JP3793548B2 - 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体磁器および積層セラミックコンデンサに関するものであり、特に、高周波領域で好適に使用され、かつ高誘電率、低損失の誘電体磁器および積層セラミックコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年のエレクトロニクスの発展に伴い電子回路の高周波化、小型化が急速に進行し、電子部品も高周波化、小型化が要求されるようになってきている。特に、高周波大電流回路では、損失による自己加熱が問題となる場合があり、この場合には低損失のコンデンサが使用されていた。
【0003】
従来、このようなコンデンサとしては、低損失で、温度特性、電圧依存性が小さい等の特性を有するフィルムコンデンサが用いられている。しかしながら、フィルムコンデンサはモールドタイプが殆どであり、小型化、表面実装に対応できない。
【0004】
また、低損失高容量の領域に用いられる誘電体磁器組成物として、特公昭57−37963号公報および特公平7−45337号公報に開示されるようなものが知られている。
【0005】
特公昭57−37963号公報に開示された誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、PbおよびCaからなる基本成分と、Cu、Mnからなる添加成分とから構成されている。そして、SrTiO3 、Bi2 3 、TiO2 、PbTiO3 、CaTiO3 、CuO、MnCO3 を混合し、930℃で仮焼し、1200〜1400℃で焼成して作製されている。この誘電体磁器組成物では、測定周波数1kHzでの比誘電率が500〜1500、誘電損失tanδが0.15〜0.5%であった。
【0006】
また、特公平7−45337号公報に開示された誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pb、CaおよびTi、Snからなる基本成分と、希土類酸化物と、ガラス成分とから構成されている。そして、SrCO3 、Pb3 4 、CaCO3 、Bi2 3 、TiO2 、SnO2 、希土類元素酸化物を混合し、950℃で仮焼し、940〜1240℃で焼成して作製されている。この誘電体磁器組成物では、測定周波数1kHzでの比誘電率が1240〜1470、誘電損失tanδが0.25〜0.36%であった。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、特公昭57−37963号公報および特公平7−45337号公報に開示された誘電体磁器組成物では、1500よりも高い比誘電率を有し、かつ0.35%以下の低損失を達成できなかった。
【0008】
即ち、一般的に比誘電率が高い誘電体磁器組成物は誘電損失が大きくなる傾向があり、比誘電率を上げれば誘電損失が大きくなり、例えば、上記したように、高周波大電流回路では損失による自己加熱が問題となった。
【0009】
本発明は、1500よりも高い比誘電率εrを有し、かつ誘電損失tanδが0.2%以下の温度特性に優れた誘電体磁器を提供することを目的とするもので、フィルムコンデンサと同等の特性を有し、特に高周波領域において有用な誘電体磁器および積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体磁器は、SrCO 、CaCO 、PbO、Bi 、TiO の各原料粉末を1100〜1200℃の温度で仮焼し焼成して得られ、金属元素としてSr、Pb、Bi、Tiを含有し、これらの金属元素のモル比による組成式を(Sr1−w−x−yCaPbBi)Ti3+aと表した時、前記x、y、zおよびwが
0 ≦w≦0.20
0.05≦x≦0.20
0.01≦y≦0.30
1.00≦z≦1.20
w+x+y≦0.50
aは過剰酸素量を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、La、Nd、Ce、PrおよびSmのうち少なくとも1種を酸化物換算で0.10〜5重量部含有してなり、ペロブスカイト型結晶相を主結晶相とする誘電体磁器であって、X線回折における前記ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと、(100)面の主ピークとの間に、Biを含有する結晶のピークが存在し、該Bi含有結晶相のピーク強度が、前記(110)面の主ピークの強度の3%以下であることを特徴とする。
【0011】
