JP2002121586A - 油脂組成物及びその製造法 - Google Patents

油脂組成物及びその製造法

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JP2002121586A
JP2002121586A JP2000315201A JP2000315201A JP2002121586A JP 2002121586 A JP2002121586 A JP 2002121586A JP 2000315201 A JP2000315201 A JP 2000315201A JP 2000315201 A JP2000315201 A JP 2000315201A JP 2002121586 A JP2002121586 A JP 2002121586A
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fat
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saturated fatty
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JP2000315201A
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Inventor
Toshiji Horisawa
利治 堀沢
Toshiyuki Teranishi
利之 寺西
Shinzo Kobayashi
信三 小林
Yoshiaki Takagi
芳章 高木
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保型性を維持した上で、口融けの良い、マー
ガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸70重量
%以下、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%、
炭素数20以上の不飽和脂肪酸10重量%以下、炭素数
20以上の飽和脂肪酸3〜10重量%である油脂混合物
を、ランダムエステル交換し、更に水素添加して得られ
る油脂組成物;構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸15〜5
2重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%
である油脂混合物を、ランダムエステル交換し、更に水
素添加して得られる油脂組成物;及び構成脂肪酸含有率
が飽和脂肪酸15〜52重量%、炭素数12以下の飽和
脂肪酸4〜21重量%である油脂混合物を、ランダムエ
ステル交換して得られ、上昇融点が27℃以下でかつ1
0℃におけるペネトレーション値が80以下の特性を有
する油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マーガリンやショ
ートニングのような可塑性油脂組成物製造用の油脂組成
物及びその製造方法に関する。詳しくは、構成脂肪酸含
有率を所定範囲にした油脂混合物を、ランダムエステル
交換反応した後、水素添加することにより得られる口融
けを改良した可塑性油脂組成物製造用の油脂組成物及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マーガリン、ショートニング、ファット
スプレッド等の可塑性油脂組成物は、パン、ケーキ、バ
タークリーム、焼き菓子、揚げ菓子、調理用等として食
品用に広く用いられている。
【0003】このような可塑性油脂組成物としては、季
節・地域・作業環境などにより取り扱う温度が変動して
もその温度に応じて常に適度の硬さを持つものが要請さ
れる。例えば、気温が高い場合には高い温度で適度の硬
さを持ったものが、気温が低い場合には低い温度で適度
の硬さを持ったものが望まれる。適度の硬さを持ち、か
つ、口融けの良い、融点の低いものが求められている。
【0004】可塑性油脂組成物に対する硬さ及び融点に
対する要請は、その原料となる油脂組成物そのものに対
する要請である。その要請に応えるために、原料油に対
し種々の処理が施されてきた。例えば、動植物油の硬
化、分別、エステル交換の組み合わせなどである。
【0005】硬化油にあっては、原料油種及びその配合
率、硬化触媒の種類及び添加率、反応温度、終点ヨウ素
価、その他の水素添加条件、硬化装置及びその部分的構
造、又は、撹拌の効果が検討されてきた。また分別油に
あっては、パーム系油脂を中心に、溶剤を用いて又は溶
剤を用いずに、分別諸条件を変える検討が行われ、パー
ム系以外の油脂との混合油を用いるなどの処理が行われ
てきた。
【0006】また、融点が人間の体温より10℃以上も
高いパームステアリン50〜20%とオレイン系油脂5
0〜80%を混合し、ランダムエステル交換し、必要に
より更に選択水添して製菓用脂肪を製造するという提案
(特開昭47−13607号公報)や、魚油を分別して
得られる固形状の油脂に飽和脂肪酸含量が15%以下の
油脂又はラウリン系油脂を10〜30%混合してエステ
ル交換させ、水素添加して可塑性油脂を製造する提案
(特開平9−194876号公報)のように、単品では
食用に不向きな油脂を食用に供し得るようにするための
取り組みがなされてきた。なお、以下において、ランダ
ムエステル交換して得た油脂を単にランダム油ともい
う。
【0007】ラウリン系油脂とパーム系油脂及びその他
の油脂を用いたランダム油などの提案(特開平11−2
25671号公報)や、硬化魚油代替油脂を目的とした
提案もある(特開平12−129286号公報)。
【0008】ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂を混合
しランダムエステル交換した後、水素添加して、コーテ
ィングオイルを製造する例(特公昭46−15662号
公報)、複合氷菓用脂肪組成物を得る例(特表昭56−
500874号公報)、ラウリン系油脂と非ラウリン系
油脂を混合しランダムエステル交換した後、水素添加し
たものに、第3の油脂として大豆油を加えてロールイン
用油脂を得る例(特開昭57−74041号公報)、第
