JP2569911B2 - 油脂組成物及び複合菓子用焼菓子類の製造方法 - Google Patents
油脂組成物及び複合菓子用焼菓子類の製造方法Info
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脂に適した油脂組成物及びこの油脂組成物を使用した複
合菓子用の焼菓子類の製造方法に関するものであり、更
に詳しくは、ビスケット、クッキー等の焼菓子類とチョ
コレート、クリーム類等を組合わせ使用した複合菓子が
流通過程や保存中に白色化する現象を防止しうる、焼菓
子用練り込み油脂に適した油脂組成物及びこの油脂組成
物を使用して前記白色化を防止してなる複合菓子用の焼
菓子類を製造する方法に関するものである。
ョコレート、クリーム類等をコーティングしたり、サン
ド挿入したり、或いはチョコレートに焼菓子を埋設した
りした複合菓子が製造されている。このような複合菓子
は、製造後の流通過程、或いは保存中に焼菓子部分の表
面が白い粉をふいた状態、斑点、まだら状態に変色した
り、全体的に白色化する現象がしばしば発生し、製品の
外観を悪くするのみならず、チョコレートの軟化も同時
に起こるため商品価値が著しく低下してしまう。
ト、クリーム類をコーティングしないビスケット単独で
従来から認められているビスケットブルーム、所謂ファ
ットブルーム現象とも基本的に異なり、このような複合
菓子類における表面状態の変化の発生メカニズムは必ず
しも十分に解明されてはいないが、一応下記のようなも
のであると推定される。
物中の油脂は、焼成時には完全に融解しており、冷却過
程を経て固体油脂の結晶化が起こる。そして、冷却に従
って固体油脂の結晶化は温度の低い表面部分から順に発
生し内部に進行して行くが、ビスケット、クッキー等の
焼成後の冷却工程は、実際にはかなりの徐冷条件で行わ
れることから、練り込み油脂は固体油脂と液状油脂とが
分離している固液分離状態でビスケット、クッキー等の
表面、及び内部に存在している。そこにチョコレート、
クリーム等を接触させると、もともと液状油脂の多いビ
スケット、クッキー側から液状油脂の少ないチョコレー
ト、クリーム側に液状油脂が移行する。所謂「マイグレ
ーション」現象が起こる。このとき、練り込み油脂の固
体脂含量が低い場合は、液状油脂が多いために移行によ
りビスケット、クッキー表面にデンプン粒が全体的に露
出され、それにより外見上つやがなくなり、全体的に白
く見える。他方、練り込み油脂の固体脂含量が高い場合
には、固液分離状態で存在し、移行によりビスケット、
クッキー表面では液状油脂の存在部分のデンプン粒が露
出されるが、固体油脂の存在部分はそのままのため、外
観上白い粉をふいた状態、斑点、又は、まだら状態に観
察される。又、上記何れの場合でもマイグレーションに
より残った高融点油脂の結晶粗大化によるファットブル
ーム現象も同時に発生し、ビスケット、クッキー等の表
面状態の変色に関与する。又、チョコレート、クリーム
側からみた場合、ビスケット、クッキー側から液状油脂
が移行してくるために、これらのチョコレート、クリー
ム等が軟化してしまう。
ョコレート、クリーム等との複合菓子に見られるこれら
の変化は、焼菓子中の油脂における固体油脂の存在状態
に影響され、液状油脂の移行と、高融点油脂部の結晶粗
大化によって引き起こされると考えられる。
して、特公昭61−47491号には「油脂の構成脂肪酸中の
トランス酸含有量が30%以上であり、特定のSFIを有し
かつ該油脂のSFI値とチョコレート中の油脂のSFI値との
差が20℃で35以下である油脂を菓子類の練り込み油脂と
して使用する方法」、特開昭63−126457号には「トイグ
リセリドを構成する3個の脂肪酸残基のうち、少なくと
も1個が炭素数20〜24の飽和脂肪酸である二飽和一不飽
和型混酸基トリグリセリドを10重量%以上含有する油脂
からなる焼菓子用油脂のマイグレーション抑制剤を0.5
〜100重量%含有する油脂を複合焼菓子類に使用する方
法」、又、特開昭64−60325号には「必須の油脂成分と
して魚油硬化油を20重量%以上と、特定のSFIを有する
植物油脂20%以上とを含有した油脂組成物であって、該
油脂組成物のSFIが20℃で30〜55%、30℃で10〜30%、4
0℃で5%以下である焼菓子用練り込み油脂組成物」等
が提案されている。
量を多くし、微細な油脂の結晶構造を作り出すことで油
脂の移行を防止することを目的としているが、これらの
白化等の防止に関して必ずしも満足する結果が得られて
いないのが現状である。
ト、クリーム類等を込み合わせた複合菓子類を製造する
にあたって、油脂移行(マイグレーション)により発生
する焼菓子類の白い粉をふいた状態、斑点、まだら状
態、又、白化する現象を防止すべく検討する中で、菓子
類の練り込み油脂の結晶が焼成により完全融解し、その
後の放冷過程で結晶化する際の焼菓子における油脂の結
晶状態が解決の要点になるとの考えに基づき鋭意研究を
重ねた結果、特定のS.F.C.を有し、且つ結晶化の速い油
脂を使用することより、これらの複合菓子における焼菓
子の白化等の現象防止の問題を解決し得るとの知見を
得、本発明を完成するに至ったものである。
0℃で油脂を完全に融解した後30℃に移して24時間後の
S.F.C.が15%以上であり、且つ、30℃に移して60分後の
S.F.C.が前記24時間後のS.F.C.に対して70%以上とした
油脂組成物である。そして、この油脂組成物を、チョコ
レート又はクリーム類をコーティングし、サンド挿入
し、又はこれらのチョコレート、クリーム類に埋設する
ことにより複合菓子を製造する際の焼菓子類を製造する
にあたって、練り込み油脂として用いるものである。
製造するには、大豆油、綿実油、ハイエルシン菜種油、
低エルシン菜種油、パーム油、ヤシ油、落花生油、コー
ン油、ホホバ油、クヘア油、魚油、牛脂、豚脂、乳脂等
の動植物油、或いはその硬化油が使用できるが、これら
の油脂は、30℃では結晶化速度が遅いため固液分離を起
こし易いため、これらの油脂単独又はこれらの混合油10
〜95重量部に、例えば構成脂肪酸として炭素数20〜24の
飽和脂肪酸を10〜60%、炭素数8〜14の飽和脂肪酸を10
〜80%含有し、且つ、両者の脂肪酸をトリグリセリド一
分子中に少なくとも一個以上含むトリグリセリドを含む
油等を5〜90重量部混合し、油脂組成物のS.F.C.を調整
すればよい。このようなS.F.C.調整用の油脂としては、
例えば炭素数20〜24の飽和酸を含有する油脂(例えばハ
イエルシン菜種油の極度硬化油)と炭素数8〜14の飽和
酸を含有する油脂(例えばヤシ油)との1:1の混合物
を、アルカリ触媒或いは酵素によりエステル交換し、常
法により水洗、脱色、脱臭操作を行って得ることができ
る。
ガリン、ショートニング等の状態で使用される。この場
合に使用される乳化剤は、食品分野で一般的に用いられ
るグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセ
ロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール縮合リシノー
ル酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化
剤を単独で、又は2種以上混合したものを使用すること
ができる。
ら限定されるものではない。
れも重量に対するものである。
脂)の製造 ハイエルシン菜種油の極度硬化油(脂肪酸組成:パル
ミチン酸6.9%、ステアリン酸36.0%、アラキジン酸9.8
%、ベヘン酸47.2%)50部に対し、ヤシ油(脂肪酸組
成:カプリル酸6.9%、カプリン酸5.7%、ラウリン酸4
5.3%、ミリスチン酸17.9%、パルミチン酸4.9%、ステ
アリン酸12.9%)50部を加え、ナトリウムメチラート
(対油0.1%)を触媒として80℃、30分間エステル交換
反応を行い、エステル交換油を得た。このものを常法に
より、水洗、脱色、脱臭を行いS.F.C.調整用の油脂とし
た。
25%、及び上記参考例で作成したS.F.C.調整用エステル
交換油20%を混合し、乳化剤としてレシチンを0.2%添
加して油脂組成物を作成した。この油脂組成物の30℃、
24時間後のS.F.C.は24%、60分後のS.F.C.は19.9%(24
時間後のS.F.C.の82.9%)であった。
重量部、上白糖40部、全卵5部、塩0.5部及び水18部か
らなる配合で直径35mm、重量4.0gの円形ビスケットを製
造し、これを直径40mm、重量約12gの円形を呈しカカオ
脂を38%含有するチョコレートに該ビスケットの表面が
埋もれない程度に埋設して複合菓子を製造した。この複
合菓子を25℃での一定温度、並びに32℃と20℃に2サイ
クル/回のサイクルでテストを実施した結果、60日、及
び120サイクル経過後もビスケット表面部分の白色化又
は斑点等の現象は認められなかった。又、ビスケット製
造の際の練り込み性も問題なく極めて良好であった。
油20%、前記参考例で作成したエステル交換油20%とを
混合し、これに乳化剤としてレシチン0.2%を添加して
油脂組成物を作成した。この油脂組成物の30℃、24時間
後のS.F.C.は15%、60分後のS.F.C.は10.5%(24時間後
のS.F.C.の70%)であった。
合菓子を製造し、テストした結果、60日、及び120サイ
クル経過後もビスケット表面分の白色化又は斑点等の現
象は認められず、且つ、ビスケット製造の際の練り込み
性も問題なく極めて良好であった。
エステル交換油15%を混合し、これの84部に乳化剤とし
てレシチンを0.2%、脱粉水16部を添加して油脂組成物
を作成した。
S.F.C.は15%(24時間後のS.F.C.の75%)であった。
合菓子を製造しテストした結果、60日、及び120サイク
ル経過後もビスケット表面分の白色化又は斑点等の現象
は認められず、且つ、ビスケット製造の際の練り込み性
も問題なく極めて良好であった。
20とを混合し乳化剤としてレシチン0.3%添加して油脂
組成物を作成した。この油脂組成物の30℃、24時間後の
S.F.C.は10.0%、60分後のS.F.C.は2.2%(24時間後の
S.F.C.の22%)であった。
ストを実施した結果、7日及び14サイクル経過後、ビス
ケット表面部分に白色化現象が認められた。
作成したエステル交換油10%とを混合し、乳化剤として
レシチン0.2%を加えて油脂組成物を作成した。この油
脂組成物の30℃、24時間後のS.F.C.は15%、60分後のS.
F.C.は6%(24時間後のS.F.C.の40%)であった。
子を製造しテストを実施した結果、17日、及び34サイク
ル経過後、ビスケット表面部分に白色化現象が認められ
た。
作成したエステル交換油脂10%とを混合し、乳化剤とし
てレシチン0.2%を添加して油脂組成物を作成した。
分後のS.F.C.は9.1%(24時間後のS.F.C.の70%)であ
った。
合菓子を製造しテストを実施した結果、10日及び20サイ
クル経過後、ビスケット表面部分に白色化現象が認めら
れた。
25%、参考例で作成したエステル交換油20%とを混合
し、乳化剤を加えて練り込み油脂を作成した。この油脂
の30℃24時間後のS.F.C.は10.0%、60分後のS.F.C.は2.
2%(24時間後のS.F.C.の22%)であった。
子を製造しテストを実施した結果、17日、及び17サイク
ル経過後、ビスケット表面部分に白色化現象が認められ
た。
25%、参考例で作成したエステル交換油脂20%とを混合
し、乳化剤を添加して練り込み油脂を作成した。
分後のS.F.C.は3.0%(24時間後のS.F.C.の27.3%)で
あった。
合菓子を製造しテストを実施した結果、17日及び17サイ
クル経過後、ビスケット表面部分に白色化現象が認めら
れた。
はクリーム類等をコーティングし、サンド挿入し、又は
これらに埋設されて複合菓子に使用される焼菓子類にお
いて、この焼菓子からチョコレート等への液状油脂の移
行による焼菓子類の白化、斑点、変色を防止しうるとと
もに、チョコレート、クリーム類等の軟化を防止するこ
とができる。
Claims (2)
- 【請求項1】NMR法による測定で、80℃で油脂を完全に
融解した後30℃に移して24時間後のS.F.C.が15%以上で
あり、且つ、30℃に移して60分後のS.F.C.が前記24時間
後のS.F.C.に対して70%以上であることを特徴とする油
脂組成物。 - 【請求項2】複合菓子に使用され、チョコレート又はク
リーム類をコーティングし、サンド挿入し、又はこれら
のチョコレート、クリーム類に埋設等される焼菓子類を
製造するにあたって、練り込み油脂として請求項1記載
の油脂組成物を用いることを特徴とする複合菓子用焼菓
子類の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2179841A JP2569911B2 (ja) | 1990-07-06 | 1990-07-06 | 油脂組成物及び複合菓子用焼菓子類の製造方法 |
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JP2179841A JP2569911B2 (ja) | 1990-07-06 | 1990-07-06 | 油脂組成物及び複合菓子用焼菓子類の製造方法 |
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JP4697150B2 (ja) * | 2007-01-26 | 2011-06-08 | 株式会社カネカ | 油脂組成物 |
Citations (1)
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---|---|---|---|---|
JPS6147491A (ja) * | 1984-08-10 | 1986-03-07 | Takeda Chem Ind Ltd | 抗生物質,その製造法および微生物 |
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---|---|---|---|---|
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-
1990
- 1990-07-06 JP JP2179841A patent/JP2569911B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
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JPS6147491A (ja) * | 1984-08-10 | 1986-03-07 | Takeda Chem Ind Ltd | 抗生物質,その製造法および微生物 |
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