JP2021508446A - 食品中のリン脂質の改善された酵素的修飾 - Google Patents

食品中のリン脂質の改善された酵素的修飾 Download PDF

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Abstract

約5/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1であって、0.02未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有するホスホリパーゼA1は、脂質含有食品マトリックスにおける使用方法、ホスホリパーゼを用いて且つ開示されるホスホリパーゼA1を用いる焼成改良剤も含む生地を焼成及び製造する方法と併せて提示される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホスホリパーゼ及び食品製造におけるそれらの使用に関する。本発明は、ホスホリパーゼを用いて生地及び焼成製品を製造する方法にさらに関する。
生地におけるリパーゼの使用は、よく知られている。例えば、欧州特許第0585988号明細書では、生地にリパーゼを添加すると、それから焼成されたパンに抗老化効果がもたらされたことが証明されている。国際公開第94/04035号パンフレットは、リパーゼを生地に添加することによって柔らかさの改善を達成できることを教示している。また、外性リパーゼがパン体積を改変し得ることも証明されている。
ホスホリパーゼをはじめとするリパーゼは、生地及び焼成製品の調製におけるそのプラスの特性について記載されているが、従来技術のリパーゼは、概して多くの活性を有し、それらがリパーゼの潜在的に有益な効果を低減又は排除することから、従来技術のリパーゼの性能には多くの欠点がある。従って、今日、一部の食品用途、特に焼成において、より高度の特異性を有する改善されたリパーゼが依然として求められている。
本発明の一態様によれば、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1を含む単離ポリペプチドであって、前記ホスホリパーゼA1は、0.02未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する、単離ポリペプチドが提供される。任意選択で、sn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。任意選択で、sn1/sn2特異度比は、65〜85/20〜30又は75〜95/5〜15である。任意選択で、sn1/sn2特異度比は、約74/26又は89/11である。
任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満である。任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、65〜85/15〜35である。任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約74/26である。任意選択で、NALPE/NAPE活性比は、0.12未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、75〜95/5〜15である。任意選択で、NALPE/NAPE活性比は、0.12未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約89/11である。
任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
本発明の別の態様では、生地を製造する方法が提供され、この方法は、小麦粉、食塩、水、砂糖、脂肪、レシチン、油、乳化剤及び酵母からなる群から選択される生地成分を、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1を含む単離ポリペプチドと混合するステップを含み、ここで、前記ホスホリパーゼA1は、0.02未満、好ましくは0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する。任意選択で、sn1/sn2特異度比は、65〜85/15〜35又は75〜95/5〜25である。任意選択で、sn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。任意選択で、sn1/sn2特異度比は、約74/26又は89/11である。任意選択で、乳化剤は、i)レシチン若しくはリゾ−レシチンなどのリン脂質乳化剤;又はii)DATEM、モノグリセリド若しくはジグリセリドなどの非リン脂質乳化剤からなる群から選択される。
任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満である。任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、70〜80/20〜30である。任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約74/26である。任意選択で、NALPE/NAPE活性比は、0.12未満であり、且つn1/sn2特異度比は、85〜95/5〜15である。任意選択で、NALPE/NAPE活性比は、0.12未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約89/11である。
本発明の別の態様では、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素を含む生地が提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.02未満、好ましくは0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する。任意選択で、生地は、例えば、本発明のホスホリパーゼA1酵素を含まない生地と比較して改善された伸展性及び/又は安定性を有する。別の態様では、本明細書に記載の酵素を含む生地が提供される。
本発明の別の態様では、焼成製品を調製する方法であって、前述した生地を焼成する方法が提供される。本発明の別の態様では、焼成製品が提供される。任意選択で、焼成製品は、改善されたクラム孔径、気泡の改善された均質性、クラストとクラムとが分離していないこと、増加した体積、増加したクラストのカリっとした食感及び改善されたオーブンスプリングからなる群から選択される、少なくとも1つの改善された特性を有する。任意選択で、改善された特性は、増加したクラストのカリっとした食感である。任意選択で、前記特性は、本発明のホスホリパーゼA1酵素を含まない生地から調製した焼成製品と比較して改善される。別の態様では、本明細書に記載の酵素を含むか又は本明細書に記載の酵素を含む生地から調製される焼成製品が提供される。
本発明の別の態様では、小麦粉と、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素とを含む焼成用プレミックスが提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.02未満、好ましくは0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する。別の態様では、本明細書に記載の酵素を含む焼成用プレミックスが提供される。本発明の別の態様では、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素を含む顆粒又は凝集粉を含む焼成改良剤が提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.02未満、好ましくは0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する。別の態様では、本明細書に記載の酵素を含む顆粒又は凝集粉を含む焼成改良剤が提供される。
本発明の別の態様では、前述した通り、生地及び/又はそれから製造される焼成製品を改善するのに有用な少なくとも1種の追加の酵素が含まれる生地を製造する方法が提供される。任意選択で、追加の酵素は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、前記ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される。任意選択で、アミラーゼは、エキソアミラーゼである。任意選択で、エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである。任意選択で、エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである。任意選択で、非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する。任意選択で、追加の酵素は、ホスホリパーゼである。任意選択で、追加の酵素は、ガラクトリパーゼ活性を有する。任意選択で、追加の酵素は、配列番号17及び/又は配列番号18を含むホスホリパーゼである。
本発明の別の態様では、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素による乳化剤の処理を含む、リン脂質乳化剤の修飾の方法であり、ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有する。任意選択で、リン脂質乳化剤は、レシチン又はリゾレシチンである。
本発明の別の態様では、脂質含有食品マトリックス中においてリゾリン脂質を生成する方法であって、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素を脂質含有食品マトリックスに添加するステップを含む方法が提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有する。任意選択で、脂質含有食品マトリックスは、卵及び卵含有食品、焼き菓子製品の生地、加工肉、牛乳を主成分とする製品、植物油並びにケーキ及びクッキーなどの焼き菓子製品からなる群から選択される。
任意選択で、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.019、0.018、0.017、0.016、0.015、0.014、0.013、0.012、0.011又は0.010未満である。
任意選択で、NALPE/NAPE活性比は、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満である。
本発明の別の態様では、前述した通り、乳化剤を添加するステップをさらに含む、生地を製造する方法が提供される。任意選択で、乳化剤は、i)レシチン若しくはリゾ−レシチンなどのリン脂質乳化剤;又はii)DATEM、モノグリセリド若しくはジグリセリドなどの非リン脂質乳化剤からなる群から選択される。DATEMは、例えば、Panodan(登録商標)の商品名で入手可能である。
本発明の別の態様では、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むホスホリパーゼA1酵素を含む単離ポリペプチドが提供される。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1酵素は、配列番号6と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。任意選択で、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16から構成されるか又は実質的に構成され得る。
生物学的配列の簡単な説明
配列番号1は、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08310)を示す。
配列番号2は、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08310)を示す。
配列番号3は、ペスタロチオプシス・フィシ(Pestalotiopsis fici)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08316)を示す。
配列番号4は、ペスタロチオプシス・フィシ(Pestalotiopsis fici)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08316)を示す。
配列番号5は、メタリジウム・グイズホウエンス(Metarhizium guizhouense)(メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)としても知られる)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08319)を示す。
配列番号6は、メタリジウム・グイズホウエンス(Metarhizium guizhouense)(メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)としても知られる)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08319)を示す。
配列番号7は、ディアポルテ・アンペリナ(Diaporthe ampelina)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08405)を示す。
配列番号8は、ディアポルテ・アンペリナ(Diaporthe ampelina)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08405)を示す。
配列番号9は、イネいもち病菌(Magnaporthe oryzae)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08418)を示す。
配列番号10は、イネいもち病菌(Magnaporthe oryzae)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08418)を示す。
配列番号11は、ネオネクトリア・ジチシマ(Neonectria ditissima)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08826)を示す。
配列番号12は、ネオネクトリア・ジチシマ(Neonectria ditissima)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08826)を示す。
配列番号13は、トリコデルマ・ガムシ(Trichoderma gamsii)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08833)を示す。
配列番号14は、トリコデルマ・ガムシ(Trichoderma gamsii)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08833)を示す。
配列番号15は、メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)由来のホスホリパーゼ変異体の完全長アミノ酸配列(完全長CRC08845)を示す。
配列番号16は、メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)由来のホスホリパーゼ変異体の予測される成熟型アミノ酸配列(予測成熟型CRC08845)を示す。
配列番号17は、商品Powerbake 4080に使用されるホスホリパーゼA1の成熟型アミノ酸配列を示す。
配列番号18は、商品Lipopan Fに使用されるホスホリパーゼA1の完全長アミノ酸配列を示す。
配列番号19は、完全長CRC08310のコドン最適化合成核酸配列を示す。
配列番号20は、完全長CRC08316のコドン最適化合成核酸配列を示す。
配列番号21は、完全長CRC08319のコドン最適化合成核酸配列を示す。
配列番号22は、完全長CRC08405のコドン最適化合成核酸配列を示す。
配列番号23は、完全長CRC08418のコドン最適化合成核酸配列を示す。
配列番号24は、完全長CRC08826のコドン最適化合成核酸配列を示す。
配列番号25は、完全長CRC08833のコドン最適化合成核酸配列を示す。
配列番号26は、完全長CRC08845のコドン最適化合成核酸配列を示す。
Lipopan Fの最適用量(タンパク質mg/小麦粉kgに基づく相対用量)の関数として表されるクラスティロール比体積(ccm/g)を描く。 CRC08319の用量の関数として表されるクラスティロール比体積(ccm/g)を描く。 Lipopan Fを用いた生地脂質プロファイリングを描く。 CRC08319を用いた生地脂質プロファイリングを描く。 SOLEC Fの存在あり及びなしでの「CRC08319+Powerbake 4080」の効果としてのスポンジ及び生地比体積を描く。
本教示の実施では、別に記載のない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学及び生化学の従来の技術を使用し、それらは、当業者の技術の範囲内である。こうした技術は、文献において十分に説明されており、例えば以下のものがある:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1994);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullis et al.,eds.,1994);Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(Kriegler,1990)及びThe Alcohol Textbook(Ingledew et al.,eds.,Fifth Edition,2009)並びにEssentials of Carbohydrate Chemistry and Biochemistry(Lindhorste,2007)。
本明細書に別に定義されない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語は、全て本教示が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。Singleton,et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,second ed.,John Wiley and Sons,New York(1994)及びHale&Markham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)は、本発明で使用される多くの用語の一般的辞書を当業者に提供する。本明細書に記載されるものと類似の又は均等な任意の方法及び技術を本教示の実施又は試験に使用することができる。
本明細書に記載される数値の範囲は、その範囲を画定する数値を包含する。
略語
NAPE − N−アシルホスファチジルエタノールアミン
NALPE − N−アシルリゾホスファチジルエタノールアミン
NAGPE − N−アシルグリセロホスホエタノールアミン
DGDG − ジガラクトシルジグリセリド
DGMG − ジガラクトシルモノグリセリド
MGDG − モノガラクトシルジグリセリド
MGMG − モノガラクトシルモノグリセリド
PC − ホスファチジルコリン
LPC − リゾホスファチジルコリン
PLA − ホスホリパーゼA1
DATEM − モノ及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル
定義
ポリペプチドに関して、「野生型」、「親」又は「参照」という用語は、1つ又は複数のアミノ酸位置に人為的な置換、挿入又は欠失を含まない天然に存在するポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関して、「野生型」、「親」又は「参照」といった用語は、人為的なヌクレオシド変化を含まない天然に存在するポリヌクレオチドを指す。しかし、野生型、親又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然に存在するポリヌクレオチドに限定されず、野生型、親又は参照ポリペプチドをコードするあらゆるポリヌクレオチドを包含する。
野生型ポリペプチドと言うとき、ポリペプチドの成熟形態を含むと理解される。「成熟型」ポリペプチド又はその変異体は、シグナル配列が例えばポリペプチドの発現中又は発現後にポリペプチドの未成熟型から切断されて存在しないものである。
ポリペプチドに関して、「変異体」という用語は、それがアミノ酸の1つ又は複数の天然又は人為的な置換、挿入又は欠失を含むという点で指定の野生型、親又は参照ポリペプチドと異なるポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関して、「変異体」という用語は、指定の野生型、親又は参照ポリヌクレオチドとヌクレオチド配列が異なるポリヌクレオチドを指す。野生型、親又は参照ポリペプチド又はポリヌクレオチドの同一性は、文脈から明らかであろう。
対象細胞、核酸、タンパク質又はベクターに関して使用される場合、「組換え」という用語は、対象がそのネイティブ状態から修飾されていることを示す。従って、例えば、組換え細胞は、細胞のネイティブ(非組換え)形態で存在しない遺伝子を発現するか、又は天然に存在するものと異なるレベル若しくは異なる条件下でネイティブ遺伝子を発現する。組換え核酸は、1つ若しくは複数のヌクレオチドだけネイティブ配列と異なり、且つ/又は異種配列、例えば発現ベクター中の異種プロモータに作動可能に連結している。組換えタンパク質は、1つ若しくは複数のアミノ酸だけネイティブ配列と異なり得、且つ/又は異種配列と融合している。ホスホリパーゼをコードする核酸を含むベクターは、組換えベクターである。
