JP4463095B2 - 積層セラミックコンデンサおよびその製法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサおよびその製法 Download PDF

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサおよびその製法に関し、特に、小型高容量かつ高信頼性を有する積層セラミックコンデンサおよびその製法に関する。
近年、携帯電話などモバイル機器の普及やパソコンなどの主要部品である半導体素子の高速、高周波化に伴い、このような電子機器に搭載される積層セラミックコンデンサは、小型、高容量化の要求がますます高まっている。
そのため積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層は薄層化と高積層化が図られているが、例えば、特許文献1では、誘電体磁器を構成する誘電体粉末について、Aサイトの一部がCaで置換されたチタン酸バリウム粉末(BCT粉末)と、置換Caを含有していないチタン酸バリウム粉末(BT粉末)とを混合して用い、焼成後の誘電体層において、前記チタン酸バリウム結晶粒子の微粒化と比誘電率の向上とともにDCバイアス特性を向上させている。
ところで、上記特許文献1に記載された誘電体磁器を構成するチタン酸バリウム結晶粒子のうちBCT結晶粒子は、比誘電率の温度特性を制御する上で必要不可欠であるMg、希土類元素等の添加成分と混合し、焼成すると、BCT粉末に含まれるCaの拡散にともなって、粒成長が起こり易く、焼成での厳しい条件制御が必要であり、特に、サブミクロン以下の粒径を有する原料を用いた場合には、著しい粒成長を起こしてしまい微粒子のチタン酸バリウム結晶粒子からなる焼結体を作製する事は容易ではないことが知られている。
そのため、上記特許文献1では、焼成時におけるBCT結晶粒子の粒成長を抑制するために、Mgと希土類元素の酸化物を被覆したBT粉末と、BCT粉末とを混合する際に、さらにMnCO、MgOおよび希土類酸化物を添加することにより、焼成後にBT型結晶粒子の表面にほぼ均一に高絶縁性の複合酸化物からなる被覆層を形成するとともに、BCT結晶粒子に対するMg、希土類元素の過剰な固溶や粒成長を抑制している。
また、近年、積層セラミックコンデンサ用の高誘電率材料として、上記BT粉末やBCT粉末とともに、前記BCT粉末のBaサイトをCaとともに一部Srで置き換えた(Ba1−x−yCaSrTiOが高誘電率材料として見いだされ、高容量系の積層セラミックコンデンサや薄膜コンデンサの誘電体層に供されている(特許文献2)。
特開2003−40671号公報 特開2002−284571号公報
上記特許文献1に記載された製法によれば、焼成温度を高度に制御できる小型の実験用焼成炉を用いる焼成条件を採用する場合には、上記したMgと希土類元素の酸化物を被覆したBT粉末と、BCT粉末とを混合する際に、さらにMnCO、MgOおよび希土類酸化物を添加するという手法を用いても所望の比誘電率や温度特性ならびに高温負荷試験を満足できる試料を形成できる。
しかしながら、ひとたび積層セラミックコンデンサの量産製造に用いるようなトンネル型の大型焼成炉に対する焼成温度の管理レベルにおいては、焼成炉内における焼成時の最高温度のバラツキが大きく、このためBCT結晶粒子の粒成長のばらつきが発生しやすく、比誘電率や温度特性ならびに高温負荷試験特性を満足しない範囲のものが多く発生し、量産での歩留まりが低下するという問題があった。また、このような量産製造における問題は、特許文献2として紹介した(Ba1−x−yCaSrTiO系の高誘電率材料を用いた場合にも同様に発生していた。
従って本発明は、主結晶粒子がBCT結晶粒子とBCST結晶粒子とから構成される誘電体磁器を誘電体層として用いてもこれらBCT結晶粒子およびBCST結晶粒子の粒成長を抑制し、トンネル型の大型焼成炉を用いる量産製造においても比誘電率や温度特性ならびに高温負荷試験特性を向上できる積層セラミックコンデンサおよびその製法を提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、主結晶粒子と粒界相とからなる誘電体層と、内部電極層とを交互に積層してなるコンデンサ本体を具備する積層セラミックコンデンサにおいて、前記主結晶粒子は、Ca成分濃度が0.4原子%以上かつSr成分濃度が0.2原子%以下のペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT結晶粒子)と、Ca成分濃度が0.4原子%以上かつSr成分濃度が0.4原子%以上のペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCST結晶粒子)とからなり、前記誘電体層はBa、CaおよびSrの合量をAモルとし、TiをBモルとしたときに、1.003≦A/B1.00の関係を満足することを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサでは、BCT結晶粒子およびBCST結晶粒子、BaとCa、又はBa、CaおよびSrの合量をAモルとし、TiをBモルとしたときに、少なくとも一方の結晶粒子が、A/B≧1.003の関係を満足することが望ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製法は、上述した積層セラミックコンデンサの製法であって、(Ba 