JP4809152B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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この発明は、電子機器に用いられるセラミックコンデンサ、特にニッケルあるいはニ
ッケル合金からなる内部電極層を有する積層セラミックコンデンサおよびその製法に関する。
積層セラミックコンデンサは誘電体層と内部電極層とを交互に積層して構成されたコンデンサ本体と、そのコンデンサ本体において内部電極層が露出した端面に外部電極を形成して構成されるものである。近年、小型、高容量化の要求に対して誘電体層および内部電極層の薄層化と多積層化が図られている。このような積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層には、例えば、BaTiOを主成分とする誘電体材料が用いられ、一方、内部電極にはNiなどの卑金属が低コストという点で好適に用いられている。内部電極層にNiなどの卑金属を用いる場合、通常、水素−窒素の混合ガス雰囲気中での焼成が行われるが、このような雰囲気での焼成では誘電体層が還元され半導体化してしまうという問題があった。
このような問題を解決するために、例えば、チタン酸バリウム系粉末のバリウムサイトとチタンサイトの比を化学量論比より過剰にした誘電体材料(例えば、特許文献1)や、チタン酸バリウム系粉末にMnO、希土類元素の酸化物およびMgOなどの添加物を加えた誘電体材料が提案されてきた(例えば、特許文献2)。
そして、上記提案された誘電体材料は、耐還元性が高く、高い比誘電率を示すことから、これまで量産されている厚みが10μm以上の誘電体層を有する積層セラミックコンデンサに好適に用いられてきた。しかしながら、近年の積層セラミックコンデンサのように厚みが10μm未満の誘電体層に対しては、上述の誘電体材料では粒成長しやすく、誘電体層の1層中に存在する結晶粒子の数の減少により、絶縁性が低下し高温負荷寿命試験などの信頼性が得られないという問題を有していた。
そこで近年に至り誘電体層の厚みを10μmよりも薄くしても高い比誘電率と高絶縁性を有する新規な誘電体材料がさらに提案された(例えば、特許文献3)。この特許文献3に開示された誘電体材料は主成分であるチタン酸バリウム粉末(BT粉末)中に不純物として含まれるアルカリ金属酸化物の含有量を0.02重量%以下とした上で、このBT粉末に対して、酸化スカンジウム、酸化イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類以上と、酸化ガドリニウム、酸化テルビニウム、酸化ジスプロシウムの中から選ばれる少なくとも1種類以上というイオン半径の異なる2種類以上の希土類元素の酸化物を添加して構成されている。
特公昭57−42588号公報 特開昭61−101459号公報 特開平10−223471号公報
しかしながら、上記した特許文献3に開示された誘電体材料を用いたとしても誘電体層の厚みを2μm以下に適用させるために、BT粉末をさらに微粒化して用いた場合には誘電体層の比誘電率の低下が大きく高い静電容量が得られないこと、また、上記のように2種類以上の希土類元素を添加しても粒成長が起こり、誘電体層の絶縁性が低下し高温負荷寿命試験において信頼性が得られないという問題があった。
従って、本発明は、誘電体層を薄層化して多積層化を図った場合においても高容量かつ高絶縁性の得られる積層セラミックコンデンサおよびその製法を提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、Caを0.2原子%以下の割合で含有するチタン酸バリウム結晶粒子およびCa成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子が混在したチタン酸バリウム系結晶粒子によって構成された複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された複数の内部電極層と、該内部電極層に電気的に接続された外部電極とを具備する積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体層が、酸化イットリウムと、酸化テルビウムと、酸化マンガンとを含有し、チタン酸バリウム(BaTiO)100モル部に対して副成分として酸化ケイ素をSiOに換算して0.5〜5モル部含有するとともに、酸化イットリウム:酸化テルビウム=0.5〜2(モル):0.1〜0.5(モル)であることを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサでは、前記チタン酸バリウム系結晶粒子のうち、Ca成分濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子の平均粒子径をD1、Ca成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子の平均粒子径をD2としたとき、前記D1が0.13〜0.15μm、D2/D1が1.3〜1.92であること、前記チタン酸バリウム系結晶粒子のうち、Ca成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子を化学式Ba1−xCaTiO(x=0.01〜0.2)で表すとともに、BaおよびCaの合量をAモル、TiをBモルとしたときに、A/B≧1.003の関係を満足することが望ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサによれば、高温負荷寿命試験において高い信頼性を得ることができる。
