JP3701237B2 - 化粧料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料組成物に関する。さらに詳しくは、特に毛髪化粧料、皮膚外用剤として好適な化粧料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品の分野においては、使用性とその剤型保持のために、皮膜形成剤及び水性の増粘剤が配合されている。皮膜形成剤としては、例えば、アニオン性、非イオン性あるいは両性のアクリル系ポリマー、ビニルピロリドン系ポリマー、カチオン性のビニルピロリドン系あるいはセルロース系のポリマー等が配合されている。一方、水性の増粘剤としては、例えば、有機化合物の多糖類、カゼイン、キサンタンガム等の天然高分子、アクリル酸ポリマー、カルボキシビニルポリマー等の合成高分子、また、無機化合物のモンモリロナイトをはじめとする各種粘土鉱物やシリカ等がその目的効果に応じて適宜選択されて配合されている。
【0003】
そして、このような皮膜形成剤と水性の増粘剤を配合した組成物を化粧品に使用する場合、種々の温度範囲で剤型を保持できる等安定した粘度が得られること、同時に外用として皮膚や毛髪に対して使用される場合が多いため、使用したときの感触、すなわち使用性のよさなどが要求される。
【0004】
しかしながら、従来の皮膜形成剤と水性の増粘剤を配合した組成物には、粘度の安定性、好ましい使用性及び化粧料としての機能を充分に満たすものは知られていなかった。例えば、毛髪化粧料として毛髪に適用した場合、従来より用いられているアニオン系のアクリル樹脂、アニオン/カチオン系の両性アクリル樹脂、ノニオン系のポリビニルピロリドン樹脂等と、前記ビニル系、セルロース系等との組み合わせでは、安全性も比較的高く、増粘剤の添加も少量で済むが、高分子特有のべたつき感を生じ、さらには、硬く仕上げるためのセット性(整髪性)は良好であるが、一度櫛を通してしまうと、セット性がなくなったりしてヘアスタイルの持ちが悪い等の問題が生じる。また、皮膚外用剤として、肌に適用した場合、肌のコシ、ハリ感が得られない。また、前記皮膜形成剤と粘土鉱物を配合した組成物は、チキソトロピー性が高く、さっぱりした使用後感であり、使用性的には好ましいものであるが、温度変化により離液が起こりやすく不安定である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、粘度の安定性および使用特性、機能特性に優れた化粧料組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定のポリシロキサン鎖を有する両性ウレタン樹脂及び/又はポリシロキサン化合物を担持する両性ウレタン樹脂と、特定構造の疎水変性ポリエーテルウレタンを併用することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の成分(I)及び II を含有することを特徴とする化粧料組成物である。
【0008】
(I)下記の一般式(1)
【0009】
【化6】
Figure 0003701237
【0010】
[式中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に−Cn2n−(ただし、nは1〜3の整数を表す。)を表す。R5は−Cn2n−(ただし、nは3〜5の整数を表す。)を表す。また、R6〜R9はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R10はメチル基またはエチル基を表す。mは1〜200の整数を表す。]
【0011】
で示される化合物から誘導される構造単位を有するポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂及び/又はポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂。
【0012】
II 下記の一般式(2)
【0013】
【化7】
Figure 0003701237
【0014】
〔式中、R1、R2及びR4は、それぞれ独立に炭化水素基を表し、R3はウレタン結合を有してもよい炭化水素基を表し、R5は直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基、フッ化炭素基、アルキルシリコーン基、芳香族炭化水素基を表し、mは2以上の整数であり、hは1以上の整数であり、k及びnはそれぞれ独立に0〜1,000の範囲の整数である〕
【0015】
で示される疎水変性ポリエーテルウレタン。
【0016】
ここで、ポリシロキサン化合物を「担持」するとは、両性ウレタン樹脂の骨格によってポリシロキサン化合物を「拘束させる」こと、又は両性ウレタン樹脂の骨格にポリシロキサン化合物を「絡ませる」ことを意味するものであり、両性ウレタン樹脂の骨格にポリシロキサン化合物を化学的に結合させることではない。
したがって、本発明において「担持した」なる用語は、両性ウレタン樹脂の骨格にポリシロキサン化合物が「拘束された」、又は両性ウレタン樹脂の骨格にポリシロキサン化合物が「絡まった」意味として用いられている。しかし、一部両性ウレタン樹脂の骨格の一部分を、結果的にポリシロキサン化合物が形成してもよく、目的とする両性ウレタン樹脂が得られる限りこの一部化学結合したものを排除するものではない。ポリシロキサン化合物の両性ウレタン樹脂への担持は、IRスペクトル等によって確認することができる。
【0017】
本発明に用いられるポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂及び/又はポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、一分子中にカルボキシル基と第三級アミノ基とを有する両性ウレタン樹脂であることが好ましい。
【0018】
本発明に用いられるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂を構成する両性ウレタン樹脂は、少なくとも下記の(A)〜(D)の化合物を反応させて生成される両性ウレタン樹脂であることが好ましい。
(A)ポリオール化合物
(B)ポリイソシアネート化合物
(C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
(D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
【0019】
前記好ましく用いられるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、少なくとも下記の(A)〜(D)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)及び(C)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(D)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂である。
(A)ポリオール化合物
(B)ポリイソシアネート化合物
(C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
(D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
(S)ポリシロキサン化合物
【0020】
ここで、存在とはポリシロキサン化合物が反応系に存在することを意味し、積極的にポリシロキサン化合物を反応させることを意図するものではないが、その一部が結果的に不可避的に反応してもよい。なお、本発明のポリシロキサン化合物を担持した両性ウレタン樹脂の生成における「存在」なる用語は全てこの意味として使用されている。
【0021】
また、前記好ましく用いられるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、少なくとも下記の(A)〜(D)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)及び(D)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(C)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂である。
(A)ポリオール化合物
(B)ポリイソシアネート化合物
(C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
(D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
(S)ポリシロキサン化合物
【0022】
本発明に用いられるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂を構成する両性ウレタン樹脂は、少なくとも下記の(A)〜(E)の化合物を反応させて生成される両性ウレタン樹脂であることができる。
(A)ポリオール化合物
(B)ポリイソシアネート化合物
(C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
(D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
(E)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、下記の一般式(3)で示される構造単位とを有する化合物
【0023】
【化8】
Figure 0003701237
【0024】
(式中、pは1〜500の整数、qは0〜400の整数を表す。)
【0025】
前記好ましく用いられるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、少なくとも下記の(A)〜(E)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)、(C)及び(E)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(D)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂であることができる。
(A)ポリオール化合物
(B)ポリイソシアネート化合物
(C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
(D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
(E)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、下記の一般式(3)で示される構造単位とを有する化合物
【0026】
【化9】
Figure 0003701237
【0027】
(式中、pは1〜500の整数、qは0〜400の整数を表す。)
【0028】
(S)ポリシロキサン化合物
【0029】
前記好ましく用いられるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、少なくとも下記の(A)〜(E)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)、(D)及び(E)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(C)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂であることができる。
(A)ポリオール化合物
(B)ポリイソシアネート化合物
(C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
(D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
(E)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、下記の一般式(3)で示される構造単位とを有する化合物
【0030】
【化10】
Figure 0003701237
【0031】
(式中、pは1〜500の整数、qは0〜400の整数を表す。)
【0032】
(S)ポリシロキサン化合物
【0033】
本発明に用いられるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂を構成するポリシロキサン化合物は、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、環状シリコーン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン及びアルコキシ変性シリコーンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0034】
前記一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、R2及びR4は、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基であることが好ましい。
【0035】
前記一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、R3は、R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートの残基であることが好ましい。
【0036】
前記R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートは、2〜8価のポリオールと、2〜4価のポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン結合を有するポリイソシアネートであることが好ましい。
【0037】
前記一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、R1は、R1−(OH)mで表されるポリオールの残基であることが好ましい。
【0038】
前記一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、R5は、炭素数8〜36の直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基または炭素数4〜24の直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基または炭素数4〜24の直鎖、分岐鎖又は2級のフッ化炭素基であることが好ましい。
【0039】
前記一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンは、R1−[(O−R2)−OH]mで表される1種又は2種以上のポリエーテルポリオールと、R3−(NCO)h+1で表される1種又は2種以上のポリイソシアネートと、HO−(R4−O)n−R5で表される1種又は2種以上のポリエーテルモノアルコールの反応物であることができる。
【0040】
本発明において、化粧料組成物は毛髪化粧料であることができる。
【0041】
本発明において、分子量は数平均分子量を示す。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0043】