1−x−y Ca Sr )TiO (x=0.005〜0.1、y=0.005〜0.1)で表されるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCST粉末)および(Ba 1−x Ca )TiO (X=0.005〜0.15)で表されるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCT粉末)の混合粉末に対し、MgCO 粉末と、希土類元素(RE)の酸化物(RE )粉末と、MnCO 粉末と、アルミナの含有量が1質量%以下のガラス粉末と、炭酸バリウム粉末とを添加した誘電体粉末と有機樹脂とを含有するグリーンシートと内部電極パターンとを交互に積層してコンデンサ本体成形体を作製し、該コンデンサ本体成形体を焼成することを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサの製法では、誘電体粉末として、混合粉末100質量部に対して、MgCO 粉末のMg、希土類元素(RE)およびMnCO 粉末のMnを酸化物換算による合計0.5〜1.5質量部、アルミナの含有量が1質量%以下のガラス粉末を0.7〜2質量部および炭酸バリウム粉末を0.01〜1.2質量部を添加したものを用いること、BCT粉末中のBaおよびCaの合量をAモル、TiをBモルとしたときのA/B比、又はBCST粉末中のBa、CaおよびSrの合量をAモル、TiをBモルとしたときのA/B比のうち、少なくとも一方のA/B比が1.003以上であることが望ましい。なお、Srを含有しないチタン酸バリウム粉末(BCT粉末)とは不純物としてのSrを含有する意である。その量は0.005質量%以下である。
本発明の積層セラミックコンデンサによれば、積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の主結晶粒子が、Ca成分濃度が0.4原子%以上かつSr成分濃度が0.2原子%以下のペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT結晶粒子)と、Ca成分濃度が0.4原子%以上かつSr成分濃度が0.4原子%以上のペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCST結晶粒子)からなり、前記誘電体層はBa、CaおよびSrの合量をAモルとし、TiをBモルとしたときに、1.003≦A/B1.00の関係を満足することにより、BCT結晶粒子およびBCST結晶粒子の粒子径のばらつきを小さくでき、比誘電率や温度特性ならびに高温負荷試験特性を向上できる。また、誘電体層をこのような構成とすることにより、焼成炉内における焼成時の最高温度のバラツキが大きいトンネル型の大型焼成炉を用いた積層セラミックコンデンサの量産製造においても、上記比誘電率や温度特性ならびに高温負荷試験特性などが安定し歩留まりを高めることができる。
また、本発明の積層セラミックコンデンサの製法によれば、(Ba 1−x−y Ca Sr )TiO (x=0.005〜0.1、y=0.005〜0.1)で表されるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCST粉末)および(Ba 1−x Ca )TiO (X=0.005〜0.15)で表されるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCT粉末)の混合粉末に対し、MgCO 粉末と、希土類元素(RE)の酸化物(RE )粉末と、MnCO 粉末と、アルミナの含有量が1質量%以下のガラス粉末と、炭酸バリウム粉末とを添加した誘電体粉末と有機樹脂とを含有するグリーンシートと内部電極パターンとを交互に積層してコンデンサ本体成形体を作製し、該コンデンサ本体成形体を焼成することにより、積層セラミックコンデンサの量産製造において、焼成炉内における焼成時の最高温度のバラツキが大きいトンネル型の大型焼成炉を用いても、BCST結晶粒子およびBCT結晶粒子とを主結晶粒子とする誘電体層の比誘電率や温度特性ならびに、その誘電体層を具備する積層セラミックコンデンサの高温負荷試験特性などが安定し、歩留まりを容易に高めることができる。
(構造)
本発明の積層セラミックコンデンサについて、図1の概略断面図をもとに詳細に説明する。図1は、本発明の積層セラミックコンデンサを示す概略断面図である。引出しの拡大図は誘電体層を構成する主結晶粒子と粒界層を示す模式図である。本発明の積層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。この外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。
コンデンサ本体1は誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。誘電体層5は、主結晶粒子9と粒界相11により構成されている。その厚みは3μm以下、特に、2μm以下であることが積層セラミックコンデンサを小型高容量化する上で好ましく、さらに本発明で、静電容量のばらつきおよび容量温度特性の安定化のために、誘電体層5の厚みばらつきが10%以内であることがより望ましい。