本発明の積層セラミックコンデンサについて図1の概略断面図をもとに詳細に説明する。図1は本発明の積層セラミックコンデンサを示す概略断面図である。引出しの拡大図は誘電体層を構成する結晶粒子と粒界相を示す模式図である。本発明の積層セラミックコンデンサはコンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。この外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。コンデンサ本体1は誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。誘電体層5はチタン酸バリウム系結晶粒子9と粒界相11により構成されている。その厚みは2μm以下、特に1.5μm以下であることが積層セラミックコンデンサを小型高容量化する上で好ましい。
内部電極層7は高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)またはニッケル合金などの卑金属が望ましく、特に、係る誘電体層5との同時焼成が図れるという点でニッケル(Ni)がより望ましい。このような誘電体層5を構成するBaTiOを主体とする結晶粒子9としては、BaTiOを主体とする結晶粒子からなるペロブスカイト型構造を有するチタン酸バリウム結晶粒子の他に、Ca成分濃度の異なるペロブスカイト型構造を有するチタン酸バリウム結晶粒子が望ましく、特に、チタン酸バリウム結晶粒子(BCT結晶粒子)9aと置換Caを含有していないチタン酸バリウム結晶粒子(BT結晶粒子)9bとが共存したものが比誘電率を高めるという点でより好ましい。ここで、BT結晶粒子9bはCa成分濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子であり、一方、BCT結晶粒子9aはCa成分濃度が0.4原子%以上、特に、BCT結晶粒子9aの高い比誘電率をもつ強誘電体としての機能を維持するという点でCa成分濃度は0.5〜2.5原子%のチタン酸バリウム結晶粒子であることが望ましい。この場合、不純物として含まれるアルカリ金属酸化物の含有量が0.02重量%以下であることが高い絶縁性を維持できるという点で好ましい。
また、係るチタン酸バリウム系結晶粒子9の平均粒径は誘電体層5の薄層化による高容量化と高絶縁性を達成するという点で0.2μm以下、d90で0.4μm以下が好ましい。d90とは粒度分布における質量での90%積算累積値である。一方、BCT結晶粒子9aおよびBT結晶粒子9bの粒径の下限値としては誘電体層5の比誘電率を高め、かつ比誘電率の温度依存性を抑制するという理由から、0.07μm以上が好ましい。
さらに、チタン酸バリウム系結晶粒子9のうち、Ca成分濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子(BT結晶粒子)9bの平均粒子径をD1、Ca成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子(BCT結晶粒子)9aの平均粒子径をD2としたときに、D1が0.13〜0.15μm、D2/D1が1.3〜1.92であることが望ましい。BT結晶粒子9bの平均粒子径を上記の範囲とすることで比誘電率が高まり、さらに、BT結晶粒子9bの平均粒子径D1とBCT結晶粒子9aの平均粒子径D2との比D2/D1を上記範囲にすると、高誘電率に加え、比誘電率の温度特性を安定化でき、高温負荷寿命を高められる。
ここで結晶粒子9を構成するひとつの結晶粒子であるBCT結晶粒子9aは、上記のようにAサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理想的には、(Ba1−xCa)TiOで表される。本発明において、上記BCT結晶粒子9aにおけるAサイト中のCa置換量は、X=0.01〜0.2、特にX=0.02〜0.07であることが好ましい。Ca置換量がこの範囲内であれば室温付近の相転移点が十分低温側にシフトしBT結晶粒子9bとの共存構造によりコンデンサとして使用する温度範囲において優れた静電容量の温度特性およびACバイアス特性を確保できるからである。BCT結晶粒子9aによって構成される誘電体磁器はBT結晶粒子のみによって構成される誘電体磁器に比べて、ACバイアスを印加したときの比誘電率の増加率が2倍以上もあり、そのため、BT結晶粒子9bとBCT結晶粒子9aとを混在させたものは微粒であっても高い比誘電率を示すのである。
一方、BT結晶粒子9bは置換Caを含有していないペロブスカイト型構造のチタン酸バリウムであり理想的にはBaTiOで表される。尚、本発明においてBT結晶粒子9bとは分析値としてのCa濃度が0.2原子%以下であるものとする。
本発明では誘電体層5のチタン酸バリウム系結晶粒子9を構成するBCT結晶粒子9aとBT結晶粒子9bとは、上記Ca濃度を規定したときの指標に基づく評価において、誘電体層5の断面もしくは表面の結晶組織におけるそれぞれの結晶粒子の面積比で、BCT結晶粒子9aの割合をABCT、BT結晶粒子9bの割合をABTとしたときに、ABT/ABCT=0.1〜3の関係を有する組織的な割合で共存していることが望ましく、特に、比誘電率、温度特性およびDCバイアス特性をさらに向上させるという点で、ABT/ABCT=0.3〜2が好ましい。加えて本発明ではチタン酸バリウム系結晶粒子9を構成するチタン酸バリウムにおけるバリウムまたはCaのAサイト、およびチタンのBサイトの比がA/B≧1.003の関係を満足することが粒成長を抑制するという理由から好ましい。
また、BCT結晶粒子9aおよびBT結晶粒子9bは、いずれも下記に示す2種類以上の希土類元素を含有するものである。希土類元素としては、チタン酸バリウム系結晶粒子9の比誘電率を高め、比誘電率の温度特性を安定化させ、高い絶縁性を維持できるという理由から酸化イットリウムと酸化テルビウムを選択、その組成比は酸化イットリウム:酸化テルビウム=0.5〜2(モル):0.1〜0.5(モル)の範囲とする。希土類元素の含有量はBaTiOを主体とする結晶粒子100モル部に対して合計量で0.5〜3モル部であることが好ましい。
