JP2001302714A - 複合樹脂エマルジョンの製造方法 - Google Patents

複合樹脂エマルジョンの製造方法

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JP2001302714A
JP2001302714A JP2000120694A JP2000120694A JP2001302714A JP 2001302714 A JP2001302714 A JP 2001302714A JP 2000120694 A JP2000120694 A JP 2000120694A JP 2000120694 A JP2000120694 A JP 2000120694A JP 2001302714 A JP2001302714 A JP 2001302714A
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unsaturated monomer
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JP2000120694A
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Mitsuru Kato
充 加藤
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散安定性に優れ、耐水性、耐溶剤性、柔軟
性、透明性、力学的特性、耐摩耗性、耐候性、耐屈曲
性、耐加水分解性等に優れる皮膜等を形成するポリウレ
タンとエチレン性不飽和モノマー重合体との複合樹脂エ
マルジョンを提供する。 【解決手段】 水性液中でラジカル重合性の官能基を有
する反応性界面活性剤の存在下にイソシアネート末端ウ
レタンプレポリマーに鎖伸長剤を反応させて調製したと
言う条件と、ラジカル重合性の官能基を有する反応性界
面活性剤を、ポリウレタン100g当たり0.5〜6g
含有するという条件を満たすポリウレタン系エマルジョ
ンの存在下にエチレン性不飽和モノマーを乳化重合して
複合樹脂エマルジョンを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタンとエ
チレン性不飽和モノマー重合体との複合樹脂エマルジョ
ンの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、分散
安定性に優れ、ポリウレタンとエチレン性不飽和モノマ
ー重合体とが良好な複合形態をなして粒状で水性分散媒
中に乳化分散しており、しかも乾燥すると、透明性、耐
溶剤性、耐水性、柔軟性、力学的特性、耐摩耗性、耐候
性、耐屈曲性、耐加水分解性などの特性に優れる皮膜等
を形成し得る複合樹脂エマルジョンを良好な重合安定性
で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリウレタンが有する強度、
耐摩耗性、耐溶剤性などの特性と、エチレン性不飽和モ
ノマーからなる重合体、特に(メタ)アクリル酸誘導体
系重合体が有する耐候性、耐加水分解性、低コストなど
の特性を併せ持つ複合樹脂を得る目的で、ポリウレタン
系エマルジョンの存在下にエチレン性不飽和モノマーを
乳化重合して複合樹脂エマルジョンを製造することが提
案されている(特開昭62−241902号公報、特開
平5−320299号公報、特開平10−30057号
公報等)。これらの従来技術では、ポリウレタン系エマ
ルジョンとして、ポリウレタン形成反応を界面活性剤を
使用しないで行った、ポリウレタン自身が乳化特性を有
する、いわゆるアイオノマー型の“自己乳化性ポリウレ
タン”のエマルジョンが用いられている。このような
“自己乳化性ポリウレタン”は、自己乳化基としてポリ
ウレタン自身が凝集力の強い多量の極性基を有し、且つ
ハードセグメント含量が少ない組成を得ることが困難な
ことから柔軟なものを得ることが困難であり、得られる
複合樹脂エマルジョンの硬度も必然的に高くなる傾向が
ある。
【0003】一方、界面活性剤によって分散安定化した
強制乳化型のポリウレタン系エマルジョンを用いた場合
には、ポリウレタン中の極性基やハードセグメント含量
を少なくできるため硬度が低い組成のものが容易に得ら
れるという利点があるが、反面、エマルジョン中に含ま
れる界面活性剤のために、エマルジョン被膜の耐水性な
どが低下するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分散
安定性に優れ、しかもポリウレタンとエチレン性不飽和
モノマー重合体とが良好な複合形態の粒子状でエマルジ
ョン中に乳化分散していて、乾燥したときに透明性、耐
溶剤性、耐水性、柔軟性、力学的特性、耐摩耗性、耐候
性、耐屈曲性、耐加水分解性などの特性に優れる皮膜な
どを形成することのできるポリウレタンとエチレン性不
飽和モノマー重合体との複合樹脂エマルジョン、および
前記複合樹脂エマルジョンを良好な重合安定性で円滑に
製造し得る方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者は鋭意検討を重ねてきた。その結果、ポリウレ
タンとエチレン性不飽和モノマー重合体との複合樹脂の
エマルジョンを製造するに当たって、ポリウレタン系エ
マルジョンとして、上記した従来の自己乳化性ポリウレ
タンのエマルジョンを用いる代わりに、特定量のラジカ
ル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤の存在下に
イソシアネート末端ウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を
反応させて得られる強制乳化型のポリウレタンエマルジ
ョンを用いると、ポリウレタンとエチレン性不飽和モノ
マー重合体とが良好な複合形態の粒子状でエマルジョン
中に安定に分散し、しかも乾燥したときに透明性、柔軟
性、力学的特性、耐摩耗性、耐候性、耐屈曲性、耐溶剤
性、耐水性、耐加水分解性などの特性に優れる皮膜など
を形成し得る複合樹脂エマルジョンが得られることを見
出した。
【0006】すなわち、本発明は、ポリウレタン系エマ
ルジョン(A)の存在下にエチレン性不飽和モノマー
(B)を、ポリウレタン系エマルジョン(A)中のポリ
ウレタン100重量部に対してエチレン性不飽和モノマ
ー(B)を10〜900重量部の割合で用いて乳化重合
を行って複合樹脂エマルジョンを製造する方法であっ
て、ポリウレタン系エマルジョン(A)として、下記の
要件および要件; ラジカル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤
の存在下に、水性液中でイソシアネート末端ウレタンプ
レポリマーに鎖伸長剤を反応させて調製したポリウレタ
ン系エマルジョンであること、 ラジカル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤
を、ポリウレタン100g当たり0.5〜6gの割合で
有するポリウレタン系エマルジョンであること、を満足
するポリウレタン系エマルジョンを用いることを特徴と
する複合樹脂エマルジョンの製造方法である。
【0007】そして、本発明は、上記複合エマルジョン
の製造方法において、好ましくは、ポリウレタン系エマ
ルジョン(A)が、ポリウレタン骨格中にポリウレタン
100g当たり、中和されたカルボキシル基および/ま
たはスルホン酸基を5〜25mmolの割合で有する場
合であり、またポリウレタン系エマルジョン(A)が、
ポリウレタン骨格中にポリウレタン100g当たり、エ
チレン性不飽和基を1〜20mmolの割合で有する場
合であり、またエチレン性不飽和モノマー(B)が(メ
タ)アクリル酸誘導体を主成分とするエチレン性不飽和
モノマーである場合であり、エチレン性不飽和モノマー
(B)の重合を2段階で行い、一段階目の重合で、アク
リル酸誘導体を主成分とするエチレン性不飽和モノマー
(B1)を用いた後、2段階目の重合でメタクリル酸誘
導体および/または芳香族ビニル化合物を主成分とする
エチレン不飽和モノマー(B2)を用い、その際の(B
1)と(B2)の重量比が(B1)/(B2)=50/
50〜99/1である場合であり、さらに乳化重合を油
溶性重合開始剤を用いて行う場合である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明では、ポリウレタン系エマルジョン(A)
として、上記した要件(水性液中で、ラジカル重合性
の官能基を有する反応性界面活性剤の存在下にイソシア
ネート末端ウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を反応させ
て調製したポリウレタン系エマルジョンである点)、お
よび要件(ポリウレタン100g当たりラジカル重合
性の官能基を有する反応性界面活性剤を0.5〜6gの
割合で有するポリウレタン系エマルジョンである点)を
満足するポリウレタン系エマルジョンを用いることが必
要である。
【0009】すなわち、本発明で用いるポリウレタン系
エマルジョン(A)は、まず上記の要件を満足してい
ることが必要であり、要件を満たしていない場合(ラ
ジカル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤の不使
用下にイソシアネート末端ウレタンプレポリマーに鎖伸
長剤を反応させて得られるポリウレタン系エマルジョン
である場合)は、水性液中での分散安定性が著しく劣っ
たり、得られるエマルジョン被膜の耐水性が劣ったりす
る。
【0010】限定されるものではないが、本発明の複合
樹脂エマルジヨンの製造方法で用いるポリウレタン系エ
マルジヨン(A)の好ましい調製法の例としては; (i)(a)高分子ポリオール、カルボキシル基および
スルホン酸基の少なくとも一方を含有し且つイソシアネ
