JP5532712B2 - 樹脂分散体組成物、及びそれを含有してなるプライマー、塗料、及びその積層体 - Google Patents
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Description
一方で、これらの変性ポリオレフィンをプライマーや塗料として使用する場合、ポリオレフィン以外の塗膜との密着性を向上させたり、耐水性、耐油性(耐ガソホール(GH)性)、耐薬品性、耐擦性などの塗膜特性を向上させたりするために、ポリウレタン樹脂等からなる樹脂分散体を添加する必要がある。このため、本出願人はポリオレフィン水分散体とポリウレタン樹脂等の水分散体の組成物を特許文献2に開示している。
して密着性が高くないので、変性ポリオレフィンの樹脂分散体単独では十分な基材密着性を有する塗膜を形成可能であっても、特許文献2に記載されるポリオレフィン水分散体とポリウレタン樹脂等の水分散体の組成物のように、ポリウレタン樹脂からなる樹脂分散体等を混合した後には基材密着性が大幅に低下するという課題があった。
また、特許文献3のアクリル−ウレタン複合型水分散体では、ポリプロピレンへ塗布し密着性の評価がされているが、ポリプロピレンへの密着性が不十分である。
また本発明の別の要旨は、熱可塑性樹脂成形体(F)に、前記樹脂分散体組成物、前記プライマー、又は前記塗料を塗布し、樹脂層が形成されてなる積層体に関する。
また、本発明の樹脂分散体組成物からなる塗膜は、ポリオレフィンからなる基材に対して密着性が高くない(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体を含むにも関わらず、ポリオレフィン樹脂分散体のみからなる塗膜と比べて、ポリオレフィン基材密着性を大幅に低下させることなく、基材に対して強力な密着性を示す。
さらに、ポリウレタン樹脂分散体に比べて、原料および製造工程面で低コストである(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の樹脂分散体を使用するために安価に製造できる。
また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
プロピレン系重合体と(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の、水に分散される形態は特に限定されない。例えば、プロピレン系重合体と(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体とをそれぞれ乳化し、混合して樹脂分散体組成物を製造する方法がある。この方法では、プロピレン系重合体からなる粒子と(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体からなる粒子とがそれぞれ別々に形成され、水に分散された樹脂分散体組成物が得られる。
I、プロピレン系重合体
本発明の樹脂分散体組成物において、プロピレン系重合体は水に分散されていればその形態は特に限定されないが、例えばプロピレン系重合体の水分散体は次の2つに大別される。
I−1 変性プロピレン系重合体を水に分散したプロピレン系重合体の水分散体
I−2 プロピレン系重合体および/または変性プロピレン系重合体を、界面活性剤を用いて水に分散したプロピレン系重合体の水分散体
以下、各々場合に分けて説明する。
変性プロピレン系重合体は、プロピレン系重合体(A)に、親水性高分子(B)及び/又は酸性基が結合してなる重合体(C)である。
[1]プロピレン系重合体(A)
プロピレン系重合体(A)としては、構成モノマーとしてプロピレンを含むものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとその他コモノマーとの共重合体が挙げられる。コモノマーとしては例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの炭素数2以上のα−オレフィンコモノマーやシクロペンテン、シクロヘキセン、及びノルボルネンなどが挙げられる。α−オレフィンコモノマーとして好ましくは炭素数2〜8のα−オレフィンコモノマーであり、より好ましくは炭素数2〜6のα−オレフィンコモノマーである。
またプロピレンと酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのコモノマーとの共重合体、プロピレンと芳香族ビニルモノマー、共役ジエンモノマーとから選ばれる1種以上のモノマーの共重合体の水素添加体、なども用いることができる。なお単に共重合体という場合はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
別する方法であり、ポリマー中のコモノマー濃度などポリオレフィンの結晶性に関与する構造不均一性を分析するのに有効な分析法である。
或いは、プロピレン系重合体(A)として好ましい他の一例は、プロピレン−α−オレフィン共重合体である。このような共重合体はポリプロピレン等のホモポリマーに比べて融点が低いため、これを用いた樹脂分散体組成物は塗装後の焼き付け温度を下げることができる利点がある。より好ましくはプロピレン含量が50モル%〜95モル%である。通常、プロピレン含量が高いほどポリプロピレン基材への密着性が増す傾向がある。好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上である。但しプロピレン含量は95モル%以下である。通常、プロピレン含量を低くすると共重合体の融点を下げることができ、例えば塗装後の焼き付け温度を下げることができる利点がある。好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは85モル%以下である。更に、共重合体の分子量分布[Mw/Mn]が3.0以下であることが好ましい。
XM−7080などがある。
プロピレン系重合体(A)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上を総合すると、プロピレン系重合体(A)として好ましいのは、プロピレン含量が50モル%以上であってアイソタクチックブロックとアタクチックブロックとを有するステレオブロックプロピレン系重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、或いはこれらの併用である。
また配位重合の場合は、例えばチーグラー・ナッタ触媒により重合する方法又はシングルサイト触媒又はカミンスキー触媒により重合する方法が挙げられる。好ましい製法としては、シングルサイト触媒による製造方法を挙げることができる。この理由としては、一般にシングルサイト触媒はリガンドのデザインにより反応を精密に制御しやすく、分子量分布や立体規則性分布がシャープな重合体が得られ、チーグラー・ナッタ触媒による重合体に比べて融点が低いので、この重合体を用いた樹脂分散体組成物は塗装後の焼き付け温度を下げることができるためである。シングルサイト触媒としては、例えばメタロセン触媒、ブルックハート型触媒を用いうる。メタロセン触媒ではC1対称型、C2対称型、C2V対称型、CS対称型など、重合するポリオレフィンの立体規則性に合わせて好ましい触媒を選択すればよい。好ましくはC1対称型、C2対称型のメタロセン触媒を用いることができる。
本発明における酸性基とは電子対受容性の基を指し、特に限定されないが例えば、カルボン酸基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、スルフィノ基(−SO2H)、ホスホノ基(−PO2H)などが挙げられる。中でもカルボン酸基が好ましい。カルボン酸基は、水に分散される前は、カルボン酸基、ジカルボン酸無水物基(−CO−O−OC−)、及びジカルボン酸モノエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であればよい(以下、これらをカルボン酸誘導体基と総称することがある。)。カルボン酸基としては、例えば、(メタ)アクリル酸基、フマル酸基、マレイン酸基又はその無水物基、イタコン酸基又はその無水物基、クロトン酸基などが挙げられる。
[3]プロピレン系重合体(A)に親水性高分子(B)が結合してなる重合体(C2)
