JP3836210B2 - 乳化重合体水分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ポリウレタン成分を含有し、且つ高固形分で得ることができる乳化重合体、及び乳化重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
近年、塗料、インキ、接着剤等の分野では、省資源、環境衛生、無公害、非危険物化(消防法)等の点から、有機溶剤型から水性への転換が進められている。一般に常乾型水性塗料には、ビヒクル成分としてアクリル系共重合体エマルジョンが使用されている。該エマルジョンによれば、耐候性や硬度に優れた塗膜が得られるが、耐水性や耐汚染性に難点があった。一方、市場では塗膜弾性や強靭性等のニーズも高まっており、該常温型水性塗料にウレタン樹脂を用いることが検討されつつある。
これまでウレタン機能を付与した水性塗料として、例えばカルボニル基含有水性ポリウレタン樹脂とヒドラジド化合物からなる常温硬化型水性塗料(特公平8−3019号公報等)などが提案されている。該塗料によれば、耐水性等に優れた塗膜を形成できるが、水性ポリウレタン樹脂の固形分を高くすることが困難であるために組成物全体としても低固形分となり、塗料として使用する際に、垂れやすくなる等、塗装作業性に問題があった。また公知のウレタンとアクリルをグラフトする手法では、単量体組成やウレタンとアクリルの比率などに制限があり高固形分化が困難であり、しかも両者の長所をバランスよく発揮させるには至っていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究をした結果、多段階乳化重合のうちの一段の乳化重合時に特定の不飽和ポリウレタン樹脂を乳化剤成分として用いることにより、得られる乳化重合体の水分散液全体として高固形分化できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
「1. 水及び乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合して製造される乳化重合体水分散液であって、そのうちの少なくとも1段階の乳化重合に用いられる乳化剤として、ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール(b)、カルボキシル基含有ジオール(c)及びヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)との反応によって得られる不飽和ポリウレタン樹脂を高分子乳化剤として用い乳化重合して製造された乳化重合体水分散液。
2. 水及び乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合してなる乳化重合体水分散液の製造方法において、そのうちの少なくとも1段階の乳化重合に用いられる乳化剤として、ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール(b)、カルボキシル基含有ジオール(c)及びヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)との反応によって得られる不飽和ポリウレタン樹脂を高分子乳化剤として用いて行うことを特徴とする乳化重合体水分散液の製造方法。
3. ポリオール(b)が数平均分子量62〜10000のポリオールである、2項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
4. 不飽和ポリウレタン樹脂が、イソシアネート基と水酸基を1:1〜1:3の当量比で反応させて得たポリウレタン樹脂である、2項または3項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
5. 不飽和ポリウレタン樹脂が、ヒドロキシ化合物としてヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)をイソシアネート基1当量に対して0.1〜1当量の比で使用したポリウレタン樹脂である、2項ないし4項のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
6. 不飽和ポリウレタン樹脂が樹脂固形分1g 当り10〜200の酸価のポリウレタン樹脂である、2項ないし5項のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
7. 重合性不飽和単量体が、(メタ)アクリル系の単量体を50重量%以上含む、2項ないし6項のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
8. 不飽和ポリウレタン樹脂が、乳化重合体全固形分中に0.1〜50重量%となる量で配合される、2項ないし7項のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。」
に関する。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される不飽和ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール(b)、カルボキシル基含有ジオール(c)及びヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)との反応によって得られる樹脂であり、本発明の乳化重合体の製造において、多段の内の少なくとも1段階の乳化重合時に配合され、高分子乳化剤として働くものである。
【0005】