内部電極層7は、高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望ましく、特に、本発明にかかる誘電体層5との同時焼成が図れるという点でニッケル(Ni)がより望ましい。
ここで本発明にかかる主結晶粒子9の平均粒径は、誘電体層5の薄層化による高容量化と高絶縁性を達成するという点で0.5μm以下、d90で0.7μm以下が好ましい。d90とは、粒度分布における質量での90%積算累積値である。一方、これらBCST結晶粒子9aおよびBCT結晶粒子9bの粒径の下限値としては誘電体層5の比誘電率を高め、かつ比誘電率の温度依存性を抑制するという理由から、0.05μm以上が好ましい。
本発明にかかる誘電体層5を構成する主結晶粒子9は、Ca成分濃度およびSr成分濃度の異なるペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子である。即ち、Aサイトの一部がCaおよびSrで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCST結晶粒子)とAサイトの一部がCaで置換されSrを含有していないペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT結晶粒子)とからなる。つまり本発明にかかる主結晶粒子9は、BCST結晶粒子9aとBCT結晶粒子9bとを含有するものであり、上述のように、このような2種の結晶粒子が共存していることにより優れた特性を示す。
そして、本発明にかかるペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子のうちBCT結晶粒子9bは、上記のようにAサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理想的には、(Ba1−xCa)TiOで表される。本発明において、上記BCT結晶粒子9aにおけるAサイト中のCa置換量は、=0.005〜0.15、特に0.01〜0.1であることが好ましく、通常、Mg及び希土類元素がBサイトに固溶している(Aサイトに固溶していることもある)。Ca置換量がこの範囲内であれば、室温付近の相転移点が十分低温にシフトし、BCST結晶粒子9aとの共存構造により、コンデンサとして使用する温度範囲において平坦な温度依存性と優れたDCバイアス特性を確保できるからである。BCT結晶粒子9bは、その粒子中にCa成分濃度が0.4原子%以上、かつSr成分濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子である。
一方、BCST結晶粒子9aは、上記のようにAサイトの一部がCaおよびSrで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理想的には、下記式:(Ba1−x−yCaSr)TiO3で表されるが、上記のBCT結晶粒子9bと同様、このBCST結晶粒子9aにおいても、このBサイトに、通常、Mg及び希土類元素が固溶している。
本発明において、上記BCST結晶粒子9aにおけるAサイト中のCa置換量はx=0.005〜0.1、特にx=0.01〜0.05、Sr置換量はy=0.005〜0.1、特に、0.05〜0.1が好ましい。BCST結晶粒子9aにおけるAサイト中のCa置換量およびSr置換量がこの範囲内であれば、BCSTは100℃近傍に比誘電率ピークを持つ事が出来、また、大きな比誘電率を示す事ができる。BCST結晶粒子はCa成分濃度が0.4原子%以上、かつSr成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウム結晶粒子であり、特に、BCST結晶粒子9aの高い比誘電率をもつ強誘電体としての機能を維持するという点で、Ca成分濃度は0.5〜10原子%、Sr成分濃度は0.5〜10原子%であることが望ましい。
本発明では、誘電体層5の主結晶粒子9を構成するBCST結晶粒子9aとBCT結晶粒子9bとは、上記Ca濃度を規定したときの指標に基づく評価において、誘電体層5の断面もしくは表面の結晶組織におけるそれぞれの結晶粒子の面積比で、BCST結晶粒子9aの割合をABCST、BCT結晶粒子9bの割合をABCTとしたときに、ABCT/ABCTZ=0.05〜20、特に、0.25〜4の関係を有する組織的な割合で共存していることが望ましく、特に、比誘電率、温度特性およびDCバイアス特性をさらに向上させるという点でABCT/ABCST=0.25〜4が好ましい。
また、前記BCST結晶粒子9aおよびBCT結晶粒子9bは、いずれも、Mg、希土類元素およびMnを含有することが望ましく、それらの結晶粒子に含まれるMg、希土類元素およびMnを含有量は、主結晶粒子100質量部に対して、Mg=0.2〜0.6質量部、希土類元素=0.5〜0.9質量部、Mn=0.1〜0.4質量部であれば、さらに静電容量の温度特性を安定化し、かつ高温負荷試験での信頼性を向上できる。