さらに、上記主成分100重量部に対して、Li2 OおよびB2 3 のうち少なくとも一種と、SiO2 を含有するガラス成分を0.1〜10重量部の割合で含有することが望ましい。
【0012】
本発明の積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層を交互に積層してなり、誘電体層が上記の誘電体磁器からなり、内部電極層が、Pdの含有率が40重量%以下のAg−Pd合金からなるものである。
【0013】
【作用】
本発明の誘電体磁器は、ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと(100)面の主ピークとの間の、Biを含有する結晶からなる異相(Bi含有結晶相)のピークを有するものであり、そのピーク強度が、(110)面の主ピークの強度の3%以下であるため、Biの殆どはペロブスカイト型結晶相に固溶することになり、高誘電率のペロブスカイト型結晶相が増加し、低誘電率で誘電損失の大きなBiを含有する異相が減少することになり、このため、測定周波数1kHzでの比誘電率が1500より大きく、誘電損失を0.20%以下とすることができる。
【0014】
従来の特公昭57−37963号公報および特公平7−45337号公報に開示された誘電体磁器組成物は、基本成分を950℃程度で仮焼し、高誘電率のペロブスカイト相を析出させているが、仮焼温度が低いためBiがペロブスカイト相中に固溶せず、あるいは固溶してもその固溶量は少なく、本願で言うBiを含有する異相として存在していると考えられ、このため比誘電率が1500以下と小さく、しかも誘電損失も大きいと考えられる。
【0015】
本願では、Biをペロブスカイト相中に固溶させるために、1100℃以上の仮焼温度で反応させている。このため、Biが高誘電率のペロブスカイト相中に大量に固溶し、Biを含有する異相のピークの強度が(110)面の主ピークの強度の3%以下となり上記したような作用効果を有するのである。
【0016】
さらに、本発明の誘電体磁器には、La、Nd、Ce、PrおよびSmのうち少なくとも1種を酸化物換算で0.10〜5重%含有することにより、比誘電率(静電容量)の温度特性を大きく向上できる。
【0017】
さらに、Li2 OおよびB2 3 のうち少なくとも一種と、SiO2 を含有するガラス成分を0.1〜10重量部の割合で含有することにより、1000〜1150℃での低温焼成化が可能となる。このため、コンデンサの内部電極として、Pd含有量の少ない、Ag−Pd電極材料を用いることができ、PdとBiとの反応を抑えることが可能となり、内部電極との同時焼成が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体磁器組成物は、X線回折におけるペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)面の主ピークとの間に検出され、かつBiを含有する異相(Bi含有結晶相)のピークの強度を、(110)面の主ピークの強度の3%以下としたものである。
【0019】
ここで、Biを含む異相の割合を(110)面の主ピークの強度の3%以下と限定した理由は、Biがペロブスカイ相中に固溶することにより、高誘電率、低損失、温度特性に優れた材料となるからであり、Biが固溶せずに、(110)面の主ピークの強度の3%よりも多く異相を形成すると、いずれの特性も劣化してしまうからである。この異相のピークは存在しない方が望ましいが、Biをペロブスカイト相中に固溶させるためにBiを添加するため、全く存在しないということはあり得ないと考えられる。異相のピーク強度は、0より大きく、(110)面の主ピークの強度の1%以下、特に0.5%以下が望ましい。
【0020】
尚、ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)面の主ピークは、それぞれ単一のピークからなることが、高誘電率および低損失という観点から望ましい。
【0021】
ペロブスカイト型結晶相の(110)面のピークは、X線源としてCu−kα線を用いた場合、X線回析図において、2θ=32度付近に生じ、また、(100)面のピークは2θ=23度付近に生じる。そして、これらのピークの間にBiを含有する異相が生じるが、異相としては、Bi4 Ti3 12、Bi2 Ti2 7 、SrBi4 Ti4 13、Sr2 Bi4 Ti5 14、PbBi4 Ti4 13、Pb2 Bi4 Ti5 14等があり、これらは、主に2θ=30度付近に生じる。その他の結晶相としてTiO2 が析出する場合もある。
