JP3824174B2 - ホスホリパーゼの使用による高い量の非水和性リンを含む食用油中のリン含有成分の減少、ホスホリパーゼaおよび/またはb活性を有する糸状菌からのホスホリパーゼ - Google Patents

ホスホリパーゼの使用による高い量の非水和性リンを含む食用油中のリン含有成分の減少、ホスホリパーゼaおよび/またはb活性を有する糸状菌からのホスホリパーゼ Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、ホスホリパーゼを使用して、高い量の非水和性リンを含む食用油中のリン含有成分の含量を減少する方法に関する。
さらに、本発明は、ホスホリパーゼ活性を有する酵素、ホスホリパーゼ活性を有する酵素をコードするクローン化DNA配列、前記酵素を製造する方法、および多数の工業的用途のための前記酵素の使用に関する。
発明の背景
比較的高い量の非水和性リン含量を含む食用油の酵素的脱ガム化(degumming)
水−脱ガム化された食用油
Figure 0003824174
を酵素的に脱ガム化して、前記水−脱ガム化された食用油のリン含量を減少するためにホスホリパーゼを用いることは知られている。
しかしながら、この方法は、特に高い量の非水和性リン(NHP)および/または比較的高い量の粘質物を含む食用油の酵素的脱ガム化を実施するために、なお改良することができる。
結局、本発明の目的は、ホスホリパーゼを使用することを含む、このような油のリン含有成分の含量を減少する方法を提供することである。
本発明のホスホリパーゼ
リン脂質、例えば、レシチンまたはホスファチジルコリンは、外側位置(sn−1)および中央位置(sn−2)においておよび2つの脂肪酸でエステル化されかつ第3位置においてリン酸でエステル化されたグリセロールから成る;引き続いて、リン酸をエステル化してアミノ−アルコールにすることができる。ホスホリパーゼは、リン脂質の加水分解に関与する酵素である。いくつかの型のホスホリパーゼ活性を区別することができ、これらの型は下記のものを包含する:ホスホリパーゼA1(PLA1)およびA2(PLA2)、これらは1つの脂肪族アシル基を加水分解して(それぞれ、sn−1およびsn−2位置において)リゾリン脂質を形成する;およびリゾホスホリパーゼ(またはホスホリパーゼB(PLB))、これはリゾリン脂質中の残りの脂肪族アシル基を加水分解することができる。
本発明は、なかでも、リン脂質中の一方または双方の脂肪族アシル基を加水分解する能力を有する(すなわち、PLAおよび/またはPLB活性を示す)糸状菌のホスホリパーゼに関する。
以前に特性決定された真菌のPLAおよび/またはPLB酵素
真菌のホスホリパーゼの特性決定は多数の参考文献に記載されている。先行技術の水準を概観することを容易にするために、参考文献を2つの区分にグループ化した。
第1区分において、現在、本発明の真菌のホスホリパーゼに関係すると考えられない真菌のホスホリパーゼの同定を記載している参考文献を取り扱う。主に、真菌のホスホリパーゼの特性決定の分野の範囲内の技術水準を要約するために、これらの参考文献を含める。
第2区分において、本発明の真菌のホスホリパーゼに多少関係すると考えられる真菌のホスホリパーゼの特性決定を記載する参考文献を取り扱う。
第1区分
ホスホリパーゼAおよび/またはB活性を有する酵素は、下記のものを包含する種々の真菌源において見出されてきている:ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)(また、ペニシリウム・クリソゲヌム(P.chrysogenum)として知られている;N.Kawasaki、「J.Biochem.」、77、1233−44、1975;N.Masuda他、「Eur.J.Biochem.」、202、783−787、1991)、ペニシリウム・シクロピウム(P.cyclopium)(「Process Biochemistry」30(5);393−401(1995))、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(M.Ichimasa他、「Agric.Biol.Chem.」、49(4)、1083−89、1985;F.Paultauf他、「J.Biol.Chem.」、269、19725−30、1994)、トルラスポラ・デルブルエキイ(Torulaspora delbrueckii)(古い名称サッカロマイセス・ロセイ(Saccharomyces rosei);Y.Kuwabara、「Agric.Biol.Chem.」、52(10)、2451−58、1988;「FEMS Microbiol.Letters」、124、29−34)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(H.Oishi他、「Biosci.Biotech.Biochem.」、60(7)、1087−92、1996)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)〔「Technical Blletin、G−zyme(商標)G999」、Enzyme Bio−Systems Ltd.;「Process Biochemistry」30(5):393−401(1995)〕およびコルチウム・セントリフグム(Corticium centrifugum)(S.Uehara他、「Agric.Biol.Chem.」、43(3)、517−525、1979)。
第2区分
EP575133(A2)号には、アスペルギルス(Aspergillus)から得られた真菌のホスホリパーゼA1の単離および特性決定および工業的用途のためのそれらの使用が記載されている。
配列の情報(DNAまたはアミノ酸)は前記出願に記載されていず、また、アスペルギルス(Aspergillus)のホスホリパーゼのクローン化の戦略または示唆は前記出願に記載または示されていない。
Tsung−Che他(「Phytopathological notes」58:1437−38(1968))は、フザリウム・ソラニ(F.solani)からのホスホリパーゼの特性決定を簡単に記載している。
EP130,064号には、フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)DSM2672株から得られたリパーゼ活性を示す発酵ブロスの単離された画分が記載されている。さらに、洗剤組成物におけるその使用が開示されている。しかしながら、EP130,064号には、この画分がホスホリパーゼ活性を示すことは記載されていない。
WO96/13579号には、フザリウム・クルモラム(F.culmorum)株、CBS513.94から得られたリパーゼ、およびそのN−末端の配列が記載されている。
しかしながら、WO96/13579号には、ホスホリパーゼ活性を示す酵素は記載されていない。
フザリウム・ヘテロスポラム(F.heterosporum)からのリパーゼをコードするcDNA配列が記載されている(Cloning and nucleotide sequence of cDNA encoding a lipase frm Fusarium heterosporum、「J.Biochem.」、116、536−540、1994)。この配列は、現在、本発明のクローン化DNA配列に比較して最も関係するDNA配列であると考えられる(下記の「先行技術との比較」の節を参照のこと)。しかしながら、この参考文献にはホスホリパーゼ活性を示す酵素は記載されていない。
ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)からのホスホリパーゼBをコードするcDNA配列は記載されている(「Eur.J.Biochem.」202:783−787、1991)。しかしながら、このクローン化されたDNA配列は、本発明のDNA配列に対して非常に制限された相同性を有する(下記の「先行技術との比較」の節を参照のこと)。
ホスホリパーゼの工業的用途
ホスホリパーゼの多数の使用がこの分野において知られており、これらは下記のものを包含する:水脱ガム化された油の酵素的脱ガス化
Figure 0003824174
澱粉加水分解物(特にコムギ澱粉からの)を処理して濾過性を改良すること(EP219,269号、CPC International);パンの弾性を改良するためのパン生地に対する添加剤として(米国特許第4,567,046号、協和発酵);および特定の乳化特性を有するリゾレシチンの製造におけるホスホリパーゼの使用。
現在、ホスホリパーゼLecitase(登録商標、Novo Nordisk A/S)は、例えば、油の脱ガム化について商業的に使用されている。Lecitase(登録商標)はブタ膵臓から得られた哺乳動物の酵素である。
工業的、経済的に許容される収率で、特に糸状菌から、真菌の酵素を組換え的に製造できることはよく知られている。
結局、本発明の目的は、例えば、前述の方法において使用するための、改良されたホスホリパーゼを提供することである。
さらに、本発明の目的は、工業的に許容される収率で、糸状菌から得られるホスホリパーゼを組換え的に製造するプロセスおよび方法を記載することである。
発明の要約
食用油の水脱ガム化は水を使用する抽出により実施される。その処理において、ホスファチドの一部分はその油の中に残る。その部分は一般用語「非水和性リン脂質」(NHP)により記載される。油の製造において、NHP含量を除去することは必須である(米国特許第5,264,367号)。
本発明は、比較的高い量のNHPを含む油中のNHP含量を除去する方法を提供する。
したがって、第1面において、本発明は、食用油中のリン含有成分の含量を減少する方法に関し、前記油は少なくとも50ppmの非水和性リン含量を含み、前記非水和性リン含量は、
i) 60℃において、水中のクエン酸一水和物を含んでなる溶液の添加(添加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/油エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)により、食用油を30分間前処理し、
ii) 10mlの前処理された油中水型エマルジョンを管に移し、
iii) 前記エマルジョンを沸騰する水浴中で30分間加熱し、
iv) 5000rpmにおいて10分間遠心し、
v) 約8mlの上(油)相を新しい管に移し、それを24時間沈降させ、そして
vi) 沈降後、上方の透明な相から2gを抜き出して、食用油中の非水和性リン含量を測定する、ことによって測定され、そして前記方法は、前記油を、pH1.5〜8において、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、またはホスホリパーゼBの水溶液と接触させ、これを前記油のリン含量が11ppmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、次いで水性相を処理された油から分離することを含む。
他の面において、本発明は新規なクローン化されたホスホリパーゼに関する。
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)DSM2672の中に見出される(そしてEP130,064号に記載されている)リパーゼ活性の特質のそれ以上の研究において、単離された画分がリパーゼ活性を有するいくつかの成分を含み、それらの1つはホスホリパーゼ活性を示した。
多数の技術的困難にかかわらず(下文参照)、本発明はフザリウム(Fusarium)属、さらに詳しくはフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株からホスホリパーゼA活性を示す酵素をクローン化することができた。
これは糸状菌のホスホリパーゼAがクローン化された最初であり、結局、本発明は糸状菌のホスホリパーゼA酵素をコードするクローン化されたDNA配列を提供する。
したがって、本発明の1つの面は、DNA配列が糸状菌から得られる、ホスホリパーゼA活性を有するポリペプチドをコードするクローン化されたDNA配列に関する。
ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)からのホスホリパーゼBをコードするcDNA配列は、「Eur.J.Biochem.」202:783−787、1991に記載されている。
しかしながら、このDNA配列は本発明のDNA配列(配列番号:1 23−1060)に対して非常に制限されたDNAの同一性を示すだけであり、そしてさらに、物理的特性、例えば、分子量は前記ペニシリウム・ノタツム(P.notatum)からのPLB(66kDa)と本発明のホスホリパーゼ(29±10kDa(下文参照))との間でかなり変化する。
さらに、先行技術のヌクレオチドおよびアミノ酸配列と比較すると、本発明のDNA配列および/または対応するコードされたアミノ酸配列が先行技術のDNAおよび/またはアミノ酸配列に対してほんのわずかの相同性を有することが示された(下文参照)。
結局、この出願において提供されるDNA配列の情報は、例えば、他の関係する/相同的ホスホリパーゼをコードするDNA配列をクローン化するために、高度に価値があると現在考えられる。なぜなら、特定のハイブリダイズプローブおよび/またはPCRプライマーは現在本発明の前記DNA配列に基づいて容易に構築することができるからである。
さらに、この出願において提供されるDNA配列の情報に基づいて関係する/相同的ホスホリパーゼAおよび/またはホスホリパーゼBをコードするDNA配列をクローン化することができると現在考えられる。
したがって、他の面において、本発明は、ホスホリパーゼAおよび/またはホスホリパーゼBの活性を示す酵素をコードするクローン化されたDNA配列に関し、前記DNA配列は、
(a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM1299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼAをコードする部分、
(b) 配列番号:1中の位置23−1063、より好ましくは配列番号:1中の位置113−1063、なおより好ましくは配列番号:1中の位置113−931に示されるDNA配列、またはその相補的鎖、
(c) (a)または(b)において定義された前記DNA配列と少なくとも70%相同性であるDNA配列、
(d) ホスホリパーゼ活性を示すポリペプチドをコードし、かつ配列番号:2の位置31−346に示されるポリペプチド配列と90%以上相同性であり、より好ましくは配列番号:2の位置31−303に示されるポリペプチド配列と少なくとも70%相同性である、(a)または(b)において定義された前記DNA配列、
(e) 配列番号:1中の位置23−1063に示されるDNA配列を含んでなる二本鎖DNAプローブと低いストリンジェンシイにおいてハイブリダイズするDNA配列、
(f) 配列番号:2の1〜346、31〜303または31〜303の位置残基のアミノ酸配列あるいは(e)のDNA配列のいずれかによりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列、および
(g) (a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)において特定されたDNA配列のフラグメントであるDNA配列、から成る群より選択される。
さらに、本発明のホスホリパーゼは集中的に特定決定され、そしてそれは低いpHにおいてホスホリパーゼ活性を有することが見出された;この性質により、それは油の脱ガム化において使用するために非常に適当である。ホスホリパーゼは膜結合されていず、これによりそれは商業的生産および精製に適する。
したがって、他の面において、本発明は、ホスホリパーゼA活性を有する単離されたポリペプチドに関し、前記ポリペプチドは、フザリウム(Fusarium)属の株から得られ、そして
i) 40℃において測定された、pH範囲3〜10におけるPLA活性、
ii) SDS−PAGEにより決定して、29±10kDaの分子量、
iii) 範囲4.5〜8の等電点(pI)、
iv) pH5において基質としてレシチンを使用して測定された、25〜55℃の範囲のホスホリパーゼ活性のための温度最適値、および/または
v) 37℃において基質としてレシチンを使用して測定された、6〜12のpH範囲のホスホリパーゼ活性のためのpH最適値、を有する。
本発明の単離されたホスホリパーゼの推定されたアミノ酸配列は、配列番号:2に示されている。
成熟分泌された単離されたホスホリパーゼのN−末端のアミノ酸配列が決定された。前記N−末端の配列は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する、本発明のホスホリパーゼの成熟部分が、配列番号:2中のアミノ酸No.31において開始することを示した。それ以上の詳細については本明細書中の実施例を参照のこと(下文参照)。
さらに、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する、本発明の活性な分泌されたホスホリパーゼのC−末端のアミノ酸配列が決定された。前記C−末端の決定されたホスホリパーゼは、糸状菌の株アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)において組換え的に発現された。それ以上の詳細については本明細書中の実施例を参照のこと。
これらの結果により、酵素はアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)からの発現の間にC−末端でプロセシングされることが示され、そしてこれらの結果は配列番号:2中のSer303が発現された成熟活性酵素中のC−末端の残基である可能性が最も高いことを示す。しかしながら、なおそれ以上のC−末端のプロセシングが起こりうること(すなわち、前記配列のフラグメントを与えること)、およびなお発現された成熟活性酵素を有することが予測される。
したがって、他の面において、本発明は、ホスホリパーゼAおよび/またはBの活性を示す単離されたポリペプチドに関し、前記ポリペプチドは、
(a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM1299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼAおよび/またはB酵素をコードする部分によりコードされるポリペプチド、
(b) 配列番号:2中の位置31−346に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(c) 配列番号:2中の位置31−303に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(d) (a)、(b)または(c)において定義された前記ポリペプチドの類似体、前記類似体は前記ポリペプチドと90%以上相同性である、および
(e) (a)、(b)、(c)または(d)のフラグメント、から成る群より選択される。
なお他の面において、本発明は、本発明の酵素の異種組換え生産を可能とする、組換え発現ベクターを提供する。これにより、相同的不純物を含有しないことを特徴とする、高度に精製されたホスホリパーゼ組成物を製造することができる。これは多数の工業的用途に対して高度に有利である。
フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)およびフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株の双方から得られるホスホリパーゼが工業的に関係する用途において使用するために改良された性質を有することを、本発明は実験的に証明する(下文参照)。フザリウム(Fusarium)属の株から得られるホスホリパーゼは、工業的に関係する用途において使用するために改良された性質を有することが予測される。
したがって、なお他の面において、本発明は、リン脂質またはリゾリン脂質をホスホリパーゼで処理して脂肪族アシル基を加水分解することを含む方法における、フザリウム(Fusarium)属の株、例えば、フザリウム・クルモラム(F.culmorum)、フザリウム・ヘテロスポラム(F.heterosporum)、フザリウム・ソラニ(F.solani)の株、特にフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)の株から得られたホスホリパーゼの使用に関する。
最後に、本発明は、糸状菌のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株から得られるホスホリパーゼをコードするDNA配列(大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分)を収容する大腸菌(Escherichia coli)DSM No.11299株、あるいはホスホリパーゼをコードする能力を保持した前記大腸菌(E.coli)の突然変異体の、単離された、実質的に純粋な生物学的培養物に関する。
先行技術との配列の相同性の比較
ヌクレオチドおよびタンパク質のデータベースに対する本発明のホスホリパーゼとの相同性のサーチを実施した。相同性のサーチにおいて、最も密接に関係する既知の配列はフザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)からのリパーゼであることが示された(アミノ酸の配列は第1図に図解されている)。
ホスホリパーゼをコードする本発明のDNA配列(配列番号:1の23〜1060)は、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)からの既知のリパーゼ配列(遺伝子バンクのデータバンクの参照S77816)に対して、わずかに62%の相同性を示し、そして本発明のホスホリパーゼの対応するアミノ酸配列(配列番号:2)は、前述の既知のDNA配列に基づいて推定されたアミノ酸配列に対して、わずかに60%の相同性を示す(第1図参照)。
これが示すように、本発明のホスホリパーゼのDNAおよび/またはアミノ酸配列は事実いずれの既知のDNAおよび/またはアミノ酸配列とも異なる。
ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)からのホスホリパーゼBをコードするcDNA配列は記載されている(「Eur.J.Biochem.」202:783−787、1991)。しかしながら、このDNA配列(遺伝子バンクのデータバンクの参照X60348)は、本発明のDNA配列(配列番号:1の23〜1060)に対して、わずかに非常に制限されたDNAの同一性39%を示し、そして本発明のホスホリパーゼの対応するアミノ酸配列(配列番号:2)は、前述の既知のPLBのDNA配列に基づいて推定されたアミノ酸配列に対して、わずかに20%の同一性を示す。
相同性の計算はこの明細書において後述するように実施された。
図面:
第1図:配列番号:2に示すアミノ酸と、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)からの先行技術のリパーゼの配列との整列。
第2図:Lecitase(商標)と本発明によるフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのホスホリパーゼとの酵素的脱ガム化能力の比較。
定義
本発明を詳細に論ずる前に、下記の用語を定義する。
「クローン化されたDNA配列」: 用語「クローン化されたDNA配列」は、DNAのセグメントをその自然の位置からそれが再現される異なる部位へ再配置するために遺伝子操作において使用される標準的クローン化手順に従い、クローン化されたDNA配列を意味する。クローン化プロセスは、所望のDNAセグメントの切除および単離、ベクター分子の中へのDNA片の挿入、およびDNAセグメントの多数のコピーまたはクローンが複製される細胞の中への組換えベクターの組込みを包含する。
本発明の「クローン化されたDNA配列」は、また、「DNA構築物」または「DNA配列を有するクローン化されたポリヌクレオチド」「単離されたDNA配列」と命名することができる。
「から得られる」: 本発明の目的に対して、用語「から得られる」は、特定の微生物源に関して本明細書において使用するとき、酵素および結局、前記酵素をコードするDNA配列が、特定の源によるか、あるいは前記源からの遺伝子が挿入された細胞により産生されることを意味する。