酸化イットリウムおよび酸化テルビウムについての効果は以下のように説明できる。これらの希土類元素は、チタン酸バリウム系材料などのペロフスカイト型酸化物の強誘電性発現の源泉であるO(酸素)の2s、2pと、Ti(チタン)の3d、4sおよびエネルギー準位の近い4pとの混成を乱さない5p以上の最外殻電子軌道を持つ希土類を用いることで誘電体磁器の比誘電率が向上する。誘電体磁器の特性に関して希土類元素の効果は当該誘電体磁器についてX線分光分析を行い、そのピークの起源が4p軌道に由来する24eV近傍にあるピーク強度を評価することによって求められる。実際には、X線分光分析のチャートにおいて0eVの強度から50eVの強度の値を結んでベースラインとし、そのベースライン分の強度値を減じた36eV近傍に見られる主ピークの強度に対し、同様にベースライン分の強度値を減じた24eVの強度比は、TbではP2/P1≦0.25であるのに対し、YはP2/P1>0.25となる。このようにP2/P1>0.25ではペロブスカイト型酸化物の強誘電性発現の源泉であるOの2s、2pと、Tiの3d、4sおよびエネルギー準位の近い4pとの混成を乱すため、誘電率が低下するが、TbはP2/P1≦0.25であることから、ペロフスカイト型酸化物の強誘電性発現の源泉であるOの2s、2pと、Tiの3d、4sおよびエネルギー準位の近い4pとの混成を乱すことが抑制されるためである。
また、本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5は希土類元素の酸化物の他にMgOやMnOを含有することが望ましく、それらの結晶粒子9に含まれるMgOおよびMnOの含有量はBaTiOを主体とする結晶粒子100モル部に対して、MgO=0.5〜2モル部、MnO=0.2〜0.5モル部であれば、静電容量の温度特性をさらに安定化できるとともに絶縁性が高まり高温負荷試験での信頼性が優れたものとなる。
これらMgO、希土類元素の酸化物およびMnOは焼結助剤に由来するものであることから、これらの元素の酸化物はBCT結晶粒子9aおよびBT結晶粒子9b中に固溶するが一部は粒界相11に非晶質として存在しやすいものである。
本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5において、MgOおよび希土類元素の酸化物はBT結晶粒子9bおよびBCT結晶粒子9aの表面付近に固溶しコアシェル構造とする成分であり、一方、Mnは還元雰囲気における焼成によって生成するBT結晶粒子9b、BCT結晶粒子9a中の酸素欠陥を補償し、絶縁性および高温負荷寿命を高めることができる。
本発明の積層セラミックコンデンサの誘電体層5を構成するチタン酸バリウム系結晶粒子9についてさらに説明すると、この誘電体層5はBCT結晶粒子9aとBT結晶粒子9bとが共存している系において、BCT結晶粒子9aおよびBT型結晶粒子9bは粒子中心よりも粒子表面側に焼結助剤に由来するMgOおよび希土類元素の酸化物が偏在したコアシェル型構造を形成するものであるが、BT結晶粒子9bは逐次相転移に伴う原子の揺らぎに起因して4000を越す大きな比誘電率を示すが、逐次相転移の前駆現象である原子の揺らぎに起因した高比誘電率の為、DCバイアスの印加による比誘電率の減少が大きく、粒径が小さくなるに従い、その効果が小さくなってくる。BT結晶粒子に見られる3つの逐次相転移点の内、最も高温(125℃程度)にある相転移温度は、Aサイトの一部がCaで置換されても殆ど変わることがないが、室温近傍とそれよりさらに低温の構造相転移点は、置換Ca量の増大に比例して低温にシフトする。即ち、Aサイトの一部がCaで置換されたBCT結晶粒子9aでは、室温近傍とそれよりもさらに低温での転移点が低温側にシフトしており比誘電率は減少するもののACバイアス特性は大きく向上するため比誘電率が向上するのである。つまり、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層5では高い比誘電率を示し、温度特性に優れたBT結晶粒子9bと、ACバイアス特性に優れたBCT結晶粒子9aとの共存構造を実現することによりBT結晶粒子9bに比べてACバイアス特性に優れ高い比誘電率となり、また誘電特性の温度依存性も小さいという特性を示すものとなる。
また本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5は粒界相11の成分として酸化ケイ素をSiOに換算して、BaTiOを主体とする結晶粒子100モル部に対して0.5〜5モル部含有することを特徴とする。このような組成を有する誘電体層5は粒界相11が下記の物理構造を有することが重要であり、これにより比誘電率が高くかつ高い絶縁性を維持でき、加速試験における耐性を高められる。
図2は、本発明の積層セラミックコンデンサにおける交流インピーダンス測定を用いた誘電体層5中の粒界の抵抗の評価手法を示す模式図である。図2において、20aは試料である積層セラミックコンデンサを装着して温度制御を行う恒温槽、20bは試料に直流電圧を印加するHALT測定装置、20cは交流電源を有するインピーダンス測定装置である。本発明では積層セラミックコンデンサを誘電体層5を構成するペロブスカイト型チタン酸バリウム系結晶粒子9が示すキュリー温度よりも高い温度、および積層セラミックコンデンサの定格電圧の1/3以上の電圧の高温負荷状態に放置する。この場合放置時間を変えて試験を行う。そして、前述の条件で高温負荷状態に放置した前後において同じ条件の交流インピーダンス測定を行い誘電体層5中の粒界相11の抵抗減少率を測定する。放置時間を変更したものを複数個評価することにより抵抗変化率は時間の依存性(単位時間当たりの変化量)として評価できる。
