JP2021036865A - ベーカリー用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 下記を含有する、ベーカリー用油脂組成物。
・ベーカリー用油脂組成物100gあたり1000〜4000単位 の酸性プロテアーゼ
・ベーカリー用油脂組成物100gあたり510単位以上 のマルトオリゴ糖生成アミラーゼ
[2] さらにヘミセルラーゼを含有する、1に記載のベーカリー用油脂組成物。
[3]マルトオリゴ糖生成アミラーゼがマルトース生成アミラーゼを含有し、マルトース生成アミラーゼの含有量が、ベーカリー用油脂組成物100gあたり700〜2500単位である、1又は2に記載のベーカリー用油脂組成物。
[4] マルトオリゴ糖生成アミラーゼが、マルトース生成アミラーゼ及び4糖生成アミラーゼを含有する、1又は2に記載のベーカリー用油脂組成物。
[5] マルトース生成アミラーゼの含有量が、ベーカリー用油脂組成物100gあたり50〜700単位であり、4糖生成アミラーゼの含有量が、ベーカリー油脂組成物100gあたり400〜1500単位である、4に記載のベーカリー用油脂組成物。
[6] さらにプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する、1〜5のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
[7] ショートニングである、1〜6のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
[8] 油中水型乳化油脂組成物である、1〜6のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
[9] 油脂組成物に含有される油脂の10℃におけるSFC が25〜45%であり、20℃におけるSFCが5〜25%である、1〜8のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
[10] 1〜9のいずれか一項に記載のベーカリー用油脂組成物を含有する、ベーカリー生地。
[11] 10に記載のベーカリー生地の加熱処理品である、ベーカリー製品。
[12] 酸性プロテアーゼとマルトオリゴ糖生成アミラーゼを含有する、ベーカリー製品の再加熱時の食感改良剤。
本発明のベーカリー用油脂組成物を用いることにより、生食の際にソフトな食感と、歯切れ・口溶けが両立されたベーカリー製品が得られる。
また、本発明のベーカリー用油脂組成物を用いることにより、ベーカリー製品用の生地の作業性を良好にすることができる。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、酸性プロテアーゼ及びマルトオリゴ糖生成アミラーゼを含有する。
酸性プロテアーゼは、至適pHが2〜4にある蛋白質分解酵素をいう。酸性プロテアーゼには、エンド型、エキソ型、エンド・エキソ混合型があり、本発明のベーカリー用油脂組成物においてはいずれを用いてもよいが、好ましくはエンド型を用いる。エンド型であれば、再加熱しても尚、くちゃ付きが無く、歯切れのよいベーカリー製品が得られるからである。
マルトオリゴ糖生成アミラーゼは、デンプン等のα−グルカンを基質として、ある特定の重合度でグルコースがα−1,4結合したマルトオリゴ糖を生成するエキソ型のアミラーゼをいう。マルトオリゴ糖とは、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース等をいう。
本発明のベーカリー用油脂組成物に用いられるマルトオリゴ糖生成アミラーゼの好ましい例の一つは、マルトース生成アミラーゼである。
本発明のベーカリー用油脂組成物には、マルトオリゴ糖生成アミラーゼとして、マルトース生成アミラーゼとともに、4糖生成アミラーゼを用いてもよい。4糖生成アミラーゼにより、ベーカリー生地中で生成されたマルトテトラオースは、ベーカリー生地及びベーカリー製品の水分の経時的な逸失を減少させ、経時的な老化を抑制しうる。また4糖生成アミラーゼを、マルトース生成アミラーゼとともに用いることにより、マルトオリゴ糖生成アミラーゼとしての総量を減じることができる。
40±0.5℃に加温した基質溶液(*1)5mLに試料溶液0.2mLを正確に加えて混和し、40±0.5℃で正確に20分間作用させる。
次に反応液1mLを量り、あらかじめ用意したソモギー銅試液2mLに直ちに加えて反応を停止させた後、試験管にガラス玉をのせ、沸騰水浴中で10分間加熱する。
この液を冷却した後、ネルソン試液2mLを加えて、よく混和し、30分間放置した後、水5mLを正確に加え、波長520nmにおける吸光度ATを測定する。
別途、40±0.5℃に加温した基質溶液5mLに試料溶液0.2mLを正確に加えて混和し、直ちに1mLを量り、あらかじめ用意したソモギー銅試液2mLに加えて反応を停止して、吸光度AT測定時と同様に操作し、吸光度A0を測定する。
また、ブドウ糖標準溶液及び水それぞれについて、1mLを正確に量り、あらかじめ用意したソモギー銅試液2mLに加え、以下同様に操作し吸光度AS及びABを測定し、次式により酵素活性を求める。
(酵素活性)={(AT−A0)×300×5.2×n}/{(AS−AB)×180.16 ×0.2×20}
ただし、各代数及び数値は、以下を意味する。
AT:反応液の吸光度
A0:反応停止液の吸光度
AS:ブドウ糖標準溶液の吸光度
AB:水の吸光度
300:ブドウ糖標準溶液の濃度(μg/mL)
180.16:ブドウ糖の分子量