「単離されたポリペプチド」: 本明細書において定義するとき、用語「単離されたポリペプチド」または「単離されたホスホリパーゼ」は、本発明のホスホリパーゼについて使用するとき、他の非ホスホリパーゼを含有しない、例えば、SDS−PAGEにより測定して、少なくとも20%の純度、好ましくは少なくとも40%の純度、より好ましくは少なくとも60%の純度、なおより好ましくは少なくとも80%の純度、最も好ましくは少なくとも90%の純度、なお最も好ましくは少なくとも95%の純度であるホスホリパーゼまたはホスホリパーゼの部分である。
単離されたポリペプチドが少なくとも60%の純度であるとき、用語「高度に単離されたポリペプチド」を使用することができる。「単離されたポリペプチド」は、また、「精製されたポリペプチド」と命名することができる。
「相同的不純物」: 本明細書において使用するとき、用語「相同的不純物」は、本発明の酵素が本来得られた相同的細胞から由来する、任意の不純物(例えば、本発明の酵素以外のポリペプチド)を意味する。本発明において、相同的細胞は、例えば、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株であることができる。
「ホスホリパーゼをコードする部分」: 本明細書において使用するとき、DNA配列に関して使用する「ホスホリパーゼをコードする部分」は、ポリペプチド配列に翻訳される領域に対応するDNA配列の領域を意味する。
配列番号:1に示すDNA配列において、それは第1「ATG」開始コドン(mRNAにおける「AUG」コドン)と次に続く停止コドン(「TAA」、「TAG」または「TGA」との間の領域である。
翻訳されたポリペプチドは、ホスホリパーゼ活性を示す成熟配列に加えて、N−末端のシグナルおよび/またはプロペプチドの配列をさらに含むことができる。シグナル配列は一般にポリペプチドの分泌をガイドし、そしてプロペプチドは一般にポリペプチドの折りたたみをガイドする。それ以上の情報については、下記の文献を参照のこと:Egnell、P.他、「Molecular Microbiol.」6(9):1115−19(1992)またはStryer、L.、「Biochemistry」W.H.、Freeman and Company/New York、ISBN 0−7167−1920−7。
「DNAおよび/またはアミノ酸配列の修飾」: 本明細書において論ずるようにDNAおよび/またはアミノ酸配列の修飾に関して使用する用語「修飾」は、化学的修飾ならびに遺伝的操作を包含するように定義される。修飾は、問題のアミノ酸の中の、あるいはアミノ酸における置換、欠失および/または挿入であることができる。
「ホスホリパーゼA」:本発明の酵素に関して本明細書おいて使用される用語「ホスホリパーゼA」は、ホスホリパーゼA1および/またはホスホリパーゼA2の活性を有する酵素をカバーすることを意図する。
ホスホリパーゼA 1 は、EC3.1.1.32として標準的酵素EC−分類に従い定義される。
公式名称:ホスホリパーゼA1(PLA1)。
触媒される反応:
ホスファチジルコリン+H(2)O<>
2−アシルグリセロホスホコリン+脂肪酸アニオン
所見
ec3.1.1.4よりも非常に広い特異性を有する。
ホスホリパーゼA 2 は、EC3.1.1.4として標準的酵素EC−分類に従い定義される。
公式名称:ホスホリパーゼA2(PLA2)。
別名:ホスファチジルコリン2−アシルヒドロラーゼ。
レシチナーゼa;ホスファチダーゼ;またはホスファチドリパーゼ。
触媒される反応:
ホスファチジルコリン+H(2)O<>
1−アシルグリセロホスホコリン+脂肪酸アニオン
所見:また、ホスファチジルエタノールアミン、コリンプラスミノゲンおよびホスファチドに作用して、2−位に結合した脂肪酸を除去する。
「ホスホリパーゼB:ホスホリパーゼB」は、EC3.1.1.5として標準的酵素EC−分類に従い定義される。
公式名称:リゾホスホリパーゼ。
別名:レシチナーゼb;リゾレシチナーゼ;ホスホリパーゼb;またはplb。
触媒される反応:
2−アシルグリセロホスホコリン+H(2)O<>
グリセロホスホコリン+脂肪酸アニオン
「ホスホリパーゼ活性」: 本発明の酵素に関して本明細書おいて使用される用語「ホスホリパーゼ活性」または「ホスホリパーゼ活性を有する/を示す」は、下記において実験的に定義する量のホスホリパーゼ活性(PLAまたはPLBの活性)を有する酵素を特定することを意図する。
したがって、ホスホリパーゼ活性を示す酵素は、本明細書中の実施例6に示す「単層ホスホリパーゼアッセイ」(下文参照)において、酵素の投与量:60μg、25℃において、少なくとも0.25nmol/分;より好ましくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なくとも0.40nmol/分;より好ましくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なくとも0.75nmol/分;より好ましくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なくとも1.0nmol/分;より好ましくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なくとも1.25nmol/分;なおより好ましくは酵素投与量:60μg、25℃において、少なくとも1.5nmol/分のホスホリパーゼ活性を有する、酵素として本発明において定義される。
このような有意なホスホリパーゼ活性を有する酵素のみは、例えば、脱ガム化(米国特許第5,264,367号)において使用するために、工業的重要性を有すると現在考えられる。
「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」: したがって、用語「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」は、実施例6に示す「単層ホスホリパーゼアッセイ」におけるホスホリパーゼ副活性が前述の数値より小さい、ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼとして定義される。
多数のリパーゼは、このようなホスホリパーゼ副活性を有する。本明細書における実施例6(下文参照)において、ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼのあるものが示されている。
「粗製油」: 粗製油(また、非脱ガム化油と呼ぶ)は、例えば、ナタネ、大豆、またはヒマワリから、プレスされたまたは抽出された油またはその混合物であることができる。粗製油中のホスファチド含量は、200〜1200ppmの範囲、より好ましくは250〜1200ppmの範囲のリン含量に対応して、0.5〜3%w/wの範囲内で変化することができる。ホスファチドは別として、粗製油は、また、低濃度の炭水化物、糖化合物、およびCa、MgおよびFeの金属/ホスファチド酸錯体を含有する。
「半粗製油」: 粗製油ではないが、250ppm以上、より好ましくは500ppm以上のホスファチド含量を有するあらゆる油。このような油は、例えば、粗製油を後述する「水脱ガム化された油」に類似するプロセスに付すことによって、達成できるであろう。
「水−脱ガム化された油」: 水脱ガム化された油は、典型的には、1〜3%w/wの熱水を温かい(60〜90℃)粗製油と混合することによって得られる。通常の処理時間は30〜60分である。水脱ガム化工程は、水和したとき油の中に不溶性となる、ホスファチドおよび粘質性ガムを除去する。水和したホスファチドおよびガムは、沈降、濾過または遠心により油から分離することができる−遠心はより一般的な実施である。
前記水−脱ガム化プロセスにおける本質的目的は、水和ホスファチドを油から分離することである。前述の熱水の油の中への混合は、本発明において、この分野における標準的水−脱ガム水プロセスに従い、水溶液を油の中に混合することとして広く理解すべきである。
また、本明細書において「水−脱ガム化された油」と命名するプロセスは「粘質物を除去する湿式精製」と呼ぶことができる(米国特許第5,264,367号参照)。
発明の詳細な説明
高い量の非水和性ホスファチド/リン脂質を含んでなる食用油の酵素的脱ガム化法
本発明について、食用油中の非水和性リンの量は、
i) 60℃において、水中のクエン酸一水和物を含んでなる溶液の添加(添加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/油エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)により、前記食用油を30分間前処理し、
ii) 10mlの前処理された油中水型エマルジョンを管に移し、
iii) 前記エマルジョンを沸騰する水浴中で30分間加熱し、
iv) 5000rpmにおいて10分間遠心し、
v) 約8mlの上(油)相を新しい管に移し、それを24時間放置し(沈降させ)、
vi) 沈降後、上方の透明な相から2gを抜き出して、食用油中の非水和性リン含量(ppm)を測定する、
ことによって測定される。
それ以上の詳細は、本明細書における実施例を参照のこと。
本明細書における実施例に例示されているように、異なる食用油のリン脂質組成物(水和性/非水和性リン脂質)はかなり変化する。結局、異なる水−脱ガム化された油中の残留するリン脂質のレベルは広い範囲にわたって変化する(例えば、約30ppm〜200ppm)。
酵素的脱ガム化について、最適な酵素投与量は、上記において定義したように、水脱ガム化またはクエン酸/水前処理後に存在する非水和性ホスファチドの量に依存する。
さらに、油の中に存在する非水和性ホスファチドの量がより高くなるほど、酵素的脱ガム化法はいっそう効率よくなる。
本発明は、比較的高い量のNHPを含んでなる油中のNHP含量を除去する方法を提供することである。
好ましくは、食用油は、少なくとも60ppmの非水和性リン含量、より好ましくは少なくとも100ppmの非水和性リン含量、なおより好ましくは少なくとも200ppmの非水和性リン含量を有する。
より好ましくは、食用油は、60〜500ppmの範囲、より好ましくは100〜500ppmの範囲、なおより好ましくは200〜500ppmの範囲の非水和性リン含量を有する。
本明細書における記載に従い、比較的高い量の非水和性リンを有するとして定義された食用油は、水脱ガム化された油、より好ましくは粗製油または半粗製油であることができる。
したがって、本発明の態様は、前記食用油が粗製油であり、前記粗製油は、本発明の方法を実施する前において、250部/106部(ppm)より大きいリン含量を有する油であり、前記油は本発明の方法を実施する前において水−脱ガム化されていない(水脱ガム化は水を温かい粗製油の中に混合し、次いで水和したとき油の中に不溶性となるホスファチドを除去することを含む)ことを特徴とする、本発明の第1の面に関する。
好ましくは、このような粗製食用油は、本発明の前記方法を実施する前において、350ppm以上、より好ましくは400ppm以上、なおより好ましくは500ppm以上、最も好ましくは600ppm以上のリン含量を有する。
さらに、前記粗製食用油は、好ましくは、本発明の前記方法を実施する前において、250〜1500ppmの範囲、より好ましくは350〜1500ppmの範囲、なおより好ましくは500〜1500ppmの範囲、最も好ましくは500〜1500ppmの範囲のリン含量を有する。
本発明による粗製食用油の酵素的脱ガム化法は、先行技術の水脱ガム化された食用油の酵素的脱ガム化法(米国特許第5,264,367号)よりも有利である。なぜなら、本発明による、粗製油を処理するための直接的酵素的脱ガム化法は、油の水脱ガム化の前の工程を節約するからである。
これは時間および金銭の双方を節約する。水−脱ガム化された油は、典型的には、熱水を温かい(60〜90℃)粗製油の中に通常30〜60分間混合することによって得られる。対照的に、本発明による粗製油を酵素的に脱ガム化する完全なプロセスは1時間未満の時間内に実施することができ、実際の酵素的処理は約25分である。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
さらに、本明細書における記載に従い、比較的高い量の非水和性リンを有するとして定義された食用油は半粗製油であることができる。
したがって、本発明の態様は、前記食用油が半粗製食用油であり、前記半粗製食用油が500部/106部(ppm)以上のリン含量を有し、そして前記油が本発明の方法を実施する前において水−脱ガム化されていることを特徴とする、本発明の第1の面に関する。
好ましくは、前記半粗製食用油は、前記方法を実施する前において、600部/106部(ppm)以上、最も好ましくは750部/106部(ppm)以上のリン含量を有する。
一般に、食用油の水脱ガム化は油中のリン含量を500ppm以下のレベルに減少させる。
したがって、本明細書において記載する半粗製油は、例えば、本発明による食用油中のリン含有成分のレベルを減少させる方法を実施する前に、わずかに部分的に水−脱ガム化されていることができる。
用語「部分的に水脱ガム化された」は、油の水脱ガム化手順が標準的水−脱ガム化手順に比較して単なる部分的/短いプロセスであることを意味する。
「部分的水脱ガム化」プロセスは、わずかに0.5%の熱水を油の中に混合する(標準は1〜3%の熱水である。本明細書における「定義」の節を参照のこと)ことによるか、あるいは処理時間を10分に減少する(標準は30〜60分である)ことによって実施することができる。
また、本明細書において定義する半粗製油は、粗製油と半粗製油との混合物であることができる。
本発明の態様は、下記の工程を含む、本発明の第1の面のいずれかに従う方法に関する:
i) 食用油の温度を25℃〜70℃の温度に調節し、
ii) 上記調節された温度において、0.5〜6%(前記油に関する重量による)の少なくとも85%の水を含んでなる水溶液の添加により、食用油を5〜120分間前処理し、ここで前記前処理後に、油中の水和された粘質物およびリン含量を除去せず、
iii) 前記水/油エマルジョンのpHをpH1.5〜8に調節し(例えば、適当な量のNaOH溶液の添加により)、
iv) 前記水/油エマルジョンをホスホリパーゼの水溶液と接触させ(工程i)に従い調節した温度(+/−5℃)において)、このホスホリパーゼを前記油のリン含量が11ppmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、
v) 水性相を処理された油から分離する。
前述の工程i)における食用油の温度を、この方法において使用する酵素の最適ホスホリパーゼ活性温度である温度に調節することが好ましい。
商業的に入手可能なホスホリパーゼLecitase(商標、Novo Nordisk A/S)について、これは約60℃であり、そして糸状菌フザリウム(Fusarium)属から得られた本発明のホスホリパーゼについて、約45℃である。この問題に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
糸状菌のホスホリパーゼの大部分は温度最適値約35〜50℃を有するであろうことが予測される。
したがって、本発明の態様は、工程i)における食用油の温度を35℃〜50℃に調節し、そして工程iv)において使用するホスホリパーゼが糸状菌株から得られる、前述の方法に関する。
前述の方法の工程ii)において、食用油を好ましくは調節された温度(工程i))において、0.5〜6%(前記油に関する重量による)の少なくとも85%の水を含んでなる水溶液の添加により、食用油を5〜120分間前処理し、ここで前記前処理後に、油中の水和された粘質物およびリン含量を除去しない。
この工程は食用油の酵素的脱ガム化における標準的前処理工程である(米国特許第5,264,367号;米国特許第5,558,781号)。工程ii)の目的は、水和したとき油の中に不溶性となる、食用油中の水和性/親水性成分(例えば、水和性リン含量)を水和することである。
しかしながら、この工程は本発明の関係における「食用油の水−脱ガム化」と呼ぶものと異なる。1つの主要な差は、前記前処理工程が水和したホスファチドおよび粘質物を油から除去しないことである。油からの前記水和した含量の除去は、食用油の水−脱ガム化の主要な目的である。
したがって、ホスホリパーゼを上記工程iv)において油と接触させるとき、油は前記水和したホスファチドおよび粘質物をまだ含む。
換言すると、食用油が非水脱ガム化食用油である場合、上記方法は簡素化された酵素的脱ガム化法であり、前記油とホスホリパーゼとの接触前に、水和したホスファチドおよび粘質物を油から除去しない。
好ましくは、少なくとも85%の水を含んでなる水溶液(上記工程ii)はクエン酸をさらに含む。好ましくは、前記水溶液中に1〜15%(w/w)のクエン酸が存在し、より好ましくは前記水溶液中に3〜11%(w/w)のクエン酸が存在する。
好ましくは、工程ii)における時間は15〜50分、より好ましくは15〜30分である。
工程ii)における前記前処理に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
上記工程iii)において、水/油エマルジョンのpHをpH1.5〜8に調節する(例えば、適当な量のNaOH溶液の添加により)。これは、工程iv)においてホスホリパーゼを油と接触させる前に、実施して油のpH値を調節する。一般に、実際の最適pH値は工程iv)において油と接触させるために使用する実際の酵素に依存するであろう。この問題に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
一般に、本発明の第1の面およびそれらの態様に従い、前記油とホスホリパーゼを含んでなる水溶液との接触はpH1.5〜6、より好ましくはpH3〜6において実施することが好ましい。
油中水型エマルジョンにおける水中のpH値は、2mlの水を油エマルジョンから取り、それらを2mlの水と混合することによって測定される。相分離後、生ずる上部の油層をピペットで取り、そしてpHを水性相中で測定する。下記式pH(真の)=pH(測定)−0.38により、測定値を「真の(real)」pH値に変換する。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法において、油中で乳化されるホスホリパーゼの量が0.1〜15mgの酵素(乾燥物質)/kgの油、好ましくは0.25〜5mgの酵素(乾燥物質)/kgの油、なおより好ましくは0.25〜2.5mgの酵素(乾燥物質)/kgの油の範囲である。
一般に、食用油の酵素的脱ガム化に使用するホスホリパーゼの量および時間を最適化して、11ppm以下のリン含量を得ることが有利である。実際の最適な酵素の投与量および時間は、なかでも、使用する実際のホスホリパーゼに依存するであろう。この方法の酵素の投与量および時間の最適化に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法において、前記油を0.5〜6mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油と接触させた後、油のリン含量は11ppmより低く減少され、そしてホスホリパーゼを前記油と1〜6時間の間接触させ、より好ましくは前記油を0.25〜2.5mgのホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油と接触させた後、油のリン含量は11ppmより低く減少され、そしてホスホリパーゼを前記油と15分〜2時間の間接触させる。
個々のホスホリパーゼについての最適な温度の同定に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法のすべての面および態様において、油のリン含量は5ppmより低く減少される。
油中のリン含量は、油エマルジョン中に存在する水の油相中の部/106部(ppm)として測定される。リン含量の分析は、「Standard Methods for the Analysis of Oils,Fats,and Derivatives,第7版(1987)」における手順2.421に従い実施される。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
本発明の態様は、ホスホリパーゼが哺乳動物種から得られ、特にホスホリパーゼが前記哺乳動物種の膵臓から得られ、最も好ましくはホスホリパーゼがブタの膵臓から得られる、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法に関する。
好ましくは、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法において、ホスホリパーゼは微生物、好ましくは糸状菌、酵母、または細菌から得られる。
好ましくは、前述の糸状菌がフザリウム(Fusarium)属の範囲内の種であるとき、好ましい株は、フザリウム・クルモラム(F.culmorum)、フザリウム・ヘテロスポラム(F.heterosporum)、フザリウム・ソラニ(F.solani)の株、特にフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)の株のような株である。
さらに、前記糸状菌がアスペルギルス(Aspergillus)属の範囲内の種であるとき、好ましい株は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、特にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の株のような株である。
さらに、本発明による食用油中のリン含有成分の量を減少させる方法において、食用油は好ましくは大豆油、ヒマワリ実油、より好ましくはナタネ油である。
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得られるホスホリパーゼの特性決定
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得られる本発明のホスホリパーゼは、集中的に特性決定されてきている。
したがって、本発明の1つの面は、好ましくは、単離されたホスホリパーゼAである。このホスホリパーゼAはフザリウム(Fusarium)属の株から得られ、40℃において測定してpH3〜10においてホスホリパーゼA活性、より好ましくは40℃において測定してpH3〜7においてホスホリパーゼA活性、より好ましくは40℃において測定してpH3.5〜6においてホスホリパーゼA活性、なおより好ましくは40℃において測定してpH4.5〜5.5においてホスホリパーゼA活性を有する。
ホスホリパーゼA活性は、基質として大豆レシチンを使用して(NEFA試験塩基アッセイ)、あるいは2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのブリットン−ロビンソン(Britton−Robinson)(BR)を含んでなる緩衝液中で測定される。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フザリウム(Fusarium)属の株から得られ、好ましくは29±10kDano分子量、より好ましくは29±5kDaの分子量、なおより好ましくは29±3kDaの分子量、最も好ましくは29±2kDaの分子量を有するものである。
分子量は、「材料および方法」の節(下文参照)にさらに記載するように、SDS−PAGE電気泳動により測定される。
本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フザリウム(Fusarium)属の株から得られ、好ましくは範囲4.5〜8の等電点(pI)、より好ましくは範囲5〜7.5の等電点(pI)、なおより好ましくは範囲5.5〜7.5の等電点(pI)を有するものである。
等電点(pI)は、ファーマシア(Pharmacia)からのアンフォリン(Am−pholine)PAGEプレートを使用して測定した。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと(下文参照)。
本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フザリウム(Fusarium)属の株から得られ、好ましくはpH5において基質としてレシチンを使用して測定して、25〜55℃の範囲、より好ましくはpH5において基質としてレシチンを使用して測定して、30〜50℃の範囲、なおより好ましくはpH5において基質としてレシチンを使用して測定して、40〜50℃の範囲のホスホリパーゼ活性のための温度最適値を有するものである。
ホスホリパーゼ活性のための温度最適値は、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのブリットン−ロビンソン緩衝剤を含んでなる緩衝液中でpH5において測定された。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと(下文参照)。
