JP3512587B2 - 積層型セラミックコンデンサ - Google Patents
積層型セラミックコンデンサInfo
- Publication number
- JP3512587B2 JP3512587B2 JP06628797A JP6628797A JP3512587B2 JP 3512587 B2 JP3512587 B2 JP 3512587B2 JP 06628797 A JP06628797 A JP 06628797A JP 6628797 A JP6628797 A JP 6628797A JP 3512587 B2 JP3512587 B2 JP 3512587B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dielectric
- weight
- plane
- less
- peak
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Ceramic Capacitors (AREA)
- Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型セラミック
コンデンサに関するものであり、特に、フィルムコンデ
ンサと同等の特性を有する積層型セラミックコンデンサ
に関するものである。 【0002】 【従来技術】近年のエレクトロニクスの発展に伴い電子
回路の高周波化、小型化が急速に進行し、電子部品も高
周波化、小型化が要求されるようになってきている。 【0003】特に、高周波大電流回路では、損失による
自己加熱が問題となる場合があり、この場合には低損失
のコンデンサが使用されていた。 【0004】従来、このようなコンデンサとしては、低
損失で、温度特性、電圧依存性が小さい等の特性を有す
るフィルムコンデンサが用いられている。 【0005】しかしながら、フィルムコンデンサはモー
ルドタイプが殆どであり、小型化、表面実装に対応でき
ない。 【0006】また、低損失高容量の領域に用いられる誘
電体磁器組成物として、特公昭57−37963号公報
および特公平7−45337号公報に開示されるような
ものが知られている。 【0007】特公昭57−37963号公報に開示され
た誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pbおよび
Caからなる基本成分と、CuとMnからなる添加成分
とから構成されている。そして、SrTiO3 、Bi2
O3 、TiO2 、PbTiO3 、CaTiO3 、Cu
O、MnCO3 を混合し、930℃で仮焼し、1200
〜1400℃で焼成して作製されている。この誘電体磁
器組成物では、測定周波数1KHzでの比誘電率が50
0〜1500、誘電損失tanδが0.15〜0.5%
であった。 【0008】また、特公平7−45337号公報に開示
された誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pb、
CaおよびSnからなる基本成分と、希土類元素酸化物
と、ガラス成分とから構成されている。そして、SrC
O3 、Pb3 O4 、CaCO3 、Bi2 O3 、Ti
O2 、SnO2 、希土類元素酸化物を混合し、950℃
で仮焼し、1120〜1160℃で焼成して作製されて
いる。この誘電体磁器組成物では、測定周波数1KHz
での比誘電率が1240〜1470、誘電損失tanδ
が0.25〜0.36%であった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
57−37963号公報および特公平7−45337号
公報に開示された誘電体磁器組成物では、1500より
大きい比誘電率を有し、かつ0.35%以下の低損失を
達成できなかった。 【0010】即ち、一般的に比誘電率が高い誘電体磁器
組成物は誘電損失が大きくなる傾向があり、比誘電率を
上げれば誘電損失が大きくなるという背反関係にあり、
比誘電率を大きくする一方で誘電損失を小さくすること
は達成できず、例えば、上記したように、高周波大電流
回路では損失による自己加熱が問題となった。 【0011】また、特公昭57−37963号公報で
は、焼成温度が1200℃以上と高いため、内部電極と
して安価なPdを用いて同時焼成した場合には、Pdと
Biが反応し、内部電極にクラック等が入る虞があり、
同時焼成が不可能であった。このため、Pd−Agから
なる内部電極を用いることができなかった。同時焼成す
るためには、内部電極としては、Biと反応しない高価
なPtを用いる必要があった。 【0012】この点については、特公平7−45337
号公報では、940〜1240℃で焼成するとの記載は
あるものの、実施例においては1120〜1160℃の
高温で焼成しているため、上記したように、PdとBi
が反応し、同時焼成が不可能であった。一方、1100
℃以下の低温で焼成した場合には、同時焼成は可能であ
るが、誘電損失が大きく低下するという問題があった。 【0013】本発明は、誘電体層と、Pd含有率が40
%以下のAg−Pd合金からなる内部電極層とを焼成温
度1100℃以下で同時焼成でき、しかも、1100℃
以下で同時焼成したとしても誘電体層の比誘電率が15
00より大きく、誘電損失tanδが0.35%以下の
特性を有するもので、フィルムコンデンサと同等の特性
を有し、特に高周波領域において有用な積層型セラミッ
クコンデンサを提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の積層型セラミッ
クコンデンサは、誘電体層と内部電極層を交互に積層し
てなる積層型セラミックコンデンサであって、前記誘電
体層が、モル比による組成式を(Sr 1-w-x-y Ca w Pb
x Bi y )Ti z O 3+a と表した時、前記x、y、zおよび
wが 0 ≦w≦0.20 0.05≦x≦0.20 0.01≦y≦0.30 1.00≦z≦1.20 w+x+y≦0.50 aは過剰酸素量を満足する主成分と、該主成分100重
量部に対して、LiおよびBのうち少なくとも一種を含
有する添加成分を0.1〜10重量部含有する ペロブス
カイト型結晶相を主結晶相とし、X線回折における前記
ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと、
前記ペロブスカイト型結晶相の(100)面の主ピーク
との間に検出され、かつBiを含有する異相のピークの
強度が、前記(110)面の主ピークの強度の3%以下
の誘電体磁器からなり、前記内部電極層が、Pdの含有
率が40重量%以下のAg−Pd合金からなるものであ
る。 【0015】 【0016】 【作用】本発明の積層型セラミックコンデンサでは、誘
電体層が、ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主
ピークと(100)面の主ピークとの間の、Biを含有
する異相のピークの強度が、(110)面の主ピークの
強度の3%以下であるため、Biの殆どはペロブスカイ
ト型結晶相に固溶することになり、高誘電率のペロブス
カイト型結晶相が増加し、低誘電率で誘電損失の大きな
Biを含有する異相が減少することになり、このため、
誘電体層は、測定周波数1kHzでの比誘電率が150
0より大きく、誘電損失が0.35%以下、特には0.
