JP4148622B2 - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中油型乳化組成物に関するものであり、詳しくはホワイトソース、ドミグラソース、梅ソース、トマトソース、ブラウンソース、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング等の水中油型乳化組成物に関し、さらに詳しくは耐冷凍性、耐マイクロ波加熱性を有しながら、加熱しても風味付けを目的として添加したフレーバーの風味が維持される水中油型乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
食品の調味料には、例えばホワイトソース、ドミグラソース、梅ソース、トマトソース、ブラウンソース、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング、カスタードクリーム、フラワーペースト等のように水中油型乳化形態をとっているものが種々ある。
【0003】
ところで、近年、冷凍技術が進歩したこと、また電子レンジが普及したことにより多種多様の冷凍食品が開発され、市販されている。これらの冷凍食品の中には、予めマヨネーズやタルタルソース等の調味料をかけた後に冷凍したり、食品中に内包させて冷凍したものがある。このように予め調味料を添付した冷凍食品は電子レンジにかけ、解凍、加熱処理して直ちに食することができるので大変便利である。
【0004】
しかし、従来のマヨネーズ、各種ソース、ホワイトソース、カスタードクリーム等の水中油型乳化組成物は、冷凍し、解凍すると、乳化状態が破壊され、油脂が分離する傾向があった。また従来の水中油型乳化組成物を電子レンジにかけると、すなわちマイクロ波加熱すると水中油型乳化組成物特有のマックスウェル−ワグナー効果(誘電率の異なる油と水が混在しているとき界面電荷が誘発される)や調味料として添加する食塩(NaCl)の影響から起こる変異分極(電荷を帯びているNa+ 、Cl- が電場の影響を受けて位置がずれる)によって急激な品温上昇を起こす。この急激な品温上昇により、水分が急激に蒸発し、乳化組成物はマヨネーズ様あるいはクリーム様の性状を失ったり、さらに炭化してしまう。また急激な品温上昇による卵黄変性が原因となって卵黄の乳化剤機能が失われることに起因すると考えられる乳化破壊による油分離現象を生じる等、通常の加熱に比べて特異な現象を示すことが判っている。
【0005】
一方、特開昭63−157954号公報には、マスタード含有水中油滴型エマルジョン食品の製造方法が開示されており、具体的にはマヨネーズに加熱処理したマスタードペーストを混ぜ合わるマスタード含有食品の製造方法が開示されている。しかし、マヨネーズに後からマスタードペーストを混ぜ合わせたのでは電子レンジ等の加熱によりマスタード風味がなくなり易く、マヨネーズの物性が変化し易いという欠点があった。
【0006】
また、特開昭62−107770号公報には、梅干しの肉を使用した梅干し入りマヨネーズの製造方法が開示されている。具体的にはマヨネーズの水相部分に梅干しの肉を加え、卵黄、香辛料、食酢、リンゴ酢等を添加させた後、サラダ油を加えながら均一に混合せしめて得た和風の梅干し入りマヨネーズの製造方法が開示されている。しかし、マヨネーズの水相部分に梅干しの肉を加え乳化させた当該乳化物は冷凍解凍、電子レンジ加熱等の処理によって梅干し風味がなくなり易く、更にはマヨネーズの物性が変化し易いという欠点があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、耐冷凍性、耐マイクロ波加熱性を有しながら、フレーバーの風味が維持される水中油型乳化組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、検討の結果、特定のトリグリセリドを一定量以上と油溶性フレーバーを含有する油脂を油相とする水中油型乳化組成物が上記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5重量%以上と油溶性フレーバーを含有する油脂を油相とし、該油溶性フレーバーを全組成物中に0.001〜0.5重量%含有することを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水中油型乳化組成物を詳細に説明する。
【0011】
本発明の水中油型乳化組成物は、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5重量%以上と油溶性フレーバーを含有する油脂を油相とする。なお、以下において、「%」は、特記しない限り重量基準である。
【0012】
炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上と油溶性フレーバーを含有する油脂は、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上含有する油脂に油溶性フレーバーを添加することにより得ることができる。
【0013】
先ず、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%含以上有する油脂について説明する。本発明でいう炭素数20以上の飽和脂肪酸としてはアラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。また不飽和脂肪酸としてはオレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられるが、特に制限はない。このとき炭素数20以上の飽和脂肪酸残基の結合位置は、トリグリセリドの1位、2位、3位のいずれでもよい。
【0014】
炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上含有する油脂を得るには、菜種油、落花生油、魚油、サル脂、からし油、マンゴ脂等を分別してその低融点部分を使用するか、またはこれらの油脂をエステル交換するか、或いは合成により得ることができる。上記のような方法により炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上含有する油脂が得られるのであり、菜種油、落花生油、魚油、サル脂、からし油、マンゴー脂等の油脂そのものには、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドは、1.1%程度しか含まれていないため、天然の油脂をそのまま使用することはできない。
【0015】
本発明では、上記のような方法で得られた炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上含有する油脂を1種または2種以上混合して使用してもよいし、さらに他の食用油脂(オリーブ油、大豆油、コーン油、綿実油、ヤシ油、パーム核油、パーム油、ラード、牛脂、乳脂等の動植物油脂及びこれらの硬化油、分別油、エステル交換油等)と混合して、混合油が炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上含有しているようにすればよい。
【0016】
本発明では、炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上、好ましくは3〜9%含有する油脂を用いる。トリグリセリドの含有量が1.5%よりも少ないと短期間の冷凍後の解凍には支障はないものの、2週間以上の長期間冷凍後の解凍では分離現象が発生するので好ましくない。また本発明では、水中油型乳化組成物中の油分は50%以下、好ましくは20〜50%、さらに好ましくは30〜40%である。電子レンジによるマイクロ波加熱において乳化組成物中の油分が50%よりも多いと、水相よりも先に油分である油脂が昇温し、昇温し始めた油脂は100℃以上にどんどん上昇するため、乳化組成物の乳化状態が破壊され、油分離が生じ、さらに周囲のタンパク質やデンプンも大きく変化してしまい、食感や風味の点でも好ましくない。
【0017】
次に、油溶性フレーバーについて説明する。油溶性フレーバーは天然のものと合成のものとに分けられる。天然の油溶性フレーバーとしては、天然原料や香辛料から香気成分を抽出したものであり、ネギ、マスタード、ガーリック等の天然原料や香辛料から香気成分をヘキサン、アセトン等の溶剤で抽出、溶剤を食用油脂等で置換して得られる物質や直接食用油で抽出して得られる物質等がある。合成の油溶性フレーバーとしては、例えばトマトを例に挙げると、トマトの香気成分である芳香性物質を化学的に合成し、これをプロピレングリコール、グリセリン、油脂類等の溶剤に添加し、合成フレーバーとして製品としたもの等があり、化学的に合成させた香気成分を使用しているフレーバーである。
【0018】
この油溶性フレーバーを炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5%以上含有する油脂に添加する。全組成物中に油溶性フレーバーが0.001〜0.5%、さらに好ましくは0.01〜0.3%、最も好ましくは0.03〜0.2%含有するように添加する。添加する方法としては、油脂に油溶性フレーバーを添加することにより得ることができる。
【0019】
