JPH11228838A - 乳化油脂組成物 - Google Patents

乳化油脂組成物

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JPH11228838A
JPH11228838A JP10031131A JP3113198A JPH11228838A JP H11228838 A JPH11228838 A JP H11228838A JP 10031131 A JP10031131 A JP 10031131A JP 3113198 A JP3113198 A JP 3113198A JP H11228838 A JPH11228838 A JP H11228838A
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一幸 赤坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 望まれる本来の特性に悪影響を与えたり、多
量の安定化物質を配合することなく、特別な容器を用い
ることもなく、経日的に機能が不安定な食品添加物や食
品素材を配合しても、その機能が長期間維持出来る乳化
油脂組成物を提供すること。 【解決手段】 本発明の乳化油脂組成物は、連続した油
相中に、不安定物質を含まない水相または水中油型乳化
物と、不安定物質およびこれを安定化する安定化物質を
含む水相または水中油型乳化物とが、それぞれ独立して
存在するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳化油脂組成物、
詳しくは、経日的に機能の不安定な不安定物質を配合し
ても、その機能が長期間維持される乳化油脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、 生物学や生化学、医学などの進歩
により、様々な生態機能が解明され、同様の機能を持つ
物質が生物体から抽出されたり、同様の機能の物質が合
成されたりして食品添加物として使用できる状況が出来
てきている。一方、食品素材についても、様々な機能物
質が含まれていることが解明されてきている。ところ
が、こういった機能物質は、本来生物体内で機能する物
質なので、食品に添加し、その食品に機能を付与しよう
としても、本来あるべき環境とは異なる環境に置かれる
ため、細菌などによる腐敗だけでなく、水に触れること
による加水分解、活性酸素や光からのラジカル連鎖反応
等によって物質の構造が変わってしまい、機能が失われ
ることが多かった。このような、機能の不安定な食品添
加物や食品素材を配合した乳化油脂組成物を流通させる
には、賞味期間を短くする。保管流通温度を下げ
る。安定化物質を添加する。外部の光や酸素から遮
断できるような容器に密封する。といった方法がとられ
てきた。また、特開平3―292846号公報には、
不安定化物質である酵素を含む水相が連続した油相中に
存在している乳化油脂組成物が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】の賞味期間を短くし
た場合、賞味期間切れの製品ができやすく、大きなロッ
トでの大量生産に対応出来ず効率が悪いといった問題が
あった。の保管流通温度を下げる場合、冷蔵流通では
期待したほど賞味期間が伸びず、冷凍保管では生成する
氷結晶等により機能性物質自体の構造が破壊され、機能
が失われるといった問題があった。の安定化物質を添
加する場合、多量の油や水に安定化物質がさらされるた
め、不安定物質を十分に安定化するためには、安定化物
質の絶対量が多く必要であった。このため乳化油脂組成
物の風味が望んでいるものと異なったものになったり、
安定化物質の望まれない作用が発現する問題や、乳化油
脂組成物自体の価格が高くなるという問題があった。
の外部の光や酸素から遮断する容器や包装剤に密封する
場合、包装費が高くなったり、通常の業務用のダンボー
ル入り製品を作るのが難しいといった問題があった。
に開示されている乳化油脂組成物は、はじめに油相と水
相とを乳化し、そして不安定物質である酵素をこれを安
定化する糖類の混合物を後合せしているが、後合せ物の
配合量が8〜15部と多いため、後合せ物が、水相と混
ざってしまい、不安定物質が多量の油や水にさらされて