プロピレン系重合体(A)と親水性高分子(B)の比率は通常、(A):(B)=100:5〜100:500重量部であることが好ましい。下限値より親水性高分子(B)の比率が大きいと、重合体(C2)が水中で良好に分散し、分散粒子径が小さくなる傾向がある。逆に上限値より親水性高分子(B)の比率が小さいと、ポリオレフィン系成形体との密着性が良好になる傾向がある。水中での分散が良好で分散粒子径が小さく、且つポリオレフィン形成形体との密着性に優れるとの理由から、より好ましくは(A):(B)=100:5〜100:50、さらに好ましくは(A):(B)=100:5〜100:30である。
プロピレン系重合体(A)に反応性基が結合してなる重合体(A2)としては、例えば、重合時に反応性基を有しない不飽和化合物と反応性基を有する不飽和化合物とを共重合した共重合体(A2a)、又は、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をプロピレン系重合体(A)にグラフト重合した重合体(A2b)、不飽和末端基を持つプロピレン系重合体を13族〜17族の元素基等に変換した重合体(A2c)を用いることができる。
シジル、(メタ)アクリル酸(2−イソシアナト)エチル等をグラフトした重合体である。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A2b)として具体的には、例えば無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びその塩素化物、無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン共重合体及びその塩素化物、無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体、アクリル酸変性プロピレン−エチレン共重合体及びその塩素化物、アクリル酸変性プロピレン−ブテン共重合体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A2b)の製法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えば、溶液変性法(溶液中で加熱攪拌して反応する方法)、溶融変性法(無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、又は、押し出し機で加熱混練して反応する方法)等が挙げられる。
反応温度は、通常50℃以上であり、好ましくは80〜300℃の範囲が好適である。より好ましくは、溶液変性法の場合は80〜200℃の範囲であり、溶融変性法の場合は150〜300℃の範囲である。反応時間は、通常2〜20時間程度である。反応時間は、通常2〜20時間程度である。
二重結合部をホウ素基やアルミニウム基に変換する方法としては、例えば、二重結合に
有機ホウ素化合物や有機アルミニウム化合物を溶媒中で反応させる方法が挙げられる。
二重結合部をメルカプト基に変換する方法としては、例えば、チオ酢酸をラジカル開始剤存在下反応させた後、塩基で処理する方法などがある。
反応性基を結合してなる重合体(A2a)及び(A2b)中の反応性基の含有量は、プロピレン系重合体1g当たり0.01〜5mmol、即ち0.01〜5mmol/gの範囲にあることが好ましい。より好ましい下限値は0.05mmol/gであり、さらに好ましくは0.1mmol/gであり、特に好ましくは0.15mmol/gである。より好ましい上限値は1mmol/gであり、更に好ましくは0.8mmol/gであり、特に好ましくは0.5mmol/gである。
本発明においては、プロピレン系重合体(A)そのものと反応性基を結合してなる重合体(A2)の双方を、親水性高分子(B)との組合せや目的とする重合体(C2)の特性等に応じて適宜用いうる。但し少なくとも、反応性基を結合してなる重合体(A2)を含むことが好ましい。親水性高分子(B)の結合量の制御がしやすく、また結合に用いうる反応が多様であるなどの利点がある。反応性基を結合してなる重合体(A2)のみを使用してもよい。
[3−2]親水性高分子(B)
以下においては、説明の簡略化のためプロピレン系重合体(A)のみについて説明するが反応性基を結合してなる重合体(A2)についても全く同様である。
合成高分子としては、特に限定されないが例えばポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が使用できる。天然高分子としては、特に限定されないが例えばコーンスターチ小麦デンプン、かんしょデンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、米デンプンなどのデンプン;ふのり、寒天、アルギン酸ソーダなどの海藻;アラビアゴム、トラガントゴム、こんにゃくなどの植物粘質物;にかわ、カゼイン、ゼラチンなどの動物性タンパク;プルラン、デキストリンなどの発酵粘質物、等が使用できる。半合成高分子としては、特に限定されないが例えばカルボキシルデンプン、カチオンデンプン、デキストリンなどのデンプン質;ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース、等が使用できる。
また、親水性を示す範囲内で疎水性ラジカル重合性化合物(疎水性モノマー)を共重合することができる。共重合可能な疎水性モノマーとしては、例えば炭素原子数1〜12のアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーや、炭素原子数1〜12の炭化水素基を有する重合性ビニルモノマーなどが挙げられる。
炭素原子数1〜12の炭化水素基を有する重合性ビニルモノマーとしては酢酸ビニルやスチレンモノマー等が挙げられる。
または、ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して高分子を形成するとともにプロピレン系重合体(A)に結合させ、次いで親水性高分子(B)と変性することもできる。例えば(メタ)アクリル酸t−ブチルを重合後、酸性下で加水分解しポリ(メタ)アクリル酸に変性する方法、酢酸ビニルを重合後、ケン化してポリビニルアルコールに変性する方法などが挙げられる。この場合プロピレン系重合体(A)としては反応性基を結合してなる重合体(A2)も用いうるが、通常は反応性基を有しないプロピレン系重合体(A)を用いる。
ポリビニルピロリドン樹脂は、通常、ビニルピロリドンを重合させることで得られる。
ポリエーテル樹脂は、通常、環状アルキレンオキサイド又は環状アルキレンイミンを開環重合することで得られる。プロピレン系重合体(A)との結合方法は限定はされないが、例えば、反応性基を有する重合体(A2)中で環状アルキレンオキサイドを開環重合する方法、開環重合等により得られたポリエーテルポリオールやポリエーテルアミンなどの反応性基を有する親水性高分子を、反応性基を有する重合体(A2)と反応する方法、等が挙げられる。
親水性を示すポリアルキレンオキサイドやポリアルキレンイミンとして好ましくは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミンが挙げられる。
本発明に用いる親水性高分子(B)はプロピレン系重合体(A)との結合前に、これと反応しうる反応性基を1以上有しているのが好ましい。反応性基としては、例えばカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられるが、好ましくは少なくともアミノ基を有する。アミノ基はカルボン酸基、無水カルボン酸基、グリシジル基、イソシアネート基など多種の反応性基と反応性が高いのでポリオレフィンと親水性高分子を結合させることが容易である。アミノ基は1級、2級、3級のいずれでもよいが、より好ましくは1級アミノ基である。
ただし反応性基を複数有していても、他より反応性の高い反応性基が1つのみであれば
よい。例えば複数の水酸基と、それより反応性の高い1つのアミノ基を有する親水性高分子は好ましい例である。ここで反応性とはプロピレン系重合体(A)の有する反応基との反応性である。
ラジカルグラフト反応によれば、炭素−炭素共有結合による結合が形成される。