3の油脂として大豆油と硬化大豆油又は硬化なたね油を
加えて油中水型エマルジョン用油脂を得る例もある(特
開昭59−135839号公報)。
【0009】また、1−3位特異性でないリパーゼを用
いてランダムエステル交換して、製菓用油脂組成物を得
る例もある(特開平6−86636号公報)。以上のよ
うに、種々の油脂を製品の原料として使用するための多
様な提案がなされ、それらの処理を加えた動植物油から
油種を選択し、配合率を変えるなどの努力がなされてき
た。
【0010】ここで、保型性と口融けに関して、低融点
硬質、定融点硬質又は低融点恒質とでもいえる概念を提
示する。それは、2種の油脂組成物について上昇融点と
硬度の関係を比較したとき、融点のわりには硬いという
ことであり、一定の上昇融点になるように調整したもの
同士を比較したときに、より硬いということである。言
い換えると、一定の硬さを発現させるように調整したと
きに融点がより低いということである。
【0011】所定の温度における保型性と硬さとは密接
な関係があり、ある温度での保型性を維持することは、
その温度で適度な硬さを維持することである。従って、
2種以上の油脂組成物について、ある温度での硬さを同
一に調整した場合、保型性は同等であっても、低融点硬
質油の方が融点が低く、口融けが良いということにな
る。
【0012】油脂製品の口融けは、上昇融点と密接な関
係がある。上昇融点が体温以上である油脂組成物は、口
融けが悪く、体温以下の温度では硬すぎることが多い。
油脂組成物の硬さを評価するにはペネトレーション値
(以下、ペネ値ともいう)を用いる。ペネ値は測定温度
における稠度を針入度で表したものであって、硬度を表
す指標である。軟らかければ大きな値、硬ければ小さな
値になる。なお、ある油脂組成物の上昇融点近傍又はそ
れ以上の温度においては、もはや稠度の領域を超えてし
まい、ペネトレーション値を測定することはできない。
ほとんどの油脂組成物は上昇融点近傍において、固体油
脂含量が10%以下(すなわち液体油脂含量が90%以
上)となるので、流動性を示し、保型性が認められなく
なるからである。従って、油脂組成物の稠度の評価は上
昇融点よりも低い温度で行われ、ペネトレーション値も
上昇融点よりも低い温度における値が評価される。
【0013】一般に、口融けの良い低融点硬質の特徴を
持つ油脂としては、植物硬化油及び硬化魚油がある。ま
た、それらに匹敵すべき低融点硬質と呼ぶに値するもの
として、ラウリン系油脂及びC20以上の飽和脂肪酸を
含む混合油脂のランダム油を挙げることができる。これ
らの油脂は、具体的には、次のような特性値を持つ。 油脂(A):上昇融点が28.0±1.0℃であって、
20℃におけるペネトレーション値が85±10である
もの。 油脂(B):上昇融点が38.0±1.0℃であって、
20℃におけるペネトレーション値が40±7で、30
℃におけるペネトレーション値が65±7であるもの。 油脂(A)及び(B)は各々単品で又は2種以上を配合
し、更に必要があれば他の油脂を配合して、マーガリン
やショートニングのような可塑性油脂組成物製造用とし
て用いることができるものである。
【0014】一方、上昇融点が28℃程度で、口融けの
良い低融点硬質の特徴を持つ油脂として、次の油脂を挙
げることができる。 油脂(C):上昇融点が29.0±1.0℃であって、
10℃におけるペネトレーション値が65±10である
もの。魚油をヨウ素価83程度まで硬化して得られる。 油脂(D):上昇融点が27.0±1.0℃であって、
10℃におけるペネトレーション値が100±10であ
るもの。なたね油をヨウ素価78程度まで硬化して得ら
れる。 油脂(C)及び(D)は各々単品で又は2種以上を配合
し、更に必要があれば他の油脂を配合して、マーガリン
やショートニングのような可塑性油脂組成物製造用とし
て用いることができるものである。
【0015】また、上昇融点や稠度を調整するために、
植物硬化油又は硬化魚油等に、例えば、大豆油、コーン
油、なたね油、サフラワー油のような液体油を混合する
ことも行われる。このような調整を行う場合、上昇融点
の低下は少ないのに稠度の軟化は大きい。つまり、硬化
油に液体油を混合した場合、上昇融点の低下効果は小さ
いのに稠度の軟化が大きく、製品の保型性は相対的に悪
くなる。従って、このような調整では保型性を維持して
口融けを良くする目的を満足することは難しい。
【0016】可塑性油脂組成物を用いた製品の多様化・
高級化が進展する中で、可塑性油脂組成物に対する要求
特性も多様化・高級化しており、先に述べたような種々
の油脂を製品の原料として使用するための多様な提案を
以てしても、また、現在ある油脂を用いた配合調整によ
っても、その要求に応えることができていない。換言す
れば、適度な硬さと保型性を持った上で、融点が低く、
口融けの良い油脂組成物つまり低融点硬質の特性を持っ
た油脂組成物及びこれを用いた可塑性油脂組成物が望ま
れているが、そのことに対し満足すべきものは得られて
いないのが現状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、所望温度での硬さ及び保型性を維持した上で口融
けの良い油脂組成物を得ることを目的とするものであ
る。更に詳しくは、これまでになく口融けの良い、低融
点硬質の性質を有する油脂組成物を提供することを目的
とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて、各種の硬化魚油、動植物硬化油、ランダム油及
びその硬化油を作成し、また水素添加とランダムエステ
ル交換反応を組み合わせた油脂を作成し、それらの油脂
及び混合油について、トリグリセライド組成群と油脂特
性の関係及び油脂組成物の口融け、完全溶融温度、上昇
融点及び固体脂含量の相互の関係を解析し、口融けがト
リグリセライド組成群の中でもとりわけ高融点組成群の
含有率と密接に関係していることを知見した。本発明者
らは、このような知見に基づき、口融けの良い低融点硬
質の特徴を持つ植物硬化油及び硬化魚油に匹敵する、又
は、上述の特性値よりさらに低融点硬質である油脂組成
物を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0019】すなわち第一の本発明は、構成脂肪酸含有
