JP3537840B2 - 食用エステル交換油脂ならびにそれを用いた栄養組成物 - Google Patents

食用エステル交換油脂ならびにそれを用いた栄養組成物

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JP3537840B2 JP07389793A JP7389793A JP3537840B2 JP 3537840 B2 JP3537840 B2 JP 3537840B2 JP 07389793 A JP07389793 A JP 07389793A JP 7389793 A JP7389793 A JP 7389793A JP 3537840 B2 JP3537840 B2 JP 3537840B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ランダムエステル交換
した食用油脂に関し、特に、酸化安定性が高くかつ戻り
臭発生が少なく、栄養価の高い食用エステル交換油脂に
関する。このものは、一般食品、機能性食品、育児用調
製乳、栄養剤等に利用される。
【0002】
【従来の技術】油脂が酸化し、変質を起こすと風味が悪
くなるだけでなく栄養価も低下する。特に、EPA(エ
イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)
などの多価不飽和脂肪酸含量の高い魚油は、血清コレス
テロールを低下させるなど多くの生理機能を有する反
面、酸化や変質により戻り臭、不快臭を発し著しく劣化
することは良く知られている。
【0003】一般に、油脂の酸化や変質を防ぐには、油
脂の精製度を上げる方法の他に抗酸化剤やマスキング剤
を添加する方法等が広く知られている(特開平2−20
8390号公報、特開平2−55785号公報、特開平
3−130042号公報等)。しかし、添加剤の使用だ
けではDHA等の多価不飽和脂肪酸含量の高い油脂を酸
化・変質を生じさせずに長期保存することは困難であ
り、さらに酸化(広義に油脂の自動酸化による変質をい
う。主にはメチレン基の酸化に端を発するものをい
う。)をある程度抑制できたとしても油脂の戻り臭(油
脂の自動酸化により生ずるが不飽和アルデヒドの生成に
よるものであり、酸化と分けて考える。)の発生が抑え
られず、栄養面のみならず官能面の評価も重要な食品等
に油脂を添加する場合には問題があった。また、油脂の
精製度を上げることは大規模な設備を必要とし、コスト
的にも不利となる。従って、多価不飽和脂肪酸を多く含
有する油脂の効果的な抗酸化方法や戻り臭抑制方法は未
だ実現されていない。
【0004】一方、油脂の改質法としては、部分水添や
エステル交換があるが、部分水添では多価不飽和脂肪酸
含量を著しく低下させることになり、多価不飽和脂肪酸
の有する栄養生理学的効果を損なうことになる。エステ
ル交換は油脂改質手段として一般に知られているが、目
的とする油脂によってエステル交換する対象、手段等が
相違し極めて多様性がありエステル交換の作用効果を一
義的に規定することはできない。例えば、パーム油の好
ましくない臭を消失させるため、パーム油を分別によっ
て得た軟質油50%以下と、大豆、なたね、こめ油、、
落花生、綿実油等の液状油と混合してからエステル交換
し、脱臭する液状油の製造法(特開昭49ー10730
4号公報)、マーガリン等のダイラテーション値を低く
するため、20〜80重量部のリノール酸残基の多い油
および80〜20重量部のラウリン酸残基の多い油を無
作為にエステル交換した混合物(特公平2ー42456
号公報)、マーガリンの粒状化を防止するため、パーム
油5〜65%を、主としてC44およびより高級なトリグ
リセリドを含む1種又はそれ以上の他の脂肪と共にラン
ダム化させる製造方法(特公昭57ー41219号公
報)、フライングにおいて泡立ちがなく、且つ熱安定性
を高めるため、ラウリン酸系油脂90〜40重量部にオ
レイン酸系油脂又はその硬化油を10〜60重量部を混
合したものをエステル交換反応させる製造方法(特公昭
46ー15662号公報)等が知られている。即ち、エ