本発明に用いられる両性ウレタン樹脂は、下記の一般式(1)
【0044】
【化11】
Figure 0003701237
【0045】
[式中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に−Cn2n−(ただし、nは1〜3の整数を表す。)を表す。R5は−Cn2n−(ただし、nは3〜5の整数を表す。)を表す。また、R6〜R9はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R10はメチル基またはエチル基を表す。mは1〜200の整数を表す。]
【0046】
で示される化合物から誘導される構造単位を有するポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂及び/又はポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂であり、両ウレタン樹脂共新規な化合物である。
【0047】
まず、前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂について説明する。
【0048】
本発明に用いられるポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂は、特定のポリシロキサン鎖を有する両性ウレタン樹脂であり、好ましくは、少なくとも下記の(F)〜(J)成分を反応させて得られる、一分子中にカルボキシル基と、第三級アミノ基とを有するものである。
(F)ポリオール化合物
(G)ポリイソシアネート化合物
(H)前記一般式(1)で表される化合物
(I)活性水素とカルボキシル基を有する化合物
(J)活性水素と第三級アミノ基を有する化合物
【0049】
前記ポリオール化合物(F成分)としては、通常のポリウレタンの製造に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリル酸エステル系ポリオール等が挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。中でも、ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが好適に用いられる。
【0050】
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、スピログリコール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0051】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも1種と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、スピログリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの少なくとも1種とを縮重合させて得られるものやラクトン酸の開環重合により得られるもの等が挙げられる。
【0052】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前記ポリエステルポリオールの合成に使用する多価アルコールの他、ビスフェノールA等のフェノール類、または第一級アミン類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロフラン等の環状エーテルを開環付加重合させて得られるものが使用でき、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ビスフェノールAにプロピレンオキサイドまたはエチレンオキサイドの少なくとも一方を開環付加重合させたもの(共重合体の場合は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよい。)等が挙げられる。
【0053】
前記ポリイソシアネート化合物(G成分)としては、特に限定はなく、例えば、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物等の有機ジイソシアネート化合物が挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上を併せて用いられる。
【0054】
前記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアネート、2,2,4ートリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環式ジイソシアネート化合物としては、例えば、水素添加4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、耐光性に優れ、かつ、低価格である点で、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が好ましい。
【0055】
前記ポリイソシアネート化合物(G成分)のモル比は、G成分/(F+H+I+J成分)=2/0.8〜2/1.8の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくはG成分/(F+H+I+J成分)=2/1〜2/1.8である。
【0056】
前記ポリオール化合物(F成分)及びポリイソシアネート化合物(G成分)とともに用いられる化合物(H成分)は、下記の一般式(1)で示される構造である。
【0057】
【化12】
Figure 0003701237
【0058】
[式中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を表す。R2〜R4はそれぞれ独立に−Cn2n−(ただし、nは1〜3の整数を表す。)を表す。R5は−Cn2n−(ただし、nは3〜5の整数を表す。)を表す。また、R6〜R9はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R10はメチル基またはエチル基を表す。mは1〜200の整数を表す。]
【0059】
前記一般式(1)において、R1で表される炭素数1〜24のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよいが、直鎖状のものが好ましく、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。また、一般式(1)において、R6〜R9で表される炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよいが、直鎖状のものが好ましく、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。さらに、前記一般式(1)における繰り返し数mは、一般式(1)で表される化合物(H成分)の分子量が500〜12,000の範囲になるように設定することが好ましく、より好ましくは化合物(H成分)の分子量が700〜10,000の範囲になるように設定される。
【0060】
前記一般式(1)で示される化合物(H成分)としては、下記の構造式(4)または構造式(5)で示される化合物が好ましい。mは、前記一般式(1)の場合と同じである。
【0061】
【化13】
Figure 0003701237
【0062】
【化14】
Figure 0003701237
【0063】
そして、前記一般式(1)で示される化合物(H成分)は、例えば、下記に示すヒドロシリル化反応により製造することができる。
【0064】
【化15】
Figure 0003701237
【0065】
[反応式中、R11は−Cn2n−(ただし、nは1〜3の整数を表す。)を表し、他の記号は一般式(1)と同様である。]
【0066】
前記触媒としては、白金、塩化白金酸等のヒドロシリル化触媒が用いられる。
【0067】
前記一般式(1)で示される化合物(H成分)のモル比は、H成分/G成分=0.01/2〜0.5/2の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくはH成分/G成分=0.01/2〜0.3/2の範囲である。
【0068】
前記活性水素とカルボキシル基を有する化合物(I成分)は、分子内に少なくとも1つの活性水素と、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定はないが、下記の一般式(6)で示される化合物であることが好ましい。
【0069】
【化16】
Figure 0003701237
【0070】
[式中、R12は炭素数1〜24のアルキル基を表す。R13、R14はそれぞれ独立に−Cn2n−(ただし、nは1〜3の整数を表す。)を表す。]
【0071】
特に、ジメチロール、ジエタノール、ジプロパノール等のジアルキロール基を持った炭素数3〜26、好ましくは3〜12のカルボン酸が好適な例として挙げられる。具体的な例としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。また、カルボキシル基含有ポリカプロラクトンジオールも好ましく用いられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。
【0072】
前記活性水素と第三級アミノ基を有する化合物(J成分)は、分子内に少なくとも1つの活性水素と、少なくとも1つの第三級アミノ基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、下記の一般式(7)で示される化合物であることが好ましい。
【0073】
【化17】
Figure 0003701237
【0074】
[式中、R15は炭素数1〜24のアルキル基を表す。R16、R17はそれぞれ独立に−Cn2n−(ただし、nは1〜3の整数を表す。)を表す。]
【0075】
特に、前記I成分と同じジアルキロール基を持った、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン化合物、ジメチルアミノエタノール等が好適な例として挙げられる。N−アルキルのアルキル基は、炭素数1〜24が好ましく、特に1〜8が好ましい。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。
【0076】
なお、前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂としては、構造中にアルキレンオキサイド(以下、「RO」ともいう。)から誘導される構造単位を有するものを用いることが、化粧料組成物の安定性、特性の向上の点から好ましい。前記ROから誘導される構造単位としては、例えば、エチレンオキサイド(以下、「EO」ともいう。)単位や、プロピレンオキサイド(以下「PO」ともいう。)単位等が挙げられ、好ましくはEO単位である。
【0077】
なお、前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂は、EO単位とPO単位の双方を有していてもよい。前記EO単位とPO単位の比率は、質量基準で、EO単位/PO単位=10/0〜2/8の範囲が好ましく、特に好ましくはEO単位/PO単位10/0〜4/6である。
【0078】
EO単位の繰り返し数nは、3〜300の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは20〜120である。すなわち、nが3未満であると、両性ウレタン樹脂に導入されるEO単位が少なすぎるため、充分な親水性が付与できず、逆に、nが300を越えると、両性ウレタン樹脂自身の親水性が強くなりすぎ、耐湿性等に悪影響を及ぼす恐れがあるからである。また、PO単位の繰り返し数mも、m=3〜300の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくはm=20〜120である。なお、前記EO単位とPO単位の双方を有する場合は、n+m=3〜300の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくはn+m=20〜120である。
【0079】
前記構造中にROから誘導される構造単位を有する化合物としては、前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の構造中に、EOから誘導される構造単位を導入できるものであれば特に限定するものではなく、また、F成分中のポリエーテルポリオールと重複してもよく、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(EO/POブロックコポリマー)等が挙げられ、好ましくはポリエチレングリコールが用いられる。なお、ポリアルキレンオキサイド基を誘導するものとしては、両末端OH基導入タイプ、両末端NH2基導入タイプ、片末端OH基導入タイプ、片末端NH2基導入タイプのいずれのタイプのポリアルキレンオキサイド誘導体であってもよい。そして、前記両末端OH基導入タイプまたは両末端NH2基導入タイプを用いた場合は、EO単位を主鎖中に有する両性ウレタン樹脂が得られる。また、片末端OH基導入タイプまたは片末端NH2基導入タイプを用いた場合には、EO単位を側鎖もしくは末端に有する両性ウレタン樹脂が得られる。
【0080】
前記ポリアルキレンオキサイド誘導体の分子量は、200〜20,000の範囲が好ましく、特に好ましくは1,000〜10,000である。
【0081】
本発明においては、ポリオール化合物(F成分)と、ポリイソシアネート化合物(G成分)と、前記一般式(1)で示される化合物(H成分)と、活性水素とカルボキシル基を有する化合物(I成分)とその他必要に応じてF成分以外のポリアルキレンオキサイド誘導体とを、イソシアネート基過剰にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを作製した後、このイソシアネート基含有プレポリマーと、活性水素と第三級アミノ基を有する化合物(J成分)とを反応させることにより製造することができる。あるいは、前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂は、前記特定のI成分とJ成分との反応順序を入れ換え、すなわち、前記F成分とG成分とH成分とJ成分とその他必要に応じてF成分以外のポリアルキレンオキサイド誘導体とを、イソシアネート基過剰にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを作製した後、このイソシアネート基含有プレポリマーと、前記特定のI成分とを反応させることにより製造することもできる。なお、前記製法において、F成分、G成分およびH成分と共に、特定のI成分およびJ成分の双方を同時に反応させると、I成分中のカルボキシル基と、J成分中の第三級アミノ基とが先に塩を形成して反応系に不溶となり、OH基があってもイソシアネート化合物との反応が起こらなくなり、目的とする両性ウレタン樹脂を製造することはできない。また、前記必要に応じて添加するF成分以外のポリアルキレンオキサイド誘導体は、イソシアネート基含有プレポリマーを作製した後に添加してもよい。
【0082】