次に、本発明の水中油型乳化組成物の水相成分について説明する。水中油型乳化組成物中の水分含量は40%以上、好ましくは40〜80%、さらに好ましくは60〜70%である。ここでいう水分には水中油型エマルジョンの水相に配合する水や、水分を含む添加物に由来する水、例えば酢、卵黄中に含有される水分が含まれる。この水分が40%よりも少ないと、電子レンジによるマイクロ波加熱時に、乳化組成物の乳化状態が破壊され、油分離が生じ、さらに周囲のタンパク質やデンプンも大きく変化してしまい、食感や風味の点で好ましくない。80%よりも多いと水っぽくなってしまうので好ましくない。
【0020】
本発明のの水中油型乳化組成物の水相には、水のほかに、必要に応じて種々の添加物を配合してもよい。必要に応じて水相中に配合する添加物としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、リン酸等の有機酸や無機酸、或いは果汁、イチゴ等の果肉、トマトケチャップ、発酵乳等の酸味料、砂糖、ブドウ糖、液糖、還元糖、アスパルテーム等の甘味料等である。酸を用い、保存効果を期待する場合はpHを5以下にするのが好ましい。その他に香辛料、調味料も適宜使用できる。またこれらの配合量は特に制限はない。
【0021】
本発明では糊料としてデンプン、化工デンプン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸塩等の多糖類を配合してもよい。この配合量は水中油型乳化組成物中、0.01〜5%である。
【0022】
また水相に乳化剤として、乳化性能の点で、酵素により部分加水分解した卵黄(酵素処理卵黄)を用いるのがよい。酵素処理していない卵黄を用いると、電子レンジによるマイクロ波加熱により油分離してしまうので好ましくない。
【0023】
上記酵素処理卵黄において、基質の卵黄の酵素処理の際に用いる酵素としては、ホスホリパーゼAやプロテアーゼを使用することができる。
【0024】
上記ホスホリパーゼAは、リン脂質加水分解酵素とも呼ばれ、リン脂質をリゾリン脂質に分解する反応を触媒する酵素であり、作用するエステル結合の位置の違いにより、ホスホリパーゼA1 (EC3.1.1.32)とホスホリパーゼA2 (EC3.1.1.4)の2種類を使用することができ、豚等の哺乳類の膵液や、微生物を起源とした市販のホスホリパーゼAを使用することができる。特にホスホリパーゼA2 を用いるのが好ましい。
【0025】
また、上記プロテアーゼは、蛋白質を加水分解する反応を触媒する酵素であり、植物、動物又は微生物を起源とした、例えばパイナップルを起源としたブロメライン、パパイヤを起源としたパパイン、哺乳類の膵液を起源としたトリプシン、哺乳類の胃液を起源としたペプシン、カビ由来のプロテアーゼ等、市販のプロテアーゼを使用することができ、特にブロメラインが最適である。卵黄の酵素処理の際、ホスホリパーゼAのみを用いてもよく、プロテアーゼのみを用いてもよく、ホスホリパーゼAとプロテアーゼとを併用してもよいが、卵黄をホスホリパーゼAとプロテアーゼとを併用して処理した酵素処理卵黄を使用するのが好ましい。
【0026】
ホスホリパーゼAとプロテアーゼとを併用する場合、これらの酵素による処理は、任意の順序で、または同時に行うことができるが、プロテアーゼによるホスホリパーゼAの加水分解を避けるためには、ホスホリパーゼAによる酵素処理後、プロテアーゼにより酵素処理するのが好ましい。ホスホリパーゼAの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.2〜100ホスホリパーゼユニット、更に好ましくは0.5〜20ホスホリパーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。ホスホリパーゼユニットとは、ホスホリパーゼの活性量を表す単位であり、1ホスホリパーゼユニットとは、pH8.0、40℃で卵黄にホスホリパーゼAを作用させた時に、卵黄中のリン脂質から、1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離する活性量である。
【0027】
プロテアーゼの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.01〜10プロテアーゼユニット、更に好ましくは0.1〜5プロテアーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。プロテアーゼユニットとは、プロテアーゼの活性量を表す単位であり、1プロテアーゼユニットとは、pH7.0、37℃でミルクカゼインにプロテアーゼを作用させた時に、1分間に1マイクロモルのチロシンに相当する呈色度を示す活性量である。
【0028】