しまうので、酵素活性を安定に保つことができなかっ
た。
【0004】従って、本発明の目的は、望まれる本来の
特性に悪影響を与えたり、多量の安定化物質を配合する
ことなく、特別な容器を用いることもなく、経日的に機
能が不安定な食品添加物や食品素材を配合しても、その
機能が長期間維持出来る乳化油脂組成物を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、連続した油相
中に、不安定物質を含まない水相または水中油型乳化物
と、不安定物質およびこれを安定化する安定化物質を含
む水相または水中油型乳化物とが、それぞれ独立して存
在することを特徴とする乳化油脂組成物を提供すること
によって、上記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の乳化油脂組成物に
ついて詳細に説明する。
【0007】本発明の乳化油脂組成物は、図1に示すよ
うに、連続した油相2中に、不安定物質を含まない水相
または水中油型乳化物3と、不安定物質およびこれを安
定化する安定化物質を含む水相または水中油型乳化物4
とが、それぞれ独立して存在する乳化油脂組成物1であ
る。
【0008】本発明の乳化油脂組成物における連続した
油相としては、油脂が用いられる。本発明に用いられる
油脂としては、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ
油、サフラワー油、綿実油、カカオ脂、乳脂、牛脂、豚
脂、魚油、鯨油等の食用天然油脂、 該食用天然油脂に水
素添加、分別及びエステル交換といった処理を1種また
は2種以上施した食用加工油脂が挙げられ、これらの中
から1種または2種以上を適宜選択して使用することが
出来る。
【0009】上記油脂の配合量は、乳化油脂組成物中好
ましくは40〜99.99重量%、更に好ましくは5
0.0〜99.9重量%、更に一層好ましくは50.0
〜90.0重量%である。油脂の配合量が40.0重量
%より少ないと、安定な乳化油脂組成物が得られ難く、
99.99重量%より多いと、不安定物質およびこれを
安定化する安定化物質を含有する水相または水中油型乳
化物を、油脂組成物中に均質に分散させるのが難しくな
るので好ましくない。
【0010】本発明の乳化油脂組成物における不安定物
質を含まない水相または水中油型乳化物と、不安定物質
およびこれを安定化する安定化物質を含む水相または水
中油型乳化物とを合計したものの総配合量は、乳化油脂
組成物中好ましくは0.01〜60.00重量%、更に
好ましくは0.1〜30.0重量%、更に一層好ましく
は0.1〜17.0重量%である。0.01重量%より
少ないと、不安定物質およびこれを安定化する安定化物
質を含む水相または水中油型乳化物を、連続する油相中
に分散させるのが難しくなるので好ましくなく、60.
00重量%より多いと、連続した油相の乳化油脂組成物
とするのが困難なので好ましくない。
【0011】また、不安定物質およびこれを安定化する
安定化物質を含む水相または水中油型乳化物の含有量
は、乳化油脂組成物中好ましくは0.01〜5重量%、
更に好ましくは0.1〜5重量%、更に一層好ましくは
0.1〜3重量%である。0.01重量%よりも少ない
と、不安定物質およびこれを安定化する安定化物質を含
む水相または水中油型乳化物が、連続する油相中に均一
に分散させるのが難しいので好ましくなく、5重量%よ
りも多いと不安定物質およびこれを安定化する安定化物
質を含む水相または水中油型乳化物が不安定物質を含ま
ない水相または水中油型乳化物と融合してしまい、独立
して存在しなくなってしまうので好ましくない。
【0012】本発明で使用する不安定物質とは、経日的
に不安定な食品添加物や食品素材であり、例えば、ジア
セチル酒石酸モノグリや乳酸モノグリ等の有機酸モノグ
リ、蛋白分解酵素、糖分解酵素、脂質分解酵素、カタラ
ーゼやリポキシゲナーゼ、アスコルビン酸オキシダー
ゼ、スルフィドリルオキシダーゼ、ヘキソースオキシダ
ーゼ、グルコースオキシダーゼ等の酸化還元酵素、トラ
ンスグルタミナーゼ、胡椒やからし、わさび、ジンジャ
ー、ニンニク、生姜、葱等の香辛料や香草類、ビタミン
類、リノール酸やリノレン酸、エイコサペンタエン酸、
ドコサヘキサエン酸等の多価不飽和脂肪酸及びこれらが
結合したトリグリセライド、生理活性物質等が挙げられ
