JPH1174144A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ

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JPH1174144A
JPH1174144A JP23526597A JP23526597A JPH1174144A JP H1174144 A JPH1174144 A JP H1174144A JP 23526597 A JP23526597 A JP 23526597A JP 23526597 A JP23526597 A JP 23526597A JP H1174144 A JPH1174144 A JP H1174144A
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JP
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dielectric
internal electrode
plane
weight
ceramic capacitor
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JP23526597A
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Takumi Ushikubo
匠 牛窪
Akihiro Kaneuchi
明宏 金内
Seiichi Koizumi
成一 小泉
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比誘電率εrが高く、誘電損失が小さく、温度
に対する容量変化率が小さく、自己加熱の小さい、積層
セラミックコンデンサを提供する。 【解決手段】少なくとも金属元素としてSr、Pb、B
i、TiおよびCu、Mnを含有し、ペロブスカイト型
結晶相を主結晶相とする誘電体磁器層11を有する積層
セラミックコンデンサであって、前記誘電体磁器層11
はX線回折のおける前記ペロブスカイト型結晶相の(1
10)面の主ピークと、前記ペロブスカイト型結晶相の
(100)面の主ピークとの間に検出され、かつBiを
含有する異相のピークの強度が、前記(110)面の主
ピークの強度の3%以下であり、内部電極層12にAg
がAg比率が45〜80重量部のAg−Pd合金から構
成されてている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波領域で好適
に使用され、かつ高誘電率、低損失、温度に対する容量
変化率が小さい積層セラミックコンデンサに関するもの
である。
【0002】
【従来技術】近年のエレクトロニクスの発展に伴い電子
回路の高周波化、小型化が急速に進行し、電子部品も高
周波化、小型化が要求されるようになってきている。
【0003】特に、高周波大電流回路では、損失による
自己加熱が問題となる場合があり、この場合には低損失
のコンデンサが使用されていた。
【0004】従来、このようなコンデンサとしては、低
損失で、温度特性、電圧依存性が小さい等の特性を有す
るフィルムコンデンサが用いられている。
【0005】しかしながら、フィルムコンデンサはモー
ルドタイプが殆どであり、小型化、表面実装に対応でき
ない。
【0006】また、低損失高容量の領域に用いられる誘
電体磁器組成物として、特公昭57−37963号公報
および特公平7−45337号公報に開示されるような
ものが知られている。
【0007】特公昭57−37963号公報に開示され
た誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pbおよび
Caからなる基本成分と、Cu、Mnからなる添加成分
とから構成されている。そして、SrTiO3 、Bi2
3 、TiO2 、PbTiO3 、CaTiO3 、Cu
O、MnCO3 を混合し、930℃で仮焼し、1200
〜1400℃で焼成して作製されている。この誘電体磁
器組成物では、測定周波数1kHzでの比誘電率が50
0〜1500、誘電損失tanδが0.15〜0.5
%、−750ppm/℃〜−1200ppm/℃の温度
特性であった。また、特公平7−45337号公報に開
示された誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、P
b、CaおよびTi、Snからなる基本成分と、希土類
酸化物と、ガラス成分とから構成されている。そして、
SrCO3 、Pb3 4 、CaCO3 、Bi2 3 、T
iO2 、SnO2 、希土類元素酸化物を混合し、950
℃で仮焼し、940〜1240℃で焼成して作製されて
いる。この誘電体磁器組成物では、測定周波数1kHz
での比誘電率が1240〜1470、誘電損失tanδ
が0.25〜0.36%であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
57−37963号公報および特公平7−45337号
公報に開示された誘電体磁器組成物では、1500以上
の比誘電率を有し、かつ0.35%以下の低損失を達成
できなかった。
【0009】即ち、一般的に比誘電率が高い誘電体磁器
組成物は誘電損失が大きくなる傾向があり、比誘電率を
上げれば誘電損失が大きくなり、例えば、上記したよう
に、高周波大電流回路では損失による自己加熱が問題と
なった。
【0010】本発明は、1500以上の比誘電率εrを
有し、誘電損失0.35%以下で、かつ温度特性に優れ
る誘電体磁器組成物を提供することを目的とするもの
で、フィルムコンデンサと同等の特性を有し、特に高周
波領域において有用な積層セラミックコンデンサを提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の誘電体磁器組成
物では、誘電体磁器層と内部電極層とが交互に積層して
成る積層体の両端部に外部電極を形成してなる積層セラ
ミックコンデンサにおいて、前記誘電体磁器層は、モル
比による組成式を (Sr(1-w-x-y) Caw Pbx Biy )Tiz 3+a と表した時、前記x、y、zおよびwが 0 ≦w≦0.20 0.05≦x≦0.20 0.01≦y≦0.30 1.00≦z≦1.20 w+x+y≦0.50 aは過剰酸素量の範囲内にある
主成分に、副成分として銅化合物を酸化銅(CuO)に
換算して0.01〜2重量%含有して成り、且つX線回
折における前記ペロブスカイト型結晶相の(110)面
の主ピークと、前記ペロブスカイト型結晶相の(10
0)面の主ピークとの間に検出され、かつBiを含有す
る異相のピークの強度が、前記(110)面の主ピーク
の強度の3%以下であり、前記内部電極層がAgを45
〜80重量部含有するAg−Pd合金から成ることを特
徴とする積層セラミックコンデンサである。
【0012】さらに誘電体磁器組成物は、前記主成分1
00重量部に対してLiおよびBのうち少なくとも一種
を含有する添加成分を0.1〜10重量部含有すること
が望ましい。
【0013】また、本発明の積層型セラミックコンデン
サに適用する場合、内部電極層ペーストは比較的安価な
Ag比率の高い合金ペーストを用いることが望ましい。
【0014】
【作用】本発明の積層セラミックコンデンサの誘電体磁
器層は、ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピ
ークと(100)面の主ピークとの間の、Biを含有す
る異相のピークの強度が、(110)面の主ピークの強
度の3%以下であるため、Biの殆どはペロブスカイト
型結晶相に固溶していることになる。従って、高誘電率
のペロブスカイト型結晶相が増加し、低誘電率で誘電損
失の大きなBiを含有する異相が減少することになり、
測定周波数1kHzでの比誘電率1500以上、誘電損
失0.35%以下となる。
【0015】また、副成分としてCuOを加えることに
よって、上記の特性を維持しつつ、温度特性を大幅に改
善することができる。
【0016】さらに副成分として、MnCO3 を加える
ことによって、上記の特性を維持しつつ、さらに、誘電
損失を0.20%以下を達成することができる。
【0017】従来の特公昭57−37963号公報およ
び特公平7−45337号公報に開示された誘電体磁器
組成物は、基本成分を950℃程度で仮焼し、高誘電率
のペロブスカイト相を析出させているが、仮焼温度が低
いためBiがペロブスカイト相中に固溶せず、あるいは
固溶してもその固溶量は少なく、本願で言うBiを含有
する異相として存在していると考えられ、このため比誘
電率が1500以下と小さくなり、しかも誘電損失が大
きくなると考えられる。
【0018】さらに、誘電体磁器組成物として、Liお
よびBのうち少なくとも1種を含有する添加成分を0.
1〜10重量部含有することにより、1000〜115
0℃の低温焼成化が可能となる。このため、内部電極と
して、Pd含有量の少ないAg−Pd電極材料を用いる
ことができ、PdとBiとの反応を抑えることが可能と
なり、内部電極との同時焼成が可能となり、さらに低コ
スト化が達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の積層セラミックコ
ンデンサを図面に基づいて詳説する。
【0020】図1は、本発明の積層セラミックコンデン
サの断面図である。
【0021】図1において、1は積層セラミックコンデ
ンサであり、10は積層体、11・・・は誘電体磁器
層、12・・・は内部電極層であり、2、3は外部電極
である。
【0022】積層体10は、複数の矩形状誘電体磁器層
11と複数の矩形状内部電極層12・・とが交互に積層
して構成されている。尚、厚み方向に隣接しあう内部電
極層12は互いに積層体10の異なる端面に導出されて
いる。
【0023】積層体10の両端面には、Ag系導体膜を
下地導体とする外部電極2、3が形成されている。一方
の外部電極2は、例えば積層体10の一方の端面に導出
する内部電極層12に電気的に接続されており、他方の
外部電極2は積層体10の一方の端面に導出する内部電
極層12に電気的に接続されている。
【0024】ここで、誘電体磁器層11は、モル比
(x、y、zおよびw)による組成式が(Sr
(1-w-x-y) Caw Pbx Biy )Tiz 3+a (aは過
剰酸素量)の主成分に、副成分として銅化合物(酸化銅
(CuO)に換算して0.01〜2重量%)が含有して
成る誘電体材料で構成されている。尚、この誘電体材料
に必要に応じてマンガン化合物(MnCO3 に換算して
0.01〜2重量部)を添加しても構わない。また、誘
電体磁器組成物の前記主成分100重量部に対してLi
およびBのうち少なくとも一種を含有する添加成分が含
有されている。
【0025】また、内部電極層12は、Agが45〜8
0重量部含有するAg−Pd合金から成っている。
【0026】また、上述の誘電体磁器層11は、X線回
折におけるペロブスカイト型結晶相を解析すると、ペロ
ブスカイト型の(110)面の主ピークと、ペロブスカ
イト型結晶相の(100)面の主ピークとの間に検出さ
れ、かつBiを含有する異相が観察されるが、このBi
を含有する異相のピークの強度が、ペロブスカイト型の
(110)面の主のピークの強度の3%以下となるよう
にしている。
【0027】ここで、Biを含む異相の割合を(11
0)面の主ピークの強度の3%以下であれば、Biがペ
ロブスカイ相中に充分に固溶していることを示してお
り、高誘電率、低損失、温度特性に優れた積層セラミッ
クコンデンサが達成される。
【0028】尚、Biがペロブスカイ相中に固溶せず
に、(100)面の主ピークと、(110)面の主ピー
クとの間に、(110)面の主ピークの強度の3%より
も多く異相を形成すると、高誘電率、低損失、温度特性
の特性の劣化を誘発してしまう。
【0029】この異相のピークが存在しないように、B
iを添加しないまたは非常に微量な量を添加しただけで
は、比誘電率が非常に小さくなり、誘電損失が大きい積
層セラミックコンデンサとはならない。
【0030】尚、ペロブスカイト型結晶相の(110)
面の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)
面の主ピークは、それぞれ単一のピークからなること
が、高誘電率および低損失という観点から望ましい。
【0031】ペロブスカイト型結晶相の(110)面の
ピークは、X線源としてCu−kα線を用いた場合、X
線回析図において、2θ=32度付近に生じ、また、
(100)面のピークは2θ=23度付近に生じる。そ
して、これらのピークの間にBiを含有する異相が生じ
るが、異相としては、Bi4 Ti3 12、Bi2 Ti2
7 、SrBi4 Ti4 13、Sr2 Bi4 Ti
5 14、PbBi4 Ti4 13、Pb2 Bi4 Ti5
14等があり、これらは、主に2θ=30度付近に生じ
る。その他の結晶相としてTiO2 が析出する場合もあ
る。
【0032】また、本発明の誘電体磁器層11には、上
記主成分に対してBa、Mg、Zr、Nb、Al、Fe
等の不純物が混入しても良いし、粉砕ボールからのボー
ル成分が混入する場合もある。さらに、本発明の誘電体
磁器組成物では、Al2 3、希土類元素酸化物、Sn
2 等を添加しても良い。
【0033】本発明の誘電体磁器層11には、上記主成
分をモル比による組成式(Sr1-w- x-y Caw Pbx
y )Tiz 3+a と表した時、前記x、y、zおよび
wが、0≦w≦0.20、0.05≦x≦0.20、
0.01≦y≦0.30、1.00≦z≦1.20、w
+x+y≦0.50、0≦a≦0.55を満足すること
が望ましく、かつ上記の主成分に対して副成分としてC
uOを0〜2重量%含有することが望ましい。
【0034】ここで、Aサイト中のSrのCaによる置
換量wを0〜0.2としたのは、wが0.2よりも大き
い場合には比誘電率が低くなるからである。wは、比誘
電率を向上するという観点から0.04≦w≦0.13
であることが望ましい。
【0035】また、Aサイト中のSrのPbによる置換
量xを0.05〜0.2としたのは、xが0.05より
も小さい場合には比誘電率が低く、一方0.2よりも大
きい場合には誘電損失が大きくなるからである。xは、
比誘電率および誘電損失の点から、0.10≦x≦0.
17が望ましい。
【0036】さらに、Aサイト中のSrのBiによる置
換量yを0.01〜0.3としたのは、yが0.01よ
りも小さい場合には誘電損失が悪く、yが0.30より
も大きくなると比誘電率が低くなるからである。yは、
比誘電率および誘電損失の点から、0.13≦y≦0.
24が望ましい。
【0037】また、B/A比を示すzを1〜1.2とし
たのは、zが1よりも小さい場合には比誘電率が低く、
誘電損失が悪く、zが1.20よりも大きくなると比誘
電率が低くなる傾向にあるからである。zは、比誘電率
および誘電損失の点から、1.1≦z≦1.2が望まし
い。
【0038】さらに、Aサイト中のSrのCa、Pb、
Biによる置換量w+x+yを0.50以下としたの
は、0.5よりも多い場合には比誘電率が低くなるから
である。特に、比誘電率向上という観点から、0.30
≦w+x+y≦0.40が望ましい。また、上記組成式
におけるaは、過剰酸素量を示しており、aは0〜0.
55であり、0.15〜0.4であることが望ましい。
【0039】上記主成分に対して、CuO添加量を0.
01〜2重量%としたのは0.01重量%以下では高温
度側の誘電率低下が大きく、一方2重量%以上では誘電
率が低下してしまうからである。温度特性改善という観
点から特に、0.05〜1.2重量%が望ましい。
【0040】また、上記Cu化合物を添加した主成分に
対して、マンガン化合物としてMnCO3 を0.01〜
2重量部添加したのは、0.01重量部以下では効果が
なく、2重量部以上では誘電率の低下が著しい。特に、
誘電損失を0.2未満と小さくするという観点から0.
02〜1.2重量%が望ましい。
【0041】そして、本発明の誘電体磁器層11の誘電
体磁器組成物では、上記主成分100重量部に対して、
LiおよびBのうち少なくとも一種を含有する添加成分
を0.1〜10重量部含有することが望ましい。添加成
分の量が0.1重量部未満では添加効果が無く、10重
量部以上では比誘電率が低下し、誘電損失が増加するか
らである。添加成分にLiおよびBのうち少なくとも一
種を含有せしめたのは、Li、Bを含まないと誘電特性
を劣化させずに、焼成温度が1100℃以下とならない
からである。添加量は誘電損失を小さくするという点で
0.5〜5重量%が望ましい。
【0042】また、Ag−Pdから成る内部電極層12
のAgを45〜80重量部としたのは、Agの含有率が
低い45重量部未満では、磁器中のBiと電極層中のP
dが反応しやすくなり、内部電極層12にクラックが発
生したり、誘電体磁器層11と内部電極層12との界面
にデラミネションが発生してしまう恐れがあるためであ
る。一方、80重量部よりも多くなると電極の融点の低
下が著しくなり、焼成温度との整合性が得られなくなる
ためである。同時焼成という観点からAgは60〜75
重量部とすることが特に望ましい。
【0043】次に、本発明の積層セラミックコンデンサ
の製造方法を説明する。
【0044】まず、誘電体磁器層11となる誘電体磁器
組成物の主成分を構成する各原料酸化物、例えば、Sr
CO3 、CaCO3 、PbO、Bi2 3 、TiO2
所定モル比になるように秤量し、混合粉砕し、これを1
100〜1200℃の温度で大気中で1〜3時間仮焼す
る。特に、この仮焼工程で、仮焼温度を1100℃以上
で加熱処理することにより、Biがペロブスカイト相に
安定的に固溶させることができる。
【0045】CuOなどの銅化合物、MnCO3 などの
マンガン化合物、さらに、LiやBを含有する化合物を
添加成分とを、所定量秤量し、上述の得られた仮焼物に
混合粉砕する。
【0046】そして、例えば、ドクターブレード法等の
公知手段により所定厚み、例えば23μmのシートを作
成する。
【0047】次に、内部電極層12となるAg−Pd導
電性ペーストを作成する。即ち,Agの比率が45〜8
0重量部となるように、調整したAg−Pd合金粉末と
有機ビヒクルを均質混合して形成する。
【0048】次に、上述のシート上に、所定形状の内部
電極層12となる例えば厚み4μmの導体膜を、Ag−
Pd導電性ペーストの印刷、乾燥により形成する。尚、
導体膜は、シート積層後、所定形状の積層体とした時
に、その積層体の端面に導体膜の一部が交互に露出する
ように印刷位置を調整して行う。
【0049】次に、上述のように導体膜が塗布されたシ
ートを、例えば16層積層し、さらにその両外面に内部
電極層12となる導体膜を形成していないグリーンシー
トを夫々200μmの厚みになるように所定数量積層し
た。
【0050】その後、焼き上がり寸法が3.2mm×1.6m
m (内部電極層の容量有効面積2.5mm2 となるように
裁断して未焼成状態の積層体を形成する。
【0051】次に、未焼成状態の積層体を、焼成治具に
配置して、大気中等の酸化性雰囲気で、脱バインダ処理
及び1050〜1200℃で0.5〜2時間の焼成処理
を行う。
【0052】このようして得られた積層体10の端面を
研磨処理し、従来より周知の端子電極の形成方法で、内
部電極層12に接続する端子電極2、3を形成する。
【0053】
【実験例】本発明者は、純度99%以上のSrCO3
CaCO3 、PbO、Bi2 3、TiO2 さらにCu
O及び又はMnCO3 の各原料粉末を表1〜表2に示す
モル比率となる誘電体磁器層となるように秤量し、積層
セラミックコンデンサを作成した。
【0054】尚、表1の各試料は、主成分に対してCu
Oを添加したものであり、表2の各試料は、表1に示す
試料に更にMnCO3 を後付け添加したものである。
【0055】表5は、表1、2に示す仮焼物に添加する
ガラス成分の種類とガラス成分の組成示すものである。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】このように得られた評価試料を、LCRメ
ーター4274Aを用いて、周波数1.0kHz、入力
信号レベル1.0Vrmsにて静電容量を測定した。静
電容量から比誘電率を算出し、また、誘電損失を測定
し、さらに、−25℃〜+85℃の温度範囲で容量変化
率を測定した。さらに、得られた誘電体磁器層の一部を
乳鉢で粉末状に解砕し、Cu−Kα線を用いたX線回折
の測定を行い、ペロブスカイト型の(110)面の主ピ
ーク、ペロブスカイト型結晶相の(100)面の主ピー
ク、及びその間に発生するBiを含有する異相のピーク
の夫々の強度比を測定した。さらに、DCバイアス試験
として、DC500を印加して容量変化を測定した。
【0059】その結果、各試料においては、比誘電率ε
rが1500以上、温度に対する容量変化率が10%以
内の優れた温度特性を有し、さらに測定周波数1kHz
での誘電損失が0.35%以下と優れた特性を有するこ
とがわかる。尚、DCバイアスによる容量変化率が±1
0%以内となることを確認した。
【0060】また、本発明の一試料である表1の試料N
o.6のX線回折による特性を図2に示す。
【0061】本発明者は、ペロブスカイト型の(11
0)面の主ピーク、ペロブスカイト型結晶相の(10
0)面の主ピーク間に発生するBiを含有する異相のピ
ークについて検討すると、Biを含有する異相は、Bi
含有する原料が過剰であったか、またはBiが充分にペ
ロブスカイト相に固溶していないかが考えられる。
【0062】まず、固溶に関して、表3に示す材料を用
いて、各原料酸化物、SrCO3 、CaCO3 、Pb
O、Bi2 3 、TiO2 を秤量し、混合粉砕し、これ
を950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1
150℃と仮焼温度条件を変化させた誘電体磁器層を用
いた積層セラミックコンデンサを作成した。その評価結
果は、表3のとおりである。
【0063】
【表3】
【0064】表3の試料番号55〜57では、仮焼温度
が1050℃以下では、Biを含有する異相のピークの
強度が、前記(110)面の主ピークの強度の3%を超
えて、例えば950℃では12%、1000℃では8
%、1050℃では4%となる。また、比誘電率εrが
1500を下回り、温度に対する容量変化率が10%以
上となり、さらに測定周波数1kHzでの誘電損失が
0.35%を大きく上回ってしまう。
【0065】このことから、Biを含有する異相のピー
クの強度を、前記(110)面の主ピークの強度の3%
以下となるようにして、良好な特性の積層セラミックコ
ンデンサを得るためには、原料の混合粉砕し、仮焼温度
条件を1100℃以上に設定することが重要となる。
【0066】尚、表3の試料No.55のX線回折によ
る特性を図3に示す。図3において、XがBiを含有す
る異相のピークを示す。
【0067】また、Biを含む材料のモル比率に関し
て、表4に示すモル比になるように、各原料酸化物、S
rCO3 、CaCO3 、PbO、Bi2 3 、TiO2
を秤量し、混合粉砕し、1150℃で仮焼した誘電体磁
器層を用いた積層セラミックコンデンサを作成した。そ
の評価結果は、表4のとおりである。
【0068】
【表4】
【0069】表4の試料番号60のように、Biのモル
比率y=0の場合は、当然Biを含有する異相のピーク
の強度は0となるものの、比誘電率εrが1500を大
きく下回り、温度に対する容量変化率が10%以上とな
り、さらに測定周波数1kHzでの誘電損失が0.35
%を大きく上回ってしまう。
【0070】表6の試料番号63、64のように、Bi
のモル比率y=0.30を超えた0.33や0.54で
は、Biを含有する異相のピークの強度が、前記(11
0)面の主ピークの強度の3%を超えてしまい、同時
に、比誘電率εrが1500を下回ってしまう。
【0071】以上のことから、Biを含む材料のモル比
率に関しては、Biのモル比率が0.01〜0.30と
することが重要となる。
【0072】また、上述のように、仮焼状態で良好なペ
ロブスカイト相が形成されてしまうため、積層セラミッ
クコンデンサの焼成時には、Biを含有する異相を減少
させるための高温での焼成が不要となる。
【0073】従って、本焼成時に一体的に焼結されるA
g−Pdからなる内部電極層12の材料として、Pdの
重量比率を低下させ、安価な積層セラミックコンデンサ
が可能となる。本発明者の実験では、Ag−PdのAg
を最大まで80重量部にまで引き上がることができ、A
gを45〜80重量部(Pdを20〜55重量部)とし
た導電性ペーストによる内部電極層12を用いても何ら
問題が発生しないことを確認した。尚、Agが45重量
部未満(Pdの比率が多い)となると、BiとPdとが
互いに反応しあい、内部電極層12を変質させてしま
い、その結果、内部電極層12にクラックを発生させた
り、内部電極層12の境界にデラミネーションを発生さ
せたりしてしまう。
【0074】このようなBiとPdとの反応を抑制し、
焼成温度を考慮すると、内部電極層12のAg−Pdの
Agを45〜80重量部、さらに、60〜75重量部と
することが望ましい。
【0075】
【表5】
【0076】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の積層セラ
ミックコンデンサでは、高い比誘電率を有するととも
に、誘電損失が小さく、かつ静電容量の電圧依存性も優
れ、自己発熱が小さく、かつ誘電率の温度依存性に優れ
ているため、高周波用のコンデンサとして用いた場合、
自己発熱の小さく、小型でかつ高性能な積層セラミック
コンデンサとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる積層セラミックコンデンサの断
面図である。
【図2】表1の試料No.6のX線回折による特性図で
ある。
【図3】表4の試料No.55のX線回折による特性図
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体磁器層と内部電極層とを交互に積層
    して成る積層体の両端部に外部電極を形成した積層セラ
    ミックコンデンサにおいて、前記誘電体磁器層がモル比
    による組成式を (Sr(1-w-x-y) Caw Pbx Biy )Tiz 3+a と表した時、前記w、x、yおよびzが 0 ≦w≦0.20 0.05≦x≦0.20 0.01≦y≦0.30 1.00≦z≦1.20 w+x+y≦0.50、aは過剰酸素量の範囲内にある
    主成分に、副成分として銅化合物を酸化銅(CuO)に
    換算して0.01〜2重量%含有して成り、且つX線回
    折における前記ペロブスカイト型結晶相の(110)面
    の主ピークと、前記ペロブスカイト型結晶相の(10
    0)面の主ピークとの間に検出され、かつBiを含有す
    る異相のピークの強度が、前記(110)面の主ピーク
    の強度の3%以下であるとともに、 前記内部電極層がAgを45〜80重量部含有するAg
    −Pd合金から成ることを特徴とする積層セラミックコ
    ンデンサ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100380579B1 (ko) * 2000-03-31 2003-04-18 티디케이가부시기가이샤 적층형 세라믹 칩 콘덴서 및 그 제조방법
US6753642B2 (en) * 2000-09-22 2004-06-22 Murata Manufacturing Co., Ltd. Piezoelectric ceramic and piezoelectric ceramic element including the same
JP2009084067A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Kyocera Corp 圧電磁器および圧電素子

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