JPH1121166A - 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ

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JPH1121166A
JPH1121166A JP9173846A JP17384697A JPH1121166A JP H1121166 A JPH1121166 A JP H1121166A JP 9173846 A JP9173846 A JP 9173846A JP 17384697 A JP17384697 A JP 17384697A JP H1121166 A JPH1121166 A JP H1121166A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比誘電率εrが高く、誘電損失が小さく、さら
に温度特性を大きく向上できる誘電体磁器および積層セ
ラミックコンデンサを提供する。 【解決手段】組成式を、(Sr1-w-x-y Caw Pbx
y )Tiz 3+a と表した時、0≦w≦0.20、
0.05≦x≦0.20、0.01≦y≦0.30、
1.00≦z≦1.20、w+x+y≦0.50を満足
する主成分と、該主成分100重量部に対してLa、N
d、Ce、PrおよびSmのうち少なくとも1種を酸化
物換算で0.10〜5重量部含有するとともに、X線回
折における前記ペロブスカイト型結晶相の(110)面
の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)面
の主ピークとの間に存在し、該Bi含有結晶相のピーク
の強度が、(110)面の主ピークの強度の3%以下の
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体磁器および
積層セラミックコンデンサに関するものであり、特に、
高周波領域で好適に使用され、かつ高誘電率、低損失の
誘電体磁器および積層セラミックコンデンサに関するも
のである。
【0002】
【従来技術】近年のエレクトロニクスの発展に伴い電子
回路の高周波化、小型化が急速に進行し、電子部品も高
周波化、小型化が要求されるようになってきている。特
に、高周波大電流回路では、損失による自己加熱が問題
となる場合があり、この場合には低損失のコンデンサが
使用されていた。
【0003】従来、このようなコンデンサとしては、低
損失で、温度特性、電圧依存性が小さい等の特性を有す
るフィルムコンデンサが用いられている。しかしなが
ら、フィルムコンデンサはモールドタイプが殆どであ
り、小型化、表面実装に対応できない。
【0004】また、低損失高容量の領域に用いられる誘
電体磁器組成物として、特公昭57−37963号公報
および特公平7−45337号公報に開示されるような
ものが知られている。
【0005】特公昭57−37963号公報に開示され
た誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pbおよび
Caからなる基本成分と、Cu、Mnからなる添加成分
とから構成されている。そして、SrTiO3 、Bi2
3 、TiO2 、PbTiO3 、CaTiO3 、Cu
O、MnCO3 を混合し、930℃で仮焼し、1200
〜1400℃で焼成して作製されている。この誘電体磁
器組成物では、測定周波数1kHzでの比誘電率が50
0〜1500、誘電損失tanδが0.15〜0.5%
であった。
【0006】また、特公平7−45337号公報に開示
された誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pb、
CaおよびTi、Snからなる基本成分と、希土類酸化
物と、ガラス成分とから構成されている。そして、Sr
CO3 、Pb3 4 、CaCO3 、Bi2 3 、TiO
2 、SnO2 、希土類元素酸化物を混合し、950℃で
仮焼し、940〜1240℃で焼成して作製されてい
る。この誘電体磁器組成物では、測定周波数1kHzで
の比誘電率が1240〜1470、誘電損失tanδが