「回収された」、「単離された」及び「分離された」という用語は、天然に見出されるとき、自然に結合している少なくとも1つの他の物質又は成分から取り出される化合物、タンパク質(ポリペプチド)、細胞、核酸、アミノ酸又は他の指定された物質若しくは成分を指す。その「単離された」ポリペプチドとして、限定されないが、異種宿主細胞中に発現された分泌ポリペプチドを含有する培養ブロスが挙げられる。
「精製された」という用語は、比較的純粋な状態、例えば少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋又はさらに少なくとも約99%純粋である物質(例えば、単離ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を指す。
「濃縮された」という用語は、約50%純粋、少なくとも約60%純粋、少なくとも約70%純粋又はさらに少なくとも約70%純粋である物質(例えば、単離ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を指す。
酵素に関して、「pH範囲」とは、酵素が触媒活性を発揮するpH値の範囲を指す。
酵素に関して、「pH安定な」及び「pH安定性」という用語は、酵素が所定の期間(例えば、15分、30分、1時間)にわたって広範囲のpH値にわたり活性を保持する能力に関する。
「アミノ酸配列」という用語は、「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」と同義であり、互いに置き換え可能に使用される。こうしたアミノ酸配列が活性を呈示する場合、これらは、「酵素」と呼ばれることもある。アミノ酸残基を表す従来の1文字又は3文字コードが使用され、その際、アミノ酸配列は、標準的なアミノ末端からカルボキシ末端への配向(すなわちN→C)で表示される。
「核酸」という用語は、DNA、RNA、ヘテロ二本鎖及びポリペプチドをコードすることができる合成分子を包含する。核酸は、一本鎖又は二本鎖であり得、且つ化学修飾であり得る。「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、置き換え可能に使用される。遺伝子コードが変性であることから、特定のアミノ酸をコードするために2つ以上のコドンを用い得、本組成物及び方法は、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を包含する。別に記載のない限り、核酸配列は、5’〜3’の配向で表示される。
「ハイブリダイゼーション」は、ブロットハイブリダイゼーション技術及びPCR技術に際して起こるように、核酸の1本の鎖が相補鎖とデュプレックスを形成する、すなわち塩基対合するプロセスを指す。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例として、以下の条件下でのハイブリダイゼーションが挙げられる:65℃及び0.1×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸Na3、pH7.0)。ハイブリダイゼーション、デュプレックス核酸は、融解温度(Tm)により特徴付けられ、ここで、ハイブリダイズした核酸の半分が相補鎖と対合していない。デュプレックス内のミスマッチヌクレオチドは、Tmを低下させる。極めてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、68℃及び0.1×SSCを含む。
「合成」分子は、生物ではなく、インビトロ化学又は酵素合成により生成される。
細胞に関して使用される「形質転換された」、「安定に形質転換された」及び「トランスジェニック」という用語は、細胞が、ゲノムに組み込まれた又は複数の世代を通して維持されるエピソームとして担持された非ネイティブ(例えば、異種)核酸配列を含むことを意味する。
細胞への核酸配列の挿入に関連して、「導入された」という用語は、当技術分野で周知の通り、「トランスフェクション」、「形質転換」又は「形質導入」を意味する。
「宿主株」又は「宿主細胞」は、発現ベクター、ファージ、ウイルス又は目的のポリペプチド(例えば、ホスホリパーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含む他のDNA構築物が導入されている生物である。例示的な宿主株は、目的のポリペプチドを発現することができる微生物細胞(例えば、細菌、糸状菌及び酵母)である。「宿主細胞」という用語は、細胞から作製されたプロトプラストを含む。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して、「異種」という用語は、宿主細胞中に天然に存在しないポリヌクレオチド又はタンパク質を指す。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して、「内在性」という用語は、宿主細胞中に天然に存在するポリヌクレオチド又はタンパク質を指す。
「発現」という用語は、ポリペプチドが核酸配列に基づいて産生されるプロセスを指す。このプロセスは、転写及び翻訳の両方を含む。
「選択マーカ」又は「選択可能なマーカ」は、その遺伝子を担持する宿主細胞の選択を促進するために宿主において発現させることができる遺伝子を指す。選択可能なマーカの例として、限定されないが、抗菌剤(例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン若しくはクロラムフェニコール)及び/又は宿主細胞に代謝的利益、例えば栄養的利益を付与する遺伝子が挙げられる。
「ベクター」は、1つ又は複数の細胞型に核酸を導入するために設計されたポリヌクレオチド配列を指す。ベクターとしては、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子、カセットなどが挙げられる。
「発現ベクター」は、目的のポリペプチドをコードするDNA配列を含むDNA構築物を指し、このコード配列は、好適な宿主においてDNAの発現を実施することができる好適な制御配列と作動可能に連結している。こうした制御配列として、転写を実施するためのプロモータ、転写を制御するための任意選択のオペレータ配列、mRNA上の好適なリボソーム結合部位をコードする配列、エンハンサー並びに転写及び翻訳の終結を制御する配列を挙げることができる。
「作動可能に連結した」という用語は、指定の構成要素が、意図される様式でそれらが機能することを可能にする関係性(限定されないが、並置など)にあることを意味する。例えば、調節配列をコード配列と作動可能に連結して、コード配列の発現が調節配列の制御下にあるようにする。
「シグナル配列」は、タンパク質のN末端部分に結合したアミノ酸の配列であり、これは、細胞外のタンパク質の分泌を促進する。細胞外タンパク質の成熟型は、シグナル配列を欠失しているが、これは、分泌プロセス中に切断される。
「生物学的に活性」は、酵素活性などの指定された生物学的活性を有する配列を指す。
用語「比活性」は、特定の条件下で単位時間当たり酵素又は酵素調製物により産物に変換することができる基質のモル数を指す。比活性は、一般に、タンパク質の単位(U)/mgとして表される。代わりに、比活性は、特定の条件下で単位時間当たり酵素又は酵素調製物により生成される産物のモル数を指す。
本明細書で使用される場合、「配列同一性(%)」とは、特定の配列が、デフォルトパラメータと共にCLUSTAL Wアルゴリズムを用いてアライメントされたとき、指定の参照配列中のものと同一のアミノ酸残基を少なくとも特定のパーセンテージで有することを意味する。Thompson et al.(1994)Ncleic Acids Res.22:4673−4680を参照されたい。CLUSTAL Wアルゴリズムのデフォルトパラメータは、以下の通りである。
ギャップオープニングペナルティ:10.0
ギャップ伸張ペナルティ:0.05
タンパク質重み付け行列:BLOSUM行列
DNA重み付け行列:IUB
異なる配列の遅延%:40
ギャップ間距離:8
DNA転位の重み:0.50
親水性残基リスト:GPSNDQEKR
負値行列の使用:オフ
残基特異的ペナルティの切り替え(Toggle):オン
親水性ペナルティの切り替え:オン
末端ギャップ分程ペナルティの切り替え:オフ
欠失は、参照配列と比較した非同一残基として計数する。各末端に存在する欠失を算入する。例えば、成熟型617残基ポリペプチドのC末端で5アミノ酸の欠失を有する変異体は、成熟型ポリペプチドに対して99%の配列同一性パーセントを有する(612/617同一残基×100、最寄りの整数に四捨五入)。このような変異体は、成熟型ポリペプチドに対して「少なくとも99%の配列同一性」を有する変異体に包含されることになる。
「融合」ポリペプチド配列は、2つの対象ポリペプチド配列間でペプチド結合を介して結合、すなわち作動可能に連結される。
「糸状菌」という用語は、真菌亜門(Eumycotina)、特にチャワンタケ亜門(Pezizomycotina)種の全ての糸状形態を指す。
本明細書で使用されるとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その」は、文脈から明らかに別の指示がない限り、単数及び複数の指示語の両方を包含する。
本明細書で使用される「含んでいる」、「含む」及び「含んでなる」という用語は、「包含している」、「包含する」又は「含有している」、「含有する」と同義であり、包括的又は制限がなく、且つ追加的、非記載メンバー、要素又は方法ステップを排除しない。本明細書で使用される「含んでいる」、「含む」及び「含んでなる」という用語は、「から構成されている」、「構成される」及び「から構成される」という用語を含むことが理解される。
端点による数値範囲の記載は、それぞれの範囲内に包括される全ての数値及び分数並びに挙げられる端点を包含する。
パラメータ、量、時間の長さなどの測定可能な値に関して本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、指定された値及びその値からの+/−10%以下、好ましくは+1〜5%以下、より好ましくは+/−1%以下、さらに好ましくは+/−0.1%以下の変動を、そうした変動が開示される本発明で実施することが適切である限り、包含することが意図される。修飾語「約」又は「およそ」が指す値は、それ自体で明示的且つ優先的に開示されることを理解すべきである。
「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」という用語、例えばメンバー群の1つ若しくは複数又は少なくとも1つのメンバーなどは、さらなる例示により、それ自体で明らかであるが、この用語は、とりわけ、前記メンバーのいずれか1つ又は前記メンバーのいずれか2つ以上、例えば前記メンバーのいずれか>3つ、>4つ、>5つ、>6つ若しくは>7つ等及び最大で全ての前記メンバーを指すことも包含する。
本明細書で引用される参照文献は、全て参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。特に、明示的に参照される全ての参照文献の教示内容を参照により組み込む。
別に定義されない限り、技術及び科学用語を含め、本発明の開示に使用される用語は、全て本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらなるガイダンスの手段として、本発明の教示内容のよりよい理解のために用語の定義が含まれる。
本明細書で使用される場合、「リパーゼ」という用語は、酵素エントリーEC3.1.1.3により定義されるトリアシルグリセロールリパーゼを指す。リパーゼは、トリアシルグリセロールの加水分解を触媒して、遊離脂肪酸(飽和又は不飽和)、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及びグリセロールをもたらす。
本明細書で使用される場合、「ホスホリパーゼ」という用語は、加水分解の部位に応じて、リン脂質を脂肪酸(飽和又は不飽和)、リゾリン脂質、ジアシルグリセロール、コリンリン酸及びホスファチジン酸塩に加水分解する酵素を指す。ホスホリパーゼは、A、B、C及びD型にさらに分類される。
本明細書で使用される場合、「ホスホリパーゼA」という用語は、リン脂質の脂肪酸成分のエステル結合の加水分解を触媒する酵素を指す。識別することができる2つの異なるタイプのホスホリパーゼA活性がある。酵素エントリーEC3.1.1.32で定義されるホスホリパーゼA1と、酵素エントリーEC3.1.1.4で定義されるホスホリパーゼA2とは、それぞれジアシルグリセロリン脂質からsn1及びsn2位置の1つの脂肪アシル基の脱アシルを触媒して、リゾリン脂質を産生する。
ホスホリパーゼA1及びA2は、それぞれsn1及びsn2位置の1つの脂肪酸基の脱アシルを触媒する。従って、ホスホリパーゼA1(本明細書ではPLA1と呼ばれることもある)は、一方の位置の脂肪酸とグリセリン残基との間の結合を加水分解して、リン脂質の1−アシル基を加水分解する。ホスホリパーゼA2(本明細書ではPLA2と呼ばれることもある)は、2−アシル基の加水分解を触媒する。
ホスホリパーゼによるリン脂質の加水分解により、リゾリン脂質と呼ばれる化合物が産生される。このように、ホスホリパーゼA1によるリン脂質の選択的加水分解により、2−アシルリゾリン脂質が産生される。ホスホリパーゼA2によるリン脂質の加水分解により、1−アシルリゾリン脂質が産生される。別のホスホリパーゼは、リゾリン脂質中に残留する脂肪アシル基の加水分解を触媒する「リゾホスホリパーゼ」である。
本明細書で使用される場合、「sn1/sn2特異度比」という語句は、以下にさらに詳細に述べる通り、相対PLA2活性で割った相対PLA1活性として定義される。
本明細書で使用される場合、「リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比」という語句は、以下にさらに詳細に述べる通り、(LPC−U/mgタンパク質)/(PC−U/mgタンパク質)を意味する。
本明細書で使用される場合、「NALPE/NAPE活性比」という語句は、以下にさらに詳細に述べる通り、(NALPE−U/mgタンパク質)/(NAPE−U/mgタンパク質)を意味する。
他の定義は、以下に記述する。
別の突然変異
一部の実施形態では、本発明のリン脂質は、別の性能又は安定性利益を賦与する1つ又は複数の突然変異をさらに含む。例示的な性能利益として、限定されないが、熱安定性の向上、貯蔵安定性の向上、可溶性の増大、pHプロフィールの改変、比活性の増大、基質特異性の修飾、基質結合の修飾、pH依存性活性の修飾、pH依存性安定性の修飾、酸化安定性の向上及び発現の増大が挙げられる。一部の事例では、性能利益は、比較的低い温度で実現される。一部の実施形態では、性能利益は、比較的高い温度で実現される。
さらに、本発明のホスホリパーゼは、任意の数の保存的アミノ酸置換を含み得る。例示的な保存的アミノ酸置換を表1に挙げる。
Figure 2021508446
読者は、上に挙げた保存的突然変異のいくつかが遺伝子操作により生成することができ、他のものが遺伝子又は別の手段で合成アミノ酸をポリペプチドに導入することにより生成されることを理解するであろう。
本発明のホスホリパーゼは、「前駆体」、「未成熟型」若しくは「完全長」(その場合、ホスホリパーゼは、シグナル配列を含む)であるか又は「成熟型」(その場合、シグナル配列が欠失している)であり得、さらにタンパク質分解及び/又は非タンパク質分解プロセシングによりN及び/又はC末端で短縮され得る。一般に、ポリペプチドの成熟型が概して最も有用である。別に注記のない限り、本明細書で使用されるアミノ酸残基番号付けは、それぞれのホスホリパーゼポリペプチドの成熟型を指す。得られるポリペプチドがホスホリパーゼ活性を保持する限り、本発明のホスホリパーゼポリペプチドを短縮して、N又はC末端を除去し得る。さらに、ホスホリパーゼ酵素は、より長いアミノ酸配列から得られる活性断片であり得る。活性断片は、完全長酵素の活性の一部又は全部を保持することによって特徴付けられるが、N末端、C末端からの欠失若しくは内部の欠失又はそれぞれの組合せを有する。
本発明のホスホリパーゼは、第1のホスホリパーゼポリペプチドの少なくとも部分と、第2のホスホリパーゼポリペプチドの少なくとも部分とを含むという点で「キメラ」又は「ハイブリッド」ポリペプチドであり得る。本発明のホスホリパーゼは、追跡又は精製を可能にするための異種シグナル配列、エピトープなどをさらに含み得る。例示的な異種シグナル配列は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)アミラーゼ(LAT)、枯草菌(B.subtilis)(AmyE又はAprE)及びストレプトマイセス(Streptomyces)CelAに由来する。
変異体ホスホリパーゼの産生
本発明のホスホリパーゼは、例えば、分泌又は細胞内発現により、宿主細胞中に産生させることができる。ホスホリパーゼを含む培養細胞材料(例えば、全細胞ブロス)は、細胞培地中へのホスホリパーゼの分泌後に取得することができる。任意選択で、ホスホリパーゼは、最終ホスホリパーゼの要望される純度に応じて、宿主細胞から単離するか、又は細胞ブロスから単離することもできる。当技術分野で公知の方法に従ってホスホリパーゼをコードする遺伝子をクローン化して、発現させることができる。好適な宿主細胞として、細菌、真菌(酵母及び糸状菌を含む)並びに植物細胞(藻を含む)が挙げられる。特に有用な宿主細胞として、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)又はトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)が挙げられる。他の宿主細胞として、細菌細胞、例えば枯草菌(Bacillus subtilis)又はB.リケニフォルミス(B.licheniformis)並びにストレプトマイセス属(Streptomyces)、E.Coli(大腸菌)が挙げられる。
宿主細胞は、相同性又は異種ホスホリパーゼ、すなわち宿主細胞と同じ種ではないホスホリパーゼ又は1つ若しくは複数の他の酵素をコードする核酸をさらに発現し得る。ホスホリパーゼは、変異体ホスホリパーゼであり得る。さらに、宿主は、1つ又は複数の補助酵素、タンパク質、ペプチドを発現し得る。
ベクター
ホスホリパーゼをコードする核酸を含むDNA構築物は、宿主細胞に発現されるように構築することができる。遺伝コードの既知の縮重により、常用の技術で、同一のアミノ酸配列をコードする変異体ポリヌクレオチドを設計及び作製することができる。また、特定の宿主細胞についてコドン使用を最適化することも当技術分野で公知である。ホスホリパーゼをコードする核酸をベクターに組み込むことができる。以下に開示するような公知の形質転換技術を用いて、ベクターを宿主細胞に移入することができる。
ベクターは、宿主細胞に形質転換し、そこで複製することができるいずれのベクターでもあり得る。例えば、ホスホリパーゼをコードする核酸を含むベクターは、ベクターを増殖及び増幅する手段として、細菌宿主細胞に形質転換させ、そこで複製させることができる。また、ベクターを発現宿主に形質転換して、コード化核酸を機能性ホスホリパーゼとして発現させることもできる。発現宿主として役立つ宿主細胞は、例えば、糸状菌を含み得る。真菌遺伝子学ストックセンター(Fungal Genetics Stock Center)(FGSC)菌株カタログは、真菌宿主細胞での発現に好適なベクターの一覧を掲載している。FGSC,Catalogue of Strains,University of Missouri,www.fgsc.net(最終更新日2007年1月17日)を参照されたい。代表的なベクターは、pJG153であり、これは、細菌宿主において複製することができる、プロモータのないCre発現ベクターである。Harrison et al.(June 2011)Applied Environ.Microbiol.77:3196−22を参照されたい。ホスホリパーゼをコードする核酸を含み、且つそれを発現するようにpJG153を常用の技術で修飾することができる。
ホスホリパーゼをコードする核酸を好適なプロモータに作動可能に連結することができ、これは、宿主細胞での転写を可能にする。プロモータは、選択した宿主細胞において転写活性を示すいずれのDNA配列であり得るか、又は宿主細胞と相同性若しくは異種いずれかのタンパク質をコードする遺伝子由来であり得る。特に細菌宿主において、ホスホリパーゼをコードするDNA配列の転写を指令するための例示的なプロモータは、大腸菌(E.coli)のlacオペロンのプロモータ、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子dagA又はcelAプロモータ、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)のプロモータ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモータ、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)α−アミラーゼ(amyQ)のプロモータ、枯草菌(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子のプロモータなどである。真菌宿主細胞での転写の場合、有用なプロモータの例は、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ、A.ニガー(A.niger)酸安定性α−アミラーゼ、A.ニガー(A.niger)グルコアミラーゼ、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、A.オリゼー(A.oryzae)アルカリプロテアーゼ、A.オリゼー(A.oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ又はA.ニデュランス(A.nidulans)アセトアミダーゼをコードする遺伝子に由来するものである。ホスホリパーゼをコードする遺伝子を大腸菌(E.coli)などの細菌種に発現させる場合、好適なプロモータを、例えばT7プロモータ及びファージλプロモータをはじめとするバクテリオファージプロモータから選択することができる。酵母での発現に好適なプロモータの例として、限定されないが、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のGal 1及びGal 10プロモータ並びにピキア・パストリス(Pichia pastoris)AOX1又はAOX2プロモータが挙げられる。cbh1は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来の内在性、誘導性プロモータである。Liu et al.(2008)“Improved heterologous gene expression in Trichoderma reesei by cellobiohydrolase I gene(cbh1)promoter optimization,”Acta Biochim.Biophys.Sin(Shanghai)40(2):158−65を参照されたい。
