明 細 書
水性樹脂分散体及びその製造方法、塗料、並びに積層体
技術分野
[0001] 本発明は、ポリオレフイン系榭脂を含む水性榭脂分散体及びそれを含有する塗料
、積層体、並びに水性樹脂分散体の製造方法に関する。
背景技術
[0002] プロピレン重合体やプロピレン aーォレフイン共重合体などのポリオレフインは安 価であり、し力も、機械的物性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れていることから 、広い分野で使用されている。し力しながら、こうしたポリオレフインは、分子中に極性 基を持たないため一般に低極性であり、塗装や接着が困難であり改善が望まれてい た。このため、ポリオレフインの成形体の表面を薬剤などで化学的に処理すること、コ ロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの手法で成形体表面を酸化処理するこ とといつた種々の手法が試みられてきている。しかるにこれらの方法では、特殊な装 置が必要であるば力りでなぐ塗装性や接着性の改良効果が必ずしも十分ではなか つた o
[0003] そこで比較的簡便な方法でポリオレフイン、例えばプロピレン系重合体に良好な塗 装性や接着性を付与するための工夫として、 V、わゆる塩素化ポリプロピレンや酸変性 プロピレン aーォレフイン共重合体、さらに酸変性塩素化ポリプロピレンが開発さ れてきた。このような変性ポリオレフインを、ポリオレフインの成形体表面に表面処理 剤、接着剤或いは塗料等として塗布するのである。変性ポリオレフインは通常、有機 溶媒の溶液、又は水への分散体などの形態で塗布される。安全衛生及び環境汚染 の低減の面から通常、水分散体が好ましく用いられる。
[0004] 例えば、酸変性塩素化ポリプロピレンを界面活性剤と塩基性物質を使用して水性 化した水性榭脂 (特開平 3 - 182534号公報)または酸変性ポリオレフインを界面活 性剤と塩基性物質を使用して水性ィ匕した水性榭脂 (特開平 6— 256592号公報 (US 5534577号公報)、特開 2004— 002842号公報(US2005— 124753号公報 等がある。し力 これらの方法では分散粒子径を細力べするには界面活性剤を大量
に添加する必要があり、結果として、このような水性分散体を用いた塗料は耐水性や 耐薬品性に乏 、と 、う課題があった。また塗布後に界面活性剤が塗装表面へプリ ードアウトして外観不良が起こる場合もあり、さらなる改善が望まれていた。
[0005] また、ポリオレフインセグメントに官能性セグメントをブロック共重合した重合体を水 分散した水性榭脂(特開 2001— 288372号公報 (US2003— 055179号公報))も あるが、分散粒子径が十分に細力 、とは言えず、また界面活性剤を全く用いずに分 散体とすることはできておらず、さらに改善したいとの要求があった。
[0006] 更に、上記変性ポリオレフインを水性塗料やインクとして使用する場合、密着性以 外の性能を満たすために、通常アクリル系榭脂、ポリウレタン系榭脂、ポリエステル系 榭脂、酢酸ビニル系榭脂、エポキシ系榭脂などのバインダー榭脂や、必要に応じて 酸化チタン、カーボンブラックなどの顔料が配合される。し力しこれら成分は一般にプ ロピレン系重合体基材に対して密着性が高くないため、プロピレン系重合体榭脂単 独では十分な基材密着性を有していても、混合後には基材密着性が大幅に低下す るという課題がある。
[0007] このため、アクリル系榭脂等のバインダー榭脂に対して粒径の小さいエチレン系重 合体榭脂を配合した水性塗料 (特開 2004— 083787号公報)の例があるが、プロピ レン系重合体はエチレン系重合体に比して更に乳化が困難であり、プロピレン系重 合体を含む水性塗料において上記課題の解決が強く望まれていた。
[0008] また一方、ポリオレフインは上述したように低極性であるためェマルジヨン化すること が難しぐ界面活性剤を多く用いて乳化するか、さらには特殊な乳化機を用いて粒径 を細力べする試みがなされてきた。例えば、変性ポリオレフインを芳香族溶媒などに溶 解し、塩基性物質や界面活性剤を使用して水性化したェマルジヨン (特開平 01— 25 6556号公報)、特殊な微粒化機構を有する乳化機を用いた水性榭脂組成物の製造 方法 (特開平 11— 269206号公報)等が提案されている。しかし、特開平 01— 2565 56号公報に記載の方法ではェマルジヨンの分散粒子径が 0. 5〜7 /z m以上と大きく 、分散安定性の面で問題があった。また、特開平 11— 269206号公報に記載の方 法では特殊な乳化機を用いるためコスト増となるうえ、実際上は界面活性剤や塩基 性物質を必須としており、かつ水性分散体の粒子径は 0. 15 m程度が限界でより
細か!/、粒径のェマルジヨンと混合した際の混合性が悪 、と 、う課題もあった。
[0009] 分散粒子径を細力べする手法として、変性ポリオレフインをプロピレングリコールモノ プロピルエーテルなどのエーテル系溶媒に溶解し塩基存在下で水を滴下し、分散さ せ、その後溶媒を留去する方法 (特開 2004— 018659号公報 (US2005— 14352 7号公報))も提案されている。しかし、エーテル系溶媒は室温力 沸点までの通常使 用される温度において水と無限大に相溶するため、留去した後で水とエーテルを液 液分離することができず、このため留去した溶媒全体を蒸留回収しなくてはならず 環境面、工程面の課題もある。或いは、疎水性の高いポリオレフインはエーテル系溶 媒に対する溶解性が低ぐポリオレフインにある程度極性基を付加した状態でないと 溶解が困難である。このためエーテル系溶媒はポリオレフインの重合反応や変性反 応の溶媒としては使用できな 、と 、う課題もある。
発明の開示
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者は、上記のような課題を解決するため鋭意研究を進めたところ本発明に 到達したものであり、本発明は下記の第一の態様、第二の態様、第三の態様、及び 第四の態様を有する。
即ち、本発明の第一の態様は、ポリオレフインに親水性高分子を所定割合で結合さ せ、これを水に分散させることで、優れた特性の榭脂分散体が得られるとの知見に基 づくもので、下記の 1〜18を要旨とする。また、本発明の第二の態様は、プロピレン 系重合体を含む重合体と特定の榭脂がそれぞれ水に分散されてなり、かつそれらが 特定の関係にある水性榭脂分散体がポリオレフイン基材に対する優れた密着性及び 耐湿性、耐油性を備えるとの知見に基づくもので、下記の 19〜35を要旨とする。また 、本発明の第三の態様は、変性ポリオレフインを少量の水と混合しうる溶媒に溶解し た後、水を滴下して変性ポリオレフインを分散させ、溶媒を留去することで上述のよう な優れた水性榭脂分散体が簡便に製造できるとの知見に基づくもので、下記の 36 〜39を要旨とする。更に、本発明の第四の態様は、変性ポリオレフインが良溶媒に 溶解されてなる溶液に対し、親水性溶媒と水との混合溶媒を滴下して変性ポリオレフ インを分散させ、 2種の溶媒を留去することで上述のような優れた水性榭脂分散体が
簡便に製造できるとの知見に基づくもので、下記の 40〜53を要旨とする。
1.ポリオレフイン (A)に親水性高分子(B)を、(A): (B) = 100 : 5〜: LOO : 500 (重量 比)の割合で結合させてなる重合体 (C)を、水に分散させてなることを特徴とする水 性樹脂分散体。
2.前記重合体 (C)が 50%粒子径 0. 5 m以下で水に分散されてなる水性榭脂分 散体。
3.前記重合体 (C)が 50%粒子径 0. 2 m以下で水に分散されてなる水性榭脂分 散体。
4.前記水性榭脂分散体の界面活性剤含有量が、重合体 (C) 100重量部に対し 10 重量部以下である水性榭脂分散体。
5.前記ポリオレフイン (A)が実質的に塩素を含まない水性榭脂分散体。
6.前記親水性高分子(B)を、ポリオレフイン (A) lg当たり 0. Ol〜5mmol結合させ てなる水性樹脂分散体。
7.前記ポリオレフイン (A)が、プロピレン含量が 50モル0 /0以上であってアイソタクチ 及び Z又は、プロピレン OC一才レフイン共重合体である水性榭脂分散体。
8.前記ポリオレフイン (A)が、カルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボ ン酸無水物モノエステル基力 なる群より選ばれる少なくとも 1種を有する水性榭脂 分散体。
9.前記重合体 (C)が、ポリオレフイン (A)に親水性高分子 (B)がグラフト結合したグ ラフト共重合体である水性榭脂分散体。
10.前記親水性高分子 (B)がポリエーテル榭脂である水性榭脂分散体。
11.前記親水性高分子 (B)が反応性基を 1分子当たり 1以上有してなる水性榭脂分 散体。
12.前記反応性基として少なくともアミノ基を有してなる水性榭脂分散体。
13.ポリオレフイン (A)に親水性高分子(B)を (A): (B) = 100: 5~100: 500 (Mm. 比)の割合で結合させた重合体 (C)を水に分散させた榭脂分散体の製造方法であつ て、該重合体 (C)、水、及び水以外の溶媒の混合物を調製した後、該混合物から該
溶媒を除去することにより水性榭脂分散体を得ることを特徴とする、水性榭脂分散体 の製造方法。
14.前記重合体 (C)を水以外の溶媒に溶解した後、水を添加して混合物とする水性 樹脂分散体の製造方法。
15.前記水性樹脂分散体力 なる塗料。
16.熱可塑性榭脂成形体 (F)上に、ポリオレフイン (A)に親水性高分子 (B)を (A): (B) = 100: 5〜: LOO: 500 (重量比)の割合で結合させた重合体 (C)を含む層を有す る積層体。
17.熱可塑性榭脂成形体 (F)に、前記水性榭脂分散体又は前記塗料を塗布し、加 熱することにより榭脂層が形成されてなる積層体。
18.熱可塑性榭脂成形体 (F)に、前記水性榭脂分散体又は前記塗料を塗布し、加 熱して榭脂層を形成する積層体の製造方法。
19.プロピレン系重合体 (IA)を含む重合体 (IC)力 なる粒子と、アクリル榭脂、ポリ エステル榭脂、ポリウレタン榭脂、エポキシ榭脂、及びビニルエステル系榭脂からなる 群より選ばれる少なくとも 1種の榭脂 (ID)からなる粒子が、それぞれ水に分散されて なり、下記(1)〜 (4)を満たす水性榭脂分散体。
(1)プロピレン系重合体 (IA)と榭脂(ID)との重量比が 90 : 10〜: L0 : 90である、 (2 )重合体 (IC)と榭脂 (ID)の合計量と水との重量比が 5: 95〜60: 40である、(3)界 面活性剤含有量が重合体 (IC)と榭脂 (ID)の合計量 100重量部に対し 15重量部以 下である、(4)重合体 (IC)力もなる粒子の 50%粒子径が 0. 以下であり、かつ 榭脂 (ID)力もなる粒子の 50%粒子径の 0. 9倍以下である。
20.前記重合体 (IC)が、プロピレン系重合体 (IA)に親水性高分子 (IB)を (IA): (I B) = 100: 5〜: L00: 500 (重量比)の割合で結合させてなる重合体である水性榭脂 分散体。
21.前記重合体 (IC)が、親水性高分子 (IB)をプロピレン系重合体 (IA) lg当たり 0 . 01〜 5mmol結合させてなる重合体である水性榭脂分散体。
22.前記重合体 (IC)が、プロピレン系重合体 (IA)に親水性高分子 (IB)がグラフト 結合したグラフト共重合体である水性榭脂分散体。
23.前記重合体 (IC)は、プロピレン系重合体 (IA)にカルボン酸誘導体基 (カルボン 酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基力 なる群よ り選ばれる少なくとも 1種)がー C ( = O) O で表される基に換算して 0. Ol〜5mmol Zgの割合で結合してなり、該カルボン酸誘導体基に親水性高分子 (IB)が結合して なる水性樹脂分散体。
24.親水性高分子 (IB)はポリエーテル榭脂であることが好ましい。また親水性高分 子 (IB)は反応性基を 1分子当たり 1以上有してなることが好ましぐより好ましくは反 応性基として少なくともアミノ基を有してなる。
25.前記重合体 (IC)が、プロピレン系重合体 (IA)にカルボン酸誘導体基が結合し てなる水性樹脂分散体。
26.前記プロピレン系重合体(IA)が、ァイソタクチックブロックとァタクチックブロック とを有するステレオブロックポリプロピレン重合体である水性榭脂分散体。
27.前記プロピレン系重合体(IA)が、ァイソタクチックブロックとァタクチックブロック を含むステレオブロックポリプロピレン重合体であり、 13C— NMRにて、頭一尾結合 力もなるプロピレン単位連鎖部のメチル基の炭素原子に由来するピークを観測し、 m mmmで表されるペンタッドに帰属されるピークのピークトップのケミカルシフトを 21. 8ppmとした際に、 19. 8ppm力ら 22. lppmに現れるピークの総面積 Sに対する、 2 1. 8ppmをピークトップとするピークの面積 Sの比率(S ZS)力 ¾0%〜70%であり 、力つ 21. 5〜21. 7ppmをピークトップとするピーク(mmmr)の面積を Sとしたとき 4
2
+ 2S ZS > 5である水性榭脂分散体。
1 2
28.前記プロピレン系重合体 (IA)がプロピレン 1ーブテン共重合体であり、プロピ レン含量が 50モル%以上 95モル%以下であり、かつ共重合体 (IA)の分子量分布 MwZMnが 3. 0以下であり、融点 Tmが 120°C以下である水性榭脂分散体。
29.前記プロピレン系重合体 (IA)がメタ口セン触媒を用いて製造されてなる水性榭 脂分散体。
30.前記さらに顔料 (IE)を含んでなり、重合体 (IC)と榭脂 (ID)の合計量と顔料 (IE )との重量比が 100 : 10〜: LOO :400である水性榭脂分散体。
31.プロピレン系重合体 (IA)に親水性高分子(IB)を、(IA): (IB) = 100 : 5〜100
: 500 (重量比)の割合で結合させてなる重合体 (IC)を水に分散させてなる分散体と 、アクリル榭脂、ポリエステル榭脂、ポリウレタン榭脂、エポキシ榭脂、及びビニルエス テル系榭脂からなる群より選ばれる少なくとも 1種の榭脂 (ID)を水に分散させてなる 分散体を混合させて、プロピレン系重合体 (IA)と榭脂 (ID)との重量比が 90 : 10〜1 0: 90であり、重合体(IC)と榭脂(ID)の合計量と水との重量比が 5: 95〜60: 40であ る水性樹脂分散体を得る水性樹脂分散体の製造方法。
32.前記水性榭脂分散体からなることを特徴とする塗料。
33.熱可塑性榭脂成形体 (IF)に前記水性榭脂分散体又は前記塗料を塗布し、加 熱して榭脂層を形成する積層体の製造方法。
34.熱可塑性榭脂成形体 (IF)上に、プロピレン系重合体 (IA)を含む重合体 (IC)と 、アクリル榭脂、ポリエステル榭脂、ポリウレタン榭脂、エポキシ榭脂、及びビニルエス テル系榭脂からなる群より選ばれる少なくとも 1種の榭脂 (ID)とを (IA): (ID)の重量 比 90: 10〜 10: 90で含み、界面活性剤含有量が重合体 (IC)と榭脂 (ID)の合計量 100重量部に対し 10重量部以下である層を有する積層体。
35.熱可塑性榭脂成形体 (IF)に前記水性榭脂分散体又は前記塗料を塗布し、加 熱することにより榭脂層が形成されてなる積層体。
36.変性ポリオレフインと水とを含む水性榭脂分散体の製造方法であって、前記変 性ポリオレフインを、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0〜95. 0重量0 /0である溶媒 (a) に溶解させる溶解工程、これに水を加えて分散させる分散工程、及び、少なくとも該 溶媒 (a)を留去する留去工程を含むことを特徴とする、水性榭脂分散体の製造方法
37.前記溶媒がアルコール、ケトン及びエステル力 なる群より選ばれる 1以上であ る水性樹脂分散体の製造方法。
38.前記溶解工程及び Z又は分散工程を IMPa以下の圧力下で行う水性榭脂分 散体の製造方法。
39.前記水性榭脂分散体の 50%粒子径が 0. 2 m以下である水性榭脂分散体の 製造方法。
40.変性ポリオレフインと水とを含む榭脂分散体の製造方法であって、 20°Cにおける
水の溶解度が 1. 0重量%未満である溶媒 (al)に変性ポリオレフインが溶解されてな る溶液に対し、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0重量%以上の溶媒 (a2)及び水を加 えて分散させる分散工程、及び少なくとも該溶媒 (al)及び溶媒 (a2)を留去する留 去工程を含むことを特徴とする、水性榭脂分散体の製造方法。
41.前記溶媒 (al)がハロゲン化されていてもよい炭化水素系溶媒である、水性榭脂 分散体の製造方法。
42.前記溶媒 (a2)の沸点が水よりも低い、水性榭脂分散体の製造方法。
43.前記分散工程を IMPa以下の圧力下で行う、水性榭脂分散体の製造方法。
44.前記留去工程を行うに際し、前記溶媒 (al)、溶媒 (a2)及び水の共沸点での溶 媒 (al)の組成分率より溶媒 (al)の組成分率が小さ!、、水性榭脂分散体の製造方法
45.前記水性榭脂分散体の 50%粒子径が 0. 2 m以下である、水性榭脂分散体 の製造方法。
46.ポリオレフインを変性反応させて前記変性ポリオレフインを得る変性工程を前記 溶媒 (al)中で行い、これにより前記溶媒 (al)に変性ポリオレフインが溶解されてなる 溶液を得る、水性樹脂分散体の製造方法。
47.更に、モノマーの重合反応によりポリオレフインを得る重合工程を前記溶媒 (al) 中で 8前記溶液を、溶媒 (al)に対する 20°Cにおける溶解度が 1. 0重量%未満であ る溶媒 (a3)で洗浄する洗浄工程を含む、水性榭脂分散体の製造方法。
49.溶媒中でポリオレフインを変性反応させて変性ポリオレフインを含む溶液を得る 変性工程の後、該溶液を、該溶媒に対する 20°Cにおける溶解度が 1. 0重量%未満 である溶媒で洗浄する洗浄工程を行う、変性ポリオレフイン溶液の製造方法。
50.前記変性工程力 ハロゲンィ匕されていてもよい炭化水素系溶媒中でポリオレフィ ンを変性反応させて変性ポリオレフインを含む溶液を得る工程であり、前記洗浄工程 力 該溶液を水で洗浄する工程である、変性ポリオレフイン溶液の製造方法。
51.前記洗浄工程の後、脱水工程を行う、変性ポリオレフイン溶液の製造方法。
52.前記変性工程力 ポリオレフインをジカルボン酸無水物と反応させて、ジカルボ ン酸無水物基が結合したポリオレフインを含む溶液を得る工程である、変性ポリオレ
フィン溶液の製造方法。
53.前記洗浄工程の後、脱水工程を行い、次いで前記溶液中で、ジカルボン酸無 水物基が結合したポリオレフインを親水性高分子と反応させて、親水性高分子が結 合したポリオレフインを含む溶液を得る第二変性工程を行う、変性ポリオレフイン溶液 の製造方法。
発明の効果
[0012] 本発明によれば、その第 1の態様〜第四の態様のいずれにおいても下記の(1)〜( 4)の効果が得られる。なお、本発明においては必ずしもすべての効果を発現するこ とを必須とするものではなぐ上記した 1以上の効果があればよいものとする。
(1)従来は有機溶剤の溶液として塗布して ヽた用途にも水性分散体を使用でき、安 全衛生面でも好ま Uヽ。また有機溶剤溶液ではな!ヽので VOC (揮発性有機化学物 質)排出が低減でき環境面でも好ま ヽ。しかも実質的に塩素を含まな ヽで優れた性 質の水性分散体を得ることができる。塩素を含まない場合、ダイォキシン等や毒性等 の問題が無ぐ環境面で非常に好ましい。
(2)本発明の榭脂分散体を含む塗料を塗布して得られた塗装膜は耐水性、耐湿性、 耐油性 (耐 GH性)、耐薬品性に優れる。このため 1回のみの塗装で仕上げる、例え ば溶剤系ラッカー型塗料のような塗装方法にも好適である。得られる塗膜はポリオレ フィン素材、特にプロピレン系重合体素材、もしくはプロピレン系重合体素材等を含 有するプラスチック素材に対して良好な密着性を示し、通常塗装や接着が困難な未 処理ポリプロピレンのような難接着性の基材上にも形成しうる。
(3)本発明により得られる榭脂分散体は結晶性を有するォレフィン系重合体に対す る表面処理剤、接着剤、コーティング剤、塗料等としてきわめて有用である。
(4)本発明の積層体は、塗膜密着性に優れ、幅広い工業製品に適用可能である。
[0013] また、本発明の第 1の態様〜第四の態様では、それぞれ以下の効果が得られる。
本発明の第一の態様によれば、重合体 (C)は水への分散性に非常に優れるので、 分散粒子径が細かぐかつ安定に分散できる利点がある。また界面活性剤を実質的 に添加することなく分散できるので、従来問題となっていた界面活性剤によるブリード アウトが抑制できる利点があり、ひいては優れた外観の塗布品が得られる。また本発
明の榭脂分散体の製造方法によれば、分散粒子径が細かぐかつ榭脂粒子が安定 に分散した、優れた水性榭脂分散体を簡便に得ることができる。
また本発明の重合体 (C)を他の樹脂と併用して複合水性榭脂分散体とすれば、他 の榭脂に由来する物性値の向上、具体的には塗膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦 性、耐溶剤性などを向上させることができる。
[0014] 本発明の第二の態様によれば、この重合体 (IC)は水への分散性に優れるので、 少な ヽ界面活性剤の添加で、或いは界面活性剤を添加することなく分散粒子径の細 カゝ ヽ安定性に優れた水性榭脂分散体が得られる。従って重合体 (IC)と榭脂 (ID)を 含む複合水性榭脂分散体は従来問題となっていた界面活性剤によるブリードアウト が抑制できる利点があり、ひ ヽては優れた外観の塗布品が得られる。
また、重合体 (IC)粒子の粒径が榭脂 (ID)粒子の粒径の 0. 9倍以下と小さ 、ので 、塗膜を形成した際に榭脂 (ID)粒子同士の空隙を重合体 (IC)粒子が充填する形と なり空隙の容積が小さくなり基材に対する密着性が高く耐水性、耐溶剤性が向上す る利点がある。更には塗膜中で、プロピレン系重合体基材に対して密着性が高いプ ロピレン系重合体が「海」、塗膜にその他の機能を与える他のノ インダー榭脂が「島」 になる海島構造を形成するため、基材への密着性が更に高く耐水性、耐溶剤性が向 上する利点がある。
また本発明の榭脂分散体の製造方法によれば、分散粒子径が細かぐ粒径分布が 狭ぐかつ榭脂粒子が安定に分散した、優れた水性榭脂分散体を簡便に得ることが できる。
また重合体 (IC)と共に榭脂 (ID)を含む複合水性榭脂分散体であるため、榭脂 (I D)に由来する物性値の向上、具体的には塗膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、 耐溶剤性などを向上させることができる。
[0015] 本発明の第三の態様の水性榭脂分散体の製造方法によれば、分散粒子径が細か ぐ粒径分布が狭ぐかつ榭脂粒子が安定に分散した、優れた水性榭脂分散体を簡 便に得ることができる。また界面活性剤をごく少量か又は実質的に添加することなく 分散できるので、従来問題となっていた界面活性剤によるブリードアウトが抑制できる 利点があり、塗料に用いれば優れた外観の塗布品が得られる。
また、分散のために用いた溶媒は、留去後、水と分離しやすいため回収が容易に 行え、溶媒の再利用、廃棄のいずれにおいても有用である。
[0016] 本発明の第四の態様の水性榭脂分散体の製造方法によれば、分散粒子径が細か ぐ粒径分布が狭ぐかつ榭脂粒子が安定に分散した、優れた水性榭脂分散体を簡 便に得ることができる。また界面活性剤をごく少量か又は実質的に添加することなく 分散できるので、従来問題となっていた界面活性剤によるブリードアウトが抑制できる 利点があり、塗料に用いれば優れた外観の塗布品が得られる。
また、本発明の溶媒 (al)としてはポリオレフインの変性工程等で用いた溶媒をその まま用いることができるので、一旦溶媒を除去したり蒸発乾固させたりする必要がなく 、前工程終了後、溶媒に溶解した溶液のまま次の分散プロセスを行うことができる。 従って製造工程が大幅に簡略ィ匕でき、極めて有用な製造方法である。
発明を実施するための最良の形態
[0017] 以下に本発明の第一の態様〜第四の態様のそれぞれについて説明する力 各態 様にっ 、ての共通の説明につ 、ては省略する場合がある力 各態様にっ 、ての説 明は他の態様についても同様に適応されうるものである。
[0018] <第一の態様について >
本発明の榭脂分散体は、ポリオレフイン (A)に親水性高分子 (B)を、 (A): (B) = l 00: 5〜: LOO: 500 (重量比)の割合で結合させてなる重合体 (C)を、水に分散させて なる。即ちポリオレフインに親水性高分子を所定割合で結合させ、これを水に分散さ せることで優れた特性の榭脂分散体が得られる。
なお本発明にお 、て分散とは、分散粒子が極めて小さく単分子で分散して 、る状 態、実質的には溶解と言えるような状態を含む概念である。従って、分散粒子径の下 限値にっ ヽては特に制限はな 、。
[0019] ポリオレフイン (A)と親水性高分子(B)の比率は(A): (B) = 100 : 5-100 : 500 ( 重量部)である。親水性高分子 (B)の比率が大きいほど、重合体 (C)が水中で良好 に分散しやすぐまた分散粒子径が小さくなり安定に分散する。このため (A): (B) = 100: 5より(B)の比率を大きくする。一方、親水性高分子 (B)の比率が小さ 、ほどポ リオレフイン基材との密着性が高まる。このため(A): (B) = 100 : 500より (B)の比率
を小さくする。
[0020] ポリオレフイン (A)と親水性高分子 (B)を結合させ重合体 (C)を製造する方法として は、通常、ポリオレフイン (A)存在下で親水性モノマーを重合してポリオレフイン (A) に結合した親水性高分子 (B)を形成する方法 (R1)、又は予め重合した親水性高分 子 (B)をポリオレフイン (A)に結合させる方法 (R2)が挙げられ、ポリオレフインや親水 性高分子の種類及び組合せ、 目的とする重合体 (C)の特性等に応じて適宜選択す ればよい。またポリオレフイン (A)としては、反応性基を有しないポリオレフイン (Al)、 又は反応性基を有するポリオレフイン (A2)を用いることができる。
[0021] 以下、各々の場合に分けて説明する。
[1]ポリオレフイン (A)
本発明のポリオレフイン (A)としては、反応性基を有しないポリオレフイン (A1)、又 は反応性基を有するポリオレフイン (A2)を用いることができる。
[1 - 1]反応性基を有しな 、ポリオレフイン (A1)
ポリオレフイン (A1)としては、公知の各種ポリオレフイン及び変性ポリオレフインを用 いることができ、特に限定されないが、例えば、エチレン又はプロピレンの単独重合 体、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン又は Z及びプロピレンとその他コモ ノマーとの共重合体が挙げられる。コモノマーとしては例えば 1ーブテン、 1 ペンテ ン、 1一へキセン、 1 ヘプテン、 1—オタテン、シクロペンテン、シクロへキセン、及び ノルボルネンなどの炭素数 2以上の aーォレフィンコモノマーが挙げられる。 aーォ レフィンコモノマーとして好ましくは炭素数 2〜8の a—ォレフィンコモノマーであり、よ り好ましくは炭素数 2〜6の α—ォレフィンコモノマーである。もしくは、これら α—ォレ フィンコモノマー同士 2種類以上の共重合体も用いることができる。
[0022] また atーォレフインモノマーと酢酸ビュル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ ルなどのコモノマーとの共重合体、芳香族ビュルモノマーと共役ジェンモノマーとか ら選ばれる 2種以上のモノマーの共重合体の水素添加体、なども用いることができる 。なお単に共重合体と 、う場合はランダム共重合体であってもブロック共重合体であ つてもよい。またポリオレフイン (A1)は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
[0023] 更に、これらポリオレフインを塩素化した塩素化ポリオレフインも使用しうる。塩素化
ポリオレフインの塩素化度は通常 5重量%以上、好ましくは 10重量%以上であり、ま た塩素化度は通常 50重量%以下であり、好ましくは 30重量%以下である。但し環境 負荷を低減する目的からは、ポリオレフイン (A1)は実質的に塩素を含まないことが望 ましい。実質的に塩素を含まないとは、例えばポリオレフインの塩素化率が 5重量% 未満である。
[0024] ポリオレフイン (A1)として具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ェチレ ン—プロピレン共重合体、プロピレンーブテン共重合体、プロピレン一へキセン共重 合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化工チレン プロピレン共重 合体、塩素化プロピレンーブテン共重合体、エチレン 酢酸ビニル共重合体、スチレ ン ブタジエン スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加体(SEBS)、スチレ ンーイソプレン スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加体(SEPS)などである 。好ましくはプロピレン単独重合体又はプロピレンと他の α—ォレフインとの共重合体 であり、これらは塩素化されていてもよい。より好ましくは、プロピレン単独重合体、ェ チレン プロピレン共重合体、プロピレンーブテン共重合体、塩素化ポリプロピレン、 塩素化工チレン プロピレン共重合体、又は塩素化プロピレン ブテン共重合体で ある。更に好ましくは、プロピレン単独重合体、エチレン プロピレン共重合体、プロ ピレン ブテン共重合体である。
[0025] ポリオレフイン(A1)は、 GPC (Gel Permeation Chromatography)で測定し各 々のポリオレフインの検量線で換算した重量平均分子量 Mwが 1, 000〜500, 000 であることが好ましい。下限値のより好ましい値は 10, 000、更に好ましくは 30, 000 、特に好ましくは 50, 000である。上限値のより好ましい値は 300, 000、さらに好まし く ίま 250, 000、特に好ましく ίま 200, 000である。 Mw力 ^下限値より高!/、 ίまどべたつ き度合いが小さくなり基材への密着性が増す傾向があり、また上限値より低いほど粘 度が低くなり榭脂分散体の調製が容易になる傾向がある。なお GPC測定は、オルト ジクロロベンゼンなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる
[0026] ポリオレフイン(A1)の、重量平均分子量 Mwと数平均分子量 Μηとの比で表される 分子量分布 MwZMnは、 10以下が好ましぐさらに好ましくは 5以下であり、さらに
好ましくは 3以下である。これは分子量分布が狭ぐポリオレフインの分子量が均一に 揃っていることを意味する力 このようなポリオレフイン (A1)を用いることで、水への分 散時の粒径制御がしゃすくなり、分散粒径が小さぐ粒径分布が狭ぐかつ安定に分 散した榭脂分散体が得られる利点がある。好ましくは MwZMnが 3. 0以下である。 但し、通常、 1. 0以上である。
[0027] ポリオレフイン (A1)は融点 Tmが 120°C以下であることが好ましい。より好ましくは 1 10°C以下であり、更に好ましくは 100°C以下である。融点 Tmが 120°Cより低いほど、 結晶性が低く溶媒への溶解性が向上し、乳化、分散作業が低温で行いやすくなるた め好ましい。但し、ポリオレフイン (A1)の融点 Tmは通常、 25°C以上であり、好ましく は 35°C以上である。高耐熱性、高硬度、ベたつきのなさなどの点で有利である。
[0028] ポリオレフイン (A1)のプロピレンの含有率が好ましくは 50モル0 /0以上であり、より好 ましくは 70モル%以上である。通常、プロピレンの含量が高いほどポリプロピレン基 材への密着性が増す傾向がある。
[0029] ポリオレフイン (A1)として好ま 、一例は、プロピレン単独重合体又は共重合体の 立体規則性として、全体または部分的にァイソタクチック構造を有するものである。例 えば通常のァイソタクチックポリプロピレンは勿論のこと、特開 2003— 231714号公 報(US2004— 162403号公報;)や US4, 522, 982号公報【こ記載されて!ヽるような 、 イソタクチックブロックポリプロピレン 、 イソタクチックブロックと タクチックブロ ックとを有するステレオブロックポリプロピレン等も好ましく使用できる。
[0030] また、ポリオレフイン (A1)がプロピレン単独重合体の場合、好ましくは、アイソタクチ ック立体規則性を示す [mmmm]ペンタッドが 10%〜90%の範囲である。下限値の 好ましい値は 20%、さらに好ましくは 30%、より好ましくは 40%である。上限値の好ま しい値は 80%、さらに好ましくは 70%、より好ましくは 60%、より好ましくは 55%であ る。ペンタッドの比率の測定方法は特開 2003— 231714号公報(US2004— 1624 03号公報)に記載の方法を用いることができる。下限値より高いほどべたつき度合い が小さくなる傾向があり、また上限値より低いほど結晶化度が低くなり榭脂分散体の 調製が容易になる傾向がある。
但し、ポリオレフイン (A1)が共重合体の場合は、見かけ上の立体規則性がより高く
、例えば上記 [mmmm]ペンタッドの割合がより大きくても好ましく使用できる。
[0031] 或いは、ポリオレフイン (A1)として好ましい他の一例は、プロピレン一 α—ォレフィ ン共重合体である。このような共重合体はポリプロピレン等のホモポリマーに比べて 融点が低いため、これを用いた榭脂分散体は塗装後の焼き付け温度を下げることが できる利点がある。より好ましくはプロピレン含量が 50モル%〜95モル0 /0である。通 常、プロピレン含量が高いほどポリプロピレン基材への密着性が増す傾向がある。好 ましくは 60モル%以上であり、より好ましくは 70モル%以上である。但しプロピレン含 量は 95モル%以下である。通常、プロピレン含量を低くすると共重合体の融点を下 げることができ、例えば塗装後の焼き付け温度を下げることができる利点がある。好ま しくは 90モル%以下であり、より好ましくは 85モル%以下である。更に、共重合体の 分子量分布 MwZMnが 3. 0以下であることが好まし!/、。
[0032] aーォレフインとして好ましくは炭素数 2〜8の aーォレフインであり、より好ましくは 炭素数 2〜6の α—ォレフインであり、更に好ましくは炭素数 2〜4の α—ォレフインで あり、最も好ましくは 1—ブテンである。 1—ブテン含量は好ましくは 5モル%〜50モ ル%である。より好ましくは 10モル%以上であり、更に好ましくは 15モル%以上であ る。またより好ましくは 40モル%以下であり、更に好ましくは 30モル%以下である。こ のとき共重合体は、プロピレン及び 1ーブテン以外の OLーォレフインカ 導かれる構 成単位を少量含んでもよい。例えばエチレンを 10モル0 /0以下含んでもよい。より好ま しくは 5モル%以下である。なお本明細書中、特にことわらない限り、ブテンとは 1 ブテンを指す。
共重合体として入手可能な市販品としては、三井ィ匕学社製のタフマー ΧΜ— 7070 、 ΧΜ— 7080などがある。
ポリオレフイン (A1)は 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用い てもよい。
[0033] 以上を総合すると、ポリオレフイン (A1)として好ましいのは、ポリオレフインカ、プロ ピレン含量が 50モル%以上であってァイソタクチックブロックとァタクチックブロックと を有するステレオブロックポリプロピレン系重合体、プロピレン OCーォレフイン共重 合体、或いはこれらの併用である。
[0034] 本発明のポリオレフイン (Al)の製法については、本発明の要件を満たす重合体を 製造できれば特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えばラジカル重合、 カチオン重合、ァ-オン重合、配位重合などが挙げられ、それぞれリビング重合的で あってもよい。
[0035] また、配位重合の場合は、例えばチーグラー ·ナッタ触媒により重合する方法又は シングルサイト触媒又はカミンスキー触媒により重合する方法が挙げられる。好ま ヽ 製法としては、シングルサイト触媒による製造方法を挙げることができる。この理由とし ては、一般にシングルサイト触媒はリガンドのデザインにより反応を精密に制御しや すぐ分子量分布や立体規則性分布がシャープな重合体が得られ、チーグラー 'ナ ッタ触媒による重合体に比べて融点が低いので、この重合体を用いた榭脂分散体は 塗装後の焼き付け温度を下げることができるためである。シングルサイト触媒としては 、例えばメタ口セン触媒、ブルックハート型触媒を用いうる。メタ口セン触媒では C対 称型、 C対称型、 C 対称型、 C対称型など、重合するポリオレフインの立体規則性
2 2V S
に合わせて好ましい触媒を選択すればよい。好ましくは C対称型、 C対称型のメタ口
1 2
セン触媒を用いることができる。
[0036] また重合は溶液重合、スラリー重合、バルタ重合、気相重合など 、ずれの重合形態 でもよい。溶液重合やスラリー重合の場合、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン 等の芳香族系炭化水素、へキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素;シクロ へキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素;塩化メチレン、四塩 化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸プ 口ピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソブチル ケトン、シクロへキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、 n—プロパノール、イソ プロパノール、 n—ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラ ン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類など が挙げられる。なかでも芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、及び脂環族系炭 化水素が好ましぐより好ましくはトルエン、キシレン、へキサン、ヘプタン、シクロペン タン、及びシクロへキサンである。これらは 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組 み合わせて用いてもよい。
[0037] [ 1 2]反応性基を有するポリオレフイン (A2)
反応性基を有するポリオレフイン (A2)としては、例えば、ポリオレフイン重合時に反 応性基を有しない不飽和化合物と反応性基を有する不飽和化合物とを共重合した 共重合体 (A2a)、又は、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をポリオレ フィンにグラフト重合した重合体 (A2b)、不飽和末端基を持つポリオレフインを 13族 〜17族の元素基等に変換した重合体 (A2c)を用いることができる。
[0038] 反応性基としては、例えばカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン 酸無水物モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシァネート基などが挙 げられる。より好ましくは、ポリオレフイン (A2)はカルボン酸基、ジカルボン酸無水物 基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基力 なる群より選ばれる少なくとも 1種を 有する。これらカルボン酸基等は反応性が高く親水性高分子と結合が容易なだけで なぐこれらの基を有する不飽和化合物も多くポリオレフインへ共重合もしくはグラフト 反応させることも容易である。