0.25〜0.36%であった。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、特
公昭57−37963号公報および特公平7−4533
7号公報に開示された誘電体磁器組成物では、1500
よりも高い比誘電率を有し、かつ0.35%以下の低損
失を達成できなかった。
【0008】即ち、一般的に比誘電率が高い誘電体磁器
組成物は誘電損失が大きくなる傾向があり、比誘電率を
上げれば誘電損失が大きくなり、例えば、上記したよう
に、高周波大電流回路では損失による自己加熱が問題と
なった。
【0009】本発明は、1500よりも高い比誘電率ε
rを有し、かつ誘電損失tanδが0.2%以下の温度
特性に優れた誘電体磁器を提供することを目的とするも
ので、フィルムコンデンサと同等の特性を有し、特に高
周波領域において有用な誘電体磁器および積層セラミッ
クコンデンサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の誘電体磁器は、
金属元素としてSr、Pb、Bi、Tiを含有し、これ
らの金属元素のモル比による組成式を、(Sr1-w-x-y
Caw Pbx Biy )Tiz 3+a と表した時、前記
x、y、zおよびwが、0≦w≦0.20、0.05≦
x≦0.20、0.01≦y≦0.30、1.00≦z
≦1.20、w+x+y≦0.50(aは過剰酸素量)
を満足する主成分と、該主成分100重量部に対してL
a、Nd、Ce、PrおよびSmのうち少なくとも1種
を酸化物換算で0.10〜5重量部含有し、ペロブスカ
イト型結晶相を主結晶相とする誘電体磁器であって、X
線回折における前記ペロブスカイト型結晶相の(11
0)面の主ピークと、前記ペロブスカイト型結晶相の
(100)面の主ピークとの間にBiを含有する結晶の
ピークが存在し、該Bi含有結晶相のピーク強度が、前
記(110)面の主ピークの強度の3%以下であること
を特徴とする。
【0011】さらに、上記主成分100重量部に対し
て、Li2 OおよびB2 3 のうち少なくとも一種と、
SiO2 を含有するガラス成分を0.1〜10重量部の
割合で含有することが望ましい。
【0012】本発明の積層セラミックコンデンサは、誘
電体層と内部電極層を交互に積層してなり、誘電体層が
上記の誘電体磁器からなり、内部電極層が、Pdの含有
率が40重量%以下のAg−Pd合金からなるものであ
る。
【0013】
【作用】本発明の誘電体磁器は、ペロブスカイト型結晶
相の(110)面の主ピークと(100)面の主ピーク
との間の、Biを含有する結晶からなる異相(Bi含有
結晶相)のピークを有するものであり、そのピーク強度
が、(110)面の主ピークの強度の3%以下であるた
め、Biの殆どはペロブスカイト型結晶相に固溶するこ
とになり、高誘電率のペロブスカイト型結晶相が増加
し、低誘電率で誘電損失の大きなBiを含有する異相が
減少することになり、このため、測定周波数1kHzで
の比誘電率が1500より大きく、誘電損失を0.20
%以下とすることができる。
【0014】従来の特公昭57−37963号公報およ
び特公平7−45337号公報に開示された誘電体磁器
組成物は、基本成分を950℃程度で仮焼し、高誘電率
のペロブスカイト相を析出させているが、仮焼温度が低
いためBiがペロブスカイト相中に固溶せず、あるいは
固溶してもその固溶量は少なく、本願で言うBiを含有
する異相として存在していると考えられ、このため比誘
電率が1500以下と小さく、しかも誘電損失も大きい
と考えられる。
【0015】本願では、Biをペロブスカイト相中に固
溶させるために、1100℃以上の仮焼温度で反応させ
ている。このため、Biが高誘電率のペロブスカイト相
中に大量に固溶し、Biを含有する異相のピークの強度
が(110)面の主ピークの強度の3%以下となり上記
したような作用効果を有するのである。
【0016】さらに、本発明の誘電体磁器には、La、
Nd、Ce、PrおよびSmのうち少なくとも1種を酸
化物換算で0.10〜5重%含有することにより、比誘
電率(静電容量)の温度特性を大きく向上できる。
【0017】さらに、Li2 OおよびB2 3 のうち少
なくとも一種と、SiO2 を含有するガラス成分を0.