本発明の他の態様において、単離されたホスホリパーゼAは、フザリウム(Fusarium)属の株から得られ、好ましくは37℃においてpH範囲6〜12、より好ましくは37℃においてpH範囲8〜11、なおより好ましくは37℃においてpH範囲8.5〜11のホスホリパーゼ活性のpH最適値を有するものである。
ホスホリパーゼ活性のpH最適値は、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのブリットン−ロビンソン(BR)を含んでなる緩衝液中で37℃において測定された。それ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
好ましくは、本発明のホスホリパーゼは酵素の5つ(番号i)〜v))の前述の物理的特性のうちの少なくとも2つを有し、より好ましくは本発明のホスホリパーゼは酵素の5つ(番号i)〜v))の前述の物理的特性のうちの少なくとも3つを有し、なおより好ましくは本発明のホスホリパーゼは酵素の5つ(番号i)〜v))の前述の物理的特性のうちの少なくとも4つを有し、最も好ましくは本発明のホスホリパーゼは酵素の5つ(番号i)〜v))の前述の物理的特性のすべてを有する。
前述したように、本発明のホスホリパーゼはクローン化、組換え的に発現され、精製され、そして活性な分泌された酵素のN−末端およびC−末端の配列が決定された。
したがって、本発明の他の態様は、フザリウム(Fusarium)属の株から得られ、そして
i) 40℃において測定された、pH範囲3〜10におけるPLA活性、
ii) SDS−PAGEにより決定して、29±10kDaの分子量、
iii) 範囲4.5〜8の等電点(pI)、
iv) pH5において基質としてレシチンを使用して測定された、25〜55℃の範囲のホスホリパーゼ活性のための温度最適値、および/または
v) 37℃において基質としてレシチンを使用して測定された、6〜12のpH範囲のホスホリパーゼ活性のためのpH最適値、を有し、そして、さらに
(a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼA酵素をコードする部分によりコードされるポリペプチド、
(b) 配列番号:2中の位置31−346に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(c) 配列番号:2中の位置31−303に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(d) (a)、(b)または(c)において定義された前記ポリペプチドと90%以上相同性であるポリペプチドの類似体、および
(e) (a)、(b)、(c)または(d)のフラグメント、から成る群より選択されるアミノ酸配列を含んでなる、ホスホリパーゼA活性を有する単離されたポリペプチドに関する。
本発明の態様において、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドは、ホスホリパーゼA1活性を有するホスホリパーゼである。
他の態様において、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドはホスホリパーゼA2活性を有するホスホリパーゼであり、なお他の態様において、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドはホスホリパーゼB活性を有するホスホリパーゼである。
好ましくは、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する前記単離されたポリペプチドはホスホリパーゼA1活性を有するホスホリパーゼである。
個々のPLA1、PLA2および/またはPLB活性を測定する標準的技術の特定の実施例については、本明細書における実施例を参照のこと。
他の態様において、本発明は、ホスホリパーゼがCa2+濃度に対して実質的に独立であるホスホリパーゼである、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドに関し、前記Ca2+濃度は、37℃において10分間インキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を測定するホスホリパーゼ活性のアッセイにおいて5mMのEDTAおよび5mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性として測定され、ここで5mMのEDTA/5mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性の比は0.25より大きく、より好ましくは0.5より大きく、最も好ましくは0.80より大きい。
Ca2+濃度に対する酵素活性の依存性の測定に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
いくつかのリパーゼは制限されたホスホリパーゼ活性を有する。本発明の関係において、前記リパーゼのこのような制限されたホスホリパーゼ活性は「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」として定義される(本明細書における「定義」の節参照)。本発明は、前記単離されたポリペプチドのホスホリパーゼ活性がそれが工業的関連性を有するように高い、ホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドに関する。
したがって、本発明は、下記のように単層ホスホリパーゼアッセイにおいて測定して、60μgの酵素投与量、25℃において少なくとも0.25nmol/分、より好ましくは60μgの酵素投与量、25℃において少なくとも0.40nmol/分であるホスホリパーゼ活性を有するホスホリパーゼである、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドに関する:
a. 緩衝溶液(10mMのTRIS、pH8.0、25℃)の完全に精製された表面上の単層装置(ゼロ次トラフ)において、リン脂質DDPC(Di Dicanoyl(C10)ホスファチジルコリン)の単層をクロロホルム溶液から広げ、
b. 単層を緩和させた(クロロホルムを蒸発させた)後、ほぼ63Å2/分子のDDPCの平均分子面積に対応して、表面圧力を15mN/mに調節し、
c. 60μgの酵素を含有する緩衝溶液(前述)を単層を通して「ゼロ次トラフ」中の反応区画室(面積1520mm2および体積30400mm3を有するシリンダー)の部分相の中に注入し、
d. 不溶性基質分子がより水溶性の反応生成物に加水分解されるとき、一定の表面圧力を維持するために、単層を圧縮する移動性バリヤーの速度により酵素活性を測定し、ここで酵素により1分当たり加水分解されるDDPC−分子の数をDDPCの平均分子面積(MMA)から推定する。
本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドについてのホスホリパーゼ活性の好ましい量のそれ以上の説明については、「定義」の節および実施例を参照のこと。
さらに、本発明によるホスホリパーゼの比ホスホリパーゼ活性は、既知の標準的ホスホリパーゼ活性のアッセイにより測定することができる。
したがって、他の態様において、本発明は、ホスホリパーゼが、少なくとも7μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、より好ましくは少なくとも15μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、なおより好ましくは少なくとも30μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、最も好ましくは少なくとも50μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素を解放することができるホスホリパーゼ活性を有するホスホリパーゼである、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドに関し、前記ホスホリパーゼ活性は、37℃において10分間インキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を測定するアッセイにおいて測定される。
本発明のこの態様に関するそれ以上の詳細については、本明細書における実施例を参照のこと。
本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドは、食用油の酵素的脱ガム化を実施するために非常に適する。
したがって、下記の単離されたポリペプチドに関する:
1. 本発明に従い、少なくとも50ppmの非水和性リン含量を含む食用油中のリン含有成分の量を減少するために、ホスホリパーゼは食用油の酵素的脱ガム化を実施することができる、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチド;および
2. 水−脱ガム化された食用油(50〜250ppmのリン含量を有する)の酵素的脱ガム化を実施し、これにより前記油のリン含量を11ppmより低く減少することができ、ここで酵素的脱ガム化プロセスが前記油をpH1.5〜8においてホスホリパーゼの水溶液と接触させ、これを前記油のリン含量が11ppmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、次いで水性相を処理された油から分離することからなる、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチド。
好ましくは、本発明によるホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドは、水脱ガム化された食用油(前述)の前記酵素的脱ガム化プロセスを1.5時間未満で実施することができ、そして2mg未満の少ないホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油を使用する。
好ましくは、本発明のホスホリパーゼ活性を示しかつ上に示した特性を有する単離されたポリペプチドは、フザリウム(Fusarium)属の範囲内の糸状菌株から得られる。
しかしながら、いかなる理論にも制限されないで、本発明のホスホリパーゼは、また、他の微生物、好ましくは他の糸状菌株から得ることができる。それらの例は「微生物源」の節(下文参照)に記載されている。
クローン化されたDNA配列
多数の技術的困難(「糸状菌ホスホリパーゼのクローン化のプロトコール」の節、下文参照)にかかわらず、本発明はフザリウム(Fusarium)属、さらに詳しくはフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株からPLA活性を示すホスホリパーゼをクローン化することができる。
さらに、この出願の中に提供されている配列の情報に基づいてDNA配列をコードする関係するホスホリパーゼAおよび/またはホスホリパーゼBの両方をクローン化することが可能であると現在考えられる。
したがって、本発明の1つの面は、ホスホリパーゼAおよび/またはホスホリパーゼBの活性を示す酵素をコードするクローン化されたDNA配列に関し、このDNA配列は、
(a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたポリヌクレオチドのホスホリパーゼAをコードする部分、
(b) 配列番号:1中の位置23−1063、より好ましくは配列番号:1中の位置113−1063、なおより好ましくは配列番号:1中の位置113−929に示すDNA配列、またはその相補的鎖、
(c) (a)または(b)において定義された前記DNA配列と少なくとも70%相同性であるDNA配列、
(d) ホスホリパーゼ活性を示すポリペプチドをコードし、かつ配列番号:2の位置31−346に示されたポリペプチド配列と少なくとも70%相同性であり、より好ましくは配列番号:2の位置31−303に示すポリペプチド配列と90%以上相同性である、(a)または(b)において定義された前記DNA配列、
(e) 配列番号:1中の位置23−1063に示すDNA配列を含んでなる二本鎖DNAプローブと低いストリンジェンシイにおいてハイブリダイズするDNA配列、
(f) 配列番号:2の残基1〜346、31〜346または31〜303のアミノ酸配列あるいは(e)のDNA配列のいずれかによりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列、および
(g) (a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)において特定されたDNA配列のフラグメントであるDNA配列、から成る群より選択される。
この明細書において、DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分について言及するときはいつでも、このような言及は、また、配列番号:1の中に表されているDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分を包含することを意図する。
したがって、用語「DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分」および「配列番号:1の中に表されているDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分」を互換的に使用することができる。
DNA配列は、ゲノム、cDNA、または合成由来またはそれらの任意の組合わせであることができる。
本発明は、また、配列番号:2の成熟部分として記載されたアミノ酸配列を有するホスホリパーゼAおよび/またはBの活性を示す酵素をコードし、遺伝暗号の縮退によって配列番号:1と異なる、クローン化されたDNA配列を包含する。
本発明の配列番号:1に示すDNA配列および/または類似体DNA配列を、ホスホリパーゼ活性を有する酵素を産生する糸状菌フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株、あるいはさらに後述する(「微生物源」の節を参照のこと)他のまたは関係する微生物からクローン化することができる。
また、類似の配列は配列番号:1のホスホリパーゼをコードする部分として表わされるDNA配列をベースとして構築することができ、例えば、それらのサブ配列であり、および/またはDNA配列によりコードされるホスホリパーゼの他のアミノ酸配列を生じないが、酵素の産生に意図される宿主微生物のコドンの使用に対応するヌクレオチドの置換を導入するか、あるいは異なるアミノ酸配列(すなわち、本発明のホスホリパーゼの変異型)を生ずることができるヌクレオチドの置換の導入によるか、あるいは異なるアミノ酸配列(すなわち、本発明のホスホリパーゼの変異型)を生ずることができるヌクレオチドの置換を導入することによって構築することができる。
ヌクレオチドの置換を実施するとき、アミノ酸の変化は好ましくは小さい特質を有する、すなわち、タンパク質の折りたたみまたは活性に有意に影響を与えない、保存的アミノ酸の置換;小さい欠失、典型的には1〜約30アミノ酸;小さいアミノ−またはカルボキシル−末端伸長、例えば、アミノ末端メチオニン残基;約20〜25残基までの小さいリンカーペプチド;または精製を促進する小さい伸長、例えば、ポリ−ヒスチジントラクト;抗原性エピトープまたは結合ドメインである。
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン;酸性アミノ酸、例えば、グルタミン酸およびアスパラギン酸;極性アミノ酸、例えば、グルタミンおよびアスパラギン;疎水性アミノ酸、例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン;芳香族アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン;および小さいアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオニンのグループの範囲内である。ヌクレオチドの置換の一般的説明については、例えば、下記の文献を参照のこと:Ford et al.、(1991)、「Protein Expression and Purification」2、95−107。
当業者にとって明らかなように、このような置換は分子の機能に対して重大である領域の外側で実施することができ、なお活性ポリペプチドを生じさせることができる。本発明のクローン化されたDNA配列によりコードされ、したがって、好ましくは置換に付されないポリペプチドの活性に対して必須のアミノ酸は、この分野において知られている手順、例えば、部位特異的突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発に従い同定することができる(例えば、CunninghamおよびWells、(4989)、「Science」244、1081−1085参照)。後者の技術において、突然変異は分子中のすべての残基に導入され、そして生ずる突然変異体分子を生物学的(すなわち、ホスホリパーゼ)活性について試験して、分子の活性に対して重大であるアミノ酸残基を同定する。基質−酵素の相互作用部位は、また、核磁気共鳴分析、結晶学または光アフィニティー標識化のような技術により決定される結晶構造により決定することができる(下記の文献を参照のこと:例えば、de Vos他、(1992)、「Science」255、306−312;Smith他、(1992)、「J.Mol.Biol.」224、899−904;Wlodaver他、(1992)、「FEBS Lett.」309、59−64)。
本発明のポリペプチドは、また、他のポリペプチドがポリペプチドのN−末端またはC−末端またはそのフラグメントに融合されている、融合ポリペプチドまたは切断可能な融合ポリペプチドを包含する。融合ポリペプチドは、他のポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部分)を本発明の核酸配列(またはその一部分)に融合することによって製造される。融合ポリペプチドを製造する技術はこの分野において知られており、そしてポリペプチドをコードするコード配列をそれらをインフレームであるようにかつ融合ポリペプチドの発現が1または2以上の同一プロモーターおよびターミネーターの制御下にあるように結合することを包含する。
本発明のDNA配列を、例えば、下記の文献に記載されているような、標準的クローン化技術を使用して、大腸菌(Escherichia coli)DSM No.11299株からクローン化することができる:Sambrook他、(1989)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.。
本発明は本発明のホスホリパーゼをクローン化する発現クローン化技術において使用するために適当なスクリーニングアッセイを開発するという問題を解決したので(題目「糸状菌ホスホリパーゼのクローン化のプロトコール」の節を参照のこと)、本発明のDNA配列は、今回、下記の工程を包含する一般的方法によりクローン化することができる:
・ 適当なベクターにおいて、問題のホスホリパーゼを産生することが期待される微生物からのcDNAライブラリーをクローン化し、
・ 適当な酵母宿主細胞を前記ベクターで形質転換し、
・ cDNAライブラリー中のクローンによりコードされる問題の酵素を発現させるために適当な条件下に、宿主細胞を培養し、
・ このようなクローンにより生産された酵素のホスホリパーゼ活性を測定することによって、陽性のクローンをスクリーニングし、そして
・ このようなクローンから酵素をコードするDNAを単離する。
また、本発明は糸状菌PLA酵素をコードするクローン化されたDNA配列を最初に提供するので、本発明のホスホリパーゼをコードするDNAは、よく知られている手順に従い、適当な源、例えば、「微生物源」の節に記載されている微生物から、本明細書において開示するDNA配列をベースとして製造された合成オリゴヌクレオチドのプローブを使用して好都合にクローン化することができる。例えば、適当なオリゴヌクレオチドのプローブは配列番号:1に表すヌクレオチドの置換のホスホリパーゼをコードする部分またはそれらの任意の部分列をベースとして、あるいはアミノ酸配列配列番号:2をベースとして製造することができる。
さらに、本発明のクローン化されたDNA配列は本発明によるホスホリパーゼ活性を有するポリペプチドをコードするので、本発明のホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドは、また、ホスホリパーゼ活性を有するポリペプチドをコードする本発明のクローン化されたDNA配列についての本発明の態様である。結局、前記ホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドの参照および好ましいおよび最も好ましい態様は、また、本発明のクローン化されたDNA配列に関する。
したがって、本発明の態様は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼがホスホリパーゼA1である、本発明によるクローン化されたDNA配列に関する。
他の態様において、本発明によるクローン化された配列は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼがホスホリパーゼA2である、クローン化されたDNA配列であり、そしてなお他の態様において、本発明によるクローン化された配列は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼがホスホリパーゼBである、クローン化されたDNA配列である。
好ましくは、本発明による前記クローン化されたDNA配列は、ホスホリパーゼA1活性を有するポリペプチドをコードする。
さらに、本発明は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼがCa2+濃度に対して実質的に独立である、本発明によるクローン化されたDNA配列に関し、前記Ca2+濃度は、
37℃において10分間インキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を測定するホスホリパーゼ活性のアッセイにおいて5mMのEDTAおよび5mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性として測定され、ここで5mMのEDTA/5mMのCa2+における相対ホスホリパーゼ活性の比は0.25より大きく、より好ましくは0.5より大きい。
なおさらに、本発明は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが、下記のようにして単層ホスホリパーゼアッセイにおいて測定して、60μgの酵素投与量、25℃において少なくとも0.25nmol/分、より好ましくは60μgの酵素投与量、25℃において少なくとも0.40nmol/分であるホスホリパーゼ活性を有する、本発明によるクローン化されたDNA配列に関する:
a. 緩衝溶液(10mMのTRIS、pH8.0、25℃)の完全に精製された表面上の単層装置(ゼロ次トラフ)において、リン脂質DDPC〔ジ デカノイル(Dicanoyl)(C10)ホスファチジルコリン〕の単層をクロロホルム溶液から広げ、
b. 単層を緩和させた(クロロホルムを蒸発させた)後、ほぼ63Å2/分子のDDPCの平均分子面積に対応して、表面圧力を15mN/mに調節し、
c. 60μgの酵素を含有する緩衝溶液(前述)を単層を通して「ゼロ次トラフ」中の反応区画室(面積1520mm2および体積30400mm3を有するシリンダー)の部分相の中に注入し、
d. 不溶性基質分子がより水溶性の反応生成物に加水分解されるとき、一定の表面圧力を維持するために、単層を圧縮する移動性バリヤーの速度により酵素活性を測定し、ここで酵素により1分当たり加水分解されるDDPC−分子の数をDDPCの平均分子面積(MMA)から推定する。