図3は本発明の積層セラミックコンデンサにおけるチタン酸バリウム系結晶粒子9のコア(中心部)、シェル(外周部)、粒界相11、および内部電極層7と誘電体層5との界面におけるインピーダンス変化のグラフ(コールコールプロット)である。この評価では誘電体層5を図の等価回路のように、コア(中心部)、シェル(外周部)、粒界相11および内部電極7と誘電体層5との界面の4つの成分に区別する。グラフの横軸はインピーダンス信号の実部、縦軸は虚部を示す。インピーダンスの変化を示すグラフは加速寿命試験(HALT)の前と後の違いおよびシミュレーションによるフィッティングである。本発明に係る評価は粒界相11における抵抗変化に着目するものであり、その実部の変化率が1%/min以下であることが重要である。抵抗変化率が1%/minを超えるものは高温負荷寿命の信頼性が低いものとなる。なお、上述した評価は例えば加速寿命試験(HALT)の前後における図3のコールコールプロットを専用ソフトによってコア(中心部)、シェル(外周部)、粒界相11および内部電極7と誘電体層5との界面の4つの成分に分けて求めることができる。ここで、高温負荷雰囲気処理前後での誘電体層5中のイオンの拡散や電子の移動が大きくなり粒界相11の抵抗減少率を顕著に見ることができるという点で、温度はキュリー温度の1.5倍、電圧は定格電圧の2/5V以上が好ましい。
次に、本発明の積層セラミックコンデンサの製法について詳細に説明する。図4は本発明の積層セラミックコンデンサの製法を示す工程図である。
(a)工程:本発明の製法では、まず、以下に示す原料粉末をポリビニルブチラール樹脂などの有機樹脂やトルエンおよびアルコールなどの溶媒とともにボールミルなどを用いてセラミックスラリを調製し、次いで、このセラミックスラリをドクターブレード法やダイコータ法などのシート成形法を用いてセラミックグリーンシート21を形成する。セラミックグリーンシート21の厚みは誘電体層5の高容量化のための薄層化、高絶縁性を維持するという点で1〜3μmが好ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製法に用いられるAサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BCT粉末)および置換Caを含有していないペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末(BT粉末)である誘電体粉末は、それぞれ(Ba1−xCa)TiOおよびBaTiOで表される原料粉末である。ここで上記BCT粉末におけるAサイト中のCa置換量はX=0.01〜0.2、特にX=0.03〜0.1であることが好ましい。また、このBCT粉末ではその構成成分であるAサイト(バリウム)とBサイト(チタン)との原子比A/Bが1.003以上、特に、1.003〜1.009であることが望ましい。BCT粉末のAサイト(バリウム)とBサイト(チタン)との原子比A/Bが1.003以上であると、BCT結晶粒子9aの粒成長を抑制でき、高絶縁性となり高温負荷寿命を向上できる。なお、不純物として含まれるアルカリ金属酸化物の含有量が0.02質量%以下であることが好ましい。
これらBT粉末およびBCT粉末は、Ba成分、Ca成分およびTi成分を含む化合物を所定の組成になるように混合して合成される。これらの誘電体粉末は、固相法、液相法(蓚酸塩を介して生成する方法を含む)、水熱合成法などから選ばれる合成法により得られるものである。このうち得られる誘電体粉末の粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成法により得られた誘電体粉末が望ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製法に用いる誘電体粉末である、チタン酸バリウム粉末(BT粉末)およびチタン酸バリウムカルシウム粉末(BCT粉末)の粒度分布は誘電体層5の薄層化を容易にしかつ誘電体粉末の比誘電率を高めるという点で0.05〜0.3μmであることが望ましく、この場合、BT粉末の平均粒径が0.05〜0.2μm、一方、BCT粉末の平均粒径が0.1〜0.3μmであることが好ましい。これら両粉末の混合物においてBCT粉末とBT粉末とではBCT粉末の方を大きくしたものを用いることが焼成後において誘電体層を高誘電率化できるという点で好ましい。
また、この誘電体粉末に添加する希土類元素はBCT粉末とBT粉末の混合物である誘電体粉末100モル部に対して酸化物換算で合量で0.5〜3モル部であることが好ましく、その希土類元素の酸化物粉末としては第1希土類粉末および第2希土類粉末を混合して用いることがより好ましい。
また、MgOはBCT粉末とBT粉末の混合物である誘電体粉末100モル部に対して0.5〜1モル部であること、さらにMnOはBCT粉末とBT粉末の混合物である誘電体粉末100モル部に対して0.2〜0.5モル部であることが好ましい。
また、これらの誘電体粉末に添加する焼結助剤は融点が1000℃以上の第1複合酸化物と融点が1000℃よりも低い第2複合酸化物をBCT粉末とBT粉末の混合物である誘電体粉末100モル部に対してSiO換算で0.5〜5モル部添加したものである。この場合、前記第1複合酸化物として、BaOが25〜35モル%、CaOが15〜25モル%、SiOが45〜55モル%の組成を有し、かつ前記第2複合酸化物として、SiOが75〜90モル%、Bが10〜25モル%の組成を有するゾル−ゲルガラスを用いることが望ましい。言い換えると、これらの焼結助剤は融点が1000℃以上の高融点の第1複合酸化物と融点が1000℃より低い低融点の第2複合酸化物を混合して用いるものである。融点が1000℃以上の高融点の第1複合酸化物は焼成段階において高温域に到達してから急な粘度の低下を起こすために、チタン酸バリウム系粉末に対して焼結助剤の固溶を抑制でき、これにより粒成長を抑制できる。一方、融点が1000℃より低い低融点の第2複合酸化物は焼成段階の早い段階から粘度の低下が起こるためにチタン酸バリウム系粉末の表面に薄く十分に拡散しチタン酸バリウム系粉末の焼結性を高めることができる。融点の異なる焼結助剤を混合して用いると、チタン酸バリウム系粉末が微粒であっても高い焼結性を維持しつつ粒成長を抑制でき、チタン酸バリウム系粉末を焼成して得られる誘電体層5の粒界相の絶縁性を高めることができ、特に高温負荷寿命等の信頼性を向上できる。
