性を有する無菌の水中油型乳化組成物は、酵素、
油脂、乳化剤及び水を必須な構成成分として含有し、必
要に応じて乳化安定剤、塩類、香料、呈味料等を含むも
のである。本発明に用いる酵素活性の種類および量は対
象となる食品の種類や用途に応じて種々選択されるが、
食品を製造する際に安定に作用しかつ食品の劣化をおこ
さないものであれば特に制限はない。この酵素活性は酵
素を添加した後、水中油型乳化するか、または水中油型
乳化組成物に酵素を添加することによって得られる。本
発明に用いる酵素としては、例えば、アミラーゼ類、プ
ロテアーゼ類、リパーゼ類、セルラーゼ類などが挙げら
れ、さらには食品の種類や用途に応じてレンネット、ラ
クターゼ、リゾチーム等の酵素も使用でき、これらは単
独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0014】本発明でいうアミラーゼ類とはα−アミラ
ーゼ、イソアミラーゼ、及びグルコアミラーゼからなる
群から選ばれた1種又は2種以上のアミラーゼであり、
Bacillus属、Pseudomonas 属、Aspergillus 属、Rhizop
us属、Klebsiells属由来のものが好ましい。特に酵素を
添加して、加熱殺菌する場合は、耐熱性に優れた酵素、
例えばBacillus属由来のものが好ましい。
【0015】また、これらのアミラーゼ類としては市販
のアミラーゼ剤を使用することができる。例えばα−ア
ミラーゼとしては、天野製薬株式会社製のアミラーゼA
D「アマノ」、AH「アマノ」、ノボノルディスクバイ
オインダストリー株式会社製のターマミル、BAN、株
式会社ヤクルト本社製ユニアーゼBM−8、ナガセ生化
学工業株式会社製のスピターゼHS、HK、PN−4、
AL、LH、新日本化学工業株式会社製のスミチーム
L、大和化成株式会社製のクライスターゼ、コクゲンレ
ーム社製のロハラーゼAT、上田化学工業株式会社製の
液化酵素T、K、SS等があり、β−アミラーゼとして
は、天野製薬株式会社製のビオザイムC、L、株式会社
ヤクルト本社製のユニアーゼL等があり、イソアミラー
ゼとしては、天野製薬株式会社製のプルラナーゼ「アマ
ノ」、DB−1、ノボノルディスクバイオインダストリ
ー株式会社製のプロモザイム等、更に、グルコアミラー
ゼとしては、天野製薬株式会社製のグルコザイムNL、
新日本化学工業株式会社製のスミチームS、ノボノルデ
ィスクバイオインダストリー株式会社製のデキストロザ
イム等が挙げられる。尚、上記酵素名はいずれも商品名
である。
【0016】これらのアミラーゼ類の添加量について
は、この水中油型乳化組成物を使用する食品の種類、希
望する効果の程度等により異なるが、一般に後述する活
性測定方法を用いて測定したアミラーゼ活性が組成物1
kgに対して100〜50000単位の範囲が好ましく、
より好ましくは500〜10000単位の範囲が適当で
ある。
【0017】本発明でいうプロテアーゼ類としては、Ba
cillus属、Thermus 属、Asperigillus属、植物由来のも
のが好ましく、これらは単独又は2種以上組み合わせて
用いられるが、特に酵素を添加して、加熱殺菌する場合
には、耐熱性に優れた酵素、例えばBacillus属、Thermu
s 属由来のものが好ましい。また、これらのプロテアー
ゼ類としては、市販のプロテアーゼ剤を使用することが
でき、例えば、天野製薬株式会社製のプロテアーゼN
「アマノ」、P「アマノ」、S「アマノ」、ノボノルデ
ィスクバイオインダストリー株式会社製のアルカラー
ゼ、ニュートラーゼ、新日本化学工業株式会社製のスミ
チームLP、大和化成株式会社製のサモアーゼ等が挙げ
られる。尚、上記酵素名はいずれも商品名である。これ
らのプロテアーゼ類の添加量についても、食品の種類、
希望する効果の程度等により異なるが、後述する一般に
用いられるプロテアーゼ活性測定法にて測定したプロテ
アーゼ活性が組成物1kgに対して100〜50000単
位の範囲が好ましく、より好ましくは500〜1500
0単位の範囲が適当である。
【0018】本発明でいうリパーゼ類としては、Asperi
gillus属、Rhizopus属、Pesudomonas 属由来のものが好
ましいが、市販されている各種のリパーゼ剤を用いるこ
とができ、これらは単独又は2種以上組み合わせてもち
いられる。このようなリパーゼ剤としては、例えば、天
野製薬株式会社製のリパーゼA「アマノ」、P「アマ
ノ」、ナガセ生化学工業株式会社製のリパーゼ(サイケ
ン)等が挙げられる。尚、上記酵素名はいずれも商品名
である。これらのリパーゼ類の添加量についても、食品
の種類、希望する効果の程度等により異なるが、後述す
る一般に用いられるリパーゼ活性測定法にて測定したリ
パーゼ活性が組成物1kgに対して50〜10000単位
の範囲が好ましく、より好ましくは100〜2000単
位の範囲が適当である。
【0019】本発明でいうセルラーゼ類としては、Tric
hoderma 属、Asperigillus属、Fusarium属由来のものが
好ましいが、市販されている各種のセルラーゼ剤を用い
ることができ、これらは単独又は2種以上組み合わせて
用いられる。このようなセルラーゼ剤としては、例え
ば、天野製薬株式会社製のセルラーゼA、T、新日本化
学工業株式会社製のスミチームAC、X等が挙げられ
る。尚、上記酵素名はいずれも商品名である。これらの
セルラーゼ類の添加量についても、食品の種類、希望す
る効果の程度等により異なるが、後述する一般に用いら