これらMg、希土類元素およびMnは焼結助剤に由来するものであることから、これらの元素はBCST結晶粒子9aおよびBCT結晶粒子9b中に固溶し、焼結性を高めるが、一部、粒界相11に存在する。つまり、本発明にかかる誘電体層において、Mg、希土類元素は、BCT結晶粒子9bおよびBCST結晶粒子9aをコアシェル構造とする成分であり、一方、Mnは還元雰囲気における焼成によって生成するBCT結晶粒子9b、BCST結晶粒子9a中の酸素欠陥を補償し、絶縁性および高温負荷寿命を高めることができる。
また本発明にかかる誘電体層5では、主結晶粒子9を構成する希土類元素は粒子表面である粒界相11を最高濃度として結晶粒子表面から粒子内部にかけて濃度勾配を有するとともに、0.05原子%/nm以上であることが望ましい。つまり、希土類元素の濃度勾配がこのような条件であれば、比誘電率および高温負荷寿命の向上とともに容量温度特性としてもB特性もしくはX7R規格を満足できる。ここで本発明における希土類元素としては、Tb、Dy、Ho、Y、ErおよびYbのうち少なくとも1種が好ましい。
また、本発明にかかる誘電体層5では、誘電体層5の比誘電率を高く維持でき、かつ加速試験における耐性を高めるという理由から、磁器中に含まれるアルミナの不純物量が1質量%以下であることが望ましい。
上記のように本発明の誘電体磁器においては、BCT結晶粒子9bとBCST結晶粒子9aとが共存しているものであり、このような共存系において、BCT結晶粒子9b及びBCST結晶粒子9aは、粒子中心よりも粒子表面側に焼結助剤に由来するMg及び希土類元素が偏在したコアシェル型構造を形成し、この結果、高誘電率であり、比誘電率の温度依存性やDCバイアス依存性が極めて小さいという特性を有している。
ここで、BCT結晶粒子9bの特性の発現について詳述する。BT(BaTiO)結晶粒子に見られる3つの逐次相転移点の内、最も高温(125℃程度)にある相転移温度は、Aサイトの一部がCaで置換されても殆ど変わることがないが、室温近傍とそれよりさらに低温の構造相転移点は、置換Ca量の増大に比例して低温にシフトする。即ち、BTが高誘電率を示す大きな要因は、室温近傍とさらに低温の構造相転移の前駆現象である原子の揺らぎの増大である為、Aサイトの一部がCaで置換されたBCT結晶粒子9bでは、室温近傍及びさらに低温での転移点が低温側にシフトしており、比誘電率は減少するものの、DCバイアス特性は大きく向上する。
また、イオン半径はBaに比べ小さいが、BT結晶粒子のBaサイトに安定的に入る事の出来るSrでBaの一部で置換すると、125℃近傍の常誘電性―強誘電性相転移温度は低下する。Baの一部をSrで置換した(Ba、Sr)TiOは室温近傍で大きな比誘電率ピークを持つ事が良く知られているが、Sr置換により比誘電率ピークを125℃より低温で得る事が出来る。BCT結晶粒子9bのBaの一部をSrで置換すると、Caの効果とSrの効果が共存し、高誘電率で優れた耐還元性を示す。また、Sr置換により、BCT結晶粒子9bの焼結温度を増大させることができる。
この為、BCT結晶粒子9bとBCST結晶粒子9aとなるそれぞれの混合粉体であるBCST粉末およびBCT粉末を焼成すると、両粉末がいずれもCa成分を含んでいるために、Caの拡散が抑制されると同時に、BCT結晶粒子9bとBSCT結晶粒子9a両方の優れた信頼性と、BSCT結晶粒子9aの高誘電率により、高比誘電率かつ絶縁信頼性に優れた特性を示すものとなる。
更に、本発明では、上記したようにBCT結晶粒子9bとBCST結晶粒子9aがサブミクロンオーダーの平均粒径(0.05〜0.5μm)で共存していることが好ましいものであるが、結晶粒子サイズを微小化することは、誘電体層5の薄層化において有利であるものの、BCT結晶粒子9bを単独で用いた場合には、サブミクロンオーダーの粒径では、温度特性やDCバイアス特性に有利なコアシェル型粒子構造(Mgや希土類元素が粒子表面に偏在している)を形成させることが困難である。
即ち、BCT結晶粒子9bを、Mg化合物や希土類元素化合物と混合し焼成すると、Mg、希土類元素がまず液相を形成しBCT結晶粒子9bへの拡散が起こるが、BCT結晶粒子9b中のCaは、Mg、希土類元素より早い拡散速度で動き、特にCa濃度が大きい場合には容易に粒子間を移動し粒成長を引き起こす。Caの拡散を抑制し、粒成長を抑えるためには、焼成温度を低くし、焼成条件を厳密に制御すればよいが、Caの拡散を抑制する事は、Caより拡散速度の遅いMg、希土類元素の拡散をさらに抑制することになってしまう。従って、BCT結晶粒子9bの単独使用では、例えば1200℃以上の温度での高温焼成が困難であり、Mg及び希土類元素がBCT結晶粒子9bの表面に偏在するコアシェル構造を得難い。
しかるに本発明においては、BCT結晶粒子9b単体では容易でなかった高温焼成による微粒子焼結体を実現できる。即ち、焼成に際してのCaの拡散が、BCT結晶粒子9bと共存するBCST結晶粒子9aによって抑制され、1150℃以上、特に1200℃以上での高温焼成が可能となり、焼結性が向上し、原料粉末サイズが実質上そのまま維持されるばかりか、焼結助剤に由来するMgや希土類元素のBT及びBCT結晶粒子中への拡散が促進され、これら結晶粒子のコアシェル構造の形成も促進される。