ステル交換する対象が相違すると得られた油脂の性質が
相違するので、目的とする特性を有する油脂が得られる
かどうかは現実に試験研究しなければ予測することは困
難である。
【0005】また、エステル交換を栄養生理学的見地か
ら利用した技術として、Blackburnらは(Me
tabolism,Vol.l33,910,198
4)、中鎖脂肪酸と多価不飽和脂肪酸とのランダムエス
テル交換により同一分子内に中鎖脂肪酸と長鎖多価不飽
和脂肪酸がランダムに存在する合成油脂が開示されてお
り、また、中鎖脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の選択的エス
テル交換により、トリグリの2位の位置に多価不飽和脂
肪酸を、1,3位に中鎖脂肪酸を配置した合成油脂とそ
れを含有する輸液や経腸栄養剤も知られている(特開昭
63−297342号公報)。これらは消化吸収性に優
れた中鎖脂肪酸と種々の生理機能を有する多価不飽和脂
肪酸を同一分子内に持たせることによって、両方の栄養
生理学的効果を併せ持つ油脂を提供するものである。
【0006】このように、従来からグリセリドの脂肪酸
組成を変化させることによって油脂の物性や栄養学的機
能を改良することは行われてきたが、脂肪酸の栄養学的
な生理機能を保持しつつその酸化安定性を高めかつ戻り
臭の発生を抑制するという官能的面をも改良した油脂に
関する検討はなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑みなされたものであり、その目的は、一般に栄養生
理学的に優れた機能を持つが、特に酸化安定性が低く戻
り臭が問題となる一定の多価不飽和脂肪酸残基を他の脂
肪酸残基とランダムエステル交換反応させることによ
り、当該油脂の持つ高い生理学的機能を損なうことなく
酸化安定性および官能特性を有効に改良することであ
る。
【0008】また、本発明の他の目的は、抗酸化剤やマ
スキング剤との併用によって上記効果を増強させること
である。
【0009】また、本発明の更に他の目的は、上記油脂
を用いて栄養組成物を栄養生理学的および官能的に向上
させることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明は、トリまたはポリエン酸残基を10%以上含有する
油脂、特に魚油1〜50重量部と、トリまたはポリエン酸
残基が10%未満で飽和脂肪酸残基を25%以上含有する油
脂99〜50重量部との混合物をランダムエステル交換させ
て得られる、融点30〜60℃の食用エステル交換油脂であ
る。本発明においては特定のランダムエステル交換反応
により、グリセリドの組成を変化させているので、脂肪
酸組成としては等価な、前記エステル交換していない状
態の混合物に比較して酸化安定性のみならず従来技術で
は着目されていなかった戻り臭生成抑制を極めて有効に
達成可能となる。
【0011】又、本発明は、抗酸化剤またはマスキング
剤を含有する上記食用エステル交換油脂である。この食
用エステル交換油脂は従来の抗酸化剤やマスキング剤を
使用せずとも有効に上記効果を達成可能であるが、抗酸
化剤やマスキング剤の存在によって更に優れた効果を奏
する。
【0012】又、本発明は、蛋白質、糖質、油脂、ビタ
ミン、ミネラルを主成分とする栄養組成物に該油脂の全
部または一部を上記の油脂で置換した栄養組成物であ
る。上記食用油脂は酸化安定性が高く、戻り臭が抑制さ
れているので、これを配合した栄養組成物は栄養生理学
的に優れているばかりでなく官能的にも極めて優れてお
り、特に育児用粉乳等として有効である。
【0013】以下、本発明を詳述する。
【0014】本発明でランダムエステル交換の対象とな
るのは、トリまたはポリエン酸残基を10%以上含有す
る油脂(以下、トリ・ポリエン酸系油脂という。)と、
トリまたはポリエン酸残基が10%未満で飽和脂肪酸残
基を25%以上含有する油脂(以下、飽和脂肪酸系油脂
という。)である。
【0015】トリ・ポリエン酸系油脂としては、不飽和
