明細書 非還元性誘電体セラミックおよびその製造方法
ならびに積層セラミックコンデンサ 技術分野
この発明は、 チタン酸ストロンチウム系の非還元性誘電体セラミックおよび その製造方法ならびにこの非還元性誘電体セラミツクを用いて構成される積 層セラミックコンデンサに関するものである。 特に、 非還元性誘電体セラミツ クの比誘電率の向上および積層セラミックコンデンサの信頼性の向上を図る ための改良に関するものである。 背景技術
通常の誘電体セラミック材料は、 中性または還元性雰囲気というような低酸 素分圧下で焼成すると還元され、 半導体化するという性質を有している。 その ため、 このような誘電体セラミック材料を用いて構成される積層セラミックコ ンデンサにおいては、 内部電極に含まれる導電材料として、 高酸素分圧下で焼 成しても酸化されず、 しかも誘電体セラミック材料の焼結する温度では溶融し ない、 たとえばパラジウム、 白金などの貴金属を用いなければならない。 その 結果、 積層セラミックコンデンサの低価格化の妨げとなり、 ひいては、 大容量 化の妨げとなっている。
上述の問題を解決し得る有効な方法として、 ニッケルや銅などの卑金属を内 部電極の導電材料として用いることが考えられるが、 このような卑金属を内部 電極の導電材料として使用した場合には、 前述した高酸素分圧下で焼成すると、 導電材料としての卑金属が酸化されてしまうという問題に遭遇する。
そこで、 このような卑金属を用いる場合には、 酸素分圧の低い中性または還 元性雰囲気で焼成しても、 半導体化せず、 優れた誘電特性を与え得る誘電体セ ラミック材料を用いることが必要である。
上述の条件を満たす非還元性誘電体セラミック、 特にチタン酸ス卜ロンチウ 厶系の非還元性誘電体セラミックとして、 (S r,— x C a x ) ( T i , _ y Z r y ) 0 3 系の組成を有するものが提案されている (たとえば、 特開 2 0 0 0— 5 3
4 6 6号公報および特開昭 6 3— 2 2 4 1 0 6号公報参照) 。
このような誘電体セラミツク材料を用いることにより、 還元性雰囲気で焼成 しても半導体化しないようにすることができ、 そのため、 内部電極の導電材料 としてニッケルや銅などの卑金属を用いた積層セラミックコンデンサの製造 が可能となる。
また、 他のチタン酸ス卜ロンチウ厶系の非還元性誘電体セラミックとして、 ( C a, S r , B a, M g ) ( Z n , T i, M n , N i, H f ) 0 3 系の組成 を有するものも提案されている (たとえば、 特開 2 0 0 1—3 5 1 8 2 8号公 報参照) 。 この非還元性誘電体セラミックは、 特性のばらつきが少なく、 信頼 性に優れるといった利点を有している。
しかしながら、 特開 2 0 0 0— 5 3 4 6 6号公報に開示されているチタン酸 ストロンチウム系の非還元性誘電体セラミックは、 比誘電率が 1 5 0未満とい うように低いという問題がある。
また、 特開昭 6 3 - 2 2 4 1 0 6号公報に開示されているチタン酸ストロン チウ厶系の非還元性誘電体セラミックは、 これを用いて小型かつ大容量の積層 セラミックコンデンサを製造するために内部電極間の誘電体セラミック層の 厚みを薄くすると、 高温負荷寿命試験における信頼性が低下するという問題を 有している。
また、 特開 2 0 0 1 — 3 5 1 8 2 8号公報に記載されているチタン酸スト口 ンチウ厶系の非還元性誘電体セラミックは、 比誘電率が 1 0 0未満というよう に低いという欠点を有している。
そこで、 この発明の目的は、 比誘電率が〗 5 0以上と高く、 かつ高温負荷寿 命試験における信頼性に優れた、 チタン酸ス卜ロンチウ厶系の非還元性誘電体 セラミックおよびその製造方法を提供しょうとすることである。
この発明の他の目的は、 上述した非還元性誘電体セラミックを用いて構成さ れる積層セラミックコンデンサを提供しょうとすることである。 発明の開示
上述した技術的課題を解決するため、 この発明に係る非還元性誘電体セラミ ックは、 第 1の局面では、 S r T i 0 3 を 5 5モル%以上含有する S r T i O 3 系のぺロブスカイト型結晶相を主結晶相として含み、 C u K a線を用いた粉 末 X線回折パターンにおいて、 2 0 = 2 5〜3 5 ° に現れるぺロブスカイ卜型
結晶相の最大ピークの強度に対して、 このべロブスカイ卜型結晶相以外のすべ ての異相としての副結晶相の最大ピークの強度が 5 %未満であることを特徴 としている。
この発明に係る非還元性誘電体セラミックは、 第 2の局面では、 S r T i 0 3 を 55モル%以上含有する (S r, C a) (Τ ί, Z r ) O 3 系のベロブス カイ卜型結晶相を主結晶相として含み、 C u 線を用いた粉末 X線回折パタ ーンにおいて、 20 = 25~35° に現れるぺロブスカイ卜型結晶相の最大ピ ークの強度に対して、 このべロブスカイ卜型結晶相以外のすべての異相として の副結晶相の最大ピークの強度が 5 %未満であることを特徴としている。
なお、 この発明における C u Κα線を用いた粉末 X線回折パターンは、 理学 電機株式会社製の X線回折装置 (型名: R U— 200 Ρし) を用いて測定して 得た、 ス厶ージング処理をしていない実測データである。 そして、 具体的な測 定条件は、 線源: C u Κ α、 管電圧: 40 k V、 管電流: 25 mA、 スキャン 方法:連続、 スキャンスピード: 4° /分、 スキャン幅: 0. 02° 、 走査範 囲: 20〜 60 ° 、 発散スリツ卜: 1 /2° 、 散乱スリツ卜: 1 / 2 ° 、 受光 スリット: 0. 1 5 mmである。
また、 この発明において、 S r T i 03 を 55モル%以上含有する S r T i 03 系のぺロブスカイ卜型結晶相とは、 一般式 A B03で表されるぺロプス力 ィ卜型結晶相であって、 Aサイ卜元素におけるストロンチウムの割合が 55モ ル%以上、 かつ、 Bサイ卜元素におけるチタンの割合が 55モル%以上の S r T i 03 系ぺロブスカイ卜型結晶相を意味する。同様に、 S r Τ ί O3 を 55 モル%以上含有する (S r, C a) (T i , Z r ) 03 系のベロブスカイ卜型 結晶相とは、 一般式 A B03で表されるぺロプスカイ卜型結晶相であって、 A サイ卜元素におけるストロンチウムの割合が 55モル%以上、 かつ、 Bサイ卜 元素におけるチタンの割合が 55モル%以上の S r T i 03 系べロブスカイ 卜型結晶相を意味する。
この発明は、 第 1および第 2の局面のいずれにおいても、 好ましくは、 次の ような組成を有する非還元性誘電体セラミックに有利に適用される。
すなわち、 この発明に係る非還元性誘電体セラミックは、 好ましくは、 組成 式: (S r i_w_xC awB ax) m (T i ,_y_zZ r yH f 2) 03 で表したとき、 w、 x、 y、 zおよび mか、、 0≤w≤ 0. 45、 0≤ x≤ 0. 05、 0≤w + x≤ 0. 45、 0≤y + z≤0. 45、 および 0. 95<m<1. 05を満足
