JP7272881B2 - 積層セラミックコンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]誘電体層と内部電極層が交互に積層された積層体と、前記積層体上に設けられた、前記内部電極が接続された少なくとも2つの外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサであって、
前記誘電体層は、チタン酸ジルコン酸ストロンチウムカルシウムを主成分とする第1の相と、ジルコン酸バリウムを主成分とする第2の相とを含み、
前記内部電極層に挟まれた1つの前記誘電体層の断面において、以下の手順(1)~(4)によって求められる平均接触数Nが1.0以上であることを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
(1)前記断面を基準長さRLだけ切り出す。ただし、RLは30μm以上であり、前記誘電体層と前記内部電極層とが積層する方向に直交する方向の長さである。
(2)上記(1)で切り出された断面に、3μm以上の間隔を空けて、前記誘電体層と前記内部電極層とが積層する方向に平行な線分を10本以上引く。
(3)上記(2)で引いた10本以上の線分と、前記第1の相と前記第2の相との境界が接触する箇所の合計数を数える。
(4)上記(3)で得た合計数を、前記線分の本数で除することにより、平均接触数Nを算出する。
前記混合物からグリーンシートを成形する工程と、
前記グリーンシートに内部電極層を印刷する工程と、
印刷後の前記グリーンシートを切断した後、その切断したグリーンシートを積層して積層物を得る工程と、
前記積層物をカットして積層体チップを得る工程と、
前記積層体チップを、水素を含む還元ガス雰囲気中で、チタン酸ジルコン酸ストロンチウムカルシウムを主成分とする第1の相と、ジルコン酸バリウムを主成分とする第2の相との境界が残るような条件で焼成する工程と、
前記積層体チップに、外部電極を形成する工程と、
を含む積層セラミックコンデンサの製造方法。
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、略直方体の素体16を備えている。素体16は、6つの面を備えている。本明細書では、素体16の左右の面を端面12a、12bと呼び、上下の面を主面12c、12dと呼び、残りの一対の面を側面12e、12fと呼ぶ。図1において、左右方向は、内部電極層が外部電極14に交互に引き出される方向である。上下方向は、内部電極層と誘電体層とが交互に積層される方向である。
線分L2は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに7箇所で接触している。
線分L3は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに8箇所で接触している。
線分L4は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに6箇所で接触している。
線分L5は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに8箇所で接触している。
線分L6は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに8箇所で接触している。
線分L7は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに6箇所で接触している。
線分L8は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに4箇所で接触している。
線分L9は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに5箇所で接触している。
線分L10は、第1の相P1と第2の相P2との境界Bに6箇所で接触している。
したがって、接触箇所の合計数は、64である。
図4を例にとって説明すると、接触箇所の合計数は64であり、線分の本数は10本なので、平均接触数N=64/10=6.4となる。
まず、誘電体層を形成するための原料粉末を調製する。具体的には、平均粒径(d50)が50~200nmであるチタン酸ジルコン酸ストロンチウムカルシウムを含む第1の材料と、平均粒径 (d50)が50~200nmであるジルコン酸バリウムを含む第2の材料を、(ストロンチウムとカルシウムの合計のモル数):(バリウムのモル数)が97:3~3:97、好ましくは97:3~77:23となる比率で混合する。ここでいう平均粒径は、球相当径の体積基準のメジアン径(d50)を意味する。平均粒径は、例えば、レーザの回折および散乱を用いた方法を用いて測定することができる。
ステップS10で調製した原料粉末に、分散剤、バインダ、及び有機溶剤を加えて混合することでスラリーを調製する。分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウムを使用できる。バインダとしては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂やポリビニルアセタール樹脂を使用できる。有機溶剤としては、例えば、エタノール及び/又はトルエンを使用できる。スラリー中に原料粉末を均一に分散させるために、例えばビーズミルを使用してスラリーを混合してもよい。
PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのキャリアフィルム上に、ステップS12で調製したスラリーを、ドクターブレード法でシート状に塗布して乾燥させることでグリーンシートを成形する。グリーンシートの厚さは、好ましくは、0.4~15μmである。
複数枚のグリーンシートのうち、内部電極層18を形成するためのグリーンシートの上に、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、あるいはグラビア印刷法などによって、導電ペーストを塗布して所定のパターンを形成する。これにより、グリーンシートの上に、内部電極層18を形成するためのパターンが印刷される。導電ペーストの主成分は、例えばNiやCuなどである。