れるセルラーゼ活性測定法にて測定したセルラーゼ活性
が組成物1kgに対して50〜10000単位の範囲が好
ましく、より好ましくは100〜2000単位の範囲が
適当である。
【0020】本発明に用いる油脂は大豆油、綿実油、な
たね油、パーム油、ヤシ油、とうもろこし油、米油、パ
ーム核油、魚油、牛油、ラード等の各種動植物油及びそ
れらの硬化、分別油、エステル交換油等が挙げられる
が、これらに限定されるものではなく、食用油であれば
特に問題なく使用できる。これらは単独又は2種以上混
合した調合油として用いられる。油脂の添加量は組成物
中5〜70重量%の範囲が好ましく、この範囲をはずれ
ると、十分な食品の改質効果は得られず、また安定な水
中油型乳化組成物を得ることは難しい。
【0021】本発明に用いる乳化剤は、グリセリン脂肪
酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシ
チン、サポニン等が用いられ、これらは1種或いは2種
以上組み合わせて用いることができる。添加量は0.2
〜15重量%の範囲が好ましい。添加量が0.2重量%
未満では乳化安定の効果や、食品の改質効果が十分では
なく、一方、添加量が15重量%を越えると、逆に乳化
を阻害したり、味に悪影響を及ぼすため好ましくない。
特に澱粉或いはタンパク質食品の老化抑制効果を期待す
る場合には、澱粉或いはタンパク質との反応性の高いグ
リセリン脂肪酸エステルもしくはショ糖脂肪酸エステル
を使用することが望ましい。
【0022】また、本発明の水中油型乳化組成物の安定
性を増すために、タンパク質又は多糖類を加えてもよ
い。例えば、タンパク質としては乳タンパク質(ラクト
アルブミン、ラクトグロブリン、カゼイン等)、ホエー
タンパク濃縮物、小麦タンパク質(グルテン)、卵タン
パク質、大豆タンパク質等のタンパク質及びこれらタン
パク質の加水分解物等が挙げられ、これらは単独又は2
種以上組み合わせて用いられる。
【0023】また、多糖類としては例えば、カラギーナ
ン、キサンタンガム、アラビアガム、カラヤガム、アル
ギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエ
ステル、澱粉リン酸エステルナトリウム、カルボキシメ
チルセルロース、メチルセルロース、アラビノガラクタ
ン、ローカストビンガム、グアーガム、タマリンド種子
多糖類、タラカントガム、デキストリン、α化澱粉、澱
粉、ペクチン、寒天、カードラン、ガティガム等が挙げ
られ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。これら乳化安定剤の添加量は、組成物全体に対して
0.01〜30重量%の範囲が好ましく、より好ましく
は0.03〜20重量%の範囲が適当である。
【0024】また、塩類としては酢酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリ
ウム、ピロリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヘ
キサメタリン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、塩化カル
シウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらは単独又
は2種以上組み合わせて用いられる。これらの塩類を用
いて水相のpHを調整することにより、組成物自体の粘
度を安定化することができるとともに、酵素活性を組成
物中で安定化を高めることができる。また、その他必要
に応じて香料やグルタミン酸ナトリウム、イノシン酸等
の調味料、クエン酸、乳酸、酢酸、グルコン酸等の酸味
料、オルゴトース、ソルビトール、ショ糖、澱粉糖化液
等の甘味料等各種の呈味料を1種又は2種以上組み合わ
せて添加することができる。
【0025】本発明の水中油型乳化組成物の好ましい製
造方法について説明する。まず、親水性の乳化剤及び水
溶性の配合材を水に加熱溶解した水相部に、一方で親油
性の乳化剤及び油溶性の配合材を添加して調整した油相
部を添加し、攪拌して予備乳化を行う。さらにバルブ式
ホモジナイザー等の均質化装置を用いて均質化後、殺菌
処理して水中油型乳化組成物を得る。殺菌処理としては
熱水と蒸気を利用したUHT殺菌が一般的ではあるが、
赤外線、摩擦熱、マイクロ波加熱等の加熱殺菌でもよ
い。また、超音波、紫外線、放射線、レーザー光線等の
物理的殺菌も利用できる。酵素の添加は、上記のように
して得られる水中油型乳化組成物の殺菌処理の前もしく
は後に添加する2通りの方法がある。殺菌処理する前に
添加する方法としては、水相部に添加する方法、油脂に
分散させる方法、予備乳化時に粉末のまま、もしくは少
量の水に分散、溶解して添加する方法等がある。これら
の方法を用いる場合、酵素としては耐熱性を有するもの
を用いることが、殺菌後の残存酵素活性が高くなるので
望ましい。
【0026】一方、水中油型乳化組成物を殺菌処理を施
した後、酵素を添加する方法としては、酵素を水に溶解
後、無菌フィルター処理を施して添加する方法、酵素を
水に分散、溶解し加熱殺菌や物理的殺菌等の殺菌処理を
施した後に添加する方法等がある。特に使用する酵素中
の菌数が少なく、殺菌処理を行わずに添加しても水中油
型乳化組成物が無菌となり、かつその酵素中の目的以外
の酵素活性が水中油型乳化組成物を不安定にしたり、ま
た、この水中油型乳化組成物を食品に添加した際に、改