他の態様において、本発明は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが、少なくとも7μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素、より好ましくは少なくとも15μmolの遊離脂肪酸/分/mgの酵素を解放することができるホスホリパーゼ活性を有するホスホリパーゼである、本発明によるクローン化されたDNA配列に関し、前記ホスホリパーゼ活性は、37℃において10分間インキュベートし、次いで95℃において5分間反応を停止する、2%のレシチン、2%のTriton X−100、20mMのクエン酸塩を含んでなる緩衝液、pH5、中のレシチンからの遊離脂肪酸の解放を測定するアッセイにおいて測定される。
他の態様において、本発明は下記のクローン化されたDNA配列に関する:
前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが、本発明の方法に従い食用油の酵素的脱ガム化を実施して、少なくとも50ppmの非水和性リン含量を含む食用油中のリン含有成分の量を減少させることができる、本発明によるクローン化されたDNA配列;および
前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが、水−脱ガム化された食用油(50〜250ppmのリン含量を有する)の酵素的脱ガム化を実施し、これにより前記油のリン含量を11ppmより低く減少させることができ、ここで酵素的脱ガム化プロセスが前記油をpH1.5〜8においてホスホリパーゼの水溶液と接触させ、これを前記油のリン含量が11ppmより低く減少するまで前記油中で乳化させ、次いで水性相を処理された油から分離することからなる、本発明によるクローン化されたDNA配列。
好ましくは、本発明によるクローン化されたDNA配列は、前記DNA配列によりコードされるホスホリパーゼが、2mgより少ないホスホリパーゼ(乾燥物質)/kgの油を使用することによって水−脱ガム化された食用油の前記酵素的脱ガム化を実施することができ、そして前記ホスホリパーゼを前記油と15分〜2時間の間接触させる、クローン化されたDNA配列である。
糸状菌ホスホリパーゼをクローン化するプロトコール
本発明のホスホリパーゼを単離するか、あるいはそれをコードするポリヌクレオチドをクローン化しようと試みるとき、多数の困難に直面した。酵素を単離することは不可能であるように思われ、そしてポリヌクレオチドをクローン化するという問題が追求された。
本明細書において記載するように、糸状菌ホスホリパーゼAをコードする先行技術のDNA配列は入手可能ではなかった。結局、本発明は、酵母技術において発現クローン化に基づくクローン化戦略を開発した(H.Dalboege他、「Mol.Gen.Genet.」(1994)243:253−260;WO93/11249号;およびWO94/14953号)。
この技術に直面した主要な問題は、酵母がプレートアッセイに対してホスホリパーゼのバックグラウンドを生ずる内部活性を産生することであった。このバックグラウンドはアッセイプレート中の基質の量に対して高度に依存性であることが見出され、したがって、バックグラウンドが発現クローン化スクリーニング手法の間においてアッセイが信頼性であるために十分に低いけれども、反応が起こるのに十分に高いレベルに、基質の量を注意して滴定しなくてはならなかった。
さらに、糸状菌株は一般に多数の異なるリパーゼを含み、それらのいくつかは制限されたホスホリパーゼ活性を示す。このようなリパーゼは本明細書において「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」として定義される(本明細書における「定義」の節を参照のこと)。
プレートアッセイにおいて、このようなホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼのバックグラウンドは、また、アッセイプレートにおける基質の量に対して高度に依存性であることが見出され、したがって、酵母細胞および糸状菌の双方のホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼからバックグラウンドの活性を排除するように、基質の量をいっそう注意して滴定しなくてはならなかった。
最初に、基質を注意して選択しなくてはならないことが見出された。なぜなら、ホスホリパーゼ活性をもたないリパーゼは、基質に対して反応することができたので、試験した多数のホスホリパーゼ基質はバックグラウンドの活性を与えたからである。したがって、極めて多い数の基質を試験し、滴定して、適当な基質を同定しなくてはならなかった。
ホスホリパーゼをコードするポリヌクレオチドの発言クローン化の実施を可能とすることが見出されたた解決法は、注意してモニターした濃度でリポイド(Lipoid)E80(Lipoid GmbHから)を使用することであった。本明細書における材料および方法の節において、前述の問題を解決するプレートアッセイを含む、酵母のプロトコールにおける完全な発現クローン化の詳細な説明が開示されている。DNA配列の相同性/同一性
前述のDNA配列の相同性/同一性は、第1配列から第2配列への偏りを示す2つの配列の間の同一性の程度として決定される。相同性は、この分野において知られているコンピュータープログラム、例えば、GCGプログラムパッケージで提供されるGAPにより適当に決定することができる(Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8、Augst 1994、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wisconsin,USA 53711)(Needleman、S.B.およびWuncsh、C.D.、(1979)、「Journal of Molecular Biology」、48、443−453)。DNA配列の比較のための下記の設定を有するGAPを使用する:5.0のGAPクリエーション・ペナルティーおよび0.3のGAP発現ペナルティー、DNA配列コーディング領域は、配列番号:1に示すDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分(すなわち、配列番号:1中の位置23−1063)と;より好ましくは配列番号:1中の位置113−1063に示すDNA配列(成熟酵素のN−末端の残基に対応する位置113)と;なおより好ましくは配列番号:1中の位置23−929に示すDNA配列(C−末端のプロセシング、分泌された活性酵素中のC−末端の残基に対応する位置929)と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%の同一性の程度を示す。
ハイブリダイズ
前述のハイブリダイズは類似のDNA配列を含むことを意図し、前記類似のDNA配列は、配列番号:1に示すDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分、すなわち、ヌクレオチド23−1063に対応する二本鎖DNAプローブと、より好ましくは配列番号:1中の位置113−1063に示すDNA配列(成熟酵素のN−末端の残基に対応する位置113)に対応する二本鎖DNAプローブと、なおより好ましくは配列番号:1中の位置23−929に示すDNA配列(C−末端のプロセシング、分泌された活性酵素中のC−末端の残基に対応する位置929)に対応する二本鎖DNAプローブと、下記において詳細に説明するように、少なくとも低いストリンジェンシイの条件下に、ハイブリダイズする。
ヌクレオチドのプローブと、相同性DNAまたはRNAとの間の、低い、中程度、または高いストリンジェンシイにおけるハイブリダイズを決定するために適当な実験的条件は、DNAフラグメントまたはRNAを含有するフィルターを前ソーキングして5×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム、Sambrook他、1989)中で10分間ハイブリダイズし、5×SSC、5×デンハルト溶液(Sambrook他、1989)、0.5%のSDSおよび100μg/mlの変性超音波処理したサケ精子DNA(Sambrook他、1989)の溶液中でフィルターをプレハイブリダイズし、次いで10ng/mlのランダム−プライムド(Feinberg、A.P.およびVogelstein、B.(1983)「Anal.Biochem.」132:6−13)、32P−dCTP−標識化(比活性>1×109cpm/μg)プローブを含有する同一溶液中で約45℃において12時間ハイブリダイズすることを包含する。次いで、フィルターを2×SSC、0.5%のSDS中で30分間、少なくとも55℃(低いストリンジェンシイ)、より好ましくは少なくとも60℃(中程度のストリンジェンシイ)、なおより好ましくは少なくとも65℃(中程度/高いストリンジェンシイ)、なおより好ましくは少なくとも70℃(高いストリンジェンシイ)、なおより好ましくは少なくとも75℃(非常に高いストリンジェンシイ)の温度において2回洗浄する。
これらの条件下にオリゴヌクレオチドのプローブがハイブリダイズする分子は、X線フィルムを使用して検出される。
2つの所定のDNA配列がある種の特定した条件下にハイブリダイズするか否かを理論的に予測できることが見出された。
したがって、前述の実験的方法に対する別法として、類似のDNA配列が前述のヌクレオチドのプローブにハイブリダイズするか否かの決定は、既知の配列を有する2つの異種DNA配列が特定した条件下に(例えば、カチオン濃度および温度に関して)ハイブリダイズするTm(溶融温度)の理論的計算に基づくことができる。
異種DNA配列のための溶融温度(Tm(ヘテロ))を決定するために、相同DNA配列のための溶融温度(Tm(ホモ))を最初に決定することが必要である。
2つの完全に相補的なDNA鎖(ホモ二本鎖の形成)の間の溶融温度(Tm(ホモ))を、下記の式を使用して決定することができる:
Tm(ホモ)=81.5℃+16.6(logM)+0.41(GC%)−0.61(form%)−500/L(「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、1995)、ここで、
「M」は、洗浄緩衝液中のカチオンのモル濃度である。
「GC%」は、DNA配列中の塩基の合計数のグアニン(G)およびシトシン(C)の%である。
「form%」は、洗浄緩衝液中のホルムアミドの%である。
「L」は、DNA配列の長さである。
この式および前述の実験の洗浄条件を使用して、配列番号:1に示すDNA配列、すなわち、ヌクレオチド23−1060に対応するヌクレオチドのプローブのホモ二本鎖の形成のためのTm(ホモ)は、下記の通りである:
Tm(ホモ)=81.5+16.6(log0.30)+0.41(56)−0.61(0)−(500/1038)
Tm(ホモ)=103.5℃。
「M」:2×SSCは0.3Mのカチオン濃度に相当する。
「GC%」:配列番号:1の位置23−1060中のGC%は56%である。
「form%」:洗浄緩衝液の中にホルムアミドは存在しない。
「L」:配列番号:1の長さ配列番号:1位置23−1063 1038bp。
上記の式により決定されたTmは、2つの完全に相補的なDNA配列の間のホモ二本鎖の形成のTm(Tm(ホモ))である。Tm値を2つの異種DNA配列のTmに適合させるために、2つの異種配列の間のヌクレオチド配列の1%の差はTmの1℃の減少に等しいと仮定する(「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、1995)。したがって、異種二本鎖の形成についてのTm(ヘテロ)は、問題の類似の配列と前述のヌクレオチドのプローブとの間の相同性%の差をTm(ホモ)から減ずることによって見出される。減ずべきDNAの相同性の百分率は、本明細書において記載するように計算される(下文参照)。
アミノ酸配列に対する相同性
前述のポリペプチドの相同性は、第1配列の第2配列からの偏りを示す、2つの配列の同一性の程度として決定される。相同性は、この分野において知られているコンピュータープログラム、例えば、GCGプログラムパッケージで提供されるGAPにより適当に決定することができる(Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8、Augst 1994、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wisconsin,USA 53711)(Needleman、S.B.およびWuncsh、C.D.、(1970)、「Journal of Molecular Biology」、48、443−453)。ポリペプチド配列の比較のための下記の設定を有するGAPを使用する:3.0のGAPクリエーション・ペナルティーおよび0.1のGAP発現ペナルティー、類似のDNA配列によりコードされるポリペプチドの成熟部分は、配列番号:2に示すアミノ酸配列の成熟部分、すなわち、配列番号:2中の位置31−346と、より好ましくは配列番号:2の位置31−303に示すアミノ酸配列(位置303はC−末端のプロセシング、分泌された活性酵素中のC−末端の残基である)と、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも97%の同一性の程度を示す。
本発明は、また、配列番号:2に記載するアミノ酸配列の成熟部分と3以下のアミノ酸、好ましくは2以下のアミノ酸、より好ましくは1以下のアミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を有するホスホリパーゼの変異型に関する。
さらに、前述の好ましいアミノ酸の同一性は、また、ホスホリパーゼ活性を示し、かつ配列番号:2の位置31−346に示すポリペプチド配列と少なくとも70%の相同性、より好ましくは配列番号:2の位置31−303を構成するポリペプチド配列と少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドをコードする、本発明のクローン化されたDNA配列の類似体に関連する。
免疫学的交差反応性
免疫学的交差反応性を決定するとき使用すべき抗体は、精製されたホスホリパーゼを使用して製造することができる。さらに詳しくは、下記の文献に記載されている手順に従い、ウサギ(または他の齧歯類)を免疫化することによって、本発明のホスホリパーゼに対して抗血清を発生させることができる:N.Axelsen他、「A Manual of Quantitative Immnunoelectrophoresis」、Blackwell Scientific Publications、1973、Chapter 23、またはA.JohnstoneおよびR.Thorpe、「Immunochemistry in Practice」、Blackwell Scientific Publications、1982(さらに詳しくは、p.27−31)。得られた抗血清から、例えば、塩沈降((NH42SO4)、引き続く透析およびイオン交換クロマトグラフィー、例えば、DEAE−Sephadexのイオン交換クロマトグラフィーにより、精製された免疫グロブリンを単離することができる。タンパク質の免疫化学的特性決定は、アウトシェルロニイ(Outcherlony)二重拡散分析(O.Ouchterlony、「Handbook of Experimental Immunology」(D.M.Weir、編)、Blackwell Scientific Publications、1967、pp.655−706)、交差免疫電気泳動(N.Axelsen他、前記、Chapter 3および4)、またはロケット免疫電気泳動(N.Axelsen他、Chapter 2)により、実施することができる。
微生物源
本発明の優先権主張日において、下記において適用した分類学は、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)NCBI分類学ブラウサー(browser)に従う。
本発明のホスホリパーゼ活性を有する単離されたポリペプチドおよび対応するクローン化されたDNA配列は、任意の微生物、好ましくは糸状菌、酵母細胞、または細胞から得ることができる。
好ましくは、本発明のホスホリパーゼおよび対応するクローン化されたDNA配列は糸状菌株から得ることができ、ここで好ましい門は子嚢菌門(Ascomycota)であり、ここで好ましい網は好ましいアカツグダケ科(Nectriaceae)を含む核菌網(Pyrenomycetes)である。
より好ましくは、本発明のホスホリパーゼおよび対応するクローン化されたDNA配列は、フザリウム(Fusarium)属の株、例えば、フザリウム・クルモラム(F.culmorum)、フザリウム・ヘテロスポラム(F.heterosporum)、またはフザリウム・ソラニ(F.Solani)の株、特にフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)の株から得ることができる。
さらに、本発明のホスホリパーゼおよび対応するクローン化されたDNA配列は、アスペルギルス(Aspergillus)属の範囲内の株、例えば、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、特にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の株から得ることができる。
本発明のホスホリパーゼを得ることができるフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株の単離物は、特許手続きの目的のための微生物の寄託の国際的承認についてのブダベスト条約の規定に従いドイツ国の微生物株保存機関(Deutche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH.、Mascheroder Weg 1b、D−38124 Braunschweig、ドイツ国(DSM))に寄託された。
寄託日 :1983年6月6日
寄託番号 :NN014759
DSM No. :フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)
DSM No.2672
さらに、本発明のホスホリパーゼをコードする全長のcDNA配列からなる発現プラスミドpYES2.0は大腸菌(Escherichia coli)の株の中に形質転換され、特許手続きの目的のための微生物の寄託の国際的承認についてのブダベスト条約の規定に従いドイツ国の微生物株保存機関(Deutche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Mascheroder Weg 1b、D−38124 Braunschweig、ドイツ国(DSM))に寄託された。
寄託日 :1996年11月25日
寄託番号 :NN049279
DSM No. :大腸菌(Escherichia coli)
DSM No.11299
発現ベクター
本発明の発現ベクターは組換えDNA手順に好都合に付される任意の発現ベクターであることができ、ベクターの選択はベクターを導入すべき宿主細胞にしばしば依存する。したがって、ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外の実在物として存在するベクターであることができ、その複製は染色体の複製、例えば、プラスミドに対して独立である。また、ベクターは、宿主細胞の中に導入されたとき、宿主細胞の遺伝子操作の中に組込まれ、それが組込まれた染色体と一緒に複製されるものであることができる。
発現ベクターにおいて、ホスホリパーゼをコードするDNA配列は適当なプロモーターおよびターミネーターの配列に作用可能に接続されているべきである。プロモーターは選択した宿主細胞においてホスホリパーゼ活性を示す任意のDNA配列であることができ、そして宿主細胞に対して相同または異種であるタンパク質をコードする遺伝子から誘導することができる。ホスホリパーゼをコードするDNA配列、プロモーターおよびターミネーターを結合し、そしてそれらを適当なベクターの中に挿入する手順は当業者によく知られている(例えば、Sambrook他、(1989)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor、NY、を参照のこと)。
糸状菌の宿主細胞において使用するために適当なプロモーターの例は、例えば、ADH3プロモーター(McKnight他、「The EMBO J.」、4(1985)、2093−2099)またはtpiAプロモーターである。他の有用なプロモーターの例は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(gluA)、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アルカリ性ホスファターゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)トリオースホスフェートイソメラーゼまたはアスペルギルス・ニヅランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼをコードする遺伝子に由来する。
宿主細胞
本発明は、また、本発明の核酸配列を含む組換え宿主細胞に関し、前記細胞はホスホリパーゼの組換え生産において好都合に使用ことができる。用語「宿主細胞」は、複製の間に起こる突然変異のために親細胞と同一ではない親細胞の子孫を包含する。
細胞は好ましくは本発明の核酸配列を含んでなるベクターで形質転換され、次いでベクターは宿主染色体の中に挿入される。
「形質転換」は、ベクターが染色体の組込み体として、または自己複製する染色外ベクターとして維持されるように、本発明の核酸配列を含んでなるベクターを宿主細胞の中に導入することを意味する。核酸配列は細胞において安定に維持された可能性が高いので、組込みは一般に有利であると考えられる。宿主染色体の中へのベクターの組込みは、前述したように相同的または非相同的組換えにより起こることがある。
好ましい態様において、宿主細胞は真菌細胞である。「真菌」は、本明細書において使用するとき、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、ツボカビ門(Chytridomycota)、および接合菌門(Zygomycota)(Hawksworth他、「In、Ainsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi」、第8版、1995、CAB International、University Press、英国ケンブリッジ、において定義されている)ならびに卵菌門(Oomycota)(Hawksworth他、1995、上記、p.171、に記載されている)およびすべての有糸分裂性真菌(Hawksworth他、1995、上記)を包含する。子嚢菌門(Ascomycota)の代表的なグループは、例えば、ニューロスポラ(Neurospora)、エウペニシリウム(Eupenicillium)(=Penicillium)、エメリセラ(Emericella)(=Aspergillus)、ユーロチウム(Eurotium)(=Aspergillus)、および前述の真の酵母を包含する。担子菌門(Basidiomycota)の例は、キノコ菌、銹病菌、およびクロボ病菌を包含する。ツボカビ門(Chtridomycota)の代表的なグループは、例えば、アロミセス(Allomyces)、ブラクトクラヂエラ(Blastocladiella)、セロモミセス(Coelomomyces)、および水生菌類を包含する。卵菌門(Oomycota)の代表的なグループは、例えば、サプロレグニオミセタス(saprolegniomycetous)水生菌類(水かび)、例えば、アキリア(Achlya)を包含する。栄養胞子性真菌の例は、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、カンジダ(Candida)、およびアルテルナリア(Alternaria)を包含する。接合菌門(Zygomycota)の代表的なグループは、例えば、リゾプス(Rhizopus)およびムコル(Mucor)を包含する。