する、 主成分を含有するとともに、 主成分 1 00モルに対して、 副成分として、 M n、 N iおよび C 0のうちの少なくとも 1種の元素を、 それぞれ、 M n 0、 N i 0および C o 0に換算して、 全量で 0. 05〜6. 0モル含有する。
上述の場合において、 さらに、 副成分として、 R e (R eは、 D y、 H o、 E r、 Tm、. Y b、 L u、 Yおよび S cのうちの少なくとも 1種の元素) を含 有してもよい。
また、 この発明が適用される非還元性誘電体セラミックは、 次のような組成 を有していてもよい。
すなわち、 この発明は、 組成式: (S r,― W_XC awB ax) m (T i " z Z r y H f 2) 03で表したとき、 w、 x、 y、 zおよび mが、 0≤w≤0. 4 5、 0≤x≤0. 05、 0≤w+ x≤0. 45、 0≤y + z≤0. 45、 およ び 0. 95<m<1. 05を満足する、 主成分を含有するとともに、 主成分 1 00モルに対して、 副成分として、 R e (R eは、 Dy、 H o、 E r、 Tm、 Y b、 L u、 Yおよび S cのうちの少なくとも 1種の元素) を、 それぞれ、 D y03/2、 Ho 03/2、 E r 03/2、 Tm03/2、 Y b03/2、 L u 03/2、 Y 03/2および S c 03/2に換算して、 全量で 0. 05〜5. 0モル含有し、 さ らに、 主成分 1 00モルに対して、 副成分として、 M n、 N ίおよび C oのう ちの少なくとも 1種の元素を、 それぞれ、 M n O、 1\1 10ぉょび000に換算 して、 全量で 0. 05〜6. 0モル含有する、 非還元性誘電体セラミックにも 適用される。
上述した組成を有するいずれの非還元性誘電体セラミックにおいても、 主成 分 1 00モルに対して、 副成分として、 さらに、 アルミニウム化合物およびマ グネシゥ厶化合物のうちの少なくとも一方を、 それぞれ、 A I 03/2および M gOに換算して、 全量で 6. 0モル以下含有することが好ましい。
また、 この発明に係る非還元性誘電体セラミックは、 さらに、 S iおよび B のうちの少なくとも一方を含有する焼結助剤が添加されていてもよい。 この場 合、 焼結助剤の添加量は、 主成分および副成分の全量を 1 00重量部としたと き、 20重量部以下であることが好ましい。
この発明は、 また、 上述のような非還元性誘電体セラミックを製造する方法 にも向けられる。
すなわち、 この発明に係る非還元性誘電体セラミックの製造方法は、 (S r ,― w— xCawB ax) m (Τ ί ト y ZZ r yH f z) 03 (ただし、 0≤w≤0.
4 5、 0≤x≤0 . 0 5、 0≤w + x≤0 . 4 5、 0≤ y + z≤0 . 4 5、 0 . 9 5 <m< 1 . 0 5 ) で表される組成式に含まれる各元素を含む複数種類の出 発原料粉末を用意する工程と、 複数種類の出発原料粉末を混合する工程と、 混 合された出発原料粉末を仮焼する、 先仮焼工程と、 先仮焼工程によって仮焼さ れた先仮焼物を混合粉砕する、 混合粉砕工程と、 混合粉砕工程の後、 先仮焼物 を、 反応が完結するように、 先仮焼工程での仮焼温度よりも高温で仮焼する、 本仮焼工程と、 本仮焼工程によって仮焼された本仮焼物を焼結させるように焼 成する工程とを備えることを特徴としている。
上述のような 2段階による仮焼 (先仮焼工程、 本仮焼工程) を行なうことに より、 ベロブスカイ卜型結晶相以外の異相の発生を抑え、 S r T i 0 3 を 5 5 モル%以上含有し、 かつ、 異相としての副結晶相の最大ピーク強度が 5 %未満 の非還元性誘電体セラミックを得ることができる。
この発明は、 さらに、 積層セラミックコンデンサにも向けられる。
この発明に係る積層セラミックコンデンサは、 複数の積層された誘電体セラ ミック層と、 静電容量を取得できるように誘電体セラミック層間の特定の界面 に沿って形成されかつ卑金属を導電材料として拿む複数の内部電極と、 内部電 極の特定のものに電気的に接続される外部電極とを備え、 誘電体セラミック層 が前述したようなこの発明に係る非還元性誘電体セラミックから構成される ことを特徴としている。
内部電極に含まれる卑金属としては、 好ましくは、 ニッケルもしくはニッケ ル合金または銅もしくは銅合金が用いられる。
この発明に係る非還元性誘電体セラミックによれば、 これを用いて構成した 積層セラミックコンデンサにおいて、 比誘電率を 1 5 0以上と高くし、 かつ第 3次高調波歪率を小さくすることができる。 また、 高温負荷寿命試験において 優れた結果が得られるため、 積層セラミックコンデンサにおける誘電体セラミ ック層をたとえば 5 程度にまで薄くすることができ、 したがって、 積層セ ラミックコンデンサの小型化かつ大容量化にとつて有利である。
また、 積層セラミックコンデンサに備える内部電極の導電材料として、 ニッ ケルゃ銅などの安価な卑金属を問題なく用いることができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ 1を図解的
に示す断面図である。
図 2は、 この発明の範囲内にある試料 8に係る本仮焼粉末の粉末 X線回折パ ターンを示す図である。
図 3は、 この発明の範囲内にある試料 8に係る焼結体の粉末 X線回折パター ンを示す図である。
図 4は、 この発明の範囲外にある試料 2 0に係る焼結体の粉末 X線回折パタ ーンを示す図である。
図 5は、 この発明の範囲外にある試料 2 2に係る本仮焼粉末の粉末 X線回折 パターンを示す図である。
図 6は、 この発明の範囲外にある試料 2 2に係る焼結体の粉末 X線回折パタ ーンを示す図である。 発明を実施するための最良の形態
図 1は、 この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ 1を示す断 面図である。
積層セラミックコンデンサ 1は、 積層体 2を備えている。 積層体 2は、 複数 の積層された誘電体セラミック層 3と、 複数の誘電体セラミック層 3間の特定 の界面に沿って形成された複数の内部電極 4および 5とを備えている。
内部電極 4および 5は、 積層体 2の外表面にまで到達するように形成される が、 積層体 2の一方の端面 6にまで引き出される内部電極 4と他方の端面 7に まで引き出される内部電極 5とが、 積層体 2の内部において、 誘電体セラミツ ク層 3を介して静電容量を取得できるように交互に配置されている。
内部電極 4および 5は、 導電材料として、 ニッケルもしくはニッケル合金ま たは銅もしくは銅合金のような卑金属を含んでいる。
前述した静電容量を取り出すため、 積層体 2の外表面上であって、 端面 6お よび 7上には、 内部電極 4および 5のいずれか特定のものに電気的に接続され るように、 外部電極 8および 9がそれぞれ形成されている。 外部電極 8および 9に含まれる導電材料としては、 内部電極 4および 5の場合と同じ導電材料を 用いることができ、 さらに、 銀、 パラジウム、 銀一パラジウム合金なども用い ることができる。 外部電極 8および 9は、 このような金属粉末にガラスフリツ 卜を添加して得られた導電性ペース卜を付与し、 焼き付けることによって形成 される。