[0039] 共重合体 (A2a)は、反応性基を有しな!/、不飽和化合物と、反応性基を有する不飽 和化合物とを共重合して得られ、反応性基を有する不飽和化合物が主鎖に挿入され た共重合体である。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等の a—ォレフインと、ァク リル酸、無水マレイン酸等の α、 β 不飽和カルボン酸又は無水物とを共重合体し て得られる。共重合体 (A2a)として具体的には、例えばプロピレンーブテン 無水マ レイン酸共重合体などが使用できる。これらは 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上 を組み合わせて用いてもょ 、。製造方法は [ 1— 1]で述べた方法を同様に用いること ができる。
[0040] 重合体 (A2b)は、予め重合したポリオレフインに、反応性基を有するラジカル重合 性不飽和化合物をグラフト重合して得られ、反応性基を有する不飽和化合物は主鎖 にグラフトされている。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフインに(メ タ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はその無水物、ィタコン酸又はその無水物、ク 口トン酸、(メタ)アクリル酸 2 -ヒドロキシェチルゃ (メタ)アクリル酸 2 -ヒドロキシプロピ ル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸 (ジメチルァミノ)ェチル、(メタ)アクリル酸グ リシジル、(メタ)アクリル酸(2—イソシアナト)ェチル等をグラフトした重合体である。こ
れらは 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお (メ タ)アクリル酸とはアクリル酸とメタクリル酸の総称であり、他もこれに準ずる。本反応の ポリオレフインとしては、上述の反応性基を有しな 、ポリオレフインを使用することがで きる。
[0041] 重合体 (A2b)として具体的には、例えば無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びそ の塩素化物、無水マレイン酸変性プロピレン エチレン共重合体及びその塩素化物 、無水マレイン酸変性プロピレンーブテン共重合体及びその塩素化物、アクリル酸変 性ポリプロピレン及びその塩素化物、アクリル酸変性プロピレン エチレン共重合体 及びその塩素化物、アクリル酸変性プロピレンーブテン共重合体及びその塩素化物 などが挙げられる。これらは 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用 いてもよい。
[0042] グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤から適 宜選択して使用することができ、例えば有機過酸ィ匕物、ァゾ-トリル等を挙げることが できる。有機過酸化物としては、ジ (t—ブチルパーォキシ)シクロへキサンなどのパー ォキシケタール類、タメンヒドロパーォキシドなどのハイド口パーォキシド類、ジ(tーブ チル)パーォキシドなどのジアルキルパーオキサイド類、ベンゾィルパーォキシドなど のジァシルバーオキサイド類、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートな どのパーォキシエステル類が使用できる。ァゾ-トリルとしてはァゾビスブチ口-トリル 、ァゾビスイソプロピル-トリル等が挙げられる。なかでもベンゾィルパーォキシド及び t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートが特に好まし!/、。これらは 1種を 単独で用いてもよ!、し、 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0043] ラジカル重合開始剤とグラフト共重合単位の使用割合は、通常、ラジカル重合開始 剤:グラフト共重合単位 = 1: 100〜2: 1 (モル比)の範囲である。好ましくは 1: 20〜1 : 1の範囲である。
[0044] 重合体 (A2b)の製法にっ 、ては、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば 特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えば、溶液変性法 (溶液中で加熱 攪拌して反応する方法)、溶融変性法 (無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、 又は、押し出し機で加熱混練して反応する方法)等が挙げられる。
溶液中で製造する場合の溶媒としては、 [1— 1]で挙げた溶媒を同様に用いること ができる。
[0045] 反応温度は、通常 50°C以上であり、好ましくは 80〜300°Cの範囲が好適である。よ り好ましくは、溶液変性法の場合は 80〜200°Cの範囲であり、溶融変性法の場合は 150〜300°Cの範囲である。反応時間は、通常 2〜20時間程度である。反応時間は 、通常 2〜20時間程度である。
[0046] 重合体 (A2c)は、通常、ブロック共重合体を製造する場合に用いられ、例えば、特 開 2001— 288372号(US2003— 055179号)【こ記載されて!、るよう【こ末端二重結 合を有するポリオレフインの二重結合部をホウ素基、アルミニウム基のような 13族元 素基に変換したポリオレフイン (A2cl)、特開 2005— 048172号(EP1645576A1) に記載されて 、るように末端二重結合を有するポリオレフインの二重結合部をハロゲ ン元素に変換したポリオレフイン (A2c2)、特開 2001— 098140号 (US6451901 号)に記載されて 、るように末端二重結合を有するプロピレン系重合体の二重結合 部をメルカプト基に変換したポリオレフイン (A2c3)を用いることができる。
[0047] 二重結合を持つポリオレフインの製造方法は、例えば、ォレフィン重合時に a一水 素脱離を起こす方法や、プロピレン系重合体を高温で熱分解させる方法などが挙げ られる。
二重結合部をホウ素基やアルミニウム基に変換する方法としては、例えば、二重結 合に有機ホウ素化合物や有機アルミニウム化合物を溶媒中で反応させる方法が挙げ られる。
二重結合部をハロゲン元素に変換する方法としては、例えば、上記有機ホウ素基を 持つポリオレフイン (A2cl)に塩基と過酸化水素水を反応させることにより水酸基を 持つプロピレン系重合体に変換した後、ハロゲン基含有酸ハロゲン化物を反応させ て、ハロゲン基含有エステル基に変換する方法などがある。
二重結合部をメルカプト基に変換する方法としては、例えば、チォ酢酸をラジカル 開始剤存在下反応させた後、塩基で処理する方法などがある。
[0048] 重合体 (A2c)の製法にっ 、ては、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば 特に限定されず、いかなる製法であってもよいが、溶液中で加熱攪拌して反応させる
方法が好ましく用いられる。溶液中で製造する場合の溶媒としては、 [1 1]で挙げ た溶媒を同様に用いることができる。
[0049] 反応性基を結合してなる重合体 (A2a)及び (A2b)中の反応性基の含有量は、ポリ ォレフィン lg当たり 0. Ol〜5mmol、即ち 0. Ol〜5mmol/gの範囲にあることが好 ましい。より好ましい下限値は 0. O5mmol/gであり、更に好ましくは 0. lmmol/g であり、特に好ましくは 0. 15mmolZgである。より好ましい上限値は ImmolZgであ り、更に好ましくは 0. 8mmolZgであり、特に好ましくは 0. 5mmolZgである。
[0050] 反応性基を結合してなる重合体 (A2c)中の反応性基の含有量は、その製法から通 常ポリマー 1分子当たり 1反応性基以下となり、 1Z数平均分子量 Mn(molZg)以下 であり、共重合体 (A2a)及び (A2b)に比して低くなる傾向がある。従ってポリオレフィ ン lg当たり 0. 004〜2mmol/gの範囲にあることが好ましい。より好ましい下限値は 0. 005mmolZgである。より好ましい上限値は 0. 2mmolZgである。
[0051] 下限値より高いほど親水性高分子 (B)の結合量が増し重合体 (C2)の親水性が増 すため分散粒子径が小さくなる傾向にあり、上限値より低いほど、基材である結晶性 のポリオレフインに対する密着性が増す傾向にある。なお、ジカルボン酸無水物基は 基中にカルボン酸基を 2つ含むとみなせるので、ジカルボン酸無水物基 1モルは反 応性基 2モルと数える。
[0052] ポリオレフイン (A2)は 1種を単独で用いてもょ 、し、 2種以上を組み合わせて用い てもよい。また、ポリオレフイン (A2)としては(A2a)、 (A2b)、 (A2c)のいずれも用い うるが、通常、好ましいのは重合体 (A2b)である。親水性高分子 (B)の結合量の制 御がしゃす!/、などの利点がある。
[0053] 本発明にお 、ては、ポリオレフイン (A)として、反応性基を有しな!/、ポリオレフイン( A1)と反応性基を有するポリオレフイン (A2)の双方を、親水性高分子 (B)との組合 せや目的とする重合体 (C)の特性等に応じて適宜用いうる。但し少なくとも、反応性 基を有するポリオレフイン (A2)を含むことが好ま 、。親水性高分子 (B)の結合量の 制御がしゃすぐまた結合に用いうる反応が多様であるなどの利点がある。反応性基 を有するポリオレフイン (A2)のみを使用してもよ!、。
[0054] [2]親水性高分子 (B)
本発明において親水性高分子とは、 25°Cの水に 10重量%の濃度で溶解させたと きに不溶分が 1重量%以下の高分子を言う。親水性高分子 (B)としては、本発明の 効果を著しく損なわない限り、特に限定されず用いることができ、合成高分子、半合 成高分子、天然高分子のいずれも用いることができる。反応性基を有していてもよい
[0055] 合成高分子としては、特に限定されないが例えばポリ(メタ)アクリル榭脂、ポリエー テル榭脂、ポリビニルアルコール榭脂、ポリビュルピロリドン榭脂等が使用できる。天 然高分子としては、特に限定されないが例えばコーンスターチ小麦デンプン、かんし よデンプン、馬鈴薯デンプン、タピオ力デンプン、米デンプンなどのデンプン、ふのり 、寒天、アルギン酸ソーダなどの海藻、アラビアゴム、トラガントゴム、こんにゃくなどの 植物粘質物、にかわ、カゼイン、ゼラチンなどの動物性タンパク、プルラン、デキストリ ンなどの発酵粘質物、等が使用できる。半合成高分子としては、特に限定されないが 例えばカルボキシルデンプン、カチオンデンプン、デキストリンなどのデンプン質、ビ スコース、メチノレセノレロース、ェチノレセノレロース、力ノレボキシノレメチノレセノレロース、ヒド ロキシェチルセルロースなどのセルロース、等が使用できる。
[0056] なかでも好ましくは、親水性度合!/、の制御がしゃすく、特性も安定して 、る合成高 分子である。より好ましくは、ポリ (メタ)アクリル榭脂などのアクリル系榭脂、ポリビュル アルコール榭脂、及びポリビニルピロリドン榭脂、ポリエーテル榭脂である。これらは 1 種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。親水性の高いポ リエーテル樹脂が最も好まし 、。
[0057] 本発明に用いるアクリル系榭脂は、通常、不飽和カルボン酸若しくはそのエステル 又は無水物を、ラジカル重合、ァ-オン重合、又はカチオン重合により重合すること で得られる。ポリオレフイン (A)との結合方法は限定はされないが、例えば、ポリオレ フィンの存在下でラジカル重合する方法、水酸基、アミノ基、グリシジル基、(無水)力 ルボン酸基等の反応性基を有するアクリル系榭脂を、反応性基を有するポリオレフィ ンと反応させる方法、等が挙げられる。
[0058] 親水性を示す不飽和カルボン酸若しくはそのエステル又は無水物として好ましくは 、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸ジメチルァミノ
ェチル (メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物、(メタ)アクリルアミドが挙げら れる。
[0059] また、親水性を示す範囲内で疎水性ラジカル重合性ィ匕合物(疎水性モノマー)を共 重合することができる。共重合可能な疎水性モノマーとしては、例えば炭素原子数 1 〜12のアルキル基、ァリール基又はァリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ェ ステル系モノマーや、炭素原子数 1〜12の炭化水素基を有する重合性ビニルモノマ 一などが挙げられる。
[0060] 炭素原子数 1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとし ては、例えば (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ェチル、(メタ)アクリル酸 n—プ 口ピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸 n—ブチル、(メタ)アクリル酸 イソブチル、(メタ)アクリル酸 tーブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸 シクロへキシル、(メタ)アクリル酸ォクチル、(メタ)アクリル酸 2—ェチルへキシル、(メ タ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられ る。
[0061] 炭素原子数 1〜12のァリール基又はァリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸 エステル系モノマーとしては、例えば (メタ)アクリル酸フエ-ル、(メタ)アクリル酸トル ィル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
炭素原子数 1〜12の炭化水素基を有する重合性ビュルモノマーとしては酢酸ビ- ルゃスチレンモノマー等が挙げられる。
好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの (メタ)アクリル酸 エステル類、酢酸ビニルが挙げられる。
[0062] または、ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して 高分子を形成するとともにポリオレフイン (A)に結合させ、次 ヽで親水性高分子 (B)と 変性することもできる。例えば (メタ)アクリル酸 t—ブチルを重合後、酸性下で加水分 解しポリ(メタ)アクリル酸に変性する方法、酢酸ビニルを重合後、ケン化してポリビ- ルアルコールに変性する方法などが挙げられる。この場合ポリオレフイン (A)としては 反応性基を結合してなるポリオレフイン (A2)も用いうる力 通常は反応性基を有しな V、ポリオレフイン (A1)を用いる。
[0063] 本発明に用いるポリビニルアルコール榭脂は、通常、酢酸ビニルを重合させポリ酢 酸ビニルを得た後、ケンィ匕することで得られる。ケンィ匕度は完全ケンィ匕でも部分ケン 化でもよい。
本発明に用いるポリビュルピロリドン榭脂は、通常、ビュルピロリドンを重合させるこ とで得られる。
本発明に用いるポリエーテル榭脂は、通常、環状アルキレンオキサイドまたは環状 アルキレンイミンを開環重合することで得られる。ポリオレフイン (A)との結合方法は 限定はされないが、例えば、反応性基を有するポリオレフイン (A2)中で環状アルキ レンオキサイドを開環重合する方法、開環重合等により得られたポリエーテルポリオ ールゃポリエーテルァミンなどの反応性基を有する親水性高分子を、反応性基を有 するポリオレフイン (A2)と反応する方法、等が挙げられる。
[0064] ポリエーテルアミンは、ポリエーテル骨格を有する榭脂の片末端又は両末端に、反 応性基としての 1級アミノ基を有する化合物である。ポリエーテルポリオールはポリエ 一テル骨格を有する榭脂の両末端に、反応性基としての水酸基を有する化合物であ る。
親水性を示すポリアルキレンオキサイドやポリアルキレンィミンとして好ましくは、ポリ エチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンィミンが挙げられる。 又はポリエーテルァミンとしては、ハンツマン社製ジェファーミン Mシリーズ、 Dシリ ーズ、 EDシリーズなどを使用してもよい。
[0065] 本発明に用いる親水性高分子 (B)は、ポリオレフイン (A)との結合前に、これと反応 しうる反応性基を 1以上有しているのが好ましい。反応性基としては、例えばカルボン 酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基、水酸基、ァ ミノ基、エポキシ基、イソシァネート基などが挙げられるが、好ましくは少なくともァミノ 基を有する。アミノ基はカルボン酸基、無水カルボン酸基、グリシジル基、イソシァネ ート基など多種の反応性基と反応性が高いのでポリオレフインと親水性高分子を結 合させることが容易である。アミノ基は 1級、 2級、 3級のいずれでもよいが、より好まし くは 1級ァミノ基である。
[0066] 反応性基は 1以上あればよいが、より好ましくは反応性基を 1つのみ有する。反応
性基が 2以上あると、ポリオレフイン (A)と結合させる際に 3次元網目構造となりゲル 化してしまう可能性がある。
ただし反応性基を複数有して!/、ても、他より反応性の高!、反応性基が 1つのみであ ればよい。例えば複数の水酸基と、それより反応性の高い 1つのアミノ基を有する親 水性高分子は好まし 、例である。ここで反応性とはポリオレフイン (A)の有する反応 基との反応性である。
[0067] 本発明における親水性高分子 (B)は、重合体 (C)に十分な親水性を付与するため には高分子である必要があり、 GPCで測定しポリスチレンの検量線で換算した重量 平均分子量 Mwが 200以上のものとする。下限値は好ましくは 300、より好ましくは 5 00である。但し重量平均分子量 Mwが 200, 000以下であることが好ましい。上限値 のより好ましい値は 100, 000であり、さらに好ましくは 10, 000である。 Mwが下限値 より高いほど重合体 (C)の親水性が増し分散粒子径が小さくなり安定に分散する傾 向にあり、また上限値より低 、ほど粘度が低く榭脂分散体を調製しやす 、傾向にある 。なお GPC測定は、 THFなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で 行われる。
[0068] ポリオレフイン (A)に結合して 、る親水性高分子(B)の量は、ポリオレフイン (A) lg 当たり 0. 01〜5mmol、即ち 0. 01〜5mmol/gの範囲にあることが好ましい。より好 ましい下限値は 0. 05mmolZgであり、さらに好ましくは 0. ImmolZgであり、特に 好ましくは 0. 15mmolZgである。より好ましい上限値は ImmolZgであり、更に好ま しくは 0. 8mmolZgであり、特に好ましくは 0. 5mmolZgであり、最も好ましくは 0. 3 mmolZgである。下限値より高いほど重合体 (C)の親水性が増し分散粒子径が小さ くなり安定に分散する傾向にあり、上限値より低いほど、基材である結晶性のポリオレ フィンに対する密着性が増す傾向にある。
[0069] ポリオレフイン (A)と親水性高分子 (B)とは、ポリオレフイン (A)に親水性高分子 (B )がグラフト結合したグラフト共重合体、ポリオレフイン (A)の片末端又は両末端に親 水性高分子 (B)が結合した状態を含むポリオレフイン (A)と親水性高分子 (B)とのブ ロック共重合体、とがあり得るが、好ましくはグラフト共重合体である。親水性高分子( B)の含有量が制御しやすぐまたブロック共重合体に比べて親水性高分子 (B)の含
有量を上げやす 、利点がある。
[0070] 親水性高分子 (B)はポリオレフイン (A)に対して、種々の反応形態により結合させ ることができる。その形態は特に限定されないが、例えば、ラジカルグラフト反応や反 応性基を利用した反応である。
ラジカルグラフト反応によれば、炭素 炭素共有結合による結合が形成される。
[0071] 反応性基を利用した反応は、ポリオレフイン (A)と親水性高分子 (B)の双方に反応 性基を有していてそれらを反応させて結合させるものであり、共有結合又はイオン結 合が形成される。この反応としては、例えば (無水)カルボン酸基とヒドロキシル基の( 開環)エステルィヒ反応、カルボン酸基とエポキシ基との開環反応、 1級又は 2級ァミノ 基とエポキシ基との開環反応、(無水)カルボン酸基と 1級又は 2級ァミノ基の(開環) アミド化反応又はイミド化反応、カルボン酸基と 3級ァミノ基の 4級アンモニゥム化反応 、カルボン酸基とイソシアナ一ト基のアミドィ匕反応、 1級又は 2級ァミノ基とイソシアナ ート基のウレァ化反応、ヒドロキシ基とイソシアナ一ト基のウレタン反応等が挙げられる 。なかでも無水カルボン酸基と 1級又は 2級ァミノ基の開環アミド化反応又はイミドィ匕 反応が反応性の高さの点で好ましぐ更には、イミドィ匕よりもアミドィ匕の方力NH基と C OOH基の親水基が基中に残るため乳化の容易さの点で好ま U、。各反応の反応率 は 1〜100%の間で任意に選べばよぐ好ましくは 50〜100%、さらに好ましくは 70 〜 100%である。カルボン酸基が二塩基酸もしくはその無水物である場合は、二塩 基酸もしくはその無水物一当量に対し、一当量反応させても二当量反応させてもよ い。
[0072] [3]重合体 (C)
ポリオレフイン (A)と親水性高分子 (B)を結合させ重合体 (C)を製造する方法として は、通常、ポリオレフイン (A)存在下で親水性モノマーを重合してポリオレフイン (A) に結合した親水性高分子 (B)を形成する方法 (R1)、又は予め重合した親水性高分 子(B)をポリオレフイン (A)に結合させる方法 (R2)がある。 V、ずれもポリオレフイン (A )としては、反応性基を有しないポリオレフイン (A1)、又は反応性基を有するポリオレ フィン (A2)、ともに用いうる。
[0073] [3— 1]重合体 (C)の製造方法 (R1)
本方法では、ポリオレフイン存在下で、親水性ラジカル重合性不飽和化合物 (親水 性モノマー)を重合することでポリオレフインに結合した親水性高分子 (B)を得る。親 水性モノマーの重合方法は、例えば付加重合、縮合重合、開環重合などを用いうる 。このとき重合後に親水性高分子を形成しうる範囲であれば疎水性ラジカル重合性 不飽和化合物(疎水性モノマー)を共重合させてもょ ヽ。 V、ずれもポリオレフインとし ては、反応性基を有しないポリオレフイン (A1)、又は反応性基を結合してなるポリオ レフイン (A2)、ともに用いうる。
[0074] 具体的には、例えばポリオレフイン (A)とパーオキサイドやァゾィ匕合物などラジカル 重合開始剤の存在下、親水性ラジカル重合性不飽和化合物をグラフト重合しポリオ レフインとポリアクリルのグラフト共重合体とする方法がある。また特開 2001— 28837 2号 (US2003— 055179号)に記載されているように、ホウ素基、アルミニウム基のよ うな 13族元素基を末端に有するポリオレフイン (A2cl)と酸素の存在下、親水性ラジ カル重合性不飽和化合物を重合しポリオレフインとポリアクリルのブロック共重合体と する方法力 Sある。更に特開 2004— 131620号(US2004— 110903号)ゃ特開 200 5— 048172号(EP1645576A1)に記載されているように、ハロゲン原子を末端に 有するポリオレフイン (A2c2)とハロゲン化銅、ハロゲン化ルテニウム等を用い、原子 移動リビングラジカル法でプロピレン系重合体とポリアクリルのブロック共重合体とす る方法がある。また特開 2001— 098140号 (US6, 451, 901号)に記載されている ように、末端にメルカプト基を有するポリオレフインの存在下、ラジカル開始剤と親水 性ラジカル重合性不飽和化合物を重合しポリオレフインとポリアクリルのブロック共重 合体とする方法、などがある。
[0075] 親水性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば (メタ)アクリル酸、(メタ)ァク リル酸ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アタリ ル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物、ビニルビ 口リドンなどが挙げられる。
共重合可能な疎水性モノマーとしては、 [2]で挙げたものなどを同様に用いうる。
[0076] 反応性界面活性剤や反応性乳化剤も、水性ラジカル重合性不飽和化合物として 用 ヽること力できる。 ί列えば、、特開平 04— 053802号公報(US5, 332, 854号)、特
開平 04— 050204号公報(US5, 324, 862号)に示されるアルキルプ口べ-ルフエ ノールポリエチレンォキシド付カ卩体、アルキルジプロぺニルフエノールポリエチレンォ キシド付加体及びそれらの硫酸エステルの塩が挙げられる。その中でもアルキルプ口 ぺ-ルフエノールエチレンォキシド 20モル付カ卩体、同 30モル付加体、同 50モル付 加体(第一工業製薬製、アクアロン RN— 20, RN- 30, RN— 50)及びアルキルプ 口ぺ-ルフエノールポリエチレンォキシド 10モル付カ卩体の硫酸エステルアンモ-ゥム 塩、同 20モル付加体の硫酸エステルアンモ-ゥム塩 (第一工業製薬製、アクアロン H S— 10, HS— 20)が用いられる。
[0077] 又は、ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して高 分子を形成するとともにポリオレフインに結合させ、次 、で親水性高分子 (B)を変性 することもできる。例えば (メタ)アクリル酸 t—ブチルを重合後に酸性下で加水分解し ポリ (メタ)アクリル酸に変性する方法、又はこれを更に塩基で中和する方法、或いは 酢酸ビュルを重合後にケンィ匕してポリビュルアルコールに変性する方法などが挙げ られる。共重合可能な疎水性ラジカル重合性不飽和化合物としては (メタ)アクリル酸 メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビュルが挙 げられる。この場合ポリオレフイン (A)としては反応性基を結合してなるポリオレフイン (A2)も用いうるが、通常は反応性基を有しな 、ポリオレフイン (A1)を用いる。
或いは、反応性基を有するポリオレフイン (A2)を用い、この反応性基を開始末端と して、親水性開環重合モノマー等を重合して親水性高分子 (B)を得る方法がある。
[0078] 親水性開環重合モノマーとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ェチ レンィミンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては、トリメチレンォキ サイド、テトラヒドロフラン、 β—プロピオラタトン、 γ—プチ口ラタトン、 ε—力プロラクト ンなどが挙げられる。
これらはいずれも、 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いても よい。
[0079] 反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定さ れず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、 無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方
法等が挙げられる。反応温度は、通常 0〜200°Cの範囲であり、好ましくは 30〜150 °Cの範囲である。溶液中で製造する場合の溶媒としては、 [1— 1]で挙げた溶媒を同 様に用いることができる。
[0080] [3— 2]重合体 (C)の製造方法 (R2)
本方法では、予め重合した親水性高分子 (B)をポリオレフイン (A)に結合させる。こ の場合親水性高分子 (B)としては [2]で挙げたものを用いうる。
具体的には、例えば、まず親水性モノマーを重合して親水性高分子とする際に分 子内に不飽和二重結合を残しておき、次いでラジカル重合性開始剤を用いてポリオ レフイン (A)にグラフト重合させる方法がある。この場合ポリオレフイン (A)としては反 応性基を有するポリオレフイン (A2)も用いうるが、通常は反応性基を有しな!/、ポリオ レフイン (A1)を用いる。
[0081] また、まず末端に反応性基を有する親水性高分子を重合し、次!、でこれを反応性 基を有するポリオレフイン (A2)に結合させる方法がある。末端に反応性基を有する 親水性高分子は、開始剤や連鎖移動剤として反応性基を有する化合物を用いて親 水性モノマーを重合することで得られる。もしくはエポキシィ匕合物等の親水性開環重 合モノマーを開環重合することによつても得られる。
このとき用いうる親水性モノマーとしては、 [3— 1]で挙げた各種親水性モノマーを 同様に用いうる。
これらはいずれも、 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いても よい。
[0082] 反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定さ れず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、 無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方 法等が挙げられる。反応温度は、通常 0〜200°Cの範囲であり、好ましくは 30〜150 °Cの範囲である。溶液中で製造する場合の溶媒としては、 [1— 1]で挙げた溶媒を同 様に用いることができる。
[0083] [4]水性樹脂分散体の製造方法
本発明に係わる榭脂分散体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、重合体
(c)、水、及び水以外の溶媒の混合物を調製した後、該混合物から該溶媒を除去す ることにより水性分散体とする方法、重合体 (C)が溶融する温度以上で溶融させた後 に水を添加して分散体とする方法、などが挙げられる。
[0084] 好ましくは前者である。重合体、水、及び水以外の溶媒の混合物を調製した後混合 物から該溶媒を除去することにより水性分散体とする方法によれば、粒径の細かい水 分散体が作りやすい。混合物を調製する際は必要に応じ加熱してもよい。温度は、 通常 30〜150°Cである。榭脂分散体における水以外の溶媒の比率は、最終的には 通常 50%以下とする。好ましくは 20%以下とし、さらに好ましくは 10%以下とし、特 に好ましくは 1%以下とする。
[0085] なかでも、重合体 (C)に水以外の溶媒を加え、必要に応じ加熱して溶解させた後 に水を添加する方法ではより粒径の細かい水分散体が作りやすぐ更に好ましい。溶 媒への溶解時、又は水の添カ卩時の温度は、通常 30〜150°Cである。また水以外の 溶媒に一旦溶解する場合は、水を添加した後に溶媒を留去してもよい。榭脂分散体 における水以外の溶媒の比率は上述の通りである。
[0086] 本方法に用いられる水以外の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香 族系炭化水素;へキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素;シクロへキサン、 メチルシクロへキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素;塩化メチレン、四塩化炭素、ク ロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸プロピル、酢 酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルェチルケトン、メチルプロピルケトン、メチ ルイソブチルケトン、シクロへキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、 n—プロ パノール、イソプロパノール、 n—ブタノール、 2—ブタノール、イソブタノール、 tーブ タノ一ノレ、シクロへキサノール、エチレングリコーノレ、プロピレングリコール、ブタンジォ ール等のアルコール類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン 等のエーテル類; 2—メトキシエタノール、 2—エトキシエタノール、 2—ブトキシェタノ ール、 2—メトキシプロパノール、 2—エトキシプロパノール、ジアセトンアルコール等 の 2以上の官能基を持つ有機溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の 極性溶媒類などが挙げられる。
[0087] なかでも水に 1重量%以上溶解する溶媒が好ましぐさらに好ましくは 5重量%以上
溶解するものであり、例えば、メチルェチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロへキ サノン、 n—プロパノール、イソプロパノール、 n—ブタノール、 2—ブタノール、イソブ タノール、 tーブタノール、シクロへキサノール、テトラヒドロフラン、 2—メトキシエタノー ル、 2—エトキシエタノール、 2—ブトキシエタノール、 2—メトキシプロパノール、 2—ェ トキシプロパノール、ジアセトンアルコールが好まし 、。
[0088] 本発明の水性榭脂分散体の特に好ま 、製造法の一例としては、重合体 (C)を、 2 0°Cにおける水の溶解度が 1. 0〜95. 0重量%である溶媒 (a)に溶解させる溶解ェ 程、これに水を加えて分散させる分散工程、及び、少なくとも該溶媒 (a)を留去する 留去工程を含む製造方法が挙げられる。本方法にっ 、てはく第三の態様にっ 、て >に詳述する。
[0089] 或いは特に好ましい製造法の他の一例としては、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0 重量%未満である溶媒 (al)に重合体 (C)が溶解されてなる溶液に対し、 20°Cにお ける水の溶解度が 1. 0重量%以上の溶媒 (a2)及び水を加えて分散させる分散工程 、及び少なくとも該溶媒 (al)及び溶媒 (a2)を留去する留去工程を含む製造方法が 挙げられる。本方法につ!、ては <第四の態様につ!、て >に詳述する。
[0090] 溶媒溶解状態および溶融状態にした後、水を添加し榭脂分散体を製造する装置と しては、特に限定されないが、例えば、撹拌装置付き反応釜、一軸または二軸の混 練機などが使用できる。その際の攪拌速度は装置の選択に伴い多少異なるが、通常 、 10〜: LOOOrpmの範囲である。
[0091] [5]水性樹脂分散体
本発明の重合体 (C)は水への分散性に非常に優れ、また本発明の榭脂分散体の 製造方法によれば分散粒子径の細力 、水性榭脂分散体が得られるので、本発明の 水性榭脂分散体は分散粒子径が細かぐかつ樹脂が安定に分散している利点があ る。従ってこれを用いると優れた外観の塗布品が得られる。
[0092] 榭脂分散体における重合体 (榭脂)の分散粒子径は、体積換算として粒径が細か い方から累積で 50%の粒子径(50%粒子径、 50%平均粒子径、体積平均粒子径、 又はメジアン径と称する。)を求めた場合、通常 50%粒子径で 10 m以下であり、好 ましくは 1 μ m以下である。本発明によれば、 50%粒子径を 0. 5 μ m以下とすること
ができ、より好ましくは 0. 以下、更に好ましくは 0. 以下、最も好ましくは 0 . : L m以下とすることができる。同じく 90%粒子径を求めた場合、更に好ましくは 90 %粒子径を 1 μ m以下とすることができ、特に好ましくは 0. 5 μ m以下とすることがで きる。分散粒子径を小さくすることで、分散安定性を向上させ、凝集が起きにくぐより 安定に分散できる。また 90%粒子径と 50%粒子径の比が小さくなることは、粒度分 布が狭くなることを意味し結果として分散安定性が向上する。
[0093] 本発明の榭脂分散体は、全体に対して固形分は、好ましくは 5重量%以上、より好 ましくは 10重量%以上、さらに好ましくは 20重量%以上である。また好ましくは 70重 量%以下であり、より好ましくは 60重量%以下であり、更に好ましくは 50重量%以下 であり、特に好ましくは 40重量%以下である。固形分の量が少ないほど粘度が低く種 々の塗布方法に適用でき使用しやすぐまた分散体としての安定性も高い傾向にあ る。ただし、例えばプライマーや接着剤として使用する際に、塗布後の水の乾燥にあ まり多量のエネルギーと時間をかけな 、ためには固形分が多 、方が好まし 、。
以上のように本発明の水性榭脂分散体は、界面活性剤を用いず、しかも分散粒子 径が非常に小さい利点がある。
但し、他の目的、用途等に応じて必要により界面活性剤を含有させてもよい。
[0094] 界面活性剤としては例えばカチオン性界面活性剤、ァ-オン性界面活性剤、ノ- オン性界面活性剤、両性界面活性剤、反応性界面活性剤などを使用することができ る。界面活性剤としては、通常、炭素数 4以上のアルキル基、アルケニル基、アルキ ルァリール基又はァルケ-ルァリール基を疎水基として有するものを用いる。好ましく は炭素数 8以上であり、より好ましくは炭素数 12以上である。ただし通常、炭素数 30 以下である。
[0095] ノ-オン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオ キシエチレンステアリエ テル、ポリオキシエチレンノユルフェ-ルエーテル、モノラウ リン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。ァ-オン性界面活性剤として は、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム、ラウリル 硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エーテルナトリウムなどが挙げられる 。カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥム、臭
化セチルトリメチルアンモ-ゥなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばラ ゥリルジメチルァミノ酢酸べタインなどが挙げられる。
[0096] また、上記の界面活性剤にラジカル重合性官能基を有する!/、わゆる反応性界面活 性剤などを使用することができ、反応性界面活性剤を用いた場合はこの榭脂分散体 を用いて形成した皮膜の耐水性を向上できる。代表的な市販反応性界面活性剤とし ては、エレミノール JS— 2 (三洋化成工業製)、ラテムル S— 180 (花王社製)が挙げら れる。
重合体 (C) 100重量部に対する界面活性剤の比率は、通常 50重量部以下であり 、好ましくは 30重量部以下である。
[0097] し力 界面活性剤を用いる必要がない点が本発明の利点の一つであり、従って界 面活性剤量は少ない方が好ましぐ榭脂分散体の界面活性剤含有量が、重合体 (C ) 100重量部に対し 10重量部以下であることが好ましい。より好ましくは 5重量部以下 、更に好ましくは 2重量部以下である。界面活性剤を実質的に含まないこともできる。 実質的に界面活性剤を含まないとは重合体 (C) 100重量部に対して 1重量部未満 であることを言う。