2%以下の特性を有することができる。 【0017】従来の特公昭57−37963号公報およ
び特公平7−45337号公報に開示された誘電体磁器
組成物は、基本成分を950℃程度で仮焼し、高誘電率
のペロブスカイト相を析出させているが、仮焼温度が低
いためBiがペロブスカイト相中に固溶せず、あるいは
固溶してもその固溶量は少なく、本願で言うBiを含有
する異相として存在していると考えられ、このため比誘
電率が1500以下と小さく、しかも誘電損失も大きい
と考えられる。 【0018】本願では、Biをペロブスカイト相中に固
溶させるために、1100℃以上の仮焼温度で反応させ
ている。このため、Biが高誘電率のペロブスカイト相
中に大量に固溶し、Biを含有する異相のピークの強度
が(110)面の主ピークの強度の3%以下となり上記
したような作用効果を有するのである。 【0019】また、本発明の積層型セラミックコンデン
サでは、誘電体層が1100℃以下で焼成した場合で
も、上記したような優れた特性を有するので、コンデン
サとしても優れた特性を有することができ、しかも11
00℃で焼成可能なため、Pdの含有率が40重量%以
下のAg−Pd合金からなる内部電極層と同時焼成する
ことができ、同時焼成した場合でも、Pd含有量が少な
いため内部電極層のPdと誘電体層のBiとは殆ど反応
することがない。 【0020】よって、Pdの含有率が40重量%以下の
Ag−Pd合金からなる内部電極層と誘電体層とを同時
焼成した場合でも、フィルムコンデンサと同等の特性を
有する積層型セラミックコンデンサが得られるのであ
る。 【0021】さらに、誘電体層として、所定の組成から
なる主成分に対して、LiおよびBのうち少なくとも1
種を含有する添加成分を0.1〜10重量部含有するこ
とにより、特性を劣化させることなく、さらに低温焼成
が可能となる。 【0022】 【発明の実施の形態】本発明の積層型セラミックコンデ
ンサの誘電体層は、X線回折におけるペロブスカイト型
結晶相の(110)面の主ピークと、ペロブスカイト型
結晶相の(100)面の主ピークとの間に検出され、か
つBiを含有する異相のピークの強度を、(110)面
の主ピークの強度の3%以下としたものである。 【0023】ここで、Biを含む異相の割合を(11
0)面の主ピークの強度の3%以下と限定した理由は、
Biがペロブスカイト相に固溶することにより、高誘電
率、低損失、温度特性に優れた材料となるからであり、
Biが固溶せずに、(110)面の主ピークの強度の3
%よりも多く異相を形成すると、いずれの特性も劣化し
てしまうからである。この異相のピークは存在しない方
が望ましいが、Biをペロブスカイト相中に固溶させる
ためにBiを添加するため、全く存在しないということ
はあり得ないと考えられる。異相のピーク強度は、(1
10)面の主ピークの強度の2%以下が望ましい。 【0024】尚、ペロブスカイト型結晶相の(110)
面の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)
面の主ピークは、それぞれ単一のピークからなること
が、高誘電率および低損失という観点から望ましい。 【0025】ペロブスカイト型結晶相の(110)面の
ピークは、X線源としてCu−kα線を用いた場合のX
線回折図において、2θ=32度付近に生じ、また、
(100)面のピークは2θ=23度付近に生じる。そ
して、これらのピークの間にBiを含有する異相が生じ
るが、異相としては、Bi4 Ti3 O12、Bi2 Ti2
O7 、SrBi4 Ti4 O13、Sr2 Bi4 Ti
5 O14、PbBi4 Ti4 O13、Pb2 Bi4 Ti5 O
14等があり、これらは、主に2θ=30度付近に生じ
る。その他の結晶相としてTiO2 が析出する場合もあ
る。 【0026】また、本発明の誘電体磁器では、Ba、M
g、Zr、Nb、Al、Fe等の不純物が混入しても良
いし、粉砕ボールからボール成分、例えばZrO2 、A
l2O3 が混入する場合もある。さらに、本発明の誘電
体磁器では、CuO、MnO、Al2 O3 、希土類元素
酸化物、SnO2 を添加しても良い。 【0027】本発明の誘電体磁器の主成分は、モル比に
よる組成式を(Sr1-w-x-yCawPbxBiy)TizO
3+aと表した時、x、y、zおよびwが、0≦w≦0.