1〜10重量部の割合で含有することにより、1000
〜1150℃での低温焼成化が可能となる。このため、
コンデンサの内部電極として、Pd含有量の少ない、A
g−Pd電極材料を用いることができ、PdとBiとの
反応を抑えることが可能となり、内部電極との同時焼成
が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体磁器組成物は、X
線回折におけるペロブスカイト型結晶相の(110)面
の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)面
の主ピークとの間に検出され、かつBiを含有する異相
(Bi含有結晶相)のピークの強度を、(110)面の
主ピークの強度の3%以下としたものである。
【0019】ここで、Biを含む異相の割合を(11
0)面の主ピークの強度の3%以下と限定した理由は、
Biがペロブスカイ相中に固溶することにより、高誘電
率、低損失、温度特性に優れた材料となるからであり、
Biが固溶せずに、(110)面の主ピークの強度の3
%よりも多く異相を形成すると、いずれの特性も劣化し
てしまうからである。この異相のピークは存在しない方
が望ましいが、Biをペロブスカイト相中に固溶させる
ためにBiを添加するため、全く存在しないということ
はあり得ないと考えられる。異相のピーク強度は、0よ
り大きく、(110)面の主ピークの強度の1%以下、
特に0.5%以下が望ましい。
【0020】尚、ペロブスカイト型結晶相の(110)
面の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)
面の主ピークは、それぞれ単一のピークからなること
が、高誘電率および低損失という観点から望ましい。
【0021】ペロブスカイト型結晶相の(110)面の
ピークは、X線源としてCu−kα線を用いた場合、X
線回析図において、2θ=32度付近に生じ、また、
(100)面のピークは2θ=23度付近に生じる。そ
して、これらのピークの間にBiを含有する異相が生じ
るが、異相としては、Bi4 Ti3 12、Bi2 Ti2
7 、SrBi4 Ti4 13、Sr2 Bi4 Ti
5 14、PbBi4 Ti4 13、Pb2 Bi4 Ti5
14等があり、これらは、主に2θ=30度付近に生じ
る。その他の結晶相としてTiO2 が析出する場合もあ
る。
【0022】また、本発明の誘電体磁器では、Ba、M
g、Zr、Nb、Al、Fe等の不純物が混入しても良
いし、粉砕ボールからのボール成分が混入する場合もあ
る。
【0023】さらに、本発明の誘電体磁器では、Cu
O、MnO2 、Al2 3 、SnO2 等を添加しても良
い。
【0024】本発明の誘電体磁器は、モル比による組成
式を(Sr1-w-x-y Caw Pbx Biy )Tiz 3+a
と表した時、前記x、y、zおよびwが、0≦w≦0.
20、0.05≦x≦0.20、0.01≦y≦0.3
0、1.00≦z≦1.20、w+x+y≦0.50を
満足するものである。
【0025】ここで、Aサイト中のSrのCaによる置
換量wを0〜0.2としたのは、wが0.2よりも大き
い場合には比誘電率が低くなるからである。wは、比誘
電率を向上するという観点から0.04≦w≦0.13
であることが望ましい。
【0026】また、Aサイト中のSrのPbによる置換
量xを0.05〜0.2としたのは、xが0.05より
も小さい場合には比誘電率が低く、一方0.2よりも大
きい場合には誘電損失が大きくなるからである。xは、
比誘電率および誘電損失の点から、0.10≦x≦0.
17が望ましい。
【0027】さらに、Aサイト中のSrのBiによる置
換量yを0.01〜0.3としたのは、yが0.01よ
りも小さい場合には誘電損失が悪く、yが0.30より
も大きくなると比誘電率が低くなるからである。yは、
比誘電率および誘電損失の点から、0.13≦y≦0.
24が望ましい。
【0028】また、B/A比を示すzを1〜1.2とし
たのは、zが1よりも小さい場合には比誘電率が低く、
誘電損失が悪く、zが1.20よりも大きくなると比誘
電率が低くなる傾向にあるからである。zは、比誘電率
および誘電損失の点から、1.1≦z≦1.2が望まし
い。
【0029】さらに、Aサイト中のSrのCa、Pb、
Biによる置換量w+x+yを0.50以下としたの
は、0.5よりも多い場合には比誘電率が低くなるから
である。特に、比誘電率向上という観点から、0.30
≦w+x+y≦0.40が望ましい。また、上記組成式
におけるaは、過剰酸素量を示しており、aは0〜0.