上記ジイソシアネート化合物(a)としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジクロロ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。これ等の中でも、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが好適である。
【0006】
ポリオール(b)としては、低分子量グリコール類、高分子量グリコール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類等をそれぞれ単独に用いてもよく、また、ポリエステルポリオールや高分子量グリコールに低分子量グリコールを併用しても良い。該ポリオール(b)は数平均分子量が62〜10,000の範囲が好ましく、該数平均分子量が62より小さいとウレタンの軟質部分がなくなり、10,000より大きいと合成時の取扱いが困難になるので好ましくない。
【0007】
低分子量グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAポリエチレングリコールエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールエーテルなどがあり、これ等は単独または2種以上混合して使用しても良い。
【0008】
高分子量グリコール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられ、ポリエステルポリオール類としては、グリコール成分とジカルボン酸成分を反応させたものが挙げられ、公知の方法で容易に製造でき、エステル化反応に限らず、エステル交換反応によっても製造できる。またε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオール及びこれ等の共縮合ポリエステルも含む。
【0009】
カルボキシル基含有ジオール類(c)としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸及びこれ等を縮合したポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールなどが挙げられる。これ等に12−ヒドロキシステアリン酸、パラオキシ安息香酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することもできる。
ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン重付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのβ−メチル−δ−バレロラクトン重付加物、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、アリルアルコール、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル等のアリル化合物:及びこれ等のアルキレン(炭素数2〜4)オキシド付加物(アルキレンオキシド付加モル数は通常0〜30モル、好ましくは10〜20モル)などが挙げられる。
【0010】
上記不飽和ポリウレタン樹脂の合成反応は、有機溶剤中で行っても良いが、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等のイソシアネート基に不活性で且つ水との親和性の大きい有機溶剤中で行うことが望ましい。該不飽和ポリウレタン樹脂の合成において、前記した(a)、(b)、(c)及び(d)成分の他に過剰のイソシアネート基を封鎖する目的で、必要に応じて1価アルコールを配合しても良い。これ等(a)、(b)、(c)及び(d)成分の使用割合は種々変えることができるが、全成分中のイソシアネート基と水酸基との当量比が一般に1:1〜1:3、好ましくは1:1〜1:2.5になるようにする。1:1より小さいと末端がイソシアネートとなり本目的上好ましくなく、1:3より大きいと反応しない過剰の水酸基成分が多くなり乳化重合体製造時のエマルジョン安定性を低下させるので好ましくない。このうち(d)成分の使用量はイソシアネート基1当量に対し0.01〜1、好ましくは0.02〜0.8当量である。0.01より少ないとグラフトとなる部分が少なくなり物性面での改良効果に乏しくなり、1より多いと過剰の(d)成分が生じ、不飽和ポリウレタン樹脂の貯蔵安定性を低下させるので好ましくない。
【0011】
上記不飽和ポリウレタン樹脂の製造は、特に限定されないが、前記した(a)、(b)、(c)及び(d)成分を一度に反応させてもよいし、多段的に反応させる方法(ジイソシアネートとポリオールの一部とカルボキシル基含有ジオールとを反応させてイソシアネート末端でプレポリマーを合成した後、ポリオールの残りとヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体を反応させる方法など)によって製造してもよい。反応は通常40〜180℃、好ましくは60〜130℃の温度で行われる。
この反応を促進させるため、通常のウレタン化反応において使用されるトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒や、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の錫系触媒などを用いてもよい。また、エチレン性不飽和化合物がウレタン化反応中に重合するのを防止するため、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノンなどを使用することができる。このように製造された不飽和ポリウレタン樹脂中の酸価は、樹脂固形分1g当り10〜200が好ましい。この範囲外では水溶化または水分散化が困難であったり塗膜にした場合耐水性などが低下するので望ましくない。