20、0.05≦x≦0.20、0.01≦y≦0.3
0、1.00≦z≦1.20、w+x+y≦0.50を
満足することが重要である。 【0028】ここで、Aサイト中のSrのCaによる置
換量wを0〜0.2としたのは、Caの置換により比誘
電率が向上し、DCバイアス特性が向上するが、wが
0.2よりも大きい場合には比誘電率が低くなる傾向が
あるからである。wは、比誘電率を向上するという観点
から0.04≦w≦0.13であることが望ましい。 【0029】また、Aサイト中のSrのPbによる置換
量xを0.05〜0.2としたのは、xが0.05より
も小さい場合には比誘電率が低く、一方0.2よりも大
きい場合には誘電損失が大きくなる傾向があるからであ
る。xは、比誘電率および誘電損失の点から、0.10
≦x≦0.17が望ましい。 【0030】さらに、Aサイト中のSrのBiによる置
換量yを0.01〜0.3としたのは、yが0.01よ
りも小さい場合には誘電損失が大きく、yが0.30よ
りも大きくなると比誘電率が低くなる傾向があるからで
ある。yは、比誘電率および誘電損失の点から、0.1
3≦y≦0.24が望ましい。 【0031】また、B/A比を示すzを1〜1.2とし
たのは、zが1よりも小さい場合には比誘電率が低く、
誘電損失が悪く、zが1.20よりも大きくなると比誘
電率が低くなる傾向にあるからである。zは、比誘電率
および誘電損失の点から、1.1≦z≦1.2が望まし
い。 【0032】さらに、Aサイト中のSrのCa、Pb、
Biによる置換量w+x+yを0.50以下としたの
は、0.5よりも多い場合には比誘電率が低くなるから
である。特に、比誘電率向上という観点から、0.30
≦w+x+y≦0.40が望ましい。また、上記組成式
におけるaは、過剰酸素量を示しており、aは0〜0.
55、特には0.15〜0.4であることが望ましい。 【0033】そして、誘電体層としては、上記主成分1
00重量部に対して、LiおよびBのうち少なくとも一
種を含有する添加成分を0.1〜10重量部含有するこ
とが、優れた誘電特性を有し、1100℃以下の焼成温
度とするために重要である。 【0034】ここで、添加成分の量が0.1重量部未満
では添加効果が無く、10重量部以上では比誘電率が低
下し、誘電損失が増大するからである。添加量は、誘電
損失を小さくするという点で0.5〜5重量%が望まし
い。 【0035】内部電極層は、Pdの含有率が40重量%
以下のAg−Pd合金からなるものである。Pdの含有
率を40重量%以下としたのは、1100℃以下で低温
焼成できるというものの、Pdの含有率が40重量%よ
りも多くなると誘電体層のBiと反応し易くなり、内部
電極にクラック等が入る虞があるからである。誘電体層
のBiとの反応を防止するためには、Pdの含有率が3
0重量%以下であることが望ましい。 【0036】本発明の積層セラミックコンデンサは、先
ず、誘電体層原料の仮焼物を作製する。例えば、SrC
O3 、CaCO3 、PbO、Bi2 O3 、TiO2 の各
原料粉末を所定量となるように秤量し、混合粉砕し、こ
れを1100〜1200℃の温度で大気中で1〜3時間
仮焼する。仮焼温度は、Biのペロブスカイト相への固
溶を促進するという観点から1150℃以上が望まし
い。 【0037】次に、内部電極層を形成する導電性ペース
トを、Ag−Pdを所定の割合にした合金粉をペースト
にすることにより作製する。誘電体層中のBiとの反応
を抑えるという観点から、Agの割合は60重量%以上
(Pd40重量%以下)が良く、特に70重量%以上
(Pd30重量%以下)が望ましい。得られた仮焼物
と、所定量のLi、Bを含有する添加成分を添加し、混
合粉砕し、例えば、ドクターブレード法等の公知手段に
より成形し、上記導電性ペーストをスクリーン印刷法等
により印刷し、成形から印刷を繰り返して積層成形体を
作製し、これを熱圧着した後、所定寸法にカットする。 【0038】この後、脱バインダー処理し、大気中にお
いて1000〜1100℃において0.5〜2時間焼成
を行う。この後タンブリングし、端子電極の焼き付けを
行い、メッキ処理することにより本発明の積層型セラミ
ックコンデンサを得る。 【0039】 【実施例】先ず、純度99%以上のSrCO3 、CaC
O3 、PbO、Bi2 O3 、TiO2 の各原料粉末を、
表1に示す割合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水
を加えて24時間ZrO2 ボールを用いたボールミルに
て混合した後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物を
1150℃の温度で大気中2時間仮焼した。得られた仮
焼物に表3に示す組成の添加成分を表1に示す量だけ加
え、分散剤、分散媒とともに、24時間ボールミルにて
混合粉砕し、原料スラリーを調整した。 【0040】このスラリーに有機バインダー、可塑剤を