なお、前記各成分を用いてイソシアネート基含有プレポリマーを作製する際には、最終的製品であるポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の諸特性を調整する目的で鎖延長または分子量抑制剤を使用することができる。前記鎖延長剤としては、特に限定はなく、例えば、低分子ポリオール、アミン類等が挙げられる。
前記低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、スピログリコール、シクロヘキシルジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、キシリレングリコール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオールが挙げられる。前記アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペラジン、ヒドラジン、イソホロンジアミン、メチレン(ビス−o−クロルアニリン)、両末端アミノ基含有ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
また、前記分子量抑制剤としては、例えば、片末端アミノ基含有ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0083】
前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂を製造する際には、必要に応じて溶剤を使用することができ、例えば、原料および生成するポリウレタンの双方を溶解する有機溶剤を使用することが好ましい。前記有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、その他セロソルブアセテートやセロソルブエーテル等が挙げられる。
【0084】
また、前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂を製造する製造する際、その分子中に組み込まれたカルボキシル基または第三級アミノ基を中和剤で中和することにより、水への分散性を付与させることができる。前記カルボキシル基に対する中和剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、ジメチル硫酸等が挙げられる。
【0085】
また、 前記ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂を製造する際には、ポリウレタンの分野で周知の重合触媒を使用することができ、例えば、第三級アミン触媒、有機金属触媒等を用いることができる。前記第三級アミン触媒としては、例えば、[2,2,2]ジアザビシクロオクタン(DABCO)、テトラメチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。前記有機金属触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート等が挙げられる。
【0086】
以下に、具体的なポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の製造例を挙げる。[製造例1;両性ウレタン樹脂(A)]
撹拌装置、温度計、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)70g、ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオールアジペート、分子量2,000)220g、前記構造式(4)で示される化合物(片末端OH基導入タイプ、分子量約1,000)8g及びジメチロールブタン酸(DMBA)14gを入れ、溶剤として酢酸エチル50gを加え、オイルバスを使用して80℃に加熱して4時間反応させた。その後、N−メチルジエタノールアミン(NMDEtA)2gならびに酢酸エチル60gを追加して、さらに80℃にて2時間反応させ、NCO基残存したプレポリマーを得た。このNCO基残存したプレポリマーを50℃まで冷却した後、これにトリエチルアミン9gを含む水900gを高速撹拌下で加えて分散させ、さらに50℃にて3時間鎖延長反応を行って高分子量化させた。得られた水性液より前記酢酸エチルを回収し、実質的に溶剤を含まないポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の水性液を得た。この両性ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の主鎖を構成する特定の炭素原子(4価)にアルキル基(−C25)とポリシロキサン鎖の双方がグラフトした構造である。
【0087】
[製造例2;両性ウレタン樹脂(B)]
前記構造式(4)で示される化合物に代えて、前記構造式(5)で示される化合物を用いる以外は、製造例1と同様にしてポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の水性液を得た。この両性ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の主鎖を構成する特定の炭素原子(4価)にアルキル基(−C919)とポリシロキサン鎖の双方がグラフトした構造である。
【0088】
[製造例3;両性ウレタン樹脂(C)]
前記構造式(4)で示される化合物の配合量を16gに増量した以外は、製造例1と同様にしてポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の水性液を得た。この両性ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の主鎖を構成する特定の炭素原子(4価)にアルキル基(−C25)とポリシロキサン鎖の双方がグラフトした構造である。
【0089】
[製造例4;両性ウレタン樹脂(D)]
撹拌装置、温度計、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)70g、ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオールアジペート、分子量2,000)220g、前記構造式(4)で示される化合物(片末端OH基導入タイプ、分子量約1,000)16g、トリメチロールプロパン1g及びジメチロールブタン酸(DMBA)14gを入れ、溶剤として酢酸エチル50gを加え、オイルバスを使用して80℃に加熱して4時間反応させた。その後、N−メチルジエタノールアミン(NMDEtA)2gならびに酢酸エチル60gを追加して、さらに80℃にて2時間反応させ、NCO基残存したプレポリマーを得た。このNCO基残存したプレポリマーを50℃まで冷却した後、これにトリエチルアミン9gを含む水900gを高速撹拌下で加えて分散させ、さらに50℃にて3時間鎖延長反応を行って高分子量化させた。得られた水性液より前記酢酸エチルを回収し、実質的に溶剤を含まないポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の水性液を得た。この両性ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の主鎖を構成する特定の炭素原子(4価)にアルキル基(−C25)とポリシロキサン鎖の双方がグラフトした構造であり、かつ、架橋構造を有している。
【0090】
[比較製造例1;両性ウレタン樹脂(E)]
前記構造式(4)で示される化合物に代えて、下記構造式(8)で示される化合物(片末端OH基導入タイプ、分子量約1,000)を用いる以外は、製造例1と同様にして、ポリシロキサン鎖含有両性ウレタン樹脂の水性液を得た。この両性ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の主鎖を構成する特定の炭素原子(3価)にポリシロキサン鎖のみがグラフトし、アルキル基はグラフトしていない構造である。
【0091】
【化18】
Figure 0003701237
【0092】
次に、本発明に係るポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂について説明する。
【0093】
本発明化粧料組成物は、ポリシロキサン化合物を担持した両性ウレタン樹脂を含有する。本発明の好ましい前記両性ウレタン樹脂は一分子中にカルボキシル基と第三級アミノ基とを有するポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂である。
【0094】
本発明で好ましく用いられる、ポリシロキサン化合物を担持した一分子中にカルボキシル基と第三級アミノ基とを有するポリシロキサン化合物を担持両性ウレタン樹脂を構成する両性ウレタン樹脂としては、少なくとも下記の(A)〜(D)の化合物を反応させて生成される両性ウレタン樹脂が好ましい。
(A)ポリオール化合物
(B)ポリイソシアネート化合物
(C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
(D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
【0095】
本発明に用いられるポリオール化合物(以下、化合物(A)ともいう。)としては、一般にウレタン樹脂の製造に使用されるポリオール化合物であれば特に限定されるものではない。化合物(A)の例としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、低分子ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリル酸エステル系ポリオール等が挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。中でも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、低分子ポリオールが好適に用いられる。
【0096】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも1種と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、スピログリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの少なくとも1種とを縮重合させて得られるポリエステルポリオール、並びにラクトン類の開環重合により得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0097】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水及び前記ポリエステルポリオールの合成に使用する多価アルコールの他、ビスフェノールA等のフェノール類及びその水素化物、並びに第一級アミン類もしくは第二級アミン類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロフラン等の環状エーテルを開環付加重合させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。さらに、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、並びにビスフェノールAに、プロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイドの少なくとも一方を開環付加重合させたポリエーテルポリオール(共重合体の場合は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよい。)等が挙げられる。
【0098】
前記低分子ポリオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、スピログリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等が挙げられる。
【0099】
化合物(A)は、単独で又は組み合わせて使用できる。化合物(A)の中では、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0100】
なお、本発明において、化合物(A)の中で後述する化合物(E)と重複する場合、その化合物は、化合物(E)に含まれ、化合物(A)には含まれない。さらに、本発明において、化合物(A)の中で後述する化合物(C)と重複する場合、その化合物は、化合物(C)に含まれ、化合物(A)には含まれない。また、本発明において、化合物(A)の中で後述する化合物(D)と重複する場合、その化合物は、化合物(D)に含まれ、化合物(A)には含まれない。
【0101】
本発明に用いられるポリイソシアネート化合物(以下、化合物(B)ともいう。)としては、一般にウレタン樹脂の製造に使用されるポリイソシアネート化合物であれば特に限定されるものではない。化合物(B)の例としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物等の有機ジイソシアネート化合物が挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上を併せて用いられる。
【0102】
前記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアネート、2,2,4ートリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0103】
前記脂環式ジイソシアネート化合物としては、例えば、水素添加4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0104】
前記芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0105】
これらの化合物(B)中では、耐候性に優れ、かつ、低価格である点で、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が好ましい。化合物(B)は、単独でもしくは組み合わせて使用できる。
【0106】
本発明に用いられる水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物(以下、化合物(C)ともいう。)としては、分子内に水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であって、目的とする両性ウレタン樹脂を得ることができる化合物であれば特に限定されるものではない。化合物(C)としては、例えば、ジメチロール、ジエタノール、ジプロパノール等のジアルキロール基を持った炭素数3〜26、好ましくは3〜12のカルボン酸が好適な例として挙げられる。具体的な例としては、例えば、ジメチロールプロパン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。また、カルボキシル基含有ポリカプロラクトンジオールも用いられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。
【0107】