また、 外部電極 8および 9上には、 必要に応じて、 ニッケル、 銅などからな る第 1のめつき層 1 0および 1 1がそれぞれ形成され、 さらにその上には、 半 田、 錫などからなる第 2のめつき層 1 2および 1 3がそれぞれ形成される。 このような積層セラミックコンデンサ 1 において、 誘電体セラミック層 3が この発明に係る非還元性誘電体セラミックから構成される。
この非還元性誘電体セラミックは、前述したように、 S r T i 03 を 55モ ル%以上含有する S r Τ ί 03 系の、または S r T i 03 を 55モル%以上含 有する (S r, C a) (T i, Z r) 03系のぺロプスカイト型結晶相を主結 晶相として含み、 C u Κα線を用いた粉末 X線回折パターンにおいて、 20= 25〜35° に現れるぺロプスカイ卜型結晶相の最大ピークの強度に対して、 ぺロプスカイ卜型結晶相以外のすべての異相としての副結晶相の最大ピーク 強度が 5%未満である。
このように、 主結晶相が、 一般式 A Β03で表されるぺロブスカイ卜型結晶 相であって、 Αサイ卜元素におけるストロンチウムの割合が 55モル%以上、 かつ、 Bサイ卜元素におけるチタンの割合が 55モル%以上のベロブスカイ卜 型結晶相である場合、 さらに言えば、 A B03で表されるぺロブスカイ卜型結 晶相において Aサイ卜元素はストロンチウムおよびカルシウムで構成され、 こ のうちストロンチウムの割合が 55モル%以上、 かつ、 Bサイ卜元素はチタン およびジルコニウムで構成され、 このうちチタンの割合が 55モル%以上のベ ロブスカイ卜型結晶相である場合、 キュリー点が一 60°C以下の低い温度にあ リ、 室温で強誘電性を持たないため、 誘電損失が小さく、 第 3次高調波歪率が 低く、 かつ比誘電率が 1 50以上となるようにすることができる。 また、 副結 晶相の最大ピーク強度比が 5 %未満であると、 高温負荷寿命試験における寿命 が比較的長く、 高い信頼性を与えることができる。
このような非還元性誘電体セラミックは、 Aサイ卜にさらにバリウム、 Bサ ィ卜にさらにハフニウムを含んでいてよい。 すなわち、 代表的には、 この非還 元性誘電体セラミックは、 組成式: (S r xCawB ax) m (T i ,_y_z Z r yH f z) 03で表される主成分を含有する組成を有している。
ここで、 wは、 0≤w≤0. 45となるようにされることが好ましい。 wが 0. 45を超えると、 比誘電率が低くなるためである。
また、 Xは、 0≤ x≤0. 05とされることが好ましい。 Xが 0. 05より 大きいと、 比誘電率が高くなるが、 誘電損失が増加し、 第 3次高調波歪率が高
くなリ、 また、 副結晶相が生成し、 比抵抗および信頼性の低下の原因となるた めである。
また、 wおよび Xが上記各条件を満足しても、 w+ xが 0. 45を超えると、 比誘電率が低くなる。 そのため、 w+ xについては、 0≤w+x≤0. 45と なるようにされることが好ましい。
また、 y + zは、 0≤y + z≤0. 45となるようにされることが好ましい c + 2が0. 45を超えると、 比誘電率が低くなるためである。
また、 mは、 0. 95<m< 1 . 05となるようにされることが好ましい。 mが 0. 95以下になると、 副結晶相が生成し、 誘電損失が大きくなリ、 かつ 高温負荷寿命試験での寿命が短くなる。 他方、 mが 1 . 05以上になっても、 副結晶相が生成するとともに、 セラミックの焼結性が極端に悪くなる。 したが つて、 mは、 0. 95<m<1 . 05とされることが好ましい。
上述したような主成分を有している非還元性誘電体セラミックは、 副成分と して、 M n、 N ίおよび C 0のうちの少なくとも 1種の元素を含有しているこ とが好ましい。 これら M n、 C 0および N iのうちの少なくとも 1種の元素は、 セラミックの焼結性を向上させ、 比抵抗を高くし、 平均寿命を長くする効果が あるからである。
しかしながら、 その含有量が、 主成分 1 00モルに対して、 それぞれ、 M n 0、 N i 0および C o 0に換算して、 全量で 0. 05モル未満であると、 上述 の効果が十分に発揮されず、 セラミックの焼結性が低下して、 副結晶相が生成 するため、 誘電損失が大きくなリ、 比抵抗が低下し、 さらに高温負荷寿命試験 での寿命が著しく短くなる。 他方、 この含有量が 6. 0モルを超えると、 副結 晶相の最大ピーク強度比が高くなリ、 比抵抗が低下して高温負荷寿命試験での 寿命が短くなる。 したがって、 副成分としての M n、 N iおよび C oの添加量 は、 主成分 1 00モルに対して、 全量で 0. 05~6. 0モルとすることが好 ましい。
また、 非還元性誘電体セラミックは、 副成分として、 さらに、 R e (R eは、 Dy、 H o、 E r、 Tm、 Y b、 L u、 Yおよび S cのうちの少なくとも 1種 の元素) を含有することが好ましい。 このように、 R eを副成分として含有さ せることによって、 セラミックの焼結時の雰囲気に対する安定性が向上して、 前述した積層セラミックコンデンサ 1 において、 内部電極 4および 5の導電材 料として二ッケルまたは銅のような卑金属を問題なく用いることが可能にな
る。
上述した副成分としての R eは、 主成分 1 00モルに対して、 それぞれ、 D y03/2、 H o03/2、 E r 03/2、 Tm03/2、 Y b03/2、 L u 03/2、 Y 03/2および S c 03/2に換算して、 全量で 0. 05〜5. 0モル含有される ことが好ましい。
R eの含有量が 5. 0モルを超えると、 比抵抗が小さくなリ、 他方、 0. 0 5モル未満であると、 この R eの添加による効果が十分に得られないためであ る。
非還元性誘電体セラミックは、 主成分 1 00モルに対して、 副成分として、 さらに、 アルミニウム化合物およびマグネシウム化合物のうちの少なくとも一 方を、 それぞれ、 A I 03/2および M g 0に換算して、 全量で 6. 0モル以下 含有することが好ましい。
上述のように、 アルミニウム化合物およびマグネシウム化合物を副成分とし て含有させることにより、 これらを含有しない場合に比べて、 比抵抗を高くす ることができ、 比誘電率を高くすることができ、 第 3次高調波歪率を低くする ことができ、 高温負荷寿命試験における寿命を長くすることができる。 なお、 これらアルミニウム化合物およびマグネシウム化合物の含有量が 6. 0モルを 超えると、 副結晶相が生成し、 高温負荷寿命試験における寿命が短くなるので、 前述したように、 6. 0モル以下の含有量とすることが好ましい。
また、 非還元性誘電体セラミックは、 さらに、 S iおよび Bのうちの少なく とも一方を含有する焼結助剤が添加されていることが好ましい。 このような焼 結助剤の添加により、 非還元性誘電体セラミックの焼結温度をよリ低くするこ とができ、 前述した積層セラミックコンデンサ 1 に備える積層体 2を得るため の焼成工程に要するコス卜を低減することができる。