また、本発明では、前記第1複合酸化物として、BaOが25〜35モル%、CaOが15〜25モル%、SiOが45〜55モル%の組成を有し、かつ前記第2複合酸化物として、BaOが20〜30モル%、CaOが10〜15モル%、SiOが30〜50モル%およびLiOが10〜30モル%の組成を有するゾル−ゲルガラスを用いることが望ましい。第1複合酸化物として上記のBaO−CaO−SiO−LiO系を用いると、融点をBaO−B系に比較して低温にできるために、焼成段階の早い段階から粘度をさらに低下できるとともに、添加量が少量であってもチタン酸バリウム系粉末の表面に薄く十分に拡散し得る。このため、添加剤量を減量できる分だけ誘電体磁器の比誘電率を高めることができるという利点がある。
(b)工程:次に、上記得られたセラミックグリーンシート21の主面上に矩形状の内部電極パターン23を印刷して形成する。内部電極パターン23となる導体ペーストは、Niもしくはこれらの合金粉末を主成分金属とし、これに共材としてのセラミック粉末を混合し、有機バインダ、溶剤および分散剤を添加して調製する。セラミック粉末としてはCa濃度の低いBT粉末が好ましいが、導体ペーストにセラミックス粉末を含有させることで、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する内部電極層7は、この内部電極層7を貫通して上下の誘電体層5を接続するように柱状のセラミックスが形成される。これにより誘電体層5と内部電極層7間の剥離を防止できる。ここで用いるセラミック粉末は焼成時の柱状のセラミックスの異常粒成長を抑制でき機械的強度を高くできる。
また、内部電極層7に形成される柱状のセラミックスの異常粒成長を抑制することによっても積層セラミックコンデンサの容量温度依存性を小さくできる。内部電極パターン23の厚みは積層セラミックコンデンサの小型化および内部電極パターン23による段差を低減するという理由から1μm以下が好ましい。
なお、本発明によれば、セラミックグリーンシート21上の内部電極パターン23による段差解消のために、内部電極パターン23の周囲にセラミックパターン25を内部電極パターン23と実質的に同一厚みで形成することが好ましい。セラミックパターン25を構成するセラミック成分は、同時焼成での焼成収縮を同じにするという点でセラミックグリーンシート21に用いた誘電体粉末を用いることが好ましい。
(c)工程:次に、内部電極パターン23が形成されたセラミックグリーンシート21を所望枚数重ねて、その上下に内部電極パターン23を形成していないセラミックグリーンシート21を複数枚、上下層が同じ枚数になるように重ねて仮積層体を形成する。仮積層体中における内部電極パターン23は長寸方向に半パターンずつずらしてある。このような積層工法により切断後の積層体の端面に内部電極パターン23が交互に露出されるように形成できる。
本発明の積層セラミックコンデンサの製法においては、上記したように、セラミックグリーンシート21の主面に内部電極パターン23を予め形成しておいて積層する工法の他に、セラミックグリーンシート21を一旦下層側の機材に密着させたあとに、内部電極パターン23を印刷し、乾燥させ、この印刷乾燥された内部電極パターン23上に、内部電極パターン23を印刷していないセラミックグリーンシート21を重ねて仮密着させ、セラミックグリーンシート21の密着と内部電極パターン23の印刷を逐次行う工法によっても形成できる。
次に、仮積層体を上記仮積層時の温度圧力よりも高温、高圧の条件にてプレスを行い、セラミックグリーンシート21と内部電極パターン23とが強固に密着された積層体29を形成できる。
次に、積層体29を切断線hに沿って切断することにより内部電極パターン23の端部が露出するコンデンサ本体成形体を形成する。この場合の切断は積層体29中に形成されたセラミックパターン29の略中央を内部電極パターン25の長寸方向に対して垂直方向(図4の(c1)、および図4の(c2))と、内部電極パターン23の長寸方向に平行に行う。この場合、エンドマージン側には内部電極パターン29が露出するが、サイドマージン部側には内部電極パターン23が露出されていない状態で形成される。
次に、このコンデンサ本体成形体を、所定の雰囲気下、温度条件で焼成してコンデンサ本体が形成され、場合によっては、このコンデンサ本体1の稜線部分の面取りを行うとともに、コンデンサ本体1の対向する端面から露出する内部電極層7を露出させるためにバレル研磨を施しても良い。本発明の積層セラミックコンデンサの製法において、脱脂は500℃までの温度範囲で、昇温速度が5〜20℃/h、焼成温度は最高温度が1000〜1250℃の範囲、脱脂から最高温度までの昇温速度が200〜500℃/h、最高温度での保持時間が0.5〜4時間、最高温度から1000℃までの降温速度が200〜500℃/h、雰囲気が水素−窒素、焼成後の熱処理(再酸化処理)最高温度が900〜1100℃、雰囲気が窒素であることが好ましい。
次に、このコンデンサ本体1の対向する端部に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを行い外部電極1が形成される。この外部電極3の表面には実装性を高めるためにメッキ膜が形成される。
積層セラミックコンデンサを以下のようにして作製した。用いるチタン酸バリウム系粉末、希土類粉末、焼結助剤の添加量と、焼成温度を表1に示した。ここで用いるBT粉末(BaTiO)およびBCT粉末(Ba1−xCaTiO x=0.05)におけるA/Bサイト比は1または1.003のものを用いた。また、BT粉末およびBCT粉末の粒径は表1に示すように0.07〜0.23μmのものを用いた。ここで用いたBCT粉末は粉末中におけるCaの濃度分布における最高濃度をChigh、平均濃度をCaveとしたときの比Chigh/Cave=2.3のものを用いた。このChigh/Cave=2.3のものBCT粉末は焼成後にChigh/Cave=2.1であった。焼結助剤は、第1複合酸化物として融点が1050℃であるBaO=30、CaO=20、SiO=50(モル%)のものと、第2複合酸化物は融点が950℃であるSiO=90、B=10(モル%)のものを使用した。チタン酸バリウム系粉末100モル部に対してMgOは1モル部、MnOはMnCOのかたちで0.3モル部添加した。MgOの平均粒径は0.2μm、MnOの平均粒径は0.2μm、焼結助剤の平均粒径は0.3μmとした。