5.2:反応液の総液量(mL)
0.2:試料溶液の量(mL)
20:反応時間(分)
n:試料溶液の希釈倍数
*1:あらかじめ乾燥させた可溶性デンプン(酵素試験用)を5.000g正確に量り、300mLの水に懸濁し、デンプンが沈殿しないように時々振り混ぜながら加熱する。5分間沸騰させた後十分冷却する。これにpH7.0の200 mmol/Lリン酸緩衝液50 mL及び水を加えて正確に500mLとしたものを、4糖生成アミラーゼの酵素活性を測定する際の基質溶液とする。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、上述の酸性プロテアーゼ、マルトオリゴ糖生成アミラーゼの他、製菓・製パン改良効果を有する他の酵素を含有させることができる。このような酵素の例は、酸性プロテアーゼ以外のプロテアーゼ、マルトオリゴ糖生成アミラーゼ以外のアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、リパーゼである。
本発明のベーカリー用油脂組成物には、ヘミセルラーゼを用いることが好ましい。ベーカリー生地の作業性の良さを損なわずに、目的とする、生食の際のソフトな食感と、歯切れ・口溶けとの両立、及び再加熱された場合の口溶け、歯切れの良さを、さらに向上できるからである。
(1)不溶性アラビノキシランに対する酵素活性の測定
不溶性アラビノキシラン製剤(XylazymeAX:メガザイム社製)の懸濁液(40mgの試料を8mlの脱イオン水に懸濁)300μlをマイクロプレートに分注し凍結乾燥したものを測定に用いる。このマイクロプレートの各ウェルに酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含むpH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に、酵素を0〜40単位懸濁したもの)25μlと該緩衝液25μlを分注して酵素反応を開始し、37℃で1時間酵素反応させた後、1%(w/v)トリス緩衝液200μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清について、分光光度計を用いて吸光度を600nmで読み取る。なお、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
水溶性アラビノキシラン溶液(AZOWAX:メガザイム社製)33μlと酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含むpH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に、酵素を0〜40単位懸濁したもの)33μlをマイクロプレートの各ウェルに分注して酵素反応を開始する。37℃で1時間酵素反応させた後、エタノール140μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清について、分光光度計を用いて吸光度を600nmで読み取る。なお、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
1つの酵素につき(1)と(2)の両方の酵素活性の測定を行い、それらの結果から以下のようにして、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比を算出する。
それぞれの吸光度と酵素含量について非線形回帰曲線Y=Ymax×(1−e−K*X)(Yは吸光度、Xは酵素量)をプロットし、その直線性のある部分、好ましくはYの最大値の1/10以下の範囲で、その傾き(S)を下記の式により算出する。
傾き(S)=(Ymax×K)/1.0536
ここで、この傾きの比、すなわちS(不溶性アラビノキシラン)/S(水溶性アラビノキシラン)の値を不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比とする。
本発明のベーカリー用油脂組成物には、リパーゼを用いてもよい。リパーゼは、油脂中のトリグリセリドに作用して、トリグリセリドを、モノグリセリドやジグリセリド、グリセリンや脂肪酸に加水分解する酵素であり、反応途中においてはモノ・ジグリセライドが生成される。そのため、ソフト性やしっとりとした食感をベーカリー製品に付与するのみならず、ボリュームの向上、老化耐性の向上のほか、ベーカリー生地の機械耐性の向上が期待できるからである。
本発明のベーカリー用油脂組成物には、食用に適する油脂であれば特に限定されず、種々のものを用いることができる。例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、シア脂、サル脂及びカカオ脂等の植物油脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油及び鯨油等の動物油脂、並びにこれらの油脂に、水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。加工油脂の例としては、パーム油を例に挙げると、パームオレイン(パーム油を分別することにより得られる低融点画分)、パームスーパーオレイン(パーム油の低融点画分をさらに分別することにより得られる低融点画分)、及びこれらのエステル交換油が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて油脂配合物として用いることもできる。