率が飽和脂肪酸70重量%以下、炭素数12以下の飽和
脂肪酸4〜21重量%、炭素数20以上の不飽和脂肪酸
10重量%以下、炭素数20以上の飽和脂肪酸3〜10
重量%である油脂混合物を、ランダムエステル交換し、
更に水素添加して得られる油脂組成物である。
【0020】第一の本発明の好適な態様では、上記油脂
組成物における飽和脂肪酸の含有率が55重量%以下で
ある。また、第一の本発明の好適な態様では、上記油脂
組成物における炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有率が
10〜21重量%である。
【0021】第一の本発明の好ましい実施態様として、
上記油脂組成物からなる群より選択される少なくとも2
種を配合してなる油脂組成物が挙げられる。さらに、第
一の本発明は、上記油脂組成物からなる群より選択され
る少なくとも1種を配合してなる油脂組成物を用いてな
る可塑性油脂組成物でもある。
【0022】また、第一の本発明は、構成脂肪酸含有率
が飽和脂肪酸70重量%以下、炭素数12以下の飽和脂
肪酸4〜21重量%、炭素数20以上の不飽和脂肪酸1
0重量%以下、炭素数20以上の飽和脂肪酸3〜10重
量%である油脂混合物を、ランダムエステル交換し、更
に水素添加する上記油脂組成物の製造方法でもある。こ
のような第一の本発明によると、上記油脂(A)及び
(B)よりも更に低融点硬質である油脂組成物を得るこ
とが可能となる。
【0023】第二の本発明は、構成脂肪酸含有率が飽和
脂肪酸15〜52重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸
4〜21重量%である油脂混合物を、ランダムエステル
交換し、更に水素添加して得られる油脂組成物である。
また、第二の本発明は、構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸
15〜52重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜2
1重量%である油脂混合物を、ランダムエステル交換
し、更に水素添加して得られる、口融けを改良した油脂
組成物でもある。
【0024】第二の本発明の好適な態様では、上記油脂
組成物は、上昇融点が27℃以下でかつ10℃における
ペネトレーション値が80以下の特性を有する。第二の
本発明のさらに好適な態様では、上記油脂組成物は、上
昇融点が22℃以下でかつ10℃におけるペネトレーシ
ョン値が150以下の特性を有する。
【0025】さらに、第二の本発明は、構成脂肪酸含有
率が飽和脂肪酸15〜52重量%、炭素数12以下の飽
和脂肪酸4〜21重量%である油脂混合物を、ランダム
エステル交換して得られる油脂組成物であって、上昇融
点が27℃以下でかつ10℃におけるペネトレーション
値が80以下の特性を有する油脂組成物でもある。第二
の本発明のさらに好適な態様では、上記油脂組成物は、
上昇融点が25℃以下でかつ10℃におけるペネトレー
ション値が80以下の特性を有する。
【0026】第二の本発明の好ましい実施態様として、
上記油脂組成物からなる群より選択される少なくとも2
種を配合してなる油脂組成物が挙げられる。さらに、第
二の本発明は、上記油脂組成物からなる群より選択され
る少なくとも1種を配合してなる油脂組成物を用いてな
る可塑性油脂組成物でもある。
【0027】また、第二の本発明は、構成脂肪酸含有率
が飽和脂肪酸15〜52重量%、炭素数12以下の飽和
脂肪酸4〜21重量%である油脂混合物を、ランダムエ
ステル交換し、更に水素添加する、上記油脂組成物の製
造方法、及び、構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸15〜5
2重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%
である油脂混合物を、ランダムエステル交換する、上記
油脂組成物の製造方法でもある。このような第二の本発
明によると、上記油脂(C)及び(D)よりも更に低融
点硬質である油脂組成物を得ることが可能となる。以下
に本発明を詳述する。
【0028】まず、第一の本発明について説明する。第
一の本発明の油脂組成物を製造する際に用いる油脂混合
物は、その構成脂肪酸含有率が、飽和脂肪酸70%以下
(以下、脂肪酸に関する%は、特に記載がないかぎり、
重量%を意味する。)、好ましくは55%以下、C12
(以下、Cは炭素数のことを意味する。)以下の飽和脂
肪酸4〜21%、好ましくは10〜21%、C20以上
の不飽和脂肪酸10%以下、C20以上の飽和脂肪酸3
〜10%であるものである。本明細書において「構成脂
肪酸含有率」とは、油脂中に含まれる全脂肪酸を100
%とした場合に、特定の脂肪酸が占める割合のことをい
う。
【0029】第一の本発明において、油脂混合物の構成
脂肪酸含有率に関し、飽和脂肪酸が70%以下であると
は、各種飽和脂肪酸の含有率の合計値が70%以下とい
うことであって、C12以下の飽和脂肪酸4〜21%及
びC20以上の飽和脂肪酸3〜10%という条件を満た
す限り、各飽和脂肪酸の構成比率は特に制限されない。
また、C12以下の飽和脂肪酸が4〜21%という場合
も上記と同様、炭素数が12以下の各種飽和脂肪酸の含
有率の合計値が4〜21%ということであって、それら
各飽和脂肪酸の構成比率は特に制限されない。さらに、
C20以上の不飽和脂肪酸が10%以下という場合も上
記と同様、炭素数が20以上の各種不飽和脂肪酸の含有
率の合計値が10%以下ということであって、それら各
不飽和脂肪酸の構成比率は特に制限されない。さらに
は、C20以上の飽和脂肪酸が3〜10%という場合も
上記と同様、炭素数が20以上の各種飽和脂肪酸の含有
率の合計値が3〜10%ということであって、それら各
飽和脂肪酸の構成比率は特に制限されない。
【0030】本発明における油脂混合物の構成脂肪酸含
有率を上記範囲内のいずれかに調整することは、各種原
料油の脂肪酸含有率が判れば容易である。すなわち、1
種類の原料油の脂肪酸含有率が上記範囲内であれば、そ
れをそのまま用いてもよいし、また、複数の原料油を適
当な脂肪酸含有率となるよう配合量を調整することで、
本発明における油脂混合物を調製することもできる。な