好ましい態様において、真菌の宿主細胞は糸状菌の細胞である。「糸状菌」は、再分割真菌門(Eumycota)および卵菌門(Oomycota)のすべての糸状形態を包含する(Hawksworth他、1995、上記、により定義されている)。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、および他の複雑な多糖類から構成された栄養菌糸により特徴づけられる。栄養増殖は菌糸の伸長により、そして炭素の異化は偏性好気性である。対照的に、酵母、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)による栄養増殖は単細胞の葉状体の発芽により、そして炭素の異化は発酵性である。より好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞は下記の種の細胞であるが、これらに限定されない:アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、フザリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、ムコル(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocadium)、およびトリコデルマ(Trichoderma)またはそれらのテレオモルフまたはシノニム。なおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はアスペルギルス(Aspergillus)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はアクレモニウム(Acremonium)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はフザリウム(Fusarium)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はフミコラ(Humicola)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はムコル(Mucor)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はミセリオフトラ(Myceliophthora)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はニューロスポラ(Neurospora)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はペニシリウム(Penicillium)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はチエラビア(Thielavia)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はトリポクラジウム(Tolypocadium)の細胞である。他のなおいっそう好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はトリコデルマ(Trichoderma)の細胞である。最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞は、アルペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はディスカラー(Discolor)のセクションのフザリウム(Fusarium)細胞である(フザリウム(Fusarium)のセクションとしても知られている)。他の好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はエレガンス(Elegans)のセクションのフザリウム(Fusarium)株、例えば、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はフミコラ・インソレンス(Humicola insolens)またはサーモミセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はリゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はミセリオフトラ・サーミフィルム(Myceliophthora thermophilum)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)の細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状菌の宿主細胞はチエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)の細胞である。他の最も好ましい態様において、トリコデルマの細胞はトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーシエ(Trichoderma reesie)またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)の細胞である。
真菌の細胞は、それ自体知られている方法におけるプロトプラストの形成、プロトプラストの形質転換、および細胞壁の再生を包含するプロセスにより形質転換することができる。アスペルギルス(Aspergillus)宿主細胞の形質転換に適当な手順は、EP238,023号およびYelton他、1984、「Proceeding of the National Acaddemy of Sciences USA」81:1470−1474に記載されている。フザリウム(Fusarium)種を形質転換する適当な方法は、Malardier他、1989、「Gene」78:147−156または同時継続米国出願第08/269,449号に記載されている。酵母は下記の文献に記載されている手順を使用して形質転換することができる:BeckerおよびGuarente、In Abelson、J.N.およびSimon、M.I.、編、「Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Methods in Enzymology」、Vol.194、pp.182−187、Academic Press,Inc.、New York;Ito他、1983、「Journal of Bacteriology」153:163;およびHinnen他、1978、「Proceeding of the National Acaddemy of Sciences USA」75:1920。哺乳動物細胞は、GrahamおよびVan der Ed(1978、「Virology」52:546)のリン酸カルシウム沈澱法による直接的吸収により形質転換することができる。
ホスホリパーゼを生産する方法
本発明は、酵素の産生を可能とする条件下に、酵素をコードするDNA配列で形質転換された適当な宿主細胞を培養し、そして生ずる酵素を培養物から回収する、本発明による単離された酵素を製造する方法を提供する。
酵素をコードするDNA配列を含んでなる発現ベクターを異種宿主細胞の中に形質転換するとき、本発明の酵素の異種組換え製造を可能とすることができる。
これにより、相同的不純物を含有しないことを特徴とする、高度に精製されたホスホリパーゼ組成物を得ることができる。
本発明において、相同宿主細胞はフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の株であることができる。
形質転換された宿主細胞を培養するために使用する培地は、問題の宿主細胞の成長に適当な任意の慣用の培地であることができる。発現されたホスホリパーゼは好都合に培地の中に分泌され、そしてよく知られた手順により培地から回収することができ、例えば、遠心または濾過により培地から細胞を分離し、硫酸アンモニウムのような塩により培地からタンパク質成分を沈降させ、次いでクロマトグラフィー手順、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、またはその他により培地から回収することができる。
ホスホリパーゼの使用
高い量の非水和性リンを含む食用油を酵素的脱ガム化する本発明の新規な方法におけるホスホリパーゼの使用の外に、ホスホリパーゼの多数の他の使用がこの分野において知られている。
ホスホリパーゼのこのようなこの分野において知られている使用/用途を後述する。
本発明のホスホリパーゼは、リン脂質またはリゾリン脂質、例えば、レシチンまたはリゾレシチンの脂肪族アシル基を加水分解しようとする、任意の用途において使用することができる。好ましくは、ホスホリパーゼはpH3〜10および30〜70℃(特に40〜60℃)において使用される。必要に応じて、ホスホリパーゼを、反応後、それを、例えば、pH7、80℃において1時間、あるいは90℃において10分間熱処理することによって不活性化することができる。
1例として、本発明のホスホリパーゼを、たとえば、パンまたはケーキの弾性を改良するために、練り粉、パンおよびケーキの製造に用いることができる。
このように、本発明のホスホリパーゼを練り粉(dough)の成分に添加し、練り粉を混練し、焼いてパンを製造する方法において、本発明のホスホリパーゼを使用することができる。これは米国特許第4,567,046号(協和発酵)、特開昭60−78529号(キューピー Corp.)、特開昭62−111629号(キューピー Corp.)、特開昭63−258528号(キューピー Corp.)またはEP426211号(Unilever)と同様に実施することができる。
本発明のホスホリパーゼは、リン脂質を含有する炭水化物由来の水性溶液またはスラリーをホスホリパーゼで処理することによって、その濾過性を改良するためにも使用することができる。これは、特に、澱粉の加水分解物、特にコムギ澱粉の加水分解物を含有する溶液またはスラリーに適用可能である。なぜなら、これは濾過が困難でありかつ曇った濾過液を与える傾向があるからである。この処理はEP219,269号(CPC International)と同様に実施することができる。
さらに、本発明のホスホリパーゼは、改良されたリン脂質の乳化剤を得るために、リン脂質、好ましくはレシチンを部分的加水分解するために使用することができる。この用途は、さらに、それに関するLecitase(商標)(Novo Nordisk A/S)の製品のカタログ、およびウルマンのUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(発行所:VCH Weinheim(1996))に記載されている。
さらに、本発明のホスホリパーゼは、ホスホリパーゼを飼料物質および少なくとも1つのリン脂質と混合することからなる、動物飼料を製造する方法において使用することができる。これはEP743,017号と同様に実施することができる。
この分野において知られている手順に従う植物油/食用油の脱ガム化
この分野において知られている手順に従い、食用油をホスホリパーゼで処理してリン脂質の主要部分を加水分解し、そして加水分解されたリン脂質を含有する水性相を前記油から分離することからなる、食用油中のリン脂質の含量を減少する方法において、本発明のホスホリパーゼを使用することができる。このプロセスは、リン脂質を含有する任意の食用油、例えば、植物油、例えば、大豆油、ナタネ油、およびヒマワリ油の精製に適用可能である。
酵素処理の前に、植物油を前処理して、例えば、湿式精製により、粘液(物質粘)を除去することが好ましい。典型的には、油はホスホリパーゼを使用する処理の開始において、リン脂質として55〜250ppmのリンを含有するであろう、そして本発明の方法はこの値を11ppm以下、より好ましくは5ppm以下に減少させることができる。
酵素処理は、ホスホリパーゼの水溶液を、好ましくは10μ(マイクロ)m以下の平均直径の液体粒子として、分散させることによって実施される。水の量は油に関して好ましくは0.5〜5重量%である。必要に応じて、乳化剤を添加することができる。機械的撹拌を加えてエマルジョンを維持することができる。
酵素処理は、1.5〜8の範囲の任意のpHにおいて実施することができる。pHはクエン酸、クエン酸塩の緩衝剤またはHClの添加により調節可能である。
適当な温度は、一般に30〜70℃(特に40〜60℃)である。反応時間は典型的には0.5〜12時間(例えば、2〜6時間)であり、そして酵素の適当な投与量は通常100〜5000IU/lの油、特に200〜2000IU/lであろう。
酵素処理は、バッチ式に、例えば、撹拌しながらタンク中で実施することができるか、あるいはそれは連続的に、例えば、1連の撹拌されたタンクの反応器中で実施することができる。
酵素処理後、水性相と油相との分離を行う。この分離は慣用手段、例えば、遠心により実施することができる。
他の面において、このプロセスはこの分野において知られている原理に従い、例えば、下記の文献に記載されているように実施することができる:米国特許第5,264,367号(Metallgeselschaft、R hm);K.Dahlke & H.Buchold、「INFORM」、6(12)、1284−91(1995);H.Buchold、「Fat Sci.Technol.」、95(8)、300−304(1993);特開平2−153997号(昭和産業);またはEP654,527号
Figure 0003824174
ベーキングにおける本発明のホスホリパーゼの使用
本発明のホスホリパーゼは、また、パンまたは他の焼かれた製品の性質を改良するためにパンまたは他の焼かれた製品の製造プロセスの間に粉または練り粉に通常添加される、パン改良添加剤、例えば、練り粉組成物、練り粉添加剤、練り粉コンディショナー、プレミックス、および同様な調製物において使用することができる。
したがって、本発明の態様は、パン改良および/または練り粉改良組成物に関し、さらに、このような組成物における本発明のホスホリパーゼの使用、および本発明のパン改良および/または練り粉改良組成物を含んでなる練り粉または焼かれた製品に関する。
本発明の関係において、用語「パン改良組成物」および「練り粉改良組成物」は、酵素成分に加えて、練り粉および/または焼かれた製品の性質を改良するために通常使用される他の物質を含むことができる、組成物を示すことを意図する。このような成分の例を下に示す。
本発明の関係において、用語「改良された性質」は、本発明のホスホリパーゼ酵素の作用により改良することができる性質を示すことを意図する。特に、ホスホリパーゼを使用すると、焼かれた製品の体積が増加しかつパンの中身の構造が改良され、品質変化の防止性が得られ、ならびに練り粉の強度、サザンブロットが増加しかつ粘着性が減少し、これにより機械加工性が改良される。練り粉に対する効果は、低い品質の粉を使用したとき、特にすぐれることが見出された。この機械加工性の改良は、工業的にプロセシングすべき練り粉と関連して、特に重要である。
性質の改良は、本発明によるホスホリパーゼを添加しないで製造された練り粉および/または焼かれた製品との比較により評価される。
本発明のパン改良および/または練り粉改良組成物は、他の酵素をさらに含むことができる。他の酵素の例は下記の通りである:セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ(練り粉の伸長性を増加するペントサンの部分的加水分解に有効である)、グルコースオキシダーゼ(練り粉の強化に有効である)、リパーゼ(練り粉を軟化するために練り粉または練り粉成分の中に存在する脂質の変性に有効である)、ペルオキシダーゼ(練り粉のコンシステンシーの改良に有効である)、プロテアーゼ(特に固いコムギ粉を使用するとき、グルテンの弱化に有効である)、ペプチダーゼおよび/またはアミラーゼ、例えば、α−アミラーゼ(酵母により発酵可能な糖類を提供するために有効である)。
他の酵素成分に加えて、またはそれらの代替物として、練り粉改良および/またはパン改良組成物は通常に使用されているベーキング剤、例えば、下記の成分1または2以上を含むことができる:
ミルク粉末(表面の色を提供する)、グルテン(弱い粉のガス保持力を改良するため)、乳化剤(練り粉の伸長性を改良しかつ生ずるパンのコンシステンシーをある程度改良するため)、粒状化された脂肪(練り粉の軟化およびコンシステンシーのため)、酸化体(グルテン構造を強化するために添加される;例えば、アスコルビン酸、臭素酸カリウム、ヨウ素酸カリウムまたは過硫酸アンモニウム)、アミノ酸(例えば、システイン)、糖、および塩(練り粉を固くするために、例えば、塩化ナトリウム、酢酸カルシウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸カルシウム)、粉または澱粉)。
適当な乳化剤の例は、モノグリセリドまたはジグリセリド、モノグリセリドまたはジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、モノグリセリドの乳酸エステル、モノグリセリドの酢酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、リン脂質およびレシチンである。
本発明の関係において、用語「焼かれた製品」は、柔らかいか、あるいはさくさくした特性の、練り粉から製造された任意の製品を包含することを意図する。白色、淡いまたは暗色であり、好都合には本発明により製造することができる、焼かれた製品の例は、典型的には一塊またはロールの形態の、パン(特に白色、完全小麦粉またはライムギのパン)、フレンチバゲット型のパン、ピタパン、タコス、ケーキ、パンケーキ、ビスケット、かりかりするパンおよびその他である。
本発明の練り粉は前述の型の任意のものであり、かつ新鮮であるか、あるいは凍結されていることができる。
上記の開示から明らかなように、本発明の練り粉は通常発酵を起こさせた練り粉または発酵すべき練り粉である。練り粉は種々の方法で、例えば、重炭酸ナトリウムまたはその他を添加するか、あるいはパン種(発酵している練り粉)を添加することによって発酵させることができるが、適当な酵母培養物、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(パン酵母)の培養物の添加により練り粉を発酵させることができる。商業的に入手可能なサッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)の任意のものを使用することができる。
最終の態様において、本発明は、好ましくはマカロニコムギ粉または匹敵する品質の粉から製造された、パスタ練り粉を製造するための本発明のホスホリパーゼの使用に関する。慣用技術および前述したものに類似する投与量でホスホリパーゼを使用することによって、練り粉を製造することができる。ホスホリパーゼは好ましくは微生物由来、例えば、本明細書において開示した由来のものである。パスタの製造において使用するとき、ホスホリパーゼはグルテン構造を強化し、こうして、練り粉の粘着性を減少しかつ練り粉の強度を増加させると考えられる。
本発明の酵素のリパーゼ活性の使用
本明細書における実施例において示すように、本発明のホスホリパーゼはリパーゼ活性をさらに示す。
したがって、本発明は、リパーゼの標準的使用において、特にクリーニングおよび洗剤組成物において使用するための、このリパーゼ活性の使用に関する。このようなクリーニングおよび洗剤組成物はこの分野においてよく記載されており、そして適当なクリーニングおよび洗剤組成物のそれ以上の説明については、WO96/34946号、WO97/07202号およびWO95/30011号を参照のこと。
下記の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例はいかなる方法おいても本発明の範囲を限定することを意図しない。
材料および方法
寄託された微生物:
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)DSM
No.2672は、本発明のホスホリパーゼをコードするDNA配列を含んでなる。
大腸菌(Escherichia coli)DSM11299は、シャトルベクターpYES2.0中の、本発明のホスホリパーゼをコードする、全長のcDNA配列を含んでなるプラスミドを含有する。他の株:
酵母株:使用したサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、W3124であった(MATa;ura 3−52;leu 2−3、112;his 3−D200;pep 4−1137;prcl::HIS3;prb1::LEU2:cir+)。
大腸菌(E.coli)株:DH10B(Life Technologies)
プラスミド:
アスペルギルス(Aspergillus)発現ベクターpHD414は、プラスミドp775の誘導体である(EP238,023号に記載されている)。pHD414の構築は、WO93/11249号にさらに記載されている。
pYES2.0(Invitrogen)
pA2PH10(実施例7参照)
一般的分子生成学の方法
特記しない限り、DNAの操作および形質転換は分子生物学の標準的方法を使用して実施した(Sambrook他、(1989)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor、NY;Ausubel、F.M.他(編)「Current protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、1995;Harwood、C.R.およびCutting、S.M(編)「Molecular Biological Methods for Bacillus」、John Wiley and Sons、1990)。
DNAの操作のための酵素は、供給会社の規格書に従い使用した。
DNAの操作のための酵素
特記しない限り、DNAの操作のためのすべての酵素、例えば、制限エンドヌクレアーゼ、リガーゼおよびその他は、ニュー・イングランド・バイオラブス・インコーポレーテッド(New England Biolabs Inc.)から入手した。
NEFA−c試験をベースとするホスホリパーゼ活性のアッセイ
基質:L−α−リゾホスファチジルコリン(Sigma)。
基質:大豆レシチン(Sigma #P3644)。ホスホリパーゼA活性を測定するために使用する。
Nefa−c試験キットは、ワコ・ケミカルス・ジャーマニー(Wako Chemicals Germany)から入手した。
緩衝液:20mMのNaOAc pH4.5。
基質溶液:1mlのミリQ水および1mlの緩衝液中の10mgの基質(すべての試料に対して十分な基質溶液を調製する)。
1. 15μlの酵素を150μlの基質溶液に添加する。
2. 40℃において10分間インキュベートする。
3. 30μlを300μlの試薬1に添加する(Nefaキットから)。
4. 37℃において10分間インキュベートする。
5. 600μlの試薬2を添加する(Nefaキットから)。
6. 37℃において10分間インキュベートする。
7. Nefaキットの使用説明書に従い、最終反応生成物の吸収を550nmにおいて測定する。
酵素反応の1分当たり1μmolの脂肪酸を生産するために必要な酵素活性を1単位として定義した。酵母中の発現クローン化
酵母中の発現クローン化を下記の文献に包括的に記載されているように実施した:H.Dalboege他、「Mol.Gen.Genet.」(1994)243:253−260;WO93/11249号;WO94/14953号)、これらは引用することによって本明細書の一部とされる。
全体のRNAの抽出、cDNAの合成、ヤエナリ(mung bean)ヌクレアーゼの処理、T4DNAポリメラーゼを使用する平滑末端化、およびライブラリーの構築のすべての個々の工程は、前述の参考文献に従い実施した。mRNAの単離のためのフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)DSM No.2672の発酵手順:
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)DSM No.2672を、YPD培地中で30℃において4日間培養した。後述するプレートアッセイにおいて、10μlの上清をホスホリパーゼ活性について試験した。
下記の文献に記載されているように、mRNAをこの培養からの菌糸体から単離した:H.Dalboege他、「Mol.Gen.Genet.」(1994)243:253−260;WO93/11249号;WO94/14953号)、
陽性の酵母のクローンの同定(プレートアッセイ):
陽性の酵母のクローン(すなわち、ホスホリパーゼ活性をコードする遺伝子を含むクローン)の同定を、後述するように実施した。
2%のグルコースを含有するSC寒天上に酵母の形質転換体をプレートし、30℃において3日間インキュベートした。酢酸セルロースのフィルター(OE67、Schleicher & Schuell)を細胞の上部に配置し、次いでフィルターの上部上の細胞とともにSC寒天および2%のガラクトースを含有するプレートに移す。30℃において3日間インキュベートした後、細胞を有するフィルターを基質プレートに移す。陽性のクローンは、コロニーの下に基質プレート中の青−緑色ゾーンを生ずるコロニーとして同定される。