[0098] 界面活性剤量を減らすことにより、従来問題となっていたブリードアウトを抑制でき 外観に優れた塗装品が得られる利点があり、本榭脂分散体を塗装の最表面の塗料と して用いることができる。また界面活性剤を含有すると塗装の耐水性が低下しやす ヽ ためこの点でも界面活性剤量が少な 、ことが望ま 、。
ただしノ-オン性界面活性剤は他の界面活性剤に比べて耐水性を低下させにくい のでノ-オン性界面活性剤は多少多めに含んでもよい。例えば重合体 (C) 100重量 部に対してノ-オン性界面活性剤以外の界面活性剤は 5重量部以下とすべき場合、 ノ-オン性界面活性剤は 10重量部以下としてもよい。
また、塩素化ポリオレフインを用いなくとも界面活性剤量を低減でき、環境負荷を低 減できる点も本発明の利点の一つである。
[0099] 本発明の榭脂分散体には、必要に応じて酸性物質や塩基性物質を添加することが できる。酸性物質としては例えば塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸などの有機酸が挙 げられる。塩基性物質として例えば水酸ィ匕ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基
、アンモニア、メチノレアミン、ェチノレアミン、プロピルァミン、ブチノレアミン、へキシルァ ミン、ォクチルァミン、エタノールァミン、プロパノールァミン、ジエタノールァミン、 N— メチルジェタノールァミン、ジメチルァミン、ジェチルァミン、トリエチルァミン、トリプロ ピルァミン、 N, N ジメチルエタノールァミン、 2—ジメチルァミノ一 2—メチル 1— プロパノール、 2—アミノー 2—メチルー 1 プロパノール、モルホリンなどの有機塩基 が挙げられる。
榭脂が酸性基を有する場合には塩基性物質を、榭脂が塩基性基を有する場合に は酸性物質を添加することが好ましい。榭脂の親水性を増し、分散粒子径をより細か くできる利点がある。
[0100] 本発明の榭脂分散体には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、必要に応じ て種々の添加剤を含有させることができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐 候安定剤、耐熱防止剤等の各種安定剤;酸ィ匕チタン、有機顔料等の着色剤;顔料、 カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤、染料、顔料分散剤、レべリング剤、 消泡剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、防鲭剤、濡れ剤等の各種添加剤を配合使用し てもよい。
消泡剤としては例えばエアープロダクツ社製のサーフィノール 104PA及びサーフィ ノール 440等が挙げられる。
[0101] また耐水性、耐溶剤性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために。架橋剤を 分散体中の榭脂 100重量部に対して 0. 01〜: LOO重量部添加することができる。架 橋剤としては自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子 内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができる 。このうちイソシァネートイ匕合物、メラミンィ匕合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カル ポジイミドィ匕合物、ォキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカツプリ ング剤等が好まし ヽ。またこれらの架橋剤を組み合わせて使用してもよ 、。
[0102] 本発明の榭脂分散体をプライマー、塗料、インキ等の用途に使用した場合、乾燥 速度を上げたり或いは仕上がり感の良好な表面を得る目的で、水以外の親水性有機 溶媒を配合することができる。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール等の アルコール類、アセトン等のケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の
グリコール類及びそのエーテル類、 N—メチルピロリドン等が挙げられる。好ましくは イソプロパノール、エタノール、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテル、エチレング リコールモノブチルエーテル、 N—メチルピロリドンである。これらの含有量は、水と有 機溶媒の合計量に対し通常 20重量%以下とし、好ましくは 10重量%以下であり、更 に好ましくは 5重量%以下である。
[0103] [5— 1]他の樹脂の併用
本発明の榭脂分散体には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、必要に応じ て水溶性榭脂又は水に分散しうる榭脂を混合し使用することができる。例えば塗装外 観の向上 (光沢の付与、或いはツヤ消し)やタック性の低減などに効果がある。界面 活性剤を用いて分散しうる榭脂でもよい。水溶性榭脂としては例えば、親水性高分子 (B)として挙げたような榭脂が使用でき、例えばこれら榭脂を水に溶解した水溶液を 本発明の榭脂分散体と混合して用いる。
[0104] 水に分散しうる榭脂としては例えば、アクリル榭脂、ポリエポキシ榭脂、ポリエステル 榭脂、ポリウレタン榭脂、メラミン榭脂、アルキッド榭脂等が挙げられる。これら榭脂と 重合体 (C)を含む榭脂分散体の形態は特に限定されない。例えば、これら榭脂と重 合体 (C)とをそれぞれ乳化して混合する方法がある。この方法では、これら榭脂から なる粒子と重合体 (C)からなる粒子とがそれぞれ別々に形成され、水に分散された 水性樹脂分散体が得られる。
[0105] 或いはこれら榭脂と重合体 (C)とを混合後、乳化する方法がある。この方法では、 1 粒子中にこれら榭脂と重合体 (C)とが混ざり合った粒子が水に分散された水性榭脂 分散体が得られる。例えば榭脂の重合時に重合体 (C)を共存させることで両者を混 合でき、水に乳化'分散させて一粒子内に樹脂と重合体 (C)とを含む粒子を形成しう る。また樹脂と重合体 (C)とを別々に合成後、溶融混練等することによつても両者を 混合でき、水に乳化'分散させて一粒子内に樹脂と重合体 (C)とを含む粒子を形成 しうる。
[0106] 重合体 (C)と榭脂それぞれの性質を有効に発揮するためには重合体 (C)からなる 粒子と榭脂からなる粒子とが別々に存在する水性榭脂分散体が好ましい。このような 水性榭脂分散体は、例えば、重合体 (C)を水に乳化 ·分散させてなる分散体と、榭
脂を水に乳化 ·分散させてなる分散体とを混合することで得られる。
[0107] ポリオレフイン(A)と上記他の榭脂との重量比は 90 : 10〜10: 90が好ましい。即ち ポリオレフイン成分と他の樹脂との合計量を 100重量部として、ポリオレフイン (A)の 量が 10重量部以上であり、 90重量部以下が好ましい。ポリオレフイン (A)の量が 10 重量部未満では、ポリオレフイン系基材に対する密着性が不十分となる。好ましくは 1 5重量部以上とし、より好ましくは 20重量部以上とする。ポリオレフイン (A)の量が 90 重量部より大きいと、このような複合水性榭脂分散体力 得られる塗膜の物性、具体 的には塗膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、耐溶剤性などが不十分となってしまう 。好ましくは 85重量部以下とし、より好ましくは 80重量部以下とする。
[0108] 重合体 (C)と上記他の榭脂の合計量と水との重量比は 5: 95-60: 40が好まし 、。
すなわち重合体 (C)、他の榭脂及び水の総量を 100重量部として重合体 (C)と他の 榭脂の合計量が 5重量部以上であり、 60重量部以下である。 5重量部未満では、塗 布、加熱硬化等の作業性が悪く実用的でない。好ましくは 10重量部以上とし、より好 ましくは 15重量部以上とする。 60重量部より大きいと、水性榭脂分散体の粘度が高く なりすぎ、塗布性が悪くなり、均一な塗膜が形成しにくい。好ましくは 55重量部以下と し、より好ましくは 50重量部以下とする。
[0109] 上記の他の榭脂を水性ェマルジヨンィヒし水性分散体とするには、必要により界面活 性剤を用いることができる。界面活性剤としては、例えば [5]で挙げたようなものを用 いうる。
界面活性剤の含有量は、榭脂 100重量部に対して通常 20重量部以下とする。好 ましくは 10重量部以下であり、より好ましくは 5重量部以下、更に好ましくは 2重量部 以下である。界面活性剤の含有量は少ないほど、界面活性剤のブリードアウトが起き にくい。最も好ましくは界面活性剤を実質的に使用しな ヽ。
[0110] また界面活性剤は、重合体 (C)と榭脂を混合した後乳化する製造方法にも用いうる 上記他の榭脂としては、アクリル榭脂、ポリエステル榭脂、ポリウレタン榭脂、ェポキ シ榭脂及びビュルエステル榭脂からなる群より選ばれる少なくとも 1種の樹脂が好ま しい。これらを含む榭脂分散体は塗料に適する。以下、これらを榭脂 (D)と総称する
。榭脂 (D)の説明はく第二の態様にっ 、て〉の [5— 1]の榭脂 (ID)の説明に準ず る。
[0111] [5— 2]顔料の添カロ
本発明の榭脂分散体には顔料 (E)を加えることができる。顔料 (E)を含む水性榭脂 分散体は塗料として好適である。
使用しうる顔料は特に限定されないが、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸 化鉄、酸化クロム、紺青、ベンガラ、黄鉛、黄色酸化鉄等の無機顔料やァゾ系顔料、 アントラセン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインド リノン系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の着色顔料; タルク、炭酸カルシウム、クレイ、カオリン、シリカ、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料 ;導電カーボン、アンチモンドープの酸化スズをコートしたウイスカ一等の導電顔料; アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の 無着色或いは着色された金属製光輝材などを挙げることができ、その 1種または 2種 以上を併用してもよい。
[0112] 榭脂分散体に対する顔料 (E)の添加量は、榭脂 (重合体 (C)と他の樹脂の合計量 ) 100重量部に対して、 10重量部以上が好ましい。より好ましくは 50重量部以上であ る。但し 400重量部以下が好ましぐより好ましくは 200重量部以下である。下限値よ り添加量が多いほど発色性、隠蔽性が高くなる傾向にあり、上限値より少ないほど密 着性、耐湿性、耐油性が高くなる傾向にある。
[0113] このとき顔料分散剤を用いてもよい。例えば、ジョンソンポリマー社製のジョンクリル レジン等の水性アクリル系榭脂;ビックケミ一社製の BYK— 190等の酸性ブロック共 重合体;スチレン マレイン酸共重合体;エアープロダクツ社製のサーフィノール T3 24等のアセチレンジオール誘導体;イーストマンケミカル社製の CMCAB -641 -0 . 5等の水溶性カルボキシメチルアセテートブチレート等を挙げることができる。これら の顔料分散剤を用いることで、安定な顔料ペーストを調製することが出来る。
[0114] 本発明の榭脂分散体に顔料 (E)を分散させる製造方法としては、公知の方法が用 い得、特に限定されない。例えば、予め顔料と水、その他顔料分散剤、増粘剤、消泡 剤等を混合して顔料ベースを調製しておき、次 、でこの顔料ベースと水性榭脂分散
体を混合してもよい。必要に応じて凍結融解安定剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤 等を配合してもよい。或いは、顔料、水、水性榭脂分散体、その他の前記添加剤を同 時に混合してもよい。混合にはディゾルバー、ホモジナイザー、ホモミキサー等の混 合機またはペイントシエイカ一やボールミル、サンドミル、アトラクター、ロールミル、二 ーダ一等の分散機等を用いることができる。
[0115] 本発明の榭脂分散体はプライマー、プライマーレス塗料、接着剤、インキ等に使用 することができる。本発明は特にプライマーや塗料、接着剤として有用に用いることが できる。特にポリオレフイン基材に適する。例えば自動車内装用 ·外装用等の自動車 用塗料、プライマー、携帯電話 'パソコン等の家電用塗料、建築材料用塗料等に用 いうる。
[0116] [6]積層体
本発明の榭脂分散体又はこれを含む塗料を基材に塗布し、加熱することで榭脂層 を形成し、積層体とすることができる。この榭脂層はポリオレフイン (A)に親水性高分 子 (B)を (A): (B) = 100 : 5〜: LOO : 500 (重量比)の割合で結合させた重合体 (C) を含む層である。
この積層体は自動車用、家電用、建材用など各種用途に用いることができる。基材 はフィルム、シート、板状体等、形状は問わない。
[0117] 本発明の榭脂分散体は、結晶性を有するォレフィン系重合体の成形体 (基材)に塗 布し塗膜を形成することができる。基材としてのォレフィン系重合体としては、高圧法 ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリー4ーメチルー 1 ペンテ ン、ポリ 1ーブテン、ポリスチレン等のォレフィン系重合体、エチレン プロピレン共 重合体、エチレンーブテン共重合体、プロピレンーブテン共重合体等のォレフィン共 重合体等が挙げられる。これらのォレフィン共重合体のうち、プロピレン系重合体が 好ましく用いられる。また、ポリプロピレンと合成ゴムとからなる成形体、ポリアミド榭脂 、不飽和ポリエステル榭脂、ポリブチレンテレフタレート榭脂、ポリカーボネート榭脂等 からなる成形体、例えば自動車用バンパー等の成形体、さらには鋼板ゃ電着処理用 鋼板等の表面処理にも用いることができる。
[0118] また本発明の榭脂分散体が適用される成形体は、上記の各種重合体あるいは榭
脂が、射出成形、圧縮成形、中空成形、押出成形、回転成形等の公知の成形法の V、ずれの方法によって成形されたものであってもよ!、。
これら成形体にタルク、亜鉛華、ガラス繊維、チタン白、硫酸マグネシウム等の無機 充填剤、顔料等が配合されている場合にも、密着性の良い塗膜を形成することがで きる。
[0119] [6— 1]積層体の製造方法
基材上に榭脂層を形成する方法としては、特に限定されることなく公知の方法が使 用しうる。例えば、榭脂分散体又は塗料をスプレーコート、バーコート、スピンコートや ディップコート、グラビアコート等各種の塗布法が挙げられる。一般に自動車用バン パーや家電製品などの大型の成形体にはスプレーコートによる塗布力、プラスチック フィルムやシートなどにはグラビアコートやバーコートによる塗布が行われる。
[0120] 榭脂分散体又は塗料を塗布した後、通常、ニクロム線、赤外線、高周波等によりカロ 熱して塗膜を硬化させ、所望の塗膜を表面に有する積層体を得ることができる。塗膜 の硬化条件は、基材の材質、形状、使用する塗料の組成等によって適宜選ばれる。 硬化温度に特に制限はないが、実用性を考慮して通常、 50°C以上、好ましくは 60°C 以上である。ただし通常 150°C以下、好ましくは 130°C以下である。
[0121] 積層される榭脂層の膜厚 (硬化後)は、基材の材質、形状、使用する塗料の組成等 によって適宜選びうる力 通常 0. 1 μ m以上であり、好ましくは 1 μ m以上、更に好ま しくは 5 μ m以上である。但し通常 500 μ m以下であり、好ましくは 300 μ m以下、更 に好ましくは 200 μ m以下、特に好ましくは 100 μ m以下である。
[0122] [6— 2]熱可塑性榭脂成形体 (F)
本発明の積層体の基材としては熱可塑性榭脂成形体が望ま ヽ。熱可塑性榭脂 成形体 (F)としては、特に限定されるものではないが、例えばポリオレフイン榭脂、ポ リアミド榭脂、ポリエチレンテレフタレート榭脂、ポリブチレンテレフタレート榭脂、ポリ カーボネート榭脂等力もなる成形体である。なかでも本発明はポリオレフイン樹脂から なる熱可塑性榭脂成形体 (F) (以下、ポリオレフイン成形体と称する。 )に適用すると 好ましぐなかでもプロピレン系重合体力 なる熱可塑性榭脂成形体 (F) (以下、プロ ピレン系重合体成形体と称する。 )に適用すると好ましい。
[0123] ポリオレフイン成形体は通常、結晶性ポリオレフインの成形体であり、公知の各種ポ リオレフインを用いることができ、特に限定されない。例えば、エチレン又はプロピレン の単独重合体、エチレン及びプロピレンの共重合体、エチレン又は Z及びプロピレン とその他のコモノマー、例えば 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—ヘプテン 、 1—オタテン、シクロペンテン、シクロへキセン、及びノルボルネンなどの炭素数 2以 上の α—ォレフィンコモノマーとの共重合体、もしくはこれらコモノマーの 2種類以上 の共重合体を用いることができる。
[0124] a—ォレフィンコモノマーとして好ましくは炭素数 2〜6の α—ォレフィンコモノマー である。また α—ォレフィンモノマーと酢酸ビュル、アクリル酸エステル、メタクリル酸 エステルなどのコモノマーとの共重合体、芳香族ビュルモノマーなどのコモノマーと の共重合体又はその水素添加体、共役ジェンブロック共重合体の水素添加体、など も用いることができる。なお単に共重合体という場合はランダム共重合体であってもブ ロック共重合体であってもよ 、。またポリオレフインは必要に応じ変性されて 、てもよ い。
これらは用途に合わせて、単独でも混合物としても使用できる。
[0125] ポリオレフインは、好ましくはメルトフローレート(MFR: 230°C、 2. 16kg荷重)が 2g ZlO分以上であり、より好ましくは lOgZlO分以上、特に好ましくは 25gZlO分であ る。ただし好ましくは 300gZlO分以下、より好ましくは 200gZlO分以下である。 MF Rが下限値より高いとポリオレフインの流れ性が高まる傾向にある。逆に MFRが上限 値より低いと機械物性が高まる傾向にある。ポリオレフインの MFRは、重合時に調整 したものであってもよぐ或いは重合後にジァシルバーオキサイド、ジアルキルバーオ キサイド等の有機過酸ィ匕物で調整したものであってもよい。
[0126] ポリオレフインとしてより好ましくはプロピレン系重合体成形体である。プロピレン系 重合体成形体は通常、結晶性プロピレン系重合体の成形体であり、公知ものを用い ることができる。例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとその他のコモノマー、 例えばエチレン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—ヘプテン、 1—ォクテ ン、シクロペンテン、シクロへキセン、及びノルボルネンなどの炭素数 2以上の α—ォ レフィンコモノマーの 1種以上との共重合体を用いることができる。
[0127] 好ましくは、プロピレン単独重合体及び Z又はプロピレン 'エチレン共重合体である 。ここでプロピレン エチレン共重合体とは、プロピレン 'エチレンランダム共重合体 及び Z又はプロピレン エチレンブロック共重合体であり、より好ましくはプロピレン エチレンブロック共重合体である。
ここで、プロピレン エチレンブロック共重合体は、結晶性ポリプロピレン部(a単位 部)とエチレン一プロピレンランダム共重合体部 (b単位部)とからなる。
上記 a単位部は、通常、プロピレンの単独重合、場合によってはプロピレンに少量 の他の α—ォレフインを共重合することによって得られる。
[0128] a単位部のポリプロピレン単独重合体の MFR(230°C、 2. 16kg荷重)は、好ましく は lOgZlO分以上、より好ましくは 15gZlO分以上、更に好ましくは 20gZlO分以 上であり、特に好ましくは 40gZlO分以上である。また、好ましくは 500gZlO分以下 、より好ましくは 400gZlO分以下、更に好ましくは 300gZlO分以下である。
この MFRが下限値より高いほど流れ性が高まる傾向にある。逆に MFRが上限値よ り低 、ほど機械物性が高まる傾向にある。
[0129] 一方、 b単位部はプロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状 成分である。
b単位部のプロピレン エチレンランダム共重合体部のプロピレン含量は、好ましく は 30重量%以上、より好ましくは 40重量%以上、更に好ましくは 50重量%以上であ る。但し好ましくは 85重量%以下、より好ましくは 80重量%以下、更に好ましくは 75 重量%以下である。プロピレン含量力この範囲である場合、その分散性や、ガラス転 移温度が適切な範囲となり、衝撃特性が良好となる傾向がある。プロピレン含量は、 プロピレン エチレンランダム共重合体部の重合時にプロピレンとエチレンの濃度比 を制御することにより調整できる。
[0130] b単位部のプロピレン エチレンランダム共重合体部の分子量は、特に制約はない 力 分散性ゃ耐衝撃性を考慮すれば、重量平均分子量 (Mw)が好ましくは 20万〜 3 00万、より好ましく ίま 30万〜 250万、更に好ましく ίま 40万〜 200万である。
[0131] a単位部、 b単位部の量については特に制限はないが、一般に a単位部は、好ましく は全体量の 95重量%以下、より好ましくは 50〜95重量%、更に好ましくは 60〜90
重量%、 b単位部は、好ましくは全体量の 5重量%以上、より好ましくは 5〜50重量% 、更に好ましくは 10〜40重量%となるように調整される。 b単位部の量が下限値以上 であるほど耐衝撃特性が高まる傾向があり、上限値以下であるほど剛性、強度及び 耐熱性が高まる傾向がある。
[0132] 本発明において、 b単位部の量は昇温溶出分別法を用いて測定するものとする。
即ち a単位部はオルトジクロロベンゼンによる抽出において 100°C以下で溶出しない 力 b単位部は容易に溶出する。従って、製造後のプロピレン エチレンブロック共 重合体に対して上記オルトジクロロベンゼンによる抽出分析により組成を判定するも のとする。
[0133] a単位部と b単位部の量の比率は、プロピレン単独重合体部の重合量とプロピレン エチレンランダム共重合体部の重合量によって決まるので、それぞれの重合時間 を制御すること等により調整できる。
[0134] プロピレン単独重合体やプロピレン エチレンブロック共重合体の製造法は特に限 定されるものではなぐ公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、 四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し更に各種の電子供与体及び電子 受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と、有機アルミニウム化合物及び芳 香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒 (特開昭 56— 100806号 (US4, 533 , 705号)、特開昭 56— 120712号(US4, 309, 521号)の各公報参照)、及び、ノヽ ロゲン化マグネシウムに四塩ィ匕チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒 (特開昭 57— 63310号 (US5, 539, 067号)公報参照)等を例示することができる。 更【こ WO91/04257号公報(US5, 026, 798号)等【こ示されるようなメタ口セン系 触媒も挙げられる。なおメタ口セン系触媒は、アルモキサンを含まなくてもよいが、好 ましくはメタ口センィ匕合物とアルモキサンとを組み合わせた触媒、 、わゆるカミンスキ 一系触媒である。
[0135] プロピレン エチレンブロック共重合体は、まず上記触媒の存在下で気相重合法、 液相塊状重合法、スラリー重合法等の製造プロセスを適用してプロピレンを単独で重 合し、続いてプロピレンとエチレンをランダム重合することにより得られる。上記した溶
融特性 (MFR)等を有するプロピレン エチレンブロック共重合体を得るためにはス ラリー法や気相流動床法を用いて多段重合することが好まし 、。或 、はプロピレンの 単独重合を多段で行 ヽ、続ヽてプロピレンとエチレンをランダム重合する方法で得る こともできる。 b単位部の多 、プロピレン エチレンブロック共重合体を製造する場合 は気相流動床法が特に好ま 、。
[0136] プロピレン単独重合体は、上記触媒の存在下で気相重合法、液相塊状重合法、ス ラリー重合法等の製造プロセスを適用してプロピレンを単独で重合することにより得ら れる。上記の溶融特性を有するプロピレン単独重合体を得るためにはスラリー法や気 相流動床法を用いて多段重合することが好ま 、。
[0137] 本発明のプロピレン単独重合体及びプロピレン エチレンブロック共重合体は、構 造材料として用いるためには機械的物性に優れ剛性ゃ耐衝撃特性が高 、ことが好 ましい。即ち曲げ弾性率力 好ましくは 300MPa以上、より好ましくは 500〜3000M Pa、更に好ましくは 1000〜2000MPaである。この範囲内とすることで剛性に優れ 構造材料として適したものとなる。また IZOD衝撃強度は、好ましくは lkjZm2以上、 より好ましくは 2〜: L00kjZm2、更に好ましくは 5〜80kjZm2、特に好ましくは 8〜60 kj/m2である。この範囲内とすることで耐衝撃特性に優れ構造材料として適したもの となる。
熱可塑性榭脂成形体は 1種を単独で用いてもよ!、し、 2種以上を組み合わせて用 いてもよい。
[0138] [6— 3]無機フィラー成分
本発明に用いられる熱可塑性榭脂成形体 (F)は無機フィラー成分を含有すること ができる。
特に、結晶性ポリオレフインに無機フィラー成分を配合することにより成形体の曲げ 弾性率、剛性などの機械的性質を向上させることができる。
[0139] 具体的には、タルク、マイ力、モンモリロナイト等の板状フイラ一;短繊維ガラス繊維 、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、ァラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト 等の繊維状フイラ一;チタン酸カリウム、マグネシウムォキシサルフェート、窒化珪素、 ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシ
ゥム、炭化珪素等の針状 (ウイスカー)フィラー;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸力 ルシゥム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー;ガラスバルーンのようなバルン状フイラ 一、等である。亜鉛華、チタン白、硫酸マグネシウム等の無機充填剤や顔料も使用で きる。なかでも物性とコストのバランスカゝらタルク、マイ力、ガラス繊維、ゥイスカーが好 ましぐより好ましくはタルク、マイ力、ガラス繊維である。
[0140] 無機フィラー成分は、界面活性剤、カップリング剤等で表面処理を施されて ヽても よい。表面処理したフイラ一は成形品の強度や耐熱剛性をさらに向上させる効果を 有する。
無機フィラー成分の使用量は、成形品の目的や用途によって広い範囲から選択さ れるが、結晶性ポリオレフイン 100重量部に対し、好ましくは 1〜80重量部、より好ま しくは 2〜75重量部、更に好ましくは 5〜60重量部である。
[0141] 無機フィラー成分を含有させることにより、結晶性ポリオレフインの曲げ弾性率は、 好ましくは lOOOMPa以上、より好ましくは 1500〜10000MPa、更に好ましくは 200 0〜8000MPa〖こ改善すること力 Sできる。また IZOD衝撃強度は、好ましくは lkjZm2 以上、より好ましくは 2〜80kj/m2、更に好ましくは 4〜60kj/m2に改善できる。 無機フィラー成分は 1種を単独で用いてもょ 、し、 2種以上を組み合わせて用いて ちょい。
[0142] 以下、好ましいフィラーについて詳述する。
(1)タルク
本発明で用いるタルクの平均粒径は、通常 10 m以下、好ましくは 0. 5〜8 /ζ πι、 より好ましくは 1〜7 /ζ πιである。平均粒径値とは、レーザー回折法 (例えば堀場製作 所製 LA920W)や液層沈降方式光透過法 (例えば島津製作所製 CP型等)〖こよる測 定結果から粒度累積分布曲線を描き、これ力も読みとつた累積量 50重量%の粒径 値である。本発明での値はレーザー回折法で測定した平均粒径値である。
タルクとしては、天然に産出したタルクを機械的に微粉砕ィ匕したものを更に精密に 分級して得られる微粒子状のものを用いる。一且粗分級したものを更に分級してもよ い。
[0143] 機械的粉砕方法としては、例えばジョークラシャー、ハンマークラシヤー、ロールクラ
シヤー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミル等の粉 砕機を用いる方法が挙げられる。粉砕されたタルクは、上記平均粒径に調節するた めに、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、シャープカツトセ パレター等の装置で 1回又は繰り返し、湿式又は乾式分級される。
[0144] 本発明のタルクの製造方法としては、特定の粒径に粉砕した後、シャープカツトセ パレターにて分級操作を行うことが好ましい。
これらのタルクは、重合体との接着性或いは分散性を向上させる目的で、各種の有 機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸又はそ の無水物をグラフトした変性ポリオレフイン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル 等によって表面処理されて 、てもよ 、。
[0145] (2)ガラス繊維
ガラス繊維としてはガラスチョップドストランドを用いるのが一般的である。ガラスチヨ ップドストランドの長さは通常 3〜50mmであり、繊維の径は通常 3〜25 μ m、好まし くは 8〜14 πιである。
ガラスチョップドストランドとしては、シラン系化合物による表面改質や、ポリビュルァ ルコール、ポリ酢酸ビュル、ポリウレタン、エポキシ榭脂、ォレフィン系成分などの集 束剤等による表面処理を施したものを用いることが好ま 、。
集束剤としてのォレフィン系成分としては、不飽和カルボン酸変性ポリオレフインや ポリオレフイン低分子量物などが挙げられる。
[0146] 本発明においては、結晶性ポリオレフインとガラス繊維との界面接着による機械的 強度の向上を図るために、不飽和カルボン酸及び Ζ又はその誘導体により変性した ポリオレフインを配合してもよ 、。特にポリプロピレンを母体として変性したものが好ま しぐ変性率が 0. 1〜10重量%のものを用いることが好ましい。
[0147] (3)マイ力
マイ力は、平均粒径が 2〜: LOO μ mで平均アスペクト比が 10以上のものが好ましぐ 平均粒径が 2〜80 μ mで平均アスペクト比が 15以上のものがより好ましい。マイ力の 平均粒径が上記範囲内であることで、成形品の耐傷性、衝撃強度をより向上させ外 観の低下が抑制できる。
またマイ力はいわゆる白マイ力、金マイ力、黒マイ力等いずれでも構わないが、金マ イカ、白マイ力が好ましぐ白マイ力がより好ましい。
マイ力の製造方法は特に限定されず、前述のタルクに準じた方法で製造されるが、 乾式粉砕 ·湿式分級又は湿式粉砕 ·湿式分級方式が好ましく、湿式粉砕 ·湿式分級 方式がより好ましい。
[0148] [6— 4]エラストマ一成分
本発明に用いられる熱可塑性榭脂成形体 (F)が結晶性ポリオレフイン成形体であ る場合、更に、エラストマ一成分を含有させることができる。これにより成形体の耐衝 撃強度を向上させることができる。
[0149] エラストマ一成分としては、エチレン一 a—ォレフインランダム共重合ゴム、エチレン
- a—ォレフイン—非共役ジェン共重合体ゴム、スチレン含有熱可塑性エラストマ一 等が挙げられる。具体例としては、エチレン一プロピレン共重合体ゴム、エチレン一 1 ーブテン共重合体ゴム、エチレン 1一へキセン共重合体ゴム、エチレン 1—オタ テン共重合体ゴム等のエチレン aーォレフイン共重合体ゴム;エチレン プロピレ ンーェチリデンノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン α—ォレフイン 非共役ジェン共重合体ゴム;スチレン ブタジエン スチレントリブロック体の水素 添カ卩物(SEBS)、スチレン一イソプレン一スチレントリブロック体の水素添カ卩物(SEP S)等のスチレン含有熱可塑性エラストマ一が例示できる。
これらのエラストマ一は下記のように製造することができる。
[0150] これらエラストマ一成分の MFR (230°C、 2. 16kg荷重)は、本発明の主要用途の 一つである自動車外装材を考慮した場合、好ましくは 0. 5〜150gZlO分、より好ま しくは 0. 7〜: LOOgZlO分、更に好ましくは 0. 7〜80gZlO分である。
エラストマ一成分は 1種を単独で用
、し、 2種以上を組み合わせて用いても よい。
[0151] [6— 5]その他の成分
熱可塑性榭脂成形体 (F)は、上記以外に、本発明の効果を著しく損なわない範囲 で、任意の添加剤や配合成分を含有することができる。具体的には、着色するため の顔料、フエノール系、ィォゥ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダード
アミン等光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ'タルク等の各種核剤、分散剤、中和 剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、ポリエチレン榭脂等他の榭脂、などを挙げ ることがでさる。
[0152] [6 6]熱可塑性榭脂成形体 (F)の製造方法
以上述べた榭脂に、必要に応じて各種成分を配合し、混合及び溶融混練する。混 練方法は特に限定されず、一軸押出機、二軸押出機、バンバリ一ミキサー、ロールミ キサ一、ブラベンダープラストグラフ、ニーダ一等の通常の混練機を用いて混練 '造 粒することによって、本発明の熱可塑性榭脂成形体 (F)を構成する熱可塑性榭脂組 成物が得られる。各成分の分散を良好にするためには、好ましくは二軸押出機を用 いる。
この混練 ·造粒の際には、上記各成分を同時に混練してもよぐまた性能向上をは 力るべく各成分を分割して混練する方法を採用することもできる。
[0153] 次 ヽで熱可塑性榭脂組成物を成形し熱可塑性榭脂成形体 (F)を得るが、成形方 法は公知の各種方法を用いることができる。
例えば射出成形 (ガス射出成形も含む)、圧縮成形、射出圧縮成形 (プレスインジ クシヨン)、押出成形、中空成形、回転成形、カレンダー成形、インフレーション成形、 一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等が挙げられる。好ましくは射出成形 、圧縮成形、射出圧縮成形を用いるのが好ましぐ生産性等を考慮すると射出成形 が特に好ましい。
[0154] [6— 7]積層体の用途
本発明の積層体は、塗膜密着性に優れ、さらに剛性、耐衝撃性、に優れた物性バ ランスを有する。また積層体を構成する榭脂層が実質的に界面活性剤を含まない場 合にはブリードアウトも生じないため外観にも優れる。また、塩素などのハロゲンを含 有する必要がないため環境負荷を少なくすることができる。
従って本発明の積層体は、自動車、家電、建材など各種工業部品に用いることが でき、特に、薄肉化、高機能化、大型化された部品'材料として実用に十分な性能を 有している。
[0155] 例えば、バンパー、インストルメントパネル、トリム、ガー二ッシュなどの自動車部品;
テレビケース、洗濯機槽、冷蔵庫部品、エアコン部品、掃除機部品などの家電機器 部品;便座、便座蓋、水タンクなどのトイレタリー部品;浴槽、浴室の壁、天井、排水パ ンなどの浴室周りの部品などの各種工業部品用成形材料として用いることができる。
[0156] <第二の態様について >
本発明の水性榭脂分散体は、プロピレン系重合体 (IA)を含む重合体 (IC)力もな る粒子と、アクリル榭脂、ポリエステル榭脂、ポリウレタン榭脂、エポキシ榭脂、及びビ -ルエステル系榭脂からなる群より選ばれる少なくとも 1種の榭脂 (ID)からなる粒子 力 それぞれ水に分散されてなり、下記(1)〜(4)を満たす。
(1)プロピレン系重合体 (IA)と榭脂(ID)との重量比が 90: 10〜10: 90である
(2)重合体 (IC)と榭脂 (ID)の合計量と水との重量比が 5: 95〜60: 40である
(3)界面活性剤含有量が重合体 (IC)と榭脂 (ID)の合計量 100重量部に対し 10重 量部以下である
(4)重合体 (IC)力もなる粒子の 50%粒子径が 0. 以下であり、かつ榭脂(ID) 力もなる粒子の 50%粒子径の 0. 9倍以下である
重合体 (IC)に榭脂 (ID)を併用することで、重合体 (IC)によるポリオレフイン基材へ の高接着性と共に、重合体 (IC)単独では達成できな!/、ポリオレフイン以外の榭脂へ の高接着性も得ることができる。また、塗膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、耐溶 剤性などの物性を向上できる利点がある。更に、塗装外観の向上 (光沢の付与、或 いはツヤ消し)やタック性の低減などの効果もある。
[0157] 本発明にお 、ては、重合体 (IC)と榭脂 (ID)それぞれの性質を有効に発揮するた めに重合体 (IC)力もなる粒子と榭脂 (ID)力もなる粒子とがそれぞれ別々に水に分 散され存在する。このような水性榭脂分散体は、例えば、重合体 (IC)を水に乳化'分 散させてなる分散体と、榭脂 (ID)を水に乳化'分散させてなる分散体とを混合するこ とで得られる。
[0158] プロピレン系重合体(IA)と榭脂(ID)の重量比は 90 : 10〜10: 90である。即ちプロ ピレン系重合体成分と他の樹脂との合計量を 100重量部として、プロピレン系重合体 (IA)の量が 10重量部以上であり、 90重量部以下である。プロピレン系重合体 (IA) の量が 10重量部未満では、プロピレン系重合体系基材に対する密着性が不十分と
なる。好ましくは 15重量部以上とし、より好ましくは 20重量部以上である。プロピレン 系重合体 (IA)の量が 90重量部より大きいと、このような複合水性榭脂分散体力 得 られる塗膜の物性、具体的には塗膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、耐溶剤性な どが不十分となってしまう。好ましくは 80重量部以下とし、より好ましくは 70重量部以 下とする。
[0159] 重合体 (IC)と榭脂(ID)の合計量と水との重量比は 5 : 95〜60: 40とする。すなわ ち重合体 (IC)、榭脂 (ID)及び水の総量を 100重量部として重合体 (IC)と榭脂 (ID) の合計量が 5重量部以上であり、 60重量部以下である。 5重量部未満では、塗布、 加熱硬化等の作業性が悪く実用的でない。好ましくは 10重量部以上であり、より好ま しくは 15重量部以上である。 60重量部より大きいと、水性榭脂分散体の粘度が高く なりすぎ、塗布性が悪くなり、均一な塗膜が形成しにくい。好ましくは 55重量部以下 であり、より好ましくは 50重量部以下である。
[0160] 界面活性剤含有量は榭脂成分 (重合体 (IC)と榭脂 (ID)の合計量) 100重量部に 対し 10重量部以下とする。また、重合体 (IC)力もなる粒子の 50%粒子径が 0. 5 μ m以下であり、かつ榭脂(ID)からなる粒子の 50%粒子径の 0. 9倍以下である。