お、脂肪酸含有率は公知の方法により容易に測定可能で
あり、本発明では、基準油脂分析試験法(日本油化学会
編−1996)2.4.2.2脂肪酸組成(FID昇温
ガスクロマトグラフ法)による測定値のことをさす。
【0031】第一の本発明において油脂混合物を構成す
る原料油としては特に限定されず、例えば、ラウリン系
油脂、C20以上の不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸を含む
油脂及びそれ以外の油脂が挙げられる。これらは単独で
用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0032】上記ラウリン系油脂は、構成脂肪酸残基中
のC12以下の脂肪酸残基を比較的豊富に含有する油脂
であり、油脂混合物の脂肪酸含有率を所定値にできるも
のであれば何等制限されるものではない。具体的には、
ヤシ油、パーム核油、ババス油、乳脂などが挙げられ
る。また、それらの分別油、硬化油、エステル交換油脂
を単独又は混合して用いることもできる。
【0033】上記C20以上の不飽和脂肪酸及び飽和脂
肪酸を含む油脂としては、油脂混合物の脂肪酸含有率を
所定値にできるものであれば何等制限されるものではな
いが、例えば、ハイエルシンナタネ油、シロカラシナ
油、サル脂、魚油などが挙げられる。それらの硬化油、
硬化油の分別油、エステル交換油脂を単独又は混合して
用いることもできる。
【0034】前二者以外の油脂としては、油脂混合物の
脂肪酸含有率を所定値にできるものであれば何等制限さ
れるものではないが、例えば、パーム油、牛脂、豚脂、
大豆油、コーン油、なたね油、サフラワー油を単独又は
混合して用いることもできるし、これら油脂の分別油、
硬化油、硬化油の分別油及びエステル交換油脂を用いる
こともできる。
【0035】上述のような各種原料油の脂肪酸含有率を
測定し、それが所望の値であれば、単独でそのまま油脂
混合物として用いてもよいし、所望の値とすべく複数の
原料油を混合したものを油脂混合物としてもよい。この
ようにして得られた油脂混合物をランダムエステル交換
した後、更に水素添加すると、既存の低融点硬質油脂よ
りさらに低融点硬質である本発明の油脂組成物が得られ
る。
【0036】次に、本発明におけるランダムエステル交
換及び水素添加について説明する。ランダムエステル交
換は、油脂の改質を行う分野で通常行われている非選択
的なエステル交換方法であれば特に制限されるものでは
なく、例えば、化学触媒であるソジウムメチラート等の
アルカリ触媒による方法や、リパーゼ等の酵素による方
法などが挙げられる。
【0037】水素添加は、特別に選択的水素添加(例え
ば、ニッケル被毒触媒を用いたハイトランス硬化)を実
施してもよいが、油脂の改質を行う分野で通常行われて
いる水素添加を行えば十分である。
【0038】水素添加は、得られる油脂組成物のヨウ素
価が、原料油である油脂混合物又はランダム油のヨウ素
価の50%以上となるように行うことが好ましい。ラン
ダム油を水素添加し過ぎて(つまり、ヨウ素価を下げ過
ぎて)油脂組成物中の飽和脂肪酸含量が多くなると、相
対的に上昇融点が高くなり、低融点硬質の特徴を低下さ
せることとなる。また、水素添加がほとんど行われなけ
ればその効果は発現しない。好ましくは、55%〜84
%、更に好ましくは60%〜80%となるように行う。
【0039】ランダム油を水素添加した油脂組成物は、
通常の油脂製品と同様に脱臭処理して使用される。ま
た、本発明における各種の油脂組成物は、これらを使用
する可塑性油脂製品の所要特性に応じて、それぞれ単独
でも用いられるし、2種以上を配合して用いることがで
きる。
【0040】更には、以上の油脂組成物からなる群より
選ばれた1種以上と他の動植物油脂又はそれらの加工油
脂と配合して、マーガリン、ショートニング、ファット
スプレッド等の可塑性油脂組成物の原料として用いるこ
とができる。これら可塑性油脂組成物を製造する場合、
この分野で通常行われている方法により製造可能であ
る。
【0041】次に第二の本発明について説明する。第二
の本発明の油脂組成物を製造する際に用いる油脂混合物
は、その構成脂肪酸含有率が、飽和脂肪酸15〜52
%、C12以下の飽和脂肪酸4〜21%であるものであ
る。
【0042】第二の本発明において、油脂混合物の構成
脂肪酸含有率に関し、飽和脂肪酸が15〜52%である
とは、各種飽和脂肪酸の含有率の合計値が15〜52%
ということであって、C12以下の飽和脂肪酸4〜21
%という条件を満たす限り、各飽和脂肪酸の構成比率は
特に制限されない。また、C12以下の飽和脂肪酸が4
〜21%という場合も上記と同様、炭素数が12以下の
各種飽和脂肪酸の含有率の合計値が4〜21%というこ
とであって、それら各飽和脂肪酸の構成比率は特に制限
されない。
【0043】第二の本発明における油脂混合物の構成脂
肪酸含有率を上記範囲内のいずれかに調整することは、
各種原料油の脂肪酸含有率が判れば容易である。すなわ
ち、1種類の原料油の脂肪酸含有率が上記範囲内であれ
ば、それをそのまま用いてもよいし、また、複数の原料
油を適当な脂肪酸含有率となるよう配合量を調整するこ
とで、本発明における油脂混合物を調製することもでき
る。なお、脂肪酸含有率は公知の方法により容易に測定
可能であり、本発明では、基準油脂分析試験法(日本油
化学会編−1996)2.4.2.2脂肪酸組成(FI
D昇温ガスクロマトグラフ法)による測定値のことをさ
す。
【0044】第二の本発明において油脂混合物を構成す
る原料油としては特に限定されず、例えば、ラウリン系
油脂及びそれ以外の油脂が挙げられる。これらは単独で
用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0045】上記ラウリン系油脂は、構成脂肪酸残基中
のC12以下の脂肪酸残基を比較的豊富に含有する油脂
であり、油脂混合物の脂肪酸含有率を所定値にできるも
のであれば何等制限されるものではない。具体的には、
ヤシ油、パーム核油、ババス油、乳脂などが挙げられ
る。また、それらの分別油、硬化油、エステル交換油脂
を単独又は混合して用いることもできる。
【0046】ラウリン系油脂以外の油脂としては、油脂
混合物の脂肪酸含有率を所定値にできるものであれば何