るが、今後も新たな機能性食品や生理活性物質、風味原
料等が発見されると思われ、こういった物質で機能が経
日的に不安定なものならどんなものであっても構わな
い。これらの不安定物質は1種または2種以上で用いら
れる。
【0013】上記の不安定物質を安定化する安定化物質
としては、食塩や塩化カリウム等の塩類、各種有機酸塩
や各種リン酸塩等のpH調整剤、アスコルビン酸や還元
性グルタチオン、システイン等の還元剤類、トコフェロ
ールやローズマリー抽出物、BHA、BHT、t−BH
Q、茶抽出物、ラクトフェリン等の酸化防止剤類、ブド
ウ糖や果糖、蔗糖、麦芽糖、酵素糖化水あめ、還元麦芽
糖水あめ、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化糖、蔗糖結合
水あめ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、グリセ
リン、ソルビトール、プロピレングリコール、サイクロ
デキストリン等のポリオール類、アルカリ金属やアルカ
リ土類金属、遷移金属等の金属イオン類、EDTAやE
GTA、縮合リン酸塩等のキレート剤類、エタノールや
アセトン、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤類、乳蛋
白や魚肉蛋白、畜肉蛋白、血清蛋白、卵蛋白、小麦蛋
白、ゼラチン等の蛋白類(タンパク質)、澱粉や化工澱
粉、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、アルギン酸
塩、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガ
ム、サイリウムシードガム、アラビアガム、トラガント
ガム、カラヤガム、ペクチン、アラビノガラクタン、プ
ルラン、デキストラン、カードラン、セルロース、ヘミ
セルロース、キサンタンガム、マンナン等の増粘安定剤
類、蛋白質分解酵素や糖分解酵素、脂質分解酵素、トラ
ンスグルタミナーゼなどの酵素の基質、補酵素、アロス
テリックエフェクター等が一般的に挙げられる。但し、
これらの安定化物質が全ての機能性食品添加物や食品素
材の機能安定性に寄与するわけではなく、対象によって
は、機能をむしろ不安定にするものもあるので、対象と
なる食品添加物や食品素材にあわせ、機能の安定化効果
を個別に確認し、最適なものを採用する。これらの安定
化物質は、1種または2種以上で用いられる。
【0014】また、不安定物質およびこれを安定化する
安定化物質を含む水相または水中油型乳化物は、好まし
くは0.1〜40重量%、更に好ましくは1〜30重量
%、更に一層好ましくは5〜30重量%の不安定物質、
好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは1〜5
0重量%、更に一層好ましくは5〜50重量%の安定化
物質、および好ましくは10〜90重量%、更に好まし
くは10〜70重量%、更に一層好ましくは10〜50
重量%の水からなる。不安定物質が0.1重量%よりも
少ないと不安定物質による効果が発揮されないので好ま
しくなく、40重量%よりも多いと不安定物質が安定化
されないので好ましくない。安定化物質が0.1重量%
よりも少ないと不安定物質の安定化が不十分となるので
好ましくなく、50重量%よりも多いと不安定物質およ
びこれを安定化する安定化物質を含む水相または水中油
型乳化物が連続する油相に均一に分散しないので好まし
くない。水が10重量%よりも少ないと不安定物質およ
びこれを安定化する安定化物質を含む水相または水中油
型乳化物が連続する油相に均一に分散しないので好まし
くなく、90重量%よりも多いと安定化物質の濃度が薄
くなるため、不安定物質を安定化することができなくな
るので好ましくない。
【0015】このような不安定物質およびこれを安定化
する安定化物質を含む水相とは水と油分を含んでいない
成分とで構成されている場合であり、水中油型乳化物と
は水と油分を含む有機酸モノグリ、ビタミン類、トリグ
リセライド、生理活性物質などの不安定物質や油分を含
む酸化防止剤などの安定化物質とを使用した場合であ
る。
【0016】同様に、不安定物質を含まない水相とは、
水と油分を含んでいない成分とで構成されている場合で
あり、水中油型乳化物とは水と牛乳や生クリームなどの