反応性基を利用した反応は、プロピレン系重合体(A)と親水性高分子(B)の双方に反応性基を有していてそれらを反応させて結合させるものであり、共有結合又はイオン結合が形成される。この反応としては、例えば(無水)カルボン酸基と水酸基の(開環)エステル化反応、カルボン酸基とエポキシ基との開環反応、1級又は2級アミノ基とエポキシ基との開環反応、(無水)カルボン酸基と1級又は2級アミノ基の(開環)アミド化反応又はイミド化反応、カルボン酸基と3級アミノ基の4級アンモニウム化反応、カルボン酸基とイソシアナート基のアミド化反応、1級又は2級アミノ基とイソシアナート基のウレア化反応、ヒドロキシ基とイソシアナート基のウレタン反応等が挙げられる。なかでも無水カルボン酸基と1級又は2級アミノ基の開環アミド化反応又はイミド化反応が反応性の高さの点で好ましく、更には、イミド化よりもアミド化の方がNH基とCOOH基の親水基が基中に残るため、乳化の容易さの点及び塗料として他の物質を加えて焼付けした時にNH基とCOOH基がこれらの物質と反応して強固な塗膜を形成し得る点で好ましい。各反応の反応率は1〜100%の間で任意に選べばよく、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは70〜100%である。カルボン酸基が二塩基酸もしくはその無水物である場合は、二塩基酸もしくはその無水物一当量に対し、一当量反応させても二当量反応さ
せてもよい。
プロピレン系重合体(A)と親水性高分子(B)を結合させ重合体(C2)を製造する方法としては、通常、プロピレン系重合体の存在下で親水性ラジカル重合性不飽和化合物を重合してプロピレン系重合体に結合した親水性高分子(B)を形成する方法(R1)、又は予め重合した親水性高分子(B)をプロピレン系重合体に結合させる方法(R2)がある。
本方法では、プロピレン系重合体存在下で、親水性ラジカル重合性不飽和化合物(親水性モノマー)を重合することでプロピレン系重合体に結合した親水性高分子(B)を得る。親水性ラジカル重合性不飽和化合物の重合方法は、例えば付加重合、縮合重合、開環重合などを用いうる。このとき重合後に親水性高分子を形成しうる範囲であれば疎水性ラジカル重合性不飽和化合物を共重合させてもよい。いずれもプロピレン系重合体としては、反応性基を有しないプロピレン系重合体(A)、又は反応性基を結合してなる重合体(A2)、ともに用いうる。
共重合可能な疎水性モノマーとしては、例えば炭素原子数1〜12のアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーや、炭素原子数1〜12の炭化水素基を有する重合性ビニルモノマーなどが挙げられる。
トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
炭素原子数1〜12の炭化水素基を有する重合性ビニルモノマーとしては酢酸ビニルやスチレンモノマー等が挙げられる。
反応性界面活性剤や反応性乳化剤も、水性ラジカル重合性不飽和化合物として用いることができる。例えば、特開平4−53802号公報、特開平4−50204号公報に示されるアルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキシド付加体、アルキルジプロペニルフェノールポリエチレンオキシド付加体及びそれらの硫酸エステルの塩が挙げられる。その中でもアルキルプロペニルフェノールエチレンオキシド20モル付加体、同30モル付加体、同50モル付加体(第一工業製薬製、アクアロンRN−20,RN−30,RN−50)及びアルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキシド10モル付加体の硫酸エステルアンモニウム塩、同20モル付加体の硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬製、アクアロンHS−10,HS−20)が用いられる。
親水性開環重合モノマーとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンイミンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方法等が挙げられる。反応温度は、通常0℃以上、好ましくは30℃以上であり、通常200℃以下、150℃以下である。溶液中で製造する場合の溶媒としては、[3−1]で挙げた溶媒を同様に用いることができる。
本方法では、予め重合した親水性高分子(B)をプロピレン系重合体(A)に結合させる。この場合親水性高分子(B)としては[3−2]で挙げたものを用いうる。
具体的には、例えば、まず親水性モノマーを重合して親水性高分子とする際に分子内に不飽和二重結合を残しておき、次いでラジカル重合性開始剤を用いてポリオレフィンにグラフト重合させる方法がある。この場合プロピレン系重合体としては反応性基を有する重合体(A2)も用いうるが、通常は反応性基を有しないプロピレン系重合体(A)を用いる。
これらはいずれも、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方法等が挙げられ、好ましくはポリマーの融点に関わらず任意に反応温度を変えられる点で、溶液中で加熱攪拌して反応する方法である。反応温度は、通常0℃以上、好ましくは30℃以上であり、通常200℃以下、150℃以下である。
I−2 プロピレン系重合体および/または変性プロピレン系重合体に界面活性剤を用いて水に分散したプロピレン系重合体の水分散体
ここでプロピレン系重合体は上記のプロピレン系重合体(A)を、変性プロピレン系重合体は[I−1]に記載のものを使用することができる。
どを使用することができ、反応性界面活性剤を用いた場合はこの水分散体を用いて形成した皮膜の耐水性を向上できる。代表的な市販反応性界面活性剤としては、エレミノールJS−2(三洋化成工業製)、ラテムルS−180(花王製)が挙げられる。
プロピレン系重合体および/または変性プロピレン系重合体100重量部に対する界面活性剤の比率は、通常50重量部以下であり、好ましくは30重量部以下である。
ただしノニオン性界面活性剤は他の界面活性剤に比べて耐水性を低下させにくいのでノニオン性界面活性剤は多少多めに含んでもよい。例えばプロピレン系重合体および/または変性プロピレン系重合体100重量部に対してノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤は5重量部以下とすべき場合、ノニオン性界面活性剤は10重量部以下としてもよい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体の水分散体には、必要に応じて酸性物質や塩基性物質を添加することができる。酸性物質としては例えば塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。塩基性物質として例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、2−メチル−2−アミノ−プロパノールなどが挙げられる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体の水分散体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、変性プロピレン系重合体、水、及び水以外の溶媒の混合物を調製したのち、該混合物から該溶媒を除去することにより水性分散体とする方法、変性プロピレン系重合体が溶融する温度以上で溶融させた後に水を添加して分散体とする方法、などが挙げられる。
[5]プロピレン系重合体の水分散体
上述の変性プロピレン系重合体は水への分散性に非常に優れ、また上述の水分散体の製造方法によれば分散粒子径の細かいプロピレン系重合体の水分散体が得られるので、[I−1]又は[I−2]に記載されるプロピレン系重合体の水分散体を用いて得られる本発明の樹脂分散体組成物は分散粒子径が細かく、かつ樹脂が安定に分散している利点がある。従ってこれを用いると優れた外観の塗布品が得られる。
なお、本発明において分散とは、分散粒子が極めて小さく単分子で分散している状態、実質的には溶解と言えるような状態を含む概念である。従って、分散粒子径の下限値については特に制限はない。
II、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体
[6](メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体