【0012】
該不飽和ポリウレタン樹脂は、水へ分散される。水分散は、特に制限なく従来公知の方法で行うことができ、例えば中和剤、界面活性剤などを必要に応じて含有させた水を撹拌しながら、不飽和ポリウレタン樹脂を加えて混合分散する、または連続的に混合することができる。中和剤としては、カルボキシル基を中和できるものであれば特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノプロパノール、トリエチルアミン、アンモニウムなどが挙げられる。中和剤は、樹脂に加えてカルボキシル基を中和しておいてもよいし、分散媒である水に加えておき分散と同時に中和してもよい。さらに後述の乳化重合体製造時に不飽和ポリウレタン樹脂を乳化剤として用いる際にプレエマルジョン中に同時に配合して中和してもよい。その使用量は、カルボキシル基1当量に対して0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.3当量となるような割合が好ましい。
【0013】
本発明方法は、水及び乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合を行い、そのうちの少なくとも1段階の乳化重合を、上記の通り得られる不飽和ポリウレタン樹脂を高分子乳化剤として用いて行うものである。多段階の乳化重合として、具体的には、まず内部層成分を形成する単量体混合物を、乳化剤の存在下で重合開始剤を使用して第1段階の乳化重合を行い重合体水分散液を得た後、該水分散液中に、外層成分を形成する単量体混合物を乳化剤及び重合開始剤を使用して第2段階以降の乳化重合を順次同様に行うことが挙げられ、それにより複層構造を有する乳化重合体の粒子水分散液を得るものである。
【0014】
上記重合性不飽和単量体としては、特に制限はなく従来公知のものが使用でき、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜24個のアルキルまたはシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8個のヒドロキシアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これ等は所望の性能に応じて適宜選択される。常乾型水性塗料等の用途には、これ等のうち、主に(メタ)アクリル系の単量体を用いるのが好適であり、単量体混合物中に50重量%以上含まれることが望ましい。
【0015】
上記乳化剤としては、前記不飽和ポリウレタン樹脂以外に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられ、該乳化剤の1種または2種以上の存在下で重合開始剤を使用して乳化重合することができる。
重合開始剤には、例えばアゾイソバレロニトリルのようなアゾ系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキシド等の過酸化物等既知のものを用いることができ、重合温度を下げる目的でホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム等の還元剤を用いることもできる。
【0016】
本発明では、多段のうち、いずれの段階の乳化重合でも、前記不飽和ポリウレタン樹脂を高分子乳化剤として配合することができるが、合成の自由度の点から最後の段階の乳化重合で配合することが望ましい。
また前記不飽和ポリウレタン樹脂は、本発明の乳化重合体全固形分中に0.1〜50重量%、好ましくは1〜50重量%となる量で配合されることが好適である。該配合量が0.1重量%未満では、ウレタンの特性を発揮させることが難しくなり、一方50重量%を越えると高固形分化するエマルジョンの合成が困難になるので好ましくない。
さらに前記不飽和ポリウレタン樹脂を高分子乳化剤として配合する段階の乳化重合では、その段で配合される不飽和ポリウレタン樹脂及び重合性不飽和単量体の合計固形分中に該重合性不飽和単量体成分を5重量%以上含むことが好ましい。これより少ないとエマルジョンの合成が困難になるので好ましくない。
【0017】
以上の通り本発明方法によって製造される乳化重合体の水分散液は、そのエマルジョン粒子が複層構造を有し、且つその内の少なくとも1層がウレタングラフト共重合体層を形成するものである。本発明方法によれば、多段重合するのでエマルジョン粒子に要求される目的に応じて重合成分の選択の幅が広がるという利点を有し、よってウレタン成分を含みながら▲ろ▼過残渣を出すことなくエマルジョン全体で高固形分化することが可能である。
本発明の乳化重合体の水分散液を用いて、さらに塗料を製造するにあたっては、架橋剤、顔料、充填剤、骨材、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、硬化触媒等、それぞれの目的に応じて適宜選択し組み合わせて配合することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙けて本発明をさらに詳細に説明する。
不飽和ポリウレタン樹脂の製造
容量4リットルの4つ口フラスコに、「プラクセル205」(ダイセル化学工業社製、ポリカプロラクトンジオール)660g、ジメチロールブタン酸111g、「キョーワノールD」(協和醗酵社製、テキサノールイソブチルエーテル)325gを撹拌下で加え、80℃に昇温した。均一になったところで、この中にイソホロンジイソシアネート666gを30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま80℃に保ち、イソシアネート価が65以下になった時点で2−ヒドロキシエチルアクリレート139gを加えた。そのまま80℃に保ち、イソシアネート価が25以下になった時点でエチレングリコール212gを加えた。そのまま80℃に保ち、イソシアネート価が5以下になった後に冷却し、固形分77重量%の不飽和ポリウレタン樹脂溶液を得た。