等制限されるものではないが、例えば、パーム油、牛
脂、豚脂、大豆油、コーン油、なたね油、サフラワー油
を単独又は混合して用いることもできるし、これら油脂
の分別油、硬化油、硬化油の分別油及びエステル交換油
脂を用いることもできる。
【0047】上述のような各種原料油の脂肪酸含有率を
測定し、それが所望の値であれば、単独でそのまま油脂
混合物として用いてもよいし、所望の値とすべく複数の
原料油を混合したものを油脂混合物としてもよい。この
ようにして得られた油脂混合物をランダムエステル交換
した後、更に、必要に応じて水素添加すると、既存の低
融点硬質油脂よりさらに低融点硬質である本発明の油脂
組成物が得られる。
【0048】水素添加を行った油脂組成物の場合、上昇
融点が27℃以下でかつ10℃におけるペネトレーショ
ン値が80以下の特性を有するものが好ましい。なかで
も、上昇融点が22℃以下のものがより好ましい。水素
添加を行わない油脂組成物の場合、上昇融点が27℃以
下でかつ10℃におけるペネトレーション値が80以下
の特性を有するものが好ましい。なかでも、上昇融点が
25℃以下のものがより好ましい。ランダム反応する前
の油脂混合物の炭素数12以下の飽和脂肪酸含有率は1
5%以上であることがより好ましい。本発明において、
上昇融点とは、基準油脂分析試験法(日本油化学会編−
1996)2.2.4.2融点(上昇融点)に基づいて
測定した値をいう。また、ペネトレーション値とは、J
IS K−2220−1993の稠度試験法に基づいて
測定した値をいう。
【0049】第二の本発明におけるランダムエステル交
換及び水素添加については、第一の本発明の場合と同様
である。水素添加は、得られる油脂組成物のヨウ素価
が、原料油である油脂混合物又はランダム油のヨウ素価
の50%以上となるように行うことが好ましい。ランダ
ム油を水素添加し過ぎて(つまり、ヨウ素価を下げ過ぎ
て)油脂組成物中の飽和脂肪酸含量が多くなると、相対
的に上昇融点が高くなり、低融点硬質の特徴を低下させ
ることとなる。好ましくは、55%〜90%、更に好ま
しくは60%〜80%となるように行う。
【0050】ランダム油を水素添加した油脂組成物は、
通常の油脂製品と同様に脱臭処理して使用される。ま
た、本発明における各種の油脂組成物は、これらを使用
する可塑性油脂製品の所要特性に応じて、それぞれ単独
でも用いられるし、2種以上を配合して用いることがで
きる。
【0051】更には、以上の油脂組成物からなる群より
選ばれた1種以上と他の動植物油脂又はそれらの加工油
脂と配合して、マーガリン、ショートニング、ファット
スプレッド等の可塑性油脂組成物の原料として用いるこ
とができる。これら可塑性油脂組成物を製造する場合、
この分野で通常行われている方法により製造可能であ
る。
【0052】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0053】各実施例及び比較例において、脂肪酸含有
率の測定は、基準油脂分析試験法(日本油化学会編−1
996)2.4.2.2脂肪酸組成(FID昇温ガスク
ロマトグラフ法)に基づいて行った。
【0054】ヨウ素価の測定は、基準油脂分析試験法
(日本油化学会編−1996)2.3.4.1 ヨウ素
価 ウィイス−シクロヘキサン法に基づいて行った。
【0055】上昇融点の測定は、基準油脂分析試験法
(日本油化学会編−1996)2.2.4.2融点(上
昇融点)に基づいて行った。融解している油脂を毛細管
に採取し速やかに氷片で固化させ、氷上で1時間放置し
た後、水槽に浸漬し毛細管下部から水柱30mmの加圧
下、水槽温度を所定速度で昇温していく。温度に応じて
溶融が進行し、やがてスリップし毛細管内を水面まで上
昇する。その温度を測定した。
【0056】油脂組成物及び可塑性油脂組成物の硬さの
評価はペネ値を用いた。ペネ値の測定は、JIS K−
2220−1993の稠度試験法に基づいて行った。但
し、円錐(いわゆるペネコーン)の質量は102.5
g、プランジャー質量は47.5gの物を、またペネ缶
はブリキ製で内径57mm、深さは単独油脂、混合油脂
及び油脂組成物では25mmの物を使用し、ペネトロメ
ーターはデジタル式オート・ペネトロメータ(三田村理
研工業製)を用いた。測定する油脂を60℃〜65℃に
加熱溶融しておき、厚さ5cm以上の氷の上にペネ缶を
水平に置いて、ここに油脂を溢れ出す程度まで注ぐ。そ
のまま氷上で1.5時間静置した後、所望測定温度(下
記実施例及び比較例においては20℃若しくは30℃又
は10℃)の恒温水槽に浸漬して、2時間後にペネトロ
メーターで測定した。
【0057】<ランダム油の作成方法及び条件>原料混
合油脂をランダム反応容器に仕込み、撹拌、減圧下加熱
し、120℃、40hPaに達するまで脱水した後、ソ
ジウムメチラートを0.3重量%加え、撹拌下窒素気流
中で40分間反応させ、反応液を90℃まで冷却した。
その後、10%クエン酸水溶液を加えてpH11以下に
し、撹拌を止め静置した後、油相と水相を分離した。油
相に90℃の温水を加え撹拌した後、静置して油相と水
相を分離するいわゆる温水洗浄を行い、分離した水相の
pHが8以下になるまで温水洗浄を繰り返した。その
後、撹拌下減圧、加熱し、100℃、40hPaに達す
るまで脱水し、次いで、活性白土を2%加え、撹拌下減
圧、加熱し、100℃、40hPaに達してから30分
後に全量ろ過してランダム油を得た。
【0058】<水素添加の方法及び条件>原料油5kg
を容量10Lのオートクレーブに仕込み、800rpm
で撹拌、加熱しながら減圧下脱水し、内部温度が120
℃に達した時点で、下記説明及び表記載の触媒を下記説
明及び表記載の添加率で仕込んだ。内部温度が下記説明
及び表記載の水素吹き込み開始温度に達した時点から水
素を流量4L/分で吹き込み、目標の水素量を吹き込ん
で停止した。この間、温度は200℃以上にならないよ
うに制御し、必要に応じて適宜途中サンプリングした。
次いで、100℃まで冷却し、活性白土を1%添加し減
圧下20分間撹拌した後、ろ過して硬化油を得た。反応
途中で抜き出したサンプルも活性白土処理しろ過して分
析に供した。なお、触媒はAF−4(日揮化学株式会社
製)又はSO−750(堺化学工業株式会社製)を用い
た。
【0059】(実施例1)パーム核オレイン油28%、
なたね油37%、ヨウ素価10の硬化魚油15%、パー
ムステアリン20%からなる油脂混合物(脂肪酸含有率
は、飽和脂肪酸48.9%、C12以下の飽和脂肪酸1
3.0%、C20以上の不飽和脂肪酸1.4%、C20
以上の飽和脂肪酸4.8%)を原料として、まず、上記
の作成方法及び条件でランダムエステル交換を行いラン
ダム油を得た後、上記の方法及び条件下で水素添加を行
い油脂組成物を得た。水素添加では、触媒としてAF−
4を0.2wt%用い、水素吹き込み開始温度を160
℃とした。ただし、吹き込み水素量の異なる5種類の油
脂組成物を得た。これらを実施例1−1〜1−5として
表す。得られた油脂組成物の特性値を表1に示す。ま
た、得られた油脂組成物の脂肪酸含有率分析値を表2に
示す。以上は下記実施例2でも同様である。
【0060】(実施例2)パーム核オレイン油28%、
なたね油5%、ヨウ素価10の硬化魚油15%、パーム
ステアリン52%からなる油脂混合物(脂肪酸含有率
は、飽和脂肪酸68.0%、C12以下の飽和脂肪酸1
4.3%、C20以上の不飽和脂肪酸0.4%、C20
以上の飽和脂肪酸4.5%)を原料として用いたこと以
外は、実施例1と同様にして油脂組成物を作成した。
【0061】(比較例1〜2)上記実施例1〜2におい
て水素添加を行う前のランダム油を、それぞれ、比較例
1〜2の油脂とした。
【0062】(比較例3)パーム核オレイン油29%と
ラード71%の油脂混合物(脂肪酸含有率は、C12以
下の飽和脂肪酸13.6%、C14以上の飽和脂肪酸3
6.4%、C20以上の飽和脂肪酸0.2%)を原料と
して、上記の作成方法及び条件でランダム油を作成し
た。
【0063】(比較例4)パーム核オレイン油25.1
%、パームステアリン54.4%、なたね油20.6%
の油脂混合物(脂肪酸含有率は、C12以下の飽和脂肪
酸12.0%、C14以上の飽和脂肪酸44.9%、C
20以上の飽和脂肪酸0.4%)を原料として、上記の
作成方法及び条件でランダム油を作成した。
【0064】(比較例5)パーム核オレイン油28.0
%、パームステアリン66.0%、なたね油6.0%の
油脂混合物(脂肪酸含有率は、C12以下の飽和脂肪酸
14.0%、C14以上の飽和脂肪酸53.0%、C2
0以上の飽和脂肪酸0.3%)を原料として、上記の作
成方法及び条件でランダム油を作成した。
【0065】(比較例6)パーム核オレイン油29.4
%、パーム油を溶剤分別して得たステアリン部62.1
%、なたね油8.5%の油脂混合物(脂肪酸含有率は、
C12以下の飽和脂肪酸13.9%、C14以上の飽和
脂肪酸59.7%、C20以上の飽和脂肪酸0.3%)
を原料として、上記の作成方法及び条件でランダム油を
作成した。比較例1〜6のランダム油の特性値を表1
に、脂肪酸含有率分析値を表2に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】なお、各表中、「C14−1」とあるの
は、1個の不飽和結合を持つ炭素数14の脂肪酸を表
す。その他の表記も同様である。また、「測定不能」と
あるのは、当該温度で対象油脂が液体であったため、ペ
ネ値が測定できなかったことをいう。さらに、「左記ヨ
ウ素価/原料油ヨウ素価」とあるのは、水素添加により
得られた油脂組成物のヨウ素価の、原料油脂組成物のヨ
ウ素価に対する百分率をいう。
【0069】(比較例7〜14)表3記載の各種原料油
を用いて、上記の水素添加の方法及び条件下で水素添加
し、植物硬化油及び硬化魚油を作成した。水素添加に用
いた触媒、触媒添加率、水素吹き込み開始温度及び得ら
れた硬化油の特性値を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】なお、表3中、比較例10と比較例12の
硬化油に関しては、30℃にすると、液体が多く固形脂
が少なくなったため、ペネ値の測定が不可能であった。
【0072】実施例1〜2及び比較例1〜14につい
て、上昇融点と20℃又は30℃のペネ値との関係を、
それぞれ図1又は図2に示した。なお、先に例示した油
脂(A)及び(B)も併記した。以下、上昇融点とペネ
値との関係について、図1及び図2に基づいて述べる。 (1)上昇融点と20℃におけるペネ値の関係 (図
1) 実施例1、2のいずれとも、比較例1〜14、油脂
(A)及び(B)よりも低融点硬質になっている。つま
り、本発明により、単なる硬化油及びランダム油では得
られない低融点硬質の特性が達成されている。 (2)上昇融点と30℃におけるペネ値の関係 (図
2) 実施例1、2のいずれとも、比較例1〜14及び油脂
(B)よりも低融点硬質になっている。つまり、本発明
により、単なる硬化油及びランダム油では得られない低
融点硬質の特性が達成されている。
【0073】(実施例3)(マーガリン作成例) 実施例1のサンプル3(実施例1−3)と実施例2のサ
ンプル3(実施例2−3)に相当する油脂組成物を作成
し、両者を7:3の重量比で配合した。各原料油脂及び
配合油脂のヨウ素価、上昇融点並びに20℃のペネ値を
表4に示す。得られた配合油脂を用いて下記作成方法及
び条件でマーガリンを作成し、20℃のペネ値、口融け
評価(シャープ感、モタモタ感及びザラツキ感)といっ
たマーガリン特性を評価した。その結果を表5に示す。
【0074】(マーガリンの作成方法及び条件) (1)油相部の調製;原料配合した油脂を80.94重
量部、乳化剤としてエマルジーMS(理研ビタミン株式
会社製)0.1重量部、大豆レシチン0.1重量部、着
色料としてカロチン10ppm、アナトー色素0.01
重量部、香料としてバターフレーバー5ppm、ミルク
フレーバー70ppmを混合し60℃に保っておいた。 (2)水相部の調製;脱脂乳(乳固型分8%)14.4
重量部、食塩1.2重量部を混合し、水分が16.4重
量部になるように水を追加し、80℃以上で30分殺菌
した。
【0075】(3)予備乳化及び急冷可塑化;上記
(1)及び(2)で調製した油相部と水相部を混合し、
60℃に保ち、以下連続的に乳化槽を通して乳化均質化
し、3段のクーリングシリンダーからなるコンビネータ
ータイプのモデル機で急冷可塑化した。なお、急冷可塑
化は、2段目出口温度が調合油の上昇融点よりも20℃
±2℃低い温度になるように、3段目の出口温度が調合