本発明のベーカリー用油脂組成物に用いられる油脂(2種以上を組み合わせて油脂配合物 として用いる場合は、油脂配合物として)は、10℃におけるSFC(Solid Fat Content、固形脂肪含量)が20〜50%であることが好ましく、30〜45%であることがより好ましい。また、20℃におけるSFCが5〜30%であることが好ましく、10〜25%であることがより好ましい。SFCが上記範囲の油脂を用いることで、所定の温度における油脂組成物の硬さが調整され、それにより酵素の生地への作用が調整されると共に、生地調製時の練り込まれやすさが向上するため、生地の作業性が良く、かつ食感の向上が期待できるからである。
本発明のベーカリー用油脂組成物には、プロピレングリコール脂肪酸エステルを用いてもよい。プロピレングリコール脂肪酸エステルの脂肪酸は、飽和脂肪酸である場合と、不飽和脂肪酸である場合とがある。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルの脂肪酸炭素数は、12〜22であることが好ましい。脂肪酸は、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ヒラゴン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸が挙げられる。プロピレングリコール脂肪酸エステルの脂肪酸は、これらの脂肪酸の1種単独である場合があり、2種以上の組み合わせである場合がある。プロピレングリコール脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、プロピレングリコールパルミチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、及びプロピレングリコールベヘン酸エステル等が挙げられる。好ましい例の一つは、プロピレングリコールベヘン酸エステルである。
本発明のベーカリー用油脂組成物には、本発明の目的を損なわない限り、上述以外の原材料を含有させることができる。その他の原材料の例としては、水、糖類、乳化剤、澱粉類、デキストリン、食物繊維、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・脱脂濃縮乳、蛋白質濃縮ホエイ等の乳や乳製品、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、全卵・卵黄・酵素処理卵黄・卵白・卵蛋白質等の卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
ベーカリー用油脂組成物の形態としては、油脂を含有する食品、例えばマーガリン・ファットスプレッド・ショートニング・バター等の可塑性油脂組成物や、流動ショートニング、流動状マーガリン、液状油組成物、粉末油脂、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、クリームチーズ、チョコペースト等を挙げることができる。本発明では本発明品の効果が得られ易いことから、可塑性油脂組成物であることが好ましい。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、少なくとも酸性プロテアーゼ及びマルトオリゴ糖生成アミラーゼを含有し、これらがベーカリー生地に適度に作用する。それにより生食の際にソフトな食感と、歯切れ・口溶けが両立され、また、再加熱された場合にも、くちゃ付きがなく(口溶けがよく)、歯切れのよいベーカリー製品が得られる。なお、本発明のベーカリー用油脂組成物は、ベーカリー製品の再加熱時の食感改良剤ということもできる。
本発明のベーカリー用油脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、最終的に必要な酵素が油脂組成物中に含有されるものであれば公知の方法で製造することができる。
(ベーカリー生地)
本発明のベーカリー用油脂組成物を用いて、本発明のベーカリー生地を調製できる。ベーカリー生地の種類は、特に限定されず、例として、パン類の生地、菓子類の生地が挙げられ、より具体的には、パン類の生地としては、食パン生地、菓子パン生地、バラエティーブレッド生地、バターロール生地、ソフトロール生地、ハードロール生地、スイートロール生地、デニッシュ生地、ペストリー生地、フランスパン生地、菓子類の生地としては、パイ生地、シュー生地、ドーナツ生地、バターケーキ生地、スポンジケーキ生地、ハードビスケット生地、ワッフル生地、スコーン生地等が挙げられる。
本発明では、これらの中でも、小麦粉を、澱粉類中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100質量%使用する。
本発明のベーカリー製品は、本発明のベーカリー用油脂組成物を含有するベーカリー生地を加熱処理することにより得られる。ベーカリー生地の加熱処理の方法は特に限定されず、例として、焼成したり、フライしたり、蒸したり、電子レンジ処理したりすることが挙げられる。
以下、本発明を、実施例を基に詳述する。
パーム油25質量部、パームオレインのランダムエステル交換油22質量部、パームステアリン5質量部、及びパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂48質量部を、それぞれ60℃に加熱し、溶解・混合し、油脂配合物を調製した。以下で、油脂配合物Aというときは、これを指す。
以下の実施例、比較例では、下記の酵素を用いた。なお、u/gは酵素剤1gあたりの活性値である。各々の1 uは製造者の示す定義による。