コード配列をシグナル配列に作動可能に連結することができる。シグナル配列をコードするDNAは、発現させようとするホスホリパーゼ遺伝子と天然に結合されたDNA配列又は異なる属若しくは種由来のDNA配列であり得る。シグナル配列と、DNA構築物又はベクターを含むプロモータ配列とは、真菌宿主細胞に導入することができ、また同じ供給源から得ることもできる。例えば、シグナル配列は、cbh1プロモータに作動可能に連結したcbh1シグナル配列である。
発現ベクターは、好適な転写ターミネータを含み得、真核生物の場合、変異体ホスホリパーゼをコードするDNA配列に作動可能に連結したポリアデニル化配列を含み得る。終結及びポリアデニル化配列は、好適には、プロモータと同じ供給源に由来するものであり得る。
ベクターは、ベクターを宿主細胞で複製させることができるDNA配列をさらに含み得る。こうした配列の例は、プラスミド:pUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1及びpIJ702の複製起点である。
また、ベクターは、選択可能なマーカ、例えばその産物が、単離された宿主細胞の欠損を補足する遺伝子、例えば枯草菌(B.subtilis)若しくはB.リケニフォルミス(B.licheniformis)由来のdal遺伝子又は抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール若しくはテトラサイクリン耐性を付与する遺伝子を含み得る。さらに、ベクターは、アスペルギルス属(Aspergillus)選択マーカ、例えばamdS、argB、niaD及びxxsC、ヒグロマイシン耐性をもたらすマーカみ得るか、又は当技術分野で周知のような共形質転換により選択を達成することもできる。例えば、国際公開第91/17243号パンフレットを参照されたい。
例えば、特定の細菌又は真菌を宿主細胞として使用して、大量のホスホリパーゼを産生させた後、濃縮又は精製に付す場合、いくつかの点で細胞内発現が有利となり得る。また、培地中へのホスホリパーゼの細胞外分泌を用いて、単離ポリペプチドを含む培養細胞材料を作製することもできる。
発現ベクターは、典型的に、クローニングベクターの構成要素、例えば選択された宿主生物でのベクターの自律的複製を可能にするエレメント並びに選択目的のための1つ又は複数の表現型として検出可能なマーカを含む。発現ベクターは、通常、プロモータ、オペレータ、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル並びに任意選択で抑制遺伝子又は1つ若しくは複数の活性化遺伝子などの対照ヌクレオチド配列を含む。加えて、発現ベクターは、ペルオキシソームなどの宿主細胞オルガネラ又は特定の宿主細胞コンパートメントに対してホスホリパーゼをターゲティングすることができるアミノ酸配列をコードする配列を含み得る。こうしたターゲティング配列として、限定されないが、配列、SKLが挙げられる。制御配列の指令下での発現の場合、ホスホリパーゼの核酸配列を、発現に関して適切な様式で制御配列と作動可能に連結させる。
ホスホリパーゼをコードするDNA構築物、プロモータ、ターミネータ及び他のエレメントをそれぞれ連結し、複製に必要な情報を含む好適なベクターにそれらを挿入するために用いられる手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,2nd ed.,Cold Spring Harbor,1989及び3rd ed.,2001を参照)。
宿主細胞の形質転換及び培養
DNA構築物又は発現ベクターのいずれかを含む単離細胞をホスホリパーゼの組換え産生における宿主細胞として使用するのが有利である。細胞は、好都合には、宿主染色体にDNA構築物を(1つ又は複数のコピーで)組み込むことにより、酵素をコードするDNA構築物で形質転換し得る。この組込みは、DNA配列が細胞内に安定に維持される傾向が高いことから、概して有利であると考えられる。宿主染色体へのDNA構築物の組込みは、従来の方法、例えば相同又は異種組換えに従って実施し得る。代わりに、様々なタイプの宿主細胞に関して上に説明したように、細胞を発現ベクターで形質転換し得る。
好適な細菌宿主生物の例は、グラム陽性菌種、例えば枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、ゲオバチルス(以前にはバチルス(Bacillus))・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ロータス(Bacillus lautus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)及びバチルス・チューリンジェンシス(Bacillus thuringiensis)を含むバチルス科(Bacillaceae);ストレプトマイセス・ミュリナス(Streptomyces murinus)などのストレプトマイセス属(Streptomyces)種;ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)などのラクトコッカス属(Lactococcus)種をはじめとする乳酸菌種;ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)をはじめとするラクトバチルス属(Lactobacillus)種;リューコノストック属(Leuconostoc)種;ペディオコッカス属(Pediococcus)種;並びにストレプトコッカス属(Streptococcus)種である。代わりに、大腸菌(E.coli)をはじめとする腸内細菌科(Enterobacteriaceae)又はシュードモナス科(Pseudomonadaceae)に属するグラム陰性菌種の株を宿主生物として選択することもできる。
好適な酵母宿主生物は、生物工学的に適切な酵母種、例えば、限定されないが、ピキア属(Pichia)種、ハンゼヌラ属(Hansenula)種若しくはクルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)種、又はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)をはじめとするサッカロマイセス属(Saccharomyces)の種、又は例えばS.ポンベ(S.pombe)種などのシゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)に属する種から選択することができる。メチロトローフ酵母、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の株を宿主生物として使用することができる。代わりに、宿主生物は、ハンゼヌラ属(Hansenula)種であり得る。糸状菌の中で好適な宿主生物として、アスペルギルス属(Aspergillus)の種、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)又はアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)が挙げられる。代わりに、フザリウム属(Fusarium)種、例えばフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)の株又はリゾムコール属(Rhizomucor)種、例えばリゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)の株を宿主生物として使用することもできる。他の好適な株として、サーモマイセス属(Thermomyces)種及びムコール属(Mucor)種が挙げられる。加えて、トリコデルマ属(Trichoderma)種を宿主として使用することもできる。アスペルギルス属(Aspergillus)宿主宿主の形質転換のための好適な手順は、例えば、欧州特許第238023号明細書に記載されているものを含む。真菌宿主細胞により発現されるホスホリパーゼは、グリコシル化することができ、換言すれば、グリコシル部分を含むことになる。グリコシル化パターンは、野生型ホスホリパーゼに存在するものと同じであるか又は異なり得る。グリコシル化のタイプ及び/又は程度は、酵素及び/又は生化学的特性に変化をもたらし得る。
発現宿主から遺伝子を欠失させるのが有利となる場合もあり、その場合、遺伝子欠損は、形質転換した発現ベクターにより解消することができる。既知の方法を用いて、1つ又は複数の不活性化遺伝子を有する真菌宿主細胞を取得することができる。遺伝子不活性化は、その遺伝子による機能性タンパク質の発現が妨げられるような、完全若しくは部分的欠失により、不活性化の挿入により、又は意図される目的のために遺伝子を非機能性にするいずれか他の手段により達成され得る。クローン化されたトリコデルマ属(Trichoderma)種又は他の糸状菌宿主由来の任意の遺伝子、例えばcbh1、cbh2、egl1及びegl2遺伝子を欠失させることができる。遺伝子欠失は、不活性化させようとする所望の遺伝子の形態を当技術分野で公知の方法によりプラスミドに挿入することによって達成され得る。
宿主細胞へのDNA構築物又はベクターの導入は、形質転換;エレクトロポレーション;核マイクロインジェクション;形質導入;トランスフェクション、例えば、リポフェクション媒介及びDEAE−デキストリン媒介トランスフェクション;リン酸カルシウムDNA沈殿物とのインキュベーション;DNAコートマイクロプロジェクタイルによる高速衝撃;並びにプロトプラスト融合などの技術を含む。一般的な形質転換技術は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrook et al.(2001)(前掲)を参照されたい。トリコデルマ属(Trichoderma)における異種タンパク質の発現は、例えば、米国特許第6,022,725号明細書に記載されている。アスペルギルス属(Aspergillus)株の形質転換については、Cao et al.(2000)Science 9:991−1001も参照されたい。ベクター系を用いて、遺伝的安定形質転換体を構築することができ、これにより、ホスホリパーゼをコードする核酸を宿主細胞染色体に安定に組み込む。次に、公知の方法により、形質転換体を選択し、精製する。
例えば、トリコデルマ属(Trichoderma)種の調製は、真菌の菌糸体からのプロトプラストの調製を含み得る。Campbell et al.(1989)Curr.Genet.16:53−56を参照されたい。菌糸体は、発芽した栄養胞子から得ることができる。細胞壁を消化する酵素で菌糸体を処理することにより、プロトプラストが得られる。プロトプラストは、懸濁培地中の浸透圧安定剤の存在により保護される。これらの安定剤として、ソルビトール、マンニトール、塩化カリウム、硫化マグネシウムなどが挙げられる。通常、これらの安定剤の濃度は、0.8M〜1.2Mの範囲で変動し、例えばソルビトールの1.2M溶液を懸濁培地に使用することができる。
トリコデルマ属(Trichoderma)種株へのDNAの取込みは、カルシウムイオン濃度に左右される。一般に、約10〜50mMのCaCl2を取込み溶液中に使用する。別の好適な化合物としては、緩衝系、例えばTEバッファー(10mM Tris、pH7.4;1mM EDTA)又は10mM MOPS、pH6.0及びポリエチレングリコールなどが挙げられる。ポリエチレングリコールは、細胞膜に融合すると考えられ、従って培地の内容物をトリコデルマ属(Trichoderma)種株の細胞質中に送達することを可能にする。この融合は、多くの場合、プラスミドDNAの複数のコピーを宿主染色体中に組み込んだままにする。
通常、トリコデルマ属(Trichoderma)種の形質転換では、典型的に105〜107/mL、特に2×107/mLの濃度において、透過性処理に付したプロトプラスト又は細胞を使用する。適切な溶液(例えば、1.2Mソルビトール及び50mM CaCl2)中100μLの容量の上記プロトプラスト又は細胞を所望のDNAと混合し得る。一般に、高濃度のPEGを取込み溶液に添加する。0.1〜1容量の25%PEG4000をプロトプラスト懸濁液に添加することができるが;約0.25容量をプロトプラスト懸濁液に添加するのが有用である。形質転換を促進するために、ジメチルスルホキシド、ヘパリン、スペルミジン、塩化カリウムなどの添加剤を取込み溶液に添加し得る。他の真菌宿主細胞についても同様の手順が利用可能である。例えば、米国特許第6,022,725号明細書を参照されたい。
発現
ホスホリパーゼを生成する方法は、酵素の生成を促進する条件下で前述のような宿主細胞を培養するステップと、細胞及び/又は培地から酵素を回収するステップとを含み得る。
細胞を培養するために使用する培地は、対象の宿主細胞の増殖及びホスホリパーゼの発現の達成に好適な任意の一般的培地であり得る。好適な培地及び培地要素は、供給業者から入手可能であるか、又は公開された調製法(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)のカタログに記載されているもの)に従って調製され得る。
宿主細胞から分泌される酵素を全ブロス調製に使用することができる。本発明の方法では、組換え微生物の馴化全発酵ブロスの調製は、ホスホリパーゼの発現をもたらす当技術分野で公知の任意の培養方法を用いて達成することができる。従って、発酵は、研究所又は工業用発酵装置内での振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、流加又は固形発酵など)を含むものとして理解され得、これは、好適な培地中且つホスホリパーゼの発現又は単離を可能にする条件下で実施される。「馴化全発酵ブロス」という用語は、本明細書において、培地、細胞外タンパク質(例えば、酵素)及び細胞バイオマスを含む発酵材料の未分画内容物として定義される。「馴化全発酵ブロス」という用語は、当技術分野で公知の方法を用いて溶解又は透過処理された細胞バイオマスも包含するが理解される。
宿主細胞から分泌される酵素は、公知の手順により培地から好都合に回収することができ、こうした手順は、遠心分離又は濾過により培地から細胞を分離するステップ、硫酸アンモニウムなどの塩を用いて、培地のタンパク質性成分を沈殿させた後、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法を使用するステップなどを含む。ベクター中のホスホリパーゼをコードするポリヌクレオチドを、宿主細胞によるコード配列の発現を賦与することができる制御配列に作動可能に連結することができ、換言すれば、ベクターは、発現ベクターである。例えば、制御配列に指令される転写のレベルを転写モジュレータに対してより応答性にするために、さらに別の転写調節エレメントの付加により、制御配列を修飾し得る。制御配列は、特にプロモータを含み得る。
ホスホリパーゼの発現を可能にする適切な条件下で宿主細胞を培養することができる。酵素の発現は、酵素が連続的に産生されるように構成的であるか又は誘導性であり得、その場合、発現を開始するのに刺激を必要とする。誘導性発現の場合、タンパク質の生成は、必要に応じて、例えば誘導物質、例えばデキサメタゾン又はIPTG又はソホロースを培地に添加することにより開始することができる。ポリペプチドは、インビトロ無細胞系、例えばTNT(商標)(Promega)ウサギ網状赤血球系で組換えにより生成することもできる。
発現宿主は、好気性条件下、宿主に適切な培地中で培養することもできる。宿主及び所望のホスホリパーゼの生産の必要に応じて、振盪又は攪拌と曝気との組合せを実施し得、生成は、宿主に適した温度、例えば約25℃〜約75℃(例えば、30℃〜45℃)で起こる。培養は、約12〜約100時間又はそれを超えて(並びにそれらの間の任意の値の時間、例えば24〜72時間)行うことができる。典型的に、培養ブロスは、やはりホスホリパーゼの生産に関する宿主に必要な培養条件に応じて約4.0〜約8.0のpHである。
ホスホリパーゼを濃縮又は精製する方法
発酵、分離及び濃縮技術は、当技術分野で周知であり、ホスホリパーゼポリペプチド含有溶液を調製するために従来の方法を用いることができる。
発酵後、発酵ブロスを取得し、残った未処理発酵材料を含め、微生物細胞及び様々な懸濁固形物を従来の分離方法により除去して、ホスホリパーゼ溶液を取得する。一般に、濾過、遠心分離、精密濾過、回転式真空ドラム濾過、限外濾過、遠心分離とそれに続く限外濾過、抽出又はクロマトグラフィーなどが使用される。
回収を最適化するために、ホスホリパーゼポリペプチド含有溶液を濃縮することが望ましい。濃縮していない溶液を使用する場合、濃縮又は精製酵素沈殿物を収集するためにより長いインキュベーション時間が必要になる。
所望の酵素レベルが得られるまで、従来の濃縮方法を用いて、酵素含有溶液を濃縮する。酵素含有溶液の濃縮は、本明細書で述べた技術のいずれによっても達成され得る。例示的な濃縮及び精製方法として、限定されないが、回転式真空濾過及び/又は限外濾過が挙げられる。
濃縮されたホスホリパーゼポリペプチド含有溶液の酵素活性が所望のレベルに達するまで、酵素溶液を濃縮酵素溶液に濃縮する。
濃縮は、例えば、金属ハロゲン化物沈殿剤などの沈殿剤を用いて実施され得る。金属ハロゲン化物沈殿剤として、限定されないが、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物及びこれらの金属ハロゲン化物の2種以上のブレンドが挙げられる。例示的な金属ハロゲン化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム及びこれらの金属ハロゲン化物の2種以上のブレンドが挙げられる。金属ハロゲン化物沈殿剤である塩化ナトリウムは、保存料としても使用することができる。
金属ハロゲン化物沈殿剤は、ホスホリパーゼを沈殿させるのに有効な量で使用する。酵素の沈殿を起こすのに有効な金属ハロゲン化物の少なくとも有効量及び最適量並びにインキュベーション時間、pH、温度及び酵素の濃度を含め、最大回収のための沈殿の条件の選択は、常用的試験後、当業者に容易に明らかであろう。
一般に、少なくとも約5%w/v(重量/体積)〜約25%w/vの金属ハロゲン化物を濃縮酵素溶液に添加するが、通常、少なくとも約8%w/vである。一般に、約25%w/v以下の金属ハロゲン化物を濃縮酵素溶液に添加するが、通常、約20%w/v以下である。金属ハロゲン化物沈殿剤の最適濃度は、中でも、具体的なホスホリパーゼポリペプチドの性質及び濃縮酵素溶液中のその濃度に応じて変動する。
酵素を沈殿させる別の方法は、有機化合物を使用するものである。例示的な有機化合物沈殿剤として、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩、4−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル及びこれら有機化合物の2種以上のブレンドが挙げられる。有機化合物沈殿剤の添加は、金属ハロゲン化物沈殿剤の添加前、それと同時又はその後に実施することができ、有機化合物及び金属ハロゲン化物の両沈殿剤の添加は、順次又は同時のいずれかで実施され得る。
一般に、有機沈殿剤は、ナトリウム又はカリウム塩などの4−ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖又は分岐アルキルエステル(アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含有する)及びこれらの有機化合物の2種以上のブレンドからなる群から選択される。有機化合物沈殿剤は、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖又は分岐アルキルエステル(アルキル基は、1〜10個の炭素原子を含有する)及びこれら有機化合物の2種以上のブレンドであり得る。例示的な有機化合物は、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖アルキルエステル(アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含有する)及びこれらの有機化合物の2種以上のブレンドである。4−ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のプロピルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のブチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のエチルエステル及びこれらの有機化合物の2種以上のブレンドも使用することができる。さらに別の有機化合物として、限定されないが、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(メチルPARABENと称する)、4−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル(プロピルPARABENと称する)も挙げられ、これらは、両方とも保存料でもある。さらに詳細な説明については、例えば、米国特許第5,281,526号明細書を参照されたい。