次に、上記混合粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合した。次に、湿式混合した粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエンとアルコールの混合溶媒を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合しセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚み2.5μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートの上面にNiを主成分とする矩形状の内部電極パターンを複数形成した。内部電極パターンに用いた導体ペーストは、Ni粉末は平均粒径0.3μmのものを用い、共材としてセラミックグリーンシートに用いたBT粉末をNi粉末100質量部に対して30質量部添加した。
次に、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを100枚積層し、その上下面に内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて温度60℃、圧力10Pa、時間10分の条件で一括積層し、所定の寸法に切断した。
次に、積層成形体を10℃/hの昇温速度で大気中で300℃/hにて脱バインダ処理を行い、500℃からの昇温速度が300℃/hの昇温速度で、水素−窒素中、1040〜1200℃で2時間焼成し、続いて300℃/hの降温速度で1000℃まで冷却し、窒素雰囲気中1000℃で4時間再酸化処理をし、300℃/hの降温速度で冷却し、コンデンサ本体を作製した。このコンデンサ本体の大きさは1×0.5×0.5mm、誘電体層の厚みは1.8μmであった。内部電極層の1層あたりの面積は0.258mmであった。
次に、焼成したコンデンサ本体をバレル研磨した後、コンデンサ本体の両端部にCu粉末とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて外部電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
作製した積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層は断面の結晶組織におけるそれぞれの結晶粒子の面積比で、BCT結晶粒子の割合をABCT、BT結晶粒子の割合をABTとしたときに、ABT/ABCT=0.8〜1.2であった。これは分析電子顕微鏡観察によって求めた。写真倍率が30000倍とした。また、チタン酸バリウム結晶粒子に含まれる希土類元素(イットリウム)は粒子表面である粒界層を最高濃度として結晶粒子表面から粒子内部にかけて0.05原子%/nmの濃度勾配を有していた。これは透過型電子顕微鏡に付設の分析器によって測定した。また、BCT結晶粒子中のCa成分の濃度分布も同様の方法によって測定した。BCT結晶粒子中のCa成分の濃度分布の測定は、誘電体層中の結晶粒子を任意に10個選択し、結晶粒子の界面から中心部にかけて5nm毎にEDS分析を行い、その濃度分布曲線から平均濃度と最高濃度を求めた。
次に、これらの積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。静電容量および比誘電率ならびに比誘電率の温度特性(X5R)は、周波数1.0kHz、測定電圧0.5Vrmsの測定条件で行った。比誘電率は静電容量と内部電極層の有効面積、誘電体層の厚みから算出した。
また、誘電体層を構成するBT型結晶粒子とBCT型結晶粒子の平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた。研磨面をエッチングし、30000倍で写した電子顕微鏡写真内の結晶粒子を任意に20個選択し、インターセプト法により各結晶粒子の最大径を求め、それらの平均値を求めた。
Ca濃度については透過電子顕微鏡およびEDSを用いて中心部近傍の任意の場所を分析した。その際、Ca濃度が0.4原子%よりも高いもの(小数点2位四捨五入)に関してCa濃度の高い誘電体粒子とした。この分析は主結晶粒子100〜150個について行った。
誘電体層の組成は、得られた積層セラミックコンデンサから誘電体層の部分を切除して、その部分を硼酸と炭酸ナトリウムと混合し溶融させたものを塩酸に溶解させて、各元素を1000ppm含む標準液を希釈したものを標準試料としてICP発光分光分析にかけて定量化した。
高温負荷試験としての粒界相の評価としては交流インピーダンス法を用いて別途測定した。この場合の高温負荷条件としては、温度250℃、積層セラミックコンデンサの外部電極に印加する電圧は2V/μmとした。測定時の電圧は0.1V、周波数は10mHz〜10kHzの間、放置時間は1時間とし、その処理前後における交流インピーダンスを試料数30個について評価した。
比較例として、チタン酸バリウム系粉末としてBT粉末のみを用いた場合、チタン酸バリウム系粉末は上記のBTおよびBCT粉末を用いたが、焼結助剤として融点が1000℃以上の第1複合酸化物のみを添加したもの、および融点が1000℃よりも低い第2複合酸化物のみを添加したものを上記と同様に製法により作製し同様に評価した。結果を表1〜4に示す。
表1〜4の結果から明らかなように、融点が1000℃以上の第1複合酸化物と融点が1000℃よりも低い第2複合酸化物を合量で0.5〜5モル部添加して得られた本発明の試料では、比誘電率が1890以上であり、高温負荷寿命試験での変化率が1%/min以下であった。誘電体粉末中にYとTbを同時に2種添加したものでは比誘電率が4000以上であった。また、チタン酸バリウム系結晶粒子のうち、Ca成分濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子(BT結晶粒子)の平均粒子径D1を0.13〜0.15μmとし、D2/D1を1.3〜1.92の範囲とした試料No.3、4、12、14、17、18および27では比誘電率が4350〜5300であり、85℃での静電容量の温度変化率が−8.77%〜−9.9%であり、高温負荷寿命が−0.6〜−0.9と良好な特性が得られた。一方、融点が1000℃以上の第1複合酸化物もしくは融点が1000℃よりも低い第2複合酸化物の一方しか添加しなかった試料では、比誘電率が低いかもしくは高温負荷寿命試験での変化率が1%/minよりも大きかった。