(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体は、同一ミセル内にウレタン樹脂組成とアクリル樹脂組成とが配合されてなる樹脂複合体である。本発明の樹脂分散体組成物において、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体は水に分散されていればその形態は特に限定されないが、好ましくはアクリル樹脂組成のまわりにウレタン樹脂組成が位置した構造を有する粒子として水に分散されていることが好ましい。言い換えると、ウレタン樹脂組成の部分(以下、ウレタン部ともいう。)を外側に、アクリル樹脂組成の部分(以下、アクリル部ともいう。)を内側にしたコアシェル構造を有するミセルとして水に分散していることが好ましい。なお、コアシェル構造とは、具体的には同一ミセル内に異なる樹脂組成の成分が存在し、中心部分(コア)と外殻部分(シェル)とで異なる樹脂組成からなっている構造をいう。
(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体におけるウレタン樹脂の重量平均分子量は、40,000〜100,000程度とされ、この範囲内でより小さい方が好ましい。このような分子量とすることにより、本発明の樹脂分散体組成物により塗膜層を形成したときの層間密着性を向上させることができる。ウレタン樹脂の分子量が40,000以上でウレタン樹脂の凝集力が良好となって、密着力が向上する傾向にあり、100,000以下ではウレタン樹脂の凝集力が高くなりすぎることなく、密着性が良好になるものと考えられる。
させる。
プレポリマー化反応は50〜100℃で行うことが好ましく、後述するの(メタ)アクリルモノマーの熱による重合を防ぐため、空気の存在下で、p−メトキシフェノール等の重合禁止剤を(メタ)アクリルモノマーに対して20〜3000ppm程度の範囲で加えて行なうことが好ましい。また、この際、ウレタン化反応の触媒としてジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物やトリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン化合物等を使用してもよい。このようにしてイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液が得られる。
(ロ)−1 ジオール化合物:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、2,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等。
カルボキシル基を含有するものとして例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、1−カルボキシ−1,5−ペンチレンジアミン、ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸等のアルカノールカルボン酸類、ポリオキシプロピレントリオールと無水マレイン酸や無水フタル酸とのハーフエステル化合物等、スルホン酸基を含有するものとしては、例えば2−スルホン酸−1,4−ブタンジオール、5−スルホン酸−ジ−β−ヒドロキシエチルイソフタレート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸等が、単独もしくは混合して使用される。
存安定性が向上し、また、樹脂分散体組成物の安定性が低下しない程度に親水基であるイオン形成基量を少なくすることで形成したポリオレフィンへの密着性を向上させることができるという効果がある。
次に、アクリル部について説明する。(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体のアクリル部は、以下に説明する所定の組成、所定の推定ガラス転移温度(以下、推定ガラス転移温度をTgという。)のアクリル樹脂で構成されていることが好ましく、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の内側に配置されて、本発明の樹脂分散体組成物を塗膜とした際に層間密着性を向上させる。その他にも、塗膜の耐候性を向上させる役割がある。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチルが挙げられる。
(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の水分散体の代表的な製造方法を以下に示すが、これに限定されるものではなく、従来既知の方法で製造された(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の水分散体も使用可能である。
イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー中で、有機ポリイソシアネート(イ)とポリオール(ロ)及び活性水素基とイオン形成基を含有する化合物(ハ)を反応させイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを生成させる。次いで、中和剤を添加後に、水を加え油層と水層を転相させ水に分散させ、水分散液を得る。この水分散液にラジカル重合開始剤を加えて、(メタ)アクリルモノマーを重合させながら、イソシアネート基同士を水で鎖延長させて重合を完結させる。
ウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液を水に分散する際、ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリルモノマーを添加することによって、水への分散が良好となり尚かつ均一でより安定な水分散液が得られる。ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリルモノマーとは、末端にヒドロキシ基、又は炭素数1〜3のアルキレンオキシ基を有し、且つポリオキシエチレン基、又はポリオキシプロピレン基を有するアクリルモノマーである。
このようにしてウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液の水分散液を得た後、これに重合開始剤を添加して温度を上昇させて(メタ)アクリルモノマーの重合温度の範囲内でウレタンプレポリマーの水による鎖延長を行うと共に、(メタ)アクリルモノマーの重合を行ない、ウレタン樹脂とアクリル樹脂からなる(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の水分散体が得られる。ウレタン樹脂は親水性基である自己乳化基を有しており、これに対してアクリル樹脂は非水性である。さらに、ウレタン樹脂とアクリル樹脂は非相溶であるので、コアシェル構造を有する(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体が得られる。
ウレタンプレポリマーと鎖延長剤とを反応させても良い。鎖延長剤としては、活性水素を有する公知の鎖延長剤を用いることができ、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類、ヒドラジン等が挙げられる。
この際、重合開始剤の組み合わせは任意に選ぶことができる。(メタ)アクリルモノマーの重合における分子量を調節する目的で公知の連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ターシャルドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等の使用も可能である。
(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の水分散体には、乳化された耐候安定剤を添加しても構わない。本発明で用いられる(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の耐候性は十分に高いものの、要求性能によっては紫外線吸収剤、酸化防止剤等の耐候安定剤を添加
することにより、分子切断が抑えられ耐候性がより長くなる効果がある。
[8]樹脂分散体組成物