[0161] 本発明に係わるプロピレン系共重合体 (IA)は、水への分散性に非常に優れるので 、界面活性剤を全く用いないかごく少量用いることで、分散粒子径が細かぐかつ粒 径分布が狭ぐ粒子が安定的に分散した水性榭脂分散体を得ることができる。これに より、本榭脂分散体を塗料として用いたときに、ブリードアウトを抑制でき外観に優れ た塗装品が得られ、塗装の耐水性ゃ耐油性 (耐 GH性)も向上できる。
[0162] 重合体 (IC)粒子の 50%粒子径は好ましくは 0. 3 μ m以下であり、更に好ましくは 0 . 2 m以下であり、最も好ましくは 0. 1 m以下である。同じく 90%粒子径を求めた 場合、更に好ましくは 90%粒子径を l /z m以下とすることができ、特に好ましくは 0. 5 m以下とすることができる。分散粒子径を小さくすることで、分散安定性を向上させ 、凝集が起きにくぐより安定に分散できる。また 90%粒子径と 50%粒子径の比が小 さくなることは、粒度分布が狭くなることを意味し結果として分散安定性が向上する。
[0163] 重合体 (IC)粒子の粒径が榭脂 (ID)粒子の粒径の 0. 9倍以下と小さくすることで、 塗膜を形成した際に榭脂 (ID)粒子同士の空隙を重合体 (IC)粒子が充填する形とな
り空隙の容積が小さくなり基材に対する密着性が高く耐水性、耐溶剤性が向上する。 更には塗膜中で、プロピレン系重合体基材に対して密着性が高いプロピレン系重合 体が「海」、塗膜にその他の機能を与える他のバインダー榭脂が「島」になる海島構 造を形成するため、基材への密着性が更に高く耐水性、耐溶剤性が向上する。重合 体 (IC)粒子の粒径は、好ましくは榭脂 (ID)粒子の粒径の 0. 8倍以下であり、より好 ましくは 0. 6倍以下である。
[0164] 重合体 (IC)として、好ましくは、プロピレン系重合体 (IA)に、親水性高分子 (IB)が 結合してなるか又は酸性基が結合してなる。このような重合体 (IC)は水への分散性 に非常に優れるので、界面活性剤を全く用いないかごく少量用いることで、分散粒子 径が細かぐかつ粒径分布が狭ぐ粒子が安定的に分散した水性榭脂分散体が得ら れる。
[0165] より好ましくは、重合体 (IC)は、プロピレン系重合体 (IA)に親水性高分子 (IB)を、
(IA): (IB) = 100 : 5〜 100 : 500 (重量比)の割合で結合させてなる。プロピレン系 重合体 (IA)と親水性高分子 (IB)の比率は (IA): (IB) = 100 : 5〜: L00 : 500重量部 である。この範囲より親水性高分子 (IB)の比率が小さいと、重合体 (IC)が水中で良 好に分散せず、分散粒子径が非常に大きく凝集するか分離してしまう。逆にこの範囲 より親水性高分子 (IB)の比率が大き 、と、プロピレン系重合体基材との密着性が悪 くなつてしまう。
[0166] プロピレン系重合体 (IA)と親水性高分子 (IB)を結合させ重合体 (IC)を製造する 方法としては、通常、プロピレン系重合体 (IA)存在下で親水性モノマーを重合して プロピレン系重合体 (IA)に結合した親水性高分子 (IB)を形成する方法 (IR1)、又 は予め重合した親水性高分子 (IB)をプロピレン系重合体 (IA)に結合させる方法 (I R2)が挙げられる。ポリプロピレンや親水性高分子の種類及び組合せ、目的とする重 合体 (IC)の特性等に応じて適宜選択すればよ!、。またプロピレン系重合体 (IA)とし ては、反応性基を有しないポリプロピレン系重合体 (IA1)、又は反応性基を有するポ リプロピレン系重合体 (IA2)を用いることができる。
[0167] 以下、より詳細に説明する。
[1]プロピレン系重合体 (IA)
本発明のプロピレン系重合体 (IA)は、プロピレン含量が 50モル%以上の重合体で ある。好ましくはプロピレン含量が 60モル%以上であり、より好ましくは 70モル%以上 である。通常、プロピレンの含量が高いほどポリプロピレン基材への密着性が増す傾 向がある。
[0168] 本発明のプロピレン系重合体 (IA)としては、反応性基を有しな!/、プロピレン系重合 体 (IA1)、又は反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)を用いることができる。
[1 1]反応性基を有しないプロピレン系重合体 (IA1)
プロピレン系重合体 (IA1)としては、公知の各種プロピレン系重合体及び変性プロ ピレン系重合体を用いることができ、特に限定されない。例えば、プロピレンの単独重 合体、エチレン及びプロピレンの共重合体、プロピレンとその他のコモノマー、例えば 1ーブテン、 1 ペンテン、 1一へキセン、 1 ヘプテン、 1—オタテン、シクロペンテン 、シクロへキセン、及びノルボルネンなどの炭素数 2以上の α—ォレフィンコモノマー との共重合体、もしくはこれらコモノマーの 2種類以上の共重合体を用いることができ る。 a—ォレフィンコモノマーとして好ましくは炭素数 2〜8の a—ォレフィンコモノマ 一であり、より好ましくは炭素数 2〜6の α—ォレフィンコモノマーである。
[0169] またプロピレンと酢酸ビュル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのコモノ マーとの共重合体、芳香族ビュルモノマーと共役ジェンモノマーと力 選ばれる 2種 以上のモノマーの共重合体の水素添加体、なども用いることができる。なお単に共重 合体と 、う場合はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよ 、。更に 、これらプロピレン系重合体を塩素化した塩素化プロピレン系重合体も使用しうる。塩 素化プロピレン系重合体の塩素化度は通常 5重量%以上、好ましくは 10重量%以上 であり、また塩素化度は通常 50重量%以下であり、好ましくは 30重量%以下である。
[0170] プロピレン系重合体 (IA1)として具体的には、例えば、ポリプロピレン、エチレン プロピレン共重合体、プロピレンーブテン共重合体、エチレン プロピレンーブテン 共重合体、プロピレン一へキセン共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩素化工チレン プロピレン共重合体、塩素化プロピレンーブテン共重合体などである。好ましくは プロピレン単独重合体又はプロピレンと他の αーォレフインとの共重合体であり、これ らは塩素化されていてもよい。より好ましくは、プロピレン単独重合体、エチレン プロ
ピレン共重合体、プロピレンーブテン共重合体、エチレン プロピレンーブテン共重 合体、塩素化ポリプロピレン、塩素化工チレン プロピレン共重合体、又は塩素化プ ロピレン―ブテン共重合体である。
これらは 1種を単独で用いてもよ!、し、 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0171] 本発明におけるプロピレン系重合体(IA1)は、 GPCで測定し各々のプロピレン系 重合体の検量線で換算した重量平均分子量 Mwが 1, 000-500, 000であること力 S 好ましい。下限値のより好ましい値は 10, 000、さらに好ましくは 30, 000、特に好ま しくは 50, 000である。上限値のより好ましい値は 300, 000、さらに好ましくは 250, 000、特に好ましくは 200, 000である。 Mwが下限値より高いほどべたつき度合いが 小さくなり基材への密着性が増す傾向があり、また上限値より低いほど粘度が低くな り、榭脂分散体の調製が容易になる傾向がある。なお GPC測定は、オルトジクロロべ ンゼンなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
[0172] プロピレン単独重合体又は共重合体の最も好ましい形態のひとつとしては、立体規 則性として全体または部分的にァイソタクチック構造を有するものが好ま 、。例えば 通常のァイソタクチックポリプロピレンはもちろんのこと、ァイソタクチックブロックポリプ ロピレンや、ステレオブロックポリプロピレン等も使用することができる。
[0173] 好ましくは、プロピレン系重合体 (IA1)は、ァイソタクチックブロックとァタクチックブ ロックとを有するステレオブロックポリプロピレンの単独重合体又は共重合体である。 クポリプロピレン重合体である。
[0174] より好ましくは、 13C— NMRにて、頭一尾結合力 なるプロピレン単位連鎖部のメチ ル基の炭素原子に由来するピークを観測し、 mmmmで表されるペンタッドに帰属さ れるピークのピークトップのケミカルシフトを 21. 8ppmとした際に、 19. 8ppm力ら 22 . lppmに現れるピークの総面積 Sに対する、 21. 8ppmをピークトップとするピークの 面積 Sの比率(S ZS)が 20%〜70%の範囲である。下限値の好ましい値は 30%、 さらに好ましくは 35%、より好ましくは 40%である。上限値の好ましい値は 65%、さら に好ましくは 60%、より好ましくは 55%である。下限値より高いほどべたつき度合い が小さくなる傾向があり、また上限値より低いほど結晶化度が低くなり、榭脂分散体の
調製が容易になる傾向がある。
更に好ましくは、同じく 21. 5〜21. 7ppmをピークトップとするピーク(mmmr)の面 積を Sとしたとき 4 + 2S /S > 5である。
2 1 2
[0175] また、プロピレン系重合体(IA1)がプロピレン α—ォレフイン共重合体であり、プ ロピレン含量が 50モル%〜95モル%であり、かつ重合体(IA1)の分子量分布 Mw ZMnが 3. 0以下であるものも好ましい。このような共重合体はプロピレンホモポリマ 一に比べて融点が低いため、これを用いた榭脂分散体は塗装後の焼き付け温度を 下げることができる利点がある。 aーォレフインとして好ましくは炭素数 2〜8の (Xーォ レフインであり、より好ましくは炭素数 2〜6の α—ォレフインであり、更に好ましくは炭 素数 2〜4の aーォレフインであり、最も好ましくは 1ーブテンである。
[0176] 通常、プロピレン含量が高いほどポリプロピレン基材への密着性が増す傾向がある 。好ましくは 60モル%以上であり、より好ましくは 70モル%以上である。但しプロピレ ン含量は 95モル%以下である。通常、プロピレン含量を低くすると共重合体の融点 を下げることができ、例えば塗装後の焼き付け温度を下げることができる利点がある。 好ましくは 90モル%以下であり、より好ましくは 85モル%以下である。
[0177] 1—ブテン含量は好ましくは 5モル%〜50モル0 /0である。より好ましくは 10モル0 /0 以上であり、更に好ましくは 15モル%以上である。またより好ましくは 40モル%以下 であり、更に好ましくは 30モル%以下である。
[0178] 重合体 (IA1)は、プロピレン及び 1ーブテン以外の aーォレフインから導かれる構 成単位を少量含んでもよい。例えばエチレンを 10モル0 /0以下含んでもよい。より好ま しくは 5モノレ%以下である。
重合体 (IA1)はランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、好ましくはラン ダム共重合体である。より効果的に共重合体の融点を下げることができる。また重合 体 (IA1)は直鎖状であっても分岐状であってもよ!/、。
[0179] 好ましくは重合体 (IA1)は、重量平均分子量 Mwと数平均分子量 Mnとの比で表さ れる分子量分布 MwZMnが、 3. 0以下であるものとする。これは分子量分布が狭く 、共重合体の分子量が均一に揃っていることを意味するが、このような重合体 (IA1) を用いることで、水への分散時の粒径制御がしゃすくなり、分散粒径が小さぐ粒径
分布が狭ぐかつ安定に分散した榭脂分散体が得られる利点がある。より好ましくは 2 . 5以下である。但し通常、 1. 0以上である。分子量分布 MwZMnは GPCにより求 められる。
[0180] より好ましくは重合体 (IA1)は融点 Tmが 120°C以下であることが好ましい。より好ま しくは 100°C以下であり、更に好ましくは 90°C以下である。融点 Tmが 120°Cより低い ほど、結晶性が低く溶媒への溶解性が向上し、乳化 ·分散作業が低温で行いやすく なるため好ましい。また、この榭脂分散体が例えば塗料や接着剤としての用途に使 用される場合は、低い焼付け温度で溶融する点でも有利である。但し、重合体 (IA1 )の融点 Tmは通常、 35°C以上であり、好ましくは 50°C以上であり、より好ましくは 60 °C以上、更に好ましくは 65°C以上、最も好ましくは 70°C以上である。高耐熱性、高硬 度、ベたつきのなさなどの点で遊離である。融点 Tmは示差走査型熱量計 (DSC)に より測定できる。
重合体 (IA1)として入手可能な市販品としては、三井ィ匕学社製のタフマー XM— 7 070、 XM— 7080など力ある。
[0181] 本発明のプロピレン系重合体 (IA1)の製法については、本発明の要件を満たす重 合体を製造できれば特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えばラジカル 重合、カチオン重合、ァ-オン重合、配位重合などが挙げられ、それぞれリビング重 合的であってもよい。
[0182] また配位重合の場合は、例えばチーグラー ·ナッタ触媒により重合する方法又はシ ングルサイト触媒またはカミンスキー触媒により重合する方法が挙げられる。好ま ヽ 製法としては、シングルサイト触媒による製造方法を挙げることができる。この理由とし ては、一般にシングルサイト触媒がリガンドのデザインにより分子量分布や立体規則 性分布がシャープであることなどが挙げられる。またシングルサイト触媒としては、例 えばメタ口セン触媒、ブルックハート型触媒を用いうる。メタ口セン触媒では C対称型 、 C対称型、 C 対称型、 C対称型など、重合するプロピレン系重合体の立体規則
2 2V S
性に合わせて好ましい触媒を選択すればよい。好ましくは C対称型、 C対称型のメ
1 2
タロセン触媒を用いることができる。
[0183] また重合は溶液重合、スラリー重合、バルタ重合、気相重合など 、ずれの重合形態
でもよい。溶液重合やスラリー重合の場合、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン 等の芳香族系炭化水素、へキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロ へキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素、塩化メチレン、四塩 化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸プ 口ピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソブチル ケトン、シクロへキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、 n—プロパノール、イソ プロパノール、 n—ブタノール等のアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラ ン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類など が挙げられる。なかでも芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、及び脂環族系炭 化水素が好ましぐより好ましくはトルエン、キシレン、へキサン、ヘプタン、シクロペン タン、及びシクロへキサンである。これらは 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組 み合わせて用いてもよい。
[0184] [1 2]反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)
反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)としては、例えば、重合時に反応性基 を有しない不飽和化合物と反応性基を有する不飽和化合物とを共重合した共重合 体 (IA2a)、又は、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をプロピレン系重 合体にグラフト重合した重合体 (IA2b)を用いることができる。
[0185] 共重合体 (IA2a)は、反応性基を有しな!/、不飽和化合物と、反応性基を有する不 飽和化合物とを共重合して得られ、反応性基を有する不飽和化合物が主鎖に挿入さ れた共重合体である。例えば、プロピレンとアクリル酸、無水マレイン酸等の (Χ、 β— 不飽和カルボン酸又は無水物とを共重合体して得られる。共重合体 (IA2a)として具 体的には、例えばプロピレン アクリル酸共重合体、プロピレン アクリル酸エステル 無水マレイン酸共重合体などが使用できる。これらは 1種を単独で用いてもよいし 、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。製造方法は (IA1)で述べた方法を同様に 用!/、ることができる。
[0186] 重合体 (IA2b)は、予め重合したプロピレン系重合体に、反応性基を有するラジカ ル重合性不飽和化合物をグラフト重合して得られ、反応性基を有する不飽和化合物 は主鎖にグラフトされている。例えば、ポリプロピレン、プロピレンーブテン共重合体な
どのプロピレン系重合体に(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はその無水物、 ィタコン酸又はその無水物、クロトン酸、(メタ)アクリル酸 2—ヒドロキシェチルゃ (メタ) アクリル酸 2 -ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(ジメチルアミ ノ)ェチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(2—イソシアナト)ェチル等 をグラフトした重合体である。これらは 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み 合わせて用いてもょ 、。なお (メタ)アクリル酸とはアクリル酸とメタクリル酸の総称であ り、他もこれに準ずる。
本反応のプロピレン系重合体としては、上述の反応性基を有しな 、プロピレン系重 合体 (IA1)を使用することができる。
[0187] 重合体 (IA2b)として具体的には、例えば無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び その塩素化物、無水マレイン酸変性エチレン プロピレン共重合体及びその塩素化 物、無水マレイン酸変性プロピレンーブテン共重合体、アクリル酸変性ポリプロピレン 及びその塩素化物、アクリル酸変性エチレン プロピレン共重合体及びその塩素化 物、アクリル酸変性プロピレンーブテン共重合体などが挙げられる。これらは 1種を単 独で用いてもよ!、し、 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0188] グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤から適 宜選択して使用することができ、例えば有機過酸ィ匕物、ァゾ-トリル等を挙げることが できる。有機過酸化物としては、ジ (t—ブチルパーォキシ)シクロへキサンなどのパー ォキシケタール類、タメンヒドロパーォキシドなどのハイド口パーォキシド類、ジ(tーブ チル)パーォキシドなどのジアルキルパーオキサイド類、ベンゾィルパーォキシドなど のジァシルバーオキサイド類、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートな どのパーォキシエステル類が使用できる。ァゾ-トリルとしてはァゾビスブチ口-トリル 、ァゾビスイソプロピル-トリル等が挙げられる。なかでもベンゾィルパーォキシド及び t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートが特に好まし!/、。これらは 1種を 単独で用いてもよ!、し、 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0189] ラジカル重合開始剤とグラフト共重合単位の使用割合は、通常、ラジカル重合開始 剤:グラフト共重合単位 = 1: 100〜2: 1 (モル比)の範囲である。好ましくは 1: 20〜1 : 1の範囲である。
[0190] 重合体 (A2b)の製法にっ 、ては、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば 特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えば、溶液変性法 (溶液中で加熱 攪拌して反応する方法)、溶融変性法 (無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、 又は、押し出し機で加熱混練して反応する方法)等が挙げられる。
溶液中で製造する場合の溶媒としては、 [1— 1]で挙げた溶媒を同様に用いること ができる。
[0191] 反応温度は、通常 50°C以上であり、好ましくは 80〜300°Cの範囲が好適である。よ り好ましくは、溶液変性法の場合は 80〜200°Cの範囲であり、溶融変性法の場合は 150〜300°Cの範囲である。反応時間は、通常 2〜20時間程度である。反応時間は 、通常 2〜20時間程度である。
[0192] 反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)中の反応性基の含有量は、プロピレ ン系重合体 lg当たり 0. Ol〜5mmol、即ち 0. 01〜5mmolZgの範囲にある事が好 ましい。より好ましい下限値は 0. 05mmolZgであり、さらに好ましくは 0. lmmol/g であり、特に好ましくは 0. 15mmolZgである。より好ましい上限値は ImmolZgであ り、更に好ましくは 0. 8mmolZgである。下限値より高いほど親水性高分子 (IB)の 結合量が増し重合体 (IC)の親水性が増すため分散粒子径が小さくなる傾向にあり、 上限値より低いほど、基材である結晶性のプロピレン系重合体に対する密着性が増 す傾向にある。
なおプロピレン系重合体 (IA2)は直鎖状であっても分岐状であってもよ!/、。
[0193] 本発明にお 、ては反応性基を有しな 、プロピレン系重合体 (IA1)と反応性基を有 するプロピレン系重合体 (IA2)の双方を、親水性高分子 (IB)との組合せや目的とす る重合体 (IC)の特性等に応じて適宜用いうる力 好ましくは反応性基を有するプロピ レン系重合体 (IA2)である。親水性高分子 (IB)の結合量の制御がしゃすぐまた結 合に用いうる反応が多様であるなどの利点がある。
[0194] 反応性基としては、例えばカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン 酸無水物モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシァネート基などが挙 げられる。より好ましくは、プロピレン系重合体 (IA)はカルボン酸誘導体基、即ちカル ボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基からなる
群より選ばれる少なくとも 1種を有する。これらカルボン酸基等は反応性が高く親水性 高分子と結合が容易なだけでなぐこれらの基を有する不飽和化合物も多くプロピレ ン系重合体へ共重合もしくはグラフト反応させることも容易である。
[0195] なおカルボン酸誘導体基の場合、反応性基の含有量としては— C ( = 0) 0—で表 される基に換算した量とする。即ちジカルボン酸無水物基は基中にカルボン酸基を 2 つ含むとみなせるので、ジカルボン酸無水物基 1モルは反応性基 2モルと数える。 また重合体 (IA2a)と重合体 (IA2b)のいずれも用いうる力 通常、好ましいのは重 合体 (IA2b)である。親水性高分子 (IB)の結合量の制御がしゃす 、などの利点があ る。
[0196] [2]プロピレン系重合体 (IA)に酸性基が結合してなる重合体 (IC)
プロピレン系重合体 (IA)に酸性基を結合させたものをそのまま重合体 (IC)として 用いることちでさる。
本発明における酸性基とは電子対受容性の基を指し、特に限定されないが例えば 、カルボン酸基( COOH)、スルホ基( SO H)、スルフィノ基( SO H)、ホスホ
3 2
ノ基(一 PO H)などが挙げられる。カルボン酸基は、水に分散される前はジカルボン
2
酸無水物基(-CO— 0— OC-)の状態でもよい。なかでもカルボン酸誘導体基、即 ちカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基 力もなる群より選ばれる少なくとも 1種が好ましい。カルボン酸誘導体基としては、例え ば、(メタ)アクリル酸基、フマル酸基、マレイン酸基又はその無水物基、ィタコン酸基 又はその無水物基、クロトン酸基などが挙げられる。
[0197] 酸性基の結合量は、プロピレン系重合体(IA) lg当たり 0. 4〜5mmol、即ち 0. 4 〜5mmolZgの範囲にある事が好ましい。より好ましい下限値は 0. 6mmolZgであ り、更に好ましい下限値は 0. 8mmolZgである。より好ましい上限値は 3mmol/gで あり、更に好ましい上限値は 1. 6mmolZgである。下限値より高いほど重合体の極 性が増し親水性が増すため分散粒子径が小さくなる傾向にあり、上限値より低いほど 基材である結晶性のポリオレフインに対する密着性が増す傾向にある。カルボン酸誘 導体基の場合、酸性基の含有量としては— c( = o)o で表される基に換算した量 とする。
[0198] [3]親水性高分子 (IB)
親水性高分子 (IB)としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定され ず用いることができ、合成高分子、半合成高分子、天然高分子のいずれも用いること ができる。反応性基を有していてもよい。
[0199] 合成高分子としては、特に限定されないが例えばポリ(メタ)アクリル榭脂、ポリエー テル榭脂、ポリビニルアルコール榭脂、ポリビュルピロリドン榭脂等が使用できる。天 然高分子としては、特に限定されないが例えばコーンスターチ小麦デンプン、かんし よデンプン、馬鈴薯デンプン、タピオ力デンプン、米デンプンなどのデンプン、ふのり 、寒天、アルギン酸ソーダなどの海藻、アラビアゴム、トラガントゴム、こんにゃくなどの 植物粘質物、にかわ、カゼイン、ゼラチンなどの動物性タンパク、プルラン、デキストリ ンなどの発酵粘質物、等が使用できる。半合成高分子としては、特に限定されないが 例えばカルボキシルデンプン、カチオンデンプン、デキストリンなどのデンプン質、ビ スコース、メチノレセノレロース、ェチノレセノレロース、力ノレボキシノレメチノレセノレロース、ヒド ロキシェチルセルロースなどのセルロース、等が使用できる。
[0200] なかでも好ましくは、親水性度合!/、の制御がしゃすく、特性も安定して 、る合成高 分子である。より好ましくは、ポリ (メタ)アクリル榭脂などのアクリル系榭脂、ポリビュル アルコール榭脂、及びポリビュルピロリドン榭脂、ポリエーテル榭脂である。これらは 1 種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。親水性の高いポ リエーテル樹脂が最も好まし 、。
[0201] 本発明に用いるアクリル系榭脂は、通常、不飽和カルボン酸若しくはそのエステル 又は無水物を、ラジカル重合、ァ-オン重合、又はカチオン重合により重合すること で得られる。プロピレン系重合体 (IA)との結合方法は限定はされないが、例えば、プ ロピレン系重合体に直接ラジカルグラフト重合する方法、水酸基、アミノ基、グリシジ ル基、(無水)カルボン酸基等の反応性基を有するアクリル系榭脂を、反応性基を有 するプロピレン系重合体と反応させる方法、等が挙げられる。
[0202] 親水性を示す不飽和カルボン酸若しくはそのエステル又は無水物として好ましくは 、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸ジメチルァミノ ェチル (メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物、(メタ)アクリルアミドが挙げら
れる。
[0203] 本発明に用いるポリビニルアルコール榭脂は、通常、酢酸ビニルを重合させポリ酢 酸ビニルを得た後、ケンィ匕することで得られる。ケンィ匕度は完全ケンィ匕でも部分ケン 化でもよい。
本発明に用いるポリビュルピロリドン榭脂は、通常、ビュルピロリドンを重合させるこ とで得られる。
本発明に用いるポリエーテル榭脂は、通常、環状アルキレンオキサイドまたは環状 アルキレンイミンを開環重合することで得られる。プロピレン系重合体 (IA)との結合 方法は限定はされないが、例えば、反応性基を有するプロピレン系重合体中で環状 アルキレンオキサイドを開環重合する方法、開環重合等により得られたポリエーテル ポリオールやポリエーテルァミンなどの反応性基を有する親水性高分子を、反応性 基を有するプロピレン系重合体と反応する方法、等が挙げられる。
[0204] ポリエーテルアミンは、ポリエーテル骨格を有する榭脂の片末端又は両末端に、反 応性基としての 1級または 2級のアミノ基を有する化合物である。ポリエーテルァミンと しては、ハンツマン社製ジェファーミン Mシリーズ、 Dシリーズ、 EDシリーズなどを使 用してもよい。ポリエーテルポリオールはポリエーテル骨格を有する榭脂の両末端に 、反応性基としての水酸基を有する化合物である。
親水性を示すポリアルキレンオキサイドやポリアルキレンィミンとして好ましくは、ポリ エチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンィミンが挙げられる。
[0205] 本発明に用いる親水性高分子 (IB)はプロピレン系重合体 (IA)との結合前に、プロ ピレン系重合体 (IA)と反応しうる反応性基を 1以上有しているのが好ましい。反応性 基としては、例えばカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水 物モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシァネート基などが挙げられる 力 好ましくは少なくともアミノ基を有する。アミノ基はカルボン酸基、無水カルボン酸 基、グリシジル基、イソシァネート基など多種の反応性基と反応性が高いのでプロピ レン系重合体と親水性高分子を結合させることが容易である。アミノ基は 1級、 2級、 3 級のいずれでもよいが、より好ましくは 1級ァミノ基である。
[0206] 反応性基は 1以上あればよいが、より好ましくは反応性基を 1つのみ有する。反応
性基が 2以上あると、プロピレン系重合体 (IA)と結合させる際に 3次元網目構造とな りゲルイ匕してしまう可能性がある。
ただし反応性基を複数有して!/、ても、他より反応性の高!、反応性基が 1つのみであ ればよい。例えば複数の水酸基と、それより反応性の高い 1つのアミノ基を有する親 水性高分子は好まし 、例である。ここで反応性とはプロピレン系重合体 (IA)の有す る反応基との反応性である。
[0207] 本発明における親水性高分子 (IB)は、重合体 (IC)に十分な親水性を付与するた めには高分子である必要があり、 GPCで測定しポリスチレンの検量線で換算した重 量平均分子量 Mwが 200以上のものとする。下限値は好ましくは 300、より好ましくは 500である。但し重量平均分子量 Mwが 200, 000以下であることが好ましい。上限 値のより好ましい値は 100, 000であり、さらに好ましくは 10, 000である。 Mwが下限 値より高いほど重合体 (IC)の親水性が増し分散粒子径が小さくなり安定に分散する 傾向にあり、また上限値より低 、ほど粘度が低く榭脂分散体を調製しやす 、傾向に ある。なお GPC測定は、 THFなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方 法で行われる。
[0208] プロピレン系重合体 (IA)に結合して 、る親水性高分子 (IB)の量は、プロピレン系 重合体 lg当たり 0. 01〜5mmol、即ち 0. 01〜5mmolZgの範囲にある事が好まし い。より好ましい下限値は 0. 05mmol/gであり、さらに好ましくは 0. ImmolZgで あり、特に好ましくは 0. 15mmolZgである。より好ましい上限値は ImmolZgであり 、更に好ましくは 0. 8mmolZgである。下限値より高いほど重合体 (IC)の親水性が 増し分散粒子径が小さくなり安定に分散する傾向にあり、上限値より低いほど、基材 である結晶性のプロピレン系重合体に対する密着性が増す傾向にある。
[0209] プロピレン系重合体 (IA)と親水性高分子 (IB)とは、プロピレン系重合体 (IA)に親 水性高分子 (IB)がグラフト結合したグラフト共重合体、プロピレン系重合体 (IA)の片 末端又は両末端に親水性高分子 (IB)が結合した状態を含むプロピレン系重合体 (I A)と親水性高分子 (IB)とのブロック共重合体、とがあり得るが、好ましくはグラフト共 重合体である。親水性高分子 (IB)の含有量が制御しやすぐまたブロック共重合体 に比べて親水性高分子 (IB)の含有量を上げやす!/、利点がある。
[0210] 従来、プロピレン系重合体鎖にカルボン酸基をグラフト結合させ、カルボン酸基を 塩基により中和して水分散させる方法があつたが、本発明に係わる親水性高分子 (I B)をプロピレン系重合体鎖にグラフト結合する方法によれば、従来法に比してプロピ レン系重合体鎖に直接グラフト結合する基のモル数がかなり小さくても水分散が可能 となる。従ってプロピレン系重合体の性質を損なうことがなぐポリオレフイン基材への 密着性が高くなる利点がある。
[0211] 親水性高分子 (IB)はプロピレン系重合体 (IA)に対して、種々の反応形態により結 合させることができる。その形態は特に限定されないが、例えば、ラジカルグラフト反 応ゃ反応性基を利用した反応である。
ラジカルグラフト反応によれば、炭素 炭素共有結合による結合が形成される。
[0212] 反応性基を利用した反応は、プロピレン系重合体 (IA)と親水性高分子 (IB)の双 方に反応性基を有していてそれらを反応させて結合させるものであり、共有結合又は イオン結合が形成される。この反応としては、く第一の態様について >の [2]で挙げ たものなどを同様に用いうる。
[0213] [4]プロピレン系重合体 (IA)に親水性高分子 (IB)を結合させてなる重合体 (IC) プロピレン系重合体 (IA)と親水性高分子 (IB)を結合させ重合体 (IC)を製造する 方法としては、通常、プロピレン系重合体 (IA)存在下で親水性モノマーを重合して プロピレン系重合体 (IA)に結合した親水性高分子 (IB)を形成する方法 (IR1)、又 は予め重合した親水性高分子 (IB)をプロピレン系重合体 (IA)に結合させる方法 (I R2)がある。いずれもプロピレン系重合体 (IA)としては、反応性基を有しないプロピ レン系重合体 (IA1)、又は反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)、ともに用い うる。
[0214] [4 1]重合体 (IC)の製造方法 (IR1)
本方法では、プロピレン系重合体 (IA)存在下で、親水性モノマーを重合することで プロピレン系重合体 (IA)に結合した親水性高分子 (IB)を得る。親水性モノマーの 重合方法は、例えば付加重合、縮合重合、開環重合などを用いうる。このとき重合後 に親水性高分子を形成しうる範囲であれば疎水性モノマーを共重合させてもよい。 具体的には、例えば、親水性ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤
の存在下で重合して親水性高分子 (IB)を形成するとともにプロピレン系重合体 (IA) に結合させる方法がある。この場合プロピレン系重合体 (IA)としては反応性基を有 するプロピレン系重合体 (IA2)も用いうるが、通常は反応性基を有しな 、プロピレン 系重合体 (IA1)を用いる。
[0215] 親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては、特に限定されな!、が、例えば (メタ) アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレング リコール、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチ ル四級化物、ビュルピロリドンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとして は (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの (メタ)アクリル酸エステル類 、酢酸ビニルが挙げられる。
[0216] または、ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して 高分子を形成するとともにプロピレン系重合体 (IA)に結合させ、次いで変性し親水 性高分子 (IB)とする方法がある。例えば (メタ)アクリル酸 t ブチルを重合後、酸性 下で加水分解しポリ(メタ)アクリル酸に変性する方法、酢酸ビニルを重合後、ケンィ匕 してポリビニルアルコールに変性する方法などが挙げられる。共重合可能な疎水性 モノマーとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル 酸エステル類、酢酸ビュルが挙げられる。この場合プロピレン系重合体 (IA)としては 反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)も用いうるが、通常は反応性基を有しな V、プロピレン系重合体(IA1)を用いる。
[0217] 或いは、反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)を用い、この反応性基を開 始末端として、親水性ラジカル重合性不飽和化合物や親水性開環重合モノマー等 を重合して親水性高分子 (IB)を得る方法がある。
[0218] 親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては上述のものを同様に用いうる。親水 性開環重合モノマーとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンイミ ンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては、トリメチレンオキサイド、 テトラヒドロフラン、 β プロピオラタトン、 γ ブチロラタトン、 ε一力プロラタトンなど が挙げられる。
これらはいずれも、 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いても
よい。
[0219] 反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定さ れず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、 無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方 法等が挙げられる。反応温度は、通常 0〜200°Cの範囲であり、好ましくは 30〜150 °Cの範囲である。溶液中で製造する場合の溶媒としては、 [1— 1]で挙げた溶媒を同 様に用いることができる。
[0220] [4 2]重合体(1 の製造方法(1!^2)
本方法では、予め重合した親水性高分子 (IB)をプロピレン系重合体 (IA)に結合さ せる。この場合親水性高分子 (IB)としては [3]で挙げたものを用いうる。