酸性プロテアーゼ:デナプシン2P(20000 u/g、ナガセケムテックス株式会社)(Aspergillus niger の産生する酸性プロテアーゼを精製粉末化した酵素剤)
マルトース生成アミラーゼ:ノバミル10000BG(10000 u/g、Novozymes A/S)
マルトース生成アミラーゼ:ノバミル3D BG(10000 u/g、Novozymes A/S)
ヘミセルラーゼ:ベイクザイムBXP5001BG(5000 u/g、DSM株式会社)(Bacillus subtili由来のヘミセルラーゼ)
4糖生成アミラーゼ:デナベイク(登録商標)Extra(6500 u/g、ナガセケムテックス株式会社)
エンド型αアミラーゼ:ファンガミル2500SG(5300 u/g、Novozymes A/S)
プロピレングリコール脂肪酸エステルA:リケマールPB-100(理研ビタミン株式会社
)(結合する脂肪酸がベヘン酸であるプロピレングリコール脂肪酸エステル)
プロピレングリコール脂肪酸エステルB:リケマールPS-100(理研ビタミン株式会社)
(結合する脂肪酸がステアリン酸であるプロピレングリコール脂肪酸エステル)
(比較例1〜7、実施例1〜4)
比較例1〜7及び実施例1〜4(試験区1)の、各種酵素を含有する、ショートニングタイプのベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物Aを常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化した。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
実施例5〜8(試験区2)のヘミセルラーゼを含有する、ショートニングタイプのベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物Aを常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化した。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
実施例9〜13(試験区3)の、酸性プロテアーゼ、マルトース生成アミラーゼ、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する、ショートニングタイプのベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物Aに、後掲の表に示した量だけプロピレングリコール脂肪酸エステルを添加・溶解し、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化した。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
実施例14〜16(試験区4)の、酸性プロテアーゼ、マルトース生成アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する、ショートニングタイプのベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物Aに、後掲の表に示した量だけプロピレングリコール脂肪酸エステルを添加・溶解し、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化した。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物A85質量部に、後掲の表に示した量だけ、プロピレングリコール脂肪酸エステルを添加・溶解させ、これを油相とし、この中に水を水相として15質量部混合し、常法に従って加熱殺菌及び冷却・可塑化を行った。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
実施例20〜26(試験区6)の、酸性プロテアーゼ、マルトース生成アミラーゼ、4糖生成アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、エンド型αアミラーゼ、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する、ショートニングタイプのベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物Aに、後掲の表に示した量だけプロピレングリコール脂肪酸エステルを添加・溶解し、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化した。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
試験区4で使用したノバミル10000BGに代えて、ノバミル3D BGを使用した他は試験区4と同様に、実施例27〜30(試験区7)の、酸性プロテアーゼ、マルトース生成アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する、ショートニングタイプのベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物Aに、後掲の表に示した量だけプロピレングリコール脂肪酸エステルを添加・溶解し、常法に従って加熱殺菌、及び冷却可塑化した。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