さらに本発明では、BCT結晶粒子9bとBSCT結晶粒子9aとが共存する主結晶粒子9全体のA/Bサイト比が、1.003≦A/B≦1.008の関係を満足し、BCT結晶粒子9bおよびBCTZ結晶粒子9aのうちの少なくとも1種の結晶粒子が、モル比でA/B≧1.003の関係を満足するように調製されているため、さらに広い焼成温度領域にわたって粒成長を抑制でき、これにより量産製造における特性の安定化を図ることができる。
これに対して、BCT結晶粒子9bとBSCT結晶粒子9aとが共存する主結晶粒子9全体のA/Bサイト比が1.002以下の場合にはBCT結晶粒子9b、BCST結晶粒子9aの粒成長が起こりやすく、絶縁性が低下し、高温負荷試験での不良が発生しやすくなる。
(製法)
次に、本発明に係る積層セラミックコンデンサの製法について詳細に説明する。図は、本発明の積層セラミックコンデンサの製法を示す工程図である。
(a)工程:本発明の製法では、まず、以下に示す原料粉末をポリビニルブチラール樹脂などの有機樹脂や、トルエンおよびアルコールなどの溶媒とともにボールミルなどを用いて混合してセラミックスラリを調製し、次いで、上記セラミックスラリをドクターブレード法やダイコータ法などのシート成形法を用いてセラミックグリーンシート21を形成する。セラミックグリーンシート21の厚みは、誘電体層の高容量化のための薄層化、高絶縁性を維持するという点で1〜4μmが好ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製法は、誘電体粉末と有機樹脂とを含有するグリーンシートと内部電極パターンとを交互に積層して構成されたコンデンサ本体成形体を焼成する積層セラミックコンデンサの製法において、前記誘電体粉末が、(ア)Ca成分濃度およびSr成分濃度の異なる2種以上のBaおよびTiを主成分とする粉末の混合粉末を含有し、該混合粉末に対して、(イ)Mg、希土類元素、およびMnの酸化物と、(ウ)アルミナの含有量が1質量%以下のガラス粉末と、(エ)炭酸バリウム粉末とを添加したものであることを特徴とする。
混合粉末100質量部に対して、Mg、希土類元素、およびMnを酸化物で、合量で0.5〜1.5質量部、アルミナの含有量が1質量%以下のガラス粉末を0.7〜2質量部、および炭酸バリウム粉末を0.01〜1.2質量部を添加したものであることが望ましい。
本発明の製法に用いられるCa成分濃度およびSr成分濃度の異なる2種以上のBaおよびTiを主成分とする粉末とは、Aサイトの一部がCaおよびSrで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCST粉末)およびAサイトの一部はCaで置換されているが、置換Srを含有していないペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCT粉末)である。混合粉末は化学式が、それぞれ(Ba1−x−yCaSr)TiO3および(Ba1−xCa)TiOで表される原料粉末である。
ここで、上記BCT粉末におけるAサイト中のCa置換量は、X=0.005〜0.15、特に0.03〜0.09であることが好ましい。また、上記BCST粉末におけるAサイト中のCa置換量は、x=0.005〜0.1、特にx=0.03〜0.12、y=0.005〜0.1、特に、0.04〜0.13が好ましい。
また、BCT粉末およびBCST粉末のいずれかの粉末は、その構成成分であるAサイト(バリウム、Ca)とBサイト(チタン)との原子比A/Bが1.003以上であることが望ましい。これらBCT粉末およびBCST粉末は、Ba成分、Ca成分、Sr成分およびTi成分を含む化合物を所定の組成になるように混合して合成される。これらの誘電体粉末は、固相法、液相法(蓚酸塩を介して生成する方法を含む)、水熱合成法などから選ばれる合成法により得られたものである。このうち得られる誘電体粉末の粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成法により得られた誘電体粉末が望ましい。
本発明にかかるBCT粉末およびBCST粉末の粒度分布は、誘電体層5の薄層化を容易にし、かつ誘電体粉末の比誘電率を高めるという点で0.1〜0.5μmであることが望ましい。
本発明の誘電体層5を形成する場合、上記BCST粉末とBCT粉末との混合比は、焼成後に得られる磁器において、特に、比誘電率、温度特性およびDCバイアス特性をさらに向上させるという点で、BCST粉末量をWBCST、BCT粉末量をWBCT、としたときに、WBCT/WBCST比がモル比で0.05〜20、特に、0.5〜2の範囲であることが望ましい。
また上記混合粉末に添加するMgは、BCST粉末とBCT粉末の混合物である混合粉末100質量部に対して、酸化物換算で0.05〜0.6質量部、特に、0.2〜0.4重量部、希土類元素は0.1〜1.7質量部、特に、0.5〜0.9質量部、Mnは0.1〜0.5質量部、特に、0.13〜0.19質量部であることが好ましい。