基質プレートを下記の方法でつくる:2.5gの寒天(BA−30INA Agar(登録商標)、Funakosi Co.Ltd.)を137.5mlのH2Oに添加し、電子レンジ中で加熱沸騰させる。約60℃に冷却した後、30mlの下記の混合物を添加する:62.5mlの0.4MのTris−HCl緩衝液(pH7.5)および50mlの3%のLioid E80(Lioid GnbH、D−67065 Ludwigshafen、ドイツ国)と2%のTriton X−100(v/v)および0.5mlのH2O中の2%のブリリアント・グリーン溶液との溶液。基質の濃度は重要である。この濃度が高い場合、それは酵母細胞からおよび/またはホスホリパーゼ副活性を有する糸状菌のリパーゼからバックグラウンドの活性を生ずることがある。
アスペルギルス(Aspergillus)中の発現のためのcDNA遺伝子の単離
ホスホリパーゼを産生する酵母コロニーを、50mlのガラス製試験管中の20mlのYPDブロスの中に接種する。試験管を30℃において2日間震盪する。3000rpmにおいて10分間遠心することによって、細胞を収集する。
DNAをWO94/14953号に従い単離し、50mlの水中に溶解する。DNAを標準的手順により大腸菌(E.coli)の中に形質転換する。プラスミドDNAを標準的手順により大腸菌(E.coli)から単離し、制限酵素分析により分析する。適当な制限酵素を使用してcDNAインサートを切除し、アスペルギルス(Aspergillus)の発現ベクターの中に結合する。
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の形質転換
WO95/02043号、第16ページ、第21行〜第17ページ、第12行(これは引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されているようにして、プロトプラストを調製する。
100μlのプロトプラストの懸濁液を5〜25μlの適当なDNAと10μlのSTC(1.2Mのソルビトール、10mMのTris−HCl、pH=7.5、10mMのCaCl2)中で混合する。プロトプラストをp3SR2(プラスミドを有するアスペルギルス・ニヅランス(A.nidulans)のamdS遺伝子)と混合する。この混合物を室温において25分間放置する。0.2mlの60%のPEG4000(BDH29576)、10mMのCaCl2および10mMのTris−HCl、pH=7.5を添加し、注意して混合し(2回)、最後に0.85mlの同一溶液を添加し、注意して混合する。この混合物を室温に25分間放置し、2500gにおいて15分間回転し、ペレットを2mlの1.2Mのソルビトールの中に再懸濁させる。さらに1回沈降させた後、プロトプラストを1.0Mのスクロース、pH7.0、窒素源として10mMのアセトアミドおよびバックグラウンドの生長を阻止するために20mMのCsClを含有する最少プレート(Cove、Biochim.Biophys.Acta 113(1966)51−56)上に広げる。37℃において4〜7日間インキュベートした後、胞子を取り上げ、単一のコロニーについて広げる。この手順を反復し、第2回の再単離後の単一のコロニーの胞子を規定された形質転換体として貯蔵する。
アスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の形質転換体の試験
アスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)の形質転換体の各々を10mlのYPM(下記を参照)の中に接種し、増殖させる。30℃において2〜5日間インキュベートした後、上清を取出す。20μlの上清を基質プレート(上を参照)の中に押抜いた孔の中に負荷する。1〜24時間後、ホスホリパーゼ活性は孔の回りの青−緑色のゾーンとして現れる。
流加発酵
炭素源としてマルトデキストリン、窒素源として尿素および酵母エキスを含んでなる培地中で、流加発酵を実施した。問題のアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)宿主細胞の震盪フラスコの培養物を3.5%の炭素源および0.5%の窒素源を含んでなる培地の中に接種することによって、流加発酵を実施した。pH7.0および34℃において24時間培養した後、追加の炭素源および窒素源の連続的供給を開始した。炭素源を制限因子として保持し、そして酸素が過剰量で存在するようにした。流加培養法を4日間続けた。
配列番号:1に示すDNA配列の単離
本発明のホスホリパーゼをコードする配列番号:1に示すDNA配列のホスホリパーゼをコードする部分は、この分野において知られている方法によりプラスミドDNAの抽出により、寄託された微生物大腸菌(Escherichia coli)DSM11299から得ることができる(Sambrook他(1989)「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor、NY)。
培地
YPD:10gの酵母エキス、20gのペプトン、900mlとするH2O。
オートクレーブ処理し、100mlの20%のグルコース(滅菌濾過した)を添加する。
YPM:10gの酵母エキス、20gのペプトン、900mlとするH2O。
オートクレーブ処理し、100mlの20%のマントデキストリン(滅菌濾過した)を添加する。
10×基礎塩:75gの酵母窒素塩基、113gのコハク酸、68gのNaOH、1000mlとする水を滅菌濾過した。
SC−URA:100mlの10×基礎塩、28mlの20%のカサミノ酸、ビタミンを含まない、10mlの10%のトリプトファン、900mlとする水をオートクレーブ処理し、3.6mlの5%のスレオニンおよび100mlの20%のグルコースまたは20%のガラクトースを添加する。
SC寒天:SC−URA、20g/lの寒天を添加する。
SC−変異型寒天:20gの寒天、20mlの10×基礎塩、900mlとする水をオートクレーブ処理する。
PEG4000(ポリエチレングリコール、分子量=4000)(BDH、英国)。
実施例
実施例1
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)ホスホリパーゼの発酵
寒天斜面上のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)DSM2672の培養物を、各々が100mlのBouillon−3培地を有する、5本の500mlの震盪フラスコに移し、30℃において1日間震盪した(200rpm、振幅2.5cm)。
Bouillon−3培地の組成は下記の通りであった:
ペプトン 6g/l
トリプシン消化カゼイン 4g/l
酵母エキス 3g/l
肉エキス 1.5g/l
グルコース 1g/l
培地を121℃において40分間オートクレーブ処理した。
これらのBouillon−3震盪フラスコの培養ブロスを、各々がPL−1培地を含む、20本の500mlの震盪フラスコのための種培養物として使用した。
PL−1培地の組成は下記の通りであった:
ペプトン 10g/l
Tween(登録商標)−80 12g/l
MgSO4・7H2O 2g/l
CaCl2・2H2O 0.1g/l
オートクレーブ処理前のpH 6.0
培地を121℃において40分間オートクレーブ処理した。
各PL−1震盪フラスコを0.5〜2mlのBouillon−3培養ブロスで接種し、200rpm(振幅2.5cm)で30℃において5日間震盪した。震盪フラスコからの培養ブロスを収集時にプールした、合計3.9リットル、酵素収量53LU/ml。
実施例2
ホスホリパーゼの精製
工程1)− 1リットルの発酵上清を遠心し、生ずる沈澱を廃棄した。次いで、固体の酢酸アンモニウムの添加により、上清を0.8Mの酢酸アンモニウムに調節した。
工程2)− 疎水性クロマトグラフィー − トヨパール(Toyopearl)ブチル650Cマトリックスをトソ・ハス(Toso Hass)
Figure 0003824174
から購入した。50mlのカラムにマトリックスを詰めた。カラムを50%のエタノールで洗浄し、次いで水で洗浄した。次いでカラムを0.8Mの酢酸アンモニウムと平衡化した。次いで、0.8Mの酢酸アンモニウムで調節した発酵上清をカラムに適用した。次いで未結合の物質を0.8Mの酢酸アンモニウムで洗浄して、すべての紫外線吸収物質(280nm)を除去した。
次いでカラムを水で溶離し、引き続く50%のエタノールで溶離した。
前述したNEFAキットを使用して、ホスホリパーゼ活性をpH4.5および40℃において測定した。水およびアルコールの溶出液の中に活性を含有する画分をプールした。NEFAキットアッセイを使用して、活性をpH4.5においてアッセイした。
次いでホスホリパーゼ活性を含有する画分をプールし、透析し、10kDaのカットのアミコン(Amicon)限外濾過膜を使用して濃縮した。
工程3)− DEAE高速クロマトグラフィー上の陰性の吸収。
DEAE FFをファーマシア(Pharmacia)から購入し、50mlのカラムにマトリックスを詰めた。
次いでカラムを製造業者が記載するように洗浄し、25mMのTris緩衝液pH7と平衡化した。
透析し、濃縮した試料をpH7、コンダクタンス2mSiに調節し、アニオン交換体DEAE FFカラムに適用した。
活性を流出液として集めた。活性はアニオン交換体にpH7において結合しない。
活性を含有するDEAE FFからの流出液を濃縮し、10kDaのカットのアミコン膜を使用して透析し、25mMの酢酸ナトリウム緩衝液pH6で緩衝化した。
スーパーデックス(Superdex)75上のゲル濾過。
ファーマシアからのスーパーデックス75を前もって充填したカラムHiload Tm16/20を洗浄し、150mMのNaClを含有する25mMの酢酸ナトリウムpH6と平衡化した。
pH4.5および40℃においてホスホリパーゼ活性を示すアニオン交換体からの濃縮された流出液の2mlを、スーパーデックスカラム上に適用した。
活性を1ml/分の流速のゲル濾過により分離した。
実施例3
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得られた精製されたホスホリパーゼの特性決定
実施例1に記載したように発酵させ、実施例2に記載したように精製したフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼについて、後述する特性決定を実施した。
ノベックス(Novex)Tmからの4〜20%のSDS−PAGEプレキャストプレートを使用することによって、ホスホリパーゼ酵素の分子量を測定した。前述したように還元性条件下に、このタンパク質の分子量を測定した。
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼについて、分子量は還元性条件下に29〜30kDaであることが見出された。
ファーマシアからのアンフォライン(Ampholine)PAGEプレートを使用することによって、等電点を測定した。
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)について、タンパク質のpIは、ほぼ中性のpHにおいて、好ましくは5.8〜6.8の範囲である。
ホスホリパーゼの熱安定性
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのホスホリパーゼの熱安定性をDSC(示差走査熱量計)により試験した。一定の、プログラミングされた加熱速度において酵素溶液を加熱した後に得られたサーモグラム(Cp/T)中の変性ピークの頂部として、熱変性温度、Td、を取った。
実験:
ハート・サイエンティフィック(Hart Scientific)(米国ユタ州、1993)からのDSC IIを実験に使用した。
pH10(50mMのグリシン緩衝液)、pH7(50mMのHEPES緩衝液+10mMのEDTA)またはpH4(50mMのクエン酸塩緩衝液)において、50mMの緩衝化溶液を酵素(ほぼ2mg/ml)のための溶媒として使用した。前述の実施例2に従い、酵素を精製した。
750μlの酵素溶液をハート・サイエンティフィックからの標準的1mlの密閉可能なハステロイのアンプルの中に移した。アンプルを熱量計の中に入れ、5℃に15分間冷却した。DSC走査の前に、熱的平衡化を実施した。ほぼ90K/時の走査速度で5℃から95℃まで、DSC走査を実施した。ほぼ+/−2℃の正確度で、変性温度を測定した。
結果:
Figure 0003824174
酵素の安定性に影響を有意に及ぼすことがある油マトリックスの非存在において、これらの実験を実施したことに注意すべきである。DSCの結果は、中性のpH付近における最大の安定性を示す。
不可逆的熱変性を仮定すると、工業的用途、例えば、油の脱ガム化(米国特許第5,264,367号)における関係する実施温度は、上記表1に記載するTd温度よりも少なくとも10°低い。
アミノ末端の配列
製造業者の記載するようにアプライド・バイオシステム(Applied Biosystem)の装置(ABI 473Aタンパク質配列決定装置、Applied Biosystem、米国)を使用して、エドマン分解法によりアミノ末端の分析を実施した。
N−末端の配列:
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼについて、N−末端の配列は下記の通りである:
N−末端A−V−G−V−T−T−T−D−F−S−N−F−K−F−Y−I
N−末端のアミノ酸「A」(Ala)は、配列番号:2中の位置31である。これにより示されるように、本発明の成熟ホスホリパーゼ酵素は配列番号:2中の位置31において開始する。
結局、成熟配列は配列番号:2において31−346である。
実施例4
ホスホリパーゼA活性
前述したようにpH4.5、40℃において基質として大豆レシチンを使用して、ホスホリパーゼA活性を測定した(NEFA試験塩基アッセイ)。
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼは、前述の条件において有意なホスホリパーゼA活性を示した。
実施例5
L−α−リゾホスファチジルコリンに向かう活性
前述したようにpH4.5、40℃において基質としてL−α−リゾホスファチジルコリンを使用して、ホスホリパーゼA活性を測定した(NEFA試験塩基アッセイ)。
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼは、前述の条件においてL−α−リゾホスファチジルコリンに対して有意な活性を示した。
実施例6
単層の構成におけるホスホリパーゼ活性
単層装置(ゼロ次トラフ、KSV5000、KSV Instruments、フィンランド国)を使用して、ホスホリパーゼDDPC(Di Dicanyl(C10)ホスファチジルコリン)に対する種々の酵素の活性を評価した。
実験
緩衝溶液(10mMのTRIS、pH8.0、25℃)の完全に精製された表面上で、DDPCの単層をクロロホルム溶液から広げた。単層の緩和(クロロホルムの蒸発)後、ほぼ63Å2/分子のDDPCの平均分子面積に対応して、表面圧力を15mN/mに調節する。ほぼ60μgの酵素を含有する緩衝溶液(前述)を単層を通して「ゼロ次トラフ」中の反応区画室(面積1520mm2および体積30400mm3を有するシリンダー)の部分相の中に注入しする。不溶性基質分子がより水溶性の反応生成物に加水分解されるとき、一定の表面圧力を維持するために、単層を圧縮する移動性バイヤーの速度により、酵素活性は発現される。反応生成物(カプロン酸およびDDPC)の溶解度がDDPCについてよりかなり高いことが確認されると、酵素により1分当たり加水分解されるDDPC−分子の数はDDPCの平均分子面積(MMA)から推定される。
結果
Figure 0003824174
表2中の「フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からの酵素」は、実施例2に記載するように精製された、本発明のホスホリパーゼである。
結論
小さいホスホリパーゼ活性を示すモルモットのリパーゼから得られたリパーゼを除外して、酵素の大部分についてホスホリパーゼ活性は検出されなかった。
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得られた本発明のホスホリパーゼは、驚くほどに高い有意なホスホリパーゼ活性を示した。
結局、本発明において、本発明のホスホリパーゼに関して本発明において使用する用語「ホスホリパーゼ活性」は、上に示した「単層ホスホリパーゼアッセイ」において、少なくとも0.25nmol/分、酵素投与量:60μg;より好ましくは少なくとも0.40nmol/分、酵素投与量:60μg;より好ましくは少なくとも0.75nmol/分、酵素投与量:60μg;より好ましくは少なくとも1.0nmol/分、酵素投与量:60μg;より好ましくは少なくとも1.25nmol/分、酵素投与量:60μg;なおより好ましくは少なくとも1.5nmol/分、酵素投与量:60μg;である活性として定義される。
用語「ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼ」は、それに応じて、実施例6に示す「単層ホスホリパーゼアッセイ」におけるホスホリパーゼ副活性がホスホリパーゼ活性を特定する前述の数値より低い、ホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼとして定義される。
本明細書における定義に従うホスホリパーゼ副活性を有するリパーゼの1例は、上記表2に示すモルモットのリパーゼである。前記モルモットのリパーゼは、「単層ホスホリパーゼアッセイ」において、0.25nmol/分、酵素投与量:60μg、より低いホスホリパーゼ副活性を有する。
実施例7
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)DSM No.2672からのホスホリパーゼのクローン化および発現
前述した酵母技術における発現クローン化を使用することによって、クローン化および発現を実施した。
前述したように十分なエアレーションを保証するための撹拌を含めて上記の増殖させた、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、DSM No.2672から、mRNAを単離した。3〜5日間増殖させた後、菌糸体を収集し、直ちに液体窒素中で凍結させ、−80℃において貯蔵した。1%のベクターのバックグラウンドをもつ前述の大腸菌(E.coli)中で、ほぼ9×105の個々のクローンから成るフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、DSM No.2672からのライブラリーを構築した。プールのいくつかからのプラスミドDNAを酵母の中に形質転換し、250〜400の酵母コロニーを含有する50〜100のプレートが各プールから得られた。
ホスホリパーゼ陽性コロニーを基質プレート(上を参照)上で同定し、単離した。cDNAインサートを酵母のコロニーから直接増幅し、前述の材料および方法の節に記載するように特性決定した。ホスホリパーゼをコードするcDNAのDNA配列を配列番号:1に示し、そして対応するアミノ酸配列を配列番号:2に示す。配列番号:1において、No.23からNo.1060までのDNAヌクレオチドはホスホリパーゼをコードする領域を定める。ホスホリパーゼの成熟部分をコードする配列番号:1中のDNA配列の部分は、配列番号:2におけるアミノ酸位置31−346に相当する、位置113−1060からなる。
cDNAはDSM11299中のプラスミドから得ることができる。
全体のDNAを酵母のコロニーから単離し、そして前述したように大腸菌(E.coli)の形質転換によりプラスミドDNAをレスキューした。アスペルギルス(Aspergillus)中でホスホリパーゼを発現させるために、DNAを適当な制限酵素で消化し、ゲル上でサイズ分画し、ホスホリパーゼ遺伝子に対応するフラグメントを精製した。遺伝子を引き続いてpHD414に結合し、適当な制限酵素で消化すると、プラスミドpA2PH10が得られた。
大腸菌(E.coli)中のDNAを増幅した後、プラスミドを前述したようにアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の中に形質転換した。
アスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)の試験
形質転換体の各々を前述したように酵素活性について試験した。形質転換体のいくつかは、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)のバックグラウンドよりも有意に高い、ホスホリパーゼ活性を有した。これはアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)中のホスホリパーゼの効率よい発現を証明する。
実施例8
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼの組換え発現
アスペルギルス(Aspergillus)の発現ベクターpA2PH10を含むアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)の形質転換体(実施例7参照)を、前述したように流加発酵させた。組換え的に生産されたフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼの精製を、実施例2に記載するように実施した。
実施例9
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得られた組換え的に発現させ、精製したホスホリパーゼの特性決定
組換え的に発現させ、引き続いて精製したホスホリパーゼ(実施例8参照)を特性決定した。
本発明の組換えフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼに関するこれらの特性決定の結果は、実施例3に示す特性決定の結果と完全に相関し、ここで組換え的に発現させ、精製した酵素は、実施例3において特性決定した非組換え的に発現させ、精製したホスホリパーゼと同一であった。
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得られた組換え的に生産されたホスホリパーゼを特性決定するために使用した一般的アッセイ
ホスホリパーゼのアッセイ:
ホスホリパーゼ活性(PHLU)を、レシチンからの遊離脂肪酸の放出として測定した。50μlの50mMのHEPES、pH7、中の4%のL−α−ホスファチジルコリン(植物のレシチン、Avnti、米国)、4%のTriton X−100、5mMのCaCl2を添加し、50μlの酵素溶液を50mMのHEPES、pH7、中で適当な濃度に希釈した。試料を30℃において10分間インキュベートし、95℃において5分間反応を停止させた後、遠心(7000rpmにおいて5分)した。ワコ・ケミカル社(Wako Chemicals GmbH)からのNEFA Cキットを使用して、遊離脂肪酸を定量した;25μlの反応混合物を250μlの試薬Aに添加し、37℃において10分間インキュベートした。次いで500μlの試薬Bを添加し、試料を再び37℃において10分間インキュベートした。HP8452Aダイオード配列分光光度計を使用して、550nmにおける吸収を測定した。試料を少なくとも二重反復実験において試験した。基質および酵素の盲検試料(予熱した酵素試料(95℃において10分)+基質)を含めた。オレイン酸を脂肪酸の基準として使用した。1PHLUは、これらの条件下に、1μmolの遊離脂肪酸/分を解放することができる酵素の量に等しい。
また、このアッセイを37℃において20mMのクエン酸塩緩衝液、pH5(Ca2+依存性)または20mMのブリットン−ロビンソン緩衝液(pH−プロフィル/温度−プロフィル/安定性)中で実施した。基質として1−(S−デカノイル)−2−デカノイル)−1−チオ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(D3761 分子プローブ)を使用して、ホスホリパーゼA1活性(PLA1)を測定した。200μlのクベット中の190μlの基質(100μlのD3761(エタノール中の2mg/ml)+50μlの1%のTriton X−100+1.85mlの50mMのHEPES、0.3mMのDTNB、2mMのCaCl2、pH7)を10μlの酵素に添加し、そして室温においてHP8452Aダイオード配列分光光度計により時間の関数として、410nmにおける吸収を測定した。線状の範囲における曲線の勾配として、活性を計算した。PLA1は、これらの条件下に、1μmolの遊離脂肪酸(チオール)/分を解放することができる酵素の量に等しい。