ート基と反応性の活性水素原子を1個以上有する化合
物、並びに有機ポリイソシアネートを反応させて、カル
ボキシル基および/またはスルホン酸基を骨格中に含有
するイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造す
るか、または(b)分子骨格中にカルボキシル基および
スルホン酸基の少なくとも一方を有する高分子ポリオー
ルと有機ポリイソシアネートを反応させてカルボキシル
基および/またはスルホン酸基を骨格中に有するイソシ
アネート末端ウレタンプレポリマーを製造し;次いで、
(ii)前記(i)で得られたイソシアネート末端ウレタ
ンプレポリマー(以下「ウレタンプレポリマー」という
ことがある)の骨格中のカルボキシル基および/または
スルホン酸基を三級アミン、アルカリ金属水酸化物など
の塩基性物質で中和した後; (iii)所定量の反応性界面活性剤の存在下に該中和さ
れたウレタンプレポリマーを水性液中に強制撹拌などに
より乳化させた状態でウレタンプレポリマーに鎖伸長剤
を反応させてポリウレタン系エマルジヨン(A)を調製
する方法;を挙げることができる。
【0011】ポリウレタン系エマルジョン(A)を調製
するためのウレタンプレポリマーの製造[上記(i)の
工程]に用いる上記した高分子ポリオールとしては、ポ
リエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、
ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテ
ルポリオールなどを挙げることができ、これらのうちの
1種または2種以上を使用することができる。そのうち
でも、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリ
オールおよびポリエーテルポリオールの1種または2種
以上が好ましく用いられる。
【0012】上記のポリエステルポリオールは、常法に
したがって、例えば、ポリカルボン酸、そのエステル、
無水物などのエステル形成性誘導体などのポリカルボン
酸成分とポリオール成分を直接エステル化反応させるか
またはエステル交換反応することにより、或いはポリオ
ールを開始剤としてラクトンを開環重合することにより
製造することができる。
【0013】ウレタンプレポリマー製造用のポリエステ
ルポリオールの製造に用い得るポリカルボン酸成分とし
ては、ポリエステルポリオールの製造において一般的に
使用されているポリカルボン酸成分を使用でき、例え
ば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−
メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8
−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸な
どの脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル
酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジ
カルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など
の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸
などのトリカルボン酸;それらのエステル形成性誘導体
などを挙げることができ、これらの1種または2種以上
を用いることができる。そのうちでも、ポリエステルポ
リオールは、ポリカルボン酸成分として、脂肪族ジカル
ボン酸またはそのエステル形成性誘導体から主としてな
り、場合により少量の3官能以上のポリカルボン酸また
はそのエステル形成性誘導体を含むものを用いて製造さ
れたものであることが好ましい。
【0014】ウレタンプレポリマー製造用のポリエステ
ルポリオールの製造に用い得るポリオール成分として
は、ポリエステルポリオールの製造において一般的に使
用されているものを用いることができ、例えば、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−
オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオ
ールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノー
ル、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;グ
リセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオー
ル、ヘキサントリオール、トリメチロールブタン、トリ
メチロールペンタン、ペンタエリスリトールなどの3官
能以上のポリオールなどを挙げることができ、これらの
うちの1種または2種以上を用いることができる。その
うちでも、ポリエステルポリオールは、ポリオール成分
として、脂肪族ジオールからなり、場合により少量の3
官能以上のポリオールを含むポリオール成分を用いて製
造されたものであることが好ましい。
【0015】ウレタンプレポリマー製造用のポリエステ
ルポリオールの製造に用い得る前記のラクトンとして
は、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラク
トンなどを挙げることができる。
【0016】ウレタンプレポリマーの製造に用い得るポ
リカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオー
ルとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネー
ト、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物
との反応により得られるものを挙げることができる。ポ
リカーボネートポリオールを構成するポリオールとして
は、ポリエステルポリオールの構成成分として先に例示
したポリオールを用いることができる。また、ジアルキ
ルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとして
はエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネー
トとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることが
できる。
【0017】ウレタンプレポリマーの製造に用い得るポ
リエステルポリカーボネートポリオールとしては、例え
ば、ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネート化
合物を同時に反応させて得られたもの、予め製造してお
いたポリエステルポリオールおよびカーボネート化合物
を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリカ
ーボネートポリオールとポリオールおよびポリカルボン
酸を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリ
エステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール
を反応させて得られたものなどを挙げることができる。
【0018】ウレタンプレポリマーの製造に用い得るポ
リエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメ
チレングリコールなどを挙げることができ、これらの1
種または2種以上を用いることができる。
【0019】ウレタンプレポリマーの製造に用いる高分
子ポリオールは、製造の容易性などの点から、その数平
均分子量が500〜10,000であることが好まし
く、700〜5,000であることがより好ましく、7
50〜4,000であることがさらに好ましい。また、
ウレタンプレポリマーの製造に用いる高分子ポリオール
は、1分子当たりの水酸基数fが、1.0≦f≦4.0
の範囲であることが好ましく、2.0≦f≦3.0の範
囲であることがより好ましい。
【0020】本発明で用いるポリウレタン系エマルジョ
ン(A)は、ポリウレタン骨格中に、ポリウレタン10
0g当たり、エチレン性不飽和基を1〜20mmolの
割合で有することが、得られる複合樹脂の耐溶剤性、強
度などが一層優れることから好ましい。
【0021】ポリウレタン骨格中にエチレン性不飽和基
を有するポリウレタン系エマルジョンを得るためには、
ウレタンプレポリマーの製造時に、上記したように、高
分子ポリオールと共にエチレン性不飽和基を有し且つイ
ソシアネート基と反応性の活性水素原子を1個以上有す
る化合物を用いるのがよい[上記工程(i)]。このよ
うなエチレン性不飽和基を有し且つイソシアネート基と
反応性の活性水素原子を1個以上有する化合物として
は、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アリルアルコー
ル、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシ−1,
3−ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1−
アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、エチレン
グリコールジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸
の1:2付加物、ジエチレングリコールジグリシジルエ
ーテルと(メタ)アクリル酸の1:2付加物、プロピレ
ングリコールジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル
酸の1:2付加物、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテルと(メタ)アクリル酸の1:2付加物、1,
6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルと(メタ)
アクリル酸の1:2付加物、ビスフェノールAジグリシ
ジルエーテルと(メタ)アクリル酸の1:2付加物、
2,3−ブテンジオール、ブタンジオールとコハク酸の
重縮合物などを挙げることができ、これらの1種または
2種以上を用いることができる。
【0022】これらのなかでも、エチレングリコールジ
グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の1:2付加
物、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルと
(メタ)アクリル酸の1:2付加物などの反応性の活性
水素原子を2個以上有し、且つエチレン性不飽和基が
(メタ)アクリロイル基またはビニル基である化合物を
用いると、エチレン性不飽和基がポリウレタンの側鎖に
存在するためポリウレタンの分子量が低下せず、また、
エチレン性不飽和モノマー(B)を乳化重合する際にポ
リウレタン骨格中のエチレン性不飽和基とエチレン性不
飽和モノマー(B)が共重合しやすいため、得られる複
合樹脂の耐溶剤性、力学的特性が特に優れて好ましい。
【0023】また、本発明で用いるポリウレタン系エマ
ルジョン(A)は、複合エマルジョン製造時の安定性の
点から、ポリウレタン骨格中にポリウレタン100g当
たり中和されたカルボキシル基および/またはスルホン
酸基を5〜25mmolの割合で有することが好まし
く、7〜22mmolの割合で有することがより好まし
い。また、ポリウレタン系エマルジョン(A)中のポリ
ウレタンは中和されていないカルボキシル基および/ま
たはスルホン酸基を有していてもよい。
【0024】中和されたカルボキシル基および/または
スルホン酸基を有するポリウレタンのエマルジョンを得
るためには、上記したように、ウレタンプレポリマーの
製造時に、高分子ポリオールと共にカルボキシル基およ
び/またはスルホン酸基を有し且つイソシアネート基と
反応性の活性水素原子を1個以上有する化合物を用い
[上記工程(i)]、次いで、カルボキシル基および/
またはスルホン酸基の中和処理を行う[上記工程(i
i)]のがよい。上記工程(i)のウレタンプレポリマ
ー製造工程に用いられる、カルボキシル基および/また
はスルホン酸基を有し且つイソシアネート基と反応性の
活性水素原子を1個以上有する化合物[以下「カルボキ
シル基および/またはスルホン酸基含有イソシアネート
反応性化合物」ということがある]としては、例えば、
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,
2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス
(ヒドロキシメチル)吉草酸などのカルボキシル基含有
化合物およびこれらの誘導体;1,3−フェニレンジア
ミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエ
ン−5−スルホン酸などのスルホン酸基含有化合物など
を挙げることができる。また、上記したウレタンプレポ
リマーの製造に用いるポリエステルポリオールの製造時
にポリカルボン酸成分と反応させるポリオール成分の一
部として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオ
ン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸などのカルボ
キシル基含有化合物またはその誘導体を用いて製造した
ポリエステルポリオールなどを用いることもでき、これ
らの1種または2種以上を用いることができる。
【0025】ウレタンプレポリマー[すなわちポリウレ
タン系エマルジョン(A)調製用のウレタンプレポリマ
ー]の製造に用いる有機ポリイソシアネートとしては、
ポリウレタン系エマルジョンの製造に従来から用いられ
ている有機ポリイソシアネートのいずれもが使用できる
が、分子量500以下の脂環式ジイソシアネート、脂肪
族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートのうちの
1種または2種以上が好ましく使用される。そのような
有機ジイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4
´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4
−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジ
イソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート
などを挙げることができ、これらのうちの1種または2
種以上を用いることができる。
【0026】分子骨格中にカルボキシル基および/また
はスルホン酸基を含有するウレタンプレポリマーを製造
するに当たっては、各成分の使用割合は、生成するプレ
ポリマーの分子末端がイソシアネート基で封鎖されるよ
うな割合であることが必要であり、一般的には、[イソ
シアネート基と反応性の活性水素原子の総量]:[イソ
シアネート基]のモル比が、1:1.1〜5の割合にな
るようにして反応を行うことが好ましい。ウレタンプレ
ポリマー製造時の温度は特に制限されないが、通常、2
0〜150℃の温度が好ましく採用される。
【0027】上記により得られるウレタンプレポリマー
を、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミンなど
の三級アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど
のアルカリ金属水酸化物などのような塩基性化合物で処
理することによって、ウレタンプレポリマー分子中のカ
ルボキシル基および/またはスルホン酸基を中和するこ
とができる。カルボキシル基および/またはスルホン酸
基の中和処理は、ウレタンプレポリマーの製造終了後ま
たは乳化時に、塩基性化合物を系に添加することによっ
て簡単に実施することができる。
【0028】次いで、上記で得られる中和されたカルボ
キシル基および/またはスルホン酸基を有するウレタン
プレポリマーに、水性液中で、反応性界面活性剤の存在
下に、鎖伸長剤を反応させて、本発明で用いるポリウレ
タン系エマルジョン(A)を調製する(要件)。
【0029】鎖伸長剤としては、ポリウレタン系エマル
ジョンの調製に従来から使用されている鎖伸長剤のいず
れもが使用できるが、イソシアネート基と反応性の活性
水素原子を分子中に2個以上有する分子量400以下の
低分子化合物が好ましく用いられる。好ましく用いられ
る鎖伸長剤の具体例としては、ヒドラジン、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソ
ホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニ
レンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、
アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドな
どのジアミン類;ジエチレントリアミンなどのトリアミ
ン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、
1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキ
シエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなど
のジオール類;トリメチロールプロパンなどのトリオー
ル類;ペンタエリスリトールなどのペンタオール類;ア
ミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなど
のアミノアルコール類などを挙げることができ、これら
のうちの1種または2種以上を用いることができる。
【0030】鎖伸長剤の使用量は、[プレポリマー中の
イソシアネート基]:[鎖伸長剤中のイソシアネート基
と反応性の活性水素原子]のモル比が、1:0.5〜2
の範囲内となる量であることが好ましく、1:0.7〜
1.5の範囲内となる量であることがより好ましい。ま
た、ウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を反応させるに当
たっては、鎖伸長剤をそのまま単独でウレタンプレポリ
マーの水性エマルジョン中に添加してもよいが、鎖伸長
剤を水に溶解するか、または水と親水性有機溶媒との混
合溶媒中に溶解してウレタンプレポリマーの水性エマル
ジョンに添加するのが好ましく、それによりウレタンプ
レポリマーと鎖伸長剤との反応が良好に進行してポリウ
レタン系エマルジョン(A)を円滑に調製することがで
きる。さらに、鎖伸長剤は、その一部をウレタンプレポ
リマーの乳化前に反応させておいてもよい。
【0031】ポリウレタン系エマルジョン(A)の調製
に当たっては、ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤の反応
により生成するポリウレタン100g当たり、ラジカル
重合性を有する反応性界面活性剤が0.5〜6gの範囲
内になる量で反応性界面活性剤を使用して鎖伸長反応を
行うことが必要であり(上記の要件)、0.7〜5.