また、表3、4の結果から明らかなように、複合酸化物を合わせた添加量がSiOに換算して、5.0モル部を超えると、比誘電率の低下が見られ、かつ高温負荷寿命試験での変化率が1%/minよりも大きかった。
積層セラミックコンデンサを以下のようにして作製した。用いるチタン酸バリウム系粉末、希土類粉末、焼結助剤の添加量と、焼成温度を表1に示した。ここで用いるBT粉末(BaTiO)およびBCT粉末(Ba1−xCaTiO x=0.05)におけるA/Bサイト比は1または1.003のものを用いた。また、BT粉末およびBCT粉末の粒径は表1に示すように0.07〜0.23μmのものを用いた。ここで用いたBCT粉末は粉末中におけるCaの濃度分布における最高濃度をChigh、平均濃度をCaveとしたときの比Chigh/Caveが1.2〜4のものを用いた。この場合、Chigh/Cave=1.2〜1.5のBCT粉末は共沈法によって得られたものであり、Chigh/Cave=2〜4のBCT粉末はBaCO、TiO、CaCOを用いた固相法によって得られたものである。表5、表6におけるBCT粉末はいずれもChigh/Caveが2.3である。表5,表6の試料におけるBCT粉末から得られたBCT結晶粒子のChigh/Caveは2.1であった。表7、表8の試料については、表7に示したように、Chigh/Cave=1.2〜4とした。焼結助剤は、第1複合酸化物として融点が1050℃であるBaO=30、CaO=20、SiO=50(モル%)のものと、第2複合酸化物は融点が800℃であるBaO=25、CaO=15、SiO=40、LiO=20(モル%)のものを使用した。チタン酸バリウム系粉末100モル部に対してMgOは1モル部、MnOはMnCOのかたちで0.3モル部添加した。MgOの平均粒径は0.2μm、MnOの平均粒径は0.2μm、焼結助剤の平均粒径は0.3μmとした。
次に、上記混合粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合した。次に、湿式混合した粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエンとアルコールの混合溶媒を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合しセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚み2.5μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートの上面にNiを主成分とする矩形状の内部電極パターンを複数形成した。内部電極パターンに用いた導体ペーストは、Ni粉末は平均粒径0.3μmのものを用い、共材としてセラミックグリーンシートに用いたBT粉末をNi粉末100質量部に対して30質量部添加した。
次に、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを100枚積層し、その上下面に内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて温度60℃、圧力10Pa、時間10分の条件で一括積層し、所定の寸法に切断した。
次に、積層成形体を10℃/hの昇温速度で大気中で300℃/hにて脱バインダ処理を行い、500℃からの昇温速度が300℃/hの昇温速度で、水素−窒素中、1040〜1200℃で2時間焼成し、続いて300℃/hの降温速度で1000℃まで冷却し、窒素雰囲気中1000℃で4時間再酸化処理をし、300℃/hの降温速度で冷却し、コンデンサ本体を作製した。このコンデンサ本体の大きさは1×0.5×0.5mm、誘電体層の厚みは1.8μmであった。内部電極層の1層あたりの面積は0.258mmであった。
次に、焼成したコンデンサ本体をバレル研磨した後、コンデンサ本体の両端部にCu粉末とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて外部電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
作製した積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層は断面の結晶組織におけるそれぞれの結晶粒子の面積比で、BCT結晶粒子の割合をABCT、BT結晶粒子の割合をABTとしたときに、ABT/ABCT=0.8〜1.2であった。これは分析電子顕微鏡観察によって求めた。また、チタン酸バリウム結晶粒子に含まれる希土類元素(イットリウム)は粒子表面である粒界層を最高濃度として結晶粒子表面から粒子内部にかけて0.05原子%/nmの濃度勾配を有していた。これは透過型電子顕微鏡に付設の分析器によって測定した。また、BCT結晶粒子中のCa成分の濃度分布も同様の方法によって測定した。BCT結晶粒子中のCa成分の濃度分布の測定は、誘電体層中の結晶粒子を任意に10個選択し、結晶粒子の界面から中心部にかけて5nm毎にEDS分析を行い、その濃度分布曲線から平均濃度(Cave)と最高濃度(Chigh)を求めた。
次に、これらの積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。静電容量および比誘電率ならびに比誘電率の温度特性(X5R)は、周波数1.0kHz、測定電圧0.5Vrmsの測定条件で行った。比誘電率は静電容量と内部電極層の有効面積、誘電体層の厚みから算出した。
