JP5085911B2 - ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液 - Google Patents
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Description
・PU−1:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位として、シクロヘキサン環を有するジオールに由来する構造単位を少なくとも含むポリウレタン。
・PU−2:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位がシクロヘキサン環を有するジオール以外のジオールに由来する構造単位からなるポリウレタン。
さらに、水性分散液なので、環境面への負荷も小さくできる。
この発明にかかるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液は、ポリウレタン(A)とビニル重合体(B)とが水性媒体中で分散されてなる水性分散液である。
上記ポリウレタン(A)は、ジイソシアネートに由来する構造単位(以下、「NCO構造単位」と称する。)、及びジオールに由来する構造単位(以下、「OH構造単位」と称する。)から構成される重合体である。そして、この発明にかかるポリウレタン(A)は、下記のPU−1及びPU−2を含む二種以上のポリウレタンの混合物である。
上記PU−1及びPU−2は、それぞれ、NCO構造単位として、特定の構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位として、特定の構造単位を少なくとも含む1種のポリウレタンである。
上記NCO構造単位としては、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位(以下、「シクロヘキサン環含有NCO構造単位」と称する。)を必須とし、必要に応じ、これ以外のジイソシアネート由来の構造単位(以下、「その他のNCO構造単位」と称する。)を用いてもよい。上記のPU−1及びPU−2は、いずれも、NCO構造単位として、シクロヘキサン環含有NCO構造単位を有する。
上記OH構造単位としては、シクロヘキサン環を有するジオールに由来するOH構造単位(以下、「シクロヘキサン環含有OH構造単位」と称する。)と、シクロヘキサン環を有するジオール以外のジオールに由来するOH構造単位(以下、「シクロヘキサン環不含OH構造単位」と称する。)とがあげられる。上記PU−1は、シクロヘキサン環含有OH構造単位を少なくとも有し、また、上記PU−2は、シクロヘキサン環不含OH構造単位からなる。
上記ビニル重合体(B)とは、ビニル基を有する単量体から得られる重合体、すなわち、ラジカル重合性単量体の重合体をいう。特に、活性水素を含まないラジカル重合性単量体を用いると、目的外のイソシアネートの消費が起きにくいので好ましい。
なお、上記のビニル基を有する単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次に、この発明にかかるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液の製造方法を具体的に説明する。
本発明においては、上記のウレタン化反応が先行し、ポリウレタン(A)の存在下で上記ビニル単量体であるラジカル重合性単量体の乳化重合が行われる。この際のウレタン前駆体とラジカル重合性単量体の添加手順は特に限定されない。例えば、次の(1)や(2)のような順で複合樹脂を得ることができる。
(2)ウレタン前駆体とラジカル重合性単量体との混合→ウレタン前駆体のウレタン化反応→水分散→ラジカル重合性単量体の重合反応。
ウレタン化反応において、上記のOH構造単位を構成するジオールと、NCO構造単位を構成するジイソシアネートとの混合比は、モル比で、ジオール/ジイソシアネート=1/1.1〜1/2.5がよく、1/1.2〜1/2が好ましい。1/1.1よりジオールが多いと、反応時の粘度が上昇し、水への分散状態が悪化することがある。一方、1/2.5より小さいと、未反応のイソシアネートが過剰となり、水分散時に凝集したり、粗大粒子が発生することがある。
上記のポリウレタン(A)とビニル重合体(B)との複合化は、上記ポリウレタン(A)の水分散液にビニル重合体(B)の水分散液を混合してもよいが、ポリウレタン(A)の水分散液中に、ラジカル重合性単量体を分散させた後に、この単量体のラジカル重合を行って、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液を得る方法が、ポリウレタン(A)と、ビニル重合体(B)とがより均一に混合されるので、好ましい。
ラジカル重合性単量体を重合する際に用いる重合開始剤としては、通常のラジカル重合用の重合開始剤を使用することができる。この重合開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物等のラジカル重合開始剤があげられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらラジカル重合開始剤と、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸等の還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤として用いることもできる。
このようにして得られたポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液は、基材と塗膜との密着性、耐溶剤性、及び耐ブロッキング性の全てが良好となり、塗料やコーティング剤として使用することができる。
[ガラス転移温度]
ビニル重合体中の各構成単量体a,b,…の構成重量分率をWa,Wb,…とし、各構成単量体a,b,…の単独重合体のガラス転移温度をTga,Tgb,…としたとき、下記の式で、共重合体であるビニル重合体のTgの値を求める。
1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+…
エマルジョンを0.2mmのアプリケータを用いて、熱勾配試験装置(日理商事(株)製)に載置し、JIS K6828−2にしたがって、MFTを測定した。
下記の各基材の表面を、エタノール(工業用)で拭き、各基材の表面の脱脂を行った。次いで、セロテープ(登録商標)厚ギャップ(ニチバン(株)製)を用い、各水分散液を50μm(wet)の厚さに加工した。
そして、直ちに60℃の熱風乾燥機にて20分間乾燥し、その後、室温にて1週間養生して、試験片を作製した。
・ポリカーボネート樹脂板…日本テストパネル(株)製:標準試験板、以下、「PC」と略する。
・ABS樹脂板…日本テストパネル(株)製:標準試験板、以下、「ABS」と略する。
・ポリカーボネート樹脂・ABS樹脂積層板…日本テストパネル(株)製:標準試験板、以下、「PC/ABS」と略する。
・ガラス板…市販品、以下、「ガラス」と略する。
上記の方法で得られた試験片の塗膜を形成した側の面に、2mm角の切れ込みを入れ、5×5のマス目(マス目の総計:25)を形成した。
次いで、ニチバン(株)製:セロテープ(登録商標)を貼った後に剥がす剥離試験を行った。この剥離試において、残存したマス目の数を数えた。
上記の方法で得られた試験片の塗膜を形成した側の面に、エタノール(工業用)をしみ込ませた綿棒でこするラビング試験を行った。そして、試験片の基材が露出するまで、綿棒をこすった回数、すなわち、ラビング回数を調べた。
上記のガラス板に、アプリケータを用いて、75g/m2(wet)となるように塗布し、100℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥し、40℃に調整した。次いで、ポリエチレンシート(市販品、0.1mm厚)を塗膜形成側の面にあて、荷重5kg/cm2をかけ、40℃雰囲気下で24時間放置した。その後、荷重をかけていた部分の艶変化と跡残りを目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:艶変化及び跡残りなし
○:艶変化なし、跡残り僅か
△:艶変化僅か、跡残りあり
×:艶変化あり、跡残りあり
[ジオール]
・シクロヘキサンジメタノール…イーストマンケミカルジャパン社製:CHDM−D、以下、「CHDM」と略する。
・ポリカーボネートジオール…ダイセル工業(株)製:プラクセルCD220、以下、「PCDO」と略する。
・ジメチロールプロピオン酸…マリンクロッド ケミカル(Mallinckrodt Chemical Inc)社製、以下、「DMPA」と略する。
・4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート…住友バイエルウレタン(株)製:デスモジュールW、以下、「H12MDI」と略する。
・メタクリル酸メチル…三菱レイヨン(株)製、以下、「MMA」と称する。
・アクリル酸ブチル…三菱化学(株)製、以下、「BA」と称する。
・メタクリル酸シクロヘキシル…三菱レイヨン(株)製、以下、「CHMA」と称する。
・レドックス系開始剤…7重量%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液(以下、「H70」と称する。)と、1重量%アスコルビン酸水溶液(以下、「AsA」と称する。)とを用いた。
・N−メチル−2−ピロリドン…三菱化学(株)製:NM−2P、以下、「NM」と称する。
・ブチルセロソルブ…三菱化学(株)製:エチレングリコールモノブチルエーテル、以下、「ブチセロ」と称する。
・トリエチルアミン…和光純薬工業(株)製、以下、「TEA」と称する。
・ヒドラジン…大塚製薬(株)製:80%水加ヒドラジン、80重量%水溶液、以下、「HD」と称する。
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す「ポリウレタン組成」の各成分を加えて90℃に加温し、5時間反応させて、それぞれPU−1、PU−2に相当する各ウレタンポリマーを得た。
PU−V1,PU−V2,PU−V3を表2に記載の量ずつ配合し、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液を得た。これらについて、上記の各評価を行った。その結果を表2に示す。
Claims (5)
- ポリウレタン(A)とビニル重合体(B)とが水性媒体中で分散されてなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂の水性分散液において、
上記ポリウレタン(A)は、ジイソシアネートに由来する構造単位であるNCO構造単位と、ジオールに由来する構造単位であるOH構造単位とから構成され、
上記ポリウレタン(A)は、下記のPU−1及びPU−2を含む二種以上のポリウレタンの混合物であり、
・PU−1:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位として、シクロヘキサン環を有するジオールに由来する構造単位を少なくとも含むポリウレタン。
・PU−2:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位がシクロヘキサン環を有するジオール以外のジオールに由来する構造単位からなるポリウレタン。
上記PU−1及び/又はPU−2が少なくとも1つのOH構造単位として、さらにカルボキシル基含有ジオールに由来する構造単位を含み、
上記ポリウレタン(A)中に含まれる、PU−1とPU−2との混合比率が、重量比で、PU−1/PU−2=96/4〜50/50であり、
上記ビニル重合体(B)は、そのガラス転移温度(Tg)が−50℃以上、110℃以下であり、
上記ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂1kg中に、シクロヘキサン環を少なくとも2.5モル含有する、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂・ABS樹脂積層体、及びABS樹脂から選ばれる基材に対して塗料又はコーティング剤として用いられるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。 - 上記ポリウレタン(A)中に含まれる、PU−1とPU−2との混合比率が、重量比で、PU−1/PU−2=90/10〜60/40である請求項1又は2に記載のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
- 上記ポリウレタン(A)の存在下で、上記ビニル重合体(B)に対応するビニル単量体をラジカル重合して得られたものである請求項1乃至3のいずれかに記載のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
- 上記のポリウレタン(A)とビニル重合体(B)との含有比率が、重量比で、(A)/(B)=10/90〜90/10である請求項1乃至4のいずれかに記載のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
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