JP2000129286A - 油脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
油脂組成物及びその製造方法Info
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Abstract
硬化魚油が広く使用されてきたが、近年漁獲量が激減し
代替油脂組成物が求められているので、硬化魚油と同等
の特性を有し、硬化魚油に代替できる油脂組成物を提供
すること、またトランス酸含有率の少ない油脂も求めら
れているので、トランス異性体含量の少ない油脂を提供
すること。 【解決手段】 飽和脂肪酸、炭素数12以下の飽和脂肪
酸及び炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有率を所定範囲
に調整した油脂混合物をランダムエステル交換反応して
得た油脂組成物であって、硬化魚油と同等の製品特性を
有する、硬化魚油代替油脂組成物及びその製造方法。
Description
る。更に詳しくは硬化魚油代替油脂組成物に関する。
広く用いられている。とりわけ業務用マーガリン類なら
びにショートニングの原料として重要な位置を占めてい
る。その背景には、硬化魚油が他の動植物油脂あるいは
それらの加工油脂に較べ可塑性に優れ、また安価であっ
たことがある。
ば、いわし類やさば類)の漁獲量が日本近海だけでなく
世界的に減少し続け、価格も高騰し、入手することさえ
困難になりつつある。かかる情況の中にあって、動植物
油脂を用いて可塑性油脂組成物が製造されているが、硬
化魚油と比較すれば、可塑性範囲の広さや、キメ、ツ
ヤ、ノビあるいはホイップ性は著しく劣る物しか得られ
ていなかった。 それらの欠点を改良するため、パーム
系油脂とラウリン系油脂および液体油の配合油をエステ
ル交換した油脂で良好なクリームを得ることが提案され
(特開昭52−78203号)、また同様に硬化魚油と
の相溶性ある特性を持つ可塑性油脂組成物を得ることが
提案されている(特開平8−242765号)。また、
液体油のシミだしがなく、グレーニングの発生が抑制さ
れる提案もされている(特開平9−241672号)。
て、炭素数20以上の脂肪酸を含有する油脂を用いて焼
き菓子用油脂等を改善する提案がある(例えば、特開昭
58−94345号、特開平4−66045号、特開平
4−71441号、特開平9−224571号)。
油脂、ラウリン系油脂及びパーム系油脂等の配合油をエ
ステル交換反応させることによって、可塑性等を改善す
る提案もある(例えば、特開昭50−26804号、特
開昭54−31407号、特開昭54−34002号、
特開平9−165595号)。
脂の可塑性の改善あるいは、硬化魚油との相溶性の改善
を追究したものであって、それらの効果があっても硬化
魚油本来の可塑性範囲の広さや、キメ、ツヤ、ノビある
いはホイップ性においては硬化魚油に勝るものではな
く、硬化魚油と混合することによって商品価値を有する
可塑性油脂組成物を提供するにすぎなかった。
肪酸であるトランス異性体についての論議が展開され、
トランス異性体含量の少ない油脂の開発が望まれてい
る。トランス酸含有率の低い可塑性油脂の開発例とし
て、パラジウム、白金等の貴金属とエステル交換触媒で
あるナトリウムメトキシドを共存させて水素添加する提
案(特開平7−118688号)があり、またトランス
酸を含まない油脂の開発例として、パーム油と菜種油あ
るいはパーム核油とパーム極度硬化油を1,3位置特異
性リパーゼを用いてエステル交換させる提案がある(特
開平4−65493号)。
ていると報告されているものの、硬化魚油に代替できる
程の特長は報告されていないし、特性評価もなされてい
ない。
の技術では、硬化魚油と同等の特性を有し、硬化魚油に
代替できる油脂組成物は知られておらず、かかる油脂組
成物が求められ、またトランス酸含有率の少ない油脂も
求められている。
て、本発明者は硬化魚油の組成を解析し、構成脂肪酸が
ランダムに配列していると仮定した場合のトリグリトー
タルカーボン分布と魚油のトリグリトータルカーボン分
布が、極めて良く一致することを知見し、この知見に基
づいて、硬化魚油に近いトリグリセライド組成物を得る
ことができれば、硬化魚油と同等あるいはそれ以上の特
性を発現する可能性があると考え鋭意研究した結果、本
発明の油脂組成物及びその製造方法を完成するに至っ
た。
が48重量%ないし52重量%で、炭素数12以下の飽
和脂肪酸12.5重量%ないし16重量%及び炭素数2
0以上の飽和脂肪酸4重量%ないし14重量%含有する
油脂混合物のランダムエステル交換油脂であって、上昇
融点が29.0±1.5℃、20℃のペネトレーション
値が110±22の特性を有することを特徴とする油脂
組成物に関する。
肪酸としてのトランス異性体含有率が3重量%以下であ
ることを特徴とする油脂組成物に関する。
重量%ないし75重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪
酸11重量%ないし16重量%及び炭素数20以上の飽
和脂肪酸5重量%ないし20重量%含有する油脂混合物
のランダムエステル交換油脂であって、上昇融点が3
8.0±1.5℃、20℃のペネトレーション値が25
±5の特性を有することを特徴とする油脂組成物に関す
る。
肪酸としてのトランス異性体含有率が3重量%以下であ
ることを特徴とする油脂組成物に関する。
重量%ないし82重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪
酸12重量%ないし17重量%及び炭素数20以上の飽
和脂肪酸8重量%ないし24重量%含有する油脂混合物
のランダムエステル交換油脂であって、上昇融点が4
3.0±1.5℃、30℃のペネトレーション値が25
±7の特性を有することを特徴とする油脂組成物に関す
る。
肪酸としてのトランス異性体含有率が3重量%以下であ
ることを特徴とする油脂組成物に関する。
群より選択される少なくとも2種を配合して得られる油
脂組成物に関する。
に関する。
組成及びトランス異性体含有率は基準油脂分析試験法
(日本油化学会編―1996)に基づく。更に詳しく
は、2.2.4.2 融点(上昇融点)、2.4.2.2 脂肪酸組成
(FID昇温ガスクロマトグラフ法)、2.4.4.1 孤立ト
ランス異性体(差赤外スペクトル法)による測定値を表
す。 ここでいう上昇融点とは、油脂を毛細管に採取し
所定条件下で固化させた後、水槽に浸漬し毛細管下部か
ら水柱30mmの差圧下、水槽温度を所定速度で上げて
いくと、油脂は徐々に溶融していき遂にはスリップし上
昇し始める温度のことであり、油脂製品の口溶けと密接
な関係がある。
時、口での食感とりわけ口どけと大いに関係する。例え
ば、体温近くの温度で固体が多すぎてローソクをかじっ
ているようであっては食用には不向きである。
JIS K2220−1993のちょう度試験法に基づ
く。但し、円すい(いわゆるコーン)の質量は102.
5g、プランジャー質量は47.5gの物を、またペネ
缶はブリキ製で内径57mm、深さ25mmの物を使用
し、ペネトロメーターはデジタル式オート・ペネトロメ
ータ(三田村理研工業製)を用いる。
次のようにする。
して、厚さ5cm以上の氷を水平に置き、その上におい
たペネ缶に溢れ出す程度まで注ぐ。そのまま氷上で1.
5時間固化静置した後、所望測定温度の恒温水槽に浸漬
しておき、2時間後にペネトロメーターで測定する。
う度を針入度で表したものであって、測定温度における
硬度を表す指標である。
り込むとかパンに塗るとかする際の作業性に大きな影響
を与える。油脂製品の硬さは温度によって変化するの
で、季節によって、また地域によって気温が異なり、ま
た使用する用途、使用方法、使用する環境によって所望
の硬さが異なることが多く、上昇融点とともに重要視さ
れている。
満足することが困難であり、種々の油脂を加工し、それ
らを混合して特長ある多くの製品が上市されている。
にも触れたが、硬化魚油も単独で満足できることは希で
あり種々の特性を持つものが望まれ使用されている。
明する。硬化魚油の中でも代表的な次の3品種を対象に
特性値を明示する。
う。)は、上昇融点が29.0±1.5℃であって、2
0℃のペネトレーション値が110±22の特性を持つ
ものである。
う。)は、上昇融点が38.0±1.5℃であって、2
0℃のペネトレーション値が25±5の特性を持つもの
である。
う。)は、上昇融点が43.0±1.5℃であって、3
0℃のペネトレーション値が25±7の特性を持つもの
である。
油Cは、これらを使用する製品の所要特性に応じて単独
でも用いられるし、2種又は3種を配合して用いること
ができる。
油Cは、これらを使用する製品の所要特性に応じて、そ
れぞれ選ばれた1種、2種又は3種と他の動植物油脂あ
るいは動植物加工油脂と配合して用いることができる。
の油脂組成物(以下、AA油脂組成物という。)は、飽
和脂肪酸含有率が48重量%ないし52重量%で、炭素
数12以下の飽和脂肪酸12.5重量%ないし16重量
%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸4重量%ないし14
重量%含有する油脂混合物をランダムエステル交換する
ことによって得られた上昇融点が29.0±1.5℃で
あって、20℃のペネトレーション値が110±22の
特性を持つものであり、硬化魚油Aの代替油脂として用
いることができる。
重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12.5重量%
ないし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸4重
量%ないし14重量%の範囲を外れると、硬化魚油Aの
特性値(即ち、上昇融点が29.0±1.5℃、20℃
のペネトレーション値が110±22)の範囲を越えて
しまうことがあり、硬化魚油Aの代替油としてマーガリ
ンやショートニング原料として用いる際には配合割合を
修正しなければならないなどの不都合が生じ好ましくな
い。
性との関係については、特に飽和脂肪酸含有率が大きく
影響する。飽和脂肪酸含有率が少なすぎると上昇融点が
低くなりペネトレーション値が大きく(つまり、針入度
が大きく、軟らかく)なりすぎ、また飽和脂肪酸含有率
が多すぎると上昇融点が高くなりすぎペネトレーション
値は小さく(針入度が小さく、硬く)なりすぎる。
昇融点及びペネトレーション値に影響を与えるが、飽和
脂肪酸含有率程大きな影響はない。
和脂肪酸含有率が同じ条件であれば、炭素数20以上の
飽和脂肪酸含有率は上昇融点及びペネトレーション値に
与える影響は小さい。
んど含まないランダム油を用いたマーガリンは商品性に
欠ける。
上の飽和脂肪酸を4重量%未満含有するランダム油を用
いたものは満足できるマーガリン特性を示さない。ま
た、炭素数20以上の飽和脂肪酸含有率を14重量%以
上にしてもその効果が増大することはない。よって、炭
素数20以上の飽和脂肪酸含有率は4重量%から14重
量%である必要がある。
の油脂組成物(以下、BB油脂組成物という。)は、飽
和脂肪酸含有率が68重量%ないし75重量%で、炭素
数12以下の飽和脂肪酸11重量%ないし16重量%及
び炭素数20以上の飽和脂肪酸5重量%ないし20重量
%含有する油脂混合物をランダムエステル交換すること
によって得られた上昇融点が38.0±1.5℃であっ
て、20℃のペネトレーション値が25±5の特性を持
つものであり、硬化魚油Bの代替油脂として用いること
ができる。
重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸11重量%ない
し16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸5重量%
ないし20重量%の範囲を外れると、硬化魚油Bの特性
値(即ち、上昇融点が38.0±1.5℃、20℃のペ
ネトレーション値が25±5)の範囲を越えてしまうこ
とがあり、硬化魚油Bの代替油としてマーガリンやショ
ートニング原料として用いる際には配合割合を修正しな
ければならないなどの不都合が生じ好ましくない。
性との関係については、特に飽和脂肪酸含有率が大きく
影響する。飽和脂肪酸含有率が少なすぎると上昇融点が
低くなりペネトレーション値が大きく(つまり、針入度
が大きく、軟らかく)なりすぎ、また飽和脂肪酸含有率
が多すぎると上昇融点が高くなりすぎペネトレーション
値は小さく(針入度が小さく、硬く)なりすぎる。
昇融点及びペネトレーション値に影響を与えるが、飽和
脂肪酸含有率程大きな影響はない。
和脂肪酸含有率が同じ条件であれば、炭素数20以上の
飽和脂肪酸含有率は上昇融点及びペネトレーション値に
与える影響は小さい。
んど含まないランダム油を用いたマーガリンは商品性に
欠ける。
上の飽和脂肪酸を5重量%未満含有するランダム油を用
いたものは満足できるマーガリン特性を示さない。ま
た、炭素数20以上の飽和脂肪酸含有率を20重量%以
上にしてもその効果が増大することはない。よって、炭
素数20以上の飽和脂肪酸含有率は5重量%から20重
量%である必要がある。
の油脂組成物(以下,CC油脂組成物という。)は、飽
和脂肪酸含有率が79重量%ないし82重量%で、炭素
数12以下の飽和脂肪酸12重量%ないし17重量%及
び炭素数20以上の飽和脂肪酸8重量%ないし24重量
%含有する油脂混合物をランダムエステル交換すること
によって得られた上昇融点が43.0±1.5℃であっ
て、30℃のペネトレーション値が25±7の特性を持
つものであり、硬化魚油Cの代替油脂として用いること
ができる。
重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12重量%ない
し17重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸8重量%
ないし24重量%の範囲を外れると、硬化魚油Cの特性
値(即ち、上昇融点が43.0±1.5℃、30℃のペ
ネトレーション値が25±7)の範囲を越えてしまうこ
とがあり、硬化魚油Cの代替油としてマーガリンやショ
ートニング原料として用いる際には配合割合を修正しな
ければならないなどの不都合が生じ好ましくない。
性との関係については、特に飽和脂肪酸含有率が大きく
影響する。飽和脂肪酸含有率が少なすぎると上昇融点が
低くなりペネトレーション値が大きく(つまり、針入度
が大きく、軟らかく)なりすぎ、また飽和脂肪酸含有率
が多すぎると上昇融点が高くなりすぎペネトレーション
値は小さく(針入度が小さく、硬く)なりすぎる。
昇融点及びペネトレーション値に影響を与えるが、飽和
脂肪酸含有率程大きな影響はない。
和脂肪酸含有率が同じ条件であれば、炭素数20以上の
飽和脂肪酸含有率は上昇融点及びペネトレーション値に
与える影響は小さい。
んど含まないランダム油を用いたマーガリンは商品性に
欠ける。
上の飽和脂肪酸を8重量%未満含有するランダム油を用
いたものは満足できるマーガリン特性を示さない。ま
た、炭素数20以上の飽和脂肪酸含有率を24重量%以
上にしてもその効果が増大することはない。よって、炭
素数20以上の飽和脂肪酸含有率は8重量%から24重
量%である必要がある。
CC油脂組成物は、硬化魚油A,硬化魚油B及び硬化魚
油Cと同様に、これらを使用する製品の所要特性に応じ
て、単独でも用いられるし、2種又は3種を配合して用
いることができる。
びCC油脂組成物は、硬化魚油A、硬化魚油B及び硬化
魚油Cと同様に、これらを使用する製品の所要特性に応
じて、それぞれ選ばれた1種、2種又は3種と他の動植
物油脂あるいは動植物加工油脂と配合して用いることが
できる。
酸としてのトランス異性体含有率が3重量%以下である
ことを特徴とする本発明の油脂組成物(以下、AT油脂
組成物という。)は、飽和脂肪酸含有率が48重量%な
いし52重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12.
5重量%ないし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂
肪酸4重量%ないし14重量%含有する油脂混合物をラ
ンダムエステル交換することによって得られた上昇融点
が29.0±1.5℃であって、20℃のペネトレーシ
ョン値が110±22の特性を持つものであり、硬化魚
油A又はAA油脂組成物の代替油脂として用いることが
できる。
酸としてのトランス異性体含有率が3重量%以下である
ことを特徴とする本発明の油脂組成物(以下、BT油脂
組成物という。)は、飽和脂肪酸含有率が68重量%な
いし75重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸11重
量%ないし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸
5重量%ないし20重量%含有する油脂混合物をランダ
ムエステル交換することによって得られた上昇融点が3
8.0±1.5℃であって、20℃のペネトレーション
値が25±5の特性を持つものであり、硬化魚油B又は
BB油脂組成物の代替油脂として用いることができる。
酸としてのトランス異性体含有率が3重量%以下である
ことを特徴とする本発明の油脂組成物(以下、CT油脂
組成物という。)は、飽和脂肪酸含有率が79重量%な
いし82重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12重
量%ないし17重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸
8重量%ないし24重量%含有する油脂混合物をランダ
ムエステル交換することによって得られた上昇融点が4
3.0±1.5℃であって、30℃のペネトレーション
値が25±7の特性を持つものであり、硬化魚油C又は
CC油脂組成物の代替油脂として用いることができる。
びCT油脂組成物は、硬化魚油A,硬化魚油B及び硬化
魚油Cと同様に、これらを使用する製品の所要特性に応
じて、単独でも用いられるし、2種又は3種を配合して
用いることができる。 これらAT油脂組成物、BT油
脂組成物及びCT油脂組成物は、硬化魚油A,硬化魚油
B及び硬化魚油Cと同様に、これらを使用する製品の所
要特性に応じて、それぞれ選ばれた1種、2種又は3種
と他の動植物油脂あるいは動植物加工油脂と配合して用
いることができる。
C油脂組成物、AT油脂組成物、BT油脂組成物、及び
CT油脂組成物は、これらを使用する製品の所要特性に
応じて、単独でも用いられるし、2種以上を配合して用
いることができる。
C油脂組成物、AT油脂組成物、BT油脂組成物、及び
CT油脂組成物は、これらを使用する製品の所要特性に
応じて、これらの群から選ばれた1種又は2種以上と他
の動植物油脂あるいは動植物加工油脂と配合して用いる
ことができる。
及びCC油脂組成物を得るために用いる原料油脂は、次
の必要条件を満足するものであればよい。 1)AA油脂組成物を得るために用いられる原料油脂
は、飽和脂肪酸含有率が48重量%ないし52重量%
で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12.5重量%ないし
16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸4重量%な
いし14重量%含有する油脂混合物を提供する油脂から
選ばれた油脂であることが必要である。 2)BB油脂組成物を得るために用いられる原料油脂
は、飽和脂肪酸含有率が68重量%ないし75重量%
で、炭素数12以下の飽和脂肪酸11重量%ないし16
重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸5重量%ないし
14重量%含有する油脂混合物を提供する油脂から選ば
れた油脂であることが必要である。 3)CC油脂組成物を得るために用いられる原料油脂
は、飽和脂肪酸含有率が79重量%ないし82重量%
で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12重量%ないし17
重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸8重量%ないし
24重量%含有する油脂混合物を提供する油脂から選ば
れた油脂であることが必要である。
及びCC油脂組成物を得るためにはいずれについても、
炭素数12以下の飽和脂肪酸を含む油脂及び炭素数20
以上の飽和脂肪酸を含む油脂が必要である。脂肪酸組成
を所望の範囲にするために、その他の脂肪酸からなる油
脂を用いることもできる。
脂としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、ババス油、
乳脂等をそれぞれ単独若しくは混合して用いることがで
きる。また、これらの油脂の単独若しくは混合油の水素
添加油脂、分別油脂、分別油脂の水素添加油脂、水素添
加油脂の分別油脂、及びエステル交換油脂を用いること
もできる。
は、例えば、ハイエルシンナタネ油、シロカラシナ油、
サル脂、魚油等があり、これら油脂の単独若しくは混合
油の水素添加油脂、水素添加油脂の分別油脂及びエステ
ル交換油脂を用いることができる。
なたね油、コーン油、米油、綿実油、パーム油、牛脂、
豚脂等を単独若しくは混合して用いることができる。ま
た、これら油脂の単独若しくは混合油の水素添加油脂、
分別油脂、分別油脂の水素添加油脂、水素添加油脂の分
別油脂及びエステル交換油脂を用いることもできる。
物、及びCT油脂組成物を得るために用いる原料油脂
は、AA油脂組成物、BB油脂組成物及びCC油脂組成
物を得るために用いる原料油脂と類似であるが、油脂混
合物の構成脂肪酸としてのトランス異性体含有率が3重
量%以下になる油脂から選ばれた油脂である必要があ
る。構成脂肪酸としてのトランス異性体含有率が3重量
%を越えると、天然の油脂のトランス異性体含有率から
かけ離れ、市場のニーズからも離れがちになる点で不都
合である。
んでいないが、水素添加油脂中には例えば30〜50重
量%存在することがある。
る場合には、トランス異性体含有率を限定する必要があ
る。例えば、ランダムエステル交換する油脂混合物中に
水素添加油脂を30重量%使用する場合には、水素添加
油脂のトランス異性体含有率は10.0重量%以下であ
ることが要求される。同様に水素添加油脂を20重量%
使用する場合には、水素添加油脂のトランス異性体含有
率は15.0重量%以下であることが要求される。これ
らの要求は、水素添加油脂を作製する際の反応条件、例
えば触媒種、触媒添加量、温度、圧力等が通常の条件で
あれば、トランス異性体含有率は用いる原料油脂によっ
てそれぞれ再現され、水素添加終了時点の沃素価を規定
すれば容易に満足させることができる。
いて説明する。
ル交換する前の油脂混合物は、上記の各種ランダムエス
テル交換油脂の主要脂肪酸組成をそれぞれ所要の範囲に
おいて設定し、それらの所要条件を満足する原料油脂3
種以上の選定及び各原料油脂の混合率を求めて調製する
ことができる。
ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒による方法でも
リパーゼ等の酵素による方法でもよく、特に制限される
ものではなく公知の非選択的エステル交換法によって得
ることができる。
品と同様に、脱臭して使用される。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1〜14)飽和脂肪酸含有率が48重量%ない
し52重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12.5
重量%ないし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪
酸4重量%ないし14重量%の範囲にあって、トランス
異性体が3重量%を超えるかもしくは3重量%以下の油
脂混合物を用いて、ランダムエステル交換反応してラン
ダム反応油(AA油脂組成物7種及びAT油脂組成物7
種の計14種)を作成した。
を以下に示す。 <ランダムエステル交換反応の方法及び条件>ランダム
反応容器に原料混合油を仕込み、減圧下撹拌しつつ加熱
し120℃、30mmHgに達するまで脱水した。次いで、
ナトリウムメチラートを0.3重量%加え、撹拌下窒素
気流中で40分反応させた。反応液を90℃まで冷却し
た後、10%クエン酸水溶液を加えてpH11以下に
し、撹拌を止め静置した後、油層と水層を分離した。油
層に新たに90℃の温水を加え撹拌した後、静置して油
層と水層を分離するいわゆる温水洗浄を行った。分離し
た水層のpHが8以下になるまで温水洗浄を繰り返した
後、減圧下撹拌しつつ加熱し100℃、30mmHgに達す
るまで脱水した。次いで、活性白土3重量%を加え、減
圧下撹拌して100℃、30mmHgに達してから30分後
に全量濾過した。
脂肪酸組成は、用いた原料混合油とほとんど差がなかっ
た。
セライド・トータルカーボン分布をガスクロマトグラフ
によって測定し、未反応率を求め、未反応率が3モル%
を越えたものはデータとしなかった。
混合油及びランダム反応油のトリグリセライド・トータ
ルカーボン組成に基づき、ランダム反応油が平衡トリグ
リセライド、平衡ジグリセライド及び未反応トリグリセ
ライドからなるものとして、最小二乗法によって近似解
を算出した。
ランダム反応油の脂肪酸組成及び特性を表1に示す。
持つ反応油が得られることがわかった。 (実施例15〜28)実施例1と同様に、飽和脂肪酸含
有率が68重量%ないし75重量%で、炭素数12以下
の飽和脂肪酸11重量%ないし16重量%及び炭素数2
0以上の飽和脂肪酸5重量%ないし20重量%の範囲に
あって、トランス異性体が3重量%を超えるか、もしく
は3重量%以下の油脂混合物を用いて、ランダムエステ
ル交換反応してランダム反応油(BB油脂組成物7種及
びBT油脂組成物7種の計14種)を作成した。
ランダム反応油の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
持つ反応油が得られることがわかった。 (実施例29〜42)実施例1と同様に、飽和脂肪酸含
有率が79重量%ないし82重量%で、炭素数12以下
の飽和脂肪酸12重量%ないし17重量%及び炭素数2
0以上の飽和脂肪酸8重量%ないし24重量%の範囲に
あって、トランス異性体が3重量%を超えるか、もしく
は3重量%以下の油脂混合物を用いて、ランダムエステ
ル交換反応してランダム反応油(CC油脂組成物7種及
びCT油脂組成物7種の計14種)を作成した。
ランダム反応油の脂肪酸組成及び特性を表3に示す。
持つ反応油が得られることがわかった。 (比較例1〜12)実施例1と同様に、本発明の脂肪酸
組成の範囲をわずかずつ超える油脂混合物を用いて、ラ
ンダムエステル交換反応してランダム反応油(AAA油
脂組成物4種、BBB油脂組成物4種及びCCC油脂組
成物4種の計12種)を作成した。
ランダム反応油の脂肪酸組成及び特性を表4に示す。
得られないことがわかった。 (比較例13〜15)実施例1と同様に、炭素数20以
上の脂肪酸をほとんど含まない油脂を用いて、飽和脂肪
酸含有率及び炭素数12以下の飽和脂肪酸含有率は本発
明の範囲にある油脂混合物を調製して、ランダムエステ
ル交換反応してランダム反応油(AAA油脂組成物1
種、BBB油脂組成物1種及びCCC油脂組成物1種の
計3種)を作成した。
較例15において、炭素数20以上の脂肪酸をほとんど
含まない油脂混合物を用いた場合でも、硬化魚油A、硬
化魚油B又は硬化魚油Cに相当する特性を有する反応油
が得られることがわかった。(実施例43〜57、比較
例16〜18、対照例1〜3)
油B、又は硬化魚油Cに相当する特性を有する油脂組成
物等を用いてマーガリンを作製しその特性を評価した。
<マーガリンの作製方法及び条件> 1)油相部の調製;原料配合した油脂(以下「調合油」
という)80.94重量部、乳化剤としてエマルジーM
S(理研ビタミン油製)0.1重量部、大豆レシチン
0.1重量部、着色料としてカロチン10ppm、アナ
トー色素0.01重量部、香料としてバターフレーバー
5ppm、ミルクフレーバー70ppmを混合し60℃
に保った。
%)14.4重量部、食塩1.2重量部を混合し水分が
16.4重量部になるように水を追加し、80℃以上で
30分殺菌した。
よび2)で調製した油相部と水相部を混合し、60℃に
保ち以下連続的に乳化槽を通して乳化均質化し、3段の
クーリングシリンダーからなるコンビネータータイプの
モデル機で急冷可塑化した。
上昇融点よりも20℃±2℃低い温度になるように、ま
た3段目の出口温度が調合油の上昇融点よりも13℃±
2℃低い温度となるように、また1段目の出口温度が2
段目出口温度と1段目入口温度の平均値に近くなるよう
に冷媒流量を調節して行った。
目、2段目、3段目とも500rpmで行い、流量は概
ね50Kg/Hrであった。
ダンボールに充填した。
製品を、調合油の上昇融点より5℃±1℃低い温度で3
6時間保管して熟成した。
ガリンを調合油の上昇融点より15℃ないし20℃低い
温度で保管した。 <マーガリン製品の評価項目とその方法及び条件> 1)ペネトレーション値;ダンボールに充填してあるマ
ーガリンに、両切りペネ缶(内径57mm、長さ40m
m)の片方から完全に突っ込み両端に盛り上げた状態で
サンプルを採取し、ぺネ缶の両端をバターナイフで面切
りし、測定温度の恒温水糟に浸漬しておき2時間後にペ
ネトロメーターで測定した。
あるマーガリンを、バターナイフを用いてその表面を平
滑に削り取って、マーガリンの表面状態を各々5点法で
評価した。
い。
がある。
かなり強い。
ている。 4)ツヤの評価基準; 5点=極めて光沢がある。
キサー社製)タイプN50(5コート用)を用い測定温
度に設定した恒温室で行った。試験はテンパリング終了
時点と4週間後の2回行った。
gをボールに入れ、ホバートミキサーにセットし撹拌ス
ピードNO.1(低速)で2分間撹拌し試料をほぐし
た。次いで撹拌しながら、比重1.31に調整したシロ
ップ240mlを1分間で添加し、撹拌スピードをN
O.2(中速)にし、5分後撹拌を止めてボール内壁に
付着している試料をかき落とし更に撹拌した。撹拌を止
めてクリームを秤量缶に採取して秤量し、クリーミング
価(含気空気量ml/試料g×100)を求めた。
らの実質撹拌時間が10分と15分のクリーミング価を
求めた。この操作後のクリームについて、次の項目につ
いて評価した。 <クリーム評価項目> 1)シロップの分離;シロップ分離の程度を次の評価基
準で評価した。
が均一である。
や不均一である。
袋に詰め、絞り出す時のかたさを評価した。
い。
すい。
りやすい。
絞りにくい。
にくい。
絞り出したクリームの表面状態を評価した。
その方法及び条件>に記したものと同じである。
を評価した。
がきれいにたっている。
が、わずかに乱れている。
ろどころアバタになる。
なりアバタである。
にもろい。
え、振動前後の保型性を評価した。
る。 4点=形が極わずかに変化しているが安定している。
る。
マーガリンを作製し、評価した。
B、硬化魚油Cから選ばれた油脂を主体とする油脂を用
いた。
油B、硬化魚油Cから選ばれた1種又は2種以上と、比
較例13、比較例14、又は比較例15で得た油脂組成
物を用いた。
油B、硬化魚油Cから選ばれた1種又は2種、及び実施
例1〜42で得た油脂組成物を用いた。
の通りであった。
のペネトレーション値105 硬化魚油B;上昇融点38.4℃、20℃のペネトレー
ション値24 硬化魚油C;上昇融点43.5℃、30℃のペネトレー
ション値27 調合油の原料油配合(配合率は重量%である)と調合油
の上昇融点を表5〜7に示す。
示す。
いてもペネトレーション値(ペネ値)の経日変化の差異
はほとんどないことがわかった。
については、硬化魚油A、硬化魚油B又は硬化魚油Cの
配合油を用いたものであっても、炭素数20以上の脂肪
酸をほとんど含まない油脂のランダム油と硬化魚油A、
硬化魚油B又は硬化魚油Cの配合油を用いたものであっ
てもまた、本発明の油脂組成物と硬化魚油A、硬化魚油
B又は硬化魚油Cの配合油を用いたものであってもほと
んど差がないことがわかった。
については、対照例1〜3のいずれもが8週間後でも良
好な商品性を有するのに対して、比較例16〜18は2
週間後で既に商品性に欠けるものとなることがわかっ
た。また実施例43〜57のいずれもが、8週間後でも
良好な商品性を有し対照例と同等であることがわかっ
た。
時点と4週間後でほとんど違いが認められなかったので
テンパリング終了時点の結果を示した。
いては、ホイップ価、シロップの分離及びのびは対照
例、比較例、及び実施例との差異はほとんどないことが
わかった。こし、キメ及びツヤは対照例に対し比較例は
劣るものであることがわかった。実施例はいずれも対照
例に匹敵する商品性に優れたものであることがわかっ
た。
るいはショートニング原料として、硬化魚油と混合使用
してもまた、硬化魚油と混合しなくとも、硬化魚油を用
いた製品のキメ及びツヤの経日変化並びにホイップクリ
ームのこし、キメ及びツヤが同等の特性を有する製品を
提供する。また、トランス異性体含有率が3%以下であ
って、硬化魚油を用いた製品と同等の特性を有するマー
ガリンあるいはショートニングを提供することができ
る。
Claims (8)
- 【請求項1】 飽和脂肪酸含有率が48重量%ないし5
2重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12.5重量
%ないし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸4
重量%ないし14重量%含有する油脂混合物のランダム
エステル交換油脂であって、上昇融点が29.0±1.
5℃、20℃のペネトレーション値が110±22の特
性を有することを特徴とする油脂組成物。 - 【請求項2】 飽和脂肪酸含有率が68重量%ないし7
5重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸11重量%な
いし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸5重量
%ないし20重量%含有する油脂混合物のランダムエス
テル交換油脂であって、上昇融点が38.0±1.5
℃、20℃のペネトレーション値が25±5の特性を有
することを特徴とする油脂組成物。 - 【請求項3】 飽和脂肪酸含有率が79重量%ないし8
2重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12重量%な
いし17重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸8重量
%ないし24重量%含有する油脂混合物のランダムエス
テル交換油脂であって、上昇融点が43.0±1.5
℃、30℃のペネトレーション値が25±7の特性を有
することを特徴とする油脂組成物。 - 【請求項4】 飽和脂肪酸含有率が48重量%ないし5
2重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12.5重量
%ないし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸4
重量%ないし14重量%含有する油脂混合物のランダム
エステル交換油脂であって、上昇融点が29.0±1.
5℃、20℃のペネトレーション値が110±22の特
性を有し、構成脂肪酸としてのトランス異性体含有率が
3重量%以下であることを特徴とする油脂組成物。 - 【請求項5】 飽和脂肪酸含有率が68重量%ないし7
5重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸11重量%な
いし16重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸5重量
%ないし20重量%含有する油脂混合物のランダムエス
テル交換油脂であって、上昇融点が38.0±1.5
℃、20℃のペネトレーション値が25±5の特性を有
し、構成脂肪酸としてのトランス異性体含有率が3重量
%以下であることを特徴とする油脂組成物。 - 【請求項6】 飽和脂肪酸含有率が79重量%ないし8
2重量%で、炭素数12以下の飽和脂肪酸12重量%な
いし17重量%及び炭素数20以上の飽和脂肪酸8重量
%ないし24重量%含有する油脂混合物のランダムエス
テル交換油脂であって、上昇融点が43.0±1.5
℃、30℃のペネトレーション値が25±7の特性を有
し、構成脂肪酸としてのトランス異性体含有率が3重量
%以下であることを特徴とする油脂組成物。 - 【請求項7】 請求項1〜6記載の油脂組成物からなる
群より選択される少なくとも2種を配合して得られる油
脂組成物。 - 【請求項8】 請求項1〜7記載の油脂組成物の製造方
法。
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