加え、十分撹拌後ドクターブレード法により厚み45μ
mのフィルム状に成形した。このフィルム上に、Pd含
有量が表2に示す量のAg−Pdペーストをスクリーン
印刷法により印刷し、上記フィルムの作製からAg−P
dペーストの印刷を繰り返して積層成形体を作製し、こ
の積層成形体を熱圧着した後、所定寸法に切断した。 【0041】これを大気中、300℃の温度で4時間加
熱して脱バインダー処理し、引き続いて大気中において
表2に示す温度で2時間焼成した。これをタンブリング
後、端子電極用に調整したAgペーストを端面に塗布
し、700℃で大気中で焼き付け、メッキを行い端子電
極とし、3.2mm×1.6mm、誘電体層厚み30μ
m×10層、内部電極層の有効電極面積が2.5mm2
の積層型コンデンサを作製した。 【0042】次にこれらの積層型コンデンサを、LCR
メーター4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入
力信号レベル1.0Vrmsにて静電容量、誘電損失を
測定した。静電容量から比誘電率を算出した。さらに、
積層型コンデンサにDC60Vを印可して静電容量を測
定し、無印可時の静電容量からの変化率(DCバイアス
特性)を算出した。 【0043】また、誘電体層を乳鉢で粉末状に解砕し、
Cu−Kα線を用いたX線回折の測定を行い、ペロブス
カイト型結晶相の主ピーク(110)と、ペロブスカイ
ト型結晶相のピーク(100)との間に検出される、B
iを含む異相のピークの強度比を測定した。強度比は、
ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)の強度に
対する比として求めた。これらの結果を表2に示した。 【0044】 【表1】【0045】 【表2】 【0046】 【表3】 【0047】これらの表1〜表3によれば、本発明の積
層型コンデンサでは、焼成温度1100℃以下で、Pd
含有量が40重量%以下の内部電極層と、誘電体層との
同時焼成が可能であり、誘電体層が、比誘電率εrが1
500より大きく、1kHzでの誘電損失が0.35%
以下、コンデンサとしてのDCバイアス特性が±10%
以内(DC2kV/mm)の優れた特性を有することが
わかる。従って、Pd含有量が40重量%以下の内部電
極層と誘電体層を同時焼成できるとともに、優れた特性
を有する積層型セラミックコンデンサが得られることが
判る。 【0048】尚、試料No.10、13、14、17につ
いては仮焼温度を950℃とした場合であり、これらの
場合にはBiを含む異相のピークの強度比が3%よりも
大きくなり、比誘電率および誘電損失が悪化することが
判る。本発明の試料No.2と、比較例No.14のX線回
折図を図1、図2に示す。 【0049】また、本発明者等は、試料No.2の組成か
らなる誘電体層に対して、Pd含有量が50重量%のA
g−Pdペーストを用いて、上記と同様にして積層セラ
ミックコンデンサを作製したところ、誘電体層にクラッ
クが発生し、誘電特性を評価できなかった。そこで、本
発明者等は、内部電極層および誘電体層をX線マイクロ
アナライザ(EPMA)により面分析した結果、Biと
Pbが内部電極層および誘電体層に相互に拡散している
ことを確認した。 【0050】 【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の積層型セラ
ミックコンデンサは、内部電極としてPd含有量が少な
いAg−Pd材料を用いて同時焼成が可能であり、誘電
体層が高い比誘電率を有するとともに、誘電損失が小さ
く、コンデンサとしても静電容量の電圧依存性に優れて
いるため、積層型セラミックコンデンサとして優れた特
性を有することが判る。このため、高周波用のコンデン
サとして用いた時、自己発熱が小さく、小型かつ高性能
であり、フィルムコンデンサと同等の特性を得ることが
できる。
コンデンサに関するものであり、特に、フィルムコンデ
ンサと同等の特性を有する積層型セラミックコンデンサ
に関するものである。 【0002】 【従来技術】近年のエレクトロニクスの発展に伴い電子
回路の高周波化、小型化が急速に進行し、電子部品も高
周波化、小型化が要求されるようになってきている。 【0003】特に、高周波大電流回路では、損失による
自己加熱が問題となる場合があり、この場合には低損失
のコンデンサが使用されていた。 【0004】従来、このようなコンデンサとしては、低
損失で、温度特性、電圧依存性が小さい等の特性を有す
るフィルムコンデンサが用いられている。 【0005】しかしながら、フィルムコンデンサはモー
ルドタイプが殆どであり、小型化、表面実装に対応でき
ない。 【0006】また、低損失高容量の領域に用いられる誘
電体磁器組成物として、特公昭57−37963号公報
および特公平7−45337号公報に開示されるような
ものが知られている。 【0007】特公昭57−37963号公報に開示され
た誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pbおよび
Caからなる基本成分と、CuとMnからなる添加成分
とから構成されている。そして、SrTiO3 、Bi2
O3 、TiO2 、PbTiO3 、CaTiO3 、Cu
O、MnCO3 を混合し、930℃で仮焼し、1200
〜1400℃で焼成して作製されている。この誘電体磁
器組成物では、測定周波数1KHzでの比誘電率が50
0〜1500、誘電損失tanδが0.15〜0.5%
であった。 【0008】また、特公平7−45337号公報に開示
された誘電体磁器組成物は、Sr、Ti、Bi、Pb、
CaおよびSnからなる基本成分と、希土類元素酸化物
と、ガラス成分とから構成されている。そして、SrC
O3 、Pb3 O4 、CaCO3 、Bi2 O3 、Ti
O2 、SnO2 、希土類元素酸化物を混合し、950℃
で仮焼し、1120〜1160℃で焼成して作製されて
いる。この誘電体磁器組成物では、測定周波数1KHz
での比誘電率が1240〜1470、誘電損失tanδ
が0.25〜0.36%であった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
57−37963号公報および特公平7−45337号
公報に開示された誘電体磁器組成物では、1500より
大きい比誘電率を有し、かつ0.35%以下の低損失を
達成できなかった。 【0010】即ち、一般的に比誘電率が高い誘電体磁器
組成物は誘電損失が大きくなる傾向があり、比誘電率を
上げれば誘電損失が大きくなるという背反関係にあり、
比誘電率を大きくする一方で誘電損失を小さくすること
は達成できず、例えば、上記したように、高周波大電流
回路では損失による自己加熱が問題となった。 【0011】また、特公昭57−37963号公報で
は、焼成温度が1200℃以上と高いため、内部電極と
して安価なPdを用いて同時焼成した場合には、Pdと
Biが反応し、内部電極にクラック等が入る虞があり、
同時焼成が不可能であった。このため、Pd−Agから
なる内部電極を用いることができなかった。同時焼成す
るためには、内部電極としては、Biと反応しない高価
なPtを用いる必要があった。 【0012】この点については、特公平7−45337
号公報では、940〜1240℃で焼成するとの記載は
あるものの、実施例においては1120〜1160℃の
高温で焼成しているため、上記したように、PdとBi
が反応し、同時焼成が不可能であった。一方、1100
℃以下の低温で焼成した場合には、同時焼成は可能であ
るが、誘電損失が大きく低下するという問題があった。 【0013】本発明は、誘電体層と、Pd含有率が40
%以下のAg−Pd合金からなる内部電極層とを焼成温
度1100℃以下で同時焼成でき、しかも、1100℃
以下で同時焼成したとしても誘電体層の比誘電率が15
00より大きく、誘電損失tanδが0.35%以下の
特性を有するもので、フィルムコンデンサと同等の特性
を有し、特に高周波領域において有用な積層型セラミッ
クコンデンサを提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の積層型セラミッ
クコンデンサは、誘電体層と内部電極層を交互に積層し
てなる積層型セラミックコンデンサであって、前記誘電
体層が、モル比による組成式を(Sr 1-w-x-y Ca w Pb
x Bi y )Ti z O 3+a と表した時、前記x、y、zおよび
wが 0 ≦w≦0.20 0.05≦x≦0.20 0.01≦y≦0.30 1.00≦z≦1.20 w+x+y≦0.50 aは過剰酸素量を満足する主成分と、該主成分100重
量部に対して、LiおよびBのうち少なくとも一種を含
有する添加成分を0.1〜10重量部含有する ペロブス
カイト型結晶相を主結晶相とし、X線回折における前記
ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと、
前記ペロブスカイト型結晶相の(100)面の主ピーク
との間に検出され、かつBiを含有する異相のピークの
強度が、前記(110)面の主ピークの強度の3%以下
の誘電体磁器からなり、前記内部電極層が、Pdの含有
率が40重量%以下のAg−Pd合金からなるものであ
る。 【0015】 【0016】 【作用】本発明の積層型セラミックコンデンサでは、誘
電体層が、ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主
ピークと(100)面の主ピークとの間の、Biを含有
する異相のピークの強度が、(110)面の主ピークの
強度の3%以下であるため、Biの殆どはペロブスカイ
ト型結晶相に固溶することになり、高誘電率のペロブス
カイト型結晶相が増加し、低誘電率で誘電損失の大きな
Biを含有する異相が減少することになり、このため、
誘電体層は、測定周波数1kHzでの比誘電率が150
0より大きく、誘電損失が0.35%以下、特には0.