油の上昇融点よりも13℃±2℃低い温度となるよう
に、1段目の出口温度が2段目出口温度と1段目入口温
度の平均値に近くなるように冷媒流量を調節して行っ
た。また、クーリングシリンダーの回転数は、1段目、
2段目、3段目とも500rpmで行い、流量は概ね5
0kg/hrであった。
【0076】(4)充填;急冷可塑化した製品を5kg
のダンボールに充填した。 (5)テンパリング;ダンボールに充填した製品を、調
合油の上昇融点より5℃±1℃低い温度で36時間保管
して熟成した。 (6)保管条件;テンパリング終了後、マーガリンを調
合油の上昇融点より15℃〜20℃低い温度で保管し
た。
【0077】(マーガリン製品の評価項目と評価方法及
び条件) (1)ペネトレーション値;ダンボールに充填してある
マーガリンに、両切りペネ缶(内径57mm、長さ40
mm)の片方から完全に突っ込み両端に盛り上げた状態
でサンプルを採取し、ぺネ缶の両端をバターナイフで面
切りし、測定温度の恒温水糟に浸漬しておき2時間後に
ペネトロメーターで測定した。
【0078】(2)マーガリンの口融け評価;パネラー
テストによる。訓練されたパネラー5名がサンプルを口
に含み、口融けの良さ(シャープ感、モタモタ感とその
残留感、ザラツキ感とその残留感)について、各サンプ
ルの優劣を判定した。○は良い、×は悪いを表す。評価
は、上記(4)の充填直後、(5)のテンパリング36
時間後及び(6)の保管30日後の各々3サンプルにつ
いて行った。
【0079】 (比較例15)(マーガリン(通常品)作成例) 表4に示す硬化魚油A及び硬化魚油Bを2:3の割合で
配合して、表4に示す配合油脂を作成し、得られた配合
油脂を用いて上述と同じ条件でマーガリンを作成し、同
様にマーガリン特性を評価した。その結果を表5に示
す。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】(比較例16〜20及び実施例4、5)表
6に示した原料油配合で油脂混合物を調製し、上記の作
成方法及び条件でランダム油を作成した。なお、表6
中、PKO−Oはパーム核油を分別して得たオレイン部
である。PSSはパーム油を溶剤分別して得たステアリ
ン部である。得られた油脂組成物の脂肪酸含有率分析値
を表7に、特性値を表8に示す。表8の上昇融点の欄に
おいて測定不能と表示したものは、氷上で放置しても、
十分固化せずに測定することができなかったものであ
り、上昇融点は15℃以下と推定される。
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】(実施例6〜12)比較例16〜20及び
実施例4、5で得たランダム油を上記の水素添加の方法
及び条件で水素添加して、ランダム油の硬化油を作成し
た。触媒はAF−4(日揮化学株式会社製)を0.2重
量%用い、水素吹き込み開始温度は160℃とした。た
だし、各実施例で吹き込み水素量の異なる複数の油脂組
成物を得た。得られた油脂組成物の特性値を表9に示
す。
【0087】
【表9】
【0088】(比較例21)なたね油を用いて、上記の
方法・条件下で水素添加し硬化油を作成した。触媒はA
F−4(日揮化学株式会社製)を0.2重量%用い、水
素吹き込み開始温度を180℃とした。ただし、吹き込
み水素量の異なる5種類の油脂組成物を得た。得られた
油脂組成物の特性値を表10に示す。表10の上昇融点
の欄において測定不能と表示したものは、表8と同様で
ある。
【0089】
【表10】
【0090】実施例6〜9及び比較例21、並びに、実
施例4〜5、10〜12及び比較例20〜21につい
て、上昇融点と10℃のペネ値との関係を、それぞれ図
3又は図4に示した。なお、先に例示した油脂(C)及
び(D)も併記した。以下、上昇融点と10℃のペネ値
との関係について、図3及び図4に基づいて述べる。
【0091】(1)比較例16〜19のランダム油は固
型脂が少ないため、10℃におけるペネ値及び上昇融点
は測定不能であった(表8)。 (2)油脂(D)と比較例21のなたね油の硬化油は、
10℃におけるペネ値を100に調整した場合、上昇融
点は26〜28℃である(図3及び図4)。 (3)実施例6〜9の挙動は、いずれも油脂(C)、
(D)及び比較例21よりも低融点硬質油が得られるこ
とを示している(図3)。 (4)比較例20及び実施例4、5のランダム油につい
ては、比較例20は比較例21及び油脂(D)と同等で
あるが、実施例4及び実施例5は油脂(C)、(D)及
び比較例21よりも低融点硬質である(図4)。 (5)実施例10〜12の挙動は、いずれも油脂
(C)、(D)及び比較例21よりも低融点硬質油が得
られることを示している(図4)。
【0092】(実施例13)(マーガリン作成例) 実施例9のサンプル3(実施例9−3)と実施例11の
サンプル2(実施例11−2)に相当する油脂組成物を
作成し、両者を1:1の重量比で配合した。各原料油脂
及び配合油脂のヨウ素価、上昇融点並びに10℃のペネ
値を表11に示す。得られた配合油脂を用いて上述した
作成方法及び条件でマーガリンを作成し、10℃のペネ
値、口融け評価(シャープ感、モタモタ感及びザラツキ
感)といったマーガリン特性を評価した。その結果を表
12に示す。
【0093】 (比較例22)(マーガリン(通常品)作成例) 表11に示す特性を持つ硬化魚油を用いて上述と同じ条
件でマーガリンを作成し、同様にマーガリン特性を評価
した。その結果を表12に示す。
【0094】
【表11】
【0095】
【表12】
【0096】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなるので、従
来の低融点硬質油として知られている油脂(植物硬化
油、硬化魚油及びラウリン系油脂とC20以上の飽和脂
肪酸を含む混合油脂のランダムエステル交換した油脂)
よりも更に低融点硬質で、口融けの良い油脂組成物を提
供し、口融けの良いマーガリン、ショートニング、ファ
ットスプレッド等の可塑性油脂組成物を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜2及び比較例1〜14の油脂に関
する上昇融点と20℃のペネ値の関係を示す。
【図2】 実施例1〜2及び比較例1〜14の油脂に関
する上昇融点と30℃のペネ値の関係を示す。