焼結助剤の添加量は、 前述した主成分および副成分の全量を 1 00重量部と したとき、 20重量部以下であることが好ましい。 焼結助剤の添加量が 20重 量部を超えると、 副結晶相の最大ピークの強度がより高くなリ、 高温負荷寿命 試験における寿命が短くなるためである。
この発明に係る非還元性誘電体セラミックが前述した積層セラミックコン デンサ 1における誘電体セラミック層 3を構成するために用いられる場合、 こ の非還元性誘電体セラミックは、 積層セラミックコンデンサ 1のための製造ェ 程を実施した結果として得られるものである。
積層セラミックコンデンサ 1を製造するため、 まず、 誘電体セラミック層 3 となるセラミックグリーンシー卜が作製される。 セラミックグリーンシー卜は、 複数種類の出発原料粉末を仮焼して得られた仮焼粉末に、 有機バインダおよび 有機溶剤ならびに必要な添加剤を加えてスラリー化し、 このスラリーをシー卜 状に成形して得られるものである。 なお、 セラミックグリーンシートに含まれ る仮焼粉末の製造方法については後述する。
その後、 セラミックグリーンシートの特定のものの一方主面上に、 内部電極 4または 5となる導電性ペース卜膜をスクリーン印刷法などによって形成し、 次いで、 導電性ペース卜膜を形成したセラミックグリーンシートを、 必要数積 層するとともに、 導電性ペース卜膜が形成されていないセラミックグリーンシ 一卜をその上下に積層し、 これらを積層方向にプレスすることによって、 積層 体 2の生の状態のものを得る。
その後、 生の状態の積層体 2を、 必要に応じてカツ卜した後、 還元性雰囲気 中で所定の温度にて焼成し、 積層体 2を焼結させる。 この段階において、 前述 した仮焼粉末が焼結し、 この発明に係る非還元性誘電体セラミックからなる誘 電体セラミック層 3が得られる。
次に、 積層体 2の端面 6および 7上に、 それぞれ、 外部電極 8および 9が形 成され、 その後、 必要に応じて、 第 1のめつき層 1 0および 1 1ならびに第 2 のめつき層 1 2および 1 3が形成されることによって、 積層セラミックコンデ ンサ 1が完成される。
前述したセラミックグリーンシートに含まれる仮焼粉末は、 好ましくは、 次 のように製造される。
まず、 (S r,— w— xC awB ax) m (T i ,_y_zZ r yH f z) 03 (ただし、 0≤w≤ 0. 45、 0≤ x≤ 0. 05、 0≤w+ x≤ 0. 45、 0≤ y + z≤ 0. 45、 0. 95<m< 1 . 05 ) で表される組成式に含まれる各元素を含 む複数種類の原料粉末が用意され、 これら出発原料粉末が混合される。
次に、 混合された出発原料粉末を仮焼する、 先仮焼工程 (第 1仮焼工程) が 実施される。 この先仮焼工程では、 たとえば、 空気中において、 500~1 0 00 °Cの温度にて 2時間保持する条件が適用される。
次に、 先仮焼工程によって仮焼された先仮焼物を混合粉砕する、 混合粉碎ェ 程が実施される。 この混合粉砕工程を実施することにより、 先仮焼物の分散性 を高めることができる。
次に、 先仮焼物を、 反応が完結するように、 先仮焼工程での仮焼温度よりも 高温で仮焼する、 本仮焼工程 (第 2仮焼工程) が実施される。 この本仮焼工程 では、 たとえば、 空気中において、 800〜1 200°Cの温度にて 2時間保持 する条件が適用される。 前述したセラミックグリーンシー卜に含まれる仮焼粉 末としては、 この本仮焼物が用いられる。
上述のように、 出発原料粉末の仮焼に際して、 2段階による仮焼を行なうこ とにより、 組成の均一性をより高めることができるとともに、 異相の発生を抑 えることができる。 したがって、 前述したように、 C u Κα線を用いた粉末 X 線回折パターンにおいて、 20 = 25〜 35° に現れる主結晶相としてのベロ ブスカイ卜型結晶相の最大ピーク強度に対して、 異相としての副結晶相の最大 ピークの強度を有利に 5 %未満とすることができる。
前述した種々の副成分の添加は、 出発原料粉末を混合する段階であっても、 先仮焼工程の後であつても、 本仮焼工程の後であつてもよい。
また、 主成分となる出発原料粉末や副成分となる出発原料粉末、 さらには焼 結助剤としては、 酸化物、 炭酸塩、 水酸化物、 有機金属化合物など、 任意の形 態のものを用いることができる。
次に、 この発明を、 実験例に基づいてより具体的に説明する。
この実験例は、 この発明の範囲またはこの発明におけるより好ましい範囲の 限定の根拠を与えるため、 ならびにこれらによる効果を確認するための実施さ れたものである。
ぐ実験例 1 >
まず、 純度 99 %以上の S r C03、 C aC03、 B a C03、 Z r 02、 T i 02および H f 02の各粉末を主成分の出発原料粉末として準備した。 また、 副 成分の出発原料粉末として、 M n C03、 C 0 C03および N i 0の各粉末を準 備した。
次に、 主成分の出発原料粉末に関しては、 主成分組成が (S r i_w_xC aw B a x) m (T i !_y_z Ζ r y H f z) 03となり、 かつ、 表 1 に示す w、 x、 y、 zおよび mのモル比となるように秤量した。 また、 副成分の出発原料粉末につ いては、 主成分 1 00モルに対して、 M n O、 N i 0および C 00にそれぞれ 換算して、 表 1 に示すモル数となるように秤量した。
次に、 上述したように秤量された主成分の出発原料粉末および副成分の出発 原料粉末を、 ジルコニァボールを用いたボールミルによって湿式混合して、 仮
焼前の原料粉末を得た,
【表 1】
差替え用紙 (規則 26)
表 1 において、 *を付した試料番号については、 後の表 2および表 3におい ても *が付されていて、 これら試料は、 この発明の範囲外のものである。 次に、 仮焼前の原料粉末に対して、 空気中において 750°Cの温度に 2時間 保持する先仮焼工程を実施し、 先仮焼物を得た。
次に、 この先仮焼物を、 湿式ポールミルで混合粉砕した。 この混合粉砕後の 先仮焼物粉末は、 平均粒径が 0. 05〜0. 2 A mの微粉末であり、 X線回折 により未反応物としての原料の炭酸塩が認められた。
次に、 混合粉砕後の先仮焼物に対して、 空気中において 1 1 00°Cの温度に 2時間保持する本仮焼工程を実施した。 このようにして得られた本仮焼物を粉 砕することによって、 本仮焼粉末を得た。
なお、 表 1 に示した試料 1 6は、 比較例となるもので、 試料 1 1 と同じ組成 を有しながら、 前述した先仮焼工程を実施せずに、 空気中において 1 1 00°C の温度で 2時間保持する本仮焼工程のみを実施して得られたものである。 また、 表 1 に示した試料 1 7は、 比較例となるもので、 予め作製した S r T i 3および C a Z r O 3の各粉末を、 それぞれ、 モルに換算して 8: 2になるよ うに秤量して、 混合するだけで得られたものである。