本発明に用いられる水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物(以下、化合物(D)ともいう。)としては、分子内に水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基を少なくとも1つ有する化合物であって、目的とする両性ウレタン樹脂を得ることができる化合物であれば特に限定されるものではない。化合物(D)としては、例えば、前記化合物(C)と同じジアルキロール基を持った、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン化合物が挙げられる。N−アルキルジアルカノールアミン化合物のN−アルキルのアルキル基は、炭素数1〜24が好ましく、特に1〜8が好ましい。さらに、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン化合物、並びにトリエタノールアミン等が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。
【0108】
本発明に用いられるポリシロキサン化合物(以下、化合物(S)ともいう。)としては、化粧料に配合できるポリシロキサン化合物であって、シロキサン鎖の両末端もしくは片末端に水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種を有しないポリシロキサン化合物であり、目的とする両性ウレタン樹脂を得ることができる化合物であれば特に限定されるものではない。ポリシロキサン化合物の例を挙げれば、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、環状シリコーン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等である。これらのポリシロキサン化合物は、1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0109】
ジメチルポリシロキサンとしては、例えば一般式(9)で示される化合物を挙げることができる。
【0110】
【化19】
Figure 0003701237
【0111】
(式中、nは1以上の整数を表す。)
【0112】
式中、nは1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数がより好ましく、3〜30の整数が特に好ましい。
【0113】
本発明のジメチルポリシロキサンは、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH200シリーズ(商品名)、信越化学工業株式会社製のKF96シリーズ(商品名)等が挙げられる。
【0114】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば一般式(10)で示される化合物を挙げることができる。
【0115】
【化20】
Figure 0003701237
【0116】
(式中、mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、R18は下記一般式(11)で示される基を表す。)
【0117】
【化21】
Figure 0003701237
【0118】
(式中、R19は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、aは1〜10の整数を表し、bは1〜300の整数を表し、cは0〜300の整数を表す。)
【0119】
一般式(10)において、mは0〜300の整数が好ましく、1〜300の整数がさらに好ましく、1〜100の整数がより好ましく、1〜50の整数が特に好ましい。nは1〜300の整数が好ましく、1〜100の整数がより好ましく、1〜50の整数が特に好ましい。さらに、一般式(11)において、R19は水素原子又はメチル基が好ましい。aは1〜5の整数が好ましく、2〜4の整数が特に好ましい。bは2〜50の整数が好ましく、2〜40の整数がより好ましく、2〜30の整数が特に好ましい。cは0〜50の整数が好ましく、0〜40の整数がより好ましく、0〜30の整数が特に好ましい。
【0120】
一般式(10)で示される化合物(S)として、一般式(10)において、mが1〜300の整数であり、nが1〜300の整数であり、R18は一般式(11)で示される基であって、aが1〜5の整数であり、bが2〜50整数であり、cが0〜50の整数である化合物が好ましい。
【0121】
一般式(10)で示される化合物(S)として、一般式(10)において、mが1〜100の整数であり、nが1〜100の整数であり、R18は一般式(11)で示される基であって、aが2〜4の整数であり、bが2〜40整数であり、cが0〜40の整数である化合物がより好ましい。
【0122】
一般式(10)で示される化合物(S)として、一般式(10)において、mが1〜50の整数であり、nが1〜50の整数であり、R18は一般式(11)で示される基であって、aが2〜4の整数であり、bが2〜30整数であり、cが0〜30の整数である化合物が特に好ましい。
【0123】
一般式(10)で示されるポリエーテル変性シリコーンとして、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH3746、SH3771C、SH3772C、SH3773C、SH3775C、SH3748、SH3749、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M(商品名)、並びに信越化学工業株式会社製のKF351A、KF353A、KF945A、KF352A、KF615A、KF6011、KF6012、KF6013、KF6015、KF6016、KF6017(商品名)等を挙げることができる。
【0124】
フェニル変性シリコーンとしては、例えば一般式(12)で示される化合物を挙げることができる。
【0125】
【化22】
Figure 0003701237
【0126】
(式中、R20及びR21は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基(例えば、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の飽和炭化水素基)、−OSi(CH3)3又はフェニル基を表す。ただし、R20及びR21の少なくとも一つはフェニル基である。mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表す。)
【0127】
一般式(12)において、mは0〜300の整数が好ましく、0〜100の整数がより好ましく、0〜50の整数が特に好ましい。nは1〜500の整数が好ましく、1〜100の整数がより好ましく、1〜50の整数が特に好ましい。フェニル変性シリコーンとして、一般式(12)において、R20=CH3もしくは−OSi(CH3)3、R21=C65、m=0、n=1〜100であるメチルフェニルポリシロキサンが特に好ましい。
【0128】
一般式(12)で示されるフェニル変性シリコーンとして、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH556、SF557、SF558、SH559(商品名)、並びに信越化学工業株式会社製のKF50−100cs、KF50−1000cs、KF53、KF54、KF56(商品名)等を挙げることができる。
【0129】
アルキル変性シリコーンとしては、例えば一般式(13)で示される化合物を挙げることができる。
【0130】
【化23】
Figure 0003701237
【0131】
(式中、R22〜R24は、それぞれ独立に炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、R22〜R24のうち少なくとも一つは炭素数5〜30の炭化水素基である。mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表す。)
【0132】
一般式(13)において、R22〜R24として、炭素数1〜50の炭化水素基であって、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基を例示できる。炭化水素基の炭素数は、5〜30であるのが好ましく、5〜20であるのがより好ましく、10〜20であるのが特に好ましい。また、mは1〜300の整数であるのが好ましく、1〜100の整数であるのがより好ましく、1〜50の整数であるのが特に好ましい。nは1〜300の整数であるのが好ましく、1〜100の整数であるのがより好ましく、1〜50の整数であるのが特に好ましい。
【0133】
一般式(13)で示されるアルキル変性シリコーンとして、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSF8416(商品名)、並びに信越化学工業株式会社製のKF−412、KF−413、KF−414(商品名)等を挙げることができる。
【0134】
アルコキシ変性シリコーンとしては、例えば一般式(14)で示される化合物を挙げることができる。
【0135】
【化24】
Figure 0003701237
【0136】
(式中、R25〜R27は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基または炭素数1〜50のアルコキシ基を表す。ただし、R25〜R27のうち少なくとも一つは炭素数1〜50のアルコキシ基である。mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表す。)
【0137】
一般式(14)において、R25〜R27は、炭素数1〜12の炭化水素基または炭素数1〜50のアルコキシ基であるが、炭素数1〜12の炭化水素基として、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基を例示でき、炭素数1〜50のアルコキシ基として、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基を例示できる。炭素数1〜50のアルコキシ基の炭素数は、1〜30であるのが好ましく、1〜25であるのがより好ましく、1〜20であるのが特に好ましい。また、mは0〜500の整数であるのが好ましく、1〜500の整数であるのがさらに好ましく、1〜100の整数であるのがより好ましく、1〜50の整数であるのが特に好ましい。nは1〜100の整数であるのが好ましく、1〜80の整数であるのがより好ましく、1〜50の整数であるのが特に好ましい。
【0138】
一般式(14)で示されるアルコキシ変性シリコーンとして、例えば、信越化学工業株式会社製のKF−851、X−22−801B(商品名)等を挙げることができる。
【0139】
環状シリコーンとしては、例えば一般式(15)で示される化合物を挙げることができる。
【0140】
【化25】
Figure 0003701237
【0141】
(式中、R28は、炭素数2〜12の炭化水素基を表すが、各繰り返し単位において、互いに同一であっても異なってもよい。mは1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、m+n=3〜10である。)
【0142】
一般式(15)において、R28は、炭素数1〜12の炭化水素基であって、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基を例示できる。R28は、炭素数が2〜10であるのが好ましく、2〜8であるのがより好ましく、2〜5であるのが特に好ましい。また、mは1〜8の整数であるのが好ましく、3〜8の整数であるのがさらに好ましく、4〜8の整数であるのがより好ましく、4〜6の整数であるのが特に好ましい。nは0〜7の整数であるのが好ましく、0〜5の整数であるのがより好ましく、0〜3の整数であるのが特に好ましい。m+nは3〜8であるのが好ましく、4〜8であるのがより好ましく、4〜6であるのが特に好ましい。
【0143】
一般式(15)で示される環状シリコーンとして、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH244、SH344、SH245、DC345、DC246(商品名)、並びに信越化学工業株式会社製のKF994、KF995、KF9937(商品名)等を挙げることができる。
【0144】
なお、前記一般式(10)及び一般式(12)〜(15)で示される化合物の繰り返し単位部分は、ランダム重合、ブロック重合等のいかなる重合形態であってもよい。
【0145】
化合物(S)の25℃での粘度(動粘度)は、いずれも1〜5,000mm2/sであるのが好ましく、1〜2,000mm2/sであるのがより好ましく、1〜1,000mm2/sであるのが特に好ましい。化合物(S)として、ジメチルポリシロキサン及びポリエーテル変性シリコーンが好ましい。化合物(S)は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0146】
本発明における好ましいポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、前記化合物(S)の存在下、少なくとも前記化合物(A)〜(D)を反応させて生成される両性ウレタン樹脂である。本発明に係る前記ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂を製造するに当たっては、少なくとも、前記化合物(A)〜(D)及び(S)を使用し、前記化合物(A)、(B)及び(C)を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、化合物(D)と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、化合物(S)を存在させて製造することができる。また、前記化合物(C)と化合物(D)との反応順序を入れ換えても製造することができる。
【0147】
化合物(S)と前記化合物(A)、(B)、(C)及び(D)との質量比、すなわち(S)/((A)+(B)+(C)+(D))は、0.1/100〜30/100であるのが好ましく、0.5/100〜25/100であるのがより好ましく、1/100〜20/100であるのが特に好ましい。
【0148】
また、化合物(B)と化合物(A)、(C)及び(D)とのモル比、すなわち(B)/((A)+(C)+(D))は、2.0/1.8〜2.0/0.8であるのが好ましく、2.0/1.8〜2.0/1.0であるのがより好ましく、2.0/1.8〜2.0/1.2であるのが特に好ましい。
【0149】
前記第一工程及び第二工程の反応は、ポリウレタンを製造する際に通常使用される反応条件を用い、適宜重合触媒を使用して実施できる。重合触媒として、通常ウレタン樹脂を製造するために使用される重合触媒を使用することができる。重合触媒は、目的とする両性ウレタン樹脂を得ることができるものであれば、特に限定されるものではない。重合触媒としては、例えば、第三級アミン触媒、有機金属触媒等を用いることができる。第三級アミン触媒としては、例えば、[2,2,2]ジアザビシクロオクタン(DABCO)、テトラメチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。有機金属触媒としては、例えば、ジブチルチン(錫)ジラウレート等が挙げられる。