パターンが印刷されたグリーンシートと、パターンが印刷されていないグリーンシートを、ハンドリングしやすい大きさに切断する。その後、パターンが印刷されたグリーンシートと、パターンが印刷されていないカバー層用のグリーンシートを、所定の順序で、複数枚積み重ねる。パターンが印刷されていないグリーンシートは、最上面、最下面にそれぞれ複数枚積み重ねる。なお、パターンが印刷された複数枚のグリーンシートについては、内部電極層が交互に外部電極に引き出されるように、交互にその位置をずらしながら積み重ねる。複数枚のグリーンシートを積み重ねて得られた積層物を、製品1個のサイズにカットして、積層体チップを得る。なお、カットは、押切り、ブレードダイシングなどの公知の方法で行うことができる。
ステップS18で得られた積層体チップを、バレル研磨する。このような研磨によって、素体16と外部電極14との密着を強固にすることができる。また、素体16の角部の欠けを防止することができる。
ステップS20で研磨した積層体チップの内部電極層が引き出された両端面に、焼成後に外部電極の下地を形成する導電ペーストを塗布して乾燥させる。このようなペーストとしては、例えば、Niを含む導電ペーストを用いることができる。
ステップS22で導電ペーストを塗布した積層体チップを、水素を含む還元ガス雰囲気下で焼成する。これにより、セラミックスからなる誘電体層と内部電極層とが一体化した素体16が得られる。焼成は、第1の相P1と第2の相P2が互いにほとんど固溶せず、第1の相P1と第2の相P2の境界が残るような条件で行う。例えば、焼成炉の内部温度が1220~1280℃の条件で、3分~5分間の焼成を行う。このような条件で焼成すれば、誘電体層17の断面を観察したときに第1の相P1と第2の相P2の境界が明瞭に残った素体16を得ることができる。
ステップS24で得られた素体の両端面に形成された外部電極の表面に、Cu、Ni、Snの順番で電解めっき層を形成する。具体的には、ステップS24で得られた複数の素体を、めっき液とともにバレルに収容する。次に、バレルを回転させつつ、めっき液に通電を行う。これにより、素体の両端面に形成された外部電極の表面に、めっき層を形成することができる。Niめっきは、外部電極のはんだ耐熱性を向上させる目的で形成される。Snめっきは、外部電極のはんだ濡れ性を高める目的で形成される。
まず、誘電体層を形成するための以下の2種類の材料を準備した。
第1の材料:Sr0.3Ca0.7Zr0.97Ti0.03O3粉
第2の材料:BaZrO3粉
絶縁破壊が生じたときの電圧値が150V/μm以上である場合、絶縁信頼性に優れている(○)と評価した。
絶縁破壊が生じたときの電圧値が150V/μm未満である場合、絶縁信頼性に優れていない(×)と評価した。
絶縁信頼性の評価結果を、以下の表1に示す。
14 外部電極
16 素体
17 誘電体層
18 内部電極層
20 積層体
RL 基準長さ
L1~L10 線分
P1 第1の相
P2 第2の相
Claims (8)
- 誘電体層と内部電極層が交互に積層された積層体と、前記積層体上に設けられた、前記内部電極が接続された少なくとも2つの外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサであって、
前記誘電体層は、チタン酸ジルコン酸ストロンチウムカルシウムを主成分とする第1の相と、ジルコン酸バリウムを主成分とする第2の相とを含み、
前記内部電極層に挟まれた1つの前記誘電体層の断面において、以下の手順(1)~(4)によって求められる平均接触数Nが1.0以上であることを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
(1)前記断面を基準長さRLだけ切り出す。ただし、RLは30μm以上であり、前記誘電体層と前記内部電極層とが積層する方向に直交する方向の長さである。
(2)上記(1)で切り出された断面に、3μm以上の間隔を空けて、前記誘電体層と前記内部電極層とが積層する方向に平行な線分を10本以上引く。
(3)上記(2)で引いた10本以上の線分と、前記第1の相と前記第2の相との境界が接触する箇所の合計数を数える。
(4)上記(3)で得た合計数を、前記線分の本数で除することにより、平均接触数Nを算出する。 - 前記平均接触数Nが2.0以上である、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 前記誘電体層の厚さは、2~10μmである、請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 前記誘電体層に含まれるストロンチウムとカルシウムの合計のモル数と、前記誘電体層に含まれるバリウムのモル数との比率は、97:3~3:97である、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 前記誘電体層に含まれるストロンチウムとカルシウムの合計のモル数と、前記誘電体層に含まれるバリウムのモル数との比率は、97:3~77:23である、請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 平均粒径(d50)が50~200nmであるチタン酸ジルコン酸ストロンチウムカルシウムを含む第1の材料と、平均粒径 (d50)が50~200nmであるジルコン酸バリウムを含む第2の材料を、(ストロンチウムとカルシウムの合計のモル数):(バリウムのモル数)が97:3~3:97となる比率で混合して混合物を得る工程と、
前記混合物からグリーンシートを成形する工程と、
前記グリーンシートに内部電極層を印刷する工程と、
印刷後の前記グリーンシートを切断した後、その切断したグリーンシートを積層して積層物を得る工程と、
前記積層物をカットして積層体チップを得る工程と、
前記積層体チップを、水素を含む還元ガス雰囲気中で、チタン酸ジルコン酸ストロンチウムカルシウムを主成分とする第1の相と、ジルコン酸バリウムを主成分とする第2の相との境界が残るような条件で焼成する工程と、
前記積層体チップに、外部電極を形成する工程と、
を含む積層セラミックコンデンサの製造方法。 - 前記積層体チップを焼成する条件は、温度1220~1280℃であり、時間3~5分である、請求項6に記載の製造方法。
- 前記第1の材料の平均粒径(d50)/前記第2の材料の平均粒径(d50)の値が0.8~1.2である、請求項6または請求項7に記載の製造方法。
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