次に、 このようにして得られた各試料に係る本仮焼粉末について、 走査型電 子顕微鏡 (S EM) を用いて粒径を計測して平均粒径を求めるとともに、 C u Κα線を用いた粉末 X線回折測定 (管電圧 40 k V、 管電流 25 mA) を行な つた。 そして、 得られた X線回折 (X R D) パターンから主結晶相としてのぺ ロブスカイ卜型結晶相の結晶系を同定するとともに、 20 = 25〜35° に現 れる主結晶相の最大ピークの強度に対する、 主結晶相以外のすべての異相とし ての副結晶相の最大ピークの強度の比率を求めた。 表 2には、 これら求められ た 「本仮焼粉末粒径」 、 「本仮焼粉末での副結晶相 X R Dピーク強度比」 およ び 「本仮焼粉末結晶系」 が示されている。
【表 2】
次に、 上述した本仮焼粉末に、 その主成分および副成分の全量 1 00重量部 :対して、焼結助剤としての B2 03 を含むガラスを 1. 5重量部添加すると 差替え用紙 (規則 26)
ともに、 ポリビニルプチラール系バインダおよびエタノールなどの有機溶剤を 加え、 ボールミルにより湿式混合し、 セラミックスラリーを得た。 次いで、 こ のセラミックスラリーをドクターブレード法によリシ一卜状に成形し、 厚み約 7 At mの矩形のセラミックグリーンシー卜を得た。
次に、 複数の上記セラミックグリーンシートを積層することによって、 セラ ミックグリーンシート積層体とし、 これを積層方向にプレスした後、 所定の矩 形寸法に切断した。
次いで、 切断されたセラミックグリーンシー卜積層体を 3 5 0 °Cの温度で加 熱してバインダを燃焼させ、 さらに H 2— N 2— H 2 0ガスからなる還元性雰囲 気中において表 2の 「焼成温度」 の欄に示された温度にて焼成し、 セラミック 焼結体を得た。
次いで、 セラミック焼結体を乳鉢で粉砕し、 C u Κ α線を用いた粉末 X線回 折測定 (管電圧 4 0 k V、 管電流 2 5 m A ) を行なった。 このようにして得ら れた X線回折パターンから、 主結晶相としてのベロブスカイ卜型結晶相の結晶 系を同定するとともに、 2 0 = 2 5〜3 5 ° に現れる主結晶相の最大ピークの 強度に対する、 主結晶相以外のすべての異相としての副結晶相の最大ピークの 強度の比率を求めた。 これら求められた 「焼結体結晶系」 および 「焼結体での 副結晶相 X R Dピーク強度比」 が表 2に示されている。
他方、 試料としての積層セラミックコンデンサを次のようにして作製した。 まず、 前述のセラミック焼結体を作製するのに用いたのと同じセラミックグ リーンシート上に、 銅を主成分とする導電性ペース卜を印刷し、 内部電極を構 成するための導電性ペース卜膜を形成した。
次に、 導電性ペース卜膜が形成されたセラミックグリーンシートを、 導電性 ペース卜膜が引き出されている側が互い違いになるように複数積層するとと もに、 その上下に、 導電性ペース卜膜が形成されていないセラミックグリーン シー卜を積層し、 これらを積層方向にプレスし、 所定の寸法にカツ卜すること によって、 生の状態の積層体を得た。
次に、 生の積層体の両端面に銅を主成分とする導電性ペース卜を塗布し、 内 部電極と接続された外部電極となる導電性ペース卜膜を形成した。
次に、 この生の積層体を、 窒素雰囲気中にて 3 5 0 °Cの温度に加熱し、 バイ ンダを分解させた後、 H 2— N 2— H 2 0ガスからなる還元性雰囲気中において、 表 2の 「焼成温度」 の欄に示した各温度にて焼成し、 積層セラミックコンデン
サを得た。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、 幅 3. 2 mm、 長さ 4. 5 mm, および厚さ 1. 2 mmであり、 誘電体セラミック層の 厚みは 5 mであった。 また、 有効誘電体セラミック層の数は 5層であった。 次に、 各試料に係る積層セラミックコンデンサの電気的特性および信頼性を 評価した。 表 3には、 これらの評価結果が示されている。
表 3に示した 「比誘電率」 は、 積層セラミックコンデンサの静電容量を、 周 波数 1 kH z、 1 Vrmsおよび温度 25°Cの条件で測定し、 この静電容量から 算出したものである。
「誘電損失」 は、 上述の静電容量の測定と同様の条件で求めたものである。
Π o g oj は、 上述のように静電容量を求めた後、 温度 25°Cで 1 00 V の電圧を 2分間印加して絶縁抵抗を測定し、 この絶縁抵抗から比抵抗を算出す ることによって求めたものである。
「TC」 は、 静電容量の温度変化であり、 周波数〗 k H zおよび 1 V rm s の条件で 20°Cおよび 85°Cの各温度にて静電容量を測定し、 その変化率を以 下の式を用いて算出したものである。
TC (%) = { (C85-C20) /C20} X 1 02
なお、上記式中の C 85および C 2。は、 それぞれ、 85°Cおよび 20°Cの各温 度で測定した静電容量である。
「第 3次高調波歪率」 は、 積層セラミックコンデンサについて、 日本電子機 械工業会 (E I A J) 規格 「RC 2 〗 1 1」 の固定抵抗器の非直線性測定方法 の手順に従って測定したものである。 測定装置は、 R E T ECH NO LOG Y AS社の 「C LT一 1」 を使用し、 1 0 k H zにおいて、 50 VZmmお よび 200 V/mmの各交流電圧を印加したときの第 3次高調波歪率をそれ ぞれ測定した。
「平均寿命」 は、 温度 1 50°Cで 20 k VZmmの直流電圧を印加する高温 負荷寿命試験を実施し、 その絶縁抵抗値の経時変化を測定し、 各試料の絶縁抵 抗値が 1 06 Ω以下になった時点までの時間を寿命時間とし、 その平均時間を 求めたものである。
【表 3】
差替え用弒(規則 26)
この発明に係る非還元性誘電体セラミックは、 S r T i 03 を 55モル%以 上含有する S r T i 03系の、 または S r Τ ί 03を 55モル%以上含有する (S r, C a) (T i , Z r) O 3系のぺロブスカイ卜型結晶相を主結晶相と して含み、 前掲の表 2から明らかなように、 この発明の範囲内にある試料 1〜 1 5では、 焼結後の粉末 X線回折パターンから、 その結晶系が立方晶であると 同定され、 C u Κα線を用いた粉末 X線回折パターンにおいて、 20=25〜 35° に現れるぺロブスカイ卜型結晶相の最大ピークの強度に対して、 副結晶 相の最大ピークの強度が 5 %未満である。
これら試料 1〜1 5に係る積層セラミックコンデンサにあっては、 表 3に示 すように、 比誘電率が 1 50以上と高く、 誘電損失も 0. 05%以下と小さい。 さらに、 比抵抗が 1 01 3Ω · cm以上と大きく、 第 3次高調波歪率においても、 50 V/mmでは— 1 1 0 d B以下、 200 V/mmでも一 1 00 d B以下と 低い。 また、 平均寿命も 50時間以上と長い。
ここで、 この発明に係る非還元性誘電体セラミックにおいて、 主結晶相に含 有する S r T i 03量を限定した理由、ならびに、焼結後の 2 θ = 25-35 ° に現れるぺロブスカイ卜型結晶相の最大ピークの強度に対する副結晶相の最 大ピークの強度の比率 (以下、 「副結晶相 X R Dピーク強度比」 と略すことが ある。 ) を 5 %未満に限定した理由について説明する。