1−ヘキサデカノイル−2−(1−ピレンデカノイル)−1−チオ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(H361 分子プローブ)を使用して、40℃においてホスホリパーゼA2活性(PLA2)を測定した。2mlのクベット中の2mlの基質(50μlの1%のTriton X−100+25μlのメタノール中の0.1%のH361+10mlの50mMのHEPES、pH7)を撹拌しながら10μlの酵素に添加し、そしてパーキンエルマー(Perkin Elmer)LS50装置を使用して時間の関数(1秒の間隔)として376nm(340nmにおける励起)においてピレン蛍光放射を測定した。Triton X−100/ホスホリパーゼの菌糸体において、ホスホリパーゼの濃度を励起二量体が形成する(480nmにおいて放射する)ように調節した。切断が起こると、ピレン基を含有する2−位における脂肪酸は水性相の中に放出され、モノマーの放射が増加する。線状の範囲における曲線の勾配として、PLA2活性を取った。
リパーゼアッセイ:
リパーゼ活性(LU)はノボ・ノルディス(Novo Nordisk)の刊行物AF95に従い測定した。pHスタット滴定実験において、30℃、pH7においてトリブチリンの加水分解を追跡した。1LUは、標準的条件下に、1μmolの酪酸/分を放出することができる酵素の量に等しい。
オリーブ油に対する活性(SLU)を下記のようにして測定した:12mlの5mMのTris−HCl、40mMのNaCl、5mMのCaCl2、pH9、を2.5mlの(Sigma)リパーゼ基質に添加した。pHをpH9またはそれよりちょうど低い値に調節した後、0.5mlのリパーゼ溶液(緩衝液中で希釈した)を添加し、そしてラジオメーター(Radiometer A/S、デンマーク国コペンハーゲン)から商業的に入手可能であるチトララブ(Titralab)を使用して、30℃においてpHスタット滴定アッセイを実施した。1SLUはpH9、30℃において1μmolの遊離脂肪酸/分を放出することができる酵素の量に等しい。
本発明の組換え的に生産されたフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼの特性決定
後述する酵素を特性決定するために使用したアッセイは、直ぐ上に記載したアッセイであった。酵素:
配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのPL。
バッチF−9700989、OD280 0.83(0.69mg/ml)、純度>95%(SDS−PAGE)。
前述したように、酵素を組換え的に発現させ、精製した。
Lecitase(商標)バッチL546−F06(10368 IU/ml、ほぼmg/ml)。
Lipolase(登録商標)(Novo Nordisk A/S)。
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)リパーゼ/ホスホリパーゼのホスホリパーゼ活性に対するCa2+の影響を研究した。EDTAまたはCa2+をアッセイに含めるか否かにかかわらず、主要な差は観察されず(下記表3参照)、こうして、酵素はCa2+に対して比較的独立であるように見える。
Figure 0003824174
基質として植物レシチンを使用して、pH−プロフィルをブリットン−ロビンソン緩衝液中で研究した(表4)。酵素はホスホリパーゼに対するアルカリ性のpH−プロフィルを示し、最適値はpH9以上であるが、活性は低いpHにおいて油を脱ガム化しかつベーキングにおける性能を提供するのに十分に高い(比活性の比較については下記を参照)。
Figure 0003824174
ホスホリパーゼについて温度のプロフィルをpH5において得た:活性は40℃以上の温度において下向し始める(表5)。これは酵素を前インキュベートし、次いで残留活性を測定することによって測定した温度安定性(表6)と合理的に一致し、ここで酵素はpH5において45℃までの温度において安定である。
Figure 0003824174
すべてのデータは、pH5、40℃における活性に関する相対活性のデータとして示されており、1に正規化されている。
Figure 0003824174
すべてのデータは残留活性のデータとして示されており、ここで5℃における前インキュベーション後の活性は1に正規化されている。
酵素の低い安定性は究極的製品をプロセス助剤として記録するために有利であることがある。なぜなら、活性酵素は食用油の脱ガム化または焼かれた製品において最終生成物として期待されないであろうからである。
本発明のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から得られたホスホリパーゼは、ホスホリパーゼ活性およびリパーゼ活性の双方を有する。
したがって、種々の異なるリパーゼおよびホスホリパーゼの基質に対する酵素活性を研究し、商業的に入手可能なホスホリパーゼLecitase(商標)、および商業的に入手可能なリパーゼLipolase(登録商標、Novo Nordisk A/S)の活性と比較した。
フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼ/リパーゼはpH7および9においてトリブチリンおよびオリーブ油の双方に対して高い活性を有する(表7)。比較の理由で、Lipolase(登録商標)の比活性は約5000LU/mgである。しかしながら、Lipolase(登録商標)と反対に、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のリパーゼは非常に広い特異性を示し、かなりのホスホリパーゼ活性およびまたチオエステラーゼ活性を有する〔上記単層の実施例を参照、Lipolase(登録商標)は測定可能なホスホリパーゼ活性をもたない〕。
本発明のフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼ/リパーゼは、pH7においてホスホリパーゼLecitase(商標)(ブタ膵臓のPLA2)のそれよりかなり高いレシチンに対する比活性を有する(表7)。
Lecitase(商標)に比較して、フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)酵素はpH7において100倍高い活性を有する。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)酵素についてホスホリパーゼ/リパーゼの比は、同様な条件(pH7および30℃)下に、約0.225(1000LU/mg/225PHLU/mg)である。
Figure 0003824174
ホスホリパーゼA1に対して特異的な基質を使用し、1−(S−デカノイル)−2−デカノイル)−1−チオ−sn−グリセロ−3−ホスホコリンの1−位におけるチオエステル結合の切断を測定することによって、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のリパーゼ/ホスホリパーゼの特異性を研究した。
この酵素はホスホリパーゼ中の1−位を明瞭に加水分解する(表7)が、Lecitase(商標)(ブタ膵臓のPLA2)は期待されるようにこの基質に対して活性を示さなかった。
本発明のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼのC−末端のアミノ酸配列
組換え的に発現された成熟ホスホリパーゼのタンパク質のN−末端のアミノ酸配列を実施例3に記載するように決定し、そしてこのN−末端の配列は非組換え的に生産され、精製された酵素(実施例3参照)について決定された配列と同一であると確証された。
Christgau他、「Biochem.J.」319、705−712、1996に記載されているように、VGTofSpec質量分析計(Micromass、英国マンチェスター)を使用して、MALDI−TOFの質量分析を実施した。
バックグラウンド
DNA配列から推定された、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼのN−末端のアミノ酸配列は、成熟ホスホリパーゼの既知のN−末端のアミノ酸配列と組み合わせて、315アミノ酸残基のタンパク質(配列番号:2中のアミノ酸31−346)を予知する。この予測されるタンパク質の理論的分子量は33,256.8Daである。
MALDI−TOFの質量分析を使用して、我々はフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からの真性のリパーゼ/ホスホリパーゼの分子量が28.2kDa(データは示されていない)であると以前に測定し、そしてSDS−PAGE上で、分子量は29〜30kDa(上を参照)であることが示された。
真性および組換えのフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のリパーゼのN−末端のアミノ酸配列は同一であるので、予測された分子量と実験の分子量との間の差はC−末端のプロセシングにより引き起こされるようである。
これを研究するために、我々はアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)において発現された組換えフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のリパーゼからC−末端のペプチドを単離し、そのC−末端を通してそれを配列決定した。
戦略
28.2kDaのフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からの真性のリパーゼ/ホスホリパーゼの平均分子量を使用して、最も期待できそうなC−末端の残基を予測することができ、これはSer303であると判明する(配列番号:2)。
この推定は、酵素がグリコシル化されていないという仮定に基づく。Asn163において配列の中に見出された単一の潜在的N−グリコシル化部位は、Pro残基が位置164に見出されるので、多分使用されない。N−グリコシル化のためのコンセンサス配列(Asn−Xaa−Ser/Thr)中の第2残基としてのPro残基の存在は、決して報告されていない。さらに、質量スペクトル中のピークの形状はグリコシル化を示さない。しかしながら、このピークは相同タンパク質について通常直面するピークよりも広く、サイズの異質性の可能性を示す。この酵素のN−末端はよく定められているので、サイズの異質性は異種C−末端のプロセシングにその基礎を有することが最も期待される。
配列番号:2(下記を参照のこと)を検査すると、予測されるC−末端は配列中の8つのCys残基の最後に密接して位置することが明らかになる。これらのCys残基上に放射性標識を導入すると、Cys残基を含有するペプチドをペプチド精製により追跡することが容易となる。放射性標識化と、Asp残基の前において切断するAsp−Nプロテアーゼを使用するタンパク質分解とを組合わせると、標識化C−末端のペプチドが生ずる。さらに、3つの内部のペプチドが標識化されるであろう。すべての標識化ペプチドを配列決定すると、酵素のC−末端が明らかとなるであろう。
Figure 0003824174
配列番号:2:フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のリパーゼ/ホスホリパーゼの予測されたアミノ酸配列
配列はDNA配列から推定され、真性および組換えの双方の酵素について実験的に決定されたN−末端において開始する。8つのCys残基は
Figure 0003824174
で示されているが、真性酵素のMALDI−TOF質量分析から予測されたC−末端のSer残基は↑で示されている。N−グリコシル化のためのコンセンサス配列(NXS/T)の中に見出されるAsn残基は(◇)で示されているが、XはPro残基であるので、すべての確度において使用されていない。
実験結果
実施例は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのPLであった。
バッチF−9700989、OD280 0.83(0.69mg/ml)、純度>95%(SDS−PAGE)。
前述したように、酵素を組換え的に発現させ、精製した。
酵素を変性し、ジスルフィド結合を還元した後、チオール基をI[1−14C]CH2CONH2と反応させた。
Cys残基の放射性標識化後、リパーゼをAsp−Nプロテアーゼを使用して分解した。
発生したペプチドを逆相HPLCにより分画した。収集した画分をMALDI−TOF質量分析し、シンチレーションカウンティングに付した。有意な量の反応性を含有する画分を、逆相HPLCによる再精製のための選択した。
再精製した画分をシンチレーションカウンティングに付し、引き続いて放射性を含有する画分を配列決定した。
結果の要約を下に記載する。このスキームは、記載する多数の配列のために、混沌しているように見えることがある。しかしながら、このスキームは放射性画分から得られた配列のデータのすべてを含有し、したがって、引き出された結論のための基礎を表す。すべてのCys残基は配列決定を通してカバーされていることに注意すべきである;それらの大部分は1回より大きくカバーされている。注意すべき他の事柄は、多数の小さい放射性的に標識化されたペプチドを生ずるように見られる異常な切断である。
Figure 0003824174
放射性標識化されたペプチドの配列決定により得られたアミノ酸配列は、組換えフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)酵素から誘導された。これらの配列は、DNA配列から推定された、予測されたアミノ酸に対して整列された。8つのCys残基は で示されているが、真性酵素のMALDI−TOF質量分析から予測されたC−末端のSer残基は↑で示されている。
実験の結論
すべての放射性標識化されたペプチドの配列決定から、DNAにおいてコードされたアミノ酸のC−末端部分はフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのリパーゼの発現の間にプロセシングされることが明らかである。MALDI−TOF質量分析からの結果に従い、ペプチドの配列は最も期待できそうなC−末端の残基としてSer303を指示する。
しかしながら、データに基づいて、示差的C−末端のプロセシングが起こって異種C−末端に導くことは除外することができない;例えば、1つのペプチドはPhe272が、C−末端の残基としても見出されうることを示す。
実施例10
食用油の酵素的脱ガム化についてのアッセイの一般的説明
酵素的脱ガム化を実施する装置
この装置は1リットルのジャケット付き鋼製反応器から成り、鋼製蓋、プロペラ(600rpm)、そらせ板、温度センサー、上部における入口管、上部における還流冷却器(4℃)、および下部における出口管を装備する。反応器のジャケットはサーモスタット浴に接続されている。出口管はシリコーン管を介してシルバーソン(Silverson)インラインミキサーヘッドに接続されており、ミキサーヘッドはシルバーソンL4RT高剪断ラブミキサー(8500rpm、流速、約1.1リットル/分)により駆動される「正方形の孔の高剪断スクリーン」を装備する。ミキサーヘッドは冷却コイル(5〜10℃)および出口管を装備し、出口管はシリコーン管を介して反応器の入口管に接続されている。温度センサーを、ミキサーヘッドの直後において、シリコーン管の中に挿入されている。反応器/ミキサーヘッドのシステムからの雰囲気への唯一の接続は、還流冷却器を通してである。
酵素的脱ガム化を実施する一般的手順
すべての冷却およびサーモスタット装置を始動させる。次いで0.6リットル(約560g)の油を反応器の中に入れ、これを特定の実験のために必要な温度付近にする。ラブミキサーを始動させ、これにより油は反応器からミキサーヘッドに行き、反応器に戻るように循環し始める。このシステムを約10分間平衡化させ、その間に温度を微細に調節する。前処理期間は27gのMilliQ水中の0.6g(2.86mmol)のクエン酸一水和物の添加とともに開始する(添加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/油エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)、ここでt=0に設定する。t=30分において、適当な量の4MのNaOH溶液を添加する。
0.0当量の4MのNaOH →pH3.7
1.0当量の4MのNaOH(0.714ml) →pH4.5
1.5当量の4MのNaOH(1.07ml) →pH5.0
2.0当量の4MのNaOH(1.43ml) →pH5.5
2.5当量の4MのNaOH(1.79ml) →pH6.2
3.0当量の4MのNaOH(2.14ml) →pH8.0
t=35分において、試料をP−分析およびpHの測定のために抜き出す。この直後に、必要な量の酵素溶液を添加する(前処理期間の終わり)。P−分析およびpHの測定のための試料をt=1、2、3.5、5、6時間に抜き出し、次いで反応を停止させる。
反応器/ミキサーのシステムを空にし、2×500mlの10%のDecones/DI水溶液ですすぎ、最小3×500mlのDI水ですすぐ。反応器の間の種々の添加およびサンプリングを表8に表す。
Figure 0003824174
リンの分析:
P−分析のためにサンプリング:
10mlの油中水型エマルジョンをガラス製遠心機の中に取る。沸騰水浴中でエマルジョンを30分間加熱する。5000rpmにおいて10分間遠心する。8mlの上方の(油)相を12mlのポリスチレン管に移し、12〜24時間放置する(沈降させる)。沈降後、約1〜2gを上方の透明相からP−分析のために抜き出す。
「Standard Methods for the Analysis of Oils、Fats、and Dervatives」、第7版(1987)の手順2.421に従い、P−分析を実施した: 100mgのMgO(leicht、Merck#5862)を磁器の皿の中で秤量し、ガスバーナーで加熱する。1〜2gの油を添加し、ガスバーナーで強熱して、黒色の固い塊にする。ベクスター(Vecstar)炉中で850℃に2時間加熱して、白色の灰を得る。灰を5mlの6MのHNO3の中に溶解し、20mlの試薬混合物を添加する。460nmにおける吸収を測定する(ゼロ調節のためにブランク(5mlのHNO3+20mlの試薬混合物)を使用する)。検量線を使用して計算する。
pHの測定
2mlの油中水型エマルジョンを取り、2mlのMilliQ水と混合する。相分離後、上部の油層をピペットで除去する。水性相中のpHをpH電極オリオン(Orion)で測定する。測定値を下記式により「現実の(real)」pH値に変換する:
pH(真の)=pH(測定)−0.38
27gのDI水の中に0.6gのクエン酸一水和物を溶解することによって、検量線を作成した;この溶液のpHをpH電極オリオンにより測定した〔pH(真の)〕。100μlを2mlのMilliQ水と混合し、この溶液のpHをpH電極オリオンにより測定した〔pH(測定)〕。NaOH溶液の添加により、クエン酸溶液のpHを徐々に変化させ、各調節のために、希釈およびpHの測定を前述したように実施した。
実施例11
Lecitase(商標)のために最適な脱ガム化条件
実施例10に記載するように、食用油の脱ガム化に関するすべての実験を実施した。
油:
アアルフス・オリエファブリク(Aarhus Oliefabrik、デンマーク国)からの水−脱ガム化されたナタネ油(Colzro)。
バッチC00730/B01200、9kg、P含量186ppm(0.47%のホスファチド)。
この油は商業的に入手可能な製品ではなく、工場における生産ラインから直接取る。
酵素:
Lecitase(商標)10L。
バッチL646−D02(10190U/ml)、推定濃度20mg/ml。Lecitase(商標)を使用する1連のパラメーター最適化実験のための特定の条件を表9に記載する。標準的条件は次の通りである:酵素の投与量535U/kg油(1.1mg/kg油)、60℃、2.0当量のNaOH(pH5.5)。酵素の投与量を268から1070U/kg油まで変化させ、温度を40℃から70℃まで変化させ、そして表9に示す種々のpHレベルに対応してNaOHの添加量を1.0から3.0当量まで変化させた。
Figure 0003824174
別々の最適化研究を表10に表す。
表10における結果は、下記の事柄を示す:
i) 投与量/応答の研究から、最適な酵素の投与量(60℃および2.0当量のNaOHにおいて)は約535U/kg油であることが理解される。半分の投与量は脱ガム化時間を約3.5時間から6時間に増加させ、そして2倍の投与量は脱ガム化の性能にほぼ変化をなんら引き起こさない。酵素のブランクの結果を比較のために挿入した。
ii) 最適なNaOHの添加量は約2.0当量である(pH約5.5)、悪い性能は1.0当量(pH約4.5)および3.0当量(pH約8)である。
iii) 最適な温度は約60℃である。なぜなら、70℃はPのレベルを完全には低下させず、50℃は脱ガム化時間を約3.5時間から6時間に増加し、そして40℃は悪い性能を与えるからである。
Figure 0003824174
実施例12
本発明によるフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼについての最適な脱ガム化条件
実施例10に記載するように、食用油の実験のすべての酵素的脱ガム化を実施した。
油:
アアルフス・オリエファブリク(Aarhus Oliefabrik、デンマーク国)からの水−脱ガム化されたナタネ油(Colzro)。
バッチC00730/B01208、P含量約200ppm
バッチC00730/B01209、P含量約200ppm
バッチC00730/B01429、P含量227ppm
バッチC00730/B01430、P含量252ppm
この油は商業的に入手可能な製品ではなく、工場における生産ラインから直接取る。酵素:
配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのPL。
バッチF−9700123、OD280 1.48、純度約58%、推定濃度0.9mg/ml。
前述したように、酵素を組換え的に発現させ、精製した。
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのPLを使用する1連のパラメーター最適化実験のための特定の条件を表11に記載する。標準的条件は次の通りである:酵素の投与量1.6mg/kg油、40℃、1.5当量のNaOH(pH約5.5)。酵素の投与量を0.2から1.6mg/kg油まで変化させ、温度を30℃から50℃まで変化させ、そして表11に示す種々のpHレベルに対応してNaOHの添加量を1.0から2.5当量まで変化させた。
Figure 0003824174
実験結果を下記表12に表す。時間のウインドウ35分〜6時間におけるpHの偏りのすべては、期待した間隔の範囲内に入り、わずかの不規則性を伴う。
要約すると、表12における結果は下記の事柄を示す:
i) 投与量/応答の研究から、最適な酵素の投与量(40℃および1.5当量のNaOHにおいて)は約0.8mg/kg油であることが理解される。
ii) 最適なNaOHの添加量は約1.5当量である(pH約5.0)、性能の非発揮1.0当量(pH約4.5)および;制限された性能2.0当量(pH約5.5)および2.5当量(pH約6.2)、そして
iii) 最適な温度は約45℃であり、そして50℃は制限された性能を与える。
Figure 0003824174
実施例13
酵素的脱ガム化プロセスの間の標準的pHの偏りの例示
実施例10に記載するように実施した酵素的脱ガム化プロセスの間のpHの偏りの平均的例を、下記表13に示す。
Lecitase(商標)を使用して実験を実施する。それ以上の詳細については、実施例11を参照のこと。
Figure 0003824174
本明細書において開示する酵素的脱ガム化実験の実施例においてそれ以上述べない場合、前記実験における標準的pHの偏りは上記表に示す通りであった。
実施例14
Lecitase(商標)および本発明によるフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのホスホリパーゼの酵素的脱ガム化能力の比較
第2図において、上記実施例11および12において測定した、それぞれの最適条件下ににおけるPLからの結果を示す。
第2図に示す実験条件:
Lecitase(商標):60℃、pH5.2(2.0当量のNaOH)、および1mgの酵素/kgの油(約535U)(実験#9)。