【図3】 実施例6〜9及び比較例21の油脂に関する
上昇融点と10℃のペネ値の関係を示す。
【図4】 実施例4、5、10〜12及び比較例20〜
21の油脂に関する上昇融点と10℃のペネ値の関係を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23D 9/02 A23D 9/02 C11C 3/10 C11C 3/10 3/12 3/12 (72)発明者 高木 芳章 兵庫県高砂市米田町米田54−17 Fターム(参考) 4B026 DC06 DH01 DH03 DH05 DX05 4H059 BA33 BB02 BB03 BB06 BB07 BC03 BC13 CA34 CA35 DA02 DA03 DA30

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸70重量
    %以下、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%、
    炭素数20以上の不飽和脂肪酸10重量%以下、炭素数
    20以上の飽和脂肪酸3〜10重量%である油脂混合物
    を、ランダムエステル交換し、更に水素添加して得られ
    ることを特徴とする油脂組成物。
  2. 【請求項2】 飽和脂肪酸の含有率が55重量%以下で
    ある請求項1記載の油脂組成物。
  3. 【請求項3】 炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有率が
    10〜21重量%である請求項1又は2記載の油脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の油
    脂組成物からなる群より選択される少なくとも2種を配
    合してなる油脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の油脂組成物を製造する方
    法であって、構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸70重量%
    以下、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%、炭
    素数20以上の不飽和脂肪酸10重量%以下、炭素数2
    0以上の飽和脂肪酸3〜10重量%である油脂混合物
    を、ランダムエステル交換し、更に水素添加することを
    特徴とする、請求項1記載の油脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の油
    脂組成物からなる群より選択される少なくとも1種を配
    合してなる油脂組成物を用いてなる可塑性油脂組成物。
  7. 【請求項7】 構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸15〜5
    2重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%
    である油脂混合物を、ランダムエステル交換し、更に水
    素添加して得られることを特徴とする油脂組成物。
  8. 【請求項8】 構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸15〜5
    2重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%
    である油脂混合物を、ランダムエステル交換し、更に水
    素添加して得られることを特徴とする、口融けを改良し
    た油脂組成物。
  9. 【請求項9】 上昇融点が27℃以下でかつ10℃にお
    けるペネトレーション値が80以下の特性を有する請求
    項7記載の油脂組成物。
  10. 【請求項10】 上昇融点が22℃以下でかつ10℃に
    おけるペネトレーション値が150以下の特性を有する
    請求項7記載の油脂組成物。
  11. 【請求項11】 構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸15〜
    52重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量
    %である油脂混合物を、ランダムエステル交換して得ら
    れる油脂組成物であって、上昇融点が27℃以下でかつ
    10℃におけるペネトレーション値が80以下の特性を
    有することを特徴とする油脂組成物。
  12. 【請求項12】 上昇融点が25℃以下である請求項1
    1記載の油脂組成物。
  13. 【請求項13】 請求項7〜12のいずれか1項に記載
    の油脂組成物からなる群より選択される少なくとも2種
    を配合してなる油脂組成物。
  14. 【請求項14】 請求項7記載の油脂組成物を製造する
    方法であって、構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸15〜5
    2重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量%
    である油脂混合物を、ランダムエステル交換し、更に水
    素添加することを特徴とする、請求項7記載の油脂組成
    物の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項11記載の油脂組成物を製造す
    る方法であって、構成脂肪酸含有率が飽和脂肪酸15〜
    52重量%、炭素数12以下の飽和脂肪酸4〜21重量
    %である油脂混合物を、ランダムエステル交換すること
    を特徴とする、請求項11記載の油脂組成物の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項7〜13のいずれか1項に記載
    の油脂組成物からなる群より選択される少なくとも1種
    を配合してなる油脂組成物を用いてなる可塑性油脂組成
    物。
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