主結晶相に含有する S r T i 03量が 55モル%未満の試料 1 8、 1 9、 2 0および 27においては、 比誘電率が 1 30以下と低くなる。 また、 同様に主 結晶相に含有する S r T i 03量が 55モル%未満の試料 2 〗については、 室 温において強誘電性を有するため、 誘電損失が 1 %程度と大きく、 第 3次高調 波歪率が大きい。
これらに対して、 主結晶相に含有する S r Τ ί 03量が 55モル%以上の試 料 1 ~〗 5では、 キュリー点が一 60°C以下の低い温度にあり、 室温で強誘電 性を持たないため、 誘電損失が 0. 05 %以下であり、 第 3次高調波歪率が低 く、 かつ比誘電率が 1 50以上となっている。
また、 副結晶相 X R Dピーク強度比が 5%以上であると、 試料 1 6、 1 7、 22、 23、 24、 25、 2 6および 2 7のように、 平均寿命が短くなる。 こ のように副結晶相 X R Dピーク強度比が 5 %以上の場合には、 比較的短時間で 特性が劣化する。
これらに対して、 副結晶相 X R Dピーク強度比が 5%未満であると、 試料 1
〜1 5のように、 平均寿命が比較的長い、 高信頼性のセラミック材料が得られ る。 したがって、 この副結晶相 X R Dピーク強度比は 5%未満であることが好 ましい。
図 2および図 3には、 それぞれ、 この発明の範囲内にある試料 8の本仮焼粉 末 (主成分に S r T i 03を 55モル%以上含有しかつ副結晶相 X R Dピーク 強度比が 1 %未満である。)および焼結体(主成分に S r T i 03を 55モル% 以上含有しかつ副結晶相 X R Dピーク強度比が 1 %未満である。 ) の X線回折 パターンが示され、 図 4には、 この発明の範囲外にある試料 20の焼結体 (主 成分の S r T i 03量が 55モル%未満) の X線回折パターンが示されている。 さらに、 図 5および図 6には、 それぞれ、 この発明の範囲外にある試料 22の 本仮焼粉末 (副結晶相 X R Dピーク強度比が 30%) および焼結体 (副結晶相 X R Dピーク強度比が 57 %) の X線回折パターンが示されている。
本仮焼粉末の粉末 X線回折パターンにおいて、 副結晶相 X R Dピーク強度比 が 5 %未満である試料は、 焼結体においても、 副結晶相 X R Dピーク強度比が 5%未満である。 このことから、 仮焼粉末の段階で副結晶相が少ない方が好ま しいことがわかる。
次に、 チタン酸ストロンチウム系の非還元性誘電体セラミックの組成、 すな わち組成式: (S r,― w— XC awB ax) m (T ί ,_y_zZ r yH f ζ) 03で表 される組成についての好ましい範囲について考察する。
上記組成式において、 C a量 wが 0. 45を超えると、 試料 1 8および 27 のように、 比誘電率が低くなる。 したがって、 〇 &量\^は、 0≤w≤0. 45 の範囲が好ましい。
また、 試料 22のように、 B a量 Xが 0. 05より大きいと、 比誘電率は高 くなるが、 誘電損失が増加し、 また、 第 3次高調波歪率が高くなる。 また、 副 結晶相が生成し、 比抵抗および信頼性の低下の原因となる。 B a量 Xがさらに 大きくなると、 試料 21のように、 第 3次高調波歪率が著しく高くなる。 した がって、 8 &量 は、 0≤ x≤0. 05の範囲が好ましい。
また、 試料 1 9、 20および 27のように、 Z rおよび H f の合計量 y + z が 0. 45を超えると、 比誘電率が低くなる。 したがって、 Z rと H f との合 計量 y + zは、 0≤y + z≤0. 45の範囲が好ましい。
また、 試料 23のように、 mが 0. 95以下になると、 副結晶相が生成し、 誘電損失が大きくなリ、 また、 平均寿命が短くなる。 他方、 試料 24のように、
mが 1. 05以上になった場合であっても、 副結晶相が生成するとともに、 セ ラミックの焼結性が極端に悪くなる。 したがって、 mは、 0. 95<m<1. 05の範囲が好ましい。
また、 副成分としての M n、 C 0および N ίのうちの少なくとも 1種の元素 は、 セラミックの焼結性を向上させ、 比抵抗を高くし、 平均寿命を長くする効 果があるが、 試料 25のように、 副成分としての M n、 C oおよび N iの添加 量が全量で 0. 05モル未満であると、 このような効果が発揮されず、 セラミ ックの焼結性が低下して副結晶相が生成するため、 誘電損失が大きくなり、 比 抵抗が低下し、 さらに、 平均寿命が著しく短くなる。 他方、 試料 26のように、 M n、 C 0および N iの添加量が全量で 6. 0モルを超えると、 副結晶相 X R Dピーク強度比が高くなリ、 比抵抗が低下して、 平均寿命が短くなる。 したが つて、 M n、 C oおよび N iが添加される場合、 その添加量は、 全量で 0. 0 5〜6. 0モルであることが好ましい。
<実験例 2>
まず、 主成分の出発原料粉末として、 実験例 1の場合と同様、 純度 99%以 上の S r C03、 C aC03、 B a C03、 Z r 02、 Τ ί 02および H f 02の 各粉末を準備した。 副成分 1の出発原料粉末として、 D y、 H o、 E r、 Tm、 Y b、 L u、 Yおよび S cの各酸化物粉末を準備した。 副成分 2の出発原料粉 末として、 実験例 1における副成分と同様、 N i 0、 1^门 〇03ぉょび〇 0 〇 O 3の各粉末を準備した。
次に、 これらの出発原料粉末を、 主成分については、 (S r ,_W_XC awB a x) m (T i , _y_z Z r y H f z) 03において表 4に示した w、 x、 y、 zお よび mの値となるように、 また、 副成分 1および 2については、 主成分 1 00 モルに対して、 表 4に示したモル数の各添加量となるように、 それぞれ秤量し、 これら出発原料粉末を、 実験例 1の場合と同様の方法により湿式混合して、 仮 焼前の原料粉末を得た。
【表 4】
表 4において、 *を付した試料番号については、 後の表 5および表 6におい ても *が付されていて、 これら試料は、 この発明の範囲外のものである。
差替え用紙 (I1IIJ26)
次に、 仮焼前の原料粉末に対して、 空気中において 8 0 0 °Cの温度に 2時間 保持する先仮焼工程を実施し、 先仮焼物を得た。
次に、 この先仮焼物を、 実験例 1の場合と同様、 湿式ボールミルで混合粉碎 した。 この混合粉砕後の先仮焼物粉末は、 平均粒径が 0 . 0 5〜0 . 2 A mの 微粉末であった。
次に、 混合粉砕後の先仮焼物に対して、 空気中において 1 0 0 0 °Cの温度に 2時間保持する本仮焼工程を実施した。 このようにして得られた本仮焼物を粉 碎することによって、 本仮焼粉末を得た。
なお、 表 4に示した試料 4 8は、 比較例となるもので、 試料 3 7と同じ組成 を有しながら、 前述した先仮焼工程を実施せずに、 空気中において 1 0 0 0 °C の温度で 2時間保持する本仮焼工程のみを実施して得られたものである。 次に、 このようにして得られた各試料に係る本仮焼粉末について、 実験例 1 の場合と同様の方法によって、 表 5に示す 「本仮焼粉末粒径」 、 「本仮焼粉末 での副結晶相 X R Dピーク強度比 J および 「本仮焼粉末結晶系」 をそれぞれ評 価した。