5gの範囲内になる量で反応性界面活性剤を使用して鎖
伸長反応を行うことが好ましく、1〜5gの範囲内にな
る量で反応性界面活性剤を使用して鎖伸長反応を行うこ
とがより好ましい。ポリウレタン系エマルジョン中のポ
リウレタン100g当たり、反応性界面活性剤の量が
0.5gよりも少ないと、ポリウレタン系エマルジョン
の分散安定性が低下して、エチレン性不飽和モノマー
(B)を乳化重合する際に重合安定性が低下し、ゲル化
が生じ易くなる。一方、ポリウレタン系エマルジョン中
のポリウレタン100g当たりの反応性界面活性剤の量
が6gよりも多いと、エチレン性不飽和モノマー(B)
を乳化重合する際の重合安定性が低下し、しかもエチレ
ン性不飽和モノマー(B)のみからなる重合体粒子が生
成して複合樹脂粒子が生成しにくくなり、目的とする複
合樹脂のエマルジョンが得られなくなり、複合樹脂エマ
ルジョンを乾燥して得られるフィルム等が白濁して透明
性が損なわれる。また、界面活性剤がラジカル重合性を
有しない場合には、得られる複合エマルジョンからの被
膜の耐水性や、基材への密着性が低下する。
【0032】ウレタンプレポリマーを鎖伸長剤と反応さ
せる際の分散安定性を確保できる限り、場合によって
は、反応性界面活性剤の少量(好ましくは反応性界面活
性剤の20%以下)をウレタンプレポリマーと鎖伸長剤
との反応後に、ポリウレタン系エマルジヨンに添加して
もよい。但し、その場合にも、ポリウレタン系エマルジ
ョン(A)中のポリウレタン100g当たりラジカル重
合性を有する反応性界面活性剤の量が最終的に0.5〜
6gの範囲内になるように調整することが必要である。
さらに、本発明の目的を妨げない限り、ポリウレタン系
エマルジョン(A)が少量のラジカル重合性を有しない
界面活性剤を含んでいても良い。
【0033】ポリウレタン系エマルジョン(A)の調製
時(すなわちウレタンプレポリマーの鎖伸長反応時)に
用いるラジカル重合性を有する反応性界面活性剤とは、
ラジカル重合性不飽和結合を有する界面活性剤であり、
例えば、ラジカル重合性不飽和基を有するポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル(旭電化工業株式会社
製「アデカリアソープNE−10」「アデカリアソープ
NE−30」、第一工業製薬株式会社製「アクアロンR
N−10」「アクアロンRN−30」など)、ラジカル
重合性不飽和基を有するポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテルの硫酸エステル塩(旭電化工業株式会社
製「アデカリアソープSE−10N」「アデカリアソー
プSE−20N」、第一工業製薬株式会社製「アクアロ
ンHS−10」「アクアロンHS−20」など)、ラジ
カル重合性不飽和基を有するジアルキルスルホコハク酸
塩(三洋化成株式会社製「エレミノールJS−2」、花
王株式会社製「ラテムルS−120」「ラテムルS−1
80」など)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコ
ール(共栄社化学株式会社製「ライトエステル041M
A」「ライトアクリレート130A」など)、(メタ)
アクリル酸ポリエチレングリコールの硫酸エステル塩
(三洋化成株式会社製「エレミノールRS−30」な
ど)などを挙げることができ、これらの1種または2種
以上を用いることができる。そのうちでも、反応性界面
活性剤の少なくとも一部がアニオン性反応性界面活性剤
からなることがエチレン性不飽和モノマー(B)を乳化
重合する際の重合安定性の点から好ましく、反応性界面
活性剤の全部がアニオン性反応性界面活性剤であること
がより好ましい。
【0034】ウレタンプレポリマーは、乳化分散をし易
くするために有機溶媒で希釈してもよく、その際の有機
溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、
トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチル
ホルムアミドなどを挙げることができる。ウレタンプレ
ポリマーの希釈に用いた有機溶媒は、エチレン性不飽和
モノマー(B)の乳化重合前または乳化重合後にエマル
ジョンから除去することができる。
【0035】ウレタンプレポリマーを反応性界面活性剤
の存在下で水性液体に分散させる方法は特に制限され
ず、ウレタンプレポリマーを水性液体中に均一に乳化分
散させ得る方法であればいずれの方法を採用してもよ
く、そのうちでも強撹拌などの強い剪断力をかけながら
ウレタンプレポリマーを水性液体中に乳化分散させる方
法などが好ましく採用される。
【0036】ポリウレタン系エマルジョン(A)では、
該エマルジョン中に含まれる粒子の平均粒径が、動的光
散乱法により測定し且つキュムラント法で解析して求め
たときに、500nm以下であることが複合樹脂エマル
ジョンの製造安定性などの点から好ましく、400nm
以下であることがより好ましく、300nm以下である
ことが更に好ましい。ポリウレタン系エマルジョン
(A)中の粒子の平均粒径が500nmを超えると、ポ
リウレタン系エマルジョン(A)の存在下でエチレン性
不飽和モノマー(B)を乳化重合する際に系のゲル化が
生じ易くなる。
【0037】ポリウレタン系エマルジョン(A)では、
該エマルジョンの重量に基づいて、ポリウレタン(樹脂
固形分)の含有割合が5〜60重量%であることが、エ
マルジヨンの分散安定性、複合樹脂エマルジョンの形成
性、生産性などの点から好ましく、10〜50重量%で
あることがより好ましい。
【0038】上記の要件および要件を備えるポリウ
レタン系エマルジョン(A)の存在下にエチレン性不飽
和モノマー(B)を乳化重合して、複合樹脂エマルジョ
ンを製造するに当たっては、ポリウレタン系エマルジョ
ン(A)中のポリウレタン100重量部に対して、エチ
レン性不飽和モノマー(B)を10〜900重量部の割
合で用いることが、得られる複合樹脂エマルジョンの分
散安定性、複合樹脂の強度、耐摩耗性、耐候性、耐加水
分解性、コストなどの点から好ましく、エチレン性不飽
和モノマー(B)を25〜400重量部の割合で用いる
ことがより好ましい。ポリウレタン100重量部に対し
て、エチレン性不飽和モノマー(B)の使用割合が10
重量部未満であると得られる複合樹脂の耐候性および耐
加水分解性が低下し易く、またコストが高くなり、一方
900重量部を超えると得られる複合樹脂の強度および
耐摩耗性が低下し易い。
【0039】複合樹脂エマルジョンの製造に際して、重
合系へのエチレン性不飽和モノマー(B)の供給は、最
初の段階でエチレン性不飽和モノマー(B)の全量を供
給する方式、重合の進行とともに分割または連続して添
加する方式、モノマー組成を重合の段階ごとに変化させ
る多段供給(多段重合)方式、連続的に変化させるパワ
ーフィード方式などで行うことができる。また、重合系
へのポリウレタン系エマルジョン(A)の仕込み量およ
びエチレン性不飽和モノマー(B)の供給量は、乳化重
合により得られる複合樹脂エマルジヨン中での固形分
(複合樹脂)の含有量が、複合樹脂エマルジョンの重量
に基づいて、10〜60重量%、特に20〜50重量%
の範囲内になるような量とすることが、重合安定性、得
られる複合樹脂の分散安定性、複合樹脂エマルジョンの
取り扱い性、複合樹脂の物性などの点から好ましい。
【0040】複合樹脂エマルジョンの製造に用いるエチ
レン性不飽和モノマー(B)としては、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベン
ジル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシ
ジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メ
タ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸またはその
誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルス
チレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリルア
ミド、ダイアセトンアクリルアミドなどの不飽和カルボ
ン酸のアミド類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ま
たはこれらの誘導体;ビニルピロリドンなどの複素環式
ビニル化合物;塩化ビニル、アクリロニトリル、ビニル
エーテル、ビニルケトン、ビニルアミドなどのビニル化
合物;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンなど
を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以
上を用いることができる。そのうちでも、エチレン性不
飽和モノマー(B)としては、(メタ)アクリル酸誘導
体を主成分とするエチレン性不飽和モノマー、すなわち
(メタ)アクリル酸誘導体の割合が50重量%以上であ
るエチレン性不飽和モノマーが、得られる複合樹脂の耐
候性などの点から好ましく用いられ、(メタ)アクリル
酸誘導体の割合が60重量%以上、さらには70重量%
以上であるエチレン性不飽和モノマーがより好ましく用
いられる。さらに、本発明では、エチレン性不飽和モノ
マー(B)の重合を2段階で行い、一段階目の重合で、
アクリル酸誘導体を主成分とするエチレン性不飽和モノ
マー(B1)を用いた後、2段階目の重合でメタクリル
酸誘導体および/または芳香族ビニル化合物を主成分と
するエチレン不飽和モノマー(B2)を用い、その際の
(B1)と(B2)の重量比が(B1)/(B2)=5
0/50〜99/1であると、得られる複合樹脂の耐溶
剤性、力学的特性、耐摩耗性、耐候性等が一層優れるこ
とから好ましい。
【0041】複合樹脂エマルジョンの製造に当たって
は、必要に応じて、2官能以上の多官能性エチレン性不
飽和モノマーを併用することができ、多官能性エチレン
性不飽和モノマーの具体例としては、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレー
ト、グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのジ(メ
タ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート類;ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテ
トラ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、トリ
ビニルベンゼンなどの多官能性芳香族ビニル化合物;ア
リル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレー
トなどの2個以上の異なるエチレン性不飽和結合含有化
合物;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリ
レートとヘキサメチレンジイソシアネートの2:1付加
反応物、グリセリンジメタクリレートとトリレンジイソ
シアネートの2:1付加反応物などの分子量が1500
以下のウレタンアクリレートなどを挙げることができ、
これらのうちの1種または2種以上を用いることができ
る。多官能性エチレン性不飽和モノマーを使用する場合
は、エチレン性不飽和モノマー(B)の全重量に対して
20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下
であることがより好ましく、10重量%以下であること
がさらに好ましい。
【0042】ポリウレタン系エマルジョン(A)の存在
下でのエチレン性不飽和モノマー(B)の乳化重合は、
重合開始剤を用いて行う。重合開始剤の重合系への添加
は、一括添加、分割添加または連続添加のいずれの方法
で行ってもよい。本発明で用い得る重合開始剤の具体例
としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオ
キシド、ジクミルパーオキシド、ジt−ブチルパーオキ
シド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパ
ーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシ
ドなどの油溶性過酸化物;2,2´−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2´−アゾビス−(2,4−ジメチル
バレロニトリル)などの油溶性アゾ化合物;過酸化水
素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ
ニウムなどの水溶性過酸化物;アゾビスシアノ吉草酸、
2,2´−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸
塩などの水溶性アゾ化合物などを挙げることができ、こ
れらのうちの1種または2種以上を用いることができ
る。また、前記した重合開始剤とともに、還元剤、およ
び必要に応じてキレート化剤を併用したレドックス開始
剤系を用いてもよい。還元剤としては、例えば、ロンガ
リット(ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレー
ト)などのアルカリ金属ホルムアルデヒドスルホキシレ
ート類;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなど
の亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウムなどのピロ亜硫酸
塩;チオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩;亜リン酸、
亜リン酸ナトリウムなどの亜リン酸またはその塩類;ピ
ロ亜リン酸ナトリウムなどのピロ亜リン酸塩;メルカプ
タン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムな
どのアスコルビン酸またはその塩類;エリソルビン酸、
エリソルビン酸ナトリウムなどのエリソルビン酸または
その塩類;グルコース、デキストロースなどの糖類;硫
酸第一鉄、硫酸銅などの金属塩などを挙げることができ
る。キレート化剤としては、例えば、ピロリン酸ナトリ
ウム、エチレンジアミン四酢酸塩などを挙げることがで
きる。
【0043】本発明では、上記重合開始剤のうちでも、
重合安定性に優れ、しかもエチレン性不飽和モノマー
(B)単位のみからなる重合体粒子を殆ど生成すること
なくポリウレタンとエチレン性不飽和モノマー(B)よ
りなる複合樹脂が円滑に得られることから、クメンヒド
ロパーオキシドなどの油溶性の重合開始剤が好ましく用
いられる。特に、油溶性重合開始剤に還元剤および/ま
たはキレート化剤を組み合わせたレドックス開始剤系が
より好ましく用いられる。
【0044】重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和
モノマー(B)の種類、ポリウレタン系エマルジョン
(A)中のポリウレタンに対するエチレン性不飽和モノ
マー(B)の使用割合、重合開始剤の種類、重合温度な
どに応じて調節し得るが、一般的には、エチレン性不飽
和モノマー(B)の重量に基づいて、0.01〜1重量
%の割合であることが、目的とする複合樹脂エマルジョ
ンが円滑に得られる点から好ましい。重合開始剤に還元
剤および/またはキレート化剤を組み合わせたレドック
ス開始剤を用いる場合は、還元剤およびキレート化剤の
使用量は各々の状況に応じて調節し得るが、一般的に
は、重合開始剤の重量に基づいて、還元剤を0.1〜1
000重量%の割合で、またキレート化剤を0〜100
0重量%の割合で用いるのが好ましい。重合系への重合
開始剤の供給方法は特に制限されず、従来既知のエチレ
ン性不飽和モノマーの乳化重合におけるのと同様にして
行うことができ、そのうちでも重合開始剤を水性液中に
溶解または分散させた状態で重合系に添加する方法が好
ましく採用される。
【0045】複合樹脂エマルジョンを製造する際の重合
条件は特に制限されず、従来既知のエチレン性不飽和モ
ノマーの乳化重合と同様にして行うことができるが、一
般に0〜90℃の温度で、不活性ガス雰囲気下に乳化重
合を行うことが、重合安定性、得られる複合樹脂の物性
などの点から好ましい。また、本発明の目的の妨げにな
らない範囲で、エチレン性不飽和モノマー(B)を重合
する際に、必要に応じて界面活性剤をさらに添加しても
よいが、界面活性剤が主としてラジカル重合性の官能基
を有する反応性界面活性剤であることが必要である。
【0046】ポリウレタン系エマルジョン(A)の存在
下にエチレン性不飽和モノマー(B)を乳化重合して得
られる本発明の複合樹脂エマルジョンは、分散安定性に
優れており、しかも該複合樹脂エマルジョンを乾燥した
ときに生成する皮膜等は、耐水性、耐溶剤性、透明性、
柔軟性、力学的特性、耐候性、耐屈曲性などの特性に優
れているので、それらの特性を活かして、皮膜形成材、
塗料、被覆剤、接着剤、繊維処理剤、インク用添加剤、
ガラス繊維収束剤、他の樹脂エマルジョンの改質剤など
として有効に用いることができる。
【0047】本発明の複合樹脂エマルジョンは、必要に
応じて、さらに他の添加物、例えば、耐光安定剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、浸透剤、レベリング剤、増粘
剤、防黴剤、ポリビニルアルコールやカルボキシメチル
セルロースなどの水溶性高分子化合物、染料、顔料、充
填剤、凝固調節剤などの1種または2種以上を含有して
いてもよい。
【0048】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例により何ら制限されな
い。なお、以下の例において、エチレン性不飽和モノマ
ーを乳化重合した際の重合安定性、複合樹脂エマルジョ
ンを乾燥して得られるフィルムの耐溶剤性および耐水性
は以下のようにして測定または評価した。
【0049】(1)乳化重合した際の重合安定性:ポリ
ウレタン系エマルジョンの存在下にエチレン性不飽和モ
ノマーを乳化重合して得られる複合樹脂エマルジョンを
20メッシュのフィルターで濾過して、フィルター上に
残留する凝集物を集めて乾燥し、その重量(Wb)を測
定して、複合樹脂エマルジョン中の複合樹脂固形分の重
量(乾燥重量)(Wa)に対する重量%{(Wb/W
a)×100}を求め、その値が3重量%未満の場合を
重合安定性が良好(○)、3重量%以上の場合を重合安
定性が不良(×)として評価した。
【0050】(2)フィルムの耐水性:複合樹脂エマル
ジヨンを50℃で乾燥して得られた厚さ100μmのフ
ィルムを130℃で10分間熱処理した後、縦×横=3
cm×3cmの寸法に切断して試験片を作製し、90℃
の熱水中に1時間浸漬して、フィルム(試験片)におけ
る溶出率および吸水率を下記の数式からそれぞれ求め、
これにより耐水性を評価した。
【0051】 溶出率(%)={(W0−W1)/W0}×100 [式中、W0は熱水に浸漬する前の試験片の重量(m
g)、W1は熱水に浸漬して乾燥した後の試験片の重量
(mg)を示す。]
【0052】 吸水率(%)={(W2−W0)/W0}×100 [式中、W0は熱水に浸漬する前の試験片の重量(m
g)、W2は熱水に浸漬した後の試験片の重量(mg)
を示す。]
【0053】(3)フィルムの耐溶剤性:複合樹脂エマ
ルジヨンを50℃で乾燥して得られた厚さ100μmの
フィルムを130℃で10分間熱処理した後、縦×横=
3cm×3cmの寸法に切断して試験片を作製し、90
℃のトルエン中に1時間浸漬して、フィルム(試験片)
における溶出率および面積膨潤率を下記の数式からそれ
ぞれ求め、これにより耐溶剤性を評価した。
【0054】 溶出率(%)={(W0−W3)/W0}×100 [式中、W0はトルエンに浸漬する前の試験片の重量
(mg)、W3はトルエンに浸漬して乾燥した後の試験
片の重量(mg)を示す。]
【0055】 面積膨潤率(%)={(S1−S0)/S0}×100 [式中、S0はトルエンに浸漬する前の試験片の面積
(cm2)、S1はトルエンに浸漬した後の試験片の面
積(cm2)を示す。]
【0056】また、以下の例で用いた高分子ジオールの
略号と内容は次のとおりである。 ○PTMG1400:数平均分子量1400のポリテト
ラメチレングリコール ○PHC2000:数平均分子量2000のポリヘキサ
メチレンカーボネートジオール ○PMPA2000:数平均分子量2000のポリエス
テルジオール(3−メチル−1,5−ペンタンジオール
とアジピン酸との反応により製造)
【0057】《参考例1》[ポリウレタン系エマルジョ
ン(PUエマルジョン)の調製] (1) 三つ口フラスコに、高分子ジオールとしてPT
MG1400を150.0gおよびPHC2000を1
50.0g、そして2,4−トリレンジイソシアネート
66.46gおよび2,2−ビス(ヒドロキシメチル)
ブタン酸9.88gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下に、9
0℃で2時間撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ
て、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造し
た。 (2) 上記(1)で得られたイソシアネート末端ウレ
タンプレポリマーに、2−ブタノン199.1gを加え
て均一に撹拌した後、フラスコ内温度を40℃に下げ、
トリエチルアミン6.75gを加えて10分間撹拌し
た。次いで、乳化剤としてエレミノールJS−2(三洋
化成株式会社製アニオン性反応性界面活性剤、固形分濃
度:39wt%)30.72gを蒸留水272.4gに
溶解した水溶液を、前記のウレタンプレポリマー溶液に
加えてホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ち
にジエチレントリアミン6.51gおよびイソホロンジ
アミン5.37gを蒸留水505.4gに溶解した水溶
液を加えて、ホモミキサーで1分間撹拌して鎖伸長反応
を行った。 (3) 次いで、2−ブタノンをロータリーエバポレー
ターにより除去して、固形分含量35重量%のポリウレ
タン系エマルジョン(以下「PUエマルジョン」とい
う)を得た。これにより得られたPUエマルジョン
は、ポリウレタン骨格中にポリウレタン100g当た
り、中和されたカルボキシル基を18.9mmolの割
合で有し、且つポリウレタン100g当たり反応性界面
活性剤を3.0gの割合で含有している。
【0058】《参考例2》[ポリウレタン系エマルジョ
ン(PUエマルジョン)の調製] (1) 三つ口フラスコに、高分子ジオールとしてPM
PA2000の300.0gおよびエチレングリコール
ジグリシジルエーテルとメタクリル酸の1:2付加物
(ジオール側鎖にメタクリロイル基を2個含有)1.5
0g、2,4−トリレンジイソシアネート70.90g
および2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸
7.90gを秤取して、参考例1の(1)と同様にして
反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマー
を製造した。 (2) 上記(1)で得られたイソシアネート末端ウレ
タンプレポリマーに、2−ブタノン200.2gを加え
て均一に撹拌した後、フラスコ内温度を40℃に下げ、
トリエチルアミン5.96gを加えて10分間撹拌し