55であり、0.15〜0.4であることが望ましい。
【0030】そして、本発明の誘電体磁器では、上記主
成分100重量部に対して、La、Nd、Ce、Pr、
Smの内少なくとも1種を酸化物換算で0.10から5
重量部含有することが望ましい。これは、La、Nd、
Ce、Pr、Smを含有せしめることにより、温度特性
を大きく向上できるからである。これらが0.1重量部
未満では添加効果がほとんど無く、5重量部よりも多い
場合には比誘電率が低下したり、異相の強度比が高くな
り、誘電損失が大きくなるからである。含有量は、誘電
率を高く、誘電損失を小さくするという観点から0.5
〜1.5重量部が望ましい。これらのうちでもNdが最
も望ましい。また、La、Nd、Ce、Pr、Smの酸
化物のいずれか一種を含有することが望ましいが、これ
らの組み合わせであっても良い。
【0031】そして、本発明の誘電体磁器では、上記主
成分100重量部に対して、Li2OおよびB2 3
うち少なくとも1種と、SiO2 とを含有するガラス成
分を0.1〜10重量部含有することが望ましい。ガラ
ス成分の量が0.1重量部未満では添加効果が無く、1
0重量部より多いと比誘電率が低下し、誘電損失も増大
するからである。ガラス成分中に、Li2 OおよびB2
3 のうち少なくとも一種を含有せしめたのは、Li2
O、B2 3 を含まないと誘電特性を劣化させることな
く、焼成温度を1150℃以下に低下させることができ
ないためである。Li2 OとB2 3 を同時に含有する
ことが望ましい。これらガラス成分量は、誘電損失を小
さくするという観点から0.5〜5重量部が望ましい。
【0032】本発明の誘電体磁器組成物は、例えば、S
rCO3 、CaCO3 、PbO、Bi2 3 、TiO2
の各原料粉末を所定量となるように秤量し、混合粉砕
し、これを1100〜1200℃の温度で大気中で1〜
3時間仮焼する。仮焼温度は、Biのペロブスカイト相
への固溶を促進するという観点から1150℃以上が望
ましい。
【0033】得られた仮焼物と、La、Nd、Ce、P
r、Smの酸化物の少なくとも一種と、所望により所定
量のガラス成分を秤量し、混合粉砕し、例えば、ドクタ
ーブレード法等の公知手段により成形し、大気中等の酸
化性雰囲気において1050〜1200℃において0.
5〜2時間焼成を行い、本発明の誘電体磁器が得られ
る。
【0034】また、本発明の積層セラミックコンデンサ
は、誘電体層と内部電極層を交互に積層してなる積層セ
ラミックコンデンサであって、前記誘電体層が上記の誘
電体磁器からなり、内部電極層が、Pdの含有率が40
重量%以下、特に30重量%以下のAg−Pd合金から
なるものである。
【0035】このような積層セラミックコンデンサは、
上記のように、SrCO3 、CaCO3 、PbO、Bi
2 3 、TiO2 の各原料粉末を混合し、これらを仮焼
して得られた仮焼物と、La、Nd、Ce、Pr、Sm
の酸化物の少なくとも一種と、所望により所定量のガラ
ス成分を秤量し、混合粉砕し、例えば、ドクターブレー
ド法によりフィルム状シートを作製する。
【0036】このフィルム状シートの上面に、Pdの含
有率が40重量%以下のAg−Pd合金からなる内部電
極ペーストをスクリーン印刷法等により印刷した後、内
部電極ペーストが塗布されたフィルム状シートを複数積
層、熱圧着プレス、カットし、脱バインダー処理後、1
050〜1120℃において0.5〜2時間焼成を行
い、タンブリング後、端子電極の焼き付け、メッキ後、
本発明の積層セラミックコンデンサが得られる。
【0037】
【実施例】
実施例1 先ず、純度99%以上のSrCO3 、CaCO3 、Pb
O、Bi2 3 、TiO2 の各原料粉末を表1に示す割
合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水を加えて24
時間ZrO2 ボールを用いたボールミルにて混合した
後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物を1150℃
の温度で大気中2時間仮焼した。得られた仮焼物に、表
1に示す希土類元素酸化物を所定量添加し、分散剤、分
散媒とともに24時間ボールミルにて混合粉砕し、原料
スラリーを調整した。尚、No.19、23、37につい
ては、仮焼温度を950℃とした。
【0038】このスラリーに有機バインダー、可塑剤を
加え、十分撹拌後ドクターブレード法により45μmの
フィルム状シートに成形した。このフィルム状シートを
33層積層し、熱圧着後切断して試料を得た。この試料
を大気中、300℃の温度で4時間加熱して脱バインダ
ー処理し、引き続いて1200℃で大気中で2時間焼成
し、φ10mm×1mmの試料を得た。この試料の両面
にIn−Ga電極を塗布し、評価試料を作製した。
【0039】次にこれらの評価試料を、LCRメーター
4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号レ
ベル1.0Vrmsにて静電容量を測定した。静電容量
から比誘電率を算出した。また、得られた磁器を乳鉢で
粉末状に解砕し、Cu−Kα線を用いたX線回折の測定
を行い、ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)
の強度に対する、ペロブスカイト型結晶相の主ピーク
(110)と、ペロブスカイト型結晶相のピーク(10
0)との間に検出される、Biを含む異相(Bi含有結
晶相)のピークの強度比を測定した。この結果を表1に
示す。
【0040】また、Sr、Ca、Pb、Biの合計モル
数をAとし、Tiのモル数をBとした時B/A(表1の
z)を求め、この値も記載した。さらに、−25〜85
℃の範囲において|ΔC/C|max で表される最大容量
変化率を求め、これについても表1に記載した。ここ
で、ΔCは25℃の時の静電容量(C)を基準として−
25〜85℃の範囲において最も変化が大きい場合の静
電容量変化を示しており、最大容量変化率(%)は、Δ
C/Cの値の絶対値により表される。
【0041】
【表1】
【0042】この表1によれば、本発明の誘電体磁器組
成物は、比誘電率εrが1500より大きく、測定周波
数1kHzでの誘電損失が0.20%以下を満足する優
れた特性を有することが判る。また、Nd2 3 を添加
しない試料No.24では最大容量変化率が16%である
のに対して、本願発明の試料では10%未満であり、温
度特性が大きく向上していることが判る。尚、試料No.