有機化合物沈殿剤の添加は、pH、温度、ホスホリパーゼ濃度、沈殿剤濃度及びインキュベーション時間に関して、沈殿条件の高い融通性という利点を提供する。
有機化合物沈殿剤は、金属ハロゲン化物沈殿剤による酵素の沈殿を改善するのに有効な量で使用する。有機化合物沈殿剤の少なくとも有効量及び最適量並びにインキュベーション時間、pH、温度及び酵素の濃度を含め、最大回収のための沈殿の条件の選択は、本開示を考慮し、常用的試験後、当業者に容易に明らかであろう。
一般に、少なくとも約0.01%w/vの有機化合物沈殿剤を濃縮酵素溶液に添加するが、通常、少なくとも約0.02%w/vである。一般に、約0.3%w/v以下の有機化合物沈殿剤を濃縮酵素溶液に添加するが、通常、約0.2%w/v以下である。
金属ハロゲン化物沈殿剤及び有機化合物沈殿剤を含有する濃縮ポリペプチド溶液は、あるpHに調節することができ、これは、必然的に濃縮又は精製しようとする酵素に応じて変動する。一般に、pHは、ホスホリパーゼの等電点付近のレベルで調節する。pHは、等電点(pI)より約2.5pH単位低い〜等電点(pI)より約2.5pH単位高い範囲のpHに調節することができる。
濃縮又は精製酵素沈殿物を取得するのに必要なインキュベーション時間は、具体的な酵素の性質、酵素の濃度並びに具体的な沈殿剤及びその(それらの)濃度に応じて変動する。一般に、酵素を沈殿させるのに有効な時間は、約1〜約30時間であり;通常、約25時間以下である。有機化合物沈殿剤の存在下では、インキュベーション時間を約10時間未満、ほとんどの場合に約6時間まで短縮することができる。
一般に、インキュベーション中の温度は、約4℃〜約50℃である。通常、本方法は、約10℃〜約45℃(例えば、約20℃〜約40℃)で実施する。沈殿を誘導するための最適温度は、使用する溶液条件及び酵素又は沈殿剤に応じて変動する。
濃縮又は精製酵素沈殿物の全体的回収及び工程を実施する効率は、酵素、添加した金属ハロゲン化物及び添加した有機化合物を含む溶液を攪拌することによって改善される。攪拌ステップは、金属ハロゲン化物及び有機化合物の添加の工程及びそれに続くインキュベーション時間中の両方で実施する。好適な攪拌方法としては、機械的攪拌若しくは振盪、激しい攪拌又は任意の類似技術が挙げられる。
インキュベーション時間後、濃縮又は精製酵素を、解離した色素及びその他の不純物から分離し、例えば濾過、遠心分離、精密濾過、回転式真空濾過、限外濾過、加圧濾過、交差メンブレン精密濾過、交差流メンブレン精密濾過などの従来の分離技術により収集する。酵素沈殿物のさらなる濃縮又は精製は、沈殿物を水で洗浄することによって達成することができる。例えば、濃縮又は精製酵素沈殿物を、金属ハロゲン化物沈殿剤を含有する水又は金属ハロゲン化物及び有機化合物沈殿剤を含有する水で洗浄する。
発酵中、ホスホリパーゼポリペプチドは、培養ブロス中に蓄積する。所望のホスホリパーゼの単離、濃縮又は精製のために、培養ブロスを遠心分離又は濾過することにより細胞を除去し、得られた無細胞液を酵素濃縮又は精製のために使用する。一実施形態では、無細胞ブロスを、約70%飽和の硫酸アンモニウムを用いた塩析に付し;次に、70%飽和−沈殿物画分をバッファーに溶解させてから、Sephadex G−100カラムなどのカラムに適用し、溶離して、酵素活性画分を回収する。さらなる濃縮又は精製のために、イオン交換クロマトグラフィーなどの従来の手順を使用し得る。濃縮又は精製酵素は、液体(溶液、スラリー)又は固体(顆粒、粉末)のいずれかである最終製品に製造することができる。
好ましい実施形態の説明
本発明の一態様によれば、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1を含む単離ポリペプチドが提供され、前記ホスホリパーゼA1は、0.02未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する。好ましくは、sn1/sn2特異度比は、65〜85/15〜35、好ましくは65〜80/20〜35、より好ましくは70〜85/15〜30、さらに好ましくは70〜80/20〜30;又は75〜95/5〜25、好ましくは80〜95/5〜20、より好ましくは85〜95/5〜15である。好ましくは、sn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。他の好ましい実施形態では、sn1/sn2特異度比は、約74/26又は89/11である。別の実施形態では、本発明の単離ポリペプチドは、本明細書に提供されるホスホリパーゼA1から構成されるか又は実質的に構成され得る。65〜85/15〜35、好ましくは65〜80/20〜35、より好ましくは70〜85/15〜30、さらに好ましくは70〜80/20〜30のsn1/sn2特異度比は、ホスファチジルコリン(PC)基質に対しであり;75〜95/5〜25、好ましくは80〜95/5〜20、より好ましくは85〜95/5〜15のsn1/sn2特異度比は、NAPE基質に対してである。74/26のsn1/sn2特異度比は、ホスファチジルコリン(PC)基質に対してであり;89/11のsn1/sn2特異度比は、NAPE基質に対してである。
好ましくは、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満である。別のより好ましい実施形態では、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、65〜85/15〜35、好ましくは65〜85/20〜35、より好ましくは70〜85/15〜30、さらに好ましくは70〜80/20〜30である。また別の好ましい実施形態では、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。さらに別の好ましい実施形態では、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約74/26である。
好ましくは、NALPE/NAPE活性比は、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満である。
好ましくは、NALPE/NAPE活性比は、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、75〜95/5〜25、好ましくは80〜95/5〜20、より好ましくは85〜95/5〜15である。
好ましくは、NALPE/NAPE活性比は、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約89/11である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
本発明の別の態様では、前述した単離ポリペプチドをコードする核酸配列を有する単離ポリヌクレオチドが提供される。また、単離ポリヌクレオチドを有する組換え発現ベクターも提供される。さらに、組換え発現ベクターを有する宿主細胞も提供される。
本発明の別の態様では、生地を製造する方法が提供され、この方法は、小麦粉、食塩、水、砂糖、脂肪、レシチン、油、乳化剤及び酵母からなる群から選択される生地成分を、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1を含む単離ポリペプチドと混合するステップを含み、ここで、前記ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する。好ましくは、sn1/sn2特異度比は、65〜85/15〜35、好ましくは65〜80/20〜35、より好ましくは70〜85/15〜30、さらに好ましくは70〜80/20〜30;又は75〜95/5〜25、好ましくは80〜95/5〜20、より好ましくは85〜95/5〜15である。好ましくは、sn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。他の好ましい実施形態では、sn1/sn2特異度比は、約74/26又は89/11である。任意選択で、乳化剤は、i)レシチン若しくはリゾ−レシチンなどのリン脂質乳化剤;又はii)DATEM、モノグリセリド若しくはジグリセリドなどの非リン脂質乳化剤からなる群から選択される。
好ましくは、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満である。より好ましい実施形態では、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、65〜85/15〜35、好ましくは65〜80/20〜35、より好ましくは70〜85/15〜30、さらに好ましくは70〜80/20〜30である。また別の好ましい実施形態では、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である。さらに別の好ましい実施形態では、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約74/26である。さらにまた別の好ましい実施形態では、NALPE/NAPE活性比は、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、75〜95/5〜25、好ましくは80〜95/5〜20、より好ましくは85〜95/5〜15である。さらに別の好ましい実施形態では、NALPE/NAPE活性比は、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満であり、且つsn1/sn2特異度比は、約89/11である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
他の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である。
本発明の別の態様では、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素を含む生地が提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有する。好ましくは、生地は、改善された伸展性及び/又は安定性を有する。本発明の別の態様では、生地は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の追加の酵素をさらに含む。好ましくは、アミラーゼは、エキソアミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである。より好ましくは、非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する。別の好ましい実施形態では、追加の酵素は、ホスホリパーゼである。より好ましくは、ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する。別の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18である。
本発明の別の態様では、焼成製品を調製する方法であって、前述した生地を焼成する方法が提供される。本発明の別の態様では、焼成製品が提供される。好ましくは、焼成製品は、改善されたクラム孔径、気泡の改善された均質性、クラストとクラムとの分離がないこと、増加した体積、増加したクラストのカリっとした食感及び改善されたオーブンスプリングからなる群から選択される、少なくとも1つの改善された特性を有する。より好ましくは、改善された特性は、増加したクラストのカリっとした食感である。
本発明の別の態様では、小麦粉と、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素とを含む焼成用プレミックスが提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有する。本発明の別の態様では、焼成用プレミックスは、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の追加の酵素を有する。好ましくは、アミラーゼは、エキソアミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである。より好ましくは、非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖状マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する。好ましくは、追加の酵素は、ホスホリパーゼである。より好ましくは、ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する。別の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18である。
本発明の別の態様では、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素を含む顆粒又は凝集粉を含む焼成改良剤が提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有する。本発明の別の態様では、焼成改良剤は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の追加の酵素を含む。好ましくは、アミラーゼは、エキソアミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである。より好ましくは、非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖状マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する。好ましくは、追加の酵素は、ホスホリパーゼである。より好ましくは、ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する。別の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18である。
本発明の別の態様では、前述した通り、生地及び/又はそれから製造される焼成製品を改善するのに有用な少なくとも1種の追加の酵素が含まれる生地を製造する方法が提供される。好ましくは、追加の酵素は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される。好ましくは、アミラーゼは、エキソアミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである。好ましくは、エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである。より好ましくは、非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖状マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する。好ましくは、追加の酵素は、ホスホリパーゼである。より好ましくは、ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する。別の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18である。
本発明の別の態様では、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素による乳化剤の処理を含む、リン脂質乳化剤の修飾の方法であり、ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有する。任意選択で、リン脂質乳化剤は、レシチン又はリゾレシチンである。任意選択で、リン脂質乳化剤は、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン又はホスファチジルセリンである。
本発明の別の態様では、脂質含有食品マトリックス中においてリゾリン脂質を生成する方法であって、約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1酵素を脂質含有食品マトリックスに添加するステップを含む方法が提供され、ここで、ホスホリパーゼA1は、0.01未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比を有する。好ましくは、脂質含有食品マトリックスは、卵及び卵含有食品、焼き菓子製品の生地、加工肉、牛乳を主成分とする製品、植物油並びにケーキ及びクッキーなどの焼き菓子製品からなる群から選択される。
別の好ましい実施形態では、リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.019、0.018、0.017、0.016、0.015、0.014、0.013、0.012、0.011又は0.010未満である。
また別の好ましい実施形態では、NALPE/NAPE活性比は、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002又は0.001未満である。
本発明の別の態様では、前述した通り、乳化剤を添加するステップをさらに含む、生地を製造する方法が提供される。好ましくは、乳化剤は、i)レシチン若しくはリゾ−レシチンなどのリン脂質乳化剤;又はii)DATEM、モノグリセリド若しくはジグリセリドなどの非リン脂質乳化剤からなる群から選択される。
本発明の別の態様では、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成されるホスホリパーゼA1酵素を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される単離ポリペプチドが提供される。好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される酵素である。
別の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される酵素である。
別の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される酵素である。
別の好ましい実施形態では、ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される酵素である。より好ましくは、ホスホリパーゼA1は、配列番号6と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される酵素である。
本発明の別の態様では、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16の活性断片を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成されるホスホリパーゼA1酵素を含むか、それから構成されるか又は実質的に構成される単離ポリペプチドが提供される。
一実施形態では、配列番号2の断片は、配列番号1のアミノ酸28〜149若しくは配列番号1のGln28〜Gly149又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号4の断片は、配列番号3のアミノ酸26〜149若しくは配列番号3のGln26〜Lys149又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号6の断片は、配列番号5のアミノ酸28〜146若しくは配列番号5のGln28〜Thr146又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号8の断片は、配列番号7のアミノ酸28〜146若しくは配列番号7のGln28〜Thr149又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号10の断片は、配列番号9のアミノ酸34〜157若しくは配列番号9のGln34〜Gly157又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号12の断片は、配列番号11のアミノ酸30〜146若しくは配列番号11のAla30〜Asp146又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号12の断片は、配列番号11のアミノ酸30〜151若しくは配列番号11のAla30〜Kys151又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号14の断片は、配列番号13のアミノ酸28〜124若しくは配列番号13のGln28〜Gly124又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号14の断片は、配列番号13のアミノ酸28〜141若しくは配列番号13のGln28〜Phe141又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号14の断片は、配列番号13のアミノ酸28〜145若しくは配列番号13のGln28〜Asp145又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号14の断片は、配列番号13のアミノ酸28〜149若しくは配列番号13のGln28〜Gly149又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
一実施形態では、配列番号16の断片は、配列番号15のアミノ酸29〜138、29〜139、29〜140、29〜141、29〜142、29〜143、29〜144、29〜145、29〜146、29〜147若しくは29〜148又はそれらと80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列である。
アッセイ及び方法
酵素特性決定アッセイ − 活性アッセイ及びホスホリパーゼ位置特異性の決定のためのアッセイ
PC−Pアッセイ:
ホスホリパーゼ活性(PC−U)は、以下のアッセイを用いて決定することができる:
基質:1.71%L−α−ホスファチジルコリンダイズ(95%)(Avanti 441601G、Avanti Polare Lipids,USA)、6.25%TRITON(商標)−X100(SigmaX−100)と、5mM CaCl2を0.05M HEPESバッファーpH7に溶解させた。
アッセイ手順:
試料、較正試料及び対照試料を0.1%TRITON(商標)X−100を含有する10mM HEPES pH7.0に溶解させた。96ウェルマイクロタイタープレート及びThermoMixer C(Eppendorf,Germany)を用いて分析を実施した。アッセイは、30℃で実施した。200μLの基質をサーモスタットで180秒間30℃に維持した後、50μLの酵素試料を添加した。酵素法を600秒継続した。酵素法の工程中に遊離された遊離脂肪酸の量を、WakoChemicals GmbH,Germany)から入手したNEFAキットを用いて測定した。
このアッセイキットは、次の2つの試薬から構成される。
NEFA−HR(1):
以下を含む50mMリン酸緩衝液pH7.0:
0.53U/mLのアシル−CoAシンターゼ(ACS)
0.31mM補酵素A(CoA)
4.3mMアデノシン5−三リン酸二ナトリウム塩(ATP)
1.5mM 4−アミノ−アンチピリン(4−AA)
2.6U/mLのアスコルビン酸オキシダーゼ(AOD)
0.062%アジ化ナトリウム
NEFA−HR(2):
2.4mM 3−メチル−N−エチル−N−(E−ヒドロキシエチル)−アニリン(MEHA)
12U/mLのアシル−CoAオキシダーゼ(ACOD)
14U/mLのペルオキシダーゼ(POD)
インキュベーション後、10μlの酵素法混合物を、150μLのNEFA−HR(1)を含有する新しいマイクロタイタープレートに移してから、30℃で240秒間インキュベートした。その後、75μLのNEFA−HR(2)を添加し、混合物を30℃で240秒間インキュベートした。次に、OD540nmを測定した。
オレイン酸から作成した検量線に基づいて酵素活性(μmol FFA/(min・mL))を計算した。酵素活性PC−Uは、アッセイ条件下において、毎分酵素試料体積ミリリットル当たり産生されるマイクロモルの脂肪酸として計算した。
Figure 2021508446
OD=抽出試料のOD暗試料のOD
250μl=基質及び酵素の総体積
50μl=酵素溶液の体積
D=試料の希釈度
S=検量線の傾き(OD(μmol/mL))
10=酵素法の反応時間(分(min))
LPC−Pアッセイ:
リゾ−ホスホリパーゼ活性(LPC−U)は、以下のアッセイを用いて決定することができる:
基質:1.18%の1−オレオイル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(Avanti845875P,Avanti Polar lipid,USA)、6.25%TRITON(商標)−X100(SigmaX−100)と、5mM CaCl2を0.05M HEPESバッファーpH7に溶解させた。
アッセイ手順:
試料、較正試料及び対照試料を、0.1%TRITON(商標)X−100を含有する10mM HEPES pH7.0に溶解させた。96ウェルマイクロタイタープレート及びThermoMixer C(Eppendorf,Germany)を用いて分析を実施した。アッセイは、30℃で実施した。200μLの基質をサーモスタットで180秒間30℃に維持した後、50μLの酵素試料を添加した。酵素法を600秒継続した。酵素法の工程中に遊離された遊離脂肪酸の量を、WakoChemicals GmbH,Germany)から入手したNEFAキットを用いて測定した。
このアッセイキットは、次の2つの試薬から構成される。
NEFA−HR(1):
以下を含む50mMリン酸緩衝液pH7.0:
0.53U/mLのアシル−CoAシンターゼ(ACS)
0.31mM補酵素A(CoA)
4.3mMアデノシン5−三リン酸二ナトリウム塩(ATP)
1.5mM 4−アミノ−アンチピリン(4−AA)
2.6U/mLのアスコルビン酸オキシダーゼ(AOD)
0.062%アジ化ナトリウム
NEFA−HR(2):
2.4mM 3−メチル−N−エチル−N−(E−ヒドロキシエチル)−アニリン(MEHA)
12U/mLのアシル−CoAオキシダーゼ(ACOD)
14U/mLのペルオキシダーゼ(POD)
インキュベーション後、10μlの酵素法混合物を、150μLのNEFA−HR(1)を含有する新しいマイクロタイタープレートに移してから、30℃で240秒間インキュベートした。その後、75μLのNEFA−HR(2)を添加し、混合物を30℃で240秒間インキュベートした。次に、OD540nmを測定した。
オレイン酸から作成した検量線に基づいて酵素活性(μmol FFA/(min・mL))を計算した。酵素活性LPC−Uは、アッセイ条件下において、毎分酵素試料の体積ミリリットル当たり産生されるマイクロモル脂肪酸として計算した。
Figure 2021508446
OD=抽出試料のOD暗試料のOD
250μl=基質及び酵素の総体積
50μl=酵素溶液の体積
D=試料の希釈度
S=検量線の傾き(OD(μmol/mL))
10=酵素法の反応時間(分(min))
NAPE−Pアッセイ:
NAPEホスホリパーゼ活性(NAPE−U)は、以下のアッセイを用いて決定することができる:
基質:2.25%のパルミトイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−リノレオイル(16:0〜18:2 PE−N18:2)(Avanti792003,Avanti Polar lipid,USA)、6.25%TRITON(商標)−X100(SigmaX−100)と、5mM CaCl2を0.05M HEPESバッファーpH7に溶解させた。
アッセイ手順:
試料、較正試料及び対照試料を、0.1%TRITON(商標)X−100を含有する10mM HEPES pH7.0に溶解させた。96ウェルマイクロタイタープレート及びThermoMixer C(Eppendorf,Germany)を用いて分析を実施した。アッセイは、30℃で実施した。200μLの基質をサーモスタットで180秒間30℃に維持した後、50μLの酵素試料を添加した。酵素法を600秒継続した。酵素法の工程中に遊離された遊離脂肪酸の量を、WakoChemicals GmbH,Germany)から入手したNEFAキットを用いて測定した。
このアッセイキットは、2つの試薬から構成される。
NEFA−HR(1):
以下を含む50mMリン酸緩衝液pH7.0:
0.53U/mLのアシル−CoAシンターゼ(ACS)
0.31mM補酵素A(CoA)
4.3mMアデノシン5−三リン酸二ナトリウム塩(ATP)
1.5mM 4−アミノ−アンチピリン(4−AA)
2.6U/mLのアスコルビン酸オキシダーゼ(AOD)
0.062%アジ化ナトリウム
NEFA−HR(2):
2.4mM 3−メチル−N−エチル−N−(E−ヒドロキシエチル)−アニリン(MEHA)
12U/mLのアシル−CoAオキシダーゼ(ACOD)
14U/mLのペルオキシダーゼ(POD)
インキュベーション後、10μlの酵素法混合物を、150μLのNEFA−HR(1)を含有する新しいマイクロタイタープレートに移してから、30℃で240秒間インキュベートした。その後、75μLのNEFA−HR(2)を添加し、混合物を30℃で240秒間インキュベートした。次に、OD540nmを測定した。
オレイン酸から作成した検量線に基づいて酵素活性(μmol FFA/(min・mL))を計算した。酵素活性NAPE−U pH7は、アッセイ条件下において、毎分産生されるマイクロモル脂肪酸として計算した。
オレイン酸から作成した検量線に基づいて酵素活性(μmol FFA/(min・mL))を計算した。酵素活性NAPE−Uは、アッセイ条件下において、毎分酵素試料のミリリットル体積当たり産生されるマイクロモル脂肪酸として計算した。
Figure 2021508446
OD=抽出試料のOD暗試料のOD
250μl=基質及び酵素の総体積
50μl=酵素溶液の体積
D=試料の希釈度
S=検量線の傾き(OD(μmol/mL))
10=酵素法の反応時間(分(min))
NALPE−Pアッセイ:
NALPEホスホリパーゼ活性(NALPE−U)は、以下のアッセイを用いて決定することができる:
基質:1.68%の1−パルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−リノレオイル(16:0−NALPE−N18:2)、(Avanti791759,Avanti Polar Lipids,USA)、6.25%TRITON(商標)−X100(SigmaX−100)と、5mM CaCl2を0.05M HEPESバッファーpH7に溶解させた。
アッセイ手順:
試料、較正試料及び対照試料を、0.1%TRITON(商標)X−100を含有する10mM HEPES pH7.0に溶解させた。96ウェルマイクロタイタープレート及びThermoMixer C(Eppendorf,Germany)を用いて分析を実施した。アッセイは、30℃で実施した。200μLの基質をサーモスタットで180秒間30℃に維持した後、50μLの酵素試料を添加した。酵素法を600秒継続した。酵素法の工程中に遊離された遊離脂肪酸の量を、WakoChemicals GmbH,Germany)から入手したNEFAキットを用いて測定した。
このアッセイキットは、次の2つの試薬から構成される。
NEFA−HR(1):
以下を含む50mMリン酸緩衝液pH7.0:
0.53U/mLのアシル−CoAシンターゼ(ACS)
0.31mM補酵素A(CoA)
4.3mMアデノシン5−三リン酸二ナトリウム塩(ATP)
1.5mM 4−アミノ−アンチピリン(4−AA)
2.6U/mLのアスコルビン酸オキシダーゼ(AOD)
0.062%アジ化ナトリウム
NEFA−HR(2):
2.4mM 3−メチル−N−エチル−N−(E−ヒドロキシエチル)−アニリン(MEHA)
12U/mLのアシル−CoAオキシダーゼ(ACOD)
14U/mLのペルオキシダーゼ(POD)
インキュベーション後、10μlの酵素法混合物を、150μLのNEFA−HR(1)を含有する新しいマイクロタイタープレートに移してから、30℃で240秒間インキュベートした。その後、75μLのNEFA−HR(2)を添加し、混合物を30℃で240秒間インキュベートした。次に、OD540nmを測定した。
オレイン酸から作成した検量線に基づいて酵素活性(μmol FFA/(min・mL))を計算した。酵素活性NALPE−Uは、アッセイ条件下において、毎分酵素試料の体積ミリリットル当たり産生されるマイクロモル脂肪酸として計算した。
Figure 2021508446
OD=抽出試料のOD暗試料のOD
250μl=基質及び酵素の総体積
50μl=酵素溶液の体積
D=試料の希釈度
S=検量線の傾き(OD(μmol/mL))
10=酵素法の反応時間(分(min))
PC(ホスホファチジルコリン)に対するホスホリパーゼ活性並びにsn1及びsn2位置特異性の決定のためのアッセイ
基質:0.6% 16:0〜18:1 PC、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(Avanti850457,Avanti Polar Lipids,USA)、0.4%TRITON(商標)−X100(Sigma,X−100)と、5mM CaCl2とを0.05M HEPESバッファーpH7に溶解させた。
アッセイ手順:
2mLの基質を30℃でインキュベートし、0.05M HEPESバッファー中で10分の反応(磁気攪拌)後に消費された2〜10%基質に相当する0.1mlの酵素希釈物を添加した。
反応を停止させて、遊離脂肪酸をプロトン化するために、40μLの4M HClを添加した。1mLの99%エタノールを添加し、Vortexミキサーで混合した。0.5mgのC17:0脂肪酸(マルガリン酸)を含有する5mLのMTBE(メチルtert−ブチルエーテル)を添加した。Vortexミキサーで5秒間試料を再度混合してから、25rpmのロータミキサー(Stuart Rotartor SB2)で30分間抽出した。試料を1520gで10分間遠心分離した。
1つの500mgアミン(NH2)−Bond Elut SPEカラム(Agilent)をBond Elut Vacuum Systemに配置した。カラムを8mLの石油−エーテルで調整した。抽出から得られたMTBE相をカラムに適用し、以下を用いて溶離した。
1.画分 8mLの溶媒A:MTBE:2−プロパノール(2:1)
2.画分 8mLの溶媒B:アセトン:ギ酸(100:2)
溶媒を約0.25mL/minで溶離した。
収集した脂肪酸画分(画分2)を乾燥まで蒸発させた後、脂肪酸をGLCにより分析した。内部標準脂肪酸C17:0に基づいて、C16:0及びC18:1脂肪酸の量を決定した。
酵素活性は、アッセイ条件下で毎分産生されるμmol脂肪酸として計算した。
Figure 2021508446
(式中、
A=%C16:0脂肪酸+%C18:1脂肪酸
2=mL基質
1000000=molのμmolへの変換
D=酵素希釈率
MW=産生されたC16:0脂肪酸及びC18:1脂肪酸の平均モル重量
10=反応時間(分)
0.1=アッセイに添加された酵素(mL))
相対PLA1酵素活性は、以下のように計算した。
Figure 2021508446
相対PLA2酵素活性は、以下のように計算した。
Figure 2021508446
sn1/sn2特異度比は、以下のように表す。
sn1/sn2特異度比=相対PLA1活性/相対PLA2活性
NAPE(N−アシルホスファチジルエタノールアミン)に対するホスホリパーゼ活性並びにsn1及びsn2位置特異性の決定のためのアッセイ
基質:0.79% 16:0〜18:2(PE−N18:2)NAPE、パルミトイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−リノレオイル(Avanti792003,Avanti Polar lipid,USA)、0.4%TRITON(商標)−X100(Sigma,X−100)と、5mM CaCl2とを0.05M HEPESバッファーpH7に溶解させた。
アッセイ手順:
2mLの基質を30℃でインキュベートし、0.05M HEPESバッファー中で10分の反応(磁気攪拌)後に消費された2〜10%基質に相当する0.1mlの酵素希釈物を添加した。
反応を停止させ、遊離脂肪酸をプロトン化するために、40μLの4M HClを添加した。1mLの99%エタノールを添加し、Vortexミキサーで混合した。0.5mgのC17:0脂肪酸(マルガリン酸)を含有する5mLのMTBE(メチルtert−ブチルエーテル)を添加した。Vortexミキサーで5秒試料を再度混合してから、25rpmのロータミキサー(Stuart Rotartor SB2)で30分間抽出した。試料を1520gで10分間遠心分離した。
1つの500mgアミン(NH2)−Bond Elut SPEカラム(Agilent)をBond Elut Vacuum Systemに配置した。カラムを8mLの石油−エーテルで調整した。抽出から得られたMTBE相をカラムに適用し、以下により溶離した。
1.画分 8mLの溶媒A:MTBE:2−プロパノール(2:1)
2.画分 8mLの溶媒B:アセトン:ギ酸(100:2)
溶媒を約0.25mL/minで溶離した。
収集した脂肪酸画分(画分2)を乾燥まで蒸発させた後、脂肪酸をGLCにより分析した。内部標準脂肪酸C17:0に基づいて、C16:0及びC18:2脂肪酸の量を決定した。
酵素活性は、アッセイ条件下で毎分産生されるμmol脂肪酸として計算した。
Figure 2021508446
(式中、
A=%C16:0脂肪酸+%C18:2脂肪酸
2=mL基質
1000000=molのμmolへの変換
D=酵素希釈率
MW=産生されたC16:0脂肪酸及びC18:1脂肪酸の平均モル重量
10=反応時間(分)
0.1=アッセイに添加された酵素(mL))
相対PLA1酵素活性は、以下のように計算した。
Figure 2021508446
相対PLA2酵素活性は、以下のように計算した。
Figure 2021508446
sn1/sn2特異度比は、以下のように表す。
sn1/sn2特異度比=相対PLA1活性/相対PLA2活性
ガスクロマトグラフィー(GLC):
遊離脂肪酸は、トリメチルシリル誘導体(TMS)としてGLCにより分析した。
装置
・WCOTフューズドシリカカラム12.5m×0.25mm ID×0.1μ膜厚の5%フェニル−メチル−シリコーン(Chrompack製のCP Sil 8 CB)を備えたPerkin Elmer Clarus 600毛管ガスクロマトグラフ
・キャリアガス:ヘリウム
・インジェクタ:PSSIコールドスプリット噴射(初期温度90℃、395℃まで加熱)、容積1.0μl
・検出器FID:395℃。
Figure 2021508446
試料調製:
蒸発させた試料を1.5mlのヘプタン:ピリジン、2:1に溶解させる。500μlの試料溶液をクリンプバイアルに移す。100μlのMSTFA(N−メチル−N−トリメチルシリル−トリフルオロアセトアミド)を添加し、60℃で15分間反応させる。
焼成適用
Figure 2021508446
Diosnaスパイラルミキサーで混錬する。分析による小麦粉の給水率:400BU−2%。
手順
ボウル内で全ての材料を低速で1分混合した後、水を添加して、低速で2分、次に高速で6.5分混錬する。生地の温度は、約26℃でなければならない。1350gの生地を計量して、手で丸く成型する。温蔵庫内で生地を30℃で10分寝かせる。
「GLIMIK(商標)ラウンダー」(設定は、装置にある表に従う)で生地を30個の球状生地に成型する。
生地を34℃、85%RHで45分間発酵させた後、200℃/21スチームで13分、さらにダンパーを開放して5分間焼成する(MIWEオーブンプログラム1)。焼成後、ロールを周囲温度で25分間冷却させた後、計量し、体積を測定する。
当業者が生地及びパンの特徴を評価する。
Figure 2021508446
Hobartミキサーによる混練。
手順
スポンジ:ボウル内で全ての材料を速度1で1分混合し、速度2で3分混合する。スポンジ温度は、約25.5℃でなければならない。蓋のないボウル内で、スポンジを30℃、85%RHで3時間発酵させる。
生地:スポンジと、食塩を除く全ての残りの材料とを低速で2分、次に中速で3分混合する(氷水を使用)。食塩を添加し、中速で3分混合する。450gの生地片を計量し、成型する(少なめに計量 − 標準計量では生地550g)。生地を周囲温度で10分寝かせる。以下の設定のBenier MS500で成型する:
実施 −16
ドラムプレス 3
プレッシャーボード前 4.0(衝撃の場合3.5)
プレッシャーボード後ろ 3.5(衝撃の場合3.1)
前方幅 330、後方幅 290。
油を塗った焼き型に生地を入れ、43℃、95%RHで70分(長めの発酵−標準発酵は60分)発酵させる。6.5cmの高さから、生地の入った焼き型をテーブルに2回落とすことにより、ローフの半分に衝撃を加える。200℃で26分焼成する(MIWEオーブンプログラム4)。焼き型からパンを取り出し、70分間冷却した後、計量し、体積を測定する。
当業者が生地及びパンの特徴を評価する。
Figure 2021508446
Figure 2021508446
生地脂質の抽出。
十分に発酵した生地の試料を冷凍し、凍結乾燥させた。乾燥生地を粉砕し、篩にかけた。粉砕し、篩い分けた試料1.5gを1.5gの担体(珪藻土、Thermo Scientific,P/N:60−033854)と混合し、ASE10ml試料管に移した。40℃でDionex ASE350(Thermo Scientific)を用い、溶媒としての水飽和ブタノール及び10分の静的ランタイムで、抽出を実施した。抽出後、60℃及び1000rpmのScan Speed 40(Scanvac,Labogene APS)を用いて、溶媒を蒸発させた。乾燥した脂質を3.75mlのヘプタン:イソプロパノール(3:2)に溶解させた。
生地から抽出したリン脂質のHPLC分析:
荷電化粒子検出器(Charged Aerosol Detector)を用いた液体クロマトグラフィーにより、生地脂質試料を分析した。カラムは、順相カラム(DIOL)であり、移動相は、1mMギ酸アンモニウムの添加を含むA:アセトン/メタノール 96/4及び1mMギ酸アンモニウムの添加を含むB:アセトン/メタノール/H2O 60/34/6の傾きであった。
NALPEを定量標準として使用した。
計器類:
Dionex Ultimate 3000 UHPLC,Thermo Scientific
VANQOISH Detector,Thermo Scientific
カラム:Fortis HILIC Diol,1.7μm、50×2.1mm。
Figure 2021508446
カラム温度は、30℃であり、注入量は、4μLであった。
試料調製:
注入される前、「生地脂質の抽出」に記載した通りに、生地から脂質を抽出し、0.45μMフィルターを通して濾過した。
計算:
Cromeleonソフトウェアを用いて、クロマトグラムを統合し、NALPE標準曲線に基づいてNAPE、NALPE及びNAGPEのモル濃度を計算した。
結果の表示:
初めに、全ての生地についての「平均総モル脂質(NAPE+NALPE+NAGPE)」に対して各成分それぞれのモルレベルを正規化することにより、NAPE、NALPE及びNAGPEそれぞれの脂質レベルを取得した。以下のそれぞれの脂質レベルは、陰性対照(酵素を添加していない)中のNAPEレベルに対して表示する。従って、NAPEは、1(陰性対照)で開始する。NALPE及びNAGPEは、NAPE開始レベルに対して得られるレベルとして表示する。
化学構造
以下の構造において、R1、R2及びR3は、C12〜C24炭化水素である。C12〜24炭化水素は、飽和又は不飽和のいずれかである。R1、R2及びR3は、同じ又は異なる炭化水素であり得る。
Figure 2021508446
Figure 2021508446
以下に記載する実施形態は、例として提供されるに過ぎず、本発明の概念をいずれか特定の酵素に限定するものとして解釈すべきではないことに留意すべきである。
実施例1 − CRC08310−ThaPla1
トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)ホスホリパーゼThaPla1(CRC08310)のクローニング
CRC08310と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:KKO98756.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08310のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号19に記載される。完全長CRC08310遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号1に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に16アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08310が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08310の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号2に記載される。
実施例2 − CRC08310の発現
完全長CRC08310タンパク質(配列番号19)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC08310を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08310は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。
次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08310プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
実施例3 − CRC08316−PfiPla1
ペスタロチオプシス・フィシ(Pestalotiopsis fici)W106−1ホスホリパーゼPfiPla1(CRC08316)のクローニング
CRC08316と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がペスタロチオプシス・フィシ(Pestalotiopsis fici)W106−1において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:ETS81250.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08316のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号20に記載される。完全長CRC08316遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号3に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に18アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08316が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08316の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号4に記載される。
実施例4 − CRC08316の発現
完全長CRC08316タンパク質(配列番号20)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC08316を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08316は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08316プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて、未処理のブロスを約80mLに濃縮した。次に、硫酸アンモニウムを最終濃度1Mまで濃縮溶液に添加した。濾過後、得られた可溶性画分を、20mM酢酸ナトリウム(pH5.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡した60mLフェニル−FFセファロースカラムに適用した。標的タンパク質を20mM酢酸ナトリウム(pH5.0)及び0.5〜0.3M硫酸アンモニウムの勾配を用いるカラムから溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mM Trisバッファー(pH8.0)で前均衡したHiLoad Q_HPセファロースカラムにロードした。20mM Trisバッファー(pH8.0)及び0〜0.4MのNaCl勾配を用いるカラムから標的タンパク質を溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、10K Amicon Ultra装置により濃縮した後、次の使用まで、20mM Trisバッファー(pH8.0)及び40%グリセロール中に−20℃で保存した。
実施例5 − CRC08319−MguPla1
メタリジウム・グイズホウエンス(Metarhizium guizhouense)ARSEF 977ホスホリパーゼMguPla1(CRC08319)のクローニング
CRC08319と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がメタリジウム・グイズホウエンス(Metarhizium guizhouense)ARSEF 977において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:KID92477.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08319のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号21に記載される。完全長CRC08319遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号5に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に16アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08319が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08319の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号6に記載される。
実施例6 − CRC08319の発現
完全長CRC08319タンパク質(配列番号21)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC08319を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08319は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。
次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08319プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて、未処理のブロスを約80mLに濃縮した。次に、硫酸アンモニウムを最終濃度1Mまで濃縮溶液に添加した。濾過後、得られた可溶性画分を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡した60mLフェニル−FFセファロースカラムに適用した。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)及び0.25M硫酸アンモニウムを用いるカラムから溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、0.15M NaCl及び10%グリセロールをさらに補充した20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で前均衡したSuperdex 75ゲル濾過カラムにロードした。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、10K Amicon Ultra装置により濃縮した後、次の使用まで、0.15M NaCl及び40%グリセロールを補充した20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)中に−20℃で保存した。
実施例7 − CRC08405−DamPla1
ディアポルテ・アンペリナ(Diaporthe ampelina)ホスホリパーゼDamPla1(CRC08405)のクローニング
CRC08405と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がディアポルテ・アンペリナ(Diaporthe ampelina)において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:KKY36548.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08405のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号22に記載される。完全長CRC08405遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号7に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に18アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08405が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08405の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号8に記載される。
実施例8 − CRC08405の発現
完全長CRC08405タンパク質(配列番号22)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC08405を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08405は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。
次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08405プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて、未処理のブロスを約80mLに濃縮した。次に、硫酸アンモニウムを最終濃度1Mまで濃縮溶液に添加した。濾過後、得られた可溶性画分を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡した60mLフェニル−FFセファロースカラムに適用した。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)を用いるカラムから溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mM Trisバッファー(pH8.0)で前均衡したHiPrep Q−XLセファロースカラムにロードした。標的タンパク質を、20mM Trisバッファー(pH8.0)及び0〜0.5MのNaCl勾配を用いて溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、10K Amicon Ultra装置により濃縮した後、次の使用まで、0.15M NaCl及び40%グリセロールを補充した20mM Trisバッファー(pH8.0)中に−20℃で保存した。
実施例9 − CRC08418−MorPla3
イネいもち病菌(Magnaporthe oryzae)Y34ホスホリパーゼMorPla3(CRC08418)のクローニング
CRC08418と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がイネいもち病菌(Magnaporthe oryzae)Y34において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:ELQ41978.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08418のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号23に記載される。完全長CRC08418遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号9に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に25アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08418が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08418の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号10に記載される。
実施例10 − CRC08418の発現
完全長CRC08418タンパク質(配列番号23)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC0418を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08418は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。
次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08418プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて、未処理のブロスを約80mLに濃縮した。次に、硫酸アンモニウムを最終濃度0.8Mまで濃縮溶液に添加した。濾過後、得られた可溶性画分を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡した60mLフェニル−FFセファロースカラムに適用した。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)を用いるカラムから溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、0.15M NaCl(pH7.0)を含有する20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で前均衡したSuperdex 75ゲル濾過カラムにロードした。次に、活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、10K Amicon Ultra装置により濃縮した後、次の使用まで、0.15M NaCl(pH7.0)及び40%グリセロールを有する20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)中に−20℃で保存した。
実施例11 − CRC08826−NdiPla1
ネオネクトリア・ジチシマ(Neonectria ditissima)ホスホリパーゼNdiPla1(CRC08826)のクローニング
CRC08826と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がネオネクトリア・ジチシマ(Neonectria ditissima)において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:KPM45012.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08826のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号24に記載される。完全長CRC08826遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号11に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に16アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08826が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08826の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号12に記載される。
実施例12 − CRC08826の発現
完全長CRC08826タンパク質(配列番号24)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC08826を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08826は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。
次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08826プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて、未処理のブロスを約80mLに濃縮した。次に、硫酸アンモニウムを最終濃度1Mまで濃縮溶液に添加した。濾過後、得られた可溶性画分を、20mMリン酸ナトリウム(pH5.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡したHiPrepフェニルFF 16/10カラムに適用した。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム(pH5.0)及び0.5〜0M硫酸アンモニウムの勾配を用いるカラムから溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で前均衡したHiPrep Q FF 16/10カラムにロードした。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)及び0〜0.5MのNaCl勾配を用いて溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mM酢酸ナトリウム(pH5.0)及び150mM NaClで前均衡したHiLoad 26/60 Superdex 75 Prepカラムにロードした。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mMリン酸ナトリウム(pH5.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡したHiPrepフェニルHP 16/10カラムにロードした。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム(pH5.0)及び0.75〜0M硫酸アンモニウムの勾配を用いて溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、10K Amicon Ultra装置により濃縮した後、次の使用まで、20mMリン酸ナトリウム(pH5.0)及び40%グリセロール中に−20℃で保存した。
実施例13 − CRC08833−TgaPla1
トリコデルマ・ガムシ(Trichoderma gamsii)ホスホリパーゼTgaPla1(CRC08833)のクローニング