た。次いで、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一
工業製薬株式会社製アニオン性反応性界面活性剤)1
4.04gを蒸留水293.2gに溶解した水溶液を、
前記のウレタンプレポリマー溶液に加えてホモミキサー
で1分間撹拌して乳化した後、直ちに、ジエチレントリ
アミン6.04gおよびイソホロンジアミン4.99g
を蒸留水507.4gに溶解した水溶液を加えて、ホモ
ミキサーで1分間撹拌して鎖伸長反応を行った。 (3) 次いで、2−ブタノンをロータリーエバポレー
ターにより除去して、固形分含量35重量%のポリウレ
タン系エマルジョン(以下「PUエマルジョン」とい
う)を得た。これにより得られたPUエマルジョン
は、ポリウレタン骨格中にポリウレタン100g当たり
エチレン性不飽和基を2.2mmol、中和されたカル
ボキシル基を14.8mmolの割合で有し、且つポリ
ウレタン100g当たり反応性界面活性剤を3.5gの
割合で含有している。
【0059】《参考例3》[ポリウレタン系エマルジョ
ン(PUエマルジョン)の調製] 参考例1の(2)において、エレミノールJS−2の代
わりにラテムルS−180(旭電化工業株式会社製アニ
オン性反応性界面活性剤、固形分濃度:50wt%)1
9.95gを用いた以外は参考例1の(1)〜(3)と
同様に行って、固形分含量35重量%のポリウレタン系
エマルジョン(以下「PUエマルジョン」という)を
得た。これにより得られたPUエマルジョンは、ポリ
ウレタン骨格中にポリウレタン100g当たり、中和さ
れたカルボキシル基を16.9mmolの割合で有し、
且つポリウレタン100g当たり反応性界面活性剤を
2.5gの割合で含有している。
【0060】《参考例4》[ポリウレタン系エマルジョ
ン(PUエマルジョン)の調製] 参考例1の(2)において、エレミノールJS−2の代
わりにラウリル硫酸ナトリウム(アニオン性の非反応性
界面活性剤)11.97gを用いた以外は参考例1の
(1)〜(3)と同様に行って、固形分含量35重量%
のポリウレタン系エマルジョン(以下「PUエマルジョ
ン」という)を得た。これにより得られたPUエマル
ジョンは、ポリウレタン骨格中にポリウレタン100
g当たり、中和されたカルボキシル基を16.9mmo
lの割合で有し、且つポリウレタン100g当たり反応
性を有しない界面活性剤を3.0gの割合で含有してい
る。
【0061】《参考例5》[ポリウレタン系エマルジョ
ン(PUエマルジョン)の調製] 参考例1の(2)において、エレミノールJS−2を用
いないこと以外は参考例1の(1)〜(3)と同様に行
って、固形分含量35重量%のポリウレタン系エマルジ
ョン(以下「PUエマルジョン」という)を得た。こ
れにより得られたPUエマルジョンは、ポリウレタン
骨格中にポリウレタン100g当たり、中和されたカル
ボキシル基を16.9mmolの割合で有し、また界面
活性剤を含有していない。
【0062】《参考例6》[ポリウレタン系エマルジョ
ン(PUエマルジョン)の調製] 参考例1の(2)において、エレミノールJS−2 1
22.9gを蒸留水216.2gに溶解した水溶液を用
いること以外は参考例1の(1)〜(3)と同様に行っ
て、固形分含量35重量%のポリウレタン系エマルジョ
ン(以下「PUエマルジョン」という)を得た。これ
により得られたPUエマルジョンは、ポリウレタン骨
格中にポリウレタン100g当たり、中和されたカルボ
キシル基を16.9mmolの割合で有し、且つポリウ
レタン100g当たり反応性界面活性剤を12gの割合
で含有している。
【0063】上記の参考例1〜6で得られたPUエマル
ジョン〜の内容をまとめると、以下の表1に示すと
おりである。
【0064】
【表1】
【0065】《実施例1》[複合樹脂エマルジョンの製
造] (1)初期仕込み:冷却管付きフラスコに、参考例1で
得られたPUエマルジョンの320g、蒸留水193
g、硫酸第一鉄・7水和物(FeSO4・7H2O)
0.017g、ピロリン酸カリウム0.252g、ロン
ガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレー
トの2水塩)0.386gおよびエチレンジアミン四酢
酸・二ナトリウム塩(EDTA・2Na)0.017g
を秤取し、40℃に昇温した後、系内を十分に窒素置換
した。 (2)1段目の乳化重合:次いで、アクリル酸ブチル1
43.6g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
4.54g、アリルメタクリレート3.02gおよびエ
レミノールJS−2(参考例1で使用したのと同じ反応
性界面活性剤)2.27gの混合物(エチレン性不飽和
モノマー含有混合物)と、クメンヒドロパーオキシド
0.302g、エレミノールJS−2 0.227gお
よび蒸留水15.0gからなる乳化液(重合開始剤含有
乳化液)を、別々の滴下ロートからフラスコ内に5時間
かけて滴下し、滴下終了後、40℃に30分間保持して
重合を行った。 (3)2段目の乳化重合:その後、メタクリル酸メチル
16.46g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト0.336gおよびエレミノールJS−2 0.25
2gの混合物(モノマー混合物)と、クメンヒドロパー
オキシド0.034g、エレミノールJS−2 0.0
25gおよび蒸留水2.0gからなる乳化液(重合開始
剤含有乳化液)を、別々の滴下ロートからフラスコ内に
1時間30分かけて滴下し、滴下終了後、50℃に60
分間保持して重合を完了させて、固形分重量40wt%
の複合樹脂エマルジョンを得た。 (4)上記(3)で得られた複合樹脂エマルジョンの重
合安定性、複合樹脂エマルジヨンを乾燥して得られるフ
ィルムの透明性、耐水性および耐溶剤性は、下記の表3
に示したとおりであった。
【0066】《実施例2》[複合樹脂エマルジョンの製
造] (1)初期仕込み:冷却管付きフラスコに、参考例2で
得られたPUエマルジョンの400g、蒸留水143
g、硫酸第一鉄・7水和物(FeSO4・7H2O)
0.014g、ピロリン酸カリウム0.210g、ロン
ガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレー
トの2水塩)0.322gおよびエチレンジアミン四酢
酸・二ナトリウム塩(EDTA・2Na)0.014g
を秤取し、40℃に昇温した後、系内を十分に窒素置換
した。 (2)乳化重合:次いで、アクリル酸ブチル67.9
g、メタクリル酸メチル67.9g、1,6−ヘキサン
ジオールジアクリレート4.20gおよびエレミノール
JS−22.10gの混合物(エチレン性不飽和モノマ
ー含有混合物)と、クメンヒドロパーオキシド0.28
0g、エレミノールJS−2 0.210gおよび蒸留
水15.0gからなる乳化液(重合開始剤含有乳化液)
を、別々の滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴
下し、滴下終了後、50℃に60分間保持して重合を完
了させて、固形分含有量40重量%の複合樹脂エマルジ
ョンを得た。 (3) 上記(2)で得られた複合樹脂エマルジョンの
重合安定性、複合樹脂エマルジヨンを乾燥して得られる
フィルムの透明性、耐水性および耐溶剤性は、下記の表
3に示したとおりであった。
【0067】《実施例3》[複合樹脂エマルジョンの製
造] (1) 参考例3で得られたPUエマルジョンと、下
記の表2に示す各成分を表2に示す量で用いて、実施例
1の(1)(2)および(3)におけるのと同様にして
初期仕込みおよび乳化重合を行って、実施例3の複合樹
脂エマルジョンを製造した。 (2) 上記(1)で得られた実施例3の複合樹脂エマ
ルジョンの重合安定性、複合樹脂エマルジョンを乾燥し
て得られるフィルムの透明性、耐水性および耐溶剤性
は、下記の表3に示したとおりであった。