【0019】
乳化重合体水分散液の製造
実施例1
容量5リットルの4つ口フラスコに脱イオン水348g「Newcol 707SF」(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)0.6gを加え、窒素置換後、85℃に保った。この中に過硫酸アンモニウム0.8gを下記組成のプレエマルジョンを滴下する直前に加えた後、該プレエマルジョンを3時間かけて滴下した。
脱イオン水 271 g
メチルメタクリレート 300 g
スチレン 105 g
n−ブチルアクリレート 180 g
2−エチルヘキシルアクリレート 113 g
ダイアセトンアクリルアミド 38 g
ヒドロキシエチルアクリレート 15 g
Newcol 707SF 50 g
過硫酸アンモニウム 1.5g
滴下終了後から30分間経過後、75℃に冷却した。さらに30分間経過後、この中に下記組成のプレエマルジョンを2時間かけて滴下した。
不飽和ポリウレタン樹脂溶液 130 g
メチルメタクリレート 75 g
n−ブチルアクリレート 67.5g
ダイアセトンアクリルアミド 7.5g
トリエチルアミン 5.1g
過硫酸アンモニウム 0.6g
脱イオン水 373 g
滴下終了後から30分間経過後、この中に、過硫酸アンモニウム0.5gを脱イオン水40gに溶かした溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間75℃に保持して固形分47.1重量%、粘度17cP、pH6.7、及び粒子径251nmの乳化重合体エマルジョンを得た。
【0020】
実施例2
実施例1において、滴下する各段階のプレエマルジョン中のモノマーを下記に示す組成とする以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分47.3重量%、粘度25cP、pH6.7、及び粒子径248nmの乳化重合体エマルジョンを得た。
(1段目)
脱イオン水 271 g
メチルメタクリレート 300 g
スチレン 140 g
n−ブチルアクリレート 200 g
アクリル酸 10 g
ヒドロキシエチルメタクリレート 100 g
Newcol 707SF 50 g
過硫酸アンモニウム 1.5g
(2段目)
不飽和ポリウレタン樹脂溶液 130 g
メチルメタクリレート 75 g
n−ブチルアクリレート 67.5g
ヒドロキシエチルメタクリレート 7.5g
トリエチルアミン 5.1g
過硫酸アンモニウム 0.6g
脱イオン水 373 g
【0021】
実施例3
実施例1において、滴下する各段階のプレエマルジョン中のモノマーを下記に示す組成とする以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分47.2重量%、粘度22cP、pH6.9、及び粒子径238nmの乳化重合体エマルジョンを得た。
(1段目)
脱イオン水 271 g
メチルメタクリレート 350 g
スチレン 140 g
n−ブチルアクリレート 150 g
2−エチルヘキシルアクリレート 50 g
ダイアセトンアクリルアミド 10 g
ヒドロキシエチルアクリレート 50 g
ヒドロキシエチルメタクリレート 50 g
Newcol 707SF 50 g
過硫酸アンモニウム 1.5g
(2段目)
不飽和ポリウレタン樹脂溶液 130 g
メチルメタクリレート 90 g
ヒドロキシエチルメタクリレート 10 g
トリエチルアミン 5.1g
過硫酸アンモニウム 0.6g
脱イオン水 373 g
【0022】
実施例4
容量5リットルの4つ口フラスコに脱イオン水254g、「Newcol 707SF」(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)0.6gを加え、窒素置換後、85℃に保った。この中に過硫酸アンモニウム0.6gを下記組成のプレエマルジョンを滴下する直前に加えた後、該プレエマルジョンを3時間かけて滴下した。
脱イオン水 181 g
メチルメタクリレート 200 g
スチレン 70 g
n−ブチルアクリレート 195 g
ダイアセトンアクリルアミド 25 g
ヒドロキシエチルアクリレート 10 g
Newcol 707SF 35 g
過硫酸アンモニウム 1.0g
滴下終了後から30分間経過後、75℃に冷却した。さらに30分間経過後、この中に下記組成のプレエマルジョンを2時間かけて滴下した。
不飽和ポリウレタン樹脂溶液 130 g
メチルメタクリレート 75 g
n−ブチルアクリレート 67.5g
ダイアセトンアクリルアミド 7.5g
トリエチルアミン 5.1g
過硫酸アンモニウム 0.6g
脱イオン水 373 g
滴下終了後から30分間経過後、この中に、過硫酸アンモニウム0.5gを脱イオン水30gに溶かした溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間75℃に保持して固形分45.7重量%、粘度14cP、pH7.1、及び粒子径238nmの乳化重合体エマルジョンを得た。
【0023】
実施例5
容量5リットルの4つ口フラスコに脱イオン水344g、「Newcol 707SF」(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)4.5gを加え、窒素置換後、70℃に保った。この中に過硫酸アンモニウム0.3gを下記組成のプレエマルジョンを滴下する直前に加えた後、該プレエマルジョンを2時間かけて滴下した。