結合3個以上の脂肪酸残基を 10%以上含有しているこ
とに特徴があるものであり、通常はトリグリセリドであ
るが、それに限定されるわけではない。一酸型、二酸
型、三酸型の別は問わない。また、融点は、この油脂が
複数種のグリセリドの混合物であることから、鋭敏には
現れないが、通常 20℃以下であり比較的低い。トリ・
ポリエン酸としては、リノレン酸、アラキドン酸、エイ
コサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DH
A)等が含まれ、好ましくはC16以上の高級脂肪酸であ
る。特に、リノレン酸、EPA、DHA等のオメガ3系
列の脂肪酸は血清コステロールを低下させる等の有益
な生理的活性を有しているので、これらを含有するトリ
グリセリド混合物が好ましい。
【0016】又、戻り臭の主体をなすものとしては、リ
ノレン酸等高度不飽和脂肪酸の自動酸化で生成する不飽
和アルデヒドと考えられているので、戻り臭はオレイン
酸等のモノエン酸やリノール酸等のジエン酸よりは、特
にトリ・ポリエン酸において問題となる。即ち、生理活
性効果が高いという利点と戻り臭が強いという問題点は
トリ・ポリエン酸系の脂肪酸において併存する性質であ
り、本発明では特にトリ・ポリエン酸残基を 10%以上
含有する油脂を対象としている。好ましいトリ・ポリエ
ン酸系油脂は、トリ・ポリエン酸残基を 15%以上、更
に 20%以上含有しているものであり、本発明を適用す
る意義が大きい。トリ・ポリエン酸残基が10%未満の油
脂では戻り臭抑制効果が充分でなく、またトリ・ポリエ
ン酸残基が減少することから生理活性効果もあまり期待
できない。
【0017】ここで、脂肪酸残基の量は全脂肪酸残基の
重量当りの百分率で表わしている。
【0018】トリ・ポリエン酸残基を10%以上含有す
る油脂としては、魚油、エゴマ油、ナタネ油、大豆油、
アマニ油等を挙げることができ、一般に栄養生理学的に
活性を有するが酸化安定性に劣り戻り臭の発生を生ずる
油脂を用いることができるが、油脂の由来を問わず分別
によりトリ・ポリエン酸残基含量を高めた油脂も用いる
ことができる。 特に、魚油はEPAやDHA等の有用
な脂肪酸を比較的高含量含んでいる反面、精製度を向上
させても特有の臭気が残存し易く更に戻り臭が発生し易
いという問題点を有しているので、好適に用いうる。
【0019】次に、飽和脂肪酸系油脂としては、トリ・
ポリエン酸残基が10%未満で飽和脂肪酸残基を25%
以上含有することを特徴とする油脂であり、通常はトリ
グリセリドであるが、それに限定されるわけではない。
一酸型、二酸型、三酸型の別を問わない。また、融点
は、この油脂が複数種のグリセリドの混合物であること
から、鋭敏に現れないが、通常30℃以上であり、比較
的高い。トリ・ポリエン酸残基が10%未満で飽和脂肪
酸残基が25%以上であるとは、飽和脂肪酸残基が25
%以上、飽和脂肪酸残基とモノ・ジエン酸残基の合計が
90%以上ということである。好ましくは飽和脂肪酸残
基が40%以上、飽和脂肪酸残基とモノ・ジエン酸残基
との合計が95%以上である。飽和脂肪酸としては、パ
ルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ラウリン
酸、カプリン酸等の中級脂肪酸等、モノエン酸として
は、オレイン酸等の高級脂肪酸、パルミトレン酸等の中
級脂肪酸等、ジエン酸としては、リノール酸等の高級脂
肪酸等を挙げることができる。上記トリ・ポリエン酸系
油脂は、飽和脂肪酸系油脂とランダムエステル交換反応
させ、グリセリド組成を変えることによって、酸化安定
性、戻り臭発生抑制効果を獲得することができる。飽和
脂肪酸系油脂中のトリ・ポリエン酸残基が10%以上お
よび飽和脂肪酸残基が25%未満であると、かかる効果
が充分得られず、逆に、酸化安定性を高めるよりもむし
ろ低下させる原因となり得る。
【0020】ここで、酸化安定性は広く油脂の自動酸化
を抑制することをいうが、主にメチレン基に起こるフリ
ーラジカル反応に端を発する酸化機構を抑制することを
いう。これは例えばPOV値の経時変化によって評価す