【0068】《比較例1》[複合樹脂エマルジョンの製
造] (1) 参考例4で得られたPUエマルジョンと、下
記の表2に示す各成分を表2に示す量で用いて、実施例
1の(1)(2)および(3)におけるのと同様にして
初期仕込みおよび乳化重合を行って、比較例1の複合樹
脂エマルジョンを製造した。 (2) 上記(1)で得られた比較例1の複合樹脂エマ
ルジョンの重合安定性、複合樹脂エマルジョンを乾燥し
て得られるフィルムの透明性、耐水性および耐溶剤性
は、下記の表3に示したとおりであった。
【0069】《比較例2》[複合樹脂エマルジョンの製
造] (1) 参考例4で得られたPUエマルジョンと、下
記の表2に示す各成分を表2に示す量で用いて、実施例
2の(1)および(2)におけるのと同様にして初期仕
込みおよび乳化重合を行って、比較例2の複合樹脂エマ
ルジョンを製造した。 (2) 上記(1)で得られた比較例2の複合樹脂エマ
ルジョンの重合安定性、複合樹脂エマルジョンを乾燥し
て得られるフィルムの透明性、耐水性および耐溶剤性
は、下記の表3に示したとおりであった。
【0070】《比較例3》[複合樹脂エマルジョンの製
造] 参考例5で得られたPUエマルジョンと、下記の表2
に示す各成分を表2に示す量で用いて、実施例1の
(1)(2)および(3)におけるのと同様にして初期
仕込みおよび乳化重合を行って、比較例3の複合樹脂エ
マルジョンを製造しようとしたが、不飽和モノマーの乳
化重合中に系全体がゲル化したため、複合樹脂エマルジ
ョンの製造ができなかった。
【0071】《比較例4》[複合樹脂エマルジョンの製
造] (1) 参考例6で得られたPUエマルジョンと、下
記の表2に示す各成分を表2に示す量で用いて、実施例
2の(1)および(2)におけるのと同様にして初期仕
込みおよび乳化重合を行って、比較例4の複合樹脂エマ
ルジョンを製造した。 (2) 上記(1)で得られた比較例4の複合樹脂エマ
ルジョンの重合安定性、複合樹脂エマルジョンを乾燥し
て得られるフィルムの透明性、耐水性および耐溶剤性
は、下記の表3に示したとおりであった。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】上記の表3の結果から、上記の要件およ
び要件を満足するPUエマルジョン〜のいずれか
の存在下でエチレン性不飽和モノマーの乳化重合を行っ
た実施例1〜3による場合は、乳化重合時の重合安定性
に優れ、しかも複合樹脂エマルジョンを乾燥して得られ
るフィルムは透明性、耐水性および耐溶剤性に優れてい
ることがわかる。それに対して、上記の要件および要
件のいずれかを欠いているPUエマルジヨン〜の
存在下にエチレン性不飽和モノマーの乳化重合を行った
比較例1〜4の場合は、乳化重合時にゲル化が生じて乳
化重合ができない(比較例3)か、または複合樹脂エマ
ルジョンを乾燥して得られるフィルムの耐水性が劣った
り(比較例1および2)、耐溶剤性が劣ったり(比較例
2および4)していることがわかる。
【0075】
【発明の効果】本発明方法により、分散安定性に優れ、
ポリウレタンとエチレン性不飽和モノマー重合体とが良
好に複合した粒子形態でエマルジョン中に分散してお
り、乾燥したときに耐水性、耐溶剤性、柔軟性、透明
性、力学的特性、耐摩耗性、耐候性、耐屈曲性、耐加水
分解性などの特性に優れた皮膜等を形成し得るポリウレ
タンとエチレン性不飽和モノマー重合体との複合樹脂エ
マルジョンを、乳化重合時にゲル化等を生ずることな
く、良好な重合安定性で円滑に製造することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 BB01 BB07 BB09 KA06 KA25 KB16 KB22 PA95 PB30 PB40 PC02 PC06 4J026 AB02 BA02 BA03 BA05 BA10 BA12 BA15 BA27 BA29 BA30 BA31 BA32 BA33 BA40 BB02 BB03 DB04 DB12 DB13 DB14 DB15 DB24 FA04 4J034 CA01 CA02 CA03 CA04 CA05 DF01 DF02 DF03 DF11 DF12 DF14 DF16 DF20 DF21 DF22 DG01 DG02 DG03 DG04 DG05 DG06 FA01 FA02 FB01 FC01 FC02 FC03 FD01 FD02 FD03 HA01 HA06 HA07 HC01 HC02 HC03 HC11 HC12 HC13 HC22 HC46 HC52 HC61 HC63 HC64 HC66 HC67 HC71 HC73 JA41 JA42 KD11 KD12 KD22 MA18 QA07 QC05 RA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン系エマルジョン(A)の存
    在下にエチレン性不飽和モノマー(B)を、ポリウレタ
    ン系エマルジョン(A)中のポリウレタン100重量部
    に対してエチレン性不飽和モノマー(B)を10〜90
    0重量部の割合で用いて乳化重合を行って複合樹脂エマ
    ルジョンを製造する方法であって、ポリウレタン系エマ
    ルジョン(A)として、下記および; ラジカル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤
    の存在下に、水性液中でイソシアネート末端ウレタンプ
    レポリマーに鎖伸長剤を反応させて調製したポリウレタ
    ン系エマルジョンであること、 ラジカル重合性の官能基を有する反応性界面活性剤
    を、ポリウレタン100g当たり0.5〜6gの割合で
    有するポリウレタン系エマルジョンであること、を満足
    するポリウレタン系エマルジョンを用いることを特徴と
    する複合樹脂エマルジョンの製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリウレタン系エマルジョン(A)が、
    ポリウレタン骨格中にポリウレタン100g当たり、中
    和されたカルボキシル基および/またはスルホン酸基を
    5〜25mmolの割合で有する請求項1に記載の複合
    樹脂エマルジョンの製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリウレタン系エマルジョン(A)が、
    ポリウレタン骨格中にポリウレタン100g当たり、エ
    チレン性不飽和基を1〜20mmolの割合で有する請
    求項1または2に記載の複合樹脂エマルジョンの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 エチレン性不飽和モノマー(B)が(メ
    タ)アクリル酸誘導体を主成分とするエチレン性不飽和
    モノマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の複合樹脂エマルジョンの製造方法。
  5. 【請求項5】 エチレン性不飽和モノマー(B)の重合
    を2段階で行い、一段階目の重合で、アクリル酸誘導体
    を主成分とするエチレン性不飽和モノマー(B1)を用
    いた後、2段階目の重合でメタクリル酸誘導体および/
    または芳香族ビニル化合物を主成分とするエチレン不飽
    和モノマー(B2)を用い、その際の(B1)と(B
    2)の重量比が(B1)/(B2)=50/50〜99
    /1である請求項4に記載の複合樹脂エマルジョンの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 乳化重合を油溶性重合開始剤を用いて行
    う請求項1〜5のいずれかに記載の複合樹脂エマルジョ
    ンの製造方法。
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