本発明の樹脂分散体組成物における、プロピレン系重合体(以下、成分(I)と称する)と(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体(以下、成分(II)と称する)の配合比率は、特に制限はないが、 成分(I):成分(II)=90:10〜10:90(重量比)が好ましい。即ち成分(I)および成分(II)の合計量を100重量部として、成分(I)が10重量部以上であり、90重量部以下が好ましい。成分(I)の合計量が10重量部以上では、樹脂分散体組成物から得られる塗膜のポリオレフィン系基材に対する密着性が良好となる傾向がある。好ましくは15重量部以上とし、より好ましくは20重量部以上とする。成分(I)の量が90重量部以下であると、樹脂分散体組成物を塗膜とした際の塗膜物性、具体的には塗膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、耐溶剤性などが良好になる傾向がある。好ましくは85重量部以下とし、より好ましくは80重量部以下とする。
水以外の分散媒及び/又は溶媒としては、特に限定されず、[5]で記載したプロピレン系重合体の水分散体の製造の際に水以外の溶媒として挙げた溶媒などを用いることができる。なかでも常温で水に5重量%以上溶解する溶媒が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上溶解するものであり、例えば、シクロヘキサノン、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、等が好ましい。
本発明の樹脂分散体組成物は、抑泡性やブリードアウトの抑制などの面から界面活性剤の含有量が少ないことが好ましいが、他の目的、用途等に応じて必要により界面活性剤を含有していてもよい。
は[I−2]で記載した各種界面活性剤と同様のものを用いることができる。
本発明の樹脂分散体組成物の界面活性剤含有量は、成分(I)及び成分(II)の合計量、又は後述する成分(III)を含む場合には成分(I)、成分(II)及び成分(III)の合計量100重量部に対して、通常20重量部以下であることが好ましく、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下、特に好ましくは2重量部以下である。最も好ましくは界面活性剤を実質的に含まないことである。
また得られる塗膜の耐水性、耐溶剤性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤を分散体中の成分(I)及び成分(II)の合計量、又は後述する成分(III)を含む場合には成分(I)、成分(II)及び成分(III)の合計量100重量部に対して0.01〜100重量部添加することができる。架橋剤としては自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。またこれらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂分散体組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、必要に応じて水溶性樹脂又は水に分散しうる樹脂(以下、まとめて成分(III)と称する)を混合し使用することができる。これは、本発明の樹脂分散体組成物とした際には、例えば塗装外観の向上(光沢の付与、或いはツヤ消し)やタック性の低減などに効果がある。成分(III)としては界面活性剤を用いて水に分散しうる樹脂でもよい。
水に分散しうる樹脂としては例えば、アクリル樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。これら成分(I)および(II)と成分(III)を含む樹脂分散体組成物の形態は特に限定されない。
散体組成物が得られる。或いはこれら成分(I)及び/または(II)と成分(III)を混合後、乳化する方法がある。この方法では、1つの粒子中に成分(I)及び/または(II)と成分(III)とが混ざり合った粒子が水に分散された樹脂分散体組成物が得られる。例えばそれぞれの樹脂の重合時に成分(I)及び/または(II)と成分(III)を共存させることで両者を混合でき、水に乳化・分散させて一粒子内に成分(I)及び/または(II)と成分(III)とを含む粒子を形成しうる。また成分(I)及び/または(II)と成分(III)とを別々に合成後、溶融混練等することによっても両者を混合でき、水に乳化・分散させて一粒子内に成分(I)及び/または(II)と成分(III)とを含む粒子を形成しうる。
本発明の樹脂分散体組成物には顔料(E)を加えることができる。顔料(E)を含む樹脂分散体組成物は塗料として好適である。
使用しうる顔料は特に限定されないが、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、紺青、ベンガラ、黄鉛、黄色酸化鉄等の無機顔料;アゾ系顔料、アントラセン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の着色顔料;タルク、炭酸カルシウム、クレイ、カオリン、シリカ、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料;導電カーボン、アンチモンドープの酸化スズをコートしたウイスカー等の導電顔料;アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色或いは着色された金属製光輝材などを挙げることができ、1種または2種以上を併用してもよい。
量、又は後述する成分(III)を含む場合には成分(I)、成分(II)及び成分(III)の合計量100重量部に対して、10重量部以上が好ましい。より好ましくは50重量部以上とする。但し400重量部以下が好ましく、より好ましくは200重量部以下である。下限値より添加量が多いほど発色性、隠蔽性が高くなる傾向にあり、上限値より少ないほど密着性、耐湿性、耐油性が高くなる傾向にある。
これらは特にポリオレフィン基材に対して使用することが適しており、例えば自動車内装用・外装用等の自動車用塗料、プライマー、携帯電話・パソコン等の家電用塗料、建築材料用塗料等に用いうる。
基材上に本発明の樹脂分散体組成物又はこれを含むプライマー、塗料を塗布し、加熱することで樹脂層を形成し、積層体とすることができる。この樹脂層はプロピレン系重合体と、同一ミセル内にウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂とを含有する(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体を、水に分散させてなる樹脂分散体組成物を含む層である。
本発明の樹脂分散体組成物は、結晶性を有するオレフィン系重合体の成形体(基材)に塗布し塗膜を形成することができる。基材としてのオレフィン系重合体としては、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−1−ブテン、ポリスチレン等のオレフィン系重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体等のオレフィン共重合体等が挙げられる。これらのオレフィン共重合体のうち、プロピレン系重合体が好ましく用いられる。また、ポリプロピレンと合成ゴムとからなる成形体、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる成形体、例えば自動車用バンパー等の成形体、さらには鋼板や電着処理用鋼板等の表面処理にも用いることができる。
これら成形体にタルク、亜鉛華、ガラス繊維、チタン白、硫酸マグネシウム等の無機充填剤、顔料等が配合されている場合にも、密着性の良い塗膜を形成することができる。
基材上に樹脂層を形成する方法としては、特に限定されることなく公知の方法が使用しうるが、例えば、本発明の樹脂分散体組成物、プライマー又は塗料をスプレーで塗布する
方法、ローラーで塗布する方法、刷毛で塗布する方法などが挙げられる。
樹脂分散体又は塗料を塗布した後、通常、ニクロム線、赤外線、高周波等により加熱して塗膜を硬化させ、所望の樹脂層を表面に有する積層体を得ることができる。塗膜の硬化条件は、基材の材質、形状、使用する塗料の組成等によって適宜選ばれる。硬化温度に特に制限はないが、実用性を考慮して通常、50℃以上、好ましくは60℃以上である。ただし通常150℃以下、好ましくは130℃以下とする。
[13]熱可塑性樹脂成形体(F)
本発明の積層体の基材としては熱可塑性樹脂成形体が望ましい。熱可塑性樹脂成形体(F)としては、特に限定されるものではないが、例えばポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる成形体である。なかでも本発明はポリオレフィン樹脂からなる熱可塑性樹脂成形体(F)(以下、ポリオレフィン成形体と称する。)に適用すると好ましい。