具体的には、例えば、まず親水性モノマーを重合して親水性高分子とする際に分 子内に不飽和二重結合を残しておき、次いでラジカル重合性開始剤を用いてプロピ レン系重合体 (IA)にグラフト重合させる方法がある。この場合プロピレン系重合体 (I A)としては反応性基を有するプロピレン系重合体 (IA2)も用いうる力 通常は反応 性基を有しな 、プロピレン系重合体 (IA1)を用いる。
[0221] また、まず末端に反応性基を有する親水性高分子を重合し、次!、でこれを反応性 基を有するプロピレン系重合体 (IA2)に結合させる方法がある。末端に反応性基を 有する親水性高分子は、開始剤や連鎖移動剤として反応性基を有する化合物を用 V、て親水性モノマーを重合することで得られる。もしくはエポキシ化合物等の親水性 開環重合モノマーを開環重合することによつても得られる。
このとき用いうる親水性モノマーとしては、 [4 1]で挙げた各種親水性モノマーを 同様に用いうる。
これらはいずれも、 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いても よい。
[0222] 反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定さ れず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、 無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方 法等が挙げられる。反応温度は、通常 0〜200°Cの範囲であり、好ましくは 30〜150
°Cの範囲である。溶液中で製造する場合の溶媒としては、 [1— 1]で挙げた溶媒を同 様に用いることができる。
[0223] [5]水性樹脂分散体
重合体 (IC)の水性榭脂分散体を製造する場合、その製造方法は特に限定されな いが、例えば、前述の重合体 (IC)に水以外の溶媒を加え、必要に応じ加熱して溶解 させた後に水を添加して分散体とする方法、重合体 (IC)が溶融する温度以上で溶 融させた後に水を添加して分散体とする方法、などが挙げられる。
[0224] 好ましくは前者である。重合体、水、及び水以外の溶媒の混合物を調製した後混合 物から該溶媒を除去することにより水性分散体とする方法によれば、粒径の細かい水 分散体が作りやすい。混合物を調製する際は必要に応じ加熱してもよい。温度は、 通常 30〜150°Cである。榭脂分散体における水以外の溶媒の比率は、最終的には 通常 50%以下とする。好ましくは 20%以下とし、さらに好ましくは 10%以下とし、特 に好ましくは 1%以下とする。
[0225] 本方法に用いられる水以外の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香 族系炭化水素、へキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロへキサン 、メチルシクロへキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、 クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸プロピル、 酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルェチルケトン、メチルプロピルケトン、メ チルイソブチルケトン、シクロへキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、 n—プ ロパノール、イソプロパノール、 n—ブタノール、 2—ブタノール、イソブタノール、 t ブタノール、シクロへキサノール、エチレングリコーノレ、プロピレングリコール、ブタンジ オール等のアルコール類、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラ ン等のエーテル類、 2—メトキシエタノール、 2—エトキシエタノール、 2—ブトキシエタ ノール、 2—メトキシプロパノール、 2—エトキシプロパノール、ジアセトンアルコール等 の 2以上の官能基を持つ有機溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の 極性溶媒類などが挙げられる。
[0226] なかでも水に 1重量%以上溶解する溶媒が好ましぐさらに好ましくは 5重量%以上 溶解するものであり、例えば、メチルェチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロへキ
サノン、 n—プロパノール、イソプロパノール、 n—ブタノール、 2—ブタノール、イソブ タノール、 tーブタノール、シクロへキサノール、テトラヒドロフラン、 2—メトキシエタノー ル、 2—エトキシエタノール、 2—ブトキシエタノール、 2—メトキシプロパノール、 2—ェ トキシプロパノール、ジアセトンアルコールが好まし 、。
[0227] 溶媒溶解状態及び溶融状態にした後、水を添加し水分散体を製造する装置として は、特に限定されないが、例えば、撹拌装置付き反応釜、一軸または二軸の混練機 などが使用できる。その際の攪拌速度は装置の選択に伴い多少異なるが、通常、 10 〜: LOOOrpmの範囲である。
[0228] 本発明の重合体 (IC)は水への分散性に非常に優れるので、本発明の水分散体は 分散粒子径が細かぐかつ樹脂が安定に分散している利点がある。従ってこれを用 V、ると優れた外観の塗布品が得られる。
[0229] 本発明の水性榭脂分散体は、全体に対する固形分は、好ましくは 5重量%以上、よ り好ましくは 10重量%以上、さらに好ましくは 20重量%以上である。また好ましくは 7 0重量%以下であり、より好ましくは 60重量%以下であり、更に好ましくは 50重量% 以下であり、特に好ましくは 40重量%以下である。固形分の量が少ないほど粘度が 低く種々の塗布方法に適用でき使用しやすぐまた分散体としての安定性も高い傾 向にある。ただし、例えばプライマーや接着剤として使用する際に、塗布後の水の乾 燥にあまり多量のエネルギーと時間をかけな 、ためには固形分が多 、方が好ま ヽ
[0230] [5— 1 ]榭脂 (ID)
本発明の榭脂分散体にはまた、アクリル榭脂、ポリエステル榭脂、ポリウレタン榭脂 、エポキシ榭脂、及びビュルエステル系榭脂からなる群より選ばれる少なくとも 1種の 榭脂 (ID)カゝらなる粒子が分散されてなる。界面活性剤を用いて分散しうる榭脂であ つてもよい。
榭脂 (ID)力もなる粒子の 50%粒子径は、上述した重合体 (IC)の 50%粒子径との 関係を満たせば特に制限はない。分散安定性等を考慮すれば 0. 01 ;ζ ΐη〜1. Ο μ m力好ましく、より好ましく ίま 0. 01 μ m〜0. 5 μ mであり、更に好ましく ίま 0. 05 m 〜0. 5 μ mで teる。
[0231] また、まず榭脂 (ID)からなる粒子を含む分散体を調製し、重合体 (IC)粒子を含む 分散体と合わせて本発明の榭脂分散体とする場合、榭脂 (ID)粒子を含む分散体の 榭脂固形分は 15〜70重量%であることが好ましぐより好ましくは 30〜60重量%で ある。液粘度は 1〜50, OOOmPa' sが好ましぐより好ましくは 1〜10, OOOmPa' sで あり、更に好ましくは 10〜: LO, OOOmP' sである。
[0232] 以下、榭脂 (ID)につ 、て詳述する。
(ID— 1)アクリル榭脂
本発明のアクリル榭脂としては、(メタ)アクリル系重合体であれば特に限定されな 、 力 アクリル酸及び Z又はそのエステルの単独重合体又は共重合体、メタクリル酸及 び Z又はそのエステルの単独重合体又は共重合体を言う。なお (メタ)アクリルとはァ クリル及び Z又はメタクリルを指す。
[0233] (メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、炭素原子数 1〜 12のアルキル基を有 する (メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アタリ ル酸ェチル、(メタ)アクリル酸 n—プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)ァク リル酸 n—ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸 tーブチル、(メタ)ァ クリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ) アクリル酸ォクチル、(メタ)アクリル酸 2—ェチルへキシル、(メタ)アクリル酸ノエル、( メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等、又は、炭素原子数 6〜12のァリ ール基またはァラルキル基を有する (メタ)アクリル酸エステル、例えば (メタ)アクリル 酸フ ニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
[0234] 或 、は、ヘテロ原子を含有する炭素原子数 1〜20のアルキル基を有する (メタ)ァク リル酸エステル類、例えば (メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジ ェチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸 2—アミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル 、(メタ)アクリル酸— 2—ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ) アクリル酸一 2—メトキシェチル、(メタ)アクリル酸一 3—メトキシプロピル、(メタ)アタリ ル酸とポリエチレンオキサイドの付加物等、フッ素原子を含有する炭素原子数 1〜20 のアルキル基を有する (メタ)アクリル酸エステル類、例えば (メタ)アクリル酸トリフルォ ロメチルメチル、(メタ)アクリル酸 2 -トリフルォロメチルェチル、(メタ)アクリル酸 2 -
パ—フルォロェチルェチル等、(メタ)アクリルアミド系モノマー、例えば (メタ)アクリル アミド、(メタ)アクリルジメチルアミド等力 それぞれ挙げられる。
[0235] 上記の(メタ)アクリル酸及び Z又はそのエステル類に加えて、 、わゆるマクロモノマ 一と称される分子の末端に二重結合を有するものも含まれる。これら (メタ)アクリル系 マクロモノマー類は重量平均分子量が通常、数百〜 50、 000までの範囲にある。こ のような (メタ)アクリル系オリゴマーは、例えば、上記の (メタ)アクリル酸及び Z又は そのエステル類 100重量部あたり、通常 1〜80重量部の範囲で用いられる。
[0236] また上記のマクロモノマー以外に、力プロラタトン変性 (メタ)アクリル系オリゴマー、 末端水酸基含有 (メタ)アクリル系オリゴマー、オリゴエステル (メタ)アクリル系オリゴマ 一、ウレタン (メタ)アタリレート、エポキシ (メタ)アタリレートなども挙げられる。
[0237] アクリル榭脂には、耐水性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性を付与するために、架橋 性官能基を導入し架橋剤を併用することができる。例えば (メタ)アクリル酸グリシジル のようなエポキシ基を有する共重合体と架橋剤として多官能カルボン酸または多官 能ァミン、(メタ)アクリル酸— 2—ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル のような水酸基を有する共重合体と多官能イソシァネート、または、ジアセトンアクリル アミド、ァクロレインのようなカルボ-ル基を有する共重合体とアジピン酸ジヒドラジド、 セバシン酸ジヒドラジドのような多官能ヒドラジンのような架橋系を用いることができる。 なかでも、カルボ-ル基と多官能ヒドラジンによる架橋系は、一液で保存が可能であ りながら、常温でも硬化が可能であるため好ましい。これらの架橋性官能基はアクリル 榭脂 100重量部あたり 0. 5重量部以上有するのが好ましぐより好ましくは 1重量部 以上である。ただしアクリル榭脂 100重量部あたり 20重量部以下有するのが好ましく 、より好ましくは 10重量部以下である。下限値より高いほど十分な架橋効果が得られ やすぐ上限値より低いほど保存安定性等が高まる傾向がある。
上述のようなアクリル榭脂を製造するための重合方法としては、特に限定されない 力 例えば溶液重合、バルタ重合、乳化重合、もしくは懸濁重合等の方法を用いうる
[0238] 溶液重合、バルタ重合で得られたアクリル榭脂を水性エマルシヨンィ匕し水分散体と するためには溶液の存在下もしくは不存在下で、コロイドミルなどの機械力により、乳
化 ·分散を行 、、その後に必要に応じて残留溶剤を減圧下もしくは大気圧下で留去 すればょ 、。乳化重合又は懸濁重合を用いれば直接水性エマルシヨンとしてポリマ 一を得ることができる。好まし 、形態は乳化重合によって得られる水性エマルシヨンで ある。市販品として入手可能なものとしては、中央理ィ匕工業社製のリカボンド、 BASF ジャパン社製のァクロナールなどがある。
本発明のアクリル榭脂としては、数平均分子量が 1, 000以上が好ましぐより好まし <は 20, 000以上である o但し 1, 000, 000以下力 子ましぐより好まし <は 500, 00 0以下である。
[0239] (ID— 2)ポリウレタン榭脂
本発明のウレタン榭脂としては、特に限定されるものではないが、例えば (i) 1分子 中に平均 2個以上の活性水素を含有する成分と (ii)多価イソシァネート成分とを反応 させて得られるウレタンポリマー、または、上記 (i)成分及び (ii)成分をイソシァネート 基過剰の条件下で反応させて得られるイソシァネート基含有プレボリマーとジオール 等の鎖伸長剤とを反応させて得られるウレタンポリマーが挙げられる。これらのウレタ ン系重合体中には酸成分 (酸残基)を含有させてもょ ヽ。
[0240] なお、イソシァネート基含有プレボリマーの鎖伸長方法は公知の方法によればよい 。例えば、鎖伸長剤として、水、水溶性ポリアミン、グリコール類などを使用し、イソシ ァネート基含有プレボリマーと鎖伸長剤成分とを、必要に応じて触媒の存在下で反 応させればよい。
[0241] 前記 (i)成分の 1分子中に平均 2個以上の活性水素を含有する成分としては、特に 限定されるものではないが、水酸基性の活性水素を有するものが好ましい。このよう な化合物の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
[0242] (1)ジオール化合物:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコ ール、トリエチレングリコール、 1, 2 ブチレングリコール、 1, 3 ブチレングリコール 、 2, 3 ブチレングリコール、 1, 4ーブチレングリコール、 1, 5 ペンタンジオール、 ネオペンチルグリコール、 1, 6 へキサングリコール、 2, 5 へキサンジオール、ジ プロピレングリコール、 2, 2, 4 トリメチルー 1, 3 ペンタンジオール、トリシクロデカ ンジメタノール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール等。
[0243] (2)ポリエーテルジオール:前記のジオール化合物のアルキレンォキシド付カ卩物、 アルキレンォキシドゃ環状エーテル (テトラヒドロフランなど)の開環(共)重合体、例え ばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコーノレ プロピレン グリコールの(ブロックまたはランダム)共重合体、グリコール、ポリテトラメチレングリコ ール、ポリへキサメチレングリコール、ポリオクタメチレンダリコール等。
[0244] (3)ポリエステルジオール:アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイ ン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸(無水物)と上記(1)で挙げたようなェチ レングリコール、プロピレングリコール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 6 へキサンジォ ール、 1, 8 オタタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール化合物 とを水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものが挙げられる。具体的には、ェ チレングリコール アジピン酸縮合物、ブタンジオール アジピン縮合物、へキサメ チレングリコール アジピン酸縮合物、エチレングリコール プロピレングリコール アジピン酸縮合物、或 ヽはグリコールを開始剤としてラタトンを開環重合させたボリラ タトンジオール等が例示できる。
[0245] (4)ポリエーテルエステルジオール:エーテル基含有ジオール(前記(2)のポリエー テルジオールやジエチレングリコール等)または、これと他のグリコールとの混合物を 上記(3)で例示したような(無水)ジカルボン酸に加えてアルキレンォキシドを反応さ せてなるもの、例えば、ポリテトラメチレングリコール アジピン酸縮合物等。
[0246] (5)ポリカーボネートジオール:一般式 HO— R— (O— C (O)— O— R) — O
H (式中、 Rは炭素原子数 1〜12の飽和脂肪酸ジオール残基、 Xは分子の繰り返し単 位の数を示し、通常 5〜50の整数である。)で示される化合物等。これらは、飽和脂 肪族ジオールと置換カーボネート(炭酸ジェチル、ジフエ-ルカーボネートなど)とを 水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法、前記飽和脂肪族ジオールと ホスゲンを反応させる力、または必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ジオールを 反応させる方法などにより得ることができる。
上記の(1)から(5)に例示したような化合物は、 1種又は 2種以上を組み合わせて 使用することができる。
[0247] 前記 (i)成分と反応させる(ii)多価イソシァネート成分としては、 1分子中に平均 2個
以上のイソシァネート基を含有する脂肪族、脂環族または芳香族の化合物が使用で きる。
脂肪族ジイソシァネートイ匕合物としては、炭素原子数 1〜12の脂肪族ジイソシァネ ートが好ましぐ例えばへキサメチレンジイソシァネート、 2, 2, 4 トリメチルへキサン ジイソシァネートなどが挙げられる。脂環式ジイソシァネートイ匕合物としては、炭素原 子数 4〜 18の脂環式ジイソシァネートが好ましぐ例えば、 1, 4ーシクロへキサンジィ ソシァネート、メチルシクロへキシレンジイソシァネートなどが挙げられる。芳香族イソ シァネートとしては、トリレンジイソシァネート、 4, 4'ージフエ二ノレメタンジイソシァネー ト、キシリレンジイソシァネートなどが挙げられる。
[0248] また、ウレタン系重合体中に酸残基を含むものは、界面活性剤を使用せずに若しく はその量が少なくても水中に分散させることが可能となるので塗膜の耐水性が良くな ることが期待される。酸残基の含有量としては、ウレタン系重合体の酸価として、 25〜 150 (mgKOHZg)、好ましくは、 30〜: LOO (mgKOHZg)の範囲であるのが好適で ある。酸価が 25未満では水分散性を不十分となりやすぐ界面活性剤の併用が必要 となることが多い、一方酸価が 150より大きいど塗膜の耐水性が劣る傾向となる。
[0249] ウレタン系重合体中に酸基を導入する方法は、従来から用いられて!/、る方法が特 に制限なく使用できるが、例えばジメチロールアルカン酸を前記(2)から (4)に記載 したダリコール成分の一部もしくは全部と置き換えることによって予めポリエーテルジ オール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオールなどにカルボキシル 基を導入しておくことにより、酸基を導入する方法が好ましい。ここで用いられるジメ チロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸 、ジメチロール酪酸などを挙げることができる。市販品としては、大日本インキ工業社 のハイドラン、ボンディック、第一製薬工業社のスーパーフレックス等があげられる。
[0250] 本発明のウレタン榭脂としては、数平均分子量が 1, 000以上が好ましぐより好まし <は 20, 000以上である o但し 1, 000, 000以下力 子ましぐより好まし <は 200, 00 0以下である。
本ウレタン榭脂の水分散体を製造する場合、その製造方法は特に限定されな!ヽが 、前述のアクリル榭脂の水分散体の製造方法に準じて製造しうる。
[0251] (ID— 3)ポリエステル榭脂
本発明のポリエステル榭脂としては、特に限定されるものではないが、例えばアジピ ン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカ ルボン酸及び Z又はその無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 6 へキサンジオール、 1, 8 オタタメチレンジオール、ネオ ペンチルダリコール等のジオール化合物又はエーテル基含有ジオール(ポリエチレ ングリコールやポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)とを重縮合 させて得られたものが挙げられる。
[0252] 具体的には、エチレングリコール アジピン酸縮合物、ブタンジオール アジピン 酸縮合物、へキサメチレングリコールーコハク酸縮合物、エチレングリコーループロピ レングリコールーフタル酸縮合物、ポリエチレングリコール アジピン酸縮合物などが ある。
[0253] これらを界面活性剤の存在下または非存在下で水性エマルシヨンィ匕することによつ てポリエステル榭脂の水分散体が得られる。その製造方法は特に限定されな 、が、 前述のアクリル榭脂の水分散体の製造方法に準じて製造しうる。市販品として入手可 能なものとしては、東洋紡社製のバイロナール MD— 1200、 MD— 1245などが挙 げられる。
[0254] 本発明のポリエステル榭脂としては、数平均分子量が 1, 000以上が好ましぐより 好まし <は 5, 000以上である。但し 500, 000以下力 子ましぐより好まし <は 100, 0 00以下である。
[0255] (ID 4)エポキシ榭脂
本発明のエポキシ榭脂はエポキシ基を 1分子中に 1個以上有する重合体であれば 特に限定されない。例えば多価フエノールをアルカリの存在下にェピクロルヒドリンと 反応させることにより製造することができるフエノールの多価グリシジルエーテルや、こ のようなフエノールの多価グリシジルエーテルと上記の多価フエノールとを反応させて 得られるエポキシ基含有重合体などが挙げられる。
[0256] ここで用いることができる多価フエノールとしては、例えばビス(4ーヒドロキシフエ- ル) 2, 2 プロパン、 4, 4'—ジヒドロキシベンゾフエノン、ビス(4 ヒドロキシフエ-
ル) 1 , 1 ェタン、ビス(4 -ヒドロキシフエ-ル) 1, 1—イソブタン、ビス(4 -ヒド 口キシ一 t—ブチル一フエ-ル) 2, 2—プロパン、ビス(2—ヒドロキシナフチル)メタ ン、 1, 5 ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
これらの多価フエノールに代えて、そのフエ-ル核の二重結合の一部又は全部に 対し水素を付加した水添ィ匕合物も使用できる。
[0257] また、エポキシ榭脂としては、フエノール系ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル 及び多価アルコールのポリグリシジルエーテルも用いることができる。上記の多価ァ ルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン グリコール、 1, 2 プロピレングリコール、 1, 4 プロピレングリコール、 1, 5 ペンタ ンジオール、 1, 2, 6 へキサントリオール、グリセロール、ビス(4ーヒドロキシシクロ へキシル) - 2, 2—プロパン、ソルビトール等が挙げられる。
[0258] これらを界面活性剤の存在下または非存在下で水性エマルシヨンィ匕することによつ てエポキシ榭脂の水分散体が得られる。その製造方法は特に限定されないが、前述 のアクリル榭脂の水分散体の製造方法に準じて製造しうる。
[0259] 市販品として代表的なものとしては、フエノールノボラック樹脂にェピクロヒドリンを付 カロして得られるノボラック型エポキシ榭脂を界面活性剤(乳化剤)で強制的にェマル シヨンィ匕した、長瀬ケムテック社製デコナール EM150、ジャパンエポキシレジン社製 ェピレッツ 6006W70、 5003W55、東都化成社製 WEX— 5100、等が挙げられる。
[0260] また、ビスフエノールに同様にェピクロロヒドリンを付カ卩して得られるビスフエノール型 エポキシ榭脂を乳化剤で強制乳化した、長瀬ケムテック社製デコナール EM101、 E M103、ジヤノ ンェポキシレジン社製ェピレッツ 3510W60、 3515W6、 3522W60 、 3540WY55等力挙げられる。
[0261] さらに、ソルビトールゃペンタエリスリトールやグリセリンなどのポリオールにェピクロ ヒドリンを付加したアルキルタイプのエポキシ榭脂として、長瀬ケムテック社製デコナ ール EX— 611、 EX— 614、 EX— 411、 EX— 313など力挙げられる。
本発明のエポキシ榭脂としては、数平均分子量が 1, 000以上が好ましぐより好ま し <は 20, 000以上である。但し 1, 000, 000以下力 子ましぐより好まし <は 200, 0 00以下である。
[0262] (ID 5)ビュルエステル系榭脂
本発明のビュルエステル系榭脂は、ビュルエステル単独の重合体または、ビュル エステル単量体と他のラジカル重合性単量体との重合体を含む共重合体である。ラ ジカル重合性単量体としては、エチレン、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル、 不飽和-トリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸、 a、 j8—不飽和ジカルボン酸類 等があげられる。
[0263] またビュルエステル単量体としては、酢酸ビュル、プロピオン酸ビュル、ビバリン酸 ビュル、炭素数 8〜 10の 3級カルボン酸のビュルエステル、いわゆるバーサチック酸 ビュル(例えばシェル化学社製、商品名: VeovalO)等のアルキル酸ビュルエステル などが挙げられる。なかでも酢酸ビニルが好ましぐビニルエステル系榭脂としては、 酢酸ビュルの単独重合体、又はエチレン 酢酸ビュル共重合体が特に好まし 、。
[0264] 共重合体中のエチレン単位とビュルエステル単位との重量比率は、ビュルエステ ル単位を 100重量部としたとき、この重合体に含まれるエチレン単位が 5〜70重量部 の範囲であることが好ましぐ 10〜50重量部がより好ましい。エチレン単位が 5重量 部より多いほど初期接着性、耐水性が向上し、 70重量部より少ないほど接着強度が 向上する傾向がある。
[0265] 共重合体のエマルシヨンは、通常、上記のエチレン単位、ビュルエステル単位を構 成する単量体を乳化重合することによって製造することができる。上記乳化重合に使 用される乳化剤としては、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース 等の水溶性高分子化合物、部分ケン化或いは完全ケン化されたポリ酢酸ビニル系乳 ィ匕剤等の保護コロイド等があげられる。本発明においては、上記部分ケンィ匕ポリ酢酸 ビュル系乳化剤を用いる。この部分ケンィ匕ポリ酢酸ビュル系乳化剤の中でも、平均 重合度が 100〜3000程度、平均ケンィ匕度が 80〜98モル%の割合で部分ケンィ匕さ れたものがより好ましい。
[0266] ビュルエステル系榭脂エマルシヨンの具体例としては、スミカフレックス 400、 401、 305、 455、 500、 510、 700、 751、 900 (以上、住友ィ匕学社製)、ノ ンフレックス O M— 4000、 OM— 4200 (以上、クラレ社製)、ポリゾール EVA AD— 2、 AD— 3、 AD— 4、 AD— 5、 AD 51、 AD 56、 AD 59、 P 900 (以上、昭和高分子社
製)、デンカ EVAテックス # 20、 # 30、 # 40M、 # 60、 # 81、 # 82 (以上、電気 化学工業社製)等、市販のエチレン ビニルエステル共重合体の水性エマルシヨン をそのまま使用してもよい。
[0267] [5— 2]界面活性剤
本発明の榭脂分散体は、界面活性剤含有量が榭脂成分 (重合体 (IC)と榭脂 (ID) の合計量) 100重量部に対し 10重量部以下である。即ち重合体 (IC)の分散粒子径 が非常に小さいものでありながら、界面活性剤をごく少量か又は実質的に含まない。 これにより、本榭脂分散体を塗料として用いたときに、ブリードアウトを抑制でき外観 に優れた塗装品が得られる利点があり、本榭脂分散体を塗装の最表面の塗料として 用いることができる。また、塗装の耐水性ゃ耐油性 (耐 GH性)を向上させることができ 、得られる榭脂分散体は密着性、耐水性、耐湿性、耐油性 (耐 GH性)、耐薬品性の V、ずれにも優れたものとなる。
[0268] 界面活性剤量は少ない方が好ましぐ榭脂分散体の界面活性剤含有量が、榭脂成 分 100重量部に対し 5重量部以下であることが好ましい。より好ましくは 3重量部以下 、更に好ましくは 2重量部以下である。界面活性剤を実質的に含まないこともできる。 実質的に界面活性剤を含まないとは榭脂成分の合計量 100重量部に対して 1重量 部未満であることを言う。
界面活性剤としては、 <第一の態様について >の [5]で挙げたものなどを同様に 用いうる。
[0269] [5— 3]顔料の添カロ
本発明の榭脂分散体には顔料 (IE)を加えることができる。顔料 (IE)を含む水性榭 脂分散体は塗料として好適である。顔料 (IE)の説明はく第一の態様にっ 、て >の [ 5- 2]の顔料 (E)の説明に準ずる。
[0270] [5— 4]その他の添加剤
本発明の榭脂分散体には、必要に応じて、酸性物質や塩基性物質、添加剤、親水 性有機溶媒等を含有させることができる。これらの説明はく第一の態様にっ 、て > の [5]の説明に準ずる。
本発明の水性榭脂分散体はプライマー、プライマーレス塗料、接着剤等に使用す
ることができ、特に塗料として有用に用いることができる。塗料とは物体の表面に塗つ て着色し、また保護、接着などを行うためのものであり、所謂インクなども含む概念で ある。この塗料は特にポリオレフイン基材、なかでもプロピレン系重合体基材に適する 。例えば自動車内装用'外装用等の自動車用塗料、プライマー、携帯電話 'パソコン 等の家電用塗料、建築材料用塗料、グラビアインキ、オフセットインキ等に用いうる。
[0271] [6]積層体
本発明の榭脂分散体又はこれを含む塗料を基材に塗布し、加熱することで榭脂層 を形成し、積層体とすることができる。この榭脂層は、プロピレン系重合体 (IA)を含 む重合体 (IC)と、アクリル榭脂、ポリエステル榭脂、ポリウレタン榭脂、エポキシ榭脂 、及びビュルエステル系榭脂からなる群より選ばれる少なくとも 1種の榭脂 (ID)とを (I A): (ID)の重量比 90 : 10〜: LO : 90で含み、界面活性剤含有量が重合体 (IC)と榭 脂 (ID)の合計量 100重量部に対し 10重量部以下である層である。この積層体は自 動車用、家電用、建材用など各種用途に用いることができる。基材はフィルム、シート 、板状体等、形状は問わない。
[0272] 本発明の積層体や熱可塑性榭脂成形体 (IF)に関する他の説明は、 <第一の態様 につ ヽて >の [6]の積層体及び熱可塑性榭脂成形体 (F)の説明に準ずる。
[0273] <第三の態様について >
本発明の変性ポリオレフインと水とを含む水性榭脂分散体の製造方法は、前記変 性ポリオレフインを 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0〜95. 0重量%である溶媒 (a)に 溶解させる溶解工程、これに水を加えて分散させる分散工程、及び、少なくとも該溶 媒 (a)を留去する留去工程を含むものである。
[0274] 即ち上記変性ポリオレフインを、水の溶解性が特定範囲である溶媒にー且溶解さ せた後、水を加えて分散させ、その後溶媒を留去することで、分散粒子径が細かぐ 粒径分布が狭ぐ安定に分散した水性榭脂分散体を得ることができる。かつ、用いた 溶媒を簡便に回収でき、環境面、工程面でも非常に優れた製造方法である。
[0275] 以下、第三の態様の変性ポリオレフインについて説明する。
本発明の変性ポリオレフインは、親水性高分子及び Z又は酸により変性されたポリ ォレフィンを意味する。即ちポリオレフイン (ΠΑ)に、親水性高分子 (ΠΒ)及び Z又は
酸性基が結合してなる重合体 (IIC)である。このような重合体は水への分散性に優れ
、好ましい。
[0276] 以下、より詳細に説明する。
[1]ポリオレフイン(ΠΑ)
ポリオレフイン (ΠΑ)につ 、ては、 <第一の態様にっ 、て >の [ 1 1]反応性基を 有しな 、ポリオレフイン (A1)の説明に準ずる。
[2]ポリオレフイン (ΠΑ)に酸性基が結合してなる重合体 (IIC1)
本発明における酸性基とは電子対受容性の基を指し、特に限定されないが例えば 、カルボン酸基( COOH)、スルホ基( SO H)、スルフィノ基( SO H)、ホスホ
3 2 ノ基(一 PO H)などが挙げられる。中でもカルボン酸基が好ましい。カルボン酸基は
2
、水に分散される前は、カルボン酸基、ジカルボン酸無水物基(一 CO— O— OC—) 、及びジカルボン酸無水物モノエステル基力 なる群より選ばれる少なくとも 1種であ ればよい(以下、これらをカルボン酸誘導体基と総称することがある。 ) oカルボン酸基 としては、例えば、(メタ)アクリル酸基、フマル酸基、マレイン酸基又はその無水物基 、ィタコン酸基又はその無水物基、クロトン酸基などが挙げられる。
[0277] 酸性基の結合量は、ポリオレフイン(ΠΑ) lg当たり 0. 4〜5mmol、即ち 0. 4〜5m molZgの範囲にある事が好ましい。より好ましい下限値は 0. 6mmolZgであり、更 に好ましい下限値は 0. 8mmolZgである。より好ましい上限値は 3mmolZgであり、 更に好ましい上限値は 1. 6mmolZgである。下限値より高いほど重合体 (IIC1)の 極性が増し親水性が増すため分散粒子径が小さくなる傾向にあり、上限値より低い ほど基材である結晶性のポリオレフインに対する密着性が増す傾向にある。なお、ジ カルボン酸無水物基は基中にカルボン酸基を 2つ含むとみなせるので、ジカルボン 酸無水物基 1モルは酸性基 (又は反応性基) 2モルと数える。
[0278] ポリオレフイン重合体 (IIC1)の製法については、 [3— 1]で後述する、ポリオレフィ ン (ΠΑ)に反応性基が結合してなるポリオレフイン (ΠΑ2)の製造方法と同様の方法を 用いうる。
[0279] [3]ポリオレフイン (ΠΑ)に親水性高分子 (ΠΒ)が結合してなる重合体 (IIC2)
ポリオレフイン (ΠΑ)と親水性高分子 (ΠΒ)の比率は通常、(ΠΑ): (IIB) = 100 : 5
〜: LOO : 500重量部である。この範囲より親水性高分子 (ΠΒ)の比率が小さいと、重 合体 (IIC2)が水中で良好に分散せず分散粒子径が非常に大きく凝集するか分離し てしまう場合がある。逆にこの範囲より親水性高分子 (ΠΒ)の比率が大きいと、ポリオ レフイン系成形体との密着性が悪くなる傾向がある。
[0280] ポリオレフイン (ΠΑ)と親水性高分子 (ΠΒ)を結合させ重合体 (IIC2)を製造する方 法としては、通常、ポリオレフイン (ΠΑ)存在下で極性モノマーを重合してポリオレフィ ン (ΠΑ)に結合した親水性高分子 (ΠΒ)を形成する方法 (IIR1)、又は予め重合した 親水性高分子 (ΠΒ)をポリオレフイン (IIA)に結合させる方法 (IIR2)が挙げられ、ポリ ォレフィン (IIA)や親水性高分子 (ΠΒ)の種類及び組合せ、目的とする重合体 (IIC2 )の特性等に応じて適宜選択すればよい。またポリオレフイン (ΠΑ)に直接親水性高 分子 (ΠΒ)を結合させてもよいし、以下に述べるポリオレフイン (ΠΑ)に反応性基が結 合してなる重合体 (ΠΑ2)を用い、これに親水性高分子 (ΠΒ)を結合させてもよ!、。
[0281] [3— 1]ポリオレフイン(ΠΑ)に反応性基が結合してなるポリオレフイン (ΠΑ2)
反応性基を有するポリオレフイン (ΠΑ2)としては、例えば、ポリオレフイン重合時に 反応性基を有しない不飽和化合物と反応性基を有する不飽和化合物とを共重合し た共重合体 (IIA2a)、又は、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をポリ ォレフィン (ΠΑ)にグラフト重合した重合体 (IIA2b)、不飽和末端基を持つポリオレフ インを 13族〜 17族の元素基等に変換した重合体 (IIA2c)を用 、ることができる。
[0282] ポリオレフイン(ΠΑ2)、共重合体(IIA2a)、重合体(IIA2b)、及び重合体(IIA2c) につ 、ての説明は、 <第一の態様にっ 、て >の [ 1 2]反応性基を有するポリオレ フィン (A2)の説明に準ずる。
[0283] [3— 2]親水性高分子 (ΠΒ)
親水性高分子 (ΠΒ)の説明は、 <第一の態様にっ 、て >の [2]親水性高分子 (B) の説明に準ずる。
[0284] [3— 3]重合体 (IIC2)の製造方法
ポリオレフイン (ΠΑ)と親水性高分子 (ΠΒ)を結合させ重合体 (IIC2)を製造する方 法としては、通常、ポリオレフインの存在下で親水性モノマーを重合してポリオレフィ ンに結合した親水性高分子 (ΠΒ)を形成する方法 (IIR1)、又は予め重合した親水性
高分子 (ΠΒ)をポリオレフインに結合させる方法 (IIR2)がある。
[0285] 重合体 (IIC2)の製造方法 (IIR1)の説明は、く第一の態様について〉の [3— 1] 重合体 (C)の製造方法 (R1)の説明に準ずる。重合体 (IIC2)の製造方法 (IIR2)の 説明は、く第一の態様について >の [3— 2]重合体 (C)の製造方法 (R2)の説明に 準ずる。
[0286] [4]変性ポリオレフイン (重合体 (IIC) )の水性榭脂分散体の製造方法
本発明の水性榭脂分散体の製造方法は、上述の変性ポリオレフイン (重合体 (IIC) )を、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0〜95. 0重量%である溶媒 (a)に溶解させる溶 解工程、これに水を加えて分散させる分散工程、及び、少なくとも該溶媒 (a)を留去 する留去工程を含む。
[0287] ある溶媒に対する水の溶解度とは、溶媒と水の相互溶解度のうち、その溶媒に飽 和溶解する水の量であり、溶媒に水が飽和溶解した溶液 lOOg中の水の含有量で表 す。水の溶解度を測定する方法は、例えば、 Solvents Guide (C.Marsden編、 Cleav er Hume Press Ltd., London (1963) p.73)等に記載の方法を用いることができる
[0288] 簡便には、「第 4版 実験化学講座 1 基本操作 1 日本化学会編 丸善出版」 153 頁を参考にすることができる。水と溶媒とを 20°Cにおいて十分撹拌し飽和平衡にな つた後静置し、 2相が完全に分離するのを待ち、上相又は下相をピペットなどでサン プリングし、ガスクロマトグラフィーなどで定量する。