質効果を損なうなどの悪影響を及ぼさない場合は、酵素
を未殺菌のまま、もしくは殺菌処理した水に分散、溶解
したものを直接添加してもよい。これらの場合のよう
に、酵素を水中油型乳化組成物に後添加する場合には、
水中油型乳化組成物100重量%に対して、酵素液が
0.01〜20重量%の割合となるように添加すること
が、安定な酵素活性を有する水中油型乳化組成物を得る
ために望ましい。
【0027】本発明の酵素活性を有する無菌の水中油型
乳化組成物の食品への使用量は、食品の種類及び期待す
る程度に応じて決定される。かくして、本発明の酵素活
性を有する無菌の水中油型乳化組成物は、水中油型乳化
の形態であるため、良好な流動性と分散性を有し取り扱
い易い。しかも、殺菌処理を施しているため、腐敗する
という問題はない。また、殺菌処理することにより、使
用する酵素に含まれる目的以外の酵素活性は失活し、水
中油型乳化組成物やこの組成物を使用する食品の品質を
損なうことはない。また、酵素活性は水中油型乳化組成
物中の乳化剤と酵素が作用することにより、沈澱等を生
じることなく均一に分散された状態を保つとともに、酵
素活性を安定に長期間保存することができる。さらに、
このものを食品に使用した場合も形態が水中油型である
ため、食品中に容易にかつ均一に分散し、組成物中の酵
素活性、油脂、乳化剤が相乗的に作用し、その結果、食
品本来の風味を損なうことなく、老化抑制、作業性
の改善、及び食感の改質の3つの効果を同時に満足さ
せることができる。
【0028】以下に前出のアミラーゼ、プロテアーゼ、
リパーゼ、セルラーゼ活性の測定方法を示す。 「アミラーゼ活性測定方法」 (1)α−アミラーゼ 1重量%馬鈴薯澱粉糊液(pH6.0、0.1N 酢酸緩
衝液)10mlを40℃に5分以上予備保温したのち、同
温度の適当倍に希釈した酵素液1mlを加え反応を開始さ
せる。酵素添加10分後、反応液1mlを0.1N HCl 1
0mlに加え反応を停止させ、この液0.5mlを0.00
5%ヨウ素溶液10mlに加えて660nmにて比色呈色
(D)をおこなう。なお、酵素液の代わりに水を用いて
比色したとき(D0 )を対照とする。すなわち、1重量
%澱粉糊液10mlのBlue Valueを40℃、1分間に1%
低下させる活性を1力価とし、以下の式により求めた。
nは酵素の希釈倍数を示す。 α−アミラーゼ活性(単位/g)=D0 −D/D×10
0/10×n (2)β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ 試薬 A液:0.24M CuSO4 ・5H2O B液:1.22M ロッシェル塩と2.575M NaOH
の混液 C液:30重量%ヨウ化カリウム液 D液:25重量% H2SO4
【0029】活性測定方法 1.2重量%澱粉糊液(pH4.5、0.1N 酢酸緩衝
液)5mlを40℃に5分以上保温したのち、同温の酵素
液1mlを加え、反応を開始させる。10分後、B液2ml
を加え反応を停止後、A液2mlを加えキャップをし、沸
騰水溶中で15分間加熱後、直ちに流水中で25℃以下
に冷却する。C液2ml、D液2mlを加え、0.05N チ
オ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、測定値(D)を得る。
別に上記操作において、B液と酵素液の添加順序を逆に
したものを対照値(D0 )とする。すなわちこの条件下
で1分間に1mgのグルコース相当の還元力を生成する活
性を1力価とし、以下の式より求めた。nは酵素の希釈
倍数、fは0.05N チオ硫酸ナトリウムのfactorを示
す。 β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ活性(単位/g)=
生成グルコース(mg)×1/10×n=(D−D0 )×
1.6×f×1/10×n
【0030】イソアミラーゼ 1重量%アミロペクチン溶液(pH6.0、0.1N 酢
酸緩衝液)2.5mlに酵素液1mlを加え、40℃で60
分間反応する。その後さらに0.01M ヨウ素溶液1ml
を加え全量を水で25mlとし、620nmにおける吸光度
を測定する。別に上記操作において失活させた酵素を含
む反応液のヨウ素反応液を対照とし、酵素力価(単位/
g)は1時間に吸光度が0.1増加するのに要する酵素
量を1単位とした。
【0031】「プロテアーゼ活性測定方法(Folin
法)」30℃に予備保温した酵素1mlに同温度の0.6
重量%ミルクカゼイン溶液5mlを加え、30℃で10分
間反応させる。ついで10重量%TCA溶液10mlを加
えて酵素反応を停止させ、30℃に30分間放置して濾
過する。濾液1mlに0.55M Na2CO35ml、3倍希釈フ
ォリン試薬1mlを加え、30℃で30分後660nmの吸
光度を測定した。対照は上記操作において、酵素液にT
CA溶液5mlを先に加え、続いてミルクカゼイン溶液を
添加した。酵素反応を行った方の吸光度から対照の吸光
度を差し引いたものが酵素作用によって生じた反応生成
物量とし、別に作成したチロシン基準曲線から30℃で
1分間に1μgのチロシンに相当する呈色を示す酵素活
性度を1力価(単位/g)とした。
【0032】「リパーゼ活性測定法」 試薬 オリーブ油乳液 オリーブ油22.9gとポリビニールアルコール溶液7
5mlを5〜10℃に冷却しホモジナイザー(11000
rpm )にて乳化する。 活性測定方法 オリーブ油乳液5mlと0.1M リン酸緩衝液(pH7.