【0022】
また、本発明の誘電体磁器では、Ba、Mg、Zr、Nb、Al、Fe等の不純物が混入しても良いし、粉砕ボールからのボール成分が混入する場合もある。
【0023】
さらに、本発明の誘電体磁器では、CuO、MnO2 、Al2 3 、SnO2 等を添加しても良い。
【0024】
本発明の誘電体磁器は、モル比による組成式を(Sr1-w-x-y Caw Pbx Biy )Tiz 3+a と表した時、前記x、y、zおよびwが、0≦w≦0.20、0.05≦x≦0.20、0.01≦y≦0.30、1.00≦z≦1.20、w+x+y≦0.50を満足するものである。
【0025】
ここで、Aサイト中のSrのCaによる置換量wを0〜0.2としたのは、wが0.2よりも大きい場合には比誘電率が低くなるからである。wは、比誘電率を向上するという観点から0.04≦w≦0.13であることが望ましい。
【0026】
また、Aサイト中のSrのPbによる置換量xを0.05〜0.2としたのは、xが0.05よりも小さい場合には比誘電率が低く、一方0.2よりも大きい場合には誘電損失が大きくなるからである。xは、比誘電率および誘電損失の点から、0.10≦x≦0.17が望ましい。
【0027】
さらに、Aサイト中のSrのBiによる置換量yを0.01〜0.3としたのは、yが0.01よりも小さい場合には誘電損失が悪く、yが0.30よりも大きくなると比誘電率が低くなるからである。yは、比誘電率および誘電損失の点から、0.13≦y≦0.24が望ましい。
【0028】
また、B/A比を示すzを1〜1.2としたのは、zが1よりも小さい場合には比誘電率が低く、誘電損失が悪く、zが1.20よりも大きくなると比誘電率が低くなる傾向にあるからである。zは、比誘電率および誘電損失の点から、1.1≦z≦1.2が望ましい。
【0029】
さらに、Aサイト中のSrのCa、Pb、Biによる置換量w+x+yを0.50以下としたのは、0.5よりも多い場合には比誘電率が低くなるからである。特に、比誘電率向上という観点から、0.30≦w+x+y≦0.40が望ましい。また、上記組成式におけるaは、過剰酸素量を示しており、aは0〜0.55であり、0.15〜0.4であることが望ましい。
【0030】
そして、本発明の誘電体磁器では、上記主成分100重量部に対して、La、Nd、Ce、Pr、Smの内少なくとも1種を酸化物換算で0.10から5重量部含有することが望ましい。これは、La、Nd、Ce、Pr、Smを含有せしめることにより、温度特性を大きく向上できるからである。これらが0.1重量部未満では添加効果がほとんど無く、5重量部よりも多い場合には比誘電率が低下したり、異相の強度比が高くなり、誘電損失が大きくなるからである。含有量は、誘電率を高く、誘電損失を小さくするという観点から0.5〜1.5重量部が望ましい。これらのうちでもNdが最も望ましい。また、La、Nd、Ce、Pr、Smの酸化物のいずれか一種を含有することが望ましいが、これらの組み合わせであっても良い。
【0031】
そして、本発明の誘電体磁器では、上記主成分100重量部に対して、Li2 OおよびB2 3 のうち少なくとも1種と、SiO2 とを含有するガラス成分を0.1〜10重量部含有することが望ましい。ガラス成分の量が0.1重量部未満では添加効果が無く、10重量部より多いと比誘電率が低下し、誘電損失も増大するからである。ガラス成分中に、Li2 OおよびB2 3 のうち少なくとも一種を含有せしめたのは、Li2 O、B2 3 を含まないと誘電特性を劣化させることなく、焼成温度を1150℃以下に低下させることができないためである。Li2 OとB2 3 を同時に含有することが望ましい。これらガラス成分量は、誘電損失を小さくするという観点から0.5〜5重量部が望ましい。
【0032】
本発明の誘電体磁器組成物は、例えば、SrCO3 、CaCO3 、PbO、Bi2 3 、TiO2 の各原料粉末を所定量となるように秤量し、混合粉砕し、これを1100〜1200℃の温度で大気中で1〜3時間仮焼する。仮焼温度は、Biのペロブスカイト相への固溶を促進するという観点から1150℃以上が望ましい。
【0033】
得られた仮焼物と、La、Nd、Ce、Pr、Smの酸化物の少なくとも一種と、所望により所定量のガラス成分を秤量し、混合粉砕し、例えば、ドクターブレード法等の公知手段により成形し、大気中等の酸化性雰囲気において1050〜1200℃において0.5〜2時間焼成を行い、本発明の誘電体磁器が得られる。
【0034】