2%以下の特性を有することができる。 【0017】従来の特公昭57−37963号公報およ
び特公平7−45337号公報に開示された誘電体磁器
組成物は、基本成分を950℃程度で仮焼し、高誘電率
のペロブスカイト相を析出させているが、仮焼温度が低
いためBiがペロブスカイト相中に固溶せず、あるいは
固溶してもその固溶量は少なく、本願で言うBiを含有
する異相として存在していると考えられ、このため比誘
電率が1500以下と小さく、しかも誘電損失も大きい
と考えられる。 【0018】本願では、Biをペロブスカイト相中に固
溶させるために、1100℃以上の仮焼温度で反応させ
ている。このため、Biが高誘電率のペロブスカイト相
中に大量に固溶し、Biを含有する異相のピークの強度
が(110)面の主ピークの強度の3%以下となり上記
したような作用効果を有するのである。 【0019】また、本発明の積層型セラミックコンデン
サでは、誘電体層が1100℃以下で焼成した場合で
も、上記したような優れた特性を有するので、コンデン
サとしても優れた特性を有することができ、しかも11
00℃で焼成可能なため、Pdの含有率が40重量%以
下のAg−Pd合金からなる内部電極層と同時焼成する
ことができ、同時焼成した場合でも、Pd含有量が少な
いため内部電極層のPdと誘電体層のBiとは殆ど反応
することがない。 【0020】よって、Pdの含有率が40重量%以下の
Ag−Pd合金からなる内部電極層と誘電体層とを同時
焼成した場合でも、フィルムコンデンサと同等の特性を
有する積層型セラミックコンデンサが得られるのであ
る。 【0021】さらに、誘電体層として、所定の組成から
なる主成分に対して、LiおよびBのうち少なくとも1
種を含有する添加成分を0.1〜10重量部含有するこ
とにより、特性を劣化させることなく、さらに低温焼成
が可能となる。 【0022】 【発明の実施の形態】本発明の積層型セラミックコンデ
ンサの誘電体層は、X線回折におけるペロブスカイト型
結晶相の(110)面の主ピークと、ペロブスカイト型
結晶相の(100)面の主ピークとの間に検出され、か
つBiを含有する異相のピークの強度を、(110)面
の主ピークの強度の3%以下としたものである。 【0023】ここで、Biを含む異相の割合を(11
0)面の主ピークの強度の3%以下と限定した理由は、
Biがペロブスカイト相に固溶することにより、高誘電
率、低損失、温度特性に優れた材料となるからであり、
Biが固溶せずに、(110)面の主ピークの強度の3
%よりも多く異相を形成すると、いずれの特性も劣化し
てしまうからである。この異相のピークは存在しない方
が望ましいが、Biをペロブスカイト相中に固溶させる
ためにBiを添加するため、全く存在しないということ
はあり得ないと考えられる。異相のピーク強度は、(1
10)面の主ピークの強度の2%以下が望ましい。 【0024】尚、ペロブスカイト型結晶相の(110)
面の主ピークと、ペロブスカイト型結晶相の(100)
面の主ピークは、それぞれ単一のピークからなること
が、高誘電率および低損失という観点から望ましい。 【0025】ペロブスカイト型結晶相の(110)面の
ピークは、X線源としてCu−kα線を用いた場合のX
線回折図において、2θ=32度付近に生じ、また、
(100)面のピークは2θ=23度付近に生じる。そ
して、これらのピークの間にBiを含有する異相が生じ
るが、異相としては、Bi4 Ti3 O12、Bi2 Ti2
O7 、SrBi4 Ti4 O13、Sr2 Bi4 Ti
5 O14、PbBi4 Ti4 O13、Pb2 Bi4 Ti5 O
14等があり、これらは、主に2θ=30度付近に生じ
る。その他の結晶相としてTiO2 が析出する場合もあ
る。 【0026】また、本発明の誘電体磁器では、Ba、M
g、Zr、Nb、Al、Fe等の不純物が混入しても良
いし、粉砕ボールからボール成分、例えばZrO2 、A
l2O3 が混入する場合もある。さらに、本発明の誘電
体磁器では、CuO、MnO、Al2 O3 、希土類元素
酸化物、SnO2 を添加しても良い。 【0027】本発明の誘電体磁器の主成分は、モル比に
よる組成式を(Sr1-w-x-yCawPbxBiy)TizO
3+aと表した時、x、y、zおよびwが、0≦w≦0.
20、0.05≦x≦0.20、0.01≦y≦0.3
0、1.00≦z≦1.20、w+x+y≦0.50を
満足することが重要である。 【0028】ここで、Aサイト中のSrのCaによる置
換量wを0〜0.2としたのは、Caの置換により比誘
電率が向上し、DCバイアス特性が向上するが、wが
0.2よりも大きい場合には比誘電率が低くなる傾向が
あるからである。wは、比誘電率を向上するという観点
から0.04≦w≦0.13であることが望ましい。 【0029】また、Aサイト中のSrのPbによる置換
量xを0.05〜0.2としたのは、xが0.05より
も小さい場合には比誘電率が低く、一方0.2よりも大
きい場合には誘電損失が大きくなる傾向があるからであ
る。xは、比誘電率および誘電損失の点から、0.10
≦x≦0.17が望ましい。 【0030】さらに、Aサイト中のSrのBiによる置
換量yを0.01〜0.3としたのは、yが0.01よ
りも小さい場合には誘電損失が大きく、yが0.30よ
りも大きくなると比誘電率が低くなる傾向があるからで
ある。yは、比誘電率および誘電損失の点から、0.1
3≦y≦0.24が望ましい。 【0031】また、B/A比を示すzを1〜1.2とし
たのは、zが1よりも小さい場合には比誘電率が低く、
誘電損失が悪く、zが1.20よりも大きくなると比誘
電率が低くなる傾向にあるからである。zは、比誘電率
および誘電損失の点から、1.1≦z≦1.2が望まし
い。 【0032】さらに、Aサイト中のSrのCa、Pb、
Biによる置換量w+x+yを0.50以下としたの
は、0.5よりも多い場合には比誘電率が低くなるから
である。特に、比誘電率向上という観点から、0.30
≦w+x+y≦0.40が望ましい。また、上記組成式
におけるaは、過剰酸素量を示しており、aは0〜0.