0)4mlとを37℃で10分間予熱する。これに酵素液
1mlを加え37℃で20分間放置後アセトン、エタノー
ル混液(1:1)20mlを加え攪拌後、フェノールフタ
レイン溶液5滴を加え、0.05N NaOHで滴定する(b
ml)。別に上記操作においてアセトン・エタノール混液
を先に加えたのち、酵素液を加え、同様に操作して滴定
したもの(aml)を対照とする。リパーゼがオリーブ油
に作用するとき、反応初期の1分間に1μmol の脂肪酸
の増加をもたらす酵素量を1力価(単位/g)とし、以
下の式により求めた。Wは酵素液1ml中の酵素の量
(g)である。 リパーゼ力価(単位/g)=50(a−b)×1/20
×1/W
【0033】「セルラーゼ活性測定法」0.625重量
%CMC−Na(pH4.5)4ml、酵素液1mlを40
℃で30分間作用させた後、β−アミラーゼ、グルコア
ミラーゼの活性測定と同様の操作で反応を停止させ、1
分間に1μmol のグルコースに相当する還元力を生成す
る活性を1力価(単位/g)とした。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例、応用例をも
って更に具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限
定されるものではない。 実施例1〜5 表1に示す油脂配合にて混合した油脂を約70℃に加温
し、これに親油性乳化剤を添加し均一に混合し油相部と
した。一方、約60℃に加温した水に親水性乳化剤及び
その他の水溶性配合材を加え溶解し水相部とした。この
水相部に上記の如く得た油相部を混合し予備乳化する際
に、酵素を少量の水に分散してスラリー化して添加し
た。このものをバルブ式ホモジナイザーにて60kg/cm
2 の条件で均質化処理し、140℃で3秒間殺菌後、再
度バルブ式ホモジナイザーにて120kg/cm2 の条件で
均質化処理し、5℃まで冷却して本発明の水中油型乳化
組成物を得た。この水中油型乳化組成物は無菌充填によ
り容器に充填した。得られた水中油型乳化組成物は、い
ずれも大腸菌群陰性、一般生菌数10個/g以下であっ
た。各水中油型乳化組成物の残存酵素活性を表3に示
す。これらの水中油型乳化組成物は、5℃で2カ月間保
存後も安定した酵素活性と乳化状態を保持し、良好な流
動性を有していた。
【0035】実施例6〜8 表1に示す配合にて、約60℃に加温した水に、水溶性
配合材を調整した水相部に、約70℃に加温した油脂に
親油性乳化剤を混合して調整した油相部を混合し予備乳
化した。このものをバルブ式ホモジナイザーにて60kg
/cm2 の条件で均質化処理し、140℃で3秒間殺菌
後、再度バルブ式ホモジナイザーにて120kg/cm2
条件で均質化処理し、5℃まで冷却して水中油型乳化組
成物を得た。得られた水中油型乳化組成物に同表に示す
添加量の酵素を水に分散、溶解したものを無菌フィルタ
ーを通して添加、混合(後合わせ)し、無菌充填するこ
とにより、本発明の水中油型乳化組成物を得た。得られ
た水中油型乳化組成物は、いずれも大腸菌陰性、一般生
菌数10個/g以下であった。各水中油型乳化組成物の
残存酵素活性を表3に示す。これらの水中油型乳化組成
物は、5℃で2カ月間保存後も安定した酵素活性と乳化
状態を保持し、良好な流動性を有していた。
【0036】実施例9〜11 表1に示す配合にて、約60℃に加温した水に、水溶性
配合材を加え溶解し調整した水相部に、約70℃に加温
した油脂に親油性乳化剤を混合して調整した油相部を混
合し予備乳化した。このものをバルブ式ホモジナイザー
にて60kg/cm2 の条件で均質化処理し、140℃で3
秒間殺菌後、再度バルブ式ホモジナイザーにて120kg
/cm2 の条件で均質化処理し、5℃まで冷却し水中油型
乳化組成物を得た。得られた水中油型乳化組成物に同表
に示す酵素及び糖類を水に溶解し、100℃で60秒間
殺菌したものを添加、混合(後合わせ)し無菌充填する
ことにより、本発明の水中油型乳化組成物を得た。得ら
れた水中油型乳化組成物は、いずれも大腸菌陰性、一般
生菌数10個/g以下であった。各水中油型乳化組成物
の残存酵素活性を表3に示す。これらの水中油型乳化組
成物は、5℃で2カ月間保存後も安定した酵素活性と乳
化状態を保持し、良好な流動性を有していた。
【0037】比較例1〜5 表2に示す配合にて、約60℃に加温した水に、水溶性
配合材を加え溶解し調整した水相部に、約70℃に加温
した油脂に親油性乳化剤を混合して調整した油相部を混
合し予備乳化した。このものをバルブ式ホモジナイザー
にて60kg/cm2 の条件で均質化処理し、140℃で3