油分を含むものとを使用する場合である
【0017】本発明の乳化油脂組成物における上記油
相、および上記不安定物質を含まない水相または水中油
型乳化物には、必要に応じて、上記であげた不安定物質
以外の添加物や食品素材を配合することができる。例え
ば、食用乳化剤、膨張剤、酸味料、ステビア等の甘味
料、果実、果汁、ナッツ類や果実類のペースト、旨味調
味料、酸化防止剤、着色料、酒類、醗酵風味料、香料、
保存料、穀類、豆類、野菜類、魚介類、肉類等が挙げら
れ、これらを単独もしくは混合物として、本発明の効果
を損なわない範囲内で配合することができる。
【0018】また、本発明の乳化油脂組成物は、必要に
応じて、製造後又は製造中、窒素、ヘリウム等の不活性
ガスで脱気させてもよい。
【0019】次に、本発明の乳化油脂組成物の製造方法
について説明する。本発明の乳化油脂組成物は、例えば
次の様にして得られる。即ち、溶融した油脂に必要に応
じて油溶性物質を添加した油相に、不安定物質を含まな
い水溶性物質を水に添加した水相または水中油型乳化物
を加え、乳化する。この時、ホモミキサー、ホゲナイザ
ー、コロイドミル等を使用したり、ポンプで循環させな
がら乳化及び均質化することも出来る。次いで、殺菌処
理を施した後、又は殺菌処理をせずに冷却する。冷却
は、ダイヤクーラーとコンプレクターとの組み合わせ、
ボテーター、コンビネーター、パーフェクター、コンサ
ーム等のマーガリン製造機やプレート式熱交換機で急冷
したり、他の手段で、使用する配合油脂の融点より10
〜30℃低い温度まで冷却する。このときの乳化油脂の
状態としては、不安定物質を含んでいない水相または水
中油型乳化物の回りに存在する高融点の乳化剤もしくは
油脂中の高融点成分が固形化していて、油脂中の低融点
成分が半固形化または液状の過冷却状態である。この状
態となっているときに、不安定物質およびこれを安定化
する安定化物質を含む水相または水中油型乳化物を添加
し、均質になる程度で出来るだけ弱く混合し静置するこ
とによって本発明の乳化油脂組成物を得る。
【0020】本発明の乳化油脂組成物を流通させる場合
は、常温、冷蔵、冷凍いずれでも構わないが、配合され
た機能性の食品添加物や食品素材の機能を出来るだけ長
期間保持する為に、冷蔵で、直射日光等の当たらない暗
所で流通させることが好ましいが、機能性の原料の機能
が失われなければ、常温や冷凍で流通させても構わな
い。
【0021】本発明の乳化油脂組成物は、製菓・製パン
の練り込み油脂や折り込み油脂、バタークリーム、スプ
レッド、調理用油等、通常の食用油脂組成物としての用
途に使用することができる。
【0022】
【実施例】以下に、実施例、比較例及び使用例を挙げ、
本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。尚、例中の「部」及び「%」は特記
しない限り重量基準である。
【0023】(実施例1、比較例1〜5)下記表1に示
す配合組成に従い、次のようにして乳化油脂組成物を得
た。融点36℃のパーム油と油相配合物を混合槽に入
れ、60℃前後に調温し均一に溶解もしくは分散させて
油相を調製し、次いで45〜50℃に調温した。次に、
水中油型乳化物である第1相を調製し上記油相に添加
し、均一に攪拌混合を行い、乳化物とした。そして、こ
れをマーガリン製造機で急冷混和し、15℃まで冷却し
た。これに予め調製した水相である第2相を加え、縦形
ミキサーで均一に混合し、乳化油脂組成物を得た。得ら
れた乳化油脂組成物の乳化状態は、実施例1が油相とそ
れぞれ独立した第1相と第2相からなる状態であり、比
較例1〜4は油相と1つの相からなる状態であり、比較
例5は油相と第1相と第2相が混ざった相からなる状態
であった。また、配合したα−アミラーゼは製パン用の
酵素製剤で、70℃まで失活しない不安定物質であり、
L―アスコルビン酸はこれを安定化する安定化物質であ
る。
【0024】使用例1 [食パン焼成テスト]実施例1及び比較例1〜5で得ら
れた乳化油脂組成物をポリエチレンの袋で3ヶ月間5℃
に冷蔵保管した後、パン練り込み用油脂として用い、下
記原料配合で下記製パン工程により、食パンを製造し