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のPL:40℃、pH5.0(1.5当量のNaOH)、および0.8mgの酵素/kgの油(実験#33)。
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のPL:45℃、pH5.0(1.5当量のNaOH)、および1.6mgの酵素/kgの油(実験#64)。
明らかなように、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのPLは、Lecitase(商標)に比較して、非常に速い脱ガム化作用を与える。
本発明によるフザリウム(Fusarium)からのPLは、酵素と油との25分の接触後、ほとんんど完全な脱ガム化を与える。
実施例15
異なる型の食用油の中に存在する非水和性リン脂質の定量
油:
アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM)、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B01146、P含量609ppm。このバッチは固体残留物を含有する。
スカノラ(Scanola)(デンマーク国)からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B01593、P含量315ppm。
濾過した粗製ナタネ油。濾過したバッチC00745/B01146、P含量231ppm。この油は上記バッチC00745/B01146(609ppm)を100μmのジョンソン(Johnson)フィルターを通して濾過した油である。
アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM)、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B01700、P含量459ppm。
ルルギ(Lurgi)、ドイツ国、からのナタネ油。バッチC00932/B01381、P含量148ppm。
アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)、デンマーク国、からの粗製大豆油。バッチC00744/B01145、P含量593ppm。
上記実施例10に記載するように水中のクエン酸一水和物を含んでなる溶液で油を前処理することによって、上に示した異なる型の食用油の中に存在する非水和性リン脂質の定量を実施した。
簡単に述べると、前処理プロセスは下記の工程からなる:
i) 60℃において、水中のクエン酸一水和物を含んでなる溶液の添加(添加された水/油=4.8%w/w;水相中の[クエン酸]=106mM、水/油エマルジョン中の[クエン酸]=4.6mM)により、前記食用油を30分間前処理し、
ii) 10mlの前処理された油中水型エマルジョンを管に移し、
iii) 前記エマルジョンを沸騰する水浴中で30分間加熱し、
iv) 5000rpmにおいて10分間遠心し、
v) 約8mlの上(油)相を新しい管に移し、それを24時間沈降させ、
沈降後、上方の透明な相から2gを抜き出して、食用油中の非水和性リン含量(ppm)を測定する。ppm値を上記実施例10に記載するように測定した。
このプロセス後、上に示した異なる型の食用油の中に存在する非水和性リン脂質の量は、下記の通りであった:
AOMからの粗製ナタネ油#1146は、部分的に高いPレベル(609ppm)の原因となる固体の粒子を含有する;100μmのジョンソン篩を通す濾過は231ppmのP含量を有する透明な油を与える。
粗製油および濾過した油の前処理は140ppmのPレベルを与え、これは油の中に存在する非水和性リン脂質の測定である;
スカノラからの粗製ナタネ油のリン脂質含量は、前処理により315ppmから約30ppmに減少した;
ルルギから入手したナタネ油(多分粗製油と完全に精製された油との任意の混合物)のリン脂質含量は、前処理プロセスにより60ppmに減少した;
AOMからの粗製ナタネ油#1710の前処理は、P含量を459ppmから200〜250ppmに減少した;
AOMからの粗製大豆油#1145では、前処理はPレベルを593ppmから10ppmに減少した。この大豆油は、水−脱ガム化/クエン酸塩の処理単独により脱ガム化することができる油の1例を構成する。前処理後のこの粗製大豆油への酵素の添加は、P含量をそれ以上減少しなかった。
これらのデータが示唆するように、粗製ナタネ油のリン脂質の組成(水和性/非水和性リン脂質)は1つのバッチから他のバッチに対して大きく変化し、結局酵素的脱ガム化されたナタネ油中の残留するリン脂質のレベルは広い範囲(30ppm(スカノラ)から200〜250ppm(AOM)まで)にわたって変化するであろう。
酵素的脱ガム化について、最適な酵素の投与量は脱ガム化または前処理後に存在する非水和性リン脂質の量に依存する。
さらに、油の中に存在する非水和性リン脂質の量が高くなるほど、酵素的脱ガム化法はいっそう有効である。
これはまた下記の実施例16において例示されており、ここで本発明は約140ppmの非水和性リン脂質のレベルを有する、粗製ナタネ油#1146の酵素的脱ガム化を示す。
実施例16
粗製ナタネ食用油の脱ガム化(I)
上記実施例10に記載する「酵素的脱ガム化を実施する一般的手順」に従い、実験AおよびBを実施した。
油:
アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM)、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B01146、P含量609ppm。このバッチは固体残留物を含有する。
酵素:
Lecitase(商標)10L。
バッチL646−F02(10190U/ml)、推定濃度20mg/ml。
配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのPL。
バッチF−9700123、OD280 1.48、純度約58%、推定濃度0.9mg/ml。
この酵素は、前述したように、組換え的に発現させ、精製した。
実験A(参照)
0.6リットル(580g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、60℃に加熱する。t=30分において、1.43ml(5.7mmol)の4MのNaOH溶液を添加し、これによりpHは約5.6となる。t=35分において、30μl(300単位)のLecitase 10L(Novo Nordisk A/Sから入手した)を添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中のpH値を表14に示す。
Figure 0003824174
実験B
0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、40℃に加熱する。t=30分において、1.07ml(4.3mmol)の4MのNaOH溶液を添加し、これによりpHは約5.4となる。t=35分において、1ml(0.9mg)のフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からのホスホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中のpH値を表15に示す。
Figure 0003824174
実施例17
粗製ナタネ食用油の脱ガム化(II)
上記実施例10に記載する「酵素的脱ガム化を実施する一般的手順」に従い、実験AおよびBを実施した。
油:
アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM)、デンマーク国、からの粗製ナタネ油。バッチC00745/B01710、P含量459ppm。
酵素:
Lecitase(商標)10L。
バッチL646−F02(10190U/ml)、推定濃度20mg/ml。
配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのPL。
バッチF−9700476、OD280 0.8、純度約58%、推定濃度0.45mg/ml。
この酵素は、前述したように、組換え的に発現させ、精製した。
実験A
0.6リットル(580g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、60℃に加熱する。t=30分において、1.43ml(5.7mmol)の4MのNaOH溶液を添加し、これによりpHは約5.6となる。t=35分において、適当な量(例えば、1mgの酵素/kgの油について50μl(500単位))のLecitase 10L(Novo Nordisk A/Sから入手した)を添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中のリン含量を表16に示す。
Figure 0003824174
実験B
0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、40℃に加熱する。t=30分において、1.07ml(4.3mmol)の4MのNaOH溶液を添加し、これによりpHは約5.0となる。t=35分において、適当な量(すなわち、1.6mgの酵素/kg、および3.2mgの酵素/kgの油))のフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)からのホスホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中のリン含量表17に示す。
Figure 0003824174
要約すると、結果は下記の事実を示す:
Lecitase、60℃、pH5.5
酵素の投与量を1.0から3.0mg/kg油まで変化させた。結果を上記表16に記載する。1.0mg/kg油において、油の脱ガム化は遅く、6時間において約20ppmを与えた。高い酵素の投与量では、脱ガム化の性能は改良され、3.0mgの酵素/kg油を使用して約3.5時間において10ppmのリン含量を与えた。
より高い酵素の投与量を使用する場合、性能はさらに改良されることが仮定される。
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のPL、45℃、pH5.0
酵素の投与量1.6および3.2mg/kg油を試験し、性能は等しくすぐれることが見出された(上記表17)。1.6mgの酵素/kg油−または多分これより低い−では、きわめてすぐれた脱ガム化が約2時間において観測され、9ppmのPを与えた。なおより低い量のフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼ(例えば、0.9mg/kg油)を使用することができ、なおすぐれた脱ガム化性能が得られることが予測される。
実施例18
フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)から得られるホスホリパーゼ調製物を使用する水脱ガム化された食用油の脱ガム化
上記実施例10に記載する「酵素的脱ガム化を実施する一般的手順」に従い、実験を実施した。
油:
アルフス・オリエファブリク(Århus Oliefabrik)(AOM)からの水−脱ガム化されたナタネ油。
バッチC00730/B01700、P含量231ppm。
酵素:
フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)から発酵ブロス。
フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)株を培養し、遠心し、そして上清を後述するように精製した。
フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)CBS513.94株(寄託日:1994年10月25日)の種培養物を、100mlの下記の組成物を含有する500mlの震盪フラスコ中の生産した:
コーンスティープリカー(乾燥) 12g/l
グルコース 24g/l
各フラスコに0.5gのCaCO3および0.5mlの油を添加する。
pHを5.5に調節した後、オートクレーブ処理する。
26℃および250rpmにおいて3日後、5mlの種培養物の各々を100mlの下記の培地を含有する震盪フラスコの中に接種した:
ペプトン、Difco 0118 6g/l
ペプチカーゼ、Sheffield
Products 4g/l
酵母エキス、Difco 0127 3g/l
肉エキス、Difco 0126 1.5g/l
デキストロース、Roquette
101−0441 1g/l
オリーブ油、Sigma 10g/l
pHを7.3〜7.4に調節した後、オートクレーブ処理する。
26℃および250rpmにおいて9日間培養する。ブロスを遠心し、濾過(0.45μm)し、上清を収集し、下に示す脱ガム化実験のために供給する。
推定された活性:200PHLU/ml。
実験:フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)から得られたホスホリパーゼ調製物を使用する水脱ガム化された油の酵素的脱ガム化
0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、40℃に加熱する。t=30分において、1.43ml(5.7mmol)の4MのNaOH溶液を添加し、これによりpHは約5.5となる。t=35分において、適当な量(すなわち、1070PHLU/kg油)のフザリウム・クルモラム(F.culmorum)からのホスホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中のリン含量表18に示す。
Figure 0003824174
実施例19
デゴマ(Degomma)VODを使用する粗製油の酵素的脱ガム化

粗製ナタネ油C00745/B01700、P含量459ppm.
酵素
商業的に入手可能なホスホリパーゼ、デゴマ(Degomma)VOD
Figure 0003824174
推定濃度10mg/ml。
0.6リットル(581g)の粗製ナタネ油を装置に入れ、50℃に加熱する。t=30分において、0.714ml(2.86mmol)の4MのNaOH溶液を添加し、これによりpHは約4.5となる。t=35分において、適当な量(すなわち、3.6mg/kg油、または7.1mg/kg油)の精製されたデゴマ(Degomma)VODホスホリパーゼを添加する。遠心後の油相中の測定したリン含量ならびに水性相中のリン含量表19に示す。
Figure 0003824174
この実施例が例示するように、デゴマ(Degomma)VODは食用油を脱ガム化することができる。しかしながら、前記油の満足すべき脱ガム化を得るためには、本発明のフザリウム(Fusarium)のホスホリパーゼに比較して、比較的高い量のデゴマ(Degomma)VODを必要とする。比較のため、例えば、実施例16および17を参照。
実施例20
パン改良剤としてのフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)から得られたホスホリパーゼの使用
材料および方法
パンの製造
ヨーロッパのストレートの練り粉パンおよびロールを下記の基本的処方から製造した:
基本的処方
小麦粉(Meneba BBZ) 100%(2000g)
水 61%
酵母 4%
塩 1.5%
砂糖 1.5%
アスコルビン酸 40ppm
ベーキング手順
混合(スパイラルミキサー)、625RPM 3分
混合(スパイラルミキサー)、1250RPM 3.5分
練り粉の評価 7分
発酵(室温) 15分
シーティング/成形 3分
室温における緩和 5分
フォルディング 2分
室温における緩和 5分
シーティング/成形/パンニング 2分
プルーフィング(32℃、82%の相対湿度)
ロール: 45分
パンニングされたパン: 55分
ベーキング(230℃)
ロール: 22分
パンニングされたパン: 35分
練り粉および焼かれた製品の評価
練り粉および焼かれた製品の性質を下記のようにして測定した:
比体積指数:パンの一塊またはロールの体積を、伝統的ナタネ置換方法により測定する。比体積をパン1g当たりの体積mlとして計算する。対照(酵素を含まない)の比体積を100として定義する。相対比体積指数を下記のように計算する:
比体積指数=(パンの一塊の比体積)/(対照のパンの一塊の比体積)×100
下記の目盛りに従い、練り粉の粘着性をマニュアルで評価する:
ロールの直立性 非常にフラット 1
フラット 2
正常 3
すぐれる/丸い 4
非常にすぐれる 5
丸過ぎる 6
結果
Figure 0003824174
レシチンを含有しない処方において、ロールおよびパンニングされたパンの双方に対して、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼは明瞭に体積を増加することを、結果は示す。処方にレシチンを添加する場合、なおいっそうすぐれた効果が得られるが、レシチンは体積それ自体に寄与しない。スタトグラフィックス・プラス(Statgraphics Plus)において実施された、統計学的解析(ANOVA、α=0.05)は、ホスホリパーゼとレシチンとの間の有意な陽性の相乗性を示す。
処方におけるレシチンの存在および非存在の双方において、フザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)のホスホリパーゼを使用して、有意に改良されたロールの形状(ロールの直立性)が得られる。この実施例において、レシチンとホスホリパーゼ(1500LU/kg小麦粉)を組合わせることによって、最良のロールの直立性が得られた。
実施例21
パンにおける品質変化の防止剤としてフザリウム・オキシスポラム(F.oxysporum)から得られたホスホリパーゼの使用
材料および方法
パンの製造
ヨーロッパのストレートの練り粉パンおよびロールを下記の基本的処方から製造した:
基本的処方
小麦粉(Meneba BBZ) 100%(2000g)
水 61%
酵母 5%
塩 1.5%
砂糖 1.5%
アスコルビン酸 40ppm
ベーキング手順
混合(スパイラルミキサー)、625RPM 3分
混合(スパイラルミキサー)、1250RPM 3.5分
練り粉の評価 7分
発酵(室温) 15分
シーティング/成形 3分
室温における緩和 5分
フォルディング 2分
室温における緩和 5分
シーティング/成形/パンニング 2分
プルーフィング(32℃、82%の相対湿度) 55分
ベーキング(230℃) 35分
この実施例において、パンの一塊を蓋付きパンの中でパンニングして、テキスチャーの分析の前における比体積の差を回避した。冷却後、パンの一塊を室温において貯蔵し、プラスチックのバッグの中の中に包装した。
焼かれた製品の評価
AACC法74−09に従い、品質変化およびテキスチャーの評価を実施した。パンの品質変化のインジケーターとしてのパン小片の柔軟性の評価を、下記の手順に従い、ベーキング後、第0、1、3、および7日に実施した:
パンのスライスをテキスチャー分析装置(TA TX−2)において一定速度で圧縮し、そして圧縮力(g)を測定した。パンが品質を変化させるにつれて、パン小片の固さは増加する。
結果
固さの測定値の結果を貯蔵日数の関数として表2に示す。レシムルチン(Lecimultin)を1g/kg小麦粉の濃度で添加し、そしてフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のホスホリパーゼを500U/kg小麦粉の投与量で添加した。表におけるすべての数値は6回の測定の平均値である(2つのパンの一塊、各々についての3回の測定)。
Figure 0003824174
表21に示すように、ホスホリパーゼで処理したパンは3日までの貯蔵において対照よりもわずかに柔軟であった。レシチンと組み合わせると、有意な品質変化防止効果が貯蔵期間全体を通じて得られた(レシチンまたはホスホリパーゼの単独では得られない)。
配列表
配列番号1は、本発明のクローン化されたDNA配列を示し、ホスホリパーゼ活性を示す酵素をコードするDNA配列を含む。
(2)配列番号:1についての情報
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ:1170塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(vi)起源:
(A)生物名:フザリウム・オキシスポラム
(B)菌株:DSM 2672
(ix)特性
(A)名称/鍵:CDS
(B)位置:23..1063
(xi)配列の記載:配列番号:1
Figure 0003824174
Figure 0003824174
Figure 0003824174
配列番号2は、本発明のホスホリパーゼのアミノ酸配列を示す。
(2)配列番号:2についての情報
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ:346アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:2
Figure 0003824174
Figure 0003824174

Claims (12)

  1. ホスホリパーゼAの活性を示すポリペプチドであって、
    (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたDNA配列のホスホリパーゼAをコードする部分によりコードされるポリペプチド、
    (b) 配列番号:2中の位置31−346に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    (c) 配列番号:2中の位置31−303に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドおよび
    (d) (a)、(b)または(c)において定義された前記ポリペプチドと90%以上相同性であるポリペプチド
    から成る群より選択されるポリペプチド。
  2. ホスホリパーゼA1である、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 次の
    (a) 大腸菌(Escherichia coli)DSM11299の中に存在するプラスミドpYES2.0の中にクローン化されたホスホリパーゼAをコードする配列、
    (b) 配列番号:1中の23−1063のヌクレオチド、
    (c) 配列番号:1中の113−1063のヌクレオチド、
    (d) 配列番号:1中の位置113−931のヌクレオチド、
    (e) 配列番号:2の31−346のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド、
    (f) 配列番号:2の位置31−303のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド、
    (g) 上記ポリヌクレオチドのいずれかに90%以上相同性であり、ホスホリパーゼA活性を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    から成る群から選択されるポリヌクレオチド。
  4. ホスホリパーゼA1をコードする、請求項3のポリヌクレオチド。
  5. 請求項3または4のポリヌクレオチドを含んでなるベクター。
  6. 請求項5のベクターを含んでなる宿主細胞。
  7. 真核細胞である、請求項6の宿主細胞。
  8. アスペルギルス(Aspergillus)またはフザリウム(Fusarium)属の細胞である、請求項7に記載の宿主細胞。
  9. a)ホスホリパーゼAの発現に適当な条件下に請求項6〜8のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、
    b)前記ホスホリパーゼAを回収することを含む、ホスホリパーゼAを生産する方法。
  10. リン脂質またはリゾリン脂質を請求項1または2のポリペプチドで処理して脂肪族アシル基を加水分解することを含む方法における、前記ポリペプチドの使用。
  11. 食用油を請求項1または2のポリペプチドで処理してリン脂質の主要部分を加水分解し、そして加水分解されたリン脂質を含有する水性相を前記油から分離することを含む、50〜250ppmのリン含量を有する食用油中のリン脂質の含量を減少する方法における、前記ポリペプチドの使用。
  12. 請求項1または2のポリペプチドを練り粉に添加し、前記練り粉を焼いて焼かれた製品を製造する方法における、前記ポリペプチドの使用。
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