秒間殺菌後、再度バルブ式ホモジナイザーにて120kg
/cm2 の条件で均質化処理し、5℃まで冷却し水中油型
乳化組成物を得た。次に、上記実施例1〜11及び比較
例1〜5で得られた水中油型乳化組成物を用いた応用例
を示すが、本発明はこれらの応用例に限定されるもので
はない。 応用例1(食パン) 油脂として実施例1の水中油型乳化組成物(以下、組成
物Aという)と比較例1の水中油型乳化組成物(組成物
B)を用い、70%中種法で食パンを作成し、得られた
食パンの評価をおこなった。強力小麦粉70重量%にイ
ースト2重量%、イーストフード0.1重量%、水41
重量%を加えて軽く混ぜ合わせる程度にこね、生地(中
種)をつくり、27℃で4時間半醗酵させた。その後、
これに強力小麦粉30重量%、食塩2重量%、砂糖5重
量%、脱脂粉乳1重量%、水23重量%と組成物A又は
Bをそれぞれ7重量%加え、本ねりを十分におこなっ
た。次に、生地を分割し、まるめて中間ホイロに入れた
(ねかし)。ねかしは30℃で20分間おこなった。次
に成型し、型詰めして、38℃で50分醗酵させ(ホイ
ロ)、最後に215℃で30分オーブンで焼成し食パン
を作成した。焼成後、パンを20℃で1時間冷却した
後、ビニール袋に入れ密閉し、20℃で48時間保存し
サンプルとした。組成物Aを使用したものは、本こね後
の生地のまとまるまでの時間は、組成物Bを使用したも
のに比べ短かった。さらに、食パンのサンプルにおいて
は、組成物Aを使用したものは、作成直後、48時間後
ともに軟らかく口当たりは良好で、ネトツキは感じられ
なかったのに対し、組成物Bを使用したものは、硬く、
口当たりは悪く、ネトツキが感じられた。
【0038】応用例2(米飯) 実施例2の水中油型乳化組成物(組成物C)及び比較例
2の水中油型乳化組成物(組成物D)を炊飯時に添加し
て、炊飯をおこない得られた米飯の評価をおこなった。
標準価格米100重量%を洗米し、室温で1時間浸漬
後、水切りし、水を120重量%と組成物C又はDをそ
れぞれ2重量%添加しガス炊飯器にて炊飯をおこなっ
た。炊き上がった米飯は直ちに30℃まで冷却し、ポリ
容器に入れ、15℃で24時間保存した。また、一方で
はこれらの米飯を用い、米飯をコンベアー上で攪拌しな
がら−20℃の冷風を当て凍結し、作成した冷凍米飯に
ついて評価をおこなった。組成物C、Dいずれを使用し
た米飯も、釜ばなれ、ほぐしは良好であったが、組成物
Dを使用したものは食味的に油っぽさが感じられ、粘り
気が少なかった。一方、組成物Cを使用した米飯は、硬
さ、粘りともに好ましく、お茶漬けをしても油の浮きは
認められなかった。また、15℃で24時間保存後も、
組成物Dを使用したものが硬くパサパサであったのに対
し、冷却直後とかわらぬ適当な硬さと粘りがあり、透明
感のある光沢を有していた。冷凍米飯においては、組成
物Cを使用した米飯が3粒以下の固まりが米飯の全重量
の63%であったのに対し、組成物Dを使用したものは
3粒以下の固まりは24%であった。夫々の冷凍米飯を
−20℃で3カ月間保存後、電子レンジにて解凍したと
ころ、組成物Cを使用した米飯は、食味、食感、外観の
いずれも冷凍前の炊き上がり状態と同様であったのに対
し、組成物Dを使用した米飯は、コシがなく、光沢も白
っぽく、米飯本来の風味、食感は全く損なわれていた。
【0039】応用例3(うどん) 実施例3の水中油型乳化組成物(組成物E)を用いてう
どんを作成し、得られたうどんの評価をおこなった。中
力粉100重量%、食塩2重量%、水32重量%、組成
物E2重量%を加え混捏、成型、ロール圧延をおこなっ
て得た厚さ2.5mmの麺帯をNo.10 の切刃を用いて細切
し、うどんの麺線とし、これを長さ250mmに裁断して
沸騰水中で18分間茹で5℃で保存した後、沸騰水中で
2分間湯洗し評価をおこなった。組成物Eを使用したう
どんは、生地のまとまり時間は、組成物E無添加のもの
(以下、対照Aという)よりも短く麺線への成型時の機
械への結着はみられず、食感もコシが感じられた。ま
た、対照Aは5℃で24時間後、弾力がなく硬かったの
に対し、組成物Eを使用したものは、5℃で48時間後
も作成直後と同様の艶が表面にみられ、弾力性のあるも
のであり、沸騰中に加熱し続けても煮くずれすることは
なかった。
【0040】応用例4(団子) 実施例4の水中油型乳化組成物(組成物F)及び比較例
3の水中油型乳化組成物(組成物G)を使用して団子を
作成し、得られた団子の評価をおこなった。上新粉10
0重量%、浮き粉30重量%、小麦粉(薄力)13重量
%、食塩0.5重量%、砂糖50重量%を混合したもの