【0150】
前記両性ウレタン樹脂を製造する際には、第一工程及び第二工程の反応に必要に応じて有機溶剤を使用することができ、例えば、化合物(A)〜(D)および生成する両性ウレタン樹脂の双方を溶解する有機溶剤を使用することが好ましい。そのような有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、その他セロソルブアセテートやセロソルブエーテル等が挙げられる。
【0151】
さらに、前記第二工程の後で、第二工程の反応生成物を水と混合して、鎖長延長反応を行うことが好ましい。第二工程の後で、第二工程の反応生成物を塩基性の水と混合して鎖長延長反応を行う。又は、第二工程の反応生成物に塩基性化合物を添加した後、水と混合して鎖長延長反応を行うことがより好ましい。これらの中では、第二工程の後で、第二工程の反応生成物を塩基性の水と混合して鎖長延長反応を行うことが特に好ましい。本発明においては、さらに有機溶媒中で第一工程及び第二工程の反応を行った後、第二工程の反応混合物を塩基性の水と混合して、引き続き水中で鎖長延長反応を行うことが好ましい。このように、第二工程後の反応混合物を塩基性の水と混合して、引き続き水中で鎖長延長反応を行う態様では、高分子量化された両性ウレタン樹脂を容易に得ることができ好ましい。この態様の製造方法においては、第二工程後の反応混合物が、末端にイソシアネート基を含有するプレポリマーであるように製造条件を設定するのが好ましい。
【0152】
前記塩基性の水とは、水に塩基性物質が溶解し、塩基性を呈している水をいい、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が溶解している水を例示できる。
【0153】
また、本発明におけるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂を製造する際の鎖長延長反応には鎖長延長剤を用いることができ、鎖長延長剤によって最終的に得られるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の特性を調整することができる。鎖長延長剤としては、鎖長延長反応で用いられる化合物であって、例えば、低分子ポリオール、アミン類、水等が挙げられる。前記低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、スピログリコール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、キシリレングリコール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオールが挙げられる。前記アミン類としては、例えば、メチレン(ビス−o−クロルアニリン)等が挙げられる。
【0154】
本発明においては、ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂として、樹脂の構造中にROから誘導される構造単位を有するものを用いることが、化粧料組成物の安定性、特性の向上の点から好ましい。ROから誘導される構造単位としては、例えば、EO単位や、PO単位等が挙げられ、好ましくはEO単位である。
【0155】
構造中にROから誘導される構造単位を有する化合物としては、ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の構造中に、ROから誘導される構造単位を導入できるものであれば特に限定するものではない。
【0156】
構造中にROから誘導される構造単位を有する好ましい化合物としては、水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、下記の一般式(3)で示される構造単位とを有する化合物(以下、化合物Eともいう。)である。
【0157】
【化26】
Figure 0003701237
【0158】
(式中、pは1〜500の整数、qは0〜400の整数を表す。)
【0159】
一般式(3)において、qが0の場合、COの重合体(ポリオキシエチレン)であり、qが0でない場合、COとCOの共重合体である。この共重合体である場合、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0160】
一般式(3)において、pは1〜500の整数である。さらに、qが0でない場合であっても、0の場合であっても、pは、3〜250が好ましく、3〜120がより好ましく、3〜50が特に好ましい。pが1未満の場合、両性ウレタン樹脂に導入されるEO単位が少なすぎるため、充分な親水性が付与できず、ポリシロキサン化合物担時両性ウレタン樹脂を例えば整髪剤に使用した場合、整髪剤の親水性が不充分となり、毛髪の洗髪性が悪くなる。一方、nが500を越えると、ポリシロキサン化合物担時両性ウレタン樹脂自身の親水性が強くなりすぎ、耐湿性等に悪影響を及ぼすことになる。
【0161】
また、一般式(3)において、PO単位の繰り返し数qは、0〜400の整数であり、好ましくはq=0である。qが0でない場合、qは3〜200の範囲に設定することが好ましく、さらに好ましくは3〜100である。特に好ましくは3〜40である。なお、qが0でない場合であっても、0の場合であっても、p+q=3〜300の範囲に設定することが好ましく、さらに好ましくはp+q=10〜120である。特に好ましくはp+q=3〜50である。
【0162】
また、qが0でない場合であっても、0の場合であっても、EO単位とPO単位の比率は、質量基準で、EO単位/PO単位=10/0〜2/8の範囲が好ましく、さらに好ましくはEO単位/PO単位10/0〜3/7である。特に好ましくはEO単位/PO単位10/0〜4/6である。
【0163】
なお、化合物(E)は、両末端OH基導入タイプ、両末端NH2基導入タイプ、片末端OH基導入タイプ、片末端NH2基導入タイプが好ましい。前記両末端OH基導入タイプまたは両末端NH2基導入タイプを用いた場合、一般式(3)で示される構造単位を主鎖中に有する両性ウレタン樹脂が得られる。また、片末端OH基導入タイプまたは片末端NH2基導入タイプを用いた場合には、一般式(3)で示される構造単位を側鎖もしくは末端に有する両性ウレタン樹脂が得られる。
【0164】
前記化合物(E)の質量平均分子量は、200〜20,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは200〜5,000である。特に好ましくは500〜2,000である。
【0165】
化合物(E)としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。なかでも、ポリエチレングリコールが好ましい。化合物(E)は、単独で又は組み合わせて使用できる。
【0166】
化合物(E)を加えた場合のポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、前記化合物(S)存在下で、少なくとも前記化合物(A)〜(E)を反応させて生成される両性ウレタン樹脂が好ましい。
【0167】
この樹脂の製造に当たっては、化合物(E)を加えない場合の製造法と同様に行うことができる。すなわち、少なくとも前記化合物(A)〜(E)及び(S)を使用し、前記化合物(A)、(B)、(C)及び(E)を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、化合物(D)と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、化合物(S)を存在させて製造することができる。また、前記化合物(C)と化合物(D)との反応順序を入れ替えても製造することができる。
【0168】
化合物(S)と前記化合物(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)との質量比、すなわち(S)/((A)+(B)+(C)+(D)+(E))は、0.1/100〜30/100であるのが好ましく、0.5/100〜25/100であるのがより好ましく、1/100〜20/100であるのが特に好ましい。
【0169】
また、化合物(B)と化合物(A)、(C)、(D)及び(E)とのモル比、すなわち(B)/((A)+(C)+(D)+(E))は、2.0/1.8〜2.0/0.8であるのが好ましく、2.0/1.8〜2.0/1.0であるのがより好ましく、2.0/1.8〜2.0/1.2であるのが特に好ましい。
【0170】
さらに、前記第一工程及び第二工程の反応は、化合物(E)を加えない場合と同様、ウレタン樹脂を製造する際に通常使用される反応条件を用い、適宜重合触媒を用いて実施できる。また、重合触媒、有機溶剤、鎖長延長反応等についても、前記同様である。なお、前記のとおり、化合物(E)を加える場合も、前記第一工程及び第二工程を有機溶媒中で行い、水中で鎖長延長反応を行うのがより好ましい。
【0171】
本発明のポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、一分子中に、カルボキシル基と第三級アミノ基とを有している。カルボキシル基と第三級アミノ基との比率(両官能基の数の比率)、カルボキシル基/第三級アミノ基は、1/50〜50/1が好ましく、1/1〜50/1がより好ましく、1/1〜25/1が特に好ましい。ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂中のカルボキシル基と第三級アミノ基との比率が1/50〜50/1にある場合、ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂を配合した整髪剤を用いると、毛髪はより優れた風合いを持つこととなる。なお、反応に際しては、化合物(C)と化合物(D)との比率(モル比)、化合物(C)/化合物(D)は、1/50〜50/1が好ましく、1/1〜50/1がより好ましく、1/1〜25/1が特に好ましい。
【0172】
本発明に係るポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂は、ポリシロキサン化合物のポリシロキサン鎖を必ずしもその骨格内に共有結合を介して含有するものではなく、両性ウレタン樹脂の骨格によってポリシロキサン化合物を「拘束させる」または両性ウレタン樹脂の骨格がポリシロキサン化合物のポリシロキサン鎖と物理的に絡まりあうことによって、ポリシロキサン鎖を含有するものである。この拘束または絡まりあいは、両性ポリウレタンの重合反応の進行によって、より複雑化し、得られた両性ウレタン樹脂からポリシロキサン化合物が分離することを困難にしていると考えられる。
【0173】
このような、両性ウレタン樹脂の骨格とポリシロキサン化合物の拘束または絡み合い状態を、本発明においては、両性ウレタン樹脂の骨格がポリシロキサン化合物を「担持」している状態という。ここで「担持」は、両性ウレタン樹脂の形態が水溶液の形態か、水分散体の形態かで異なる。両性ウレタン樹脂の骨格は、通常直鎖構造であるが、分岐構造、架橋構造を有してよく、両性ウレタン樹脂が「水溶液」の形態の場合、両性ウレタン樹脂の骨格の間にポリシロキサン鎖が入り込んでいるものと考えられる。
【0174】
一方、両性ウレタン樹脂が「水分散体」の形態の場合、両性ウレタン樹脂は、水中で分散した粒子の形態となっていると考えられ、その粒子に対するポリシロキサン鎖の拘束の形態には、いくつかの形態が考えられる。まず、第一の形態は、ポリシロキサン鎖の全体もしくは一部が粒子の内部に包まれている形態である。第ニの形態は、ポリシロキサン鎖の末端が粒子の内部に包まれている形態である。がる。第三の形態は、ポリシロキサン鎖が粒子の表面に付着している形態である。第一〜第三に形態は、いずれも「拘束」に該当し、第一〜第三の形態が混合して存在するものも、「拘束」に該当すると考えられる。
【0175】
このように、本発明に係るポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の骨格は、ポリシロキサン化合物を担持している。このためにポリシロキサン鎖は、比較的運動し易い性質を持ちつつ、ポリシロキサン化合物は両性ウレタン樹脂から、分離し難いと考えられる。
【0176】
以下に、本発明に用いるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂及び比較として他のウレタン樹脂の製造例を挙げる。
【0177】
[製造例5;両性ウレタン樹脂(F)]
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)70g、ポリプロピレングリコール(PPG、質量平均分子量1,000)63g、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)7g、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度が10mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSH200C−10cs(商品名)8g及びジメチロールブタン酸(DMBA)20gを入れ、溶剤として酢酸エチル50gを加え、オイルバスを用いて80℃に加熱して3時間反応させた。その後、N−メチルジエタノールアミン(NMDEtA)2g並びに酢酸エチル60gを追加して、さらに80℃にて3時間反応させ、イソシアネート基の残存したプレポリマーを得た。このイソシアネート基の残存したプレポリマーを50℃まで冷却した後、水酸化カリウム10gを含む水700gに高速撹拌して分散させ、さらに50℃にて3時間鎖長延長反応を行って高分子量化させた。
得られた水性液から前記酢酸エチルを回収し、実質的に溶剤を含まないポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0178】
[製造例6;両性ウレタン樹脂(G)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、ポリエーテル変性シリコーン(25℃における粘度が1,600mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH3775C(商品名)8gを用いた以外は、製造例5と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0179】
[製造例7;両性ウレタン樹脂(H)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、環状シリコーン(25℃における粘度が4mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH245(商品名)8gを用いた以外は、製造例5と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0180】
[製造例8;両性ウレタン樹脂(I)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、フェニル変性シリコーン(25℃における粘度が22mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH556(商品名)8gを用いた以外は、製造例5と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0181】