ることができる。また、戻り臭発生抑制はトリ・ポリエ
ン酸の自動酸化で生ずる不飽和アルデヒドの生成を抑制
することをいう。広義には戻り臭発生は油脂の自動酸化
が原因であり、戻り臭発生抑制は酸化安定性に包含され
るが、POV値と戻り臭の強さとは反応機構が相違し必
ずしも相関しないので、ここでは分けて評価する。戻り
臭は酸化が進行していない初期段階において発生するこ
とがあるので、特に重要である。また、エステル交換油
脂の酸化安定性、戻り臭発生抑制効果はエステル交換し
ていない脂肪酸組成が等価な油脂混合物を基準としそれ
との比較における相対評価である。
【0021】飽和脂肪酸系グリセリドとしては、パーム
油、パーム核油、カカオ油、ヤシ油、ラード等あるいは
それらから分別したものやその他に部分水添により飽和
脂肪酸含量を高めた油脂を挙げることができるが、これ
らに限定させるものではない。
【0022】トリ・ポリエン酸系油脂と飽和脂肪酸系油
脂とのランダムエステル交換反応はトリ・ポリエン酸油
脂1〜50重量部と飽和脂肪酸油脂99〜50重量部とを混合
して行なう。反応は常法に基づく化学的エステル交換反
応により実施できる。例えば、エステル交換触媒として
ナトリウムメチラート触媒、水酸化ナトリウム等を0.2
〜10重量%用いて約40〜140℃、好ましくは60〜80℃の
温度で15分〜2時間反応させ、必要により脱酸、脱色、
脱臭する。また、エステル交換触媒として andida cy
lindracea 由来のリパーゼを固定化した酵素等を用いる
場合は、油脂混合物を2〜10倍量の有機溶媒に溶解し、
油脂混合物に対して5〜50重量%の固定化酵素を添加し
て約30〜65℃、好ましくは35〜60℃で1〜72時間反応さ
せ、必要により脱酸、脱色、脱臭する。いずれの場合
も、トリ・ポリエン酸系油脂と飽和脂肪酸系油脂の比率
が重要であり、上記範囲内の場合は極めて著しい酸化安
定効果および戻り臭発生抑制効果を奏する。飽和脂肪酸
系油脂の量比が少な過ぎると、酸化安定性向上および戻
り臭発生抑制効果を実現することが困難であり、逆に、
酸化安定性等を低下させる場合もあり、特に食品等官能
的評価が重要な素材に対しては問題となる。一方、飽和
脂肪酸系油脂の量比が多過ぎても酸化安定性、戻り臭発
生抑制効果はさほど向上しないが、効果が高まったとし
てもトリ・ポリエン酸含量を著しく低下させることにな
り、栄養生理学的効果が期待できなくなる。即ち、トリ
・ポリエン酸油脂1〜50重量部と飽和脂肪酸油脂99〜50
重量部の範囲にある場合に栄養生理学的効果と酸化安定
性および戻り臭発生抑制効果を両立させることが可能と
なる。好ましくはトリ・ポリエン酸油脂10〜40重量部と
飽和脂肪酸油脂90〜60重量部の範囲である。
【0023】上記のようにして得られた食用エステル交
換油脂は一般に融点30〜60℃であり、エステル交換
をしていない脂肪酸組成が等価な油脂混合物に比べて融
点が約2〜20℃高くなる。これはトリグリセリドの組
成が変わりトリグリセリド1分子中の脂肪酸残基が、飽
和酸、モノエン酸、ジエン酸、トリエン酸、ポリエン酸
による二酸型や三酸型となるためと考えられる。
【0024】得られた食用エステル交換油脂は顕著に酸
化安定性が高く、戻り臭が抑制されているので、タンパ
ク質、糖質、ビタミン、ミネラルを主成分とする栄養組
成物に配合するのに極めて好適である。栄養組成物とし
ては、油脂を含むものであればいかなるものでも良い。
また栄養組成物の形態も液体、固体、エマルジョン等の
別を問わず、いかなるものにも適用できる。栄養組成物
ヘの配合方法には特に制限はなく、既存の油脂成分との
全部置換、一部置換等、量的制限なく目的に応じて配合
できる。また、公知の抗酸化剤、例えばトコフェロール
(ビタミンE)、L−アスコルビン酸(ビタミンC)ま
たはそのエステル、レシチン等やマスキング剤、例え
ば、ハーブフレーバーやレモンフレーバー等を単独でま
たは複数を組合せて添加すれば、酸化安定性や戻り臭発
生抑制効果をより増強することができる。これら添加剤
の添加量は油脂に対して約20〜200ppm、好まし
くは100〜1000ppmである。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0026】実施例1 表1に示すパーム油900gと精製カツオ油100gを
混合したものを原料油とし、ナトリウムメチラート触媒
を0. 6重量%添加して、ジャケット付き攪拌式反応
器にて減圧下(5torr)、温度80℃で30分間ラ
ンダムエステル交換反応させた。反応終了後、この反応
液を希塩酸水溶液で中和し、水洗後、油脂部分を取出し
水蒸気蒸留装置で脱臭した。脱臭は温度240℃に油脂
を保持し、減圧下で蒸気を吹き込みながら、1時間実施
した。その際、脱臭装置内の圧力は5torrであっ
た。その結果、魚油臭のない透明度の高い上質のエステ
ル交換油を920g得た。
【0027】
【表1】 実施例2 表2に示すパーム低融点分別油90gと精製カツオ油1
0gを混合したものを原料油としてへキサン500ml
に溶解し、常法に従ってグルタルアルデヒドにより固定
化した固定化酵素(担体:セライト、酵素:Candi
da cylindracea由来リパーゼ)40g添
加して、ジャケット付き反応器にて温度60℃で10時
間ランダムエステル交換反応させた。この反応液を濾過
し、減圧濃縮にてへキサンを除去し水蒸気蒸留装置で脱
臭した。脱臭は温度240℃油脂を保持し、減圧下で蒸
気を吹き込みながら、1時間実施した。その際、脱臭装
置内の圧力は5torrであった。その結果、魚油臭の
ない透明度の高い上質のエステル交換油96gを得た。
【0028】
【表2】 上記の実施例1および2により得られたエステル交換油
100g(それぞれE1およびE2と表わす。)とパー
ム油またはパーム低融点分別油とカツオ油を9:1の比
率で混合し、実施例と同様の脱臭工程を経た混合油(そ
れぞれM1およびM2と表わす。)の100gを200
mlビーカーに採取後、60℃のオーブン中に保存し、
専門パネラー20人による臭気の官能検査を実施した。
臭気評価は表3に示すように5段階評価とし、20名の
平均値で示した。また、酸化の程度については、POV
を測定した。これらの結果を図1に示した。
【0029】図1に明かなように、ランダムエステル交
換により、トリ・ポリエン酸残基と飽和脂肪酸等がラン
ダム化されたので、エステル交換されていない等価な油
脂混合物に比べて本発明の油脂は酸化安定性および臭気
評価において著しく優れていた(POVで約1/10程
度)。
【0030】
【表3】 実施例3 実施例1により得られたエステル交換油100g(E3
と表わす。)に市販の抗酸化剤を表4のように添加し、
上記の要領で臭気の官能検査を実施した。臭気評価は表
3に示すように5段階評価とし、20名の平均値で示し
た。また、酸化の程度についてはPOVを測定した。こ
れらの結果を図2に示した。 図2に明らかなように、
抗酸化剤を添加することで、エステル交換油の酸化安定
性を更に増強させかつ戻り臭の発生を更に抑制できた。
特にLーアスコルビン酸エステルとトコフェロールの組
合せは酸化安定性および戻り臭抑制効果増強作用が顕著
であった。
【0031】
【表4】 実施例4 実施例1で用いたパーム油と精製カツオ油の混合比率を
1:2〜200:1(精製カツオ油0.5〜66.7重量部、パーム
油99.5〜33.3重量部)まで変化させて、実施例1と同様
の方法でランダムエステル交換反応させ、得られたエス
テル交換油100gを60℃のオーブン中に1週間保存し、専
門パネラー20人による臭気の官能検査を行った。また、
酸化の程度にいてはPOVを測定した。これらの結果
を図3に示した。
【0032】図から明らかなようにパーム油/精製カツ
オ油の比が1未満の場合(精製カツオ油50重量部超え、
パーム油50重量部未満)には、POVは著しく上昇し、
戻り臭も殆ど抑制されなかった。逆にパーム油/精製カ
ツオ油の比が1以上の場合(精製カツオ油50重量部
、パーム油50重量部以上)は顕著にPOVは抑制さ
れ、戻り臭も発生しなかった。また、パーム油/精製カ
ツオ油の比が100を超えても(精製カツオ油1重量部未
満、パーム油99重量部超え)、効果の向上は顕著ではな
かった。
【0033】実施例5 ホエー蛋白質濃縮物1.59g、乳糖4.59g、ビタ
ミン・ミネラル0.1gを水65kgに溶解後,脱塩脱
脂乳25.7kgと混合し、さらに生クリーム0.7k
g、実施例1より得られたエステル交換油0.96kg
を含む混合油(大豆油、パーム核分別油)2.39kg
を混合して均質化した。得られた溶液を常法に従って殺
菌,噴霧乾燥し、育児用粉乳10kgを得た。このもの
は魚臭が全くなく官能的に魚油未使用の育児用粉乳と遜
色なかった。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
一般に栄養生理学的に優れた機能を持つが、特に酸化安
定性が低く戻り臭が問題となるトリ・ポリエン酸系油脂
を飽和脂肪酸系油脂とランダムエステル交換反応させた
ことにより、当該油脂の持つ高い生理学的機能を損なう
ことなく酸化安定性および戻り臭発生抑制効果が顕著に
向上した。
【0035】また、抗酸化剤やマスキング剤との添加に
よって上記効果を増強させることができた。
【0036】また、上記油脂を用いて栄養組成物を栄養
生理学的および官能的に向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1および2で得られたエステル
交換油の臭気評価およびPOVの経時変化を示すグラフ
である。
【図2】本発明の実施例3で得られたエステル交換油の
臭気評価およびPOVの経時変化を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例4においてパーム油/精製カツ
オ油の比を変化させた得られたエステル交換油の臭気評
価およびPOVの変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井戸田 正 埼玉県川越市大字古谷上6083−7 川越 グリンパークL1−207 (72)発明者 小西 寛昭 埼玉県川越市石原町2丁目63−4 (72)発明者 村上 元威 埼玉県狭山市富士見1−11−1 (72)発明者 巽 清 埼玉県入間市野田982−2 (56)参考文献 特開 平5−17797(JP,A) 特開 平3−30686(JP,A) 特開 昭62−153249(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11B 1/00 - 15/00 C11C 1/00 - 5/02 A23D 7/00 - 9/00 A23C 9/00 - 23/00 A23L 1/00 - 3/54

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリまたはポリエン酸残基を10%以上含
    有する魚油1〜50重量部と、トリまたはポリエン酸残基
    が10%未満で飽和脂肪酸残基を25%以上含有する油脂99
    〜50重量部の混合物をランダムエステル交換させて得
    られ、融点30〜60℃であり、前記エステル交換していな
    い状態の混合物に比較して酸化安定性が優れており、か
    つ、戻り臭が抑制されていることを特徴とする食用エス
    テル交換油脂。
  2. 【請求項2】 抗酸化剤またはマスキング剤を含有する
    請求項1に記載の食用エステル交換油脂。
  3. 【請求項3】 蛋白質、糖質、油脂、ビタミン、ミネラ
    ルを主成分とする栄養組成物において、該油脂の全部ま
    たは一部を請求項1または2に記載の食用エステル油脂
    で置換した栄養組成物。
  4. 【請求項4】 前記栄養組成物は、育児用粉乳である、
    請求項3に記載の栄養組成物。
JP07389793A 1993-03-31 1993-03-31 食用エステル交換油脂ならびにそれを用いた栄養組成物 Expired - Lifetime JP3537840B2 (ja)

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