【表 5】
次に、 上述した本仮焼粉末に、 その主成分および副成分の全量 1 0 0重量部 に対して、 焼結助剤としての S i 0
2 を含むガラスを 1 . 5重量部添加すると
差替え用弒(SMII2
ともに、 ポリビニルプチラール系バインダおよびエタノールなどの有機溶剤を 加え、 ポールミルにより湿式混合し、 セラミックスラリーを得た。 その後、 こ のセラミックスラリーをドクターブレード法によリシ一卜状に成形し、 厚み約 7 t mの矩形のセラミックグリーンシー卜を得た。
次に、 実験例 1の場合と同様の方法によって、 これらセラミックグリーンシ 一卜を積層し、 プレスし、 所定の矩形寸法に切断し、 脱バインダ工程を実施し た後、 H 2 — N 2 — H 2 0ガスからなる還元性雰囲気中において表 5の 「焼 成温度」 の欄に示された温度にて焼成し、 セラミック焼結体を得た。
次いで、 セラミック焼結体を用いて、 実験例 1の場合と同様の方法によって、 表 5に示した 「焼結体結晶系」 および 「焼結体での副結晶相の X R Dピーク強 度比」 をそれぞれ評価した。
他方、 前述のセラミック焼結体を作製するのに用いたのと同じセラミックグ リーンシートを用いて、 N ίを主成分とする導電性ペース卜で内部電極を構成 した以外は、 実験例 1の場合と同様の条件に従って、 試料となる積層セラミツ クコンデンサを作製した。
そして、 各試料に係る積層セラミックコンデンサについて、 実験例 1の場合 と同様の方法により同様の項目について評価した。 この評価結果が表 6に示さ れている。
【表 6】
前掲の表 5から明らかなように、 この発明の範囲内にある試料 28 ~47で は、 S r T i 0
3を 55モル%以上含有する S r Τ ί 0
3系の、 または S r T i 0
3を 55モル
0 /o以上含有する (S r , C a ) (T i , Z r) 0
3系のぺロブス 差替え用 ¾ (規嵐 2
カイト型結晶相を主結晶相として含む、 非還元性誘電体セラミックであって、 C u Κ α線を用いた粉末 X線回折パターンにおいて、 20 = 25〜 35° に現 れるぺロブスカイ卜型結晶相の最大ピークの強度に対して、 副結晶相の最大ピ ークの強度が 5 %未満である。
これら試料 2 8〜4 7に係る積層セラミックコンデンサにあっては、 表 6に 示すように、 比誘電率が 1 50以上と高く、 第 3次高調波歪率においても、 5 0 V/mmでは一 1 1 0 d B以下、 200 V/mmでも一 1 00 d B以下と低 く、 また、 平均寿命も 50時間以上と長い。
ここで、 この発明に係る非還元性誘電体セラミックにおいて、 主結晶相に含 有する S r T i 03量を限定した理由、 ならびに焼結後の 20 = 25〜35。 に現れるぺロプスカイ卜型結晶相の最大ピークの強度に対する副結晶相の最 大ピークの強度の比率を 5 %未満に限定した理由について説明する。
主結晶相に含有する S r T i O 3量が 55モル%未満である試料 49および 50においては、 比誘電率が 1 40以下と低くなる。
これらに対して、 主結晶相に含有する S r T i 03量が 55モル%以上であ る試料 28〜4 7では、 キュリー点が一 60°C以下の低い温度にあり、 室温で 強誘電性を持たないため、 第 3次高調波歪率が低く、 かつ比誘電率が 1 50以 上であり、 また、 誘電損失が 0. 30%以下である。
また、 副結晶相 X R Dピーク強度比が 5%以上であると、 試料 48および 5 1〜57のように、 平均寿命が短くなる。 このように副結晶相 X R Dピーク強 度比が 5 %以上の場合には、 比較的短時間で特性が劣化する。
これらに対して、 副結晶相 X R Dピーク強度比が 5%未満であると、 試料 2 8〜47のように、 平均寿命が比較的長い、 高信頼性のセラミック材料が得ら れる。 したがって、 この副結晶相 X RDピーク強度比は 5%未満であることが 好ましい。
また、 本仮焼粉末の粉末の X線回折パターンにおいて、 副結晶相 XR Dピー ク強度比が 5%未満である試料は、 焼結体においても、 副結晶相 X R Dピーク 強度比が 5 %未満である。 このことから、 仮焼粉末の段階で副結晶相が少ない 方が好ましいことがわかる。
次に、 チタン酸ストロンチウム系の非還元性誘電体セラミック、 すなわち組 成式: (S r,― w— XC awB a J m (T i ,_y_z Z r yH f z) 03で表される 組成についての好ましい範囲について考察する。
上記組成式において、 〇 &量\^が0. 45を超えると、 試料 49のように、 比誘電率が低くなる。 したがって、 Ca量 wは、 0≤w≤0. 45の範囲が好 ましい。
また、 試料 53のように、 8 &量乂が0. 05より大きいと、 比誘電率は高 くなるが、 第 3次高調波歪率が高くなる。 また、 副結晶相が生成し、 比抵抗お よび信頼性の低下の原因となる。 したがって、 8 &量乂は、 0≤x≤0. 05 の範囲が好ましい。
また、 試料 50のように、 Z rおよび H f の合計量 y + zが 0. 45を超え ると、 比誘電率が低くなる。 したがって、 Z rと H f との合計量 y + zは、 0 ≤y + z≤0. 45の範囲が好ましい。
また、 試料 5 1のように、 mが 0. 95以下になると、 副結晶相が生成し、 誘電損失が大きくなリ、 また、 平均寿命が短くなる。 他方、 試料 52のように、 mが 1. 05以上になった場合であっても、 副結晶相が生成するとともに、 セ ラミックの焼結性が極端に悪くなる。 したがって、 mは、 0. 95<m<1. 05の範囲が好ましい。
表 4に示した副成分 1としての D y、 H o、 E r、 Tm、 Y b、 L u、 Yお よび S cの少なくとも 1種の元素は、 セラミックの焼結時の雰囲気に対する安 定性を向上させ、 積層セラミックコンデンサの内部電極の導電材料としてニッ ケルのような卑金属を問題なく用いることを可能にする。 この効果は、 副成分 1の添加量が全量で 0. 05モル以上の場合に発揮される。 しかしながら、 試 料 54のように、 副成分〗の添加量が全量で 5. 0モルを超えると、 比抵抗が 小さくなる。 したがって、 副成分 1の添加量は、 全量で 0. 05〜5. 0モル であることが好ましい。
また、 副成分 2としての M n、 C 0および N ίのうちの少なくとも 1種の元 素は、 セラミックの焼結性を向上させ、 比抵抗を高くし、 平均寿命を長くする 効果があるが、 試料 57のように、 副成分 2の添加量が全量で 0. 05モル未 満であると、 このような効果が発揮されない。 他方、 試料 55および 56のよ うに、 副成分 2の添加量が全量で 6. 0モルを超えると、 副結晶相 X R Dピー ク強度比が高くなリ、 比抵抗が低下して、 平均寿命が短くなる。 したがって、 副成分 2の含有量は、 全量で 0. 05〜6. 0モルであることが好ましい。
<実験例 3 >
まず、 主成分の出発原料粉末として、 純度 99%以上の S r C03、 Ca C