[製造例9;両性ウレタン樹脂(J)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、アルキル変性シリコーン(25℃における粘度が500mm2/s、信越化学工業株式会社製のKF−412(商品名)8gを用いた以外は、製造例5と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0182】
[製造例10;両性ウレタン樹脂(K)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、アルコキシ変性シリコーン(25℃における粘度が80mm2/s、信越化学工業株式会社製のKF−851(商品名)8gを用いた以外は、製造例5と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0183】
[製造例11;両性ウレタン樹脂(L)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度が10mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH200C−10cs(商品名)20gを用いた以外は、製造例5と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0184】
[製造例12;両性ウレタン樹脂(M)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、ポリエーテル変性シリコーン(25℃における粘度が1600mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH3775C(商品名)20gを用いた以外は、製造例5と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0185】
[製造例13;両性ウレタン樹脂(N)]
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)70g、ポリプロピレングリコール(PPG、質量平均分子量1,000)55g、ポリエチレングリコール(PEG、質量平均分子量1,000)8g、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)7g、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度が10mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH200C−10cs(商品名)8g及びジメチロールブタン酸(DMBA)20gを入れ、溶剤として酢酸エチル50gを加え、オイルバスを用いて80℃に加熱して3時間反応させた。
その後、N−メチルジエタノールアミン(NMDEtA)2g並びに酢酸エチル60gを追加して、さらに80℃にて3時間反応させ、イソシアネート基の残存したプレポリマーを得た。このイソシアネート基の残存したプレポリマーを50℃まで冷却した後、水酸化カリウム10gを含む水700gに高速撹拌して分散させ、さらに50℃にて3時間鎖長延長反応を行って高分子量化させた。得られた水性液から前記酢酸エチルを回収し、実質的に溶剤を含まないポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0186】
[製造例14;両性ウレタン樹脂(O)]
製造例13に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、ポリエーテル変性シリコーン(25℃における粘度が1600mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH3775C(商品名)8gを用いた以外は、製造例13と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0187】
[製造例15;両性ウレタン樹脂(P)]
製造例13に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度が10mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH200C−10cs(商品名)20gを用いた以外は、製造例13と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0188】
[製造例16;両性ウレタン樹脂(Q)]
製造例13に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサン8gの代わりに、ポリエーテル変性シリコーン(25℃における粘度が1600mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH3775C(商品名)20gを用いた以外は、製造例13と同様の方法を用いてポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0189】
[比較製造例2;両性ウレタン樹脂(R)]
製造例5に記載した製造方法において、ジメチルポリシロキサンを全く用いなかった以外は、製造例5と同様の方法を用いて両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0190】
[比較製造例3;両性ウレタン樹脂(S)]
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)70g、ポリプロピレングリコール(PPG、質量平均分子量1,000)63g、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)7g及びジメチロールブタン酸(DMBA)20gを入れ、溶剤として酢酸エチル50gを加え、オイルバスを用いて80℃に加熱して3時間反応させた。その後、N−メチルジエタノールアミン(NMDEtA)2g並びに酢酸エチル60gを追加して、さらに80℃にて3時間反応させ、イソシアネート基の残存したプレポリマーを得た。このイソシアネート基の残存したプレポリマーを50℃まで冷却した後、水酸化カリウム10gを含む水700gに高速撹拌して分散させ、さらに50℃にて3時間鎖長延長反応を行って高分子量化させた。得られた水性液から前記酢酸エチルを回収し、実質的に溶剤を含まない両性ウレタン樹脂の水性液を得た後、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度が10mm2/s、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSH200C−10cs(商品名)を8g加えて、両性ウレタン樹脂の水性液を得た。
【0191】
本発明の前記両性ウレタン樹脂を本発明の化粧料組成物に配合するに当たっては、水性液として用いることが好ましい。なお、本発明において、水性液とは、両性ウレタン樹脂が水に完全に溶解した水溶液状態はもちろん、両性ウレタン樹脂が水中に分散した水分散液状態(水分散物、マイクロエマルジョン等)を含む趣旨である。なお、前記両性ウレタン樹脂の水性液には、シランカップリング剤等の架橋剤を添加して架橋性を付与することも可能である。また、保存安定を付与するために種々の添加剤を加えることも自由であり、例えば、保護コロイド剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。
【0192】
本発明に用いられる前記両性ウレタン樹脂の好ましい含有量は、有効分として、化粧料組成物全量中0.1〜5.0質量%が好ましい。より好ましくは、0.5〜4.0質量%である。0.1質量%未満であると、本発明の効果が充分得られず、また、5.0質量%を越えて含有すると、重さ、べたつきを生じるようになるからである。
【0193】
次に、 II 成分の疎水変性ポリエーテルウレタンについて説明する。
【0194】
本発明に用いられる疎水変性ポリエーテルウレタンは、下記の一般式(2)で示されるものである。
【0195】
【化27】
Figure 0003701237
【0196】
〔式中、R1、R2及びR4は、それぞれ独立に炭化水素基を表し、R3はウレタン結合を有してもよい炭化水素基を表し、R5は直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基、フッ化炭素基、アルキルシリコーン基、芳香族炭化水素基を表し、mは2以上の整数であり、hは1以上の整数であり、k及びnはそれぞれ独立に0〜1,000の範囲の整数である〕
【0197】
一般式(2)において、R1は、炭化水素基を表すが、R1−(OH)mで表されるポリオールの残基であることが好ましい。
【0198】
また、一般式(2)のR2、R4は、それぞれ独立に炭化水素基を表すが、炭素数2〜4のアルキレン基又はフェニルエチレン基であることが好ましい。
【0199】
また、一般式(2)のR3は、ウレタン結合を有してもよい炭化水素基を表すが、R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートの残基であることが好ましく、また、R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートは、2〜8価のポリオールと、2〜4価のポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン結合を有するポリイソシアネートであることが好ましい。
【0200】
また、一般式(2)のR5は直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基、フッ化炭素基、アルキルシリコーン基、芳香族炭化水素基を表すが、直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基の場合は、その炭素数は8〜36が好ましい。また、フッ化炭素基の場合は、炭素数4〜24の直鎖、分枝鎖及び/または2級のフッ化炭素基であることが好ましい。また、アルキルシリコーン基の場合は、分子量200以上のアルキルシリコーン、より好ましくは分子量500以上のジメチルシリコーンであることが好ましい。さらに、芳香族炭素基の場合は、炭素数10以上の芳香族炭素基が好ましく、より好ましくはコレステロール、コレスタノール、フィトステロール、フィトスタノールとこれらの誘導体から選ばれる基であることが好ましい。
【0201】
一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンは、例えば、R1−[(O−R2)k−OH]mで表される1種または2種以上のポリエーテルポリオールと、R3−(NCO)h+1で表される1種または2種以上のポリイソシアネートとHO−(R4−O)n−R5で表される1種または2種以上のポリモノアルコールとを反応させることにより得ることができる。この場合、一般式(2)中のR1〜R5は、用いるR1−[(O−R2)k−OH]m、R3−(NCO)h+1、HO−(R4−O)n−R5により決定される。3者の仕込み比は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルモノアルコール由来の水酸基と、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の比が、NCO/OH=0.8:1〜1.4:1であるのが好ましい。
【0202】
前記R1−[(O−R2)k−OH]mで表されるポリエーテルポリオール化合物は、m価のポリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加重合することによりできる。
【0203】
ここでm価のポリオールとしては、2〜8価のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタトリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリトリット、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール等の4価のアルコール;アドニット、アラビット、キシリット等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビット、マンニット、イジット等の6価アルコール;ショ糖等の8価アルコール等が挙げられる。
【0204】
また、付加させるアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等により、R2が決定され、特に入手が容易であり、優れた効果を発揮させるためには、炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイドあるいはスチレンオキサイドが好ましい。
【0205】
付加させるアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等は単独重合、2種類以上のランダム重合あるいはブロック重合であって良い。付加の方法は通常の方法であって良い。また、重合度kは、0〜1,000であり、好ましくは1〜500、更に好ましくは10〜50が良い。また、R2に占めるエチレン基の割合が、好ましくは全R2の50〜100重量%であることが好ましい。
【0206】
また、R1−[(O−R2)k−OH]mの分子量は500〜100,000のものが好ましく、1,000〜50,000のものが特に好ましい。
【0207】
前記R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンのジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネート等が挙げられる。
【0208】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0209】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0210】
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ビフェニルジイソシアネートとしては、例えば、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0211】
フェニルメタンのジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5,2’,5’−テトラメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシオントフェニル)メタン、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0212】
トリイソシアネートとしては、例えば、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,7−ナフタレントリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。