尚、ホスホリパーゼA及びプロテアーゼの併用からなる上記酵素は、次の様な基準で添加しても良い。即ち、上記酵素の添加量(合計量)は、卵黄100重量部に対し、好ましくは0.001〜0.8重量部であり、更に好ましくは0.01〜0.3重量部である。このとき、ホスホリパーゼAとプロテアーゼとの重量比は、好ましくは20/80〜90/10であり、更に好ましくは40/60〜85/15である。
【0029】
卵黄の酵素処理は、卵黄の蛋白質や、酵素が熱により変性せず、また酵素の最適温度で行うのが良く、通常20〜60℃、好ましくは40〜55℃の温度範囲で行うのが良い。また、酵素処理中に撹拌機等で撹拌を行うのが有利である。
【0030】
卵黄の酵素処理の際に、至適pHとするのがよく、通常pH5〜9の範囲に調整するのが良い。この目的のpH調整剤としては、食品用であれば特に限定されず、例えば乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、アスコルビン酸、酢酸等の酸味料や、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、食酢、果汁、発酵乳等の酸性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を用いることができる。また、卵黄の酵素処理の際に、酵素の安定剤として食品用の塩化カルシウム、リン酸二水素カルシウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩を添加しても良い。
【0031】
卵黄の酵素処理の際の反応時間に特に制約はないが、0.5〜30時間の範囲内で行うのが良い。
【0032】
ホスホリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度と、プロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は、酵素の添加量、反応温度、反応開始時のpH、酵素の安定剤の有無、反応時間の影響を受けるが、特に限定されない。例えば、ホスホリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度は、卵黄に含まれる全リン脂質の30〜100%がリゾリン脂質に分解される程度までに分解するのが良く、また、プロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は、卵黄に含まれる蛋白質の加熱凝固性が完全に失われる程度までに分解するのが良い。このようにして得られた酵素処理卵黄に食塩や糖類を添加して、酵素処理加塩卵黄や酵素処理加糖卵黄としてもよい。
【0033】
本発明において、酵素処理卵黄の配合量は、水中油型乳化組成物中、3〜15%が好ましく、6〜10%がさらに好ましい。3%よりも少ないと乳化が不安定であり、15%よりも多いと卵黄風味が強すぎるので好ましくない。
【0034】
本発明では、乳化安定剤としてラクトアルブミン等の乳タンパクや大豆蛋白を使用することができ、この乳化安定剤は油相、水相のどちらに添加してもよい。
【0035】
次に、本発明の製造方法について説明する。乳化は常法で行う。すなわち水相と油相を混合して予備乳化し、ついでコロイドミル又はホモジナイザーで均質化する。生成したエマルジョンの油粒子の平均粒径は2μm以下が好ましい。2μmを超えると冷凍、解凍時の乳化安定性が低下する。
【0036】
【実施例】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【0037】
〔実施例1〕
加塩卵黄(食塩含量7.5%)を水酸化ナトリウムにてpH8.2に調整し、このもの100重量部に対して豚の膵液由来のホスホリパーゼAを0.015重量部を加え、40℃にて7時間処理し、次いでブロメライン0.001重量部を加え、45℃にて3時間反応させ、5℃まで冷却し、水分46.4%の酵素処理卵黄を得た。
【0038】
水40.2%に15%アルコール酢6%、食塩2%及びグルタミン酸ナトリウム0.4%を溶解し、さらにラクトアルブミン3%と上記酵素処理卵黄6%を加えて水相を調製した。このときの水分は水40.2%とアルコール酢由来の水分5.1%と酵素処理卵黄由来の水分2.78%の合計の48.08%である。
【0039】
一方、アラキン酸1残基とオレイン酸2残基からなるトリグリセリドを9%含有するサル脂の低融点分別油(融点10℃、沃素価59)40%にトマトフレーバー0.1%を溶解し、α化加工澱粉2%、増粘多糖類0.3%を分散させ、油相を調製した。
【0040】
上記の水相を撹拌しながら、これに上記の油相を添加し、予備乳化物を製造した。この予備乳化物をコロイドミルで均質化し、エマルジョン粒子の平均粒径 1.5μm、pH4.3のマヨネーズ様トマト風味水中油型乳化物を得た。
【0041】