[0289] 溶媒 (a)は、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0〜95. 0重量%である。水の溶解度 が 1. 0重量%未満では変性ポリオレフインの貧溶媒である水が良溶媒である溶媒 (a )に浸透せず、ポリオレフインが微細粒子を形成しないためである。好ましくは 3. 0重 量%以上であり、より好ましくは 5. 0重量%以上である。
[0290] 一方、水の溶解度が 95. 0重量%より多い場合は、水とともに留去した後の水との 液 液分離が不十分である。好ましくは 70. 0重量%以下であり、より好ましくは 50. 0重量%以下であり、更に好ましくは 40. 0重量%以下であり、最も好ましくは 30. 0 重量%以下である。
[0291] このような適度な水の溶解度を持つ溶媒として、好ましくは、アルコール、ケトン及び
エステル力もなる群より選ばれる 1以上が挙げられる。アルコール、ケトン、エステルは 水の溶解度が適度なだけでなぐ例えばアミン系溶媒のように反応性が高すぎず、ま たエーテル系溶媒のように酸ィ匕物を生成することがなく安定であり、一般に安価でも ある。
[0292] 例えば、アルコール類としては、 1 ペンタノール(7. 0重量0 /0)、シクロへキサノー ル(11. 0重量0 /0)、イソブタノール(16. 0重量0 /0)、 n—ブタノール(20. 0重量0 /0)、 2 ブタノ一ノレ (44. 0重量%)等が挙げられる。ケトン類としては、メチルプロピルケト ン(3. 3重量%)、シクロへキサノン(9. 5重量%)、メチルェチルケトン(10. 4重量% )等が挙げられる。エステル類としては、酢酸ブチル(1. 9重量%)、酢酸プロピル(2 . 9重量%)、酢酸ェチル(2. 9重量%)、酢酸メチル (8. 0重量%)等が挙げられる。 なお括弧内は 20°Cにおける水の溶解度を表す(出典:溶剤ハンドブック(講談社) 19 76年発行)。
これらの溶媒は単独で溶媒 (a)として用いることができる。
[0293] 2以上の溶媒を混合したものを溶媒 (a)として用いてもょ ヽ。この場合、混合後の 20 °Cにおける水の溶解度が上記範囲であればよい。例えば、芳香族系炭化水素、脂 肪族系炭化水素、脂環式脂肪族系炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ヱステル、ケト ンなどをその範囲で任意に混合して用いることができる。
但し、留去後の回収、再利用のしゃすさ等を考慮すると、溶媒 1種を単独で溶媒 (a )として用いることが好ましい。
[0294] 溶媒 (a)の使用量は、変性ポリオレフイン溶解後の濃度が 5〜50重量%の範囲で あることが好ましい。溶媒の使用効率を考慮すると、変性ポリオレフインの量に対して 溶媒 (a)が多すぎないことが望ましぐ 5重量%以上が好ましい。より好ましくは 10重 量%以上である。一方、溶液粘度が高すぎず均一な攪拌が行え、均一な分散体を得 るためには、 50重量%以下が好ましい。より好ましくは 40重量%以下である。
[0295] 変性ポリオレフインを、このような溶媒 (a)に溶解させる溶解工程の後、これに水を 加えて分散させる分散工程へ移る。溶解、分散時には必要に応じて加熱してもよい。 溶解工程及び Z又は分散工程は、通常、 20°C〜150°Cの温度範囲で行うことが好 ましい。一般的に温度が高いほうが溶解、分散が行い易い。より好ましくは 40°C以上
である。但し使用する溶媒の沸点が低いと蒸発が進む虞があるため、より好ましくは 1 00°C以下であり、更に好ましくは 80°C以下である。
[0296] また溶解工程及び Z又は分散工程は、通常、 IMPa以下の圧力下で行うことが好 ましい。より好ましくは 0. 5MPa以下であり、更に好ましくは 0. 2MPa以下である。伹 し、圧力は通常 0. OlMPa以上である。最も好ましくは 0. lOlMPa程度である。一 般に、高温'高圧であれば溶解、分散は行いやすいものの、高温'高圧に耐える高価 な装置を用いたり、高温 ·高圧とするため大きなエネルギーが必要となったりする。本 発明の水性榭脂分散体の製造方法によれば、高圧にする必要がなぐ榭脂の分散 が簡便に行えるので、高価な装置が不要であり大きなエネルギーも必要なぐ製造プ ロセス上、非常に有用である。
[0297] 分散工程においてカ卩える水の量は、溶媒 (a)の沸点によっても異なる力 通常、重 量比で溶媒 (a) :水= 5 : 95〜95 : 5の範囲とする。水の添加速度は、変性ポリオレフ インの溶媒 (a)溶液 lOOgに対し、水 100gであれば 0. 01時間〜 10時間程度の時間 をかけてカ卩えるのが好ましい。添加方法は特に限定されないが、通常、滴下にてカロえ る。
[0298] 次 、で、変性ポリオレフイン、溶媒 (a)、及び水の混合物から溶媒 (a)を留去する。
この際の圧力は特に限定されず、溶媒 (a)の沸点や分散体の温度にもよるが、通常 減圧下であり、好ましくは 0. 101MPa〜0. OOlMPaの範囲である。この時、通常、 一部の水も共に留出する。
[0299] 溶媒 (a)留去後の水性榭脂分散体中の溶媒 (a)の量は、通常 10重量%以下とする 。好ましくは 5重量%以下とし、更に好ましくは 2重量%以下とする。
水の添加と溶媒 (a)留去の順序は下記 (X)、 (y)、 (z)が考えられる力 この何れの 方法も用いうる。
(X)水を全量添加後、留去を行う。
(y)水を一部添加後、溶媒 (a)を一部留去する。この操作を繰り返し行う。 (z)水を添加しながら、溶媒 (a)を連続的に留去する。
[0300] [5]水性樹脂分散体
本発明の水性榭脂分散体の製造方法により、分散粒子径が細かぐかつ粒径分布
が狭い分散体が得られる。またこの分散体は、分散安定性にも優れている。
本発明により得られる水性榭脂分散体における榭脂 (変性ポリオレフイン)の分散粒 子径は、通常 50%粒子径で 10 μ m以下であり、好ましくは 1 μ m以下である。本発 明によれば、 50%粒子径を 0. 5 m以下とすることができ、より好ましくは 0.
以下、更に好ましくは 0. 以下、最も好ましくは 0. 1 m以下とすることができる 。同じく 90%粒子径を求めた場合、更に好ましくは 90%粒子径を 1 m以下とするこ とができ、特に好ましくは 0. 5 m以下とすることができる。分散粒子径を小さくするこ とで、分散安定性を向上させ、凝集が起きにくぐより安定に分散できる。また 90%粒 子径と 50%粒子径の比が小さくなることは、粒度分布が狭くなることを意味し結果とし て分散安定性が向上する。
[0301] 本発明により得られる水性榭脂分散体の、全体に対する固形分量は、好ましくは 5 重量%以上、より好ましくは 10重量%以上、さらに好ましくは 20重量%以上である。 また好ましくは 70重量%以下であり、より好ましくは 60重量%以下であり、更に好まし くは 50重量%以下であり、特に好ましくは 40重量%以下である。固形分の量が少な いほど粘度が低く種々の塗布方法に適用でき使用しやすぐまた分散体としての安 定性も高い傾向にある。ただし、例えばプライマーや接着剤として使用する際に、塗 布後の水の乾燥にあまり多量のエネルギーと時間をかけな 、ためには固形分が多!ヽ 方が好ましい。
[0302] 本発明の榭脂分散体には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、必要に応じ て水溶性榭脂又は水に分散しうる榭脂を混合し使用することができる。例えば基材フ イルムとの接着性や各種物性の改良、具体的には塗装外観の向上 (光沢の付与、或 いはツヤ消し)やタック性の低減、塗膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、耐溶剤性 などの改良が可能となる。例えば親水性高分子 (ΠΒ)として挙げたような榭脂が使用 できる。水に分散しうる榭脂としては例えば、アクリル榭脂、ポリエポキシ榭脂、ポリエ ステル樹脂、ポリウレタン榭脂、メラミン榭脂、アルキッド榭脂等が挙げられる。これら 榭脂を変性ポリオレフインと混合後、本発明の製造方法を用いて分散体とすることが できる。
[0303] 本発明の製造方法によれば、得られる榭脂分散体は、通常、界面活性剤含有量が
重合体 (IIC) 100重量部に対し 15重量部以下とすることができる。即ち樹脂の分散 粒子径が非常に小さぐかつ界面活性剤をごく少量か又は実質的に含まない。従来 、特に水性榭脂分散体にお!、ては界面活性剤を多量に用いな 、と分散粒径が細か く安定した分散体が得られない問題があつたが、本発明の製造方法によれば上述の 通り分散性に優れた分散体が得られるので界面活性剤を多量に用いる必要がな 、。 これにより、本榭脂分散体を塗料として用いたときに、ブリードアウトを抑制でき外観 に優れた塗装品が得られる利点があり、本榭脂分散体を塗装の最表面の塗料として 用いることができる。また、塗装の耐水性ゃ耐油性 (耐 GH性)を向上させることができ 、得られる榭脂分散体は密着性、耐水性、耐湿性、耐油性 (耐 GH性)、耐薬品性の V、ずれにも優れたものとなる。
[0304] 界面活性剤量は少ない方が好ましぐ榭脂分散体の界面活性剤含有量が、重合体
(IIC) 100重量部に対し 10重量部以下であることが好ましい。より好ましくは 5重量部 以下、更に好ましくは 2重量部以下である。界面活性剤を実質的に含まないこともで きる。実質的に界面活性剤を含まないとは重合体 (IIC) 100重量部に対して 1重量 部未満であることを言う。界面活性剤としては、 <第一の態様について >の [5]に挙 げたものなどを用いうる。
[0305] 本発明の製造方法により得られる榭脂分散体には、必要に応じて、酸性物質や塩 基性物質、添加剤、親水性有機溶媒等を含有させることができる。これらの説明は < 第一の態様にっ 、て >の [5]の説明に準ずる。
[0306] 本発明の製造方法により得られる榭脂分散体を塗料として基材に塗布し、加熱する ことで榭脂層を形成し、積層体とすることができる。基材はフィルム、シート、板状体等 、形状は問わない。この積層体は自動車用、家電用、建材用など各種用途に用いる ことができる。
[0307] <第四の態様について >
本発明の第四の態様の変性ポリオレフインと水とを含む榭脂分散体の製造方法は 、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0重量%未満である溶媒 (al)に変性ポリオレフイン が溶解されてなる溶液に対し、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0重量%以上の溶媒( a2)及び水を加えて分散させる分散工程、及び、少なくとも該溶媒 (al)及び溶媒 (a
2)を留去する留去工程を含むものである。
[0308] 即ち上記変性ポリオレフインを、予め水の溶解性が低!、溶媒 (al)に溶解させてお き、ここに、水への溶解性が高い溶媒 (a2)と水とをカ卩えて変性ポリオレフインを分散さ せ、その後、溶媒 (al)と溶媒 (a2)を留去することで、分散粒子径が細かぐ粒径分 布が狭ぐ安定に分散した水性榭脂分散体を得ることができる。
[0309] 本発明の変性ポリオレフインは、親水性高分子及び Z又は酸が結合したポリオレフ イン、即ち、親水性高分子及び Z又は酸により変性されたポリオレフインを意味する。 このような重合体は水への分散性に優れ、好ま 、。
[0310] ところでポリオレフインは疎水性が高ぐそのため変性工程の溶媒としても通常、溶 媒 (al)のように水の溶解度が低!、溶媒が用いられる。つまり溶媒 (al)としてはポリオ レフインの変性工程等で用いた溶媒をそのまま用いることができるので、変性工程終 了後、一旦溶媒を除去したり蒸発乾固させたりする必要がなぐ変性ポリオレフインが 溶媒に溶解した溶液のまま次の分散プロセスを行うことができる。従って製造工程が 大幅に簡略ィ匕できる。
変性ポリオレフインにっ 、ての説明はく第三の態様にっ 、て >の [1]〜 [3]の説明 に準ずる。
[0311] [4]変性ポリオレフイン (重合体 (IIC) )の水性榭脂分散体の製造方法
本発明の水性榭脂分散体の製造方法は、上述の変性ポリオレフイン (重合体 (IIC) )が、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0重量%未満である溶媒 (al)に溶解されてなる 溶液に対し、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0重量%以上の溶媒 (a2)及び水を加え て分散させる分散工程、及び、少なくとも該溶媒 (al)及び溶媒 (a2)を留去する留去 工程を含む。
[0312] 溶媒 (al)は 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0重量%未満である。 1. 0重量%以上 では通常、ポリオレフインの溶解性に乏しぐポリオレフインの重合や変性の際の溶媒 として用いるのが困難である。好ましくは 0. 8重量%以下であり、より好ましくは 0. 5 重量%以下であり、更に好ましくは 0. 3重量%以下である。水の溶解度の下限値は 特に無いが、発明の目的に照らして、ポリオレフインやその変性ポリオレフインを溶解 しうる溶媒である必要がある。
[0313] このような水の溶解度を持つ溶媒として、好ましくは、ハロゲンィ匕されていてもよい炭 化水素系溶媒が挙げられる。具体的には芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び ノ、ロゲンィ匕炭化水素からなる群より選ばれる 1以上が挙げられる。
[0314] 例えば、芳香族系炭化水素としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。脂肪族炭 化水素は鎖式、環式の両方を含み、へキサン、オクタン、デカン、シクロへキサン、メ チルシクロへキサン等が挙げられる。ハロゲンィ匕炭化水素としては塩化メチレン、四 塩化炭素、クロルベンゼン等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で溶媒 (al)として用いることができる。環境面からはハロゲン を含まな 、炭化水素系溶媒がより好まし 、。
[0315] 溶媒 (a2)は、 20°Cにおける水の溶解度が 1. 0重量%以上である。水の溶解度が 1 . 0重量%未満では変性ポリオレフインの貧溶媒である水が良溶媒である溶媒 (a)に 浸透せず、ポリオレフインが微細粒子を形成しないためである。好ましくは 20. 0重量 %以上であり、さらに好ましくは 50. 0重量%以上であり、さらに好ましくは 80. 0重量 %以上であり、より好ましくは完全に混和する(水の溶解度が無限大)ことである。 このような適度な水の溶解度を持つ溶媒として、好ましくは、ケトン、アルコール及び エーテル力もなる群より選ばれる 1以上が挙げられる。
[0316] 例えば、ケトン類としては、アセトン (無限大)、メチルェチルケトン(10. 4重量0 /0)、 メチルプロピルケトン(3. 3重量0 /0)、シクロへキサノン(9. 5重量0 /0)等が挙げられる。 アルコール類としては、メタノール(無限大)、エタノール(無限大)、 n プロパノール (無限大)、イソプロパノール(無限大)、 n—ブタノール(20重量%)、 2—ブタノール( 44重量%)、イソブタノール(16重量%)、 1 ペンタノール(7重量%)、シクロへキサ ノール(11重量0 /0)、エチレングリコール(無限大)、 1, 2—プロピレングリコール(無 限大)、 1, 3 プロピレングリコール (無限大)、 2—メトキシエタノール (無限大)、 2— エトキシエタノール(無限大)、 2—ブトキシエタノール(無限大)、 2—メトキシプロパノ ール (無限大)、 2—エトキシプロパノール (無限大)、ジアセトンアルコール (無限大) 等が挙げられる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン (無限大)等が挙げられる。な お括弧内は 20°Cにおける水の溶解度を表す(出典:溶剤ハンドブック(講談社) 197 6年発行)。
これらの溶媒は単独で溶媒 (a2)として用いることができる。
[0317] 溶媒 (a2)の沸点は水よりも低いことが好ましい。即ち沸点が 100°C未満である。分 散後に留去して除きやすいためである。好ましくは沸点が 95°C以下であり、より好ま しくは 90°C以下である。具体的には n—プロパノール、イソプロパノール、 2—ブタノ ール、アセトン、メチルェチルケトンなどが挙げられる。
[0318] 2以上の溶媒を混合したものを溶媒 (al)や (a2)として用いてもよい。この場合、混 合後の 20°Cにおける水の溶解度が上記範囲であればよい。但し、留去後の回収、 再利用のしゃすさ等を考慮すると、溶媒 1種を単独で溶媒 (al)や (a2)として用いる ことが好ましい。
[0319] 溶媒 (al)の使用量は、変性ポリオレフイン溶解後の濃度が 5〜60重量%の範囲で あることが好ましい。溶媒の使用効率を考慮すると、変性ポリオレフインの量に対して 溶媒 (al)が多すぎないことが望ましぐ 5重量%以上が好ましい。より好ましくは 10重 量%以上である。一方、溶液粘度が高すぎず均一な攪拌が行え、均一な分散体を得 るためには、 60重量%以下が好ましい。より好ましくは 50重量%以下である。
[0320] 変性ポリオレフインは、予めこのような溶媒 (al)に溶解されてなる。溶解時には必要 に応じて加熱してもよぐ通常、 20°C〜150°Cの温度範囲である。また通常、 IMPa 以下の圧力下で行われる。最も好ましくは 0. lOlMPa程度である。但し、圧力は通 常 0. OlMPa以上である。
[0321] 次 、で、この溶液に溶媒 (a2)と水を加えて分散させる分散工程へ移る。分散時に も必要に応じて加熱してもよい。分散工程は、通常、 20°C〜150°Cの温度範囲で行 うことが好ましい。一般的に温度が高いほうが分散が行い易い。より好ましくは 40°C 以上である。但し使用する溶媒の沸点が低いと蒸発が進む虞があるため、より好まし くは 100°C以下であり、更に好ましくは 80°C以下である。
[0322] また分散工程は、通常、 IMPa以下の圧力下で行うことが好ましい。より好ましくは 0 . 5MPa以下であり、更に好ましくは 0. 2MPa以下である。但し、圧力は通常 0. 01 MPa以上である。最も好ましくは 0. lOlMPa程度である。一般に、高温'高圧であ れば分散は行いやすいものの、高温 '高圧に耐える高価な装置を用いたり、高温-高 圧とするため大きなエネルギーが必要となったりする。本発明の水性榭脂分散体の
製造方法によれば、高圧にする必要がなぐ榭脂の分散が簡便に行えるので、高価 な装置が不要であり大きなエネルギーも必要なぐ製造プロセス上、非常に有用であ る。
[0323] 分散工程において加える溶媒 (a2)と水の量は、溶媒 (al)、溶媒 (a2)の沸点によ つても異なるが、通常、重量比で [溶媒 (al) ]: [溶媒 (a2) +水] = 5 : 95〜95 : 5の範 囲とする。好ましくは10 : 90〜50 : 50でぁる。
また、溶媒 (a2)と水の量は、通常、重量比で(a2) :水= 5 : 95〜95 : 5の範囲とする 。好ましくは20 : 80〜80 : 20でぁる。
[0324] 留去工程を行うに際し、溶媒 (al)、溶媒 (a2)及び水の共沸点での溶媒 (al)の組 成分率より溶媒 (al)の組成分率が小さ!、ことが望ま 、。溶媒 (al)が優先的に留去 されやす ヽため、水性榭脂分散体を製造しやす!ヽためである。
[0325] 水と溶媒 (a2)の添加速度は、変性ポリオレフインの溶媒 (al)溶液 lOOgに対し、水 と溶媒 (a2)の合計 lOOgであれば 0. 01時間〜 10時間程度の時間をかけてカ卩える のが好ましい。添加方法は特に限定されないが、通常、滴下にてカ卩える。
[0326] 次いで、変性ポリオレフイン、溶媒 (al)、溶媒 (a2)、及び水の混合物から溶媒 (al )、溶媒 (a2)を留去する。この際の圧力は特に限定されず、溶媒 (al)、溶媒 (a2)の 沸点や分散体の温度にもよる力 通常減圧下であり、好ましくは 0. 101MPa〜0. 0 OlMPaの範囲である。この時、通常、一部の水も共に留出する。
溶媒 (al)、溶媒 (a2)留去後の水性樹脂分散体中の溶媒 (al)及び溶媒 (a2)の合 計量は、通常 10重量%以下とする。好ましくは 5重量%以下とし、更に好ましくは 2重 量%以下とする。
[0327] 水の添加と溶媒 (al)、溶媒 (a2)の留去の順序は下記 (x)、 (y)、 (z)が考えられる 力 この何れの方法も用いうる。
(X)水と溶媒 (a2)を全量添加後、溶媒 (al)と溶媒 (a2)の留去を行う。
(y)水と溶媒 (a2)を一部添加後、溶媒 (al)と溶媒 (a2)を一部留去する。この操作 を繰り返し行う。
(z)水と溶媒 (a2)を添加しながら、溶媒 (al)と溶媒 (a2)を連続的に留去する。
[0328] ところで、本発明の変性ポリオレフインは一般に以下の工程により製造される。
まず前述したようなォレフィンモノマーの重合反応によりポリオレフインを得る重合ェ 程、次!、でこのポリオレフインに酸及び Z又は親水性高分子を反応させ結合させる 変性工程により、変性ポリオレフインを得る。通常は、まずポリオレフインに酸を結合さ せる第一変性工程を行 、酸変性ポリオレフインを得、必要に応じて更に親水性高分 子を結合させる第二変性工程を行い親水性高分子変性ポリオレフインを得る。
[0329] 本発明にお 、ては、これらの工程の溶媒として溶媒 (al)を用いることが望ま 、。
即ち、変性工程を前記溶媒 (al)中で行うのである。変性工程後の反応液は、溶媒( al)に変性ポリオレフインが溶解された溶液であるため、これをこのまま分散工程に使 用することができる。このように多くのプロセスで一貫して同じ溶媒を用いることで、ェ 程毎に濃縮乾固、精製、溶解を繰り返す必要が無ぐプロセスを簡略ィ匕でき、コスト 面、環境面など多くの面で非常に有用である。より望ましくは、重合工程も前記溶媒( al)中で行う。
[0330] 本発明の水性榭脂分散体の製造方法にお!、てはまた、変性工程後の反応液とし て得られた、溶媒 (al)に変性ポリオレフインが溶解された溶液を、溶媒 (al)に対す る 20°Cにおける溶解度が 1. 0重量%未満である溶媒 (a3)で洗浄する洗浄工程を含 むことが望ましい。洗浄工程及びこれに関連するプロセスについては [5]に詳述する
[0331] [5]変性ポリオレフイン溶液の製造方法
本発明の変性ポリオレフイン溶液の製造方法は、溶媒 (bl)中でポリオレフインを変 性反応させて変性ポリオレフインを含む溶液を得る変性工程の後、この溶液を、前記 溶媒 (bl)に対する 20°Cにおける溶解度が 1. 0重量%未満である溶媒 (b2)で洗浄 する洗浄工程を行うものである。
即ち溶媒 (bl)に対する貧溶媒である溶媒 (b2)で洗浄するのである。
[0332] 溶媒 (bl)は、ポリオレフインと変性ポリオレフインの双方を溶解しうるものであって変 性反応を行い得る溶媒であれば特に限定されないが、溶解性、反応性の点で好まし くは、ハロゲン化されていてもよい炭化水素系溶媒である。具体的には芳香族炭化 水素、脂肪族炭化水素、及びハロゲンィ匕炭化水素力もなる群より選ばれる 1以上が 挙げられる。例えば、芳香族系炭化水素としては、トルエン、キシレン等が挙げられる
。脂肪族炭化水素は鎖式、環式の両方を含み、へキサン、オクタン、デカン、シクロ へキサン、メチルシクロへキサン等が挙げられる。ハロゲンィ匕炭化水素としては塩化メ チレン、四塩化炭素、クロルベンゼン等が挙げられる。
[0333] 溶媒 (b2)は、溶媒 (bl)に対する 20°Cにおける溶解度が 1. 0重量%未満であって 、上記溶液中の不純物 (未反応物、副反応物等)を抽出除去しうるものであれば特に 限定されず、水、アルコールなどが挙げられる力 好ましくは水である。
[0334] 洗浄方法は、通常、まず変性ポリオレフインの溶媒 (bl)溶液に、溶媒 (b2)を加え て攪拌又は振とうを行った後、静置し、溶媒 (bl)層と溶媒 (b2)層とに分離した後、 溶媒 (b2)層を抜き出す。この作業を 1サイクルとして、これを 1回以上行う。数回繰り 返すことにより不純物の除去率を上げることができる。繰り返し回数は特に限定され ず、不純物が十分に除去できればよいが、通常 30回程度までである。
[0335] 1回の洗浄で使用する溶媒 (b2)の量は特に限定されないが、溶媒 (bl)に対して 重量比で通常 1Z10〜: LO倍程度である。
攪拌又は振とうを行う時間も特に限定されないが、通常、 1分〜 10時間程度である
[0336] 洗浄の際の溶媒 (b2)の温度は、溶媒 (bl)、 (b2)の沸点にも依るが、通常、 5〜9 0°Cである。不純物の抽出除去性能を高めるためには温度が 5°Cより高いほうが好ま しい。より好ましくは 15°C以上であり、更に好ましくは 25°C以上であり、特に好ましく は 35°C以上である。一方、変性ポリオレフインの劣化を防ぎ、また作業性を高めるた めには温度は 90°Cより低い方が好ましい。より好ましくは 80°C以下であり、更に好ま しくは 70°C以下である。
[0337] 溶媒 (b2)として水を用いる場合は、洗浄工程後、溶液カゝらできるだけ水を除くため に脱水工程を行うことが好ましい。脱水方法は特に限定されないが、例えばディーン 'スターク(Dean— Stark)脱水装置等を用いることができる。
[0338] ポリオレフインの変性工程については、 [2]項、 [3]項で説明したようなポリオレフィ ンに酸及び Z又は親水性高分子を反応させ結合させる変性工程が挙げられる。 例えば、まずポリオレフインと酸を反応させ酸性基を結合させて酸変性ポリオレフィ ン溶液を得る第一変性工程を行い、必要に応じて、更に親水性高分子を結合させて
親水性高分子変性ポリオレフイン溶液を得る第二変性工程を行う。
[0339] 酸性基としては [2]で挙げたものを用いうる力 好ましくはカルボン酸基であり、なか でも好ましくは反応活性の高!、ジカルボン酸無水物基( CO— O— OC )である。 つまり、ポリオレフインをジカルボン酸無水物と反応させて、ジカルボン酸無水物基が 結合したポリオレフインを含む溶液を得る。
親水性高分子としては、 [3]で挙げたものを用いうる。第一変性工程のみ行う場合、 洗浄工程はその後に行う。
[0340] 第一変性工程と第二変性工程の両方を行う場合は、その何れか一方の後に行って もよいし、それぞれの後に行ってもよい。好ましくは、少なくとも第一変性工程の後に 行う。不純物による第二変性工程への影響を低減しうる。
[0341] 第一変性工程でジカルボン酸無水物基が結合したポリオレフインを含む溶液を得 た後、洗浄工程を経て第二変性工程を行う場合、洗浄工程後に溶液中に水が残存 すると、ジカルボン酸無水物基の閉環を阻害し、第二変性工程で親水性高分子との 反応性が低下する虞がある。従って、洗浄工程後に脱水工程を行ってジカルボン酸 無水物基を十分に閉環させた後、第二変性工程を行うことが望ましい。
[0342] 従来、洗浄工程としては、ポリオレフインの変性工程後の反応液を濃縮乾固し、ァ セトン等に溶解させた後、再沈殿を繰り返して精製を行う方法が一般的であつたが、 本発明によれば、反応液のままで上述したような洗浄を行うので、濃縮乾固、精製、 溶解を繰り返す必要が無ぐプロセスを簡略ィ匕でき、コスト面、環境面など多くの面で 非常に有用である。
[0343] [6]水性樹脂分散体
本発明の製造方法により得られる水性榭脂分散体に関する説明は、 <第三の態様 につ 、て >の [5]の説明に準ずる。
実施例
[0344] 次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない 限り、以下の実施例に制限されるものではな 、。
[物性測定方法及び評価方法]
(1)立体規則性
(1 1)ポリプロピレンの立体規則性
ポリプロピレンの立体規則性 [mmmm]は、 NMR装置(日本電子社製、 400MHz )にて13 C— NMR ^ベクトル測定法により測定した。試料 350〜500mgを、 10mm の NMR用サンプル管中で、約 2. 2mlのオルトジクロロベンゼンを用いて完全に溶解 させた。次いで、ロック溶媒として約 0. 2mlの重水素化ベンゼンを加え、均一化させ た後、 130°Cでプロトン完全デカップリング法により測定を行った。測定条件は、フリツ プアングル 90° 、パルス間隔 5T以上 (Tは、メチル基のスピン格子緩和時間のうち 最長の値)とした。プロピレン系重合体において、メチレン基及びメチン基のスピン格 子緩和時間はメチル基のそれよりも短いので、この測定条件では、すべての炭素の 磁ィ匕の回復は 99%以上である。 20時間以上の積算を行い測定した。
[0345] (1 - 2)プロピレン ブテン共重合体におけるプロピレンの含量 [P]
プロピレンーブテン共重合体におけるプロピレンの含量 [P]は、 NMR装置(日本電 子社製、 400MHz)にて13 C— NMRスペクトル測定法により測定した。試料 350〜5 OOmgを、 10mm φの NMR用サンプノレ管中で、約 2. 2mlのオルトジクロロベンゼン を用いて完全に溶解させた。次いで、ロック溶媒として約 0. 2mlの重水素化ベンゼン を加え、均一化させた後、 130°Cでプロトン完全デカップリング法により測定を行った 。測定条件は、パルス角 90° 、パルス間隔パルス間隔 10秒、積算回数 6000回で測 し 7こ。
プロピレン及びブテンのケミカルシフト及び含量 ίお. C. Randall, Macromolec ules, 11, 592 (1978)の記載を参考にして算出した。
[0346] (2)分子量
はじめに試料 20mgを 30mlのバイアル瓶に採取し、安定剤として BHTを 0. 04重 量0 /0含有するオルトジクロロベンゼン 20gを添カ卩した。 135°Cに加熱したオイルバス を用いて試料を溶解させた後、孔径 3 μ mの PTFE (ポリテトラフルォロエチレン)フィ ルターにて熱濾過を行い、ポリマー濃度 0. 1重量%の試料溶液を調製した。次に、 カラムとして TSKgel GM H— HT(30cm X 4本)及び RI検出器を装着したウォー ターズ (Waters)社製 GPC150CVを使用し、 GPC測定を行った。測定条件としては 、試料溶液のインジェクション量: 500 μ 1、カラム温度: 135°C、溶媒:オルトジクロロ
ベンゼン、流量: 1. OmlZminを採用した。
[0347] 分子量の算出に際しては、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、 該ポリスチレン標準試料及びポリプロピレンの粘度式から、保持時間と分子量に関す る校正曲線を作成し、プロピレン系重合体の分子量の算出を行った。
粘度式としては [ 7? ] =Κ· Μ αを使用し、ポリスチレンに対しては、 Κ= 1. 38Ε-4 、 a =0. 70を、プロピレン系共重合体に対しては K= l . 03Ε— 4、 a =0. 78を使 用した。
[0348] (3)グラフト率
重合体 200mgとクロ口ホルム 4800mgを 10mlのサンプル瓶に入れて 50°Cで 30分 加熱し完全に溶解させる。材質 NaCl、光路長 0. 5mmの液体セルにクロ口ホルムを 入れ、ノ ックグラウンドとした。次に溶解した重合体溶液を液体セルにいれて、 日本 分光社製 FT— IR460plusを用い、積算回数 32回にて赤外線吸収スペクトルを測定 した。無水マレイン酸のグラフト率は、無水マレイン酸をクロ口ホルムに溶解した溶液 を測定し検量線を作成したものを用いて計算した。そしてカルボ-ル基の吸収ピーク (1780cm_1付近の極大ピーク、 1750〜1813cm_1)の面積力ら、別途作成した検 量線に基づき、重合体中の酸成分含有量を算出し、これをグラフト率 (重量%)とした
[0349] (4)分散粒子径
日機装社製マイクロトラック UPA (モデル 9340 バッチ型 動的光散乱法 Zレー ザ一ドップラー法)を用いて測定した。分散体の密度を 0. 9gZcm3、粒子形状を真 球形、粒子の屈折率を 1. 50、分散媒を水、分散媒の屈折率を 1. 33として、測定時 間 120秒又は 180秒にて測定し、体積換算として粒径が細かい方から累積で 50% 粒子径 (体積平均粒子径)、 90%粒子径を求めた。
[0350] (5)貯蔵安定性
榭脂分散体を固形分が 20重量%になるように濃度調整した後、容量 50mlの密閉 容器に入れ 40°Cの恒温器中で 3ヶ月貯蔵し、貯蔵後の分散粒子径を測定した。貯 蔵前後で分散粒子径に殆ど変化がな力 たものを〇、分散粒子径が大きくなつたも の(凝集したもの)を Xとした。
[0351] (6)起泡性
試料 10gを 30mlのサンプル瓶にとり、ペイントシェーカーにて 1分間激しく攪拌する 。サンプル瓶を静置し、 3分後に泡の状態を目視にて確認した。
〇:泡立ちが見られないか、またはわずかである
X:泡立ちが激しい
[0352] (7)密着性 100
自動車外装用グレードのポリプロピレンを、 70mm X 150mm X 3mmにインジエタ シヨン成形した基板を作製し、基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した。ここに 、固形分 20重量%になるように濃度調整した榭脂分散液を塗布量約 5〜: LOgZm2と なるように噴霧塗布した。次にこの塗布後の試験片をセーフベンドライヤ一中で 80°C で 10分乾燥した後、 25°Cで 1時間静置した。次いでその塗膜の上からベースコート としてアクリルポリオールウレタン塗料レタン PG80III (関西ペイント社製)を、所定の 硬化剤を配合し、さらに専用シンナーで粘度調整を行い、乾燥塗布量が 50〜60gZ m2になるように噴霧塗布し、 80°Cで 30分焼き付けし塗装板を得た。
[0353] 25°Cで 24時間放置後、 JIS K 5400に記載されている碁盤目試験の方法に準じ て碁盤目を付けた試験片を作成し、セロハンテープ (ニチバン社品)を貼り付けた後 、 90度方向に剥離し、碁盤目 100のうち剥離されな力つた碁盤目数にて評価した。
[0354] (8)密着性 25
自動車内装用グレードのポリプロピレンを 70mm X 150mmX 3mmにインジェクシ ヨン成形した基板 (試験片)を作製し、基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した 。ここに試料を、塗布後の乾燥重量が約 15gZm2となるように噴霧塗布した。次にこ の塗布後の試験片をセーフベンドライヤ一中で 70°Cで 20分焼付けし塗装板を得た
[0355] 23°Cで 24時間放置後、 JIS K 5400に記載されている碁盤目試験の方法に準じ て 2mm間隔で 25マス(5 X 5)の碁盤目を付けた試験片を作成し、セロハンテープ( -チバン社品)を貼り付けた後、 90度方向に剥離させ、 25個の碁盤目のうち剥離さ れな力つた碁盤目数にて評価した。
[0356] (9)ブリードアウト
密着性 25試験と同様に作成した塗装板を 40°Cの状態に 3日間放置後、塗装板 の外観を目視及び指触し、塗膜表面への界面活性剤のブリードアウトの有無、及び その状態を以下の基準で判定した。
〇:界面活性剤のブリードアウト無し
△:界面活性剤がわずかにブリードアウトして ヽる
X:界面活性剤がブリードアウトしていて、指で触るとべたつく
[0357] (10)耐水性
密着性— 100試験と同様に作成した塗装板を、 40°Cの温水中に 10日間浸漬し、 塗装外観を目視判定した。さらに、碁盤目試験を行い、碁盤目 100のうち剥離されな 力つた碁盤目数にて評価した。
[0358] (l l) ffif G»
密着性— 100試験と同様に作成した塗装板を、 20°Cに保ったレギュラーガソリンと エタノールとの混合液 (体積比:レギュラーガソリン Zエタノール = 9Z1)中に浸漬し て、剥離が 5mmになるまでの時間を測定した。
[0359] (12)耐湿性
密着性 25試験と同様に作成した塗装板を、 50°C、相対湿度 95%の状態に 1週 間放置し、塗装外観を目視判定した。また密着性— 25試験の場合と同様に碁盤目 試験を行 、、 25個の碁盤目のうち剥離されな力つた碁盤目数にて評価した。
[0360] (13)耐牛脂性
密着性— 25試験と同様に作成した塗装板に、牛脂 (和光純薬社製 '試薬グレード) を塗布量が約 2gZl00cm2となるように塗布し、 80°Cの状態に 1日間放置した。表面 に塗布した牛脂を中性洗剤を用いて洗浄した後に、塗膜外観を目視判定した。
〇:良好
X:塗膜の膨れ、破れが見られる
[0361] [使用物質]
ジェファーミン M— 1000 :メトキシポリ(ォキシエチレン Zォキシプロピレン) 2—プ 口ピルアミン (ノヽンッマン社製ポリエーテルァミン、分子量 1000 (公称値) )
MD- 1200:東洋紡社製バイロナール MD— 1200 (水性ポリエステル榭脂分散体
、固形分濃度 35%、榭脂 Tg : 67°C、平均粒子径: 0. 08 m)
BD- 2250:大日本インキ社製ボンディック 2250 (水性ポリウレタン榭脂分散体、 榭脂固形分 35%、平均粒子径: 0. 105 m)
ES— 20 :中央理ィ匕工業社製リカボンド ES— 20 (水性アクリル榭脂分散体、固形分 濃度 44%、榭脂 Tg :47°C、平均粒子径: 0. 10 ^ m)
EH— 801:東洋化成社製ノヽードレン EH— 801 (水性塩素化プロピレン系重合体 榭脂分散体、固形分濃度 30%、平均粒子径: 0. 036 ^ m,界面活性剤量: 30重量
%)
シックナー 636 (増粘剤):サンノプコ社製 SN シックナー 636
[0362] <第一の態様の実施例 >
[製造例 1 1:ポリプロピレンの製造]
1, 000ml丸底フラスコに、脱塩水 110ml、硫酸マグネシウム · 7水和物 22. 2gおよ び硫酸 18. 2gを採取し、攪拌下に溶解させた。この溶液に、市販の造粒モンモリロ ナイト (水澤ィ匕学社製ベンクレイ SL) 16. 7gを分散させ、 2時間かけて 100°Cまで昇 温し、 100°Cで 2時間攪拌を行った。その後、 1時間かけて室温まで冷却し、得られた スラリーを濾過してウエットケーキを回収した。回収したケーキを 1, 000ml丸底フラス コにて、脱塩水 500mlにて再度スラリー化し、濾過を行った。この操作を 2回繰り返し た。最終的に得られたケーキを、窒素雰囲気下 110°Cで終夜乾燥し、化学処理モン モリロナイト 13. 3gを得た。
[0363] 得られた化学処理モンモリロナイト 4. 4gに、トリェチルアルミニウムのトルエン溶液( 0. 4mmolZml) 20mlを加え、室温で 1時間攪拌した。この懸濁液にトルエン 80ml を加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を 2回繰り返した後、トルエンを加えて、 粘土スラリー (スラリー濃度 = 99mg粘土 Zml)を得た。
[0364] 別のフラスコに、トリイソブチルアルミニウム(東ソ一'ァクゾ社製) 0. 2mmolを採取 し、ここで得られた粘土スラリー 19ml及びジクロロ [ジメチルシリレン (シクロペンタジ ェ -ル)(2, 4 ジメチルー 4H— 1—ァズレ -ル)ハフニウム 131π^ (57 πιο1)のト ルェン希釈液を加え、室温で 10分間撹拌し、触媒スラリーを得た (触媒の製造方法 等 ίこつ ヽて ίま特開 2004 002310を参照)。
[0365] 次 、で、内容積 24リツターの誘導攪拌式オートクレープ内に、トルエン 11L、トリイソ ブチルアルミニウム 3. 5mmolおよび液体プロピレン 2. 64Lを導入した。室温で、上 記触媒スラリーを全量導入し、 67°Cまで昇温し重合時の全圧を 0. 65MPaで一定に 保持しながら、同温度で 2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパ ージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量 回収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、 13. 5重量%のプロピレン重合体ト ルェン溶液を 11kg (1. 5kgプロピレン重合体)得た。得られたポリプロピレンの重量 平均分子量は 191, 000、立体規則性 [mmmm]は 45. 8%であった。