【0213】
また、これらのポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー(イソシアヌレート結合)で用いられても良く、また、アミンと反応させてビウレットとして用いても良い。さらに、これらのポリイソシアネート化合物と、ポリオールを反応させたウレタン結合を有するポリイソシアネートも用いることができる。ポリオールとしては、2〜8価のものが好ましく、前述のポリオールが好ましい。なお、R3−(NCO)h+1として3価以上のポリイソシアネートを用いる場合は、このウレタン結合を有するポリイソシアネートが好ましい。
【0214】
前記HO−(R4−O)n−R5で表されるポリエーテルモノアルコールは、最終的に疎水変性ポリエーテルウレタン構造中の親水性連鎖部分によって分離された少なくとも2つの疎水基にあたり、1価アルコールのポリエーテルであれば特に限定されない。
【0215】
このような化合物は、例えば1価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加重合することにより得ることができる。
【0216】
前記1価アルコールの残基であるR5としては、最終的な疎水変性ポリエーテルウレタン構造中で疎水基として働く基であれば特に限定されず、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素等の炭化水素、フッ化炭素基、アルキルシリコーン基等が挙げられる。
【0217】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−オクチルドデシル、2−ドデシルドデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐−イソステアリル等が挙げられる。
【0218】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。
【0219】
アルキルアリール基としては、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基等が挙げられる。
【0220】
シクロアルキル基、シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0221】
芳香族炭化水素としては、例えば、コレステロール、コレスタノール、フィトステロール、フィトスタノール及びこれらの誘導体等が挙げられる。芳香族炭化水素は、水溶媒中では疎水性相互作用のみならずπ-π相互作用により、非常に強く会合する性質を有するため疎水変性ポリエーテルウレタンの材料として好適である。
【0222】
フッ化炭素基としては、例えば、ヘプタデカフルオロ−n−デカノール等が挙げられる。
【0223】
アルキルシリコーン基としては、構造中に水酸基を一つもつアルキルシロキサンのアルコール残基である。なお、アルキル基の一部がフッ化炭素基に置換されても構わない。前記水酸基含有アルキルシロキサンは、市販品を用いることも可能であり、市販品としては、例えばサイラプレーンFM0411、同FM0421、同FM0425(以上、チッソ社製)等が挙げられる。水酸基含有アルキルシリコーンとして好ましくは分子量が200以上、より好ましくは分子量500以上のものが好適である。
【0224】
また、ポリエーテルモノアルコールにおいて、付加させるアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等は、単独重合、2種以上のランダム重合あるいはブロック重合であってよい。付加の方法は通常の方法であってよい。重合度nは0〜1,000であり、好ましくは1〜200、更に好ましくは10〜50である。また、R4に占めるエチレン基の割合は、好ましくは全R4の50〜100質量%、さらに好ましくは、65〜100質量%であると、本発明の目的に好ましい疎水変性ポリエーテルウレタンが得られる。
【0225】
前記の一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンの製造にあたっては、通常のポリエーテルとイソシアネートとの反応で得ることができる。また、特公平9−71766号公報の方法に準じて製造することができる。例えば、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとポリモノアルコールとを、80〜90℃で1〜3時間加熱し、反応させることにより得ることができる。
【0226】
なお、例えば、前記R1−[(O−R2)k−OH]mで表されるポリエーテルポリオール(a)と、前記R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネート(b)と、前記HO−(R4−O)n−R5で表されるポリエーテルモノアルコール(c)とを反応させる場合には、一般式(2)の構造の化合物以外のものも副生することがある。例えば、ジイソシアネートを用いた場合、主生成物としては一般式(2)で表されるc−b−a−b−c型の化合物が生成するが、その他、c−b−c型、c−b−(a−b)−a−b−c型等の化合物が副生することがある。この場合、特に一般式(2)型の化合物のみを分離することなく、一般式(2)型の化合物を含む混合物の状態で本発明に使用することができる。
【0227】
また、本発明に係る疎水変性ポリエーテルウレタン中には、さらに尿素、エーテル、エステル、アミド結合などがポリマー中に形成されても構わない。
【0228】
以下に、具体的な本発明に用いられる、成分 II 疎水変性ポリエーテルウレタンの製造例を挙げる。
【0229】
[製造例17;疎水変性ポリエーテルウレタン(A)]
表1に示した原料を用いて疎水変性ポリエーテルウレタンを製造した。すなわち、温度計、窒素導入管及び攪拌機を付した容器1,000mLの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(PEG)(数平均分子量約11,000)(R1−[(O−R2)−OH]に相当)を550部、2−ドデシルドデシルアルコールのエチレンオキサイド(EO)20モル付加物(HO−(R4−O)−R5に相当)を198部仕込み、次いで、80℃に冷却しヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)(R3−(NCO)h+1に相当)29.6部を加え、窒素気流下80〜100℃に2時間反応させ、イソシアネートが0%であることを確認し、常温で淡黄色固体の反応生成物を得た。
【0230】
[製造例18〜23;疎水変性ポリエーテルウレタン(B)〜(G)]
製造例17と同様にして、表1に示した(B)〜(G)の疎水変性ポリエーテルウレタンを調製した。
【0231】
【表1】
Figure 0003701237
【0232】
*1:サイラプレーンFM0411(分子量1,000)(チッソ社)
*2:サイラプレーンFM0421(分子量5,000)(チッソ社)
【0233】
本発明の疎水変性ポリエーテルウレタンは、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、アデカノールUH140S、同UH−420、同UH−438、同UH−750、同GT−700(以上、旭電化工業製)、Serad−FX1100、同FX1010、同1035(以上、HULS社製)、Rheolate205、同208、同204、同225、同278、同244(以上、Rheox社製)、DW1206F、同1206J、同1206G(以上、Rohm&Haas社製)、Dapral−T212(Akzo社製)、Borchigel−LW44、同L75N(以上、Borchers社製)等が挙げられる。
【0234】
本発明における疎水変性ポリエーテルウレタンの含有量は、0.1〜10.0質量%であることが好ましい。含有量が0.1質量%未満であると添加効果が認められないことがあり、10質量%を超えた場合には、粘度が高くなりすぎて、製造時の取り扱いに不都合を生じるようになり、作業効率が低下したり、実使用時に容器からの取り出しに不都合を生じたり、肌や毛髪への塗布時の伸びが悪くなる場合がある。
【0235】
本発明の化粧料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で前記した成分の他に通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分を配合することができる。例えば、油分、粉末成分、界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料、水等が挙げられる。
【0236】
油分としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン及びその誘導体、液状ラノリン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等のロウ、ワックス、炭化水素類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル等のモノエステル油、
【0237】
コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、アジピン酸ジ2−ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のジエステル油、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等のトリエステル油、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等のテトラエステル油、ポリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン類、ポリアルキレングリコールポリエーテルおよびそのカルボン酸オリゴエステル化合物、テルペン系炭化水素等が挙げられる。
【0238】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン等のノニオン活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン活性剤、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のアニオン活性剤等が挙げられる。
【0239】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0240】
保湿剤としては、例えば、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
【0241】
高分子類としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン系高分子等が挙げられる。
【0242】
タンパクまたはタンパク加水分解物としては、例えば、大豆タンパク、ゼラチン、コラーゲン、絹フィブロイン、エラスチン等が挙げられる。
【0243】
防腐剤としては、例えば、エチルパラベン、ブチルパラベン等が挙げられる。
【0244】
賦活剤としては、例えば、各種アミノ酸、ビオチン、パントテン酸誘導体等が挙げられる。
【0245】
抗脂漏剤としては、例えば、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。
【0246】
希釈剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、テトラクロロジフルオロエタン等が挙げられる。
【0247】
増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0248】
本発明の剤型は任意であり、例えば可溶化系、乳化系、油−水の2層系等いずれでも構わない。
【0249】
本発明においては、前記両性ウレタン樹脂と疎水変性ポリエーテルウレタンを化粧料組成物の成分として配合して常法により化粧料組成物を得ることができる。本発明によれば、粘度安定性等経時安定性に優れた化粧料組成物が得られ、さらに、使用特性の面では、使用時の手へのべたつき感がなく、毛髪への塗布に際してはのびがよい等の優れた使用感、肌への塗布に際しては肌へのなじみがよい等の優れた使用感を有した化粧料組成物が得られ、また、自然な弾力感のあるヘアスタイルが持続する毛髪化粧料や、肌のハリ、コシに優れた皮膚外用剤が得られる等機能特性の面でも優れた化粧料組成物を得られる。
【0250】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。配合量は質量%である。また、%とあるのは特に断らない限り質量%である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた評価方法について説明する。
【0251】
(1)粘度安定性
調製した化粧料組成物を50ml透明ガラス管に充填し、50℃、37℃、25℃、0℃の各恒温槽に保存し、6カ月経過した後のサンプルの状態(粘度)を観察した。粘度は、コーンプレート又は二重円筒型粘度計を用い、25℃、100s−1における見かけの粘度を求めた。評価は以下のとおりに行った。
【0252】
(評価基準)
A:各温度サンプルの粘度変化が、当初粘度(25℃)と比較し10%以下である。
B:各温度サンプルの粘度変化が、当初粘度(25℃)と比較し10%を越えて20%以下である。
C:各温度サンプルの粘度変化が、当初粘度(25℃)と比較し20%を越えて30%以下である。
D:各温度サンプルの粘度変化が、当初粘度(25℃)と比較し30%を越えている。
【0253】
(2)透明性
各試験品を紫外線吸収測定機により、900nmにおける透過率を測定することにより、測定し、下記評価基準により評価した。
○:透過率80%以上
△:透過率50%以上80%未満
×:透過率50%未満
【0254】
(3)使用特性試験
各試験品について、男女30名計60名のパネルに使用感を判定してもらった。使用感は、「手のべたつき感」、さらに毛髪化粧料の場合は「塗布時の毛髪への塗り伸ばしやすさ」、また皮膚外用剤の場合は「肌へのなじみやすさ」等の項目について評価した。判定はこれらの使用感を感じたパネルの人数を基準にして、各試験品の使用感を以下の基準で行った。
【0255】
(手のべたつき感の評価基準)
◎:手のべたつきのなさを感じた人が45人以上
○:手のべたつきがなさを感じた人が30人〜44人
△:手のべたつきがなさを感じた人が16人〜29人
×:手のべたつきがなさを感じた人が15人以下
【0256】
(塗布時の毛髪への塗り伸ばしやすさの評価基準)
◎:塗り伸ばしやすいと感じた人が45人以上
○:塗り伸ばしやすいと感じた人が30人〜44人
△:塗り伸ばしやすいと感じた人が16人〜29人
×:塗り伸ばしやすいと感じた人が15人以下
【0257】
(肌へのなじみやすさの評価基準)
◎:肌へのなじみがよいと感じた人が45人以上
○:肌へのなじみがよいと感じた人が30人〜44人
△:肌へのなじみがよいと感じた人が16人〜29人
×:肌へのなじみがよいと感じた人が15人以下
【0258】
(4)機能特性試験