また、誘電体層を構成するBT型結晶粒子とBCT型結晶粒子の平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた。研磨面をエッチングし、30000倍で写した電子顕微鏡写真内の結晶粒子を任意に20個選択し、インターセプト法により各結晶粒子の最大径を求め、それらの平均値を求めた。
Ca濃度については透過電子顕微鏡およびEDSを用いて中心部近傍の任意の場所を分析した。その際、Ca濃度が0.4原子%よりも高いもの(小数点2位四捨五入)に関してCa濃度の高い誘電体粒子とした。この分析は主結晶粒子100〜150個について行った。
誘電体層の組成は、得られた積層セラミックコンデンサから誘電体層の部分を切除して、その部分を硼酸と炭酸ナトリウムと混合し溶融させたものを塩酸に溶解させて、各元素を1000ppm含む標準液を希釈したものを標準試料としてICP発光分光分析にかけて定量化した。
高温負荷試験としての粒界相の評価としては交流インピーダンス法を用いて別途測定した。この場合の高温負荷条件としては、温度250℃、積層セラミックコンデンサの外部電極に印加する電圧は2V/μmとした。測定時の電圧は0.1V、周波数は10mHz〜10kHzの間、放置時間は1時間とし、その処理前後における交流インピーダンスを試料数30個について評価した。
比較例として、チタン酸バリウム系粉末としてBT粉末のみを用いた場合、チタン酸バリウム系粉末は上記のBTおよびBCT粉末を用いたが、焼結助剤として融点が1000℃以上の第1複合酸化物のみを添加したもの、および融点が1000℃よりも低い第2複合酸化物のみを添加したものを上記と同様に製法により作製し同様に評価した。結果を表5、6に示す。
表5、6の結果から明らかなように、融点が1000℃以上の第1複合酸化物と融点が1000℃よりも低い第2複合酸化物を合量で0.5〜3モル部添加して得られた本発明の試料では、比誘電率が2120以上であり、高温負荷寿命試験でのコールコールプロット変化率が1%/min以下であった。誘電体粉末中にYとTbを同時に2種添加し、チタン酸バリウム系結晶粒子としてBT結晶粒子とBCT結晶粒子とを共存させたものでは比誘電率が3780以上であった。また、チタン酸バリウム系結晶粒子のうち、Ca成分濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子(BT結晶粒子)の平均粒子径D1を0.13〜0.16μmとし、D2/D1を1.3〜1.85の範囲とした試料No.30、31、39〜41、46、47および52では比誘電率が4180〜4800であり、85℃での静電容量の温度変化率が−7.81%〜−9.82%であり、高温負荷寿命でのコールコールプロット変化率が−0.6〜−1と良好な特性が得られた。
ここで、表7、表8に示すように、焼成後のBCT結晶粒子のChigh/Caveが2.1〜2.9の範囲の試料は、他の添加剤が同組成であれば、高温負荷寿命試験でのコールコールプロット変化率が−0.6〜−0.8%と小さかった。
一方、融点が1000℃以上の第1複合酸化物もしくは融点が1000℃よりも低い第2複合酸化物の一方しか添加しなかった試料では、比誘電率が低いか、もしくは高温負荷寿命試験でのコールコールプロット変化率が1%/minよりも大きかった。
本発明の積層セラミックコンデンサを示す概略断面図である。 本発明にかかる交流インピーダンス測定を用いた誘電体層中の粒界の抵抗の評価手法を示す模式図である。 本発明の交流インピーダンス測定を用いた誘電体層中の粒界の抵抗評価結果の代表例である。 本発明の積層セラミックコンデンサの製法を示す工程図である。
符号の説明
1 コンデンサ本体
3 外部電極
5 誘電体層
7 内部電極層
9 結晶粒子
9a BCT結晶粒子
9b BT結晶粒子
21 セラミックグリーンシート
23 内部電極パターン
25 セラミックパターン
29 積層体

Claims (3)

  1. Caを0.2原子%以下の割合で含有するチタン酸バリウム結晶粒子およびCa成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子が混在したチタン酸バリウム系結晶粒子によって構成された複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された複数の内部電極層と、該内部電極層に電気的に接続された外部電極とを具備する積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体層が、酸化イットリウムと、酸化テルビウムと、酸化マンガンとを含有し、チタン酸バリウム(BaTiO)100モル部に対して副成分として酸化ケイ素をSiOに換算して0.5〜5モル部含有するとともに、酸化イットリウム:酸化テルビウム=0.5〜2(モル):0.1〜0.5(モル)であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記チタン酸バリウム系結晶粒子のうち、Ca成分濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子の平均粒子径をD1、Ca成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子の平均粒子径をD2としたとき、前記D1が0.13〜0.15μm、D2/D1が1.3〜1.92である請求項1記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記チタン酸バリウム系結晶粒子のうち、Ca成分濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子を化学式Ba1−xCaTiO(x=0.01〜0.2)で表すとともに、BaおよびCaの合量をAモル、TiをBモルとしたときに、A/B≧1.003の関係を満足する請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
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