2、23のX線回折チャートを図1および図2に示す。
【0043】実施例2 先ず、純度99%以上のSrCO3 、CaCO3 、Pb
O、Bi2 3 、TiO2 の各原料粉末を表2、3に示
す割合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水を加えて
24時間ボールミルにて混合した後、該混合物を乾燥
し、次いで、該乾燥物を1150℃の温度で大気中2時
間仮焼した。得られた仮焼物に表2、3に示されるL
a、Nd、Ce、Pr、Smの酸化物と、表4に示すガ
ラス成分のうちの1種を加え、分散剤、分散媒とともに
24時間ボールミルにて混合粉砕し、原料スラリーを調
製した。尚、No.56、60については、仮焼温度を9
50℃とした。
【0044】このスラリーに有機バインダー、可塑剤を
加え、十分撹拌後ドクターブレード法によりフィルム状
シートに成形した。このフィルム状シートを33層積層
し、熱圧着後切断して試料を得た。この試料を大気中、
300℃の温度で4時間加熱して脱バインダー処理し、
引き続いて1100℃で大気中で2時間焼成し、φ10
mm×1mmの試料を得た。この試料の両面にIn−G
a電極を塗布し、評価試料を作製した。また得られた試
料を平面研磨を行い厚み100μmの試料を得た。この
両面にAuを蒸着し、電極とした。
【0045】次にこれらの評価試料を、LCRメーター
4274Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号レ
ベル1.0Vrmsにて静電容量を測定した。静電容量
から比誘電率を算出した。また、厚み100μmの試料
にDC200Vを印可し、無印可時との容量から、変化
率を算出した(DCバイアス特性)。また、得られた磁
器を乳鉢で粉末状に解砕し、Cu−Kα線を用いたX線
回折の測定を行い、実施例1と同様にBiを含む異相の
ピークの強度比を測定した。この結果を表5、6に示
す。また、最大容量変化率についても、実施例1と同様
にして求め、その結果も表5、6に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】これらの表2、3、4、5、6によれば、
本発明の誘電体磁器は、比誘電率εrが1500よりも
大きく、1kHzでの誘電損失が0.20%以下、DC
バイアス特性が±10%以内(DC2kV/mm)の優
れた特性を有することがわかる。また、Nd2 3 を添
加しない試料No.61では最大容量変化率が16%であ
るのに対して、本願発明の試料では10%未満であり、
温度特性が大きく向上していることが判る。
【0052】実施例3 先ず、純度99%以上のSrCO3 、CaCO3 、Pb
O、Bi2 3 、TiO2 の各原料粉末を表7、8に示
す割合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水を加えて
24時間ボールミルにて混合した後、該混合物を乾燥
し、次いで、該乾燥物を1150℃の温度で大気中2時
間仮焼した。得られた仮焼物に表7、8に示されるL
a、Nd、Ce、Pr、Smの酸化物と、表4のうちの
いずれか1種のガラス成分を加え、分散剤、分散媒とと
もに24時間ボールミルにて混合粉砕し、原料スラリー
を調整した。尚、No.101、105は仮焼温度を95
0℃とした。
【0053】このスラリーに有機バインダー、可塑剤を
加え、十分撹拌後ドクターブレード法により厚み45μ
mのフィルム状シートに成形した。このフィルム状シー
トに、内部電極用に調製したAg−Pdペースト(Ag
70重量%、Pd30重量%)をスクリーン印刷法によ
り印刷し、ダミー層を加えて20層積層し、熱圧着後切
断した。
【0054】これを大気中、300℃の温度で4時間加
熱して脱バインダー処理し、引き続いて1100℃で大
気中で2時間焼成した。タンブリング後、端子電極用に
調整したAgペーストを端面に塗布、700℃で大気中
で焼き付け、メッキを行い端子電極とし、磁器の寸法
3.2mm×1.6mm、有効電極面積2.0×1.0
mm、誘電体厚み30μm×10層の積層コンデンサを
作製した。
【0055】次にこれらのコンデンサを、LCRメータ
ー4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号
レベル1.0Vrmsにて静電容量を測定した。静電容
量から比誘電率を算出した。また、試料にDC60Vを
印可し、無印可時との容量から、変化率を算出した。ま
た、内部電極を印刷しない磁器を乳鉢で粉末状に解砕
し、Cu−Kα線を用いたX線回折の測定を行い、ペロ
ブスカイト型結晶相の主ピーク(110)の強度に対す
る、ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)と、
ペロブスカイト型結晶相のピーク(100)との間に検
出される、Biを含む異相のピークの強度比を測定し
た。この結果を表9、10に示す。また、Sr、Ca、
Pb、Biの合計モル数をAとし、Tiのモル数をBと
した時B/A(表7、8におけるz)を求め、この値も
記載した。さらに、−25〜85℃の範囲において|Δ
C/C|を求め、これを誘電体層一層当たりの最大容量
変化率を求め、これについても表9、10に記載した。
ここで、ΔCは25℃の時の静電容量(C)を基準とし
て−25〜85℃の範囲において最も変化が大きい場合
の静電容量の変化を示しており、最大容量変化率(%)
はΔC/Cの値の絶対値により表される。この結果を表
9,10に示す。
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
【表9】
【0059】
【表10】
【0060】この表7〜10によれば、本発明の積層セ
ラミックコンデンサは、焼成温度1100℃以下で焼成
可能であり、Agリッチの内部電極と同時焼成可能であ
り、比誘電率εrが1500より高く、測定周波数1k
Hzでの誘電損失が0.20%以下、DCバイアス特性
が±10%以内(DC2kV/mm)の優れた特性を有
することがわかる。また、最大容量変化率が10%未満
であり、温度特性の優れたコンデンサが得られる。
【0061】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の誘電体磁器
は、1500より高い比誘電率を有するとともに、誘電
損失が0.2%以下と小さく、かつ静電容量の電圧依存
性(DCバイアス特性)にも優れ、フィルムコンデンサ
と同等の特性を有し、特に高周波領域において有用な誘
電体磁器および積層セラミックコンデンサを得ることが
できる。そして、特定の希土類元素酸化物を特定範囲で
含有せしめることにより、温度特性を大きく向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器(試料No.2)のX線回折
チャート図を示す。
【図2】比較例の誘電体磁器(試料No.23)のX線回
折チャート図を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素としてSr、Pb、Bi、Tiを
    含有し、これらの金属元素のモル比による組成式を (Sr1-w-x-y Caw Pbx Biy )Tiz 3+a と表した時、前記x、y、zおよびwが 0 ≦w≦0.20 0.05≦x≦0.20 0.01≦y≦0.30 1.00≦z≦1.20 w+x+y≦0.50 aは過剰酸素量 を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、
    La、Nd、Ce、PrおよびSmのうち少なくとも1
    種を酸化物換算で0.10〜5重量部含有してなり、ペ
    ロブスカイト型結晶相を主結晶相とする誘電体磁器であ
    って、X線回折における前記ペロブスカイト型結晶相の
    (110)面の主ピークと、(100)面の主ピークと
    の間に、Biを含有する結晶のピークが存在し、該Bi
    含有結晶相のピーク強度が、前記(110)面の主ピー
    クの強度の3%以下であることを特徴とする誘電体磁
    器。
  2. 【請求項2】前記主成分100重量部に対して、Li2
    OおよびB2 3 のうち少なくとも一種と、SiO2
    含有するガラス成分を0.1〜10重量部の割合で含有
    することを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器。
  3. 【請求項3】誘電体層と内部電極層を交互に積層してな
    る積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が
    請求項2記載の誘電体磁器からなり、内部電極層が、P
    dの含有率が40重量%以下のAg−Pd合金からなる
    ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015086104A (ja) * 2013-10-31 2015-05-07 ニチコン株式会社 半導体磁器組成物およびその製造方法

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