各試験品について、男女30名計60名のパネルによる使用テストで化粧料機能を判定してもらった。毛髪化粧料の場合は、「ヘアスタイルの持続性」であり、また皮膚外用剤の場合は「肌のハリ・コシ」等である。これらの機能を感じたパネルの人数を基準にして、各試験品の機能特性を以下の基準で判定した。
【0259】
(ヘアスタイルの持ちの評価基準)
◎:塗布6時間後、ヘアスタイルの持ちを感じた人が45人以上
○:塗布6時間後、ヘアスタイルの持ちを感じた人が30人〜44人
△:塗布6時間後、ヘアスタイルの持ちを感じた人が16人〜29人
×:塗布6時間後、ヘアスタイルの持ちを感じた人が15人以下
【0260】
(肌のハリ・コシの評価基準)
◎:肌のハリ・コシを感じた人が45人以上
○:肌のハリ・コシを感じた人が30人〜44人
△:肌のハリ・コシを感じた人が16人〜29人
×:肌のハリ・コシを感じた人が15人以下
【0261】
(実施例1〜20、比較例1〜5)
表2〜4に示す組成の化粧料組成物を常法により調製した。これらの化粧料組成物はジェル状を呈していた。また、それらの評価結果を同じ表2〜4に示した。
【0262】
【表2】
Figure 0003701237
【0263】
(*1)ハイビスワコー104(和光純薬株式会社製)
【0264】
【表3】
Figure 0003701237
【0265】
【表4】
Figure 0003701237
【0266】
表2〜4から明らかなように、実施例1〜20の化粧料組成物は、経時による粘度変化が少なく、粘度安定性に優れ、使用性においては、手のべたつき感、毛髪への塗り伸ばしやすさ、肌へのなじみやすさに優れ、機能性においては、ヘアスタイルの持続性、肌のハリ・コシ感に優れる等優れた透明なジェル状化粧料組成物であることが分かる。
【0267】
それに対して、表2の比較例で示したように、本発明の両性ウレタン樹脂に代えて本発明範囲外の両性ウレタン樹脂を配合した比較例1〜3、本発明の両性ウレタン樹脂に代えて従来から用いられているポリビニルピロリドンを配合した比較例4、さらに両性ウレタン樹脂と疎水変性ポリエーテルウレタンの組み合わせに代えて、ポリビニルピロリドンとカルボキシビニルポリマーを配合した比較例5は、いずれも本発明の効果を発揮し得ないことが分かる。
【0268】
以下、種々の処方の本発明化粧料組成物を常法により調製し、実施例として示す。なお、前記の効果試験をこれらにおいて行ったところ、いずれも粘度安定性、使用特性、機能特性に優れたものであった。なお、実施例21〜28の化粧料組成物はいずれも透明性にも優れていた。
【0269】
Figure 0003701237
【0270】
Figure 0003701237
【0271】
Figure 0003701237
【0272】
Figure 0003701237
【0273】
Figure 0003701237
【0274】
Figure 0003701237
【0275】
Figure 0003701237
【0276】
Figure 0003701237
【0277】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、粘度安定性がよく、使用特性、機能特性に優れた化粧料組成物が得られる。

Claims (15)

  1. 下記の成分(I)及び II を含有することを特徴とする化粧料組成物。
    (I)下記の(S)の化合物の存在下、少なくとも下記の(A)〜(D)の化合物を反応させて生成されるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂。
    (A)ポリオール化合物
    (B)ポリイソシアネート化合物
    (C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
    (D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
    (S)ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に共有結合を介して含有し得ないポリシロキサン化合物
    II 下記の一般式(2)
    Figure 0003701237
    〔式中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭化水素基を表し、Rはウレタン結合を有してもよい炭化水素基を表し、Rは直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基、フッ化炭素基、アルキルシリコーン基、芳香族炭化水素基を表し、mは2以上の整数であり、hは1以上の整数であり、k及びnはそれぞれ独立に0〜1,000の範囲の整数である。〕
    で示される疎水変性ポリエーテルウレタン。
  2. ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂が、少なくとも下記の(A)〜(D)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)及び(C)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(D)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂である請求項1記載の化粧料組成物。
    (A)ポリオール化合物
    (B)ポリイソシアネート化合物
    (C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
    (D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
    (S)ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に共有結合を介して含有し得ないポリシロキサン化合物
  3. ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂が、少なくとも下記の(A)〜(D)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)及び(D)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(C)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂である請求項1記載の化粧料組成物。
    (A)ポリオール化合物
    (B)ポリイソシアネート化合物
    (C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
    (D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
    (S)ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に共有結合を介して含有し得ないポリシロキサン化合物
  4. ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂が、下記の(S)の化合物の存在下、少なくとも下記の(A)〜(E)の化合物を反応させて生成されるポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂である請求項1記載の化粧料組成物。
    (A)ポリオール化合物
    (B)ポリイソシアネート化合物
    (C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
    (D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
    (E)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、下記の一般式(3)で示される構造単位とを有する化合物
    Figure 0003701237
    (式中、pは1〜500の整数、qは0〜400の整数を表す。)
    (S)ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に共有結合を介して含有し得ないポリシロキサン化合物
  5. ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂が、少なくとも下記の(A)〜(E)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)、(C)及び(E)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(D)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂である請求項記載の化粧料組成物。
    (A)ポリオール化合物
    (B)ポリイソシアネート化合物
    (C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
    (D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
    (E)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、下記の一般式(3)
    Figure 0003701237
    (式中、pは1〜500の整数、qは0〜400の整数を表す。)で示される構造単位とを有する化合物
    (S)ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に共有結合を介して含有し得ないポリシロキサン化合物
  6. ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂が、少なくとも下記の(A)〜(E)及び(S)の化合物を使用し、(A)、(B)、(D)及び(E)の化合物を、イソシアネート基過剰の条件にて反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造する第一工程、並びに該イソシアネート基含有プレポリマーを、(C)の化合物と反応させる第二工程を含み、かつ第一工程及び第二工程の少なくとも一方において、(S)の化合物を存在させて生成される両性ウレタン樹脂である請求項記載の化粧料組成物。
    (A)ポリオール化合物
    (B)ポリイソシアネート化合物
    (C)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、カルボキシル基とを有する化合物
    (D)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、第三級アミノ基とを有する化合物
    (E)水酸基、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも1種と、下記の一般式(3)
    Figure 0003701237
    (式中、pは1〜500の整数、qは0〜400の整数を表す。)で示される構造単位とを有する化合物
    (S)ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に共有結合を介して含有し得ないポリシロキサン化合物
  7. ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に共有結合を介して含有し得ないポリシロキサン化合物が、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、環状シリコーン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン及びアルコキシ変性シリコーンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
  8. ポリシロキサン化合物担持両性ウレタン樹脂を構成するポリシロキサン化合物が、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、環状シリコーン、フェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン及びアルコキシ変性シリコーンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
  9. 一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、R及びRが、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
  10. 一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、Rが、R−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートの残基であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
  11. 前記R−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートが、2〜8価のポリオールと、2〜4価のポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン結合を有するポリイソシアネートであることを特徴とする請求項10記載の化粧料組成物。
  12. 一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、Rが、R−(OH)で表されるポリオールの残基であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
  13. 一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンにおいて、Rが炭素数8〜36の直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基または炭素数4〜24の直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基または炭素数4〜24の直鎖、分岐鎖又は2級のフッ化炭素基であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
  14. 一般式(2)の疎水変性ポリエーテルウレタンが、R−[(O−R−OH]で表される1種又は2種以上のポリエーテルポリオールと、R−(NCO)h+1で表される1種又は2種以上のポリイソシアネートと、HO−(R−O)−Rで表される1種又は2種以上のポリエーテルモノアルコールの反応物であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
  15. 化粧料組成物が毛髪化粧料である請求項1乃至14のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
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