詳細には、油脂配合物A85質量部に、後掲の表に示した量だけ、プロピレングリコール脂肪酸エステルを添加・溶解させ、これを油相とし、この中に水を水相として15質量部混合し、常法に従って加熱殺菌及び冷却・可塑化を行った。続いて、各種酵素を、ベーカリー用油脂組成物100g中、後掲の表に示した単位となる量だけ添加・混合し、ベーカリー用油脂組成物を調製した。
調製したベーカリー用油脂組成物それぞれを用いて、下記の製法で、プルマン型食パンを製造した。以下では、比較例1〜7、実施例1〜34のベーカリー用油脂組成物各々を用いた食パン生地を、比較例1a〜7a、実施例1a〜34aの食パン生地、それらの生地から得られた食パンを、比較例1b〜7b、実施例1b〜34bの食パンということがある。
この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。
この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。
ここで、ベーカリー用油脂組成物5質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン用の本捏生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。
食パン生地の作業性について、下記評価基準で専門パネラーにより評価を行った。また、得られた食パンの食感について、下記の評価基準で10名の専門パネラーにより官能評価を行った。それらの結果を、次のようにして表に示した。
++ :37〜42点、
+ :31〜36点、
− :24〜30点、
−− :18〜23点、
−−−:17点以下
5点:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。
4点:良好な作業性であった。
3点:わずかにべとつきが感じられるか又はわずかに伸展性が悪く感じられるが、良好な作業性であった。
2点:ややべとつきが感じられるか又はやや伸展性が悪く、作業性が若干劣るものであった。
1点:べとつきがあるか又は伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。
5点:コントロールと比較して、非常にソフトである。
4点:コントロールと比較して、ややソフトである。
3点:コントロールと比較して、同等のソフトさである。
2点:コントロールと比較して、やや詰まっている。
1点:コントロールと比較して、詰まっている。
5点:コントロールと比較して、非常に良好な口溶けを有している。
4点:コントロールと比較して、良好な口溶けを有している。
3点:コントロールと比較して、同等の口溶けを有している。
2点:コントロールと比較して、ややくちゃつく食感を有している。
1点:コントロールと比較して、強くくちゃつく食感を有している。
5点:コントロールと比較して、非常に良好な歯切れを有している。
4点:コントロールと比較して、良好な歯切れを有している。
3点:コントロールと比較して、同等の歯切れを有している。
2点:コントロールと比較して、やや歯切れが悪い。
1点:コントロールと比較して、歯切れが悪い。
5点:コントロールと比較して、非常に良好な口溶けを有している。
4点:コントロールと比較して、良好な口溶けを有している。
3点:コントロールと比較して、同等の口溶けを有している。
2点:コントロールと比較して、ややくちゃつく食感を有している。
1点:コントロールと比較して、強くくちゃつく食感を有している。
5点:コントロールと比較して、非常に良好な歯切れを有している。
4点:コントロールと比較して、良好な歯切れを有している。
3点:コントロールと比較して、同等の歯切れを有している。
2点:コントロールと比較して、やや歯切れが悪い。
1点:コントロールと比較して、歯切れが悪い。
(試験区1:酵素の組み合わせの検討、酸性プロテアーゼ及びマルトース生成アミラーゼの量の検討)
比較例1〜7及び実施例1〜4の、各種酵素を含有するベーカリー用油脂組成物を用いた食パン生地、及び食パンについて評価した結果を、ベーカリー用油脂組成物100g中に配合された各酵素単位とともに、下表に示した。なお評価の際のコントロールは、ベーカリー用油脂組成物の代わりに、酵素無添加のショートニングを用いたものとした。
酵素として酸性プロテアーゼのみを用いたベーカリー用油脂組成物を用いた食パン(比較例1b)、酵素としてマルトース生成アミラーゼのみを用いたベーカリー用油脂組成物を用いた食パン(比較例2b)は食感が十分ではなく、特に、歯切れ、再加熱時の口溶け、再加熱時の歯切れがコントロールより劣った。ヘミセルラーゼを添加しても(比較例3b、比較例4b)、十分には改善されなかった。
酵素として酸性プロテアーゼとマルトース生成アミラーゼを用いたベーカリー用油脂組成物を用いた食パン生地(実施例2b、3b)は、食感が、ソフト性、口溶け、歯切れのすべての点で、比較例1b、2bより改善された。また、いずれか一方の酵素の使用では得られなかった再加熱時の口溶け、歯切れが、酵素を2種類組み合わせることによりもたらされた。
実施例5〜8のヘミセルラーゼを含有するベーカリー用油脂組成物を用いた食パン生地、及び食パンについて評価した結果を、ベーカリー用油脂組成物100g中に配合された各酵素単位とともに、下表に示した。なお評価の際のコントロールは、実施例3のヘミセルラーゼを含有しないベーカリー用油脂組成物を用いたものとした。
また、ヘミセルラーゼ用いた食パン(実施例5b〜8b)は、食感に関してすべての点でコントロールより優れていた。特にソフト性が増した。