また、本発明の積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層を交互に積層してなる積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が上記の誘電体磁器からなり、内部電極層が、Pdの含有率が40重量%以下、特に30重量%以下のAg−Pd合金からなるものである。
【0035】
このような積層セラミックコンデンサは、上記のように、SrCO3 、CaCO3 、PbO、Bi2 3 、TiO2 の各原料粉末を混合し、これらを仮焼して得られた仮焼物と、La、Nd、Ce、Pr、Smの酸化物の少なくとも一種と、所望により所定量のガラス成分を秤量し、混合粉砕し、例えば、ドクターブレード法によりフィルム状シートを作製する。
【0036】
このフィルム状シートの上面に、Pdの含有率が40重量%以下のAg−Pd合金からなる内部電極ペーストをスクリーン印刷法等により印刷した後、内部電極ペーストが塗布されたフィルム状シートを複数積層、熱圧着プレス、カットし、脱バインダー処理後、1050〜1120℃において0.5〜2時間焼成を行い、タンブリング後、端子電極の焼き付け、メッキ後、本発明の積層セラミックコンデンサが得られる。
【0037】
【実施例】
実施例1
先ず、純度99%以上のSrCO3 、CaCO3 、PbO、Bi2 3 、TiO2 の各原料粉末を表1に示す割合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水を加えて24時間ZrO2 ボールを用いたボールミルにて混合した後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物を1150℃の温度で大気中2時間仮焼した。得られた仮焼物に、表1に示す希土類元素酸化物を所定量添加し、分散剤、分散媒とともに24時間ボールミルにて混合粉砕し、原料スラリーを調整した。尚、No.19、23、37については、仮焼温度を950℃とした。
【0038】
このスラリーに有機バインダー、可塑剤を加え、十分撹拌後ドクターブレード法により45μmのフィルム状シートに成形した。このフィルム状シートを33層積層し、熱圧着後切断して試料を得た。この試料を大気中、300℃の温度で4時間加熱して脱バインダー処理し、引き続いて1200℃で大気中で2時間焼成し、φ10mm×1mmの試料を得た。この試料の両面にIn−Ga電極を塗布し、評価試料を作製した。
【0039】
次にこれらの評価試料を、LCRメーター4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号レベル1.0Vrmsにて静電容量を測定した。静電容量から比誘電率を算出した。また、得られた磁器を乳鉢で粉末状に解砕し、Cu−Kα線を用いたX線回折の測定を行い、ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)の強度に対する、ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)と、ペロブスカイト型結晶相のピーク(100)との間に検出される、Biを含む異相(Bi含有結晶相)のピークの強度比を測定した。この結果を表1に示す。
【0040】
また、Sr、Ca、Pb、Biの合計モル数をAとし、Tiのモル数をBとした時B/A(表1のz)を求め、この値も記載した。
さらに、−25〜85℃の範囲において|ΔC/C|max で表される最大容量変化率を求め、これについても表1に記載した。ここで、ΔCは25℃の時の静電容量(C)を基準として−25〜85℃の範囲において最も変化が大きい場合の静電容量変化を示しており、最大容量変化率(%)は、ΔC/Cの値の絶対値により表される。
【0041】
【表1】
Figure 0003793548
【0042】
この表1によれば、本発明の誘電体磁器組成物は、比誘電率εrが1500より大きく、測定周波数1kHzでの誘電損失が0.20%以下を満足する優れた特性を有することが判る。また、Nd2 3 を添加しない試料No.24では最大容量変化率が16%であるのに対して、本願発明の試料では10%未満であり、温度特性が大きく向上していることが判る。尚、試料No.2、23のX線回折チャートを図1および図2に示す。
【0043】
実施例2