に水50重量%、組成物F又はGをそれぞれ2重量%加
え、混捏後、火にかけ半練り状きにねり上げた後、セイ
ロで20分間蒸し種を仕上げた。この種を1個15gに
切り分け成型し、蒸し上げ団子を作成した。このものを
5℃にて保存した後、評価をおこなった。組成物Fを使
用した団子は、生地のまとまり時間は短く、成型時、機
械への結着も全く認められなかった。さらに食感はネタ
ツキのない好ましい弾力を有しており、5℃で48時間
後も軟らかく、表面は艶のあるものであった。一方、組
成物Gを使用した団子は、成型時、機械への結着がみら
れ、ややベタツキのある生地であった。また、食感はネ
タツキのあるもので、5℃で24時間後すでに硬く、表
面に艶はなく、あれがみられた。
【0041】応用例5(ホワイトソース) 実施例5の水中油型乳化組成物(組成物H)を使用して
ホワイトソースを作成し、得られたホワイトソースの評
価をおこなった。40℃に溶かしたバター5.5重量%
に小麦粉5.5重量%、組成物H0.1重量%を加え、
加熱しながらよく攪拌しルーを調整した。このルーを4
0℃に冷やしたところに、60℃に温めた牛乳100重
量%を加え、混合し加熱してホワイトソースを作成し
た。組成物Hを使用しなかったもの(対照B)に比べ、
組成物Hを使用したものは混和性は良好であり、容器へ
の付着も少なかった。また、5℃で48時間後も対照B
では油脂のしみ出しがみられ、食感も損なわれたのに対
し、組成物Hを使用したものでは油のしみ出しも認めら
れず、5℃で48時間後も作成直後と変わらないネトツ
キのない良好な食感を有していた。
【0042】応用例6(マッシュポテト) 実施例6の水中油型乳化組成物(組成物I)及びモノグ
リセリドを使用しマッシュポテトを作成し、得られたマ
ッシュポテトの評価をおこなった。皮をむき十分に水洗
いしたじゃがいも100重量%をなべに入れ、じゃがい
もがかぶるだけの水と水の0.3重量%の食塩を加え
て、25分間茹でた。湯を捨て、なべを弱火にかけ、残
りの水分を蒸発させ、手早く裏ごしをした。ここに溶か
しバター10重量%、組成物Iを2重量%又はモノグリ
セリドを0.1重量%、塩1重量%、コショウ0.03
重量%を加え混ぜをおこない最後に熱い牛乳20重量%
を加え練り混ぜマッシュポテトを作成し、5℃で保存し
た後、評価をおこなった。組成物Iを使用したものは、
モノグリセリドを使用したもの(対照C)よりも製造時
の機械への結着は少なかった。また5℃で48時間後、
対照Cは硬くなり、サックリしたマッシュポテトの食感
が損なわれたのに対し、組成物Iを使用したものは5℃
で48時間後も、作成直後のネトツキのないサックリし
た食感を有していた。
【0043】応用例7(カスタードクリーム) 実施例7の水中油型乳化組成物(組成物J)を用い、カ
スタードクリームを作成し、得られたカスタードクリー
ムの評価をおこなった。卵黄60重量%に砂糖100重
量%、コーンスターチ12重量%、組成物J1重量%を
入れよく混ぜ合わせた。そこに70℃に加熱した牛乳1
10重量%を手早く加え、混ぜ合わせ、強火にかけ、練
り上げ、火を止めてバニラエッセンス0.01重量%を
加えてカスタードクリームを作成した。このカスタード
クリームは、作成時に組成物Jを使用しなかったもの
(対照D)に比べ、混ぜ合わせた時の混和性は良好であ
った。また、5℃で72時間後も、対照Dがボソボソの
食感であったのに対し、組成物Jを使用したものはクリ
ームの艶も良く、食感も作成直後と変わらないネトツキ
のないソフトで良好なものであった。
【0044】応用例8(さつま揚げ) 実施例8の水中油型乳化組成物(組成物K)及び比較例
4の水中油型乳化組成物(組成物L)を使用してさつま
揚げを作成し、得られたさつま揚げの評価をおこなっ
た。原料魚(タラ)100重量%、食塩4重量%、デン
プン13重量%、砂糖6重量%、グルコース2重量%、
グルタミン酸ソーダ1重量%、ポリリン酸ナトリウム
0.1重量%、組成物K又はLをそれぞれ3重量%を練
り合わせ、半練り状にねり上げた。このものを1個50
gに成型し、湯で揚げ、さつま揚げを作成した。これを
5℃及び37℃にて保存し評価をおこなった。組成物K
を使用したものは、組成物Lを使用したものに比べ製造
時の機械への結着は少なく、成型性も良好であった。ま
た組成物Kを使用したものは、5℃で72時間後も、さ
つま揚げ特有の弾力性を有しており好ましいものであっ
た。さらに、37℃で保存したものについては、組成物
Lを使用したものが24時間後ネトが発生し、一般生菌
数6.7×107 個/gであったのに対し、組成物Kを
使用したものは、37℃で48時間後の一般生菌数1.