CRC08833と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がトリコデルマ・ガムシ(Trichoderma gamsii)において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:KUF04745.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08833のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号25に記載される。完全長CRC08833遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号13に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に16アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08833が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08826の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号14に記載される。
実施例14 − CRC08833の発現
完全長CRC08833タンパク質(配列番号25)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC08833を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08833は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。
次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08833プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて、未処理のブロスを約80mLに濃縮した。次に、硫酸アンモニウムを最終濃度1Mまで濃縮溶液に添加した。濾過後、得られた可溶性画分を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡した60mLフェニル−FFセファロースカラムに適用した。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)及び0.5M硫酸アンモニウムを用いるカラムから溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mM Trisバッファー(pH8.0)で前均衡したHiLoad Q_XLセファロースカラムにロードした。標的タンパク質を、20mM Trisバッファー(pH8.0)及び0〜0.5MのNaCl勾配を用いて溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、10K Amicon Ultra装置により濃縮した後、次の使用まで、20mM Trisバッファー(pH8.0)及び40%グリセロール中に−20℃で保存した。
実施例15 − CRC08845−ManPla1
メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)BRIP 53293ホスホリパーゼManPla1(CRC08845)のクローニング
CRC08845と称する推定ホスホリパーゼ遺伝子がメタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)BRIP 53293において同定されたが、これは、BLAST検索(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403−410,1990)から決定される通り、NCBIデータベースから入手可能な配列(NCBIアクセッション番号:KJK84204.1)と100%の相同性を有するタンパク質をコードする。完全長CRC08845のコドン最適化合成核酸配列は、配列番号26に記載される。完全長CRC08845遺伝子によりコードされる対応するタンパク質を配列番号15に示す。SignalPバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods,8:785−786)により予測されるように、このタンパク質は、N末端に17アミノ酸長のシグナルペプチドを有する。シグナル配列の存在は、CRC08845が、分泌された酵素であることを示唆している。CRC08845の予測成熟型タンパク質配列は、配列番号16に記載される。
実施例16 − CRC08845の発現
完全長CRC08845タンパク質(配列番号26)をコードするコドン最適化合成DNA配列を合成し、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)発現ベクターpGXT(参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願国際公開第2015/017256号パンフレットに記載のpTTTpyr2ベクターと同じ)に挿入して、プラスミドpGXT−CRC08845を取得した。pGXTベクターでは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)pyrG遺伝子がトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)pyr2遺伝子で置換されている。アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS及びpyr2選択マーカは、唯一の窒素源としてのアセトアミド上で形質転換体の増殖をもたらし、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)テロメア領域は、真菌細胞における非染色体プラスミド維持を可能にする。pGXT−CRC08845は、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)cbhI由来のプロモータ(cbhI)及びcbhIターミネータ領域を含有しており、これらは、目的の遺伝子の強力な誘導性発現を可能にする。
次に、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.(2002)J.Microbiol.Methods 51:393−99)を用いて、pGXT−CRC08845プラスミドを好適なトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)株に形質転換した(公開PCT出願国際公開第05/001036号パンフレットに記載の方法)。唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する固形培地(アセトアミド0.6g/L;塩化セシウム1.68g/L;グルコース20g/L;リン酸二水素カリウム15g/L;硫酸マグネシウム七水和物0.6g/L;塩化カルシウム二水和物0.6g/L;硫酸鉄(II)5mg/L;硫酸亜鉛1.4mg/L;塩化コバルト(II)1mg/L;硫酸マンガン(II)1.6mg/L;寒天20g/L;pH4.25)上で形質転換体を選択した。形質転換コロニーは、約1週間で出現した。アセトアミドプレートでの増殖後、形質転換体を採取し、個別にアセトアミド寒天プレートに移した。アセトアミドプレートで5日の増殖後、安定な形質を呈示する形質転換体を96ウェルマイクロタイタープレート内の200μLグルコース/ソホロース合成培地に接種した。マイクロタイタープレートを28℃の酸素グロースチャンバー内で5日間インキュベートした。これらの培養物からの上清を用いて、SDS−PAGE分析によりタンパク質発現を確認した。最も高いタンパク質発現を有する安定な株を選択し、グルコース/ソホロース合成培地を含む250mL振盪フラスコ内での発酵に付した。
VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて、未処理のブロスを約80mLに濃縮した。次に、硫酸アンモニウムを最終濃度1Mまで濃縮溶液に添加した。濾過後、得られた可溶性画分を、20mM酢酸ナトリウム(pH5.0)及び1M硫酸アンモニウムを含有するローディングバッファーで前均衡したブチルFFカラムに適用した。標的タンパク質を、20mM酢酸ナトリウム(pH5.0)及び0.3〜0M硫酸アンモニウムの勾配を用いるカラムから溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で前均衡したQ HPカラムにロードした。標的タンパク質を、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)及び0〜0.5MのNaCl勾配を用いて溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮した後、20mM Trisバッファー(pH8.0)で前均衡したQ HPカラムにロードした。標的タンパク質を、20mM Trisバッファー(pH8.0)及び0〜0.5MのNaCl勾配を用いて溶出した。活性の標的タンパク質を含有する画分をプールし、10K Amicon Ultra装置により濃縮した後、次の使用まで、20mM Trisバッファー(pH8.0)、0.15M NaCl及び40%グリセロール中に−20℃で保存した。
実施例17.Powerbake 4080及びLipopan Fと比較した本発明のホスホリパーゼの特性決定
酵素特性決定は、「アッセイ及び方法」に記載した活性法に従い、様々な脂質基質を用いた比活性の決定により実施する。Powerbake 4080は、DuPontの商品である。Powerbake 4080は、sn1位置の極性脂質に作用する。Powerbake 4080の活性酵素成分は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,012,732号明細書に配列番号6として記載されている(本明細書では配列番号17としても記載される)。この酵素は、ガラクトリパーゼ及びホスホリパーゼ活性の両方を有することがわかっている。Lipopan Fは、Novozymesの商品である。Lipopan Fの活性酵素は、sn1位置の極性脂質に作用し、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第0869167B号明細書の配列番号2に記載されている(本明細書では配列番号18としても記載される)。この酵素は、ガラクトリパーゼ活性を有することもわかっている。
ホスファチジルコリン基質(PC−Pアッセイ)、リゾホスファチジルコリン基質(LPC−Pアッセイ)、N−アシルホスファチジルエタノールアミン基質(NAPE−Pアッセイ)及びリゾ−N−アシルホスファチジルエタノールコリン基質(NALPE−Pアッセイ)を用いて、比活性を決定する。活性は、タンパク質濃度に対して示され、異なる基質を用いた様々な酵素の比活性を表示する(表2を参照されたい)。
Figure 2021508446
表2からわかるように、全ての酵素(Powerbake 4080及びLipopan Fを除く)がLPC及びNALPE基質に対して非常に低い比活性を示す。LPC対PCの比並びにNALPE対NAPE活性の比を表3に示す。
Figure 2021508446
表3から、試験対象の候補は、Powerbake 4080及びLipopan Fなどの既存の市販酵素製品よりも、リン脂質基質に比べてリゾリン脂質基質に対して有意により低い活性を示すことが明らかである。
評価対象の候補は、驚くべきことに、リゾホスホリパーゼ活性が全くないか又は極めて低いことを特徴とする新しい群のホスホリパーゼ(「非リゾ−ホスホリパーゼ」)を提供する。
既存の市販製品は、それぞれ0.02及び0.13を超えるLPC−U/PC−U又はNALPE−U/NAPE−U比を示すが、これと対照的に、「非リゾ−ホスホリパーゼ」は、それぞれ0.002及び0.0016未満の比を示す。このように、「非リゾ−ホスホリパーゼ」の比は、既存の市販製品よりそれぞれ10及び80倍低い。
「非リゾ−ホスホリパーゼ」活性のこの特徴は、脂質を含有する食品マトリックス中に乳化成分を生成するより頑健なシステムの機会を提供する。「非リゾ−ホスホリパーゼ」は、既存の市販の酵素に見られる過剰用量のリスクを排除することにより、より頑健なシステムを提供する。「非リゾ−ホスホリパーゼ」は、生成される乳化成分(リゾ−リン脂質様、すなわちLPC又はNALPE)の分解というリスクを冒すことなく、乳化成分の生成を可能にする。従って、リゾ−リン脂質成分が生成されるだけでなく、さらに加水分解/分解されるという、市販の酵素に観察される「ロールオーバー効果」が排除され、全体的としてより高レベルの乳化成分の可能性をもたらす。
実施例18.ホスホリパーゼ位置特異性の特性決定。
特定設計のPC及びNAPE基質からの遊離脂肪酸(FFA)の遊離の測定により、酵素位置特異性について特性決定した。FFA測定は、「アッセイ及び方法」において、「ホスホリパーゼ活性並びにPC(ホスファチジルコリン)に対するsn1及びsn2位置特異性の決定のためのアッセイ」及び「ホスホリパーゼ活性並びにNAPE(N−アシルホスファチジルエタノールアミン)に対するsn1及びsn2位置特異性の決定のためのアッセイ」後の「ガスクロマトグラフィー(GLC)」に記載されている通り、GLC分析により実施した。
GLC分析により遊離脂肪酸(FFA)の遊離を検定することによって特異性を決定した。内部標準(脂肪酸C17:0)に基づいて、PCアッセイではC16:0及びC18:1脂肪酸の量を、NAPEアッセイではC16:0及びC18:2脂肪酸の量をそれぞれ測定した。位置特異性は、相対PLA1活性(%)及び相対PLA2活性(%)として表す。PC及びNAPE位置特異性アッセイをそれぞれ用いた様々な候補の特異性決定については、表4及び4aを参照されたい。
Figure 2021508446
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実施例19.市販のホスホリパーゼLipopan Fに対する「非リゾ−ホスホリパーゼ」の適用効果及び生地脂質プロファイリングを試験する焼成実験
この実験では、用量を増加することによる適用効果及び生地マトリックスの相関脂質プロファイリングを示すために、既存の市販ホスホリパーゼ製品Lipopan Fをクラスティロール(Crusty Roll)実験計画で試験した。さらに、「非リゾ−ホスホリパーゼ」CRC08319の適用効果及び生地脂質プロファイリングを比較試験した。
クラスティロール焼成は、上の「アッセイ及び方法」セクションに記載した「クラスティロール」の説明に従って実施した。
適用試験の実験計画及び焼成評価からの結果並びに生地脂質プロファイリングは、それぞれ表5(A及びB)、図1(A及びB)並びに図2に表示する(A及びB)。
表5A及びB.クラスティロール焼成における酵素用量応答試験の実験計画。
用量は、全てLipopan Fの最適用量に対する用量として(mgタンパク質/kg小麦粉の基準で比較して)表される。Lipopan Fの最適用量は、記載される焼成計画で最も高い比体積をもたらす用量として定義される。最適Lipopan F用量は、「1」として表される。負の対照は、「0」により表される。
例えば、Lipopan F用量応答試験2(表5A):0.10のLipopan F用量は、この試験でのLipopan F用量が「0.10×Lipopan Fの最適用量」であったこと、又は換言すれば、この試験でのLipopan F用量が、Lipopan Fの最適用量を示す試験で使用される用量の10%であったことを示している(試験は、最も高い比体積を示す(試験4))。
Figure 2021508446
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図1Aは、Lipopan Fの最適用量の関数として表されるクラスティロール比体積(ccm/g)を描く。
Lipopan Fの最適用量は、記載の焼成計画で最も高い比体積をもたらすLipopan F用量として定義され、最適Lipopan F用量は、「1」で表される。表示される他の全ての用量は、最適Lipopan用量(mgタンパク質/kg小麦粉の基準で)と比較したものである。0は、負の対照を表す。Lipopan Fの用量応答である。0は、負の対照(酵素添加なし)を示し、「1」は、最適Lipopan F用量(=最も高い比体積)を示す。
図1Bは、「CRC08319−非リゾ−ホスホリパーゼ」の用量応答を描く。0は、負の対照(酵素添加なし)を示し、CRC08319用量は、最適Lipopan F用量に対して(mgタンパク質/kg小麦粉を基準とする相対用量)表される。
Lipopan Fは、「1×最適用量」により表される最適用量を示す。Lipopan Fの用量が増加すると、比体積の減少により表される過剰用量を示す。対照的に、CRC08319の用量の増加は、比体積の連続的増加又は安定状態を示す。
完全に発酵させた生地を冷凍し、凍結乾燥させた後、乾燥生地中の脂質を水飽和ブタノールで抽出し、アッセイ及び方法に記載した手順に従ってHPLCにより分析した。結果を図2に示す。
比体積に対する適用効果は、脂質プロフィールにより支持される。既存の市販製品(Lipopan F)は、NAPEのNALPEへの加水分解を示し、用量が高くなると、NALPEからNAGPEへのさらなる加水分解を示し、これは、比体積の減少と連係している。
NAPEの80%加水分解(NAPEは、開始レベル(開始レベル=0×最適用量(負の対照))の20%まで減少)で、Lipopan Fは、約60%のNALPE生成を呈示する。このNAPEの80%加水分解及びNALPEの60%生成は、Lipopan Fの最適用量(最も高い比体積=1×最適用量)と相関する。Lipopan Fは、比体積と、NALPEレベルのピークとの間に連係を示す。Lipopan Fの場合、約60%でのNALPEレベルのピーク後、より高い試験用量(最適用量(1)を超える用量)でNALPEの減少が起こり、これは、NAGPEの形成と連係していることが明らかである。最も高い用量のLipopan Fで最も高いレベルのNAGPEが観測される。
対照的に、「非リゾ−ホスホリパーゼ」(CRC08319)は、NAPEからNALPEへの完全な転化を呈示する。NAPEの80%加水分解(NAPEは、開始レベルの20%まで減少)で、NALPEレベルは、80%である。NAPEがさらに加水分解すると、「非リゾ−ホスホリパーゼ」は、NALPEレベルの連続的増加又は安定状態を示し、これは、比体積とも連係している。
NAPEの十分な加水分解(>90〜95%の加水分解)で、NALPEレベルの連続的増加又は安定状態と共に反応均衡が現れ始める。
「非リゾ−ホスホリパーゼ」が、Lipopan Fの最適用量の20倍(完全なNAPE加水分解(約10%の残留NAPE)をもたらす「非リゾ−ホスホリパーゼ」の用量の4〜6倍に相当する)投与された場合でも、NAGPEレベルは、依然として5%に満たない。
実施例20.脂質含有食品マトリックスへの非リゾ−ホスホリパーゼの適用
非リゾ−ホスホリパーゼは、例えば、卵黄及び全卵、加工肉、植物油の精錬、チーズなどの乳製品、並びにパンなどの焼成製品、並びにケーキ及びクッキーをはじめとする焼き菓子製品などの焼成製品に使用することができる。
卵黄を含有する製品
卵黄は、その乳化特性のために食品産業での使用がよく知られている。卵黄中の脂質の約30%は、リン脂質であり、これが卵黄の乳化特性に寄与している。マヨネーズ、ソース、ドレッシング及びケーキを含む多くの商品において、卵黄の乳化特性が活用されている。しかし、一部の食品用途では、卵黄の乳化特性は、分離なしで均質な製品を取得するのに十分ではない。例えば、マヨネーズの場合、高温で製品を殺菌すると、製品の分離を引き起こす。卵黄(及び卵黄を含有する食品)中のリン脂質をリゾリン脂質に修飾するために、非リゾ−ホスホリパーゼを用いることができる。酵素修飾卵黄を用いて、高温殺菌での製品の分離を回避することができる。
加工肉製品
非リゾ−ホスホリパーゼを加工肉製品に使用することができる。非リゾ−ホスホリパーゼは、加工肉製品の乳化の改善に寄与すると共に、稠度の向上及び調理損失の低減に寄与する。加工肉に添加された非リゾ−ホスホリパーゼは、食肉のリン脂質をリゾリン脂質に転化する。リゾリン脂質の乳化特性のために、この成分は、食肉中の脂肪の乳化改善によって稠度の向上及び調理によって生じる損失の低減に寄与する。
植物油
ダイズ油などの未処理の植物油は、1〜2%のリン脂質を含有する。リン脂質は、油の品質を高めると共に、油中の沈殿を防止するために精製工程中に油から除去される。リン脂質の除去は、精油工程中のいわゆる精錬工程によって実施される。精錬は、化学又は酵素手段によって実施することができる。精錬工程では、「非リゾ−ホスホリパーゼ」を用いて、リン脂質をリゾリン脂質に転化することができ、これは、より水溶性であり、水での洗浄により油から除去することができる。リン脂質の酵素的加水分解は、過酷なアルカリ性又は酸性条件を必要とする化学的精錬と比較してより穏やかな工程である。非リゾホスホリパーゼを用いた精錬で生じる廃液は、より少量である。
乳製品
非リゾ−ホスホリパーゼを乳製品に用いることができる。非リゾ−ホスホリパーゼは、チーズ生産での生産量増加に寄与する。牛乳に添加された非リゾ−ホスホリパーゼは、乳リン脂質をリゾリン脂質に転化する。リゾリン脂質の乳化特性のために、これは、より多くの脂質をチーズカードに閉じ込めることによってチーズ生産量の増加に寄与することになる。
焼き菓子製品
卵は、ほとんどのケーキ製品の主要な部分である。非リゾ−ホスホリパーゼを用いて、リゾ−リン脂質の生成により卵のリン脂質を修飾することができ、これは、ケーキ混合工程中の乳化の改善に寄与して、より柔らかく、且つより柔軟なクラムを付与する。また、非リゾ−ホスホリパーゼをケーキ生地に直接使用して、小麦粉のリン脂質を修飾することもできる。
実施例21.追加基質−レシチン(SOLEC F)の存在下での「非リゾ−ホスホリパーゼ」の焼成効果