得られた乳化物を−20℃で所定日数保存した後、乳化物100gを出力500wの電子レンジで60秒加熱したときの状態及びトマト風味について表1に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0004148622
【0043】
〔実施例2〕
加塩卵黄(食塩含量8%)を水酸化ナトリウムにてpH8.4に調整し、このもの100重量部に対して豚の膵液由来のホスホリパーゼAを0.015重量部を加え、40℃にて6時間処理し、次いでブロメライン0.001重量部を加え、45℃にて5時間反応させ、10℃まで冷却し、水分46%の酵素処理卵黄を得た。
【0044】
水51.2%に10%醸造酢10%、食塩2%及びグルタミン酸ナトリウム0.4%を溶解し、さらにラクトアルブミン3%と上記酵素処理卵黄6%を加えて水相を調製した。このときの水分は水51.2%と醸造酢由来の水分9%と酵素処理卵黄由来の水分2.76%の合計の62.96%である。
【0045】
大豆サラダ油23%とサル脂の低融点分別油2%にα化加工澱粉2%、増粘多糖類0.3%を分散させ、さらにトマトフレーバー0.1%を溶解し、油相を調製した。この油相の油脂には、アラキン酸1残基とオレイン酸2残基からなるトリグリセリドと、ベヘン酸1残基とオレイン酸、リノール酸、リノレン酸のいずれかの不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを合計で2%含有している。
【0046】
そして、上記の水相を撹拌しながら、これに上記の油相を添加し、予備乳化物を製造した。この予備乳化物をコロイドミルで均質化し、エマルジョンの平均粒子径1.8μm、pH4.3のマヨネーズ様トマト風味水中油型乳化物を得た。
【0047】
得られた乳化物を−20℃で所定日数保存した後、乳化物100gを出力500wの電子レンジで60秒加熱したときの状態及びトマト風味は、実施例1と同様の結果であった。
【0048】
〔比較例1〕
実施例1で用いたサル脂の低融点分別油に代えて、油脂として炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを0.9%含有する大豆サラダ油を使用して油相を調製したほかは、実施例1と同様の配合、方法にて水中油型乳化組成物を得た。これを実施例1と同様の方法で評価した。結果は表2に示した。
【0049】
【表2】
Figure 0004148622
【0050】
〔実施例3〕
実施例1で用いた酵素処理卵黄に代えて、加塩卵黄(食塩含量8%)を水酸化ナトリウムにてpH8.4に調整し、このもの100kgに対して豚の膵液由来のホスホリパーゼAを600000ホスホリパーゼユニット加え、40℃にて6時間処理し、次いでブロメライン15000プロテアーゼユニット加え、45℃にて5時間反応させ、10℃まで冷却した、水分46%の酵素処理卵黄を用いて水相を調製したほかは、実施例1と同様の方法にて水中油型乳化物を得た。
【0051】
得られた水中油型乳化物のエマルジョンの平均粒子径1.5μm、pH4.3のマヨネーズ様水中油型乳化物であった。
【0052】
得られた乳化物を−20℃で所定日数保存した後、乳化物100gを出力500wの電子レンジで60秒加熱したときの状態及びトマト風味は、実施例1と同様の結果であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明の水中油型乳化組成物は、耐冷凍性、電子レンジ加熱耐性があり、風味付けを目的に添加したフレーバーの残香性に優れている、詳しくは、長期間、冷凍した後、解凍しても乳化状態が破壊されず、油分離が生じることがなく、また電子レンジで加熱しても水中油型乳化組成物中の油脂の急激な温度上昇現象が生じないため、電子レンジ加熱耐性に優れており、さらに冷凍解凍や電子レンジ加熱処理をしても、フレーバーの残香性が強く、風味や食感が良好である。

Claims (4)

  1. 炭素数20以上の飽和脂肪酸1残基と不飽和脂肪酸2残基からなるトリグリセリドを1.5重量%以上と油溶性フレーバーを含有する油脂を油相とし、該油溶性フレーバーを全組成物中に0.001〜0.5重量%含有することを特徴とする水中油型乳化組成物。
  2. 上記炭素数20以上の飽和脂肪酸がアラキン酸、ベヘン酸又はリグノセリン酸である請求項1記載の水中油型乳化組成物。
  3. 油分が50重量%以下であり、水分が40重量%以上である請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。
  4. 酸性水中油型乳化組成物である請求項1〜のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
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