実施例9〜13(試験区3)、実施例14〜16(試験区4)、実施例17〜19(試験区5)の、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有するベーカリー用油脂組成物を用いた食パン生地、及び食パンについて評価した結果を、ベーカリー用油脂組成物100g中に配合された各酵素単位及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの量とともに、下表に示した。なお評価の際のコントロールは、試験区3及び4では、実施例3のヘミセルラーゼを含有しないベーカリー用油脂組成物を用いたものとし、試験区5では、実施例3と同量の酵素をマーガリンに含有させたベーカリー用油脂組成物を用いたものとした。
実施例20〜26の、マルトース生成アミラーゼと4糖生成アミラーゼを含有するベーカリー用油脂組成物を用いた食パン生地、及び食パンについて評価した結果を、ベーカリー用油脂組成物100g中に配合された各酵素単位及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの量とともに、下表に示した。なお評価の際のコントロールは、実施例3のヘミセルラーゼを含有しないベーカリー用油脂組成物を用いたものとした。
また、4糖生成アミラーゼの使用量がほぼ同じである実施例21b〜23bの食パンの官能評価結果の比較、及び4糖生成アミラーゼの使用量が同じである実施例24b、25bの食パンの官能評価結果の比較から、マルトース生成アミラーゼと4糖生成アミラーゼの単位数の比には、目的の効果をより優れたものとするための好ましい範囲があることが示唆された。
実施例27〜32の、マルトース生成アミラーゼと4糖生成アミラーゼを含有するベーカリー用油脂組成物を用いた食パン生地、及び食パンについて評価した結果を、ベーカリー用油脂組成物100g中に配合された各酵素単位及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの量とともに、下表に示した。
なお評価の際は、試験区7の実施例27においては、酵素無添加のショートニングを用いたものとし、実施例28〜30においては実施例27のベーカリー用油脂組成物を用いたものをコントロールとした。同様に試験区8の実施例31においては、酵素無添加のマーガリンを用いたものとし、実施例32〜34においては実施例31のベーカリー用油脂組成物を用いたものとした。
また、異なる性質を有するマルトース生成アミラーゼを使用した場合であっても、酸性プロテアーゼと共に、ヘミセルラーゼ及びプロピレングリコール脂肪酸エステルを用いることにより、再加熱時の口溶け及び歯切れがより優れたものが得られることが示唆された。
さらに、異なる性質を有するマルトース生成アミラーゼを使用した場合であっても、本発明のベーカリー用油脂組成物がショートニングの形態と、油中水型乳化物の形態のいずれの形態をとっても、およそ同等の効果が得られることが示唆された。
これらの結果から、酸性プロテアーゼと組み合わせることで、マルトオリゴ糖生成アミラーゼの性質によらず、得られるベーカリー製品の食感を改良することができ、また、再加熱した際の口溶け及び歯切れを優れたものとすることができることが示唆された。
Claims (12)
- 下記を含有する、ベーカリー用油脂組成物。
・ベーカリー用油脂組成物100gあたり1000〜4000単位の酸性プロテアーゼ
・ベーカリー用油脂組成物100gあたり510単位以上のマルトオリゴ糖生成アミラーゼ - さらにヘミセルラーゼを含有する、請求項1に記載のベーカリー用油脂組成物。
- マルトオリゴ糖生成アミラーゼがマルトース生成アミラーゼを含有し、マルトース生成アミラーゼの含有量が、ベーカリー用油脂組成物100gあたり700〜2500単位である、請求項1又は2に記載のベーカリー用油脂組成物。
- マルトオリゴ糖生成アミラーゼが、マルトース生成アミラーゼ及び4糖生成アミラーゼを含有する、請求項1又は2に記載のベーカリー用油脂組成物。
- マルトース生成アミラーゼの含有量が、ベーカリー油脂組成物100gあたり50〜700単位であり、4糖生成アミラーゼの含有量が、ベーカリー用油脂組成物100gあたり400〜1500単位である、請求項4に記載のベーカリー用油脂組成物。
- さらにプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
- ショートニングである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
- 油中水型乳化油脂組成物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
- 油脂組成物に含有される油脂の10℃におけるSFCが25〜45%であり、20℃におけるSFCが5〜25%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のベーカリー用油脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のベーカリー用油脂組成物を含有する、ベーカリー生地。
- 請求項10に記載のベーカリー生地の加熱処理品である、ベーカリー製品。
- 酸性プロテアーゼとマルトオリゴ糖生成アミラーゼを含有する、ベーカリー製品の再加熱時の食感改良剤。
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