ポリオレフィンは、好ましくはメルトフローレート(MFR)が2g/10分以上であり、より好ましくは10g/10分以上、特に好ましくは25g/10分である。ただし好ましくは300g/10分以下、より好ましくは200g/10分以下である。MFRが下限値より高いとポリオレフィンの流れ性が高まる傾向にある。逆にMFRが上限値より低いと機械物性が高まる傾向にある。
ポリオレフィンとしてより好ましくは結晶性ポリプロピレンである。結晶性ポリプロピレンとは、プロピレン単独重合体及び/又はプロピレン・エチレン共重合体である。ここでプロピレン・エチレン共重合体とは、プロピレン・エチレンランダム共重合体及び/又はプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、好ましくはプロピレン・エチレンブロック共重合体である。
上記a単位部は、通常、プロピレンの単独重合、場合によってはプロピレンに少量の他のα−オレフィンを共重合することによって得られる。
a単位部のポリプロピレン単独重合体のMFRは、好ましくは10g/10分以上、より好ましくは15g/10分以上、更に好ましくは20g/10分以上であり、特に好ましくは40g/10分以上である。但し好ましくは500g/10分以下、より好ましくは400g/10分以下、更に好ましくは300g/10分以下である。
一方、b単位部はプロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状成分である。
b単位部のプロピレン・エチレンランダム共重合体部のプロピレン含量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。但し好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは75重量%以下である。プロピレン含量がこの範囲である場合、その分散性や、ガラス転移温度が適切な範囲となり、衝撃特性が良好となる傾向がある。プロピレン含量は、プロピレン・エチレンランダム共重合体部の重合時にプロピレンとエチレンの濃度比を制御することにより調整できる。
a単位部、b単位部の量については特に制限はないが、一般にa単位部は、好ましくは全体量の95重量%以下、より好ましくは50〜95重量%、更に好ましくは60〜90重量%、b単位部は、好ましくは全体量の5重量%以上、より好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%となるように調整される。b単位部の量が下限値以上であるほど耐衝撃特性が高まる傾向があり、上限値以下であるほど剛性、強度及び耐熱性が高まる傾向がある。
a単位部とb単位部の量の比率は、プロピレン単独重合体部の重合量とプロピレン・エチレンランダム共重合体部の重合量によって決まるので、それぞれの重合時間を制御すること等により調整できる。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と、有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照)等を例示することができる。更にWO91/04257号公報等に示されるようなメタロセン系触媒も挙げられる。なおメタロセン系触媒は、アルモキサンを含まなくてもよいが、好ましくはメタロセン化合物とア
ルモキサンとを組み合わせた触媒、いわゆるカミンスキー系触媒である。
本発明で用いられるプロピレン単独重合体及びプロピレン・エチレンブロック共重合体は、構造材料として用いるためには機械的物性に優れ剛性や耐衝撃特性が高いことが好ましい。即ち曲げ弾性率が、好ましくは300MPa以上、より好ましくは500〜3000MPa、更に好ましくは1000〜2000MPaである。この範囲内とすることで剛性に優れ構造材料として適したものとなる。またIZOD衝撃強度は、好ましくは1kJ/m2以上、より好ましくは2〜100kJ/m2、更に好ましくは5〜80kJ/m2、特に好ましくは8〜60kJ/m2である。この範囲内とすることで耐衝撃特性に優れ構造材料として適したものとなる。
[14]無機フィラー成分
本発明に用いられる熱可塑性樹脂成形体(F)は無機フィラー成分を含有することができる。
具体的には、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラー;短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状フィラー;チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム、炭化珪素等の針状(ウイスカー)フィラー;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー;ガラスバルーンのようなバルン状フィラー、等である。亜鉛華、チタン白、硫酸マグネシウム等の無機充填剤や顔料も使用できる。なかでも物性とコストのバランスからタルク、マイカ、ガラス繊維、ウイスカーが好ましく、より好ましくはタルク、マイカ、ガラス繊維である。
無機フィラー成分の使用量は、成形品の目的や用途によって広い範囲から選択されるが、結晶性ポリオレフィン100重量部に対し、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは2〜75重量部、更に好ましくは5〜60重量部である。
くは2000〜8000MPaに改善することができる。またIZOD衝撃強度は、好ましくは1kJ/m2以上、より好ましくは2〜80kJ/m2、更に好ましくは4〜60kJ/m2に改善できる。
以下、好ましいフィラーについて詳述する。
(1)タルク
本発明で用いるタルクの平均粒径は、通常10μm以下、好ましくは0.5〜8μm、より好ましくは1〜7μmである。平均粒径値とは、レーザー回折法(例えば堀場製作所製LA920W)や液層沈降方式光透過法(例えば島津製作所製CP型等)による測定結果から粒度累積分布曲線を描き、これから読みとった累積量50重量%の粒径値である。本発明での値はレーザー回折法で測定した平均粒径値である。
機械的粉砕方法としては、例えばジョークラシャー、ハンマークラシャー、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミル等の粉砕機を用いる方法が挙げられる。粉砕されたタルクは、上記平均粒径に調節するために、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、シャープカットセパレター等の装置で1回又は繰り返し、湿式又は乾式分級される。
これらのタルクは、重合体との接着性或いは分散性を向上させる目的で、各種の有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理されていてもよい。
ガラス繊維としてはガラスチョップドストランドを用いるのが一般的である。ガラスチョップドストランドの長さは通常3〜50mmであり、繊維の径は通常3〜25μm、好ましくは8〜14μmである。
ガラスチョップドストランドとしては、シラン系化合物による表面改質や、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、オレフィン系成分などの集束剤等による表面処理を施したものを用いることが好ましい。
本発明においては、結晶性ポリオレフィンとガラス繊維との界面接着による機械的強度の向上を図るために、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体により変性したポリオレフィンを配合してもよい。特にポリプロピレンを母体として変性したものが好ましく、変性率が0.1〜10重量%のものを用いることが好ましい。
マイカは、平均粒径が2〜100μmで平均アスペクト比が10以上のものが好ましく、平均粒径が2〜80μmで平均アスペクト比が15以上のものがより好ましい。マイカの平均粒径が上記範囲内であることで、成形品の耐傷性、衝撃強度をより向上させ外観の低下が抑制できる。
マイカの製造方法は特に限定されず、前述のタルクに準じた方法で製造されるが、乾式粉砕・湿式分級又は湿式粉砕・湿式分級方式が好ましく、湿式粉砕・湿式分級方式がより好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂成形体(F)が結晶性ポリオレフィン成形体である場合、更に、エラストマー成分を含有させることができる。これにより成形体の耐衝撃強度を向上させることができる。