03および丁 i 02の各粉末を準備した。 また、 副成分の出発原料粉末として、 Y b 203、 M n O、 A I 2 O 3および M g C O 3の各粉末を準備した。 次に、 こ れらの出発原料粉末を、 主成分が (S r Q.6C a。.4) T i 03の組成となり、 副成分の各添加量が、 主成分〗 00モルに対して、 Y b03/2、 M n O、 A I 03/2および MgC03にそれぞれ換算して、表 7に示すモル数となるように秤 量し、 実験例 1の場合と同様の方法によって、 これらの出発原料粉末を湿式混 合して、 仮焼前の原料粉末を得た。
【表 7】
表 7において、 *を付した試料 6 6は、 この発明の範囲外のものである。 次に、 仮焼前の原料粉末に対して、 空気中において 8 0 0 °Cの温度に 2時間 保持する先仮焼工程を実施し、 先仮焼物を得た。
次に、 この先仮焼物を、 湿式ポールミルで混合粉砕した後、 さらに、 空気中 において 1 1 0 0 °Cの温度に 2時間保持する本仮焼工程を実施し、 これを粉砕 することによって、 本仮焼粉末を得た。
次に、 これら本仮焼粉末について、 実験例 1の場合と同様の方法によって、 平均粒径および副結晶相 X R Dピーク強度比を求めたところ、 試料 5 8 ~ 6 6 のいずれについても、 平均粒径が 0 . 4 mであり、 副結晶相 X R Dピーク強 度比が 1 %以下であった。
次に、 上述した本仮焼粉末に、 その主成分および副成分の全量 1 0 0重量部 に対して、 焼結助剤としての S i 0 2 を含むガラスを 1 . 5重量部添加すると ともに、 ポリビニルプチラール系バインダおよびエタノールなどの有機溶剤を 加え、 ボールミルにより湿式混合し、 セラミックスラリーを得た。 その後、 こ のセラミックスラリーをドクターブレード法によリシ一卜状に成形し、 厚み約 7 U mの矩形のセラミックグリーンシートを得た。
次に、 上述のセラミックグリーンシートを用いて、 実験例 1の場合と同様の 方法により、 表 8の 「焼成温度」 の欄に示された温度にて焼成しながら、 セラ 差替え用弒 ( m)
W
30 ミック焼結体および積層セラミックコンデンサをそれぞれ作製し、 表 8に示す ような 「焼結体での副結晶相 X R Dピーク強度比」 、 「焼結体結晶系」 、 「比 誘電率」 、 「誘電損失」 、 「T C J 、 Γ I 0 g 、 「平均寿命」 および 「第 3次高調波歪率」 をそれぞれ評価した。
【表 8】
表 7および表 8からわかるように、 この発明の範囲内にある試料 58〜65 によれば、 比誘電率が 1 50以上と高く、 第 3次高調波歪率が、 50VZmm において一 1 1 0 d B以下、 200 VZmmにおいて一 1 00 d B以下と低く.
差替え用 is wm)
平均寿命が 50時間以上と長い。
また、 A Iおよび M gの少なくとも一方を添加した試料 59~ 65によれば、 これらを添加しなかった試料 58と比較して、 比抵抗がより高くなつている。 なお、 試料 66のように、 A Iおよび または M gの添加量が合計で 6. 0 モルを超えると、 副結晶相が生成するため、 X R Dピーク強度比が 5%以上と なり、 平均寿命が短くなつている。
したがって、 A Iおよび Mgの添加量は、 主成分 1 00モルに対して、 全量 で 6. 0モル以下であることが好ましい。
<実験例 4 >
まず、 主成分の出発原料粉末として、 純度 99 %以上の S r C03、 C a C
03、 Z r 02および T i 02の各粉末を準備した。 また、 副成分の出発原料粉 末として、 Y b 203および Mg C03の各粉末を準備した。
次に、 これらの出発原料粉末を、 主成分が (S r0. 8Ca0. 2) (T i 0. 8
Z r o. 2) O 3の組成となリ、 副成分としての Y b2O3および M g C03が、 主 成分 1 00モルに対して、 Y b03/2および M n 0にそれぞれ換算して、 とも に 3. 0モルとなるように秤量し、 実験例 1の場合と同様の方法によって湿式 混合して、 仮焼前の原料粉末を得た。
次に、 仮焼前の原料粉末に対して、 空気中において 800°Cの温度に 2時間 保持する先仮焼工程を実施し、 先仮焼物を得た。
次に、 この先仮焼物を、 湿式ボールミルで混合粉砕し、 その後、 空気中にお いて 1 1 00°Cの温度に 2時間保持する本仮焼工程を実施し、 これを粉砕する ことによって、 本仮焼粉末を得た。
この本仮焼粉末について、 実験例 1の場合と同様の方法によって、 平均粒径 および副結晶相 X R Dピーク強度比を求めたところ、 平均粒径が 0. で あり、 副結晶相 X R Dピーク強度比が 1 %以下であった。
次に、 上述した本仮焼粉末に、 その主成分および副成分の全量 1 00重量部 に対して、 表 9に示す焼結助剤を表 9に示す添加量をもつて添加するとともに、 ポリビニルプチラール系バインダおよびエタノールなどの有機溶剤を加え、 ポ ールミルにより湿式混合し、 セラミックスラリーを得た。 次いで、 このセラミ ックスラリーをドクターブレード法によリシ一卜状に成形し、 厚み約 7 f mの 矩形のセラミックグリーンシートを得た。
【表 9】
表 9において、 *を付した試料 7 6は、 この発明の範囲外のものである。 次に、 上記セラミックグリーンシートを用いて、 実験例 1の場合と同様の方 法によって、 表 1 0の 「焼成温度」 の欄に示した各温度にて焼成しながら、 セ ラミック焼結体および積層セラミックコンデンサをそれぞれ作製した。
そして、 これらセラミック焼結体および積層セラミックコンデンサについて, 表 1 0に示した「焼結体での副結晶相 X R Dピーク強度比」、 「焼結体結晶系」,
「比誘電率」 、 「誘電損失」 、 「T C J 、 r i o g P」 、 「平均寿命 J および
「第 3次高調波歪率 J をそれぞれ評価した。
差替え用飆(規則 26)
【表 1 0】
表 1 0からわかるように、 この発明の範囲内にある試料 67 ~7 5によれば, 比誘電率が 1 50以上と高く、 第 3次高調波歪率が、 50 VZmmで一 1 1 0 d B以下、 200 V/mmで一 1 00 d B以下と低く、 また、 平均寿命が 50 時間以上と長い。
また、 表 9に示すように、 焼結助剤を添加した試料 68〜7 6は、 焼結助剤 差替え用銥(規則 26)
を添加しなかった試料 6 7と比較して、 表 1 0の 「焼成温度」 の欄に示すよう に、 1 0 0 °C以上低温で焼結が可能である。
しかしながら、 試料 7 6のように、 焼結助剤の添加量が、 主成分および副成 分の全量 1 0 0重量部に対して 2 0重量部を超えると、 副結晶相 X R Dピーク 強度比が 5 %以上となり、 平均寿命が 5 0時間以下と短くなる。
したがって、 焼結助剤の添加量は、 主成分および副成分の全量を 1 0 0重量 部としたとき、 2 0重量部以下であることが好ましい。 産業上の利用可能性
この発明に係る非還元性誘電体セラミックは、 温度補償用コンデンサ材料や 低損失コンデンサ材料として有利に用いられる他、 マイクロ波用誘電体共振器 材料としても有利に用いることができ、 その工業的利用価値が大きい。