55、特には0.15〜0.4であることが望ましい。 【0033】そして、誘電体層としては、上記主成分1
00重量部に対して、LiおよびBのうち少なくとも一
種を含有する添加成分を0.1〜10重量部含有するこ
とが、優れた誘電特性を有し、1100℃以下の焼成温
度とするために重要である。 【0034】ここで、添加成分の量が0.1重量部未満
では添加効果が無く、10重量部以上では比誘電率が低
下し、誘電損失が増大するからである。添加量は、誘電
損失を小さくするという点で0.5〜5重量%が望まし
い。 【0035】内部電極層は、Pdの含有率が40重量%
以下のAg−Pd合金からなるものである。Pdの含有
率を40重量%以下としたのは、1100℃以下で低温
焼成できるというものの、Pdの含有率が40重量%よ
りも多くなると誘電体層のBiと反応し易くなり、内部
電極にクラック等が入る虞があるからである。誘電体層
のBiとの反応を防止するためには、Pdの含有率が3
0重量%以下であることが望ましい。 【0036】本発明の積層セラミックコンデンサは、先
ず、誘電体層原料の仮焼物を作製する。例えば、SrC
O3 、CaCO3 、PbO、Bi2 O3 、TiO2 の各
原料粉末を所定量となるように秤量し、混合粉砕し、こ
れを1100〜1200℃の温度で大気中で1〜3時間
仮焼する。仮焼温度は、Biのペロブスカイト相への固
溶を促進するという観点から1150℃以上が望まし
い。 【0037】次に、内部電極層を形成する導電性ペース
トを、Ag−Pdを所定の割合にした合金粉をペースト
にすることにより作製する。誘電体層中のBiとの反応
を抑えるという観点から、Agの割合は60重量%以上
(Pd40重量%以下)が良く、特に70重量%以上
(Pd30重量%以下)が望ましい。得られた仮焼物
と、所定量のLi、Bを含有する添加成分を添加し、混
合粉砕し、例えば、ドクターブレード法等の公知手段に
より成形し、上記導電性ペーストをスクリーン印刷法等
により印刷し、成形から印刷を繰り返して積層成形体を
作製し、これを熱圧着した後、所定寸法にカットする。 【0038】この後、脱バインダー処理し、大気中にお
いて1000〜1100℃において0.5〜2時間焼成
を行う。この後タンブリングし、端子電極の焼き付けを
行い、メッキ処理することにより本発明の積層型セラミ
ックコンデンサを得る。 【0039】 【実施例】先ず、純度99%以上のSrCO3 、CaC
O3 、PbO、Bi2 O3 、TiO2 の各原料粉末を、
表1に示す割合で秤量し、該原料粉末に媒体として純水
を加えて24時間ZrO2 ボールを用いたボールミルに
て混合した後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物を
1150℃の温度で大気中2時間仮焼した。得られた仮
焼物に表3に示す組成の添加成分を表1に示す量だけ加
え、分散剤、分散媒とともに、24時間ボールミルにて
混合粉砕し、原料スラリーを調整した。 【0040】このスラリーに有機バインダー、可塑剤を
加え、十分撹拌後ドクターブレード法により厚み45μ
mのフィルム状に成形した。このフィルム上に、Pd含
有量が表2に示す量のAg−Pdペーストをスクリーン
印刷法により印刷し、上記フィルムの作製からAg−P
dペーストの印刷を繰り返して積層成形体を作製し、こ
の積層成形体を熱圧着した後、所定寸法に切断した。 【0041】これを大気中、300℃の温度で4時間加
熱して脱バインダー処理し、引き続いて大気中において
表2に示す温度で2時間焼成した。これをタンブリング
後、端子電極用に調整したAgペーストを端面に塗布
し、700℃で大気中で焼き付け、メッキを行い端子電
極とし、3.2mm×1.6mm、誘電体層厚み30μ
m×10層、内部電極層の有効電極面積が2.5mm2
の積層型コンデンサを作製した。 【0042】次にこれらの積層型コンデンサを、LCR
メーター4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入
力信号レベル1.0Vrmsにて静電容量、誘電損失を
測定した。静電容量から比誘電率を算出した。さらに、
積層型コンデンサにDC60Vを印可して静電容量を測
定し、無印可時の静電容量からの変化率(DCバイアス
特性)を算出した。 【0043】また、誘電体層を乳鉢で粉末状に解砕し、
Cu−Kα線を用いたX線回折の測定を行い、ペロブス
カイト型結晶相の主ピーク(110)と、ペロブスカイ
ト型結晶相のピーク(100)との間に検出される、B
iを含む異相のピークの強度比を測定した。強度比は、
ペロブスカイト型結晶相の主ピーク(110)の強度に
対する比として求めた。これらの結果を表2に示した。 【0044】 【表1】【0045】 【表2】 【0046】 【表3】 【0047】これらの表1〜表3によれば、本発明の積
層型コンデンサでは、焼成温度1100℃以下で、Pd
含有量が40重量%以下の内部電極層と、誘電体層との
同時焼成が可能であり、誘電体層が、比誘電率εrが1
500より大きく、1kHzでの誘電損失が0.35%
以下、コンデンサとしてのDCバイアス特性が±10%
以内(DC2kV/mm)の優れた特性を有することが
わかる。従って、Pd含有量が40重量%以下の内部電
極層と誘電体層を同時焼成できるとともに、優れた特性
を有する積層型セラミックコンデンサが得られることが
判る。 【0048】尚、試料No.10、13、14、17につ
いては仮焼温度を950℃とした場合であり、これらの
場合にはBiを含む異相のピークの強度比が3%よりも
大きくなり、比誘電率および誘電損失が悪化することが
判る。本発明の試料No.2と、比較例No.14のX線回
折図を図1、図2に示す。 【0049】また、本発明者等は、試料No.2の組成か
らなる誘電体層に対して、Pd含有量が50重量%のA
g−Pdペーストを用いて、上記と同様にして積層セラ
ミックコンデンサを作製したところ、誘電体層にクラッ
クが発生し、誘電特性を評価できなかった。そこで、本
発明者等は、内部電極層および誘電体層をX線マイクロ
アナライザ(EPMA)により面分析した結果、Biと
Pbが内部電極層および誘電体層に相互に拡散している
ことを確認した。 【0050】 【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の積層型セラ
ミックコンデンサは、内部電極としてPd含有量が少な
いAg−Pd材料を用いて同時焼成が可能であり、誘電
体層が高い比誘電率を有するとともに、誘電損失が小さ
く、コンデンサとしても静電容量の電圧依存性に優れて
いるため、積層型セラミックコンデンサとして優れた特
性を有することが判る。このため、高周波用のコンデン
サとして用いた時、自己発熱が小さく、小型かつ高性能
であり、フィルムコンデンサと同等の特性を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料No.2のX線回折図である。