また、上記混合粉末に添加するガラス粉末は、構成成分として、LiO、SiO、BaOおよびCaOにより構成される。ガラス粉末の添加量はBCST粉末とBCT粉末の混合物である誘電体粉末100質量部に対して、0.7〜2質量部であることが磁器の焼結性を高めるという点で好ましい。その組成は、LiO=5〜15モル%、SiO=40〜60モル%、BaO=10〜30モル%、およびCaO=10〜30モル%望ましく、また、本発明にかかるガラス粉末では、特に、アルミナの含有量が1質量%以下であることが重要であり、特に、0.1質量%以下が好ましい。
炭酸バリウム粉末は、BCST粉末とBCT粉末の混合物である混合粉末100質量部に対して、0.01〜1.2質量部、特に、0.3〜0.8質量部であることが粒成長を抑制するという理由から好ましい。
(b)工程:次に、上記得られたセラミックグリーンシート21の主面上に矩形状の内部電極パターン23を印刷して形成する。内部電極パターン23となる導体ペーストは、Ni、Cuもしくはこれらの合金粉末を主成分金属とし、これに共材としてのセラミック粉末を混合し、有機バインダ、溶剤および分散剤を添加して調製する。金属粉末としては、上記誘電体粉末との同時焼成を可能にし、低コストという点でNiが好ましい。セラミック粉末としてはCa、Srを含むBCST粉末が好ましいが、導体ペーストにセラミックス粉末を含有させることで、本発明にかかる内部電極層7は、電極層を貫通して上下の誘電体層5を接続するように柱状のセラミックスが形成される。これにより誘電体層5と内部電極層7間の剥離を防止でき、焼成時の柱状のセラミックスの異常粒成長を抑制でき、機械的強度を高くできる。また、内部電極層に形成される柱状のセラミックスの異常粒成長を抑制することによっても積層セラミックコンデンサの容量温度依存性を小さくできる。なお、内部電極パターン23の厚みは積層セラミックコンデンサの小型化および内部電極パターン23による段差を低減するという理由から1μm以下が好ましい。
なお、本発明によれば、セラミックグリーンシート21上の内部電極パターン23による段差解消のために、内部電極パターン23の周囲にセラミックパターン25を内部電極パターン23と実質的に同一厚みで形成することが好ましい。セラミックパターン25を構成するセラミック成分は、同時焼成での焼成収縮を同じにするという点で前記誘電体粉末を用いることが好ましい。
(c)工程:次に、内部電極パターン23が形成されたセラミックグリーンシート21を所望枚数重ねて、その上下に内部電極パターン23を形成していないセラミックグリーンシート21を複数枚、上下層が同じ枚数になるように重ねて、仮積層体を形成する。仮積層体中における内部電極パターン23は、長寸方向に半パターンずつずらしてある。このような積層工法により、切断後の積層体の端面に内部電極パターン23が交互に露出されるように形成できる。
本発明においては、上記したように、セラミックグリーンシート21の主面に内部電極パターン23を予め形成しておいて積層する工法のほかに、セラミックグリーンシート21を一旦下層側の材に密着させたあとに、内部電極パターン23を印刷し、乾燥させた後に、その印刷乾燥された内部電極パターン23上に、内部電極パターン23を印刷していないセラミックグリーンシート21を重ねて、仮密着させ、このようなセラミックグリーンシート21の密着と内部電極パターン23の印刷を逐次行う工法によっても形成できる。
次に、仮積層体を上記仮積層時の温度圧力よりも高温、高圧の条件にてプレスを行い、セラミックグリーンシート21と内部電極パターン23とが強固に密着された積層体29を形成できる。
次に、積層体29を、切断線hに沿って、即ち、積層体中に形成されたセラミックパターン25の略中央を、内部電極パターン25の長寸方向に対して垂直方向(図4の(c-1)、および図4の(c-2))に切断して、内部電極パターン23の端部が露出するようにコンデンサ本体成形体が形成される。一方、内部電極パターン23の最も幅の広い部分においては、サイドマージン部側にはこの内部電極パターン23は露出されていない状態で形成される。
次に、このコンデンサ本体成形体を、所定の雰囲気下、温度条件で焼成してコンデンサ本体1が形成され、場合によっては、このコンデンサ本体1の稜線部分の面取りを行うとともに、コンデンサ本体1の対向する端面から露出する内部電極層を露出させるためにバレル研磨を施しても良い。本発明の製法において、脱脂は500℃までの温度範囲で、昇温速度が5〜20℃/h、焼成温度は最高温度が1050〜1300℃、1100〜1270℃、特に、1170〜1240℃の範囲、脱脂から最高温度までの昇温速度が200〜500℃/h、最高温度での保持時間が1〜10時間、最高温度から1000℃までの降温速度が200〜500℃/h、雰囲気(酸素濃度PO)が10−7〜10−5Pa、焼成後の熱処理(再酸化処理)最高温度が900〜1100℃、雰囲気が窒素中であることが好ましい。
次に、このコンデンサ本体1の対向する端部に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを行い外部電極5が形成される。また、この外部電極5の表面には実装性を高めるためにメッキ膜が形成される。
(実験例1)
まず、BCT粉末およびBCST粉末および各種添加物の添加量と特性の関係を単層の積層セラミックコンデンサの形態で評価した。平均粒径がともに0.4μmのBCT粉末とBSCT粉末とを、表1に示す割合で混合して混合粉末を作製し、この混合粉末100質量部に対して、更に、MgCO3、Y2O3、Tb2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Yb2O3、MnCO3、BaCO3粉末を表1に記載する量だけ添加した誘電体粉末を準備した。
尚、表1において、Ca及びSr置換量は、式:(Ba1−xCax)TiO3及び、式:(Ba1−x−ySrCaTiO3におけるx、y、A、Bの値で示した。更にアルミナ含有量が0.08質量%であり、Si50モル%、Ba及びCaが各20モル%、LiO 10モル%含有するガラス粉末を、全量中1.2質量部添加し、イソプロパノール(IPA)を溶媒として3mmφのZrO2ボールを用いて回転ミルで12時間湿式混合した。
更に、この誘電体粉末にブチラール樹脂およびトルエンを加えてセラミックスラリーを調製した。次いで、このスラリーをドクターブレード法によりPETフィルム上に塗布し、乾燥機内で60℃で15秒間乾燥後、これを剥離して厚み9μmのセラミックグリーンシートを形成し、これを10枚積層してセラミックグリーンシート積層体を形成した。そして、これらのセラミックグリーンシート積層体を、90℃で30分の条件で乾燥させた。
のセラミックグリーンシート積層体を台板上に配置し、プレス機により圧着して台板上にはりつけた。
一方、PETフィルム上に、上記と同一のセラミックスラリーをドクターブレード法により塗布し、60℃で15秒間乾燥後、厚み2.0μmのセラミックグリーンシートを多数作製した。
次に、平均粒径0.2μmのNi粉末の合量45重量%に対して、エチルセルロース5.5重量%とオクチルアルコール94.5重量%からなるビヒクル55重量%を3本ロールで混練して内部電極ペーストを作製した。
この後、得られたセラミックグリーンシートの一方の表面に、スクリーン印刷装置を用いて、上記内部電極ペーストを内部電極パターン状に印刷し、セラミックグリーンシート上に長辺と短辺を有する長方形状の内部電極パターンを複数形成し、乾燥後、剥離した。
この後、セラミックグリーンシート積層体の上に、内部電極パターンが形成されたグリーンシートを1枚積層し、この後、セラミックグリーンシート積層体を積層し、コンデンサ本体成形体を作製した。
次に、コンデンサ本体成形体を金型上に載置し、積層方向からプレス機の加圧板により圧力を段階的に増加して圧着し、この後さらにコンデンサ本体成形体の上部にゴム型を配置し、静水圧成形した。
この後、このコンデンサ本体成形体を所定のチップ形状にカットし、大気中260℃または0.1Paの酸素/窒素雰囲気中500℃に加熱し、脱バインダーを行った。さらに、10−7Paの酸素/窒素雰囲気中、1100〜1245℃で2時間焼成し、さらに、10−2Paの酸素/窒素雰囲気中にて1000℃で再酸化処理を行い、コンデンサ本体を得た。焼成後、コンデンサ本体の端面にCuペーストを800℃で焼き付け、さらにNi/Snメッキを施し、内部電極と接続する外部端子を形成した。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの内部電極間に介在する誘電体層の厚みは1.5μmであった。
上記作製した積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層は、断面の結晶組織におけるそれぞれの結晶粒子の面積比で、BCST結晶粒子の割合をABCST、BCT結晶粒子の割合をABCTとしたときに、ABCT/ABCST=0.7〜1.2であった。また、主結晶粒子に含まれる希土類元素(イットリウム)は粒子表面である粒界相を最高濃度として結晶粒子表面から粒子内部にかけて0.05原子%/nm以上の濃度勾配を有していた。
次に、これらの積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。
静電容量および比誘電率ならびに比誘電率の温度特性は、周波数1.0kHz、測定電圧0.5Vrmsの測定条件で行った。比誘電率は、静電容量と内部電極層の有効面積、誘電体層の厚みから算出した。
高温負荷試験(HALT寿命)は、温度170℃、電圧14.2V(9.45V/μm)の直流電圧を印加し、絶縁抵抗値が1x10−6以下となる最短時間として求めた。試料数は30個とした。
また、誘電体層を構成するBCT結晶粒子とBCST結晶粒子の平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた。研磨面をエッチングし、電子顕微鏡写真内の結晶粒子を任意に20個選択し、各結晶粒子の最大径を求め、それらの平均値を求めた。本発明では、この平均値を平均粒径とした。
Sr濃度については透過電子顕微鏡およびEDS(元素分析装置)を用いて中心部近傍の任意の場所を分析した。その際、Sr濃度が0.4原子%以上のもの(小数点2位四捨五入)に関してSr濃度の高いBCST結晶粒子とした。この分析は主結晶粒子100〜150個について行った。
Figure 0004463095
Figure 0004463095
表1、2の結果から明らかなように、誘電体層として、Ba、Ca、SrのAサイトおよびTiのBサイトの比が、1.003≦A/B≦1.008の関係を満足するBCST結晶粒子およびBCT結晶粒子からなる主結晶粒子とすることにより、比誘電率や温度特性ならびに高温負荷試験特性を向上できた。
一方、A/B比が1.00のものは、比誘電率の温度特性が大きく、高温負荷試験特性(HALT)の耐久時間が6時間未満と短かった。
(実験例2)
次に、上記実験例1における試料番号13について、誘電体層が200層になるように積層し、焼成温度を1200〜1240℃とし、BCT粉末およびBCST粉末におけるA/B比、BaCO粉末の添加量を表3に示すように変更し、他の条件は実験例1の焼成条件と同じとして試料を作製し、実験例と同じ評価を行った。比較例として、BCT粉末およびBCST粉末のA/B比を1としBaCOを添加しない試料を作製した。結果を表3、4に示した。
Figure 0004463095
Figure 0004463095
表3、4の結果から明らかなように、BCT粉末およびBCST粉末にMg、Y、Mnを含み、かつA/Bサイト比が1.003以上である本発明にかかる試料では、焼成温度が1200〜1240℃において焼成したもの全ての温度領域において、比誘電率が3810以上、比誘電率の温度特性が85℃において−9.8%以内の範囲であり、高温負荷試験(170℃、9.45v/μm)での耐久時間が1000時間以上であった。積層数を多くしたものでは、積層数が1層のものよりも比誘電率が高かった。
一方、BCTおよびBCST粉末のA/Bサイト比が1.001以下のものに対して、炭酸バリウムを加えなかった試料では、焼成温度が1200〜1240℃において焼成した温度領域において、比誘電率が低く、高温負荷試験において耐久時間が1000時間以下であった。
本発明の積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 本発明の積層セラミックコンデンサの製法を示す工程図である。
符号の説明
1 コンデンサ本体
3 外部電極
5 誘電体層
7 内部電極層
9 主結晶粒子
9a BCST結晶粒子
9b BT結晶粒子
21 セラミックグリーンシート
23 内部電極パターン
25 セラミックパターン
29 積層体

Claims (5)

  1. 主結晶粒子と粒界相とからなる誘電体層と、内部電極層とを交互に積層してなるコンデンサ本体を具備する積層セラミックコンデンサにおいて、前記主結晶粒子は、Ca成分濃度が0.4原子%以上かつSr成分濃度が0.2原子%以下のペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT結晶粒子)と、Ca成分濃度が0.4原子%以上かつSr成分濃度が0.4原子%以上のペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCST結晶粒子)とからなり、前記誘電体層はBa、CaおよびSrの合量をAモルとし、TiをBモルとしたときに、1.003≦A/B1.00の関係を満足することを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記BCT結晶粒子および前記BCST結晶粒子、BaとCa、又はBa、CaおよびSrの合量をAモルとし、TiをBモルとしたときに、少なくとも一方の結晶粒子が、A/B≧1.003の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサの製法であって、(Ba 1−x−y Ca Sr )TiO (x=0.005〜0.1、y=0.005〜0.1)で表されるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCST粉末)および(Ba 1−x Ca )TiO (X=0.005〜0.15)で表されるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCT粉末)の混合粉末に対し、MgCO 粉末と、希土類元素(RE)の酸化物(RE )粉末と、MnCO 粉末と、アルミナの含有量が1質量%以下のガラス粉末と、炭酸バリウム粉末とを添加した誘電体粉末と有機樹脂とを含有するグリーンシートと内部電極パターンとを交互に積層してコンデンサ本体成形体を作製し、該コンデンサ本体成形体を焼成することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製法。
  4. 前記誘電体粉末として前記混合粉末100質量部に対して、前記MgCO 粉末のMg、前記希土類元素(RE)および前記MnCO 粉末のMnを酸化物換算による合計で0.5〜1.5質量部、前記ガラス粉末を0.7〜2質量部および前記炭酸バリウム粉末を0.01〜1.2質量部を添加したものを用いることを特徴とする請求項3に記載の積層セラミックコンデンサの製法。
  5. 前記BCT粉末中のBaおよびCaの合量をAモル、TiをBモルとしたときのA/B比、又は前記BCST粉末中のBa、CaおよびSrの合量をAモル、TiをBモルとしたときのA/B比のうち、少なくとも一方のA/B比が1.003以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の積層セラミックコンデンサの製法。
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