先ず、純度99%以上のSrCO、CaCO、PbO、Bi、TiOの各原料粉末を表2、3に示す割合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水を加えて24時間ボールミルにて混合した後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物を1150℃の温度で大気中2時間仮焼した。得られた仮焼物に表2、3に示されるLa、Nd、Ce、Pr、Smの酸化物と、表4に示すガラス成分のうちの1種を加え、分散剤、分散媒とともに24時間ボールミルにて混合粉砕し、原料スラリーを調製した。尚、No.56、60、82については、仮焼温度を950℃とした。
【0044】
このスラリーに有機バインダー、可塑剤を加え、十分撹拌後ドクターブレード法によりフィルム状シートに成形した。このフィルム状シートを33層積層し、熱圧着後切断して試料を得た。この試料を大気中、300℃の温度で4時間加熱して脱バインダー処理し、引き続いて1100℃で大気中で2時間焼成し、φ10mm×1mmの試料を得た。この試料の両面にIn−Ga電極を塗布し、評価試料を作製した。また得られた試料を平面研磨を行い厚み100μmの試料を得た。この両面にAuを蒸着し、電極とした。
【0045】
次にこれらの評価試料を、LCRメーター4274Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号レベル1.0Vrmsにて静電容量を測定した。静電容量から比誘電率を算出した。また、厚み100μmの試料にDC200Vを印可し、無印可時との容量から、変化率を算出した(DCバイアス特性)。また、得られた磁器を乳鉢で粉末状に解砕し、Cu−Kα線を用いたX線回折の測定を行い、実施例1と同様にBiを含む異相のピークの強度比を測定した。この結果を表5、6に示す。また、最大容量変化率についても、実施例1と同様にして求め、その結果も表5、6に示した。
【0046】
【表2】
Figure 0003793548
【0047】
【表3】
Figure 0003793548
【0048】
【表4】
Figure 0003793548
【0049】
【表5】
Figure 0003793548
【0050】
【表6】
Figure 0003793548
【0051】
これらの表2、3、4、5、6によれば、本発明の誘電体磁器は、比誘電率εrが1500よりも大きく、1kHzでの誘電損失が0.20%以下、DCバイアス特性が±10%以内(DC2kV/mm)の優れた特性を有することがわかる。また、Nd2 3 を添加しない試料No.61では最大容量変化率が16%であるのに対して、本願発明の試料では10%未満であり、温度特性が大きく向上していることが判る。
【0052】
実施例3
先ず、純度99%以上のSrCO3 、CaCO3 、PbO、Bi2 3 、TiO2 の各原料粉末を表7、8に示す割合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水を加えて24時間ボールミルにて混合した後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物を1150℃の温度で大気中2時間仮焼した。得られた仮焼物に表7、8に示されるLa、Nd、Ce、Pr、Smの酸化物と、表4のうちのいずれか1種のガラス成分を加え、分散剤、分散媒とともに24時間ボールミルにて混合粉砕し、原料スラリーを調整した。尚、No.101、105は仮焼温度を950℃とした。
【0053】
このスラリーに有機バインダー、可塑剤を加え、十分撹拌後ドクターブレード法により厚み45μmのフィルム状シートに成形した。このフィルム状シートに、内部電極用に調製したAg−Pdペースト(Ag70重量%、Pd30重量%)をスクリーン印刷法により印刷し、ダミー層を加えて20層積層し、熱圧着後切断した。
【0054】
これを大気中、300℃の温度で4時間加熱して脱バインダー処理し、引き続いて1100℃で大気中で2時間焼成した。タンブリング後、端子電極用に調整したAgペーストを端面に塗布、700℃で大気中で焼き付け、メッキを行い端子電極とし、磁器の寸法3.2mm×1.6mm、有効電極面積2.0×1.0mm、誘電体厚み30μm×10層の積層コンデンサを作製した。
【0055】
次にこれらのコンデンサを、LCRメーター4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号レベル1.0Vrmsにて静電容量を測定した。静電容量から比誘電率を算出した。また、試料にDC60Vを印可し、無印可時との容量から、変化率を算出した。また、内部電極を印刷しない磁器を乳鉢で粉末状に解砕し、Cu−Kα線を用いたX線回折の測定を行い、ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)の強度に対する、ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)と、ペロブスカイト型結晶相のピーク(100)との間に検出される、Biを含む異相のピークの強度比を測定した。この結果を表9、10に示す。また、Sr、Ca、Pb、Biの合計モル数をAとし、Tiのモル数をBとした時B/A(表7、8におけるz)を求め、この値も記載した。さらに、−25〜85℃の範囲において|ΔC/C|を求め、これを誘電体層一層当たりの最大容量変化率を求め、これについても表9、10に記載した。ここで、ΔCは25℃の時の静電容量(C)を基準として−25〜85℃の範囲において最も変化が大きい場合の静電容量の変化を示しており、最大容量変化率(%)はΔC/Cの値の絶対値により表される。この結果を表9,10に示す。
【0056】
【表7】
Figure 0003793548
【0057】
【表8】
Figure 0003793548
【0058】
【表9】
Figure 0003793548
【0059】
【表10】
Figure 0003793548
【0060】
この表7〜10によれば、本発明の積層セラミックコンデンサは、焼成温度1100℃以下で焼成可能であり、Agリッチの内部電極と同時焼成可能であり、比誘電率εrが1500より高く、測定周波数1kHzでの誘電損失が0.20%以下、DCバイアス特性が±10%以内(DC2kV/mm)の優れた特性を有することがわかる。また、最大容量変化率が10%未満であり、温度特性の優れたコンデンサが得られる。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の誘電体磁器は、1500より高い比誘電率を有するとともに、誘電損失が0.2%以下と小さく、かつ静電容量の電圧依存性(DCバイアス特性)にも優れ、フィルムコンデンサと同等の特性を有し、特に高周波領域において有用な誘電体磁器および積層セラミックコンデンサを得ることができる。そして、特定の希土類元素酸化物を特定範囲で含有せしめることにより、温度特性を大きく向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器(試料No.2)のX線回折チャート図を示す。
【図2】比較例の誘電体磁器(試料No.23)のX線回折チャート図を示す。

Claims (3)

  1. SrCO 、CaCO 、PbO、Bi 、TiO の各原料粉末を1100〜1200℃の温度で仮焼し焼成して得られ、金属元素としてSr、Pb、Bi、Tiを含有し、これらの金属元素のモル比による組成式を(Sr1−w−x−yCaPbBi)Ti3+aと表した時、前記x、y、zおよびwが
    0 ≦w≦0.20
    0.05≦x≦0.20
    0.01≦y≦0.30
    1.00≦z≦1.20
    w+x+y≦0.50
    aは過剰酸素量を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、La、Nd、Ce、PrおよびSmのうち少なくとも1種を酸化物換算で0.10〜5重量部含有してなり、ペロブスカイト型結晶相を主結晶相とする誘電体磁器であって、X線回折における前記ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと、(100)面の主ピークとの間に、Biを含有する結晶のピークが存在し、該Bi含有結晶相のピーク強度が、前記(110)面の主ピークの強度の3%以下であることを特徴とする誘電体磁器。
  2. 前記主成分100重量部に対して、LiOおよびBのうち少なくとも一種と、SiOを含有するガラス成分を0.1〜10重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器。
  3. 誘電体層と内部電極層を交互に積層してなる積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が請求項2記載の誘電体磁器からなり、内部電極層が、Pdの含有率が40重量%以下のAg−Pd合金からなることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
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