エラストマー成分としては、エチレン・α−オレフィンランダム共重合ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、スチレン含有熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
これらエラストマー成分のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、本発明の主要用途の一つである自動車外装材を考慮した場合、好ましくは0.5〜150g/10分、より好ましくは0.7〜100g/10分、更に好ましくは0.7〜80g/10分である。
[16]その他の成分
熱可塑性樹脂成形体(F)は、上記以外に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意の添加剤や配合成分を含有することができる。具体的には、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・タルク等の各種核剤、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、ポリエチレン樹脂等他の樹脂、などを挙げることができる。
以上述べた樹脂に、必要に応じて各種成分を配合し、混合及び溶融混練する。混練方法は特に限定されず、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて混練・造粒することによって、本発明で用いられる熱可塑性樹脂成形体(F)を構成する熱可塑性樹脂組成物が得られる。各成分の分散を良好にするためには、好ましくは二軸押出機を用いる。
次いで熱可塑性樹脂組成物を成形し熱可塑性樹脂成形体(F)を得るが、成形方法は公知の各種方法を用いることができる。
例えば射出成形(ガス射出成形も含む)、圧縮成形、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、中空成形、回転成形、カレンダー成形、インフレーション成形、一
軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等が挙げられる。好ましくは射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形を用いるのが好ましく、生産性等を考慮すると射出成形が特に好ましい。
本発明の積層体は、塗膜密着性に優れ、さらに剛性、耐衝撃性、に優れた物性バランスを有する。また積層体を構成する樹脂層が実質的に界面活性剤を含まない場合にはブリードアウトも生じないため外観にも優れる。また、塩素などのハロゲンを含有する必要がないため環境負荷を少なくすることができる。
例えば、バンパー、インストルメントパネル、トリム、ガーニッシュなどの自動車部品、テレビケース、洗濯機槽、冷蔵庫部品、エアコン部品、掃除機部品などの家電機器部品、便座、便座蓋、水タンクなどのトイレタリー部品、浴槽、浴室の壁、天井、排水パンなどの浴室周りの部品などの各種工業部品用成形材料として用いることができる。
なお、実施例中の「部」、「%」及び「ppm」は、それぞれ「重量部」、「重量%」及び「重量ppm」を意味する。
<物性測定方法及び評価方法>
(1)プロピレン含量
プロピレン−ブテン共重合体におけるプロピレンの含量[P]は、NMR装置(日本電子社製、400MHz)にて13C−NMRスペクトル測定法により測定した。試料350〜500mgを、10mmφのNMR用サンプル管中で、2.2mlのオルトジクロロベンゼンを用いて完全に溶解させた。次いで、ロック溶媒として0.2mlの重水素化ベンゼンを加え、均一化させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法により測定を行った。測定条件は、パルス角90°、パルス間隔10秒、積算回数6000回とした。
(2)重量平均分子量、数平均分子量
はじめに試料5mgを10mlのバイアル瓶に採取し、安定剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)250ppm含有するテトラヒドロフランを5g添加し50℃で完全に溶解させた。これを室温に冷却後、孔径0.45μmのフィルターでろ過し、ポリマー濃度0.1重量%の試料溶液を調製した。
(3)グラフト率
重合体200mgとクロロホルム4800mgを10mlのサンプル瓶に入れて50℃で30分加熱し、完全に溶解させた。材質NaCl、光路長0.5mmの液体セルにクロロホルムを入れ、バックグラウンドとした。次に溶解した重合体溶液を液体セルに入れて、日本分光社製FT−IR460plusを用い、積算回数32回にて赤外線吸収スペクトルを測定した。
(4)分散粒子径
日機装社製マイクロトラック UPAを用いて測定した。分散体の密度を0.9kg/m3、形状を球形、分散媒を水として測定時間180秒にて測定し、体積換算として粒径が細かい方から累積で50%の粒子径、90%の粒子径を求めた。
(メタ)アクリルモノマーの仕込み重量と、下記式から計算した。
1/Tg=ΣWi/Tgi
Wi:全(メタ)アクリルモノマー中の“モノマーi"の重量分率
Tgi:“モノマーi"から得られたホモポリマーガラス転移温度(K)の重量分
率
Tgiは文献(J.Brandrup, and E.H.Immergut(ed.):Polymer Handbook(3rd ed.),
p.215-227,New York, John Wiley & Sons,(1989))およびメーカーカタログから引用した。
(6)酸価
酸価は通常、1gの樹脂に含まれる酸の中和に消費される水酸化カリウム(KOH)の量(単位mgKOH/g)で表される。よって、酸価を下記式により計算した。
<式>
仕込みの不揮発成分中のカルボン酸量(mmol)×KOH分子量(56.1mgKOH/mmol)/仕込みの不揮発成分の重量(g)
(7)pH
あらかじめ恒温槽で液温25℃にした水分散体を、pH標準液で校正した堀場製作所社製pHメーターF−21を用い測定した。
あらかじめ恒温槽で液温25℃にした水分散体を、東京計器社製B型粘度計を用い、No.1のローターを装着し60rpmの速度で測定した。
(9)ピール強度
自動車外装用グレードのポリプロピレンを70mm×150mm×3mmにインジェクション成型して基板を作成後、これを2等分し70mm×75mm×3mmの基板を作成した。一端の部分に樹脂分散体組成物が塗布されないようにマスキングテープを約1cm貼り付けた後、基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した。次に樹脂分散体組成物を塗布量約10g/m2となるように噴霧塗布し、この試験片をセーフベンドライヤー中90℃で3分乾燥後、マスキングテープを剥がした。
なった。
焼付け後25℃で24時間以上放置した積層体について、硬化した2液型ポリウレタン塗料の上からカッターで1.5cm幅に切り込みを入れた。
(10)塗装試験
自動車外装用グレードのポリプロピレンを70mm×150mm×3mmにインジェクション成形して基板を作成後、これを70mm×75mm×3mmの基板に2等分し、基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した。次に樹脂分散体組成物を塗布量約10g/m2となるように噴霧塗布し、この試験片をセーフベンドライヤー中80℃で10分乾燥した。次に水性ベース塗料を塗布量約15g/m2となるように噴霧塗布し80℃で3分乾燥した。最後に溶剤系2液クリアーを塗布量40g/m2となるようにスプレー塗装し80℃で35分乾燥した。
(10)−1 密着性
作製した塗装試験片に、JIS K 5400に記載されている碁盤目試験の方法に従って碁盤目を付け、塗膜にセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付けた後、90度方向に剥離した。碁盤目25マスのうち剥離されなかった碁盤目数にて評価した。
作製した塗装試験片を、50℃、95%RHの条件で10日間置いた後、前記(10)−1と同様に碁盤目試験を行い碁盤目25マスのうち剥離されなかった碁盤目数にて密着性を評価した。
また、ブリスター(水ぶくれ)の有無を調べ、下記の基準により評価した。