【図2】比較例の試料No.14のX線回折図である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】誘電体層と内部電極層を交互に積層してな
る積層型セラミックコンデンサであって、前記誘電体層
が、モル比による組成式を(Sr 1-w-x-y Ca w Pb x B
i y )Ti z O 3+a と表した時、前記x、y、zおよびw
が 0 ≦w≦0.20 0.05≦x≦0.20 0.01≦y≦0.30 1.00≦z≦1.20 w+x+y≦0.50 aは過剰酸素量を満足する主成分と、該主成分100重
量部に対して、LiおよびBのうち少なくとも一種を含
有する添加成分を0.1〜10重量部含有する ペロブス
カイト型結晶相を主結晶相とし、X線回折における前記
ペロブスカイト型結晶相の(110)面の主ピークと、
前記ペロブスカイト型結晶相の(100)面の主ピーク
との間に検出され、かつBiを含有する異相のピークの
強度が、前記(110)面の主ピークの強度の3%以下
の誘電体磁器からなり、前記内部電極層が、Pdの含有
率が40重量%以下のAg−Pd合金からなることを特
徴とする積層型セラミックコンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06628797A JP3512587B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 積層型セラミックコンデンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06628797A JP3512587B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 積層型セラミックコンデンサ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10261540A JPH10261540A (ja) | 1998-09-29 |
JP3512587B2 true JP3512587B2 (ja) | 2004-03-29 |
Family
ID=13311469
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06628797A Expired - Fee Related JP3512587B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 積層型セラミックコンデンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3512587B2 (ja) |
-
1997
- 1997-03-19 JP JP06628797A patent/JP3512587B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10261540A (ja) | 1998-09-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3470703B2 (ja) | 非還元性誘電体セラミックおよびそれを用いた積層セラミックコンデンサ、ならびに非還元性誘電体セラミックの製造方法 | |
US6617273B2 (en) | Non-reducing dielectric ceramic, monolithic ceramic capacitor using the same, and method for making non-reducing dielectric ceramic | |
US6734127B2 (en) | Ceramic materials for capacitors with a high dielectric constant and a low capacitance change with temperature | |
JPH0785460B2 (ja) | 積層型磁器コンデンサ | |
JP3814401B2 (ja) | 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ | |
JP3435039B2 (ja) | 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ | |
JP3512587B2 (ja) | 積層型セラミックコンデンサ | |
JP3588210B2 (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JP3793548B2 (ja) | 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ | |
JP2002274937A (ja) | 温度特性に優れた誘電体磁器 | |
JPH1174144A (ja) | 積層セラミックコンデンサ | |
JP3350326B2 (ja) | 積層型コンデンサ | |
JPH0680467A (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JP2000185971A (ja) | 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ | |
JP2531548B2 (ja) | 温度補償用磁器組成物 | |
JP2992197B2 (ja) | 誘電体磁器材料およびその製造方法 | |
JP3389947B2 (ja) | 誘電体磁器組成物及びそれを用いた厚膜コンデンサ | |
JPH0817057B2 (ja) | 誘電体磁器組成物 | |
JP3185528B2 (ja) | 誘電体磁器組成物及びその製造方法 | |
CN114853472A (zh) | 电介质组合物及电子部件 | |
KR0165557B1 (ko) | 자기 조성물 | |
JP2605611B2 (ja) | 磁器組成物 | |
JP2773479B2 (ja) | 粒界絶縁型半導体磁器物質及びその製造方法 | |
JP2694975B2 (ja) | 高誘電率磁器組成物の製造方法 | |
JPH1154359A (ja) | 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ並びに誘電体磁器の製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20031226 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040107 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |