JP5085911B2 - ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液 - Google Patents

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Description

この発明は、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液に関する。
近年、環境等の観点から、塗料の分野において、溶剤系から水系への転換が行われており、塗料やコーティング剤についても、同様に溶剤系から水系への転換が求められている。ただ、塗料やコーティング剤の特性を保持するため、基材と塗膜との密着性、耐溶剤性、耐ブロッキング性、耐水性等が必要となる。
この水系ウレタン樹脂組成物の例として、カルボキシル基含有のポリウレタンを用いた組成物が特許文献1に、ポリカーボネートジオールに由来する構造単位を含む1種のポリウレタンを用いた組成物が特許文献2に記載されている。
特開平11−140149号公報 特開2005−281544号公報
しかしながら、上記のカルボキシル基含有ポリウレタンを用いた水系ウレタン樹脂組成物の使用目的の高度化、多様化のため、基材と塗膜との密着性や耐ブロッキング性について、より高いレベルが求められている。また、上記のポリカーボネートジオールに由来する構造単位を含む1種のポリウレタンを用いた組成物については、基材と塗膜との密着性や耐ブロッキング性が向上するものの、耐溶剤性が十分でない場合がある。
そこで、この発明は、基材と塗膜との密着性、耐溶剤性、及び耐ブロッキング性の全てが良好となる水性分散液を得ることを目的とする。
この発明は、ポリウレタン(A)とビニル重合体(B)とが水性媒体中で分散されてなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂の水性分散液において、上記ポリウレタン(A)は、ジイソシアネートに由来する構造単位であるNCO構造単位と、ジオールに由来する構造単位であるOH構造単位とから構成され、上記ポリウレタン(A)は、下記のPU−1及びPU−2を含む二種以上のポリウレタンの混合物であり、上記ビニル重合体(B)は、そのガラス転移温度(Tg)が−50℃以上、110℃以下であるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液を用いることにより、上記課題を解決したのである。
・PU−1:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位として、シクロヘキサン環を有するジオールに由来する構造単位を少なくとも含むポリウレタン。
・PU−2:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位がシクロヘキサン環を有するジオール以外のジオールに由来する構造単位からなるポリウレタン。
この発明は、特定のNCO構造単位とOH構造単位を含む2種類のポリウレタンを用いるので、基材と塗膜との密着性や、耐溶剤性及び耐ブロッキング性を向上させることができる。
さらに、水性分散液なので、環境面への負荷も小さくできる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液は、ポリウレタン(A)とビニル重合体(B)とが水性媒体中で分散されてなる水性分散液である。
(ポリウレタン(A))
上記ポリウレタン(A)は、ジイソシアネートに由来する構造単位(以下、「NCO構造単位」と称する。)、及びジオールに由来する構造単位(以下、「OH構造単位」と称する。)から構成される重合体である。そして、この発明にかかるポリウレタン(A)は、下記のPU−1及びPU−2を含む二種以上のポリウレタンの混合物である。
[PU−1及びPU−2]
上記PU−1及びPU−2は、それぞれ、NCO構造単位として、特定の構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位として、特定の構造単位を少なくとも含む1種のポリウレタンである。
なお、上記のPU−1及びPU−2は、上記の通り、それぞれ所定の各構造単位を有している限り、それらの構造単位以外の構造単位を含んでもよい。
[NCO構造単位]
上記NCO構造単位としては、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位(以下、「シクロヘキサン環含有NCO構造単位」と称する。)を必須とし、必要に応じ、これ以外のジイソシアネート由来の構造単位(以下、「その他のNCO構造単位」と称する。)を用いてもよい。上記のPU−1及びPU−2は、いずれも、NCO構造単位として、シクロヘキサン環含有NCO構造単位を有する。
上記シクロヘキサン環を有するジイソシアネートとしては、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)等を挙げることができる。
また、シクロヘキサン環を有するジイソシアネート以外のジイソシアネートとしては、各種の脂肪族、芳香族等の有機系のジイソシアネートがあげられる。これの具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
[OH構造単位]
上記OH構造単位としては、シクロヘキサン環を有するジオールに由来するOH構造単位(以下、「シクロヘキサン環含有OH構造単位」と称する。)と、シクロヘキサン環を有するジオール以外のジオールに由来するOH構造単位(以下、「シクロヘキサン環不含OH構造単位」と称する。)とがあげられる。上記PU−1は、シクロヘキサン環含有OH構造単位を少なくとも有し、また、上記PU−2は、シクロヘキサン環不含OH構造単位からなる。
上記OH構造単位として、シクロヘキサン環含有OH構造単位を含むことにより、耐溶剤性が向上するという特徴を発揮することができる。このシクロヘキサン環を有するジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等があげられる。
上記シクロヘキサン環不含OH構造単位を構成するシクロヘキサン環を有するジオール以外のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、メチルペンタンジオールアジペート、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール等があげられる。
上記OH構造単位には、カルボキシル基含有ジオールに由来する構造単位を含んでもよい。このカルボキシル基含有ジオールに由来する構造単位を含むことにより、水分散性が良好になるという特徴を発揮することができる。このカルボキシル基含有ジオールとは、カルボキシル基を有するジオールであり、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸があげられる。
さらに、上記OH構造単位には、下記式(1)に規定されるポリカーボネートジオールに由来するOH構造単位(以下、「ポリカーボネートジオール由来のOH構造単位」と称する。)を含んでいるのが好ましい。
Figure 0005085911
上記式(1)中、nは、自然数、好ましくは2〜40の正の整数を示し、また、Rは、40モル%以上がヘキサメチレン基である連結基を示す。
また、このポリカーボネートジオールの数平均分子量は、500〜5000である。さらに、連結基Rは、その40モル%以上、好ましくは45モル%以上がヘキサメチレン基である。40モル%未満では、耐ブロッキング性が悪化することがある。
一方、ポリカーボネートジオールの連結基Rとしてヘキサメチレン構造単位以外の構造単位を含む場合、炭素原子数2〜12(6を除く)のアルキレン基が好ましい。
上記ポリカーボネートジオールの数平均分子量の上限は、5000であり、3000が好ましい。5000より大きいと、ポリウレタンプレポリマーの粘度が高くなって、乳化して得られる水分散液が不安定となる傾向がある。一方、数平均分子量の下限は、500であり、1000が好ましい。500より小さいと、得られる塗膜が硬くなるため、クラックが入り易く、所望の性能が得難くなる傾向がある。
上記PU−1とPU−2との混合比率は、重量比で、PU−1/PU−2=96/4以下がよく、90/10以下が好ましい。96/4より大きいと、造膜性が悪化して基材との密着性が悪化する傾向がある。一方、混合比率の下限は、50/50がよく、60/40が好ましい。54/46より大きいと、耐溶剤性が不足する傾向となる。
(ビニル重合体(B))
上記ビニル重合体(B)とは、ビニル基を有する単量体から得られる重合体、すなわち、ラジカル重合性単量体の重合体をいう。特に、活性水素を含まないラジカル重合性単量体を用いると、目的外のイソシアネートの消費が起きにくいので好ましい。
このラジカル重合性単量体としては、官能基として1つのビニル基のみを有する単官能性不飽和単量体でもよく、官能基として2つ以上のビニル基を有する多官能性不飽和単量体でもよい。さらに、多官能性不飽和単量体と単官能性不飽和単量体の混合物を用いてもよい。
上記の単官能性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル系単量体、ハロゲン化ビニル系化合物、芳香族ビニル化合物等があげられる。なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
上記(メタ)アクリル系単量体とは、(メタ)アクリル酸又はそのエステル化合物等をいい、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等があげられ、重合に際しては、その1種を用いても、それらの2種以上の混合物を用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等があげられる。
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等があげられる。
上記ハロゲン化ビニル系化合物としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等があげられ、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等があげられる。
また、上記多官能性不飽和単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物等があげられる。
さらに、上記の他、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンや、3個以上のビニル基を持つ化合物があげられる。
なお、上記のビニル基を有する単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ビニル重合体(B)は、上記ラジカル重合性単量体を重合して得られるが、このビニル重合体(B)のガラス転移温度(Tg)の上限は、110℃であり、75℃が好ましい。110℃より高いと、得られる塗膜が硬くなるため、クラックが入り易くなって、所望の性能が得難くなる場合がある。一方、ガラス転移温度(Tg)の下限は、−50℃であり、0℃が好ましい。−50℃より低いと、タック性が強くなり、ブロッキングや汚染が起きやすくなる傾向がある。
(ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液の製造方法)
次に、この発明にかかるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液の製造方法を具体的に説明する。
この複合樹脂を得るためには、ジイソシアネートとジオール(以下、両者をまとめて「ウレタン前駆体」と称する。)とのウレタン化反応と、ラジカル重合性単量体の重合反応とを行う必要がある。
[製造パターン]
本発明においては、上記のウレタン化反応が先行し、ポリウレタン(A)の存在下で上記ビニル単量体であるラジカル重合性単量体の乳化重合が行われる。この際のウレタン前駆体とラジカル重合性単量体の添加手順は特に限定されない。例えば、次の(1)や(2)のような順で複合樹脂を得ることができる。
(1)ウレタン前駆体のウレタン化反応→ラジカル重合性単量体の添加→水分散→ラジカル重合性単量体の重合反応。
(2)ウレタン前駆体とラジカル重合性単量体との混合→ウレタン前駆体のウレタン化反応→水分散→ラジカル重合性単量体の重合反応。
また、上記手順においては、PU−1とPU−2とを個別に作製し、これらを個別に複合化した後で、得られた複合樹脂を混合しても、PU−1とPU−2とを予め混合した後に、ラジカル重合性単量体を重合して複合樹脂を調製してもよい。
なお、これらの中でも、工業的には、ウレタン化反応の均一性と、ラジカル重合性単量体の安定性を考慮して、(2)の方法が用いられることが多い。
[ウレタン化反応]
ウレタン化反応において、上記のOH構造単位を構成するジオールと、NCO構造単位を構成するジイソシアネートとの混合比は、モル比で、ジオール/ジイソシアネート=1/1.1〜1/2.5がよく、1/1.2〜1/2が好ましい。1/1.1よりジオールが多いと、反応時の粘度が上昇し、水への分散状態が悪化することがある。一方、1/2.5より小さいと、未反応のイソシアネートが過剰となり、水分散時に凝集したり、粗大粒子が発生することがある。
これらのポリウレタンは、必要に応じて、乳化剤やその他の分散安定剤を用いて水分散液とする。なお、上記水性媒体とは、水や、水と親水性有機溶剤(メタノール、エタノール等)との混合物等をいう。
上記ポリウレタン系水分散液にカルボキシル基を含む場合、塩基性化合物により中和する。これにより、得られる水分散液がより安定化する。上記塩基性化合物は、カルボキシル基を中和できるものであれば特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類等があげられる。
[ポリウレタン(A)とビニル重合体(B)との複合化]
上記のポリウレタン(A)とビニル重合体(B)との複合化は、上記ポリウレタン(A)の水分散液にビニル重合体(B)の水分散液を混合してもよいが、ポリウレタン(A)の水分散液中に、ラジカル重合性単量体を分散させた後に、この単量体のラジカル重合を行って、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液を得る方法が、ポリウレタン(A)と、ビニル重合体(B)とがより均一に混合されるので、好ましい。
また、上記ラジカル重合性単量体を、ウレタン化反応前のNCO構造単位を構成するジイソシアネートと、OH構造単位を構成するジオールとの混合液に加えておくと、ウレタン化反応をラジカル重合性単量体の存在下で行うこととなり、ウレタン化反応液の粘度を低く保つことができ、反応を均一に進めることができるので好ましい。
[ラジカル重合]
ラジカル重合性単量体を重合する際に用いる重合開始剤としては、通常のラジカル重合用の重合開始剤を使用することができる。この重合開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物等のラジカル重合開始剤があげられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらラジカル重合開始剤と、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸等の還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤として用いることもできる。
上記ラジカル重合の重合温度は、通常50〜100℃程度、反応時間は、通常2〜16時間程度とすることが好ましい。
上記のポリウレタン(A)とビニル重合体(B)との含有比率は、重量比で、(A)/(B)=10/90以上がよく、30/70以上が好ましい。10/90より小さいと、分散安定性が不足したり、耐溶剤性が不十分となったりする傾向がある。一方、含有比率の上限は、90/10がよく、70/30が好ましい。90/10より大きいと、系の粘度が高くなり、均一な反応進行が困難となったり、得られる複合樹脂の造膜性が悪化したりする傾向がある。
この発明にかかるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂1kg中に含有する、シクロヘキサン環の割合は、少なくとも2.5モル存在することが好ましく、3.0モルであることがより好ましい。割合が2.5モル未満だと、耐溶剤性が不足する傾向がある。一方、その上限は、8.0モルが好ましく、6.0モルがより好ましい。8.0モルを超えると、造膜性が低下する場合がある。
[用途]
このようにして得られたポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液は、基材と塗膜との密着性、耐溶剤性、及び耐ブロッキング性の全てが良好となり、塗料やコーティング剤として使用することができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。まず、評価方法及び使用した原材料について説明する。
(評価方法)
[ガラス転移温度]
ビニル重合体中の各構成単量体a,b,…の構成重量分率をWa,Wb,…とし、各構成単量体a,b,…の単独重合体のガラス転移温度をTga,Tgb,…としたとき、下記の式で、共重合体であるビニル重合体のTgの値を求める。
1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+…
[最低造膜温度(MFT)測定]
エマルジョンを0.2mmのアプリケータを用いて、熱勾配試験装置(日理商事(株)製)に載置し、JIS K6828−2にしたがって、MFTを測定した。
[試験片の作製]
下記の各基材の表面を、エタノール(工業用)で拭き、各基材の表面の脱脂を行った。次いで、セロテープ(登録商標)厚ギャップ(ニチバン(株)製)を用い、各水分散液を50μm(wet)の厚さに加工した。
そして、直ちに60℃の熱風乾燥機にて20分間乾燥し、その後、室温にて1週間養生して、試験片を作製した。
なお、使用した基材は、下記の通りである。
・ポリカーボネート樹脂板…日本テストパネル(株)製:標準試験板、以下、「PC」と略する。
・ABS樹脂板…日本テストパネル(株)製:標準試験板、以下、「ABS」と略する。
・ポリカーボネート樹脂・ABS樹脂積層板…日本テストパネル(株)製:標準試験板、以下、「PC/ABS」と略する。
・ガラス板…市販品、以下、「ガラス」と略する。
{密着性試験}
上記の方法で得られた試験片の塗膜を形成した側の面に、2mm角の切れ込みを入れ、5×5のマス目(マス目の総計:25)を形成した。
次いで、ニチバン(株)製:セロテープ(登録商標)を貼った後に剥がす剥離試験を行った。この剥離試において、残存したマス目の数を数えた。
[耐アルコール性試験]
上記の方法で得られた試験片の塗膜を形成した側の面に、エタノール(工業用)をしみ込ませた綿棒でこするラビング試験を行った。そして、試験片の基材が露出するまで、綿棒をこすった回数、すなわち、ラビング回数を調べた。
{耐ブロッキング性評価}
上記のガラス板に、アプリケータを用いて、75g/m(wet)となるように塗布し、100℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥し、40℃に調整した。次いで、ポリエチレンシート(市販品、0.1mm厚)を塗膜形成側の面にあて、荷重5kg/cmをかけ、40℃雰囲気下で24時間放置した。その後、荷重をかけていた部分の艶変化と跡残りを目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:艶変化及び跡残りなし
○:艶変化なし、跡残り僅か
△:艶変化僅か、跡残りあり
×:艶変化あり、跡残りあり
(原材料)
[ジオール]
・シクロヘキサンジメタノール…イーストマンケミカルジャパン社製:CHDM−D、以下、「CHDM」と略する。
・ポリカーボネートジオール…ダイセル工業(株)製:プラクセルCD220、以下、「PCDO」と略する。
・ジメチロールプロピオン酸…マリンクロッド ケミカル(Mallinckrodt Chemical Inc)社製、以下、「DMPA」と略する。
[ジイソシアネート]
・4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート…住友バイエルウレタン(株)製:デスモジュールW、以下、「H12MDI」と略する。
[ラジカル重合性単量体]
・メタクリル酸メチル…三菱レイヨン(株)製、以下、「MMA」と称する。
・アクリル酸ブチル…三菱化学(株)製、以下、「BA」と称する。
・メタクリル酸シクロヘキシル…三菱レイヨン(株)製、以下、「CHMA」と称する。
[重合開始剤]
・レドックス系開始剤…7重量%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液(以下、「H70」と称する。)と、1重量%アスコルビン酸水溶液(以下、「AsA」と称する。)とを用いた。
[溶剤]
・N−メチル−2−ピロリドン…三菱化学(株)製:NM−2P、以下、「NM」と称する。
・ブチルセロソルブ…三菱化学(株)製:エチレングリコールモノブチルエーテル、以下、「ブチセロ」と称する。
[中和剤]
・トリエチルアミン…和光純薬工業(株)製、以下、「TEA」と称する。
[鎖伸長剤]
・ヒドラジン…大塚製薬(株)製:80%水加ヒドラジン、80重量%水溶液、以下、「HD」と称する。
(PU−1、PU−2の製造)
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す「ポリウレタン組成」の各成分を加えて90℃に加温し、5時間反応させて、それぞれPU−1、PU−2に相当する各ウレタンポリマーを得た。
得られたウレタンポリマー溶液に、表1に示す中和剤でカルボキシル基の中和を行った上、「ビニル重合体組成」に示す単量体及びイオン交換水を混合して、乳白色の透明性のある分散液を得た。
次に、この分散液を50℃に保温し、この温度で、H70とAsAとを表1に示す量だけ加え、ラジカル重合性単量体の重合を開始した。発熱終了後、鎖伸長剤を加え、さらに70℃に昇温して、2時間維持することにより、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液であるPU−V1,PU−V2、PU−V3を得た。
Figure 0005085911
(実施例1〜5、比較例1〜3)
PU−V1,PU−V2,PU−V3を表2に記載の量ずつ配合し、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液を得た。これらについて、上記の各評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005085911

Claims (5)

  1. ポリウレタン(A)とビニル重合体(B)とが水性媒体中で分散されてなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂の水性分散液において、
    上記ポリウレタン(A)は、ジイソシアネートに由来する構造単位であるNCO構造単位と、ジオールに由来する構造単位であるOH構造単位とから構成され、
    上記ポリウレタン(A)は、下記のPU−1及びPU−2を含む二種以上のポリウレタンの混合物であり、
    ・PU−1:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位として、シクロヘキサン環を有するジオールに由来する構造単位を少なくとも含むポリウレタン。
    ・PU−2:NCO構造単位として、シクロヘキサン環を有するジイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、かつ、OH構造単位がシクロヘキサン環を有するジオール以外のジオールに由来する構造単位からなるポリウレタン。
    上記PU−1及び/又はPU−2が少なくとも1つのOH構造単位として、さらにカルボキシル基含有ジオールに由来する構造単位を含み、
    上記ポリウレタン(A)中に含まれる、PU−1とPU−2との混合比率が、重量比で、PU−1/PU−2=96/4〜50/50であり、
    上記ビニル重合体(B)は、そのガラス転移温度(Tg)が−50℃以上、110℃以下であり、
    上記ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂1kg中に、シクロヘキサン環を少なくとも2.5モル含有する、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂・ABS樹脂積層体、及びABS樹脂から選ばれる基材に対して塗料又はコーティング剤として用いられるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
  2. 上記PU−1及び/又はPU−2が、OH構造単位として下記式(1)に規定される数平均分子量500〜5000のポリカーボネートジオールに由来する構造単位を含む請求項1に記載のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
    Figure 0005085911

    (式中、nは、自然数を示す。また、Rは、40モル%以上がヘキサメチレン基である連結基を示す。)
  3. 上記ポリウレタン(A)中に含まれる、PU−1とPU−2との混合比率が、重量比で、PU−1/PU−2=90/10〜60/40である請求項1又は2に記載のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
  4. 上記ポリウレタン(A)の存在下で、上記ビニル重合体(B)に対応するビニル単量体をラジカル重合して得られたものである請求項1乃至3のいずれかに記載のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
  5. 上記のポリウレタン(A)とビニル重合体(B)との含有比率が、重量比で、(A)/(B)=10/90〜90/10である請求項1乃至4のいずれかに記載のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂水性分散液。
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