[0366] [製造例 1 2:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン 650g、製造例 1—1で得られたポリプロピレン 350gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、 110°Cに 昇温した。昇温後、無水マレイン酸 14gをカ卩え、 t ブチルパーォキシイソプロビルモ ノカルボナート(日本油脂社製パーブチル 1) 4. 7gを加え、 10時間同温度で攪拌を 続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈 殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿'濾別を繰り返し、最終的に得られ たポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することによ り、白色粉末状の変性ポリマーが得られた。この変性ポリマーの赤外線吸収スぺタト ル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は、 1. 25重量%(無水 マレイン酸基として 0. 125mmolZg、反応性基としては 0. 25mmolZg)であった。 また重量平均分子量は 120, 000であった。
[0367] [製造例 1 3:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
無水マレイン酸の量を 28g、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートの 量を 9. 3gにした以外は製造例 1—2と同様にして行った。無水マレイン酸基の含量( グラフト率)は、 2. 4重量% (無水マレイン酸基として 0. 24mmolZg、反応性基とし ては 0. 48mmolZg)であった。また重量平均分子量は 100, 000であった。
[0368] [製造例 1 4:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
無水マレイン酸の量を 21g、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートの 量を 7. Ogにした以外は製造例 1—2と同様にして行った。無水マレイン酸基の含量(
グラフト率)は、 1. 6重量% (無水マレイン酸基として 0. 16mmolZg、反応性基とし ては 0. 32mmolZg)であった。また重量平均分子量は 110, 000であった。
[0369] [製造例 1 5 :顔料分散ペーストの製造]
水溶性アクリル榭脂(ジョンソンポリマー社製ジョンクリル 683 (榭脂酸価 160mgKO H/g) )を 2—ァミノ 2—メチルプロパノールで中和し水に溶解した。
この水溶液(固形分濃度 25重量%) 20g、カーボンブラック (三菱ィ匕学社製) 7. 5g 、酸ィ匕チタン (堺ィ匕学工業社製、 R— 5N) 60g、消泡剤 (エアープロダクツ社製、サー フィノール 440) 2. 5g、イオン交換水 60g、及びジルコ-ァビーズ 150gを混合し、ぺ イントシエーカーにて 30分間攪拌し分散した。分散液を 400メッシュの金網でろ過し 、固形分濃度が 50重量%の顔料分散ペーストを得た。
[0370] [製造例 1 6:無水マレイン酸変性ポリプロピレン溶液の製造]
重合時の温度を 71°C、および系内の水素濃度を 8600ppmになるように導入した 以外は全て製造例 1— 1と同様にしてポリプロピレンを製造し、プロピレン重合体の 1 5. 5重量0 /0トルエン溶液を 11. 3kg (プロピレン重合体 1. 75kgに相当)得た。得ら れたポリプロピレンの重量平均分子量は 38, 000、立体規則性 [mmmm]は 38. 9 %であった。
[0371] 還流冷却管、温度計、攪拌機のつ!、たガラスフラスコ中に、得られたポリプロピレン 300gとトルエン 200gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、 110°Cに昇温した。昇温 後、無水マレイン酸 9. Ogを加え、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナー ト(日本油脂社製、パーブチル 1) 4. 5gを加え、 7時間同温度で攪拌を続けて反応を 行った。反応終了後、トルエン 250gを加えて固形分濃度を 40重量%に希釈し、液 温を 60°Cにした。
[0372] ここに 60°Cの温水を 1200g添カ卩して 30分間激しく攪拌した後に静置してトルエン 層と水層に分離し、水層を除去し、未反応の無水マレイン酸及び無水マレイン酸由 来の副生成物を除去した (温水洗浄)。この温水洗浄を更に 3回繰り返した後、得ら れたトルエン層を加熱し脱水することにより、無水マレイン酸変性ポリプロピレンのトル ェン溶液(固形分濃度: 40重量%)が得られた。
[0373] この変性ポリマーの一部を採取し加熱乾燥して赤外線吸収スペクトル測定を行った
結果、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は、 1. 2重量% (無水マレイン酸基として 0. 12mmolZg、反応性基としては 0. 24mmolZg)であり、重量平均分子量は 35, 000であった。
[0374] [製造例 1 7:無水マレイン酸変性プロピレンーブテン共重合体の製造]
口径 45mmの 2軸押し出し機(池貝鉄工社製 PCM40)に、プロピレンーブテン共 重合体 (三井化学社製、タフマー XM7070) 10kg (うち lkgはペレットを冷凍粉砕し て粉体としたもの)、無水マレイン酸 0. 2kg、パーブチル 1 (日本油脂社製) 0. lkgを ブレンドしたものを、下記押し出し条件にて溶融混練した。
•シリンダー温度: 200°C
'スクリュー回転数: 200rpm
•押し出し量: lOkgZhour
得られた変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸 基の含量 (グラフト率)は、 0. 6重量% (無水マレイン酸基として 0. 06mmolZg、反 応性基としては 0. 12mmolZg)であり、重量平均分子量は 78, 000であった。
[0375] [実施例 1 1]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 1 2で合成し た無水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 3. 75mmol)とト ル工ン 60gを加え、温度を 110°Cに昇温し完全に溶解した。次いでジェファーミン M 1000 7. 5g (7. 5mmol、ポリオレフイン (A) 100重量部に対し親水性高分子(B ) 25重量部に相当)をトルエン 10gに溶解した溶液をカ卩ぇ 110°Cで 3時間反応させた
[0376] 冷却後トルエンを減圧留去し、黄色のポリマー 37gを得た。得られた生成物の赤外 吸収スペクトル分析を行った結果、 1784cm_1付近の無水マレイン酸に相当するピ ークは消滅し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが完全に結合 して 、ることが観察された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンが グラフト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0377] 得られた黄色ポリマー 25gに THF75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 84g を同温度で 1時間かけて滴下し、霞が力つた黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、
減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 25重量%に なるまで減圧留去し、半透明淡黄色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が細カゝいた め半透明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 068 mであった。密着性、耐水 性、耐 GH性を評価した。結果を表 1 1に示す。
[0378] なお実施例 1 1で用いたメトキシポリ(ォキシエチレン Zォキシプロピレン) 2— プロピルアミン(ジェファーミン M— 1000)は、 25°Cの水に 10重量%の濃度で溶解さ せたときに不溶分が 1重量%以下であり、親水性高分子である。
[0379] [実施例 1 2]
無水マレイン酸変性ポリプロピレンとして製造例 1 3で得られた無水マレイン酸変 性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 7. 2mmol)を使用し、ジェファーミン M— 1000を 14. 4g (14. 4mmol、ポリオレフイン (A) 100重量部に対し親水性高分 子 (B) 48重量部に相当)使用した以外は実施例 1— 1と同様にして、黄色ポリマー 4 4gを得た。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンがグラフト結合し たグラフト共重合体を形成して 、る。
[0380] 得られた黄色ポリマー 20gに THF80gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 100 gを同温度で 1時間かけて滴下し黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 20重量%になるまで減 圧留去し、透明黄色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が非常に細カゝいためほぼ透 明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した力 50%粒子径は 0. 011 mであった。実施例 1—1と同 様に密着性、耐水性、耐 GH性を評価した。結果を表 1 1に示す。
[0381] [実施例 1 3]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 1 4で合成し た無水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 4. 8mmol)とト ル工ン 70gを加え、温度を 110°Cに昇温し完全に溶解した。次いでジェファーミン M 1000を 4. 5g (4. 5mmol、ポリオレフイン (A) 100重量部に対し親水性高分子(B ) 15重量部に相当)、トルエン 4. 5gに溶解した溶液をカ卩ぇ 110°Cで 1時間反応させ
た。その後モルホリン 0. 4g (4. 5mmol)加え 110°Cで 1時間反応させた。
[0382] 冷却後トルエンを減圧留去し、黄色のポリマー 34gを得た。得られた生成物の赤外 吸収スペクトル分析を行った結果、 1784cm_1付近の無水マレイン酸に相当するピ ークは 90%消滅し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが結合し て!、ることが観察された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンが グラフト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0383] 得られた黄色ポリマー 25gに THF75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 84g を同温度で 1時間かけて滴下し、霞が力つた黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、 減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 25重量%に なるまで減圧留去し、半透明淡黄色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が細カゝいた め半透明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 086 mであった。実施例 1 1と 同様に密着性、耐水性、耐 GH性を評価した。結果を表 1 1に示す。
[0384] [実施例 1 4]
無水マレイン酸変性ポリプロピレンの代わりに無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピ レン (東洋化成社製、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は 2. 1重量%(0. 21mm ol/g) )を使用し、ジェファーミン M— 1000を 9g (9mmol、ポリオレフイン (A) 100重 量部に対し親水性高分子 (B) 30重量部に相当)使用し、トルエン 9gに溶解した以 外は実施例 1—1と同様にして、黄色ポリマー 39gを得た。無水マレイン酸変性塩素 化ポリプロピレンにポリエーテルァミンがグラフト結合したグラフト共重合体を形成して いる。
[0385] 得られた黄色ポリマー 25gに THF75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 100 gを同温度で 1時間かけて滴下し黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 20重量%になるまで減 圧留去し、透明黄色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が非常に細カゝいためほぼ透 明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した力 50%粒子径は 0. 098 mであった。実施例 1—1と同 様に密着性、耐水性、耐 GH性を評価した。結果を表 1 1に示す。
[0386] [比較例 1 1]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に製造例 1 2で得られた 無水マレイン酸変性ポリプロピレン 20gとトルエン 80gを入れて 110°Cに昇温し完全 に溶解させた。 50°Cまで冷却した後、ポリオキシエチレンセチルエーテル (ノ-オン 系界面活性剤、花王社製エマルゲン 220、 HLB= 14. 2) 3gと、ポリオキシエチレン ラウリルエーテル(ノ-オン系界面活性剤、花王社製ェマルゲン 147、 HLB= 16. 3 ) 3gを添加し溶解した後、 35°Cまで冷却した。
[0387] ここに水 140gを少量ずつ添加して十分撹拌した後、内部せん断型の乳化機クレア ミックス CLM— 0. 8S (ェム 'テクニック社製)を用い、 21000rpmで 3分間孚 Lィ匕を行 つた。続いて系内に 2—ァミノ 2—メチル 1 プロパノールを水で 10重量%に希 釈した水溶液を添加し、 pH8に調整した。この粗乳化物を温度 45°C、減圧度 0. 02 MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げてトルエンを留去し、濃度 25重量 %の乳白色の榭脂分散体を得た。
[0388] 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 25 μ mであった。実施例 1 1と同 様に密着性、耐水性、耐 GH性を評価した。結果を表 1 1に示す。 50%粒子径、 9 0%粒子径ともに実施例より著しく大きぐかつ 3ヶ月の貯蔵により凝集が観察された。 また耐水性も劣っていた。
[0389] [比較例 1 2]
製造例 1 2で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基 の含量 3. 75mmol)に、ポリエステルポリオール(クラレネ土製 P— 2010、分子量 200 0 (公称値)) 7. 5g (3. 75mmol、ポリオレフイン (A)を 100重量部として 25重量部に 相当)、ジメチルベンジルァミン 0. 3gを加えた以外は実施例 1—1と同様にして黄色 ポリマー 37gを得た。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエステルポリオールが グラフト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0390] 得られた黄色ポリマー 20gに THF80gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 100 gを同温度で 1時間かけて滴下していくと、黄色のポリマーが分離してしまい、榭脂分 散体は得られなかった。
なお比較例 1— 2で用いたポリエステルポリオール (クラレネ土製 P— 2010)は、 25°C
[0391] [表 1-1]
[0392] [実施例 1 5〜1 8、比較例 1 3]
実施例 1 1〜1 4及び比較例 1 1の榭脂分散体(固形分濃度: 25重量%) 10g に、製造例 1 5の顔料分散ペースト(固形分濃度:50重量%) 10g及び水性アタリ ル榭脂分散体 ES— 20を 5. 7g添加し混合した塗料を作成し、実施例 1—1と同様に 密着性、耐水性、耐 GH性、及びブリードアウトを評価した。結果を表 1 2に示す。
[0393] [表 1-2]
表 1一 2
[0394] [実施例 1 9]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン 650g、プロピ レン—ブテン共重合体 (三井ィ匕学社製、タフマー XM7070) 350gを入れ、容器内を 窒素ガスで置換し、 110°Cに昇温した。昇温後、無水マレイン酸 35gをカ卩え、 t—プチ ルパーォキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製パーブチル I) 10. 7gを加 え、 10時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで
冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿'濾別 を繰り返し、最終的に得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリ マーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーが得られ た。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基 の含量(グラフト率)は、 2. 1重量% (無水マレイン酸基として 0. 21mmolZg、カル ボン酸基として 0. 42mmolZg)であった。また重量平均分子量は 110, 000であつ た。
[0395] 次に、還流冷却管、温度計、攪拌機のつ!、たガラスフラスコ中に、得られた無水マ レイン酸変性ポリマー 30g (無水マレイン酸基の含量 6. 3mmol)とトルエン 70gをカロ え、温度を 110°Cに昇温し完全に溶解した。次いで、ジェファーミン M— 1000 6g ( 6mmol、共重合体 (A) 100重量部に対し親水性高分子 (B) 20重量部に相当)をト ルェン 6gに溶解した溶液をカ卩ぇ 110°Cで 1時間反応させた。その後モルホリン 0. 53 g (6mmol)をカ卩ぇ 110°Cで 1時間反応させた。
[0396] 反応液力 少量採取し、トルエンを減圧留去した後、赤外吸収スペクトル分析を行 つた結果、 1784cm_1付近の無水マレイン酸に相当するピークは 90%消滅し、無水 マレイン酸変性ポリマーとポリエーテルァミンが結合して 、ることが観察された。無水 マレイン酸変性ポリマーにポリエーテルァミンがグラフト結合したグラフト共重合体を 形成している。
[0397] 得られた反応液の温度を 60°Cに保ち、加熱'撹拌しながらイソプロパノール 120gと 水 30gの混合液を 1時間かけて滴下し、霞がかった淡黄色の液体を得た。更に、イソ プロパノール 30gと水 160gの混合液を、反応液の温度を 60°Cに保ちながら 1時間か けて滴下し、半透明の黄色溶液を得た。これを 45°Cに冷却し、減圧度 0. 02MPa力 ら 0. 004MPaまで徐々に減圧度を下げてポリマー濃度 25重量%になるまでトルェ ンとイソプロパノールと水を減圧留去し、淡黄色透明の水性榭脂分散体を得た。分散 粒子径が細力 、ため透明に見えるものと思われる。
[0398] 分散粒子径を測定した結果 50%粒子径 0. 099 μ m、 90%粒子径は 0. 184 μ m であった。得られた水性榭脂分散体の密着性の評価結果を表 1 3に示す。併せて 、用いたプロピレンーブテン共重合体(三井化学社製、タフマー XM7070)のプロピ
レン含量を示す。
[0399] なお、本実施例における密着性評価は以下のように行った。
自動車外装用グレードのポリプロピレンを 70mm X 150mmX 3mmにインジェクシ ヨン成形した基板 (試験片)を作製し、基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した 。ここに、試料を、塗布量 (塗布後の乾燥重量)が約 15g/m2となるように噴霧塗布し た。次にこの塗布後の試験片をセーフベンドライヤ一中で、 80°Cで 40分乾燥及び焼 付けし塗装板を得た。
[0400] 23°Cで 24時間放置後、 JIS K 5400に記載されている碁盤目試験の方法に準じ て 2mm間隔で 25マス(5 X 5)の碁盤目を付けた試験片を作製し、セロハンテープ( -チバン社品)を貼り付けた後、 90度方向に剥離し、 25個の碁盤目のうち剥離され な力つた碁盤目数にて評価した。
[0401] [表 1-3]
[0402] [比較例 1 4]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 1 4で合成し た無水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 4. 8mmol)とト ルェン 70gを加え、温度を 110°Cに昇温し完全に溶解した。次いでモルホリン 2g (23 mmol)加え 110°Cで 1時間反応させた。
冷却後、トルエンを減圧留去し、黄色のポリマー 32gを得た。
得られた黄色ポリマー 25gに THF75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 84g を同温度で 1時間かけて滴下すると、黄色のポリマーが分離してしまい、榭脂分散体 は得られなかった。
なおモルホリンは親水性ィ匕合物であるが、分子量は 89であり親水性高分子ではな い。
[0403] [比較例 1 5:無変性ポリプロピレンの界面活性剤による分散]
製造例 1 1で得られたポリプロピレンを使用した以外は全て比較例 1 1と同様に
、操作を行い、樹脂分散体を得た。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 32 mであった。であった。次いで 実施例 1— 1と同様の手法で密着性の評価を行ったところ、全ての碁盤目でベースコ 一トと塗膜の間で剥がれてしまい、結果は 0Z100であった。
[0404] [比較例 1 6 :無変性ポリプロピレンのジェファーミン Μ— 1000による分散]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 1 1で得られ たポリプロピレン 25gと THF70gをカ卩え、温度を 60°Cに昇温し、完全に溶解した。こ こに、ジェファーミン M— 1000 9g (9mmol)を THF27gに溶解した溶液を加えた後 、温度を 60°Cにした。次いで、純水 84gを同温度で 1時間かけて滴下すると、滴下途 中で白濁し、榭脂が分離してしまい、榭脂分散体は得られな力つた。
即ちジェファーミン M— 1000は無変性ポリプロピレンを分散させる能力がなぐ界 面活性剤ではない。
[0405] [実施例 1 10]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 1—6で得た無 水マレイン酸変性ポリプロピレンのトルエン溶液 600g (無水マレイン酸変性ポリプロピ レンの含量: 240g)をカ卩え、温度を 110°Cに昇温し、ジェファーミン M— 1000 36. 0g (36. OmmoUプロピレン系重合体 100重量部に対し 15重量部に相当)をトルェ ン 54. Ogに溶解した溶液を加え、 110°Cで 1時間反応させた。
[0406] 冷却後に反応溶液の一部を採取し、トルエンを減圧留去して得られたポリマーの赤 外吸収スペクトル分析を行った結果、 1784cm_1付近の無水マレイン酸に相当する ピークは減少し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが結合して いることが確認された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンがダラ フト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0407] 次いで、得られたポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンのトルエン溶液 100g
(ポリマー含有量 40g)を、還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に 加え、温度を 65°Cに昇温した。
ここに、イソプロピルアルコール (IPA) 120g及び蒸留水 30gの混合溶媒を、同温
度で 1時間かけて滴下し、半透明の淡黄色溶液を得た。これを徐々に減圧して、トル ェン ZIPAZ水の混合溶媒を 120g、減圧留去した。
[0408] 続いて、 IPA15g及び蒸留水 135gの混合溶媒を 65°Cにて 30分かけて滴下した後 、同様の操作で溶媒を減圧留去し、固形分濃度が 25重量%の白色の榭脂分散体を 得た。
粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 142 mであった。また 3ヶ月後の粒子 径を測定し、貯蔵安定性を評価した。結果を表 1 4に示す。
[0409] [実施例 1 11]
一段目の滴下混合溶媒を、 IPA120g、蒸留水 30g、及び 2 アミノー 2—メチルー 1—プロパノール 0. 4gの混合物とした以外は実施例 1— 10と同様にして、淡黄色半 透明の榭脂分散体を得た。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 084 mであった。結果を表 1 4 に示す。
[0410] [実施例 1 12]
一段目の滴下混合溶媒を、 IPA120g、蒸留水 30g、及び N, N ジメチルエタノー ルァミン 0. 4gの混合物とした以外は実施例 1— 10と同様にして、淡黄色半透明の榭 脂分散体を得た。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 076 mであった。結果を表 1 4 に示す。
[0411] [実施例 1 13]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 1 7で製造し た無水マレイン酸変性プロピレンーブテン共重合体 100g (無水マレイン酸基の含量 6mmol)とトルエン 200gを加え、温度を 65°Cに昇温した。次いでジェファーミン M— 1000を 12g(12mmol)添力卩し同温度で 1時間反応させた。
[0412] IPA120g及び蒸留水 30gの混合溶媒を調製し、その 4分の 1に 2—メチル—2 ァ ミノ— 1—プロパノール 1. lgを添加した溶液を調製し、 30分かけて滴下した。続いて 、残りの IPAと蒸留水の混合溶媒を同温度で 1時間かけて滴下し、半透明の淡黄色 溶液を得た。これを徐々に減圧して、トルエン/ IPAZ水の混合溶媒を 120g、減圧
"^^έした。
[0413] 続いて、 IPA15g及び蒸留水 135gの混合溶媒を 65°Cにて 30分かけて滴下した後 、同様の操作で溶媒を減圧留去し、固形分濃度が 25重量%の白色の榭脂分散体を 得た。
粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 132 mであった。結果を表 1 4に示 す。
[0414] [表 1-4] 表 1—4
[0415] <第二の態様に関わる実施例 >
[製造例 2— 1:ポリプロピレンの製造]
製造例 1—1と同様にして触媒スラリーを得た。
次いで、内容積 24リツターの誘導攪拌式オートクレープ内に、トルエン 11L、トリイソ ブチルアルミニウム 3. 5mmol及び液体プロピレン 2. 64Lを導入した。室温で、上記 触媒スラリーを全量導入し、 63°Cまで昇温し重合時の全圧を 0. 65MPaで一定に保 持しながら、同温度で 2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパー ジして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量回 収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、 12. 8重量%のプロピレン重合体トル ェン溶液を 11kg (1. 4kgプロピレン重合体)得た。得られたポリプロピレンの重量平 均分子量は 180, 000、立体規則性 [mmmm]は 47. 5%であった。
[0416] [製造例 2— 2:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 2— 1で得られ たポリプロピレン 350gとトルエン 650gとを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、 110°C に昇温した。昇温後、無水マレイン酸 17. 5gを加え、 t ブチルパーォキシイソプロ
ピルモノカルボナート(日本油脂社製、パーブチル I) 8. 75gを加え、 7時間同温度で 攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加え て、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿 '濾別を繰り返し、最終的に 得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥する ことにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーが得られた。この変性ポリマー の赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は 、 1. 2重量%(0. 12mmolZg)であった。また重量平均分子量は 110, 000であつ た。
[0417] [製造例 2— 3:ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレン水性榭脂分散体の製造] 還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 2— 2で合成し た無水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 3. 6mmol)とト ル工ン 70gを加え、温度を 110°Cに昇温し完全に溶解した。次いでジェファーミン M 1000 7. 5g (7. 5mmol、プロピレン系重合体 100重量部に対し 25重量部に相 当)をトルエン 7. 5gに溶解した溶液をカ卩ぇ 110°Cで 3時間反応させた。
[0418] 冷却後、トルエンを減圧留去し、黄色のポリマー 37gを得た。得られた生成物の赤 外吸収スペクトル分析を行った結果、 1784cm_1付近の無水マレイン酸に相当する ピークは消滅し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが完全に結 合して 、ることが確認された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルアミ ンがグラフト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0419] 得られた黄色ポリマー 20gに THF80gをカ卩ぇ 65°Cで完全に溶解させた。純水 100 gを同温度で 1時間かけて滴下し、霞が力つた黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し 、減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 25重量%に なるまで THF及び水を減圧留去し、半透明淡黄色の水性榭脂分散体を得た。分散 粒子径が細力 、ため半透明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 04 ^ m, 90%粒子径は 0. 07 m であった。
なお、ジェファーミン M— 1000は、 25°Cの水に 10重量%の濃度で溶解させたとき に不溶分が 1重量%以下であり、親水性高分子である。
[0420] [製造例 2— 4:マレイン酸変性ポリプロピレン水性分散体の製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に製造例 2— 2で得られた 無水マレイン酸変性ポリプロピレン 20gとトルエン 80gを入れて 110°Cに昇温し完全 に溶解させた。 50°Cまで冷却した後、ポリオキシエチレンセチルエーテル (ノ-オン 系界面活性剤、花王社製エマルゲン 220、 HLB= 14. 2) 5gと、ポリオキシエチレン ラウリルエーテル(ノ-オン系界面活性剤、花王社製ェマルゲン 147、 HLB= 16. 3 ) 5gを添加し溶解した後、 35°Cまで冷却した。
[0421] ここに水 lOOgを添加して十分撹拌した後、内部せん断型の乳化機クレアミックス C LM-0. 8S (ェム 'テクニック社製)を用い、 21000rpmで 3分間乳化を行った。続い て系内に 2—ァミノ 2—メチル 1 プロパノールを水で 10重量%に希釈した水溶 液を添カ卩し、 pH8に調整した。この粗乳化物を温度 50°C、減圧度 0. 02MPa力 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げてトルエン及び水を留去し、濃度 25重量%の 乳白色の榭脂分散体を得た。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 25 ^ m, 90%粒子径は 3. 1 ^ m であった。 50%粒子径、 90%粒子径ともに実施例より著しく大き力つた。
[0422] [製造例 2— 5 :顔料分散ペーストの製造]
水溶性アクリル榭脂(ジョンソンポリマー社製ジョンクリル 683 (榭脂酸価 160mgKO H/g) )を 2—ァミノ 2—メチルプロパノールで中和し水に溶解した。
この水溶液(固形分濃度 25%) 20g、カーボンブラック (三菱ィ匕学社製) 7. 5g、酸 化チタン (堺化学工業社製 R— 5N) 60g、消泡剤 (エアープロダクツ社製サーフイノ ール 440) 2. 5g、イオン交換水 60g、及びジルコ-ァビーズ 150gを混合し、ペイント シェーカーにて 30分間攪拌し分散した。分散液を 400メッシュの金網でろ過し、固形 分濃度が 50%の顔料分散ペーストを得た。
[0423] [製造例 2— 6:プロピレン系重合体の製造]
重合温度を 50°C、重合時の全圧を 0. 5MPa、全圧の 6. 3%の量のエチレンを導 入した以外は製造例 2—1と同様の操作で、 12. 9重量%のプロピレン エチレン共 重合体トルエン溶液を 11kg得た(1. 42kgのプロピレン重合体)。得られたプロピレ ンーエチレン共重合体の重量平均分子量は 217, 000、立体規則性 [mmmm]は 4
0. 1%、エチレンの含量は 3. 1モル0 /0であった。
[0424] [製造例 2— 7:無水マレイン酸変性プロピレン系重合体の製造]
製造例 2— 6で得たプロピレン エチレン共重合体を使用した以外は製造例 2— 2 と同様の操作を行い、無水マレイン酸変性プロピレン エチレン共重合体を得た。こ の変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含 量 (グラフト率)は、 1. 3重量%(0. 12mmolZg)であった。また重量平均分子量は 1 16, 000であった。
[製造例 2— 8 :ポリアルキレングリコール変性プロピレン系重合体の水性分散体の製 造]
製造例 2— 7の無水マレイン酸変性プロピレン エチレン共重合体を使用した以外 は全て製造例 2— 3と同様の操作を行い、半透明淡黄色の水性榭脂分散体を得た。 分散粒子径が細力 、ため半透明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 016 m、 90%粒子径は 0. 027 μ mであった。
[0425] [実施例 2— 1 :水性樹脂分散体]
プロピレン系重合体榭脂として製造例 2— 3で得られたポリアルキレングリコール変 性ポリプロピレン水性榭脂分散体 12g (固形分換算で 3g)を用い、バイロナール MD — 1200を 20g (固形分換算で 7g)と配合し、プロピレン系重合体 Zポリエステル = 3 0/70 (重量比)の水性榭脂分散体を得た。評価結果を表 2— 1に示す。
[0426] [実施例 2— 2、 2— 3、比較例 2— 1〜2— 6]
表 2— 1に示す配合を用いた以外は実施例 2— 1と同様にして水性榭脂分散体を 得た。評価結果を表 2— 1に示す。なお表中、(IC)成分、(ID)成分は固形分換算し た値である。
[0427] [表 2-1]
表 2—1
*1 IA含量 =IA / (IA+ID)*100
*2 (IC+ID)含量 =(IG+ID)/(IC+ID+水) *100 実施例 2— 1〜2— 3の水性榭脂分散体は、気泡性、初期密着性、耐湿性のいずれ にも優れ、ブリードアウトも観察されず、優れることが判る。
[0428] [実施例 2—4〜2— 6、比較例 2— 7〜2— 9:塗料]
表 2— 2に示す配合で塗料を製造した。なお、プチルセ口ソルブ (エチレングリコー ルモノブチルエーテル)は造膜助剤として含有させている。評価結果を表 2— 2に示 す。なお表中、(IC)成分、(ID)成分は固形分換算した値である。
[0429] [表 2- 2]
表 2— 2
*1 ΙΑ含量 =ΙΑ / (IA+ID)*100
*2 aC+ID)含量 = (IC+ID)/(IC+ID+水) * 100 実施例 2— 4〜2— 6の塗料は、気泡性、初期密着性、耐湿性、耐牛脂性のいずれ にも優れ、ブリードアウトも観察されず、優れることが判る。
[0430] [製造例 2— 9:ポリプロピレンの製造]
製造例 1—1と同様にして触媒スラリーを得た。
次いで、内容積 24リツターの誘導攪拌式オートクレープ内に、トルエン 11L、トリイソ ブチルアルミニウム 3. 5mmolおよび液体プロピレン 2. 64Lを導入した。室温で、上 記触媒スラリーを全量導入し、 67°Cまで昇温し重合時の全圧を 0. 65MPaで一定に 保持しながら、同温度で 2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパ ージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量 回収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、 13. 5重量%のプロピレン重合体ト ルェン溶液を 11kg (1. 5kgプロピレン重合体)得た。得られたポリプロピレンの重量 平均分子量は 191, 000、立体規則性 [mmmm]は 45. 8%であった。
[0431] [製造例 2— 10 :無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン 650g、製造例 2— 9で得られたポリプロピレン 350gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、 110°Cに
昇温した。昇温後、無水マレイン酸 14gをカ卩え、 t ブチルパーォキシイソプロビルモ ノカルボナート(日本油脂社製パーブチル 1) 4. 7gを加え、 10時間同温度で攪拌を 続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈 殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿'濾別を繰り返し、最終的に得られ たポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することによ り、白色粉末状の変性ポリマーが得られた。この変性ポリマーの赤外線吸収スぺタト ル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は、 1. 25重量%(無水 マレイン酸基として 0. 125mmolZg、 一 C ( = 0) 0 で表される基に換算して 0. 25 mmolZg)であった。また重量平均分子量は 120, 000であった。
[0432] [製造例 2— 11:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
無水マレイン酸の量を 28g、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートの 量を 9. 3gにした以外は製造例 2— 2と同様にして行った。無水マレイン酸基の含量( グラフト率)は、 2. 4重量0 /0 (無水マレイン酸基として 0. 24mmolZg、—C ( = 0) 0 一基に換算して 0. 48mmolZg)であった。また重量平均分子量は 100, 000であつ た。
[0433] [製造例 2— 12 :無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
無水マレイン酸の量を 21g、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナートの 量を 7. Ogにした以外は製造例 2— 2と同様にして行った。無水マレイン酸基の含量( グラフト率)は、 1. 6重量0 /0 (無水マレイン酸基として 0. 16mmolZg、—C ( = 0) 0 一基に換算して 0. 32mmolZg)であった。また重量平均分子量は 110, 000であつ た。
[0434] [製造例 2— 13 :無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
無水マレイン酸の量を 105g、 t ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナート の量を 70gにした以外は製造例 2— 10と同様にして行った。無水マレイン酸基の含 量(グラフト率)は、 5. 1重量0 /0 (無水マレイン酸基として 0. 51mmolZg、 一 C ( = 0) O 基に換算して 1. 02mmolZg)であった。また重量平均分子量は 68, 000であ つた o
[0435] [製造例 2— 14:ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレン水性分散体の製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 2— 10で得た無 水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 3. 75mmol)とトルェ ン 60gを加え、温度を 110°Cに昇温し完全に溶解した。次いでジェファーミン M— 10 00 7. 5g (7. 5mmol、プロピレン系重合体 (IA) 100重量部に対し親水性高分子 (I B) 25重量部に相当)をトルエン 10gに溶解した溶液をカ卩ぇ 110°Cで 3時間反応させ た。
[0436] 冷却後、トルエンを減圧留去し、黄色のポリマー 37gを得た。得られた生成物の赤 外吸収スペクトル分析を行った結果、 1784cm_1付近の無水マレイン酸に相当する ピークは消滅し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが完全に結 合して 、ることが観察された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルアミ ンがグラフト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0437] 得られた黄色ポリマー 25gに THF75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 84g を同温度で 1時間かけて滴下し、霞が力つた黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、 減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 25重量%に なるまで減圧留去し、半透明淡黄色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が細カゝいた め半透明に見えるものと思われる。
[0438] 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 068 μ mであった。
[製造例 2— 15 :ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレン水性分散体の製造] 無水マレイン酸変性ポリプロピレンとして製造例 2— 11で得た無水マレイン酸変性 ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 7. 2mmol)を使用し、ジェファーミン M 1000を 14. 4g (14. 4mmol、プロピレン系重合体(IA) 100重量部に対し親水性 高分子 (IB) 48重量部に相当)使用した以外は製造例 2— 14と同様にして、黄色ポリ マー 44gを得た。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンがグラフト 結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0439] 得られた黄色ポリマー 20gに THF80gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 100 gを同温度で 1時間かけて滴下し黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 20重量%になるまで減 圧留去し、透明黄色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が非常に細カゝいためほぼ透
明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した力 50%粒子径は 0. 011 mであった。
[0440] [製造例 2— 16:ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレン水性分散体の製造] 還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 2— 12で得た無 水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸基の含量 4. 8mmol)とトルエン 70gを加え、温度を 110°Cに昇温し完全に溶解した。次いでジェファーミン M— 100 0を 4. 5g (4. 5mmol、プロピレン系重合体 (IA) 100重量部に対し親水性高分子 (I B) 15重量部に相当)、トルエン 4. 5gに溶解した溶液を加え 110°Cで 1時間反応さ せた。その後、モルホリン 0. 4g (4. 5mmol)加え 110°Cで 1時間反応させた。
[0441] 冷却後、トルエンを減圧留去し、黄色のポリマー 34gを得た。得られた生成物の赤 外吸収スペクトル分析を行った結果、 1784cm_1付近の無水マレイン酸に相当する ピークは 90%消滅し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが結合 して 、ることが観察された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンが グラフト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0442] 得られた黄色ポリマー 25gに THF75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 84g を同温度で 1時間かけて滴下し、霞が力つた黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、 減圧度 0. 03MPaから 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 25重量%に なるまで減圧留去し、半透明淡黄色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が細カゝいた め半透明に見えるものと思われる。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 086 mであった。
[0443] [製造例 2— 17 :ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレン水性分散体の製造] 無水マレイン酸変性ポリプロピレンの代わりに無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピ レン (東洋化成社製、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は 2. 1重量%(0. 21mm ol/g) )を使用し、ジェファーミン M—1000を 9g (9mmol、プロピレン系重合体(IA) 100重量部に対し親水性高分子 (IB) 30重量部に相当)、使用した以外は製造例 2 —14と同様にして、黄色ポリマー 39gを得た。無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピ レンにポリエーテルァミンがグラフト結合したグラフト共重合体を形成している。
[0444] 得られた黄色ポリマー 25gに THF75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 100
g及び 2 アミノー 2—メチルー 1 プロパノールを 0. 9g (lOmmol)を同温度で 1時 間かけて滴下し黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、減圧度 0. 03MPaから 0. 0 045MPaまで徐々に減圧度を下げて濃度 20重量%になるまで減圧留去し、透明黄 色の榭脂分散体を得た。分散粒子径が非常に細力いためほぼ透明に見えるものと 思われる。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 072 mであった。
[0445] [製造例 2— 18:無水マレイン酸変性ポリプロピレン水性分散体の製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に製造例 2— 13で得た無 水マレイン酸変性ポリプロピレン 25g (無水マレイン酸基の含量 12. 75mmol)に TH F75gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。この溶液に、 N, N ジメチルエタノールアミ ン 2. 3g (26. Ommol)を滴下した後、純水 84gを同温度で 1時間かけて滴下し、霞 がかった黄色溶液を得た。これを 40°Cに冷却し、減圧度 0. 03MPaカゝら 0. 0045M Paまで徐々に減圧度を下げて濃度 25重量%になるまで減圧留去し、半透明淡黄色 の榭脂分散体を得た。分散粒子径が細力いため半透明に見えるものと思われる。 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 060 mであった。
[0446] [製造例 2— 19 :無水マレイン酸変性プロピレン系重合体の製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン 650g、製造例 2— 9で得られたポリプロピレン 175g、メタ口セン触媒によって製造されたプロピレン —1—ブテン共重合体(三井ィ匕学社製、タフマー XM— 7070、プロピレン Z1—ブテ ン = 75Z25 (モノレ比)、重量平均分子量 Mw240, 000、 Mw/Mn= 2. 2、融点 8 0°C) 175gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、 110°Cに昇温した。昇温後、無水マ レイン酸 35gをカ卩え、 t—ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂 社製パーブチル 1) 17. 5gを加え、 7時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応 終了後、製造例 2— 2と同様にアセトンを加え、沈殿したポリマーを濾別し白色粉末 状の無水マレイン酸変性ポリマーを得た。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル 測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は 2. 0重量% (無水マレイ ン酸基として 0. 20mmolZg、 一 C ( = 0) 0—基に換算して 0. 40mmolZg)であつ
[0447] [製造例 2— 20:ポリアルキレングリコール変性プロピレン系重合体の水性分散体の 製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 2— 19で得た無 水マレイン酸変性プロピレン系重合体 30gとトルエン 70gをカ卩え、温度を 110°Cに昇 温し完全に溶解した。次いでジェファーミン M— 1000を 6. 0g (プロピレン系重合体(
IA) 100重量部に対し親水性高分子 (IB) 20重量部に相当)、トルエン 6. 0gに溶解 した溶液を加え 110°Cで 3時間反応させた。ここに製造例 2— 3と同様に THFを滴下 した後、減圧留去することによって半透明淡黄色の水性榭脂分散体を得た。分散粒 子径が細力 、ため半透明に見える。分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0.
009 μ m、 90%粒子径は 0. 011 mであった。
[0448] [製造例 2— 21:無水マレイン酸変性プロピレン系重合体の製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン 650g、チーグ ラー.ナッタ触媒によって製造されたプロピレン 1ーブテン共重合体 (三井ィ匕学社 製、タフマー XR— 110T、プロピレン Zl—ブテン = 76Ζ24 (モル比)、重量平均分 子量 Mw290, 000、 Mw/Mn=4. 1、融点 110。C) 350gを入れ、容器内を窒素ガ スで置換し、 110°Cに昇温した。昇温後、無水マレイン酸 35gをカ卩え、 t—ブチルパー ォキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製パーブチル 1) 17. 5gを加え、 7 時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、製造例 2— 2と同様にァセト ンを加え、沈殿したポリマーを濾別し白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーを得 た。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基 の含量 (グラフト率)は 2. 1重量% (無水マレイン酸基として 0. 21mmolZg、 一 C (= 0) 0—基に換算して 0. 42mmolZg)であった。
[0449] [製造例 2— 22:ポリアルキレングリコール変性プロピレン系重合体の水性分散体の 製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 2— 21で得た無 水マレイン酸変性プロピレン系重合体 30gとトルエン 70gをカ卩え、温度を 110°Cに昇 温し完全に溶解した。次いでジェファーミン M— 1000を 7. 5g (プロピレン系重合体( IA) 100重量部に対し親水性高分子 (IB) 25重量部に相当)、トルエン 6. 0gに溶解
した溶液を加え 110°Cで 3時間反応させた。ここに製造例 2— 3と同様に THFを滴下 し、減圧留去した。得られたエマルシヨンの平均粒子径は 1 μ m以上と非常に大きぐ また析出物が多く良好な水性分散体が得られな力 た。
[0450] [製造例 2— 23:非親水性高分子で変性したポリプロピレン水性分散体の製造] 製造例 2— 10で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン 30g (無水マレイン酸 基の含量 3. 75mmol)に、ポリエステルポリオール(クラレネ土製 P— 2010、分子量 20 00 (公称値)) 7. 5g (3. 75mmol、ポリオレフイン(IA)を 100重量部として 25重量部 に相当)、ジメチルベンジルァミン 0. 3gをカ卩えた以外は実施例 2—1と同様にして黄 色ポリマー 37gを得た。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエステルポリオール 力 Sグラフト結合したグラフト共重合体を形成して!/、る。
[0451] 得られた黄色ポリマー 20gに THF80gをカ卩ぇ 60°Cで完全に溶解させた。純水 100 gを同温度で 1時間かけて滴下していくと、黄色のポリマーが分離してしまい、榭脂分 散体は得られなかった。
なお用いたポリエステルポリオール(クラレネ土製 P— 2010)は、 25°Cの水に 10重量 %の濃度で溶解させたときに不溶分が 1重量%を超え、親水性高分子ではない。
[0452] [実施例2— 7〜2—12、比較例 2— 10〜2— 12]
表 2— 3に示す製造例の榭脂分散体 (固形分濃度 : 25重量%) 10gに、製造例 2— 5の顔料分散ペースト(固形分濃度 : 50重量%) 10g及び水性アクリル榭脂分散体 E S— 20を 5. 7g添加し混合した塗料を作成し密着性、耐水性、及び耐 GH性を評価し た。
但し、比較例 2— 11及び 2— 12 (製造例 2— 22及び 2— 23)については分散状態 が悪く塗装試験は行えな力つた。
結果を表 2— 3に示す。実施例 2— 7〜2— 12の塗料は、初期密着性、耐湿性、耐 GH性の 、ずれにも優れることが判る。
[0453] [表 2- 3]
表 2— 3
[0454] <第三の態様に関わる実施例 >
[製造例 3— 1:ポリオレフインの製造]
製造例 1—1と同様にして触媒スラリーを得た。
次いで、内容積 24リツターの誘導攪拌式オートクレープ内に、トルエン 11L、トリイソ ブチルアルミニウム 3. 5mmol及び液体プロピレン 2. 64Lを導入した。室温で、上記 触媒スラリーを全量導入し、 63°Cまで昇温し重合時の全圧を 0. 65MPaで一定に保 持しながら、同温度で 2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパー ジして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量回 収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、 12. 8重量%のプロピレン重合体トル ェン溶液を 11kg (1. 4kgプロピレン重合体)得た。得られたポリプロピレンの重量平 均分子量は 180, 000、立体規則性 [mmmm]は 47. 5%であった。
[0455] [製造例 3— 2:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン 650g、製造例 3—1で得られたポリプロピレン 350gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、 110°Cに 昇温した。昇温後、無水マレイン酸 28gをカ卩え、 t ブチルパーォキシイソプロビルモ ノカルボナート(日本油脂社製パーブチル I) 14gを加え、 7時間同温度で攪拌を続け て反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿し たポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿'濾別を繰り返し、得られたポリマーを減 圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーが得られた。この 変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量(
グラフト率)は、 2. 1重量% (無水マレイン酸基として 0. 21mmolZg、反応性基とし ては 0. 42mmolZg)であった。また重量平均分子量は 95, 000であった。
[0456] [製造例 3— 3:ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 3— 2で得られ た無水マレイン酸変性ポリプロピレン 30gとトルエン 70gとをカ卩え、 110°Cに昇温して 完全に溶解させた。次いでジェファーミン M— 1000 9g (9mmol)をトルエン 9gに溶 解した溶液を加え 110°Cで 3時間反応させた。
[0457] 冷却後、トルエンを減圧留去し、黄色のポリマー 39gを得た。得られた生成物の赤 外吸収スペクトル分析を行った結果、 1784cm 1付近の無水マレイン酸に相当するピ ークは消滅し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが完全に結合 して 、ることが観察された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンが グラフト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
なお、以下の実施例においては特にことわらない限り、操作は大気圧下 (0. 101M Pa)で行った。
[0458] [実施例 3— 1]
製造例 3— 3で得られたポリアルキレングリコール変性ポリプロピレン 20gにイソブタ ノール(20°Cにおける水の溶解度: 16. 4重量%) 80gをカ卩え、 100°Cで完全に溶解 させた。次いで溶液を 65°Cまで冷却し、純水 120gを同温度で 1時間かけて滴下し白 濁した溶液を得た。ここまでの操作は大気圧下 (0. lOlMPa)で行った。
[0459] 続いてこの液体を 40°Cに冷却し、圧力を 0. 02MPaとして留去を開始した。更に 0 . 02MPa力 0. 004MPaまで徐々に圧力を下げて、榭脂濃度が 25重量%になるま でイソブタノール及び水を留去し、淡黄色半透明の水性榭脂分散体を得た。分散体 中のイソブタノール量は 5重量%以下であった。留出液は 140gであった。
[0460] 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 015 m、 90%粒子径は 0. 021 mであった。また、留出液は上層イソブタノール層、下層水層に分離しており、液 液分離することができた。結果を表 3— 1に示す。
[0461] [実施例 3— 2]
イソブタノールを n—ブタノール(20°Cにおける水の溶解度: 20. 0重量%)に変更
し、滴下する純水の量を 200gにした以外は実施例 3— 1と同様の操作で水性榭脂分 散体を得た。留去する前の状態は実施例 3— 1同様白濁した溶液であった。分散体 中の n—ブタノール量は 10重量%以下であった。留出液は 220gであった。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 011 m、 90%粒子径は 0. 015 mであった。また留出液は上層 n—ブタノール層、下層水層に分離しており液 液 分離することができた。
[0462] [比較例 3— 1]
イソブタノールを THF (20°Cにおける水の溶解度:無限大)に変更し、溶解する時 の温度を 65°Cにしたこと以外は実施例 3—1と同様の操作で水性榭脂分散体を得た 。分散体中の THF量は 5重量%以下であった。留出液は 140gであった。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. Ol l ^ m, 90%粒子径は 0. 014 μ mであった。留出液は均一層になっており分離不可能であった。
[0463] [比較例 3— 2]
イソブタノールをトルエン (水の溶解度: 0. 05重量%)に変更した以外は実施例 3 —1と同様の操作で行った。水を滴下するにつれて、白濁してきて最終的に固形物 が分離してきた。分散体は得られな力つた。
[0464] [比較例 3— 3]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 3— 2で得られ た無水マレイン酸変性ポリプロピレン 20gとトルエン 80gとをカ卩え、 110°Cに昇温して 完全に溶解させた。次いで 50°Cまで冷却した後、ポリオキシエチレンセチルエーテ ル (花王社製ェマルゲン 220、ノ-オン系界面活性剤、 HLB= 14. 2) 5g、及びポリ ォキシエチレンラウリルエーテル(花王社製ェマルゲン 147、ノ-オン系界面活性剤 、 HLB= 16. 3) 5gを添カ卩し、溶解した後、 35°Cまで冷却した。
[0465] ここに水 100gを添加して十分撹拌した後、内部せん断型の乳化機クレアミックス C LM-0. 8S (ェム 'テクニック社製)を用い、 21000rpmで 3分間乳化を行った。続い て系内に 2—ァミノ 2—メチル 1 プロパノールを水で 10重量%に希釈した水溶 液を添カ卩し、 pH8に調整した。この粗乳化物を温度 50°C、減圧度 0. 02MPa力 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げてトルエン及び水を留去し、濃度 25重量%の
乳白色の水性榭脂分散体を得た。分散体中のトルエン量は 5重量%以下であった。 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 25 ^ m, 90%粒子径は 3. 1 ^ m であった。また留出液は上層トルエン層、下層水層に分離しており液 液分離するこ とができた。
[0466] [表 3-1]
表 3—1
[0467] <第四の態様に関わる実施例 >
[製造例 4 1:ポリオレフインの製造]
製造例 1—1と同様にして触媒スラリーを得た。
次いで、内容積 24リツターの誘導攪拌式オートクレープ内に、トルエン 11L、トリイソ ブチルアルミニウム 3. 5mmol及び液体プロピレン 2. 64Lを導入した。室温で、上記 触媒スラリーを全量導入し、 63°Cまで昇温し重合時の全圧を 0. 65MPaで一定に保 持しながら、同温度で 2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパー ジして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量回 収し、粘土残渣を ADVANTEC社 60番濾紙で除去したところ、 11. 5重量%のプロ ピレン重合体トルエン溶液を 11kg ( 1. 26kgプロピレン重合体)得た。得られたポリプ ロピレンの重量平均分子量は 197, 000、立体規則性 [mmmm]は 46. 2%であった
[0468] [製造例 4 2:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
底抜き出しコックとオイル循環ジャケットを備えた 5Lガラスフラスコに還流冷却管、 温度計、攪拌機を取り付け、製造例 4—1で得られたポリプロピレンのトルエン溶液 3 . 04kgを人れ、 60oC【こ昇温し、圧力 0. 06MPaまで徐^ r【こ減圧し卜ノレェン 2. 04kg を除去した後、窒素を入れて圧力を常圧に戻し、ポリプロピレンの 35重量%トルエン
溶液 lkgを得た。
[0469] 容器内を窒素ガスで置換し、 110°Cに昇温した後、無水マレイン酸 21gをカ卩え、 t— ブチルパーォキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製パーブチル I) 7gを加 え、 10時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。赤外吸収スペクトル分析で 830c m_1付近に見られる無水マレイン酸の-重結合による吸収が 10時間後には消滅し、 全て反応したことが観測された。また反応溶液を一部採取しアセトンを加えて、沈殿 させさらにアセトンで沈殿'濾別を繰り返し未反応および副生成物を除去した無水マ レイン酸変性ポリマーを得た。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行つ た結果、無水マレイン酸基の含量 (グラフト率)は、 1. 5重量% (無水マレイン酸基とし て 0. 15mmol/g、反応性基としては 0. 30mmolZg)であった。また重量平均分子 量は 110, 000であった。
反応終了後、トルエン 0. 4kgをカ卩え、冷却し、液温を 60°Cにした。
[0470] ここに 60°Cの温水 2. lkgをカ卩え、回転数 300rpmで 30分撹拌し、 10分静置すると 上層のトルエン層と下層の水層に分離したので、底抜き出しコック力 水を抜き出し た (水洗工程)。この水洗工程を更に 4回繰り返したところ、計 9. 9kgの酸性廃水(94 %回収)が抜き出された。次いで、ディーン 'スターク (Dean— Stark)脱水装置を用 い、ジャケット温度 140°Cで脱水操作をした。更に内温が 113°Cになってから 3時間 脱水操作をした。次いでトルエン 230gを留去し、無水マレイン酸変性ポリプロピレン のトルエン溶液(30重量%) 1170gを得た。
[0471] [製造例 4 3:ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 4— 2で得られ た無水マレイン酸変性ポリプロピレンのトルエン溶液 500g (固形分 150g)をカ卩え、 11 0°Cに昇温した。次いでジェファーミン M— 1000 45g (45mmol)をトルエン 45gに 溶解した溶液を加え、 110°Cで 3時間反応させた。
[0472] 反応物を少量採取してトルエンを減圧留去したサンプルについて、赤外吸収スぺク トル分析を行った結果、 1784cm 1付近の無水マレイン酸に相当するピークは消滅し 、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが完全に結合して 、ること が観察された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンがグラフト結
合したグラフト共重合体を形成して 、る。
[0473] [製造例 4 4:ポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 4— 2で得られ た無水マレイン酸変性ポリプロピレンのトルエン溶液 500g (固形分 150g)をカ卩え、 11 0°Cに昇温した。次いでジェファーミン M— 1000の 30g (30mmol)をトルエン 30gに 溶解した溶液を加え 110°Cで 1時間反応させた。更にモルホリン 2. 6g (30mmol)を 加え、 110°Cで 1時間反応させた。
[0474] 反応物を少量採取してトルエンを減圧留去したサンプルについて、赤外吸収スぺク トル分析を行った結果、 1784cm 1付近の無水マレイン酸に相当するピークは 90% 消滅し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエーテルァミンが完全に結合して ヽ ることが観察された。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにポリエーテルァミンがグラフ ト結合したグラフト共重合体を形成して 、る。
なお、以下の実施例においては特にことわらない限り、操作は大気圧下 (0. 101M Pa)で行った。
[0475] [実施例 4 1]
製造例 4— 3で得られたポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンのトルエン溶液 (固形分 33重量%) 100gを 60°Cに加熱し、撹拌しながら、イソプロパノール(20°Cに おける水の溶解度:無限大) 120gと水 30gの混合液を、 65°Cを保ちながら 1時間か けて滴下した。淡黄色の霞が力つた液体が得られた。更にイソプロパノール 30gと水 160gの混合液を、内温 65°Cを保ちながら、 1時間かけて滴下し、半透明の黄色液体 を得た。なお、トルエンの 20°Cにおける水の溶解度は 0. 05重量%である。
[0476] 続いてこの液体を 40°Cに冷却し、圧力を 0. 02MPaとして留去を開始した。更に 0 . 02MPa力 0. 004MPaまで徐々に圧力を下げて、榭脂濃度が 25重量%になるま でトルエン、イソプロパノール及び水を留去し、淡黄色半透明の水性榭脂分散体を 得た。分散体中のトルエンとイソプロパノールの合計量は 5重量%以下であった。留 出液は 308gであった。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 028 m、 90%粒子径は 0. 046 μ mであった。結果を表 4 - 1に示す。
[0477] [実施例 4 2]
製造例 4— 3で得られたポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンのトルエン溶液 (固形分 33重量%) lOOgを 60°Cに加熱し、撹拌しながら、イソプロパノール(20°Cに おける水の溶解度:無限大) 120gと水 30gの混合液を、 65°Cを保ちながら 1時間か けて滴下した。淡黄色の霞が力つた液体が得られた。続いてこの液体を 45°Cに冷却 し、圧力を 0. 02MPaとして留去を開始した。更に 0. 02MPa力 0. 008MPaまで 徐々に圧力を下げて、榭脂濃度が 33重量%になるまでトルエン、イソプロパノール、 及び水を合計 160g留去した。
[0478] 次に、イソプロパノール 18gと水 162gの混合液を、 65°Cを保ちながら 1時間かけて 滴下し半透明の黄色溶液を得た。続いてこの液体を 45°Cに冷却し、圧力を 0. 02M Paとして留去を開始した。更に 0. 02MPa力ら 0. 004MPaまで徐々に圧力を下げ て、榭脂濃度が 25重量%になるまでトルエン、イソプロパノール、及び水を留去し、 淡黄色半透明の水性榭脂分散体を得た。留出液は 148gであった。分散体中のトル ェンとイソプロパノールの合計量は 5重量%以下であった。
分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 030 m、 90%粒子径は 0. 049 μ mであった。
[0479] [実施例 4 3]
製造例 4—4で得られたポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンのトルエン溶液 (固形分 33重量%)を用いた以外は実施例 4—1と同様の操作で水性榭脂分散体を 得た。分散体中のトルエンとイソプロパノールの合計量は 5重量%以下であった。 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 048 m、 90%粒子径は 0. 079 μ mであった。
[0480] [実施例 4 4]
製造例 4—4で得られたポリアルキレングリコール変性ポリプロピレンのトルエン溶液 (固形分 33重量%)を用いた以外は実施例 4— 2と同様の操作で水性榭脂分散体を 得た。分散体中のトルエンとイソプロパノールの合計量は 5重量%以下であった。 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 055 m、 90%粒子径は 0. 088 μ mであった。
[0481] [比較例 4 1]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例 4— 2で得られ た無水マレイン酸変性ポリプロピレンのトルエン溶液 60g (固形分 18g)にトルエン 40 gを加え、 50°Cに昇温した。次にポリオキシエチレンセチルエーテル (花王社製エマ ルゲン 220、ノ-オン系界面活性剤、 HLB= 14. 2) 5g、及びポリオキシエチレンラウ リルエーテル(花王社製ェマルゲン 147、ノ-オン系界面活性剤、 HLB= 16. 3) 5g を添加し、溶解した後、 35°Cまで冷却した。
[0482] ここに水 100gを添加して十分撹拌した後、内部せん断型の乳化機クレアミックス C LM-0. 8S (ェム 'テクニック社製)を用い、 21000rpmで 3分間乳化を行った。続い て系内に 2—ァミノ 2—メチル 1 プロパノールを水で 10重量%に希釈した水溶 液を添カ卩し、 pH8に調整した。この粗乳化物を温度 50°C、減圧度 0. 02MPa力 0. 0045MPaまで徐々に減圧度を下げてトルエン及び水を留去し、濃度 25重量%の 乳白色の水性榭脂分散体を得た。分散体中のトルエン量は 5重量%以下であった。 分散粒子径を測定した結果、 50%粒子径は 0. 4 /ζ πι、 90%粒子径は 5 mであつ た。
[0483] [表 4-1] 表 4一 1
なお、 2005年 6月 3曰に出願された曰本特許出願 2005— 164597号、 2005年 7 月 7日に出願された日本特許出願 2005— 199454号、 2006年 2月 16日に出願さ れた曰本特許出願 2006— 039898号、 2006年 3月 29曰〖こ出願された曰本特許出 願 2006— 092591号、の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をこ
こに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。