この実施例では、「非リゾ−ホスホリパーゼ」CRC08319とPowerbake 4080の組合せをSOLEC Fの形態の追加基質の存在下及び非存在下で試験した。SOLEC Fは、DuPontの商品である。SOLEC Fは、取り扱いが容易な脱油ダイズレシチンである。「非リゾ−ホスホリパーゼ」CRC08319とPowerbake 4080は、追加基質の存在下で衝撃及び非衝撃量の両方に著しい改善を示す。CRC08319及びPowerbake 4080の非存在下での追加基質の効果は非常に限定的であり、衝撃安定性に関して恐らくマイナスですらある。スポンジ及び生地焼成の流れは、上の「アッセイ及び方法」セクションに記載される「スポンジ及び生地」の説明に従って実施した。
適用試験の実験計画及び焼成評価からの結果をそれぞれ表6及び図3に表示する。
実施例19に示すように、CRC08319の用量は、Lipopan Fの最適用量に対する用量として(mgタンパク質/kg小麦粉の基準で比較して)表示される。Lipopan Fの最適用量は、実施例19に示すクラスティロール焼成計画で最も高い比体積を付与する用量として定義される。最適なLipopan F用量は、「1」で表し、負の対照は、「0」として示す。
例えば、この試験において5×のCRC08319用量は、実施例19のクラスティロール適用試験に示すように「5×Lipopan Fの最適用量」(mgタンパク質/kg小麦粉の基準で)であった。
Figure 2021508446
図3は、SOLEC Fの存在下及び非存在下の「CRC08319+Powerbake 4080」の効果としてのスポンジ及び生地の相対比体積を示す。
図3は、衝撃及び非衝撃ローフの相対比体積(負の非衝撃対照と比較して)を示す。スポンジ及び生地試験は、SOLEC Fの非存在下において、負の対照(Neg Ctrl)に対する「CRC08319+Powerbake 4080」の比体積の明らかな増加(非衝撃及び衝撃)を示す。SOLEC Fの存在下の「CRC08319+Powerbake 4080」の効果は、追加SOLEC Fの非存在下の「CRC08319+Powerbake 4080」に対して、比体積のさらなる増加をもたらす。
以上では、明快な理解のために、例示及び例としてある程度詳細に本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、特定の変更形態及び修正形態がなされ得る。さらに、本明細書に記載される各参照文献は、各参照文献が参照により個別に組み込まれているのと同じ程度に、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。ウェブサイト又はアクセッション番号を含め、全ての引用の内容は、時間と共に変化し得ることから、本出願の出願日の時点で有効なバージョンが意図される。文脈から明白である場合を除き、実施形態の任意のステップ、要素、態様、特徴をいずれか他のものと組み合わせて用いることができる。
配列表
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Claims (101)

  1. 約55/45以上のsn1/sn2特異度比を有することによって特徴付けられるホスホリパーゼA1を含む単離ポリペプチドであって、前記ホスホリパーゼA1は、0.02未満のリゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比及び/又は0.12未満のNALPE/NAPE活性比を有する、単離ポリペプチド。
  2. 前記sn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  3. 前記sn1/sn2特異度比は、約74/26又は89/11である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  4. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.009未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  5. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.008未満である、請求項4に記載の単離ポリペプチド。
  6. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.007未満である、請求項5に記載の単離ポリペプチド。
  7. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.006未満である、請求項6に記載の単離ポリペプチド。
  8. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.005未満である、請求項7に記載の単離ポリペプチド。
  9. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.004未満である、請求項8に記載の単離ポリペプチド。
  10. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.003未満である、請求項9に記載の単離ポリペプチド。
  11. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.002未満である、請求項10に記載の単離ポリペプチド。
  12. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.001未満である、請求項11に記載の単離ポリペプチド。
  13. 前記sn1/sn2特異度比は、約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5又は99/1である、請求項12に記載の単離ポリペプチド。
  14. 前記sn1/sn2特異度比は、約74/26又は89/11である、請求項12に記載の単離ポリペプチド。
  15. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  16. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項15に記載の単離ポリペプチド。
  17. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項15に記載の単離ポリペプチド。
  18. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項17に記載の単離ポリペプチド。
  19. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項15に記載の単離ポリペプチド。
  20. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項19に記載の単離ポリペプチド。
  21. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項15に記載の単離ポリペプチド。
  22. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号6と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項21に記載の単離ポリペプチド。
  23. 生地を製造する方法であって、小麦粉、食塩、水、砂糖、脂肪、レシチン、油、乳化剤及び酵母からなる群から選択される生地成分を、請求項1〜22、75〜92又は95〜101のいずれか一項に記載のホスホリパーゼA1を含む単離ポリペプチドと混合するステップを含む方法。
  24. 請求項1〜22、75〜92又は95〜101のいずれか一項に記載の単離ポリペプチドを含む生地。
  25. 改善された生地伸展性及び/又は安定性を有する、請求項24に記載の生地。
  26. 生地及び/又はそれから製造される焼成製品を改善するために有用な少なくとも1種の追加の酵素をさらに含む、請求項24に記載の生地。
  27. 前記追加の酵素は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、前記ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される、請求項26に記載の生地。
  28. 前記アミラーゼは、エキソアミラーゼである、請求項27に記載の生地。
  29. 前記エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである、請求項28に記載の生地。
  30. 前記エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである、請求項28に記載の生地。
  31. 前記非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する、請求項30に記載の生地。
  32. 前記追加の酵素は、ホスホリパーゼである、請求項27に記載の生地。
  33. 前記ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する、請求項32に記載の生地。
  34. 前記ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18を含む、請求項33に記載の生地。
  35. 請求項24〜34のいずれか一項に記載の生地を焼成するステップを含む、焼成製品を調製する方法。
  36. 請求項35に記載の方法によって得ることができる焼成製品。
  37. 改善されたクラム孔径、気泡の改善された均質性、クラストとクラムとが分離していないこと、増加した体積、増加したクラストのカリっとした食感及び改善されたオーブンスプリングからなる群から選択される少なくとも1つの改善された特性を有する、請求項36に記載の焼成製品。
  38. 前記改善された特性は、クラストのカリっとした食感である、請求項37に記載の焼成製品。
  39. 小麦粉と、請求項1〜22、75〜92又は95〜101のいずれか一項に記載の単離ポリペプチドとを含む焼成用プレミックス。
  40. 生地及び/又はそれから製造される焼成製品を改善するために有用な少なくとも1種の追加の酵素をさらに含む、請求項39に記載のプレミックス。
  41. 前記追加の酵素は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、前記ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される、請求項40に記載のプレミックス。
  42. 前記アミラーゼは、エキソアミラーゼである、請求項41に記載のプレミックス。
  43. 前記エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである、請求項42に記載のプレミックス。
  44. 前記エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである、請求項42に記載のプレミックス。
  45. 前記非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する、請求項44に記載のプレミックス。
  46. 前記追加の酵素は、ホスホリパーゼである、請求項41に記載のプレミックス。
  47. 前記ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する、請求項46に記載のプレミックス。
  48. 前記ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18を含む、請求項47に記載のプレミックス。
  49. 請求項1〜22、75〜92又は95〜101のいずれか一項に記載の単離ポリペプチドを含む顆粒又は凝集粉を含有する焼成改良剤。
  50. 生地及び/又はそれから製造される焼成製品を改善するために有用な少なくとも1種の追加の酵素をさらに含む、請求項49に記載の焼成改良剤。
  51. 前記追加の酵素は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、前記ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される、請求項50に記載の焼成改良剤。
  52. 前記アミラーゼは、エキソアミラーゼである、請求項51に記載の焼成改良剤。
  53. 前記エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである、請求項52に記載の焼成改良剤。
  54. 前記エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである、請求項52に記載の焼成改良剤。
  55. 前記非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する、請求項54に記載の焼成改良剤。
  56. 前記追加の酵素は、ホスホリパーゼである、請求項51に記載の焼成改良剤。
  57. 前記ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する、請求項56に記載の焼成改良剤。
  58. 前記ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18を含む、請求項57に記載の焼成改良剤。
  59. 生地及び/又はそれから製造される焼成製品を改善するために有用な少なくとも1種の追加の酵素を添加するステップをさらに含む、請求項23に記載の生地を製造する方法。
  60. 前記追加の酵素は、アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ガラクトリパーゼ、前記ホスホリパーゼA1と異なるホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
  61. 前記アミラーゼは、エキソアミラーゼである、請求項60に記載の方法。
  62. 前記エキソアミラーゼは、マルトース生成アミラーゼである、請求項61に記載の方法。
  63. 前記エキソアミラーゼは、非マルトース生成アミラーゼである、請求項61に記載の方法。
  64. 前記非マルトース生成アミラーゼは、主に4〜8つのD−グルコピラノシル単位を含む1つ又は複数の直鎖マルトオリゴ糖をアミロペクチンの側鎖の非還元末端から切断することにより、デンプンを加水分解する、請求項63に記載の方法。
  65. 前記追加の酵素は、ホスホリパーゼである、請求項60に記載の方法。
  66. 前記ホスホリパーゼは、ガラクトリパーゼ活性を有する、請求項65に記載の方法。
  67. 前記ホスホリパーゼは、配列番号17及び/又は配列番号18を含む、請求項66に記載の方法。
  68. 請求項1〜22、75〜92又は95〜101のいずれか一項に記載の単離ポリペプチドを含む酵素による乳化剤の処理を含む、リン脂質乳化剤の修飾の方法。
  69. リン脂質は、レシチン又はリゾ−レシチンである、請求項68に記載の方法。
  70. 脂質含有食品マトリックス中においてリゾリン脂質を生成する方法であって、前記脂質含有食品マトリックスに、請求項1〜22、75〜92又は95〜101のいずれか一項に記載の単離ポリペプチドを添加するステップを含む方法。
  71. 前記脂質含有食品マトリックスは、卵及び卵含有食品、焼き菓子製品の生地、加工肉、牛乳を主成分とする製品及び植物油からなる群から選択される、請求項70に記載の脂質含有食品マトリックス中においてリゾリン脂質を生成する方法。
  72. 請求項1〜22、75〜92又は95〜101のいずれか一項に記載の単離ポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離ポリヌクレオチド。
  73. 請求項72に記載のポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター。
  74. 請求項73に記載の組換え発現ベクターを含む宿主細胞。
  75. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.019未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  76. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.018未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  77. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.017未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  78. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.016未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  79. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.015未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  80. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.014未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  81. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.013未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  82. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.012未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  83. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.011未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  84. 前記リゾホスホリパーゼ/ホスホリパーゼ活性比は、0.01未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  85. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.11未満である、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  86. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.10未満である、請求項85に記載の単離ポリペプチド。
  87. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.09未満である、請求項86に記載の単離ポリペプチド。
  88. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.08未満、好ましは0.07未満である、請求項87に記載の単離ポリペプチド。
  89. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.06未満である、請求項88に記載の単離ポリペプチド。
  90. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.05未満である、請求項89に記載の単離ポリペプチド。
  91. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.04未満である、請求項90に記載の単離ポリペプチド。
  92. 前記NALPE/NAPE活性比は、0.03未満である、請求項91に記載の単離ポリペプチド。
  93. 乳化剤を添加するステップをさらに含む、請求項23に記載の生地を製造する方法。
  94. 前記乳化剤は、i)レシチン若しくはリゾ−レシチンなどのリン脂質乳化剤;又はii)DATEM、モノグリセリド若しくはジグリセリドなどの非リン脂質乳化剤からなる群から選択される、請求項93に記載の生地を製造する方法。
  95. 配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含むホスホリパーゼA1酵素を含む単離ポリペプチド。
  96. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項95に記載の単離ポリペプチド。
  97. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項95に記載の単離ポリペプチド。
  98. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項97に記載の単離ポリペプチド。
  99. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項95に記載の単離ポリペプチド。
  100. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項99に記載の単離ポリペプチド。
  101. 前記ホスホリパーゼA1は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14又は配列番号16と100%の配列同一性を有するタンパク質配列を含む酵素である、請求項95に記載の単離ポリペプチド。
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