た。 <原料配合> 小麦粉 1000部 イースト 23部 上白糖 50部 フード 1部 練り込み用油脂 50部 粉乳 20部 食塩 20部 水 630部 <製パン工程>(70%中種法) フロアタイム 20分 ベンチタイム 25分 ホイロ 40℃、50分 焼成 210℃、23分
【0025】得られた食パンの試験結果を表1の下部に
示す。尚、表1におけるパン製造時の生地の状態と、焼
成したパンの硬さを次のようにして判定した。 (製パン時の生地の状態)パン製造者が感じた生地状態
を官能評価した。 ○:生地良好 ×:生地絞まり過ぎ (パンの硬さ)焼成したパンの硬さは、官能検査により
以下の様に評価した。 ○:良好 ×:硬い
【0026】
【表1】
【0027】上記表1の結果から、実施例1ではα−ア
ミラーゼの製パン機能が維持され軟らかいパンが得られ
るが、比較例1や2は、不安定物質であるα―アミラー
ゼを安定化するL−アスコルビン酸が含まれていないた
め、α―アミラーゼが失活し、焼成したパンが硬いもの
となってしまった。比較例3は実施例1と同じ量のL−
アスコルビン酸を使用しているにもかかわらず、L−ア
スコルビン酸を含む相におけるL−アスコルビン酸の対
水濃度が0.66%(実施例1では25%)と低いた
め、α―アミラーゼが失活し、焼成したパンが硬いもの
となってしまった。比較例4は、実施例1とL−アスコ
ルビン酸を含む相中のL−アスコルビン酸の対水濃度を
同じにしたため、多量のL−アスコルビン酸を必要し、
そのため製パン時の生地が締まりすぎてしまった。比較
例5は、第2相の配合量が多すぎるため、第2相として
油相中に独立して存在することができず、第1相に混ざ
ってしまい、L−アスコルビン酸の対水濃度が薄くなっ
てしまい、不安定物質であるα―アミラーゼが失活し、
焼成したパンが硬いものとなってしまった。
【0028】(実施例2、比較例6〜10)下記表2に
示す配合組成に従い、次のようにして乳化油脂組成物を
得た。融点34℃のパーム油と油相配合物を混合槽に入
れ、60℃前後に調温し均一に溶解もしくは分散させて
油相を調製し、次いで45〜50℃に調温した。次に、
水相である第1相を調製し上記油相に添加し、均一に攪
拌混合を行い、乳化物とした。これをマーガリン製造機
で急冷混和し、15℃まで冷却した。そして、これに予
め調製した水相である第2相を加え、縦形ミキサーで均
一に混合し、乳化油脂組成物を得た。得られた乳化油脂
組成物の乳化状態は、実施例2は、油相とそれぞれ独立
した第1相と第2相からなる状態であり、比較例6〜9
は油相と1つの相からなる状態であり、比較例10は油
相と第1相と第2相が混ざった相からなる状態であっ
た。なお、生姜ペースト(水分90%)が不安定物質で
あり、L−アスコルビン酸がこれを安定化する安定化物
質である。
【0029】使用例2 [風味官能テスト]実施例2及び比較例6〜10で得ら
れた乳化油脂組成物をポリエチレンの袋で3ヶ月間5℃
に冷蔵保管した後、風味官能テストを行った。得られた
油脂組成物の官能評価結果を表2の下部に示す。尚、表
2における得られた油脂組成物の官能評価は、下記のよ
うに行った。 (生姜風味)油脂組成物の生姜風味を、官能検査により
以下の様に評価した。 ○:生姜風味がある ×:生姜風味がない (酸味)油脂組成物の酸味を、官能検査により以下の様
に評価した。 ○:酸味が感じられない ×:酸味が感じられる
【0030】
【表2】
【0031】上記表2の結果から、実施例2では生姜風
味が維持されているが、比較例6や7は、不安定物質で
ある生姜ペーストを安定化するL−アスコルビン酸が含
まれていないため生姜風味が感じられないものとなって
しまった。比較例8は実施例2と同じ量のL−アスコル
ビン酸を使用しているにもかかわらず、L−アスコルビ
ン酸を含む相におけるL−アスコルビン酸の対水濃度が
0.66%(実施例2は14.29%)と低いため、生
姜ペーストを安定化することができず、生姜風味が感じ
られないものとなってしまった。比較例9は、実施例2
とL−アスコルビン酸を含む相中の対水濃度を同じにし
たが、同じにするためには多量のL−アスコルビン酸を
必要とし、そのため酸味が感じられるものとなってしま
った。比較例10は、第2相の配合量が多すぎるため、
第2相として油相中に独立して存在することができず、
第1相に混ざってしまい、L−アスコルビン酸の対水濃
度が薄くなってしまい、不安定物質である生姜ペースト
を安定化することができず、生姜風味のないものとなっ