△:少数のブリスター発生
×:多数のブリスター発生
[製造例1]
(溶融混練工程)
プロピレン−ブテン共重合体(三井化学社製、タフマーXM7080、プロピレン含有量80モル%)200kgと無水マレイン酸5kgをスーパーミキサーでドライブレンドした後、2軸押出機(日本製鋼所社製TEX54αII)を用い、プロピレン−ブテン共重合体100重量部に対し1重量部となるようにt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製パーブチルI)を液添ポンプで途中フィードしながら、ニーディング部のシリンダー温度200℃、スクリュー回転数125rpm、吐出量80kg/時間の条件下で混練し、ペレット状の製品を得た。
(溶液変性工程)
次に、底部抜き出し弁とオイル循環式ジャケットヒーターのついた2Lガラスフラスコに還流冷却管、温度計、窒素ガス吹込み管、攪拌機を設置した後、上記無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体150gとトルエン150gを仕込み、窒素ガスを吹き込
みながら110℃になるまで加温、撹拌した。
その後、溶液の一部として0.5gを抜き出し、アセトンを加えて、沈殿した共重合体を濾別し、更にアセトンで沈殿・濾別を繰り返し、最終的に得られた共重合体を減圧乾燥した。この無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸基の含量(グラフト率)は1.5重量%(無水マレイン酸基として0.15mmol/g、カルボン酸基として0.30mmol/g)であった。また重量平均分子量は148,000、数平均分子量は78,000(ともにポリスチレン換算)であった。
次に、上記の無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体の溶液にトルエン129gを加えて希釈した後、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’―ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティケミカル社製 イルガノックス1010)0.075gを加えた。ジャケット温度(外温)を75℃に下げ、更にイソプロパノール15gを加えて1時間撹拌した後、70℃の温水600gを加え撹拌した。15分間撹拌を続けた後、静置すると上部にトルエン溶液相、下部に温水相と二相に分離するので、底部の抜き出し弁より温水を抜き出した。温水での洗浄操作をもう1回繰り返した後、トルエン溶液に、メトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)−2−プロピルアミン(ハンツマン社製ポリエーテルアミン;ジェファーミンM−1000、分子量1000(公称値))22.5g(22.5mmol)をイソプロパノール405gおよび水101gに溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。
[製造例2]
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコにメチルメタクリレート53.0g、ブチルアクリレート122.4g、イソホロンジイソシアネート59.7g、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール(水酸基価 56mgKOH/g)94.7g、ジメチロールプロピオン酸21.1g、p−メトキシフェノール0.02gを仕込み、90℃まで昇温し、5時間反応してウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液を得た。
製造例2と同様にして、表1の組成比に従い(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体の水分散体(III)〜(VII)を製造した。
BA:アクリル酸ブチル
IPDI:イソホロンジイソシアネート
PPG2000:プロピレングリコール2000(三洋化成工業社製サンニックスPP−2000、数平均分子量2000、水酸基価56mgKOH/g)
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
TEA:トリエチルアミン
[実施例1〜7]
表2の配合表に従い、プロピレン系重合体を含有する製造例1で得られた水分散体(I)20gと、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体を含有する製造例2〜7で得られた水分散体(II)〜(VII)40gとを混合し、樹脂分散体組成物を作成した。
得られた樹脂分散体組成物を、前記(9)の方法で基板に塗装し、ピール強度を評価した。結果を表2に示す。
表3の配合表に従い、プロピレン系重合体を含有する日本製紙ケミカル社製 スーパークロンE−673(塩素化ポリオレフィンの水分散体;固形分30重量%、50%粒子径54nm、90%粒子径72nm、pH:6.0)20gを2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 90重量%溶液でpH7.5以上に調整し、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体を含有する製造例2〜7で得られた水分散体(II)〜(VII)40gを混合し、樹脂分散体組成物を作成した。
得られた樹脂分散体組成物を、前記(9)の方法で基板に塗装し、ピール強度を評価した。結果を表3に示す。
プロピレン系重合体を含有する製造例1で得られた水分散体(I)20gと、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体を含有する製造例2で得られた水分散体(II)40gとを混合し、樹脂分散体組成物を作成した。得られた樹脂分散体組成物を、前記(10)の方法で基板に塗装し、密着性および耐湿性を評価した。結果を表4に示す。
プロピレン系重合体を含有するスーパークロンE−673 20gと、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体を含有する製造例2で得られた水分散体(II)40gとを混合し、樹脂分散体組成物を作成した。得られた樹脂分散体組成物を、前記(10)の方法で基板に塗装し、密着性および耐湿性を評価した。結果を表4に示す。
また、本発明の積層体は、塗膜密着性に優れ、幅広い工業製品に適用可能である。
Claims (7)
- 反応性基が結合してなるプロピレン系重合体に、ポリエーテル骨格を有する樹脂の片末端又は両末端に反応性基としての1級アミノ基を有する化合物であるポリエーテルアミンが結合してなる重合体、及び、同一ミセル内にウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂とを含有する(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体とを水に分散させてなり、該重合体と該(メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体とが、別々の樹脂粒子を形成する樹脂分散体組成物。
- (メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体が、ウレタン樹脂組成の部分を外側に、アクリル樹脂組成の部分を内側にしたコアシェル構造を有するミセルである請求項1に記載の樹脂分散体組成物。
- (メタ)アクリル−ウレタン樹脂複合体のアクリル部が、(メタ)アクリル酸ブチルに由来する部分構造を有する請求項1又は2に記載の樹脂分散体組成物。
- 反応性基が、カルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂分散体組成物。
- 請求項1乃至4の何れか1項に記載の樹脂分散体組成物を含んでなる、プライマー。
- 請求項1乃至4の何れか1項に記載の樹脂分散体組成物を含んでなる、塗料。
- 熱可塑性樹脂成形体に、請求項1乃至4の何れか1項に記載の樹脂分散体組成物、請求項5に記載のプライマー、又は請求項6に記載の塗料を塗布し、樹脂層が形成されてなる、積層体。
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