不飽和ポリウレタン樹脂溶液 130 g
メチルメタクリレート 75 g
n−ブチルアクリレート 67.5g
ダイアセトンアクリルアミド 7.5g
トリエチルアミン 5.1g
過硫酸アンモニウム 0.6g
脱イオン水 373 g
滴下終了後から30分間経過後、75℃に昇温した。さらに30分間経過後、この中に下記組成のプレエマルジョンを3時間かけて滴下した。
脱イオン水 271 g
メチルメタクリレート 300 g
スチレン 105 g
n−ブチルアクリレート 180 g
2−エチルヘキシルアクリレート 113 g
ダイアセトンアクリルアミド 38 g
ヒドロキシエチルアクリレート 15 g
Newcol 707SF 50 g
過硫酸アンモニウム 1.5g
滴下終了後から30分間経過後、この中に、過硫酸アンモニウム0.5gを脱イオン水40gに溶かした溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間75℃に保持して固形分47.5重量%、粘度127cP、pH6.1、及び粒子径118nmの乳化重合体エマルジョンを得た。
【0024】
比較例1
容量5リットルの4つ口フラスコに脱イオン水400g、Newcol 707SF 20gを加え、窒素置換後、70℃に保った。この中に下記組成のプレエマルジョンを3時間かけて滴下した。
不飽和ポリウレタン樹脂溶液 130 g
メチルメタクリレート 375 g
n−ブチルアクリレート 247.5g
ダイアセトンアクリルアミド 45.5g
スチレン 105 g
2−エチルヘキシルアクリレート 113 g
ヒドロキシエチルアクリレート 15 g
トリエチルアミン 5.1g
過硫酸アンモニウム 2.5g
脱イオン水 1000 g
滴下終了後から30分間経過後、この中に、過硫酸アンモニウム1.25gを脱イオン水80gに溶かした溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間70℃に保持して固形分40.4重量%の乳化重合体エマルジョンを得たが、ろ過残渣が非常に多かった。得られた乳化重合体エマルジョンは、、粘度4.1cP、pH7.2、及び粒子径452nmであった。
【0025】
【発明の効果】
本発明方法によれば、そのエマルジョン粒子が複層構造を有し、且つその内の少なくとも1層がウレタングラフト共重合体層を形成する乳化重合体の水分散液が製造できる。得られた乳化重合体の水分散液は、ウレタン成分を含みながらエマルジョン全体で高固形分を有するので、常乾型水性塗料のビヒクル成分に用いると良好な塗装作業性が得られるので有用である。
Claims (8)
- 水及び乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合して製造される乳化重合体水分散液であって、そのうちの少なくとも1段階の乳化重合に用いられる乳化剤として、ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール(b)、カルボキシル基含有ジオール(c)及びヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)との反応によって得られる不飽和ポリウレタン樹脂を高分子乳化剤として用い乳化重合して製造された乳化重合体水分散液。
- 水及び乳化剤の存在下で、重合性不飽和単量体を用いて多段階で乳化重合してなる乳化重合体水分散液の製造方法において、そのうちの少なくとも1段階の乳化重合に用いられる乳化剤として、ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール(b)、カルボキシル基含有ジオール(c)及びヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)との反応によって得られる不飽和ポリウレタン樹脂を高分子乳化剤として用いて行うことを特徴とする乳化重合体水分散液の製造方法。
- ポリオール(b)が数平均分子量62〜10000のポリオールである、請求項2に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
- 不飽和ポリウレタン樹脂が、イソシアネート基と水酸基を1:1〜1:3の当量比で反応させて得たポリウレタン樹脂である、請求項2または3に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
- 不飽和ポリウレタン樹脂が、ヒドロキシ化合物としてヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)をイソシアネート基1当量に対して0.1〜1当量の比で使用したポリウレタン樹脂である、請求項2ないし4のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
- 不飽和ポリウレタン樹脂が樹脂固形分1g 当り10〜200の酸価のポリウレタン樹脂である、請求項2ないし5のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
- 重合性不飽和単量体が、(メタ)アクリル系の単量体を50重量%以上含む、請求項2ないし6のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
- 不飽和ポリウレタン樹脂が、乳化重合体全固形分中に0.1〜50重量%となる量で配合される、請求項2ないし7のいずれか1項に記載された乳化重合体水分散液の製造方法。
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