てしまった。
【0032】(実施例3)下記表3に示す配合組成に従
い、次のようにして乳化油脂組成物を得た。融点36℃
のパーム油と油相配合物を混合槽に入れ、60℃前後に
調温し均一に溶解もしくは分散させて油相を調製し、次
いで45〜50℃に調温した。次に、水相である第1相
を調製し上記油相に添加し、均一に攪拌混合を行い、乳
化物とした。これをマーガリン製造機で急冷混和し、1
5℃まで冷却した。そして、これに予め調製した水中油
型乳化物である第2相を加え、縦形ミキサーで均一に混
合し、乳化油脂組成物を得た。得られた乳化油脂組成物
は、油相とそれぞれ独立した第1相と第2相からなる状
態であり、魚油の戻り臭がしないものであった。なお、
精製魚油(ドコサヘキサエン酸50%含有)が不安定物
質であり、茶抽出物がこれを安定化する安定化物質であ
る。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明の乳化油脂組成物は、連続した油
相中に、不安定物質を含まない水相または水中油型乳化
物と、不安定物質およびこれを安定化する安定化物質を
含む水相または水中油型乳化物とが、それぞれ独立して
存在する乳化油脂組成物であって、経日的に機能の不安
定な不安定物質の機能が長期間維持されるものである。
また、本発明の乳化油脂組成物を用いれば、多量の安定
化物質を配合する必要がなく、また特別な容器などを用
いる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の乳化油脂組成物を示す模式図
である。
【符号の説明】
1 乳化油脂組成物 2 油相 3 不安定物質を含まない水相または水中油型乳化物 4 不安定物質およびこれを安定化する安定化物質を含
む水相または水中油型乳化物

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続した油相中に、不安定物質を含まな
    い水相または水中油型乳化物と、不安定物質およびこれ
    を安定化する安定化物質を含む水相または水中油型乳化
    物とが、それぞれ独立して存在することを特徴とする乳
    化油脂組成物。
  2. 【請求項2】 不安定物質およびこれを安定化する安定
    化物質を含む水相または水中油型乳化物の含有量が、
    0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項1記
    載の乳化油脂組成物。
  3. 【請求項3】 不安定物質およびこれを安定化する安定
    化物質を含む水相または水中油型乳化物が、0.1〜4
    0重量%の不安定物質、0.1〜50重量%の安定化物
    質および10〜90重量%の水からなることを特徴とす
    る請求項1または2記載の乳化油脂組成物。
  4. 【請求項4】 不安定物質が、有機酸モノグリ、蛋白質
    分解酵素、糖分解酵素、脂質分解酵素、酸化還元酵素、
    トランスグルタミナーゼ、香辛料、香草、ビタミン類、
    多価不飽和脂肪酸及びこれが結合したトリグリセライ
    ド、並びに生理活性物質からなる群より選ばれた1種ま
    たは2種以上であることを特徴とする請求項1〜3の何
    れかに記載の乳化油脂組成物。
  5. 【請求項5】 安定化物質が、塩類、pH調整剤、還元
    剤、酸化防止剤、ポリオール類、金属イオン、キレート
    剤、有機溶剤、タンパク質、増粘安定剤、蛋白質分解酵
    素、糖分解酵素または脂質分解酵素に対する基質および
    補酵素、並びにアロステリックエフェクターからなる群
    より選ばれた1種または2種以上であることを特徴とす
    る、請求項1〜3の何れかに記載の乳化油脂組物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の乳化油脂
    組成物を製造する方法であって、油相と不安定物質を含
    まない水相または水中油型乳化物とを乳化し、これに不
    安定物質およびこれを安定化する安定化物質を含む水相
    または水中油型乳化物を添加し、均一に混合することを
    特徴とする乳化油脂組成物の製造方法。
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