5×103 個/gであった。
【0045】応用例9(ステーキ) 実施例9の水中油型乳化組成物(組成物M)及び比較例
5の水中油型乳化組成物(組成物N)をインジェクショ
ン液として牛モモ肉を注入し作成した肉塊の評価をおこ
なった。牛モモ肉100重量%に対し、組成物M又はN
をそれぞれ20重量%インジョクション用針にて注入し
肉塊を調製した。この肉塊を7〜8℃で6時間保存後、
ステーキ様にして焼成した。組成物Mを使用したもの
は、組成物Nを使用したものに比べ、鉄板に付着するこ
とはなく、食感もその肉質ははるかに軟らかく、且つジ
ューシーで良好な焼成物であった。さらに15℃で5時
間後では、組成物Nを使用したものではドロップがみら
れ、硬かった。一方、組成物Mを使用したものではドロ
ップはみられず、焼成直後とかわらない軟らかく、ジュ
ーシーな食感を有していた。
【0046】応用例10(麹) 実施例10の水中油型乳化組成物(組成物O)を使用し
て麹を作成し、この麹を用いて製造した焼酎の評価をお
こなった。原料米100重量%を水洗し、5時間浸漬
後、水切りしたものに組成物Oを1重量%を加えて米粒
表面に均一に付着させた後、蒸しを20分間おこなっ
た。このものに冷風をあて室温まで冷却後、種コウジを
種付し培養を2日間おこない麹を作成した。この麹とサ
ツマイモを原料にモロミをつくり、このものを蒸留して
イモ焼酎を製造した。組成物Oを使用したものは、蒸し
米のサバキは良好であり、さらに冷却後、長時間放置さ
れても、どう割れをおこすことなく良好な外観を有して
いた。また、できたイモ焼酎も、組成物Oを使用しなか
ったもの(対照E)に比べ、独自のまろやかな風味とソ
フトなのどごしを有するとともに香味も向上していた。
【0047】応用例11(マドレーヌ) 実施例11の水中油型乳化組成物(組成物P)を使用し
てマドレーヌを作成し得られたマドレーヌの評価をおこ
なった。全卵80重量%、卵黄50重量%、砂糖100
重量%、組成物P3重量%を約35℃に温めながら泡立
てた。ここに牛乳100重量%を少しずつ注ぎ、泡立つ
まで攪拌を続けた。小麦粉200重量%とベーキングパ
ウダー3重量%を加え、手早く混ぜ合わせ、最後に溶か
しバター50重量%を混ぜ合わせた。これを型に8分目
まで絞り、160〜180℃の中火で焼成しマドレーヌ
を作成した。このものは組成物Pを使用しなかったもの
(対照F)に比べ、型抜けが良く、ボリュームもアップ
しており、内相も良好でソフトでネトツキのない食感で
あった。また、5℃で2週間保存後も軟らかく、作成直
後とかわらぬ食感を有していた。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】以上の如く、本発明の酵素活性を有する
無菌の水中油型乳化組成物は水中油型乳化の形態である
ため、良好な流動性と分散性を有し、その取り扱いは容
易である。しかも、殺菌処理を施しているため腐敗する
ことなく、特定の酵素活性のみを安定に長期間保存する
ことができる。従って、本発明の水中油型乳化組成物を
澱粉或いはタンパク質を主成分とする食品に使用した場
合、食品に容易にかつ均一に分散し、組成物中の酵素活
性、油脂、乳化剤が相乗的に作用し、その結果、食品本
来の風味を損なうことなく、老化抑制、作業性の改
善、及び食感の改質の3つの効果を満足させる食品の
製造が可能となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素活性を有する無菌の水中油型乳化組
    成物。
  2. 【請求項2】 アミラーゼ類および/またはプロテアー
    ゼ類を含有する請求項1記載の水中油型乳化組成物。
  3. 【請求項3】 酵素を添加した後、殺菌処理することを
    特徴とする酵素活性を有する無菌の水中油型乳化組成物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 殺菌処理を施した水中油型乳化組成物
    に、無菌の酵素を添加することを特徴とする酵素活性を
    有する無菌の水中油型乳化組成物の製造方法。
JP5107481A 1993-04-09 1993-04-09 水中油型乳化組成物及びその製造方法 Withdrawn JPH06292505A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5107481A JPH06292505A (ja) 1993-04-09 1993-04-09 水中油型乳化組成物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5107481A JPH06292505A (ja) 1993-04-09 1993-04-09 水中油型乳化組成物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06292505A true JPH06292505A (ja) 1994-10-21

Family

ID=14460316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5107481A Withdrawn JPH06292505A (ja) 1993-04-09 1993-04-09 水中油型乳化組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06292505A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006126472A1 (ja) * 2005-05-23 2006-11-30 San-Ei Gen F.F.I., Inc. 酸性水中油滴型エマルジョン及びその食品への応用
JP2008161123A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 製菓、製パン用流動状水中油型乳化物
JP2009095247A (ja) * 2007-10-12 2009-05-07 Adeka Corp ケーキ用起泡性乳化剤組成物
JP2009525033A (ja) * 2006-02-02 2009-07-09 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. プロリン特異的プロテアーゼを含んでなる食品、その調製、および毒性またはアレルゲン性グルテンペプチドを分解するためのその使用
JP2011036237A (ja) * 2009-07-17 2011-02-24 Amano Enzyme Inc β−アミラーゼを利用した食品の改質方法
JPWO2009102040A1 (ja) * 2008-02-15 2011-06-16 吉田 英明 クリーム様乳化物
JP2012249589A (ja) * 2011-06-03 2012-12-20 Nisshin Oillio Group Ltd ルウ用油脂及びそれを用いたルウ
JP2015107097A (ja) * 2013-10-25 2015-06-11 塩水港精糖株式会社 乳化能をもつ食品素材を製造する方法及びその食品素材
JP2016165272A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 宜蘭食品工業股▲フン▼有限公司 澱粉老化防止組成物、タピオカ及びその製造方法
JP2018201457A (ja) * 2017-06-08 2018-12-27 日油株式会社 水中油型乳化油脂組成物および菓子用穀粉組成物
WO2020145371A1 (ja) * 2019-01-10 2020-07-16 味の素株式会社 デンプン含有食品の製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006126472A1 (ja) * 2005-05-23 2006-11-30 San-Ei Gen F.F.I., Inc. 酸性水中油滴型エマルジョン及びその食品への応用
JP2009525033A (ja) * 2006-02-02 2009-07-09 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. プロリン特異的プロテアーゼを含んでなる食品、その調製、および毒性またはアレルゲン性グルテンペプチドを分解するためのその使用
JP4683566B2 (ja) * 2006-12-28 2011-05-18 ミヨシ油脂株式会社 製パン生地練り込み用流動状水中油型乳化物
JP2008161123A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 製菓、製パン用流動状水中油型乳化物
JP2009095247A (ja) * 2007-10-12 2009-05-07 Adeka Corp ケーキ用起泡性乳化剤組成物
JPWO2009102040A1 (ja) * 2008-02-15 2011-06-16 吉田 英明 クリーム様乳化物
JP2011036237A (ja) * 2009-07-17 2011-02-24 Amano Enzyme Inc β−アミラーゼを利用した食品の改質方法
US8895088B2 (en) 2009-07-17 2014-11-25 Amano Enzyme Inc. Method for improvement of foods utilizing β-amylase
JP2012249589A (ja) * 2011-06-03 2012-12-20 Nisshin Oillio Group Ltd ルウ用油脂及びそれを用いたルウ
JP2015107097A (ja) * 2013-10-25 2015-06-11 塩水港精糖株式会社 乳化能をもつ食品素材を製造する方法及びその食品素材
JP2016165272A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 宜蘭食品工業股▲フン▼有限公司 澱粉老化防止組成物、タピオカ及びその製造方法
JP2018201457A (ja) * 2017-06-08 2018-12-27 日油株式会社 水中油型乳化油脂組成物および菓子用穀粉組成物
WO2020145371A1 (ja) * 2019-01-10 2020-07-16 味の素株式会社 デンプン含有食品の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2002233639B2 (en) Products containing $G(b)-glucan
JP4862759B2 (ja) 澱粉含有食品の製造方法及び澱粉含有食品改質用の酵素製剤
JP6803658B2 (ja) 食品用組成物
JP6721392B2 (ja) 製パン練り込み用油脂組成物
JP2011087513A (ja) 製パン改良材
JPH06292505A (ja) 水中油型乳化組成物及びその製造方法
JP2008263833A (ja) 酵素処理風味材及びこれを使用するパン類の製造法
JP5875220B2 (ja) ベーカリー製品練込用水中油型乳化油脂組成物
JP5886006B2 (ja) 製パン練り込み用乳化油脂組成物
JP2022085207A (ja) 冷凍パン生地及びその製造方法
JP2011223899A (ja) フラワーペースト類
JP2002136275A (ja) 酵素含有ペースト状食品用組成物及びこれを用いてなる調理加工食品
JP6489373B2 (ja) 醗酵組成物その製造方法およびそれを用いる食品
JP2009201468A (ja) ベーカリー製品用湯種生地、及び該湯種生地を用いたベーカリー製品
JP2019092458A (ja) 水中油型乳化油脂組成物
JP3428361B2 (ja) カスタードクリームプレミックス及びその製造方法
JP2005278534A (ja) パン生地及びパン類
JP2000157169A (ja) パン用水中油型乳化組成物
JP2000316521A (ja) 酸性水中油型乳化物
JP3948842B2 (ja) ベーカリー製品及びその製造方法
JP7186085B2 (ja) パン類生地、パン類及びパン類生地の製造方法
JP5188951B2 (ja) 複合菓子生地
JP2010239902A (ja) 米粉パン用風味改良剤
WO2006088043A1 (ja) パンの製造法
JP2021036865A (ja) ベーカリー用油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000704